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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023067692
(43)【公開日】2023-05-16
(54)【発明の名称】カッターカバー及び電動調理器
(51)【国際特許分類】
   A47J 19/00 20060101AFI20230509BHJP
【FI】
A47J19/00 P
A47J19/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022026926
(22)【出願日】2022-02-24
(31)【優先権主張番号】P 2021178625
(32)【優先日】2021-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 太平
(72)【発明者】
【氏名】慶島 敏弘
(72)【発明者】
【氏名】中村 赳
(57)【要約】
【課題】電動調理器のカッターを食器洗浄機によって安全に洗浄する。
【解決手段】ナイフカッター10は、フードプロセッサー1の回転軸3に連結可能な軸部11と、軸部11の外周側に配置され且つ軸部11と回転一体の刃部12と、を有する。カッターカバー40は、複数の収容部材41,42と、を備える。複数の収容部材41,42は、ナイフカッター10の刃部12を収容するための収容空間53を形成する。複数の収容部材41,42には、収容空間53の内外を連通する連通部47,52が設けられている。複数の収容部材41,42は、刃部12を軸部11の軸方向両外側及び外周側から覆うとともに、分割可能である。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動調理器の回転軸に連結可能な軸部及び該軸部の外周側に配置され且つ該軸部と回転一体の刃部を有するカッターにおける前記刃部を収容するための、収容空間を形成する複数の収容部材を備え、
前記複数の収容部材のうちの少なくとも1つには、前記収容空間の内外を連通する連通部が設けられており、
前記複数の収容部材は、前記刃部を前記軸部の軸方向両外側及び前記外周側から覆うとともに、分割可能である、カッターカバー。
【請求項2】
請求項1に記載のカッターカバーにおいて、
前記複数の収容部材として、前記刃部を前記軸方向一方側から覆う底壁部及び前記刃部を前記外周側から覆う外周壁部を有する第1収容部材と、前記第1収容部材の開口を覆うとともに前記刃部を前記軸方向他方側から覆う第2収容部材と、を備え、
前記第1収容部材と前記第2収容部材とは、前記軸方向に分割可能である、カッターカバー。
【請求項3】
請求項2に記載のカッターカバーにおいて、
前記第1収容部材及び前記第2収容部材は、それぞれ、互いに対して前記軸部の周方向に回転されることで相手側に係合される回転係合部を有する、カッターカバー。
【請求項4】
請求項2又は3に記載のカッターカバーにおいて、
前記第1収容部材から前記収容空間側に延びる把持部を備え、
前記把持部は、前記収容空間の外部に臨む中空部と、前記中空部を囲むとともに前記中空部と前記収容空間とを区画する外縁部と、を含む、カッターカバー。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1つに記載のカッターカバーにおいて、
前記複数の収容部材のうちの少なくとも1つには、前記連通部として、前記軸部が貫通する軸貫通部が設けられている、カッターカバー。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1つに記載のカッターカバーにおいて、
前記カッターカバーの外径は、前記電動調理器の容器の内径よりも小さい、カッターカバー。
【請求項7】
前記回転軸が内部に配置され且つ被調理物が収容される前記容器と、
前記回転軸に連結可能な前記カッターと、
前記容器に収容可能な請求項6に記載のカッターカバーと、を備える、電動調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、カッターカバー及び電動調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
フードプロセッサー、ミキサー及びジューサー等の電動調理器について、種々の技術が開示されている。特許文献1に開示のジューサー用搾汁モジュールは、汁排出口が形成された容器と、容器の内部に位置する網体と、網体の内部に位置して材料を搾汁するスクリューと、容器の上端に連結され、材料が投入される投入部が形成された蓋部と、投入部の上端の主投入口に回転可能に設けられ、第1位置及び第2位置に移動可能な安全カバーと、を備える。
