(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023067742
(43)【公開日】2023-05-16
(54)【発明の名称】内視鏡用処置具
(51)【国際特許分類】
A61B 18/14 20060101AFI20230509BHJP
【FI】
A61B18/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022128010
(22)【出願日】2022-08-10
(31)【優先権主張番号】63/273,174
(32)【優先日】2021-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/273,179
(32)【優先日】2021-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】304050923
【氏名又は名称】オリンパスメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 裕昌
(72)【発明者】
【氏名】塩田 裕亮
(72)【発明者】
【氏名】山田 晃大朗
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160KK03
4C160KK13
4C160KK37
4C160KK58
4C160KK70
(57)【要約】
【課題】利便性を向上させること。
【解決手段】内視鏡用処置具6は、先端部に第1の孔922を有するシース9と、第1の孔922に進退自在に挿通され、先端と基端との間で延びる第2の孔120を有する切開部11と、を備え、切開部11の進退に応じて、主流路M1と第1の孔922とが連通することで流体を流通させる第1のモードと、主流路M1と第2の孔120とが連通することで流体を流通させる第2のモードとを切替可能に構成されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端部に第1の孔を有するシースと、
前記第1の孔に進退自在に挿通され、先端と基端との間で延びる第2の孔を有する切開部と、を備え、
前記切開部の進退に応じて、主流路と前記第1の孔とが連通することで流体を流通させる第1のモードと、前記主流路と前記第2の孔とが連通することで流体を流通させる第2のモードとを切替可能に構成されている内視鏡用処置具。
【請求項2】
前記第1のモードは、
前記切開部が前記シースの先端側に移動することによって設定され、
前記第2のモードは、
前記切開部が前記シースの基端側に移動することによって設定される請求項1に記載の内視鏡用処置具。
【請求項3】
前記第2の孔は、
前記切開部の基端側の外周面に開口しており、
前記シースは、
前記シース内に配置され、前記切開部の基端側の開口を閉塞可能とする第1の閉塞部材を備え、
前記第1のモードは、
前記主流路と前記第1の孔とが連通し、かつ、前記切開部の基端側の開口が前記第1の閉塞部材によって閉塞される状態である請求項2に記載の内視鏡用処置具。
【請求項4】
前記切開部は、
前記第1の孔における先端側の開口を閉塞可能とする第2の閉塞部材を備え、
前記第2のモードは、
前記主流路と前記第2の孔とが連通し、かつ、前記第1の孔における先端側の開口が前記第2の閉塞部材によって閉塞される状態である請求項2に記載の内視鏡用処置具。
【請求項5】
前記第2の孔は、
前記切開部の基端側の外周面に開口しており、
前記シースは、
前記シース内に配置され、前記切開部の基端側の開口を閉塞可能とする第1の閉塞部材を備え、
前記切開部は、
前記第1の孔における先端側の開口を閉塞可能とする第2の閉塞部材を備え、
前記第1のモードは、
前記主流路と前記第1の孔とが連通し、かつ、前記切開部の基端側の開口が前記第1の閉塞部材によって閉塞される状態であり、
前記第2のモードは、
前記主流路と前記第2の孔とが連通し、かつ、前記第1の孔における先端側の開口が前記第2の閉塞部材によって閉塞される状態である請求項2に記載の内視鏡用処置具。
【請求項6】
前記シース内に挿通されるワイヤと、
前記切開部と前記ワイヤとを接続する接続部材と、をさらに有し、
前記接続部材は、
前記第1の孔における基端側の開口を閉塞可能とする第3の閉塞部材を備え、
前記第2のモードは、
前記第1の孔における基端側の開口が前記第3の閉塞部材によって閉塞される状態である請求項2に記載の内視鏡用処置具。
【請求項7】
前記第2の孔は、
前記切開部の基端側の外周面に開口しており、
前記シースは、
前記シース内に配置され、前記切開部の基端側の開口を閉塞可能とする第1の閉塞部材を備え、
前記内視鏡用処置具は、
前記シース内に挿通されるワイヤと、
前記切開部と前記ワイヤとを接続する接続部材と、をさらに有し、
前記接続部材は、
前記第1の孔における基端側の開口を閉塞可能とする第3の閉塞部材を備え、
前記第1のモードは、
前記主流路と前記第1の孔とが連通し、かつ、前記切開部の基端側の開口が前記第1の閉塞部材によって閉塞される状態であり、
前記第2のモードは、
前記主流路と前記第2の孔とが連通し、かつ、前記第1の孔における基端側の開口が前記第3の閉塞部材によって閉塞される状態である請求項2に記載の内視鏡用処置具。
【請求項8】
前記切開部と前記シースとの間には、
前記切開部の中心軸を中心とする回転を規制する回転規制構造が設けられている請求項1に記載の内視鏡用処置具。
【請求項9】
前記第1のモードは、
前記切開部が前記シースの基端側に移動することによって設定され、
前記第2のモードは、
前記切開部が前記シースの先端側に移動することによって設定される請求項1に記載の内視鏡用処置具。
【請求項10】
前記第2の孔は、
前記切開部の基端側の外周面に開口しており、
前記シースは、
前記シース内に配置され、前記切開部の基端側の開口を閉塞可能とする第1の閉塞部材を備え、
前記第1のモードは、
前記主流路と前記第1の孔とが連通し、かつ、前記切開部の基端側の開口が前記第1の閉塞部材によって閉塞される状態である請求項9に記載の内視鏡用処置具。
【請求項11】
前記シース内に挿通されるワイヤと、
前記切開部と前記ワイヤとを接続する接続部材と、をさらに有し、
前記接続部材は、
前記第1の孔における基端側の開口を閉塞可能とする第2の閉塞部材を備え、
前記第2のモードは、
前記主流路と前記第2の孔とが連通し、かつ、前記第1の孔における基端側の開口が前記第2の閉塞部材によって閉塞される状態である請求項9に記載の内視鏡用処置具。
【請求項12】
前記第2の孔は、
前記切開部の基端側の外周面に開口しており、
前記シースは、
前記シース内に配置され、前記切開部の基端側の開口を閉塞可能とする第1の閉塞部材を備え、
前記内視鏡用処置具は、
前記シース内に挿通されるワイヤと、
前記第1の閉塞部材に対して進退自在であり、前記切開部と前記ワイヤとを接続する接続部材と、をさらに有し、
前記接続部材は、
前記第1の孔における基端側の開口を閉塞可能とする第2の閉塞部材を備え、
前記第1のモードは、
前記主流路と前記第1の孔とが連通し、かつ、前記切開部の基端側の開口が前記第1の閉塞部材によって閉塞される状態であり、
前記第2のモードは、
前記主流路と前記第2の孔とが連通し、かつ、前記第1の孔における基端側の開口が前記第2の閉塞部材によって閉塞される状態である請求項9に記載の内視鏡用処置具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡用処置具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内視鏡を経由することによって体腔内に挿入される挿入部を備え、高周波電流によって生体組織における処置の対象となる部位(以下、対象部位と記載)を切開する内視鏡用処置具が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載の内視鏡用処置具では、挿入部は、先端に内外を連通する第1の孔を有するシースと、当該第1の孔から当該シース外に突出し、高周波電流が通電されることによって対象部位を切開する切開部とを備える。この切開部には、基端側から先端まで貫通した第2の孔が設けられている。そして、当該内視鏡用処置具では、第1の孔の内面と切開部の外面との隙間から液体を体腔内に流通させる第1のモードと、第2の孔から液体を体腔内に流通させる第2のモードとに切替可能に構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】中国特許出願公開第108272503号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の内視鏡用処置具では、挿入部内に、互いに独立した第1,第2の流路が設けられている。第1の流路は、第1,第2の孔のうち第1の孔に連通し、液体を当該第1の孔へと流通させる流路である。第2の流路は、第1,第2の孔のうち第2の孔に連通し、液体を当該第2の孔へと流通させる流路である。そして、第1,第2の流路の2つの流路は、互いに独立した送水源に接続される。すなわち、第1,第2の流路の2つの流路に液体を流通させる操作部の構成が複雑になるため、操作が煩雑になってしまう。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、利便性を向上させることができる内視鏡用処置具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る内視鏡用処置具は、先端部に第1の孔を有するシースと、前記第1の孔に進退自在に挿通され、先端と基端との間で延びる第2の孔を有する切開部と、を備え、前記切開部の進退に応じて、主流路と前記第1の孔とが連通することで流体を流通させる第1のモードと、前記主流路と前記第2の孔とが連通することで流体を流通させる第2のモードとを切替可能に構成されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る内視鏡用処置具によれば、利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施の形態1に係る内視鏡システムを示す図である。
【
図2】
図2は、処置具挿入部の構成を説明する図である。
【
図3】
図3は、処置具挿入部の構成を説明する図である。
【
図4】
図4は、処置具挿入部の構成を説明する図である。
【
図5】
図5は、処置具挿入部の構成を説明する図である。
【
図6】
図6は、内視鏡用処置具の動作を説明する図である。
【
図7】
図7は、内視鏡用処置具の動作を説明する図である。
【
図8】
図8は、内視鏡用処置具の動作を説明する図である。
【
図9】
図9は、内視鏡用処置具の動作を説明する図である。
【
図10】
図10は、実施の形態2に係る処置具挿入部の構成を説明する図である。
【
図11】
図11は、実施の形態2に係る処置具挿入部の構成を説明する図である。
【
図12】
図12は、内視鏡用処置具の動作を説明する図である。
【
図13】
図13は、内視鏡用処置具の動作を説明する図である。
【
図14】
図14は、実施の形態2の変形例を説明する図である。
【
図15】
図15は、実施の形態3に係る処置具挿入部の構成を説明する図である。
【
図16】
図16は、実施の形態3に係る処置具挿入部の構成を説明する図である。
【
図17】
図17は、内視鏡用処置具の動作を説明する図である。
【
図18】
図18は、内視鏡用処置具の動作を説明する図である。
【
図19】
図19は、実施の形態4に係る処置具挿入部の構成を説明する図である。
【
図20】
図20は、実施の形態4に係る処置具挿入部の構成を説明する図である。
【
図21】
図21は、実施の形態4に係る処置具挿入部の構成を説明する図である。
【
図22】
図22は、実施の形態4に係る処置具挿入部の構成を説明する図である。
【
図23】
図23は、実施の形態4に係る処置具挿入部の構成を説明する図である。
【
図24】
図24は、内視鏡用処置具の動作を説明する図である。
【
図25】
図25は、内視鏡用処置具の動作を説明する図である。
【
図26】
図26は、実施の形態5に係る処置具挿入部の構成を説明する図である。
【
図27】
図27は、実施の形態5に係る処置具挿入部の構成を説明する図である。
【
図28】
図28は、実施の形態5に係る処置具挿入部の構成を説明する図である。
【
図29】
図29は、実施の形態5に係る処置具挿入部の構成を説明する図である。
【
図30】
図30は、実施の形態5に係る処置具挿入部の構成を説明する図である。
【
図31】
図31は、実施の形態5に係る処置具挿入部の構成を説明する図である。
【
図32】
図32は、内視鏡用処置具の動作を説明する図である。
【
図33】
図33は、内視鏡用処置具の動作を説明する図である。
【
図34】
図34は、実施の形態6に係る処置具挿入部の構成を説明する図である。
【
図35】
図35は、実施の形態6に係る処置具挿入部の構成を説明する図である。
【
図36】
図36は、内視鏡用処置具の動作を説明する図である。
【
図37】
図37は、内視鏡用処置具の動作を説明する図である。
【
図38】
図38は、実施の形態7に係る処置具挿入部の構成を説明する図である。
【
図39】
図39は、実施の形態7に係る処置具挿入部の構成を説明する図である。
【
図40】
図40は、内視鏡用処置具の動作を説明する図である。
【
図41】
図41は、内視鏡用処置具の動作を説明する図である。
