(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023067698
(43)【公開日】2023-05-16
(54)【発明の名称】キャパシタ部品及び外部電極形成用ペースト
(51)【国際特許分類】
H01G 4/30 20060101AFI20230509BHJP
【FI】
H01G4/30 516
H01G4/30 201G
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022040844
(22)【出願日】2022-03-15
(31)【優先権主張番号】10-2021-0146876
(32)【優先日】2021-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ユーン、ダエ ウー
(72)【発明者】
【氏名】リー、ス ジン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ダ ミ
(72)【発明者】
【氏名】カン、バン スク
(72)【発明者】
【氏名】パク、ソン ハン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ジョン リェオル
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E001AF06
5E082AA01
5E082AB03
5E082EE01
5E082FF05
5E082FG26
5E082GG10
5E082GG11
(57)【要約】
【課題】外部電極のガラスマトリックスの強化により耐湿特性を向上させることができるキャパシタ部品を提供する。
【解決手段】
本開示に係るキャパシタ部品は、誘電体層及び内部電極層を含む本体と、上記本体の一面に配置される外部電極と、を含み、上記外部電極は、導電性ベース及び上記ベース内に配置されたガラスを含み、上記ガラスは上記ガラスの全体重量に対して0.01wt%以上5.8wt%以下の窒素(N)を含む。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体層及び内部電極層を含む本体と、
前記本体の一面に配置される外部電極と、を含み、
前記外部電極は、導電性のベース及び前記導電性のベース内に配置されたガラスを含み、
前記ガラスは、前記ガラスの全体重量に対して0.01wt%以上5.8wt%以下の窒素(N)を含む、キャパシタ部品。
【請求項2】
前記ガラスは、スズ(Sn)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、及びイットリウム(Y)からなる群から選択された少なくとも一つをさらに含む、請求項1に記載のキャパシタ部品。
【請求項3】
前記ガラスの全体重量に対してスズ(Sn)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、及びイットリウム(Y)からなる群から選択された少なくとも一つは、4.5wt%以下含有される、請求項2に記載のキャパシタ部品。
【請求項4】
前記導電性のベースは、Cu、Ag、Pt、Ni、Snの少なくとも一つを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載のキャパシタ部品。
【請求項5】
前記外部電極は、
前記導電性のベース及び前記導電性のベース内に配置されたガラスを含む第1電極層と、前記第1電極層に配置された第2電極層とを有する、請求項1から4のいずれか一項に記載のキャパシタ部品。
【請求項6】
導電性粉末、ガラス粉末、及びバインダーを含み、
前記ガラス粉末は、前記ガラス粉末の重量に対して0.01wt%以上5.8wt%以下の窒素(N)を含む、外部電極形成用ペースト。
【請求項7】
前記ガラス粉末は、
スズ(Sn)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、及びイットリウム(Y)からなる群から選択された少なくとも一つの酸化物をさらに含む、請求項6に記載の外部電極形成用ペースト。
【請求項8】
前記ガラス粉末は、SnO2、Fe2O3及びNiOの少なくとも一つを7wt%以下含有する、請求項6または7に記載の外部電極形成用ペースト。
【請求項9】
前記導電性粉末は、Cu、Ag、Pt、Ni、Snの少なくとも一つを含む、請求項6から8のいずれか一項に記載の外部電極形成用ペースト。
【請求項10】
前記ガラス粉末は、
