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<図1>
  • 特開-送風機、羽根車、送風機付衣服 図1
  • 特開-送風機、羽根車、送風機付衣服 図2
  • 特開-送風機、羽根車、送風機付衣服 図3
  • 特開-送風機、羽根車、送風機付衣服 図4
  • 特開-送風機、羽根車、送風機付衣服 図5
  • 特開-送風機、羽根車、送風機付衣服 図6
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023067639
(43)【公開日】2023-05-16
(54)【発明の名称】送風機、羽根車、送風機付衣服
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/34 20060101AFI20230509BHJP
   F04D 25/08 20060101ALI20230509BHJP
   F04D 29/32 20060101ALI20230509BHJP
【FI】
F04D29/34 N
F04D25/08 301A
F04D29/32 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021179061
(22)【出願日】2021-11-01
(71)【出願人】
【識別番号】516311674
【氏名又は名称】株式会社チロル
(74)【代理人】
【識別番号】100127764
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 泰州
(72)【発明者】
【氏名】穐吉 俊行
【テーマコード(参考)】
3H130
【Fターム(参考)】
3H130AA13
3H130AB06
3H130AB26
3H130AB52
3H130AC25
3H130AC26
3H130BA95C
3H130BA95D
3H130CB07
3H130DA02X
3H130DD01X
3H130EA04C
3H130EA04D
3H130EB01C
3H130EB01D
(57)【要約】
【課題】本発明は、羽根車をモータに対して正しく取り付けることができる新規な送風機、前記送風機に備えられる羽根車、及び前記送風機を備えた送風機付衣服を提供することを目的とする。
【解決手段】 衣服本体(W)内に外気を送り込むための送風機10において、モータ2と羽根車1との連結につき、前記モータ2の回転軸21に取り付けられた雄部材4と前記羽根車1のボス11の中心部を貫通して設けられた雌部13との嵌合、並びに、前記雄部材4に設けられた突起5と前記ボス11の裏側に設けられた有底の受部14との嵌合によってなす。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータと、前記モータの回転軸に連結された羽根車と、前記モータ及び前記羽根車の周囲を囲うガードと、を具備してなり、衣服本体に取り付けられて前記衣服本体内に外気を送り込むための送風機であって、
前記モータと前記羽根車との連結が、前記モータの回転軸に取り付けられた雄部材と前記羽根車のボスの中心部を貫通して設けられた雌部との嵌合、
並びに、
前記雄部材に設けられた突起と前記ボスの裏側に設けられた有底の受部との嵌合によってなされたことを特徴とする送風機。
【請求項2】
請求項1に記載の送風機において、
更に、前記雄部材と前記雌部との嵌合状態を維持する係止部材を具備してなる送風機。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の送風機に備えられる羽根車であって、
ボスと、
前記ボスの周囲に設けられた複数枚の羽根と、
を具備してなり、
前記ボスの中心部を貫通する雌部と、
前記ボスの裏面に設けられた有底の受部と、
を具備してなることを特徴とする羽根車。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の衣服冷却用送風機が衣服本体に取り付けられたことを特徴とする送風機付衣服。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は衣服本体に取り付けられて前記衣服本体内に外気を送り込むための送風機、前記送風機に備えられる羽根車、及び前記送風機を備えた送風機付衣服に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、作業服等の衣服(以下、「衣服本体」と称する。)内に外気を供給することによって、前記衣服本体内を冷却する送風機付衣服(冷却衣服)が実用化されている(例えば、下記特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019‐214948号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の送風機付衣服は、衣服本体の適宜箇所に開けられた穴に送風機を装着し、前記送風機を介して衣服本体内に外気を送り込む仕組みとなされている。そして、前記送風機としては、複数枚の羽根を有する羽根車(ファン)をモータ駆動によって回転させるものが一般的であり、取り扱い上の安全性のために前記羽根車(及びモータ)の周囲がガードにて囲まれた構造となされている。
【0005】
そして、前記送風機付衣服は、前記羽根車の回転によって発生させた空気の流れを、前記ガードを通じて衣服本体内に供給するものであることから、外気中に含まれる埃を前記ガード内に貯めやすいものであった。そのため、前記送風機付衣服を一定期間使用した後には、前記送風機における前記ガード内の誇りを取り除くメンテナンス作業が必要となる。
【0006】
