(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023067678
(43)【公開日】2023-05-16
(54)【発明の名称】板状屋根材
(51)【国際特許分類】
E04D 1/34 20060101AFI20230509BHJP
E04D 1/36 20060101ALI20230509BHJP
【FI】
E04D1/34 E
E04D1/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021206644
(22)【出願日】2021-12-21
(31)【優先権主張番号】P 2021177085
(32)【優先日】2021-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】512251253
【氏名又は名称】甍エンジニアリング株式会社
(72)【発明者】
【氏名】小栗 和彦
(57)【要約】
【課題】平板瓦の重ね代の調整は、重ね代のばらつきが大きく、精度の高い重ね代の確保が難しい。また、施工での釘止付け時には釘を中心に防水連結材が回転方向でずれるので精度の高い重ね代の確保が難しいという課題があった。
【解決手段】本発明の板状屋根材は、板状本体とジョイント板からなり、ジョイント板は板状本体の側端部の当接部の下方に設け、ジョイント板には下面側に突出した働き長さ位置決め突片Aと上面側に突出した働き長さ位置決め突片Bを有し、板状本体には本体働き長さ位置決め基準部Aと本体働き長さ位置決め基準部Bを有し、段葺きの際に、下段の板状本体の本体働き長さ位置決め基準部Aと上段のジョイント板の前記働き長さ位置決め突片Aを当て止めし、上段の板状本体の本体働き長さ位置決め基準部Bと上段のジョイント板の働き長さ位置決め突片Bを当て止めすることで規定の働き長さを決定する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
勾配を有する建物の屋根に複数段設置する板状屋根材において、
前記板状屋根材は板状本体とジョイント板からなり、
前記板状屋根材は桁方向では前記板状本体の側端部を当接するように配置し、
流れ方向では下段の前記板状本体の尻側に上段の前記板状本体の頭側を重ねて配置し、
前記ジョイント板は前記板状本体の前記側端部の当接部の下方に設け、
前記ジョイント板には下面側に突出した働き長さ位置決め突片Aと上面側に突出した働き長さ位置決め突片Bを有し、
前記板状本体には本体働き長さ位置決め基準部Aと本体働き長さ位置決め基準部Bを有し、
段葺きの際に、下段の前記板状本体の前記本体働き長さ位置決め基準部Aと上段の前記ジョイント板の前記働き長さ位置決め突片Aを当て止めし、上段の前記板状本体の前記本体働き長さ位置決め基準部Bと上段の前記ジョイント板の前記働き長さ位置決め突片Bを当て止めすることで規定の働き長さを決定することを特徴とする板状屋根材。
【請求項2】
前記建物の設計単位寸法と前記板状本体の働き長さの水平投影寸法が整数比の関係であり、前記板状本体の働き長さ寸法が前記勾配ごとの設定寸法となるよう、前記ジョイント板に前記働き長さ位置決め突片Aと前記働き長さ位置決め突片Bを前記勾配ごとの位置に設けたことを特徴とする請求項1記載の板状屋根材。
【請求項3】
前記建物の設計単位寸法と前記板状本体の働き幅寸法が整数比の関係であることを特徴とする請求項2記載の板状屋根材。
【請求項4】
前記ジョイント板の両側端部に前記働き長さ位置決め突片Aを設け、前記両側端部に設けた前記働き長さ位置決め突片Aは前記働き長さ位置決め突片Bから同じ距離だけ離れ、段葺きの際に、下段の前記板状本体の前記本体働き長さ位置決め基準部Aと上段の前記ジョイント板の前記両側端部に設けた前記働き長さ位置決め突片Aを2箇所同時に当て止めすることで、下段の前記本体働き長さ位置決め基準部Aに対して上段の前記ジョイント板の前記働き長さ位置決め突片Bを平行な位置に設けることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか記載の板状屋根材。
【請求項5】
前記ジョイント板は頭―尻方向で両側に線状の止水凸部を有し、前記止水凸部は熱可塑性樹脂のホットメルト型シール材を用い、前記ジョイント固定部は前記止水凸部の外側に設けた外側平面部の頭側に設け、前記ジョイント固定部と前記本体固定部を固定緊結材で同時に屋根下地へ緊結することを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか記載の板状屋根材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、勾配を有する建物の屋根に複数段設置する板状屋根材に関するものであり、前記板状屋根材は板状本体とジョイント板からなり、前記板状屋根材は桁方向では前記板状本体の側端部を当接するように配置し、流れ方向では下段の前記板状本体の尻側に上段の前記板状本体の頭側を重ねて配置し、前記ジョイント板は前記板状本体の前記側端部の当接部の下方に設け、前記ジョイント板には下面側に突出した働き長さ位置決め突片Aと上面側に突出した働き長さ位置決め突片Bを有し、前記板状本体には本体働き長さ位置決め基準部Aと本体働き長さ位置決め基準部Bを有し、段葺きの際に、下段の前記板状本体の前記本体働き長さ位置決め基準部Aと上段の前記ジョイント板の前記働き長さ位置決め突片Aを当て止めし、上段の前記板状本体の前記本体働き長さ位置決め基準部Bと上段の前記ジョイント板の前記働き長さ位置決め突片Bを当て止めすることで規定の働き長さを決定するものである。
【背景技術】
【0002】
従来技術の特許文献1には、特開2003-090103号の平板瓦の葺き構造および防水連結材がある。この特許文献は、平板瓦の重ね代の調整を容易に行うことのできる、平板瓦の新しい葺き構造に関するものである。
平板瓦の重ね代の調整を容易に行うことのできる、平板瓦の新しい葺き構造として、平板瓦の側端部の裏側に防水連結材を設けて平板瓦を葺き重ねていく際に、下段の平板瓦上に上段の平板瓦の防水連結材を重ね、当該下段の平板瓦と防水連結材とを同時に屋根下地材へ釘固定するようにした平板瓦の葺き構造であって、防水連結材には釘固定用の釘穴が軒棟方向に複数並んで備えられていることを特徴とする平板瓦の葺き構造について提案がされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では平板瓦の重ね代の調整を容易に行うことのできる、平板瓦の新しい葺き構造に関するものである。
平板瓦の重ね代の調整を容易に行うことのできる、平板瓦の新しい葺き構造として、平板瓦の側端部の裏側に防水連結材を設けて平板瓦を葺き重ねていく際に、下段の平板瓦上に上段の平板瓦の防水連結材を重ね、当該下段の平板瓦と防水連結材とを同時に屋根下地材へ釘固定するようにした平板瓦の葺き構造であって、防水連結材には釘固定用の釘穴が軒棟方向に複数並んで備えられていることを特徴とするものである。
この構成により、下段の平板瓦に対する重ね代の調整を施工現場にて容易に、且つ正確に行うことのできる、平板瓦の新しい葺き構造および防水連結材が提供される。
防水連結材に軒棟方向に複数並んで設けた釘穴から、釘打ち時に使用する釘穴を適宜選択することで下段の平板瓦に対する上段の平板瓦の防水連結材の固定位置を施工現場にて容易に調整することができ、重ね代、つまり重ね長さの容易な調整を実現するという効果を発揮する。
【0005】
