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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023067621
(43)【公開日】2023-05-16
(54)【発明の名称】トランス
(51)【国際特許分類】
   H01F 30/10 20060101AFI20230509BHJP
【FI】
H01F30/10 C
H01F30/10 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021179027
(22)【出願日】2021-11-01
(71)【出願人】
【識別番号】000002037
【氏名又は名称】新電元工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002697
【氏名又は名称】めぶき弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100104709
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 誠剛
(72)【発明者】
【氏名】比留間 義明
(57)【要約】      (修正有)
【課題】小型化及び低損失化を実現するトランスを提供する。
【解決手段】トランス1は、所定の方向に延在する第1磁脚11と、第1磁脚11と平行に延在する第2磁脚12及び第3磁脚13とを有するコア10と、第1磁脚11に巻回される一次巻線20と、第2磁脚12及び第3磁脚13に巻回される二次巻線30と、を備える。二次巻線30は、第2磁脚12に巻回される第1の二次巻線31と、第3磁脚13に巻回される第2の二次巻線32とを有し、第1の二次巻線31と第2の二次巻線32とは接続されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の方向に延在する第1磁脚と、前記第1磁脚と平行に延在する第2磁脚及び第3磁脚とを有するコアと、
前記第1磁脚に巻回される一次巻線と、
前記第2磁脚及び前記第3磁脚に巻回される二次巻線とを備え、
前記二次巻線は、
前記第2磁脚に巻回される第1の二次巻線と、
前記第3磁脚に巻回される第2の二次巻線とを有し、
前記第1の二次巻線と前記第2の二次巻線が接続されていることを特徴とするトランス。
【請求項2】
前記第1の二次巻線と前記第2の二次巻線が並列に接続されていることを特徴とする請求項1に記載のトランス。
【請求項3】
前記トランスは、第1の二次側接続部、第2の二次側接続部及び第3の二次側接続部をさらに備え、
前記第2磁脚に巻回される前記第1の二次巻線と前記第3磁脚に巻回される前記第2の二次巻線とを並列に接続し、一方端が第1の二次側接続部と接続され、他方端が前記第2の二次側接続部と接続された第1巻線と、
前記第2磁脚に巻回される第3の二次巻線と前記第3磁脚に巻回される第4の二次巻線とを並列に接続し、一方端が前記第2の二次側接続部と接続され、他方端が前記第3の二次側接続部と接続された第2巻線とを備えることを特徴とする請求項2に記載のトランス。
【請求項4】
前記トランスは、2つの二次側接続部をさらに備えることを特徴とする請求項2に記載のトランス。
【請求項5】
前記第1磁脚のから前記第2磁脚の中央部に向かう方向と、前記第1磁脚の中央部から前記第3磁脚の中央部に向かう方向とのなす角は、180°よりも小さいことを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載のトランス。
【請求項6】
前記第1磁脚の中央部から前記第2磁脚の中央部に向かう方向と、前記第1磁脚の中央部から前記第3磁脚の中央部に向かう方向とのなす角は、鋭角又は直角であることを特徴とする請求項5に記載のトランス。
【請求項7】
前記コアは、前記第1磁脚、前記第2磁脚及び前記第3磁脚の一方端及び他方端にそれぞれ配置され、前記第1磁脚と前記第2磁脚とを磁気的に連結するとともに、前記第1磁脚と前記第3磁脚とを磁気的に連結する継鉄部をさらに有し、
前記継鉄部の形状は、前記第1磁脚が延在する方向から見て、V字形状であることを特徴とする請求項5又は6に記載のトランス。
【請求項8】
前記コアは、前記第1磁脚、前記第2磁脚及び前記第3磁脚の一方端及び他方端にそれぞれ配置され、前記第1磁脚と前記第2磁脚とを磁気的に連結するとともに、前記第1磁脚と前記第3磁脚とを磁気的に連結する継鉄部を有し、
前記継鉄部の形状は、前記第1磁脚が延在する方向から見て、台形形状又は三角形形状であることを特徴とする請求項5又は6に記載のトランス。
【請求項9】
前記第1磁脚が延在する方向から見て、前記一次巻線と前記二次巻線とは互いに重なる領域を有することを特徴とする請求項1~8のいずれかに記載のトランス。
【請求項10】
前記二次巻線は、前記第2磁脚及び前記第3磁脚をそれぞれ同じ数ずつ巻回することを特徴とする請求項1~9のいずれかに記載のトランス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トランスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、3本の磁脚を有するトランスが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図12は、従来のトランス900を示す断面図である。従来のトランス900は、図12に示すように、コア910と、一次巻線920と、二次巻線930とを備える。コア910は、中央磁脚911と、中央磁脚911を挟んで対向した位置に配置され、中央磁脚911と平行に延在する2本の外側磁脚912,913と、中央磁脚911及び2本の外側磁脚912,913の一方端及び他方端にそれぞれ配置された2つの継鉄部914,915(914は図示せず)とを有する。一次巻線920及び二次巻線930はどちらも、中央磁脚911に巻回される。従来のトランス900は、センタータップ式のトランスとなっており、二次巻線930は、二次側接続部T1とT2との間で1ターン巻回され、二次側接続部T2とT3との間で1ターン巻回されている。従来のトランス900は、例えば、DC-DCコンバータ等のスイッチング電源で用いられる。