この点につき前記特許文献1に開示された送風機(衣服内冷却用送風機)では、図6に示すように、モータ2の回転軸21に取り付けられた雄部材5と羽根車1000のボス11の中心部を貫通して設けられた雌部13との嵌合によって前記モータ2と前記羽根車1000とが連結される手段を提案している。即ち、この連結手段によれば、羽根車1000をモータ2から容易に取り外すことができるようになり、前記羽根車1000の羽根12の裏側に付着した埃を取り除くことも容易になる。
【0007】
しかしながら、前記特許文献1に開示されたモータ2と羽根車1000との連結手段では、誤って羽根車1000を裏返しの状態で取り付けてしまう場合がある。
【0008】
本発明は前記技術的課題に鑑みて開発されたものであり、羽根車をモータに対して正しく取り付けることができる新規な送風機、前記送風機に備えられる羽根車、及び前記送風機を備えた送風機付衣服を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記技術的課題を解決する本発明の送風機は、モータと、前記モータの回転軸に連結された羽根車と、前記モータ及び前記羽根車の周囲を囲うガードと、を具備してなり、衣服本体に取り付けられて前記衣服本体内に外気を送り込むための送風機であって、前記モータと前記羽根車との連結が、前記モータの回転軸に取り付けられた雄部材と前記羽根車のボスの中心部を貫通して設けられた雌部との嵌合、並びに、前記雄部材に設けられた突起と前記ボスの裏側に設けられた有底の受部との嵌合によってなされたことを特徴とする(以下、「本発明送風機」と称する。)。
【0010】
前記本発明送風機においては、更に、前記雄部材と前記雌部との嵌合状態を維持する係止部材を具備してなるものが好ましい態様となる。
【0011】
前記技術的課題を解決する本発明の羽根車は、前記本発明送風機に備えられる羽根車であって、ボスと、前記ボスの周囲に設けられた複数枚の羽根と、を具備してなり、前記ボスの中心部を貫通する雌部と、前記ボスの裏面に設けられた有底の受部と、を具備してなることを特徴とする(以下、「本発明羽根車」と称する。)。
【0012】
前記技術的課題を解決する本発明の送風機付衣服は、前記本発明送風機が衣服本体に取り付けられたことを特徴とする(以下、「本発明衣服」と称する。)。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、羽根車(本発明羽根車)をモータに対して正しく取り付けることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、実施形態に係る本発明羽根車を正面側から示す斜視図(a)と、裏側から示すと共に一部拡大して示す斜視図(b)である。
図2図2は、実施形態に係る本発明送風機を示す斜視図(a)と、断面図(b)である。
図3図3は、前記本発明羽根車とモータとの連結手段を示す分解斜視図である。
図4図4は、前記モータの回転軸に取り付けられた雄部材を示す断面図(a)と、前記雄部材を正面側から示す斜視図(b)と、裏側から示す斜視図(c)である。
図5図5は、実施形態に係る本発明衣服を示す正面図である。
図6図6は、従来のモータと羽根車との連結手段を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照しながら説明するが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。
【0016】
[実施形態1]
<本発明羽根車1>
図1に、本発明羽根車1の一実施形態を示す。前記本発明羽根車1は、ボス11と、前記ボス11の周囲に設けられた複数枚の羽根12と、を具備する。前記ボス11は前記本発明羽根車1の回転中心をなす部材であり、前記羽根12は前記ボス11の回転に伴って回転し、一定方向に向かう空気の流れを発生させる役割を担う。本実施形態においては前記本発明羽根車1として、前記ボス11を中心として放射状に配された七枚の烏帽子型の羽根12を具備してなる七枚羽根ロータを用いた。
【0017】
そして、前記本発明羽根車1は、前記ボス11の中心部を貫通する雌部13と、前記ボス11の裏面に設けられた有底の受部14と、を更に具備する。本実施形態においては、前記ボス11の中心部に略六角形の貫通孔を形成することによって前記雌部13を設けている。又、前記受部14は、前記ボス11の裏側において、前記雌部13の対角二箇所から外側に向かって溝を形成することによって設けられている。なお、前記受部14は有底であり、従って、前記ボス11の正面側からは確認することができない。
【0018】
[実施形態2]
<本発明送風機10>
図2に、前記本発明羽根車1を備えた本発明送風機10の一実施形態を示す。前記本発明送風機10は、モータ2と、前記モータ2の回転軸21に連結された前記本発明羽根車1と、前記モータ2及び前記本発明羽根車1の周囲を囲うガード3と、を具備する。又、図3に示すように、前記本発明送風機10では、前記モータ2と前記本発明羽根車1との連結につき、前記モータ2の回転軸21に取り付けられた雄部材4と前記本発明羽根車1の回転中心に設けられた前記雌部13との嵌合、並びに、前記雄部材4に設けられた突起5と前記ボス11の裏側に設けられた前記受部14との嵌合によってなされる。なお、本実施形態においては、前記雄部材4と前記雌部13との嵌合状態が係止部材6によって維持されている。
【0019】
‐モータ2‐
前記モータ2は、ローレンツ力(磁場と電流の相互作用)によって発生する力を利用して回転運動を出力する機械要素を意味する。本実施形態においては、前記モータ2として、コネクタ(C)に接続されたケーブルを介して供給される電力により回転軸21を回転させる仕組みのもの(市販の模型用電動モータ)を用いた。
【0020】
‐ガード3‐
