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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023067616
(43)【公開日】2023-05-16
(54)【発明の名称】キノコの毒性判別プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 16/55 20190101AFI20230509BHJP
   G06F 16/583 20190101ALI20230509BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20230509BHJP
【FI】
G06F16/55
G06F16/583
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021179021
(22)【出願日】2021-11-01
(71)【出願人】
【識別番号】519045387
【氏名又は名称】ASSEST株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120868
【弁理士】
【氏名又は名称】安彦 元
(72)【発明者】
【氏名】澤田 綾子
【テーマコード(参考)】
5B175
5L049
【Fターム(参考)】
5B175DA02
5B175DA10
5B175FA01
5B175FA03
5B175FB04
5L049CC11
(57)【要約】
【課題】毒性の有無を人手に頼ることなく高精度かつ自動的に推定する。
【解決手段】キノコの毒性について判別するためのキノコの毒性判別プログラムにおいて、判別対象のキノコが生えている対象に関する対象情報をする情報取得ステップと、過去において取得したキノコが生えている対象に関する参照用対象情報に対する毒性の有無との連関度が規定され、入力を参照用対象情報とし、出力を毒性の有無とした学習済みモデルを利用し、上記情報取得手段により取得された対象情報に応じた参照用対象情報に基づき、毒性の有無を判別する判別ステップとをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キノコの毒性について判別するためのキノコの毒性判別プログラムにおいて、
判別対象のキノコが生えている対象に関する対象情報をする情報取得ステップと、
過去において取得したキノコが生えている対象に関する参照用対象情報に対する毒性の有無との連関度が規定され、入力を参照用対象情報とし、出力を毒性の有無とした学習済みモデルを利用し、上記情報取得手段により取得された対象情報に応じた参照用対象情報に基づき、毒性の有無を判別する判別ステップとをコンピュータに実行させること
を特徴とするキノコの毒性判別プログラム。
【請求項2】
上記情報取得ステップでは、判別対象のキノコを切開した内部を撮像した内部情報を取得し、
上記判別ステップでは、上記参照用対象情報と、過去において取得したキノコを切開した内部を撮像した参照用内部情報とに対する毒性の有無との連関度が規定され、入力を参照用対象情報及び参照用内部情報とし、出力を毒性の有無とした学習済みモデルを利用し、更に上記情報取得手段により取得された内部情報に応じた参照用内部情報に基づき、毒性の有無を判別すること
を特徴とする請求項1記載のキノコの毒性判別プログラム。
【請求項3】
上記情報取得ステップでは、判別対象のキノコの切開時における切開態様に関する切開態様情報を取得し、
上記判別ステップでは、上記参照用対象情報と、過去において取得したキノコの切開時における切開態様に関する参照用切開態様情報とに対する毒性の有無との連関度が規定され、入力を参照用対象情報及び参照用切開態様情報とし、出力を毒性の有無とした学習済みモデルを利用し、更に上記情報取得手段により取得された切開態様情報に応じた参照用切開態様情報に基づき、毒性の有無を判別すること
を特徴とする請求項1記載のキノコの毒性判別プログラム。
【請求項4】
上記情報取得ステップでは、判別対象のキノコの採取の時期に関する時期情報を取得し、
上記判別ステップでは、上記参照用対象情報と、過去において取得したキノコの採取の時期に関する参照用時期情報とに対する毒性の有無との連関度が規定され、入力を参照用対象情報及び参照用時期情報とし、出力を毒性の有無とした学習済みモデルを利用し、更に上記情報取得手段により取得された時期情報に応じた参照用時期情報に基づき、毒性の有無を判別すること
を特徴とする請求項1記載のキノコの毒性判別プログラム。
【請求項5】
上記情報取得ステップでは、判別対象のキノコの弾力を弾力センサにより測定した弾力情報を取得し、
上記判別ステップでは、上記参照用対象情報と、過去において取得したキノコの弾力を弾力センサにより測定した参照用弾力情報とに対する毒性の有無との連関度が規定され、入力を参照用対象情報及び参照用弾力情報とし、出力を毒性の有無とした学習済みモデルを利用し、更に上記情報取得手段により取得された弾力情報に応じた参照用弾力情報に基づき、毒性の有無を判別すること
を特徴とする請求項1記載のキノコの毒性判別プログラム。
【請求項6】
上記情報取得ステップでは、判別対象のキノコを切開した内部を撮像した内部情報を取得し、
上記判別ステップでは、上記学習済みモデルを利用するとともに、更に上記内部情報に基づいて毒性の有無を判別すること
を特徴とする請求項1記載のキノコの毒性判別プログラム。
【請求項7】
上記情報取得ステップでは、判別対象のキノコの外観の画像を撮像することにより抽出したキノコの傘の形状、上記傘の表面の色、上記傘の裏面の形態、上記傘の裏面の色、当該キノコの柄の形状、上記柄の色の何れか1以上からなる外観情報を取得し、
上記判別ステップでは、上記学習済みモデルを利用するとともに、更に上記外観情報に基づいて毒性の有無を判別すること
を特徴とする請求項1記載のキノコの毒性判別プログラム。
【請求項8】
上記連関度は、人工知能におけるニューラルネットワークのノードで構成されること
を特徴とする請求項1~7のうち何れか1項記載のキノコの毒性判別プログラム。
【請求項9】
キノコの種類について判別するためのキノコの種類判別プログラムにおいて、
判別対象のキノコが生えている対象に関する対象情報をする情報取得ステップと、
過去において取得したキノコが生えている対象に関する参照用対象情報に対するキノコの種類との連関度が規定され、入力を参照用対象情報とし、出力をキノコの種類とした学習済みモデルを利用し、上記情報取得手段により取得された対象情報に応じた参照用対象情報に基づき、キノコの種類を判別する判別ステップとをコンピュータに実行させること
を特徴とするキノコの種類判別プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キノコの毒性について判別するためのキノコの毒性判別プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、キノコは、食用として山間部や森林から採取されてきた。キノコの中には毒性を持つ毒キノコがある。誤って毒キノコを採取してしまい、食べてしまうと、最悪の場合には死に至る場合もある。このため、キノコを採取する上では、毒キノコに該当するか否かを注意深く判別する必要がある。
【0003】