【
図42】
図42は、実施の形態8に係る処置具挿入部の構成を説明する図である。
【
図43】
図43は、実施の形態8に係る処置具挿入部の構成を説明する図である。
【
図44】
図44は、内視鏡用処置具の動作を説明する図である。
【
図45】
図45は、内視鏡用処置具の動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、図面を参照しつつ、本発明を実施するための形態(以下、実施の形態)について説明する。なお、以下に説明する実施の形態によって本発明が限定されるものではない。さらに、図面の記載において、同一の部分には同一の符号を付している。
【0010】
(実施の形態1)
〔内視鏡システムの構成〕
図1は、実施の形態1に係る内視鏡システム1を示す図である。
内視鏡システム1は、医療分野において用いられ、体腔内を観察しつつ、体腔内の生体組織における処置の対象となる部位(以下、対象部位と記載)に対して高周波エネルギを付与することによって、当該対象部位を処置するシステムである。なお、本実施の形態1に係る内視鏡システム1によって実行可能とする処置は、対象部位の凝固(封止)、あるいは対象部位の切開等といった処置である。この内視鏡システム1は、
図1に示すように、内視鏡2と、表示装置3と、光源装置4と、制御装置5と、内視鏡用処置具6とを備える。
【0011】
内視鏡2は、一部が体腔内に挿入され、当該体腔内から反射された被写体像を撮像し、当該撮像によって生成した画像信号を出力する。この内視鏡2は、
図1に示すように、内視鏡挿入部21と、内視鏡操作部22と、ユニバーサルコード23と、コネクタ部24とを備える。
内視鏡挿入部21は、少なくとも一部が可撓性を有し、体腔内に挿入される部分である。この内視鏡挿入部21は、
図1に示すように、先端ユニット211と、湾曲部212と、可撓管213とを備える。
【0012】
先端ユニット211は、内視鏡挿入部21の先端に設けられている。この先端ユニット211には、具体的な図示は省略したが、照明光学系と、撮像光学系と、撮像ユニットとが設けられている。
照明光学系は、内視鏡挿入部21内に引き回されたライトガイド(図示略)の一端に対向し、当該ライトガイドによって伝達された光を当該内視鏡挿入部21の先端から体腔内に照射する。
撮像光学系は、照明光学系から体腔内に照射され、当該体腔内から反射された光(被写体像)を取り込み、撮像ユニットを構成する撮像素子の撮像面に結像する。
撮像ユニットは、CCD(Charge Coupled Device)またはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の撮像素子を含んで構成され、撮像光学系によって結像された被写体像を撮像し、当該撮像によって生成した画像信号を出力する。
【0013】
湾曲部212は、先端ユニット211の基端側(内視鏡操作部22側)に連結されている。この湾曲部212は、具体的な図示は省略したが、複数の湾曲駒が連結された構成を有し、湾曲可能とする。
可撓管213は、湾曲部212の基端側(内視鏡操作部22側)に連結され、長尺状で可撓性を有する。
【0014】
内視鏡操作部22は、内視鏡挿入部21における基端部分に対して接続されている。そして、内視鏡操作部22は、内視鏡2に対する各種の操作を受け付ける。この内視鏡操作部22には、
図1に示すように、複数の操作部材221と、湾曲ノブ222と、挿入口223とが設けられている。
複数の操作部材221は、各種操作を受け付けるボタン等によって構成されている。
湾曲ノブ222は、ユーザ操作に応じて回動可能に構成されている。そして、湾曲ノブ222は、回動することによって、内視鏡挿入部21内に配設された金属製または樹脂製のワイヤ等の湾曲機構(図示略)を動作させる。これによって、湾曲部212は、湾曲する。
挿入口223は、内視鏡挿入部21の先端から基端側(内視鏡操作部22側)に延在した管路(図示略)に連通し、外部から当該管路に対して内視鏡用処置具6における処置具挿入部7等を挿通するための挿入口である。
【0015】
ユニバーサルコード23は、内視鏡操作部22から内視鏡挿入部21の延在方向とは異なる方向に延在し、上述したライトガイド、及び、上述した画像信号を伝送する信号線等が配設されたコードである。
コネクタ部24は、ユニバーサルコード23の端部に設けられ、光源装置4及び制御装置5に対して着脱自在に接続される。
【0016】
表示装置3は、LCD(Liquid Crystal Display)、またはEL(Electro Luminescence)ディスプレイ等であり、制御装置5による制御の下、所定の画像を表示する。
光源装置4は、照明光を出射する。そして、光源装置4から出射された照明光は、コネクタ部24、ユニバーサルコード23、内視鏡操作部22、及び内視鏡挿入部21に引き回されたライトガイド及び照明光学系を経由した後、当該内視鏡挿入部21の先端から体腔内に向けて照射される。
【0017】
制御装置5は、CPU(Central Processing Unit)またはFPGA(Field-Programmable Gate Array)等を含んで構成され、表示装置3及び光源装置4の動作を統括的に制御する。
例えば、制御装置5は、上述した撮像ユニットから上述した信号線を通って入力した画像信号に対して所定の処理を施して内視鏡画像を生成する。そして、制御装置5は、表示装置3の動作を制御し、当該表示装置3に当該内視鏡画像等を表示させる。
なお、本実施の形態1では、光源装置4と制御装置5とが別体で構成されているが、1つの筐体内に一体的に設けても構わない。
【0018】
〔内視鏡用処置具の構成〕
内視鏡用処置具6は、例えば、ESD(Endoscopic Submucosal Dissection:内視鏡的粘膜下層剥離術)において用いられる処置具である。この内視鏡用処置具6は、
図1に示すように、処置具挿入部7と、処置具操作部8とを備える。
処置具挿入部7は、
図1に示すように、挿入口223から内視鏡挿入部21内の管路を経由することによって当該内視鏡挿入部21の先端から突出し、体腔内に挿入される部分であり、本発明に係る挿入部に相当する。
なお、処置具挿入部7の詳細な構成については、後述する「処置具挿入部の構成」において説明する。また、以下に示す「先端」とは処置具挿入部7における挿入方向の一端を意味し、以下に示す「基端」とは処置具挿入部7における挿入方向とは反対側の他端を意味する。
【0019】
処置具操作部8は、処置具挿入部7における基端部分(処置具挿入部7における挿入方向に対する基端側の部分)に対して接続されている。そして、処置具操作部8は、内視鏡用処置具6に対する操作を受け付ける。この処置具操作部8は、
図1に示すように、操作部本体81と、スライダ82とを備える。
操作部本体81は、長尺形状を有し、処置具挿入部7を構成する後述するシース9の基端部分が固定される。また、操作部本体81の基端部分には、
図1に示すように、術者等の操作者が指を掛けるためのリング811が設けられている。さらに、操作部本体81には、チューブTUが接続される送水ポート812が設けられている。そして、送水ポート812には、チューブTUを経由することによってポンプ等の送水源200から生理食塩水が供給される。
ここで、生理食塩水は、本発明に係る流体に相当する。なお、本発明に係る流体としては、生理食塩水に限らず、その他の液体、空気等の気体を採用しても構わない。
【0020】
スライダ82は、術者等の操作者による操作に応じて操作部本体81の長手方向に沿って移動可能に当該操作部本体81に対して取り付けられている。このスライダ82には、
図1に示すように、術者等の操作者が指を掛けるための一対のリング821が設けられている。また、スライダ82には、電源コードCOが接続されるプラグ822が設けられている。そして、プラグ822は、電源コードCOを経由することによって電源100に対して電気的に接続する。
【0021】
〔処置具挿入部の構成〕
図2ないし
図5は、処置具挿入部7の構成を説明する図である。具体的に、
図2は、処置具挿入部7における中心軸を含む平面によって当該処置具挿入部7の先端部分を切断した断面図である。
図3は、
図2に示したIII-III線の位置での処置具挿入部7の断面図である。
図4は、
図2に示したIV-IV線の位置での処置具挿入部7の断面図である。
図5は、
図2に示したV-V線の位置での処置具挿入部7の断面図である。
処置具挿入部7は、
図1ないし
図5に示すように、シース9と、ワイヤ10(
図2)と、切開部11(
図2)とを備える。
【0022】
シース9は、処置具挿入部7の外面を構成する部分である。このシース9は、
図1及び
図2に示すように、シース本体91と、先端部材92とを備える。
シース本体91は、樹脂材料等によって構成され、絶縁性及び可撓性を有する円筒部材である。そして、シース本体91の基端部分は、操作部本体81に対して固定される。また、シース本体91内は、送水ポート812に連通する。
【0023】
先端部材92は、有底円筒形状を有し、底部分920が先端側(
図2中、左側)を向く姿勢でシース本体91の先端部分を閉塞する。この先端部材92としては、セラミック、樹脂材料、ゴム等からなる電気絶縁性を有する部材で構成してもよく、あるいは、金属等の表面に絶縁コーティング等が施された部材で構成してもよい。なお、先端部材92としては、一部品によって構成してもよく、あるいは、複数の部品を組み合わせることによって構成しても構わない。
【0024】
先端部材92における内周面921には、
図2及び
図5に示すように、第1,第2の壁部9211,9212が設けられている。
第1の壁部9211は、
図2及び
図5に示すように、内周面921から先端部材92の中心軸に向けて突出するとともに、当該中心軸に沿って延在した壁である。
第2の壁部9212は、
図2及び
図5に示すように、内周面921から先端部材92の中心軸に向けて突出するとともに、当該中心軸に沿って当該先端部材92の底部分920まで延在した壁である。また、
図2及び
図5に示すように、第2の壁部9212には、当該第2の壁部9212の全長に亘って延在する溝部9213が設けられている。
【0025】
以上説明したシース本体91内及び先端部材92内は、チューブTU及び送水ポート812を経由することによって、送水源200から供給された生理食塩水が流通する本発明に係る主流路M1(
図2)として機能する。
【0026】
また、先端部材92における底部分920には、
図2ないし
図4に示すように、当該底部分920と当該先端部材92の先端とを連通する第1の孔922が設けられており、当該第1の孔922は、当該底部分920と当該先端部材92の先端とにそれぞれ開口している。当該底部分920は、本発明に係るシースの先端部に相当する。
この第1の孔922は、断面円形状を有するとともに、先端部材92の中心軸に沿って直線状に延在する。ここで、第1の孔922の内径寸法は、
図2に示すように、内周面921の内径寸法よりも小さく設定されている。なお、第1の孔922は、好ましくは、先端部材92の中心軸上に位置していてもよい。
【0027】
ワイヤ10は、金属等の導電性材料によって構成され、シース9内に挿通されている。そして、ワイヤ10の基端部分は、スライダ82に対して固定されている。すなわち、ワイヤ10は、術者等の操作者によるスライダ82への操作に応じて、シース9内を進退する。また、ワイヤ10は、プラグ822に対して電気的に接続する。
【0028】
切開部11は、金属等の導電性材料によって構成され、ワイヤ10の先端部分に固定されている。また、切開部11は、第1の孔922に挿通されている。すなわち、切開部11は、ワイヤ10とともに、術者等の操作者によるスライダ82への操作に応じて、シース9内(第1の孔922)を進退する。また、切開部11の先端部分は、第1の孔922から先端部材92外に突出している。そして、切開部11は、電源コードCO、プラグ822、及びワイヤ10を経由することによって電源100から高周波電流が通電され、体腔内の対象部位を切開する。この切開部11は、
図2ないし
図5に示すように、ナイフ12を備える。
【0029】
ナイフ12は、第1の孔922から先端部材92外に突出し、対象部位を切開する部分であり、
図2に示すように、所謂フックナイフによって構成されている。このナイフ12は、ナイフ本体121と、突起部122とを備える。
ナイフ本体121は、先端部材92の中心軸上に位置し、当該中心軸に沿って直線状に延在する円柱部材によって構成されている。ここで、ナイフ本体121の外径寸法は、
図2及び
図4に示すように、第1の孔922の内径寸法よりも小さく設定されている。
突起部122は、ナイフ本体121の先端に設けられ、当該ナイフ本体121に対して略90°、
図2中、上方側に向けて折り曲げられた部分である。
【0030】
以上説明したナイフ12には、
図2に示すように、基端側から先端まで貫通したナイフ孔123が設けられている。このナイフ孔123は、流入孔1231と、流出孔1232とによって構成されている。
流入孔1231は、ナイフ本体121の基端部分における
図2及び
図5中、上方側から当該ナイフ本体121の中心軸に向けて延在する孔である。
流出孔1232は、ナイフ本体121の中心軸上に位置し、当該中心軸に沿って直線状に延在する孔である。そして、流出孔1232は、先端側において突起部122を通ってナイフ12外に連通するとともに、基端側において流出孔1232に連通する。
【0031】