【0003】
安全カバーは、第1カバー部と、第2カバー部と、を含む。第1カバー部は、第1位置では主投入口を開放するように立てられて、第2位置では主投入口を閉塞する。第2カバー部は、第1カバー部と一体を成しており、第1位置で下側に加えられる力により押されると、安全カバーを第2位置に移動させて、第1カバー部が主投入口を閉塞するようにする。
【0004】
かかる構成によれば、投入部のサイズを増加させて大きな材料の投入及び加工が許容されるとともに、人が投入部に手を入れる場合、人の手が投入部の下側のスクリューに達する前に安全カバーを閉塞するように構成される。これにより、投入部の拡張による安全事故の危険を予め防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2015-505712号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、電動調理器は、回転軸が内部に配置された容器と、容器内において回転軸に着脱可能に連結されたカッターと、を備える。カッターは、回転軸に着脱可能に連結される軸部と、軸部の外周側に配置され且つ軸部と回転一体の刃部と、を有する。
【0007】
食器洗浄機によってカッターを洗浄する場合、通常、電動調理器の回転軸からカッターを取り外した後、取り外されたカッターをそのまま食器洗浄機の中に入れる。このため、食器洗浄機内における網棚や他の食器がカッターの刃部によって傷ついてしまうことがある。また、食器洗浄機からカッターを取り出す際に、カッターの刃部に指が触れてしまうことがある。
【0008】
本開示は斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、電動調理器のカッターを食器洗浄機によって安全に洗浄することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示に係るカッターカバーは、電動調理器の回転軸に連結可能な軸部及び上記軸部の外周側に配置され且つ上記軸部と回転一体の刃部を有するカッターにおける上記刃部を収容するための、収容空間を形成する複数の収容部材を備え、上記複数の収容部材のうちの少なくとも1つには、上記収容空間の内外を連通する連通部が設けられており、上記複数の収容部材は、上記刃部を上記軸部の軸方向両外側及び上記外周側から覆うとともに、分割可能である。
【0010】
本開示に係る電動調理器は、上記回転軸が内部に配置され且つ被調理物が収容される容器と、上記回転軸に連結可能な上記カッターと、上記容器に収容可能な上記カッターカバーと、を備える。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、電動調理器のカッターを食器洗浄機によって安全に洗浄することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、フードプロセッサーを展開斜視図で示す。
図2図2は、フードプロセッサーを組立斜視図で示す。
図3図3は、ナイフカッターを斜視図で示す。
図4図4は、スライスカッターを斜視図で示す。
図5図5は、カッターカバーを展開斜視図で示す。
図6図6は、カッターカバーにナイフカッターが収容された状態を斜視図で示す。
図7図7は、カッターカバーにナイフカッターが収容された状態を平面図で示す。
図8図8は、カッターカバーにナイフカッターが収容された状態をVIII-VIII線における正面断面図で示す。
図9図9は、カッターカバーにスライスカッターが収容された状態を斜視図で示す。
図10図10は、カッターカバーにスライスカッターが収容された状態を平面図で示す。
図11図11は、カッターカバーにスライスカッターが収容された状態をXI-XI線における正面断面図で示す。
図12図12は、フードプロセッサーの容器にカッターカバーが収容された状態を正面断面図で示す。
図13図13は、その他の実施形態に係るカッターカバーの第1収容部材を斜視図で示す。
図14図14は、その他の実施形態に係るカッターカバーの正面断面図であって、図11に相当する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本開示、その適用物あるいはその用途を制限することを意図するものでは全くない。以下の説明において、後述する回転軸3の延びる方向を上下方向という場合がある。
【0014】
(フードプロセッサー)
図1は、電動調理器としてのフードプロセッサー1を展開斜視図で示す。図2は、フードプロセッサー1を組立斜視図で示す。フードプロセッサー1は、固体からなる被調理物Wを、細かく刻んだり、混ぜたりするものである。図1に示すように、フードプロセッサー1は、装置本体2と、回転軸3と、容器4と、カッター(アタッチメント)5と、蓋6と、付属品としてのカッターカバー40(図5参照)と、を備える。
