(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023067583
(43)【公開日】2023-05-16
(54)【発明の名称】バルーンカテーテルおよびこれを備えたバルーンカテーテルシステム
(51)【国際特許分類】
A61B 18/14 20060101AFI20230509BHJP
A61M 25/10 20130101ALI20230509BHJP
A61B 8/12 20060101ALI20230509BHJP
【FI】
A61B18/14
A61M25/10
A61B8/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021178969
(22)【出願日】2021-11-01
(71)【出願人】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】110002837
【氏名又は名称】弁理士法人アスフィ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木佐 俊哉
【テーマコード(参考)】
4C160
4C267
4C601
【Fターム(参考)】
4C160KK03
4C160KK04
4C160KK32
4C160KK36
4C160MM38
4C267AA09
4C267BB42
4C267BB45
4C267CC19
4C267HH08
4C601EE09
4C601FF11
4C601FF16
4C601GC12
(57)【要約】
【課題】手技の効率化に資するバルーンカテーテルおよびこれを備えたバルーンカテーテルシステムを提供する。
【解決手段】長手軸方向xに遠位端と近位端を有するシャフト2と、シャフト2の遠位部に配置されているバルーン10と、バルーン10の外面11に配置されている絶縁材20と、絶縁材20上に配置され、長手軸方向xに並んでいる第1超音波振動子51および第2超音波振動子52と、第1超音波振動子51と第2超音波振動子52の間であって絶縁材20上に配置されている第1焼灼電極31と、を有するバルーンカテーテル1。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手軸方向に遠位端と近位端を有するシャフトと、
前記シャフトの遠位部に配置されているバルーンと、
前記バルーンの外面に配置されている絶縁材と、
前記絶縁材上に配置され、前記長手軸方向に並んでいる第1超音波振動子および第2超音波振動子と、
前記第1超音波振動子と前記第2超音波振動子の間であって前記絶縁材上に配置されている第1焼灼電極と、を有するバルーンカテーテル。
【請求項2】
前記第1超音波振動子および前記第2超音波振動子はそれぞれ前記第1焼灼電極よりも表面積が小さい請求項1に記載のバルーンカテーテル。
【請求項3】
前記第1超音波振動子は、前記第1焼灼電極よりも遠位側であって前記バルーンの周方向において前記第1焼灼電極と重なる位置にあり、
前記第2超音波振動子は、前記第1焼灼電極よりも近位側であって前記バルーンの周方向において前記第1焼灼電極と重なる位置にある請求項1または2に記載のバルーンカテーテル。
【請求項4】
前記絶縁材上に配置されており、前記第2超音波振動子よりも近位側であって前記バルーンの周方向において前記第1焼灼電極と重なる位置にある第2焼灼電極をさらに有する請求項3に記載のバルーンカテーテル。
【請求項5】
前記絶縁材上に配置されており、前記第2焼灼電極よりも近位側であって前記バルーンの周方向において前記第2焼灼電極と重なる位置にある第3超音波振動子をさらに有する請求項4に記載のバルーンカテーテル。
【請求項6】
前記第1焼灼電極と前記第2焼灼電極の間に高周波電流が印加される請求項4または5に記載のバルーンカテーテル。
【請求項7】
さらに、前記絶縁材上に配置されており、前記バルーンの周方向に並んでいる第4超音波振動子および第5超音波振動子を有し、
前記第1焼灼電極は、前記第4超音波振動子と前記第5超音波振動子の間に配置されている請求項1~6のいずれか一項に記載のバルーンカテーテル。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載のバルーンカテーテルと、
患者の体表面に設けられ、前記第1焼灼電極との間で高周波電流が印加される対極板と、を有するバルーンカテーテルシステム。
【請求項9】
請求項1~7のいずれか一項に記載のバルーンカテーテルと、
前記第1超音波振動子と前記第2超音波振動子の少なくともいずれかを用いて、前記第1超音波振動子から対象組織までの第1距離、前記第2超音波振動子から対象組織までの第2距離の少なくともいずれかを取得する距離取得部と、
前記距離取得部に接続され、前記第1距離、前記第2距離の少なくともいずれかを用いて、前記第1超音波振動子と前記第2超音波振動子の少なくともいずれかと対象組織が所定の接触をしているか否かを判別する第1制御部と、を有するバルーンカテーテルシステム。
【請求項10】
前記第1制御部は、前記第1超音波振動子と前記第2超音波振動子の少なくともいずれかと対象組織との接触状態の判別結果を用いて、前記第1焼灼電極と対象組織が所定の接触をしているか否かを判別する請求項9に記載のバルーンカテーテルシステム。
【請求項11】
請求項5に記載のバルーンカテーテルと、
前記第1超音波振動子と前記第2超音波振動子と前記第3超音波振動子の少なくともいずれかを用いて、前記第1超音波振動子から対象組織までの第1距離、前記第2超音波振動子から対象組織までの第2距離、前記第3超音波振動子から対象組織までの第3距離の少なくともいずれか1つを取得する距離取得部と、
前記距離取得部に接続され、前記第1距離、前記第2距離、前記第3距離の少なくともいずれか1つを用いて、前記第1超音波振動子、前記第2超音波振動子、前記第3超音波振動子の少なくともいずれか1つと対象組織が所定の接触をしているか否かを判別する第1制御部と、を有するバルーンカテーテルシステム。
【請求項12】
前記第1制御部は、前記第1超音波振動子、前記第2超音波振動子および前記第3超音波振動子と対象組織との接触状態の判別結果を用いて、前記第1焼灼電極と対象組織、および前記第2焼灼電極と対象組織が所定の接触をしているか否かを判別する請求項11に記載のバルーンカテーテルシステム。
【請求項13】
請求項1~7のいずれか一項に記載のバルーンカテーテルと、
前記第1超音波振動子と前記第2超音波振動子の少なくともいずれかを用いて前記第1焼灼電極によって焼灼された対象組織の超音波画像を取得する画像取得部と、
前記画像取得部に接続され、前記超音波画像から前記対象組織の焼灼深さを判別する第2制御部と、を有するバルーンカテーテルシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バルーンカテーテル、詳細には生体組織を焼灼することができるバルーンカテーテルとこれを備えたシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
心房細動の治療のための肺静脈隔離術では、バルーンを有するアブレーションカテーテルが用いられる。バルーンの外面には焼灼電極が設けられている。バルーンを拡張して焼灼電極を肺静脈開口部に接触させた状態で焼灼電極に高周波電流を流すことによって、肺静脈開口部の組織を焼灼することができる。肺静脈等の生体組織と焼灼電極が接触しているか否かを確認するために、バルーンの外面に焼灼電極とは別に電極を設けることが提案されている。