しかしながら、このような毒キノコの判別は、専門家であっても誤る場合もすくなからずあり、経験の浅い素人にとっては非常に難しいものとなる。このため、毒キノコを高精度に判別するためのシステムが従来より望まれていたが、未だ案出されていないのが現状であった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、キノコの毒性について人手に頼ることなく高精度かつ自動的に判別することが可能なキノコの毒性判別プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明を適用したキノコの毒性判別プログラムは、キノコの毒性について判別するためのキノコの毒性判別プログラムにおいて、判別対象のキノコが生えている対象に関する対象情報をする情報取得ステップと、過去において取得したキノコが生えている対象に関する参照用対象情報に対する毒性の有無との連関度が規定され、入力を参照用対象情報とし、出力を毒性の有無とした学習済みモデルを利用し、上記情報取得手段により取得された対象情報に応じた参照用対象情報に基づき、毒性の有無を判別する判別ステップとをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
特段のスキルや経験が無くても、誰でも手軽に毒キノコの判別を自動的かつ高精度に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明を適用したシステムの全体構成を示すブロック図である。
図2】探索装置の具体的な構成例を示す図である。
図3】本発明の動作について説明するための図である。
図4】本発明の動作について説明するための図である。
図5】本発明の動作について説明するための図である。
図6】本発明の動作について説明するための図である。
図7】本発明の動作について説明するための図である。
図8】本発明の動作について説明するための図である。
図9】本発明の動作について説明するための図である。
図10】本発明の動作について説明するための図である。
図11】本発明の動作について説明するための図である。
図12】本発明の動作について説明するための図である。
図13】本発明の動作について説明するための図である。
図14】本発明の動作について説明するための図である。
図15】本発明の動作について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を適用したキノコの毒性判別プログラムについて、図面を参照しながら詳細に説明をする。
【0009】
第1実施形態
図1は、本発明を適用したキノコの毒性判別プログラムが実装されるキノコの毒性判別システム1の全体構成を示すブロック図である。キノコの毒性判別システム1は、情報取得部9と、情報取得部9に接続された推定装置2と、推定装置2に接続されたデータベース3とを備えている。
【0010】
情報取得部9は、本システムを活用する者が各種コマンドや情報を入力するためのデバイスであり、具体的にはキーボードやボタン、タッチパネル、マウス、スイッチ等により構成される。情報取得部9は、テキスト情報を入力するためのデバイスに限定されるものではなく、マイクロフォン等のような音声を検知してこれをテキスト情報に変換可能なデバイスで構成されていてもよい。また情報取得部9は、カメラ等の画像を撮影可能な撮像装置として構成されていてもよい。情報取得部9は、紙媒体の書類から文字列を認識できる機能を備えたスキャナで構成されていてもよい。また情報取得部9は、後述する推定装置2と一体化されていてもよい。情報取得部9は、検知した情報を推定装置2へと出力する。また情報取得部9は地図情報をスキャニングすることで位置情報を特定する手段により構成されていてもよい。また情報取得部9は、温度センサ、湿度センサ、風向センサ、を測るための照度センサで構成されていてもよい。また情報取得部9は、天候についてのデータを気象庁や民間の天気予報会社から取得する通信インターフェースで構成されていてもよい。また情報取得部9は身体に装着して身体のデータを検出するための身体センサで構成されていてもよく、この身体センサは、例えば体温、心拍数、血圧、歩数、歩く速度、加速度を検出するためのセンサで構成されていてもよい。また情報取得部9は図面等の情報をスキャニングしたり、或いはデータベースから読み出すことで取得するデバイスとして構成されていてもよい。情報取得部9は、これら以外に臭気や香りを検知する臭気センサにより構成されていてもよい。
【0011】
データベース3は、キノコの毒性判別を行う上で必要な様々な情報が蓄積される。
【0012】
つまり、データベース3には、後述する参照用情報の何れか1以上と、毒性の有無が互いに紐づけられて記憶されている。なお、データベース3にこのような学習データを記憶する代わりに、判別装置2や情報取得部9側に学習データを記憶させるようにしてもよい。即ち、判別装置2や情報取得部9をいわゆるエッジデバイスとし、このエッジデバイスに、人工知能を搭載し、学習データを蓄積させて推論を行うようにしてもよい。
【0013】
推定装置2は、例えば、パーソナルコンピュータ(PC)等を始めとした電子機器で構成されているが、PC以外に、携帯電話、スマートフォン、タブレット型端末、ウェアラブル端末等、他のあらゆる電子機器で具現化されるものであってもよい。ユーザは、この推定装置2による探索解を得ることができる。
【0014】
図2は、推定装置2の具体的な構成例を示している。この推定装置2は、推定装置2全体を制御するための制御部24と、操作ボタンやキーボード等を介して各種制御用の指令を入力するための操作部25と、有線通信又は無線通信を行うための通信部26と、各種判断を行う推定部27と、ハードディスク等に代表され、実行すべき検索を行うためのプログラムを格納するための記憶部28とが内部バス21にそれぞれ接続されている。さらに、この内部バス21には、実際に情報を表示するモニタとしての表示部23が接続されている。
【0015】
制御部24は、内部バス21を介して制御信号を送信することにより、推定装置2内に実装された各構成要素を制御するためのいわゆる中央制御ユニットである。また、この制御部24は、操作部25を介した操作に応じて各種制御用の指令を内部バス21を介して伝達する。
【0016】
操作部25は、キーボードやタッチパネルにより具現化され、プログラムを実行するための実行命令がユーザから入力される。この操作部25は、上記実行命令がユーザから入力された場合には、これを制御部24に通知する。この通知を受けた制御部24は、推定部27を始め、各構成要素と協調させて所望の処理動作を実行していくこととなる。この操作部25は、前述した情報取得部9として具現化されるものであってもよい。
【0017】
推定部27は、探索解を推定する。この推定部27は、推定動作を実行するに当たり、必要な情報として記憶部28に記憶されている各種情報や、データベース3に記憶されている各種情報を読み出す。この推定部27は、人工知能により制御されるものであってもよい。この人工知能はいかなる周知の人工知能技術に基づくものであってもよい。
【0018】
表示部23は、制御部24による制御に基づいて表示画像を作り出すグラフィックコントローラにより構成されている。この表示部23は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)等によって実現される。
【0019】
記憶部28は、ハードディスクで構成される場合において、制御部24による制御に基づき、各アドレスに対して所定の情報が書き込まれるとともに、必要に応じてこれが読み出される。また、この記憶部28には、本発明を実行するためのプログラムが格納されている。このプログラムは制御部24により読み出されて実行されることになる。
【0020】
上述した構成からなるキノコの毒性判別システム1における動作について説明をする。
【0021】
キノコの毒性判別システム1は、このような毒性の有無を検査するものである。ここでいう毒性の有無は、キノコについて毒性があるか否かに加え、キノコの毒性の度合がどの程度のものかを示すものであってもよい。また、判別対象となるキノコの種類は、あらゆる種類のキノコが含まれる。
【0022】