そして、ナイフ12の基端側には、
図2ないし
図5に示すように、接続部材13が設けられている。
接続部材13は、ナイフ12とワイヤ10とを接続する部材である。この接続部材13は、円柱部131と、回転規制部132とを備える。
円柱部131は、先端部材92の中心軸に沿って直線状に延在する円柱部材によって構成されている。ここで、円柱部131の外径寸法は、
図5に示すように、第1の壁部9211と第2の壁部9212間の離間寸法よりも若干小さく、第1の孔922の内径寸法よりも大きく設定されている。なお、円柱部131は、好ましくは、先端部材92の中心軸上に位置していてもよい。
【0032】
そして、円柱部131には、
図2に示すように、先端側の端面から基端側(
図2中、右側)に延在し、ナイフ本体121が嵌合する嵌合孔133が設けられている。また、円柱部131には、
図2及び
図5に示すように、当該円柱部131の外周面から円柱部131の中心軸に向けて延在し、流入孔1231に連通する連通孔134が設けられている。
以上説明したナイフ孔123、嵌合孔133、及び連通孔134は、切開部11の基端側の外周面に開口しており、本発明に係る第2の孔120(
図2)に相当する。
【0033】
回転規制部132は、
図2及び
図5に示すように、円柱部131の外周面から突出した突起であり、当該突起は溝部9213に挿通される。なお、回転規制部132は、術者等の操作者によるスライダ82への操作に応じた切開部11のシース9内での進退時に常時、溝部9213に挿通されている。そして、回転規制部132は、ナイフ12及びワイヤ10の中心軸を中心とする回転を規制する。
以上説明した第2の壁部9212(溝部9213)及び回転規制部132は、本発明に係る回転規制構造に相当する。
【0034】
〔内視鏡用処置具の動作〕
次に、上述した内視鏡用処置具6の動作について説明する。以下では、説明の便宜上、ESDの流れを例に説明する。
図6ないし
図9は、内視鏡用処置具6の動作を説明する図である。具体的に、
図6は、ESDにおけるマーキング工程を説明する図である。
図7は、ESDにおける局注工程を説明する図である。
図8及び
図9は、
図2に対応した断面図である。
【0035】
先ず、術者等の操作者は、内視鏡挿入部21を体腔内に挿入し、当該内視鏡挿入部21の先端を対象部位T1(
図6)付近まで移動させる。
次に、術者等の操作者は、スライダ82を手前(リング811側)に後退させる第1の操作を行う。これによって、突起部122が先端部材92の先端に当接し、当該突起部122のみが第1の孔922から先端部材92外に突出した状態となる。そして、術者等の操作者は、処置具挿入部7を挿入口223から内視鏡挿入部21内の管路に挿入するとともに、当該内視鏡挿入部21の先端から突出させる。
【0036】
次に、術者等の操作者は、以下に示すように、マーキング工程を行う。
すなわち、術者等の操作者は、スライダ82への第1の操作によって突起部122のみが第1の孔922から先端部材92外に突出した状態を維持しつつ、フットスイッチ等の操作部(図示略)を操作し、電源100から高周波電流をナイフ12に通電する。そして、術者等の操作者は、
図6の(a)に示すように、突起部122を対象部位T1の周辺の生体組織に対して押し付ける。これによって、突起部122に対して接触した当該生体組織は、焼灼される。すなわち、当該焼灼された部位には、
図6の(a)及び
図6の(b)に示すように、マーキング痕T2が形成される。
そして、術者等の操作者は、上述の操作を複数回、繰り返し、
図6の(c)に示すように、対象部位T1の外縁を把握できる程度の個数のマーキング痕T2を形成する。この後、術者等の操作者は、電源100からナイフ12への高周波電流の通電を終了する。
【0037】
次に、術者等の操作者は、以下に示すように、局注工程を行う。
すなわち、術者等の操作者は、スライダ82を前進させる第2の操作を行う。これによって、ナイフ12は、
図8に示すように、シース9(先端部材92)の先端から最大突出長だけ突出する。当該状態では、接続部材13は、先端部材92の底部分920(開口周縁部分)に当接する。これによって、第1の孔922における基端側の開口は、
図8に「×」の印で示したように、接続部材13によって閉塞される。すなわち、接続部材13は、第1の孔922における基端側の開口を閉塞可能とする本発明に係る第2の閉塞部材に相当する。一方、連通孔134は、第1の壁部9211に対向する位置からずれた位置に位置付けられる。すなわち、連通孔134の位置は、シース9の長手軸方向において第1の壁部9211の位置からずれている。これによって、連通孔134は、主流路M1に連通する。
【0038】
また、術者等の操作者は、スライダ82への第2の操作によってナイフ12がシース9の先端から最大突出長だけ突出した状態を維持しつつ、フットスイッチ等の操作部(図示略)を操作し、送水源200から生理食塩水を供給させる。これによって、送水源200から供給された生理食塩水は、
図8に矢印で示したように、主流路M1から連通孔134、流入孔1231、及び流出孔1232を通る流路を辿った後、ナイフ12の先端から吐出される。当該吐出された生理食塩水SLは、その水勢によって、対象部位T1の下方に注入される(
図7)。そして、対象部位T1は、下方の粘膜下層等の他の組織から浮き上がる。
【0039】
次に、術者等の操作者は、以下に示すように、切開工程を行う。
すなわち、術者等の操作者は、スライダ82への第2の操作によってナイフ12がシース9(先端部材92)の先端から最大突出長だけ突出した状態を維持しつつ、フットスイッチ等の操作部(図示略)を操作し、電源100から高周波電流をナイフ12に通電する。そして、術者等の操作者は、マーキング痕T2を確認しつつ、突起部122を生体組織に刺した状態で対象部位T1の周囲に沿って移動させ、当該対象部位T1の全周を切開する。この後、全周を切開した対象部位T1を含む粘膜層に対し粘膜下層の剥離等を行うことで対象部位T1を取り除く。
【0040】
以上の工程により、ESDが完了する。なお、上述したESDの各工程中において、術場洗浄を行う際には、術者等の操作者は、以下の操作を行う。
術者等の操作者は、スライダ82への第1の操作によって、突起部122のみが第1の孔922から先端部材92外に突出した状態、すなわち、突起部122が第1の孔921から突出し、かつ第1の孔921内にナイフ本体111が位置した状態に設定する。当該状態では、
図5及び
図9に示すように、連通孔134は、第1の壁部9211に対向する位置に位置付けられる。すなわち、連通孔134の位置は、シース9の長手軸方向において第1の壁部9211の位置と一致している。その状態では、第1の壁部9211が円柱部131の外周面(開口周縁部分)に当接することによって、連通孔134(第2の孔120における基端側の開口)は、
図9に「×」の印で示したように、第1の壁部9211によって閉塞される。すなわち、第1の壁部9211は、シース9内に配置され、切開部11の基端側の開口を閉塞可能とする本発明に係る第1の閉塞部材に相当する。一方、第1の孔922は、接続部材13による閉塞が解放され、主流路M1に連通する。
【0041】
次に、術者等の操作者は、フットスイッチ等の操作部(図示略)を操作し、送水源200から生理食塩水を供給させる。これによって、送水源200から供給された生理食塩水は、
図9に矢印で示したように、主流路M1から第1の孔922を通る流路を辿った後、シース9(先端部材92)の先端から吐出され、体腔内の術場に供給される。ここで、第1の孔922の内周面とナイフ本体121の外周面との間の開口面積は、流出孔1232の開口面積よりも大きい。このため、シース9(先端部材92)の先端から吐出された生理食塩水によって術場が洗浄される。
【0042】
以上のように本実施の形態1では、主流路M1は、シース9(先端部材92)の先端側において、第1の孔922及び第2の孔120にそれぞれ連通可能とする。また、術者等の操作者によるスライダ82への操作に応じて切開部11が進退することによって、第1のモードと第2のモードとを切替可能に構成されている。当該第1のモードは、切開部11がシース9の基端側に移動することによって設定され、主流路M1と第1の孔922とが連通することで、体腔内に生理食塩水を流通させるモードである。より具体的に、第1のモードは、主流路M1と第1の孔922とが連通し、かつ、切開部11の基端側の開口が第1の壁部9211によって閉塞される状態である。当該第2のモードは、切開部11がシース9の先端側に移動することによって設定され、主流路M1と第2の孔120とが連通することで、体腔内に生理食塩水を流通させるモードである。より具体的に、第2のモードは、主流路M1と第2の孔120とが連通し、かつ、第1の孔922における基端側の開口が接続部材13によって閉塞される状態である。
【0043】
以上説明した本実施の形態1によれば、以下の効果を奏する。
本実施の形態1に係る内視鏡用処置具6では、主流路M1は、シース9(先端部材92)の先端側において、第1,第2の孔922,120にそれぞれ連通可能とする。言い換えれば、処置具挿入部7における生理食塩水を流通させる流路は、処置具挿入部7の基端側から先端側まで1つの流路(主流路M1)によって構成され、シース9(先端部材92)の先端側において、2つ(第1,第2の孔922,120)に分岐する。
また、本実施の形態1に係る内視鏡用処置具6では、術者等の操作者は、簡単な操作であるスライダ82への第1,第2の操作によって第1,第2のモードを切り替えることができる。このため、ESDにおいて、局注工程とその他の工程とで処置具を交換することなく、単体の内視鏡用処置具6によって当該局注工程とその他の工程とをそれぞれ実行することができる。
したがって、本実施の形態1に係る内視鏡用処置具6によれば、利便性を向上させることができる。
【0044】
また、本実施の形態1に係る内視鏡用処置具6では、切開部11とシース9との間には、当該切開部11の中心軸を中心とする回転を規制する回転規制構造(第2の壁部9212(溝部9213)及び回転規制部132)が設けられている。このため、ナイフ12として、当該中心軸を中心とする回転を回避する必要がある所謂、フックナイフを採用することができる。
【0045】
(実施の形態2)
次に、本実施の形態2について説明する。
以下の説明では、上述した実施の形態1と同様の構成には同一符号を付し、その詳細な説明は省略または簡略化する。
本実施の形態2に係る内視鏡用処置具6では、上述した実施の形態1において説明した内視鏡用処置具6に対して、処置具挿入部7の先端部分の構成が異なる。以下では、説明の便宜上、本実施の形態2に係る処置具挿入部を処置具挿入部7Aと記載する。
【0046】
図10及び
図11は、実施の形態2に係る処置具挿入部7Aの構成を説明する図である。具体的に、
図10は、
図2に対応した断面図である。
図11は、
図10に示したXI-XI線の位置での処置具挿入部7Aの断面図である。
処置具挿入部7Aでは、
図10及び
図11に示すように、上述した実施の形態1において説明した処置具挿入部7に対して、シース9及び切開部11の構成が異なる。以下では、説明の便宜上、本実施の形態2に係るシース及び切開部をそれぞれシース9A及び切開部11Aと記載する。
【0047】
シース9Aでは、
図10及び
図11に示すように、上述した実施の形態1において説明したシース9に対して、先端部材92の形状が異なる。以下では、説明の便宜上、本実施の形態2に係る先端部材を先端部材92Aと記載する。
なお、先端部材92Aとしては、一部品によって構成してもよく、あるいは、複数の部品を組み合わせることによって構成しても構わない。
先端部材92Aでは、
図10及び
図11に示すように、上述した実施の形態1において説明した先端部材92に対して、第1,第2の壁部9211,9212の代わりに第3の壁部9214が設けられている。
【0048】
第3の壁部9214は、
図10及び
図11に示すように、一対の支持部9215と、円環部9216とを備える。
一対の支持部9215は、
図10及び
図11に示すように、内周面921から先端部材92Aの中心軸に向けてそれぞれ直線状に突出している。
円環部9216は、
図11に示すように、先端部材92Aの中心軸と同軸となる円環形状を有し、外周面が一対の支持部9215の突端に対して接続されている。
【0049】
また、先端部材92Aでは、
図10に示すように、上述した実施の形態1において説明した先端部材92に対して、第1の孔922の形状が異なる。以下では、説明の便宜上、本実施の形態2に係る第1の孔を第1の孔922Aと記載する。
第1の孔922Aは、断面円形状を有するとともに、先端部材92Aの中心軸に沿って直線状に延在する。また、第1の孔922Aの先端側の部分は、
図10に示すように、先端に向かうにしたがって拡径している。ここで、第1の孔922Aにおける基端側の部分の内径寸法は、内周面921の内径寸法よりも小さく設定されている。また、第1の孔922Aの内径寸法は、ナイフ本体121の外径寸法よりも大きく設定されている。なお、第1の孔922Aは、好ましくは、先端部材92Aの中心軸上に位置していてもよい。
【0050】
切開部11Aでは、
図10及び
図11に示すように、上述した実施の形態1において説明した切開部11に対して、ナイフ12及び接続部材13の形状が異なる。以下では、説明の便宜上、本実施の形態2に係るナイフ及び接続部材をそれぞれナイフ12A及び接続部材13Aと記載する。
ナイフ12Aでは、
