(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023067685
(43)【公開日】2023-05-16
(54)【発明の名称】取引システム、取引方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 20/02 20120101AFI20230509BHJP
【FI】
G06Q20/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022010577
(22)【出願日】2022-01-27
(62)【分割の表示】P 2021177740の分割
【原出願日】2021-10-29
(71)【出願人】
【識別番号】515324349
【氏名又は名称】前田 充宏
(72)【発明者】
【氏名】星野 航
(72)【発明者】
【氏名】前田 充宏
【テーマコード(参考)】
5L055
【Fターム(参考)】
5L055AA02
5L055AA05
(57)【要約】 (修正有)
【課題】安全な取引を支援する取引システムを提供する。
【解決手段】取引支援システムにおいて、取引サーバ40の譲渡指示入力部311は、デジタルアセットのオーナーである第1のユーザから第2のユーザにデジタルアセットを譲渡する指示を受け付ける。第1移転処理部312は、デジタルアセットのオーナーを第3のユーザに変更する。支払依頼部313は、第2のユーザから第1のユーザへの支払の完了を確認する。第2移転処理部315は、支払の完了を確認した後に、デジタルアセットのオーナーを第3のユーザから第2のユーザに変更する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタルアセットのオーナーである第1のユーザから第2のユーザに前記デジタルアセットを譲渡する指示を受け付ける譲渡指示入力部と、
前記デジタルアセットのオーナーを第3のユーザに変更する第1移転処理部と、
前記第2のユーザから前記第1のユーザへの支払の完了を確認する支払確認部と、
前記支払の完了を確認した後に、前記デジタルアセットのオーナーを前記第3のユーザから前記第2のユーザに変更する第2移転処理部と、
を備えることを特徴とする取引支援システム。
【請求項2】
ノンファンジブルトークンのオーナーである第1のユーザから第2のユーザに前記ノンファンジブルトークンを譲渡する指示を受け付ける譲渡指示入力部と、
前記第1のユーザのウォレットから第3のユーザのウォレットに前記ノンファンジブルトークンを移転する第1移転処理部と、
前記第2のユーザから前記第1のユーザへの支払の完了を確認する支払確認部と、
前記支払の完了を確認した後に、前記第3のユーザのウォレットから前記第2のユーザのウォレットに前記ノンファンジブルトークンを移転する第2移転処理部と、
を備えることを特徴とする取引支援システム。
【請求項3】
デジタルアセットのオーナーである第1のユーザから第2のユーザに前記デジタルアセットを譲渡する場合に、コンピュータが、
前記デジタルアセットのオーナーを第3のユーザに変更し、
前記第2のユーザから前記第1のユーザへの支払の完了を確認し、
前記デジタルアセットのオーナーを前記第3のユーザから前記第2のユーザに変更すること、
を特徴とする取引支援方法。
【請求項4】
ノンファンジブルトークンのオーナーである第1のユーザから第2のユーザに前記ノンファンジブルトークンを譲渡する場合に、コンピュータが、
前記第1のユーザのウォレットから第3のユーザのウォレットに前記ノンファンジブルトークンを移転し、
前記第2のユーザから前記第1のユーザへの支払の完了を確認し、
前記第3のユーザのウォレットから前記第2のユーザのウォレットに前記ノンファンジブルトークンを移転すること、
を特徴とする取引支援方法。
【請求項5】
デジタルアセットのオーナーである第1のユーザから第2のユーザに前記デジタルアセットを譲渡する場合に、コンピュータに、
前記デジタルアセットのオーナーを第3のユーザに変更するステップと、
前記第2のユーザから前記第1のユーザへの支払の完了を確認するステップと、
