(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023067687
(43)【公開日】2023-05-16
(54)【発明の名称】包装用容器
(51)【国際特許分類】
B65D 5/24 20060101AFI20230509BHJP
【FI】
B65D5/24 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022019468
(22)【出願日】2022-02-10
(31)【優先権主張番号】P 2021177321
(32)【優先日】2021-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000162113
【氏名又は名称】共同印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110870
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 芳広
(74)【代理人】
【識別番号】100096828
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 敬介
(72)【発明者】
【氏名】牧山 太一郎
(72)【発明者】
【氏名】新井 亜清
【テーマコード(参考)】
3E060
【Fターム(参考)】
3E060AA07
3E060AB15
3E060BA21
3E060BC04
3E060DA18
3E060EA06
(57)【要約】
【課題】合成樹脂製の蓋体に組み合わせて用いられる紙製シートもしくは紙と樹脂層との積層体製シートからなる容器において、対応する蓋体が外れにくい容器を提供する。
【解決手段】底部11と側部12,12,13,13とを有する容器10と、天部21と4枚の側部22,22,23,23とを有する蓋体20と、を備えた包装材において、側部12がフラップ14を、側部13がフランジ部15を、側部22が左右両端に内側に突出する凸部26,26をそれぞれ有し、フランジ部15が、側部12と13とを連結する連結部の上縁によって下方から支持され、フランジ部15,15の一方の自由端から他方の自由端までの長さが、天部21の対応する長さより長く、蓋体20を閉じた状態で、フランジ部15の自由端が側部23の内面に当接して該側部23を押圧する構成とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂製の蓋体と組み合わせて用いられる包装用容器であって、
前記容器は、矩形の底部と、前記底部の四辺から立ち上がる本体側部と、を有し、
前記蓋体は、前記容器の開口部を覆う天部と、前記天部の周縁から垂下する蓋体側部と、を有し、
互いに対向する2枚の本体側部を一組として、一方の組の本体側部を第1の本体側部、他方の組の本体側部を第2の本体側部とし、前記蓋体を前記容器に被せて閉じた状態で前記第1の本体側部に対応する蓋体側部を第1の蓋体側部、前記第2の本体側部に対応する蓋体側部を第2の蓋体側部とした時、
前記容器は、前記第1の本体側部の上縁に連結されたフラップと、前記第2の本体側部の上縁から水平方向に突出するフランジ部と、を有し、
前記容器は紙もしくは紙と樹脂層との積層体からなる1枚のシートから形成され、前記第1の本体側部と前記第2の本体側部とは前記シートにおいて、連結部を介して互いの側辺同士が連結され、
前記連結部は折り畳まれて前記第2の本体側部の外側に貼付され、前記連結部の上縁は前記第2の本体側部の上縁に沿い、
前記第1の本体側部の上縁に平行な方向において、前記フランジ部の一方の自由端から他方の自由端までの長さが、対応する前記天部の長さより長く、
前記第2の本体側部の上縁に平行な方向において、前記第2の本体側部の上縁の長さと、対応する前記天部の長さとが略等しく、
前記第1の蓋体側部は、前記第1の蓋体側部の上縁に平行な方向の両端部の内面に凸部を有し、前記天部から前記凸部までの長さが、前記フラップの幅以上であり、
前記蓋体を前記容器に被せて閉じた状態で、前記フランジ部が撓んで自由端が前記第2の蓋体側部の内側に当接し、前記フラップが、前記天部と前記凸部との間に係止されることを特徴とする包装用容器。
【請求項2】
前記第1の本体側部の上縁が、前記第2の本体側部の上縁よりも長いことを特徴とする請求項1に記載の包装用容器。