【0003】
特許文献1には、バルーンと、バルーン上の長手方向軸線の周囲で円周方向に配置される複数のアブレーション電極と、バルーン上の緯度のうちの1つに沿って円周方向に分布される複数の超音波トランスデューサと、を備えた装置が開示されている。異なる緯度でトランスデューサを位置決めすることにより、トランスデューサからの測定を用いるコントローラが、バルーンが肺静脈の入口に正しく位置決めされていると判定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
対象組織に対する焼灼電極の接触の程度や焼灼深さをさらに効率よく把握することができるバルーンカテーテルおよびこれを備えたシステムを提供することは有益である。そこで、本発明は、手技の効率化に資するバルーンカテーテルおよびこれを備えたバルーンカテーテルシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成し得た本発明のバルーンカテーテルの一実施態様は、長手軸方向に遠位端と近位端を有するシャフトと、シャフトの遠位部に配置されているバルーンと、バルーンの外面に配置されている絶縁材と、絶縁材上に配置され、長手軸方向に並んでいる第1超音波振動子および第2超音波振動子と、第1超音波振動子と第2超音波振動子の間であって絶縁材上に配置されている第1焼灼電極と、を有する点に要旨を有する。上記バルーンカテーテルによれば、第1超音波振動子と第2超音波振動子によって対象組織に対する第1焼灼電極の接触の程度や焼灼深さを把握しやすくなり、手技の効率化が図られる。
【0007】
上記バルーンカテーテルにおいて、第1超音波振動子および第2超音波振動子はそれぞれ第1焼灼電極よりも表面積が小さくてもよい。第1超音波振動子は、第1焼灼電極よりも遠位側であってバルーンの周方向において第1焼灼電極と重なる位置にあり、第2超音波振動子は、第1焼灼電極よりも近位側であってバルーンの周方向において第1焼灼電極と重なる位置にあってもよい。
【0008】
上記バルーンカテーテルは、絶縁材上に配置されており、第2超音波振動子よりも近位側であってバルーンの周方向において第1焼灼電極と重なる位置にある第2焼灼電極をさらに有していてもよい。また、上記バルーンカテーテルは、絶縁材上に配置されており、第2焼灼電極よりも近位側であってバルーンの周方向において第2焼灼電極と重なる位置にある第3超音波振動子をさらに有していてもよい。第1焼灼電極と第2焼灼電極の間に高周波電流が印加されてもよい。さらに、上記バルーンカテーテルは、絶縁材上に配置されており、バルーンの周方向に並んでいる第4超音波振動子および第5超音波振動子を有し、第1焼灼電極は、第4超音波振動子と第5超音波振動子の間に配置されていてもよい。
【0009】
本発明は、バルーンカテーテルシステムも提供する。本発明のバルーンカテーテルシステムの一実施態様は、上記バルーンカテーテルと、患者の体表面に設けられ、第1焼灼電極との間で高周波電流が印加される対極板と、を有する点に要旨を有する。上記システムによれば、第1焼灼電極をモノポーラ電極として使用することができる。
【0010】
本発明のバルーンカテーテルシステムの他の実施態様は、上記バルーンカテーテルと、第1超音波振動子と第2超音波振動子の少なくともいずれかを用いて第1超音波振動子から対象組織までの第1距離、第2超音波振動子から対象組織までの第2距離の少なくともいずれかを取得する距離取得部と、距離取得部に接続され、第1距離、第2距離の少なくともいずれかを用いて第1超音波振動子と第2超音波振動子の少なくともいずれかと対象組織が所定の接触をしているか否かを判別する第1制御部と、を有する点に要旨を有する。上記システムによれば、第1超音波振動子と第2超音波振動子の少なくともいずれかを用いて超音波の反射時間から第1距離や第2距離を測定することで、術者は対象組織と所定の接触をしているか否かを判別することができるため、手技の効率化が図られる。
【0011】
上記バルーンカテーテルシステムにおいて、第1制御部は、第1超音波振動子と第2超音波振動子の少なくともいずれかと対象組織との接触状態の判別結果を用いて、第1焼灼電極と対象組織が所定の接触をしているか否かを判別してもよい。
【0012】
本発明のバルーンカテーテルシステムのさらに他の実施態様は、少なくとも第1超音波振動子、第2超音波振動子および第3超音波振動子を有するバルーンカテーテルと、第1超音波振動子と第2超音波振動子と第3超音波振動子の少なくともいずれかを用いて第1超音波振動子から対象組織までの第1距離、第2超音波振動子から対象組織までの第2距離、第3超音波振動子から対象組織までの第3距離の少なくともいずれか1つを取得する距離取得部と、距離取得部に接続され、第1距離、第2距離、第3距離の少なくともいずれか1つを用いて、第1超音波振動子、第2超音波振動子、第3超音波振動子の少なくともいずれか1つと対象組織が所定の接触をしているか否かを判別する第1制御部を有している点に要旨を有する。上記システムによれば、第1超音波振動子と第2超音波振動子と第3超音波振動子の少なくともいずれかを用いて超音波の反射時間から第1距離、第2距離、または第3距離を測定することで、術者は対象組織と所定の接触をしているか否かを判別することができるため、手技の効率化が図られる。
【0013】
上記バルーンカテーテルシステムにおいて、第1制御部は、第1超音波振動子、第2超音波振動子および第3超音波振動子と対象組織との接触状態の判別結果を用いて、第1焼灼電極と対象組織、および第2焼灼電極と対象組織が所定の接触をしているか否かを判別してもよい。
【0014】
本発明のバルーンカテーテルシステムのさらに他の実施態様は、上記バルーンカテーテルと、第1超音波振動子と第2超音波振動子の少なくともいずれかを用いて第1焼灼電極によって焼灼された対象組織の超音波画像を取得する画像取得部と、画像取得部に接続され、超音波画像から対象組織の焼灼深さを判別する第2制御部と、を有していてもよい。上記バルーンカテーテルシステムによれば、超音波画像を用いて対象組織の焼灼深さを判別することができるため、手技の効率化が図られる。
【発明の効果】
【0015】
上記バルーンカテーテルおよびバルーンカテーテルシステムによれば、超音波振動子を用いて対象組織に対する焼灼電極の接触の程度や焼灼深さを把握することができるため、手技の効率化が図られる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施態様に係るバルーンカテーテルの側面図(一部断面図)である。
【
図2】
図1に示したバルーンカテーテルの変形例を示す断面図(一部側面図)である。
【
図3】
図1に示したバルーンカテーテルの他の変形例を示す側面図(一部断面図)である。
【
図4】
図1に示した焼灼電極と超音波振動子の配置の変形例を示す側面図である。
【
図5】
図1に示した焼灼電極と超音波振動子の配置の他の変形例を示す側面図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係るバルーンカテーテルシステムのブロック図である。
【
図7】
図6に示したバルーンカテーテルシステムの変形例を示すブロック図である。
【
図8】