【0015】
装置本体2は、正面視で略L字状に形成されており、ベース部2aと、載置台部2bと、縦壁部2cと、突出部2dと、2つのスイッチ2eと、を備える。ベース部2aは、水平方向に延びており、テーブル等の上に載せられる。載置台部2bは、ベース部2aの上部に設けられている。縦壁部2cは、載置台部2bに隣接するように、ベース部2aの上部に設けられている。縦壁部2cは、載置台部2bよりも高くなるように、上下方向に延びている。突出部2dは、縦壁部2cの上部から上方に突出している。2つのスイッチ2eは、突出部2dの内部に設けられ且つ上側に臨んでいる。2つのスイッチ2eは、互いに間隔を空けて配置されている。
【0016】
装置本体2の載置台部2bには、上下方向に延びる回転軸3が結合されている。装置本体2は電源(図示せず)に接続されており、電源から装置本体2への電力供給によって、回転軸3が電動駆動する。詳細には、2つのスイッチ2eを同時に押すと、回転軸3が回転駆動する。
【0017】
容器4は、透明なガラス製又は樹脂製等である。容器4は、底部4aを有する円筒状に形成されており、上部が開口している。容器4の内部には、被調理物Wが収容される。底部4aの中央部には小筒状のボス部が設けられており、当該ボス部には貫通孔4bが形成されている。貫通孔4bには、回転軸3が上下方向に貫通可能である。容器4の外周部には、把手4cが取り付けられている。図2に示すように、容器4は、装置本体2の載置台部2bの上に載せられる。このとき、回転軸3は、貫通孔4bを貫通して、容器4の内部に臨むようになる(図12参照)。換言すると、回転軸3は、容器4の内部に配置される。
【0018】
カッター5は、回転軸3に連結可能である。詳細には、カッター5は、容器4の内部において、回転軸3に着脱可能且つ回転一体に連結される。
【0019】
ここで、フードプロセッサー1は、種々のタイプのカッター(アタッチメント)5を、任意に取り替え可能である。カッター5の種類として、例えば、「ナイフカッター10」、「おろしカッター20」、「粗(鬼)おろしカッター21」及び「スライスカッター30」などがある。各カッター10,20,21,30は、後述する軸部11,20a,21a,31及び刃部12,20b,21b,32を有する点で共通する。本実施形態では、ナイフカッター10及びスライスカッター30を主な例として、後に詳細に説明する。
【0020】
蓋6は、略円盤状の蓋本体6aと、嵌合部6bと、を有する。蓋本体6aの中央部は、下側に凹んでいる。嵌合部6bは、蓋本体6aの外周部から外周側に延びた後に下側に曲折している。嵌合部6bは、装置本体2の突出部2dに対応するように、下側が開口している。嵌合部6bには、下方に突出する2つの突起(図示せず)が設けられている。図2に示すように、蓋本体6aが容器4の開口を塞ぐと、嵌合部6bが突出部2dに嵌まり込む。図示しないが、このとき、上記2つの突起が2つのスイッチ2eを同時に押すことによって、回転軸3が回転駆動する。
【0021】
(ナイフカッター)
図3は、ナイフカッター10を斜視図で示す。ナイフカッター10は、比較的大きめの被調理物Wの処理に適用され、例えば、肉タネを捏ねること等に用いられる。ナイフカッター10は、軸部11と、2つの刃部12と、を有する。軸部11は、フードプロセッサー1の回転軸3に連結可能である。軸部11が回転軸3に連結されると、軸部11の中心軸Oは、回転軸3の中心軸と同軸に上下方向に延びる。
【0022】
以下、軸部11の中心軸Oの延びる方向を、軸方向又は上下方向という。軸方向における回転軸3に連結される側を、単に下側という。軸方向における回転軸3に連結される側とは反対側を、単に上側という。軸方向に直交する方向のうちの中心軸Oから離れる方向を、径方向外側又は外周側という。軸方向に直交する方向のうちの中心軸Oに近づく方向を、径方向内側又は内周側という。軸部11(回転軸3)の回転方向を、周方向という。
【0023】
軸部11は、本体部11aと、つまみ部11bと、くびれ部11cと、を含む。本体部11aは、軸方向における下端部から中間部やや上側に亘って若干縮径しながら延びる部分である。つまみ部11bは、軸方向における上端に位置する円盤状の部分である。くびれ部11cは、軸部11の上端部に設けられており、詳細には、つまみ部11bの下側に隣接している。
【0024】
軸部11の内部には下側(底面側)に臨む凹部13が設けられている(図8参照)。凹部13内には、回転軸3に結合されるための結合軸14が収容されている(図8参照)。回転軸3が結合軸14の穴部に嵌まり込むことによって、軸部11は、回転軸3に回転一体に結合(連結)される。