【請求項3】
前記底部に凸部を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の包装用容器。
【請求項4】
前記底部の前記凸部がエンボス加工、ニス塗布の少なくとも一方によることを特徴とする請求項3に記載の包装用容器。
【請求項5】
前記底部の内面に前記凸部が形成されていることを特徴とする請求項3又は4に記載の包装用容器。
【請求項6】
前記底部の外面に前記凸部が形成されていることを特徴とする請求項3又は4に記載の包装用容器。
【請求項7】
前記天部が外面に凸部を有し、前記底部及び前記天部に平行な方向において、前記底部の前記凸部と前記天部の前記凸部は、一方が他方より中央側に位置することを特徴とする請求項6に記載の包装用容器。
【請求項8】
前記天部が外面の中央部に凸部を有し、前記底部及び前記天部に平行な方向において、前記底部の前記凸部が、前記天部の前記凸部より外側に位置することを特徴とする請求項6に記載の包装用容器。
【請求項9】
前記天部が外面の中央部に凹部を有し、前記底部及び前記天部に平行な方向において、前記底部の前記凸部が、前記天部の前記凹部内に位置することを特徴とする請求項6に記載の包装用容器。
【請求項10】
前記底部が内面に凹部を有していることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の包装用容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合成樹脂製の蓋体と組み合わせて用いられる包装用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、弁当や総菜を収納する包装材として、特許文献1に開示されているような、深さを有する容器と、蓋体との組み合わせが知られている。係る包装材は、容器が紙と汚れ防止用フィルムとからなるため廃棄が容易であり、蓋体が透明プラスチックからなるため内部が観察可能である。さらに、容器の側壁の上端に連結された蓋受け片を、蓋体の側壁の下端近傍に設けた凸部に係止させることで、蓋体が容器に対して着脱可能となっており、蓋体を閉じた後に、粘着テープや輪ゴムなどで蓋体を容器に固定する必要がない構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されている包装材は、蓋体と容器のいずれもが可撓性を有し、容易に撓んで蓋体の側壁の凸部に係止された蓋受け片が外れ易く、蓋体が不用意に開いてしまうという問題があった。
【0005】
本発明の課題は、合成樹脂製の蓋体と組み合わせて用いられる容器において、該蓋体が外れにくい構成を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、合成樹脂製の蓋体と組み合わせて用いられる包装用容器であって、
前記容器は、矩形の底部と、前記底部の四辺から立ち上がる本体側部と、を有し、
前記蓋体は、前記容器の開口部を覆う天部と、前記天部の周縁から垂下する蓋体側部と、を有し、
互いに対向する2枚の本体側部を一組として、一方の組の本体側部を第1の本体側部、他方の組の本体側部を第2の本体側部とし、前記蓋体を前記容器に被せて閉じた状態で前記第1の本体側部に対応する蓋体側部を第1の蓋体側部、前記第2の本体側部に対応する蓋体側部を第2の蓋体側部とした時、
前記容器は、前記第1の本体側部の上縁に連結されたフラップと、前記第2の本体側部の上縁から水平方向に突出するフランジ部と、を有し、
前記容器は紙もしくは紙と樹脂層との積層体からなる1枚のシートから形成され、前記第1の本体側部と前記第2の本体側部とは前記シートにおいて、連結部を介して互いの側辺同士が連結され、
前記連結部は折り畳まれて前記第2の本体側部の外側に貼付され、前記連結部の上縁は前記第2の本体側部の上縁に沿い、
前記第1の本体側部の上縁に平行な方向において、前記フランジ部の一方の自由端から他方の自由端までの長さが、対応する前記天部の長さより長く、
前記第2の本体側部の上縁に平行な方向において、前記第2の本体側部の上縁の長さと、対応する前記天部の長さとが略等しく、
前記第1の蓋体側部は、前記第1の蓋体側部の上縁に平行な方向の両端部の内面に凸部を有し、前記天部から前記凸部までの長さが、前記フラップの幅以上であり、
