(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023006763
(43)【公開日】2023-01-18
(54)【発明の名称】可逆熱変色性インクジェットプリンター用水性インキ組成物、ならびにそれを用いたインクジェットプリンターおよびインクカートリッジ
(51)【国際特許分類】
C09D 11/322 20140101AFI20230111BHJP
【FI】
C09D11/322
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021109525
(22)【出願日】2021-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】303022891
【氏名又は名称】株式会社パイロットコーポレーション
(71)【出願人】
【識別番号】000111890
【氏名又は名称】パイロットインキ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100187159
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 英明
(74)【代理人】
【識別番号】100206265
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 逸子
(72)【発明者】
【氏名】三田 真之
(72)【発明者】
【氏名】山田 亮
【テーマコード(参考)】
4J039
【Fターム(参考)】
4J039BC07
4J039BE01
4J039CA06
4J039EA29
4J039EA42
4J039EA44
4J039GA24
(57)【要約】 (修正有)
【課題】高精細で、発色性に富む印刷画像の形成が可能なインクジェットプリンター用可逆熱変色性水性インキ組成物、ならびに、それらを含むインクジェットプリンターおよびインクカートリッジの提供。
【解決手段】可逆熱変色性組成物を被膜で包接してなるマイクロカプセルを含んでなる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料と、水と、多価アルコール系有機溶剤とを含んでなる可逆熱変色性インクジェットプリンター用水性インキ組成物。前記マイクロカプセルの体積基準平均粒子径(X)が0.1~2.0μmであり、かつ、凍結された前記マイクロカプセル顔料の断面を透過型電子顕微鏡で観察し、観察視野内のすべてのカプセルについて、下記式:
切断断面膜厚=(断面外周直径-断面内周直径)/2
により求められる平均切断断面膜厚(Y)が0.02~0.4μmである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(イ)電子供与性呈色性有機化合物、
(ロ)電子受容性化合物、および
(ハ)前記(イ)成分および(ロ)成分による電子授受反応を特定温度域において可逆的に生起させる反応媒体
を含んでなる可逆熱変色性組成物を被膜で包接してなるマイクロカプセルを含んでなる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料と、
水と、
多価アルコール系有機溶剤と
を含んでなる可逆熱変色性インクジェットプリンター用水性インキ組成物であって、
前記マイクロカプセルの体積基準平均粒子径(X)が0.1~2.0μmであり、かつ
凍結された前記マイクロカプセル顔料の断面を透過型電子顕微鏡で観察し、観察視野内のすべてのカプセルについて、下記式:
切断断面膜厚 =(断面外周直径-断面内周直径)/2
(式中、断面外周直径および断面内周直径は、ひとつのマイクロカプセルについて、被膜断面の外周で囲まれた領域の面積、および被膜断面の内周で囲まれた領域の面積の、円換算直径から算出される)
により求められる切断断面膜厚を求めて、その平均値を平均切断断面膜厚としたとき、前記マイクロカプセルの平均切断断面膜厚(Y)が0.02~0.4μmである、
可逆熱変色性インクジェットプリンター用水性インキ組成物。
【請求項2】
前記平均粒子径(X)と前記平均切断断面膜厚(Y)が、下記式(1)を満たす請求項1に記載のインキ組成物。
Y/X<0.3 (1)
【請求項3】
前記平均粒子径(X)が、0.3~1.5μmである、請求項1または2に記載のインキ組成物。
【請求項4】
粒子径が5μm以上のマイクロカプセルが、前記マイクロカプセル顔料中のマイクロカプセルの総体積を基準として1体積%以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載のインキ組成物。
【請求項5】
前記マイクロカプセル顔料の配合率が、前記水性インキ組成物の総質量を基準として3~30質量%である、請求項1~4のいずれか1項に記載のインキ組成物。
【請求項6】
ポリエーテルリン酸エステルをさらに含んでなる、請求項1~5のいずれか1項に記載のインキ組成物。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載のインキ組成物を収容してなる、インクジェットプリンター。
【請求項8】
請求項1~6のいずれか1項に記載のインキ組成物を収容してなる、インクカートリッジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可逆熱変色性インクジェットプリンター用水性インキ組成物に関するもので樽。また、本発明はそのインキ組成物を用いたインクジェットプリンター、およびインクカートリッジにも関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、遷移元素化合物や熱変色性組成物が内包された熱変色性マイクロカプセル顔料を適用したインクジェットプリンター用のインキ組成物が提案されている。(例えば、特許文献1~3参照)しかしながら、高精細で発色性に富む印刷画像を得るだけでなく、長期に亘ってノズルの目詰まりなどが起こりにくく、安定した画像形成を可能とすることは容易ではなかった。
【0003】
例えば、小粒子径のマイクロカプセルを含むインキ組成物を適用すると、プリンターの吐出部(ノズル)でマイクロカプセルが目詰まりすることが抑制されて良好なインキ吐出が持続するものの、マイクロカプセル顔料や印刷画像の発色性が低下しやすく、逆に、大粒子径のマイクロカプセル顔料を適用するとマイクロカプセル顔料の発色性が向上する一方でノズルにおいてマイクロカプセル顔料の目詰まりが生じやすくなり、インキ吐出性や印刷画像の精細性が低下する傾向にある。
【0004】
また、インキの乾燥によるノズルの目詰まりを抑制するために保湿剤をインキに適用することも検討されている。しかし保湿剤をインキ組成物に適用すると、保存時にマイクロカプセル内の熱変色性組成物がインキ溶媒中に溶出してマイクロカプセル顔料の退色が生じることがあった。マイクロカプセル顔料の退色はマイクロカプセル被膜を厚くすることで抑制できる。しかし、単純に被膜を厚くするだけでは他に問題を引き起こしてしまう。つまり粒子径を維持したまま被膜を厚くするとマイクロカプセル中の熱変色性組成物の内包量が少なくなるためマイクロカプセル顔料の発色性が低下する。逆に熱変色性組成物の内包量を維持したまま被膜を厚くすると粒子径が増大してインキ吐出性や印刷画像の精細性が低下してしまう。このため、熱変色性組成物が内包されたマイクロカプセル顔料を適用したインクジェットインキにおいて、経時保存性、印刷画像の発色性および精細性、および安定したインキ吐出性を同時に充足することが困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009-227956号公報
【特許文献2】国際公開2018/190229号
【特許文献3】国際公開2018/190230号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記のような課題に鑑みて、経時保存性、印刷画像の発色性および精細性、および安定したインキ吐出性を有するインクジェットプリンター用可逆熱変色性水性インキ組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による可逆熱変色性インクジェットプリンター用水性インキ組成物は、
(イ)電子供与性呈色性有機化合物、
(ロ)電子受容性化合物、および
(ハ)前記(イ)成分および(ロ)成分による電子授受反応を特定温度域において可逆的に生起させる反応媒体
を含んでなる可逆熱変色性組成物を被膜で包接してなるマイクロカプセルを含んでなる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料と、
水と、
多価アルコール系有機溶剤と
を含んでなり、
前記マイクロカプセルの体積基準平均粒子径(X)が0.1~2μmであり、かつ
凍結された前記マイクロカプセル顔料の断面を透過型電子顕微鏡で観察し、観察視野内のすべてのカプセルについて、下記式:
切断断面膜厚 =(断面外周直径-断面内周直径)/2
(式中、断面外周直径および断面内周直径は、ひとつのマイクロカプセルについて、被膜断面の外周で囲まれた領域の面積、および被膜断面の内周で囲まれた領域の面積の、円換算直径から算出される)
により求められる切断断面膜厚を求めて、その平均値を平均切断断面膜厚としたとき、前記マイクロカプセルの平均切断断面膜厚(Y)が0.02~0.4μmである、
ことを特徴とするものである。
【0008】
また、本発明によるインクジェットプリンターは、前記インキ組成物を収容してなることを特徴とするものである。
【0009】
また、本発明によるインクカートリッジは、前記インキ組成物を収容してなることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、高精細で、発色性に富む印刷画像の形成が可能なインクジェットプリンター用可逆熱変色性水性インキ組成物が提供される。このインキ組成物は、経時安定性に優れ、また長期に亘って安定した吐出性を維持できるものである。本発明によれば、このような特性を備えたインクジェットプリンターおよびインクカートリッジも提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】加熱消色型の可逆熱変色性組成物の色濃度-温度曲線におけるヒステリシス特性を説明するグラフである。
【
図2】色彩記憶性を有する加熱消色型の可逆熱変色性組成物の色濃度-温度曲線におけるヒステリシス特性を説明するグラフである。
【
図3】加熱発色型の可逆熱変色性組成物の色濃度-温度曲線におけるヒステリシス特性を説明するグラフである。
【
図4】インクジェットプリンターの構成の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明による可逆熱変色性インクジェットプリンター用水性インキ組成物(以下、「インキ組成物」と表すことがある)は、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料と、水と、多価アルコール系有機溶剤とを少なくとも含有する。以下に、本発明によるインキ組成物を構成する各成分について説明する。
【0013】
本発明によるインキ組成物は、着色剤として、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料(以下、「マイクロカプセル顔料」と表すことがある)を含有する。
【0014】
本発明によるインキ組成物に用いられるマイクロカプセル顔料は可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセルを含んでなるものであり、典型的にはマイクロカプセルの集合体である。この可逆熱変色性組成物としては、(イ)電子供与性呈色性有機化合物、(ロ)電子受容性化合物、(ハ)(イ)成分および(ロ)成分の呈色反応の生起温度を決める反応媒体の必須三成分を少なくとも含む加熱消色型(加熱により消色し、冷却により発色する)の可逆熱変色性組成物に用いることができる。
【0015】
このようなマイクロカプセル顔料を適用することができる可逆熱変色性組成物の一例としては、特公昭51-44706号公報、特公昭51-44707号公報、特公平1-29398号公報等に記載された、所定の温度(変色点)を境としてその前後で変色し、高温側変色点以上の温度域で消色状態、低温側変色点以下の温度域で発色状態を呈し、両状態のうち常温域では特定の一方の状態しか存在せず、もう一方の状態は、その状態が発現するのに要した熱または冷熱が適用されている間は維持されるが、熱または冷熱の適用がなくなれば常温域で呈する状態に戻る、ヒステリシス幅(ΔH)が比較的小さい特性(ΔH=1~7℃)を有する組成物が挙げられる(
図1参照)。
【0016】
また、このようなマイクロカプセル顔料を適用することができる可逆熱変色性組成物の他の例としては、特公平4-17154号公報、特開平7-179777号公報、特開平7-33997号公報、特開平8-39936号公報、特開2005-1369号公報等に記載されているヒステリシス幅が大きい特性(ΔH=8~70℃)を示し、温度変化による発色濃度の変化をプロットした曲線の形状が、温度を変色温度域より低温側から上昇させていく場合と逆に変色温度域より高温側から下降させていく場合とで大きく異なる経路を辿って変色し、完全発色温度t
1以下の温度域での発色状態、または完全消色温度t
4以上の高温域での消色状態が、特定温度域〔発色開始温度t
2~消色開始温度t
3の間の温度域(実質二相保持温度域)〕で色彩記憶性を有する組成物も挙げることができる(
図2参照)。
【0017】
[マイクロカプセル顔料]
以下に各(イ)成分、(ロ)成分、(ハ)成分について具体的に説明する。
(イ)成分、即ち電子供与性呈色性有機化合物は色を決める成分であって、顕色剤である(ロ)成分に電子を供与し、発色する化合物である。
【0018】
電子供与性呈色性有機化合物としては、フタリド化合物、フルオラン化合物、スチリノキノリン化合物、ジアザローダミンラクトン化合物、ピリジン化合物、キナゾリン化合物、およびビスキナゾリン化合物等が挙げられ、これらの中でもフタリド化合物およびフルオラン化合物が好ましい。
フタリド化合物としては、例えば、ジフェニルメタンフタリド化合物、フェニルインドリルフタリド化合物、インドリルフタリド化合物、ジフェニルメタンアザフタリド化合物、フェニルインドリルアザフタリド化合物、およびそれらの誘導体等が挙げられ、これらの中でも、フェニルインドリルアザフタリド化合物、およびその誘導体が好ましい。
また、フルオラン化合物としては、例えば、アミノフルオラン化合物、アルコキシフルオラン化合物、およびそれらの誘導体等が挙げられる。
【0019】
以下に(イ)成分に用いることができる化合物を例示する。
3,3-ビス(4-ジメチルアミノフェニル)-6-ジメチルアミノフタリド、
3-(4-ジエチルアミノフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)フタリド、
3,3-ビス(1-n-ブチル-2-メチルインドール-3-イル)フタリド、
3,3-ビス(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-4-アザフタリド、
3-(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-4-アザフタリド、
3-(2-n-ヘキシルオキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-4-アザフタリド、
3-〔2-エトキシ-4-(N-エチルアニリノ)フェニル〕-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-4-アザフタリド、
3-(2-アセトアミド-4-ジエチルアミノフェニル)-3-(1-プロピル-2-メチルインドール-3-イル)-4-アザフタリド、
3,6-ビス(ジフェニルアミノ)フルオラン、
3,6-ビス(N-フェニル-N-p-トリルアミノ)フルオラン、
3,6-ジメトキシフルオラン、
3,6-ジ-n-ブトキシフルオラン、
2-メチル-6-(N-エチル-N-p-トリルアミノ)フルオラン、
3-クロロ-6-シクロヘキシルアミノフルオラン、
2-メチル-6-シクロヘキシルアミノフルオラン、
2-クロロアミノ-6-ジ-n-ブチルアミノフルオラン、
2-(2-クロロアニリノ)-6-ジ-n-ブチルアミノフルオラン、
2-(3-トリフルオロメチルアニリノ)-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-(3-トリフルオロメチルアニリノ)-6-ジ-n-ペンチルアミノフルオラン、
2-ジベンジルアミノ-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-(N-メチルアニリノ)-6-(N-エチル-N-p-トリルアミノ)フルオラン、
1,3-ジメチル-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-クロロ-3-メチル-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-アニリノ-3-メチル-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-アニリノ-3-メトキシ-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-アニリノ-3-メチル-6-ジ-n-ブチルアミノフルオラン、
2-アニリノ-3-メトキシ-6-ジ-n-ブチルアミノフルオラン、
2-キシリジノ-3-メチル-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-アニリノ-3-メチル-6-(N-エチル-N-p-トリルアミノ)フルオラン、
6-ジエチルアミノ-1,2-ベンゾフルオラン、
6-(N-エチル-N-イソブチルアミノ)-1,2-ベンゾフルオラン、
6-(N-エチル-N-イソペンチルアミノ)-1,2-ベンゾフルオラン、
2-(3-メトキシ-4-ドデコキシスチリル)キノリン、
2-ジエチルアミノ-8-ジエチルアミノ-4-メチルスピロ[5H-[1]ベンゾピラノ[2,3-d]ピリミジン-5,1′(3′H)-イソベンゾフラン]-3′-オン、
2-ジ-n-ブチルアミノ-8-ジ-n-ブチルアミノ-4-メチルスピロ[5H-[1]ベンゾピラノ[2,3-d]ピリミジン-5,1′(3′H)-イソベンゾフラン]-3′-オン、
2-ジ-n-ブチルアミノ-8-ジエチルアミノ-4-メチルスピロ[5H-[1]ベンゾピラノ[2,3-d]ピリミジン-5,1′(3′H)-イソベンゾフラン]-3′-オン、
2-ジ-n-ブチルアミノ-8-(N-エチル-N-イソアミルアミノ)-4-メチルスピロ[5H-[1]ベンゾピラノ[2,3-d]ピリミジン-5,1′(3′H)-イソベンゾフラン]-3′-オン、
2-ジ-n-ブチルアミノ-8-ジ-n-ペンチルアミノ-4-メチルスピロ[5H-[1]ベンゾピラノ[2,3-d]ピリミジン-5,1′(3′H)-イソベンゾフラン]-3′-オン、
4,5,6,7-テトラクロロ-3-(4-ジメチルアミノ-2-メトキシフェニル)-3-(1-n-ブチル-2-メチルインドール-3-イル)-1(3H)-イソベンゾフラノン、
4,5,6,7-テトラクロロ-3-(4-ジエチルアミノ-2-エトキシフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-1(3H)-イソベンゾフラノン、
4,5,6,7-テトラクロロ-3-(4-ジエチルアミノ-2-エトキシフェニル)-3-(1-n-ペンチル-2-メチルインドール-3-イル)-1(3H)-イソベンゾフラノン、
4,5,6,7-テトラクロロ-3-(4-ジエチルアミノ-2-メチルフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-1(3H)-イソベンゾフラノン、
3′,6′-ビス〔フェニル(2-メチルフェニル)アミノ〕スピロ[イソベンゾフラン-1(3H),9′-[9H]キサンテン]-3-オン、
3′,6′-ビス〔フェニル(3-メチルフェニル)アミノ〕スピロ[イソベンゾフラン-1(3H),9′-[9H]キサンテン]-3-オン、
3′,6′-ビス〔フェニル(3-エチルフェニル)アミノ〕スピロ[イソベンゾフラン-1(3H),9′-[9H]キサンテン]-3-オン、
2,6-ビス(2′-エチルオキシフェニル)-4-(4′-ジメチルアミノフェニル)ピリジン、
2,6-ビス(2′,4′-ジエチルオキシフェニル)-4-(4′-ジメチルアミノフェニル)ピリジン、
2-(4′-ジメチルアミノフェニル)-4-メトキシキナゾリン、
4,4′-エチレンジオキシ-ビス〔2-(4-ジエチルアミノフェニル)キナゾリン〕
【0020】
なお、フルオラン類としては、キサンテン環を形成するフェニル基に置換基を有する化合物のほか、キサンテン環を形成するフェニル基に置換基を有すると共に、ラクトン環を形成するフェニル基にも置換基(例えば、メチル基等のアルキル基、塩素原子等のハロゲン原子)を有する青色または黒色を呈する化合物等であってもよい。
【0021】
(ロ)成分、即ち電子受容性化合物は、(イ)成分から電子を受け取り、(イ)成分の顕色剤として機能する化合物である。
電子受容性化合物としては、活性プロトンを有する化合物群、偽酸性化合物群〔酸ではないが、可逆熱変色性組成物中で酸として作用して(イ)成分を発色させる化合物群〕、および電子空孔を有する化合物群等から選択される化合物が挙げられる。上記の(ロ)成分の中でも、活性プロトンを有する化合物群から選択される化合物が好ましい。
【0022】