【0004】
このようなトランスにおいては、高電圧の一次側と低電圧の二次側との電圧比の関係から、一次巻線と二次巻線との巻線比が定まる。一般的に、DC-DCコンバータなどのスイッチング電源においては、一次側が400V、二次側が12Vとなっており、一次側の交流電圧の上限及び下限や損失等を考慮して、一次巻線と二次巻線の巻線比は、例えば12:1となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開2018/051390
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで近年、トランスの小型化及び低損失化が求められている。このようなトランスの小型化及び低損失化を実現する手段の一つに、交流電圧を高周波化する方法が知られている。この方法を行うことにより、巻線比を変更することはできないものの、一次巻線及び二次巻線の巻数を減らすことができる(例えば、一次巻線:二次巻線=10:2の場合、高周波化することで一次巻線:二次巻線=5:1とすることができる。)。
【0007】
しかしながら、従来のトランス900において、一次巻線920と二次巻線930との巻線比は例えば12:1となっており、二次巻線930の巻数が最小巻数である1ターンであるため、高周波化しても二次巻線の巻数を減らすことができない。従って、一次巻線の巻数を減らすことができず、一次巻線の配線長を短くすることが難しいことから、一次巻線の交流抵抗(インピーダンス)を低減することができない。従って、低損失化をすることが難しい、という事情がある。
また、巻線を巻回するスペースを小さくすることが難しいことから、トランスを小型化することが難しい、という事情もある。
【0008】
なお、高周波化すると、コア断面積を小さくすることができる、という効果を得ることができるが、コア断面積と一次巻線の巻数との関係でコアに生成される磁束(磁束密度)が決定されることから、コンバータの変換効率を維持しようとすると、単にコア断面積を小さくすることには限界がある、という事情もある。
【0009】
そこで本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであり、小型化及び低損失化を実現することが可能なトランスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のトランスは、所定の方向に延在する第1磁脚と、前記第1磁脚と平行に延在する第2磁脚及び第3磁脚とを有するコアと、前記第1磁脚に巻回される一次巻線と、前記第2磁脚及び前記第3磁脚に巻回される二次巻線とを備えるトランスであって、前記二次巻線は、前記第2磁脚に巻回される第1の二次巻線と、前記第3磁脚に巻回される第2の二次巻線とを有し、前記第1の二次巻線と前記第2の二次巻線が接続されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明のトランスによれば、所定の方向に延在する第1磁脚と、第1磁脚と平行に延在する第2磁脚及び第3磁脚とを有するコアと、第2磁脚及び第3磁脚に巻回される二次巻線とを備え、二次巻線は、第2磁脚に巻回される第1の二次巻線と、第3磁脚に巻回される第2の二次巻線とを有するため、第1の二次巻線を貫く磁束、及び、第2の二次巻線を貫く磁束をそれぞれ、一次巻線によって生成される磁束の例えば半分とすることができ、電磁気学上の二次巻線の最小巻数を、二次巻線を第1磁脚に巻回した場合の例えば半分とすることができる(二次巻線を第1磁脚に巻回した場合の二次巻線の巻数を1ターンとすれば、二次巻線を第2磁脚及び第3磁脚に巻回した場合、電磁気学上の二次巻線の巻数を0.5ターンとすることができる。)。従って、交流電圧を高周波化して、二次巻線の巻数を減らすことができ、一次巻線の巻数を減らすことができることから、一次巻線の配線長を短くすることができ、一次巻線の交流抵抗(インピーダンス)を低減することができる。その結果、一次巻線に流れる電流の損失を低減することができ、低損失のトランスを実現することができる。
また、巻線を巻回するスペースを小さくすることができることから、トランスの小型化を実現することができる。
また、高周波化すると、コア断面積を小さくすることができる、という効果を得ることができるため、トランスの投影面積を小さくすることができ、トランスの小型化を実現することができる。そして、トランスを小型化することにより、一次巻線及び二次巻線の1ターンに必要な配線長も短くなり、より一層損失低損失のトランスとなる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態1に係るトランス1を用いるスイッチング電源100を示す回路図である。
図2】実施形態1に係るトランス1を説明するために示す図である。図2(a)は一次側から見たトランス1の斜視図を示し、図2(b)は二次側から見たトランス1の斜視図を示し、図2(c)はトランス1の断面図を示し、図2(d)は二次側(第2磁脚12及び第3磁脚13側)から見たトランス1の側面図を示し、図2(e)はコア10における上側の継鉄部14の図示を省略した斜視図を示す。