【0025】
つまみ部11bは、ナイフカッター10を回転軸3に連結する時又はナイフカッター10を回転軸3から解除する時に、ユーザが掴む(つまむ)部分である。
【0026】
くびれ部11cは、本体部11aの上端から出発して上側に向かうに従って外径が小さくなった後に、途中で折り返して、つまみ部11b(軸部11の上端)に向かうに従って外径が急激に大きくなる。くびれ部11cの最小外径は、本体部11aの上端の外径よりも小さい。また、くびれ部11cの最小外径は、つまみ部11bの外径よりも小さい。すなわち、くびれ部11cは、軸部11の内周側に凹む凹部である。
【0027】
ここで、軸部11は、樹脂で形成されており、金型を用いて射出成形されてなる。軸部11にはくびれ部11cが存在するため、仮に軸部11を一体物(1部材)として成形しようとした場合、通常の方法では、成形された軸部11を金型から取り出せない。すなわち、くびれ部11cは、金型用語における「アンダーカット部」の一種である。このため、軸部11は、くびれ部11cにおける途中の折り返し点P(図8参照)を境界として、2部材で構成されている。
【0028】
2つの刃部12は、軸部11の外周側に配置され且つ軸部11と回転一体である。詳細には、刃部12は、軸部11の外周部に固定されている。刃部12は、軸部11の外周部から外周側に延びるとともに、周方向に延びている(旋回している)。2つの刃部12は、軸部11の中心軸Oに関して、略180°対称に配置されている。刃部12は、金属で形成されている。
【0029】
軸部11(本体部11a)の外周部の下部には、軸方向に長手の2つのリブ(凸部、突起)15が、外周側に突出している。2つのリブ15は、軸部11の中心軸Oに関して、略180°対称に配置されている(図3では片方のリブ15のみを図示)。リブ15は、容器4内で処理された被調理物Wを逃がすためのものである。
【0030】
(スライスカッター)
図4は、スライスカッター30を斜視図で示す。スライスカッター30は、被調理物Wのスライス及びせん切りに適用され、例えば、キュウリのスライスやキャベツのせん切り等に用いられる。スライスカッター30は、軸部31と、2つの刃部32と、ディスク33と、を有する。軸部31は、フードプロセッサー1の回転軸3に連結可能である。軸部31が回転軸3に連結されると、軸部31の中心軸Oは、回転軸3の中心軸と同軸に上下方向に延びる。以下、方向の定義は、上述のナイフカッター10の例による。
【0031】
軸部31は、回転軸3に結合されるための結合軸として、細い円筒状に形成されている。回転軸3が軸部31の穴部に嵌まり込むことによって、軸部31は、回転軸3に回転一体に結合(連結)される。軸部31は、樹脂で形成されている。
【0032】
ディスク33は、円盤状であって、軸部31の上端部に同軸に回転一体に固定されている。ディスク33の外径は、軸部31の外径よりも大きい。ディスク33は、金属で形成されている。ディスク33の中心よりも径方向両外側には、2つの指穴部33aが空けられている。指穴部33aは、スライスカッター30を回転軸3に連結する時又はスライスカッター30を回転軸3から解除する時に、ユーザが指を入れて掴む(つまむ)部分である。
【0033】
2つの刃部32は、軸部31の外周側に配置され且つ軸部31と回転一体である。詳細には、刃部32は、ディスク33に固定されており、ディスク33(軸部31)の略中心から外周側に延びている。2つの刃部32のうちの一方は、スライス用刃部32aである。2つの刃部32のうちの他方は、せん切り用刃部32bである。2つの刃部32は、軸部31の中心軸Oに関して、略180°対称に配置されている。刃部32は、金属で形成されている。ディスク33における刃部32が固定される部分には、処理された被調理物Wを逃がすための穴が空けられている。
【0034】
なお、図示しないが、スライスカッター30により被調理物Wを調理する場合に用いる蓋6の形態は、その他のカッター10,20,21により被調理物Wを調理する場合に用いる蓋6の形態とは、異なる。
【0035】
(カッターカバー)
図5は、カッターカバー40を展開斜視図で示す。カッターカバー40は、複数の収容部材として、第1収容部材41と、第2収容部材42と、を備える。第1収容部材41及び第2収容部材42はともに、樹脂で形成されている。
【0036】
カッターカバー40は、全体として(第1収容部材41と第2収容部材42とを組み合せた状態では)、中心軸O’を有する円柱状に構成されている(図6図9等参照)。カッターカバー40(第1収容部材41及び第2収容部材42)の外径は、フードプロセッサー1の容器4の内径よりも小さい。
【0037】
