(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023067635
(43)【公開日】2023-05-16
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 21/2668 20110101AFI20230509BHJP
H04N 21/24 20110101ALI20230509BHJP
H04N 7/18 20060101ALI20230509BHJP
H04N 23/63 20230101ALI20230509BHJP
H04N 23/698 20230101ALI20230509BHJP
【FI】
H04N21/2668
H04N21/24
H04N7/18 E
H04N7/18 U
H04N5/232 930
H04N5/232 380
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021179048
(22)【出願日】2021-11-01
(71)【出願人】
【識別番号】514020389
【氏名又は名称】TIS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉見真聡
(72)【発明者】
【氏名】井出将弘
【テーマコード(参考)】
5C054
5C122
5C164
【Fターム(参考)】
5C054CA04
5C054CC02
5C054CG02
5C054DA07
5C054EA01
5C054EA03
5C054EA05
5C054FC12
5C054FC13
5C054FD03
5C054FE24
5C054FE25
5C054FF02
5C054FF03
5C122DA02
5C122EA42
5C122FA02
5C122FH04
5C122FH10
5C122FK23
5C122FK24
5C122HA78
5C122HB01
5C122HB05
5C164FA07
5C164SA26S
5C164SB29S
5C164SB41P
5C164SC05P
5C164UD44S
5C164YA21
5C164YA30
(57)【要約】
【課題】特定の方向の映像を視聴し続けたいといった視聴者の要望に応えること。
【解決手段】本願に係る情報処理装置は、取得部と、決定部とを備える。取得部は、移動体に設けられた全天球カメラの撮像方向の変化に関する変化情報を取得する。決定部は、全天球カメラにより第1の撮像方向で撮像された第1の全天球画像のうち、視聴者に指定された方向に対応する領域を第1の表示領域として決定する。決定部は、全天球カメラにより第1の撮像方向と異なる第2の撮像方向で撮像された場合に、第1の撮像方向から第2の撮像方向への変化に関する変化情報に基づいて、第2の撮像方向に対応する第2の全天球画像のうち、第1の全天球画像の第1の表示領域に対応する領域を第2の表示領域として決定する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に設けられた全天球カメラの撮像方向の変化に関する変化情報を取得する取得部と、
前記全天球カメラにより第1の撮像方向で撮像された第1の全天球画像のうち、視聴者に指定された方向に対応する領域を第1の表示領域として決定する決定部を有し、
前記決定部は、
前記全天球カメラにより前記第1の撮像方向と異なる第2の撮像方向で撮像された場合に、前記第1の撮像方向から前記第2の撮像方向への変化に関する変化情報に基づいて、前記第2の撮像方向に対応する第2の全天球画像のうち、前記第1の全天球画像の第1の表示領域に対応する領域を第2の表示領域として決定する、
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記決定部は、
前記第2の全天球画像のうち、前記全天球カメラが存在する物理空間座標系における前記第1の撮像方向の画像を前記第2の表示領域として決定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記決定部は、
前記第1の全天球画像のうち特定の方向の領域を前記第1の表示領域として決定し、前記第1の撮像方向から前記第2の撮像方向への変化と反対方向に回転させた後の前記第2の全天球画像のうち前記特定の方向の領域を前記第2の表示領域として決定する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記決定部は、
前記全天球カメラにより撮像される映像のフレーム毎に、前記変化情報に基づいて、各フレームに対応する全天球画像のうち表示領域を決定する、
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
コンピュータが実行する情報処理方法であって、
移動体に設けられた全天球カメラの撮像方向の変化に関する変化情報を取得する取得工程と、
前記全天球カメラにより第1の撮像方向で撮像された第1の全天球画像のうち、視聴者に指定された方向に対応する領域を第1の表示領域として決定する決定工程を含み、
前記決定工程は、
前記全天球カメラにより前記第1の撮像方向と異なる第2の撮像方向で撮像された場合に、前記第1の撮像方向から前記第2の撮像方向への変化に関する変化情報に基づいて、前記第2の撮像方向に対応する第2の全天球画像のうち、前記第1の全天球画像の第1の表示領域に対応する領域を第2の表示領域として決定する、
ことを特徴とする情報処理方法。
【請求項6】
移動体に設けられた全天球カメラの撮像方向の変化に関する変化情報を取得する取得手順と、
前記全天球カメラにより第1の撮像方向で撮像された第1の全天球画像のうち、視聴者に指定された方向に対応する領域を第1の表示領域として決定する決定手順をコンピュータに実行させ、
前記決定手順は、
前記全天球カメラにより前記第1の撮像方向と異なる第2の撮像方向で撮像された場合に、前記第1の撮像方向から前記第2の撮像方向への変化に関する変化情報に基づいて、前記第2の撮像方向に対応する第2の全天球画像のうち、前記第1の全天球画像の第1の表示領域に対応する領域を第2の表示領域として決定する、