しかし、特許文献1の平板瓦の重ね代の調整を容易に行うことのできる、平板瓦の新しい葺き構造では、生産上のばらつきを考慮した場合、平板瓦の釘穴径と防水連結材の釘穴径は、平板瓦及び防水連結材を留め付ける釘の釘径よりも大きく設計するため、釘穴径と釘径の寸法の差分が施工の際の重ね代のばらつきにつながり、精度の高い重ね代の確保が難しいという課題があった。
また、留め付けの釘断面や釘穴は円形であることから、施工での釘止付け時には釘を中心に防水連結材が回転方向でずれてしまうため、精度の高い重ね代の確保が難しいという課題があった。
【0006】
本発明は、勾配を有する建物の屋根に複数段設置する板状屋根材に関するものであり、前記板状屋根材は板状本体とジョイント板からなり、前記板状屋根材は桁方向では前記板状本体の側端部を当接するように配置し、流れ方向では下段の前記板状本体の尻側に上段の前記板状本体の頭側を重ねて配置し、前記ジョイント板は前記板状本体の前記側端部の当接部の下方に設け、前記ジョイント板には下面側に突出した働き長さ位置決め突片Aと上面側に突出した働き長さ位置決め突片Bを有し、前記板状本体には本体働き長さ位置決め基準部Aと本体働き長さ位置決め基準部Bを有し、段葺きの際に、下段の前記板状本体の前記本体働き長さ位置決め基準部Aと上段の前記ジョイント板の前記働き長さ位置決め突片Aを当て止めし、上段の前記板状本体の前記本体働き長さ位置決め基準部Bと上段の前記ジョイント板の前記働き長さ位置決め突片Bを当て止めすることで規定の働き長さを決定する板状屋根材を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の本発明の板状屋根材は、勾配を有する建物の屋根に複数段設置する板状屋根材において、前記板状屋根材は板状本体とジョイント板からなり、前記板状屋根材は桁方向では前記板状本体の側端部を当接するように配置し、流れ方向では下段の前記板状本体の尻側に上段の前記板状本体の頭側を重ねて配置し、前記ジョイント板は前記板状本体の前記側端部の当接部の下方に設け、前記ジョイント板には下面側に突出した働き長さ位置決め突片Aと上面側に突出した働き長さ位置決め突片Bを有し、前記板状本体には本体働き長さ位置決め基準部Aと本体働き長さ位置決め基準部Bを有し、段葺きの際に、下段の前記板状本体の前記本体働き長さ位置決め基準部Aと上段の前記ジョイント板の前記働き長さ位置決め突片Aを当て止めし、上段の前記板状本体の前記本体働き長さ位置決め基準部Bと上段の前記ジョイント板の前記働き長さ位置決め突片Bを当て止めすることで規定の働き長さを決定することを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の本発明は、請求項1に記載の板状屋根材において、前記建物の設計単位寸法と前記板状本体の働き長さの水平投影寸法が整数比の関係であり、前記板状本体の働き長さ寸法が前記勾配ごとの設定寸法となるよう、前記ジョイント板に前記働き長さ位置決め突片Aと前記働き長さ位置決め突片Bを前記勾配ごとの位置に設けたことを特徴とする。
【0009】
請求項3記載の本発明は、請求項2に記載の板状屋根材において、前記建物の設計単位寸法と前記板状本体の働き幅寸法が整数比の関係であることを特徴とする。
【0010】
請求項4記載の本発明は、請求項1から請求項3までのいずれか記載の板状屋根材において、前記ジョイント板の両側端部に前記働き長さ位置決め突片Aを設け、前記両側端部に設けた前記働き長さ位置決め突片Aは前記働き長さ位置決め突片Bから同じ距離だけ離れ、段葺きの際に、下段の前記板状本体の前記本体働き長さ位置決め基準部Aと上段の前記ジョイント板の前記両側端部に設けた前記働き長さ位置決め突片Aを2箇所同時に当て止めすることで、下段の前記本体働き長さ位置決め基準部Aに対して上段の前記ジョイント板の前記働き長さ位置決め突片Bを平行な位置に設けることを特徴とする。
【0011】
請求項5記載の本発明は、請求項1から請求項4までのいずれか記載の板状屋根材において、前記ジョイント板は頭―尻方向で両側に線状の止水凸部を有し、前記止水凸部は熱可塑性樹脂のホットメルト型シール材を用い、前記ジョイント固定部は前記止水凸部の外側に設けた外側平面部の頭側に設け、前記ジョイント固定部と前記本体固定部を固定緊結材で同時に屋根下地へ緊結することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、勾配を有する建物の屋根に複数段設置する板状屋根材において、前記板状屋根材は板状本体とジョイント板からなり、前記板状屋根材は桁方向では前記板状本体の側端部を当接するように配置し、流れ方向では下段の前記板状本体の尻側に上段の前記板状本体の頭側を重ねて配置し、前記ジョイント板は前記板状本体の前記側端部の当接部の下方に設け、前記ジョイント板には下面側に突出した働き長さ位置決め突片Aと上面側に突出した働き長さ位置決め突片Bを有し、前記板状本体には本体働き長さ位置決め基準部Aと本体働き長さ位置決め基準部Bを有し、段葺きの際に、下段の前記板状本体の前記本体働き長さ位置決め基準部Aと上段の前記ジョイント板の前記働き長さ位置決め突片Aを当て止めし、上段の前記板状本体の前記本体働き長さ位置決め基準部Bと上段の前記ジョイント板の前記働き長さ位置決め突片Bを当て止めすることで規定の働き長さを決定することが出来る。
本発明の板状屋根材は、屋根上で働き長さ寸法を測定しなくても、簡易で精度が高く規定の働き長さ寸法により施工することが出来る。
前記板状屋根材を屋根に割り付け、割り付け通りに屋根に施工する場合、屋根材の働き長さ寸法の施工精度が重要になるが、本発明の板状屋根材は、突片に当て止めする施工のため施工精度が高く、割り付け通りに施工することが出来る。
施工精度よく割り付け通りに施工できることにより、屋根の割り付け図面形状で陸棟部、隅棟部、ケラバ部、三又部、谷部、棟違い部などの全ての屋根端部に規格化形状屋根材を配置するように用意しておけば、現場で屋根材を加工しなくても板状屋根材を施工することが出来るようになる。
現場で屋根材の加工が無くなることで、施工は簡単になり、熟練した職人の技能が不要となり、施工現場における生産性は大幅に向上する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図2】本発明の実施例によるジョイント板の製品図面
【
図3】本発明の実施例による板状本体及びジョイント板の斜視図
【
図4】本発明の実施例による板状屋根材の屋根伏せ図
【
図6】本発明の実施例による板状屋根材の屋根伏せ図及び3寸勾配の施工断面図
【
図7】本発明の実施例による板状屋根材の屋根伏せ図及び5寸勾配の施工断面図
【
図8】本発明の実施例による板状屋根材の施工断面図の拡大図
【
図9】本発明の他の実施例によるジョイント板の製品図面
【
図10】本発明の他の実施例による板状屋根材の屋根伏せ図及び施工断面図
【
図11】本発明の実施例によるジョイント板の重ね状態図
【
図12】本発明の他の実施例によるジョイント板の製品図面
【
図13】本発明の実施例による板状屋根材の寄棟切妻混合屋根での屋根伏せ図