活性プロトンを有する化合物群としては、フェノール性水酸基を有する化合物およびその誘導体、カルボン酸およびその誘導体、酸性リン酸エステルおよびその誘導体、アゾ-ル系化合物およびその誘導体、1,2,3-トリアゾールおよびその誘導体、環状カルボスルホイミド類、炭素数2~5のハロヒドリン類、スルホン酸およびその誘導体、ならびに無機酸類等が挙げられる。カルボン酸およびその誘導体としては、芳香族カルボン酸およびその誘導体、または、炭素数2~5の脂肪族カルボン酸およびその誘導体が好ましい。
偽酸性化合物群としては、フェノール性水酸基を有する化合物の金属塩、カルボン酸の金属塩、酸性リン酸エステルの金属塩、スルホン酸の金属塩、芳香族カルボン酸無水物、脂肪族カルボン酸無水物、芳香族カルボン酸とスルホン酸の混合無水物、シクロオレフィンジカルボン酸無水物、尿素およびその誘導体、チオ尿素およびその誘導体、グアニジンおよびその誘導体、ならびにハロゲン化アルコール類等が挙げられる。
電子空孔を有する化合物群としては、硼酸塩類、硼酸エステル類、および無機塩類等が挙げられる。
【0023】
上記の(ロ)成分の中でも、より有効に熱変色特性を発現させることができることから、フェノール性水酸基を有する化合物が好ましい。
フェノール性水酸基を有する化合物には、モノフェノール化合物からポリフェノール化合物まで広く含まれ、さらに、ビスフェノール化合物およびトリスフェノール化合物、フェノール-アルデヒド縮合樹脂等もこれに含まれる。フェノール性水酸基を有する化合物は、少なくともベンゼン環を2以上有することが好ましい。また、フェノール性水酸基を有する化合物は、アルキル基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシ基およびそのエステルまたはアミド基、ハロゲン原子等の置換基を有していてもよい。
【0024】
フェノール性水酸基を有する化合物等の金属塩が含む金属としては、例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム、亜鉛、ジルコニウム、アルミニウム、マグネシウム、ニッケル、コバルト、スズ、銅、鉄、バナジウム、チタン、鉛、およびモリブデン等を例示できる。
【0025】
以下に(ロ)成分の化合物を例示する。
フェノール性水酸基を1つ有する化合物としては、例えば、
フェノール、
o-クレゾール、
m-クレゾール、
p-クレゾール、
4-エチルフェノール、
4-n-プロピルフェノール、
4-n-ブチルフェノール、
2-tert-ブチルフェノール、
3-tert-ブチルフェノール、
4-tert-ブチルフェノール、
4-n-ペンチルフェノール、
4-tert-ペンチルフェノール、
4-n-オクチルフェノール、
4-tert-オクチルフェノール、
4-n-ノニルフェノール、
4-n-ドデシルフェノール、
3-n-ペンタデシルフェノール、
4-n-ステアリルフェノール、
1-(4-ヒドロキシフェニル)デカン-1-オン、
4-クロロフェノール、
4-ブロモフェノール、
4-トリフルオロメチルフェノール、
4-メチルチオフェノール、
4-ニトロフェノール、
2-フェニルフェノール、
4-フェニルフェノール、
2-ベンジルフェノール、
2-ベンジル-4-クロロフェノール、
4-クミルフェノール、
4-ヒドロキシベンゾフェノン、
4-クロロ-4′-ヒドロキシベンゾフェノン、
4-フルオロ-4′-ヒドロキシベンゾフェノン、
4-シクロヘキシルフェノール、
2-ヒドロキシベンジルアルコール、
3-ヒドロキシベンジルアルコール、
4-ヒドロキシベンジルアルコール、
4-(2-ヒドロキシエチル)フェノール、
3-メトキシフェノール、
4-エトキシフェノール、
4-n-プロポキシフェノール、
4-n-ブトキシフェノール、
4-n-ヘプチルオキシフェノール、
4-(2-メトキシエチル)フェノール、
α-ナフトール、
β-ナフトール、
2,3-ジメチルフェノール、
2,4-ジメチルフェノール、
2,6-ジメチルフェノール、
2,6-ジ-tert-ブチルフェノール、
2,4-ジクロロフェノール、
2,4-ジフルオロフェノール、
チモール、
3-メチル-4-メチルチオフェノール、
2-tert-ブチル-5-メチルフェノール、
2,6-ビス(ヒドロキシメチル)-4-メチルフェノール、
2,3,5-トリメチルフェノール、
2,6-ビス(ヒドロキシメチル)-4-tert-オクチルフェノール、
6-ヒドロキシ-1,3-ベンゾオキサチオール-2-オン、
2,4-ビス(フェニルスルホニル)フェノール、
2,4-ビス(フェニルスルホニル)-5-メチルフェノール、
2,4-ビス(4-メチルフェニルスルホニル)フェノール、
2-フェニルフェノール、
4-フェニルフェノール、
2,6-ジフェニルフェノール、
3-ベンジルビフェニル-2-オール、
3,5-ジベンジルビフェニル-4-オール、
4-シアノ-4′-ヒドロキシビフェニル、
1-ヒドロキシベンゾトリアゾール、
1-ヒドロキシ-5-メチルベンゾトリアゾール、
1-ヒドロキシ-5-クロロベンゾトリアゾール、
1-ヒドロキシ-5-メトキシベンゾトリアゾール、
1-ヒドロキシ-4-ベンゾイルアミノベンゾトリアゾール、
1-ヒドロキシ-4,5,6,7-テトラクロロベンゾトリアゾール、
1,4-ヒドロキシベンゾトリアゾール、
1-ヒドロキシ-5-ニトロベンゾトリアゾール、
1-ヒドロキシ-5-フェニルベンゾトリアゾール、
1-ヒドロキシ-5-ベンジルベンゾトリアゾール、
1-ヒドロキシ-5-エチルベンゾトリアゾール、
1-ヒドロキシ-5-n-オクチルベンゾトリアゾール、
1-ヒドロキシ-5-n-ブチルベンゾトリアゾール、
4-ヒドロキシ安息香酸n-ブチル、
4-ヒドロキシ安息香酸n-オクチル、
4-ヒドロキシ安息香酸2-ヘプタデカフルオロオクチルエタン、
4-ヒドロキシ安息香酸ベンジル、
4-ヒドロキシ安息香酸ベンジルエステル、
4-ヒドロキシ安息香酸-o-メチルベンジル、
4-ヒドロキシ安息香酸-m-メチルベンジル、
4-ヒドロキシ安息香酸-p-メチルベンジル、
4-ヒドロキシ安息香酸-p-エチルベンジル、
4-ヒドロキシ安息香酸-p-プロピルベンジル、
4-ヒドロキシ安息香酸-p-tert-ブチルベンジル、
4-ヒドロキシ安息香酸フェニルエチル、
4-ヒドロキシ安息香酸-o-メチルフェニルエチル、
4-ヒドロキシ安息香酸-m-メチルフェニルエチル、
4-ヒドロキシ安息香酸-p-メチルフェニルエチル、
4-ヒドロキシ安息香酸-p-エチルフェニルエチル、
4-ヒドロキシ安息香酸-p-プロピルフェニルエチル、
4-ヒドロキシ安息香酸-p-tert-ブチルフェニルエチル
等を例示できる。
【0026】
フェノール性水酸基を2つ有する化合物としては、例えば、
レゾルシン、
2-メチルレゾルシン、
4-n-ヘキシルレゾルシン、
4-n-オクチルレゾルシン、
4-tert-オクチルレゾルシン、
4-ベンゾイルレゾルシン、
4-ニトロレゾルシン、
β-レゾルシン酸メチル、
β-レゾルシン酸ベンジル、
2-クロロ-4-ペンタノイルレゾルシン、
6-クロロ-4-ペンタノイルレゾルシン、
2-クロロ-4-ヘキサノイルレゾルシン、
6-クロロ-4-ヘキサノイルレゾルシン、
2-クロロ-4-プロパノイルレゾルシン、
6-クロロ-4-プロパノイルレゾルシン、
2,6-ジクロロ-4-プロパノイルレゾルシン、
6-フルオロ-4-プロパノイルレゾルシン、
2-クロロ-4-フェニルアセチルレゾルシン、
6-クロロ-4-フェニルアセチルレゾルシン、
2-クロロ-4-β-フェニルプロパノイルレゾルシン、
6-クロロ-4-β-フェニルプロパノイルレゾルシン、
2-クロロ-4-フェノキシアセチルレゾルシン、
6-クロロ-4-フェノキシアセチルレゾルシン、
4-ベンゾイル-2-クロロレゾルシン、
6-クロロ-4-m-メチルベンゾイルレゾルシン、
4-〔1′,3′,4′,9′a-テトラヒドロ-6′-ヒドロキシスピロ(シクロヘキサン-1,9′-[9H]-キサンテン)-4′a-[2H]-イル〕-1,3-ベンゼンジオール、
ヒドロキノン、
メチルヒドロキノン、
トリメチルヒドロキノン、
カテコール、
4-tert-ブチルカテコール、
1,6-ジヒドロキシナフタレン、
2,7-ジヒドロキシナフタレン、
1,5-ジヒドロキシナフタレン、
2,6-ジヒドロキシナフタレン、
2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、
4,4′-ジヒドロキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′-メチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-3′-メチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-メチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-エチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-プロピルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-イソプロピルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-ブチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-イソブチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-tert-ブチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-ペンチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-ヘキシルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-ヘプチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-オクチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-デシルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′,3′-ジメチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′,4′-ジメチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′,5′-ジメチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′,6′-ジメチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-3′,4′-ジメチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-3′,5′-ジメチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′,4′,6′-トリメチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′-メトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-3′-メトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-メトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′-エトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-エトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-プロポキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-イソプロポキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-ブトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-イソブトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-ペンチルオキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-ヘキシルオキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-ヘプチルオキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-オクチルオキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-ノニルオキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′,3′-ジメトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′,4′-ジメトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′,5′-ジメトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′,6′-ジメトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-3′,4′-ジメトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-3′,5′-ジメトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-3′,4′-ジエトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′,3′,4′-トリメトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′,3′,6′-トリメトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-3′,4′,5′-トリメトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-3′,4′,5′-トリエトキシベンゾフェノン
等を例示できる。
【0027】
さらにビスフェノール化合物としては、例えば、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ブタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ペンタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ヘキサン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ヘプタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-オクタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ノナン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-デカン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)デカン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ドデカン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2-メチルプロパン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3-メチルブタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3-メチルペンタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2,3-ジメチルペンタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2-エチルブタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2-エチルヘキサン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,7-ジメチルオクタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチル)シクロヘキサン、
ジフェノール酸、
1-フェニル-1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ブタン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ペンタン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ヘキサン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-へプタン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-オクタン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ノナン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-デカン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ドデカン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-6,10,14-トリメチルペンタデカン、
1-フェニル-1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)メチルプロピオネート、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブチルプロピオネート、
2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)メチルプロピオネート、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エチルプロピオネート、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-4-メチルペンタン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-4-メチルヘキサン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、
2,2-ビス(3,5-ジヒドロキシメチル-4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)ブタン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-イソプロピルフェニル)プロパン、
2,2-ビス(3-sec-ブチルフェニル-4-ヒドロキシ)プロパン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-フェニルフェニル)プロパン、
2,2-ビス(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2-ビス(3-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2-ビス(3,5-ジヒドロキシメチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)フルオレン、
1,3-ビス〔2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-プロピル〕ベンゼン、
1,4-ビス〔2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-プロピル〕ベンゼン、
3,3-ビス(4-ヒドロキシフェニル)オキシインドール、
3,3-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)オキシインドール、
ビス(2-ヒドロキシフェニル)メタン、
ビス(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)メタン、
ビス(2-ヒドロキシ-3-ヒドロキシメチル-5-メチル)メタン、
4,4′-〔1,4-フェニレンビス(1-メチルエチリデン)〕ビス(2-メチルフェノール)、
1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3-フェニルフェニル)シクロヘキサン、
3,3-エチレンオキシジフェノール、
1,4-ビス(4-ヒドロキシベンゾアート)-3-メチルベンゼン、
4,4″-ジヒドロキシ-3″-メチル-p-ターフェニル、
4,4″-ジヒドロキシ-3″-イソプロピル-p-ターフェニル、
2,2-ジメチル-1,3-ビス(4-ヒドロキシベンゾイルオキシ)プロパン、
2,2′-ビフェノール、
4,4′″-ジヒドロキシ-p-クアテルフェニル、
4,4-ジヒドロキシジフェニルエーテル、
ビス(4-ヒドロキシフェニルチオエチル)エーテル
ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン、