ことを特徴とする情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、移動可能な撮像装置により撮像された映像(動画像)を、視聴者にリアルタイムで視聴させる技術が知られている。例えば、室内にいる視聴者に、屋外移動中の撮像装置により撮像された映像を視聴させることで、随伴して屋外を移動しているような臨場感を提供する技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【非特許文献1】矢崎武瑠,外10名,“ウェアラブル・テレプレゼンスシステム“T-Leap”を用いた市街地でのナビゲーション検証結果と応用可能性の検討”,第25回日本バーチャルリアリティ学会大会論文集,2020年9月,[online],[令和3年9月28日検索],インターネット<http://conference.vrsj.org/ac2020/program/doc/1A1-4_PR0158.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術では、視聴者が映像を視聴中に、撮像装置が動くと、表示される映像の方向が変化する。このため、撮像装置の撮像方向と連動して表示される映像も変化するので、特定の方向の映像を視聴し続けたいといった視聴者の要望に応えることが困難であった。
【0005】
本願は、上記に鑑みてなされたものであって、特定の方向の映像を視聴し続けたいといった視聴者の要望に応えることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願に係る情報処理装置は、移動体に設けられた全天球カメラの撮像方向の変化に関する変化情報を取得する取得部と、前記全天球カメラにより第1の撮像方向で撮像された第1の全天球画像のうち、視聴者に指定された方向に対応する領域を第1の表示領域として決定する決定部を有し、前記決定部は、前記全天球カメラにより前記第1の撮像方向と異なる第2の撮像方向で撮像された場合に、前記第1の撮像方向から前記第2の撮像方向への変化に関する変化情報に基づいて、前記第2の撮像方向に対応する第2の全天球画像のうち、前記第1の全天球画像の第1の表示領域に対応する領域を第2の表示領域として決定する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
実施形態の一態様によれば、特定の方向の映像を視聴し続けたいといった視聴者の要望に応えることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係る情報処理システムの構成例を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る配信者端末の構成例を示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る配信者端末の装着例を示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る全天球画像の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る座標系(物理空間、配信者側、視聴者側)の関係性を説明するための図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る視聴者端末の構成例を示す図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係る情報処理装置の構成例を示す図である。
【
図8】
図8は、撮像方向の変化に応じた視聴者側の表示映像の変化の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、撮像方向の変化前の端末座標系と、周囲のオブジェクトとの関係性を示す図である。
【
図10】
図10は、ビューワ座標系と、視聴者側の表示映像との関係性を示す図である。
【
図11】
図11は、撮像方向の変化後の端末座標系と、視野固定がない場合の視聴者側の表示映像との関係性を示す図である。
【
図12】
図12は、実施形態に係る情報処理装置による処理を説明するための図である。
【
図13】
図13は、実施形態に係る情報処理装置による処理を説明するための図である。
【
図14】
図14は、実施形態に係る情報処理の一例を示すフローチャートである。
【
図15】
図15は、情報処理装置の機能を実現するコンピュータの一例を示すハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本願に係る情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムを実施するための形態(以下、「実施形態」と呼ぶ)について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態により本願に係る情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムが限定されるものではない。また、以下の各実施形態において同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略される。
【0010】
(実施形態)
〔1.情報処理システムの構成〕
図1に示す情報処理システム1について説明する。
図1に示すように、情報処理システム1は、配信者端末10と、視聴者端末20と、情報処理装置100とが含まれる。配信者端末10と、視聴者端末20と、情報処理装置100とは所定の通信網(ネットワークN)を介して、有線または無線により通信可能に接続される。
図1は、実施形態に係る情報処理システム1の構成例を示す図である。なお、
図1に示した情報処理システム1には、複数台の視聴者端末20が含まれてもよい。
【0011】
配信者端末10は、視聴者に映像を配信する配信者(例えば、屋外を移動しながら配信するもの)によって利用される情報処理装置である。配信者端末10は、配信者の周囲360度を撮像可能な全天球カメラを有し、実施形態における処理を実現可能であれば、どのような装置であってもよい。例えば、配信者端末10は、モバイル・ウェアラブル型の装置であり、配信者に装着される。
【0012】
また、配信者端末10は、ジャイロセンサを有し、配信者端末10に設けられた全天球カメラの撮像方向の変化(例えば、カメラの撮像方向の回転を含む)を検知する。例えば、ジャイロセンサは、全天球カメラの撮像方向が右に30度回転した場合には、全天球カメラの撮像方向が右に30度回転したことを特徴量(例えば、ベクトル量)で示すジャイロ値を出力する。そして、配信者端末10は、出力されたジャイロ値に基づいて、全天球カメラの撮像方向の変化を検知する。なお、撮像方向の変化が大きいほど、大きい特徴量のジャイロ値が出力される。例えば、90度回転した場合には、30度回転した場合よりも撮像方向の変化が大きいため、大きい特徴量のジャイロ値が出力される。
【0013】
以下、配信者端末10は配信者T11によって利用されるものとする。