5wt%以上55wt%以下のSiO2、10wt%以上50wt%以下のBaO、10wt%以上25wt%以下のアルカリ金属酸化物、1wt%以上10wt%以下のCaO、5wt%以上25wt%以下のB2O3、1wt%以上25wt%以下のAl2O3、及び1wt%以上20wt%以下のZnOをさらに含む、請求項8に記載の外部電極形成用ペースト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャパシタ部品及び外部電極形成用ペーストに関するものである。
【背景技術】
【0002】
キャパシタ部品の一つであるMLCCは、小型でありながらも高容量が保障され、実装が容易であるという利点により、通信、コンピュータ、家電、自動車などの産業に用いられる重要なチップ部品であり、特に、携帯電話、コンピュータ、デジタルTVなどの各種電気、電子、情報通信機器に用いられる核心受動素子である。
【0003】
最近では、電子機器の小型化及び高性能化に伴い、MLCCも小型化及び高容量化する傾向にあり、このような流れによって、キャパシタ部品の高信頼性を確保する重要度が高まっている。
【0004】
MLCCの超小型化、信頼性確保のためには、誘電体層及び内部電極層の薄層化だけでなく、外部電極の薄層化技術の開発も非常に重要である。超小型MLCCの場合、製品設計時に10μm以下の厚さの外部電極が求められているが、既存の外部電極材料による薄層化の進行時に外部電極の気密性が減少する副効果が発現するようになる。外部電極の信頼性を実現することができる材料開発が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】韓国公開特許第2021-0071496号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的の一つは、外部電極のガラスマトリックスの強化により耐湿特性を向上させることができるキャパシタ部品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面は、誘電体層及び内部電極層を含む本体と、上記本体の一面に配置される外部電極と、を含み、上記外部電極は、導電性のベース及び上記ベース内に配置されたガラスを含み、上記ガラスは、上記ガラスの全体重量に対して0.01wt以上5.8wt%以下の窒素(N)を含むキャパシタ部品を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一実施形態によると、キャパシタ部品の外部電極のガラスマトリックスの強化により耐湿特性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態に係るキャパシタ部品を概略的に示した図面である。
【
図2】
図1のI-I'線に沿った断面を概略的に示した図面である。
【
図3】
図2のA領域を拡大して概略的に示した図面である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下では、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は、いくつかの他の形態に変形することができ、本発明の範囲が以下説明する実施形態に限定されるものではない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために拡大縮小表示(又は強調表示や簡略化表示)がされることがある。
【0011】
また、各実施形態の図面に示された同一思想の範囲内の機能が同一である構成要素は、同一の参照符号を付与して説明する。
【0012】
さらに、明細書全体において、ある構成要素を「含む」というのは、特に反対される記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0013】
また、明細書全体において、「上に」形成されるというのは、直接的に接触して形成されることを意味するだけでなく、間に他の構成要素をさらに含むことを意味することができると文脈に応じて適切に解釈されるべきである。
【0014】
そして、図面において本発明を明確に説明するために説明と関係のない部分は省略し、複数の層及び領域を明確に表現するために厚さを拡大して示し、明細書全体において類似する部分については、類似した図面符号を付与する。
【0015】
図1は、本発明の一実施形態に係るキャパシタ部品を概略的に示した図面であり、
図2は、
図1のI-I'線に沿った断面を概略的に示した図面であり、