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の第1の実施の形態における板状屋根材は、勾配を有する建物の屋根に複数段設置する板状屋根材において、前記板状屋根材は板状本体とジョイント板からなり、前記板状屋根材は桁方向では前記板状本体の側端部を当接するように配置し、流れ方向では下段の前記板状本体の尻側に上段の前記板状本体の頭側を重ねて配置し、前記ジョイント板は前記板状本体の前記側端部の当接部の下方に設け、前記ジョイント板には下面側に突出した働き長さ位置決め突片Aと上面側に突出した働き長さ位置決め突片Bを有し、前記板状本体には本体働き長さ位置決め基準部Aと本体働き長さ位置決め基準部Bを有し、段葺きの際に、下段の前記板状本体の前記本体働き長さ位置決め基準部Aと上段の前記ジョイント板の前記働き長さ位置決め突片Aを当て止めし、上段の前記板状本体の前記本体働き長さ位置決め基準部Bと上段の前記ジョイント板の前記働き長さ位置決め突片Bを当て止めすることで規定の働き長さを決定するものである。
本実施の形態によれば、本発明の板状屋根材は、屋根上で働き長さ寸法を測定しなくても、簡易で精度が高く規定の働き長さ寸法により施工することが出来る。
前記板状屋根材を屋根に割り付け、割り付け通りに屋根に施工する場合、屋根材の働き長さ寸法の施工精度が重要になるが、本発明の板状屋根材は、突片に当て止めする施工のため施工精度が高く、割り付け通りに施工することが出来る。
施工精度よく割り付け通りに施工できることにより、屋根の割り付け図面形状で陸棟部、隅棟部、ケラバ部、三又部、谷部、棟違い部などの全ての屋根端部に規格化形状屋根材を配置するように用意しておけば、現場で屋根材を加工しなくても板状屋根材を施工することが出来るようになる。
現場で屋根材の加工が無くなることで、施工は簡単になり、熟練した職人の技能が不要となり、施工現場における生産性は大幅に向上する。
【0015】
本発明の第2の実施の形態は、第1の実施の形態による板状屋根材において、前記建物の設計単位寸法と前記板状本体の働き長さの水平投影寸法が整数比の関係であり、前記板状本体の働き長さ寸法が前記勾配ごとの設定寸法となるよう、前記ジョイント板に前記働き長さ位置決め突片Aと前記働き長さ位置決め突片Bを前記勾配ごとの位置に設けたものである。
本実施の形態によれば、流れ方向における屋根端部に配置する屋根材形状をルール化することが出来るため、屋根への板状屋根材の割り付けが簡単になり、屋根端部の割り付け形状がルール化出来、流れ方向における屋根端部に用いる端部パーツを規格化形状屋根材としてあらかじめ準備しておくことが出来る。施工現場では、現場で屋根材を加工することなく規格化形状屋根材を流れ方向の屋根端部に取り付けることで板状屋根材の施工は完了することが出来る。
現場で屋根材の加工が無くなり、かつ、規格化形状屋根材を割り付け通りに取り付けるだけで施工が完了するため、施工が非常に簡単になり、熟練した職人の技能が不要となり、施工現場における生産性が大幅に向上する。
【0016】
本発明の第3の実施の形態は、第2の実施の形態による板状屋根材において、前記建物の設計単位寸法と前記板状本体の働き幅寸法が整数比の関係であるものである。
本実施の形態によれば、流れ方向と桁方向の両方向における屋根端部に配置する屋根材形状をルール化することが出来るため、屋根全体への板状屋根材の割り付けが簡単になり、全ての屋根端部の割り付け形状がルール化出来、陸棟部、隅棟部、ケラバ部、三又部、谷部、棟違い部などの全ての屋根端部に規格化形状屋根材を配置するようにあらかじめ準備しておくことが出来る。施工現場では、現場で屋根材を加工することなく規格化形状屋根材を陸棟部、隅棟部、ケラバ部、三又部、谷部、棟違い部などの全ての屋根端部に配置し、取り付けることで板状屋根材の施工は完了することが出来る。
現場で屋根材の加工が無くなり、かつ、規格化形状屋根材を割り付け通りに取り付けるだけで施工が完了するため、施工が非常に簡単になり、熟練した職人の技能が不要となり、施工現場における生産性が大幅に向上する。
【0017】
本発明の第4の実施の形態は、第1から第3のいずれか実施の形態による板状屋根材において、前記ジョイント板の両側端部に前記働き長さ位置決め突片Aを設け、前記両側端部に設けた前記働き長さ位置決め突片Aは前記働き長さ位置決め突片Bから同じ距離だけ離れ、段葺きの際に、下段の前記板状本体の前記本体働き長さ位置決め基準部Aと上段の前記ジョイント板の前記両側端部に設けた前記働き長さ位置決め突片Aを2箇所同時に当て止めすることで、下段の前記本体働き長さ位置決め基準部Aに対して上段の前記ジョイント板の前記働き長さ位置決め突片Bを平行な位置に設けるものである。
本実施の形態によれば、板状本体に対してジョイント板の桁方向における平行度を高めることにより、規定の働き長さ寸法による施工精度をより高めることが出来る。
また、ジョイント板の前記両側端部に設けた前記働き長さ位置決め突片Aを2箇所同時に当て止めするだけなので、簡単で施工性が良く、割り付け通りに板状屋根材を屋根へ施工することが出来る。
【0018】
本発明の第5の実施の形態は、第1から第4のいずれか実施の形態による板状屋根材において、前記ジョイント板は頭―尻方向で両側に線状の止水凸部を有し、前記止水凸部は熱可塑性樹脂のホットメルト型シール材を用い、前記ジョイント固定部は前記止水凸部の外側に設けた外側平面部の頭側に設け、前記ジョイント固定部と前記本体固定部を固定緊結材で同時に屋根下地へ緊結するものである。
本実施の形態によれば、熱可塑性樹脂のホットメルト型シール材は、加熱することによって粘度が低下(軟化)して流動性を示すとともに、常温において、シール対象部材に対する密着性を示す弾性体となるシール材であるため、屋根施工後の夏場の屋根において板状屋根材が高温化し、ジョイント板に設けた熱可塑性樹脂のホットメルト型シール材が止水凸部の箇所にて板状本体と接着する。
その結果、ジョイント板と板状本体がホットメルト型シール材の接着力によって一体化し、その現象が、屋根面全体で促進することで板状屋根材が屋根面全体で一体化し、板状屋根材の防水性能の向上及び耐風性能の向上といった効果を発揮することが出来る。
【実施例0019】
以下本発明の実施例による板状屋根材1について説明する。
図1は実施例による板状本体3の製品図面である。
図1は板状本体3の製品図面で投影法による6面図である。
図1は勾配27を有する建物の屋根2に複数段設置する板状屋根材1を構成する部材の一つの板状本体3であり、前記板状本体3には尻側7に本体固定部12を設けている。
実施例では、尻側7の上面11に水切り20を2本設け、前記水切り20の間に4つの本体固定部12を設けている。
働き長さの水平投影寸法Lhが屋根2の勾配27が変わっても一定になるよう、勾配27ごとに働き長さ寸法Lの設定がされる。
図1では、3寸勾配対応の働き長さ寸法L1と本体縦重ねり寸法R1を記載している。
また、5寸勾配対応の働き長さ寸法L2と本体縦重なり寸法R2も記載している。
図1の製品における製品設計モジュールは尺モジュールであり、建物の設計単位寸法Pも尺モジュールであり、1P=910mmである。
働き長さの水平投影寸法Lhは、1/4Pの227.5mmであり、働き幅寸法Wは1/2Pの455mmである。
建物の設計単位寸法Pに対して働き長さの水平投影寸法Lhが1/4Pとなるので、設計単位寸法Pと働き長さの水平投影寸法Lhは4:1の関係となり、整数比の関係となる。
建物の設計単位寸法Pに対して働き幅寸法Wが1/2Pとなるので、設計単位寸法Pと働き幅寸法Wは2:1の関係となり、整数比の関係となる。
全長さ寸法LAは305mmである。
3寸勾配対応の働き長さ寸法L1は、働き長さの水平投影寸法Lhに3寸勾配の勾配伸び率の1.044を掛けて算出する。
同様に5寸勾配対応の働き長さ寸法L2は、働き長さの水平投影寸法Lhに5寸勾配の勾配伸び率の1.118を掛けて算出する。
実施例では、3寸勾配対応の働き長さ寸法L1は237.5mm、5寸勾配対応の働き長さ寸法L2は254.3mmとなる。