【0014】
視聴者端末20は、配信者端末10を介して配信された画像を視聴する視聴者によって利用される情報処理装置である。視聴者端末20は、スマートフォンや、タブレット型端末や、ノート型PCや、デスクトップPCや、携帯電話機や、PDA等、実施形態における処理を実現可能であれば、どのような装置であってもよい。
【0015】
視聴者端末20は、例えば、スマートフォンやタブレット等のスマートデバイスであり、3G~5G(Generation)やLTE(Long Term Evolution)等の無線通信網を介して任意のサーバ装置と通信を行うことができる携帯端末装置である。また、視聴者端末20は、液晶ディスプレイ等の画面であって、タッチパネルの機能を有する画面を有し、指やスタイラス等によりタップ操作、スライド操作、スクロール操作等、コンテンツ等の表示データに対する各種の操作を受け付けてもよい。
【0016】
以下、視聴者端末201は視聴者U11によって利用され、視聴者端末202は視聴者U12によって利用される。なお、視聴者端末201及び202を区別する必要のないときは、「視聴者端末20」と表記する。また、視聴者U11及びU12を区別する必要のないときは、単に「視聴者」と表記する。また、視聴者端末20を視聴者と表記する場合がある。すなわち、以下では、視聴者を視聴者端末20と読み替えることもできる。
【0017】
情報処理装置100は、特定の方向の映像を視聴し続けたいといった視聴者の要望に応えることを目的とした情報処理装置であり、実施形態における処理を実現可能であれば、どのような装置であってもよい。情報処理装置100は、例えば、サーバ装置やクラウドシステム等により実現される。
【0018】
なお、
図1では、情報処理装置100と配信者端末10とが、別装置である場合を示すが、情報処理装置100と配信者端末10とが一体であってもよい。また、情報処理装置100と視聴者端末20とが、別装置である場合を示すが、情報処理装置100と視聴者端末20とが一体であってもよい。また、情報処理装置100と、配信者端末10と視聴者端末20とを中継するサーバ装置等(不図示)とが一体であってもよい。
【0019】
〔2.配信者端末の構成〕
次に、
図2~
図4を用いて、実施形態に係る配信者端末10の構成について説明する。
図2は、実施形態に係る配信者端末10の構成例を示す図である。
図2に示すように、配信者端末10は、通信部11と、入力部12と、出力部13と、全天球カメラ14と、ジャイロセンサ15と、制御部16とを有する。
【0020】
(通信部11)
通信部11は、例えば、NIC(Network Interface Card)等によって実現される。そして、通信部11は、所定のネットワークNと有線又は無線で接続され、所定のネットワークNを介して、情報処理装置100等との間で情報の送受信を行う。
【0021】
(入力部12)
入力部12は、配信者からの各種操作を受け付ける。例えば、入力部12は、タッチパネル機能により表示面を介して配信者からの各種操作を受け付けてもよい。また、入力部12は、配信者端末10に設けられたボタンや、配信者端末10に接続されたキーボードやマウスからの各種操作を受け付けてもよい。
【0022】
(出力部13)
出力部13は、例えば液晶ディスプレイや有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等によって実現されるタブレット端末等の表示画面であり、各種情報を表示させるための表示装置である。
【0023】
例えば、出力部13は、観光ガイドが配信者となり、遠隔にいる複数の視聴者である観光客の買い物をサポートする際に、遠隔にいる複数の観光客から送信された情報を表示させる。例えば、出力部13は、「商品を手に取ってよく見せてください」といったような観光客からの問い合わせに関する情報を表示させる。
【0024】
(全天球カメラ14)
全天球カメラ14は、配信者T11の周囲360度を撮像する。
図3は、実施形態に係る配信者端末10の装着例を示す図である。全天球カメラ14は、全天球カメラ14の鉛直方向LA1を基準として、周囲360度を撮像する。具体的には、全天球カメラ14は、全天球カメラ14の鉛直方向LA1を、後述の端末座標系のZ軸として、周囲360度を撮像する。以下、全天球カメラ14の鉛直方向LA1を、後述の端末座標系のZ軸とする。
【0025】
また、
図4は、実施形態に係る全天球画像の一例を示す図である。全天球画像IM1は、全天球カメラ14により撮像された映像のある瞬間の全天球画像(例えば、映像のあるフレームに撮像された全天球画像)であり、各視聴者は、全天球画像IM1のうち、特定の方向の領域の映像を視聴する。例えば、視聴者U11は、視聴者U11が視聴したい表示領域IM11の映像を視聴し、視聴者U12は、視聴者U12が視聴したい表示領域IM12の映像を視聴する。なお、全天球画像IM1は、360度を撮像したものであるため実際は画像に歪みがあるが、視聴者端末20に表示させる際は、歪みが補正された画像の映像が表示される。なお、全天球カメラ14は、配信者端末10に設けられているため、配信者端末10とともに移動可能な撮像装置である。
【0026】
(ジャイロセンサ15)
ジャイロセンサ15は、全天球カメラ14の撮像方向が変化(例えば、回転を含む)すると、全天球カメラ14の撮像方向の変化を特徴量で示すジャイロ値を出力する。なお、全天球カメラ14の撮像方向は、例えば、配信者端末10の動きに応じて変化する。例えば、配信者がお辞儀をすると、配信者の動きに応じて配信者端末10が前方に回転するため、全天球カメラ14の撮像方向が下方に変化する。なお、ジャイロ値は、ベクトル等の特徴量で示されるが、方向等の特徴量は、後述の端末座標系に基づいて出力されるものとする。
【0027】
(制御部16)
制御部16は、例えば、コントローラ(controller)であり、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等によって、配信者端末10内部の記憶装置に記憶されている各種プログラムがRAM(Random Access Memory)を作業領域として実行されることにより実現される。例えば、この各種プログラムには、配信者端末10にインストールされたアプリケーションのプログラムが含まれる。例えば、この各種プログラムには、遠隔にいる複数の視聴者から送信された情報を表示させるアプリケーションのプログラムが含まれる。また、制御部16は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現される。
【0028】