キノコの毒性判別システム1は、例えば図3に示すように、参照用外観情報と、毒性の有無との3段階以上の連関度が予め設定されていることが前提となる。参照用外観情報とは、過去において取得したキノコの外観の画像を撮像することにより抽出したキノコの傘の形状、上記傘の表面の色、上記傘の裏面の形態、上記傘の裏面の色、当該キノコの柄の形状、上記柄の色の何れか1以上からなる情報であるが、これらに限定されるものではなく、他のいかなるキノコの外観に関する情報で構成されていてもよい。他のキノコの外観の例としては、キノコの傘の裏面に形成されたヒダの形状や間隔等で構成されるものであってもよい。このような参照用外観情報は、キノコの外観の画像を撮像することで抽出されることを前提とするものである。かかる場合には、キノコの外観の画像を画像解析することで上述した各種ファクターを抽出するようにしてもよい。かかる場合には、以前において学習させた特徴量に基づいて判別するようにしてもよい。このとき、人工知能を活用し、画像データと、キノコの傘の形状、上記傘の表面の色、上記傘の裏面の形態、上記傘の裏面の色、当該キノコの柄の形状、上記柄の色の何れかとを学習させておき、実際に参照用外観情報を取得する際には、これらの学習済みデータを利用し、画像データからキノコの傘の形状、上記傘の表面の色、上記傘の裏面の形態、上記傘の裏面の色、当該キノコの柄の形状、上記柄の色の何れかを抽出することで参照用外観情報を得るようにしてもよい。
【0023】
かかる場合には、キノコの画像データとキノコの傘の形状、上記傘の表面の色、上記傘の裏面の形態、上記傘の裏面の色、当該キノコの柄の形状、上記柄の色の何れかとを教師データとして機械学習された予想モデルを用い、入力を画像データとし、出力をキノコの傘の形状、上記傘の表面の色、上記傘の裏面の形態、上記傘の裏面の色、当該キノコの柄の形状、上記柄の色の何れかとする。
【0024】
キノコの外観について、キノコを撮像することにより得られた外観から得られるものであり、外観情報を解析することで得ることができる。参照用外観情報は、キノコの外観を構成する画像から抽出されるものであればいかなるものも含まれるが、より具体的にはその画像から色、輝き、状態等を抽出したものであってもよい。この画像は静止画のみならず動画であってもよい。また、この画像は可視光で構成されるが画像ではなく、スペクトルに応じて表示色を切り替えたいわゆるスペクトル画像で構成されていてもよい。この参照用外観情報は、キノコについて撮像した画像を解析することで、キノコの大きさ、形状、色の何れかに基づいて、キノコの外観を特定するようにしてもよい。またこの参照用外観情報は、キノコについて撮像した超音波画像で構成してもよい。
【0025】
このような参照用外観情報と、毒性の有無からなるデータセットを取得しておき、これを学習させる。
【0026】
図3の例では、入力データとして例えば参照用外観情報P01~P03であるものとする。このような入力データとしての参照用外観情報P01~P03は、出力としての毒性の有無に連結している。この出力においては、出力解としての、毒性の有無が表示されている。
【0027】
参照用外観情報は、この出力解としての毒性の有無A~Dに対して3段階以上の連関度を通じて互いに連関しあっている。毒性の有無は、そのキノコが同一種類のキノコであると仮定した場合に、例えば毒性の有無Aは、毒性あり、毒性の有無Bは、毒性なし、の毒性の有無で示してもよいが、これ以外に、毒性の有無Cは、毒性〇〇%、毒性の有無Dは、毒性▲▲%等、毒性の程度で示されるものであってもよい。参照用外観情報がこの連関度を介して左側に配列し、各毒性の有無が連関度を介して右側に配列している。連関度は、左側に配列された参照用外観情報に対して、何れの毒性の有無と関連性が高いかの度合いを示すものである。換言すれば、この連関度は、各参照用外観情報が、いかなる毒性の有無に紐付けられる可能性が高いかを示す指標であり、参照用外観情報から最も確からしい毒性の有無を選択する上での的確性を示すものである。図3の例では、連関度としてw13~w19が示されている。このw13~w19は以下の表1に示すように10段階で示されており、10点に近いほど、中間ノードとしての各組み合わせが出力としての毒性の有無と互いに関連度合いが高いことを示しており、逆に1点に近いほど中間ノードとしての各組み合わせが出力としての値段と互いに関連度合いが低いことを示している。
【0028】
【表1】
【0029】
推定装置2は、このような図3に示す3段階以上の連関度w13~w19を予め取得しておく。つまり推定装置2は、実際の探索解の判別を行う上で、参照用外観情報と、その場合の毒性の有無の何れが採用、評価されたか、過去のデータセットを蓄積しておき、これらを分析、解析することで図3に示す連関度を作り上げておく。
【0030】
例えば、参照用外観情報がαであるものとする。このような参照用外観情報に対する毒性の有無としては毒性の有無Aが多く評価されたものとする。このようなデータセットを集めて分析することにより、参照用外観情報との連関度が強くなる。
【0031】
この分析、解析は人工知能により行うようにしてもよい。かかる場合には、例えば参照用外観情報P01である場合に、過去の毒性の有無の評価を行った結果の各種データから分析する。こ参照用外観情報P01である場合に、毒性の有無Aの事例が多い場合には、この毒性の有無の評価につながる連関度をより高く設定し、毒性の有無Bの事例が多い場合には、この毒性の有無の評価につながる連関度をより高く設定する。例えば参照用外観情報P01の例では、毒性の有無Aと、毒性の有無Cにリンクしているが、以前の事例から毒性の有無Aにつながるw13の連関度を7点に、毒性の有無Cにつながるw14の連関度を2点に設定している。
【0032】
また、この連関度は、図4に示すように、人工知能におけるニューラルネットワークのノードで構成されるものであってもよい。即ち、このニューラルネットワークのノードが出力に対する重み付け係数が、上述した連関度に対応することとなる。またニューラルネットワークに限らず、人工知能を構成するあらゆる意思決定因子で構成されるものであってもよい。
【0033】
このような連関度が、人工知能でいうところの学習済みデータとなる。このような学習済みデータを、以前の評価対象のキノコの外観の画像等と実際に推定・評価した毒性の有無とのデータセットを通じて作った後に、実際にこれから新たに毒性の有無の判別を行う上で、上述した学習済みデータを利用して毒性の有無を探索することとなる。学習データを作る際のキノコの毒性のデータは、専門家による意見をもらう等して、得るようにしてもよい。
【0034】
新たに毒性判別を行う場合には、判別対象のキノコについて外観情報を新たに取得する。新たに取得する外観情報は、上述した情報取得部9により入力される。外観情報は、毒性の有無を判別しようとするキノコを撮像することで取得する。画像からこの外観情報の得る方法は、上述した参照用外観情報を得る場合と同様の手法で行うようにしてもよい。
【0035】
このようにして新たに取得した外観情報に基づいて、毒性の有無を判別する。かかる場合には、予め取得した図3(表1)に示す連関度を参照する。例えば、新たに取得した外観情報がP02と同一かこれに類似するものである場合には、連関度を介して毒性の有無Bがw15、毒性の有無Cが連関度w16で関連付けられている。かかる場合には、連関度の最も高い毒性の有無Bを最適解として選択する。但し、最も連関度の高いものを最適解として選択することは必須ではなく、連関度は低いものの連関性そのものは認められる毒性の有無Cを最適解として選択するようにしてもよい。また、これ以外に矢印が繋がっていない出力解を選択してもよいことは勿論であり、連関度に基づくものであれば、その他いかなる優先順位で選択されるものであってもよい。なお、連関度は3段階以上のものを利用する場合に限定されるものではなく、2段階の連関性、即ち、1か0か、関係があるか否かを示すもので構成されるものであってもよい。かかる場合には、入力側の参照用外観情報と、出力側の毒性の有無とが互いに紐付けられたテーブルを参照するようにしてもよい。そしてある外観情報が入力された場合、これに対応する参照用外観情報に紐付けられた毒性の有無を出力することとなる。
