(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023067652
(43)【公開日】2023-05-16
(54)【発明の名称】手摺り装置
(51)【国際特許分類】
E04F 11/18 20060101AFI20230509BHJP
E04F 11/022 20060101ALI20230509BHJP
【FI】
E04F11/18
E04F11/022
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021179079
(22)【出願日】2021-11-01
(71)【出願人】
【識別番号】000138244
【氏名又は名称】株式会社モルテン
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】梶原 隆司
(72)【発明者】
【氏名】末房 実男
【テーマコード(参考)】
2E301
【Fターム(参考)】
2E301CC11
2E301CC32
2E301CD00
2E301DD11
2E301DD98
2E301FF05
2E301HH15
2E301JJ06
2E301LL11
2E301MM06
(57)【要約】
【課題】手摺り装置の使用時の安定性を向上させる。
【解決手段】本開示は、階段1に設置可能な手摺り装置10であって、階段1の段板2a~2fに載置可能な複数の踏み板11a~11fと、複数の踏み板11a~11fのうちの異なる踏み板にそれぞれ支持されて起立する支柱12a~12cと、支柱12a~12cの上部に架け渡されて支柱12a~12cに支持される手摺り部材13と、複数の踏み板11a~11fのうち、支柱12a~12cを支持する踏み板11a,11dと、踏み板11a,11dの前後の一側に位置して踏み板11a,11dと隣り合う踏み板11b,11eとを連結し、踏み板11b,11eに対する踏み板11a,11dの上方への相対移動を規制する連結部材14a,14dと、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
階段に設置可能な手摺り装置であって、
前記階段の段板に載置可能な複数の踏み板と、
前記複数の踏み板のうちの異なる踏み板にそれぞれ支持されて起立する少なくとも2つの支柱と、
前記2つの支柱の上部に架け渡されて前記2つの支柱に支持される手摺り部材と、
前記複数の踏み板のうち、前記支柱を支持する第1踏み板と、前記第1踏み板の前後の一側に位置して前記第1踏み板と隣り合う第2踏み板とを連結し、前記第2踏み板に対する前記第1踏み板の上方への相対移動を規制する第1連結部材と、を備える
ことを特徴とする手摺り装置。
【請求項2】
前記複数の踏み板の前後に隣り合う踏み板のうち、前記第1連結部材によって連結される前記第1踏み板と前記第2踏み板との組み合わせを除く全ての組み合わせの2つの踏み板を連結し、前記2つの踏み板の前後の前記一側の踏み板に対する前後の他側の踏み板の上方への相対移動を規制する複数の第2連結部材を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の手摺り装置。
【請求項3】
前記複数の踏み板は、前記階段の上側の段板に載置される上側の踏み板と、前記上側の段板の1段下側の段板に載置される下側の踏み板とを有し、
前記第1連結部材及び前記第2連結部材のうち前記上側の踏み板と前記下側の踏み板とを連結する上下連結部材は、前記上側の踏み板に支持される上側支持部と、前記下側の踏み板に支持される下側支持部と、前記上側支持部と前記下側支持部との間で上下方向に延びる中間部とをそれぞれ有する
ことを特徴とする請求項2に記載の手摺り装置。
【請求項4】
前記上下連結部材の前記中間部には、前記中間部の上下方向の長さを調節可能な長さ調節手段が設けられる
ことを特徴とする請求項3に記載の手摺り装置。
【請求項5】
前記複数の踏み板は、階段幅方向に延び、
前記支柱は、前記踏み板の階段幅方向の一側の端部に支持される
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の手摺り装置。
【請求項6】
前記第1連結部材は、前記支柱の下端部の階段幅方向の中心よりも階段幅方向の他側に配置される
ことを特徴とする請求項5に記載の手摺り装置。
【請求項7】
前記手摺り部材は、前記支柱の下端部の階段幅方向の中心よりも階段幅方向の他側に配置される
ことを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の手摺り装置。
【請求項8】
前記手摺り部材は、前記第1連結部材よりも階段幅方向の他側に配置される
ことを特徴とする請求項7に記載の手摺り装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、階段に設置する手摺り装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、階段の踏面に載置されて使用される仮設手すりが記載されている。この仮設手すりは、略矩形の第1ベースプレートと、略矩形の第2ベースプレートと、第1支柱部材と、第2支柱部材と、第1手すり部材とを備える。第2ベースプレートは、第1ベースプレートから離れて配置され、長辺方向の中央部に通路が設定される。第1支柱部材は、第1ベースプレートの長辺方向の中央部に対して片側に寄せて第1ベースプレートに取り付けられる。第2支柱部材は、第2ベースプレートの長辺方向の中央部に対して片側に寄せて第2ベースプレートに取り付けられる。第1手すり部材の第1端部は、第1支柱部材の上部にヒンジを介して取り付けられ、第1手すり部材の第2端部は、第2支柱部材の上部にヒンジを介して取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の仮設手すりのように階段の踏面(段板)に載置される手摺り装置では、ベースプレート(踏み板)を階段に固定しないので、利用者が手摺り部材を把持して階段を昇降する際に、支柱部材(支柱)が傾動して手摺りが不安定になる可能性がある。