前記支払の完了を確認した後に、前記デジタルアセットのオーナーを前記第3のユーザから前記第2のユーザに変更するステップと、
を実行させるためのプログラム。
【請求項6】
ノンファンジブルトークンのオーナーである第1のユーザから第2のユーザに前記ノンファンジブルトークンを譲渡する場合に、コンピュータに、
前記第1のユーザのウォレットから第3のユーザのウォレットに前記ノンファンジブルトークンを移転するステップと、
前記第2のユーザから前記第1のユーザへの支払の完了を確認するステップと、
前記支払の完了を確認した後に、前記第3のユーザのウォレットから前記第2のユーザのウォレットに前記ノンファンジブルトークンを移転するステップと、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、取引システム、取引方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
商取引のエスクローサービスが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
デジタル商品を販売する場合には支払よりも商品が先に到着する。
【0005】
本発明はこのような背景を鑑みてなされたものであり、安全な取引を支援することのできる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための本発明の主たる発明は、取引支援システムであって、デジタルアセットのオーナーである第1のユーザから第2のユーザに前記デジタルアセットを譲渡する指示を受け付ける譲渡指示入力部と、前記デジタルアセットのオーナーを第3のユーザに変更する第1移転処理部と、前記第2のユーザから前記第1のユーザへの支払の完了を確認する支払確認部と、前記支払の完了を確認した後に、前記デジタルアセットのオーナーを前記第3のユーザから前記第2のユーザに変更する第2移転処理部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
その他本願が開示する課題やその解決方法については、発明の実施形態の欄及び図面により明らかにされる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、安全な取引を支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態に係る取引システムの構成例を示す図である。
【
図2】本実施形態における取引の概要を説明する図である。
【
図3】取引サーバ40のハードウェア構成例を示す図である。
【
図4】取引サーバ40のソフトウェア構成例を示す図である。
【
図5】本実施形態の取引システムの動作を説明する図である。
【
図6】取引システムにおけるNFTの移転を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<発明の概要>
本発明の実施形態の内容を列記して説明する。本発明は、たとえば、以下のような構成を備える。
[項目1]
デジタルアセットのオーナーである第1のユーザから第2のユーザに前記デジタルアセットを譲渡する指示を受け付ける譲渡指示入力部と、
前記デジタルアセットのオーナーを第3のユーザに変更する第1移転処理部と、
前記第2のユーザから前記第1のユーザへの支払の完了を確認する支払確認部と、
前記支払の完了を確認した後に、前記デジタルアセットのオーナーを前記第3のユーザから前記第2のユーザに変更する第2移転処理部と、
を備えることを特徴とする取引支援システム。
[項目2]
ノンファンジブルトークンのオーナーである第1のユーザから第2のユーザに前記ノンファンジブルトークンを譲渡する指示を受け付ける譲渡指示入力部と、
前記第1のユーザのウォレットから第3のユーザのウォレットに前記ノンファンジブルトークンを移転する第1移転処理部と、
前記第2のユーザから前記第1のユーザへの支払の完了を確認する支払確認部と、
前記支払の完了を確認した後に、前記第3のユーザのウォレットから前記第2のユーザのウォレットに前記ノンファンジブルトークンを移転する第2移転処理部と、
