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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023067614
(43)【公開日】2023-05-16
(54)【発明の名称】電源装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/26 20060101AFI20230509BHJP
   H02J 1/00 20060101ALI20230509BHJP
【FI】
G06F1/26 306
H02J1/00 306A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021179019
(22)【出願日】2021-11-01
(71)【出願人】
【識別番号】501428545
【氏名又は名称】株式会社デンソーウェーブ
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100125575
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 洋
(72)【発明者】
【氏名】吉木 昌康
【テーマコード(参考)】
5B011
5G165
【Fターム(参考)】
5B011DA02
5B011DB19
5B011DB27
5B011EA10
5B011FF04
5B011GG01
5B011GG02
5B011GG10
5G165AA03
5G165BB11
5G165DA01
5G165EA01
5G165EA06
5G165FA02
5G165JA02
5G165JA07
5G165LA01
5G165MA09
5G165NA01
5G165NA04
5G165NA06
(57)【要約】
【課題】外部電源から中継部へ入力する電力の仕様を複数仕様から選択可能としつつ、中継部から電力が供給される装置が損傷することを抑制する。
【解決手段】外部電源(21)から入力される電力の仕様が1仕様に決められており、電力を中継して出力する第1中継部(63)と、外部電源(26)から入力される電力の仕様が複数仕様から選択され、電力を中継して出力する第2中継部(73)と、を備え、第1中継部から供給される電力により作動し且つ第2中継部から供給される電力の仕様が所定仕様に決められている所定装置(30、40)、が接続される電源装置(50)であって、第1中継部からの電力により作動した所定装置から、所定仕様を含む情報を取得する情報取得部(65)と、第2中継部へ入力された電力の仕様と、所定仕様とが対応していることを条件として、第2中継部から所定装置へ電力を供給させる電力制御部(65,80)と、を備える。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部電源から入力される電力の仕様が1仕様に決められており、入力された電力を中継して出力する第1中継部と、
外部電源から入力される電力の仕様が複数仕様から選択され、入力された電力を中継して出力する第2中継部と、を備え、
前記第1中継部から供給される電力により作動し且つ前記第2中継部から供給される電力の仕様が所定仕様に決められている所定装置、が接続される電源装置であって、
前記第1中継部から供給された電力により作動した前記所定装置から、前記所定仕様を含む情報を取得する情報取得部と、
前記第2中継部へ入力された電力の仕様と、前記情報取得部により取得された前記情報に含まれる前記所定仕様とが対応していることを条件として、前記第2中継部から前記所定装置へ電力を供給させる電力制御部と、
を備える電源装置。
【請求項2】
前記情報取得部は、前記第1中継部から供給された電力により作動した前記所定装置との通信により前記情報を取得する、請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
外部電源から前記第2中継部へ入力される電力の仕様は、直流電力と前記直流電力の電圧よりも高い電圧の交流電力とから選択される、請求項1又は2に記載の電源装置。
【請求項4】
前記電力制御部は、前記第2中継部へ入力された電力の電圧が、前記情報取得部により取得された前記情報に含まれる前記所定仕様に基づいて設定した比較電圧よりも高い場合に、前記第2中継部から前記所定装置へ電力を供給させることを禁止し、前記第2中継部へ入力された電力の電圧が前記比較電圧よりも低い場合に前記第2中継部から前記所定装置へ電力を供給させる、請求項1~3のいずれか1項に記載の電源装置。