図3は、
図2のA領域を拡大して概略的に示した図面である。
【0016】
図1~
図3を参照すると、本発明の一実施形態に係るキャパシタ部品100は、本体110並びに第1及び第2外部電極130、140を含む。
【0017】
本体110は、キャパシタ容量の形成に寄与する部分としての活性領域と、上下マージン部として活性領域の上下部にそれぞれ形成される上部及び下部カバー112、113とを含むことができる。
【0018】
本発明の一実施形態では、本体110は形状に特に制限はないが、実質的に六面体状であることができる。すなわち、本体110は、内部電極層121、122の配置に応じた厚さの差及び角部の研磨により、完全な六面体状ではないが、実質的に六面体に近い形状を有することができる。
【0019】
本発明の実施形態を明確に説明するために、六面体の方向を定義すると、図面上に示されたL、W及びTは、それぞれ長さ方向、幅方向及び厚さ方向を示す。ここで、厚さ方向は、誘電体層が積層された積層方向と同一概念として用いることができる。
【0020】
また、本体110において、T方向に互いに対向する両面を第1面1及び第2面2と定義し、第1面1及び第2面2と連結され、L方向に互いに対向する両面を第3面3及び第4面4と定義し、第1面1及び第2面2と連結され、第3面3及び第4面4と連結され、かつW方向に互いに対向する両面を第5面5及び第6面6と定義する。このとき、第1面1は実装面となることができる。
【0021】
上記活性領域は、複数の誘電体層111と、誘電体層111を間に挟んで複数の第1内部電極層121及び第2内部電極層122とが交互に積層される構造からなることができる。
【0022】
誘電体層111は、高誘電率を有するセラミック粉末、例えば、チタン酸バリウム(BaTiO3)系またはチタン酸ストロンチウム(SrTiO3)系粉末を用いて形成されることができ、本発明がこれに限定されるものではない。ここで、例えば、チタン酸バリウム(BaTiO3)系粉末を用いて誘電体層111が形成されるというのは、チタン酸バリウム(BaTiO3)粉末を主成分とし、主成分に副成分粉末を追加したものを用いたことを意味することができる。副成分は、チタン酸バリウム(BaTiO3)のペロブスカイト構造(ABO3)において、バリウム(Ba)及び/またはチタン(Ti)の格子位置、すなわち、A-site及び/またはB-siteを置換(substitute)または侵入(interstitial)することができる元素のカチオンを含む化合物(酸化物及び窒化物などを意味する)を含むことができる。
【0023】
誘電体層111の厚さは、キャパシタ部品100の容量設計に合わせて任意に変更することができ、本体110の大きさ及び容量を考慮して1層の厚さは焼成後に0.1μm~10μmとなるように構成することができるが、本発明がこれに限定されるものではない。一方、誘電体層111の厚さとは、W方向の中央部で取った本体100のL-T断面に対する光学顕微鏡写真またはSEM写真に示されたいずれか一つの誘電体層111のT方向に沿った数値(dimension)をL方向に複数回測定した算術平均値を意味することができる。ここで、L方向に沿った複数回測定は、L方向に沿って等間隔であることができるが、これに制限されるものではない。または、誘電体層111の厚さとは、上記写真に示された複数の誘電体層111のそれぞれについて、上述したT方向に沿った数値の算術平均値を求め、これらの合計を誘電体層111の総数で割った値を意味することができる。
【0024】
第1内部電極層121及び第2内部電極層122は、誘電体層111を間に挟んで互いに向かい合うように配置されることができる。
【0025】
第1内部電極層121及び第2内部電極層122は、誘電体層111を形成するための誘電体グリーンシート上に所定厚さで導電性金属を含む導電性ペーストを印刷して誘電体グリーンシートを間に挟んで誘電体グリーンシートの積層方向に沿って積層した後、このような積層体を焼結することにより形成されることができる。第1内部電極層121及び第2内部電極層122は、積層体が焼結されて形成された本体110の第3面3及び第4面4を介して交互に露出するように形成されることができ、中間に配置された誘電体層111によって互いに電気的に絶縁されることができる。
【0026】
このような第1内部電極層121及び第2内部電極層122は、本体110の第3面3及び第4面4を介して交互に露出する部分によって第1外部電極130及び第2外部電極とそれぞれ電気的に連結されることができる。