を備えることを特徴とする取引支援システム。
[項目3]
デジタルアセットのオーナーである第1のユーザから第2のユーザに前記デジタルアセットを譲渡する場合に、コンピュータが、
前記デジタルアセットのオーナーを第3のユーザに変更し、
前記第2のユーザから前記第1のユーザへの支払の完了を確認し、
前記デジタルアセットのオーナーを前記第3のユーザから前記第2のユーザに変更すること、
を特徴とする取引支援方法。
[項目4]
ノンファンジブルトークンのオーナーである第1のユーザから第2のユーザに前記ノンファンジブルトークンを譲渡する場合に、コンピュータが、
前記第1のユーザのウォレットから第3のユーザのウォレットに前記ノンファンジブルトークンを移転し、
前記第2のユーザから前記第1のユーザへの支払の完了を確認し、
前記第3のユーザのウォレットから前記第2のユーザのウォレットに前記ノンファンジブルトークンを移転すること、
を特徴とする取引支援方法。
[項目5]
デジタルアセットのオーナーである第1のユーザから第2のユーザに前記デジタルアセットを譲渡する場合に、コンピュータに、
前記デジタルアセットのオーナーを第3のユーザに変更するステップと、
前記第2のユーザから前記第1のユーザへの支払の完了を確認するステップと、
前記支払の完了を確認した後に、前記デジタルアセットのオーナーを前記第3のユーザから前記第2のユーザに変更するステップと、
を実行させるためのプログラム。
[項目6]
ノンファンジブルトークンのオーナーである第1のユーザから第2のユーザに前記ノンファンジブルトークンを譲渡する場合に、コンピュータに、
前記第1のユーザのウォレットから第3のユーザのウォレットに前記ノンファンジブルトークンを移転するステップと、
前記第2のユーザから前記第1のユーザへの支払の完了を確認するステップと、
前記支払の完了を確認した後に、前記第3のユーザのウォレットから前記第2のユーザのウォレットに前記ノンファンジブルトークンを移転するステップと、
を実行させるためのプログラム。
【0011】
<システムの概要>
図1は、本実施形態に係る取引システムの構成例を示す図である。本実施形態の取引システムは、取引サーバ40を含んで構成される。取引サーバ40は、ユーザ端末10、販売サーバ20、決済サーバ30と通信ネットワークを介して互いに通信可能に接続される。取引サーバ40はまた、ブロックチェーンネットワーク50と通信可能に接続される。ブロックチェーンネットワーク50には販売サーバ20も通信可能に接続される。
【0012】
ブロックチェーンネットワーク50は、複数のノード(コンピュータ)により構成され、台帳データを分散して管理することができる。分散台帳は、いわゆるブロックチェーンの仕組みにより改ざん困難に管理される。なお、ブロックチェーンによる分散台帳管理の仕組みについては一般的なものを採用するものとしてここでは詳細な説明を省略する。ブロックチェーンネットワーク50は、例えば、イーサリアムなどにより構築することができる。
【0013】
イーサリアムなどのブロックチェーンネットワーク50によって発行可能なトークン(イーサリアムトークン)としては、ファンジブルトークンと、ノンファンジブルトークン(非代替性トークン;Non-Fungible Token:NFT)とがある。NFTは、ファンジブルトークンとは異なり、代替性を有さないトークンである。NFTは、他のNFTと区別される独自の価値を有することができる。このため、NFTは、他のNFTとの区別を可能にするための固有の識別子(NFT-ID)を有する。NFTは、例えば、ERC(Ethereum Request for Comments)721規格に従って発行されたトークンである。ERC721規格に準拠したNFTは、NFT-721トークンとも呼ばれる。本実施形態では、一例として、NFTは、NFT-721トークンであることを想定する。NFTは、ファンジブルトークンと同様に、ブロックチェーンネットワーク50上において取引可能である。NFTの取引履歴は、ブロックチェーンネットワーク50において記録される。ブロックチェーンネットワーク50の分散台帳では、NFTの所有者(オーナー)及び所有履歴も記録される。