【0005】
そこで、本開示は、使用時の安定性を向上させることが可能な手摺り装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の第1の態様は、階段に設置可能な手摺り装置であって、前記階段の段板に載置可能な複数の踏み板と、前記複数の踏み板のうちの異なる踏み板にそれぞれ支持されて起立する少なくとも2つの支柱と、前記2つの支柱の上部に架け渡されて前記2つの支柱に支持される手摺り部材と、前記複数の踏み板のうち、前記支柱を支持する第1踏み板と、前記第1踏み板の前後の一側に位置して前記第1踏み板と隣り合う第2踏み板とを連結し、前記第2踏み板に対する前記第1踏み板の上方への相対移動を規制する第1連結部材と、を備える。
【0007】
本発明の第2の態様は、上記第1の態様の手摺り装置であって、前記複数の踏み板の前後に隣り合う踏み板のうち、前記第1連結部材によって連結される前記第1踏み板と前記第2踏み板との組み合わせを除く全ての組み合わせの2つの踏み板を連結し、前記2つの踏み板の前後の前記一側の踏み板に対する前後の他側の踏み板の上方への相対移動を規制する複数の第2連結部材を備える。
【0008】
本発明の第3の態様は、上記第2の態様の手摺り装置であって、前記複数の踏み板は、前記階段の上側の段板に載置される上側の踏み板と、前記上側の段板の1段下側の段板に載置される下側の踏み板とを有し、前記第1連結部材及び前記第2連結部材のうち前記上側の踏み板と前記下側の踏み板とを連結する上下連結部材は、前記上側の踏み板に支持される上側支持部と、前記下側の踏み板に支持される下側支持部と、前記上側支持部と前記下側支持部との間で上下方向に延びる中間部とをそれぞれ有する。
【0009】
本発明の第4の態様は、上記第3の態様の手摺り装置であって、前記上下連結部材の前記中間部には、前記中間部の上下方向の長さを調節可能な長さ調節手段が設けられる。
【0010】
本発明の第5の態様は、上記第1の態様から上記第4の態様のいずれかの手摺り装置であって、前記複数の踏み板は、階段幅方向に延び、前記支柱は、前記踏み板の階段幅方向の一側の端部に支持される。
【0011】
本発明の第6の態様は、上記第5の態様の手摺り装置であって、前記第1連結部材は、前記支柱の下端部の階段幅方向の中心よりも階段幅方向の他側に配置される。
【0012】
本発明の第7の態様は、上記第5の態様又は上記第6の態様の手摺り装置であって、前記手摺り部材は、前記支柱の下端部の階段幅方向の中心よりも階段幅方向の他側に配置される。
【0013】
本発明の第8の態様は、上記第7の態様の手摺り装置であって、前記手摺り部材は、前記第1連結部材よりも階段幅方向の他側に配置される。
【発明の効果】
【0014】
本開示によれば、手摺り装置の使用時の安定性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態に係る手摺り装置を階段に設置した状態を示す斜視図である。
【
図4】
図1の手摺り装置を矢印IV方向から視た状態を示す外観図である。
【
図6】
図1の手摺り装置の下から3段目の支柱のアンダーカバー及び下から4段目の踏み板を取り外した状態の斜視図である。
【
図9】手摺り装置の複数の踏み板を同じ段に載置した状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において、Xは上方を、Yは階段幅方向の右側を、Zは奥行方向(前後方向)の手前側(後側)をそれぞれ示す。また、以下の説明において、前後方向は、階段を昇降する際の利用者の移動方向を意味し、本実施形態では、階段を登る際の進む方向を前側とし、その反対側を後側とする。また、手前側は、階段の下に立ち、階段側を向いた状態の奥行方向の手前側を意味し、左右方向は、階段を手前側から視た状態の階段幅方向の左右を意味する。また、以下の説明において、「上側の踏み板」とは、各連結部材14a~14eが連結する2つの踏み板のうちの上側(上段側)に位置する踏み板を意味し、「下側の踏み板」とは、各連結部材14a~14eが連結する2つの踏み板のうちの下側(下段側)に位置する踏み板を意味する。また、「上側の段板」とは、階段1の段板2a~2fの前後に隣り合う2つの段板のうち、上側(上段側)に位置する段板を意味し、「下側の段板」とは、前後に隣り合う段板の下側(「上側の段板」の1段下側)に位置する段板を意味する。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態に係る手摺り装置10を階段1に設置した状態を示す斜視図である。
図2は、
図1の手摺り装置10の平面図である。
図3は、
図2のIII-III矢視断面図である。
図4は、
図1の手摺り装置10を矢印IV方向から視た状態を示す外観図である。
図5は、
図1のV部分の拡大図である。
図6は、