【0036】
このようにして、新たに取得する外観情報から、最も好適な毒性の有無を探索し、推定表示することができる。
【0037】
なお、この図3において、参照用外観情報の代替として、過去において取得したキノコを切開した内部を撮像した参照用内部情報と、毒性の有無との3段階以上の連関度を予め学習させるようにしてもよい。切開した内部とは、キノコの柄、又は傘の部分を引き裂いたり、割ったり、ちぎったり、切断する等して切開したキノコの内部をカメラにより撮像下した画像データで構成される。このような参照用内部情報と、毒性の有無との3段階以上の連関度を予め学習させるようにしてもよい。この参照用内部情報を取得する際においても、切開したキノコの内部のヒダや形状、色等を画像解析することで抽出するようにしてもよい。かかる場合には、以前において学習させた特徴量に基づいて判別するようにしてもよい。このとき、人工知能を活用し、キノコ内部の画像データと、これらのファクターの何れかとを学習させておき、実際に参照用内部情報を取得する際には、これらの学習済みデータを利用し、画像データからキノコのヒダや形状、色等を抽出するようにしてもよい。このとき、画像データは、いわゆるスペクトルカメラを利用して撮像した、波長ごとに色彩が分類されたスペクトル画像を利用するようにしてもよい。
【0038】
このようにして得られた参照用内部情報を構成し、また撮像したキノコについての実際の毒性の有無を取得することで上述と同様にデータセットを得て、図5に示すような連関度を形成しておく。次に実際に毒性の有無を推定したいキノコを切開した内部について撮像することで内部情報を取得する。この内部情報の取得方法は、上述した参照用内部情報の取得方法と同様である。次に、図5に示す連関度を参照し、同様に毒性の有無を探索することができる。
【0039】
なお本発明によれば、参照用外観情報と、毒性の有無との3段階以上の連関度を予め学習させ、その連関度を利用して毒性の有無を探索する場合に限定されるものではない。つまり外観情報と、毒性の有無は、3段階以上の連関度ではなく、2段階以上の連関性に基づいていればよい。2段階以上の連関性とは、各参照用外観情報に、いかなる毒性の有無が紐づいているか否かを示すものであってもよい。
【0040】
例えば、参照用外観情報G11は、毒性があり、参照用外観情報G12は、毒性の有無が可能性が50%普通、参照用外観情報G13は、毒性なし悪い等のように参照用外観情報と毒性の有無が1対1で紐付けられている。このような紐付けをテンプレートや表にしたデータを予め準備しておくようにしてもよい。そして、実際に参照用外観情報に応じた外観情報を取得した場合には、そのテンプレートや表を参照し、これに対応する毒性の有無を出力するようにしてもよい。即ち、外観情報に応じた参照用外観情報に基づいて毒性の有無を取得することが可能となる。
【0041】
同様に、参照用内部情報と、毒性の有無との3段階以上の連関度を予め学習させ、その連関度を利用して毒性の有無を探索する場合に限定されるものではない。つまり内部情報と、毒性の有無は、3段階以上の連関度ではなく、2段階以上の連関性に基づいていればよい。2段階以上の連関性とは、各参照用表面情報に、いかなる毒性の有無が紐づいているか否かを示すものであってもよい。
【0042】
図6の例では、参照用外観情報と、他の参照用情報との他の参照用情報組み合わせが形成されていることが前提となる。他の参照用情報とは、参照用内部情報、参照用対象情報、参照用切開態様情報、参照用時期情報、参照用弾力情報等が含まれる。
【0043】
参照用対象情報、対象情報とは、そのキノコが生えている対象を示す情報である。通常キノコは、木に生える場合が多いが、その生えている木の種類、木の品種、類、名前を示すものである。また、その木が生育している場所や地域に関する情報も含められていてもよい。また参照用対象情報は、実際にキノコが木に生えているのであれば、木のいかなる部位(枝、根本、幹、葉)に生えているかを示す情報が含められていてもよい。枯れ木に生えているのであれば、その枯れ木の状態や、枯れ木の種類、枯れ木の周囲の情報が参照用対象情報、対象情報に含められていてもよい。また、キノコは土から生えている場合もあることから、その土の土壌成分、土がある場所や地域に関する情報が、この参照用対象情報、対象情報に含められていてもよい。このような参照用対象情報、対象情報を取得する上で、キノコが生えている対象をカメラにより撮像し、これを画像解析することで抽出するようにしてもよい。かかる場合には、以前において学習させた特徴量に基づいて判別するようにしてもよい。このとき、人工知能を活用し、画像データと、上述した参照用対象情報、対象情報を構成するもの(木の種類、木の品種、木の部位、枯れ木の状態や、枯れ木の種類等)とを学習させておき、実際に参照用対象情報、対象情報を取得する際には、これらの学習済みデータを利用し、画像データから抽出するようにしてもよい。
【0044】
参照用切開態様情報は、キノコの切開時における切開態様に関する情報である。キノコの切開方法は、キノコの柄、又は傘の部分を引き裂いたり、割ったり、ちぎったり、切断する等、いかなる方法であってもよい。このようにしてキノコを切開した場合において、切開した部分の形状や色、割れ方等が参照用切開態様情報、切開態様情報となる。この参照用切開態様情報、切開態様情報は、例えば切開後の破面の画像で構成されていてもよい。かかる場合には、以前において学習させた特徴量に基づいて判別するようにしてもよい。このとき、人工知能を活用し、画像データと、上述した参照用対象情報を構成する破面の特徴的な部分とを学習させておき、実際に参照用切開態様情報、切開態様情報を取得する際には、これらの学習済みデータを利用し、画像データから抽出するようにしてもよい。
【0045】
参照用時期情報、時期情報は、判別を行う時期に関する情報である。この判別を行う時期は、季節単位、月単位、週単位といった大まかなものから、日単位、時間、分、秒単位等まで細分化されるものであってもよい。キノコによっては、判別の時期によってその毒性の有無に影響する場合もあることから、これを参照用情報として含めている。
【0046】
参照用弾力情報、弾力情報は、キノコを押圧したときの弾力を測定した測定値に基づくものである。キノコの弾力は、対象物の弾力を計測するための弾力センサを介して計測されたものであってもよい。このようなキノコの弾力もキノコの種類判別に影響を及ぼすファクターであることから、これを組み合わせ、連関度を通じてキノコの種類を判別することで、判別精度を向上させることができる。
【0047】
図6の例では、入力データとして例えば参照用外観情報P01~P03、他の参照用情報P14~17であるものとする。このような入力データとしての、参照用外観情報に対して、他の参照用情報が組み合わさったものが、図6に示す中間ノードである。各中間ノードは、更に出力に連結している。この出力においては、出力解としての、毒性の有無が表示されている。
【0048】
参照用外観情報と他の参照用情報との各組み合わせ(中間ノード)は、この出力解としての、毒性の有無に対して3段階以上の連関度を通じて互いに連関しあっている。参照用外観情報と他の参照用情報がこの連関度を介して左側に配列し、毒性の有無が連関度を介して右側に配列している。連関度は、左側に配列された参照用外観情報と他の参照用情報に対して、毒性の有無と関連性が高いかの度合いを示すものである。換言すれば、この連関度は、各参照用外観情報と他の参照用情報が、いかなる毒性の有無に紐付けられる可能性が高いかを示す指標であり、参照用外観情報と他の参照用情報から最も確からしい毒性の有無を選択する上での的確性を示すものである。このため、これらの参照用外観情報と他の参照用情報の組み合わせで、最適な毒性の有無を探索していくこととなる。
【0049】