図2に示すように、制御部16は、送信部161を有し、以下に説明する情報処理の作用を実現または実行する。
【0029】
(送信部161)
送信部161は、全天球カメラ14により、例えば映像のフレーム毎(又はコマ毎)に撮像された全天球画像をリアルタイムで情報処理装置100へ送信する。また、送信部162は、全天球画像を送信する際に、ジャイロセンサ15により出力されたジャイロ値を送信する。なお、送信部162は、全天球カメラ14により撮像された全天球画像の座標情報を送信する。この座標情報は、全天球カメラ14の座標系(以下、適宜、「端末座標系」とする)に基づく座標情報である。この座標情報によって、全天球画像のどの画像が端末座標系のどの座標に対応するのか特定することができる。なお、端末座標系が配信者側の座標系であるのに対して、視聴者側の座標系を、以下、適宜、「ビューワ座標系」とする。
【0030】
図5は、実施形態に係る座標系(物理空間、配信者側、視聴者側)の関係性を説明するための図である。
図5左側(FG1)は、物理空間座標系(FG11)を示す。物理空間座標系は、地球FG12の中心を基にしたグローバル座標系、すなわち、地軸の回転等の惑星規模の動きを無視して固定された座標系に該当する。
【0031】
図5中央(FG2)は、端末座標系(FG13)を示す。端末座標系(FG13)は、物理空間座標系(FG11)に対するローカル座標系である。端末座標系(FG13)は、全天球カメラ14の姿勢を基にした物理空間座標系(FG11)に対するローカル座標系であり、全天球カメラ14が設けられた移動体(ここでは配信者T11)の動きに応じて回転する。
【0032】
図5右側(FG3)は、ビューワ座標系(FG21)を示し、端末座標系(FG13)に対するローカル座標系である。ビューワ座標系(FG21)は、全天球画像から視聴者の画面をレンダリングするための仮想空間の座標系である。ブラウザ等の操作によって視聴者の視点である仮想的なカメラの方向(視聴者の視界)は、ビューワ座標系FG21を基に回転する。すなわち、ビューワ座標系(FG21)は、視聴者の視点である仮想的なカメラの座標系である。
【0033】
従来の技術では、端末座標系(FG13)の回転に関わらず、視聴者の視界を物理空間座標系(FG11)に対して固定したいといった視聴者の要望に応えることが困難であった。
【0034】
〔3.視聴者端末の構成〕
次に、
図6を用いて、実施形態に係る視聴者端末20の構成について説明する。
図6は、実施形態に係る視聴者端末20の構成例を示す図である。
図6に示すように、視聴者端末20は、通信部21と、入力部22と、出力部23と、制御部24とを有する。
【0035】
(通信部21)
通信部21は、例えば、NIC等によって実現される。そして、通信部21は、所定のネットワークNと有線又は無線で接続され、所定のネットワークNを介して、情報処理装置100等との間で情報の送受信を行う。
【0036】
(入力部22)
入力部22は、視聴者からの各種操作を受け付ける。例えば、入力部22は、タッチパネル機能により表示面を介して視聴者からの各種操作を受け付けてもよい。また、入力部22は、視聴者端末20に設けられたボタンや、視聴者端末20に接続されたキーボードやマウスからの各種操作を受け付けてもよい。
【0037】
(出力部23)
出力部23は、例えば液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等によって実現されるタブレット端末等の表示画面であり、各種情報を表示させるための表示装置である。
【0038】
例えば、出力部23は、情報処理装置100により送信された情報に基づいて、配信者がリアルタイムで配信している全天球画像のうち、視聴者に指定された方向の表示領域の映像を表示させる。
【0039】
(制御部24)
制御部24は、例えば、コントローラであり、CPUやMPU等によって、視聴者端末20内部の記憶装置に記憶されている各種プログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現される。例えば、この各種プログラムには、視聴者端末20にインストールされたアプリケーションのプログラムが含まれる。例えば、この各種プログラムには、情報処理装置100により送信された情報に基づいて、配信者端末10によりリアルタイムに配信されている全天球画像のうち、視聴者に指定された方向の映像を表示させるアプリケーションのプログラムが含まれる。また、制御部24は、例えば、ASICやFPGA等の集積回路により実現される。
【0040】
図6に示すように、制御部24は、受信部241と、表示制御部242と、送信部243とを有し、以下に説明する情報処理の作用を実現または実行する。
【0041】
(受信部241)
受信部241は、情報処理装置100により送信された情報を受信する。具体的には、受信部241は、配信者端末10がリアルタイムで配信している全天球画像と、全天球画像のうち視聴者に指定された方向の映像を表示させるための情報(例えば、全天球画像の座標情報)を受信する。
【0042】
(表示制御部242)
表示制御部242は、受信部241により受信された情報に基づいて、配信者端末10がリアルタイムで配信している全天球画像のうち、視聴者に指定された方向に対応する映像を出力部23に表示させる。なお、出力部23に表示される映像の方向は、表示領域の方向を視聴者が新たに指定することで、変更可能である。
【0043】
ここで、視聴者が、出力部23に表示された映像を視聴中に、全天球カメラ14が回転すると、全天球カメラ14の回転に応じて端末座標系が回転するため、全天球カメラ14の回転前には、物理空間座標系の特定の方向の映像が表示されていたとしても、全天球カメラ14の回転後には、物理空間座標系の特定の方向と異なる方向の映像が表示される。このため、視聴者が物理空間座標系の特定の方向の映像を視聴し続けたくても、全天球カメラ14が回転すると、特定の方向の映像を視聴し続けられなくなる。
【0044】
例えば、視聴者U11が表示領域IM11の映像を視聴中に配信者T11がお辞儀をすると、配信者T11の動きとともに全天球カメラ14が前方に回転するため、全天球カメラ14の座標系である端末座標系も前方に回転し、表示領域IM11の映像ではなく、表示領域IM13(
図4)の映像が出力部23に表示される。
【0045】
(送信部243)