【0014】
本実施形態に係る取引システムでは、NFTをエンドユーザ間で流通させる場合に、確実に支払がなされることを担保しようとしている。
【0015】
ユーザ端末10は、エンドユーザ(以下単にユーザという。)が操作するコンピュータである。ユーザ端末10は、例えば、スマートフォンやタブレットコンピュータ、パーソナルコンピュータなどである。
【0016】
販売サーバ20は、NFTを販売者からユーザに販売する処理を行うコンピュータである。販売サーバ20は、例えば、NFTに係るオンラインショッピングサイトを提供することができる。本実施形態において、販売者はいわゆるビジネスエンティティであることを想定し、ユーザが販売することは想定しないが、本実施形態の取引システムでは、ユーザがNFTを発行する場合についても適用することは可能である。
【0017】
取引サーバ40は、NFTをユーザ間で流通させるための処理を行うコンピュータである。取引サーバ40は、例えば、ユーザが販売しようとしているNFTの一覧を他のユーザに提示し、他のユーザから特定のNFTについての購入リクエストを受け付けて、当該NFTのオーナーを変更するトランザクションを発行するとともに、ユーザ間での支払が行われるように、決済サーバ30に決済リクエストを送ることができる。
【0018】
決済サーバ30は決済業者(資金移動業者、収納代行業者、前払式支払手段発行者、金融機関、クレジットカードカード会社等)が運営するコンピュータである。決済サーバ30は、公知の手法により、ユーザの法定通貨による決済に関する処理を行う。
【0019】
図2は、本実施形態における取引の概要を説明する図である。本実施形態では、販売市場においてノンファンジブルトークン(NFT)が販売(一次流通)され、取引市場においてNFTが取引(二次流通)されることを想定している。
【0020】
販売市場において販売者XはNFTを販売することができる。
【0021】
ユーザAは、ユーザ端末10を操作し、決済業者Tの決済サーバ30を介して、販売者XにNFTの購入対価を支払う。決済サーバ30を介した支払処理は、ユーザ端末10と決済サーバ30とが直接通信を行うようにしてもよいし、販売サーバ20を介して行うようにしてもよい。
【0022】
販売サーバ20では、ユーザからの支払(すなわち、決済サーバ30による決済完了)を確認した後に、販売サーバ20によりNFTを発行することができる。NFTの発行はブロックチェーンネットワーク50において行われる。発行したNFTには、これを購入したユーザAがオーナーとして設定され、NFTはユーザAのウォレットに格納される。
【0023】
取引市場では、NFTをユーザ間で取引することができる。取引サーバ40がNFTの取引に関する処理を行う。
【0024】
ユーザAは他のユーザBに対してNFTを譲渡することができ、譲渡が行われると、取引サーバ40からブロックチェーンネットワーク50にトランザクションが発行され、NFTのオーナーはユーザBに書き換わり、そのNFTの変更履歴がブロックチェーンとしてブロックチェーンネットワーク50に記録されることになる。
【0025】
ユーザBはユーザ端末10を操作し、決済業者Tの決済サーバ30(取引市場における決済サーバ30と同じであってもよいし、異なっていてもよい。)を介してユーザAに譲渡代金を支払うことができる。なお、取引市場においても販売市場と同様に、ユーザ端末10は決済サーバ30と直接通信を行わず取引サーバ40を介して通信するようにすることもできる。
【0026】
本実施形態では、取引市場においてNFTをユーザ間で譲渡する場合に、一度信頼できる第三者にオーナーを移転し、ユーザ間での対価の支払を確認した後に、当該第三者から購入者にオーナーを移転する。これによりNFTのオーナー権は移転したにもかかわらず支払が行われないという状況を回避することができる。また、購入者にとってはNFTのオーナー権が販売者の元を離れたことを確認したうえで支払を行うことができる。
【0027】
なお、本実施形態では、決済サーバ30による支払は、法定通貨による支払であることを想定するが、法定通貨に代えて又は法定通貨に加えて、ポイント等の手段による決済を行うようにしてもよいし、仮想通貨による決済を行うようにしてもよい。