板状本体3の全長さ寸法LAから働き長さ寸法を引くことで本体縦重なり寸法が求められる。
実施例の3寸勾配の場合は、3寸勾配の本体縦重なり寸法R1の67.5mmは、全長さLAの305mmから働き長さ寸法L1の237.5mmを引くことで算出できる。
また、5寸勾配の場合は、5寸勾配の本体縦重なり寸法R2の50.7mmは、全長さLAの305mmから働き長さ寸法L2の254.3mmを引くことで算出できる。
板状本体3は平面図、正面図ともに長方形形状であり、板状の形状である。
平面図における左右の端部が側端部9であり、屋根2に敷設するときは桁方向5に配置される。
平面図における上方が尻側7になり端部は尻端部13となる。屋根2に敷設するときは流れ方向6の棟側となる。
平面図における下方が頭側8になり端部は頭端部14となる。屋根2に敷設するときは流れ方向6の軒先側となる。
実施例の本体固定部12の中心から尻端部13までの水平距離は25.3mmである。
頭側8の下面10には、水切り20を2本設けている。
尻側7上面11の2本の水切り20は、段葺きした際の板状本体3の縦重なり箇所で毛細管現象により雨水が上がってくるのを防ぐためのものである。
側端部9の下面10のやや中央寄りに本体裏面切り欠き24を設け、ジョイント板4と葺き合わせた際にジョイント板4の止水凸部22が板状本体3の下面10と干渉しないように切り欠いている。
実施例では中央付近にも本体裏面切り欠き24を設け、下面10に4本の本体裏面切り欠き24を設けている。
実施例の板状本体3の厚さは7.5mmである。
【0020】
図2は実施例によるジョイント板4の製品図面であり、投影法による3面図である。
図2の(a)は屋根2の勾配27が3寸勾配の際に使用するジョイント板4の製品図面であり、
図2の(b)は勾配27が5寸勾配の際に使用するジョイント板4の製品図面である。
図2は勾配27を有する建物の屋根2に複数段設置する板状屋根材1を構成する部材の一つのジョイント板4であり、ジョイント板4には頭側8にジョイント固定部19を有し、前記ジョイント板4の尻端部13には上面側に突出した働き長さ位置決め突片B18を有している。
この働き長さ位置決め突片B18はジョイント水返し部30を兼ねている。
ジョイント水返し部30の高さは、板状本体3の厚みと同じ7.5mmとしている。
ジョイント板4は、外側平面部23の頭側8の両側端部に下面側へ突出した働き長さ位置決め突片A17を有している。
板状本体1の働き長さ寸法が勾配27ごとの設定寸法となるよう、ジョイント板4に働き長さ位置決め突片A17と働き長さ位置決め突片B18を勾配27ごとの位置に設けている。
働き長さ位置決め突片B18から働き長さ位置決め突片A17までの距離がジョイント板働き長さ寸法となり、板状本体3の働き長さ寸法となり、板状屋根材1の働き長さ寸法となる。
図2(a)では3寸勾配の際の働き長さ寸法を設定し、働き長さ位置決め突片B18から働き長さ位置決め突片A17までの距離がジョイント板働き長さ寸法(3寸勾配対応)LJ1となり、ジョイント板働き長さ寸法(3寸勾配対応)LJ1は237.5mmとなる。
ジョイント板働き長さ寸法(3寸勾配対応)LJ1が、
図1に記載の3寸勾配の際の板状本体3の働き長さ寸法(3寸勾配対応)L1となり、3寸勾配における板状屋根材1の働き長さ寸法となる。
図2(b)では5寸勾配の際の働き長さ寸法を設定し、働き長さ位置決め突片B18から働き長さ位置決め突片A17までの距離がジョイント板働き長さ寸法(5寸勾配対応)LJ2となり、ジョイント板働き長さ寸法(5寸勾配対応)LJ2は254.3mmとなる。
ジョイント板働き長さ寸法(5寸勾配対応)LJ2が、
図1に記載の5寸勾配の際の板状本体3の働き長さ寸法(5寸勾配対応)L2となり、5寸勾配における板状屋根材1の働き長さ寸法となる。
働き長さ位置決め突片A17の下方への突出寸法は、板状本体3の厚みよりも若干小さい7mmとしている。
勾配27ごとの働き長さ寸法は、働き長さの水平投影寸法Lhに勾配伸び率を掛けることで算出される。
言い換えれば、勾配27ごとの働き長さ寸法を勾配伸び率で割ったとき、働き長さの水平投影寸法Lhが一定になるよう働き長さを設定している。
図2(a)、
図2(b)において、それぞれの勾配伸び率で勾配27ごとの働き長さ寸法を割ると働き長さの水平投影寸法Lhは227.5mmとなり、建物の設計単位寸法Pで表すと1/4Pとなる。
建物の設計単位寸法Pに対して働き長さの水平投影寸法Lhが1/4Pとなるので、設計単位寸法Pと働き長さの水平投影寸法Lhは4:1の関係となり、整数比の関係となる。
ジョイント板4は頭―尻方向で線状の止水凸部22を有し、前記ジョイント固定部19は前記止水凸部22の外側に設けた外側平面部23の頭側8に設けている。
ジョイント板4の幅方向のセンターには頭―尻方向で線状にジョイント板センターライン21を設けている。
ジョイント固定部19は、前記外側平面部23の両側の頭側8に設けている。
働き長さ位置決め突片A17の頭側8に位置決め突片切り欠き空間31を設けている。
実施例では、働き長さ位置決め突片A17、ジョイント固定部19、止水凸部22、外側平面部23、位置決め突片切り欠き空間31などは、ジョイント板4の中心から線対称で両側に配置されている。
ジョイント固定部19は、板状本体3の本体固定部12よりも大きな径とし、板状本体3の本体固定部12と共打ちする際に、穴位置が多少ずれても固定出来るようになっている。
実施例では、ジョイント固定部19の中心から働き長さ位置決め突片A17までの距離が25.3mmであり、勾配27に関係なく一定の寸法とすることでジョイント固定部19と板状本体3の本体固定部12とを共打ちすることが出来る。
働き長さ位置決め突片B18とジョイント水返し部30を兼ねる実施例では、ジョイント板4の全長さ寸法LAJは295mmであり、板状本体3の全長さ寸法LAよりも10mm短く、葺き合わせた際に板状本体3の頭端部14よりもジョイント板4の頭端部14は10mmセットバックした位置関係となる。
頭-尻方向で線状に設けた止水凸部22は、実施例ではプレス成型により1.4mmの高さで凸状に一体成型した止水凸部22としているが、別体でゴム系やエラストマー系の止水材を取り付けた止水凸部22としても良い。
発泡させたEPDMゴムの止水材を用いると葺き合わせ時に圧縮して板状本体3の裏面と密着するので止水性に優れる。
また、プレス成形工程の前後で熱可塑性樹脂のホットメルト型シール材を塗布することにより止水凸部22としても良い。
止水凸部22の間の平面部の寸法はジョイント板働き幅寸法WJとし、板状本体3の側端部9間に侵入した雨水を排出する性能を発揮する。実施例では54mmとしている。
ジョイント板働き幅寸法WJの中央には板状本体3を葺き合わせる際の目印になるようにプレス成型でジョイント板センターライン21を入れている。
実施例のジョイント板全幅寸法WAJは88mmである。
【0021】
図3は実施例による板状本体3及びジョイント板4の斜視図である
図3(a)は板状本体3の斜視図であり、手前が頭側8、奥が尻側7である。
図3(a)の板状本体3は、
図1の実施例と同じ形状である。
図3(b)はジョイント板4の斜視図であり、手前が頭側8、奥が尻側7である。
図3(b)のジョイント板4は、
図2の実施例と同じ形状である。
実施例のジョイント板4の材質は、厚さ0.4mmの薄板鋼板である。
【0022】
図4は実施例による板状屋根材1の屋根伏せ図であり、板状本体3とジョイント板4の葺き合わせを表している。
桁方向5に対しては、左右の板状本体3の側端部9を当接するように配置する。