送信部243は、入力部22を介して視聴者から受け付けられた情報を情報処理装置100へ送信する。例えば、送信部243は、視聴のため視聴者に指定された方向を示す指定情報を送信する。例えば、全天球画像IM1のうち、帽子HA11を被ったオブジェクトの方向に対応する映像を視聴したい場合には、表示領域IM12の方向を指定(例えば、タップやクリック)すると、表示領域IM12の方向を示す指定情報が、送信部243から送信される。なお、送信部243は、視聴者が新たに表示領域IM12の方向と異なる方向を指定した場合には、異なる方向を示す指定情報を送信する。この場合、新たに指定された方向の映像が視聴者に表示される。なお、指定情報によって示される方向は、ビューワ座標系における方向に該当する。この点については後述する。
【0046】
〔4.情報処理装置の構成〕
次に、
図7を用いて、実施形態に係る情報処理装置100の構成について説明する。
図7は、実施形態に係る情報処理装置100の構成例を示す図である。
図7に示すように、情報処理装置100は、通信部110と、制御部120とを有する。なお、情報処理装置100は、情報処理装置100の管理者から各種操作を受け付ける入力部(例えば、キーボードやマウス等)や、各種情報を表示させるための表示部(例えば、液晶ディスプレイ等)を有してもよい。
【0047】
(通信部110)
通信部110は、例えば、NIC等によって実現される。そして、通信部110は、ネットワークNと有線又は無線で接続され、ネットワークNを介して、配信者端末10等との間で情報の送受信を行う。
【0048】
(制御部120)
制御部120は、コントローラであり、例えば、CPUやMPU等によって、情報処理装置100内部の記憶装置に記憶されている各種プログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部120は、コントローラであり、例えば、ASICやFPGA等の集積回路により実現される。
【0049】
図7に示すように、制御部120は、取得部121と、決定部122と、送信部123とを有し、以下に説明する情報処理の作用を実現または実行する。なお、制御部120の内部構成は、
図7に示した構成に限られず、後述する情報処理を行う構成であれば他の構成であってもよい。
【0050】
(取得部121)
取得部121は、配信者端末10等の他の情報処理装置から各種情報を取得する。具体的には、取得部121は、全天球カメラ14の撮像方向の変化に関する変化情報を取得する。例えば、取得部121は、変化情報として、全天球カメラ14の撮像方向の変化を示すジャイロ値を情報処理装置100から取得する。そして、取得部121は、ジャイロ値に基づいて、全天球カメラ14の回転方向及び回転量を取得する。また、取得部121は、視聴のため視聴者が方向を指定した指定情報を視聴者端末20から取得する。
【0051】
(決定部122)
決定部122は、全天球カメラ14により撮像された全天球画像のうち、視聴者に指定された方向の領域を表示領域として決定する。
【0052】
詳細は後述するが、決定部122は、全天球カメラ14により第1の撮像方向と異なる第2の撮像方向で撮像された場合に、第1の撮像方向から第2の撮像方向への変化に関する変化情報に基づいて、第2の全天球画像のうち、第1の全天球画像の第1の表示領域に対応する領域を第2の表示領域として決定する。例えば、全天球カメラ14が回転すると、第1の撮像方向と異なる第2の撮像方向で撮像される。この際、第1の撮像方向から第2の撮像方向へ撮像方向が変化するため、端末座標系で、撮像方向の変化前のオブジェクトOB11の方向の座標情報は、撮像方向の変化後のオブジェクトOB11の方向の座標情報と異なる。決定部122は、撮像方向の変化情報に基づいて、第2の全天球画像のうち、第1の全天球画像の第1の表示領域に対応する領域を第2の表示領域として決定する。
【0053】
図8は、撮像方向の変化に応じた視聴者側の表示映像の変化の一例を示す図である。全天球カメラ14が回転すると、全天球カメラ14の回転に応じて端末座標系が回転するため、例えば、全天球カメラ14が物理空間座標系における第1の撮像方向として南の方向を撮像しており、視聴者U11がオブジェクトOB11の方向の映像を視聴していたとしても、全天球カメラ14が東の方向に回転すると(ステップS11)、端末座標系AX1が回転するため、視聴者U11が視聴していたオブジェクトOB11の方向の映像が表示されなくなる(ステップS12)。
【0054】
決定部122は、第1の全天球画像のうち、特定の方向の領域を第1の表示領域として決定する。例えば、決定部122は、第1の全天球画像のうち、視聴者に指定された方向の領域を第1の表示領域として決定する。また、決定部122は、第1の撮像方向から第2の撮像方向への変化と反対方向に回転させた後の第2の全天球画像のうち、第1の表示領域の方向の領域を第2の表示領域として決定する。例えば、第1の撮像方向から第2の撮像方向へ撮像方向が変化すると、端末座標系で、撮像方向の変化前のオブジェクトOB11の方向の座標情報が、撮像方向の変化後のオブジェクトOB11の方向の座標情報と異なる。このため、決定部122は、撮像方向の変化情報に基づいて、第1の撮像方向から第2の撮像方向への変化と反対方向に回転させた後の第2の全天球画像のうち、オブジェクトOB11の方向の領域を第2の表示領域として決定する。
【0055】
(送信部123)
送信部123は、取得部121により取得された指定情報に基づいて、全天球画像のうち、特定の方向の第1の表示領域の映像を表示させるための情報(例えば、全天球画像の座標情報)を送信する。具体的には、送信部123は、視聴者に指定された方向の座標情報に基づいて特定された第1の表示領域の映像を表示させるための情報を送信する。
【0056】
また、送信部123は、決定部122により決定された第2の表示領域の映像を表示させるための情報を送信する。なお、第1の表示領域(又は第2の表示領域)の大きさは、視聴者端末20毎に予め定められているものとする。そして、予め定められた大きさに基づいて、全天球画像のうち、第1の表示領域(又は第2の表示領域)の映像が視聴者端末20に表示される。視聴者端末20は、送信部123により送信された情報を受信すると、受信した情報に基づいて、出力部23に映像を表示させる。
【0057】
例えば、
図4に示す例では、視聴者U11が視聴のため表示領域IM11の方向を指定したため、送信部123は、画像IM1のうち、指定された方向の座標情報に応じた映像を視聴者端末20
1に表示させるための情報を送信する。同時刻、視聴者U12が視聴のため表示領域IM12の方向を指定したため、送信部123は、画像IM1のうち、指定された方向の座標情報に応じた映像を視聴者端末20
2に表示させるための情報を送信する。
【0058】
以下、情報処理装置100による処理を説明する。情報処理装置100による処理に先立って、
