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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023067630
(43)【公開日】2023-05-16
(54)【発明の名称】ポリッシュ装置
(51)【国際特許分類】
   B24B 37/30 20120101AFI20230509BHJP
   B24B 37/12 20120101ALI20230509BHJP
   B24B 37/10 20120101ALI20230509BHJP
   B24B 41/06 20120101ALI20230509BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20230509BHJP
【FI】
B24B37/30 A
B24B37/12 D
B24B37/10
B24B41/06 A
B24B41/06 L
H01L21/304 621D
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021179041
(22)【出願日】2021-11-01
(71)【出願人】
【識別番号】391011102
【氏名又は名称】株式会社岡本工作機械製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100165423
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 雅久
(72)【発明者】
【氏名】三井 貴彦
(72)【発明者】
【氏名】山本 寛
(72)【発明者】
【氏名】高岡 和宏
【テーマコード(参考)】
3C034
3C158
5F057
【Fターム(参考)】
3C034AA07
3C034BB73
3C034DD10
3C158AA07
3C158AC04
3C158CB03
3C158CB05
3C158DA12
3C158DA17
3C158EA11
3C158EA12
3C158EB01
3C158ED10
3C158ED11
3C158ED12
5F057AA33
5F057AA34
5F057DA03
5F057FA32
5F057FA34
5F057FA36
5F057FA39
(57)【要約】
【課題】小型で高効率なインデックス機構を備え、装置の小型化及び生産性の向上を図ることができるポリッシュ装置を提供する。
【解決手段】研磨布9を保持して回転する研磨テーブル2と、ワークWを吸着して回転しワークWを研磨布9に摺接させるチャック3と、回動してチャック3が保持するワークWをチャック3と共に移送するインデックス4と、を具備し、インデックス4の周縁部には、インデックス4を回動自在に支持する軸受20が設けられている。このような構成により、インデックス4の中央部にインデックス4を支持する支柱等を設ける必要がなく、ポリッシュ装置を小型化することができる。また、インデックス4の小型化によりワークWの移送距離が短くなり、インデックス4による効率的なワークWの搬送が実現する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
研磨布を保持して回転する研磨テーブルと、
ワークを吸着して回転し前記ワークを前記研磨布に摺接させるチャックと、
回動して前記チャックが保持する前記ワークを前記チャックと共に移送するインデックスと、を具備し、
前記インデックスの周縁部には、前記インデックスを回動自在に支持する支持部材が設けられていることを特徴とするポリッシュ装置。
【請求項2】
前記インデックスの周縁部には、駆動手段から前記インデックスに回動する動力を伝達する動力伝達部材が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のポリッシュ装置。
【請求項3】
前記動力伝達部材は、前記インデックスの周縁部に設けられたベルトクランプと、両端部が前記ベルトクランプに固定されたベルトと、を有することを特徴とする請求項2に記載のポリッシュ装置。
【請求項4】
前記動力伝達部材は、前記インデックスの周縁部に設けられ伝道面に凹凸歯形が形成されたプーリと、前記プーリに噛合するベルトと、を有することを特徴とする請求項2に記載のポリッシュ装置。
【請求項5】
前記動力伝達部材は、前記インデックスの周縁部に前記インデックスと同軸に設けられた大歯車と、前記大歯車に噛合する小歯車と、を有することを特徴とする請求項2に記載のポリッシュ装置。
【請求項6】
上部に前記研磨テーブルが配設されたベーステーブルと、
前記ベーステーブルの上部に設けられ前記インデックスを支持するコラムと、を具備し、
前記研磨布は、前記研磨テーブルの上面に保持され、
前記ワークは、前記チャックの下面に吸着され、