流れ方向6に対しては、下段の板状本体3の尻側7に上段の板状本体3の頭側8を本体縦重なり寸法分だけ重ねて配置する。
ジョイント板4は、板状本体3の側端部9の当接部の下方に設け、当接部から浸入した雨水をジョイント板4で受け下段の板状本体3上に排水する。
下段の板状本体3の尻端部13を本体働き長さ位置決め基準部A15とし、上段のジョイント板4の働き長さ位置決め突片A17を当て止めし、ジョイント板4の流れ方向6の位置決めを行う。
その後、ジョイント板4のジョイント固定部19を板状本体3の本体固定部12の上に位置を合わせ、ジョイント固定部19と本体固定部12を固定緊結材25で同時に屋根下地26へ共打ちにより緊結することで桁方向5の位置決めを行う。
固定緊結材25で同時に屋根下地26へ共打ちすることで、板状本体3とジョイント板4を板状屋根材1として一体化する。
ジョイント板4の位置決め固定後、上段の板状本体3の尻端部13を本体働き長さ位置決め基準部B16とし、上段のジョイント板4の働き長さ位置決め突片B18を当て止めし、板状本体3の流れ方向6の位置決めを行う。
板状本体3の尻端部13を本体働き長さ位置決め基準部A15とし、上段のジョイント板4の働き長さ位置決め突片A17を当て止めし、段の板状本体3の尻端部13を本体働き長さ位置決め基準部B16とし、上段のジョイント板4の働き長さ位置決め突片B18を当て止めすることで、板状屋根材1の規定の働き長さを決定し、屋根上で寸法測定などをすることなく簡単で正確に規定の働き長さ寸法で施工することが出来る。
実施例では、板状本体3の尻側7に設けた4箇所の本体固定部12のうち中央2箇所にジョイント板4の外側平面部23の頭側8の両側に設けたジョイント固定部19を2箇所重ね合わせ、固定緊結材25で屋根下地26に緊結固定する。
ジョイント板4のジョイント板センターライン21と上段に施工する板状本体3の側端部9を合わせて配置することで板状本体3は上下段で桁方向5に板状本体3の半枚分ずれた千鳥葺きとなる。
下段の板状本体3の本体働き長さ位置決め基準部A15と上段のジョイント板4の両側端部に設けた働き長さ位置決め突片A17を2箇所同時に当て止めすることで、下段の本体働き長さ位置決め基準部A17に対して上段のジョイント板4の働き長さ位置決め突片B18を平行な位置に設けることが出来る。
この結果、板状屋根材1を複数段施工する際に、上下段の平行度を正確に施工することが出来る。
ジョイント板4の働き長さ位置決め突片B18はジョイント板4の尻端部13を立ち上げたジョイント水返し部30とし、働き長さ位置決め機能と水返し機能を兼用している。
段葺きの際には、下段の板状本体3に固定したジョイント板4の働き長さ位置決め突片B18に上段の板状本体3の本体働き長さ位置決め基準部B16を当て止めする。
実施例では板状本体3の尻端部13が本体働き長さ位置決め基準部B16となっている。
尻端部13をジョイント水返し部30に当て止めすることで、規定の働き長さ寸法を決定する事が出来る。
【0023】
図5は実施例による板状屋根材1の納まり図であり、板状本体3とジョイント板4の葺き合わせを表している。
図5(a)は軒側から見た板状屋根材1の納まり図であり、板状本体3とジョイント板4の葺き合わせの斜視図である。
図5(b)は棟側から見た板状屋根材1の納まり図であり、板状本体3とジョイント板4の葺き合わせの要部を拡大した斜視図である。
図5(a)では、板状本体3の中央に設けた2箇所の本体固定部12にジョイント板4の両端に設けた2箇所のジョイント固定部19を重ね合わせるようにして桁方向5の位置決めを行う。
流れ方向6に関しては、板状本体3の尻端部13を本体働き長さ位置決め基準部A15とし、本体働き長さ位置決め基準部A15にジョイント板4に設けた働き長さ位置決め突片A17を当て止めして流れ方向6の位置決めを行う。
板状本体4の尻端部13を本体働き長さ位置決め基準部B16とし、ジョイント板4の尻側7の端部に上面側に突出した働き長さ位置決め突片B18を設け、板状本体4の本体働き長さ位置決め基準部B16を上段のジョイント板4の働き長さ位置決め突片B18と当て止めすることで、板状本体3の働き長さ寸法が勾配27ごとの設定寸法となり、規定の働き長さを決定することが出来る。
図5(b)は、棟側から見た板状本体3とジョイント板4の拡大した斜視図であり、板状本体3の尻端部13を本体働き長さ位置決め基準部A15とし、本体働き長さ位置決め基準部A15にジョイント板4に設けた働き長さ位置決め突片A17を当て止めして流れ方向6の位置決めを行う。
働き長さ位置決め突片A17は、外側平面部23の頭側8に下面側に突出して設け、段葺きで施工する際に下段の板状本体3の尻端部13は働き長さ位置決め基準部A15となり、働き長さ位置決め突片A17を当て止めすることで規定の勾配長さで決定することが出来る。
【0024】
図6は実施例による板状屋根材1の屋根伏せ図及び3寸勾配の施工断面図である。
図6(a)は板状本体3とジョイント板4の葺き合わせと割り付け寸法を表している板状屋根材1の3寸勾配における屋根伏せ図である。
実施例の板状本体3の働き幅寸法Wは建物の設計単位寸法Pの1/2である455mmであり、板状本体3が桁方向5に2列で1Pの910mmとなる。
板状本体3の働き長さの水平投影寸法Lhは建物の設計単位寸法Pの1/4である227.5mmであり、板状本体3が流れ方向6に2段で0.5Pの455mmとなる。
建物の設計単位寸法Pと板状本体3の働き幅寸法Wが2:1の整数比の関係であり、建物の設計単位寸法Pと板状本体3の働き長さの水平投影寸法Lhが4:1の整数比の関係であり、かつ、働き幅寸法Wと働き長さの水平投影寸法Lhが2:1の整数比の関係となっている。
屋根2の右端の屋根端部28はケラバ部を表しており、図の最上段には板状本体3の働き幅寸法Wの半分の働き幅寸法の227.5mmであり、かつ、働き長さの水平投影寸法Lhが227.5mmである規格化形状屋根材29を配置している。
桁方向5、流れ方向6ともに建物の設計単位寸法Pと板状屋根材1の働き幅寸法W及び働き長さの水平投影寸法Lhが整数比の関係にあり、桁方向で働き長さの水平投影寸法Lh分だけずらした配置にすることで、全ての屋根端部28において規格化形状屋根材29を配置することが出来る。
屋根端部28はケラバ部であり、屋根端部28には板状屋根材1と規格化形状屋根材29が1段毎に交互に配置される。
ジョイント板4にはジョイント固定部19に対し固定緊結材25で固定している。
3寸勾配用のジョイント板4を用いて、本体働き長さ位置決め基準部A15と働き長さ位置決め突片A17を当て止めし、かつ、本体働き長さ位置決め基準部B16と働き長さ位置決め突片B18を当て止めすることで3寸勾配のときに働き長さの水平投影寸法Lhが227.5mmで板状屋根材1を屋根2に配置することが出来る。
図中にA-A断面の断面指示が記載している。
【0025】
図6(b)は板状本体3とジョイント板4の葺き合わせを表している板状屋根材1の3寸勾配における流れ方向6の施工断面図である。
図6(b)では、
図6(a)に記載したA-A断面図の表記部分を断面図にて表している。
流れ方向6の働き長さ寸法Lは237.5mmであり、働き長さの水平投影寸法Lhの227.5mmに3寸勾配の勾配伸び率1.044を掛けることで3寸勾配のときの働き長さ寸法(3寸勾配対応)L1の237.5mmを算出することができる。
ジョイント板4の働き長さ位置決め突片B18はジョイント板4の尻端部13を立ち上げたジョイント水返し部30であり、働き長さ位置決め機能と水返し機能を兼用している。