図3】実施形態1に係るトランス1の巻線の様子を説明するために示す図である。図3(a)はトランス1の等価回路を示し、図3(b)は二次巻線30の配線の様子及び磁束の様子を示す図であり、図3(c)は二次巻線30の斜視図である。なお、図3(b)においては、簡略化して第1巻線35を実線で示し、第2巻線36を破線で示している(図5図6図7(f)及び図9において同じ)。また、図3(b)において、符号Φは一次巻線20によって生成された磁束を示す(図7(f)において同じ)。
図4】実施形態2に係るトランス2を示す断面図である。
図5】実施形態3に係るトランス3を示す模式的な断面図である。
図6】実施形態4に係るトランス4を示す模式的な断面図である。
図7】実施形態5に係るトランス5を示す図である。図7(a)は一次側から見たトランス1の斜視図を示し、図7(b)は二次側から見たトランス1の斜視図を示し、図7(c)はトランス1の断面図を示し、図7(d)は二次側から見たトランス1の側面図を示し、図7(e)はトランス1の等価回路を示し、図7(f)は一次巻線20及び二次巻線30aの配線の様子を示す。
図8】実施形態6に係るトランス6を示す断面図である。
図9】実施形態7に係るトランス7を示す模式的な断面図である。
図10】変形例1におけるコア10bを説明するために示す斜視図である。
図11】変形例2に係るトランス8を示す断面図である。
図12】従来のトランス900を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明のトランスについて、図に示す実施形態に基づいて説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている諸要素及びその組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0014】
[実施形態1]
1.実施形態1に係るトランス1の構成
図1は、実施形態1に係るトランス1を用いるスイッチング電源100を示す回路図である。スイッチング電源100は、高周波インバータ部110と、実施形態1に係るトランス1と、整流部120とCRスナバ部130と、入力コンデンサC1と、リップル除去用のインダクタ140とを備える。スイッチング電源100は、図示しない外部電源から入力された交流を、図示しない一次側整流部で整流して直流電圧とし、入力コンデンサC1で平滑した後、高周波インバータ部110で例えば400Vの交流電圧に変換する。高周波インバータ部110で変換された交流電圧は、トランス1で降圧され、例えば12Vの交流電圧に変換される。そして、整流部120及び図示しない出力コンデンサで整流及び平滑され、12Vの直流電圧を出力する。なお、CRスナバ部130は、スイッチング電源100内のノイズを低減する。また、インダクタ140は、リップル成分を除去する。
【0015】
図2は、実施形態1に係るトランス1を示す図である。図3は、実施形態1に係るトランス1の巻線の様子を説明するために示す図である。実施形態1に係るトランス1は、図2及び図3に示すように、コア10と、一次巻線20と、二次巻線30と、二次巻線30の一方端と接続される第1の二次側接続部T1と、二次巻線30の他方端と接続される第3の二次側接続部T3と、二次巻線30のセンタータップである第2の二次側接続部T2とを備える。
【0016】
コア10は、第1磁脚11と、第2磁脚12と、第3磁脚13と、上側の継鉄部14と、下側の継鉄部15とを有する。コア10は、フェライト等の磁性材料で形成されている。コア10は、第1磁脚11、第2磁脚12、第3磁脚13及び下側の継鉄部15が連結されたEコアに対応する部分(図2(e)参照)と、上側の継鉄部14で構成されているIコアに対応する部分とを接合することにより形成されている。なお、実施形態1においてコア10は、いわゆるEIコアに相当するコアであるが、EEコア、PQコアその他適宜のコアを用いることができる。
【0017】
第1磁脚11は、図2(c)及び図2(e)に示すように、断面が楕円形状を有する柱状形状をしており、所定の方向(継鉄部14に対して鉛直方向)に延在する。
【0018】
第2磁脚12及び第3磁脚13は、それぞれ断面が円形状を有する柱状形状をしており、第1磁脚11と平行な方向に延在する。第2磁脚12の断面積は、第3磁脚13の断面積と等しいことが望ましい。また、第2磁脚12の断面積と第3磁脚13の断面積の和が、第1磁脚11の断面積と同じか大きい。実施形態1においては、第2磁脚12の断面積と第3磁脚13の断面積はそれぞれ、第1磁脚11の断面積の半分となっている。なお、第1磁脚11にギャップが形成されていてもよいし、第2磁脚12及び第3磁脚13にギャップが形成されていてもよいし、全ての磁脚にギャップが形成されていてもよい。2本以上の磁脚のギャップを形成する場合、第1磁脚11で生成される磁束を第2磁脚12及び第3磁脚13に均等に分けるために同じギャップ幅であることが望ましい。
【0019】
第1磁脚11と第2磁脚12との間の距離、及び、第1磁脚11と第3磁脚13との間の距離は等しい。また、第1磁脚11の中央部から第2磁脚12の中央部に向かう方向と、第1磁脚11の中央部から第3磁脚13の中央部に向かう方向とのなす角は、180°よりも小さく、具体的には鋭角となっている。また、第1磁脚11の中央を通り、第2磁脚12の中心から第3磁脚13の中心を結ぶ線分と垂直な軸(垂直二等分線)に対して、第2磁脚12及び第3磁脚13は対称な位置にある。
【0020】
上側の継鉄部14は、第1磁脚11、第2磁脚12及び第3磁脚13の上端に配置されている。上側の継鉄部14は、第1磁脚11が延在する方向(上方)から見て、V字形状であり、V字形状の2つの端部においてそれぞれ第2磁脚12及び第3磁脚13が継鉄部14と垂直に配置されており、V字形状の折れ曲がる部分において第1磁脚11が継鉄部14と垂直に配置されている。V字形状の折れ曲がる部分は第1磁脚11の断面形状と対応するようにやや横長になっている。