図10に示すように、上述した実施の形態1において説明したナイフ12に対して、突起部122の形状が異なる。以下では、説明の便宜上、本実施の形態2に係る処置部を突起部122Aと記載する。
突起部122Aは、ナイフ本体121の中心軸と同軸となる円板形状を有する。ここで、突起部122Aの外径寸法は、
図10に示すように、第1の孔922Aにおける先端側の部分の内径寸法よりも小さく設定されている。
【0051】
また、ナイフ12Aでは、
図10に示すように、上述した実施の形態1において説明したナイフ12に対して、ナイフ孔123の形状が異なる。以下では、説明の便宜上、本実施の形態2に係るナイフ孔をナイフ孔123Aと記載する。
ナイフ孔123Aは、
図10に示すように、ナイフ本体121の中心軸上に位置し、当該ナイフ本体121の基端から突起部122Aの先端側の端面まで当該中心軸に沿って直線状に貫通する。
【0052】
接続部材13Aは、先端部材92Aの中心軸に沿って直線状に延在する円柱部材によって構成されている。ここで、接続部材13Aの外径寸法は、円環部9216の内径寸法よりも若干小さく(
図11)、第1の孔922Aにおける基端側の部分の内径寸法よりも大きく設定されている。また、接続部材13Aには、
図10及び
図11に示すように、第1,第2の連通孔135,136が設けられている。なお、接続部材13Aは、好ましくは、先端部材92Aの中心軸上に位置していてもよい。
第1の連通孔135は、
図10に示すように、接続部材13Aの先端から基端側に向けて当該中心軸に沿って直線状に延在する。そして、接続部材13Aとナイフ本体121とが接続した状態では、第1の連通孔135は、ナイフ孔123Aに連通する。なお、第1の連通孔135は、好ましくは、接続部材13Aの中心軸上に位置していてもよい。
第2の連通孔136は、第1の連通孔135に連通するとともに、接続部材13Aの外周面上の開口に連通する十字状の孔である。
以上説明したナイフ孔123A、及び第1,第2の連通孔135,136は、切開部11Aの基端側の外周面に開口しており、本発明に係る第2の孔120A(
図10)に相当する。
【0053】
次に、本実施の形態2に係る内視鏡用処置具6の動作について説明する。以下では、説明の便宜上、上述した実施の形態1と同様に、ESDの流れを例に説明する。
図12及び
図13は、内視鏡用処置具6の動作を説明する図である。具体的に、
図12及び
図13は、
図10に対応した断面図である。
本実施の形態2では、術者等の操作者は、以下に示すように、局注工程を行う。
すなわち、術者等の操作者は、スライダ82への第2の操作によって、ナイフ12Aがシース9A(先端部材92A)の先端から最大突出長だけ突出した状態に設定する。当該状態では、接続部材13Aは、先端部材92Aの底部分920(開口周縁部分)に当接する。これによって、第1の孔922Aにおける基端側の開口は、
図12に「×」の印で示したように、接続部材13Aによって閉塞される。すなわち、接続部材13Aは、第1の孔922Aにおける基端側の開口を閉塞可能とする本発明に係る第2の閉塞部材に相当する。また、接続部材13Aは、円環部9216よりも先端側に位置付けられる。すなわち、第2の連通孔136は、円環部9216の内周面によって閉塞されず、主流路M1に連通する。
【0054】
次に、術者等の操作者は、スライダ82への第2の操作によってナイフ12Aがシース9Aの先端から最大突出長だけ突出した状態を維持しつつ、フットスイッチ等の操作部(図示略)を操作し、送水源200から生理食塩水を供給させる。これによって、送水源200から供給された生理食塩水は、
図12に矢印で示したように、主流路M1から第1,第2の連通孔135,136及びナイフ孔123Aを通る流路を辿った後、ナイフ12Aの先端から吐出される。当該吐出された生理食塩水は、対象部位T1の下方に注入される。そして、対象部位T1は、下方の粘膜下層等の他の組織から浮き上がる。
【0055】
なお、マーキング工程及び切開工程については、上述した実施の形態1と同様であるため、説明を省略する。
【0056】
また、ESDの各工程中において、術場洗浄を行う際には、術者等の操作者は、以下の操作を行う。
術者等の操作者は、スライダ82への第1の操作によって、突起部122Aのみが第1の孔922Aから先端部材92A外に突出した状態に設定する。当該状態では、
図11及び
図13に示すように、接続部材13Aが円環部9216内に挿入され、第2の連通孔136は、円環部9216の内周面に対向する位置に位置付けられる。すなわち、円環部9216の内周面が接続部材13Aの外周面(開口周縁部分)に当接することによって、第2の連通孔136(第2の孔120Aにおける基端側の開口)は、
図13に「×」の印で示したように、円環部9216の内周面によって閉塞される。すなわち、円環部9216は、シース9A内に配置され、切開部11Aの基端側の開口を閉塞可能とする本発明に係る第1の閉塞部材に相当する。一方、第1の孔922Aは、接続部材13Aによる閉塞が解放され、主流路M1に連通する。
【0057】
次に、術者等の操作者は、スライダ82への第1の操作によって突起部122Aのみが第1の孔922Aから先端部材92A外に突出した状態を維持しつつ、フットスイッチ等の操作部(図示略)を操作し、送水源200から生理食塩水を供給させる。これによって、送水源200から供給された生理食塩水は、
図13に矢印で示したように、主流路M1から第1の孔922Aを通る流路を辿った後、シース9Aの先端から吐出され、体腔内の術場に供給される。ここで、第1の孔922Aの内周面とナイフ本体121の外周面との間の開口面積は、ナイフ孔123Aの開口面積よりも大きい。このため、シース9A(先端部材92A)の先端から吐出された生理食塩水によって術場が洗浄される。
【0058】
以上のように本実施の形態2でも、上述した実施の形態1と同様に、主流路M1は、シース9A(先端部材92A)の先端側において、第1の孔922A及び第2の孔120Aにそれぞれ連通可能とする。また、術者等の操作者によるスライダ82への操作に応じて切開部11Aが進退することによって、第1のモードと第2のモードとを切替可能に構成されている。当該第1のモードは、切開部11Aがシース9Aの基端側に移動することによって設定され、主流路M1と第1の孔922Aとが連通することで、体腔内に生理食塩水を流通させるモードである。より具体的に、第1のモードは、主流路M1と第1の孔922Aとが連通し、かつ、切開部11Aの基端側の開口が円環部9216によって閉塞される状態である。当該第2のモードは、切開部11Aがシース9Aの先端側に移動することによって設定され、主流路M1と第2の孔120Aとが連通することで、体腔内に生理食塩水を流通させるモードである。より具体的に、第2のモードは、主流路M1と第2の孔120Aとが連通し、かつ、第1の孔922Aにおける基端側の開口が接続部材13Aによって閉塞される状態である。
【0059】
以上説明した本実施の形態2に係る処置具挿入部7Aを採用した場合であっても、上述した実施の形態1と同様の効果を奏する。
【0060】
(実施の形態2の変形例)
図14は、実施の形態2の変形例を説明する図である。具体的に、
図14は、
図10に対応した断面図である。
上述した実施の形態2において、第1の孔922Aの先端側の部分の形状を
図14に示した形状によって構成しても構わない。具体的に、
図14に示した本変形例に係る第1の孔922Aの先端側の部分は、先端に向かうにしたがって拡径した後、同一の径寸法を有した状態で先端部材92Aの中心軸に沿って先端に向けて直線状に延在している。
【0061】
(実施の形態3)
次に、本実施の形態3について説明する。
以下の説明では、上述した実施の形態1と同様の構成には同一符号を付し、その詳細な説明は省略または簡略化する。
本実施の形態3に係る内視鏡用処置具6では、上述した実施の形態1において説明した内視鏡用処置具6に対して、処置具挿入部7の先端部分の構成が異なる。以下では、説明の便宜上、本実施の形態3に係る処置具挿入部を処置具挿入部7Bと記載する。
【0062】
図15及び
図16は、実施の形態3に係る処置具挿入部7Bの構成を説明する図である。具体的に、
図15は、
図2に対応した断面図である。
図16は、
図15に示したXVI-XVI線の位置での処置具挿入部7Bの断面図である。
処置具挿入部7Bでは、
図15及び
図16に示すように、上述した実施の形態1において説明した処置具挿入部7に対して、シース9、ワイヤ10、及び切開部11の構成が異なる。以下では、説明の便宜上、本実施の形態3に係るシース、ワイヤ、及び切開部をそれぞれシース9B、ワイヤ10B、及び切開部11Bと記載する。
【0063】
シース9Bでは、
図15及び
図16に示すように、上述した実施の形態1において説明したシース9に対して、先端部材92の形状が異なる。以下では、説明の便宜上、本実施の形態3に係る先端部材を先端部材92Bと記載する。
なお、先端部材92Bとしては、一部品によって構成してもよく、あるいは、複数の部品を組み合わせることによって構成しても構わない。
先端部材92Bでは、
図15に示すように、上述した実施の形態1において説明した先端部材92に対して、第1,第2の壁部9211,9212が省略されている。
【0064】
また、先端部材92Bでは、
図15及び
図16に示すように、上述した実施の形態1において説明した先端部材92に対して、第1の孔922の形状が異なる。以下では、説明の便宜上、本実施の形態3に係る第1の孔を第1の孔922Bと記載する。
第1の孔922Bは、断面円形状を有するとともに、先端部材92Bの中心軸に沿って直線状に延在する。また、第1の孔922Bの先端側の部分は、
図15に示すように、先端に向かうにしたがって拡径している。ここで、第1の孔922Bにおける基端側の部分の内径寸法は、内周面921の内径寸法よりも小さく設定されている。また、第1の孔922Bにおける先端側の部分の内径寸法は、突起部122Aの外径寸法よりも大きく設定されている。さらに、第1の孔922Bの内径寸法は、ナイフ本体121の外径寸法よりも大きく設定されている。なお、第1の孔922Bは、好ましくは、先端部材92Bの中心軸上に位置していてもよい。
【0065】
また、第1の孔922Bの内面には、一対の第4の壁部9221(
図15,
図16)と、第5の壁部9222(
図15)が設けられている。
一対の第4の壁部9221は、
図15及び
図16に示すように、第1の孔922Bの内面における
図15及び
図16中、上下方向に互いに対向する部分から当該第1の孔922Bの中心軸に向けてそれぞれ突出した壁である。ここで、一対の第4の壁部9221における突端同士の離間寸法は、ナイフ本体121の外径寸法よりも若干、大きく設定されている。
第5の壁部9222は、第1の孔922Bの中心軸と同軸となる円環状の壁である。ここで、第5の壁部9222の内径寸法は、ナイフ本体121の外径寸法よりも若干、大きく設定されている。
【0066】
ワイヤ10Bでは、
図15に示すように、上述した実施の形態1において説明したワイヤ10に対して、その形状が異なり、円筒形状を有する。また、ワイヤ10B内の貫通孔101は、送水ポート812に連通する。そして、貫通孔101は、チューブTU及び送水ポート812を経由することによって、送水源200から供給された生理食塩水が流通する本発明に係る主流路M1として機能する。
【0067】
切開部11Bでは、
図15及び
図16に示すように、上述した実施の形態1において説明した切開部11に対して、接続部材13が省略されているとともに、ナイフ12の形状が異なる。以下では、説明の便宜上、本実施の形態3に係るナイフをナイフ12Bと記載する。
ナイフ12Bは、
図15に示すように、上述した実施の形態2において説明したナイフ12Aと同一の外形形状を有する。すなわち、ナイフ12Bは、ナイフ本体121と、突起部122Aとを備える。そして、ナイフ本体121は、ワイヤ10Bに対して直接、接続されている。なお、本実施の形態3では、ナイフ本体121の外周面において、基端側の部分には、当該外周面から突出し、当該ナイフ本体121の中心軸を中心とする周方向の全周に亘って延在した円環状の当接部1211が設けられている。
【0068】
また、ナイフ12Bでは、
図15に示すように、上述した実施の形態2において説明したナイフ12Aに対して、ナイフ孔123Aの形状が異なる。以下では、説明の便宜上、本実施の形態3に係るナイフ孔をナイフ孔123Bと記載する。
ナイフ孔123Bは、第2の孔本体1233(
図15)と、連通孔1234(
図15,
図16)とを備える。
【0069】
第2の孔本体1233は、
図15に示すように、ナイフ本体121の中心軸上に位置し、当該ナイフ本体121の基端から突起部122Aの先端側の端面まで当該中心軸に沿って直線状に貫通する。そして、ナイフ本体121とワイヤ10Bとが接続した状態では、第2の孔本体1233は、貫通孔101に連通する。
連通孔1234は、ナイフ本体121における長手方向の略中央部分に位置し、第2の孔本体1233に連通するとともに、
図15及び
図16において、上下方向(ナイフ本体121の径方向)に延在し、当該ナイフ本体121の外周面に開口するI字状の孔である。
以上説明したナイフ孔123Bは、本発明に係る第2の孔120B(
図15)に相当する。
【0070】
次に、本実施の形態3に係る内視鏡用処置具6の動作について説明する。以下では、説明の便宜上、上述した実施の形態1と同様に、ESDの流れを例に説明する。
図17及び