図9~
図11を用いて、全天球カメラ14の回転に応じて視聴者に提供される映像の方向が変化する場合について説明する。続いて、
図12及び
図13を用いて、情報処理装置100により処理を説明する。
【0059】
図9は、撮像方向の変化前の端末座標系と、周囲のオブジェクトとの関係性を示す図である。座標系AX11は、物理空間座標系である。例えば、オブジェクトOB11が、配信者T11に対して南の方向にあることを示す。なお、オブジェクトOB11、OB12、OB13は、全天球カメラ14により撮像された全天球画像に写るオブジェクトである。また、座標系AX12は、端末座標系である。
【0060】
図10は、ビューワ座標系と、視聴者側の表示映像との関係性を示す図である。決定部122は、全天球画像の座標情報に基づいて、全天球画像をビューワ座標系AX13へ展開する。具体的には、全天球画像の各座標は、ビューワ座標系AX13の各座標に対応している。例えば、全天球カメラ14の正面方向が、全天球画像の座標(x1、y1、z1)に対応し、更に、全天球画像の座標(x1、y1、z1)が、ビューワ座標系AX13の座標(X1、Y1、Z1)に対応するものとする。この場合、決定部122は、全天球カメラ14の正面方向に撮像された全天球画像の座標(x1、y1、z1)に対応する画素を、ビューワ座標系AX13の座標(X1、Y1、Z1)に展開する。
図10の例では、全天球カメラ14の正面方向に対応する全天球画像の座標(オブジェクトOB11が撮像された方向)は、ビューワ座標系AX13の下方向(全天球画像が展開される球面の南半球方向)に対応するものとする。このように、決定部122は、全天球画像の各座標(すなわち、端末座標系の座標)と、ビューワ座標系AX13の各座標に対応に基づいて、全天球画像をビューワ座標系AX13に展開する。
【0061】
図10に示すカメラCA11は、視聴者の視点である仮想的なカメラ(視聴者の視界)である。
図10に示す例では、視聴者U11によって指定された指定情報がオブジェクトOB11の方向を示すため、カメラCA11が、オブジェクトOB11の方向に向けられている。この場合、オブジェクトOB11の方向の所定の領域(メッシュ部分)が表示領域となり、表示領域に応じて映像が視聴者端末20に表示される。なお、図示されていないが、同時刻、視聴者U12によって指定された指定情報がオブジェクトOB13の方向を示す場合には、カメラCA11が、オブジェクトOB13の方向に向けられる。この場合、オブジェクトOB13の方向の所定の領域(不図示)が表示領域となり対応する映像が表示される。なお、表示領域以外の領域は、非表示領域である。視聴者毎に表示領域が異なるように、非表示領域も異なる。全天球画像と、カメラCA11の向きとに基づいて映像が視聴者端末20に表示される。このように、視聴者によって指定される指定情報は、ビューワ座標系における特定の方向を示す。
【0062】
図11は、撮像方向の変化後の端末座標系と、視野固定がない場合(すなわち、指定情報が示す方向に固定しない場合)の視聴者側の表示映像との関係性を示す図である。なお、
図9~
図10と同様の説明は適宜省略する。
【0063】
図11では、最初に配信者T11(すなわち、全天球カメラ14の正面)が南方向を向いていたが、配信者T11がラーメン屋であるオブジェクトOB13を発見したために、オブジェクトOB13の西の方向へ向きを変えたものとする(ステップS21)。この場合、配信者T11が南から西の方向へ向きを変えたことにより、全天球カメラ14の正面方向も南から西の方向へ回転する。端末座標系が時計回りに回転するため、オブジェクトOB11の方向の映像を視聴していた視聴者U11の視聴者端末20
1にオブジェクトOB11の方向の映像が表示されなくなる。なお、配信者T11が南から西の方向へ90度向きを変えたため、オブジェクトOB13の方向の映像が視聴者端末20
1に表示される。このため、視聴者U11は、「あれ?タワーはどこ?」となってしまう。
【0064】
図10の例を用いて具体的に説明する。
図10で説明したように、全天球カメラ14の正面方向は、ビューワ座標系AX13の下方向(全天球画像が展開される球面の南半球方向)に対応するものとする。すなわち、全天球カメラ14の正面方向が南から西の方向へ回転した場合には、全天球カメラ14によって撮像された西方向の映像が、ビューワ座標系AX13の下方向に展開されることとなる。この場合、視聴者U11によって指定されている方向がビューワ座標系AX13の下方向であるため、視聴者端末20
1にはオブジェクトOB13の方向の映像が送信され、視聴者U11は、オブジェクトOB13の方向の映像を視聴することとなる。
【0065】
なお、
図11の例において、同時刻、オブジェクトOB13の方向の映像を視聴していた視聴者U12の視聴者端末20
2にオブジェクトOB13の方向の映像が表示されなくなり、オブジェクトOB12の方向の映像が視聴者端末20
2に表示される。このため、視聴者U12は、「ラーメン屋が見えなくなった」となってしまう。
【0066】
このように、視聴者が特定の方向の映像を視聴し続けるための視野固定がない場合、端末座標系の回転によって、撮像方向の変化に応じた方向の映像が表示されてしまうため、視界が回転したかのような体験を視聴者に与えてしまう。
【0067】
図12及び
図13は、実施形態に係る情報処理装置100による処理を説明するための図である。なお、
図9~
図11と同様の説明は適宜省略する。
【0068】
図12では、ステップS21によって、全天球カメラ14の撮像方向の変化を打ち消すように全天球カメラ14の撮像方向の変化と反対方向(反時計回り)に回転させた後の第2の全天球画像のうち、第1の表示領域の方向の領域を第2の表示領域として決定することで、特定の方向の映像が表示され続ける。例えば、視聴者端末20
1には、オブジェクトOB11の方向の映像が表示され続ける。このため、視聴者U11は、オブジェクトOB11に「いつかいってみたいな」と思いを募らせながら視聴することができる。
【0069】
また、オブジェクトOB13の方向の映像を視聴していた視聴者U12の視聴者端末202には、オブジェクトOB13の方向の映像が表示され続ける。このため、視聴者U11は、オブジェクトOB13の「ここのラーメンはおいしそう」と想像を膨らませながら視聴することができる。
【0070】
【0071】
まず、
図13の説明の前提として、視聴者U11は、
図9に示した南の方向(オブジェクトOB11が存在する方向)の視聴を希望したものとする。すなわち、視聴者U11に指定された方向は、物理空間座標系において南の方向に該当し、