【請求項5】
前記電力制御部は、前記第2中継部へ入力された電力の仕様が交流電力であり、且つ前記情報取得部により取得された前記情報に含まれる前記所定仕様が直流電力である場合に、前記第2中継部から前記所定装置へ電力を供給させることを禁止する、請求項1~3のいずれか1項に記載の電源装置。
【請求項6】
外部電源から前記第1中継部へ入力される電力は、直流電力に決められている、請求項1~5のいずれか1項に記載の電源装置。
【請求項7】
前記第1中継部は、第1バスコネクタを介して電力を出力し、
前記第2中継部は、第2バスコネクタを介して電力を出力する、請求項1~6のいずれか1項に記載の電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部電源から入力した電力を中継して出力する中継部を備える電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の電源装置において、中継部からバスコネクタを介して電力を出力し、バスコネクタに接続されたバスラインから複数の装置へ電力を供給する電源装置がある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-294007号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、外部電源から入力される電力の仕様が1仕様(例えば直流電力)に決められている第1中継部と、外部電源から入力される電力の仕様が複数仕様(例えば直流電力及び交流電力)から選択される第2中継部と、を備える電源装置が考えられる。こうした構成によれば、ユーザは、外部電源から第2中継部へ入力する電力の仕様を選択し、選択した電力の仕様に対応した装置を第2中継部に接続することができる。
【0005】
しかし、外部電源から第2中継部へ入力される電力の仕様と、第2中継部に接続された装置が想定している電力の仕様とが対応していない場合、第2中継部を介して電力が供給される装置が損傷するおそれがある。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その主たる目的は、電源装置において、外部電源から中継部へ入力する電力の仕様を複数仕様から選択可能としつつ、中継部から電力が供給される装置が損傷することを抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための第1の手段は、
外部電源から入力される電力の仕様が1仕様に決められており、入力された電力を中継して出力する第1中継部と、
外部電源から入力される電力の仕様が複数仕様から選択され、入力された電力を中継して出力する第2中継部と、を備え、
前記第1中継部から供給される電力により作動し且つ前記第2中継部から供給される電力の仕様が所定仕様に決められている所定装置、が接続される電源装置であって、
前記第1中継部から供給された電力により作動した前記所定装置から、前記所定仕様を含む情報を取得する情報取得部と、
前記第2中継部へ入力された電力の仕様と、前記情報取得部により取得された前記情報に含まれる前記所定仕様とが対応していることを条件として、前記第2中継部から前記所定装置へ電力を供給させる電力制御部と、
を備える。
【0008】
上記構成によれば、電源装置は、第1中継部と第2中継部とを備えており、前記第2中継部から供給される電力の仕様が所定仕様に決められている所定装置が接続される。第1中継部は、外部電源から入力される電力の仕様が1仕様に決められており、入力された電力を中継して出力する。第2中継部は、外部電源から入力される電力の仕様が複数仕様から選択され、入力された電力を中継して出力する。このため、ユーザは、外部電源から第2中継部へ入力する電力の仕様を選択し、選択した電力の仕様に対応した所定装置を第2中継部に接続することができる。
【0009】
ここで、第1中継部は、外部電源から入力される電力の仕様が1仕様に決められているため、ユーザが第1中継部へ入力する電力の仕様を間違える可能性は低く、前記第1中継部から供給される電力により所定装置を安全に作動させることができる。このため、情報取得部は、前記第1中継部から供給された電力により安全に作動した前記所定装置から、所定仕様を含む情報を取得することができる。
【0010】