【0028】
<取引サーバ>
図3は、取引サーバ40のハードウェア構成例を示す図である。なお、図示された構成は一例であり、これ以外の構成を有していてもよい。取引サーバ40は、CPU401、メモリ402、記憶装置403、通信インタフェース404、入力装置405、出力装置406を備える。記憶装置403は、各種のデータやプログラムを記憶する、例えばハードディスクドライブやソリッドステートドライブ、フラッシュメモリなどである。通信インタフェース404は、通信ネットワークに接続するためのインタフェースであり、例えばイーサネット(登録商標)に接続するためのアダプタ、公衆電話回線網に接続するためのモデム、無線通信を行うための無線通信機、シリアル通信のためのUSB(Universal Serial Bus)コネクタやRS232Cコネクタなどである。入力装置405は、データを入力する、例えばキーボードやマウス、タッチパネル、ボタン、マイクロフォンなどである。出力装置406は、データを出力する、例えばディスプレイやプリンタ、スピーカなどである。なお、後述する取引サーバ40の各機能部はCPU401が記憶装置403に記憶されているプログラムをメモリ402に読み出して実行することにより実現され、取引サーバ40の各記憶部はメモリ402及び記憶装置403が提供する記憶領域の一部として実現される。
【0029】
図4は、取引サーバ40のソフトウェア構成例を示す図である。取引サーバ40は、譲渡指示入力部311、第1移転処理部312、支払依頼部313、支払確認部314、第2移転処理部315、を備える。
【0030】
譲渡指示入力部311は、NFTの譲渡の指示(以下、譲渡指示という。)を受け付ける。本実施形態では、譲渡指示入力部311は、ユーザ端末10から譲渡指示を受信することができる。また、譲渡指示入力部311は、例えば、入力装置から譲渡指示の入力を受け付けるようにしてもよい。また、譲渡指示入力部311は、ユーザ端末10とは異なる通信装置から譲渡指示を受信してもよい。譲渡指示には、NFTを譲渡しようとしているNFTの現オーナーのユーザ(譲渡元ユーザ)と、NFTを譲渡する先のユーザ(譲渡先ユーザ)とを指定することができる。また、譲渡指示には、譲渡の対価を含めることができる。
【0031】
第1移転処理部312は、NFTを譲渡元ユーザから所定の第三者のユーザ(以下、管理者ユーザという。)に移転する。なお、本実施形態では、所定の第三者は、取引サーバ40の運営者であるものとし、当該所定の第三者のユーザを管理者ユーザと称するが、取引サーバ40の運営者に限らず、ユーザによる信頼を得た第三者とすることができる。第1移転処理部312は、NFTを譲渡元ユーザから管理者ユーザに移転するトランザクションをブロックチェーンネットワーク50に発行し、譲渡元ユーザのウォレットから管理者ユーザのウォレットにNFTを移転することができる。第1移転処理部312は、譲渡指示に応じて上記移転を行うことができる。なお、第1移転処理部312は、後述する譲渡対価の支払を依頼する前に、上記移転を行うことができる。
【0032】
支払依頼部313は、譲渡先ユーザがNFTの譲渡対価を支払う処理を行う。支払依頼部313は、例えば、譲渡先ユーザ及び譲渡対価を指定した決済リクエストを決済サーバ30に送信することにより決済業者に当該支払処理(決済処理)を依頼することができる。
【0033】
支払確認部314は、譲渡先ユーザから譲渡元ユーザへの法定通貨による支払が完了したことを確認する。本実施形態では、支払依頼部313が依頼した決済処理に成功したか否かにより譲渡先ユーザから譲渡元ユーザへの支払が完了したことを確認することができる。また、支払確認部314は、例えば、決済サーバ30から支払完了の通知を受け取ることにより支払の完了を確認するようにしてもよい。また、支払確認部314は、決済サーバ30にアクセスして譲渡先ユーザから譲渡元ユーザへの支払に係る決済に成功したか否かを確認するようにしてもよい。
【0034】