図1の手摺り装置10の下から3段目の支柱12bのアンダーカバー19及び下から4段目の踏み板11eを取り外した状態の斜視図である。
図7は、
図6のVI部分の拡大図である。
図8は、
図3のVIII部分の拡大図である。
【0018】
図1及び
図2に示すように、手摺り装置10は、階段1に設置可能な手摺り装置10であって、複数(本実施形態では、6つ)の踏み板11a~11fと、複数(本実施形態では、3つ)の支柱12a~12cと、手摺り部材13と、複数(本実施形態では、5つ)の連結部材14a~14eとを備える。なお、本実施形態では、階段1に設置した状態の手摺り装置10について説明する。本開示に係る階段1の段板2a~2fには、階段1の下から1段目を上る手前の床面(段板2a)及び階段1を上がり切った床面(段板2f)が含まれるものとする。
【0019】
図1~
図8に示すように、踏み板11a~11fは、階段1の段板2a~2fに載置可能な踏み板11a~11fである。本実施形態では、踏み板11a~11fは、段板2a~2fに載置されて、利用者が階段1を昇降する際の通路の踏み板として機能する。複数の踏み板11a~11fは、最下段(下から0段目)の段板2aに載置される踏み板11aと、下から1段目の段板2bに載置される踏み板11bと、下から2段目の段板2cに載置される踏み板11cと、下から3段目の段板2dに載置される踏み板11dと、下から4段目の段板2eに載置される踏み板11eと、最上段(下から5段目)の段板2fに載置される踏み板11fとである。すなわち、複数の踏み板11a~11fは、階段1の異なる段板(本実施形態では、全ての段板2a~2f)にそれぞれ載置される。本実施形態では、踏み板11a~11fは、階段1の段板2a~2fに対して固定されることなく載置される。
【0020】
踏み板11a~11fは、上下方向と交叉する略矩形板状に形成され、奥行方向よりも階段幅方向に長尺に延びる。本実施形態では、複数の踏み板11a~11fの大きさ及び形状は、略同じに設定される。また、本実施形態では、踏み板11a~11fは、階段1の段板2a~2fに載置されるベースプレート15(
図8参照)と、ベースプレート15を上方から覆う状態でベースプレート15に対して固定されるベースカバー16とを有する。ベースプレート15には、階段1の段板2a~2fとの間に僅かに隙間ができるように、複数の足(図示省略)が設けられる。ベースカバー16の上面には、滑り止め用の凹凸が形成される。ベースカバー16をベースプレート15に上方から覆い被せた状態で、ベースカバー16は、ベースプレート15の奥行方向の両側の端縁及び階段幅方向の両側の端縁を覆い隠す。なお、本実施形態では、複数の踏み板11a~11fの大きさ及び形状を、略同じに設定したが、これに限定されるものではなく、複数の踏み板11a~11fの大きさ及び形状が異なっていてもよい。
【0021】
複数の支柱12a~12cは、手摺り部材13を支持するための支柱であって、複数の踏み板11a~11fのうちの異なる踏み板(本実施形態では踏み板11a,11d,11f)にそれぞれ支持されて起立する。複数の支柱12a~12cは、最下段の踏み板(第1踏み板)11aに支持される支柱12aと、下から4番目の踏み板(第1踏み板)11dに支持される支柱12bと、最上段の踏み板(第1踏み板)11fに支持される支柱12cとである。支柱12a~12cは、踏み板11a,11d,11fの階段幅方向の一側(本実施形態では右側)の端部27に固定される支柱下端部(支柱の下端部)17と、手摺り部材13を支持する支柱上端部18とを有する。すなわち、支柱12a~12cは、踏み板11a,11d,11fの階段幅方向の一側(右側)の端部27に支持される。支柱12a~12cは、支柱下端部17から上方かつ階段幅方向の他側(本実施形態では左側)へ向かって延び、鉛直方向に対して傾斜している(
図4参照)。支柱12a~12cの支柱上端部18は、支柱下端部17よりも左側に位置する。
【0022】
手摺り部材13は、階段1を昇降する際に手摺りとして機能する把持可能な長尺の部材であって、支柱12a~12cの支柱上端部18に支持される。手摺り部材13は、支柱12aの支柱上端部18に支持される上部側から、支柱12bの支柱上端部18を介して、支柱12cの支柱上端部18に支持される下部側まで連続して延びる。すなわち、手摺り部材13は、少なくとも2つ(本実施形態では3つ)の支柱12a~12cの上部に架け渡されて、少なくとも2つ(本実施形態では3つ)支柱12a~12cに支持される。手摺り部材13は、支柱12a~12cの支柱下端部17の階段幅方向の中心CLよりも左側(本実施形態では、支柱下端部17よりも左側)に配置される(
図2及び
図4参照)。更に、本実施形態では、手摺り部材13は、後述する複数の連結部材14a~14eよりも左側に配置される(
図2及び
図4参照)。
【0023】
踏み板11a~11fの右側の端部27の上面側には、箱状のアンダーカバー19がそれぞれ設けられ、踏み板11a~11fに対して固定される。支柱12a~12cを支持する踏み板11a,11d,11fのアンダーカバー19は、支柱12a~12cの支柱下端部17を挿通可能に上方へ開口している。支柱12a~12cが設けられない踏み板11b,11c,11eのアンダーカバー19の上方は、閉止されている。アンダーカバー19の奥側の面には、連結部材14a~14eを挿入可能に、下方から上方へ切り欠かれた切欠部20(
図4及び