前記ワークの下面が前記研磨布の上面に摺接することを特徴とする請求項1から請求項5の何れか1項に記載のポリッシュ装置。
【請求項7】
前記支持部材は、前記インデックスの周縁部に固定された内輪と、前記コラム側に固定された外輪と、前記内輪と前記外輪との間にそれぞれが交互に直交するよう配列された円筒状の転動体と、を有する軸受であることを特徴とする請求項6に記載のポリッシュ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハ等のワークを研磨するポリッシュ装置に関し、特に小型化が可能なインデックス機構を備えたポリッシュ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体ウエハ等の研磨加工、例えばCMP(化学的機械研磨:Chemical Mechanical Polishing)等、を行うポリッシュ装置がある。この種のポリッシュ装置として、半導体ウエハ等のワークを研磨テーブル上の加工位置に搬送するインデックス機構を備えたものが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、正逆方向に回動可能な中空軸に中心部を軸承されたインデックスヘッドを有する研磨装置が開示されている。インデックスヘッドの下部には、インデックスヘッドの中空軸を中心として同一円周上に、ウエハを上方から吸着保持する複数のチャック機構が設けられている。チャック機構に保持されたウエハは、インデックスヘッドの回動によって研磨工程が行われる位置に移送され、チャック機構の回転軸を中心として回転しながら、下方にある回転するポリッシャに押圧され研磨される。
【0004】
また例えば、特許文献2には、上部に複数の基板ホルダーテーブルが配設されたインデックス型回転テーブルを有する半導体基板研磨装置が開示されている。インデックス型回転テーブルが回動することにより、基板ホルダーテーブルの上面に保持されたワークが移送される。そして、基板ホルダーテーブルがそれぞれに接続されたスピンドルを回転軸として回転し、回転するワークの上方から回転する研磨パッドが下降して、研磨パッドでワークの上面を摺擦する研磨が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000―24916号公報
【特許文献2】特開2008―221416号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記した従来技術のインデックス機構を備えたポリッシュ装置は、半導体ウエハ等の生産性を向上させると共に、装置の小型化を図るために改善すべき点があった。
【0007】
具体的には、従来技術のインデックス機構は、インデックスヘッドまたはインデックステーブル等の回動するインデックスの中心部に、これらを支持する回転軸となる支柱が設けられている。そのため、支柱の直径に相当する分は必ずインデックスの寸法が大きくなり、インデックス機構のための広い領域が必要になって、ポリッシュ装置が大型化する。
【0008】
また、インデックスの中心部が支柱に支持される構成では、インデックスを回動させてワークを移動する際のワークの移動距離が長くなる。即ち、中心部に設けられた支柱の径に相当する分だけ、ワークの移動時の回動半径が大きくなり、回動周長が長くなる。よって、ワークの移動時間を短縮して生産性を向上させることが難しかった。
【0009】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、小型で高効率なインデックス機構を備え、装置の小型化及び生産性の向上を図ることができるポリッシュ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のポリッシュ装置は、研磨布を保持して回転する研磨テーブルと、ワークを吸着して回転し前記ワークを前記研磨布に摺接させるチャックと、回動して前記チャックが保持する前記ワークを前記チャックと共に移送するインデックスと、を具備し、前記インデックスの周縁部には、前記インデックスを回動自在に支持する支持部材が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明のポリッシュ装置によれば、研磨布を保持して回転する研磨テーブルと、ワークを吸着して回転するチャックと、回動してチャックが保持するワークを移送するインデックスと、を具備し、インデックスの周縁部には、インデックスを回動自在に支持する支持部材が設けられている。このような構成により、インデックスの中央部にインデックスを支持する支柱等を設ける必要がなく、ポリッシュ装置を小型化することができる。また、インデックスの小型化によりワークの移送距離が短くなり、インデックスによる効率的なワーク搬送が実現する。
【0012】