以下、カッターカバー40の中心軸O’の延びる方向を、軸方向又は上下方向という。ここで、第1収容部材41及び第2収容部材42は、軸方向(上下方向)に分割可能である。軸方向における第1収容部材41側を、軸方向一方側又は下側という。軸方向における第2収容部材42側を、軸方向他方側又は上側という。軸方向に直交する方向のうちの中心軸O’から離れる方向を、径方向外側又は外周側という。軸方向に直交する方向のうちの中心軸O’に近づく方向を、径方向内側又は内周側という。カッターカバー40の円周方向を、周方向という。
【0038】
第1収容部材41は、椀状に形成されており、底壁部41aと、外周壁部41bと、を有する。底壁部41aは、円形板状である。外周壁部41bは、底壁部41aの全周に亘って、底壁部41aの外周端から上方に延びている。第1収容部材41の上部には、開口43が形成されている。第1収容部材41の内径は、各カッター10,20,21,30の外径よりも大きい。
【0039】
底壁部41aには、詳細は後述するが、ナイフカッター10用の位置決めホルダ44と、スライスカッター30用の位置決め突起45と、が設けられている。位置決めホルダ44は、円環状のリブ44aと、リブ44aの上部に設けられた2つの切り欠き(凹部)44bと、を含む。2つの切り欠き44bは、中心軸O’に関して、略180°対称に配置されている。
【0040】
外周壁部41bの内周部には、回転係合部としての4つの係合溝部46が設けられている。係合溝部46は、外周壁部41bの内周部に沿って周方向に延びるとともに、外周側に凹んでいる。係合溝部46は、所定の幅を有する。係合溝部46の入口46aは、周方向一方側(反時計回り側)に臨む。4つの係合溝部46は、周方向に互いに間隔を空けて配置されている(図5では2つの係合溝部46のみを図示)。
【0041】
第2収容部材42は、開口43に対応する円盤状に形成されており、第1収容部材41の開口43を覆う。詳細には、第2収容部材42は、第1収容部材41の開口43に嵌まり込む。第2収容部材42の中央部には、連通部としての軸貫通穴(軸貫通部)47が設けられている。軸貫通穴47の内径は、各カッター10,20,21,30の軸部11,20a,21a,31の外径よりも大きい。軸貫通穴47の周囲には、円筒状のボス部48が設けられている。ボス部48の外周部には、2つの指掛部49が設けられている。2つの指掛部49は、中心軸O’に関して、略180°対称に配置されている。
【0042】
第2収容部材42の外周部には、2つの垂下部50が設けられている。垂下部50は、第2収容部材42の外周部から下方に垂下するとともに、周方向に延びている。2つの垂下部50は、中心軸O’に関して、略180°対称に配置されている(図5では1つの垂下部50のみを図示)。
【0043】
第2収容部材42の各垂下部50には、回転係合部としての2つの係合突起部51が設けられている。すなわち、係合突起部51は、計4個ある(図5では2つの係合突起部51のみを図示)。4つの係合突起部51は、周方向に互いに間隔を空けて配置されている。係合突起部51は、垂下部50の外周面から外周側に延びている。係合突起部51は、第2収容部材42が第1収容部材41の開口43に嵌まり込んだときに、係合溝部46と同じ高さに位置するようになっている。
【0044】
第2収容部材42が第1収容部材41の開口43に嵌まり込んだ状態で、第2収容部材42を周方向他方側(時計回り、図5の矢印F参照)に回転させると、第2収容部材42の係合突起部51が第1収容部材41の係合溝部46に入ることによって、係合突起部51が係合溝部46に係合する。第2収容部材42を回転させる際には、指掛部49に指を掛けるとよい。
【0045】
係合突起部51が係合溝部46に係合した状態で、第2収容部材42を第1収容部材41から無理やり上方向に取り外そうとしても、係合突起部51が係合溝部46に引っ掛かるので、第2収容部材42は、第1収容部材41から取り外されない。このように、係合溝部46及び係合突起部51は、互いに対して周方向に回転されることで相手側(係合突起部51、係合溝部46)に係合される。
【0046】
第1収容部材41の底壁部41aには、連通部として、多数の網目状の小穴52が設けられている。同様に、第1収容部材41の外周壁部41bには、連通部として、多数の網目状の小穴52が設けられている。同様に、第2収容部材42には、連通部として、多数の網目状の小穴52が設けられている。小穴52は、指が入らない程度に、なるべく大きいことが好ましい。
【0047】
第2収容部材42が第1収容部材41の開口43を覆うと、カッターカバー40の内部に、第1収容部材41及び第2収容部材42に囲まれた収容空間(閉空間)53が、形成される。収容空間53は、各カッター10,20,21,30における刃部12,20b,21b,32を収容するためのものである。