図10に示したビューワ座標系AX13において下方向(表示領域を示した領域)に該当する。この場合、全天球カメラ14の正面が南方向を向いている限りは、ビューワ座標系AX13の下方向には、視聴者U11が視聴したい映像が展開される。このため、決定部122は、
図10に示した例のように、ビューワ座標系AX13に展開された全天球画像(第1の全天球画像に対応する)のうち、視聴者に指定された方向に対応する領域を表示領域(第1の表示領域に対応)として決定する。このように、視聴者に視聴方向を指定された時点における全天球カメラ14の撮像方向(第1の撮像方向に対応)と同じ方向で全天球カメラ14が撮像している場合には、決定部122は、ビューワ座標系AX13に展開された全天球画像のうち、指定情報に対応する領域を表示領域として決定すれば、視聴者の希望する方向の映像を表示領域として決定することができる。
【0072】
続いて、
図12に示した例のように、全天球カメラ14の撮像方向が回転したものとする。すなわち、視聴者に視聴方向を指定された時点における全天球カメラ14の撮像方向(第1の撮像方向に対応)と異なる撮像方向(第2の撮像方向に対応)で全天球カメラ14の撮像方向により撮像されたものとする。この場合、
図13の左側に示した例のように、第2の撮像方向で撮像された全天球画像(第2の全天球画像に対応)は、全天球カメラ14の回転に応じて、ビューワ座標系AX13において回転して展開される。具体的には、
図13の左例に示した全天球画像は、
図10に示した全天球画像と比較して、方向R2に90度回転してビューワ座標系AX13に展開される。
【0073】
そこで、第1の撮像方向から第2の撮像方向への変化情報である全天球カメラ14の回転方向及び回転量に基づいて、
図13の左側に示した全天球画像を、ビューワ座標系において回転させる。具体的には、決定部122は、
図13の真ん中に示すように、全天球カメラ14の回転に応じた全天球画像の方向R2への回転を打ち消すように、方向R1へ全天球画像を回転させる。
【0074】
そして、決定部122は、
図13の右側に示すように、回転させた後の全天球画像のうち、視聴者によって指定された方向に対応する領域を表示領域(メッシュ部分)として決定する。このとき、決定部122は、表示領域に対応する全天球画像の座標情報を特定する。これにより、送信部123により、表示領域に対応する座標情報が視聴者端末20へ送信される。なお、ここでいう表示領域に対応する全天球画像の座標情報とは、ビューワ座標系における座標ではなく、上記で説明した全天球画像の座標(x1、y1、z1)等である。
【0075】
〔5.情報処理のフロー〕
次に、
図14を用いて、実施形態に係る情報処理システム1による情報処理の手順について説明する。
図14は、実施形態に係る情報処理システム1による情報処理の手順を示すフローチャートである。
【0076】
図14に示すように、情報処理装置100は、全天球カメラ14の撮像方向の変化に関する変化情報を取得する(ステップS101)。
【0077】
情報処理装置100は、全天球カメラ14により第1の撮像方向で撮像された第1の全天球画像のうち、視聴者に指定された方向に対応する領域を第1の表示領域として決定する(ステップS102)。
【0078】
情報処理装置100は、全天球カメラ14により第1の撮像方向と異なる第2の撮像方向で撮像された場合に、第1の撮像方向から第2の撮像方向への変化に関する変化情報に基づいて、第2の撮像方向に対応する第2の全天球画像のうち、第1の全天球画像の第1の表示領域に対応する領域を第2の表示領域として決定する(ステップS103)。
【0079】
〔6.変形例〕
上述した実施形態に係る情報処理システム1は、上記実施形態以外にも種々の異なる形態にて実施されてよい。そこで、以下では、情報処理システム1の他の実施形態について説明する。
【0080】
上記実施形態では、情報処理装置100が、回転後の第2の全天球画像を視聴者端末20に送信し、視聴者端末20が、受信した第2の全天球画像のうち、第2の表示領域に対応する画像を切り出して映像を表示させる場合を示したが、この例に限られない。例えば、情報処理装置100は、回転後の第2の全天球画像のうち、第2の表示領域に基づいて切り出された画像を視聴者端末20に送信してもよい。そして、リアルタイムで切り出された画像を情報処理装置100が送信し続けることにより、視聴者端末20に、第2の表示領域に対応する映像が表示され続けるようにしてもよい。
【0081】
上記実施形態では、情報処理装置100と視聴者端末20とが別装置である場合を示したが、情報処理装置100と視聴者端末20とが一体であってもよい。この場合、視聴者端末20は、配信者端末10を介して配信された全天球画像を受信する。そして、視聴者端末20は、ジャイロ値に応じて全天球カメラ14の回転を打ち消すように全天球カメラ14の回転と反対方向に第2の全天球画像を回転させる。そして、視聴者端末20は、回転後の第2の全天球画像のうち、第2の表示領域に基づいて切り出された画像を表示させる。なお、リアルタイムで全天球画像を配信者端末10が配信し続けることにより、視聴者端末20に、第2の表示領域に対応する映像が表示され続けるようにしてもよい。
【0082】
上記実施形態では、配信者端末10と全天球カメラ14とが一体である場合を示したが、この例に限られない。例えば、配信者端末10と全天球カメラ14とが一体でない場合には、全天球カメラ14は、配信者端末10とは別に、配信者に装着されるものとする。この場合、全天球カメラ14の装着位置(物理的配置)は固定されるものとする。
【0083】
上記実施形態では、配信者端末10とジャイロセンサ15とが一体である場合を示したが、この例に限られない。例えば、配信者端末10とジャイロセンサ15とが一体でない場合には、ジャイロセンサ15は、配信者端末10とは別に、配信者に装着されるものとする。この場合、ジャイロセンサ15の装着位置は固定されるものとする。
【0084】
上記実施形態では、配信者端末10を利用する配信者が人である場合を示したが、全天球カメラ14とジャイロセンサ15とが接続可能な移動体であれば、配信者は人に限定されないものとする。例えば、配信者は、ロボットや車等であってもよい。なお、配信者が人でなくものである場合には、配信者と配信者端末10とが一体であってもよい。この場合、上記実施形態に係る撮像方向の変化を、進行方向の変化と読み替えることもできるものとする。
【0085】
〔7.効果〕