図8参照)が設けられる。アンダーカバー19を踏み板11a~11fに対して固定した状態では、アンダーカバー19の切欠部20は、踏み板11a~11fの上面との間に、連結部材14a~14eを挿入可能な開口21(
図4及び
図8参照)を区画する。アンダーカバー19の切欠部20は、支柱12a~12cの支柱下端部17の階段幅方向の中心CLよりも左側に配置される(
図4参照)。
【0024】
図1~
図3に示すように、複数の連結部材14a~14eは、複数の踏み板11a~11fの前後に隣り合う(本実施形態では、上下にも隣り合う)踏み板同士を互いに連結し、連結する2つの踏み板の前後の一側(本実施形態では、前側)の踏み板に対する上下の他側(本実施形態では、後側)の踏み板の上方への相対移動を規制する。本実施形態では、連結部材14a~14eは、支柱12a~12cの支柱下端部17の階段幅方向の中心CLよりも左側に配置される(
図2参照)。なお、本開示において「連結する」とは、連結部材14a~14eが連結対象である2つの踏み板の双方に対して少なくとも接している状態を意味する。
【0025】
複数の連結部材14a~14eは、最下段の踏み板(第1踏み板)11aとその1つ前側上段の踏み板(第2踏み板)11bとを連結する連結部材(第1連結部材、上下連結部材)14aと、踏み板11bとその1つ前側上段の踏み板11cとを連結する連結部材(第2連結部材、上下連結部材)14bと、踏み板11cとその1つ前側上段の踏み板(第1踏み板)11dとを連結する連結部材(第2連結部材、上下連結部材)14cと、踏み板11dとその1つ前側上段の踏み板(第2踏み板)11eとを連結する連結部材(第1連結部材、上下連結部材)14dと、踏み板11eとその1つ前側上段(最上段)の踏み板(第1踏み板)11fとを連結する連結部材(第2連結部材、上下連結部材)14eと、である。すなわち、本実施形態では、全ての連結部材14a~14eが、上側の踏み板と下側踏み板とを連結する上下連結部材として機能する。
【0026】
連結部材14a~14eは、各連結部材14a~14eが連結する2つの踏み板の前上側の踏み板に対する後下側の踏み板の上方への相対移動を規制する。すなわち、連結部材(第1連結部材)14a,14dは、支柱12a,12bを支持する踏み板(第1踏み板)11a,11dと、係る踏み板11a,11dの前後の一側(前側)に位置して踏み板11a,11dと隣り合う踏み板(第2踏み板)11b,11eとを連結し、踏み板11b,11eに対する踏み板11a,11dの上方への相対移動を規制する第1連結部材として機能する。また、他の連結部材14b,14c,14eは、複数の踏み板11a~11fの前後に隣り合う踏み板のうち、連結部材14a,14dによって連結される踏み板(第1踏み板)11a,11dと踏み板(第2踏み板)11b,11eとの組み合わせを除く全ての組み合わせ(本実施形態では、踏み板11bと踏み板11cとの組み合わせ、踏み板11cと踏み板11dとの組み合わせ、踏み板11eと踏み板11fとの組み合わせ)の2つの踏み板を連結し、連結される2つの踏み板の前後の一側(前側)の踏み板に対する前後の他側(後側)の踏み板の上方への相対移動を規制する複数の第2連結部材として機能する。
【0027】
本実施形態では、複数の連結部材14a~14eは、それぞれ同じ形状に形成される。このため、以下では、下から3段目の踏み板11dと下から4段目の踏み板11eとを連結する連結部材14dの形状について説明し、他の連結部材14a,14b,14c,14eの説明を省略する。
【0028】
図5~
図8に示すように、連結部材14dは、略L状の上部ブラケット22と、略L状の下部ブラケット23とによって構成される。
【0029】
上部ブラケット22は、上側の踏み板11eに支持される上板部(上側支持部)22aと、上板部22aの手前側の端部から曲折して下方へ延びる第1中板部(中間部)22bとを有する。上板部22aは、上下方向と交叉する板状に形成され、上側の踏み板11eと階段1の段板2eとの間に配置され、階段1の段板2eに沿って前後方向に延びる。上板部22aは、上側の踏み板11eによって階段1の段板2e側へ挟持(支持)される。上板部22aの手前側の端部は、階段1の段板2eよりも手前側に位置している。第1中板部22bは、奥行方向と交叉する板状に形成され、上板部22aの手前側の端部から曲折して下方へ延びる。第1中板部22bには、上下方向に長尺の長孔(長さ調節手段)25が形成される。
【0030】
下部ブラケット23は、下側の踏み板11dに支持される下板部(下側支持部)23aと、下板部23aの奥側の端部から曲折して上方へ延びる第2中板部(中間部)23bとを有する。下板部23aは、上下方向と交叉する板状に形成され、踏み板11dの上面とアンダーカバー19の切欠部20との間の開口21に奥側から挿入され(
図8参照)、踏み板11dの上面に沿って前後方向に延びる。下板部23aは、踏み板11dの上面に下方から支持される。下板部23aの奥側の端部は、階段1の段板2eから起立する蹴込み板3の近傍に配置される。第2中板部23bは、奥行方向と交叉する板状に形成され、下板部23aの奥側の端部から曲折して上方へ延びる。本実施形態では、第2中板部23bは、階段1の蹴込み板3に沿って上下方向に延びる。第2中板部23bの上端側は、上部ブラケット22の第1中板部22bの長孔25が設けられる領域に対して、奥側から重なる位置まで延びている。第2中板部23bのうち、上部ブラケット22の第1中板部22bの長孔25と重なる位置には、手前側へ突出するようにボルト(長さ調節手段)26(