図18は、内視鏡用処置具6の動作を説明する図である。具体的に、
図17及び
図18は、
図15に対応した断面図である。
本実施の形態3では、術者等の操作者は、以下に示すように、局注工程を行う。
すなわち、術者等の操作者は、スライダ82への第2の操作によって、ナイフ12Bがシース9B(先端部材92B)の先端から最大突出長だけ突出した状態に設定する。当該状態では、当接部1211は、先端部材92Bの底部分920(開口周縁部分)に当接する。これによって、ナイフ12Bは、先端への移動が規制される。また、連通孔1234は、一対の第4の壁部9221に対向する位置に位置付けられる。その状態では、一対の第4の壁部9221がナイフ本体121の外周面(開口周縁部分)に当接することによって、第1の孔922Bと連通孔1234との間の流路は、
図17に「×」の印で示したように、一対の第4の壁部9221によって遮断される。
【0071】
次に、術者等の操作者は、スライダ82への第2の操作によってナイフ12Bがシース9Bの先端から最大突出長だけ突出した状態を維持しつつ、フットスイッチ等の操作部(図示略)を操作し、送水源200から生理食塩水を供給させる。これによって、送水源200から供給された生理食塩水は、
図17に矢印で示したように、主流路M1からナイフ孔123Bを通る流路を辿った後、ナイフ12Bの先端から吐出される。当該吐出された生理食塩水は、その水勢によって、対象部位T1の下方に注入される。そして、対象部位T1は、下方の粘膜下層等の他の組織から浮き上がる。
【0072】
なお、マーキング工程及び切開工程については、上述した実施の形態1と同様であるため、説明を省略する。
【0073】
また、ESDの各工程中において、術場洗浄を行う際には、術者等の操作者は、以下の操作を行う。
術者等の操作者は、スライダ82への第1の操作によって、突起部122Aのみが第1の孔922Bから先端部材92B外に突出した状態に設定する。当該状態では、連通孔1234は、
図18に示すように、一対の第4の壁部9221に対向する位置からずれた位置に位置付けられる。これによって、連通孔1234は、第1の孔922Bに連通する。
【0074】
次に、術者等の操作者は、スライダ82への第1の操作によって突起部122Aのみが第1の孔922Bから先端部材92B外に突出した状態を維持しつつ、フットスイッチ等の操作部(図示略)を操作し、送水源200から生理食塩水を供給させる。これによって、送水源200から供給された生理食塩水は、
図18に矢印で示したように、主流路M1からナイフ孔123Bを通る流路を辿った後にナイフ12Bの先端から吐出されるとともに、主流路M1からナイフ孔123B、連通孔1234、及び第1の孔922Bを通る流路を辿った後にシース9Bの先端から吐出され、術場に供給される。ここで、主流路M1を辿った生理食塩水は、ナイフ孔123B及び第1の孔922Bの双方から吐出される。このため、ナイフ孔123B及び第1の孔922Bの双方から吐出された生理食塩水によって術場が洗浄される。
【0075】
以上のように本実施の形態3でも、上述した実施の形態1と同様に、主流路M1は、シース9B(先端部材92B)の先端側において、第1の孔922B及び第2の孔120Bにそれぞれ連通可能とする。また、術者等の操作者によるスライダ82への操作に応じて切開部11Bが進退することによって、第1のモードと第2のモードとを切替可能に構成されている。当該第1のモードは、切開部11Bがシース9Bの基端側に移動することによって設定され、主流路M1と第1の孔922B及び第2の孔120Bとが連通することで、体腔内に生理食塩水を流通させるモードである。当該第2のモードは、切開部11Bがシース9Bの先端側に移動することによって設定され、主流路M1と第2の孔120Bとが連通することで、体腔内に生理食塩水を流通させるモードである。
【0076】
以上説明した本実施の形態3に係る処置具挿入部7Bを採用した場合であっても、上述した実施の形態1と同様の効果を奏する。
【0077】
(実施の形態4)
次に、本実施の形態4について説明する。
以下の説明では、上述した実施の形態1と同様の構成には同一符号を付し、その詳細な説明は省略または簡略化する。
本実施の形態4に係る内視鏡用処置具6では、上述した実施の形態1において説明した内視鏡用処置具6に対して、処置具挿入部7の先端部分の構成が異なる。以下では、説明の便宜上、本実施の形態4に係る処置具挿入部を処置具挿入部7Cと記載する。
【0078】
図19ないし
図23は、実施の形態4に係る処置具挿入部7Cの構成を説明する図である。具体的に、
図19は、
図2に対応した断面図である。
図20は、
図19に示したXX-XX線の位置での処置具挿入部7Cの断面図である。
図21は、
図19に示したXXI-XXI線の位置での処置具挿入部7Cの断面図である。
図22は、
図19に示したXXII-XXII線の位置での処置具挿入部7Cの断面図である。
図23は、
図19に示したXXIII-XXIII線の位置での処置具挿入部7Cの断面図である。
処置具挿入部7Cでは、
図19ないし
図23に示すように、上述した実施の形態1において説明した処置具挿入部7に対して、シース9及び切開部11の構成が異なる。以下では、説明の便宜上、本実施の形態4に係るシース及び切開部をそれぞれシース9C及び切開部11Cと記載する。
【0079】
シース9Cでは、
図19ないし
図23に示すように、上述した実施の形態1において説明したシース9に対して、先端部材92の形状が異なる。以下では、説明の便宜上、本実施の形態3に係る先端部材を先端部材92Cと記載する。
なお、先端部材92Cとしては、一部品によって構成してもよく、あるいは、複数の部品を組み合わせることによって構成しても構わない。
先端部材92Cでは、
図19に示すように、上述した実施の形態1において説明した先端部材92に対して、第1の壁部9211が省略されている。
【0080】
また、先端部材92Cでは、
図19及び
図20に示すように、上述した実施の形態1において説明した先端部材92に対して、第1の孔922の形状が異なる。以下では、説明の便宜上、本実施の形態4に係る第1の孔を第1の孔922Cと記載する。
第1の孔922Cは、上述した実施の形態1において説明した第1の孔922に対して、
図19及び
図20中、上方側の形状が異なる。具体的に、第1の孔922Cの上方側は、ナイフ本体121との間で所定の隙間があり、第1の孔922C(先端部材92Cの内周面)は径方向に拡がり、主流路M1と連通している。
【0081】
切開部11Cでは、
図19ないし
図23に示すように、上述した実施の形態1において説明した切開部11に対して、ナイフ12及び接続部材13の形状が異なる。以下では、説明の便宜上、本実施の形態4に係るナイフ及び接続部材をそれぞれナイフ12C及び接続部材13Cと記載する。
ナイフ12Cは、
図19に示すように、上述した実施の形態2において説明したナイフ12Aと同一の外形形状を有する。すなわち、ナイフ12Cは、ナイフ本体121と、突起部122Aとを備える。
【0082】
また、ナイフ12Cでは、
図19に示すように、上述した実施の形態2において説明したナイフ12Aに対して、ナイフ孔123Aの形状が異なる。以下では、説明の便宜上、本実施の形態4に係るナイフ孔をナイフ孔123Cと記載する。
ナイフ孔123Cは、第2の孔本体1235(
図19,
図20)と、連通孔1236(
図19,
図21)とを備える。
【0083】
第2の孔本体1235は、
図19に示すように、突起部122Aの先端側の端面から基端側に向けてナイフ本体121の中心軸に沿って直線状に延在する。なお、第2の孔本体1235は、好ましくは、ナイフ本体121の中心軸上に位置していてもよい。
連通孔1236は、
図19及び
図21に示すように、第2の孔本体1233における基端側の部分に連通するとともに、
図19及び
図21において、ナイフ本体121の外周面に向かって延在しており、ナイフ本体121の外周面に開口する。
以上説明したナイフ孔123Cは、切開部11Cの基端側の外周面に開口しており、本発明に係る第2の孔120C(
図19)に相当する。
【0084】
接続部材13Cでは、
図19、
図21ないし
図23に示すように、上述した実施の形態1において説明した接続部材13に対して、連通孔134が省略されている。なお、
図19、
図21ないし
図23では、説明の便宜上、嵌合孔133の図示を省略している。
【0085】
次に、本実施の形態4に係る内視鏡用処置具6の動作について説明する。以下では、説明の便宜上、上述した実施の形態1と同様に、ESDの流れを例に説明する。
図24及び
図25は、内視鏡用処置具6の動作を説明する図である。具体的に、
図24及び
図25は、
図19に対応した断面図である。
本実施の形態4では、術者等の操作者は、以下に示すように、局注工程を行う。
すなわち、術者等の操作者は、スライダ82への第1の操作によって、突起部122Aのみが第1の孔922Cから先端部材92C外に突出した状態、すなわち、突起部122Aが第1の孔922Cから突出し、かつ第1の孔922C内にナイフ本体121が位置した状態に設定する。当該状態では、連通孔1236は、
図24に示すように、第1の孔922Cの内面から離間する位置に位置付けられ、隙間が生じる。これによって、連通孔1236は、当該隙間を介して主流路M1に連通する。一方、第1の孔922Cの先端側は、
図24に「×」の印で示したように、突起部122Aがシース9C(先端部材92C)の先端に当接するので、突起部122Aによって閉塞される。すなわち、突起部122Aは、第1の孔922Cにおける先端側の開口を閉塞可能とする本発明に係る第2の閉塞部材に相当する。
【0086】
次に、術者等の操作者は、スライダ82への第1の操作によって突起部122Aのみが第1の孔922Cから先端部材92C外に突出した状態を維持しつつ、フットスイッチ等の操作部(図示略)を操作し、送水源200から生理食塩水を供給させる。これによって、送水源200から供給された生理食塩水は、
図24に矢印で示したように、主流路M1から連通孔1236及び第2の孔本体1235を通る流路を辿った後、ナイフ12Cの先端から吐出される。当該吐出された生理食塩水は、その水勢によって、対象部位T1の下方に注入される。そして、対象部位T1は、下方の粘膜下層等の他の組織から浮き上がる。
【0087】
なお、マーキング工程及び切開工程については、上述した実施の形態1と同様であるため、説明を省略する。
【0088】
また、ESDの各工程中において、術場洗浄を行う際には、術者等の操作者は、以下の操作を行う。
術者等の操作者は、スライダ82への第2の操作によって、ナイフ12Cがシース9Cの先端から最大突出長だけ突出した状態に設定する。当該状態では、
図25に示すように、連通孔1236は、第1の孔922Cの内面に当接する位置に位置付けられる。これによって、連通孔1236と主流路M1との間の流路は、
図25に「×」の印で示したように、第1の孔922Cの内面によって遮断される。すなわち、第1の孔922Cの内面は、シース9C内に配置され、切開部11Cの基端側の開口を閉塞可能とする本発明に係る第1の閉塞部材に相当する。一方、当該状態では、第1の孔922Cの先端側は、突起部122Aがシース9C(先端部材92C)の先端から離間するので、突起部122Aによる閉塞が解放される。
【0089】
次に、術者等の操作者は、スライダ82への第2の操作によってナイフ12Cがシース9Cの先端から最大突出長だけ突出した状態を維持しつつ、フットスイッチ等の操作部(図示略)を操作し、送水源200から生理食塩水を供給させる。これによって、送水源200から供給された生理食塩水は、
図25に矢印で示したように、主流路M1から第1の孔922Cを通る流路を辿った後、シース9Cの先端から吐出され、術場に供給される。ここで、第1の孔922Cの内周面とナイフ本体121の外周面との間の開口面積は、第2の孔本体1235の開口面積よりも大きい。このため、シース9C(先端部材92C)の先端から吐出された生理食塩水によって術場が洗浄される。
【0090】
以上のように本実施の形態4では、上述した実施の形態1と同様に、主流路M1は、シース9C(先端部材92C)の先端側において、第1の孔922C及び第2の孔120Cにそれぞれ連通可能とする。また、術者等の操作者によるスライダ82への操作に応じて切開部11Cが進退することによって、第1のモードと第2のモードとを切替可能に構成されている。当該第1のモードは、切開部11Cがシース9Cの先端側に移動することによって設定され、主流路M1と第1の孔922Cとが連通することで、体腔内に生理食塩水を流通させるモードである。より具体的に、第1のモードは、主流路M1と第1の孔922Cとが連通し、かつ、切開部11Cの基端側の開口が第1の孔922Cの内面によって閉塞される状態である。当該第2のモードは、切開部11Cがシース9Cの基端側に移動することによって設定され、主流路M1と第2の孔120Cとが連通することで、体腔内に生理食塩水を流通させるモードである。より具体的に、第2のモードは、主流路M1と第2の孔120Cとが連通し、かつ、第1の孔922Cにおける先端側の開口が突起部122Aによって閉塞される状態である。
【0091】
以上説明した本実施の形態4に係る処置具挿入部7Cを採用した場合であっても、上述した実施の形態1と同様の効果を奏する。
【0092】
(実施の形態5)
次に、本実施の形態5について説明する。
以下の説明では、上述した実施の形態1と同様の構成には同一符号を付し、その詳細な説明は省略または簡略化する。