また、本発明のポリッシュ装置によれば、前記インデックスの周縁部には、駆動手段から前記インデックスに回動する動力を伝達する動力伝達部材が設けられても良い。これにより、インデックスに回動の動力を伝達するために、インデックスの中央部に回転軸等を設ける必要がない。よって、小型で高効率なインデックス機構が得られ、ポリッシュ装置を小型化し、且つ生産性の向上を図ることができる。
【0013】
また、本発明のポリッシュ装置によれば、前記動力伝達部材は、前記インデックスの周縁部に設けられたベルトクランプと、両端部が前記ベルトクランプに固定されたベルトと、を有しても良い。このような構成により、インデックスの周縁部への取り付けが容易な動力伝達部材が得られると共に、駆動手段からの動力を効率的に伝達し、中心部に支柱がない小型のインデックスを効率良く回動させることができる。
【0014】
また、本発明のポリッシュ装置によれば、前記動力伝達部材は、前記インデックスの周縁部に設けられ伝道面に凹凸歯形が形成されたプーリと、前記プーリに噛合するベルトと、を有しても良い。このような構成により、駆動手段からの動力を効率的に伝達し、中心部に支柱がない小型のインデックスを効率良く回動させることができる。
【0015】
前記動力伝達部材は、前記インデックスの周縁部に前記インデックスと同軸に設けられた大歯車と、前記大歯車に噛合する小歯車と、を有しても良い。このような構成により、駆動手段からの動力を歯車機構で効率的に伝達し、中心部に支柱がない小型のインデックスを効率良く回動させることができる。
【0016】
また、本発明のポリッシュ装置によれば、上部に前記研磨テーブルが配設されたベーステーブルと、前記ベーステーブルの上部に設けられ前記インデックスを支持するコラムと、を具備し、前記研磨布は、前記研磨テーブルの上面に保持され、前記ワークは、前記チャックの下面に吸着され、前記ワークの下面が前記研磨布の上面に摺接しても良い。このような構成により、ポリッシュ装置の大型化を抑えながら、チャックに保持されたワークよりも径の大きな研磨布を高精度に保持できる大径の研磨テーブルを設けることができる。よって、中央部に支柱がない小型のインデックスで効率的にワークを移送して、大径の研磨布でワークを高精度に研磨することができる。
【0017】
また、本発明のポリッシュ装置によれば、前記支持部材は、前記インデックスの周縁部に固定された内輪と、前記コラム側に固定された外輪と、前記内輪と前記外輪との間にそれぞれが交互に直交するよう配列された円筒状の転動体と、を有する軸受であっても良い。これにより、内輪及び外輪と転動体との線接触により、ラジアル荷重、アキシアル荷重及びモーメント等の複雑な荷重を同時に小さい弾性変位で受けることができ、インデックスを高精度な回動ができるよう支持することができる。よって、インデックスの中心部に支柱を設けることなく、小型のインデックスでワークを正確に移送することができ、高効率な研磨加工を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態に係るポリッシュ装置の概略構成を示す平面図である。
図2】本発明の実施形態に係るポリッシュ装置の概略構成を示す側面図である。
図3】本発明の実施形態に係るポリッシュ装置のインデックスを支持する軸受の概略を示す(A)断面図、(B)A-A線断面図である。
図4】本発明の実施形態に係るポリッシュ装置のロードカセットからワークを受け取る状態を示す平面図である。
図5】本発明の実施形態に係るポリッシュ装置のロードトレイでワークを受け取った状態を示す平面図である。
図6】本発明の実施形態に係るポリッシュ装置のチャックにワークを受け渡す状態を示す平面図である。
図7】本発明の実施形態に係るポリッシュ装置の研磨加工時の状態を示す平面図である。
図8】本発明の実施形態に係るポリッシュ装置のアンロードトレイでワークを受け取る状態を示す平面図である。
図9】本発明の実施形態に係るポリッシュ装置のアンロードトレイからワークを受け渡す状態を示す平面図である。
図10】本発明の実施形態に係るポリッシュ装置のアンロードカセットにワークを受け渡した状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態に係るポリッシュ装置を図面に基づき詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るポリッシュ装置1の概略構成を示す平面図である。
図1を参照して、ポリッシュ装置1は、略基板状のワークWの表面を研磨する装置である。具体的には、ワークWは、例えば、半導体基板であり、ポリッシュ装置1は、例えば、化学的機械研磨(CMP)加工を行う装置である。即ち、ポリッシュ装置1は、ワークWを形成する半導体等の表面や、半導体等の表面に形成された各種被覆等を、高精度に平坦状に仕上げるために用いられる。
【0020】