4-ベンジルオキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(4-メチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(4-エチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(4-n-プロピルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(4-イソプロピルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(4-n-ブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(4-イソブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(4-sec-ブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(4-tert-ブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(3-メチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(3-エチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(3-n-プロピルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(3-イソプロピルベンジルオキシ)-4′-ジヒドロキシフェニルスルホン、
4-(3-n-ブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(3-イソブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(3-sec-ブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(3-tert-ブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(2-メチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(2-エチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(2-n-プロピルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(2-イソプロピルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(2-n-ブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(2-イソブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(2-sec-ブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(2-tert-ブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
2,4′-ジヒドロキシジフェニルスルホン、
3,4′-ジヒドロキシジフェニルスルホン、
4-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-メチル-4′-ヒドロキジシフェニルスルホン、
4-エチル-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-n-プロピル-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-イソプロピル-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-クロロ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-フルオロ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-クロロ-2-メチル-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-メトキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-エトキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-n-プロポキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-イソプロポキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-n-ブトキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-イソブトキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-sec-ブトキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-tert-ブトキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-n-ペンチルオキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-イソペンチルオキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(1-プロペニルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(2-プロペニルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-ベンジルオキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(β-フェノキシエトキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(β-フェノキシプロポキシル)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
ビス(2-アリル-4-ヒドロキシジフェニル)スルホン、
ビス〔4-ヒドロキシ-3-(2-プロペニル)フェニル〕スルホン、
ビス(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)スルホン、
ビス(3,5-ジクロロ-4-ヒドロキシフェニル)スルホン、
ビス(3-フェニル-4-ヒドロキシフェニル)スルホン、
ビス(4-ヒドロキシ-3-n-プロピルフェニル)スルホン、
ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)スルホン、
3,4-ジヒドロキシジフェニルスルホン、
3′,4′-ジヒドロキシ-4-メチルジフェニルスルホン、
3,4,4′-トリヒドロキシジフェニルスルホン、
ビス(3,4-ジヒドロキシフェニル)スルホン、
2,3,4-トリヒドロキシジフェニルスルホン、
4-イソプロポキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-n-プロポキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-アリルオキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-ベンジルオキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(2-プロペニルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
3-ベンジル-4-ベンジルオキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
3-フェネチル-4-フェネチルオキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
3-メチルベンジル-4-メチルベンジルオキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-ベンジルオキシ-3′-ベンジル-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-フェネチルオキシ-3′-フェネチル-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-メチルベンジルオキシ-3′-メチルベンジル-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
α,α′-ビス{4-(p-ヒドロキシフェニルスルホン)フェノキシ}-p-キシレン、
4,4′-{オキシビス(エチレンオキシド-p-フェニレンスルホニル)}ジフェノール、
ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)スルフィド、
ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(3-エチル-4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(3,5-ジエチル-4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(4-ヒドロキシ-3-n-プロピルフェニル)スルフィド、
ビス(3,5-ジ-n-プロピル-4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(4-ヒドロキシ-3-n-ペンチルフェニル)スルフィド、
ビス(3-n-ヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(3-n-ヘプチル-4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(5-tert-オクチル-2-ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(2-ヒドロキシ-3-tert-オクチルフェニル)スルフィド、
ビス(2-ヒドロキシ-5-n-オクチル-フェニル)スルフィド、
ビス(5-クロロ-2-ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(4-ヒドロキシフェニルチオエトキシ)メタン、
1,5-(4-ヒドロキシフェニルチオ)-3-オキシペンタン、
1,8-ビス(4-ヒドロキシフェニルチオ)-3,6-ジオキサオクタン
等を例示できる。
【0028】
フェノール性水酸基を3つ有する化合物としては、例えば、ピロガロール、フロログルシノール、フロログルシノールカルボン酸、没食脂酸、没食子酸オクチル、没食子酸ドデシル等を例示できる。
【0029】
さらにトリスフェノール化合物としては、例えば、
4,4′,4″-メチリジントリスフェノール、
4,4′,4″-メチリジントリス(2-メチルフェノール)、
4,4′-〔(2-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2,3,5-トリメチルフェノール)、
4,4′-〔(4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-メチルフェノール)、
4,4′-〔(4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2,6-ジメチルフェノール)、
4,4′-〔(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチレン〕ビスフェノール、
4,4′-〔(4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-シクロヘキシル-5-メチルフェノール)、
4,4′,4″-エチリジントリスフェノール、
4,4′,4″-エチリジントリス(2-メチルフェノール)、
4,4′-〔(2-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-シクロヘキシル-5-メチルフェノール)、
2,6-ビス〔(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)メチル〕-4-メチルフェノール、
2,4-ビス〔(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)メチル〕-6-シクロヘキシルフェノール、
4,4′-[1-{4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}メチリデン]ビスフェノール、
4,4′-[1-{4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビスフェノール、
4,4′-[1-{4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}プロピリデン]ビスフェノール、
4,4′-[1-{4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}ブチリデン]ビスフェノール、
4,4′-[1-{4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}ペンチリデン]ビスフェノール、
4,4′-[1-{4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}ヘキシリデン]ビスフェノール、
4,4′-[1-{4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}ヘプチリデン]ビスフェノール、
4,4′-[1-{4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}イソブチリデン]ビスフェノール、
4,4′-[1-{4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}ネオペンチリデン]ビスフェノール、
2,2′-[1-{4-〔1-(2-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビスフェノール、
3,3′-[1-{4-〔1-(3-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビスフェノール、
4,4′-[1-{4-〔1-(3-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2-フルオロフェノール)、
4,4′-[1-{4-〔1-(3-クロロ-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2-クロロフェノール)、
4,4′-[1-{4-〔1-(3-ブロモ-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2-ブロモフェノール)、
4,4′-[1-{4-〔1-(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2-メチルフェノール)、
4,4′-[1-{4-〔1-(3-エチル-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2-エチルフェノール)、
4,4′-[1-{4-〔1-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2-tert-ブチルフェノール)、
4,4′-[1-{4-〔1-(4-ヒドロキシ-3-トリフルオロメチルフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2-トリフルオロメチルフェノール)、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-4-(4-ヒドロキシ-α-エチル)ベンジルシクロヘキサン、
4,4′-〔(3-エトキシ-4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビスフェノール、
4,4′-〔(3-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2,6-ジメチルフェノール)、
2,2′-〔(4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5-ジメチルフェノール)、
4,4′-〔(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(2,6-ジメチルフェノール)、
2,2′-〔(2-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5,6-トリメチルフェノール)、
4,4′-〔(3-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2,3,6-トリメチルフェノール)、
4,4′-〔(4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2,3,6-トリメチルフェノール)、
4,4′-〔(3-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-シクロヘキシル-5-メチルフェノール)、
4,4′-〔(4-ヒドロキシフェニル-3-メトキシ)メチレン〕ビス(2-シクロヘキシル-5-メチルフェノール)、
1,1-ビス(4-ヒドロキシルフェニル)-4-ヒドロキシフェニルシクロヘキサン、
4,4′-〔3-(5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)-3-フェニル)プロピリデン〕ビス(2-シクロヘキシル-5-メチルフェノール)、
4,4′-〔(2-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-メチルフェノール)、
2,4′,4″-メチリジントリスフェノール、
4,4′-〔(2-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(3-メチルフェノール)、
4,4′-〔4-(4-ヒドロキシフェニル)-sec-ブチリデン〕ビス(4-ヒドロキシフェノール)、
2,2′-〔(3-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5-ジメチルフェノール)、
4,4′-〔(2-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(2,5-ジメチルフェノール)、
4,4′-〔(2-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(2,6-ジメチルフェノール)、
2,2′-〔(2-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5-ジメチルフェノール)、
2,2′-〔(3-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5-ジメチルフェノール)、
2,2′-〔(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5-ジメチルフェノール)、
4,4′-〔(2-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-イソプロピルフェノール)、
4,4′-〔(3-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-イソプロピルフェノール)、
4,4′-〔(4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-イソプロピルフェノール)、
2,2′-〔(3-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5,6-トリメチルフェノール)、
2,2′-〔(4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5,6-トリメチルフェノール)、
2,2′-〔(3-エトキシ-4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5-ジメチルフェノール)、
1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-4-(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、
4,4′-〔(2-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(2-イソプロピルフェノール)、
4,4′-〔(3-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(2-イソプロピルフェノール)、
4,4′-〔(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(2-イソプロピルフェノール)、
2,2′-〔(2-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5,6-トリメチルフェノール、