図6の例では、連関度としてw13~w22が示されている。このw13~w22は表1に示すように10段階で示されており、10点に近いほど、中間ノードとしての各組み合わせが出力と互いに関連度合いが高いことを示しており、逆に1点に近いほど中間ノードとしての各組み合わせが出力と互いに関連度合いが低いことを示している。
【0050】
推定装置2は、このような図6に示す3段階以上の連関度w13~w22を予め取得しておく。つまり推定装置2は、実際の探索解の判別を行う上で、参照用外観情報と他の参照用情報、並びにその場合の毒性の有無が何れが見合うものであったか、過去のデータを蓄積しておき、これらを分析、解析することで図6に示す連関度を作り上げておく。
【0051】
例えば、過去にあった実際の事例における参照用外観情報がαであるものとする。また他の参照用情報が、ある参照用時期情報である、時期Wであるものとする。かかる場合に、実際にその毒性の有無がいくらであったかを示す毒性の有無をデータセットとして学習させ、上述した連関度という形で定義しておく。なお、このような参照用外観情報や、他の参照用情報は、業者等が管理する管理データベースから抽出するようにしてもよい。
【0052】
この分析、解析は人工知能により行うようにしてもよい。かかる場合には、例えば参照用外観情報P01で、他の参照用情報P16である場合に、その毒性の有無を過去のデータから分析する。毒性の有無がAの事例が多い場合には、この健全度Aにつながる連関度をより高く設定し、毒性の有無Bの事例が多く、毒性の有無Aの事例が少ない場合には、毒性の有無Bにつながる連関度を高くし、毒性の有無Aにつながる連関度を低く設定する。例えば中間ノード61aの例では、毒性の有無Aと健全度Bの出力にリンクしているが、以前の事例から毒性の有無Aにつながるw13の連関度を7点に、毒性の有無Bにつながるw14の連関度を2点に設定している。
【0053】
また、この図6に示す連関度は、人工知能におけるニューラルネットワークのノードで構成されるものであってもよい。即ち、このニューラルネットワークのノードが出力に対する重み付け係数が、上述した連関度に対応することとなる。またニューラルネットワークに限らず、人工知能を構成するあらゆる意思決定因子で構成されるものであってもよい。
【0054】
図6に示す連関度の例で、ノード61bは、参照用外観情報P01に対して、他の参照用情報P14の組み合わせのノードであり、毒性の有無Cの連関度がw15、毒性の有無Eの連関度がw16となっている。ノード61cは、参照用外観情報P02に対して、参照用位置情報P15、P17の組み合わせのノードであり、毒性の有無Bの連関度がw17、毒性の有無Dの連関度がw18となっている。
【0055】
このような連関度が、人工知能でいうところの学習済みデータとなる。このような学習済みデータを作った後に、実際にこれから毒性の有無を判別する際において、上述した学習済みデータを利用して行うこととなる。かかる場合には、実際に外観情報と、参照用情報に応じた情報とを取得する。参照用情報に応じた情報とは、例えば参照用情報が参照用内部情報であれば、判別対象のキノコの内部情報に相当する。参照用対象情報であれば、判別対象のキノコの対象情報に相当する。参照用切開態様情報であれば、判別対象のキノコの切開態様情報に相当する。参照用時期情報であれば、判別時の時期情報に相当する。参照用弾力情報であれば、判別対象のキノコの弾力情報に相当する。
【0056】
このようにして新たに取得した外観情報、参照用情報に応じた情報に基づいて、最適な毒性の有無を探索する。かかる場合には、予め取得した図6(表1)に示す連関度を参照する。例えば、新たに取得した外観情報がP02と同一かこれに類似するものである場合であって、参照用情報に応じた情報がP17である場合には、連関度を介してノード61dが関連付けられており、このノード61dは、毒性の有無Cがw19、毒性の有無Dが連関度w20で関連付けられている。かかる場合には、連関度の最も高い毒性の有無Cを最適解として選択する。但し、最も連関度の高いものを最適解として選択することは必須ではなく、連関度は低いものの連関性そのものは認められる毒性の有無Dを最適解として選択するようにしてもよい。また、これ以外に矢印が繋がっていない出力解を選択してもよいことは勿論であり、連関度に基づくものであれば、その他いかなる優先順位で選択されるものであってもよい。
【0057】
また、入力から伸びている連関度w1~w12の例を以下の表2に示す。
【0058】
【表2】
【0059】
この入力から伸びている連関度w1~w12に基づいて中間ノード61が選択されていてもよい。つまり連関度w1~w12が大きいほど、中間ノード61の選択における重みづけを重くしてもよい。しかし、この連関度w1~w12は何れも同じ値としてもよく、中間ノード61の選択における重みづけは何れも全て同一とされていてもよい。
【0060】
なお、上述した図6の例では、参照用外観情報と、他の参照用情報との組み合わせに対する毒性の有無に関する連関度を適用する場合を例にとり説明をしたが、これに限定されるものではなく、上述した参照用内部情報と他の参照用情報との組み合わせに対する毒性の有無に関する連関度を形成するものであってもよい。かかる場合における毒性の有無キノコの毒性判別方法は、上述と同様であるため、以下での説明を省略する。
【0061】
上述した連関度においては、10段階評価で連関度を表現しているが、これに限定されるものではなく、3段階以上の連関度で表現されていればよく、逆に3段階以上であれば100段階でも1000段階でも構わない。一方、この連関度は、2段階、つまり互いに連関しているか否か、1又は0の何れかで表現されるものは含まれない。
【0062】
上述した構成からなる本発明によれば、特段のスキルや経験が無くても、誰でも手軽に毒性の有無の探索を行うことができる。また本発明によれば、この探索解の判断を、人間が行うよりも高精度に行うことが可能となる。更に、上述した連関度を人工知能(ニューラルネットワーク等)で構成することにより、これを学習させることでその判別精度を更に向上させることが可能となる。
【0063】
なお、上述した入力データ、及び出力データは、学習させる過程で完全に同一のものが存在しない場合も多々あることから、これらの入力データと出力データを類型別に分類した情報であってもよい。つまり、入力データを構成する情報P01、P02、・・・・P15、16、・・・は、その情報の内容に応じて予めシステム側又はユーザ側において分類した基準で分類し、その分類した入力データと出力データとの間でデータセットを作り、学習させるようにしてもよい。
【0064】
なお、上述した連関度では、参照用外観情報又は参照用内部情報の代替として参照用画像情報を、キノコの毒性の有無との間で学習させるようにしてもよい。参照用画像情報、画像情報とは、キノコを撮像した画像そのものである。参照用外観情報又は参照用内部情報のように画像解析を施すことなく、画像そのものからでも同様に解探索を行うことができる。
【0065】
また、本発明では、探索解としてキノコの毒性の有無の代替として、キノコの種類そのものを学習させるようにしてもよい。即ち、キノコの毒性の有無に関係なく、キノコの種類を判別する。かかる場合には、上述した参照用情報とキノコの種類からなるデータセットを学習させることで同様に解探索を行うことができる。学習データを作る際においてキノコの種類は専門家や当業者に鑑定、判別してもらうことで得るようにしてもよい。
【0066】
なお、上述した連関度では、参照用外観情報又は参照用内部情報に加え、上述した各参照用情報の何れかとの組み合わせで構成されている場合を例にとり説明をしたが、これに限定されるものではない。つまり連関度は、参照用外観情報又は参照用内部情報に加え、上述した各参照用情報の何れか2以上との組み合わせで構成されていてもよい。また連関度は、参照用外観情報又は参照用内部情報に加え、上述した各参照用情報の何れか1以上に加え、他のファクターがこの組み合わせに加わって連関度が形成されていてもよい。