ポリッシュ装置1は、ワークWを研磨する研磨布9を保持する研磨テーブル2と、ワークWを保持するチャック3と、チャック3が保持するワークWを移送するインデックス4と、ワークWをチャック3に搬送するワーク搬送機構5と、を有する。
【0021】
図2は、ポリッシュ装置1の概略構成を示す側面図である。
図1及び図2を参照して、研磨テーブル2は、ワークWを研磨する研磨布9を吸着保持して回転させる装置である。具体的には、研磨テーブル2は、略円形状の形態を成し、ベースフレーム10の上部に水平回転自在に設けられ、上部にある保持面に研磨布9を保持した状態で図示しない駆動手段によって駆動されて回転する。なお、研磨布9は、例えば、図示しない減圧装置等を利用して研磨テーブル2の保持面に真空吸着されても良い。
【0022】
研磨布9は、ワークWを研磨するための布部材である。研磨布9としては、例えば、発泡ポリウレタンシート、合成繊維等から成る不織布、その他のフェルトが利用されても良い。
【0023】
チャック3は、研磨対象のワークWを吸着保持して回転させる機構である。チャック3は、ワークWを保持する略円形状の保持面を有する。チャック3には、上下方向、即ち保持面に対して垂直な方向、に延在する回転軸14が設けられており、回転軸14を介してインデックス4に支持されている。
【0024】
ワークWを保持するチャック3の保持面は、略中央に設けられた回転軸14を中心として回転自在に構成されている。インデックス4の上方には、チャック3を回転させる駆動手段としてチャック用モータ15が設けられている。チャック3は、チャック用モータ15によって駆動されて回転する。即ち、ワークWは、チャック3の回転軸14を中心として水平回転する。
【0025】
なお、チャック3は、研磨テーブル2よりも小径である。換言すれば、研磨テーブル2は、チャック3に保持されたワークWよりも径の大きな研磨布9を高精度に保持できる。このような大径の研磨テーブル2が設けられることにより、ポリッシュ装置1は、中央部に支柱がない小型のインデックス4で装置全体の大型化を抑えながら、大径の研磨布9でワークWを高精度に研磨することができる。
【0026】
チャック用モータ15の回転動力をチャック3に伝達する動力伝達手段は、例えば、V形ベルト、タイミングベルト、その他各種のベルト機構等である。インデックス4の上方には、回転軸14に連結されたプーリ16と、チャック用モータ15の出力軸に固定されたプーリ17と、プーリ16及びプーリ17に掛けられたベルト18と、が設けられている。なお、チャック用モータ15は、動力伝達手段を介さずチャック3を駆動するダイレクトドライブモータ等であっても良い。
【0027】
また、ポリッシュ装置1は、チャック3の保持面を上下方向に送る送り手段としてのエアシリンダ19を有する。エアシリンダ19は、インデックス4の上方に設けられ、チャック3を上下方向に送ると共に、研磨工程においては、チャック3に保持されたワークWを研磨布9の研磨面に向かって押圧する。
【0028】
ポリッシュ装置1では、ワークWに研磨布9を接触させて相対移動させることによりワークWの研磨が行われる。詳しくは、研磨工程において、ワークWの被研磨面、即ち下面は、チャック3の回転軸14を中心として回転しながら、研磨テーブル2の回転軸を中心として回転している研磨布9の研磨面、即ち上面、に当接する。そして、ワークWの被研磨面は、研磨布9の研磨面に押圧される。これにより、ワークWの被研磨面が研磨される。
【0029】
インデックス4は、チャック3に保持されたワークWを、回転しながら研磨位置40に移送する割り出し装置である。具体的には、インデックス4は、略円形状の形態を成し、ベースフレーム10の上方に設けられたコラム11に水平回動自在に支持されている。
【0030】
詳しくは、ベースフレーム10の上方には、ベースフレーム10から立設された支柱13と、支柱13に支持されたアッパープレート12と、を有するコラム11が形成されている。そして、インデックス4は、コラム11のアッパープレート12に回動自在に支持されている。
【0031】
インデックス4には、2つのチャック3が設けられており、インデックス4は、チャック3を支持した状態で、インデックス4の中心軸を中心とし回動する。インデックス4の回動によって、ワークWは、チャック3に保持された状態でローディング位置41から研磨位置40に、または、その逆に送られる。
【0032】
ここで、インデックス4の回動機構について詳述する。インデックス4の周縁部には、インデックス4を回動自在に支持する支持部材としての軸受20が設けられている。具体的には、インデックス4は、その周縁部が軸受20を介してアッパープレート12に回転自在に支持されている。
【0033】
このようにインデックス4は周縁部が軸受20に支持されているので、インデックス4の中央部にインデックス4を支持する支柱等を設ける必要がない。これにより、ポリッシュ装置1の小型化を図ることができる。また、インデックス4の小型化によりワークWの移送距離が短くなり、インデックス4による効率的なワークWの搬送が実現する。よって、ポリッシュ装置1によるワークWの生産性を高めることができる。