2,2′-〔(3-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5,6-トリメチルフェノール)、
2,2′-〔(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5,6-トリメチルフェノール)、
4,4′-〔(3-エトキシ-4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-イソプロピルフェノール)、
2,2′-〔(3-エトキシ-4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5,6-トリメチルフェノール)、
4,4′-〔(3-エトキシ-4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2,3,6-トリメチルフェノール)、
1,1-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)-4-(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、
4,4′-〔(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(2-tert-ブチル-5-メチルフェノール)、
4,4′-〔(2-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-シクロヘキシルフェノール)、
4,4′-〔(3-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-シクロヘキシルフェノール)、
4,4′-〔(3-エトキシ-4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-tert-ブチル-6-メチルフェノール)、
4,4′-〔(3-メトキシ-2-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-シクロヘキシルフェノール)、
4,4′-〔(3-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(2-シクロヘキシルフェノール)、
4,4′-[1-{4-〔1-(3-フルオロ-4-ヒドロキシロフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2-tert-ブチルフェノール)、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2,6-ジメチルフェノール)、
4,4′-〔(3-エトキシ-4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-シクロヘキシル-5-メチルフェノール)、
4,4′-〔(3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)エチリデン〕ビス(2-シクロヘキシルフェノール)、
4,4′-〔(5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシ-2-メトキシフェニル)エチリデン〕ビス(2-シクロヘキシル-5-メチルフェノール)、
4,4′-[1-{4-〔1-(3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2-シクロヘキシルフェノール)、
4,4′-[1-{4-〔1-(3-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビスフェノール、
4,4′-[1-{4-〔1-(3-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2-メチルフェノール)、
4,4′-[1-{4-〔1-(3-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2,6-ジメチルフェノール)、
2,6-ビス〔(5-フルオロ-2-ヒドロキシフェニル)メチル〕-4-メチルフェノール、
2,6-ビス〔(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-4-メチルフェノール、
2,6-ビス〔(4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-4-メチルフェノール、
2,6-ビス〔(4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-4-エチルフェノール、
2,4-ビス〔(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)メチル〕-6-メチルフェノール、
2,6-ビス〔(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)メチル〕-4-メチルフェノール、
2,6-ビス〔(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)メチル〕-4-エチルフェノール、
2,6-ビス〔(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)メチル〕-4-エチルフェノール、
2,6-ビス〔(3,5-ジメチル-2-ヒドロキシフェニル)メチル〕-4-メチルフェノール、
2,6-ビス〔(2,4-ジメチル-6-ヒドロキシフェニル)メチル〕-4-メチルフェノール、
2,4-ビス〔(4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-6-シクロヘキシルフェノール、
2,6-ビス〔(2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-3,4-ジメチルフェノール、
2,6-ビス〔(2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-4-エチルフェノール、
2,6-ビス〔(4-ヒドロキシ-2,3,6-トリメチルフェニル)メチル〕-4-メチルフェノール、
2,4-ビス〔(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)メチル〕-6-シクロヘキシルフェノール、
2,6-ビス〔(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)メチル〕-4-シクロヘキシルフェノール、
2,6-ビス〔(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)メチル〕-4-シクロヘキシルフェノール、
2,6-ビス〔(4-ヒドロキシ-2,3,5-トリメチルフェニル)メチル〕-4-エチルフェノール、
2,4-ビス〔(2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-6-シクロヘキシルフェノール、
4,4′,4″-メチリジントリス(2,6-ジメチルフェノール)、
α-(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-α,α′-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-エチル-4-イソプロピルベンゼン、
α′-(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-α,α-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-エチル-4-イソプロピルベンゼン、
α,α-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-α′-(4-ヒドロキシフェニル)-1-エチル-4-イソプロピルベンゼン、
α,α′-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-α-(4-ヒドロキシフェニル)-1-エチル-4-イソプロピルベンゼン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルプロピル〕シクロヘキサン、
2,6-ビス〔(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-4-エチルフェノール、
1,1′-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)プロピル〕シクロヘキサン、
1,1′-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)プロピル〕シクロヘキサン、
1,1′-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)-4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)プロピル〕シクロヘキサン、
1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-〔4,4-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキシル〕-4-イソプロピルシクロヘキサン、
4,4′-〔3-(2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)ブチレン〕ビス(2,5-ジメチルフェノール)、
1,3,5-トリ(4-ヒドロキシ-3-フェニルフェニル)アダマンタン、
1,3,5-トリ(3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)アダマンタン、
2,4-ビス〔(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-6-シクロヘキシルフェノール、
2,6-ビス〔(2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-4-シクロヘキシルフェノール、
2,4-ビス〔(3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-6-メチルフェノール、
2,4-ビス〔(4-ヒドロキシ-2,3,5-トリメチルフェニル)メチル〕-6-シクロヘキシルフェノール、
2,6-ビス〔(5-フルオロ-2-ヒドロキシフェニル)メチル〕-4-フルオロフェノール、
2,6-ビス〔(3-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-4-フルオロフェノール、
2,4-ビス〔(3-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-6-メチルフェノール、
4,4′-〔3-(5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)-3-ビフェニルプロピリデン〕ビス(5-シクロヘキシル-2-メチルフェノール)、
4,4′-〔3-(2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)-3-フェニルプロピリデン〕ビス(2,5-ジメチルフェノール)、
2,4-ビス〔(2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-6-メチルフェノール、
1,1,2-トリス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、
1,1,3-トリス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,1,4-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、
1,2,2-トリス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,2,2-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、
1,2,2-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ペンタン、
1,2,2-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサン、
1,2,2-トリス(4-ヒドロキシフェニル)へプタン、
1,2,2-トリス(4-ヒドロキシフェニル)オクタン、
1,2,2-トリス(4-ヒドロキシフェニル)-3-メチルブタン
1,2,2-トリス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3-ジメチルブタン、
1,2,2-トリス(4-ヒドロキシフェニル)-4,4-ジメチルペンタン、
1,3,3-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、
1,3,3-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ペンタン、
1,3,3-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサン、
1,3,3-トリス(4-ヒドロキシフェニル)へプタン、
1,3,3-トリス(4-ヒドロキシフェニル)オクタン、
1,3,3-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ノナン、
1,4,4-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ペンタン、
1,4,4-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサン、
1,4,4-トリス(4-ヒドロキシフェニル)へプタン、
1,4,4-トリス(4-ヒドロキシフェニル)オクタン、
1,4,4-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ノナン、
1,4,4-トリス(4-ヒドロキシフェニル)デカン、
1,2,2-トリス(2-ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,1,2-トリス(3-ヒドロキシフェニル)プロパン、
1-(4-ヒドロキシフェニル)-2,2-ビス(2-ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,2,2-トリス(3-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,2,2-トリス(3-クロロ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,2,2-トリス(3-ブロモ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2-ビス(3-エチル-4-ヒドロキシフェニル)-1-(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2-ビス(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-1-(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2-ビス(2-ヒドロキシ-3-ビフェニリル)-1-(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2-ビス(3-トリフルオロメチル-4-ヒドロキシフェニル)-1-(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2-(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-1,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
1-(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
3-(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-1,3-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、
1-(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-3,3-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、
4-(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-1,4-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ペンタン、
1-(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-4,4-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ペンタン、
1,2-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-2-(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
3,3-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-1-(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、
1,3-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-3-(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、
4,4-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-1-(4-ヒドロキシフェニル)ペンタン、
1,4-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-4-(4-ヒドロキシフェニル)ペンタン、
1,1,2-トリス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)エタン、
1,2,2-トリス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,1,3-トリス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,3,3-トリス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)ブタン、
1,1,4-トリス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)ブタン、
1,4,4-トリス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)ペンタン、
4,4′-〔4-(4-ヒドロキシフェニル)-sec-ブチリデン〕ビス(2-メチルフェノール)
等を例示できる。
【0030】
フェノール性水酸基を4つ以上有する化合物としては、例えば、
ビス〔2-ヒドロキシ-3-(2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)-5-メチルフェニル〕メタン、
4,6-ビス〔(4-ヒドロキシフェニル)メチル)-1,3-ベンゼンジオール、
4,4′-〔(3,4-ジヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2,6-ジメチルフェノール)、
4,4′-〔(3,4-ジヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-シクロヘキシル-5-メチルフェノール)、
4,4′-〔(3,4-ジヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-メチルフェノール)、
4,4′-〔(3,4-ジヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2,3,6-トリメチルフェノール)、
1,1,2,2-テトラキス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、
4,4′,4″,4′″-(1,1,2,2-エタンテトライル)テトラキス(2-メチルフェノール)、
4,4′,4″,4′″-(1,1,2,2-エタンテトライル)テトラキス(2,6-ジメチルフェノール)、
4,4′,4″,4′″-(1,4-フェニレン)ビス(メチリジン)テトラキス(2,6-ジメチルフェノール)、
2,2-ビス〔4,4-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキシル〕プロパン、
2,2′-〔(3,4-ジヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5-ジメチルフェノール)、
4,6-ビス〔(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-1,3-ベンゼンジオール、
2,2′-〔(3,4-ジヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5,6-トリメチルフェノール)、