図6に示したバルーンカテーテルシステムの他の変形例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、下記実施の形態に基づき本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施の形態によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。なお、各図面において、便宜上、ハッチングや部材符号等を省略する場合もあるが、かかる場合、明細書や他の図面を参照するものとする。また、図面における種々部材の寸法は、本発明の特徴の理解に資することを優先しているため、実際の寸法とは異なる場合がある。
【0018】
1.バルーンカテーテル
本発明のバルーンカテーテルの一実施態様は、長手軸方向に遠位端と近位端を有するシャフトと、シャフトの遠位部に配置されているバルーンと、バルーンの外面に配置されている絶縁材と、絶縁材上に配置され、長手軸方向に並んでいる第1超音波振動子および第2超音波振動子と、第1超音波振動子と第2超音波振動子の間であって絶縁材上に配置されている第1焼灼電極と、を有する点に要旨を有する。上記バルーンカテーテルによれば、第1超音波振動子と第2超音波振動子によって対象組織に対する第1焼灼電極の接触の程度や焼灼深さを把握しやすくなり、手技の効率化が図られる。
【0019】
バルーンカテーテルは、生体組織を焼灼するアブレーションカテーテルである。バルーンカテーテルの用途の一例としては、心房細動の治療法の一つである肺静脈隔離術が挙げられる。肺静脈隔離術では、バルーンの外面に焼灼電極を設けて、バルーンを拡張し、焼灼電極を肺静脈開口部に接触させた状態で焼灼電極に高周波電流を流すことによって肺静脈開口部を焼灼する。これにより心房細動の原因となる異常な電気経路を遮断することができる。
【0020】
図1~
図5を参照してバルーンカテーテルの構成について説明する。
図1は本発明の一実施態様に係るバルーンカテーテルの側面図(一部断面図)である。
図2~
図3は
図1に示したバルーンカテーテルの変形例を示す断面図(一部側面図)である。
図4~
図5は
図1に示した焼灼電極と超音波振動子の配置の変形例を示す側面図である。
図1では、シャフトの遠位側から近位側にわたってワイヤを挿通するオーバーザワイヤ型のバルーンカテーテルの構成例を示している。バルーンカテーテル1は、シャフト2と、バルーン10と、絶縁材20と、第1焼灼電極31と、第1超音波振動子51と、第2超音波振動子52と、を有する。以下ではバルーンカテーテルを単にカテーテルと称することがある。
【0021】
本明細書において、カテーテル1の遠位側とは、シャフト2の長手軸方向xの遠位端側であって処置対象側を指す。カテーテル1の近位側とは、シャフト2の長手軸方向xの近位端側であって使用者の手元側を指す。各部材をシャフト2の長手軸方向xにおいて二等分割したときの近位側を近位部、遠位側を遠位部と称することがある。カテーテル1の径方向において、内方はシャフト2の長手軸方向xに延びる中心軸cに向かう方向を指し、外方は内方とは反対の放射方向を指す。
【0022】
シャフト2は長手軸方向xと径方向と周方向を有している。
図1に示すようにシャフト2は長手軸方向xに遠位端と近位端を有している。シャフト2の遠位部にはバルーン10が配置されている。シャフト2の近位部には、バルーン10の内部に流体を供給するためのシリンジ等の流体供給器62が接続されている。カテーテル1は、流体供給器62からシャフト2を通じてバルーン10の内部に流体が供給されるように構成されている。流体供給器62は、流体を加熱するヒーターや流体を冷却するクーラーの少なくともいずれか一方を備えていてもよい。流体供給器62から供給される流体の温度は設定または制御されてもよい。
【0023】
シャフト2はその内部にバルーン10内に供給される流体の流路と、体腔内でのシャフト2の進行をガイドするワイヤの挿通路とを有していてもよい。流路は、シャフト2の長手軸方向xに延在していることが好ましい。ワイヤの挿通路も、シャフト2の長手軸方向xに延在していることが好ましい。
【0024】
シャフト2は少なくとも二重管から構成されているコアキシャル構造を有していてもよい。
図1ではシャフト2は内管3と外管4から構成されている。
図1では内管3の内腔はワイヤの挿通路として機能し、内管3と外管4の間の空間はバルーン10を拡張するための流体の流路として機能する。シャフト2の遠位部では、内管3が外管4の遠位端から延出してバルーン10を長手軸方向xに貫通している。
【0025】
バルーン10はシャフト2の遠位部に固定されている遠位固定部12と、遠位固定部12よりも近位側でシャフト2に固定されている近位固定部13と、遠位固定部12と近位固定部13の間に位置し且つシャフト2に固定されていない拡張可能部14と、を有している。バルーン10の内部に流体を供給すると拡張可能部14が拡張し、バルーン10から流体を排出することで拡張可能部14が収縮する。
図1では内管3の遠位部に遠位固定部12が固定され、外管4の遠位部に近位固定部13が固定されている。遠位固定部12と近位固定部13は、例えば溶着、または接着剤による接着等の方法でシャフト2に固定することができる。
【0026】
図1ではシャフト2の外管4の近位部が分岐している。分岐の第1の側4Aには流体供給器62が接続されている。分岐の第2の側4Bの近位端からは内管3が延出しており、内管3の近位部に操作部61が接続されている。操作部61は術者が把持する部分である。分岐の第2の側4Bまたは内管3の近位部はワイヤポートまたはケーブルコネクタに接続されてもよい。シャフト2と流体供給器62またはワイヤポートは、チューブやコネクタ等の接続部材を介して間接的に接続されていてもよい。内管3はその近位部の側壁に内管3の内腔と連通している側孔を有していてもよい。側孔を通じて内管3の内腔にワイヤを挿通することができる。側孔は薬剤等の注入口や体内の流体等の吸引口として用いられてもよい。
【0027】
シャフト2はマルチルーメン構造を有していてもよい。マルチルーメン構造は、1つのシャフト2が複数の内腔を有する構造である。複数の内腔は好ましくはそれぞれ長手軸方向xに延在しており、互いに平行に配されている。例えばシャフト2は長手軸方向xに延在している第1内腔および第2内腔と、シャフト2の側壁であってバルーン10の拡張可能部14と重なる位置にあり第1内腔と連通している第1側孔と、を有していてもよい。流体供給器62から第1内腔へバルーン拡張用の流体が供給されるようにシャフト2に流体供給器62が接続されてもよい。
【0028】
体腔形状に沿ってシャフト2を変形させるために、シャフト2は可撓性を有していることが好ましい。形状保持のため、シャフト2は弾性を有していることが好ましい。シャフト2は樹脂、金属、または樹脂と金属の組み合わせから構成されていることが好ましい。シャフト2としては、樹脂チューブ;金属管;線材を所定のパターンで配置することで形成された中空体;上記中空体の内面または外面の少なくともいずれか一方に樹脂をコーティングしたもの;またはこれらを組み合わせたもの、例えばこれらを長手軸方向xに接続したものが挙げられる。樹脂チューブは、例えば押出成形によって製造することができる。線材が所定のパターンで配置された中空体としては、線材が単に交差される、または編み込まれることによって網目構造を有する筒状体や、線材が巻回されたコイルが挙げられる。線材は、一または複数の単線であってもよく、一または複数の撚線であってもよい。網目構造の種類は特に制限されず、コイルの巻き数や密度も特に制限されない。網目構造やコイルは、シャフト2の長手軸方向x全体に亘って一定の密度で形成されてもよく、シャフト2の長手軸方向xの位置によって密度が異なるように形成されてもよい。金属管の可撓性を高めるために、金属管の外側表面には切込みや溝が形成されていてもよい。切込みや溝の形状は、直線状、円弧状、環状、らせん状やこれらの組み合わせとすることができる。シャフト2の内管3と外管4は上記のいずれかの構造を有していてもよい。内管3と外管4の構造は同じであってもよく、互いに異なっていてもよい。