【0027】
したがって、第1外部電極130及び第2外部電極140に電圧を印加すると、互いに対向する第1内部電極層121及び第2内部電極層122の間に電荷が蓄積され、このとき、キャパシタ部品100の静電容量は、第1内部電極層121及び第2内部電極層122の互いに重なる領域の面積に比例するようになる。
【0028】
このような第1内部電極層121及び第2内部電極層122の厚さは用途に応じて決定されることができ、例えば、セラミック本体110の大きさ及び容量を考慮して0.1μm~1.0μmの範囲内になるように決定されることができるが、本発明がこれに限定されるものではない。一方、例えば、第1内部電極層121の厚さとは、上述した誘電体層111の厚さに対する測定方法と同一測定方法で算出されることができる。
【0029】
第1内部電極層121及び第2内部電極層122は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、またはこれらの合金を含むことができるが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0030】
上部カバー112及び下部カバー113は、内部電極層を含まないことを除いては、上記活性領域の誘電体層111と同一材料で形成されることができる。または、カバー112、113は、誘電体層111と異なる材質であるセラミック誘電体粉末を用いて形成されることができる。ここで、カバー112、113が誘電体層111と異なる材質のセラミック誘電体粉末を用いて形成されるとは、カバー112、113を形成するために用いられる誘電体粉末と、誘電体層111を形成するための誘電体粉末が互いに同一元素で構成されるが、これらの間の比、上述した副成分の元素の種類、または上述した副成分の元素の含有量が異なることを意味することもできる。
【0031】
上部112及び下部カバー113は、単一誘電体層または2つ以上の誘電体層を上記活性領域の上下面にそれぞれT方向に積層して形成されたものと見なされ、基本的に物理的または化学的ストレスによる第1内部電極層121及び第2内部電極層122の損傷を防止する役割を果たすことができる。
【0032】
外部電極130、140は本体100の第3面3及び第4面4に配置され、内部電極層121、122と連結される。具体的には、第1外部電極130は、本体110の第3面3に配置され、本体110の第3面3に露出した第1内部電極層121と連結される。第2外部電極140は、本体110の第4面4に配置され、本体110の第4面4に露出した第2内部電極層122と連結される。第1外部電極130及び第2外部電極140は、第1電極層131、141及び第1電極層131、141上に配置される第2電極層132、142をそれぞれ含むことができる。一方、第1外部電極130及び第2外部電極140は、内部電極層121、122との連結関係及び本体110に形成された位置のみが異なる。したがって、以下では、説明の便宜のため、本体110の第3面3に配置された第1外部電極130を中心に説明し、第2外部電極140に対する説明は省略する。後述する第1外部電極130に対する説明は、第2外部電極140にも同様に適用されることができる。
【0033】
第1電極層131は、本体110の第3面3を介して露出した第1内部電極層121とそれぞれ接触して直接的に連結されることにより、第1外部電極130と第1内部電極層121との間の電気的導通を確保する。
【0034】
第1電極層131は、導電性のベース131a及びベース131a内に配置されたガラス131bを含む。例えば、第1電極層131は、外部電極形成用ペーストを本体110の第3面3に塗布し、これを焼結することにより形成されることができる。
【0035】
導電性ベース131aは、第1電極層131のマトリックスを構成するものであり、Cu、Ag、Pt、Ni、Snの少なくとも一つを含むことができる。例えば、導電性ベース131aはCuであることができるが、本発明の範囲がこれに制限されるものではない。
【0036】
ガラス131bは、第1電極層131の導電性ベース131a内に配置され、第1電極層131を緻密化するために含まれる。ガラス131bにより、第1電極層131の耐湿特性が向上することができる。ガラス131bは、ガラス131bの全体重量に対して0.01wt%以上10wt%以下、好ましくは5.8wt%以下の窒素(N)を含む。窒素の重量比が5.8wt%になるまでは耐湿特性(透湿度)が徐々に増加するが、窒素の重量比が5.8wt%を超える場合には耐湿特性が飽和するおそれがある。