電力制御部は、前記第2中継部へ入力された電力の仕様と、前記情報取得部により取得された前記情報に含まれる前記所定仕様とが対応していることを条件として、前記第2中継部から前記所定装置へ電力を供給させる。すなわち、電力制御部は、前記第2中継部へ入力された電力の仕様と、前記情報に含まれる前記所定仕様とが対応している場合は、前記第2中継部から前記所定装置へ電力を供給させる。このため、所定装置は、第2中継部から供給される電力を用いて、安全に処理を実行することができる。一方、電力制御部は、前記第2中継部へ入力された電力の仕様と、前記情報に含まれる前記所定仕様とが対応していない場合は、前記第2中継部から前記所定装置へ電力を供給させない。このため、第2中継部から電力が供給される所定装置が損傷することを抑制することができる。
【0011】
一般に、前記第1中継部から供給された電力により前記所定装置が作動した場合は、電源装置に接続された所定装置と電源装置との通信が可能になる。
【0012】
この点、第2の手段では、前記情報取得部は、前記第1中継部から供給された電力により作動した前記所定装置との通信により前記情報を取得する。こうした構成によれば、電源装置の情報取得部は、所定装置との通信により前記情報を容易に取得することができる。
【0013】
第3の手段では、第1又は第2の手段を前提として、外部電源から前記第2中継部へ入力される電力の仕様は、直流電力と前記直流電力の電圧よりも高い電圧の交流電力とから選択される。こうした構成によれば、直流電力が入力される仕様の所定装置へ、直流電力の電圧よりも高い電圧の交流電力が第2中継部から誤って入力された場合であっても、所定装置が損傷することを抑制することができる。
【0014】
具体的には、第4の手段では、前記電力制御部は、前記第2中継部へ入力された電力の電圧が、前記情報取得部により取得された前記情報に含まれる前記所定仕様に基づいて設定した比較電圧よりも高い場合に、前記第2中継部から前記所定装置へ電力を供給させることを禁止する。こうした構成によれば、第2中継部から所定仕様の電圧が供給されることを想定している所定装置へ、所定仕様の電圧よりも高い電圧が誤って供給された場合であっても、所定装置が損傷することを抑制することができる。
【0015】
具体的には、第5の手段では、前記電力制御部は、前記第2中継部へ入力された電力の仕様が交流電力であり、且つ前記情報取得部により取得された前記情報に含まれる前記所定仕様が直流電力である場合に、前記第2中継部から前記所定装置へ電力を供給させることを禁止する。こうした構成によれば、第2中継部から直流電力が供給されることを想定している所定装置へ、交流電力が誤って供給された場合であっても、所定装置が損傷することを抑制することができる。
【0016】
具体的には、第6の手段のように、外部電源から前記第1中継部へ入力される電力は、直流電力に決められている、といった構成を採用することができる。こうした構成によれば、第1中継部から供給される直流電力により、所定装置を作動させることができる。
【0017】
具体的には、第7の手段では、前記第1中継部は、第1バスコネクタを介して電力を出力し、前記第2中継部は、第2バスコネクタを介して電力を出力する。こうした構成によれば、第1バスコネクタに第1バスラインを接続することにより、第1中継部から第1バスラインに接続された複数の装置へ電力を供給することができる。また、第2バスコネクタに第2バスラインを接続することにより、第2中継部から第2バスラインに接続された複数の装置へ電力を供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】電源装置及びその周辺構成を示す模式図。
図2】第1回路を示す回路図。
図3】第2回路を示す回路図。
図4】接続切替回路を示す回路図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、PLC(Programmable Logic Controller)に接続されるとともに外部電源から入力した電力を中継してモジュールへ出力する電源装置に具現化した一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1に示すように、電源装置50には、PLC10、第1外部電源21、第2外部電源26、及び第1モジュール30が接続されている。さらに、電源装置50には、第1モジュール30を介して第2モジュール40が接続されている。
【0020】
電源装置50に対応した電力の仕様として、第1外部電源21(外部電源)が電源装置50へ入力する電力の仕様は、電圧がDC18~32[V]であり、最大電流が10[A]に決められている。第2外部電源26(外部電源)が電源装置50へ入力する電力の仕様は、電圧がDC18~32[V]又はAC8~240[V]であり、最大電流が10[A]に決められている。