【0029】
シャフト2を構成する樹脂としては、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、フッ素系樹脂、塩化ビニル系樹脂、シリコーン系樹脂、天然ゴム、合成ゴム等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。シャフト2を構成する樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂のいずれを用いてもよいが、中でも熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。シャフト2を構成する金属としては、例えば、SUS304、SUS316等のステンレス鋼、白金、ニッケル、コバルト、クロム、チタン、タングステン、金、Ni-Ti合金、Co-Cr合金、またはこれらの組み合わせが挙げられる。シャフト2は異なる材料または同じ材料による積層構造としてもよい。内管3と外管4の構成材料は同じであってもよく、互いに異なっていてもよい。
【0030】
1つのシャフト2にはバルーン10が1つのみ配置されることが好ましいが、バルーン10は複数配置されてもよい。一のバルーンの内部に他のバルーンが配置されてもよく、複数のバルーンが長手軸方向xに並ぶように配置されてもよい。
【0031】
バルーン10は樹脂を成形することにより製造することができる。例えば、押出成形された樹脂チューブを金型に配置し、二軸延伸ブロー成形することでバルーン10を製造することができる。金型の形状を変えることでバルーン10を任意の形状に形成することができる。二軸延伸ブロー成形以外にもディップ成形、射出成形、圧縮成形などの成形方法によりバルーン10を製造することができる。
【0032】
バルーン10を構成する樹脂としては、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、シリコーン系樹脂、天然ゴム、合成ゴム等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。バルーン10の薄膜化や柔軟性の点からは、エラストマー樹脂を用いることができる。
【0033】
バルーン10の内部に供給される流体としては、例えば、生理食塩水、造影剤、またはこれらの混合液等の液体や、空気、窒素、炭酸ガス等の気体を挙げることができる。
【0034】
拡張可能部14を拡張させたときの形状は特に限定されないが、球体状、長円球体状、柱体状、錐体状、錐台体状、またはこれらを組み合わせた形状とすることができる。長円形状には、楕円形状、卵形状、角丸長方形状が含まれ、以降の説明でも同様である。
【0035】
絶縁材20は、少なくとも第1焼灼電極31と第1超音波振動子51と第2超音波振動子52をバルーン10に保持するために設けられるものであり、電気を通しにくい部材である。バルーン10の変形に追従させるために、絶縁材20は可撓性を有する材料から構成されることが好ましい。また、形状保持のため、絶縁材20は弾性を有していてもよい。
【0036】
絶縁材20はバルーン10の外面11に配置されている。絶縁材20はバルーン10の一部のみに配置されており、バルーン10の全体には配置されていないことが好ましい。また、絶縁材20はバルーン10の一部のみに固定されており、バルーン10の外面11の全体には固定されていないことが好ましい。絶縁材20を部分的に設けることでバルーン10の柔軟性が確保される。絶縁材20はバルーン10の外面11に配されるコーティングやプリントを兼ねていてもよい。
【0037】
絶縁材20はバルーン10の外面11に固定されていることが好ましく、バルーン10の拡張可能部14の外面11に固定されていることがより好ましい。絶縁材20は、バルーン10の外面11に直接接合されていてもよく、他の部材を介して間接的に接合されていてもよい。絶縁材20は、溶着または接着剤による接着等の方法でバルーン10の外面11に固定することができる。
【0038】
図1に示すように、長手軸方向xにおいて、拡張可能部14のうち拡張時に外径が最大となる部分を最大外径部141とする。絶縁材20は最大外径部141に位置していることが好ましい。第1焼灼電極31も最大外径部141に配置しやすくなり、第1焼灼電極31を対象組織に接触させやすくなる。また、絶縁材20は、長手軸方向xにおける拡張可能部14の中央に位置していてもよい。
【0039】
長手軸方向xにおいて、絶縁材20は拡張可能部14の遠位部に位置していてもよい。第1焼灼電極31をバルーンカテーテル1の進行方向に向けることができ、第1焼灼電極31を対象組織に接触させやすくなる。なお、長手軸方向xにおいて、絶縁材20は拡張可能部14の近位部に位置していてもよい。
【0040】
絶縁材20は樹脂から構成されていることが好ましい。絶縁材20の電気絶縁性を確保できるとともにバルーン10に固定しやすくなる。絶縁材20を構成する樹脂としては、例えば、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂等を挙げることができる。なお、絶縁材20はゴムまたはエラストマーから構成されていてもよい。
【0041】
絶縁材20の形状は、円形状、長円形状、多角形状、またはこれらを組み合わせた形状であってもよい。絶縁材20の形状は、帯形状、リーフ形状、ストリップ形状などであってもよい。絶縁材20は長手軸方向xに長尺な形状を有していることが好ましい。バルーン10の柔軟性を確保しながら、第1焼灼電極31をバルーン10に保持させやすくなる。ここで絶縁材20の形状とはバルーン10を膨張させたときに視認できる形状を指すものとする。
【0042】
図1に示すように1つのバルーン10には絶縁材20が1つのみ配置されてもよいが、
図2に示すように複数の絶縁材20が配置されることが好ましい。各絶縁材20に第1焼灼電極31を配置することができる。複数の絶縁材20はバルーン10の周方向に並んでいることがより好ましい。複数の絶縁材20はバルーン10の周方向において等間隔に配置されていることがさらに好ましい。
図2では周方向に90度間隔で4つの絶縁材20が配置されている。複数の絶縁材20は長手軸方向xに並んでいてもよい。
【0043】
複数の絶縁材20の厚さは互いに異なっていてもよいが、それぞれ同じであることが好ましい。各絶縁材20に配置されている第1焼灼電極31を対象組織に同程度に接触させやすくなる。
【0044】
複数の絶縁材20を構成する材料は互いに異なっていてもよいが、手技中のバルーン10の変形度合いを管理しやすくするためにはそれぞれ同じであることが好ましい。
【0045】
複数の絶縁材20の形状は長手軸方向xを回転軸とする回転対称であることが好ましい。第1焼灼電極31をバルーン10上にバランスよく配置しやすくなるため、バルーン10の周方向において均一に焼灼を行いやすくなる。
【0046】
1つのバルーン10が複数の絶縁材20を有している場合、複数の絶縁材20の形状はそれぞれ同じであってもよく、互いに異なっていてもよい。例えば、第1の形状を有する絶縁材20と、第1の形状とは異なる第2の形状を有する絶縁材20とが、長手軸方向xまたはバルーン10の周方向に並んでいてもよい。
【0047】