前記蓋体を前記容器に被せて閉じた状態で、前記フランジ部が撓んで自由端が前記第2の蓋体側部の内側に当接し、前記フラップが、前記天部と前記凸部との間に係止されることを特徴とする。
【0007】
本発明において、下記構成を好ましい態様として含む。
(1)前記第1の本体側部の上縁が、前記第2の本体側部の上縁よりも長い。
(2)前記底部に凸部を有する。
(3)前記(2)において、前記底部の前記凸部がエンボス加工、ニス塗布の少なくとも一方による。
(4)前記(2)又は(3)において、前記底部の内面に前記凸部が形成されている。
(5)前記(2)又は(3)において、前記底部の外面に前記凸部が形成されている。
(6)前記(5)において、前記天部が外面に凸部を有し、前記底部及び前記天部に平行な方向において、前記底部の前記凸部と前記天部の前記凸部は、一方が他方より中央側に位置する。
(7)前記(5)において、前記天部が外面の中央部に凸部を有し、前記底部及び前記天部に平行な方向において、前記底部の前記凸部が、前記天部の前記凸部より外側に位置する
(8)前記(5)において、前記天部が外面の中央部に凹部を有し、前記底部及び前記天部に平行な方向において、前記底部の前記凸部が、前記天部の前記凹部内に位置する。
(9)前記底部が内面に凹部を有している。
【発明の効果】
【0008】
本発明の容器は、蓋体を閉じた際にフランジ部の先端が蓋体側部を押圧するため、フラップ側の蓋体側部が容器側に引っ張られ、蓋体側部とフラップとが互いに強く押圧し合う。よって、蓋体の天部と凸部との間に係止されたフラップが該天部と凸部との間から外れにくく、蓋体や容器を使用者が持った際に、蓋体が不用意に外れるという問題が防止される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の容器の一実施形態と該容器に対応する蓋体とを、該蓋体を開けた状態で示す斜視図である。
【
図2】
図1の容器と蓋体とを、該蓋体を閉じた状態で示す斜視図である。
【
図11】本発明の容器に組み合わせられる蓋体の他の構成例の切断端面図である。
【
図12】本発明の容器の他の実施形態と該容器に対応する蓋体の部分上面図である。
【
図13】本発明の容器の他の実施形態の上面図である。
【
図14】本発明の容器の他の実施形態の上面図である。
【
図15】本発明の容器の他の実施形態の上面図である。
【
図16】本発明の容器の他の実施形態の上面図である。
【
図17】本発明の容器の他の実施形態と該容器に対応する蓋体とを、該蓋体を閉じた状態で示す上面図及び切断端面図である。
【
図18】本発明の容器の他の実施形態と該容器に対応する蓋体とを、該蓋体を閉じた状態で示す上面図及び切断端面図である。
【
図19】本発明の容器の他の実施形態と該容器に対応する蓋体とを、該蓋体を閉じた状態で示す上面図及び切断端面図である。
【
図20】本発明の容器の他の実施形態と該容器に対応する蓋体とを、該蓋体を閉じた状態で示す上面図及び切断端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の包装用容器は、1枚のシートで形成され、着脱可能な合成樹脂製の蓋体と組み合わせて包装材として用いられ、該容器の開口部とフランジ部とを合わせた長さが、対応する蓋体の天部の長さより長く、フランジ部は本体側部の上縁に連結する箇所において、本体側部同士を連結する連結部の上縁によって支持され、蓋体を閉じた状態では、フランジ部が撓み、その自由端が蓋体側部に当接することを特徴とする。また、フラップ側の蓋体側部の内面には凸部が設けられており、蓋体を閉じた状態で、容器に設けられたフラップが、蓋体の天部と上記凸部との間に係止されることを特徴とする。以下、本発明の容器と、該容器と組み合わせられる蓋体とについて、実施形態を挙げ、図面を参照して詳細に説明する。
【0011】
図1、
図2は、本発明の容器の一実施形態と該容器に対応する蓋体と、を示す斜視図であり、
図1は蓋体を開けた状態を、
図2は閉じた状態を示す。また、
図3は本実施形態の容器のブランクを示す上面図である。
【0012】
本発明の容器10は、
図1~
図3に示すように、矩形の底部11と、該底部11の四辺から立ち上がる本体側部12,12,13,13を有する。4枚の本体側部は、互いに対向する2枚を一組とし、一方の組の本体側部12,12を第1の本体側部、他方の組の本体側部13,13を第2の本体側部とする。第1の本体側部12,12の上縁にはフラップ14,14が連結され、第2の本体側部13,13の上縁には本体フランジ部15,15が連結されている。本実施形態では、容器10の開口部が長方形の場合であり、第1の本体側部12が長辺側、第2の本体側部13が短辺側である。