【0021】
下側の継鉄部15は、第1磁脚11、第2磁脚12及び第3磁脚13の下端に配置されている。下側の継鉄部15は、第1磁脚11の下方端と第2磁脚12の下方端とを接続する柱状の部材、及び、第1磁脚11の下方端と第3磁脚13の下方端とを接続する柱状の部材である。下側の継鉄部15、第1磁脚11,第2磁脚12及び第3磁脚13は第1磁脚11が延在する方向(上方)から見て、V字形状である(図2(e)参照)。
【0022】
上側の継鉄部14及び下側の継鉄部15において、第1磁脚11から第2磁脚12に伸びる磁束経路の断面積、及び、第1磁脚11から第3磁脚13に伸びる磁束経路の断面積は、いずれも第2磁脚12及び第3磁脚13の断面積と同じ断面積を有する。上側の継鉄部14及び下側の継鉄部15は、第1磁脚11と第2磁脚12とを磁気的に連結するとともに、第1磁脚11と第3磁脚13とを磁気的に連結する。すなわち、第1磁脚11、上側の継鉄部14,第2磁脚12及び下側の継鉄部15とで磁気的に結合して磁束経路を構成する(図3(b)参照)。また、第1磁脚11、上側の継鉄部14,第3磁脚13及び下側の継鉄部15で磁気的に結合してもう一つの磁束経路を構成する。
【0023】
一次巻線20は、第1磁脚11に巻回されているコイルである(図2参照)。一次巻線20の巻数は例えば6ターンである。一次巻線20は、高周波インバータ部110と接続されており、高周波インバータ部110で変換された高周波の交流電圧が印加される。一次巻線20は、第1磁脚11のうちのやや上側に配置されており、第1磁脚11の下側に配置される二次巻線30と接触しない位置に配置されている(図2参照)。
【0024】
二次巻線30は、中途にセンタータップを有するセンタータップ式のコイルである(図3(a)参照)。二次巻線30は、一方端が第1の二次側接続部T1と接続され、他方端が第2の二次側接続部T2(センタータップ)と接続されている第1巻線35と、一方端が第2の二次側接続部T2(センタータップ)と接続され、他方端が第3の二次側接続部T3と接続されている第2巻線36とで構成されている(図2及び図3参照)。二次巻線30は、第2磁脚12及び第3磁脚13をそれぞれ同じ数ずつ(実施形態1においては第1巻線35で各1周ずつ、第2巻線36で各1周ずつ)巻回する。
第1巻線35は、第2磁脚12に1ターン巻回される第1の二次巻線31と第3磁脚13に1ターン巻回される第2の二次巻線32とを並列に接続してなる(図3(b)の実線参照)。第2巻線36は、第2磁脚12に1ターン巻回される第3の二次巻線33と第3磁脚13に1ターン巻回される第4の二次巻線34とを並列に接続してなる(図3(b)の破線参照)。
【0025】
二次巻線30は、金属(例えば銅板)などの導電性のプレートからなる。二次巻線30の具体的な構成は、以下のとおりである。なお、以下の説明において、各二次側接続部側を後端側とし、第1磁脚11側を先端側とする。すなわち、二次巻線30は、図3(c)に示すように、
第1の二次側接続部T1から第2磁脚12を外側から第1磁脚11側まで円弧状に巻きながら緩やかな傾斜で下降して第2磁脚12を迂回する第1迂回部41と、
第1迂回部41の下方に配置され、第2の二次側接続部T2から第2磁脚12を外側から第1磁脚11側まで円弧状に巻きながら緩やかな傾斜で下降して第2磁脚12を迂回する第3迂回部43と、
第2の二次側接続部T2から第3磁脚13を外側から第1磁脚11側まで円弧状に巻きながら緩やかな傾斜で上昇して第3磁脚13を迂回する第2迂回部42と、
第2迂回部42の下方に配置され、第3の二次側接続部T3から第3磁脚13を外側から第1磁脚11側まで円弧状に巻きながら緩やかな傾斜で上昇して第3磁脚13を迂回する第4迂回部44と、
第1の二次側接続部T1と接続され、第2の二次側接続部T2側から第1磁脚11側に向かって直線状に延び、先端付近の側面に第2迂回部42の先端が接続されている第1直線部45と、
第1直線部45の下方に配置され、第2の二次側接続部T2と接続され、第2の二次側接続部T2と接続されている付近で第2迂回部42の後端部及び第3迂回部43後端部と接続され、第2の二次側接続部T2側から第1磁脚11側に向かって直線状に延び、先端付近の両側面に第1迂回部41の先端及び第4迂回部44先端がそれぞれ接続されている第2直線部46と、
第2直線部46の下方に配置され、第3の二次側接続部T3と接続され、第2の二次側接続部T2側から第1磁脚11側に向かって直線状に延び、先端付近で第3迂回部43と接続されている第3直線部47と、を有する。
【0026】
第1の二次巻線31は、第1迂回部41と第2直線部46とで構成されている。
第2の二次巻線32は、第2迂回部42と第1直線部45とで構成されている。
第3の二次巻線33は、第3迂回部43と第3直線部47とで構成されている。
第4の二次巻線34は、第4迂回部44と第2直線部46とで構成されている。
【0027】
一次巻線20と二次巻線30は、第1磁脚11が延在する方向(鉛直方向)から見て、二次側接続部T1,T2,T3が配置されている側とは反対側において第1磁脚11と第2磁脚12及び第3磁脚13との間に一次巻線20と二次巻線30とは互いに重なる領域を有する(図2(c)参照)。
【0028】