図8参照)が固定されている。ボルト26は、上部ブラケット22の第1中板部22bの長孔25を奥側から手前側へ挿通し、長孔25にスライド移動可能に支持される。ボルト26が上部ブラケット22の第1中板部22bの長孔25を挿通した状態で、ボルト26には、手前側から手締めナット(長さ調節手段)24が締結される。手締めナット24を締め付けた状態では、第1中板部22bの長孔25に対するボルト26のスライド移動は規制される。
【0031】
上部ブラケット22の上板部22aと下部ブラケット23の下板部23aとは、階段幅方向の互いに略同じ位置に配置される。上部ブラケット22と下部ブラケット23とを手締めナット24によって締結固定した状態では、第1中板部22b及び第2中板部23bは、上板部22aと下板部23aとの間で上下方向に延びる中間部として機能する。ボルト26は、第1中板部22bの長孔25にスライド移動可能に支持されるので、手締めナット24を緩めることによって、上板部22aと下板部23aとの間の距離(中間部の上下方向の長さ)を調節できる。すなわち、第1中板部22b及び第2中板部23bに設けられる長孔25、ボルト26、及び手締めナット24は、中間部の上下方向の長さを調節可能な長さ調節手段として機能する。
【0032】
手摺り装置10の使用時には、手摺り部材13を把持する利用者からの荷重が、手摺り部材13に入力し、手摺り部材13から支柱12a~12cを介して踏み板11a,11d,11fに伝達される。手摺り部材13からの荷重が支柱12a~12cを右側へ傾動させる方向に作用した場合、荷重は、踏み板11a,11d,11fの左側の端部28側を階段1の段板2a,2d,2fから浮かせる方向(以下、単に「浮かせる方向」という。)に作用する。また、手摺り部材13からの荷重が支柱12a~12cを左側へ傾動させる方向に作用した場合、荷重は、踏み板11a,11d,11fの右側の端部27を浮かせる方向に作用する。踏み板11a,11d,11fが階段1の段板2a,2d,2fから浮いてしまうと、支柱12a~12cが大きく傾動してしまい、安定性が低下するので、本開示では、踏み板11a,11d,11fの浮きを抑えて、手摺り装置10の使用時の安定性を確保している。
【0033】
上記のように構成された手摺り装置10では、連結部材(第1連結部材)14a,14dは、支柱12a,12bを支持する踏み板11a,11dと、係る踏み板11a,11dの前後の一側(本実施形態では前側)に位置する踏み板11b,11eとを連結し、前後の一側(前側)の踏み板11b,11eに対する前後の他側(後側)の踏み板11a,11dの上方への相対移動を規制する。このため、手摺り部材13からの荷重が、支柱下端部17側を軸として踏み板11a,11dを浮かせる方向に作用すると、連結部材14a,14dを介して前上側の踏み板11b,11eにも浮かせる方向に荷重が作用する。これにより、踏み板11a,11dの浮きを、踏み板11a,11dの自重のみならず、連結されている踏み板11b,11eの重さを利用して抑えることができるので、支柱12a,12bの傾動を抑えることができ、手摺り装置10の使用時の安定性を向上させることができる。
【0034】
また、連結部材(第2連結部材)14b,14c,14eは、複数の踏み板11a~11fの前後に隣り合う踏み板のうち、踏み板(第1踏み板)11a,11dと踏み板(第2踏み板)11b,11eとの組み合わせを除く全ての組み合わせ(本実施形態では、踏み板11bと踏み板11cとの組み合わせ、踏み板11cと踏み板11dとの組み合わせ、踏み板11eと踏み板11fとの組み合わせ)の2つの踏み板を連結し、連結される2つの踏み板の前側の踏み板に対する後側の踏み板の上方への相対移動を規制する。このため、手摺り部材13からの荷重が、踏み板11a,11d,11fを階段1の段板2a,2d,2fから浮かせる方向に作用した際に、踏み板(第1踏み板)11a,11d,11f及び踏み板(第2踏み板)11b,11eのみならず、最も後側(手前側)に位置する支柱12aよりも前側に位置する全ての踏み板11a~11fの重さを利用して踏み板11a,11dの浮きを抑えることができるので、支柱12a~12cの傾動を抑えることができ、手摺り装置10の使用時の安定性を向上させることができる。
【0035】
また、連結部材14a~14eは、上板部22aと下板部23aとの間で上下方向に延びる第1中板部22b及び第2中板部23bを有する。このように、連結部材14a~14eの第1中板部22b及び第2中板部23bが、上板部22aと下板部23aとの間で上下方向に延びるので、連結する2つの踏み板の一方の踏み板(本実施形態では後下側の踏み板)からの上方への荷重を、他方の踏み板(本実施形態では前上側の踏み板)へ効率よく伝達することができる。このため、手摺り部材13からの荷重が上記一方の踏み板を浮かせる方向に作用した際に、上記一方の踏み板の浮きを抑えることができるので、支柱12a~12cの傾動を抑えることができ、手摺り装置10の使用時の安定性を向上させることができる。
【0036】
また、複数の支柱12a~12cは、踏み板11a,11d,11fの階段幅方向の一側(本実施形態では右側)の端部27に支持される。すなわち、踏み板11a,11d,11fは、複数の支柱12a~12cの支柱下端部17側から階段幅方向の他側(本実施形態では左側)へ延びている。このため、手摺り部材13からの荷重が支柱12a~12cを左側へ傾動させる方向に作用した際に、踏み板11a,11d,11fを階段1の段板2a,2d,2f側へ押し付ける方向に荷重が作用するので、支柱12a~12cの左側への傾動を踏み板11a,11d,11fによって抑えることができる。また、踏み板11a~11fは、奥行方向よりも階段幅方向に長尺に延びるので、支柱12a~12cの左側への傾動を効果的に抑えることができる。このように、左側への支柱12a~12cの傾動を抑えることができるので、手摺り装置10の使用時の安定性を向上させることができる。