4,4′-〔(3,4-ジヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-シクロヘキシルフェノール)、
ビス〔4-ヒドロキシ-3-(2-ヒドロキシベンジル)-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔4-ヒドロキシ-3-(3-ヒドロキシベンジル)-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔4-ヒドロキシ-3-(4-ヒドロキシベンジル)-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔2-ヒドロキシ-3-(2-ヒドロキシベンジル)-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔2-ヒドロキシ-3-(3-ヒドロキシベンジル)-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔2-ヒドロキシ-3-(4-ヒドロキシベンジル)-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔2-ヒドロキシ-3-(3-ヒドロキシ-4-メチルベンジル)-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔2-ヒドロキシ-3-(4-ヒドロキシ-3-メチルベンジル)-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔2-ヒドロキシ-3-(3-ヒドロキシ-2-メチルベンジル)-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔2-ヒドロキシ-3-(2-ヒドロキシ-3-メチルベンジル)-5-メチルフェニル〕メタン、
α,α′,α″,α′″-テトラキス(4-ヒドロキシフェニル)-p-キシレン、
ビス〔2-ヒドロキシ-3-(4-ヒドロキシ-2,3,5-トリメチルベンジル)-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔2-ヒドロキシ-3-(2,5-ジメチル-3-ヒドロキシベンジル)-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔2-ヒドロキシ-3-(2,5-ジメチル-4-ヒドロキシベンジル)-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔2-ヒドロキシ-3-(2,5-ジメチル-5-ヒドロキシベンジル)-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔2-ヒドロキシ-3-(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシベンジル)-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔2-ヒドロキシ-3-(2-ヒドロキシ-3,4,6-トリメチルベンジル)-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔2-ヒドロキシ-3-(4-ヒドロキシ-2,3,6-トリメチルベンジル)-5-メチルフェニル〕メタン、
4,4,4′,4′-テトラキス(4-ヒドロキシフェニル)ビシクロヘキシル、
ビス〔4-ヒドロキシ-3-(5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシ-2-メチルベンジル)-5-メチルフェニル〕メタン、
4,4,4′,4′-テトラキス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)ビシクロヘキシル、
4,6-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)-1,2-ベンゼンジオール、
4,4,4′,4′-テトラキス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)ビシクロヘキシル、
1,1-ビス〔5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシ-3-(2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)フェニル〕シクロヘキサン、
1,1-ビス〔5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシ-3-(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシベンジル)フェニル〕シクロヘキサン、
1,1-ビス〔5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシ-3-(5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシ-2-メチルベンジル)フェニル〕シクロヘキサン、
4,6-ビス〔1-(4-ヒドロキシフェニル)エチル〕-1,3-ベンゼンジオール、
2,2-ビス〔4-ヒドロキシ-3-(4-ヒドロキシ-3-メチルベンジル)-5-メチルフェニル〕プロパン、
2,6-ビス〔(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)ベンジル〕-4-〔α-メチル-(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)ベンジル〕フェノール、
4,4,4′,4′-テトラキス(3-イソプロピル-4-ヒドロキシフェニル)ビシクロヘキシル、
4,4′-ビス〔(3,4-ジヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-イソプロピルフェノール)、
2,2′-ビス〔4,4-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキシル〕プロパン、
2,4,6-トリス(4-ヒドロキシベンジル)-1,3-ベンゼンジオール、
4,6-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシベンジル)-1,2,3-ベンゼントリオール、
3,3′-〔(2-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(5-メチル-1,2-ベンゼンジオール)、
2,6-ビス(2,4-ジヒドロキシベンジル)-4-エチルフェノール、
2,4-ビス(2,4-ジヒドロキシベンジル)-6-シクロヘキシルフェノール、
2,6-ビス(5-tert-ブチル-2,3-ジヒドロキシベンジル)-4-メチルフェノール、
2,4,6-トリス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシベンジル)-1,2-ベンゼンジオール、
2,4,6-トリス(3,5-ジメチル-2-ヒドロキシベンジル)-1,2-ベンゼンジオール、
2,6-ビス(2,4-ジヒドロキシベンジル)-3,4-ジメチルフェノール、
2,6-ビス〔3-(2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)-2,5-ジメチル-4-ヒドロキシベンジル〕-3,4-ジメチルフェノール、
4,6-ビス(α-メチル-4-ヒドロキシベンジル)-1,2,3-ベンゼントリオール、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(4-ヒドロキシベンジル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(4-ヒドロキシベンジル)フェノール〕、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルベンジル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルベンジル)フェノール〕、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシベンジル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシベンジル)フェノール〕、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(4-ヒドロキシ-2,3,6-トリメチルベンジル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(4-ヒドロキシ-2,3,6-トリメチルベンジル)フェノール〕、
ビス〔5-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔3-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル〕メタン、
ビス〔3-(2,4-ジヒドロキシ-3-メチルベンジル)-2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル〕メタン、
ビス〔5-(4-ヒドロキシベンジル)-2,3,4-トリヒドロキシフェニル〕メタン、
1,1-ビス〔5-(4-ヒドロキシベンゾイル)-2,3,4-トリヒドロキシフェニル〕エタン、
3,3′,5,5′-テトラキス(4-ヒドロキシベンジル)-4,4′-ジヒドロキシビフェニル、
3,3′,5,5′-テトラキス(4-ヒドロキシ-3-メチルベンジル)-4,4′-ジヒドロキシビフェニル、
3,3′,5,5′-テトラキス(2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)-4,4′-ジヒドロキシビフェニル、
3,3′,5,5′-テトラキス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシベンジル)-4,4′-ジヒドロキシビフェニル、
ビス〔3-(α,α-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)メチル-4-ヒドロキシフェニル〕メタン、
ビス〔3,5-ビス(2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)-4-ヒドロキシフェニル〕メタン、
4,4′,4″-エチリジントリス{〔2-(2-ヒドロキシ-5-メチル)ベンジル〕-6-メチルフェノール}、
2,2-ビス〔3,5-ビス(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニルメチル)フェニル〕プロパン、
ビス〔3-(α,α-ビス(2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メチル-4-ヒドロキシフェニル〕メタン、
ビス〔5-(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシベンジル)-2,3,4-トリヒドロキシフェニル〕メタン、
ビス〔3-(2,3,4-トリヒドロキシベンジル)-2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル〕メタン、
1,1-ビス〔3-(2,3,4-トリヒドロキシベンジル)-5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル〕シクロヘキサン、
1,8,15,22-テトラノニル-3,5,10,12,17,19,24,26-オクタヒドロキシ[1,1,1,1]-メタシクロファン、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(4-ヒドロキシ-2-メチルベンジル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(4-ヒドロキシ-2-メチルベンジル)フェノール〕、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)フェノール〕、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(3-エチル-4-ヒドロキシベンジル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(3-エチル-4-ヒドロキシベンジル)フェノール〕、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(3,5-ジメチル-2-ヒドロキシフェニル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(3,5-ジメチル-2-ヒドロキシフェニル)フェノール〕、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(4-ヒドロキシ-3-イソプロピルフェニル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(4-ヒドロキシ-3-イソプロピルフェニル)フェノール〕、
ビス〔3-(α,α-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メチル-4-ヒドロキシフェニル〕メタン、
ビス〔3-(α,α-ビス(5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)メチル-4-ヒドロキシフェニル〕メタン、
4,4′-〔4-ヒドロキシ-3,5-ビス(2-ヒドロキシベンジル)メチレン〕ビス〔2,6-ビス(2-ヒドロキシベンジル)〕フェノール、
4,4′-〔4-ヒドロキシ-3,5-ビス(4-ヒドロキシベンジル)メチレン〕ビス〔2,6-ビス(4-ヒドロキシベンジル)〕フェノール、
4,4′,4″-エチリジントリス〔2,6-ビス(2-ヒドロキシベンジル)フェノール〕、
4,4′,4″-エチリジントリス〔2,6-ビス(4-ヒドロキシベンジル)フェノール〕、
2,2-ビス〔3,5-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルベンジル)-4-ヒドロキシフェニル〕プロパン、
1,8,15,22-テトラエチル-3,5,10,12,17,19,24,26-オクタヒドロキシ[1,1,1,1]-メタシクロファン、
α,α′,α″,α′″-テトラキス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)-1,4-ジメチルベンゼン、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(2-ヒドロキシ-5-イソプロピルフェニル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(2-ヒドロキシ-5-イソプロピルフェニル)フェノール〕、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(4-ヒドロキシ-2,3,5-トリメチルフェニル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(4-ヒドロキシ-2,3,5-トリメチルフェニル)フェノール〕、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(3-sec-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(3-sec-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)フェノール〕、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)フェノール〕、
2,6-ビス{〔3-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-2,5-ジメチル-4-ヒドロキシ〕ベンジル}-4-メチルフェノール、
1,1-ビス〔5-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル〕シクロヘキサン、
1,1-ビス〔5-(2,3,4-トリヒドロキシベンジル)-3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル〕シクロヘキサン、
2,2-ビス〔4,4′,4″,4′″-テトラキス(3,5-ジヒドロキシメチル-4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキシル〕プロパン
等を例示できる。
【0031】
カルボン酸およびその誘導体としては、例えば、
3,5-ジ(α-メチルベンジル)サリチル酸、
4-(2-p-メトキシフェニルオキシエトキシ)サリチル酸、
4-ヒドロキシフェニル安息香酸、
4-クロロ安息香酸、
4-〔2-(p-メトキシフェノキシ)エチルオキシ〕サリチル酸、
4-〔3-(p-トリルスルホニル)プロピルオキシ〕サリチル酸、
5-〔p-(2-p-メトキシフェノキシエトキシ)クミル〕サリチル酸、
4-オクチルオキシカルボニルアミノサリチル酸、
3,5-ジスチレン化サリチル酸、
N-(p-トルエンスルホニル)-グリシン、
N-(p-トルエンスルホニル)-アラニン、
N-(p-トルエンスルホニル)-β-アラニン、
N-フェニルアミノカルボニル-グリシン、
N-フェニルアミノカルボニル-バリン、
N-(m-トリルアミノカルボニル)-フェニルアラニン、
N-(m-トリルアミノカルボニル)-システイン-S-ベンジル、
N-(m-トリルアミノカルボニル)-メチオニン、
N-(m-トリルアミノカルボニル)-チロシン、
N-(p-トリルアミノカルボニル)-フェニルアラニン、
N-(p-トリルアミノカルボニル)-システイン-S-ベンジル、
N-(p-トリルアミノカルボニル)-メチオニン、
N-(フェニルアミノカルボニル)-メチオニン、
N-(p-トリルアミノカルボニル)-チロシン、
2-O-(フェニルアミノカルボニル)-マンデル酸、
2-O-(p-トリルアミノカルボニル)-マンデル酸、
2-O-(m-トリルアミノカルボニル)-マンデル酸、
2-O-(o-トリルアミノカルボニル)-マンデル酸、
2-O-(1-ナフチルアミノカルボニル)-マンデル酸、
2-O-(3-イソプロペニル-α,α-ジメチルベンジルアミノカルボニル)-マンデル酸、
2-O-(ベンジルアミノカルボニル)-マンデル酸、
2-O-(フェネチルアミノカルボニル)-マンデル酸、
2-O-(フェニルアミノカルボニル)-乳酸、
2-O-(p-トリルアミノカルボニル)-乳酸、
2-O-(m-トリルアミノカルボニル)-乳酸、
2-O-(o-トリルアミノカルボニル)-乳酸、
2-O-(1-ナフチルアミノカルボニル)-乳酸、
2-O-(3-イソプロペニル-α,α-ジメチルベンジルアミノカルボニル)-乳酸、
2-O-(ベンジルアミノカルボニル)-乳酸、
2-O-(フェネチルアミノカルボニル)-乳酸
等を例示できる。
【0032】
酸性リン酸エステル化合物としては、例えば、メチルアシッドホスフェート、エチルアシッドホスフェート、ブチルアシッドホスフェート、ブトキシエチルアシッドホスフェート、2-エチルヘキシルアシッドホスフェート、イソデシルアシッドホスフェート、イソトリデシルアシッドホスフェート、オレイルアシッドホスフェート、テトラコシルアシッドホスフェート、モノブチルホスフェート、ジブチルホスフェート、モノイソデシルホスフェート、ビス(2-エチルヘキシル)ホスフェート等を例示できる。
【0033】
(ロ)成分として、より有効に熱変色特性を発現させることができることから、フェノール性水酸基を有する化合物が好ましいが、芳香族カルボン酸、炭素数2~5の脂肪族カルボン酸、カルボン酸金属塩、酸性リン酸エステルおよびその金属塩、ならびに1,2,3-トリアゾールおよびその誘導体から選ばれる化合物等であってもよい。
【0034】
(イ)成分および(ロ)成分による電子授受反応を特定温度域において可逆的に生起させる反応媒体の(ハ)成分について説明する。
(ハ)成分としては、アルコール類、エステル類、ケトン類、エーテル類、酸アミド類が挙げられる。
【0035】
可逆熱変色性組成物をマイクロカプセルに内包して二次加工に応用する場合は、低分子量のものは高熱処理を施すとカプセル外に蒸散するので、安定的にカプセル内に保持させるために炭素数10以上の化合物が好適に用いられる。
【0036】
アルコール類としては、炭素数10以上の脂肪族一価の飽和アルコールが有効であり、例えば、デシルアルコール、ウンデシルアルコール、ドデシルアルコール、トリデシルアルコール、テトラデシルアルコール、ペンタデシルアルコール、ヘキサデシルアルコール、ヘプタデシルアルコール、オクタデシルアルコール、エイコシルアルコール、ドコシルアルコール等を例示できる。
【0037】