【0034】
また、コラム11には、インデックス4を回動させてワークWを移送するための駆動手段であるインデックス用モータ24が設けられている。インデックス用モータ24の回動動力は、インデックス4の周縁部に伝達される。
【0035】
詳しくは、インデックス4の周縁部には、インデックス用モータ24からインデックス4に回動する動力を伝達する動力伝達部材としてのベルト27の両端部を固定するベルトクランプ25が設けられている。
【0036】
そして、インデックス用モータ24の出力軸にはプーリ26が固定されている。インデックス用モータ24の出力軸に固定されたプーリ26と、インデックス4の周縁部に設けられたベルトクランプ25とは、ベルト27を介して動力伝達可能に連結されている。
【0037】
このようにインデックス4の周縁部に回動動力を伝達する機構が設けられることにより、前述の如く、インデックス4に回動の動力を伝達するために、インデックス4の中央部に回転軸等を設ける必要がない。よって、小型で高効率なインデックス機構が得られ、ポリッシュ装置1を小型化し、且つ生産性の向上を図ることができる。
【0038】
なお、インデックス用モータ24の動力をインデックス4の周縁部に伝達するベルトクランプ25、プーリ26及びベルト27として、例えば、V形ベルト、タイミングベルト、その他各種のベルト機構等を採用することができる。
【0039】
例えば、インデックス4に回動動力を伝達する動力伝達部材のプーリ26は、伝道面に台形歯形等の凹凸歯形が形成されたタイミングプーリであり、ベルト27は、プーリ26に噛合するタイミングベルト、ベルトクランプ25は、タイミングベルトの両端部を固定するクランプであっても良い。
【0040】
このような構成により、インデックス用モータ24からの動力を効率的且つ正確に伝達し、中心部に支柱がない小型のインデックス4を正確な位置に効率良く高精度に回動させることができる。
【0041】
なお、インデックス4の周縁部には、インデックス用モータ24からインデックス4に回動する動力を伝達する動力伝達部材として、ベルト27に噛合する図示しないプーリが、インデックス4及び軸受20と同軸に設けられても良い。
【0042】
また、インデックス用モータ24からインデックス4に回動する動力を伝達する動力伝達部材は、歯車機構を構成するものであっても良い。例えば、インデックス4の周縁部には、動力伝達部材として、インデックス4及び軸受20と同軸のピッチ円で歯形が形成された図示しない大歯車が設けられても良い。インデックス4の周縁部に設けられた大歯車は、インデックス用モータ24の出力軸に設けられた図示しない小歯車と、直接または他の歯車を介して動力伝達自在に噛み合う。
【0043】
ポリッシュ装置1は、研磨工程において研磨布9に研磨液を供給する図示しない研磨液供給装置を有する。研磨工程においては、研磨液供給装置から供給される研磨液は、研磨布9を介して研磨面に供給される。研磨液としては、例えば、純水、アルカリ性水溶液、酸性水溶液等の溶液中に、砥粒として酸化ケイ素(シリカ)、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化セリウム(セリア)、酸化マンガン等が混濁されたものが使用されても良い。
【0044】
また、ポリッシュ装置1は、研磨布9の研磨面をドレッシングする図示しないドレッシング装置を有する。ドレッシング装置は、研磨布9の目詰まり除去や目立てを行うための図示しないドレッサを有する。ドレッサは、例えば、ダイヤモンド砥粒がニッケル(Ni)電着されたダイヤモンドドレッサである。
【0045】
また、ドレッサは、例えば、合成樹脂から形成されても良い。ドレッサを構成する合成樹脂材料は、高強度で耐熱性に優れた工業用プラスチック(エンジニアリングプラスチック)、例えば、ポリアミド(PA)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等が好ましい。具体的には、ドレッサは、ナイロンブラシまたはPEEKブラシ等であっても良い。
【0046】
また、ドレッシング装置は、高圧水を供給する高圧水発生装置と、研磨布9の研磨面またはドレッサのドレッシング面に向かって高圧水を噴射する高圧水噴射ノズルと、を有しても良い。高圧水発生装置から供給される高圧水の圧力は、例えば、1~15MPaである。このような構成により、研磨布9の研磨面またはドレッサのドレッシング面を効果的に洗浄することができ、優れたドレッシング性能が発揮される。
【0047】
ポリッシュ装置1には、加工対象のワークWを装置内に供給するためのロードカセット37と、研磨加工が行われたワークWを装置から取り出すためのアンロードカセット38と、が設けられている。