【0021】
第1モジュール30及び第2モジュール40としては、第2外部電源26の電力の仕様に対応したモジュールが接続される必要がある。例えば、第2外部電源26がDC18~32[V]を電源装置50へ入力する場合は、第1モジュール30及び第2モジュール40として、DC電圧に対応したDCモジュールが接続される必要がある。また、第2外部電源26がAC8~240[V]を電源装置50へ入力する場合は、第1モジュール30及び第2モジュール40として、AC電圧に対応したACモジュールが接続される必要がある。
【0022】
PLC10は、CPU11、イーサネット(登録商標)ポート16a等を備えている。
【0023】
電源装置50は、イーサネット(有線ローカルエリア接続)ポート51a、バスライン61a,61b,71a,71b、中継部63,73、通信制御部65、状態表示部75、接続切替回路80等を備えている。イーサネットポート51aは、コネクタ51b及びコネクタ16bを介してPLC10のイーサネットポート16aに接続されている。すなわち、PLCのイーサネットポート16aと電源装置50のイーサネットポート51aとが接続されている。
【0024】
バスライン61a,61b,71a,71bは、電力を供給する電源ラインと、信号を送受信する通信ラインとを含んでいる。第1中継部63及び第2中継部73は、端子接続部、配線、スイッチ等を含んでいる。上述したように、第1中継部63は、第1外部電源21から入力される電力の仕様が、電圧がDC18~32[V](1仕様)であり、最大電流が10[A]に決められている。すなわち、第1外部電源21から第1中継部63へ入力される電力は、直流電力に決められている。第2中継部73は、第2外部電源26から入力される電力の仕様が、電圧がDC18~32[V]又はAC8~240[V](2仕様)であり、最大電流が10[A]に決められている。すなわち、第2外部電源26から第2中継部73へ入力される電力の仕様が複数仕様から選択される。詳しくは、第2外部電源26から第2中継部73へ入力される電力の仕様は、直流電力と直流電力の電圧よりも高い電圧の交流電力とから選択される。第2中継部73において、DC18~32[V]とAC8~240[V]とで端子接続部は共通になっている。
【0025】
バスライン61a,61bの電源ラインは、第1中継部63を介して第1外部電源21に接続されている。すなわち、第1中継部63は、第1外部電源21から入力された電力を中継して出力する。バスライン61a,61bの電源ライン及び通信ラインは、第1中継部63を介して通信制御部65に接続されている。
【0026】
バスライン71a,71bの電源ラインは、第2中継部73を介して第2外部電源26に接続されている。すなわち、第2中継部73は、第2外部電源26から入力された電力を中継して出力する。バスライン71a,71bの電源ラインは、第2中継部73を介して状態表示部75に接続されている。バスライン71a,71bの通信ラインは、第2中継部73を介して通信制御部65に接続されている。
【0027】
状態表示部75は、LED(表示灯)を含んでおり、通信制御部65からの指令に基づいてLEDを点灯する。
【0028】
通信制御部65は、マイコン、通信部、入出力インターフェース等を含んでいる。通信制御部65は、バスライン61aの電源ラインから供給される電力により作動し、中継部63,73、状態表示部75、及び接続切替回路80を制御する。また、通信制御部65は、PLC10からの指令に基づいて、各種処理を実行する。
【0029】
第1モジュール30(所定装置)は、入力ポート31、バスライン32a,32b,33a,33b、第1回路35、第2回路36等を備えている。バスライン32a,32b,33a,33bは、電力を供給する電源ラインと、信号を送受信する通信ラインとを含んでいる。第1モジュール30は、第1中継部63から供給される電力により作動し、通信ラインを介して通信制御部65と通信を実行するとともに、接続された機器への第2中継部73から供給される電力の供給等を実行する。
【0030】