エステル類としては、炭素数10以上のエステル類が有効であり、脂肪族および脂環或いは芳香環を有する一価カルボン酸と、脂肪族および脂環或いは芳香環を有する一価アルコールの任意の組み合わせから得られるエステル類、脂肪族および脂環或いは芳香環を有する多価カルボン酸と、脂肪族および脂環或いは芳香環を有する一価アルコールの任意の組み合わせから得られるエステル類、脂肪族および脂環或いは芳香環を有する一価カルボン酸と、脂肪族および脂環或いは芳香環を有する多価アルコールの任意の組み合わせから得られるエステル類が挙げられ、例えば、カプリル酸エチル、カプリル酸オクチル、カプリル酸ステアリル、カプリン酸ミリスチル、カプリン酸ドコシル、ラウリン酸2-エチルヘキシル、ラウリン酸n-デシル、ミリスチン酸3-メチルブチル、ミリスチン酸セチル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸ネオペンチル、パルミチン酸ノニル、パルミチン酸シクロヘキシル、ステアリン酸n-ブチル、ステアリン酸2-メチルブチル、ステアリン酸3,5,5-トリメチルヘキシル、ステアリン酸n-ウンデシル、ステアリン酸ペンタデシル、ステアリン酸ステアリル、ステアリン酸シクロヘキシルメチル、ベヘン酸イソプロピル、ベヘン酸ヘキシル、ベヘン酸ラウリル、ベヘン酸ベヘニル、安息香酸セチル、4-tert-ブチル安息香酸ステアリル、フタル酸ジミリスチル、フタル酸ジステアリル、シュウ酸ジミリスチル、シュウ酸ジセチル、マロン酸ジセチル、コハク酸ジラウリル、グルタル酸ジラウリル、アジピン酸ジウンデシル、アゼライン酸ジラウリル、セバシン酸ジ-(n-ノニル)、1,18-オクタデシルメチレンジカルボン酸ジネオペンチル、エチレングリコールジミリステート、プロピレングリコールジラウレート、プロピレングリコールジステアレート、ヘキシレングリコールジパルミテート、1,5-ペンタンジオールジステアレート、1,2,6-ヘキサントリオールトリミリステート、1,4-シクロヘキサンジオールジデシル、1,4-シクロヘキサンジメタノールジミリステート、キシレングリコールジカプリネート、キシレングリコールジステアレート等を例示できる。
【0038】
また、飽和脂肪酸と分枝脂肪族アルコールとのエステル、不飽和脂肪酸または分枝若しくは置換基を有する飽和脂肪酸と、分岐状であるかまたは炭素数16以上の脂肪族アルコールとのエステル化合物も有効である。
【0039】
エステル化合物としては、例えば、酪酸2-エチルヘキシル、ベヘン酸2-エチルヘキシル、ミリスチン酸2-エチルヘキシル、カプリン酸2-エチルヘキシル、ラウリン酸3,5,5-トリメチルヘキシル、パルミチン酸3,5,5-トリメチルヘキシル、ステアリン酸3,5,5-トリメチルヘキシル、カプロン酸2-メチルブチル、カプリル酸2-メチルブチル、カプリン酸2-メチルブチル、パルミチン酸1-エチルプロピル、ステアリン酸1-エチルプロピル、ベヘン酸1-エチルプロピル、ラウリン酸1-エチルヘキシル、ミリスチン酸1-エチルヘキシル、パルミチン酸1-エチルヘキシル、カプロン酸2-メチルペンチル、カプリル酸2-メチルペンチル、カプリン酸2-メチルペンチル、ラウリン酸2-メチルペンチル、ステアリン酸2-メチルブチル、ステアリン酸2-メチルブチル、ステアリン酸3-メチルブチル、ステアリン酸1-メチルヘプチル、ベヘン酸2-メチルブチル、ベヘン酸3-メチルブチル、ステアリン酸1-メチルヘプチル、ベヘン酸1-メチルヘプチル、カプロン酸1-エチルペンチル、パルミチン酸1-エチルペンチル、ステアリン酸1-メチルプロピル、ステアリン酸1-メチルオクチル、ステアリン酸1-メチルヘキシル、ラウリン酸1,1-ジメチルプロピル、カプリン酸1-メチルペンチル、パルミチン酸2-メチルヘキシル、ステアリン酸2-メチルヘキシル、ベヘン酸2-メチルヘキシル、ラウリン酸3,7-ジメチルオクチル、ミリスチン酸3,7-ジメチルオクチル、パルミチン酸3,7-ジメチルオクチル、ステアリン酸3,7-ジメチルオクチル、ベヘン酸3,7-ジメチルオクチル、オレイン酸ステアリル、オレイン酸ベヘニル、リノール酸ステアリル、リノール酸ベヘニル、エルカ酸3,7-ジメチルオクチル、エルカ酸ステアリル、エルカ酸イソステアリル、イソステアリン酸セチル、イソステアリン酸ステアリル、12-ヒドロキシステアリン酸2-メチルペンチル、18-ブロモステアリン酸2-エチルヘキシル、2-ケトミリスチン酸イソステアリル、2-フルオロミリスチン酸2-エチルヘキシル、酪酸セチル、酪酸ステアリル、酪酸ベヘニル等を例示できる。
【0040】
さらに、色濃度-温度曲線に関して大きなヒステリシス特性を示して変色し、温度変化に依存して色彩記憶性を与えるためには、特公平4-17154号公報に記載された5℃以上50℃未満のΔT値(融点-曇点)を示すカルボン酸エステル化合物、例えば、分子中に置換芳香族環を含むカルボン酸エステル、無置換芳香族環を含むカルボン酸と炭素数10以上の脂肪族アルコールとのエステル、分子中にシクロヘキシル基を含むカルボン酸エステル、炭素数6以上の脂肪酸と無置換芳香族アルコールまたはフェノールとのエステル、炭素数8以上の脂肪酸と分岐脂肪族アルコールとのエステル、ジカルボン酸と芳香族アルコールまたは分岐脂肪族アルコールとのエステル、ケイ皮酸ジベンジル、ステアリン酸ヘプチル、アジピン酸ジデシル、アジピン酸ジラウリル、アジピン酸ジミリスチル、アジピン酸ジセチル、アジピン酸ジステアリル、トリラウリン、トリミリスチン、トリステアリン、ジミリスチン、ジステアリン等を例示できる。
【0041】
また、炭素数9以上の奇数の脂肪族一価アルコールと炭素数が偶数の脂肪族カルボン酸から得られる脂肪酸エステル化合物、n-ペンチルアルコールまたはn-ヘプチルアルコールと、炭素数10~16の偶数の脂肪族カルボン酸より得られる総炭素数17~23の脂肪酸エステル化合物も有効である。
【0042】
脂肪酸エステル化合物としては、例えば、酢酸n-ペンタデシル、酪酸n-トリデシル、酪酸n-ペンタデシル、カプロン酸n-ウンデシル、カプロン酸n-トリデシル、カプロン酸n-ペンタデシル、カプリル酸n-ノニル、カプリル酸n-ウンデシル、カプリル酸n-トリデシル、カプリル酸n-ペンタデシル、カプリン酸n-ヘプチル、カプリン酸n-ノニル、カプリン酸n-ウンデシル、カプリン酸n-トリデシル、カプリン酸n-ペンタデシル、ラウリン酸n-ペンチル、ラウリン酸n-ヘプチル、ラウリン酸n-ノニル、ラウリン酸n-ウンデシル、ラウリン酸n-トリデシル、ラウリン酸n-ペンタデシル、ミリスチン酸n-ペンチル、ミリスチン酸n-ヘプチル、ミリスチン酸n-ノニル、ミリスチン酸n-ウンデシル、ミリスチン酸n-トリデシル、ミリスチン酸n-ペンタデシル、パルミチン酸n-ペンチル、パルミチン酸n-ヘプチル、パルミチン酸n-ノニル、パルミチン酸n-ウンデシル、パルミチン酸n-トリデシル、パルミチン酸n-ペンタデシル、ステアリン酸n-ノニル、ステアリン酸n-ウンデシル、ステアリン酸n-トリデシル、ステアリン酸n-ペンタデシル、エイコサン酸n-ノニル、エイコサン酸n-ウンデルシ、エイコサン酸n-トリデシル、エイコサン酸n-ペンタデシル、ベヘニン酸n-ノニル、ベヘニン酸n-ウンデシル、ベヘニン酸n-トリデシル、ベヘニン酸n-ペンタデシル等を例示できる。
【0043】
ケトン類としては、総炭素数が10以上の脂肪族ケトン類が有効であり、例えば、2-デカノン、3-デカノン、4-デカノン、2-ウンデカノン、3-ウンデカノン、4-ウンデカノン、5-ウンデカノン、2-ドデカノン、3-ドデカノン、4-ドデカノン、5-ドデカノン、2-トリデカノン、3-トリデカノン、2-テトラデカノン、2-ペンタデカノン、8-ペンタデカノン、2-ヘキサデカノン、3-ヘキサデカノン、9-ヘプタデカノン、2-ペンタデカノン、2-オクタデカノン、2-ノナデカノン、10-ノナデカノン、2-エイコサノン、11-エイコサノン、2-ヘンエイコサノン、2-ドコサノン、ラウロン、ステアロン等を例示できる。
【0044】
さらには、総炭素数が12~24のアリールアルキルケトン類、例えば、n-オクタデカノフェノン、n-ヘプタデカノフェノン、n-ヘキサデカノフェノン、n-ペンタデカノフェノン、n-テトラデカノフェノン、4-n-ドデカアセトフェノン、n-トリデカノフェノン、4-n-ウンデカノアセトフェノン、n-ラウロフェノン、4-n-デカノアセトフェノン、n-ウンデカノフェノン、4-n-ノニルアセトフェノン、n-デカノフェノン、4-n-オクチルアセトフェノン、n-ノナノフェノン、4-n-ヘプチルアセトフェノン、n-オクタノフェノン、4-n-ヘキシルアセトフェノン、4-n-シクロヘキシルアセトフェノン、4-tert-ブチルプロピオフェノン、n-ヘプタフェノン、4-n-ペンチルアセトフェノン、シクロヘキシルフェニルケトン、ベンジル-n-ブチルケトン、4-n-ブチルアセトフェノン、n-ヘキサノフェノン、4-イソブチルアセトフェノン、1-アセトナフトン、2-アセトナフトン、シクロペンチルフェニルケトン等を例示できる。
【0045】
エーテル類としては、総炭素数10以上の脂肪族エーテル類が有効であり、例えば、ジペンチルエーテル、ジヘキシルエーテル、ジヘプチルエーテル、ジオクチルエーテル、ジノニルエーテル、ジデシルエーテル、ジウンデシルエーテル、ジドデシルエーテル、ジトリデシルエーテル、ジテトラデシルエーテル、ジペンタデシルエーテル、ジヘキサデシルエーテル、ジオクタデシルエーテル、デカンジオールジメチルエーテル、ウンデカンジオールジメチルエーテル、ドデカンジオールジメチルエーテル、トリデカンジオールジメチルエーテル、デカンジオールジエチルエーテル、ウンデカンジオールジエチルエーテル等を例示できる。
【0046】
酸アミド類としては、例えば、アセトアミド、プロピオン酸アミド、酪酸アミド、カプロン酸アミド、カプリル酸アミド、カプリン酸アミド、ラウリン酸アミド、ミリスチン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘニン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、ベンズアミド、カプロン酸アニリド、カプリル酸アニリド、カプリン酸アニリド、ラウリン酸アニリド、ミリスチン酸アニリド、パルミチン酸アニリド、ステアリン酸アニリド、ベヘニン酸アニリド、オレイン酸アニリド、エルカ酸アニリド、カプロン酸N-メチルアミド、カプリル酸N-メチルアミド、カプリン酸N-メチルアミド、ラウリン酸N-メチルアミド、ミリスチン酸N-メチルアミド、パルミチン酸N-メチルアミド、ステアリン酸N-メチルアミド、ベヘニン酸N-メチルアミド、オレイン酸N-メチルアミド、エルカ酸N-メチルアミド、ラウリン酸N-エチルアミド、ミリスチン酸N-エチルアミド、パルミチン酸N-エチルアミド、ステアリン酸N-エチルアミド、オレイン酸N-エチルアミド、ラウリン酸N-ブチルアミド、ミリスチン酸N-ブチルアミド、パルミチン酸N-ブチルアミド、ステアリン酸N-ブチルアミド、オレイン酸N-ブチルアミド、ラウリン酸N-オクチルアミド、ミリスチン酸N-オクチルアミド、パルミチン酸N-オクチルアミド、ステアリン酸N-オクチルアミド、オレイン酸N-オクチルアミド、ラウリン酸N-ドデシルアミド、ミリスチン酸N-ドデシルアミド、パルミチン酸N-ドデシルアミド、ステアリン酸N-ドデシルアミド、オレイン酸N-ドデシルアミド、ジラウリン酸アミド、ジミリスチン酸アミド、ジパルミチン酸アミド、ジステアリン酸アミド、ジオレイン酸アミド、トリラウリン酸アミド、トリミリスチン酸アミド、トリパルミチン酸アミド、トリステアリン酸アミド、トリオレイン酸アミド、コハク酸アミド、アジピン酸アミド、グルタル酸アミド、マロン酸アミド、アゼライン酸アミド、マレイン酸アミド、コハク酸N-メチルアミド、アジピン酸N-メチルアミド、グルタル酸N-メチルアミド、マロン酸N-メチルアミド、アゼライン酸N-メチルアミド、コハク酸N-エチルアミド、アジピン酸N-エチルアミド、グルタル酸N-エチルアミド、マロン酸N-エチルアミド、アゼライン酸N-エチルアミド、コハク酸N-ブチルアミド、アジピン酸N-ブチルアミド、グルタル酸N-ブチルアミド、マロン酸N-ブチルアミド、アジピン酸N-オクチルアミド、アジピン酸N-ドデシルアミド等を例示できる。
【0047】
また、(ハ)成分として下記式(1)で示される化合物であってもよい。
【化1】
〔式中、R
1は水素原子またはメチル基を示し、mは0~2の整数を示し、X
1およびX
2のいずれか一方は-(CH
2)
nOCOR
2または(CH
2)
nCOOR
2、他方は水素原子を示し、nは0~2の整数を示し、R
2は炭素数4以上のアルキル基またはアルケニル基を示し、Y
1およびY
2はそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、メトキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示し、rおよびpはそれぞれ独立して、1~3の整数を示す。〕
【0048】
式(3)で示される化合物のうち、R1が水素原子の場合、より広いヒステリシス幅を有する可逆熱変色性組成物が得られるため好ましく、さらにR1が水素原子であり、且つ、mが0の場合がより好ましい。
【0049】
なお、式(1)で示される化合物のうち、より好ましくは下記式(2)で示される化合物である。
【化2】
(式中、Rは炭素数8以上のアルキル基またはアルケニル基を示し、好ましくは炭素数10~24のアルキル基であり、より好ましくは炭素数12~22のアルキル基である。)
【0050】
式(2)で示される化合物としては、例えば、オクタン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル、ノナン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル、デカン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル、ウンデカン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル、ドデカン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル、トリデカン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル、テトラデカン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル、ペンタデカン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル、ヘキサデカン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル、ヘプタデカン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル、オクタデカン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル等を例示できる。
【0051】
さらに、(ハ)成分として下記式(3)で示される化合物であってもよい。
【化3】
(式中、Rは炭素数8以上のアルキル基またはアルケニル基を示し、mおよびnはそれぞれ独立して、1~3の整数を示し、XおよびYはそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示す。)
【0052】
式(3)で示される化合物としては、例えば、オクタン酸1,1-ジフェニルメチル、ノナン酸1,1-ジフェニルメチル、デカン酸1,1-ジフェニルメチル、ウンデカン酸1,1-ジフェニルメチル、ドデカン酸1,1-ジフェニルメチル、トリデカン酸1,1-ジフェニルメチル、テトラデカン酸1,1-ジフェニルメチル、ペンタデカン酸1,1-ジフェニルメチル、ヘキサデカン酸1,1-ジフェニルメチル、ヘプタデカン酸1,1-ジフェニルメチル、オクタデカン酸1,1-ジフェニルメチル等を例示できる。
【0053】
さらに、(ハ)成分として下記式(4)で示される化合物であってもよい。
【化4】
(式中、Xは水素原子、炭素数1~4のアルキル基、メトキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示し、mは1~3の整数を示し、nは1~20の整数を示す。)
【0054】
式(4)で示される化合物としては、例えば、マロン酸と2-〔4-(4-クロロベンジルオキシ)フェニル〕エタノールとのジエステル、こはく酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、こはく酸と2-〔4-(3-メチルベンジルオキシ)フェニル〕エタノールとのジエステル、グルタル酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、グルタル酸と2-〔4-(4-クロロベンジルオキシ)フェニル〕エタノールとのジエステル、アジピン酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、ピメリン酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、スベリン酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、スベリン酸と2-〔4-(3-メチルベンジルオキシ)フェニル〕エタノールとのジエステル、スベリン酸と2-〔4-(4-クロロベンジルオキシ)フェニル〕エタノールとのジエステル、スベリン酸と2-〔4-(2,4-ジクロロベンジルオキシ)フェニル〕エタノールとのジエステル、アゼライン酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、セバシン酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、1,10-デカンジカルボン酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、1,18-オクタデカンジカルボン酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、1,18-オクタデカンジカルボン酸と2-〔4-(2-メチルベンジルオキシ)フェニル〕エタノールとのジエステル等を例示できる。
【0055】
さらに、(ハ)成分として下記式(5)で示される化合物であってもよい。
【化5】
(式中、Rは炭素数1~21のアルキル基またはアルケニル基を示し、nは1~3の整数を示す。)
【0056】
式(5)で示される化合物としては、例えば、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとカプリン酸とのジエステル、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとウンデカン酸とのジエステル、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとラウリン酸とのジエステル、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとミリスチン酸とのジエステル、1,4-ビス(ヒドロキシメトキシ)ベンゼンと酪酸とのジエステル、1,4-ビス(ヒドロキシメトキシ)ベンゼンとイソ吉草酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンと酢酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとプロピオン酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンと吉草酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとカプロン酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとカプリル酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとカプリン酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとラウリン酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとミリスチン酸とのジエステル等を例示できる。
【0057】
さらに、(ハ)成分として下記式(6)で示される化合物であってもよい。
【化6】
(式中、Xは水素原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示し、mは1~3の整数を示し、nは1~20の整数を示す。)
【0058】
式(6)で示される化合物としては、例えば、こはく酸と2-フェノキシエタノールとのジエステル、スベリン酸と2-フェノキシエタノールとのジエステル、セバシン酸と2-フェノキシエタノールとのジエステル、1,10-デカンジカルボン酸と2-フェノキシエタノールとのジエステル、1,18-オクタデカンジカルボン酸と2-フェノキシエタノールとのジエステル等を例示できる。
【0059】
さらに、(ハ)成分として下記式(7)で示される化合物であってもよい。
【化7】
(式中、Rは炭素数4~22のアルキル基、シクロアルキルアルキル基、シクロアルキル基、炭素数4~22のアルケニル基のいずれかを示し、Xは水素原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示し、nは0または1を示す。)
【0060】
式(7)で示される化合物としては、例えば、4-フェニル安息香酸デシル、4-フェニル安息香酸ラウリル、4-フェニル安息香酸ミリスチル、4-フェニル安息香酸シクロヘキシルエチル、4-ビフェニル酢酸オクチル、4-ビフェニル酢酸ノニル、4-ビフェニル酢酸デシル、4-ビフェニル酢酸ラウリル、4-ビフェニル酢酸ミリスチル、4-ビフェニル酢酸トリデシル、4-ビフェニル酢酸ペンタデシル、4-ビフェニル酢酸セチル、4-ビフェニル酢酸シクロペンチル、4-ビフェニル酢酸シクロヘキシルメチル、4-ビフェニル酢酸ヘキシル、4-ビフェニル酢酸シクロヘキシルメチル等を例示できる。
【0061】
さらに、(ハ)成分として下記式(8)で示される化合物であってもよい。
【化8】