【0067】
また、本発明によれば、3段階以上に設定されている連関度を介して最適な解探索を行う点に特徴がある。連関度は、上述した10段階以外に、例えば0~100%までの数値で記述することができるが、これに限定されるものではなく3段階以上の数値で記述できるものであればいかなる段階で構成されていてもよい。
【0068】
このような3段階以上の数値で表される連関度に基づいて最も確からしい毒性の有無を判別することで、探索解の可能性の候補として複数考えられる状況下において、当該連関度の高い順に探索して表示することも可能となる。このように連関度の高い順にユーザに表示できれば、より確からしい探索解を優先的に表示することも可能となる。
【0069】
これに加えて、本発明によれば、連関度が1%のような極めて低い出力の判別結果も見逃すことなく判断することができる。連関度が極めて低い判別結果であっても僅かな兆候として繋がっているものであり、何十回、何百回に一度は、その判別結果として役に立つ場合もあることをユーザに対して注意喚起することができる。
【0070】
更に本発明によれば、このような3段階以上の連関度に基づいて探索を行うことにより、閾値の設定の仕方で、探索方針を決めることができるメリットがある。閾値を低くすれば、上述した連関度が1%のものであっても漏れなく拾うことができる反面、より適切な判別結果を好適に検出できる可能性が低く、ノイズを沢山拾ってしまう場合もある。一方、閾値を高くすれば、最適な探索解を高確率で検出できる可能性が高い反面、通常は連関度は低くてスルーされるものの何十回、何百回に一度は出てくる好適な解を見落としてしまう場合もある。いずれに重きを置くかは、ユーザ側、システム側の考え方に基づいて決めることが可能となるが、このような重点を置くポイントを選ぶ自由度を高くすることが可能となる。
【0071】
更に本発明では、上述した連関度を更新させるようにしてもよい。この更新は、例えばインターネットを始めとした公衆通信網を介して提供された情報を反映させるようにしてもよい。また参照用外観情報、参照用表面情報、他の参照用情報を取得し、これらに対する毒性の有無、改善施策に関する知見、情報、データを取得した場合、これらに応じて連関度を上昇させ、或いは下降させる。
【0072】
つまり、この更新は、人工知能でいうところの学習に相当する。新たなデータを取得し、これを学習済みデータに反映させることを行っているため、学習行為といえるものである。
【0073】
また、この連関度の更新は、公衆通信網から取得可能な情報に基づく場合以外に、専門家による研究データや論文、学会発表や、新聞記事、書籍等の内容に基づいてシステム側又はユーザ側が人為的に、又は自動的に更新するようにしてもよい。これらの更新処理においては人工知能を活用するようにしてもよい。
【0074】
また学習済モデルを最初に作り上げる過程、及び上述した更新は、教師あり学習のみならず、教師なし学習、ディープラーニング、強化学習等を用いるようにしてもよい。教師なし学習の場合には、入力データと出力データのデータセットを読み込ませて学習させる代わりに、入力データに相当する情報を読み込ませて学習させ、そこから出力データに関連する連関度を自己形成させるようにしてもよい。
【0075】
なお図3に示す連関度が、人工知能におけるニューラルネットワークのノードで構成されるものである場合には、入力データとして参照用外観情報が入力され、出力データとして毒性の有無が出力され、入力ノードと出力ノードの間に少なくとも1以上の隠れ層が設けられ、機械学習させるようにしてもよい。
【0076】
また本発明は、図7に示すように参照用情報Uと参照用情報Vという2種類以上の情報の組み合わせの連関度に基づいて毒性の有無を判別するものである。この参照用外観情報Uが参照用外観情報又は参照用表面情報であり、参照用情報Vが他の参照用情報の何れかであるものとする。
【0077】
このとき、図7に示すように、参照用情報Uについて得られた出力をそのまま入力データとして、参照用情報Vとの組み合わせの中間ノード61を介して出力(毒性の有無)と関連付けられていてもよい。例えば、参照用情報U(参照用外観情報)について、図3に示すように出力解を出した後、これをそのまま入力として、他の参照用情報Vとの間での連関度を利用し、出力(毒性の有無)を探索するようにしてもよい。
【0078】
また、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものでは無く、例えば図8に示すように、基調となる参照用情報と、毒性の有無との3段階以上の連関度を利用するようにしてもよい。かかる場合には、新たに取得した情報に応じた毒性の有無との3段階以上の連関度に基づき、解探索を行うことになる。基調となる参照用情報は、上述した参照用外観情報又は参照用内部情報以外に、上述したいかなる参照用情報も適用可能である。
【0079】
これらの場合も同様に、学習用データとして用いられた参照用情報に応じた情報が入力された場合に、上述した方法に基づいて解探索が行われることとなる。
【0080】
連関度を通じて求められる探索解は、更に、他の参照用情報に基づいて修正され、或いは重み付けを変化させるようにしてもよい。
【0081】
ここでいう他の参照用情報とは、上述した参照用情報の何れかを基調となる参照用情報とした場合、当該基調となる参照用情報以外のいかなる参照用情報に該当する。
【0082】
例えば、他の参照用情報の一つとして、ある参照用切開態様情報P14において、以前において毒性の有無としてBが判別される経緯が多かったものとする。このような参照用切開態様情報P14に応じた毒性の有無を新たに取得したとき、毒性の有無の探索解Bに対して、重み付けを上げる処理を行い、換言すれば毒性の有無の探索解Bにつながるようにする処理を行うように予め設定しておく。
【0083】
例えば、他の参照用情報Gが、より毒性の有無の探索解Cを示唆するような分析結果であり、参照用情報Fが、より毒性の有無の探索解Dを示唆するような分析結果であるものとする。このように参照用情報との間での設定の後、実際に取得した情報が参照用情報Gと同一又は類似する場合には、毒性の有無の探索解Cの重み付けを上げる処理を行う。これに対して、実際に取得した情報が参照用情報Fと同一又は類似する場合には、毒性の有無の探索解Dの重み付けを上げる処理を行う。つまり、毒性の有無につながる連関度そのものを、この参照用情報F~Hに基づいてコントロールするようにしてもよい。或いは、毒性の有無を上述した連関度のみで決定した後、この求めた探索解に対して参照用情報F~Hに基づいて修正を加えるようにしてもよい。後者の場合において、参照用情報F~Hに基づいてどのように探索解としての毒性の有無にいかなるウェートで修正を加えるかは、都度システム側において設計したものを反映させることとなる。
【0084】
また他の参照用情報は、何れか1種で構成される場合に限定されるものではなく、2種以上の参照用情報に基づいて解探索するようにしてもよい。かかる場合も同様に、参照用情報の示唆する毒性の有無につながるケースほど、連関度を介して求められた探索解としての当該判別類型をより高く修正するようにしてもよい。
【0085】
同様に、図9に示すように、基調となる参照用情報と、他の参照用情報とを有する組み合わせに対する、毒性の有無との連関度を形成する場合においても、基調となる参照用情報は、いかなる参照用情報も適用可能である。他の参照用情報は、基調となる参照用情報以外のいかなる参照用情報が含まれる。
【0086】
このとき、基調となる参照用情報が、参照用対象情報であれば、他の参照用情報としては、これ以外のいかなる参照用情報が含まれる。
【0087】
かかる場合も同様に解探索を行うことで、劣化度合を推定することができる。このとき、上述した図8に示すように、連関度を通じて得られた探索解に対して、更なる他の参照用情報(参照用情報F、G、H等)を通じて、劣化度合を修正するようにしてもよい。