【0048】
ロードカセット37及びアンロードカセット38は、複数のワークWを収容可能なカセットである。また、ロードカセット37及びアンロードカセット38は、ポリッシュ装置1から取り外し可能に構成されている。
【0049】
ワーク搬送機構5は、加工対象のワークWをチャック3に搬送する機構である。具体的には、ワーク搬送機構5は、ロードカセット37内に収容されている加工対象のワークWをチャック3に搬送し、研磨加工が完了したワークWをチャック3からアンロードカセット38に搬送する。
【0050】
ワーク搬送機構5は、ロードカセット37及びアンロードカセット38に対してワークWの搬送を行うロボット36と、ロボット36から受け取ったワークWをチャック3に送るロードトレイ30と、チャック3からワークWを受け取り、ロボット36に受け渡すアンロードトレイ32と、を有する。
【0051】
ロボット36は、図示しない制御装置によって制御され、図示しない駆動手段によって駆動されて、ワークWを自動搬送する搬送用ロボットである。
ロボット36は、ロードカセット37に収容されているワークWを取り出してロードトレイ30に送る。また、ロボット36は、研磨加工が完了したワークWをアンロードトレイ32から受け取り、アンロードカセット38に収容する。
【0052】
ロードトレイ30は、ワークWをチャック3に送るためのトレイである。詳しくは、ロードトレイ30は、ロボット36から搬送された加工対象のワークWを受け取り、ワークWをチャック3に送って受け渡す。
【0053】
ロードトレイ30は、ベースフレーム10の上部に設けられた水平方向に延在するレール34に支持され、レール34に沿って移動する。具体的には、ロードトレイ30は、図示しない駆動装置によって送られて、ロボット36からワークWを受け取る基準位置31からチャック3にワークWを受け渡すローディング位置41まで往復移動可能である。
【0054】
アンロードトレイ32は、ワークWをチャック3からロボット36に受け渡すためのトレイである。詳しくは、アンロードトレイ32は、ローディング位置41でチャック3から研磨加工後のワークWを受け取り、そのワークWを基準位置33まで送ってロボット36に受け渡す。
【0055】
アンロードトレイ32は、レール34に支持されており、レール34に沿って移動する。具体的には、アンロードトレイ32は、図示しない駆動装置によって送られて、ロボット36にワークWを受け渡す基準位置33から、チャック3からワークWを受け取るローディング位置41まで、往復移動可能である。
【0056】
このように、ロードトレイ30とアンロードトレイ32は、それぞれがレール34に沿って往復移動可能に、チャック3からの距離が略同じとなる左右対象な位置に設けられている。
【0057】
ロードトレイ30がロボット36からワークWを受け取る基準位置31は、図1において、ポリッシュ装置1の略中央にあるローディング位置41の左側、即ちポリッシュ装置1の左側部分にある。他方、アンロードトレイ32がロボット36にワークWを受け渡す基準位置33は、ローディング位置41の右側、即ちポリッシュ装置1の右側部分にある。なお、ロードトレイ30とアンロードトレイ32の配設は、上記とは左右逆の形態であっても良い。
【0058】
ロードトレイ30及びアンロードトレイ32と、研磨テーブル2と、の間には、下隔壁28及び上隔壁29が設けられている。下隔壁28及び上隔壁29は、研磨工程時において、ワーク研磨テーブルの上方で研磨されるワークWからの研磨屑等がロードトレイ30及びアンロードトレイ32側に飛散することを防止する壁である。
【0059】
具体的には、下隔壁28は、ベースフレーム10の上部に固定されている。下隔壁28の上端部は、研磨テーブル2の上面より高い位置にある。上隔壁29は、インデックス4の下部に固定されており、上隔壁29の下端部は、下隔壁28の上端部に近接している。そして、上隔壁29は、インデックス4と共に回動する。これにより、インデックス4の回動でワークWを移送する構成において、研磨屑等の飛散による研磨前及び研磨後のワークWの汚染を防止することができる。
【0060】
また、ポリッシュ装置1は、チャック3の保持面を洗浄する図示しないチャック洗浄装置を有しても良い。チャック洗浄装置は、研磨工程でチャック3に付着した研磨屑等を、次に加工すべきワークWを保持する前に除去する部材であり、例えば、ベースフレーム10の上部に設けられている。チャック洗浄装置の図示しないチャック洗浄部材は、例えば、合成樹脂から形成されたブラシ状の部材であり、ナイロンブラシ等である。
【0061】
なお、チャック洗浄装置には、チャック3を洗浄するために、チャック3の保持面に高圧水を噴き付ける図示しない高圧水噴射手段が設けられても良い。チャック3に噴き付けられる高圧水は、例えば、純水、アルカリ性水溶液、酸性水溶液である。
【0062】