第1の二次側接続部T1、第2の二次側接続部T2及び第3の二次側接続部T3は、トランス1の出力端子を構成する。第1の二次側接続部T1及び第3の二次側接続部T3は、整流部120と接続され、第2の二次側接続部T2は、インダクタ140と接続される。二次側接続部T1,T2,T3は、側面から見て第3磁脚13側から二次側接続部T3,T2,T1の順に形成されている(図2(d)参照)。第3の二次側接続部T3は、第3の二次巻線33及び第4の二次巻線34と接続されており、第3の二次巻線33及び第4の二次巻線34との接続部分から上方へ屈曲し、所定の高さ位置で外側に向かって突き出している。第2の二次側接続部T2は、第1の二次巻線31、第2の二次巻線32,第3の二次巻線33及び第4の二次巻線34と接続されており、各二次巻線との接続部分から上方へ屈曲し、第3の二次側接続部及び第2の二次側接続部と同じ高さ位置で外側に向かって突き出している。第1の二次側接続部T1は、第1の二次巻線31及び第2の二次巻線32と接続されており、第1の二次巻線31及び第2の二次巻線32との接続部分から上方へ屈曲し、所定の高さ位置で外側に向かって突き出している。
【0029】
2.実施形態1に係るトランス1の効果
実施形態1に係るトランス1によれば、所定の方向に延在する第1磁脚11と、第1磁脚11と平行に延在する第2磁脚12及び第3磁脚13とを有するコアと、第2磁脚12及び第3磁脚13に巻回される二次巻線30とを備え、二次巻線30は、第2磁脚12に巻回される第1の二次巻線31と、第3磁脚13に巻回される第2の二次巻線32とを有するため、第1の二次巻線31を貫く磁束、及び、第2の二次巻線32を貫く磁束をそれぞれ、一次巻線20によって生成される磁束の例えば半分とすることができ、電磁気学上の二次巻線30の最小巻数を、二次巻線30を第1磁脚11に巻回した場合の例えば半分とすることができる(二次巻線30を第1磁脚11に巻回した場合の二次巻線の巻数を1ターンとすれば、二次巻線30を第2磁脚12及び第3磁脚13に巻回した場合、電磁気学上の二次巻線30の巻数を0.5ターンとすることができる。)。従って、交流電圧を高周波化して、二次巻線30の巻数を減らすことができ、一次巻線20の巻数を減らすことができることから、一次巻線20の配線長を短くすることができ、一次巻線20の交流抵抗(インピーダンス)を低減することができる。その結果、一次巻線20に流れる電流の損失を低減することができ、低損失のトランスを実現することができる。
また、高周波化すると、コア断面積を小さくすることができる、という効果を得ることができるため、トランスの投影面積を小さくすることができ、トランスの小型化を実現することができる。そして、トランスを小型化することにより、一次巻線20及び二次巻線30の1ターンに必要な配線長も短くなり、より一層損失が小さいトランスとなる。
【0030】
また、実施形態1に係るトランス1によれば、第1の二次巻線31と第2の二次巻線32が並列に接続されているため、第1磁脚11と第2磁脚12とが磁気的に連結されている磁束経路と第1磁脚11と第3磁脚13とが磁気的に連結されている磁束経路の両方で電力が伝達されることとなる。従って、第2磁脚12又は第3磁脚13のどちらか巻回していない場合と比較して漏れが少なく、一次巻線20で生じた磁束を高い変換効率で二次巻線30の起電力とすることができる。なお、このことは、第3の二次巻線33と第4の二次巻線34の場合においても同様である。
【0031】
また、実施形態1に係るトランス1によれば、第2磁脚12に巻回される第1の二次巻線31と第3磁脚13に巻回される第2の二次巻線32とを並列に接続し、一方端が第1の二次側接続部T1と接続され、他方端が第2の二次側接続部T2と接続された第1巻線35と、第2磁脚12に巻回される第3の二次巻線33と第3磁脚13に巻回される第4の二次巻線34とを並列に接続し、一方端が第2の二次側接続部T2と接続され、他方端が第3の二次側接続部T3と接続された第2巻線36とを備える、いわゆるセンタータップ方式のコイルであるため、全波整流に用いることができるなど様々な用途に用いることができる。
【0032】
また、実施形態1に係るトランス1によれば、第1磁脚11の中央部から第2磁脚12の中央部に向かう方向と、第1磁脚11の中央部から第3磁脚13の中央部に向かう方向とのなす角は、180°よりも小さいため、第2磁脚12と第3磁脚13との間の間隔が狭くなる。このため、二次巻線30の配線長が短くて済み、二次巻線30の交流抵抗を低減することができる。従って、二次巻線30に流れる電流の損失を低減することができる。ところで、実施形態1に係るトランス1においては、第1の二次巻線31と第2の二次巻線32が並列に接続されているため、第2磁脚12及び第3磁脚13の両方を巻回する必要があるが、第2磁脚12と第3磁脚13との間の間隔が狭いため、二次巻線30の配線長を短くすることができる。
【0033】
また、実施形態1に係るトランス1によれば、第1磁脚11の中央部から第2磁脚12の中央部に向かう方向と、第1磁脚11の中央部から第3磁脚13の中央部に向かう方向とのなす角は、鋭角であるため、二次巻線30の配線長をより一層短くすることができ、二次巻線30に流れる電流の損失を低減することができる。
【0034】
また、実施形態1に係るトランス1によれば、継鉄部14,15の形状は、第1磁脚11が延在する方向から見て、V字形状であるため、また、V字の2つの先端に第2磁脚12と第3磁脚13とを配置することで、第2磁脚12と第3磁脚13との長さを狭めることができ、二次巻線30の配線長を短くすることができる。
【0035】
また、実施形態1に係るトランス1によれば、第1磁脚11が延在する方向から見て、一次巻線20と二次巻線30とは互いに重なる領域を有するため、交流抵抗を減らすことができ、その結果、トランスの損失を小さくすることができる。
【0036】