【0013】
本発明の容器10は、全ての構成要素が連続する1枚のシートから形成され、該シートは紙製、もしくは紙と樹脂層との積層体製であり、可撓性を有する。そして容器10は、該シートの状態で、
図3に示すように、第1の本体側部12と第2の本体側部13とは、連結部16を介してそれぞれの側辺同士が連結されている。容器10は、
図3に示す面を内側として、一点鎖線を谷折り、二点鎖線を山折りとして、連結部16を中央で折り曲げながら外側に突出させつつ、底部11の四辺から第1の本体側部12及び第2の本体側部13を立ち上げ、半分に折り曲げた連結部16を第2の本体側部13側に折り曲げ、第2の本体側部13側の16bを貼着片として、第2の本体側部13の外側表面に接着剤で貼付する。尚、この時、連結部16の第1の本体側部12側の16aも、貼着片として内側を貼着片16bに接着剤で貼付しても良い。
【0014】
図4は、
図1中の容器10の上面図であり、
図5は、
図1中の容器10の側面図であり、
図5中、(a)は第1の本体側部12側から見た側面図、(b)は第2の本体側部13側から見た側面図である。
図5(b)に示すように、本発明においては、第2の本体側部13に貼着された連結部16の上縁は、第2の本体側部13の上縁に沿うように形成され、これにより、第2の本体側部13の上縁に連結された本体フランジ部15は、第2の本体側部13との連結箇所において下方から連結部16の上縁によって支持され、水平方向に突出した状態が維持される。
【0015】
次に、蓋体20について説明する。
図6は、
図1中の蓋体20の上面図である。本発明の容器10に対応する蓋体20は、合成樹脂製で可撓性を有し、容器10の開口部を覆う天部21と、該天部21の周縁から垂下する蓋体側部22,22,23,23とを有し、蓋体20を閉じた状態で容器10の第1の本体側部12に対応する側の22を第1の蓋体側部、第2の本体側部13に対応する側の23を第2の蓋体側部とする。本実施形態においては、蓋体20を開ける際に、蓋体20の補強の観点からと、使用者が指をかけやすいように蓋体側部22,23の下端を取り囲んで蓋体フランジ部24が形成されている。
【0016】
図7に、
図1中の蓋体20の側面図と切断端面図とを示す。
図7中、(a)は第1の蓋体側部22側から見た側面図、(b)は第2の蓋体側部23側から見た側面図、(c)は(b)中のB-B’部位での切断端面図、(d)は(a)中のA-A’部位での切断端面図である。
【0017】
本発明の容器10に対応する蓋体20は、
図6、
図7(a)、
図7(d)に示すように、第1の蓋体側部22には、第1の蓋体側部22の下端に平行な方向(
図7(a)の紙面左右方向)の両端部に、天部21より所定の距離を介して蓋体20の内側に突出する凸部26が形成されている。
【0018】
図8に、
図2の蓋体20を閉じた状態の側面図と切断端面図とを示す。
図8中、(a)は第1の本体側部12側から見た側面図、(b)は第2の本体側部13側から見た側面図であり、(c)は(b)中のD-D’部位での切断端面図、(d)は(a)中のC-C’部位での切断端面図である。さらに、
図9に、
図8(c)中の破線で示す領域Eの拡大図を、
図10に、
図8(d)中の破線で示す領域Fの拡大図を示す。
【0019】
本発明においては、第1の本体側部12の上縁に平行な方向(
図4の紙面上下方向)において、本体フランジ部15,15の一方の自由端(先端)から他方の自由端(先端)までの長さ、即ち、第1の本体側部12の上縁の長さL1と、2枚の本体フランジ部15の幅W1の合計(L1+W1×2)が、対応する天部21の長さ(本実施形態では第1の蓋体側部22の上縁の長さ)L3よりも長い。そのため、蓋体20を閉じようとすると、本体フランジ部15の自由端側が第2の蓋体側部23に接して下方に押される。一方で、第2の本体側部13に貼付された連結部16の上縁は、第2の本体側部13の上縁に沿っており、第2の本体側部13の上縁に連結された本体フランジ部15は、第2の本体側部13の上縁に連結された側が下方から連結部16によって支持され、本体フランジ部15は水平方向を保持しようとする。その結果、本体フランジ部15が撓み、その自由端はこれを押し下げようとする第2の蓋体側部23の内面に抗して該内面に当接して該第2の蓋体側部23を内側から押圧した状態で蓋体20が閉じられる。