バスライン32a,32b(第1バスライン)の電源ライン及び通信ラインは、入力ポート31、第1バスコネクタ67b、及び電源装置50の第1バスコネクタ67aを介して、電源装置50のバスライン61a,61bの電源ライン及び通信ラインにそれぞれ接続されている。これにより、第1モジュール30は、第1中継部63から供給される電力により作動する。バスライン33a,33b(第2バスライン)の電源ライン及び通信ラインは、入力ポート31、第2バスコネクタ77b、及び電源装置50の第2バスコネクタ77aを介して、電源装置50のバスライン71a,71bの電源ライン及び通信ラインにそれぞれ接続されている。第1モジュール30は、第2中継部73から供給される電力の仕様が、電圧がDC18~32[V]又はAC8~240[V](所定仕様)に決められている。
【0031】
図2に示すように、第1回路35は、電源ライン35a,35b、ヒューズ35c、コンデンサ35d、アバランシェダイオード35e等を含んでいる。電源ライン35aは、バスライン32aの電源ラインの一部を構成している。電源ライン35aには、第1外部電源21からの電圧MP+がヒューズ35cを介して供給される。電源ライン35bは、バスライン32bの電源ラインの一部を構成している。電源ライン35aと電源ライン35bとの間には、コンデンサ35dとアバランシェダイオード35eとが並列に接続されている。
【0032】
図3に、第1モジュール30がDCモジュールである場合の第2回路36を示す。DCモジュールは、第2外部電源26がDC18~32[V]を電源装置50の第2中継部73へ入力する場合に対応したモジュールである。第2回路36は、電源ライン36a,36b、ヒューズ36c,36d、コンデンサ36e、アバランシェダイオード36f等を含んでいる。電源ライン36aは、バスライン33aの電源ラインの一部を構成している。電源ライン36aには、第2外部電源26からの電圧SA+がヒューズ36cを介して供給される。電源ライン36bは、バスライン33bの電源ラインの一部を構成している。電源ライン36bには、ヒューズ36dが設けられている。電源ライン36aと電源ライン36bとの間には、コンデンサ36eとアバランシェダイオード36fとが並列に接続されている。
【0033】
第2モジュール40(所定装置)は、第1モジュール30と同様の構成を備えている。すなわち、第2モジュール40は、入力ポート41、バスライン42a,42b,43a,43b、第1回路45、第2回路46等を備えている。第2モジュール40は、第1中継部63から第1モジュール30を介して供給される電力により作動し、通信ラインを介して通信制御部65と通信を実行するとともに、接続された機器への第2中継部73から供給される電力の供給等を実行する。
【0034】
バスライン42a,42b(第1バスライン)の電源ライン及び通信ラインは、入力ポート41を介して、第1モジュール30のバスライン32a,32bの電源ライン及び通信ラインにそれぞれ接続されている。これにより、第2モジュール40は、第1モジュール30を介して第1中継部63から供給される電力により作動する。バスライン42aの電源ラインとバスライン42bの電源ラインとは、端部48において互いに接続されている。バスライン43a,43b(第2バスライン)の電源ライン及び通信ラインは、入力ポート41を介して、第1モジュール30のバスライン33a,33bの電源ライン及び通信ラインにそれぞれ接続されている。第2モジュール40は、第1モジュール30を介して第2中継部73から供給される電力の仕様が、電圧がDC18~32[V]又はAC8~240[V](所定仕様)に決められている。バスライン43aの電源ラインとバスライン43bの電源ラインとは、端部48において互いに接続されている。
【0035】
第2モジュール40がDCモジュールである場合は、第2回路46は第2回路36と同様の回路である。第2モジュール40がACモジュールである場合は、第2回路46はAC8~240[V]に対応した回路となる。ACモジュールは、第2外部電源26がAC8~240[V]を電源装置50の第2中継部73へ入力する場合に対応したモジュールである。
【0036】
例えば電源装置50の第2中継部73にAC120[V]が入力されている場合に、ユーザが誤って第1モジュール30としてDCモジュールを電源装置50に接続すると以下の問題が生じる。すなわち、図3に示す第2回路36のヒューズ36c,36d及びアバランシェダイオード36fは、電圧SA+としてDC18~32[V]が入力されることを想定している。このため、DC18~32[V]よりも高い電圧のAC120[V]が第2回路36へ入力されると、ヒューズ36c,36d及びアバランシェダイオード36fが損傷するおそれがある。また、第1モジュール30内の回路を介して第1回路35にAC電圧が印加され、図2のヒューズ35cが損傷するおそれがある。
【0037】