【0088】
このとき、他の参照用情報が1のみならず、2以上組み合わさるようにして連関度が学習されるものであってもよい。
【0089】
また、図10に示すように基調となる参照用情報のみと、毒性の有無との間で連関度が形成されるものであってもよい。この基調となる参照用情報は、いかなる参照用情報も適用可能である。この図10の解探索方法は、図3の説明を引用することで以下での説明を省略する。
【0090】
第2実施形態
第2実施形態においては、判別装置2、又はこの判別装置2及び情報取得部9をウェアラブル端末の中でも特に眼鏡型端末、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)を利用するものである。このHMDは、ユーザの頭部又は眼鏡に一体又は部分的に装着され、拡張現実(AR:Augmented Reality)或いは複合現実(MR:Mixed Reality)といった技術を利用し、取得した各種の映像情報に基づいて生成された情報を透過状態で表示する表示部を備える。ユーザは、表示すべき情報をHMD上において透過して表示する表示部を介して、視認し、理解することができる。これによりユーザは、目の前の状況を見つつ、取得された各種の映像情報に基づいて生成された情報や各種コンテンツを合わせて確認することが可能となる。
【0091】
このため、本発明においては、例えば、外観情報や表面情報をこのHMDに実装された情報取得部9を介して取得する。そして、HMD内において実装された判別装置2により解探索を行い、得られた探索解(毒性の有無)を、表示部を介して透過状態で表示するようにしてもよい。
【0092】
このような第2実施形態において学習用データとして学習させる参照用外観情報や、参照用内部情報、参照用対象情報を始めとする基調となる参照用情報は、実際にHMD等を始めとする眼鏡型端末で撮像したものであってもよいが、これに限定されるものではなく、通常のデジタルカメラやスマートフォン等で撮像したものであってもよい。
【0093】
また、この参照用外観情報、参照用内部情報、参照用対象情報を実際に得る上で、キノコのいかなる部位を撮像しているかを紐づけるようにしてもよい。
【0094】
例えば参照用外観情報を得る上で、毒性の有無を評価する熟練のベテランの鑑定者や当業者が、キノコのいかなる部位を見ているかを検出する。仮にベテラン鑑定者が、キノコの底面の部位を中心に視認しているか、或いはキノコの斜め上の部位を中心に視認しているか、或いはキノコの側面の部位を中心に視認しているのかを検出する。
【0095】
この検出は、例えばベテラン鑑定者に眼鏡型端末を装着させて実際にキノコに近づいて確認する作業を行わせ、その間において眼鏡型端末に実装されている情報取得部9を介して随時ベテラン鑑定者が視認している方向の画像を撮像し続ける。そして、事後的にその録画した画像を解析し、或いは画像を再生することにより、実際にベテラン鑑定者がキノコの外観情報や表面情報を介して毒性の有無を評価する作業を行う上で、キノコのいかなる部位を視認しているかを検知することが可能となる。
【0096】
かかる場合において、図11に示すように、眼鏡型端末で撮像された動画像を時系列的に並べた場合に、キノコ柄の画像(P1)、キノコの傘の裏面の画像(P2)、傘の裏面の拡大画像(P3)、傘の表面の画像(P4)であったものとする。このようにして時系列的に得られた画像から、撮像対象部位情報を検出するようにしてもよい。ここでいう撮像対象部位情報とは、眼鏡型端末で撮像された画像がキノコのいかなる部位を撮像しているかに関する情報である。この撮像対象部位情報は、図11に示すように、柄、傘の裏面、傘の裏面等のように実際に撮像している部位の名称で構成されていてもよいし、当該部位を特定するための記号や数値、番号等で表現されるものであってもよい。また撮影対象部位情報は、例えば、撮影が拡大画像であるか縮小画像であるか否か、また撮影する際の撮影方向や画角等の情報も盛り込むようにしてもよい。対象情報、参照用対象情報の場合、撮像対象部位情報は、木の幹、枯れ木、枝、葉等になる。
【0097】
この撮影対象部位情報の取得は、撮影対象となる部位を都度人間が判別して手入力してもよいが、取得した画像を周知の画像解析技術を利用することで得るようにしてもよい。この撮影対象部位情報の取得は、以前において学習させた特徴量に基づいて判別するようにしてもよい。例えばキノコの柄、傘の裏面、傘の裏面等の各部の画像を、ディープラーニング技術を利用して、人工知能を通じて抽出することで判別するようにしてもよい。かかる場合には、参照用外観情報に含まれるキノコの部位と、撮像対象部位情報とを教師データとして用い、入力を参照用外観情報とし、出力を撮像対象部位情報とした機械学習モデルを利用する。そして、新たにユーザ端末を介して撮像された参照用外観情報に基づいて撮像対象部位情報を取得する。また、撮影対象部位情報の取得は、これ以外に、HMDや眼鏡型端末において搭載されている、アイトラッキング機能を利用して検出した視線の方向、加速度センサやジャイロセンサを利用して検出した頭部の向き、操作デバイスやハンドトラッキング機能を利用したユーザの手の動き等を介して、撮影対象部位情報を取得するようにしてもよい。
【0098】
このようにして得られた撮影対象部位情報を上述した各画像P1~P4等と紐付けて記録しておくことにより、各画像P1~P4がキノコのいかなる部位を撮像した画像であるかをセットで取得することができる。仮にベテランの鑑定者からこのような参照用外観情報を構成する画像P1~P4と、撮影対象部位情報を取得することで、ベテランの鑑定者が実際にキノコの検査を行う上でいかなる部位をいかなる順番で確認しているのか、また拡大画像であるか否か、また撮影角度等のような撮影環境も取得することができる。参照用表面情報についても同様に撮影対象部位情報を取得して、これを紐付けて記録しておくことが可能となる。
【0099】
第2実施形態においては、撮影対象部位情報を活用することで、実際の解探索時の利便性を高めることができる。上述した学習データを予め構築した上で、HMDを装着したユーザが本発明を実施する場合、探索解(毒性の有無等)の探索は、上述した第1実施形態において説明した方法に基づいて実行する。このとき、HMDを装着したユーザが自ら視認しているキノコについて撮像した外観情報、内部情報、対象情報を取得する過程で、同様に撮影対象部位情報を得るようにしてもよい。外観情報、表面情報からこの撮影対象部位情報を取得する方法としては、上述したように学習させた特徴量に基づいて判別するようにしてもよく、例えば外観情報中のキノコの柄、傘の裏面、傘の裏面等のキノコの各部の画像を、ディープラーニング技術を利用して、人工知能を通じて抽出することで判別するようにしてもよい。かかる場合には、外観情報に含まれるキノコの部位と、撮像対象部位情報とを教師データとして用い、入力を外観情報とし、出力を撮像対象部位情報とした機械学習モデルを利用する。そして、新たにユーザ端末を介して撮像された外観情報に基づいて撮像対象部位情報を取得する。表面情報からも同様に撮像対象部位情報を取得することができる。
【0100】
以下、外観情報、内部情報等を始めとする情報から取得した撮影対象部位情報を第1撮影対象部位情報ともいい、参照用外観情報、参照用表面情報等を始めとする参照用情報から取得した撮影対象部位情報を第2撮影対象部位情報ともいう。
【0101】
外観情報、表面情報を取得する過程で、このような第1撮影対象部位情報を都度取得することで以下に説明する優れた効果がある。撮像した外観情報の第1撮影対象部位情報と、参照用外観情報の第2撮影対象部位情報が一致しているかを都度確認することが可能となる。撮像した外観情報の第1撮影対象部位情報と、参照用外観情報の第2撮影対象部位情報が不一致の場合には、HMDの表示部を介してユーザに注意喚起の表示をすることができる。
【0102】