図2に示すように絶縁材20は可撓性基材200であって第1面201と、第1面201と反対側の第2面202を有し、第1面201がバルーン10側を向いており、第1焼灼電極31は第2面側202に配置されていることが好ましい。可撓性基材200としては、樹脂フィルムや樹脂シートを挙げることができる。可撓性基材200はバルーン10の変形に追従しやすいため、第1焼灼電極31を対象組織に接触させやすくなる。
【0048】
可撓性基材200は、単層から構成されていてもよく、複数層から構成されていてもよい。以下では第1面201から第2面202に向かう方向における厚さを、可撓性基材200の厚さという。第1面201から第2面202に向かう方向に垂直な方向を面方向という。可撓性基材200は、面方向の最小長さに対して厚さ方向の最大長さが短いものであることが好ましい。
【0049】
可撓性基材200は第1焼灼電極31よりも薄くてもよいが、バルーン10に第1焼灼電極31を保持しやすくするためには、可撓性基材200は第1焼灼電極31よりも厚いことが好ましい。可撓性基材200は拡張前のバルーン10の膜厚よりも厚くてもよく、薄くてもよい。可撓性基材200は、面方向の全体が同じ厚さを有していてもよく、部分毎に異なる厚さを有していてもよい。
【0050】
カテーテル1は、超音波探触子を含むことができる。超音波探触子は、電気信号を超音波に変換して、超音波の発信および受信を行うものである。超音波探触子は、一または複数の振動子を有する。超音波探触子は、一振動子型探触子であってもよく、発信振動子および受信振動子を有する二振動子型探触子であってもよい。振動子は、例えば、2つの電極と、この2つの電極に挟持されている圧電材料とを有する構成とすることができる。圧電材料は、圧電性を示す結晶性物質であり、機械的ひずみを与えたとき電圧を発生するか、逆に電圧を加えると機械的ひずみを発生する物質である。圧電材料としては、チタン酸バリウム(BaTiO3)、ジルコンチタン酸鉛(PZT)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、1-3コンポジット複合圧電材料等を用いることができる。
【0051】
カテーテル1は、少なくとも第1焼灼電極31と第1超音波振動子51と第2超音波振動子52を含むことができる。以降では、第1超音波振動子を第1振動子、第2超音波振動子を第2振動子と称することがある。
図1に示すように、第1振動子51および第2振動子52は絶縁材20上に配置され、長手軸方向xに並んでいる。第1振動子51と第2振動子52の間であって絶縁材20上には第1焼灼電極31が配置されている。第1焼灼電極31に高周波電流が通電されることによって、対象組織を焼灼することができる。このように第1振動子51と第2振動子52で第1焼灼電極31を挟むように配置することで、対象組織に対する第1焼灼電極31の接触の程度や焼灼深さを把握しやすくなり、手技の効率化が図られる。
【0052】
図1には、第1振動子51と第2振動子52を用いて把握することができる第1焼灼電極31と対象組織との接触判定エリア55を破線で示した。なお、複数の振動子が長手軸方向xに並んでいる場合、フェーズドアレイ方式を利用することによって、
図1において破線にて示している接触判定エリア55以外の部分でも第1焼灼電極31と対象組織との接触の判定を行うことが可能となる。
【0053】
まず、焼灼電極30の構成について説明する。1つのバルーン10には第1焼灼電極31を含む一または複数の焼灼電極30を配置することができる。複数の焼灼電極30はバルーン10の周方向に並んでいてもよく、長手軸方向xに並んでいてもよい。複数の焼灼電極はバルーン10の周方向または長手軸方向xにおいて等間隔に配置されていることがより好ましい。このように焼灼電極30を複数配置することで、広範囲を一斉に焼灼しやすくなる。
【0054】
図1~
図2では焼灼電極30は絶縁材20の外面に固定されている。対象組織と接触できるように焼灼電極30はバルーン10の表面に露出している。
【0055】
焼灼電極30としては金属酸化物や金属の薄膜またはシートを用いることができる。これにより焼灼電極30がバルーン10の変形に追従しやすくなる。
【0056】
薄膜を絶縁材20上に配することで焼灼電極30を形成する方法としては、エッチング法、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法、塗布法、スクリーン印刷やオフセット印刷等の印刷方法を用いることができる。
【0057】
焼灼電極30を構成する材料は導電性を有していればよく、例えば金属、または樹脂と金属を含む混合物から構成することができる。中でも、導電性樹脂や、金、銀、銅、白金、白金イリジウム合金、ステンレス、タングステン等の金属を用いることが好ましい。複数の焼灼電極30を構成する材料は互いに異なっていてもよいが、焼灼電極30に流れる高周波電流を制御しやすくする観点からはそれぞれ同じであることが好ましい。
【0058】
焼灼電極30の形状は、例えば円形状、長円形状、多角形状、またはこれらの組み合わせとすることができる。焼灼電極30は、長手軸方向xに長尺な形状を有していることが好ましい。複数の焼灼電極30の形状は互いに異なっていてもよいが、複数の焼灼電極30を対象組織に均一に接触しやすくする観点からはそれぞれ同じであることが好ましい。
図1~
図2では第1焼灼電極31が正方形状である例を示している。
【0059】
複数の焼灼電極30の厚さは互いに異なっていてもよいが、それぞれ同じであることが好ましい。各焼灼電極30を対象組織に同程度に接触させやすくなり、焼灼電極30と対象組織の接触の程度を把握しやすくなる。
【0060】
焼灼電極30は対象組織の焼灼だけでなく生体電位の測定に使用してもよい。生体電位は、例えばカテーテル1に好ましく設けられる参照電極と焼灼電極30との電位差を測定することで取得できる。参照電極としては、シャフト2のうちバルーン10よりも遠位側または近位側に配される電極や、患者の体表面に貼り付けられる電極を用いることができる。
【0061】
図1に示すように、焼灼電極30の一部が、拡張可能部14の最大外径部141に位置していることが好ましい。焼灼電極30を対象組織に接触させやすくなる。また、焼灼電極30の一部が、長手軸方向xにおける拡張可能部14の中央に位置していてもよい。
【0062】
長手軸方向xにおいて、焼灼電極30が拡張可能部14の遠位部に位置していてもよい。全ての焼灼電極30が拡張可能部14の遠位部に位置していてもよい。焼灼電極30がバルーンカテーテル1の進行方向を向くため、焼灼電極30を対象組織に接触させやすくなる。
【0063】
長手軸方向xにおいて、焼灼電極30が拡張可能部14の近位部に位置していてもよい。全ての焼灼電極30が拡張可能部14の近位部に位置していてもよい。
【0064】
図3に示すように、第1焼灼電極31は対極板35との間で高周波電流が印加されてもよい。これにより、第1焼灼電極31をモノポーラ電極として使用することができる。対極板35と、第1焼灼電極31、第2焼灼電極32の少なくともいずれかとの間で高周波電流が印加されてもよい。
【0065】
図1~
図3に示すように、1つの絶縁材20には焼灼電極30として第1焼灼電極31のみが配置されてもよい。また、
図4に示すように1つの絶縁材20に複数の焼灼電極30が配置されてもよい。
図4~
図5の左右方向がシャフト2の長手軸方向xであり、
図4~
図5の上下方向がバルーン10の周方向である。
図4~
図5の左側がシャフト2の遠位端側であり、右側がシャフト2の近位端側である。
【0066】