図3(A)は、インデックス4を支持する軸受20の概略を示す断面図であり、図3(B)は、図3(A)に示すA-A線断面図である。
図3(A)及び(B)を参照して、インデックス4を支持する支持部材としての軸受20は、例えば、クロスローラベアリングでも良い。詳しくは、軸受20は、インデックス4の周縁部に固定された内輪21と、コラム11側に固定された外輪22と、内輪21と外輪22との間にそれぞれが交互に直交するよう配列された略円筒状の転動体である、ころ23と、を有する。
【0063】
このようにインデックス4を支持する軸受20としてクロスローラベアリングが採用されることにより、支持部材の小型化を図ることができると共に、インデックス4の高精度な回動が可能となる。
【0064】
即ち、軸受20は、内輪21及び外輪22と、ころ23との線接触により、小型でありながら、ワークW(図2参照)の移送工程や研磨工程においてインデックス4に作用するラジアル荷重、アキシアル荷重及びモーメント等の複雑な荷重を同時に、且つ小さい弾性変位で、受けることができる。
【0065】
これによりコラム11は、軸受20を介して、インデックス4を高精度な回動ができるよう支持することができる。よって、インデックス4の中心部に支柱を設けることなく、小型のインデックス4でワークWを正確に安定して移送することができ、高効率且つ高精度な研磨加工を行うことができる。
【0066】
次に、図4ないし図10を参照して、ポリッシュ装置1のワークWを搬送して研磨する動作について説明する。
図4は、ロードカセット37からワークWを受け取る状態を示す平面図である。
図4に示すように、先ず、研磨対象のワークWが収容されたロードカセット37がポリッシュ装置1に取り付けられる。前述の通り、ロードカセット37には、複数枚のワークWが収容されても良い。ポリッシュ装置1にロードカセット37を取り付ける作業は、作業者によって行われても良いし、他の図示しない搬送装置等によって自動的に行われても良い。
【0067】
図5は、ロードトレイ30でワークWを受け取った状態を示す平面図である。
図4及び図5を参照して、ロードカセット37に収容されているワークWは、ロボット36によって取り出され、ロードトレイ30に受け渡される。即ち、ワークWは、ロボット36によって、ロードトレイ30の上部に載置される。この時、ロードトレイ30は、インデックス4の左側の、ワークWを受け取る基準位置31にある。
【0068】
図6は、チャック3にワークWを受け渡す状態を示す平面図である。
図5に示すように、ロードトレイ30にワークWが保持された状態で、図6に示すように、ロードトレイ30はポリッシュ装置1の中央方向にあるローディング位置41に移動し、ワークWが一方のチャック3aに受け渡される。なお、この時、アンロードトレイ32は、ポリッシュ装置1の右側の、ワークWを受け渡す基準位置33にある。
【0069】
詳しくは、ローディング位置41は、回動自在なインデックス4に支持された研磨加工中でない一方のチャック3aの下方である。即ち、ワークWは、研磨テーブル2の回転領域から径方向に離れた研磨加工を実行中でないチャック3aの保持面の下方に送られる。
なお、この時、研磨テーブル上の研磨位置40にある他方のチャック3bには、図示しない他のワークWを保持されており、そのワークWの研磨加工が行われている。
【0070】
ローディング位置41に送られたワークWは、上方のチャック3aに受け渡されて吸着保持される。即ち、チャック3aは、エアシリンダ19(図2参照)によって、保持面の下方にあるワークWに当接するように送られ、ワークWを吸着する。そして、ワークWを保持したチャック3aは、インデックス4が回動可能な高さ、詳しくは、ワークWが下隔壁28を超えて回動できる高さまで、上方に送られる。
【0071】
図7は、ポリッシュ装置1の研磨加工時の状態を示す平面図である。
図6に示すように、ローディング位置41でチャック3aにワークWが受け渡された後、図7に示すように、インデックス4は、周縁部を軸受20に支持された状態で180度回動する。これにより、チャック3a及びチャック3aに保持されたワークWがローディング位置41から研磨位置40に送られる。
なお、この時、研磨テーブル上にあった他方のチャック3bは、研磨加工が行われた図示しないワークWを保持して、研磨位置40からローディング位置41に送られる。
【0072】
次いで、チャック3aは下方に送られ、ワークWの被研磨面である下面は、研磨テーブル2に保持されている研磨布9の研磨面である上面に摺接する。そして、ワークWの研磨工程が実行される。
【0073】
具体的には、エアシリンダ19(図2参照)によってチャック3aを介してワークWが押圧されると共に、チャック用モータ15(図2参照)によってチャック3aが回転し、図示しない駆動手段に駆動されて研磨テーブル2が回転する。ワークWと研磨布9との相対移動により、ワークWの被研磨面が研磨される。