(式中、Rは炭素数3~18のアルキル基または炭素数3~18の脂肪族アシル基を示し、Xは水素原子、炭素数1~3のアルキル基、炭素数1または2のアルコキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示し、Yは水素原子またはメチル基を示し、Zは水素原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1または2のアルコキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示す。)
式(8)で示される化合物としては、例えば、4-ブトキシ安息香酸フェノキシエチル、4-ペンチルオキシ安息香酸フェノキシエチル、4-テトラデシルオキシ安息香酸フェノキシエチル、4-ヒドロキシ安息香酸フェノキシエチルとドデカン酸とのエステル、バニリン酸フェノキシエチルのドデシルエーテル等を例示できる。
【0062】
さらに、(ハ)成分として下記式(9)で示される化合物であってもよい。
【化9】
(式中、Rは炭素数4~22のアルキル基、炭素数4~22のアルケニル基、シクロアルキルアルキル基、シクロアルキル基のいずれかを示し、Xは水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示し、Yは水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示し、nは0または1を示す。)
【0063】
式(9)で示される化合物としては、例えば、4-ヒドロキシ安息香酸オクチルの安息香酸エステル、4-ヒドロキシ安息香酸デシルの安息香酸エステル、4-ヒドロキシ安息香酸ヘプチルの4-メトキシ安息香酸エステル、4-ヒドロキシ安息香酸ドデシルの2-メトキシ安息香酸エステル、4-ヒドロキシ安息香酸シクロヘキシルメチルの安息香酸エステル等を例示できる。
【0064】
さらに、(ハ)成分として下記式(10)で示される化合物であってもよい。
【化10】
(式中、Rは炭素数3~18のアルキル基、炭素数6~11のシクロアルキルアルキル基、炭素数5~7のシクロアルキル基、炭素数3~18のアルケニル基のいずれかを示し、Xは水素原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~3のアルコキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示し、Yは水素原子、炭素数1~4のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示す。)
【0065】
式(10)で示される化合物としては、例えば、4-ヒドロキシ安息香酸ノニルのフェノキシエチルエーテル、4-ヒドロキシ安息香酸デシルのフェノキシエチルエーテル、4-ヒドロキシ安息香酸ウンデシルのフェノキシエチルエーテル、バニリン酸ドデシルのフェノキシエチルエーテル等を例示できる。
【0066】
さらに、(ハ)成分として下記式(11)で示される化合物であってもよい。
【化11】
(式中、Rは炭素数3~8のシクロアルキル基または炭素数4~9のシクロアルキルアルキル基を示し、nは1~3の整数を示す。)
【0067】
式(11)で示される化合物としては、例えば、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとシクロヘキサンカルボン酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとシクロヘキサンプロピオン酸とのジエステル、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとシクロヘキサンプロピオン酸とのジエステル等を例示できる。
【0068】
さらに、(ハ)成分として下記式(12)で示される化合物であってもよい。
【化12】
(式中、Rは炭素数3~17のアルキル基、炭素数3~8のシクロアルキル基、炭素数5~8のシクロアルキルアルキル基のいずれかを示し、Xは水素原子、炭素数1~5のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示し、nは1~3の整数を示す。)
【0069】
式(12)で示される化合物としては、例えば、4-フェニルフェノールエチレングリコールエーテルとシクロヘキサンカルボン酸とのジエステル、4-フェニルフェノールジエチレングリコールエーテルとラウリン酸とのジエステル、4-フェニルフェノールトリエチレングリコールエーテルとシクロヘキサンカルボン酸とのジエステル、4-フェニルフェノールエチレングリコールエーテルとオクタン酸とのジエステル、4-フェニルフェノールエチレングリコールエーテルとノナン酸とのジエステル、4-フェニルフェノールエチレングリコールエーテルとデカン酸とのジエステル、4-フェニルフェノールエチレングリコールエーテルとミリスチン酸とのジエステル等を例示できる。
【0070】
更に、電子受容性化合物として炭素数3乃至18の直鎖または側鎖アルキル基を有する特定のアルコキシフェノール化合物を用いたり(特開平11-129623号公報、特開平11-5973号公報)、特定のヒドロキシ安息香酸エステルを用いたり(特開2001-105732号公報)、没食子酸エステル等を用いた(特公昭51-44706号公報、特開2003-253149号公報)加熱発色型(加熱により発色し、冷却により消色する)の可逆熱変色性組成物を適用することもできる(
図3参照)。
【0071】
上記の可逆熱変色性組成物は、上記の(イ)成分、(ロ)成分、および(ハ)成分を必須成分とする相溶体であり、各成分の割合は、濃度、変色温度、変色形態や各成分の種類に左右されるが、一般的に所望の特性が得られる成分比は、(イ)成分1に対して、(ロ)成分0.1~100、好ましくは0.1~50、より好ましくは0.5~20、(ハ)成分5~200、好ましくは5~100、より好ましくは10~100の範囲である(上記した割合はいずれも質量部である)。
【0072】
さらに、可逆熱変色性組成物には、必要により各種光安定剤を配合しても良い。
光安定剤は、(イ)成分、(ロ)成分、および(ハ)成分からなる可逆熱変色性組成物の光劣化を防止するために含有され、(イ)成分1質量%に対して0.3~24質量%、好ましくは0.3~16質量%の割合で配合される。また、光安定剤のうち、紫外線吸収剤は、太陽光等に含まれる紫外線を効果的にカットして、(イ)成分の光反応による励起状態によって生ずる光劣化を防止する。また、酸化防止剤、一重項酸素消光剤、スーパーオキシドアニオン消光剤、オゾン消光剤等は光による酸化反応を抑制する。
光安定剤は単独で用いてもよいし、二種以上を併用して用いてもよい。
【0073】
本発明においては、マイクロカプセルは特定の構造を有している。その特定の構造は、マイクロカプセル顔料に含まれるマイクロカプセル、またはインキ組成物に含まれるマイクロカプセルの平均粒子径(X)と、画像解析によって得られる、平均切断断面膜厚(Y)とによって表現される。
【0074】
本発明において、平均粒子径は体積基準による平均粒子径(メジアン径)を用いる。
平均粒子径の最適な測定方法としては直接的測定法にてキャリブレーションを行ったレーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置、例えばレーザー回折式粒度分布測定装置LA-300(商品名、株式会社堀場製作所製)を用いて測定できる。
【0075】
キャリブレーションに用いる直接的測定法としては、
(i)顕微鏡で撮影した画像から個々の粒子の面積(2次元)を計測して相当径を測定する画像解析法、
(ii)コールターカウンターを用いて検出器の微小な穴(アパチャー)に定電流を流し、その穴を粒子が通過する際に生じるインピーダンスの変化から相当径を測定する、コールター法(電気的検知帯法)などが挙げられ、レーザー測定法のキャリブレーションはこれらによって得られた値を元に行なう。
【0076】
画像解析法による平均粒子径の測定は、例えば、画像解析式粒度分布測定ソフトウェア「マックビュー」(商品名、株式会社マウンテック製)を用いて粒子の領域を判定し、粒子の領域の面積から投影面積円相当径(Heywood径)を算出し、その値による等体積球相当の粒子の平均粒子径として測定することができる。
なお、コールター法による平均粒子径の測定は、全ての粒子、あるいは、大部分の粒子の粒子径が0.2μmを超える場合に適用可能であり、例えば、ベックマン・コールター社製の粒度分布測定装置「Multisizer 4e」を用いて測定することができる。
【0077】
また、本発明によるインキ組成物に含まれるマイクロカプセル顔料は、マイクロカプセルの平均切断断面膜厚(Y)が特定される。切断断面膜厚は、凍結されたマイクロカプセル顔料の断面画像を画像解析することによって得ることができる。具体的には、
(i)マイクロカプセル顔料の分散体、例えば水分散体を凍結し、
(ii)ミクロトームにより、厚さ50μmの薄片試料を作製し、
(iii)得られた薄片試料を、透過型電子顕微鏡、例えばHT7700(商品名、株式会社日立ハイテク製)により、視野内マイクロカプセル数が100~200程度の視野を観察し、
(iv)視野内のマイクロカプセルのそれぞれについて被膜断面の外周で囲まれた領域の面積、および被膜断面の内周で囲まれた領域の面積を測定し、
(v)求められた二つの面積から、断面外周直径および断面内周直径をそれぞれ算出し、
(vi)視野内のすべてのマイクロカプセルについて、
切断断面膜厚 =(断面外周直径-断面内周直径)/2
に基づいて、切断断面膜厚を算出し、その平均値を平均切断断面膜厚とする。
(iv)および(v)における断面外周直径および断面内周直径の決定は、上記した画像解析ソフトにより行うことができる。
なお、本発明における平均切断断面膜厚の算出は、上記(iv)、(v)によって切断断面膜厚の測定および算出ができたカプセルを対象とする。
【0078】
なお、本発明において切断断面膜厚は、単純にマイクロカプセルの被膜の厚さに対応するものではなく、膜厚とは異なったパラメーターである。マイクロカプセルの被膜の厚さを測定するのは、一般に非常に困難である。なぜならば、被膜の厚さを直接的に観察するには、マイクロカプセルの中心を通る切断面を観察する必要がある。しかし、粒径分布を有するマイクロカプセルのすべてについて、そのような切断面を得ることが困難である。さらに、マイクロカプセルは球形に近い形状を有することが多いが、内包物の膨張や収縮などによって異形化することがあり、マイクロカプセルの中心を定めることが困難な場合もある。これらの理由が複合するので、被膜の厚さを測定することが困難なのである。これに対して、本発明においては、被膜の厚さに代えて、切断断面膜厚に着目している。この切断断面膜厚は膜厚と一致しないものである。なぜなら、薄片試料作製の際に形成される切断面は、多くの場合、切断されるマイクロカプセルの中心を通らないからである。そして、実際のマイクロカプセルは粒径に分布を有するため、さらにマイクロカプセルの粒子径や被膜の厚さの測定は困難となる。
【0079】
一方で、本発明はこのようなパラメーターと、平均粒子径とが一定の条件を満たす場合に、インキ組成物が優れた効果を奏することを見だして完成されたものである。
まず、本発明におけるインキ組成物に含まれるマイクロカプセルは、その体積基準平均粒子径(X)が、0.1~2.0μmであり、好ましくは0.3~1.5μmである。マイクロカプセルの体積基準平均粒子径(X)が過度に小さいと、一般的に発色濃度が低下する傾向にあり、また過度に大きいと、マイクロカプセルの沈降やインキ吐出性の低下の原因となることがあるので注意が必要である。したがって、体積基準平均粒子径(X)が上記範囲内にあることで、発色濃度とマイクロカプセル顔料を含む組成物等の吐出性が良好に維持できる。
【0080】
また、インキ組成物の吐出性および吐出安定性を維持するために、粗大なマイクロカプセルの含有量が少ないことが好ましい。具体的には粒子径が5μm以上のマイクロカプセルの含有率(以下、大粒子含有率ということがある)が、前記マイクロカプセル顔料中のマイクロカプセルの総体積を基準として1体積%以下であることが好ましい。
【0081】
また、平均切断断面膜厚(Y)が0.02~0.4μmであり、0.02~0.3μmが好ましく、0.03~0.3μmであることがより好ましい。平均切断断面膜厚(Y)が適当な範囲内にあることによって、耐久性と発色濃度のバランスに優れた可逆熱変色性マイクロカプセル顔料を得ることができる。
【0082】
さらに、本発明によるインキ組成物に含まれるマイクロカプセルは、平均粒子径(X)と平均切断断面膜厚(Y)の比Y/Xは下記式(1)を満たすことが好ましく、(1a)を満たすことがより好ましく、(1b)を満たすことが時に好ましい。また、比Y/Xは下記式(2)を満たすことが好ましく、(2a)を満たすことがより好ましく、(2b)を満たすことが時に好ましい。比Y/Xが適当な範囲内にあることによって、耐久性と発色濃度のバランスに優れた可逆熱変色性マイクロカプセル顔料を得ることができる。
Y/X<0.3 (1)
Y/X<0.25 (1a)
Y/X<0.2 (1b)
0.02<Y/X (2)
0.03<Y/X (2a)
0.04<Y/X (2b)
【0083】
[マイクロカプセルの製造方法]
本発明によるインキ組成物に用いられるマイクロカプセル顔料は、上記の(イ)、(ロ)、および(ハ)成分を含む可逆熱変色性組成物を被膜中に内包させたマイクロカプセルを含んでなる。
【0084】
可逆熱変色性組成物をマイクロカプセルに内包することにより、化学的、物理的に安定な顔料を構成することができ、さらに、種々の使用条件において可逆熱変色性組成物は同一の組成に保たれ、同一の作用効果を奏することができる。
【0085】
なお、マイクロカプセル化は、従来公知のイソシアネート系の界面重合法、メラミン-ホルマリン系等のin Situ重合法、液中硬化被覆法、水溶液からの相分離法、有機溶媒からの相分離法、融解分散冷却法、気中懸濁被覆法、スプレードライング法等の製造方法から、用途に応じて適宜選択される。さらにマイクロカプセルの表面には、目的に応じてさらに二次的な樹脂被膜を設けて耐久性を付与させたり、表面特性を改質させて実用に供することもできる。
【0086】
本発明においては、マイクロカプセル顔料に含まれるマイクロカプセルの平均粒子径(X)および平均切断断面膜厚(Y)が特定の条件を満たすことが必要である。特定の条件を満たすためには、マイクロカプセルの製造条件を調整することが必要である。
マイクロカプセルの製造方法は、上記したとおり、種々の方法があり、それぞれの方法に応じて適切な条件は変化する。また、用いられる可逆熱変色性組成物を構成する成分や、マイクロカプセル被膜を形成する成分によっても変化する。このため、本発明によるマイクロカプセルを製造するためには、製造条件を変化させた場合の検量線を作成し、その中で最適条件を探索することが一般的である。
【0087】
例えば、マイクロカプセルを界面重合法により製造しようとする場合、マイクロカプセルの平均粒子径(X)や平均切断断面膜厚(Y)は、重合温度、重合時間、可逆熱変色性組成物と被膜材料の配合比、反応液の攪拌速度などによって変化する。これらパラメーターのうちのいずれか一つだけを変化させた場合のマイクロカプセルを数種類製造して、平均粒子径(X)や平均切断断面膜厚(Y)を測定して、検量線を作成する。その検量線だけによって目的のマイクロカプセルの製造条件が決定できないときは、さらに別のパラメーターを変化させて検量線を作成する。このようにして、所望の平均粒子径(X)や平均切断断面膜厚(Y)を有するマイクロカプセルを製造することができる。
【0088】
[インクジェット用インキ組成物]
本発明によるインクジェット用インキ組成物は、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料、水、および多価アルコール系有機溶剤を含んでなる。
可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の含有率は、インキ組成物全質量を基準として3~30質量%とすることが好ましく、5~30質量%とすることがより好ましい。マイクロカプセル顔料の含有率が上記範囲内であると、良好なインキ吐出性と、印刷画像の優れた発色性とを両立できる。
【0089】
(多価アルコール系有機溶剤)
インキ組成物は多価アルコール系有機溶剤を含有する。この多価アルコールは、主として保湿効果を発揮するものである。
【0090】
インキ組成物に適用できる多価アルコール系有機溶剤としては、グリセリン、アルカンジオール、グリコールエーテル等が挙げられ、アルカンジオールとしては、1,2-エタンジオール、1,2-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,2-ヘプタンジオール、1,2-オクタンジオール等の1,2-アルカンジオール;1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,3-ペンタンジオール、1,3-ヘキサンジオール、1,3-ヘプタンジオール、1,3-オクタンジオール等の1,3-アルカンジオール;2-メチル-1,3-プロパンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、2-エチル-1,3-プロパンジオール、2,2-ジエチル-1,3-プロパンジオール、2-エチル-2-メチル-1,3-プロパンジオール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2,5-ヘキサンジオール、2,3-ジメチル-1,4-ブタンジオール等のその他のジオール類が挙げられ、グリコールエーテルとしてはエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、テトラエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、トリエチレングリコールエチルメチルエーテル等のエチレングリコールエーテル類;プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル等のプロピレングリコールエーテル類が挙げられる。
【0091】
インキ組成物の乾燥によるノズルの目詰まり、およびインキ組成物中へのマイクロカプセル顔料内包物の溶出を抑制することを考慮すると、インキ組成物に好ましい多価アルコール系有機溶剤はグリセリン、アルカンジオールであり、グリセリン、1,2-エタンジオール、および1,3-ブタンジオールがより好ましい。
【0092】
多価アルコール系有機溶剤の配合率は、インキ組成物全質量を基準として5~60質量%とすることが好ましく、10~60質量%とすることがより好ましく、20~60質量%とすることがさらに好ましく、30~50質量%とすることが特に好ましい。
多価アルコール系有機溶剤は2種以上を併用しても良い。
【0093】
(ポリエーテルリン酸エステル)
インキ組成物はポリエーテルリン酸エステルをさらに含んでなることが好ましい。
ポリエーテルリン酸エステルは、マイクロカプセル顔料が凝集することを抑制し、マイクロカプセル顔料の分散性を高めてインキ流動性やインキ吐出性をさらに良好とする効果を奏する。
ポリエーテルリン酸エステルは、アルカリ金属塩、アンモニウム塩またはアルカノールアミン塩であっても良い。
【0094】
ポリエーテルリン酸エステルの具体例を挙げると、市販品では、プライサーフシリーズ(第一工業製薬株式会社製)として、プライサーフA212C、A215C、A208F、M208F、A208N、A208B、A219B、DB-01、A210D、ALが挙げられ、フォスファノールシリーズ(東邦化学工業株式会社製)として、フォスファノール2P、ML-200、GF-185、BH-650、ED-200、RA-600、ML-220、ML-240、RD-510Y、RS-410、RS-610、RS-710、RL-210、RL-310、RB-410、RD-710、RP-710、LF-200、RM-410、RM-510、SP-212、CP-120、720、SC-6103、RD-720.LP -700、LP-500、LB-400等が挙げられる。また、アンステックスシリーズ(東邦化学工業株式会社製)として、アンステックスAK-25、AK-25B、SM-172、GF-339、GF-199、ML-200、GF-185の他、ディスパロンAQ-320、ディスパロンAQ-330(以上、楠本化成株式会社製)等も適用できる。インキ組成物に適用可能なポリエーテルリン酸エステルはこれらに限られるものではない。ポリエーテルリン酸エステルは2種以上を併用しても良い。
【0095】
ポリエーテルリン酸エステルの配合率は、インキ組成物全質量を基準として1~10質量%とすることが好ましく、1~5質量%とすることがより好ましい。
配合率を前記範囲内とすると、マイクロカプセル顔料の分散性を良好としつつ、インキ中へのマイクロカプセル顔料内包物の溶出を抑制することができる。
【0096】
(添加剤)
インキ組成物は、必要に応じて、任意の添加剤をさらに含んでいてもよい。このような添加剤の具体例としては、2-ピロリドン、ポリビニルピロリドン、ウレタン樹脂、スチレン-ブタジエン系樹脂、アルキッド樹脂、スルフォアミド樹脂、マレイン酸樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、エチレン酢ビ樹脂、塩ビ-酢ビ樹脂、スチレンとマレイン酸エステルとの共重合体、スチレン-アクリロニトリル樹脂、シアネート変性ポリアルキレングリコール、エステルガム、キシレン樹脂、尿素樹脂、尿素アルデヒド樹脂、フェノール樹脂、アルキルフェノール樹脂、テルペンフェノール樹脂、ロジン系樹脂やその水添化合物、ロジンフェノール樹脂、ポリビニルアルキルエーテル、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ナイロン樹脂、ポリエステル樹脂、シクロヘキサノン系樹脂、水溶性無機塩、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、スルホコハク酸系界面活性剤が挙げられる。