【0020】
一方、第2の本体側部13の上縁に平行な方向(
図4の紙面左右方向)において、第2の本体側部13の上縁の長さL2と、対応する天部21の長さ(本実施形態では第2の蓋体側部23の上縁の長さ)L4とは略等しい。よって、蓋体20を閉じた状態では、フラップ14は第1の蓋体側部22の内面に沿って下方に折り曲げられる。第1の蓋体側部22の内面には凸部26が形成されており、天部21から該凸部26までの長さH(
図10)が、フラップ14の幅W2(
図4)以上となるように形成されているため、フラップ14は、天部21と凸部26との間に係止される。
【0021】
ここで、上記したように、蓋体20を閉じた状態では、第2の蓋体側部23は、本体フランジ部15によって内側から押圧されている。そのため、第2の蓋体側部23,23が天部21を両側から引っ張り、天部21は第1の蓋体側部22,22を内側に引っ張る。また、第2の蓋体側部23は両側辺が第1の蓋体側部22に連なるため、本体フランジ部15によって内側から押圧された第2の蓋体側部23は、その両側辺が第1の蓋体側部22の側辺を引っ張り、第1の蓋体側部22は、その両側辺が第2の蓋体側部23によって第1の本体側部12に向かって引っ張られる。その結果、第1の蓋体側部22は、天部21に内側に引っ張られることと、左右両側辺が第2の蓋体側部23,23に引っ張られることとで、フラップ14を押圧する。一方、フラップ14は、上縁において第1の本体側部12から折り曲げられているため、元に戻ろうとする復元力が働き、第1の蓋体側部22を内側から押圧する。このように、第1の蓋体側部22とフラップ14は互いに強く押圧し、係る作用は第1の蓋体側部22の左右両端側において強く発現するため、第1の本体側部12や第1の蓋体側部22が撓んでも、フラップ14が天部21と凸部26との間から外れにくくなる。
【0022】
本発明の容器10は、紙製、もしくは紙と樹脂層との積層体からなり、樹脂層としては樹脂フィルム、或いは紙の表面に樹脂コーティング剤を塗布してなる樹脂コーティング層のいずれでも良い。本発明の容器10は、食品を収納することから、内側となる面に、耐水性、耐油性、防汚性を付与するために、樹脂層を有することが好ましく、係る樹脂層は内側だけでなく、外側に有していても良い。また、積層体には、紙と樹脂層とが明確に積層されたものに限らず、紙に樹脂コーティング剤を塗布して含浸させたものも含む。
【0023】
本発明に用いられる紙としては、容器10に被収納物を収納した状態で底部11や本体側部12,13が撓まない強度と、本体フランジ部15が蓋体側部23を押圧する力、フラップ14が蓋体20の天部21と凸部26との間に係止される張力が必要であるため、ある程度の厚みがあるものがよい。好ましくは、用紙斤量が200g/m2以上で、フラップ14を加工し得る厚さまで可能である。
【0024】
上記樹脂フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)や、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン等からなる樹脂フィルムが挙げられる。樹脂コーティング剤としては、一般的に使用されているコーティング剤であれば適宜使用することができ、例えば、PEやPP、ポリエステル系樹脂、フッ素樹脂や紫外線硬化樹脂等が挙げられる。
【0025】
本発明の容器10に対応する蓋体20は、合成樹脂製で可撓性を有する。具体的には、蓋体20は、ポリエチレンテレフタレート(PET)や、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン等が好ましく用いられ、無色透明で用いることで、内部を観察することができる。また、天部21の中央部を無色透明とし、その周縁部と蓋体側部22,23を着色するなど、収納する物品に応じた美粧を施しても良い。
【0026】