【0074】
研磨工程が完了したら、チャック3aは、ワークWを保持した状態で上方に送られる。即ち、チャック3aは、ワークWが下隔壁28より高く、インデックス4が回動可能な高さまで上昇する。
【0075】
図8は、アンロードトレイ32でワークWを受け取る状態を示す平面図である。
図8に示すように、研磨工程が終了してチャック3aが上昇した後、インデックス4は、その中央部を中心として回動する。
【0076】
具体的には、インデックス4は、軸受20に周縁部を支持された状態で、インデックス用モータ24によって駆動され、180度逆転する。これにより、研磨加工が実行された後のワークWは、研磨位置40から研磨テーブル2の回転領域外にあるローディング位置41に移送される。
なお、この時、次に研磨される図示しない他のワークWは、他方のチャック3bに保持された状態で、ローディング位置41から研磨位置40に送られる。
【0077】
ここで、アンロードトレイ32は、チャック3aからワークWを受け取るためにローディング位置41に移動する。即ち、アンロードトレイ32は、チャック3aに保持されたワークWの下方にある。そして、チャック3aは、下方に送られ、アンロードトレイ32にワークWを受け渡す。
ワークWをアンロードトレイ32に受け渡した後、チャック3aは、アンロードトレイ32が移動できるよう、上方に送られる。
【0078】
図9は、アンロードトレイ32からワークWを受け渡す状態を示す平面図である。
図9を参照して、ローディング位置41でチャック3aからワークWを受け取ったアンロードトレイ32は、ロボット36にワークWを受け渡す基準位置33に送られる。
そして、基準位置33において、ワークWは、ロボット36に受け取られる。
【0079】
図10は、アンロードカセット38にワークWを受け渡した状態を示す平面図である。
図10を参照して、ロボット36は、基準位置33に送られたアンロードトレイ32からワークWを受け取った後、そのワークWをアンロードカセット38に収容する。そして、アンロードカセット38に収容されるべき全てのワークWの研磨加工が終了してアンロードカセット38の収容が完了したら、アンロードカセット38がポリッシュ装置1から取り外される。
【0080】
なお、図7に示す研磨加工時において、図8から図10に示すように研磨加工が完了したワークWをチャック3bからアンロードカセット38に搬送する工程や、図5から図7に示すようにワークWをロードカセット37からチャック3bに搬送する工程が進められても良い。
【0081】
図4及び図5に示すようにロボット36でワークWをロードカセット37からロードトレイ30に搬送する工程において、図8及び図9に示すようにアンロードトレイ32でワークWをチャック3から基準位置33に移送する工程が進められても良い。
【0082】
また、図5及び図6に示すようにロードトレイ30でワークWを基準位置31からローディング位置41に移送してチャック3に受け渡す工程が行われる際に、図10に示すようなロボット36でアンロードトレイ32からアンロードカセット38にワークWを搬送する工程が行われても良い。
上記の方法により、ワークWを効率良く搬送して、搬送時間を短縮することができ、生産性を向上させることができる。
【0083】
また、図6に示すようにワークWがロードトレイ30からチャック3aに受け渡される工程の前に、図示しないチャック洗浄装置でチャック3aの保持面を洗浄する工程が行われても良い。
【0084】
以上説明の如く、本実施形態に係るポリッシュ装置1は、中央部に回転軸が不要なインデックス4によって装置の大型化を抑えることができると共に、小型のインデックス4で高精度且つ高効率なワークWの移送が可能である。よって、小型で高性能なポリッシュ装置1が得られ、半導体ウエハ等の生産性を向上させることができる。
【0085】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更実施が可能である。
【符号の説明】
【0086】
1 ポリッシュ装置
2 研磨テーブル
3、3a、3b チャック
4 インデックス
5 ワーク搬送機構
9 研磨布
10 ベースフレーム
11 コラム
12 アッパープレート
13 支柱
14 回転軸
15 チャック用モータ
16 プーリ
17 プーリ
18 ベルト
19 エアシリンダ
20 軸受
21 内輪
22 外輪
23 ころ
24 インデックス用モータ
25 ベルトクランプ
26 プーリ
27 ベルト
28 下隔壁
29 上隔壁
30 ロードトレイ
31 基準位置
32 アンロードトレイ
33 基準位置
34 レール
36 ロボット
37 ロードカセット
38 アンロードカセット
40 研磨位置
41 ローディング位置
W ワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10