下段の板状本体3の尻端部13を本体働き長さ位置決め基準部A15とし、上段のジョイント板4の働き長さ位置決め突片A17を当て止めし、ジョイント板4の流れ方向6の位置決めを行う。
その後、ジョイント板4のジョイント固定部19を板状本体3の本体固定部12の上に位置を合わせ、ジョイント固定部19と本体固定部12を固定緊結材25で同時に屋根下地26へ共打ちにより緊結する。
固定緊結材25で同時に屋根下地26へ共打ちすることで、板状本体3とジョイント板4を板状屋根材1として一体化する。
ジョイント板4の位置決め固定後、上段の板状本体3の尻端部13を本体働き長さ位置決め基準部B16とし、上段のジョイント板4の働き長さ位置決め突片B18を当て止めし、板状本体3の流れ方向6の位置決めを行う。
板状本体3の尻端部13を本体働き長さ位置決め基準部A15とし、上段のジョイント板4の働き長さ位置決め突片A17を当て止めし、段の板状本体3の尻端部13を本体働き長さ位置決め基準部B16とし、上段のジョイント板4の働き長さ位置決め突片B18を当て止めすることで、板状屋根材1の規定の働き長さを決定する。
本実施例では、屋根上で寸法測定などをすることなく簡単で正確に3寸勾配対応の働き長さ寸法(3寸勾配対応)L1である237.5mmを決定し、板状屋根材1を屋根2に固定する事が出来る。
本実施例では、止水凸部22を熱可塑性樹脂のホットメルト型シール材32とする場合もある。
止水凸部22がホットメルト型シール材32になった場合、屋根施工後の夏場の屋根2において板状屋根材1が高温化し、ジョイント板4に設けた熱可塑性樹脂のホットメルト型シール材32が止水凸部22の箇所にて板状本体3と接着する。
その結果、ジョイント板4と板状本体3がホットメルト型シール材32の接着力によって一体化し、その現象が、屋根面全体で促進することで板状屋根材1が屋根面全体で一体化し、板状屋根材1の防水性能の向上及び耐風性能の向上といった効果を発揮することが出来る。
【0026】
図7は実施例による板状屋根材1の屋根伏せ図及び5寸勾配の施工断面図である。
図7(a)は板状本体3とジョイント板4の葺き合わせと割り付け寸法を表している板状屋根材1の5寸勾配における屋根伏せ図である。
実施例の板状本体3の働き幅寸法Wは建物の設計単位寸法Pの1/2である455mmであり、板状本体3が桁方向5に2列で1Pの910mmとなる。
板状本体3の働き長さの水平投影寸法Lhは建物の設計単位寸法Pの1/4である227.5mmであり、板状本体3が流れ方向6に2段で0.5Pの455mmとなる。
建物の設計単位寸法Pと板状本体3の働き幅寸法Wが2:1の整数比の関係であり、建物の設計単位寸法Pと板状本体3の働き長さの水平投影寸法Lhが4:1の整数比の関係であり、かつ、働き幅寸法Wと働き長さの水平投影寸法Lhが2:1の整数比の関係となっている。
屋根2の右端の屋根端部28はケラバ部を表しており、図の最上段には板状本体3の働き幅寸法Wの半分の働き幅寸法の227.5mmであり、かつ、働き長さの水平投影寸法Lhが227.5mmである規格化形状屋根材29を配置している。
桁方向5、流れ方向6ともに建物の設計単位寸法Pと板状屋根材1の働き幅寸法W及び働き長さの水平投影寸法Lhが整数比の関係にあり、桁方向で働き長さの水平投影寸法Lh分だけずらした配置にすることで、全ての屋根端部28において規格化形状屋根材29を配置することが出来る。
屋根端部28はケラバ部であり、屋根端部28には板状屋根材1と規格化形状屋根材29が1段毎に交互に配置される。
ジョイント板4にはジョイント固定部19に対し固定緊結材25で固定している。
5寸勾配用のジョイント板4を用いて、本体働き長さ位置決め基準部A15と働き長さ位置決め突片A17を当て止めし、かつ、本体働き長さ位置決め基準部B16と働き長さ位置決め突片B18を当て止めすることで5寸勾配のときに働き長さの水平投影寸法Lhが227.5mmで板状屋根材1を屋根2に配置することが出来る。
図中にA-A断面の断面指示が記載している。
【0027】
図7(b)は板状本体3とジョイント板4の葺き合わせを表している板状屋根材1の5寸勾配における流れ方向6の施工断面図である。
図7(b)では、
図7(a)に記載したA-A断面図の表記部分を断面図にて表している。
流れ方向6の働き長さ寸法Lは254.3mmであり、働き長さの水平投影寸法Lhの227.5mmに5寸勾配の勾配伸び率1.118を掛けることで5寸勾配のときの働き長さ寸法(5寸勾配対応)L2の254.3mmを算出することができる。
ジョイント板4の働き長さ位置決め突片B18はジョイント板4の尻端部13を立ち上げたジョイント水返し部30であり、働き長さ位置決め機能と水返し機能を兼用している。
下段の板状本体3の尻端部13を本体働き長さ位置決め基準部A15とし、上段のジョイント板4の働き長さ位置決め突片A17を当て止めし、ジョイント板4の流れ方向6の位置決めを行う。
その後、ジョイント板4のジョイント固定部19を板状本体3の本体固定部12の上に位置を合わせ、ジョイント固定部19と本体固定部12を固定緊結材25で同時に屋根下地26へ共打ちにより緊結する。
固定緊結材25で同時に屋根下地26へ共打ちすることで、板状本体3とジョイント板4を板状屋根材1として一体化する。
ジョイント板4の位置決め固定後、上段の板状本体3の尻端部13を本体働き長さ位置決め基準部B16とし、上段のジョイント板4の働き長さ位置決め突片B18を当て止めし、板状本体3の流れ方向6の位置決めを行う。
板状本体3の尻端部13を本体働き長さ位置決め基準部A15とし、上段のジョイント板4の働き長さ位置決め突片A17を当て止めし、段の板状本体3の尻端部13を本体働き長さ位置決め基準部B16とし、上段のジョイント板4の働き長さ位置決め突片B18を当て止めすることで、板状屋根材1の規定の働き長さを決定する。
本実施例では、屋根上で寸法測定などをすることなく簡単で正確に5寸勾配対応の働き長さ寸法(5寸勾配対応)L2である254.3mmを決定し、板状屋根材1を屋根2に固定する事が出来る。
【0028】
図8は実施例による板状屋根材1の施工断面図の拡大であり、
図6(b)の板状本体3とジョイント板4の葺き合わせを表している板状屋根材1の3寸勾配における流れ方向6の施工断面図を拡大したものである。
図8(a)は、板状屋根材1を屋根2に複数段施工したときの流れ方向6における上下段製品との構成を表している。
下段の板状本体3の尻側7に上段の板状本体3の頭側8を重ねて配置し、ジョイント板4は板状本体3の下方に設ける。
ジョイント板4には下面10側に突出した働き長さ位置決め突片A17と上面11側に突出した働き長さ位置決め突片B18を設ける。
板状本体3には本体働き長さ位置決め基準部A15と本体働き長さ位置決め基準部B16を設ける。
本実施例では板状本体3の尻端部13が本体働き長さ位置決め基準部A15であり、本体働き長さ位置決め基準部B16となる。
板状屋根材1を段葺きする際には、下段の板状本体3の本体働き長さ位置決め基準部A15と上段に施工するジョイント板4の働き長さ位置決め突片A17を当て止めする。
ジョイント板4を当て止めしたのち、ジョイント板4のジョイント固定部19と板状本体3の本体固定部12を合わせてジョイント固定部19から固定緊結材25で屋根下地26に固定する。
さらに、上段の板状本体3の本体働き長さ位置決め基準部B16と上段に施工するジョイント板4の働き長さ位置決め突片B18を当て止めする。
勾配27に合わせたジョイント板4を用いることで建物の設計単位寸法と板状本体3の働き長さの水平投影寸法Lhが整数比の関係となるように働き長さを決定することができる。