本実施の形態5に係る内視鏡用処置具6では、上述した実施の形態1において説明した内視鏡用処置具6に対して、処置具挿入部7の先端部分の構成が異なる。以下では、説明の便宜上、本実施の形態5に係る処置具挿入部を処置具挿入部7Dと記載する。
【0093】
図26ないし
図31は、実施の形態5に係る処置具挿入部7Dの構成を説明する図である。具体的に、
図26は、
図2に対応した断面図である。
図27は、
図26に示したXXVII-XXVII線の位置での処置具挿入部7Dの断面図である。
図28は、
図26に示したXXVIII-XXVIII線の位置での処置具挿入部7Dの断面図である。
図29は、
図26に示したXXIX-XXIX線の位置での処置具挿入部7Dの断面図である。
図30は、
図26に示したXXX-XXX線の位置での処置具挿入部7Dの断面図である。
図31は、
図26に示したXXXI-XXXI線の位置での処置具挿入部7Dの断面図である。
処置具挿入部7Dでは、
図26ないし
図31に示すように、上述した実施の形態1において説明した処置具挿入部7に対して、シース9及び切開部11の構成が異なる。以下では、説明の便宜上、本実施の形態5に係るシース及び切開部をそれぞれシース9D及び切開部11Dと記載する。
【0094】
シース9Dでは、
図26ないし
図31に示すように、上述した実施の形態1において説明したシース9に対して、先端部材92の形状が異なる。以下では、説明の便宜上、本実施の形態5に係る先端部材を先端部材92Dと記載する。
なお、先端部材92Dとしては、一部品によって構成してもよく、あるいは、複数の部品を組み合わせることによって構成しても構わない。
先端部材92Dでは、
図26及び
図31に示すように、上述した実施の形態1において説明した先端部材92に対して、第1,第2の壁部9211,9212の代わりに、上述した実施の形態2において説明した第3の壁部9214が設けられている。なお、本実施の形態5では、第3の壁部9214を構成する円環部9216内には、
図31に示すように、ワイヤ10が挿通される。
【0095】
切開部11Dでは、
図26ないし
図30に示すように、上述した実施の形態1において説明した切開部11に対して、ナイフ12の代わりに上述した実施の形態2において説明したナイフ12Aが採用されているとともに、接続部材13の形状が異なる。以下では、説明の便宜上、本実施の形態5に係る接続部材を接続部材13Dと記載する。
接続部材13Dは、先端部材92Dの中心軸に沿って直線状に延在する円柱部材によって構成されている。ここで、接続部材13Dの外径寸法は、第1の孔922の内径寸法よりも若干、小さく、円環部9216の内径寸法よりも大きく設定されている。また、接続部材13Dには、
図26、
図28、及び
図29に示すように、第1,第2の連通孔137,138と、一対の第3の連通孔139とが設けられている。なお、接続部材13Dは、好ましくは、先端部材92Dの中心軸上に位置していてもよい。
【0096】
第1の連通孔137は、
図26に示すように、接続部材13Dの先端から基端側に向けて当該接続部材13Dの中心軸に沿って直線状に延在する。そして、接続部材13Dとナイフ本体121とが接続した状態では、第1の連通孔137は、ナイフ孔123Aに連通する。なお、第1の連通孔137は、好ましくは、接続部材13Dの中心軸上に位置していてもよい。
第2の連通孔138は、接続部材13Dにおける長手方向の略中央部分に位置し、第1の連通孔137に連通するとともに、
図26及び
図29において、上下方向(接続部材13Dの径方向)に延在し、当該接続部材13Dの外周面に開口するI字状の孔である。
以上説明したナイフ孔123A、及び第1,第2の連通孔137,138は、切開部11Dの基端側の外周面に開口しており、本発明に係る第2の孔120D(
図26)に相当する。
【0097】
一対の第3の連通孔139は、
図28に示すように、第1の連通孔137を挟んだ両側に位置し、接続部材13Dにおける先端から基端まで当該接続部材13Dの中心軸に沿って直線状に貫通する孔である。なお、一対の第3の連通孔139は、第1,第2の連通孔137,138とは連通していない。
【0098】
次に、本実施の形態5に係る内視鏡用処置具6の動作について説明する。以下では、説明の便宜上、上述した実施の形態1と同様に、ESDの流れを例に説明する。
図32及び
図33は、内視鏡用処置具6の動作を説明する図である。具体的に、
図32及び
図33は、
図26に対応した断面図である。
本実施の形態5では、術者等の操作者は、以下に示すように、局注工程を行う。
すなわち、術者等の操作者は、スライダ82への第1の操作によって、突起部122Aのみが第1の孔922から先端部材92D外に突出した状態、すなわち、突起部122Aが第1の孔922から突出し、かつ第1の孔922内にナイフ本体121が位置した状態に設定する。当該状態では、接続部材13Dは、
図32に示すように、先端側が第1の孔922に挿通されつつ、基端が円環部9216の先端側の端面に当接する。その状態では、接続部材13Dの先端側が第1の孔922に挿通され、かつ、一対の第3の連通孔139が円環部9216によって閉塞されることによって、第1の孔922と主流路M1との間の流路は、
図32に「×」の印で示したように、接続部材13Dによって遮断される。すなわち、接続部材13Dは、第1の孔922における基端側の開口を閉塞可能とする本発明に係る第3の閉塞部材に相当する。また、一対の第3の連通孔139と主流路M1との間の流路は、
図32に「×」の印で示したように、円環部9216によって遮断される。一方、第2の連通孔138は、第1の孔922の内面からずれた位置に位置付けられる。これによって、第2の連通孔138は、主流路M1に連通する。
【0099】
次に、術者等の操作者は、スライダ82への第1の操作によって突起部122Aのみが第1の孔922から先端部材92D外に突出した状態を維持しつつ、フットスイッチ等の操作部(図示略)を操作し、送水源200から生理食塩水を供給させる。これによって、送水源200から供給された生理食塩水は、
図32に矢印で示したように、主流路M1から第2の連通孔138、第1の連通孔137、及びナイフ孔123Aを通る流路を辿った後、ナイフ12Aの先端から吐出される。当該吐出された生理食塩水は、その水勢によって、対象部位T1の下方に注入される。そして、対象部位T1は、下方の粘膜下層等の他の組織から浮き上がる。
【0100】
なお、マーキング工程及び切開工程については、上述した実施の形態1と同様であるため、説明を省略する。
【0101】
また、ESDの各工程中において、術場洗浄を行う際には、術者等の操作者は、以下の操作を行う。
術者等の操作者は、スライダ82への第2の操作によって、ナイフ12Aがシース9Dの先端から最大突出長だけ突出した状態に設定する。当該状態では、接続部材13Dの基端は、
図33に示すように、円環部9216から離間する。そして、第1の孔922は、一対の第3の連通孔139を経由することによって、主流路M1に連通する。一方、第2の連通孔138は、第1の孔922の内面に対向する位置に位置付けられる。その状態では、第1の孔922の内面が接続部材13Dの外周面(開口周縁部分)に当接することによって、第2の連通孔138と主流路M1との間の流路は、
図33に「×」の印で示したように、第1の孔922の内面によって遮断される。すなわち、第1の孔922の内面は、シース9D内に配置され、切開部11Dの基端側の開口を閉塞可能とする本発明に係る第1の閉塞部材に相当する。
【0102】
次に、術者等の操作者は、スライダ82への第2の操作によってナイフ12Aがシース9Dの先端から最大突出長だけ突出した状態を維持しつつ、フットスイッチ等の操作部(図示略)を操作し、送水源200から生理食塩水を供給させる。これによって、送水源200から供給された生理食塩水は、
図33に矢印で示したように、主流路M1から第3の連通孔139及び第1の孔922を通る流路を辿った後、シース9Dの先端から吐出され、術場に供給される。ここで、第1の孔922の内周面とナイフ本体121の外周面との間の開口面積は、ナイフ孔123Aの開口面積よりも大きい。このため、シース9D(先端部材92D)の先端から吐出された生理食塩水によって術場が洗浄される。
【0103】
以上のように本実施の形態5では、上述した実施の形態1と同様に、主流路M1は、シース9D(先端部材92D)の先端側において、第1の孔922及び第2の孔120Dにそれぞれ連通可能とする。また、術者等の操作者によるスライダ82への操作に応じて切開部11Dが進退することによって、第1のモードと第2のモードとを切替可能に構成されている。当該第1のモードは、切開部11Dがシース9Dの先端側に移動することによって設定され、主流路M1と第1の孔922とが連通することで、体腔内に生理食塩水を流通させるモードである。より具体的に、第1のモードは、主流路M1と第1の孔922とが連通し、かつ、切開部11Dの基端側の開口が第1の孔922の内面によって閉塞される状態である。当該第2のモードは、切開部11Dがシース9Dの基端側に移動することによって設定され、主流路M1と第2の孔120Dとが連通することで、体腔内に生理食塩水を流通させるモードである。より具体的に、第2のモードは、主流路M1と第2の孔120Dとが連通し、かつ、第1の孔922における基端側の開口が接続部材13Dによって閉塞される状態である。
【0104】
以上説明した本実施の形態5に係る処置具挿入部7Dを採用した場合であっても、上述した実施の形態1と同様の効果を奏する。
【0105】
(実施の形態6)
次に、本実施の形態6について説明する。
以下の説明では、上述した実施の形態1と同様の構成には同一符号を付し、その詳細な説明は省略または簡略化する。
本実施の形態6に係る内視鏡用処置具6では、上述した実施の形態1において説明した内視鏡用処置具6に対して、処置具挿入部7の先端部分の構成が異なる。以下では、説明の便宜上、本実施の形態6に係る処置具挿入部を処置具挿入部7Eと記載する。
【0106】
図34及び
図35は、実施の形態6に係る処置具挿入部7Eの構成を説明する図である。具体的に、
図34は、
図2に対応した断面図である。
図35は、
図34に示したXXXV-XXXV線の位置での処置具挿入部7Eの断面図である。
処置具挿入部7Eでは、
図34及び
図35に示すように、上述した実施の形態1において説明した処置具挿入部7に対して、シース9及び切開部11の構成が異なる。以下では、説明の便宜上、本実施の形態6に係るシース及び切開部をそれぞれシース9E及び切開部11Eと記載する。
【0107】
シース9Eでは、
図34及び
図35に示すように、上述した実施の形態1において説明したシース9に対して、先端部材92の形状が異なる。以下では、説明の便宜上、本実施の形態6に係る先端部材を先端部材92Eと記載する。
なお、先端部材92Eとしては、一部品によって構成してもよく、あるいは、複数の部品を組み合わせることによって構成しても構わない。
先端部材92Eでは、
図34及び
図35に示すように、上述した実施の形態1において説明した先端部材92に対して、第1,第2の壁部9211,9212の代わりに、上述した実施の形態2において説明した第3の壁部9214が設けられている。
【0108】
切開部11Eでは、
図34及び
図35に示すように、上述した実施の形態1において説明した切開部11に対して、ナイフ12及び接続部材13の形状が異なる。以下では、説明の便宜上、本実施の形態6に係るナイフ及び接続部材をそれぞれナイフ12E及び接続部材13Eと記載する。
ナイフ12Eは、
図34に示すように、上述した実施の形態2において説明したナイフ12Aと同一の外形形状を有する。すなわち、ナイフ12Eは、ナイフ本体121と、突起部122Aとを備える。なお、本実施の形態6では、ナイフ本体121の外径寸法は、円環部9216の内径寸法よりも若干、小さく設定されている。そして、ナイフ本体121は、円環部9216内に挿通される。
【0109】
また、ナイフ12Eでは、
図34に示すように、上述した実施の形態2において説明したナイフ12Aに対して、ナイフ孔123Aの形状が異なる。以下では、説明の便宜上、本実施の形態6に係るナイフ孔をナイフ孔123Eと記載する。
ナイフ孔123Eは、第2の孔本体1237(
図34)と、連通孔1238(
図34,
図35)とを備える。
【0110】
第2の孔本体1237は、
図34に示すように、突起部122Aの先端側の端面から基端側に向けてナイフ本体121の中心軸に沿って直線状に延在する。なお、第2の孔本体1237は、好ましくは、ナイフ本体121の中心軸上に位置していてもよい。
連通孔1238は、
図34及び
図35に示すように、第2の孔本体1237における基端側の部分に連通するとともに、ナイフ本体121の外周面に開口する十字状の孔である。
以上説明したナイフ孔123Eは、切開部11Eの基端側の外周面に開口しており、本発明に係る第2の孔120E(
図34)に相当する。
【0111】
接続部材13Eは、先端部材92Eの中心軸上に位置し、当該中心軸に沿って直線状に延在する円柱部材によって構成されている。ここで、接続部材13Eの外径寸法は、円環部9216の内径寸法よりも大きく設定されている。
【0112】
次に、本実施の形態6に係る内視鏡用処置具6の動作について説明する。以下では、説明の便宜上、上述した実施の形態1と同様に、ESDの流れを例に説明する。
図36及び
図37は、内視鏡用処置具6の動作を説明する図である。具体的に、