【0048】
連通部としての軸貫通穴47及び小穴52は、収容空間53の内外を連通する。
【0049】
(カッターカバーへのナイフカッターの収容)
図6は、カッターカバー40にナイフカッター10の刃部12が収容された状態を、斜視図で示す。図7は、カッターカバー40にナイフカッター10の刃部12が収容された状態を、上側から見た平面図で示す。図8は、カッターカバー40にナイフカッター10の刃部12が収容された状態を、VIII-VIII線における正面断面図で示す。
【0050】
図6~8に示すように、ナイフカッター10の刃部12は、カッターカバー40の収容空間53に、収容される。ナイフカッター10は、第1収容部材41の底壁部41aにおける位置決めホルダ44(図5参照)によって位置決めされる。詳細には、ナイフカッター10の軸部11における本体部11aが、位置決めホルダ44の円環状のリブ44aに嵌まり込むことによって、ナイフカッター10が径方向に位置決めされる。これにより、ナイフカッター10の中心軸Oとカッターカバー40の中心軸O’とは、互いに一致する。さらに、ナイフカッター10の2つのリブ15が、位置決めホルダ44の2つの切り欠き44bに嵌まり込むことによって、ナイフカッター10が周方向に位置決めされる。
【0051】
第1収容部材41の底壁部41aは、ナイフカッター10の刃部12を、下側(軸方向一方側)から覆う。第1収容部材41の外周壁部41bは、ナイフカッター10の刃部12を、全周(360°)に亘って、外周側(径方向外側)から覆う。第2収容部材42は、第1収容部材41の開口43に嵌まり込むことによって、ナイフカッター10の刃部12を、上側(軸方向他方側)から覆う。
【0052】
すなわち、第1収容部材41及び第2収容部材42は、ナイフカッター10の刃部12を、軸部11の軸方向両外側及び外周側(径方向外側)から覆う。
【0053】
ナイフカッター10の軸部11における上側部分(つまみ部11b、くびれ部11c)は、第2収容部材42の軸貫通穴47を貫通して、上方に延びている。
【0054】
第2収容部材42の係合突起部51(図5参照)を第1収容部材41の係合溝部46(図5参照)に対して軸部11の周方向他方側(時計回り、図7の矢印F参照)に回転させることによって、第2収容部材42の係合突起部51は、相手側である第1収容部材41の係合溝部46に、係合される。換言すると、係合溝部46及び係合突起部51は、互いに対して軸部11の周方向に回転されることによって、相手側(係合突起部51、係合溝部46)に係合される。
【0055】
(カッターカバーへのスライスカッターの収容)
図9は、カッターカバー40にスライスカッター30の刃部32が収容された状態を、斜視図で示す。図10は、カッターカバー40にスライスカッター30の刃部32が収容された状態を、上側から見た平面図で示す。図11は、カッターカバー40にスライスカッター30の刃部32が収容された状態を、XI-XI線における正面断面図で示す。
【0056】
図9~11に示すように、スライスカッター30の刃部32及びディスク33は、上下逆さの状態で、カッターカバー40の収容空間53に、収容される。スライスカッター30のディスク33は、第1収容部材41の底壁部41aにおける位置決め突起45(図5参照)が指穴部33aに嵌ることによって、位置決めされる。これにより、スライスカッター30の中心軸Oとカッターカバー40の中心軸O’とは、互いに一致する。
【0057】
第1収容部材41の底壁部41aは、スライスカッター30の刃部32を、下側(軸方向一方側)から覆う。第1収容部材41の外周壁部41bは、スライスカッター30の刃部32を、全周(360°)に亘って、外周側(径方向外側)から覆う。第2収容部材42は、第1収容部材41の開口43に嵌まり込むことによって、スライスカッター30の刃部32を、上側(軸方向他方側)から覆う。
【0058】
すなわち、第1収容部材41及び第2収容部材42は、スライスカッター30の刃部32を、軸部31の軸方向両外側及び外周側(径方向外側)から覆う。
【0059】
スライスカッター30の軸部31は、第2収容部材42の軸貫通穴47を貫通して、上方に延びている。
【0060】
その他の収容態様は、ナイフカッター30の場合と同様なので、詳細な説明を省略する。
【0061】
(カッターカバーへのおろしカッター及び粗おろしカッターの収容)
図示しないが、第1収容部材41及び第2収容部材42は、おろしカッター20及び粗おろしカッター21の刃部20b,21bを、軸部20a,21aの軸方向両外側及び外周側(径方向外側)から覆ってもよい。
【0062】