第2移転処理部315は、譲渡先ユーザから譲渡元ユーザへの法定通貨による支払を確認した後に、NFTを管理者ユーザから譲渡先ユーザに移転する。第2移転処理部315は、NFTを管理者ユーザから譲渡先ユーザに移転するトランザクションをブロックチェーンネットワーク50に発行し、管理者ユーザのウォレットから譲渡先ユーザのウォレットにNFTを移転することができる。
【0035】
<動作>
図5は、本実施形態の取引システムの動作を説明する図である。
図6は、取引システムにおけるNFTの移転を説明する図である。
【0036】
NFTの譲渡前は、
図6のステップ1に示すように、譲渡元であるユーザAのウォレット(A)にNFTが格納されており、NFTのオーナーにはユーザAが設定されている。譲渡対価は、譲渡先であるユーザBの金融機関口座(B)などに管理されている。
【0037】
取引サーバ40は、例えばユーザ端末10から譲渡指示を受信すると(S501)、移転元ユーザから管理者ユーザにNFTを移転するトランザクションを発行し(S502)。取引サーバ40は、NFTの管理者ユーザへの移転に成功したことを確認する(S503)。
【0038】
ここの時点において、
図6のステップ2に示すように、ユーザAのウォレット(A)から管理者ユーザYのウォレット(Y)にNFTが移動し、NFTのオーナーは管理者ユーザYとなる。
【0039】
取引サーバ40は、例えば、支払者を譲渡先ユーザとし、支払先を譲渡元ユーザとした、譲渡金額の決済リクエストを決済サーバ30に送信することにより、譲渡先ユーザから譲渡元ユーザへの譲渡対価の支払処理を行う(S504)。取引サーバ40は、例えば、決済サーバ30にアクセスして決済が成功したか否かを取得し、支払の完了を確認する(S505)。
【0040】
この時点では、
図6のステップ3に示すように、譲渡対価は、ユーザBの口座(B)の残高から減額されて、ユーザAの口座(A)の残高に加算される。
【0041】
支払が完了した後、取引サーバ40は、管理者ユーザから譲渡先ユーザにNFTを移転するトランザクションを発行し(S506)、移転に成功したことを確認する(S507)。
【0042】
この時点で、
図6のステップ4に示すように、NFTはユーザBのウォレット(B)に移転してオーナーもユーザBに設定される。
【0043】
以上のようにして、本実施形態の取引システムでは、譲渡対価の支払完了が確認できるまでの間管理者ユーザにNFTを帰属させ、支払が完了した後に譲渡先に移転させることができる。これにより確実に支払とNFTの移転との両方を完了させることができる。
【0044】
以上、本実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物も含まれる。
【0045】
例えば、本実施形態では、取引サーバ40が決済サーバ30にリクエストを送信して支払処理を行うものとしたが、これに限らず、支払処理は譲渡先ユーザが行うようにし、取引サーバ40は、当該支払がなされたことを確認すればよい。例えば、金融機関の口座間取引の実績を確認して譲渡先ユーザの口座から譲渡元ユーザの口座への譲渡金額の移動が確認できたことをもって支払の完了を確認するようにすることができる。この場合に、取引サーバ40は、譲渡元ユーザから管理者ユーザへのNFTの移転が完了したことを譲渡先ユーザに通知し、譲渡先ユーザは当該通知を受けてから支払処理を行うようにすることができる。
【0046】
また、本実施形態では、譲渡対価の支払は譲渡先ユーザから譲渡元ユーザに直接行われるものとしたが、譲渡対価についても、譲渡先ユーザの口座から管理者ユーザの口座に支払うようにし、管理者ユーザから譲渡元ユーザに支払うようにしてもよい。
【0047】
また、本実施形態では、NFTの譲渡を想定していたが、これに限らず、例えば、取引サーバ40がDBMS等のデータベースにデジタルコンテンツのオーナーを管理しているような場合に適用することも可能である。この場合においても、コンテンツのオーナーを管理者に変更した後に支払が行われるようにし、支払の完了を確認した後に、コンテンツのオーナーを管理者から譲渡先ユーザに変更するようにすればよい。
【符号の説明】
【0048】
10 ユーザ端末
20 販売サーバ
30 決済サーバ
40 取引サーバ
50 ブロックチェーンネットワーク