そこで、電源装置50は、第2外部電源26から入力された電力を、第1モジュール30へ供給する状態と供給しない状態とに切り替える接続切替回路80を備えている。図4に示すように、接続切替回路80は、電源ライン81a、PチャンネルのMOSFET82、抵抗83,84,86,88,89,91、トランジスタ85、整流回路87、比較器90、Vref用IC92等を備えている。
【0038】
電源ライン81aは、バスライン71aの電源ラインの一部を構成している。電源ライン81aには、第2外部電源26からの電圧SA+が供給される。電源ライン81aは、MOSFET82を介して、第1モジュール30のバスライン33aの電源ラインに接続されている。
【0039】
MOSFET82のソースSは、電源ライン81aに接続されている。MOSFET82のドレインDは、バスライン33aの電源ラインに接続されている。MOSFET82のゲートGは、抵抗83を介して電源ライン81aに接続されている。MOSFET82のゲートGは、抵抗84及びトランジスタ85を介してGNDに接続されている。
【0040】
トランジスタ85のコレクタCは、抵抗84を介してMOSFET82のゲートGに接続されている。トランジスタ85のエミッタEは、GNDに接続されている。トランジスタ85のベースBは、抵抗86を介してGNDに接続されている。
【0041】
整流回路87の入力側は、電源ライン81aに接続されている。整流回路87は、入力された交流電流を直流電流に整流(変換)して出力する。整流回路87の出力側は、抵抗88,89を介してGNDに接続されている。
【0042】
抵抗88と抵抗89との接続点は、比較器90の反転入力端子に接続されている。比較器90の非反転入力端子は、抵抗91を介してGNDに接続されている。比較器90の非反転入力端子と抵抗91との接続点は、Vref用IC92の出力端子に接続されている。
【0043】
Vref用IC92は、通信制御部65からの指令に基づいて、出力端子から比較電圧Vrefを出力する。通信制御部65(情報取得部)は、第1中継部63から供給された電力により作動した各モジュール30,40と、バスライン61a,32a,42aの通信ラインを介して通信を実行する。そして、通信制御部65は、各モジュール30,40の電力の仕様を含む情報を取得する。通信制御部65(電力制御部)は、取得した情報に含まれる各モジュール30,40の電力の仕様に基づいて、比較電圧Vrefを設定する。通信制御部65は、電源装置50に第1モジュール30としてDCモジュールが接続されている場合は、第2外部電源26から入力されるDC電圧の最高値よりも若干高い電圧、例えば35[V]を比較電圧Vrefとして設定する。通信制御部65は、電源装置50に第1モジュール30としてACモジュールが接続されている場合は、第2外部電源26から入力されるAC電圧の最高値よりも若干高い電圧、例えば260[V]を比較電圧Vrefとして設定する。
【0044】
比較器90は、非反転入力端子に入力された比較電圧Vrefが、反転入力端子に入力された電圧よりも高い場合に、電圧Vcc2をトランジスタ85のベースBへ出力する。これにより、トランジスタ85及びMOSFET82がONし、電源ライン81aからバスライン33aの電源ラインへ電力が供給される。一方、比較器90は、非反転入力端子に入力された比較電圧Vrefが、反転入力端子に入力された電圧よりも低い場合には、0[V]をトランジスタ85のベースBへ出力する。これにより、トランジスタ85及びMOSFET82がOFFし、電源ライン81aからバスライン33aの電源ラインへの電力の供給が停止(禁止)される。すなわち、通信制御部65及び比較器90は、第2中継部73へ入力された電力の仕様と、取得した情報に含まれる各モジュール30,40の電力の仕様とが対応していることを条件として、第2中継部73から第1モジュール30及び第2モジュール40へ電力を供給させる。なお、通信制御部65及び比較器90により、電力制御部が構成されている。
【0045】
上記構成を備える電源装置50によれば、第2外部電源26から第2中継部73へDC18~32[V]が入力され、且つモジュール30,40がDCモジュールである場合は、非反転入力端子に入力された比較電圧Vrefが、反転入力端子に入力された電圧よりも高くなる。これにより、比較器90から電圧Vcc2がトランジスタ85のベースBへ出力され、電源ライン81aから第1モジュール30のバスライン33aの電源ラインへ電力が供給される。さらに、バスライン33aの電源ラインから、第2モジュール40のバスライン43aの電源ラインへ電力が供給される。