上述してきたように、実施形態に係る情報処理装置100は、取得部121と、決定部122とを有する。取得部121は、移動体に設けられた全天球カメラ14の撮像方向の変化に関する変化情報を取得する。決定部122は、全天球カメラ14により第1の撮像方向で撮像された第1の全天球画像のうち、視聴者に指定された方向に対応する領域を第1の表示領域として決定する。また、決定部122は、全天球カメラ14により第1の撮像方向と異なる第2の撮像方向で撮像された場合に、第1の撮像方向から第2の撮像方向への変化に関する変化情報に基づいて、第2の撮像方向に対応する第2の全天球画像のうち、第1の全天球画像の第1の表示領域に対応する領域を第2の表示領域として決定する。
【0086】
これにより、実施形態に係る情報処理装置100は、全天球カメラ14の撮像方向が変化しても、第2の全天球画像のうち、第1の全天球画像の第1の表示領域に対応する領域を第1の表示領域として決定することができるため、特定の方向の映像を視聴し続けたいといった視聴者の要望に応えることができる。
【0087】
また、決定部122は、第2の全天球画像のうち、全天球カメラが存在する物理空間座標系における第1の撮像方向の画像を第2の表示領域として決定する。
【0088】
これにより、実施形態に係る情報処理装置100は、全天球カメラ14の撮像方向が変化しても、第2の全天球画像のうち、第1の撮像方向の画像を物理空間座標系に基づいて特定することができるため、特定の方向の映像を視聴し続けたいといった視聴者の要望に応えることができる。
【0089】
また、決定部122は、第1の全天球画像のうち特定の方向の領域を第1の表示領域として決定し、第1の撮像方向から第2の撮像方向への変化と反対方向に回転させた後の第2の全天球画像のうち特定の方向の領域を第2の表示領域として決定する。
【0090】
これにより、実施形態に係る情報処理装置100は、全天球カメラ14の撮像方向の変化に応じて、撮像方向の変化と反対方向に回転させることができるため、ビューワ座標系を物理空間座標系に対して固定することができ、この結果、特定の方向の映像を視聴し続けたいといった視聴者の要望に応えることができる。
【0091】
また、決定部122は、全天球カメラ14により撮像される映像のフレーム毎に、変化情報に基づいて、各フレームに対応する全天球画像のうち表示領域を決定する。
【0092】
これにより、実施形態に係る情報処理装置100は、映像のフレーム毎に表示領域を決定することができるため、全天球カメラ14の撮像方向が変化しても、フレーム毎に上記実施形態に係る処理を行うことができ、この結果、特定の方向の映像を視聴し続けたいといった視聴者の要望に応えることができる。
【0093】
〔8.ハードウェア構成〕
また、上述してきた実施形態に係る情報処理装置100は、例えば
図15に示すような構成のコンピュータ1000によって実現される。
図15は、情報処理装置100の機能を実現するコンピュータの一例を示すハードウェア構成図である。コンピュータ1000は、CPU1100、RAM1200、ROM1300、HDD1400、通信インターフェイス(I/F)1500、入出力インターフェイス(I/F)1600、及びメディアインターフェイス(I/F)1700を備える。
【0094】
CPU1100は、ROM1300またはHDD1400に格納されたプログラムに基づいて動作し、各部の制御を行う。ROM1300は、コンピュータ1000の起動時にCPU1100によって実行されるブートプログラムや、コンピュータ1000のハードウェアに依存するプログラム等を格納する。
【0095】
HDD1400は、CPU1100によって実行されるプログラム、及び、かかるプログラムによって使用されるデータ等を格納する。通信インターフェイス1500は、所定の通信網を介して他の機器からデータを受信してCPU1100へ送り、CPU1100が生成したデータを所定の通信網を介して他の機器へ送信する。
【0096】
CPU1100は、入出力インターフェイス1600を介して、ディスプレイやプリンタ等の出力装置、及び、キーボードやマウス等の入力装置を制御する。CPU1100は、入出力インターフェイス1600を介して、入力装置からデータを取得する。また、CPU1100は、生成したデータを入出力インターフェイス1600を介して出力装置へ出力する。
【0097】
メディアインターフェイス1700は、記録媒体1800に格納されたプログラムまたはデータを読み取り、RAM1200を介してCPU1100に提供する。CPU1100は、かかるプログラムを、メディアインターフェイス1700を介して記録媒体1800からRAM1200上にロードし、ロードしたプログラムを実行する。記録媒体1800は、例えばDVD(Digital Versatile Disc)、PD(Phase change rewritable Disk)等の光学記録媒体、MO(Magneto-Optical disk)等の光磁気記録媒体、テープ媒体、磁気記録媒体、または半導体メモリ等である。
【0098】
例えば、コンピュータ1000が情報処理装置100として機能する場合、コンピュータ1000のCPU1100は、RAM1200上にロードされたプログラムを実行することにより、制御部130の機能を実現する。コンピュータ1000のCPU1100は、これらのプログラムを記録媒体1800から読み取って実行するが、他の例として、他の装置から所定の通信網を介してこれらのプログラムを取得してもよい。
【0099】
以上、本願の実施形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、発明の開示の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。
【0100】
〔9.その他〕
また、上記実施形態及び変形例において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。例えば、各図に示した各種情報は、図示した情報に限られない。
【0101】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
【0102】
また、上述してきた実施形態及び変形例は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
【0103】
また、上述してきた「部(section、module、unit)」は、「手段」や「回路」などに読み替えることができる。例えば、特定部は、特定手段や特定回路に読み替えることができる。
【符号の説明】
【0104】
1 情報処理システム
10 配信者端末
20 視聴者端末
100 情報処理装置
110 通信部
121 取得部
122 決定部
123 送信部
N ネットワーク