図4では絶縁材20上に第1焼灼電極31と第2焼灼電極32が配置されている。詳細には、第2焼灼電極32は、第2超音波振動子52よりも近位側であってバルーン10の周方向において第1焼灼電極31と重なる位置にあることが好ましい。カテーテル1を移動させなくても長手軸方向xの広範囲を焼灼しやすくなるため手技時間を短縮することができる。
【0067】
第1焼灼電極31と第2焼灼電極32の間に高周波電流が印加されることが好ましい。第1焼灼電極31と第2焼灼電極32をバイポーラ電極として用いることができる。モノポーラに比べて電流を局所的に流すことができるため、対象組織以外の組織の焼灼を防ぐことができる。
【0068】
図1~
図4に示すように、1つの絶縁材20上で、複数の焼灼電極30はバルーン10の周方向に並んでいないことが好ましい。バルーン10の周方向における絶縁材20の長さを短くすることができるため、絶縁材20をバルーン10の変形に追従させやすくなる。なお、1つの絶縁材20上で、複数の焼灼電極30はバルーン10の周方向に並んでいてもよい。その場合、焼灼電極30は、バルーン10の周方向での最大長さが長手軸方向xでの最大長さよりも短いことが好ましい。
【0069】
焼灼電極30は第1導線(図示せず)に接続されており、第1導線は手元側まで延びて高周波発生器63に接続されている。高周波電界を印加することで焼灼電極30を加熱することができる。焼灼電極30と同様に、第1導線は絶縁材20に固定されていることが好ましい。高周波発生器63は電源回路や高周波発振回路を含んでいてもよい。焼灼電極30と高周波発生器63の間にはインピーダンス整合回路が設けられてもよい。
【0070】
第1導線は、導電ワイヤなどの導電性の線状体、絶縁材20にプリントされた導電性物質、またはこれらを接続したものであってもよい。第1導線は、バルーン10の内面上、バルーン10と絶縁材20の間、または絶縁材20の外面上に配置することができる。第1導線は金属酸化物や金属の薄膜であってもよい。絶縁材20上に薄膜状の導線を形成する方法は、絶縁材20上に薄膜状の焼灼電極30を形成する方法の説明を参照することができる。シャフト2においては、第1導線はシャフト2の外面上、内面上、外面と内面の間の肉厚部分、ルーメン内の少なくともいずれか1つに配置することができる。
【0071】
超音波振動子について説明する。1つのバルーン10には第1振動子51と第2振動子52を含む複数の振動子50を配置することができる。
【0072】
振動子50から対象組織に向けて超音波が照射される。詳細には振動子50からシャフト2の径方向の外方に向かって超音波が発射される。超音波のスキャン方式としては、電子走査式や機械走査式が挙げられる。また、超音波の発生方法としては、圧電方式や静電方式が挙げられる。
【0073】
振動子50は絶縁材20の外面に固定されていることが好ましい。振動子50は、溶着または接着剤による接着等の方法で絶縁材20に固定することができる。なお、振動子50は、バルーン10の内部には配置されないことが好ましい。
【0074】
振動子50は二振動子型探触子の振動子であってもよいが、一振動子型探触子の振動子であることが好ましい。第1振動子51と第2振動子52は、それぞれ一振動子型探触子の振動子であることがより好ましい。
【0075】
第1振動子51と第2振動子52は発信および受信のタイミングを電子制御できることが好ましい。超音波ビームの伝搬方向、焦点、強度の少なくともいずれか1つを変えることができるフェーズドアレイ法を用いることができる。
【0076】
複数の振動子50から発生する超音波の波長は互いに異なっていてもよいが、同じであることが好ましい。例えば、第1振動子51と第2振動子52から発生する超音波の波長は同じであることが好ましい。
【0077】
複数の振動子50から発生する超音波の位相は互いにずれていることが好ましく、長手軸方向xまたはバルーン10の周方向に隣り合って配されている2つの振動子50から発生する超音波の位相は互いにずれていることがより好ましい。
【0078】
例えば、第1振動子51と第2振動子52から発生する超音波の位相は互いにずれていることが好ましく、T/4以上ずれていることがより好ましく、T/3以上ずれていることがさらに好ましく、2T/5以上ずれていることがさらにより好ましい。また、第1振動子51と第2振動子52から発生する超音波の位相は3T/4以下ずれていることが好ましく、2T/3以下ずれていることがより好ましく、T/2以下ずれていることがさらに好ましい。なお、Tは超音波の振動周期(単位:s)である。このように位相を設定することで、超音波ビームの伝搬方向、焦点、強度等を変えやすくなる。また、超音波ビームの伝搬方向と焦点の少なくともいずれかを変えることで、第1振動子51または第2振動子52と向かい合っている組織だけでなく、第1焼灼電極31と向かい合っている組織の観察を行うことができる。
【0079】
複数の振動子50から発生する超音波の波長が同じであり、かつ位相は互いにずれていることが好ましい。超音波ビームの伝搬方向、焦点、強度等を変えやすくなり、第1焼灼電極31と向かい合っている組織を観察しやすくなる。第1振動子51と第2振動子52から発生する超音波の波長が同じであり、かつ位相は互いにずれていることが好ましい。
【0080】
複数の振動子50から発生する超音波の強度は同じになるように制御されてもよく、互いに異なるように制御されてもよい。
【0081】
第1振動子51を含む第1探触子が第1焼灼電極31よりも遠位側に配置されており、第2振動子52を含む第2探触子が第1焼灼電極31よりも近位側に配置されていてもよい。
【0082】
1つのバルーン10または1つの絶縁材20が有する振動子の数は特に限定されないが、16個以上であることが好ましく、32個以上であることがより好ましく、64個以上であることがさらに好ましい。また、1つのバルーン10または1つの絶縁材20が有する振動子の数は、512個以下であってもよく、256個以下であってもよく、128個以下であってもよい。このように振動子の数を設定することにより、超音波ビームの伝搬方向、焦点、強度等を精度よく制御することができる。
【0083】
1つの探触子が有する振動子の数は特に限定されないが、4個以上であることが好ましく、8個以上であることがより好ましく、16個以上であることがさらに好ましく、32個以上であることが特に好ましい。また、1つの探触子が有する振動子の数は256個以下であってもよく、128個以下であってもよく、64個以下であってもよい。
【0084】
探触子は複数の振動子50を有し、絶縁材20上に複数の振動子50が連続的に配列されていることが好ましい。複数の振動子50はバルーン10の周方向に並んでいてもよく、長手軸方向xに並んでいてもよい。複数の振動子50はバルーン10の周方向または長手軸方向xにおいて等間隔に配置されていることがより好ましい。
【0085】
各振動子50は、例えば、矩形状や帯状等の多角形状に形成することができる。このような形状にすることでアレイ状に複数の振動子50を規則的に配列しやすくなる。振動子50を矩形状や帯状等の多角形状にすることによって、複数の振動子50が長手軸方向xまたはバルーン10の周方向に並ぶように配置しやすくなる。
【0086】
第1振動子51および第2振動子52はそれぞれ第1焼灼電極31よりも表面積が小さいことが好ましい。絶縁材20上で第1焼灼電極31の表面積を広く確保しやすくなり、焼灼が行いやすくなる。バルーン10に設けられる全ての振動子50の表面積が、焼灼電極30の最大表面積よりも小さいことが好ましい。また、第1振動子51を含む第1探触子および第2振動子52を含む第2探触子はそれぞれ第1焼灼電極31よりも表面積が小さくてもよい。