【0037】
また、踏み板11a~11fが奥行方向よりも階段幅方向に長尺に延びるので、踏み板11a~11fの重心を支柱12a~12cから左側へ離間した位置に設定することができる。これにより、手摺り部材13からの荷重が支柱12a~12cを右側へ傾動させる方向に作用した際の踏み板11a~11fの浮きを、踏み板11a~11fの自重によって効果的に抑えることができる。
【0038】
また、連結部材(第1連結部材)14a,14dは、支柱12a~12cの支柱下端部17の階段幅方向の中心CLよりも左側に配置される。このため、手摺り部材13からの荷重が支柱12a~12cを右側へ傾動させる方向に作用し、踏み板11a,11dの左側の端部28側が浮く方向に傾動する場合の軸よりも、連結部材14a,14dを左側に配置することができる。これにより、手摺り部材13からの荷重が、支柱12a~12cを右側へ傾動させる方向に作用して踏み板11a,11dを浮かせる方向に作用した際に、踏み板11a,11dからの上方への荷重を前上側の踏み板11b,11e側へ好適に伝達することができ、踏み板11a,11dの浮きを抑えることができる。したがって、支柱12a~12cの傾動を抑えて、手摺り装置10の使用時の安定性を向上させることができる。また、本実施形態では、全ての連結部材14a~14eが、支柱12a~12cの支柱下端部17の階段幅方向の中心CLよりも左側に配置されるので、更に効果的に踏み板11a,11dの浮きを抑えて、支柱12a~12cの傾動を抑えることができ、手摺り装置10の使用時の安定性を向上させることができる。
【0039】
また、手摺り部材13は、支柱12a~12cの支柱下端部17の階段幅方向の中心CLよりも左側に配置されるので、手摺り部材13に対して下方への荷重が入力した際に、支柱12a~12cを左側へ傾動させるように荷重を作用させることができる。このため、手摺り装置10の使用時に、支柱12a~12cを右側へ傾動し難くすることができる。
【0040】
また、手摺り部材13は、支柱12a~12cの支柱下端部17よりも左側に配置されるので、手摺り部材13を、踏み板11a~11fの右側の端よりも左側へ大きく離間した位置に配置することができる。これにより、例えば、鉛直方向に延びる支柱12a~12cの真上に手摺り部材13が配置される場合とは異なり、手摺り部材13からの下方への荷重が、踏み板11a,11d,11fの右端にかかってしまうことを防止することができる。このため、手摺り部材13からの下方への荷重を、踏み板11a,11d,11fを階段1の段板2a,2d,2f側へ押し付ける方向に作用させることができるので、踏み板11a,11d,11fの浮きを抑えて、支柱12a~12cの傾動を抑えることができ、手摺り装置10の使用時の安定性を向上させることができる。
【0041】
また、手摺り部材13は、支柱12a~12cの支柱下端部17よりも左側に配置されるので、手摺り部材13の下方に空間を確保することができる。このため、手摺り部材13から鉛直下方に支柱12a~12cが延びている場合とは異なり、手摺り装置10の使用時に、使用者の脚や足元が支柱12a~12cに干渉し難いので、躓き等を防止することができ、使用性を向上させることができる。
【0042】
また、手摺り部材13は、連結部材14a~14eよりも左側に配置される。このため、手摺り部材13からの荷重が支柱12a~12cを左側へ傾動させる方向に作用した際に、荷重が踏み板11a,11d,11fのうち手摺り部材13よりも右側の領域を浮かせる方向に作用したとしても、係る領域に設けられる連結部材14a,14dによって踏み板11a,11d,11fの傾動を抑えることができる。これにより、手摺り部材13からの荷重が支柱12a~12cを左側へ傾動させる方向に作用した際の踏み板11a,11d,11fの浮きを抑えることができるので、支柱12a~12cの傾動を抑えることができ、手摺り装置10の使用時の安定性を向上させることができる。
【0043】
また、連結部材14a~14eの第1中板部22b及び第2中板部23bには、上板部22aと下板部23aとの間の中間部(第1中板部22b及び第2中板部23b)の上下方向の長さを調節可能な長さ調節手段(本実施形態では、長孔25、ボルト26、及び手締めナット24)が設けられる。このように、連結部材14a~14eの第1中板部22b及び第2中板部23bの上下方向の長さを調節することができるので、蹴上げの高さが異なる様々な階段1に対して、連結部材14a~14eの第1中板部22b及び第2中板部23bの上下方向の長さを適切に調節して、手摺り装置10を設置することができる。
【0044】
なお、本実施形態では、手摺り部材13を、連結部材14a~14eよりも左側に配置したが、これに限定されるものではなく、連結部材14a~14eと階段幅方向の同じ位置に配置してもよいし、あるいは連結部材14a~14eよりも右側に配置してもよい。
【0045】
また、本実施形態では、手摺り部材13を、支柱12a~12cの支柱下端部17の階段幅方向の中心CLよりも左側に配置したが、これに限定されるものではなく、支柱下端部17の階段幅方向の中心CLと階段幅方向の略同じ位置に配置してもよい。