図36及び
図37は、
図34に対応した断面図である。
本実施の形態6では、術者等の操作者は、以下に示すように、局注工程を行う。
すなわち、術者等の操作者は、スライダ82への第1の操作によって、突起部122Aのみが第1の孔922から先端部材92E外に突出した状態に設定する。当該状態では、連通孔1238は、
図36に示すように、円環部9216の内周面からずれた位置に位置付けられる。これによって、連通孔1238は、主流路M1に連通する。一方、第1の孔922の先端側は、
図36に「×」の印で示したように、突起部122Aがシース9E(先端部材92E)の先端に当接するので、突起部122Aによって閉塞される。すなわち、突起部122Aは、第1の孔922における先端側の開口を閉塞可能とする本発明に係る第2の閉塞部材に相当する。
【0113】
次に、術者等の操作者は、スライダ82への第1の操作によって突起部122Aのみが第1の孔922から先端部材92E外に突出した状態、すなわち、突起部122Aが第1の孔922から突出し、かつ第1の孔922内にナイフ本体121が位置した状態を維持しつつ、フットスイッチ等の操作部(図示略)を操作し、送水源200から生理食塩水を供給させる。これによって、送水源200から供給された生理食塩水は、
図36に矢印で示したように、主流路M1から連通孔1238及び第2の孔本体1237を通る流路を辿った後、ナイフ12Eの先端から吐出される。当該吐出された生理食塩水は、その水勢によって、対象部位T1の下方に注入される。そして、対象部位T1は、下方の粘膜下層等の他の組織から浮き上がる。
【0114】
なお、マーキング工程及び切開工程については、上述した実施の形態1と同様であるため、説明を省略する。
【0115】
また、ESDの各工程中において、術場洗浄を行う際には、術者等の操作者は、以下の操作を行う。
術者等の操作者は、スライダ82への第2の操作によって、ナイフ12Eがシース9Eの先端から最大突出長だけ突出した状態に設定する。当該状態では、接続部材13Eの先端は、円環部9216における基端側の端面に当接する。また、連通孔1238は、
図37に示すように、円環部9216の内周面に対向する位置に位置付けられる。その状態では、円環部9216の内周面がナイフ本体121の外周面(開口周縁部分)に当接することによって、連通孔1238と主流路M1との間の流路は、
図37に「×」の印で示したように、円環部9216によって遮断される。すなわち、円環部9216は、シース9E内に配置され、切開部11Eの基端側の開口を閉塞可能とする本発明に係る第1の閉塞部材に相当する。一方、第1の孔922の先端側は、突起部122Aによる閉塞が解放される。
【0116】
次に、術者等の操作者は、スライダ82への第2の操作によってナイフ12Eがシース9Eの先端から最大突出長だけ突出した状態を維持しつつ、フットスイッチ等の操作部(図示略)を操作し、送水源200から生理食塩水を供給させる。これによって、送水源200から供給された生理食塩水は、
図37に矢印で示したように、主流路M1から第1の孔922を通る流路を辿った後、シース9Eの先端から吐出され、術場に供給される。ここで、第1の孔922の内周面とナイフ本体121の外周面との間の開口面積は、第2の孔本体1237の開口面積よりも大きい。このため、シース9E(先端部材92E)の先端から吐出された生理食塩水によって術場が洗浄される。
【0117】
以上のように本実施の形態6では、上述した実施の形態1と同様に、主流路M1は、シース9E(先端部材92E)の先端側において、第1の孔922及び第2の孔120Eにそれぞれ連通可能とする。また、術者等の操作者によるスライダ82への操作に応じて切開部11Eが進退することによって、第1のモードと第2のモードとを切替可能に構成されている。当該第1のモードは、切開部11Eがシース9Eの先端側に移動することによって設定され、主流路M1と第1の孔922とが連通することで、体腔内に生理食塩水を流通させるモードである。より具体的に、第1のモードは、主流路M1と第1の孔922とが連通し、かつ、切開部11Eの基端側の開口が円環部9216によって閉塞される状態である。当該第2のモードは、切開部11Eがシース9Eの基端側に移動することによって設定され、主流路M1と第2の孔120Eとが連通することで、体腔内に生理食塩水を流通させるモードである。より具体的に、第2のモードは、主流路M1と第2の孔120Eとが連通し、かつ、第1の孔922における先端側の開口が突起部122Aによって閉塞される状態である。
【0118】
以上説明した本実施の形態6に係る処置具挿入部7Eを採用した場合であっても、上述した実施の形態1と同様の効果を奏する。
【0119】
(実施の形態7)
次に、本実施の形態7について説明する。
以下の説明では、上述した実施の形態1と同様の構成には同一符号を付し、その詳細な説明は省略または簡略化する。
本実施の形態7に係る内視鏡用処置具6では、上述した実施の形態1において説明した内視鏡用処置具6に対して、処置具挿入部7の先端部分の構成が異なる。以下では、説明の便宜上、本実施の形態7に係る処置具挿入部を処置具挿入部7Fと記載する。
【0120】
図38及び
図39は、実施の形態7に係る処置具挿入部7Fの構成を説明する図である。具体的に、
図38は、
図2に対応した断面図である。
図39は、
図38に示したXXXIX-XXXIX線の位置での処置具挿入部7Eの断面図である。
処置具挿入部7Fでは、
図38及び
図39に示すように、上述した実施の形態1において説明した処置具挿入部7に対して、シース9及び切開部11の構成が異なる。以下では、説明の便宜上、本実施の形態7に係るシース及び切開部をそれぞれシース9F及び切開部11Fと記載する。
【0121】
シース9Fでは、
図38及び
図39に示すように、上述した実施の形態1において説明したシース9に対して、先端部材92の形状が異なる。以下では、説明の便宜上、本実施の形態7に係る先端部材を先端部材92Fと記載する。
なお、先端部材92Fとしては、一部品によって構成してもよく、あるいは、複数の部品を組み合わせることによって構成しても構わない。
先端部材92Fでは、
図38及び
図39に示すように、上述した実施の形態1において説明した先端部材92に対して、第1,第2の壁部9211,9212の代わりに、上述した実施の形態2において説明した第3の壁部9214と略同様の第3の壁部9214Fが設けられている。
【0122】
第3の壁部9214では、
図38及び
図39に示すように、上述した実施の形態2において説明した第3の壁部9214に対して、円環部9216の内周面の形状が異なる。以下では、説明の便宜上、本実施の形態7に係る円環部を円環部9216Fと記載する。
円環部9216Fの内周面は、
図38及び
図39に示すように、先端側に向かうにしたがって内径寸法が小さくなる円錐台形状を有する。
【0123】
切開部11Fでは、
図38及び
図39に示すように、上述した実施の形態1において説明した切開部11に対して、ナイフ12の代わりに上述した実施の形態2において説明したナイフ12Aが採用されているとともに、接続部材13の形状が異なる。以下では、説明の便宜上、本実施の形態7に係る接続部材を接続部材13Fと記載する。
接続部材13Fは、先端部材92Fの中心軸に沿って延在し、円環部9216Fの内周面と略同一の円錐台形状を有する。また、接続部材13Fには、
図38及び
図39に示すように、第1,第2の連通孔130F1,130F2が設けられている。なお、接続部材13Fは、好ましくは、先端部材92Fの中心軸上に位置していてもよい。
【0124】
第1の連通孔130F1は、
図38に示すように、接続部材13Fの先端から基端側に向けて当該接続部材13Fの中心軸に沿って直線状に延在する。そして、接続部材13Fとナイフ本体121とが接続した状態では、第1の連通孔130F1は、ナイフ孔123Aに連通する。なお、第1の連通孔130F1は、好ましくは、接続部材13Fの中心軸上に位置していてもよい。
第2の連通孔130F2は、
図38及び
図39に示すように、接続部材13Fにおける長手方向の略中央部分に位置し、第1の連通孔130F1に連通するとともに、当該接続部材13Fの外周面に開口する十字状の孔である。
以上説明したナイフ孔123A、及び第1,第2の連通孔130F1,130F2は、切開部11Fの基端側の外周面に開口しており、本発明に係る第2の孔120F(
図38)に相当する。
【0125】
次に、本実施の形態7に係る内視鏡用処置具6の動作について説明する。以下では、説明の便宜上、上述した実施の形態1と同様に、ESDの流れを例に説明する。
図40及び
図41は、内視鏡用処置具6の動作を説明する図である。具体的に、
図40及び
図41は、
図38に対応した断面図である。
本実施の形態7では、術者等の操作者は、以下に示すように、局注工程を行う。
すなわち、術者等の操作者は、スライダ82への第1の操作によって、突起部122Aのみが第1の孔922から先端部材92F外に突出した状態に設定する。当該状態では、接続部材13Fは、
図40に示すように、円環部9216Fの内周面から基端側に離間した位置に位置付けられる。これによって、第2の連通孔130F2は、主流路M1に連通する。一方、第1の孔922の先端側は、
図40に「×」の印で示したように、突起部122Aがシース9F(先端部材92F)の先端に当接するので、突起部122Aによって閉塞される。すなわち、突起部122Aは、第1の孔922における先端側の開口を閉塞可能とする本発明に係る第2の閉塞部材に相当する。
【0126】
次に、術者等の操作者は、スライダ82への第1の操作によって突起部122Aのみが第1の孔922から先端部材92F外に突出した状態を維持しつつ、フットスイッチ等の操作部(図示略)を操作し、送水源200から生理食塩水を供給させる。これによって、送水源200から供給された生理食塩水は、
図40に矢印で示したように、主流路M1から第2の連通孔130F2、第1の連通孔130F1、及びナイフ孔123Aを通る流路を辿った後、ナイフ12Aの先端から吐出される。当該吐出された生理食塩水は、その水勢によって、対象部位T1の下方に注入される。そして、対象部位T1は、下方の粘膜下層等の他の組織から浮き上がる。
【0127】
なお、マーキング工程及び切開工程については、上述した実施の形態1と同様であるため、説明を省略する。
【0128】
また、ESDの各工程中において、術場洗浄を行う際には、術者等の操作者は、以下の操作を行う。
術者等の操作者は、スライダ82への第2の操作によって、ナイフ12Aがシース9Fの先端から最大突出長だけ突出した状態に設定する。当該状態では、接続部材13Fは、
図41に示すように、円環部9216Fの内周面に当接する。その状態では、円環部9216Fの内周面が接続部材13Fの外周面(開口周縁部分)に当接することによって、第2の連通孔130F2と主流路M1との間の流路は、
図41に「×」の矢印で示したように、円環部9216Fによって遮断される。すなわち、円環部9216は、シース9F内に配置され、切開部11Fの基端側の開口を閉塞可能とする本発明に係る第1の閉塞部材に相当する。一方、第1の孔922の先端側は、突起部122Aによる閉塞が解放される。
【0129】
次に、術者等の操作者は、スライダ82への第2の操作によってナイフ12Aがシース9Fの先端から最大突出長だけ突出した状態を維持しつつ、フットスイッチ等の操作部(図示略)を操作し、送水源200から生理食塩水を供給させる。これによって、送水源200から供給された生理食塩水は、
図41に矢印で示したように、主流路M1から第1の孔922を通る流路を辿った後、シース9Fの先端から吐出され、術場に供給される。ここで、第1の孔922の内周面とナイフ本体121の外周面との間の開口面積は、ナイフ孔123Aの開口面積よりも大きい。このため、シース9F(先端部材92F)の先端から吐出された生理食塩水によって術場が洗浄される。
【0130】
以上のように本実施の形態7では、上述した実施の形態1と同様に、主流路M1は、シース9F(先端部材92F)の先端側において、第1の孔922及び第2の孔120Fにそれぞれ連通可能とする。また、術者等の操作者によるスライダ82への操作に応じて切開部11Fが進退することによって、第1のモードと第2のモードとを切替可能に構成されている。当該第1のモードは、切開部11Fがシース9Fの先端側に移動することによって設定され、主流路M1と第1の孔922とが連通することで、体腔内に生理食塩水を流通させるモードである。より具体的に、第1のモードは、主流路M1と第1の孔922とが連通し、かつ、切開部11Fの基端側の開口が円環部9216Fによって閉塞される状態である。当該第2のモードは、切開部11Fがシース9Fの基端側に移動することによって設定され、主流路M1と第2の孔120Fとが連通することで、体腔内に生理食塩水を流通させるモードである。より具体的に、第2のモードは、主流路M1と第2の孔120Fとが連通し、かつ、第1の孔922における先端側の開口が突起部122Aによって閉塞される状態である。
【0131】
以上説明した本実施の形態7に係る処置具挿入部7Fを採用した場合であっても、上述した実施の形態1と同様の効果を奏する。
特に、円環部9216の内周面及び接続部材13Fを円錐台形状としているため、第1のモードにおいて、生理食塩水が第2の孔120Fに漏れてしまうことを抑制することができる。
【0132】
(実施の形態8)
次に、本実施の形態8について説明する。