前記ガード3は、前記モータ2及び前記本発明羽根車1の周囲を囲うことによって、前記本発明送風機10の使用中の安全性を確保するものである。又、前記ガード3は、前記本発明羽根車1の回転によって発生させた空気の流れを通過させ得る構造をなす必要があることから、少なくとも前記本発明羽根車1の羽根12の表裏面に臨む部分には、メッシュ状、網状、或いは格子状などの開き目が設けられる。本実施形態においては、前記ガード3につき、ドーム状のガード本体31、及び、前記ガード本体31の開口部分を覆うガード蓋32の二部材とし、前記ガード本体31と前記ガード蓋32とを螺合させることによって、前記モータ2及び前記本発明羽根車1の周囲を囲う空間が形成される構造とした。なお、前記モータ2は、前記ガード本体31の中央に固定されている。
【0021】
‐雄部材4‐
図4に示すように、前記雄部材4は前記モータ2の回転軸21に取り付けられる。本実施形態においては、前記雄部材4として円盤状の座部40上に六角柱状の雄部材本体41が一体的に設けられてなり、更に、前記雄部材本体41の中心に雄ネジ42が立設されたものを用いた。又、前記モータ2に対する前記雄部材4の固定は、前記雄部材4の中心軸に沿って設けられた貫通孔43に前記モータ2の回転軸21を押し込むことによってなされる。
【0022】
‐突起5‐
前記突起5は、前記雄部材4に設けられる。本実施形態においては、前記雄部材4の雄部材本体41の対角箇所から外側に向かう柱状の爪を設けることによって前記突起5を設けた。
【0023】
‐係止部材6‐
前記係止部材6は、前記雄部材4と前記雌部13との嵌合状態を維持する役割を担う。本実施形態においては前記係止部材6として、前記雄部材4に設けた雄ネジ42と螺合し得る雌ネジ(化粧ネジ)を用いた。
【0024】
前記構成を有する本発明送風機10を構築するにあたっては、まず、前記ガード本体31に固定された前記モータ2の回転軸21に取り付けられた前記雄部材4を前記本発明羽根車1の回転中心に設けられた雌部13に嵌合させる(図3参照)。この際、前記雄部材4に設けられた突起5を前記ボス11の裏側に設けられた前記受部14に嵌合させる。この状態で前記係止部材6を前記雄ネジ42に締結すれば、前記雄部材4と前記雌部13との嵌合状態が維持されて前記モータ2と前記本発明羽根車1とが連結する。最後に、前記ガード本体31に前記ガード蓋32を螺合させれば、前記モータ2及び前記本発明羽根車1の周囲を囲う空間が形成され、もって前記本発明送風機10が構築される。
【0025】
そして、前記本発明送風機10は、前記モータ2と前記本発明羽根車1との連結につき、前記モータ2の回転軸21に取り付けられた雄部材4と前記本発明羽根車1の回転中心に設けられた前記雌部13との嵌合のみならず、前記雄部材4に設けられた突起5と前記ボス11の裏側に設けられた有底の前記受部14との嵌合によってなされているから、前記本発明羽根車1を裏返しの状態で取り付けることはできない。
【0026】
これより、本発明によれば、前記本発明羽根車1を前記モータ2に対して正しく取り付けることができる。
【0027】
ところで、本実施形態においては、前記雄部材4を六角柱状とする一方で、前記雌部13につき前記雄部材4を収容し得る形状としたが、前記雄部材4及び前記雌部13の形状は特に限定されない。又、前記雄部材4及び前記雌部13の形状をそろえる必要もない。要は、前記雌部13及び前記雄部材4につき、両者を嵌合させれば、前記モータ2の回転軸21と前記本発明羽根車1の回転中心が同一直線状に並ぶような関係とすれば良い。この点については、前記突起5と前記受部14との関係も同様である。
【0028】
又、本実施形態においては、前記係止部材6につきネジを用いたが、前記係止部材6としては、前記雄部材4と前記雌部13との嵌合状態を維持する機械要素であれば特に限定されない。なお、前記係止部材6としてネジを用いる場合にあっては、本実施形態において用いた化粧ネジ、或いは蝶ネジのような工具無しで締結できる仕組みのものを用いれば、本発明送風機10の組み立てや分解がより容易になる利益が生じる。
【0029】
[実施形態3]
<本発明衣服100>
図5に、前記本発明送風機10を備えた本発明衣服100を示す。前記本発明衣服100は、前記本発明送風機10が衣服本体(W)に取り付けられたものである。前記本発明衣服100は、前記本発明送風機10によって前記衣服本体(W)の外部から内部に向かう空気の流れを発生させることによって、外気を前記衣服本体(W)内に送り込み、もって、前記衣服本体(W)内を冷却するものである。本実施形態においては、前記衣服本体(W)の複数個所(二箇所)に穴をあけ、各穴に前記本発明送風機10を取り付けることによって前記本発明衣服100を構築した。なお、各本発明送風機10を駆動させるための電力については、バッテリー(B)に蓄電された電力がケーブル(L)を通じて供給される仕組みとなされている。
【0030】
なお、本発明は、その精神又は主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形態で実施することができる。そのため、上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には何ら拘束されない。更に、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、すべて本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明は、外気を衣服本体内に供給することによって、前記衣服本体内を冷却する手段として好適に利用される。
【符号の説明】
【0032】
1 羽根車(本発明羽根車)
11 ボス
12 羽根
13 雌部
14 受部
2 モータ
3 ガード
4 雄部材
5 突起
6 係止部材
10 送風機(本発明送風機)
100 送風機付衣服(本発明衣服)
1000 従来の羽根車
W 衣服本体
図1
図2
図3
図4
図5
図6