【0046】
また、本実施形態では、連結部材(第1連結部材)14a,14dを、支柱12a~12cの支柱下端部17の階段幅方向の中心CLよりも左側に配置したが、これに限定されるものではない。例えば、連結部材(第1連結部材)14a,14dを、支柱12a~12cの支柱下端部17の階段幅方向の中心CLよりも右側に配置してもよい。この場合であっても、手摺り部材13からの荷重が支柱12a~12cを左側へ傾動させる方向に作用し、踏み板11a,11d,11fの右側の端部27を浮かせる方向に作用した際の踏み板11a,11d,11fの浮きを抑えて、手摺り装置10の使用時の安定性を向上させることができる。
【0047】
また、本実施形態では、階段幅方向の一側を右側とし、階段幅方向の他側を左側としたが、これに限定されるものではなく、階段幅方向の一側を左側とし、階段幅方向の他側を右側としてもよい。
【0048】
また、本実施形態では、前後の一側を前側とし、前後方向の他側を後側としたが、これに限定されるものではなく、前後の一側を後側とし、前後方向の他側を前側としてもよい。
【0049】
また、本実施形態では、支柱12a~12cを、踏み板11a,11d,11fの階段幅方向の一側の端部に設けたが、これに限定されるものではなく、例えば、支柱12a~12cを、踏み板11a,11d,11fの階段幅方向の中間部分に設けてもよい。
【0050】
また、本実施形態では、連結部材14a~14eに長さ調節手段として機能する長孔25、ボルト26、及び手締めナット24を設けたが、長さ調節手段はこれに限定されるものではなく、上板部22aと下板部23aとの間の中間部(第1中板部22b及び第2中板部23b)の長さを調節可能な様々な構成を適用することができる。
【0051】
また、本実施形態では、連結部材14a~14eに長さ調節手段を設けたが、長さ調節手段を設けなくてもよい。例えば、本実施形態では、連結部材14a~14eを、略L状の上部ブラケット22及び略L状の下部ブラケット23の2つの部材と、長さ調節手段とによって構成したが、上部ブラケット22と下部ブラケット23とが一体化された1つの部材によって構成してもよい。
【0052】
また、本実施形態では、連結部材14a~14eを、略L状の上部ブラケット22と略L状の下部ブラケット23とを組み合わせたクランク形状に形成したが、これに限定されるものではない。連結部材14a~14eは、前後2つの踏み板を連結し、前後の一側の踏み板に対する前後の他側の踏み板の上方への相対移動を規制する機能を有していれば、様々な形状を適用することができる。
【0053】
また、本実施形態では、連結部材14a~14eの上板部(上側支持部)22aを、上側の踏み板と階段1の段板との間の隙間に挿入し、上側の踏み板によって挟持(支持)したが、これに限定されるものではなく、例えば、連結部材14a~14eの上板部(上側支持部)22aを上側の踏み板に固定してもよい。
【0054】
また、本実施形態では、連結部材14a~14eの下板部(下側支持部)23aを、下側の踏み板の上面とアンダーカバー19の切欠部20との間の開口21に挿入し、下側の踏み板の上面によって下方から支持したが、これに限定されるものではなく、例えば、連結部材14a~14eの下板部(下側支持部)23aを下側の踏み板に固定してもよい。
【0055】
また、本実施形態では、連結部材14a~14eによって、前側(前後の一側)の踏み板に対する後側(前後の他側)の踏み板の上方への相対移動を規制したが、これに限定されるものではなく、後側(前後の一側)の踏み板に対する前側(前後の他側)の踏み板の上方への相対移動を規制してもよい。あるいは、上述したように、連結部材14a~14eの上板部(上側支持部)22aを上側の踏み板に固定し、かつ下板部(下側支持部)23aを下側の踏み板に固定するなどして、連結部材14a~14eによって、前上側の踏み板に対する後下側の踏み板の上方への相対移動を規制するとともに、後下側の踏み板に対する前上側の踏み板の上方への相対移動を規制してもよい。この場合、例えば、踏み板11cと踏み板11dとを連結する連結部材14cは、後下側の踏み板11cに対する前上側の踏み板11dの上方への相対移動を規制するので、第1連結部材として機能し、また、踏み板11cは、前上側の踏み板(第1踏み板)11dに対する第2踏み板として機能する。また、踏み板11dと踏み板11eとを連結する連結部材14dは、前上側の踏み板11eに対する後下側の踏み板11dの上方への相対移動を規制するので、第1連結部材として機能し、また、踏み板11eは、下側の踏み板(第1踏み板)11dに対する第2踏み板として機能する。このように、支柱12bを支持する踏み板(第1踏み板)11dの前後の両側に、踏み板11dの上方への移動を規制する第1連結部材(連結部材14c,14d)及び第2踏み板(踏み板11c,11e)を設けてもよい。
【0056】
また、本実施形態では、支柱12a~12cを、前後に互いに隣り合わない踏み板(第1踏み板)11a,11d,11fに設けたが、前後に互いに隣り合う踏み板に設けてもよい。例えば、支柱12bが設けられる踏み板11dの1つ後下段の踏み板11cに、他の支柱を設けてもよい。この場合、踏み板11dは、支柱12bが設けられる第1踏み板であるとともに、他の支柱が設けられる踏み板(第1踏み板)11cから視た場合には、踏み板11cの1つ前上段に位置する第2踏み板となる。すなわち、支柱が設けられる第1踏み板は、他の踏み板との関係によって第2踏み板にもなり得る。