(容器へのカッターカバーの収容)
図12は、フードプロセッサー1の容器4にカッターカバー40が収容された状態を、正面断面図で示す。上述したように、カッターカバー40の外径が容器4の内径よりも小さいので、カッターカバー40は、容器4に収容可能である。詳細には、容器4内において回転軸3に連結されたナイフカッター10の上側に、上下逆さのカッターカバー40を、配置する。そして、ナイフカッター10の軸部11を、カッターカバー40における第2収容部材42の軸貫通穴47に対して、下側から差し込む。ナイフカッター10の軸部11は、カッターカバー40の収容空間53に臨む。
【0063】
回転軸3が回転駆動すると、カッターカバー40は、ナイフカッター10と共に回転することがある。しかしながら、カッターカバー40の外径が容器4の内径よりも小さいので、カッターカバー40が容器4の内周面を擦ることはほとんどない。また、カッターカバー40が樹脂で形成されているので、仮にカッターカバー40が容器4の内周面を擦ったとしても、容器4の内周面が大きく傷つくことはない。
【0064】
(作用効果)
本実施形態の作用効果について、ナイフカッター10の場合を例に、説明する。
【0065】
本実施形態によれば、カッターカバー40における第1収容部材41及び第2収容部材42は、ナイフカッター10の刃部12を、軸方向両外側及び外周側(径方向外側)から覆う。また、カッターカバー40には、連通部としての軸貫通穴47及び小穴52が設けられている。
【0066】
このため、カッターカバー40でナイフカッター10の刃部12を覆った状態であっても、食器洗浄機の洗浄水がナイフカッター10(特に刃部12)に当たるようになるので、食器洗浄機によりナイフカッター10を洗浄することができる。
【0067】
さらに、食器洗浄機内における網棚や他の食器がナイフカッター10の刃部12に当たって傷つくことを、抑制することができる。また、食器洗浄機からナイフカッター10を取り出す際に、ナイフカッター10の刃部12に指が触れることを抑制することができるので、安全面で有利である。
【0068】
以上、フードプロセッサー1のナイフカッター10を、食器洗浄機によって安全に洗浄することができる。
【0069】
第2収容部材42によって第1収容部材41の開口43を覆うだけで、収容空間(閉空間)53を形成することができるので、取り扱いが容易である。
【0070】
回転係合部としての係合溝部46及び係合突起部51によって、第1収容部材41と第2収容部材42とが上下方向に外れにくくなるので、安全面においてより有利である。
【0071】
ナイフカッター10の軸部11が第2収容部材42の軸貫通穴47を貫通するので、カッターカバー40の軸方向(上下方向)の長さを、小さくすることができる。また、軸貫通穴47を通過する洗浄水によって、軸部11の汚れを除去することができる。また、ユーザは、軸貫通穴47を介してカッターカバー40の外側に突出する軸部11(特に、つまみ部11b)を掴んで、ナイフカッター10及びカッターカバー40のセットを運ぶことができる。
【0072】
上述の効果は、ナイフカッター10以外のおろしカッター20、粗おろしカッター21及びスライスカッター30にも適用され得る。
【0073】
フードプロセッサー1の容器4内においてナイフカッター10が回転軸3に連結された状態で、さらにカッターカバー40を容器4内にコンパクトに収容することができるので、フードプロセッサー1の収納時や梱包時に、カッターカバー40を別個に収納(梱包)しなくてもよい。このため、省スペース化に有利になる。
【0074】
カッターカバー40のサイズを適切に設計することによって、様々なカッター(アタッチメント)10,20,21,30に対して、1つのカッターカバー40のみで対応することができる。
【0075】
(その他の実施形態)
以上、本開示を好適な実施形態により説明してきたが、こうした記述は限定事項ではなく、勿論、種々の改変が可能である。
【0076】
回転係合部46,51は、無くてもよい。例えば、第2収容部材42は、第1収容部材41の開口43を単に覆うだけでもよい。
【0077】
上記実施形態では、カッターカバー40は、椀状の第1収容部材41及び蓋状の第2収容部材42で構成されたが、これに限定されない。カッターカバー40は、例えば、半シェル状の2つの収容部材を互いに組み合わせることによって、構成されてもよい。当該2つの半シェル状の収容部材が、回転係合部を有してもよい。また、第1収容部材41に回転係合部としての係合突起部51が設けられる一方、第2収容部材42に回転係合部としての係合溝部46が設けられてもよい。
【0078】
カッターカバー40は、3つ以上の収容部材で構成されてもよい。例えば、上記実施形態における第1収容部材41と第2収容部材42との間に、第3収容部材が介在してもよい。