以下の説明では、上述した実施の形態1と同様の構成には同一符号を付し、その詳細な説明は省略または簡略化する。
本実施の形態8に係る内視鏡用処置具6では、上述した実施の形態1において説明した内視鏡用処置具6に対して、処置具挿入部7の先端部分の構成が異なる。以下では、説明の便宜上、本実施の形態8に係る処置具挿入部を処置具挿入部7Gと記載する。
【0133】
図42及び
図43は、実施の形態8に係る処置具挿入部7Gの構成を説明する図である。具体的に、
図42は、
図2に対応した断面図である。
図43は、
図42に示したXXXXIII-XXXXIII線の位置での処置具挿入部7Gの断面図である。
処置具挿入部7Gでは、
図42及び
図43に示すように、上述した実施の形態1において説明した処置具挿入部7に対して、ワイヤ10の代わりに上述した実施の形態3において説明したワイヤ10Bが採用されているとともに、シース9及び切開部11の構成が異なる。以下では、説明の便宜上、本実施の形態5に係るシース及び切開部をそれぞれシース9G及び切開部11Gと記載する。
【0134】
シース9Gでは、
図42及び
図43に示すように、上述した実施の形態1において説明したシース9に対して、先端部材92の形状が異なる。以下では、説明の便宜上、本実施の形態8に係る先端部材を先端部材92Gと記載する。
なお、先端部材92Gとしては、一部品によって構成してもよく、あるいは、複数の部品を組み合わせることによって構成しても構わない。
先端部材92Gでは、
図42に示すように、上述した実施の形態1において説明した先端部材92に対して、第1,第2の壁部9211,9212が省略されている。
【0135】
また、先端部材92Gでは、
図42に示すように、上述した実施の形態1において説明した先端部材92に対して、第1の孔922の形状が異なる。以下では、説明の便宜上、本実施の形態8に係る第1の孔を第1の孔922Gと記載する。
第1の孔922Gは、
図42に示すように、孔本体922G1と、補助孔922G2とを備える。
孔本体922G1は、断面円形状を有するとともに、先端部材92Gの中心軸に沿って直線状に延在する。ここで、孔本体922G1の内径寸法は、突起部122Aの外径寸法よりも小さく、ナイフ本体121の外径寸法よりも大きく設定されている。なお、孔本体922G1は、好ましくは、先端部材92Gの中心軸上に位置していてもよい。
補助孔922G2は、
図42に示すように、孔本体922G1の一部が径方向に延在した部分であり、当該孔本体922G1と同様に先端部材92Gの中心軸に沿って直線状に延在する。
【0136】
切開部11Gでは、
図42及び
図43に示すように、上述した実施の形態1において説明した切開部11に対して、ナイフ12の代わりに上述した実施の形態2において説明したナイフ12Aが採用されているとともに、接続部材13の形状が異なる。以下では、説明の便宜上、本実施の形態8に係る接続部材を接続部材13Gと記載する。
接続部材13Gは、先端部材92Gの中心軸に沿って直線状に延在する円柱部材によって構成されている。ここで、接続部材13Gの外径寸法は、孔本体922G1の内径寸法よりも大きく、先端部材92Gの内径寸法よりも小さく設定されている。また、接続部材13Gには、
図42及び
図43に示すように、第1,第2の嵌合孔130G1,130G2と、収納孔130G3と、連通孔130G4とが設けられている。なお、接続部材13Gは、好ましくは、先端部材92Gの中心軸上に位置していてもよい。
【0137】
第1の嵌合孔130G1は、接続部材13Gの中心軸に沿って当該接続部材15の先端から基端側に向けて直線状に延在した円孔である。そして、当該第1の嵌合孔130G1には、ナイフ本体121が挿通された状態で固定される。なお、第1の嵌合孔130G1は、好ましくは、接続部材13Gの中心軸上に位置していてもよい。
第2の嵌合孔130G2は、接続部材13Gの中心軸に沿って当該接続部材13Gの基端から先端側に向けて直線状に延在した円孔である。そして、当該第2の嵌合孔130G2には、ワイヤ10Bが挿通された状態で固定される。なお、第2の嵌合孔130G2は、好ましくは、接続部材13Gの中心軸上に位置していてもよい。
【0138】
収納孔130G3は、接続部材13Gの中心軸に沿って当該接続部材13Gの先端側から基端側に向けて直線状に延在した円孔であり、第1,第2の嵌合孔130G1,130G3に連通する。ここで、収納孔130G3の内径寸法は、第1,第2の嵌合孔130G1,130G2の内径寸法よりも大きく設定されている。そして、接続部材13Gによってナイフ12Aとワイヤ10Bとが接続した状態では、主流路M1は、収納孔130G3を経由することによって、ナイフ孔123Aに連通する。すなわち、ナイフ孔123A及び収納孔130G3は、本発明に係る第2の孔120G(
図42)に相当する。なお、収納孔130G3は、好ましくは、接続部材13Gの中心軸上に位置していてもよい。
【0139】
連通孔130G4は、
図42に示すように、接続部材13Gの外周面から収納孔130G3まで貫通するとともに、接続部材13Gの長手軸方向に延在した長孔である。
【0140】
そして、本実施の形態8では、上述した接続部材13Gには、
図42及び
図43に示すように、付勢部材14と、流路切替部材15とが取り付けられている。
付勢部材14は、
図42及び
図43に示すように、コイルバネによって構成され、収納孔130G3内に配置されている。そして、付勢部材14は、一端が流路切替部材15を構成する支持部151に当接または固定され、他端が第2の嵌合孔130G2の周縁部分に当接または固定されている。そして、付勢部材14は、流路切替部材15を先端側に向けて付勢する。
【0141】
流路切替部材15は、主流路M1を経由することによって流通した生理食塩水の流路を切り替える部材である。この流路切替部材15は、
図42及び
図43に示すように、支持部151と、閉塞部152とを備える。
支持部151は、連通孔130G4を通して収納孔130G3内に挿入され、接続部材13Gの中心軸に直交し、当該中心軸上に位置する姿勢で配置されるピン形状を有する。
閉塞部152は、支持部151における接続部材13Gの外部に位置する一端側に固定され、当該接続部材13Gの中心軸に沿って延在する板体形状を有する。この閉塞部152は、連通孔130G4を閉塞可能なサイズに設定されている。
【0142】
次に、本実施の形態8に係る内視鏡用処置具6の動作について説明する。以下では、説明の便宜上、上述した実施の形態1と同様に、ESDの流れを例に説明する。
図44及び
図45は、内視鏡用処置具6の動作を説明する図である。具体的に、
図44及び
図45は、
図42に対応した断面図である。
本実施の形態8では、術者等の操作者は、以下に示すように、局注工程を行う。
すなわち、術者等の操作者は、スライダ82への第1の操作によって、突起部122Aのみが第1の孔922Gから先端部材92G外に突出した状態に設定する。当該状態では、接続部材13Gは、
図44に示すように、先端部材92Gよりも基端側に位置した状態となる。また、流路切替部材15は、付勢部材14の付勢力によって、接続部材13Gに対して相対的に先端側に移動する。その状態では、閉塞部152が接続部材13Gの外周面(開口周縁部分)に当接することによって、連通孔130G4は、閉塞部152によって閉塞される。
【0143】
次に、術者等の操作者は、スライダ82への第1の操作によって突起部122Aのみが第1の孔922Gから先端部材92G外に突出した状態を維持しつつ、フットスイッチ等の操作部(図示略)を操作し、送水源200から生理食塩水を供給させる。これによって、送水源200から供給された生理食塩水は、
図44に矢印で示したように、主流路M1から収納孔130G3及びナイフ孔123Aを通る流路を辿った後、ナイフ12Aの先端から吐出される。当該吐出された生理食塩水は、その水勢によって、対象部位T1の下方に注入される。そして、対象部位T1は、下方の粘膜下層等の他の組織から浮き上がる。
【0144】
なお、マーキング工程及び切開工程については、上述した実施の形態1と同様であるため、説明を省略する。
【0145】
また、ESDの各工程中において、術場洗浄を行う際には、術者等の操作者は、以下の操作を行う。
術者等の操作者は、スライダ82への第2の操作によって、ナイフ12Aがシース9Gの先端から最大突出長だけ突出した状態に設定する。ここで、第2の操作が行われる過程において、接続部材13Gは、基端側から先端部材92G内に入り込んでいく。一方、流路切替部材15は、先端部材92Gの基端に引っ掛かり、付勢部材14の付勢力に抗して、接続部材13Gに対して相対的に基端側に移動する。これによって、
図45に示すように、連通孔130G4は、閉塞部152による閉塞が解放される。
【0146】
次に、術者等の操作者は、スライダ82への第2の操作によってナイフ12Aがシース9Gの先端から最大突出長だけ突出した状態を維持しつつ、フットスイッチ等の操作部(図示略)を操作し、送水源200から生理食塩水を供給させる。これによって、送水源200から供給された生理食塩水は、
図45に矢印で示したように、主流路M1から収納孔130G3及びナイフ孔123Aを通る流路を辿った後にナイフ12Aの先端から吐出されるとともに、主流路M1から収納孔130G3、連通孔130G4、先端部材9G内、及び補助孔922G2を通る流路を辿った後にシース9Gの先端から吐出され、術場に供給される。ここで、主流路M1を辿った生理食塩水は、ナイフ孔123A及び補助孔922G2の双方から吐出される。このため、ナイフ孔123A及び補助孔922G2の双方から吐出された生理食塩水によって術場が洗浄される。
【0147】
以上のように本実施の形態8でも、上述した実施の形態1と同様に、主流路M1は、シース9G(先端部材92G)の先端側において、第1の孔922G及び第2の孔120Gにそれぞれ連通可能とする。また、術者等の操作者によるスライダ82への操作に応じて切開部11Gが進退することによって、第1のモードと第2のモードとを切替可能に構成されている。当該第1のモードは、主流路M1と第1の孔922G及び第2の孔120Gとが連通することで、体腔内に生理食塩水を流通させるモードである。当該第2のモードは、主流路M1と第2の孔120Gとが連通することで、体腔内に生理食塩水を流通させるモードである。
【0148】
以上説明した本実施の形態4に係る処置具挿入部7Gを採用した場合であっても、上述した実施の形態1と同様の効果を奏する。
【0149】
(その他の実施形態)
ここまで、本発明を実施するための形態を説明してきたが、本発明は上述した実施の形態1~8によってのみ限定されるべきものではない。
上述した実施の形態1~8では、第1のモードにおいて術場洗浄を行い、第2のモードにおいて局注工程を実行していたが、これに限らない。例えば、第1,第2のモードの双方において術場洗浄を行っても構わない。
上述した実施の形態1~8の全てにおいて、本発明に係る回転規制構造(第2の壁部9212(溝部9213)及び回転規制部132)を採用しても構わない。
【0150】
上述した実施の形態1~8において、突起部122(122A)の形状は、上述した実施の形態1~8において説明した形状に限らず、その他の形状を採用しても構わない。
図46A及び
図46Bは、突起部122(122A)の形状の一例を示す図である。
具体的には、突起部122(122A)は、
図46Aまたは
図46Bに示すように、半球状(
図46A)や三角形状(
図46B)等のフランジ形状であってもよいし、当該フランジ形状を持たない針形状であってもよい。
【符号の説明】
【0151】
1 内視鏡システム
2 内視鏡
3 表示装置
4 光源装置
5 制御装置
6 内視鏡用処置具
7,7A~7G 処置具挿入部
8 処置具操作部
9,9A~9G シース
10,10B ワイヤ
11,11A~11G 切開部
12,12A~12C,12E ナイフ
13,13A,13C~13G 接続部材
14 付勢部材
15 流路切替部材
21 内視鏡挿入部
22 内視鏡操作部
23 ユニバーサルコード
24 コネクタ部
81 操作部本体
82 スライダ
91 シース本体
92,92A~92G 先端部材
100 電源
101 貫通孔
120,120A~120G 第2の孔
121 ナイフ本体
122,122A 突起部
123,123A~123C,123E ナイフ孔
130G1 第1の嵌合孔
130G2 第2の嵌合孔
130G3 収納孔
130G4 連通孔
131 円柱部
132 回転規制部
133 嵌合孔
134 連通孔
135,137,130F1 第1の連通孔
136,138,130F2 第2の連通孔
139 第3の連通孔
151 支持部
152 閉塞部
200 送水源
211 先端ユニット
212 湾曲部
213 可撓管
221 操作部材
222 湾曲ノブ
223 挿入口
811 リング
812 送水ポート
821 リング
822 プラグ
920 底部分
921 内周面
922,922A~922C,922G 第1の孔
922G1 孔本体
922G2 補助孔
1211 当接部
1231 流入孔
1232 流出孔
1233,1235,1237 第2の孔本体
1234,1236,1238 連通孔
9211 第1の壁部
9212 第2の壁部
9213 溝部
9214,9214F 第3の壁部
9215 支持部
9216,9216F 円環部
9221 第4の壁部
9222 第5の壁部
CO 電源コード
M1 主流路
SL 生理食塩水
T1 対象部位
T2 マーキング痕
TU チューブ