【0057】
また、本実施形態では、支柱12a~12cを、支柱下端部17から上方かつ階段幅方向の他側(本実施形態では左側)へ向かって、鉛直方向に対して傾斜させたが、これに限定されるものではない。例えば、支柱12a~12cを鉛直方向に沿って起立させてもよい。この場合であっても、支柱12a~12cの上端部から階段幅方向の他側(本実施形態では左側)へ延びるアーム部等を設け、該アーム部の上記他側の先端側で手摺り部材13を支持するなどして、手摺り部材13を、支柱12a~12cの支柱下端部17よりも他側(本実施形態では左側)に配置することが好ましい。
【0058】
また、本実施形態では、6つの踏み板11a~11fを設けたが、踏み板の数はこれに限定されるものではなく、複数(少なくとも2つ)の踏み板を設けていればよい。
【0059】
また、本実施形態では、3つの支柱12a~12cを設けたが、支柱の数はこれに限定されるものではなく、少なくとも2つの支柱(例えば、最下段及び最上段の支柱)を設けていればよい。
【0060】
また、本実施形態では、5つの連結部材14a~14eを設けたが、連結部材の数はこれに限定されるものではなく、少なくとも1つの第1連結部材を設けていればよい。例えば、1つの連結部材(第1連結部材)14aを設ける場合であっても、手摺り部材13からの荷重が支柱12aを傾動させる方向に作用し、踏み板11aを浮かせる方向に作用した際に、踏み板11aの浮きを抑えるために、前後の一側(前側)に位置する踏み板11bの重さを連結部材14aを介して利用することができるので、少なくとも踏み板11aの浮きを抑えることができ、手摺り装置10の使用時の安定性を向上させることができる。
【0061】
また、本実施形態では、全ての踏み板11a~11fを、階段1の異なる段板2a~2fにそれぞれ載置したが、これに限定されるものではない。
図9は、手摺り装置10の複数の踏み板11a~11dを同じ段に載置した状態を示す斜視図である。例えば、
図9に示すように、手摺り装置10の踏み板11a~11fのうちの複数の踏み板11a~11dを同じ段(
図9では、階段1の段板2a)に載置してもよい。この場合、連結部材14a~14cは、上下方向と交叉した状態で前後方向に延びる平板状に形成されてもよい。この場合であっても、連結部材(第1連結部材)14a,14dは、支柱12a,12bを支持する踏み板11a,11dと、係る踏み板11a,11dの前後の一側(本実施形態では前側)に位置する踏み板11b,11eとを連結し、前後の一側(前側)の踏み板11b,11eに対する前後の他側(後側)の踏み板11a,11dの上方への相対移動を規制する。また、連結部材(第2連結部材)14b,14c,14eは、複数の踏み板11a~11fの前後に隣り合う踏み板のうち、踏み板(第1踏み板)11a,11dと踏み板(第2踏み板)11b,11eとの組み合わせを除く全ての組み合わせの2つの踏み板を連結し、連結される2つの踏み板の前側の踏み板に対する後側の踏み板の上方への相対移動を規制する。
【0062】
以上、本発明について、上記実施形態に基づいて説明を行ったが、本発明は上記実施形態の内容に限定されるものではなく、当然に本発明を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。すなわち、この実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施形態、実施例及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれることは勿論である。
【0063】
なお、連結部材14a~14eを設けない場合であっても、階段の段板に載置可能な複数の踏み板と、複数の踏み板のうちの異なる踏み板にそれぞれ支持されて起立する少なくとも2つの支柱と、2つの支柱の上部に架け渡されて2つの支柱に支持される手摺り部材と、を備え、複数の踏み板が、階段幅方向に延び、支柱が、踏み板の階段幅方向の一側の端部に支持され、手摺り部材が、支柱の下端部よりも階段幅方向の他側に配置される場合には、手摺り部材からの下方への荷重を、踏み板を階段の段板側へ押し付ける方向に作用させることができるので、支柱の傾動を抑えることができ、手摺り装置の使用時の安定性を向上させることができる。また、手摺り部材に対して下方への荷重が入力した際に、支柱を左側へ傾動させるように荷重を作用させることができるので、手摺り装置の使用時に、支柱を右側へ傾動し難くすることができる。また、手摺り部材の下方に空間を確保することができるので、手摺り装置を使用する際に、使用者の躓き等を防止することができ、使用性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0064】
1:階段
2a~2f:段板
10:手摺り装置
11a,11d,11f:踏み板(第1踏み板)
11b,11e:踏み板(第2踏み板)
12a~12c:支柱
13:手摺り部材
14a,14d:連結部材(第1連結部材、上下連結部材)
14b,14c,14e:連結部材(第2連結部材、上下連結部材)
22:上部ブラケット
22a:上板部(上側支持部)
22b:第1中板部(中間部)
23:下部ブラケット
23a:下板部(下側支持部)
23b:第2中板部(中間部)
24:手締めナット(長さ調節手段)
25:長孔(長さ調節手段)
26:ボルト(長さ調節手段)