【0029】
図8(b)は板状本体3の本体働き長さ位置決め基準部A15とジョイント板4の働き長さ位置決め突片A17との当て止め構造部を拡大したものである。
下段の板状本体3の尻側7に上段の板状本体3の頭側8を重ねて配置し、ジョイント板4は板状本体3の下方に設ける。
ジョイント板4には下面10側に突出した働き長さ位置決め突片A17を設ける。
板状本体3には本体働き長さ位置決め基準部A15を設ける。
本実施例では板状本体3の尻端部13が本体働き長さ位置決め基準部A15となる。
板状屋根材1を段葺きする際には、下段の板状本体3の本体働き長さ位置決め基準部A15と上段に施工するジョイント板4の働き長さ位置決め突片A17を当て止めする。
ジョイント板4を当て止めしたのち、ジョイント板4のジョイント固定部19と板状本体3の本体固定部12を合わせてジョイント固定部19から固定緊結材25で屋根下地26に固定する。
【0030】
図8(c)は板状本体3の本体働き長さ位置決め基準部B16とジョイント板4の働き長さ位置決め突片B18との当て止め構造部を拡大したものである。
下段の板状本体3の尻側7に上段の板状本体3の頭側8を重ねて配置し、ジョイント板4は板状本体3の下方に設ける。
ジョイント板4には上面11側に突出した働き長さ位置決め突片B18を設ける。
板状本体3には本体働き長さ位置決め基準部B16を設ける。
本実施例では板状本体3の尻端部13が本体働き長さ位置決め基準部B16となる。
上段の板状本体3の本体働き長さ位置決め基準部B16と上段に施工するジョイント板4の働き長さ位置決め突片B18を当て止めする。
【0031】
図9は他の実施例によるジョイント板4の製品図面である。
図9はジョイント板4の製品図面で投影法による3面図である。
図9の製品は勾配27を有する建物の屋根2に複数段設置する板状屋根材1を構成する部材の一つのジョイント板4であり、本実施例は3寸勾配用のジョイント板4である。
ジョイント板4には頭側8にジョイント固定部19を設け、ジョイント板4の外側平面部23の頭端部14に上面側へ突出した働き長さ位置決め突部20を設けている。
実施例では、働き長さ位置決め突片B18は7.5mmの高さとし、外側平面部23の頭端部14から上面11側に垂直に突出している。
ジョイント水返し部30は、ジョイント板4の尻端部13に上面11側へ垂直に突出した形状で設ける。
ジョイント板4は、外側平面部23の頭側8の両側端部に下面10側へ突出した働き長さ位置決め突片A17を有している。
板状本体1の働き長さ寸法が勾配27ごとの設定寸法となるよう、ジョイント板4に働き長さ位置決め突片A17と働き長さ位置決め突片B18を勾配27ごとの位置に設けている。
働き長さ位置決め突片B18から働き長さ位置決め突片A17までの距離が板状本体3の流れ方向6における本体縦重なり寸法(3寸勾配対応)R1となり、具体的には67.5mmとなる。
ジョイント固定部19の中心から働き長さ位置決め突片A17までの距離は25.3mmであり、板状本体3の本体固定部12の中心から本体働き長さ位置決め基準部A15までの距離を25.3mmに設定することで、勾配27に関係なくジョイント固定部19と板状本体3の本体固定部12とを共打ちすることが出来る。
実施例では、ジョイント板4の全長さ寸法LAJは313mmであり、板状本体3の全長さ寸法LAよりも8mm長く、葺き合わせた際に板状本体3の尻端部13よりもジョイント板4のジョイント水返し部30は8mm離れた位置関係となる。
ジョイント板4の幅方向のセンターには頭―尻方向で線状にジョイント板センターライン21を設けている。
働き長さ位置決め突片A17の頭側8に位置決め突片切り欠き空間31を設けている。
実施例では、働き長さ位置決め突片A17、ジョイント固定部19、止水凸部22、外側平面部23、位置決め突片切り欠き空間31などは、ジョイント板4の中心から線対称で両側に配置されている。
ジョイント固定部19は、板状本体3の本体固定部12よりも大きな径とし、板状本体3の本体固定部12と共打ちする際に、穴位置が多少ずれても固定出来るようになっている。
頭-尻方向で線状に設けた止水凸部22は、実施例ではプレス成型により1.4mmの高さで凸状に一体成型した止水凸部22としているが、別体でゴム系やエラストマー系の止水材を取り付けた止水凸部22としても良い。
発泡させたEPDMゴムの止水材を用いると葺き合わせ時に圧縮して板状本体3の裏面と密着するので止水性に優れる。
また、プレス成形工程の前後で熱可塑性樹脂のホットメルト型シール材32を塗布することにより止水凸部22としても良い。
止水凸部22の間の平面部の寸法はジョイント板働き幅寸法WJとし、板状本体3の側端部9間に侵入した雨水を排出する性能を発揮する。実施例では54mmとしている。
ジョイント板働き幅寸法WJの中央には板状本体3を葺き合わせる際の目印になるようにプレス成型でジョイント板センターライン21を入れている。
実施例のジョイント板全幅寸法WAJは88mmである。
【0032】
図10は他の実施例による板状屋根材1の屋根伏せ図及び3寸勾配の施工断面図である。
図10(a)は板状本体3とジョイント板4の葺き合わせと割り付け寸法を表している板状屋根材1の3寸勾配における屋根伏せ図である。
屋根2の右端の屋根端部28はケラバ部を表している。
桁方向5、流れ方向6ともに建物の設計単位寸法Pと板状屋根材1の働き幅寸法W及び働き長さの水平投影寸法Lhが整数比の関係にあり、桁方向で働き長さの水平投影寸法Lh分だけずらした配置にすることで、全ての屋根端部28において規格化形状屋根材29を配置することが出来る。
屋根端部28はケラバ部であり、屋根端部28には板状屋根材1と規格化形状屋根材29が1段毎に交互に配置される。
ジョイント板4にはジョイント固定部19に対し固定緊結材25で固定している。
3寸勾配用のジョイント板4を用いて、本体働き長さ位置決め基準部A15と働き長さ位置決め突片A17を当て止めし、かつ、本体働き長さ位置決め基準部B16と働き長さ位置決め突片B18を当て止めすることで3寸勾配のときに働き長さの水平投影寸法Lhが227.5mmで板状屋根材1を屋根2に配置することが出来る。
図中にA-A断面の断面指示が記載している。
【0033】
図10(b)は板状本体3とジョイント板4の葺き合わせを表している板状屋根材1の3寸勾配における流れ方向6の施工断面図である。
図10(b)では、
図10(a)に記載したA-A断面図の表記部分を断面図にて表している。
図10(b)は、板状屋根材1を屋根2に複数段施工したときの流れ方向6における上下段製品との構成を表している。
下段の板状本体3の尻側7に上段の板状本体3の頭側8を重ねて配置し、ジョイント板4は板状本体3の下方に設ける。
ジョイント板4には下面10側に突出した働き長さ位置決め突片A17と上面11側に突出した働き長さ位置決め突片B18を設ける。
板状本体3には本体働き長さ位置決め基準部A15と本体働き長さ位置決め基準部B16を設ける。
本実施例では板状本体3の尻端部13が本体働き長さ位置決め基準部A15であり、板状本体3の頭端部14が本体働き長さ位置決め基準部B16となる。
板状屋根材1を段葺きする際には、下段の板状本体3の本体働き長さ位置決め基準部A15と上段に施工するジョイント板4の働き長さ位置決め突片A17を当て止めする。
ジョイント板4を当て止めしたのち、ジョイント板4のジョイント固定部19と板状本体3の本体固定部12を合わせてジョイント固定部19から固定緊結材25で屋根下地26に固定する。