尚、本発明において、上記した、本体フランジ部15の自由端が第2の蓋体側部23の内面に当接して該第2の蓋体側部23を押圧する作用が良好に得られる程度に、本体フランジ部15,15の一方の自由端から他方の自由端までの長さが対応する天部21の長さより長ければよく、長すぎると本体フランジ部15の自由端が第2の蓋体側部23の内面に当接しきれず、本体フランジ部15がより撓んで第2の蓋体側部23を押圧する力が小さくなってしまう。また、容器10は紙製もしくは紙と樹脂層との積層体製であるため、本体フランジ部15は大きく撓むことで変形し、蓋体20を一旦開けた後に再び閉じた際に、開ける前と同様の押圧力が得られなくなるおそれがある。よって、本体フランジ部15,15の一方の自由端から他方の自由端までの長さ(L1+W1×2)と、天部21の長さL3との差は、上記作用が得られる範囲で設定すればよい。具体的には、容器10や蓋体20の可撓性の程度や、容器10の開口部の大きさL1にもよるが、例えば、開口部の大きさL1が100~200mm程度の場合に、本体フランジ部15の幅W1を開口部の長さL1の8~15%程度とし、本体フランジ部15,15の一方の自由端から他方の自由端までの長さ(L1+W1×2)を天部21の長さL3に対して0.5~2%程度長くすればよい。
【0027】
図1~
図10の実施形態においては、容器10の開口部の形状が長方形の構成例を示したが、開口部は正方形であってもよい。また、上記実施形態のように、開口部の形状が長方形の場合には、本発明の効果を得る上で、本体フランジ部15を連結する第2の本体側部13は、長方形の短辺側とすることが望ましい。
【0028】
さらに、上記実施形態においては、天部21の形状が長方形で平坦な板状であるが、蓋体20の形状としてはこれに限定されない。例えば、天部21の中央部の外面に、
図11に示すように凸部21aを設けても良い。
図11は係る構成例の蓋体の切断端面図であり、
図11中、(a)は
図7(c)と、(b)は
図7(d)と同じ部位に相当する位置の切断端面図である。また、蓋体は、天部21の角部を欠いた形状としてもよく、その場合には、容器10においても、本体フランジ部15の端部を、天部21の角部の形状に対応して切り欠いた形状とすればよい。
図12は係る構成例の部分上面図であり、
図12中、(a)は蓋体の、(b)は容器10を示す。本発明においては、本体フランジ部15の、第2の本体側部13の上縁に沿った方向の長さは、対応する天部21の長さ以下としておけばよい。
【0029】
本発明の容器は蓋体と組み合わせて包装材として用いられるが、容器の底部に凸部や凹部を設けることで、包装時の被包装体の収納作業を容易にする、廃棄時の折り畳みを容易にする、複数の包装体を積み重ねた際の安定性を高める、等の効果を得ることができる。係る凸部は、エンボス加工や、ニスを重ねて塗布して厚みを出したニス塗布によって形成することができ、形状としては特に限定されず、連続する線状、破線状の他、多角形や円形、楕円形などのドット状のいずれでも良く、用途に応じて適宜選択される。
【0030】
エンボス加工は、シートからブランクを切り出す工程で加工することができるため生産性が良く、ニス塗布は、凸部の幅が広い場合にも対応でき、また、凸部の形状の変更にも容易に対応することができる。また、ニスの滑り止め効果により、複数の包装体を積み重ねた際の安定性をより高める効果が得られる。また、凹部はエンボス加工によって形成することができる。エンボス加工、ニス塗布は組み合わせて用いても構わない。また、エンボス加工、ニス塗布以外の手段によって凸部を形成しても構わない。
【0031】
上記ニスとしては、UVニスでも油性ニスでもよく、セルロース系、ポリアミド系、塩酢ビ系、変性ポリオレフィン系、ゴム系、アクリル系、ウレタン系、不飽和ポリエステル系等、種々の材料から選択できる。また、ニスには、フィラーや着色剤等の添加剤を付与してもよい。ニスの塗布方法も、グラビア印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷から適宜選択される。
【0032】
また、凸部の高さは設ける場所によって異なっていてもよい。高さの異なる凸部を設けることで、意匠性をさらに付与することも可能となる。この場合、ニスで設ける場合は、ニスの盛り量を調整することによって異なる高さの凸部を設けることが可能となる。
【0033】
図13、
図14は、容器の底部11の内面に直線状の凸部31を形成することで、複数個の被包装体を収納する際の境界を示し、収納作業を容易にした形態である。また、係る凸部31によって、包装後に被包装体が隣接する領域に移動するのを抑制することができ、包装後に搬送された際に被包装体が容器内で偏って見栄えが悪くなるのを抑制することができる。