また、実施形態1に係るトランス1によれば、二次巻線30は、第2磁脚12及び第3磁脚13をそれぞれ同じ数ずつ巻回するため、一次巻線20で生成される磁束から第2磁脚12に巻かれた二次巻線30に生じる起電力と第3磁脚13に巻かれた二次巻線30に生じる起電力とを均等にすることができる。その結果、バランスが良く、損失が少ないトランスとなる。
【0037】
[実施形態2]
図4は、実施形態2に係るトランス2を示す断面図である。実施形態2に係るトランス2は、基本的には実施形態1に係るトランス1と同様の構成を有するが、平面的に見て一次巻線と二次巻線とが重ならない点で実施形態1に係るトランス1の場合とは異なる(図4参照)。
【0038】
このように、実施形態2に係るトランス2は、平面的に見て一次巻線と二次巻線とが重ならない点で実施形態1に係るトランス2の場合とは異なるが、実施形態1に係るトランス1の場合と同様に、所定の方向に延在する第1磁脚11と、第1磁脚11と平行に延在する第2磁脚12及び第3磁脚13とを有するコアと、第2磁脚12及び第3磁脚13に巻回される二次巻線30とを備え、二次巻線30は、第2磁脚12に巻回される第1の二次巻線31と、第3磁脚13に巻回される第2の二次巻線32とを有するため、第1の二次巻線31を貫く磁束、及び、第2の二次巻線32を貫く磁束をそれぞれ、一次巻線20によって生成される磁束の例えば半分とすることができ、電磁気学上の二次巻線30の最小巻数を、二次巻線30を第1磁脚11に巻回した場合の例えば半分とすることができる(二次巻線30を第1磁脚11に巻回した場合の二次巻線の巻数を1ターンとすれば、二次巻線30を第2磁脚12及び第3磁脚13に巻回した場合、電磁気学上の二次巻線30の巻数を0.5ターンとすることができる。)。従って、交流電圧を高周波化して、二次巻線30の巻数を減らすことができ、一次巻線20の巻数を減らすことができることから、一次巻線20の配線長を短くすることができ、一次巻線20の交流抵抗(インピーダンス)を低減することができる。従って、一次巻線20に流れる電流の損失を低減することができ、低損失のトランスを実現することができる。
また、高周波化すると、コア断面積を小さくすることができる、という効果を得ることができるため、トランスの投影面積を小さくすることができ、トランスの小型化を実現することができる。そして、トランスを小型化することにより、一次巻線20及び二次巻線30の1ターンに必要な配線長も短くなり、より一層損失が小さいトランスとなる。
【0039】
また、実施形態2に係るトランス2によれば、平面的に見て一次巻線と二次巻線とが重ならないため、互いの巻線同士が影響を与えることが少なくなる。
【0040】
なお、実施形態2に係るトランス2は、平面的に見て一次巻線と二次巻線とが重ならない点以外の点においては実施形態1に係るトランス1と同様の構成を有するため、実施形態1に係るトランス1が有する効果のうち該当する効果を有する。
【0041】
[実施形態3及び4]
図5は、実施形態3に係るトランス3を示す模式的な断面図である。実施形態3に係るトランス3は、基本的には実施形態1に係るトランス1と同様の構成を有するが、コアの継鉄部が矩形形状である点で実施形態1に係るトランス1の場合とは異なる。すなわち、実施形態3に係るトランス3は、第1磁脚11のから第2磁脚12の中央部に向かう方向と、第1磁脚11の中央部から第3磁脚13の中央部に向かう方向とのなす角は、180°である継鉄部を有し、第1磁脚11aは矩形形状の中央付近に配置され、第2磁脚12a及び第3磁脚13aは第1磁脚11aを挟んで対向する位置(矩形形状の両端)に配置されている(図5参照)。
【0042】
図6は、実施形態4に係るトランス4を示す模式的な断面図である。実施形態4に係るトランス4は、基本的には実施形態3に係るトランス3と同様の構成を有するが、平面的に見て一次巻線と二次巻線とが重ならない点で実施形態3に係るトランス3と異なる(図6参照)。
【0043】
このように、実施形態3に係るトランス3及び実施形態4に係るトランス4は、コアの継鉄部が矩形形状である点、あるいは、平面的に見て一次巻線と二次巻線とが重ならない点で実施形態1に係るトランス1の場合とは異なるが、実施形態1に係るトランス1の場合と同様に、所定の方向に延在する第1磁脚11aと、第1磁脚11aと平行に延在する第2磁脚12a及び第3磁脚13aとを有するコアと、第2磁脚12a及び第3磁脚13aに巻回される二次巻線30とを備え、二次巻線30は、第2磁脚12aに巻回される第1の二次巻線31と、第3磁脚13aに巻回される第2の二次巻線32とを有するため、第1の二次巻線31を貫く磁束、及び、第2の二次巻線32を貫く磁束をそれぞれ、一次巻線20によって生成される磁束の例えば半分とすることができ、電磁気学上の二次巻線30の最小巻数を、二次巻線30を第1磁脚11aに巻回した場合の例えば半分とすることができる(二次巻線30を第1磁脚11aに巻回した場合の二次巻線の巻数を1ターンとすれば、二次巻線30を第2磁脚12a及び第3磁脚13aに巻回した場合、電磁気学上の二次巻線30の巻数を0.5ターンとすることができる。)。従って、交流電圧を高周波化して、二次巻線30の巻数を減らすことができ、一次巻線20の巻数を減らすことができることから、一次巻線20の配線長を短くすることができ、一次巻線20の交流抵抗(インピーダンス)を低減することができる。従って、一次巻線20に流れる電流の損失を低減することができ、低損失のトランスを実現することができる。
また、高周波化すると、コア断面積を小さくすることができる、という効果を得ることができるため、トランスの投影面積を小さくすることができ、トランスの小型化を実現することができる。そして、トランスを小型化することにより、一次巻線20及び二次巻線30の1ターンに必要な配線長も短くなり、より一層損失が小さいトランスとなる。
【0044】