【0097】
また、インキ組成物には防腐剤、防さび剤、防黴剤、酸化防止剤、湿潤剤、紫外線吸収剤、キレート剤、pH調整剤、消泡剤、粘度調整剤等の従来公知の物質も適用できる。
【0098】
例えば、防腐剤或いは防黴剤としては、石炭酸、1、2-ベンズチアゾリン3-オンのナトリウム塩、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、パラオキシ安息香酸プロピル、2,3,5,6-テトラクロロ-4-(メチルスルフォニル)ピリジン等が挙げられ、防さび剤としてはベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール等を例示できる。また湿潤剤としては、サポニン等、尿素、ソルビット、マンニット、ショ糖、ぶどう糖、還元デンプン加水分解物、ピロリン酸ナトリウム等が例示でき、pH調整剤としては、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、炭酸、ホウ酸、乳酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸等の酸性物質、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、アンモニア、リン酸水素ナトリウム、リン酸水素カリウム等の塩基性物質が挙げられる。塩基性物質としてはモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン類も適用可能である。塩基性物質はポリエーテルリン酸エステルの中和物質としても適用できる。
【0099】
インキ組成物の粘度は、2~30mPa・sであることが好ましく、2~20mPa・sであることがより好ましい。粘度を上記数値範囲内とすると、インキ吐出性が良好となり、発色性に富み、高精細な画像を形成しやすくなる。
なお、本発明において、粘度はBL型粘度計を用いて、20℃、30rpmの条件で測定し、測定には例えば(製品名:TVB-M型粘度計、L型ローター、東機産業株式会社製)を用いることができる。
【0100】
インキ組成物の表面張力は、20~50mN/mとすることが好ましく、20~35mN/mとすることが好ましい。表面張力を上記数値範囲内とすることで、インキ組成物の浸透性を高め、像の乾燥性を良好としやすい。
なお、本発明において、表面張力は、20℃下、白金プレートを用いて垂直平板法によって測定する。測定機には、協和界面科学株式会社製の表面張力計測器を用いることができる。
【0101】
インキ組成物のpH値は20℃において4~8とすることが好ましく、5~7とすることがより好ましい。pHを上記数値範囲内とすることで、インキ組成物の経時安定性を良好とすることができる。
【0102】
本発明による水性インキ組成物は、プロペラ攪拌、ホモディスパー、またはホモミキサーなどの各種攪拌機やビーズミルなどの各種分散機などを用いて、製造することができる。
具体的な製法の一例としては、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料と水と多価アルコール系有機溶剤とを混合して可逆熱変色性マイクロカプセル顔料分散液を調整した後、ポリエーテルリン酸エステル等の添加剤を混合する製法を挙げることができる。
【0103】
本発明のインキ組成物は、インクジェットプリンター印刷機に適用される。
【0104】
[インクジェットプリンター]
インクジェットプリンターとしては、一例として、前記インキ組成物を収容するインク収容部と、プリンタヘッドと、インク収容部からプリンタヘッドへインキ組成物を供給するインク供給流路と、プリンタヘッドのノズル(インク吐出部)から吐出されなかったインキ組成物をプリンタヘッドから前記インク供給流路へ戻すインク回収流路とを備え、前記インク供給流路、プリンタヘッド、およびインク回収流路を介してインキ組成物を循環する機構を備える装置が挙げられる。
【0105】
前記インクジェットプリンターは、インキ組成物の循環によってインク流路(インク供給流路とインク回収流路を指す)およびプリンタヘッド内でインキ組成物が滞留して、マイクロカプセル顔料が凝集することを抑制し、プリンタヘッドのノズルからのインキ吐出性を良好とする。
【0106】
マイクロカプセル顔料の凝集を抑制することをより考慮すれば、プリンタヘッドは、プリンタヘッド内でインキ組成物が循環する流路を備えることが好ましい。
プリンタヘッドが、前記したインキ組成物が循環する流路を備えることで、プリンタヘッド内においてインキ組成物が循環し、プリンタヘッドにおけるインキ組成物の滞留を抑制することが容易となるため、プリンタヘッド内でマイクロカプセル顔料が凝集することを抑制しやすい。
インクジェットプリンターは、前記した機構とともに、脱気機構、加温機構等を備えていても良い。
【0107】
プリンタヘッドのインク吐出方式としては、公知の方式、例えば、静電誘引力を利用してインクを吐出させる電荷制御方式、電圧によるピエゾ素子(圧電素子)の変形を利用してインキ組成物を吐出させるピエゾ方式、電気信号を音響ビームに変えインクに照射して放射圧を利用してインクを吐出させる音響インクジェット方式、インクを加熱して気泡を形成し、生じた圧力を利用するサーマルインクジェット(バブルジェット(登録商標))方式等を適宜採用できる。なお、可逆熱変色性インキ組成物は温度変化によって変色をするものであるから、インキ組成物の温度変化が少ないことが好ましく、比較的温度変化の少ないピエゾ方式や音響インクジェット方式などが好ましい。ただし、インキ組成物の変色温度を調整することで、サーマルインクジェット方式を採用することもできる。
【0108】
プリンタヘッドのノズルは、インキ組成物を良好に吐出できる内径を有する。その内径は、印刷画像の発色性および精細性を良好とすることを考慮して、10μ~100μmの内径を有することが好ましく、10~50μmの内径を有することがより好ましい。より好ましいノズルの内径は、10~30μmである。
【0109】
インクジェットプリンターは、インキ組成物がラジカル重合性化合物およびラジカル性の重合開始剤を含む場合、UV光照射部を備えることが好ましい。
上記インキ組成物で形成された印刷画像にUV光を照射することにより、ラジカル重合性化合物が重合してインキ組成物が印刷面に速やかに固着するため、印刷画像の定着性を高めることができる。
さらに、インク収容部はインクカートリッジを装着する機構を備えていても良い。このインクカートリッジは、前記したインキ組成物を収容しているものである。
【0110】
以下本実施形態に係るインクジェットプリンターの一例を図を用いて説明する。
【0111】
図4は、インク循環機構を備えるインクジェットプリンターの構成の一例を表す概略図である。
図4に示すインク供給装置1は、インク収容部2、プリンタヘッド3、インク供給流路4a、ポンプ5、拭き取り手段6、ヘッドからインクをインク供給流路4aに戻してインキ組成物を循環させるインク回収流路4b(プリンタヘッド3より図の左方の流路)を備えている。
【0112】
プリンタヘッド3は、インキ組成物9を吐出する複数のノズル7のインク吐出部8を一面に形成してあり、圧電素子によりノズル7内のインキ組成物9が押出され、ノズル7のインク吐出口8から吐出される。さらに、プリンタヘッド3は、インク供給流路4aからインキ組成物を取入れるインク取入口3bと、インキ組成物をインク回収流路4bに排出するインク排出口3aと、複数のノズル7、インク取入口3bおよびインク排出口3aを連通する内部流路3cとを有している。プリンタヘッドにおけるノズル7の密度は、例えば600npi(ノズル・パー・インチ)や2400npiなどとしてよい。
【0113】
インク循環経路は、プリンタヘッド3のインク取入口3bとインク排出口3aとをインク流路で繋ぎ、インキ組成物9を循環させる経路である。
図4では、インク供給流路4aと、プリンタヘッド3の内部流路3cと、インク回収流路4bとにより環状経路を形成し、インキ組成物9を循環させる。印刷を停止している間は、プリンタヘッド3内でインキ組成物9のマイクロカプセル顔料が沈降したり、マイクロカプセル顔料が凝集することを防止するため、環状経路にインキ組成物9を循環させていることが好ましい。インク供給流路4aおよびインク回収流路4bは、例えば、径が1~10mmの管を用いることができ、材質はシリコン系配管を用いることができる。循環経路の1周の長さは、800mm~10mとすることができ、さらに1~9mとすることができ、特に3~8mとすることができる。
【0114】
ポンプ5は、インク供給流路4a内のプリンタヘッド3より上流側に配置され、プリンタヘッド3にインキ組成物9を供給する。プリンタヘッド3にインキ組成物9を供給して、環状経路にインキ組成物9を循環させることで、プリンタヘッド3の内部流路3cのインキ組成物9が流動し、プリンタヘッド3内でインキ組成物9のマイクロカプセル顔料が沈降したり、マイクロカプセル顔料が凝集するのを防止することができる。
【0115】
インクジェット印刷中は、ポンプによりインキ組成物を循環させることが好ましい。また、インクジェット印刷停止中は、ノズル吐出部に図示しないキャップをし、インキ組成物を循環させることが好ましい。
【0116】
前記インクジェットプリンターにより、紙、合成紙、コート紙、プラスチックシート、プラスチック、木材、金属、ガラス等の造形体、布帛、不織布等の任意の対象物に噴射させて適宜印刷像を形成して可逆熱変色性印刷物が得られる。
【0117】
[インクカートリッジ]
インキ組成物は、インクカートリッジに収容しても良い。
インクカートリッジとしては、インキ組成物を収容可能であれば特に限定されず、様々な材料、形態から選択して構成することができる。
【0118】
インクカートリッジを構成する材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ABS樹脂やポリスチレン(PS)等のプラスチック、各種の金属(合金を含む)、並びにポリエチレン、エチレン酢酸ビニル共重合体、およびポリプロピレン等のポリオレフィンを挙げることができる。また、これらに限らず、上記の各ポリマーを適当な比率で配合あるいはラミネートして得られるポリマーやそのフィルム等であってもよい。
インクカートリッジの形態としては、例えば、パック、ボトル、タンク、ビン、缶等を挙げることができる。
【0119】
インクカートリッジは、容器内に複数のインキ収容室が各々独立するよう設けられ、各室に、各室のインキ同士が互いに異なる色となるよう複数色のインキ組成物が収容されても良い。
【0120】
また、インクカートリッジは、複数個を組み合わせてインクカートリッジセットとすることもできる。インクカートリッジセットは同色のインクで構成されていても良く、複数色のインクで構成されていても良い。
【0121】
さらに、インクカートリッジは、インクジェットプリンターに装着し、インクカートリッジからインク流路にインキ組成物を供給する構造を備えていても良い。
【0122】
[実施例]
以下に実施例を記載する。なお、実施例中の部は質量部を示す。
【0123】
・実施例1
(可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の調製)
(イ)成分として7-[2-(アセチルアミノ)-4-(ジエチルアミノ)フェニル]-7-(2-メチル-1-プロピル-1H-インドール-3-イル)フロ[3,4-b]ピリジン-5(7H)-オン3.0部、(ロ)成分として1,1′-ビス(4′-ヒドロキシフェニル)n-ノナン15.0部、(ハ)成分としてカプリン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル50.0部を混合して可逆熱変色性組成物を調整した。この組成物を、被膜材料として芳香族多価イソシアネートプレポリマー45部、助溶剤40.0部からなる混合溶液に投入した。この混合溶液を10%ポリビニルアルコール水溶液中に乳化分散し、加温しながらホモミキサーを用いて10000rpmの攪拌速度で攪拌を続けた後、水溶性脂肪族変性アミン2.5部を加え、更に攪拌を続けてマイクロカプセル顔料分散液を調製した。上記のマイクロカプセル分散液をフィルタープレス機でろ過することでマイクロカプセル顔料を得た。
【0124】
可逆熱変色性マイクロカプセル顔料に含まれるマイクロカプセルの体積平均粒子径(X)は画像解析法によりキャリブレーションを行ったレーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置(装置名:LA-300、株式堀場製作所製)を用いて測定した。得られた測定値は、体積基準平均粒子径(X)が0.75μmであり、最大粒子径が1.8μmであった。
【0125】
可逆熱変色性マイクロカプセル顔料に含まれるマイクロカプセルの平均切断断面膜厚(Y)は、可逆熱変色性組成物が発色状態の顔料の水分散体を凍結して顔料の異形化の変動をなくしたものをミクロトームにより厚さ50μmの薄片試料を作製し、透過型電子顕微鏡(商品名:HT7700、株式会社日立ハイテク製)により観察画像を解析して測定した。観察画像の視野内マイクロカプセル数は150個であった。画像解析により、全マイクロカプセルの切断断面膜厚を算出し、その平均値から得られた平均切断断面膜厚(Y)は0.08μmであった。
【0126】
また、得られたマイクロカプセル顔料の完全消色温度t4は60℃、完全発色温度t1は-25℃であり、発色している状態から、加熱することによりシアン色から無色に変色する。
【0127】
(可逆熱変色性水性インキ組成物の調製)
得られたマイクロカプセル顔料(予め冷却して発色させたもの)10部、グリセリン10部、ポリエーテルリン酸エステル(商品名:フォスファノールRS-410、東邦化学工業株式会社製)1.2部、防腐剤(ピリジン-2-チオール1-オキシド,ナトリウム塩、製品名:ソジウムオマジン、ロンザジャパン株式会社製)0.2部、防腐剤(3-ヨード-2-プロピニルブチルカーバメート、製品名:グライカシル2000、ロンザジャパン株式会社製)0.2部、消泡剤0.02部、pH調整剤(クエン酸)0.1部および水78.28部を均一に混合し、可逆熱変色性水性インキ組成物を得た。
【0128】
得られた水性インキ組成物の粘度を測定した結果、20℃下、回転速度30rpmの条件においては5.46mPa・sであった。得られた水性インキ組成物は、ポリスチレン製インクカートリッジに収容した。
【0129】
・実施例2
(可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の調製)
実施例1で得られた可逆熱変色性マイクロカプセル顔料を用いた。
【0130】
(可逆熱変色性水性インキ組成物の調製)
得られたマイクロカプセル顔料(予め冷却して発色させたもの)10部、グリセリン6.5部、1,2-エタンジオール2.5部、1,3-ブタンジオール1部、ポリエーテルリン酸エステル(商品名:フォスファノールRS-710、東邦化学工業株式会社製)1.2部、防腐剤(ピリジン-2-チオール1-オキシド,ナトリウム塩、製品名:ソジウムオマジン、ロンザジャパン株式会社製)0.2部、防腐剤(3-ヨード-2-プロピニルブチルカーバメート、製品名:グライカシル2000、ロンザジャパン株式会社製)0.2部、消泡剤0.02部、pH調整剤(クエン酸)0.1部および水78.28部を均一に混合し、可逆熱変色性水性インキ組成物を得た。
【0131】
この水性インキ組成物の粘度を測定した結果、20℃下、回転速度30rpmにおいては4.96mPa・sであった。得られた水性インキ組成物は、ポリスチレン製インクカートリッジに収容した。
【0132】
・実施例3~20
実施例1の被膜材料の添加量、攪拌速度の条件を表1の通りに変更して、実施例3~20の可逆熱変色性マイクロカプセル顔料および可逆熱変色性水性インキ組成物を調製した。
【0133】
・実施例21
実施例16のポリビニルアルコール水溶液を8%濃度のポリビニルアルコール水溶液に変更した以外は実施例16と同じ条件で調製して、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料および可逆熱変色性水性インキ組成物を得た。得られた水性インキ組成物は、それぞれポリスチレン製インクカートリッジに収容した。
【0134】
・比較例1
実施例2の被膜材料の添加量、攪拌速度の条件を表1の通りに調整して、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料および可逆熱変色性水性インキ組成物を得た。得られた水性インキ組成物は、ポリスチレン製インクカートリッジに収容した。
【0135】
・比較例2
実施例1の被膜材料の添加量、攪拌速度の条件を表1の通りに調整して、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料を得た。得られた水性インキ組成物は、ポリスチレン製インクカートリッジに収容した。
【0136】
実施例1~21および比較例1、2で得られた可逆熱変色性マイクロカプセル顔料に含まれるマイクロカプセルの平均粒子径(X)、平均切断断面膜厚(Y)、Y/Xおよび最大粒子径を表1に示す。
なお、実施例21で得られたマイクロカプセル顔料に含まれるマイクロカプセルの最大粒子径は5μm以上であり、5μm以上の粒子径を有するマイクロカプセル顔料の含有率(大粒子含有率)は、マイクロカプセル顔料全体積を基準として1.2体積%であった。それ以外の例における大粒子含有率は、いずれも0体積%であった。
【0137】
作製したインキカートリッジをインクジェットプリンターに装着し、以下の手順に従い、印字およびインキ組成物に関する評価を行った。なお、印字の際、インク吐出量および印刷解像度をそれぞれ、1画素あたり10pL、縦600dpi×横600dpiに設定した。
【0138】
(印字発色性)
カートリッジを装着したインクジェットプリンターにて幅0.2mmの直線を印刷し、印刷線の発色性を目視により観察した。印刷用紙には、商品名:インクジェット普通紙、セイコーエプソン株式会社製を使用した。
評価基準は以下のとおりとした。
A:非常に濃く、鮮明である。
B:濃い。
C:色がわずかに薄い。視認は十分可能である。
D:色が幾分薄いが、実用上問題はない。
E:色が薄く、視認性が低い。実用上問題がある。
【0139】
(印字精細性)
文字「小諸なる」を印刷し、文字を目視により観察した。印刷用紙には、印字発色性の評価で使用した用紙と同種の紙を用いた。
評価基準は以下のとおりとした。
A:カスレが無く、文字の輪郭が明瞭である。
B:カスレが若干ある、または文字の輪郭が若干不明瞭であるが、実用上問題はない。
C:カスレが顕著である、または、文字の輪郭が不明瞭であり、実用上問題がある。
【0140】
(インキ経時安定性)
印刷画像発色性の評価で使用したインキカートリッジを40℃下で30日間保管した後、インクジェットプリンター機にそのインキカートリッジを装着し、幅0.2mmの直線を印刷し、印刷線の発色性を保管前のインキカートリッジで形成した印刷線と目視で比較した。
【0141】
評価基準は以下のとおりとした。
A:印刷線の濃さに変化がない。
B:保管後のインキカートリッジで形成した印刷線の方がわずかに薄い。
C:保管後のインキカートリッジで形成した印刷線の方が幾分薄いが、実用上問題はない
D:保管後のインキカートリッジで形成した印刷線の方が顕著に薄い。実用上問題がある。
【0142】
得られた評価結果を表1に示す。
【0143】
・応用例
実施例1における可逆変色性色彩記憶性組成物の成分を以下の通りに変更した以外は、実施例1と同一条件で可逆熱変色性マイクロカプセル顔料および可逆熱変色性水性インキ組成物を調製し、応用例A~Cのインキ組成物を得た。
【0144】
・応用例A
(マゼンタ色)
(イ)成分として9-エチル-(3-メチルブチル)アミノ-スピロ[12H-ベンゾ[a]キサンテン-12,1′(3H)-イソベンゾフラン]-3′-オン6.0部、(ロ)成分として4,4′‐(2‐エチルヘキシリデン)ビスフェノール15.0部、(ハ)成分としてカプリン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル50.0部からなる可逆熱変色性組成物
【0145】
・応用例B
(イエロー色)
(イ)成分として4-[2,6-ビス(2-エトキシフェニル)-4-ピリジニル]-N,N-ジメチルベンゼンアミン3.0部、(ロ)成分として2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン9.0部、(ハ)成分としてカプリン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル50.0部からなる可逆熱変色性組成物
【0146】
・応用例C
(ブラック色)
(イ)成分として2-(2-クロロアニリノ)-6-ジ-n-ブチルアミノフルオラン7.0部、(ロ)成分として1,1′-ビス(4′-ヒドロキシフェニル)n-ドデカン15.0部、(ハ)成分としてカプリン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル50.0部からなる可逆熱変色性組成物
【0147】
(多色インクカートリッジの作成)
実施例1、応用例A~Cで作成したインキを単一のインクカートリッジに収容し、マゼンタ、シアン、イエロー、およびブラック色の4色のインキを吐出可能なマルチカラーインクカートリッジを作製した。
【0148】
【符号の説明】
【0149】
t1 完全発色温度
t2 発色開始温度
t3 消色開始温度
t4 完全消色温度
T1 完全消色温度
T2 消色開始温度
T3 発色開始温度
T4 完全発色温度
1 インク供給装置
2 インク収容部
3 プリンタヘッド
3a インク排出口
3b インク取入口
3c 内部流路
4a インク供給流路
4b インク回収流路
5 ポンプ
6 拭き取り手段
7 ノズル
8 インク吐出口
9 インキ組成物