さらに、上段の板状本体3の本体働き長さ位置決め基準部B16と上段に施工するジョイント板4の働き長さ位置決め突片B18を当て止めする。
勾配27に合わせたジョイント板4を用いることで建物の設計単位寸法と板状本体3の働き長さの水平投影寸法Lhが整数比の関係となるように働き長さを決定することができる。
ジョイント板4の尻端部13には上面11側に突出したジョイント水返し部30を設ける。
【0034】
図10(c)は
図10(b)の縦重なり部を拡大したものである。
下段の板状本体3の尻側7に上段の板状本体3の頭側8を重ねて配置し、ジョイント板4は板状本体3の下方に設ける。
ジョイント板4には下面10側に突出した働き長さ位置決め突片A17と上面11側に突出した働き長さ位置決め突片B18を設ける。
本実施例は、働き長さ位置決め突片B18をジョイント板4の頭端部14に設ける。
板状本体3には本体働き長さ位置決め基準部A15と本体働き長さ位置決め基準部B16を設ける。
本実施例では板状本体3の尻端部13が本体働き長さ位置決め基準部A15となり、板状本体3の頭端部14が本体働き長さ位置決め基準部B16となる。
板状屋根材1を段葺きする際には、下段の板状本体3の本体働き長さ位置決め基準部A15と上段に施工するジョイント板4の働き長さ位置決め突片A17を当て止めする。
ジョイント板4を当て止めしたのち、ジョイント板4のジョイント固定部19と板状本体3の本体固定部12を合わせてジョイント固定部19から固定緊結材25で屋根下地26に固定する。
上段の板状本体3の本体働き長さ位置決め基準部B16と上段に施工するジョイント板4の働き長さ位置決め突片B18を当て止めする。
【0035】
図11は実施例によるジョイント板4を重ねた状態図である。
図11(a)は、ジョイント板4を重ねた状態を斜視図で表したものであり、
図11(b)は投影図の右側面図である。
ジョイント板4は、働き長さ位置決め突片A17の頭側8に位置決め突片切り欠き空間31を有している。
ジョイント板4を重ねた際には、下方に突出している働き長さ位置決め突片A17が位置決め突片切り欠き空間31の中に入り込み、スタッキングが良い。
【0036】
図12は他の実施例によるジョイント板の製品図面である。
図12の製品は、
図2(a)の実施例と止水凸部22を除けば同形状のジョイント板4である。
図12は、ジョイント板4の製品図面であり、投影法による3面図である。
図12の実施例では、止水凸部22は熱可塑性樹脂のホットメルト型シール材32を用いている。
ジョイント板4は、頭―尻方向で両側に線状にホットメルトシール材32を塗布し、止水凸部22としている。
ジョイント固定部19は止水凸部22の外側に設けた外側平面部23の頭側8に設け、ジョイント固定部19と板状本体3の本体固定部12を固定緊結材25で同時に屋根下地26へ緊結する。
熱可塑性樹脂のホットメルト型シール材32は、加熱することによって粘度が低下(軟化)して流動性を示すとともに、常温において、シール対象部材に対する密着性を示す弾性体となるシール材である。
本実施形態で用いるホットメルト型シーリング材は、常温状態においてジョイント板4に対する密着性および粘着性を示すが、軟化点温度に近くまで温度が上がることで粘性が下がり再度軟化する。
屋根施工後には、夏場の屋根2は高温化するため、ジョイント板4に設けた熱可塑性樹脂のホットメルト型シール材32は熱により軟化し、その後冷却により止水凸部22の箇所にて板状本体3と接着する。
その結果、ジョイント板4と板状本体3がホットメルト型シール材32の接着力によって一体化する。
その現象が、屋根面全体で促進することで板状屋根材1が屋根面全体で一体化し、板状屋根材1の防水性能の向上及び耐風性能の向上といった効果を発揮する。
【0037】
図13は実施例による板状屋根材の寄棟切妻混合屋根での屋根伏せ図である。
屋根2は、5つの屋根面を有する棟違い屋根であり、水平投影図ではL字型の屋根形状である。
設計単位寸法Pは、尺モジュールであり、1Pが910mmである。
軒の出33は455mm、破風の出34も455mmであり、設計単位寸法Pで表すと0.5Pとなる。
板状屋根材1の働き幅寸法Wは455mm、働き長さの水平投影寸法Lhは227.5mmであり、設計単位寸法Pで表すと0.5Pと0.25Pとなる。
屋根2には多くの屋根端部28を有しており、2本の陸棟部35、4本の隅棟部36、左右のケラバ部37、1本の谷部39といった屋根端部28を有している。
また、陸棟部35と2本の隅棟部36が交差する屋根端部28の三又部38、陸棟部35と隅棟部36と谷部39が交差する屋根端部28の寄棟棟違い部40を有している。
棟違い部は切妻屋根と寄棟屋根で異なった形状の規格化形状屋根材29を有する。
本実施例での棟違い部は寄棟棟違い部40である。
陸棟部35に配置される規格化形状屋根材29は陸棟規格化形状屋根材43であり、板状本体3の尻側7の縦重なり部分が切断された形状である。
全ての陸棟部35には同一形状の陸棟規格化形状屋根材43が用いられる。
隅棟部36に配置される規格化形状屋根材29は隅棟右規格化形状屋根材41と隅棟左規格化形状屋根材42であり、左右の隅棟部36の角度に合わせて板状本体3を切断した形状である。
右側の隅棟部36には同一形状の隅棟右規格化形状屋根材41が用いられ、左側の隅棟部36には同一形状の隅棟左規格化形状屋根材42が用いられる。
ケラバ部37に配置される規格化形状屋根材29は板状本体3を用いた板状屋根材1と板状本体3を半分に切断した半瓦50である。
実施例では、板状屋根材1を千鳥葺きしているのでケラバ部37では規格化形状屋根材29として板状屋根材1と半瓦50を1段ごとに交互に用いている。
全てのケラバ部37には同一形状の半瓦50と板状屋根材1が用いられる。
三又部38に配置される規格化形状屋根材29は三角形形状の屋根面に用いる三又規格化形状屋根材44と陸棟部35を有する屋根面に用いる陸隅右規格化形状屋根材48と陸隅左規格化形状屋根材49である。
陸隅右規格化形状屋根材48と陸隅左規格化形状屋根材49は、隅棟右規格化形状屋根材41と隅棟左規格化形状屋根材42の尻側7の縦重なり部分が切断された形状である。
三又規格化形状屋根材44は、陸隅右規格化形状屋根材48と陸隅左規格化形状屋根材49の斜め切断部を合わせた二等辺三角形形状である。
全ての三又部38には同一形状の三又規格化形状屋根材44と陸隅右規格化形状屋根材48と陸隅左規格化形状屋根材49が用いられる。
谷部39に配置される規格化形状屋根材29は谷右規格化形状屋根材45と谷左規格化形状屋根材46であり、谷部39の角度に合わせて板状本体3を左右面で切断した形状である。
軒側から見て谷部39の左側に位置する方に谷右規格化形状屋根材45が用いられ、右側に位置する方に谷左規格化形状屋根材46が用いられる。
全ての谷部39には同一形状の谷右規格化形状屋根材45と谷左規格化形状屋根材46が用いられる。
寄棟棟違い部40に配置される規格化形状屋根材29は軒側から見て右方向に隅棟がある実施例においては寄棟棟違右規格化形状屋根材47である。
寄棟棟違右規格化形状屋根材47の形状は、板状本体3を隅棟部36の角度に合わせて切断し、陸棟部35に面している部分は板状本体3の尻側7の縦重なり部分が切断された形状である。
見え掛かり部は、板状屋根材1や陸棟規格化形状屋根材43と同様に見えるが、実際の形状は隅棟部36に面している部分は縦重なり部分があり他の規格化形状屋根材29とは異なる形状である。
実施例のように右側に隅棟部36がある全ての寄棟棟違い部40には同一形状の寄棟棟違右規格化形状屋根材47が用いられる。