【0037】
外部電極形成用ペーストは、導電性粉末、ガラス粉末、及びバインダーを含む。ペーストの導電性粉末は、ペースト焼結過程で互いに連結されて第1電極層131の導電性ベース131aになることができる。ペーストのガラス粉末は、ペースト焼結過程で互いに連結されて第1電極層131のガラス131bになることができる。一方、ペーストレベルでのガラス粉末の組成と、第1電極層131レベルでのガラスの組成は実質的に同一であるため、以下では、ペーストに適用されたガラス粉末の構成のみについて説明する。
【0038】
ペーストの導電性粉末は、Cu、Ag、Pt、Ni、Snの少なくとも一つを含むことができる。制限されない例として、ペーストは導電性粉末としてCu粉末のみを含むか、Cuを含む第1導電性粉末及びAgを含む第2導電性粉末を含むことができるが、本発明の範囲がこれに制限されるものではない。
【0039】
ペーストのガラス粉末は窒素(N)を含むことができる。ガラス粉末内において、窒素(N)はケイ素(Si)と結合された形態であることができる。窒素(N)はガラスマトリックス内の酸素(≡Si-O≡Si)を窒素[(≡Si)3≡N]に置換するが、2配位の酸素(O)が3配位の窒素(N)に置換されることによって、ガラスマトリックスの架橋密度が増大し、oxynitride構造の共有結合によってガラス網目(glass network)がさらに強化される。一方、ガラス網目構造の強化によってガラス網目の自由体積が減少し、これにより水分及びめっき液に起因するイオン交換を抑制してガラス浸出を防止する役割を果たすことができる。したがって、耐水性/耐酸性/耐アルカリ性などの化学的性質が顕著に改善されることができる。例えば、ガラス粉末内における窒素(N)含有量は、0.01wt%以上10wt%以下であることができ、好ましくは5.8wt%以下であることができる。上記含有量が0.01wt%未満である場合には、第1電極層131の耐湿特性が低下することがある。上記含有量が5.8wt%超過である場合には、第1電極層131の耐湿特性は担保することができるが、耐湿特性が飽和してその効果の増加が僅かである可能性がある。
【0040】
ペーストのガラス粉末は、スズ(Sn)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、及びイットリウム(Y)からなる群から選択された少なくとも一つをさらに含むことができる。制限されない例として、ガラス粉末はスズ(Sn)、鉄(Fe)、及びニッケル(Ni)の少なくとも一つを4.5wt%以下含有することができる。例えば、ガラス粉末は、スズ(Sn)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、及びイットリウム(Y)からなる群から選択された少なくとも一つの酸化物をさらに含むことができる。制限されない例として、ガラス粉末はSnO2、Fe2O3及びNiOの少なくとも一つを含むことができる。SnO2、Fe2O3、及びNiOは、第1電極層131内で導電性ベース131aとガラス131bとの間の濡れ性(wetability)を向上させることができ、これにより外部電極131の緻密度改善で耐湿特性を向上させることができる。ガラス粉末において、SnO2、Fe2O3及びNiOの少なくとも一つは7wt%以下含有することができる。SnO2、Fe2O3、及びNiOの少なくとも一つの含有量が7wt%を超過する場合には、ペースト焼結時にガラスの結晶化が進行してガラス131bによる緻密化の効果が低下することがある。
【0041】
ペーストのガラス粉末は、5wt%以上55wt%以下のSiO2、10wt%以上50wt%以下のBaO、10wt%以上25wt%以下のアルカリ金属酸化物、1wt%以上10wt%以下のCaO、5wt%以上25wt%以下のB2O3、1wt%以上25wt%以下のAl2O3、1wt%以上20wt%以下のZnOをさらに含むことができる。ここで、SiO2含有量が高くなるほど、ガラスマトリックス結合強化により融点が上昇し、粘度上昇効果を有するようになる。BaO、アルカリ金属酸化物、及びCaOは、塩基性酸化物として、その含有量が増加するほど、ガラス融点低下及びマトリックス内の非架橋酸素増大によるガラス流動性を向上させる役割を果たすことができる。B2O3は含有量が増加するほど融点低下及びガラス化傾向を向上させるが、めっき液によるガラス浸出に脆弱になる。Al2O3は含有量の増加によって耐食性及びガラス構造強化の役割を果たすが、結晶化が容易になる可能性がある。ZnOは両性酸化物として作用し、造核抑制の機能がある。