【0046】
一方、第2外部電源26から第2中継部73へAC120[V]が入力され、且つモジュール30,40の少なくとも一方がDCモジュールである場合は、非反転入力端子に入力された比較電圧Vrefが、反転入力端子に入力された電圧よりも低くなる。これにより、比較器90から0[V]がトランジスタ85のベースBへ出力され、電源ライン81aから第1モジュール30のバスライン33aの電源ラインへの電力の供給が停止(禁止)される。その結果、バスライン33aの電源ラインから、第2モジュール40のバスライン43aの電源ラインへの電力の供給も停止(禁止)される。
【0047】
また、第2外部電源26から第2中継部73へAC120[V]が入力され、且つモジュール30,40がACモジュールである場合は、非反転入力端子に入力された比較電圧Vrefが、反転入力端子に入力された電圧よりも高くなる。これにより、比較器90から電圧Vcc2がトランジスタ85のベースBへ出力され、電源ライン81aから第1モジュール30のバスライン33aの電源ラインへ電力が供給される。さらに、バスライン33aの電源ラインから、第2モジュール40のバスライン43aの電源ラインへ電力が供給される。
【0048】
なお、第2外部電源26から第2中継部73へDC18~32[V]が入力され、且つモジュール30,40がACモジュールである場合は、非反転入力端子に入力された比較電圧Vrefが、反転入力端子に入力された電圧よりも高くなる。これにより、比較器90から電圧Vcc2がトランジスタ85のベースBへ出力され、電源ライン81aから第1モジュール30のバスライン33aの電源ラインへ電力が供給される。さらに、バスライン33aの電源ラインから、第2モジュール40のバスライン43aの電源ラインへ電力が供給される。ただし、この場合は、ACモジュールの第1回路35,45及び第2回路36,46は、AC8~240[V]に対応した回路となっているため、第1回路35,45及び第2回路36,46が損傷するおそれはない。
【0049】
以上詳述した本実施形態は、以下の利点を有する。
【0050】
・電源装置50は、第1中継部63と第2中継部73とを備えており、第2中継部73から供給される電力の仕様が所定仕様に決められているモジュール30,40が接続される。第1中継部63は、第1外部電源21から入力される電力の仕様が1仕様に決められており、入力された電力を中継して出力する。第2中継部73は、第2外部電源26から入力される電力の仕様が複数仕様から選択され、入力された電力を中継して出力する。このため、ユーザは、第2外部電源26から第2中継部73へ入力する電力の仕様を選択し、選択した電力の仕様に対応した第1モジュール30を第2中継部73に接続することができる。
【0051】
・第1中継部63は、第1外部電源21から入力される電力の仕様が1仕様に決められているため、ユーザが第1中継部63へ入力する電力の仕様を間違える可能性は低く、第1中継部63から供給される電力によりモジュール30,40を安全に作動させることができる。このため、通信制御部65は、第1中継部63から供給された電力により安全に作動したモジュール30,40から、所定仕様を含む情報を取得することができる。
【0052】
・通信制御部65及び比較器90は、第2中継部73へ入力された電力の仕様と、通信制御部65により取得された情報に含まれる所定仕様とが対応していることを条件として、第2中継部73からモジュール30,40へ電力を供給させる。すなわち、通信制御部65及び比較器90は、第2中継部73へ入力された電力の仕様と、情報に含まれる所定仕様とが対応している場合は、第2中継部73からモジュール30,40へ電力を供給させる。このため、モジュール30,40は、第2中継部73から供給される電力を用いて、安全に処理を実行することができる。一方、通信制御部65及び比較器90は、第2中継部73へ入力された電力の仕様と、情報に含まれる所定仕様とが対応していない場合は、第2中継部73からモジュール30,40へ電力を供給させない。このため、第2中継部73から電力が供給されるモジュール30,40が損傷することを抑制することができる。
【0053】
・通信制御部65は、第1中継部63から供給された電力により作動したモジュール30,40との通信により情報を取得する。こうした構成によれば、電源装置50の通信制御部65は、モジュール30,40との通信により情報を容易に取得することができる。
【0054】