なお、実施形態3に係るトランス3及び実施形態4に係るトランス4は、コアの継鉄部が矩形形状である点、あるいは、平面的に見て一次巻線と二次巻線とが重ならない点以外の点においては実施形態1に係るトランス1と同様の構成を有するため、実施形態1に係るトランス1が有する効果のうち該当する効果を有する。
【0045】
[実施形態5]
図7は、実施形態5に係るトランス5を示す図である。実施形態5に係るトランス5は、基本的には実施形態1に係るトランス1と同様の構成を有するが、センタータップ方式ではなく、二次ブリッジ回路方式(図7(e)参照)である点で実施形態1に係るトランス1の場合とは異なる。すなわち、実施形態5に係るトランス5は、第1の二次側接続部T1と第2の二次側接続部T2とを有し、センタータップを有しない(図7参照)。第1の二次側接続部T1及び第2の二次側接続部T2は整流部120と接続される。
【0046】
実施形態5に係るトランス5において、二次巻線30aは、第2磁脚12に1ターン巻回される第1の二次巻線31aと第3磁脚13に1ターン巻回される第2の二次巻線32aとを並列に接続してなる(図7(f)参照)。
第1の二次巻線31aは、第1の二次側接続部T1から第2磁脚12を外側から第1磁脚11側まで円弧状に巻きながら緩やかな傾斜で下降して第2磁脚12を迂回することで第1磁脚11側に到達するとともに、第1磁脚11側付近から第2磁脚12と第3磁脚13との間を直線状に伸びて第2の二次側接続部T2と接続されている(図7参照)。第2の二次巻線32aは、第2の二次側接続部T2から第3磁脚13を外側から第1磁脚11側まで円弧状に巻きながら緩やかな傾斜で上昇することで第3磁脚13を迂回して第1磁脚11側に到達するとともに、第1磁脚11側付近から第2磁脚12と第3磁脚13との間を直線状に伸びて第1の二次側接続部T1と接続されている。
【0047】
このように、実施形態5に係るトランス5は、センタータップ方式ではなく、二次ブリッジ回路方式である点で実施形態1に係るトランス1の場合とは異なるが、実施形態1に係るトランス1の場合と同様に、所定の方向に延在する第1磁脚11と、第1磁脚11と平行に延在する第2磁脚12及び第3磁脚13とを有するコアと、第2磁脚12及び第3磁脚13に巻回される二次巻線30aとを備え、二次巻線30aは、第2磁脚12に巻回される第1の二次巻線31aと、第3磁脚13に巻回される第2の二次巻線32aとを有するため、第1の二次巻線31aを貫く磁束、及び、第2の二次巻線32aを貫く磁束をそれぞれ、一次巻線20によって生成される磁束の例えば半分とすることができ、電磁気学上の二次巻線30aの最小巻数を、二次巻線30aを第1磁脚11に巻回した場合の例えば半分とすることができる(二次巻線30aを第1磁脚11に巻回した場合の二次巻線の巻数を1ターンとすれば、二次巻線30aを第2磁脚12及び第3磁脚13に巻回した場合、電磁気学上の二次巻線30aの巻数を0.5ターンとすることができる。)。従って、交流電圧を高周波化して、二次巻線30の巻数を減らすことができ、一次巻線20の巻数を減らすことができることから、一次巻線20の配線長を短くすることができ、一次巻線20の交流抵抗(インピーダンス)を低減することができる。従って、一次巻線20に流れる電流の損失を低減することができ、低損失のトランスを実現することができる。
また、高周波化すると、コア断面積を小さくすることができる、という効果を得ることができるため、トランスの投影面積を小さくすることができ、トランスの小型化を実現することができる。そして、トランスを小型化することにより、一次巻線20及び二次巻線30aの1ターンに必要な配線長も短くなり、より一層損失が小さいトランスとなる。
【0048】
なお、実施形態5に係るトランス5は、センタータップ方式ではなく、二次ブリッジ回路方式である点以外の点においては実施形態1に係るトランス1と同様の構成を有するため、実施形態1に係るトランス1が有する効果のうち該当する効果を有する。
【0049】
[実施形態6及び7]
図8は、実施形態6に係るトランス6を示す模式的な断面図である。実施形態6に係るトランス6は、基本的には実施形態5に係るトランス5と同様の構成を有するが、平面的に見て一次巻線と二次巻線とが重ならない点で実施形態5に係るトランス5の場合とは異なる。
【0050】
図9は、実施形態7に係るトランス7を示す模式的な断面図である。実施形態7に係るトランス7は、基本的には実施形態5に係るトランス5と同様の構成を有するが、コアの継鉄部が矩形形状である点で実施形態5に係るトランス5と異なる。なお、実施形態7においては、平面的に見て一次巻線20と二次巻線30bとは重なっている。
【0051】
このように、実施形態6に係るトランス6及び実施形態7に係るトランス7は、平面的に見て一次巻線と二次巻線とが重ならない点、あるいは、コアの継鉄部が矩形形状である点で実施形態5に係るトランス5の場合とは異なるが、所定の方向に延在する第1磁脚11,11aと、第1磁脚11,11aと平行に延在する第2磁脚12,12a及び第3磁脚13,13aとを有するコアと、第2磁脚12,12a及び第3磁脚13,13aに巻回される二次巻線30a,30bとを備え、二次巻線30a、30bは、第2磁脚12,12aに巻回される第1の二次巻線31a,31bと、第3磁脚13,13aに巻回される第2の二次巻線32a,32bとを有するため、第1の二次巻線31a,31bを貫く磁束、及び、第2の二次巻線32a,32bを貫く磁束をそれぞれ、一次巻線20によって生成される磁束の例えば半分とすることができ、電磁気学上の二次巻線30a、30bの最小巻数を、二次巻線30を第1磁脚11,11aに巻回した場合の例えば半分とすることができる(二次巻線30a、30bを第1磁脚11,11aに巻回した場合の二次巻線の巻数を1ターンとすれば、二次巻線30を第2磁脚12及び第3磁脚13に巻回した場合、電磁気学上の二次巻線30a、30bの巻数を0.5ターンとすることができる。)。従って、交流電圧を高周波化して、二次巻線30の巻数を減らすことができ、一次巻線20の巻数を減らすことができることから、一次巻線20の配線長を短くすることができ、一次巻線20の交流抵抗(インピーダンス)を低減することができる。その結果、一次巻線20に流れる電流の損失を低減することができ、低損失のトランスを実現することができる。