【0079】
複数の収容部材の分割方向は、軸方向に限定されない。例えば、複数の収容部材は、径方向に分割可能でもよい。
【0080】
軸貫通穴(軸貫通部)47は、無くてもよい。軸部11,20a,21a,31は、カッターカバー40によって完全に覆われてもよい。
【0081】
連通部47,52は、全ての収容部材に設けられる必要はなく、複数の収容部材のうちの少なくとも1つに設けられればよい。例えば、軸貫通穴47が第2収容部材42に設けられる一方、小穴52が第1収容部材41及び第2収容部材42のいずれにも設けられなくてもよい。
【0082】
電動調理器1は、フードプロセッサーに限定されず、例えば、ミキサーやジューサー等でもよい。
【0083】
図13,14に示すように、第1収容部材41の底壁部41aには、スライスカッター30用の複数の位置決め突起45(図5,11参照)の代わりに、複数(例えば2個)の把持部54が設けられてもよい。把持部54は、第1収容部材41の底壁部41aの上面から収容空間53側(上側、軸方向他方側)に延びている。
【0084】
把持部54は、中空部54aと、外縁部54bと、を含む。中空部54aは、下側(軸方向一方側)において、収容空間53の外部に臨む。外縁部54bは、中空部54aを囲むとともに、中空部54aと収容空間53とを互いに区画する。すなわち、中空部54aと収容空間53との間には、外縁部54bが介在している。
【0085】
外縁部54bは、第1収容部材41と一体形成されてもよく、また別部材として第1収容部材41に取り付けられてもよい。第1収容部材41の底壁部41aにおける把持部54(中空部54a)が設けられた部分は、貫通している。把持部54は、上記実施形態の位置決め突起45と同様、スライスカッター30のディスク33における指穴部33aに、嵌まり込む。
【0086】
把持部54の中空部54aには、下側(軸方向一方側)から、指を挿入可能である。把持部54は、円錐台状に形成されている。円錐台状の把持部54において、下底部分の直径は、上底部分の直径よりも、大きい。例えば、下底部分の直径が20mm程度、上底部分の直径が15mm程度である。なお、中空部54aに指を挿入可能であれば、各直径は、適宜変更可能である。また、把持部54の形状は、円錐台状に限定されず、例えば、直方体状、円錐状、円柱状、多角柱状、多角錐状、ドーム状等でもよい。2つの把持部54同士の間隔は、親指と人差し指とを広げたときの両者の間隔よりも、小さいことが好ましい。
【0087】
ユーザは、把持部54の中空部54aに指を挿入することによって、第1収容部材41を把持することができる。これにより、ユーザは、把持部54を介して第1収容部材41を把持しながら、カッター10,30を第1収容部材41に着脱したり、第2収容部材42を第1収容部材41に着脱したりすることができる。
【0088】
また、外縁部54bによって中空部54aと収容空間53とが互いに区画されている(中空部54aと収容空間53との間に外縁部54bが介在している)ので、中空部54aに挿入されたユーザの指が、収容空間53に収容されたカッター10,30の刃部12,32に触れることを、抑制することができる。
【0089】
把持部54がスライスカッター30の指穴部33aに嵌まり込むことによって、スライスカッター30を、位置決めすることができる。
【0090】
なお、図示しないが、把持部54は、第1収容部材41の外周壁部41bの内周面から収容空間53側(内周側、径方向内側)に延びてもよい。この場合、中空部54aは、外周側(径方向外側)において、収容空間53の外部に、臨む。また、第1収容部材41の外周壁部41bにおける把持部54(中空部54a)が設けられた部分は、貫通する。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本開示は、カッターカバー及び電動調理器に適用できるので、極めて有用であり、産業上の利用可能性が高い。
【符号の説明】
【0092】
W 被調理物
1 フードプロセッサー(電動調理器)
3 回転軸
4 容器
10 ナイフカッター
11 軸部
12 刃部
30 スライスカッター
31 軸部
32 刃部
40 カッターカバー
41 第1収容部材(複数の収容部材)
41a 底壁部
41b 外周壁部
42 第2収容部材(複数の収容部材)
43 開口
46 係合溝部(回転係合部)
47 軸貫通穴(軸貫通部、連通部)
51 係合突起部(回転係合部)
52 小穴(連通部)
53 収容空間
54 把持部
54a 中空部
54b 外縁部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14