例えば、撮像した外観情報の第1撮影対象部位情報が“柄”であり、これに対応させるための参照用外観情報の第2撮影対象部位情報が“傘の裏面”である場合には、HMDを装着するユーザが外観情報を撮影するキノコの部位が誤った部位を撮影していることとなる。かかる場合には、上述のように注意喚起をすることで正しい部位に撮影対象を合わせることをユーザに促すことが可能となる。また、参照用外観情報に紐付けられた第2撮影対象部位情報が、傘の裏面を拡大して視認するものであるのに対して、外観情報に紐付けられた第1撮影対象部位情報が同じ傘の裏面の画像であるが拡大して視認していない場合には、同様にユーザに対して、画像を拡大して視認するように促すことが可能となる。
【0103】
このようにして、撮像した外観情報の第1撮影対象部位情報と、参照用外観情報の第2撮影対象部位情報との一致度、又は撮像した表面情報の撮影対象部位情報と、参照用表面情報の撮影対象部位情報との一致度を介して、HMDを装着したユーザに対して、実際に外観情報、表面情報の撮影方法について様々な示唆を行い、又は様々な修正を促すことが可能となる。このとき、このような示唆や修正の促進を、HMDや眼鏡型端末の表示部を介して透過状態で表示する、上述したARやMRを実現するようにしてもよい。なお、この撮影方法についての示唆は、第1撮像対象部位情報と、第2撮像対象部位情報とに基づいたものであればいかなる示唆を表示するものであってもよい。
【0104】
なお、上述した図11の例においてキノコについて複数箇所を順次撮影対象を切り替える場合を例にとり説明をしたが、これに限定されるものではなく、参照用外観情報等が1箇所のキノコについて得られたものである場合においても同様に撮影対象部位情報を取得して紐付けておくことで、実際に外観情報等を取得するユーザに対して上述した誘導を行うことが可能となる。
【0105】
なお本発明は、図12に示すように、参照用外観情報又は参照用内部情報、参照用対象情報、参照用切開態様情報等と、毒性の有無との3段階以上の連関度を上記キノコの部位毎に予め取得するようにしてもよい。かかる場合には、柄や傘等のキノコの各部位毎に、独立して参照用外観情報又は参照用表面情報、参照用内部情報、参照用対象情報、参照用切開態様情報等と、毒性の有無との連関度を学習させて保存しておく。
【0106】
そして、取得した第1撮影対象部位情報に応じたキノコの部位の連関度を読み出し、上述と同様に解探索する。仮に第1撮影対象部位情報がキノコの柄であれば、その柄用の連関度からなる評価モデルを選択し、キノコの毒性判別を行う。これにより、キノコの部位毎に特化した評価モデルを選択することができ、より高精度なキノコの毒性判別を行うことができる。
【0107】
なお、本発明は、図13に示すように、連関度を上述したようにキノコの各部位について構築するとともに、その連関度を他の参照用情報毎に分類されていてもよい。ここでいう他の参照用情報とは、第1実施形態において説明したあらゆる参照用情報が含まれる。このうち、参照用種類情報に着目した場合、例えば図13に示すように、他の参照用情報Aとして、キノコについてそれぞれ柄用、傘の表面用、傘の裏面用等のキノコの各部位毎の連関度が形成されており、他の参照用情報Bとしてキノコについてそれぞれ柄用、傘の表面用、傘の裏面用等のキノコの各部位毎の連関度が形成されている。このような各参照用情報毎に分類された、各部位毎の連関度を準備しておく。そして、新たに解探索を行う場合には、上述した撮影対象部位情報を取得すると共に、他の情報を取得する。この取得する他の情報とは、上述した他の参照用情報に対応したものである。仮に他の参照用情報が、参照用時期情報であれば、時期情報を取得することになる。取得した他の情報に応じた参照用情報におけるキノコの部位毎に分類された評価モデルを選択し、同様に解探索を行う。上述した図13の例の場合、取得したものが他の情報B(時期情報B)である場合、これに応じた他の参照用情報B(参照用時期情報B)におけるキノコの部位毎に分類された何れかの評価モデルを選択し解探索することとなる。
【0108】
なお、キノコの各部位について構築する連関度は、上述した参照用時期情報毎に構築する場合以外に、他のいかなる参照用情報毎に構築してもよい。かかる場合も同様に参照用情報に応じた情報を取得し、取得した情報に応じて連関度を選択することとなる。
【0109】
なお本発明は、図14に示すように、参照用外観情報又は参照用内部情報等と、毒性の有無との3段階以上の連関度をモデル選択情報毎に予め取得するようにしてもよい。ここでいうモデル選択情報とは、第1実施形態において説明した参照用情報としての、参照用外観情報に応じた外観情報、参照用内部情報に応じた内部情報、参照用対象情報に応じた対象情報、参照用切開態様情報に応じた切開態様情報、参照用時期情報に応じた時期情報、参照用弾力情報に応じた弾力情報に相当する。これらの情報の詳細は、第1実施形態の説明を引用することにより、以下での説明は省略する。モデル選択情報は、この第1実施形態において説明した外観情報、内部情報、対象情報、切開態様情報、時期情報、弾力情報等のうち何れか1種から選択され、選択されたモデル選択情報の内訳(選択情報1、2、3、・・・)毎に独立して参照用外観情報又は参照用内部情報、参照用切開態様情報、参照用対象情報等と毒性の有無との連関度を学習させて保存しておく。モデル選択情報が時期情報であれば、選択情報1として時期〇〇、選択情報2として時期▲▲、選択情報3として時期◇◇等が挙げられ、これらの選択情報毎に連関度が設けられている。
【0110】
そして、推定時には、推定対象のキノコにおけるモデル選択情報を取得する。そして、取得したモデル選択情報に応じたキノコの選択情報1、2、3、・・・の何れかの連関度を読み出し、上述と同様に解探索する。仮にモデル選択情報が選択情報2であれば、その選択情報2用の連関度からなる評価モデルを選択し、キノコの毒性判別を行う。これにより、キノコの選択情報に特化した評価モデルを選択することができ、より高精度な推定を行うことができる。
【0111】
なお、本発明は、図15に示すように、連関度を上述したように選択情報1、2、3、・・・について構築するとともに、その連関度を他の参照用情報毎に分類されていてもよい。ここでいう他の参照用情報とは、第1実施形態において説明したあらゆる参照用情報が含まれる。このうち、参照用弾力情報に着目した場合、例えば図15に示すように、他の参照用情報Aとして、弾力〇〇についてそれぞれ選択情報1、2、3、・・・用毎の連関度が形成されており、他の参照用情報Bとして弾力▲▲についてそれぞれ選択情報1、2、3、・・・用毎の連関度が形成されている。このような各参照用情報毎に分類された連関度を準備しておく。そして、新たに解探索を行う場合には、上述したモデル選択情報を取得すると共に、モデル選択情報以外の他の情報を取得する。この取得する他の情報とは、上述した他の参照用情報に対応したものである。仮に他の参照用情報が、参照用弾力情報であれば、弾力情報を取得することになる。取得した他の情報に応じた参照用情報における選択情報1、2、3、・・・毎に分類された評価モデルを選択し、同様に解探索を行う。上述した図15の例の場合、取得したものが他の情報B(弾力情報B)である場合、これに応じた他の参照用情報B(参照用弾力情報B)における選択情報1、2、3、・・・毎に分類された何れかの評価モデルを選択し解探索することとなる。
【0112】
なお、各モデル選択情報について構築する連関度は、上述した参照用弾力情報毎に構築する場合以外に、他のいかなる参照用情報毎に構築してもよい。かかる場合も同様に参照用情報に応じた情報を取得し、取得した情報に応じて連関度を選択することとなる。
【符号の説明】
【0113】
1 キノコの毒性判別システム
2 推定装置
21 内部バス
23 表示部
24 制御部
25 操作部
26 通信部
27 推定部
28 記憶部
61 ノード
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