また、高周波化すると、コア断面積を小さくすることができる、という効果を得ることができるため、トランスの投影面積を小さくすることができ、トランスの小型化を実現することができる。そして、トランスを小型化することにより、一次巻線20及び二次巻線30a、30bの1ターンに必要な配線長も短くなり、より一層損失が小さいトランスとなる。
【0052】
なお、実施形態6に係るトランス6及び実施形態7に係るトランス7は、平面的に見て一次巻線と二次巻線とが重ならない点、あるいは、コアの継鉄部が矩形形状である点以外の点においては実施形態5に係るトランス5と同様の構成を有するため、実施形態5に係るトランス5が有する効果のうち該当する効果を有する。
【0053】
以上、本発明を上記の実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。その趣旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば、次のような変形も可能である。
【0054】
(1)上記各実施形態(各変形例も含む。以下同じ。)において記載した位置、大きさ等は例示であり、本発明の効果を損なわない範囲において変更することが可能である。
【0055】
(2)上記実施形態1,2,5及び6においては、継鉄部の形状を第1磁脚が延在する方向から見て、V字形状としたが、本発明はこれに限定するものではない。継鉄部の形状を第1磁脚が延在する方向から見て、台形形状又は三角形形状としてもよい(台形形状の場合、図10参照)。
【0056】
(3)上記各実施形態においては、第1の二次巻線と第2の二次巻線を並列に接続したが、本発明はこれに限定するものではない。第1の二次巻線と第2の二次巻線を直列に接続してもよい(例えば、実施形態3において、第1の二次巻線と第2の二次巻線を直列にした場合、図11参照)。
【0057】
(4)上記各実施形態においては、第1磁脚の中央部から第2磁脚の中央部に向かう方向と、第1磁脚の中央部から第3磁脚の中央部に向かう方向とのなす角を鋭角又は180°としたが、本発明はこれに限定するものではない。第1磁脚の中央部から第2磁脚の中央部に向かう方向と、第1磁脚の中央部から第3磁脚の中央部に向かう方向とのなす角を直角にしてもよいし、鈍角にしてもよい。
【0058】
(5)上記実施形態1においては、第1磁脚の断面形状を楕円形状としたが、本発明はこれに限定するものではない。第1磁脚の断面形状を円形状や矩形形状、その他適宜の形状としてもよい。
【0059】
(6)上記実施形態1,2,5及び6においては、第2磁脚及び第3磁脚の断面形状を円形状としたが、本発明はこれに限定するものではない。第2磁脚及び第3磁脚の断面形状を楕円形状や矩形形状、その他適宜の形状としてもよい。また、上記実施形態1,2,5及び6においては、各迂回部を二次側接続部から第2磁脚12又は第3磁脚13を外側から第1磁脚11側まで円弧状に巻きながら迂回する迂回部としたが、本発明はこれに限定するものではない。各迂回部を二次側接続部T1から第2磁脚12又は第3磁脚を外側から第1磁脚11側まで第2磁脚や第3磁脚の断面形状に合わせて巻きながら迂回する迂回部としてもよい。
【0060】
(7)上記実施形態1,2,5及び6においては、各迂回部が緩やかな傾斜で上昇又は下降して迂回するものであるとしたが、本発明はこれに限定するものではない。各迂回部が階段状に上昇又は下降して迂回するものであるしてもよいし、その他適宜のものであってもよい。
【符号の説明】
【0061】
1、2,3,4,5,6,7,8,900…トランス、10,10a,10b,910…コア、11,11a…第1磁脚、12,12a…第2磁脚、13,13a…第3磁脚、14、914…上側の継鉄部、15,15a,15b,915…下側の継鉄部、20,920…一次巻線、30,30a,30b,30c,930…二次巻線、31,31a,31b…第1の二次巻線、32,32a,32b…第2の二次巻線、33…第3の二次巻線、34…第4の二次巻線、35…第1巻線、36…第2巻線、41…第1迂回部、42…第2迂回部、43…第3迂回部、44…第4迂回部、45…第1直線部、46…第2直線部、47…第3直線部、100…スイッチング電源、110…高周波インバータ部、120…整流部、130…CRスナバ部、140…インダクタ、911…中央磁脚、912、913…外側磁脚、C1…入力コンデンサ、T1…第1の二次側接続部、T2…第2の二次側接続部、T3…第3の二次側接続部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【手続補正書】
【提出日】2021-11-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項5
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項5】
前記第1磁脚の中央部から前記第2磁脚の中央部に向かう方向と、前記第1磁脚の中央部から前記第3磁脚の中央部に向かう方向とのなす角は、180°よりも小さいことを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載のトランス。