【0087】
図1に示すように、第1振動子51は、第1焼灼電極31よりも遠位側であってバルーン10の周方向において第1焼灼電極31と重なる位置にあることが好ましい。また、第2振動子52は、第1焼灼電極31よりも近位側であってバルーン10の周方向において第1焼灼電極31と重なる位置にあることが好ましい。このように第1振動子51と第2振動子52を配置することで、第1焼灼電極31と対象組織との接触の程度を把握しやすくなる。
【0088】
バルーン10の周方向において、第1焼灼電極31の中央と重なる位置に第1振動子51と第2振動子52が配置されていることが好ましい。第1焼灼電極31の中央を含むように接触判定エリア55を設定しやすくなるため、対象組織に対する第1焼灼電極31の接触の程度を把握しやすくなる。
【0089】
バルーン10の周方向において、第1振動子51は第2振動子52と重なる位置にあることが好ましく、第1振動子51の中央と第2振動子52の中央が重なる位置にあることがより好ましい。
【0090】
絶縁材20には第1振動子51と第2振動子52以外の振動子が設けられていてもよい。例えば
図4に示すように、カテーテル1は、絶縁材20上に配置されており第2焼灼電極32よりも近位側であってバルーン10の周方向において第2焼灼電極32と重なる位置にある第3超音波振動子53をさらに有することが好ましい。第2振動子52と第3振動子53で第2焼灼電極32を挟むように配置することで、対象組織に対する第2焼灼電極32の接触の程度や焼灼深さを把握することができる。
【0091】
第2焼灼電極32の構成は、焼灼電極30および第1焼灼電極31の説明を参照することができる。
【0092】
バルーン10の周方向において、第2焼灼電極32は第1焼灼電極31と重なる位置にあることが好ましく、第2焼灼電極32の中央は第1焼灼電極31の中央と重なる位置にあることがより好ましい。
【0093】
第3振動子53の構成は、振動子50、第1振動子51および第2振動子52の説明を参照することができる。カテーテル1が第3探触子を有し、第3探触子が第3振動子53を有していてもよい。第3探触子は第3振動子53を含む複数の振動子50を有していてもよい。
【0094】
バルーン10の周方向において、第2振動子52は第3振動子53と重なる位置にあることが好ましく、第2振動子52の中央と第3振動子53の中央が重なる位置にあることがより好ましい。
【0095】
第2振動子52と第3振動子53から発生する超音波の位相は互いにずれていることが好ましい。好ましいずれの範囲については、第1振動子51と第2振動子52の位相ずれの説明を参照することができる。また、第2振動子52と第3振動子53から発生する超音波の波長が同じであり、かつ位相は互いにずれていることが好ましい。
【0096】
図5に示すように、カテーテル1はさらに、絶縁材20上に配置されておりバルーン10の周方向に並んでいる第4超音波振動子54および第5超音波振動子55を有していてもよい。その場合、第1焼灼電極31が、第4超音波振動子54と第5超音波振動子55の間に配置されていることが好ましい。長手軸方向xに加えてバルーン10の周方向にも振動子50が並べられていることにより、バルーン10の周方向において、対象組織に対する第1焼灼電極31の接触の程度や焼灼深さをより一層把握しやすくなる。
【0097】
第4振動子54の構成は、振動子50、第1振動子51、第2振動子52および第3振動子53の説明を参照することができる。カテーテル1が第4探触子と第5探触子を有し、第4探触子が第4振動子54を有し、第5探触子が第5振動子55を有していてもよい。第4探触子は第4振動子54を含む複数の振動子50を有していてもよい。第5探触子は第5振動子55を含む複数の振動子50を有していてもよい。
【0098】
長手軸方向xにおいて、第4振動子54は第5振動子55と重なる位置にあることが好ましく、第4振動子54の中央と第5振動子55の中央が重なる位置にあることが好ましい。
【0099】
長手軸方向xにおいて、第4振動子54は第1振動子51よりも近位側かつ第2振動子52よりも遠位側にあることが好ましい。また、長手軸方向xにおいて、第5振動子55は第1振動子51よりも近位側かつ第2振動子52よりも遠位側にあることが好ましい。
【0100】
長手軸方向xにおける第1振動子51と第2振動子52との間隔は、バルーン10の周方向における第4振動子54と第5振動子55の間隔よりも広くてもよい。また、長手軸方向xにおける第1振動子51と第2振動子52との間隔は、バルーン10の周方向における第4振動子54と第5振動子55の間隔よりも狭くてもよい。
【0101】
第4振動子54と第1振動子51から発生する超音波の位相は同じであってもよく、互いにずれていてもよい。好ましいずれの範囲については、第1振動子51と第2振動子52の位相ずれの説明を参照することができる。
【0102】
振動子50は第2導線(図示せず)に接続されており、第2導線は後述する第1制御部65に接続されていることが好ましい。振動子50を用いて計測された超音波の反射時間等のデータを第1制御部65に送信することができる。第2導線の構成やシャフト2への配置は第1導線の説明を参照することができる。
【0103】
2.バルーンカテーテルシステム
本発明は、バルーンカテーテル1を含むバルーンカテーテルシステム100も提供する。以下では、バルーンカテーテルシステムを単にシステムと称することがある。カテーテル1の構成は、「1.バルーンカテーテル」の説明を参照することができる。
【0104】
図3に示すように、システム100は、カテーテル1と、患者の体表面に設けられ、第1焼灼電極31との間で高周波電流が印加される対極板35と、を有することが好ましい。これにより、第1焼灼電極31をモノポーラ電極として使用することができる。
【0105】
対極板35としては、患者の体表面に貼り付け可能な電極パッドが挙げられる。電極パッドは、例えば、導電層と、導電層上に配される粘着ゲル層またはソリッドゲル層とを有するものとすることができる。対極板35の導電層を構成する材料の説明は、焼灼電極30を構成する材料の説明を参照することができる。
【0106】
対極板35と、第1焼灼電極31または第2焼灼電極32との間で高周波電流が印加されてもよい。すなわち、第1焼灼電極31と第2焼灼電極32の両方をモノポーラ電極として用いてもよい。
【0107】
図6は、
図1に示したカテーテル1を含むシステム100のブロック図である。
図1および
図6に示すように、システム100は、カテーテル1と、第1振動子51と第2振動子52の少なくともいずれかを用いて、第1振動子51から対象組織までの第1距離、第2振動子52から対象組織までの第2距離の少なくともいずれかを取得する距離取得部64と、距離取得部64に接続され、第1距離、第2距離の少なくともいずれかを用いて、第1振動子51と第2振動子52の少なくともいずれかと対象組織が所定の接触をしているか否かを判別する第1制御部65と、を有することが好ましい。第1振動子51と第2振動子52の少なくともいずれかを用いて超音波の反射時間から第1距離や第2距離を測定することで、術者は対象組織と所定の接触をしているか否かを判別することができるため、手技の効率化が図られる。
【0108】
距離取得部64は振動子50に接続され、詳細には少なくとも第1振動子51と第2振動子52を含む複数の振動子50に接続されている。距離取得部64では、振動子50から発信された超音波の反射時間から測定された第1距離や第2距離を取得することができる。