【0034】
また、
図15、
図16は、容器の底部11の内面にエンボス加工で凹部32を形成した形態であり、廃棄の際に、該凹部32を中心にして底部11を谷折りにすることで、容器10を折り畳み易くした形態である。
図15の形態において、凹部32は、本体側部12,13、さらには、フラップ14,本体フランジ部15まで延長しても構わない。また、
図15の形態では、本体側部12,13それぞれに沿った方向に凹部32が形成されているが、どちらか一方のみでもよい。
図16は、底部11を三つ折りにできるように、3本の凹部32を平行に設けた形態であり、凹部32は、本体側部12,フラップ14まで延長しても構わない。凹部32は、底部11の矩形の対角線状に形成しても良い。
【0035】
図17~
図20は、底部11に凸部34を形成することで、複数の包装体を垂直方向に積層した際に、崩れにくくして、安定性を高めた形態である。
図17~
図20中、(a)は、本形態の容器に蓋体を被せた状態の上面図であり、便宜上、底部11と天部21のみを図示し、底部11と底部11に形成した凸部34は破線で示す。また、(b)は、(a)のG-G’、H-H’、I-I’、J-J’部位における切断端面図であり、底部11及び凸部34以外の部位も省略せず図示する。
【0036】
図17は、底部11の外面にエンボス加工によって凸部34を形成すると同時に、蓋体20の天部21の外面にも凸部33を形成し、底部11及び天部21に平行な方向において、凸部34が凸部33よりも底部11及び天部21の中央側に位置するように構成した例である。本実施形態において、凸部33,34の平面形状は矩形であるが、形状は特に限定されない。また、凸部33が凸部34よりも中央側に位置するように構成しても構わない。即ち、凸部33,凸部34のどちらか一方が他方より中央側に位置していればよい。係る形態では、複数の包装体を垂直方向に重ねた状態で、上方の包装体が水平方向にずれた際に、上方の包装体の底部11の凸部34が、下方の包装体の天部の凸部33に突き当たって、それ以上、上方の包装体が水平方向にずれるのを抑制することができ、積載時の安定性が高まる。本形態において、天部21の凸部33は、蓋体の成形時に形成すればよく、天部21のリブとしても作用し、天部21が歪みにくくなるという効果も得られる。
【0037】
凸部34は、ニス塗布によって形成しても良く、その場合には、エンボス加工した場合よりも幅広く形成することができ、ニスによる滑り止め効果と相俟って、積層時の安定性がよりよく得られる。また、凸部33が凸部34よりも外側に位置する場合には、凸部34を、
図18に示すように、ニス塗布によって中央部に広く形成しても良い。
【0038】
さらに、
図19は、
図11に図示した、天部21の外面の中央部に凸部21aを有するよう成形された蓋体20を利用した形態であり、底部11及び天部21に平行な方向において、底部11の凸部34が凸部21aよりも外側に位置するように、エンボス加工により凸部34を形成することで、
図17,
図18と同様の、積層時の安定性が得られる。係る形態においても、凸部34をニス塗により形成して、より高い安定性を得ることができる。
【0039】
さらにまた、
図20は、天部21の外面の中央部に凹部21bを有するように蓋体を成形しておき、底部11及び天部21に平行な方向において、底部11には、該凹部21b内に位置するように凸部34を形成することで、
図17~
図19と同様の、積層時の安定性が得られる。また、本形態においても、底部11の凸部34を、
図18に示すように、ニス塗布によって中央部に広く形成しても良い。
【0040】
【0041】
また、底部11の凸部31,34の高さ、凹部32の深さ、天部21の凸部21a,33の高さ、凹部21bの深さは、
図13~
図20のそれぞれの実施形態において、所望の効果が得られる範囲で適宜設定すればよい。
【符号の説明】
【0042】
10:容器、11:底部、12:第1の本体側部、13:第2の本体側部、14:フラップ、15:本体フランジ部、16:連結部、16a,16b:貼着片、20:蓋体、21:天部、21a:凸部、21b:凹部、22:第1の蓋体側部、23:第2の蓋体側部、24:蓋体フランジ部、26:凸部、31,33,34:凸部、32:凹部