【0042】
例えば、ガラス粉末は、a)5wt%以上55wt%以下のSiO2、b)10wt%以上50wt%以下のBaO、c)10wt%以上25wt%以下のアルカリ金属酸化物、d)1wt%以上10wt%以下のCaO、e)5wt%以上25wt%以下のB2O3、f)1wt%以上25wt%以下のAl2O3、g)1wt%以上20wt%以下のZnO、h)0.1wt%以上10wt%以下の窒化物、及びi)7wt%以下のスズ(Sn)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、及びイットリウム(Y)からなる群から選択された少なくとも一つの酸化物を互いに化学的に結合させることによって製造されることができる。
【0043】
表1は、ガラス粉末内で窒素(N)の重量比を変化させながら耐湿特性を測定したものを示したものである。
【0044】
耐湿特性は、水分透過度測定器を用いて、外部電極ペーストを焼結した第1電極層の透湿率(Water Vapor Transmission Rate、mg/m2・day)及び焼結膜厚さ(m)を用いて透湿度(mg/m・day)で定量化した。一方、窒素(N)含有量は、ペーストレベルでのガラス粉末内における窒素含有量及び第1電極層レベルでのガラス内における窒素含有量が実質的に同一であった。
【0045】
【0046】
表1に示したように、ガラス内で窒素含有量が増加するほど耐湿特性が増加することが分かる。一方、ガラス粉末を製造することにおいて、窒化物の含有量を増加させるほど、ガラス粉末内に溶解される窒素含有量は増加するが、例5及び例6のように、窒化物の含有量が増加してもガラス粉末内における窒素含有量は、5.8wt%が上限値であると判断される。したがって、ガラス及びガラス粉末内における窒素含有量が0.01wt%以上5.8wt%以下である場合には、耐湿特性が向上することが分かる。
【0047】
第2電極層132は、第1電極層131に配置される。第2電極層132は、第1電極層131の導電性ベース131a及びガラス131bのそれぞれと接触することができる。制限されない例として、第2電極層132は電解めっきで形成されためっき層であることができる。第2電極層132は、例えば、ニッケルめっき層及びスズめっき層が順に積層された構造であることができる。ニッケルめっき層は、第1電極層131の導電性ベース131a及びガラス131bのそれぞれと接触されることができ、その結果、第1電極層131及び第2電極層132は互いに物理的、電気的に連結されることができる。
【0048】
第1外部電極130は、本体の第3面3に形成される接続部と、上記接続部から本体110の第1面1、第2面2、第5面5及び第6面6のそれぞれの少なくとも一部まで延長するバンド部を含むことができる。但し、本実施形態の範囲が上記説明に制限されるものではなく、第1外部電極130は、例えば、L型、C型などに多様に変形されることができる。
【0049】
一方、以上の説明において、例えば、ガラス131b内における窒素(N)の存在及びその重量比(wt%)は、キャパシタ部品1の厚さ方向Tの中央で取った長さ方向-幅方向の断面(LW断面)に対するSEMイメージを基準に、上記イメージに示された第1電極層131の接続部の3つの領域及びそれぞれのバンド部の3つの領域の合計9つの領域内のガラス131bに対してEDSマッピングを行い、これを算術平均したものから取得されることができる。上記合計9つの領域は、互いに等間隔であることができるが、本発明の範囲がこれに制限されるものではない。このような説明は、上述のガラス131b内でスズ(Sn)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、イットリウム(Y)の存在及び重量比(wt%)を証明する際にも同様に用いられることができる。
【0050】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から逸脱しない範囲内で多様な修正及び変形が可能であるということは、当技術分野の通常の知識を有する者には明らかである。
【符号の説明】
【0051】
100 キャパシタ部品
110 本体
111 誘電体層
121 第1内部電極層
122 第2内部電極層
130 第1外部電極
140 第2外部電極
131 第1電極層
141 第1電極層
132 第2電極層
142 第2電極層