【0109】
第1制御部65は、少なくとも距離取得部64に接続されている。第1制御部65は、第1振動子51と第2振動子52の少なくともいずれかと対象組織との接触状態の判別結果を用いて、第1焼灼電極31と対象組織が所定の接触をしているか否かを判別することが好ましい。これにより、術者は対象組織に対する第1焼灼電極31の接触の程度を把握することができるため、手技の効率化が図られる。
【0110】
図5に示すように、第1制御部65は、焼灼電極30、例えば第1焼灼電極31に接続されていることが好ましい。焼灼が不十分であると判別された部位について、第1制御部65が焼灼電極30、例えば第1焼灼電極31に対して追加の焼灼を行うように指示することが好ましい。
【0111】
第1振動子51と第2振動子52の少なくともいずれかが対象組織に所定の接触をしているか否かを判別するために、システム100はさらに、第1制御部65に接続されており、第1距離と第1基準値、または第2距離と第2基準値との比較を行う処理部66を有していてもよい。
【0112】
第1距離が第1基準値を超える場合または第2距離が第2基準値を超える場合に振動子50が対象組織と接触したと判別することができる。これら基準値としては予め設定された値を用いることができる。第1および第2基準値はそれぞれ同じ値であってもよく、異なる値であってもよい。
【0113】
処理部66で用いられる基準値は、予めシステム100内に格納されていてもよく、記録媒体等によってシステム100に供給されてもよい。
【0114】
図7は、
図4に示したカテーテル1を含むシステム100を示すブロック図である。
図7に示すように、少なくとも第1振動子51と第2振動子52と第3振動子53を有するカテーテル1と、第1振動子51と第2振動子52と第3振動子53の少なくともいずれかを用いて、第1振動子51から対象組織までの第1距離、第2振動子52から対象組織までの第2距離、第3振動子53から対象組織までの第3距離の少なくともいずれか1つを取得する距離取得部64と、距離取得部64に接続され、第1距離、第2距離、第3距離の少なくともいずれか1つを用いて、第1振動子51、第2振動子52、第3振動子53の少なくともいずれか1つと対象組織が所定の接触をしているか否かを判別する第1制御部65と、を有することが好ましい。第1振動子51と第2振動子52と第3振動子53の少なくともいずれかを用いて超音波の反射時間から第1距離、第2距離、または第3距離を測定することで、術者は対象組織と所定の接触をしているか否かを判別することができるため、手技の効率化が図られる。
【0115】
図7に示したシステム100の場合、距離取得部64は、少なくとも第1振動子51と第2振動子52と第3振動子53に接続されている。
【0116】
第1制御部65は、第1振動子51、第2振動子52および第3振動子53と対象組織との接触状態の判別結果を用いて、第1焼灼電極31と対象組織、および第2焼灼電極32と対象組織が所定の接触をしているか否かを判別することが好ましい。これにより、術者は対象組織に対する第1焼灼電極31と第2焼灼電極32の接触の程度や焼灼深さを把握することができる。
【0117】
図8は、
図1に示したカテーテル1を含むシステム100の変形例を示すブロック図である。
図8に示すように、システム100は、カテーテル1と、第1振動子51と第2振動子52の少なくともいずれかを用いて第1焼灼電極31によって焼灼された対象組織の超音波画像を取得する画像取得部67と、画像取得部67に接続され、上記超音波画像から対象組織の焼灼深さを判別する第2制御部68と、を有していてもよい。このシステム100によれば、超音波画像を用いて対象組織の焼灼深さを判別することができるため、手技の効率化が図られる。
【0118】
画像取得部67は振動子50に接続され、詳細には少なくとも第1振動子51と第2振動子52を含む複数の振動子50に接続されている。画像取得部67では振動子50から発信された超音波の反射波の強度を測定し、対象組織の各位置に対応する画像の輝度を、反射強度に応じて濃淡の階調と色の種類の少なくともいずれかで表した超音波画像を取得することができる。
【0119】
図8では、第1振動子51と第2振動子52が設けられる例を示したが、これ以外の一または複数の振動子50を用いて超音波画像を取得してもよい。
【0120】
第2制御部68は、画像取得部67に接続されている。第2制御部68では、画像取得部67で得た超音波画像を用いて対象組織の焼灼深さを判別することができる。例えば、超音波画像のうち所定の基準値よりも濃い部分は焼灼が十分であり、所定の基準値よりも薄い部分は焼灼が不十分であると判別することができる。
【0121】
第2制御部68は処理部66に接続されていてもよい。その場合、超音波画像が所定の基準値よりも濃いか否かを判別するために、処理部66が超音波画像と所定の基準値との比較を行ってもよい。第2制御部68は第1制御部65に接続されていてもよく、第1制御部65が第2制御部68の機能を兼ねていてもよい。
【0122】
図8に示すように、第2制御部68は、焼灼電極30、例えば第1焼灼電極31に接続されていることが好ましい。焼灼が不十分であると判別された部位について、第2制御部68が焼灼電極30、例えば第1焼灼電極31に対して追加の焼灼を行うように指示することが好ましい。
【0123】
システム100が備える少なくともいずれか1つの機能、例えば、距離取得部64、第1制御部65、処理部66、画像取得部67、第2制御部68の機能は、ハードウェアによって実現されてもよいし、ソフトウェアによって実現されてもよい。ハードウェアとしては、LSI(Large Scale Integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の集積回路に形成された論理回路を挙げることができる。
【0124】
システム100は、距離取得部64、第1制御部65、処理部66、画像取得部67、第2制御部68の少なくともいずれか1つの機能を実現するためのソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータを備えていてもよい。コンピュータは、プロセッサと、上記プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を備えていることが好ましい。プロセッサがコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納されたプログラムを実行することによって、上記機能が実現される。プロセッサとしては、CPU(Central Processing Unit)を用いることができる。記録媒体としては、ROM(Read Only Memory)等を用いることができる。また、記録媒体には、RAM(Random Access Memory)を含むこともできる。上記プログラムは、このプログラムを伝送可能な任意の伝送媒体を介して上記コンピュータに供給されてもよい。伝送媒体としては、通信ネットワークや通信回線等が挙げられる。
【符号の説明】
【0125】
1:バルーンカテーテル
2:シャフト
10:バルーン
20:絶縁材
31:第1焼灼電極
32:第2焼灼電極
51:第1超音波振動子
52:第2超音波振動子
53:第3超音波振動子
64:距離取得部
65:第1制御部
66:処理部
67:画像取得部
68:第2制御部
100:バルーンカテーテルシステム