・第2外部電源26から第2中継部73へ入力される電力の仕様は、直流電力と直流電力の電圧よりも高い電圧の交流電力とから選択される。こうした構成によれば、直流電力が入力される仕様のモジュール30,40へ、直流電力の電圧よりも高い電圧の交流電力が第2中継部73から誤って入力された場合であっても、モジュール30,40が損傷することを抑制することができる。
【0055】
・通信制御部65及び比較器90は、第2中継部73へ入力された電力の電圧が、通信制御部65により取得された情報に含まれる所定仕様に基づいて設定した比較電圧Vrefよりも高い場合に、第2中継部73からモジュール30,40へ電力を供給させることを禁止する。こうした構成によれば、第2中継部73から所定仕様の電圧が供給されることを想定しているモジュール30,40へ、所定仕様の電圧よりも高い電圧が誤って供給された場合であっても、モジュール30,40が損傷することを抑制することができる。
【0056】
・第1外部電源21から第1中継部63へ入力される電力は、直流電力に決められている。こうした構成によれば、第1中継部63から供給される直流電力により、モジュール30,40を作動させることができる。
【0057】
なお、上記実施形態を、以下のように変更して実施することもできる。上記実施形態と同一の部分については、同一の符号を付すことにより説明を省略する。
【0058】
・通信制御部65は、第1中継部63から供給された電力により作動したモジュール30,40との通信に限らず、モジュール30,40の電力の仕様に応じて設定された電圧値(電圧レベル)を入力することにより情報を取得することもできる。
【0059】
・第1外部電源21から第1中継部63へ入力される電力が交流電力(1仕様)に決められており、第1中継部63から供給される交流電力によりモジュール30,40を作動させてもよい。この場合であっても、第1中継部63は、第1外部電源21から入力される電力の仕様が1仕様に決められているため、ユーザが第1中継部63へ入力する電力の仕様を間違える可能性は低く、第1中継部63から供給される電力によりモジュール30,40を安全に作動させることができる。
【0060】
図4の接続切替回路80を、以下のように変更することもできる。すなわち、比較器90及びVref用IC92を省略し、通信制御部65(電力制御部)は、第2中継部73へ入力された電力の電圧を電圧センサ等により検出し、検出した電圧と取得した情報に含まれる所定仕様に基づき設定した閾値との比較に基づいて、トランジスタ85を制御することもできる。
【0061】
・電力制御部は、第2中継部73へ入力された電力の仕様が交流電力であり、且つ通信制御部65により取得された情報に含まれる各モジュール30,40の電力の仕様(所定仕様)の少なくとも1つが直流電力である場合に、第2中継部73からモジュール30,40へ電力を供給させることを禁止してもよい。第2中継部73へ入力された電力の仕様が直流電力か交流電力かは、例えば第2中継部73へ入力された電力の電圧を電圧センサ等により検出して判定することができる。こうした構成によれば、第2中継部73から直流電力が供給されることを想定しているモジュール30,40へ、交流電力が誤って供給された場合であっても、モジュール30,40が損傷することを抑制することができる。また、電力制御部は、第2中継部73へ入力された電力の仕様が直流電力であり、且つ通信制御部65により取得された情報に含まれる各モジュール30,40の電力の仕様(所定仕様)の少なくとも1つが交流電力である場合に、第2中継部73からモジュール30,40へ電力を供給させることを禁止してもよい。こうした構成によれば、第2中継部73へ入力される直流電力の電圧が、第2中継部73へ入力される交流電力の電圧よりも高い場合であっても、モジュール30,40が損傷することを抑制することができる。
【0062】
・第1モジュール30と第2モジュール40との間に、第1モジュール30から第2モジュール40へ供給される電力の仕様が第2モジュール40の電力の仕様に対応していない場合に、第1モジュール30から第2モジュール40への電力の供給を遮断する遮断モジュールを設けることもできる。
【0063】
・PLC10が電源装置50を内蔵することもできる。
【0064】
なお、上記の各変更例を組み合わせて実施することもできる。
【符号の説明】
【0065】
21…第1外部電源(外部電源)、26…第2外部電源(外部電源)、30…第1モジュール(所定装置)、40…第2モジュール(所定装置)、50…電源装置、63…第1中継部、65…通信制御部(情報取得部)、73…第2中継部、80…接続切替回路。
図1
図2
図3
図4