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特開2023-67747液体クロマトグラフシステムおよびその洗浄方法、ならびにプログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023067747
(43)【公開日】2023-05-16
(54)【発明の名称】液体クロマトグラフシステムおよびその洗浄方法、ならびにプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01N 30/86 20060101AFI20230509BHJP
   G01N 30/26 20060101ALI20230509BHJP
【FI】
G01N30/86 T
G01N30/26 Q
G01N30/26 M
G01N30/86 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022130710
(22)【出願日】2022-08-18
(31)【優先権主張番号】63/273,184
(32)【優先日】2021-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小川 佳祐
(72)【発明者】
【氏名】アンディ ササキ
(72)【発明者】
【氏名】ケリー ヒル
(72)【発明者】
【氏名】ティモシー リー
(57)【要約】
【課題】液体クロマトグラフシステムにおいて、ストリームを適切に洗浄するための技術を提供すること。
【解決手段】液体クロマトグラフシステムにおいて、プロセッサは、第1のカラムを含む分析用の流路である第1ストリームを用いて試料の分析を行い、当該第1ストリームの品質管理用の分析結果および第1ストリームにおける分析対象の試料を特定する情報のうち少なくとも一方を取得し、洗浄のメソッドと洗浄の実行条件との2以上の組合せから、品質管理用の分析結果および上記情報の少なくとも一方が対応する実行条件を含む第1の組合せを特定し、当該第1の組合せに含まれるメソッドに従って1以上の洗浄ポンプを駆動する、ように構成されている。
【選択図】図26
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体クロマトグラフシステムであって、
試料を成分ごとに分離する第1のカラムと、
前記第1のカラムを含む分析用の流路である第1ストリームと、
前記第1ストリームに洗浄液を供給する1以上の洗浄ポンプと、
洗浄のメソッドと洗浄の実行条件との2以上の組合せを格納するメモリと、
プロセッサと、
を備え、
前記プロセッサは、
前記第1ストリームを用いて試料の分析を行い、前記第1ストリームの品質管理用の分析結果および前記第1ストリームにおける分析対象の試料を特定する情報のうち少なくとも一方を取得し、
前記2以上の組合せから、前記品質管理用の分析結果および前記情報の少なくとも一方が対応する実行条件を含む第1の組合せを特定し、
前記第1の組合せに含まれるメソッドに従って前記1以上の洗浄ポンプを駆動する、
ように構成されている、液体クロマトグラフシステム。
【請求項2】
前記プロセッサは、前記品質管理用の分析結果を取得し、
前記品質管理用の分析結果は、前記第1ストリームを通過した成分の残存量の分析結果を含む、請求項1に記載の液体クロマトグラフシステム。
【請求項3】
前記品質管理用の分析結果は、質量分析装置による分析結果を含む、請求項2に記載の液体クロマトグラフシステム。
【請求項4】
前記1以上の洗浄ポンプは、前記第1ストリームに移動相を供給する駆動ポンプを含み、
前記プロセッサは、前記駆動ポンプの吐出圧力および前記品質管理用の分析結果の時間変化を表示する、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の液体クロマトグラフシステム。
【請求項5】
前記情報の入力を受け付ける入力装置をさらに備える、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の液体クロマトグラフシステム。
【請求項6】
前記第1ストリームと並列して設けられた、第2ストリームをさらに備え、
前記プロセッサは、前記第1ストリームに対して前記第1の組合せを特定したことに応じて、前記第2ストリームに対する前記第1の組合せに従った洗浄のための制御を実行する、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の液体クロマトグラフシステム。
【請求項7】
前記プロセッサは、前記第1ストリームに対して前記第1の組合せを特定したことに応じて、前記第2ストリームを前記第1の組合せと同じメソッドで洗浄する、請求項6に記載の液体クロマトグラフシステム。
【請求項8】
前記プロセッサは、前記第2ストリームにおいて試料が注入されている場合には、当該注入の後に、前記第2ストリームに対する前記第1の組合せに従った洗浄のための制御を実行する、請求項6に記載の液体クロマトグラフシステム。
【請求項9】
前記2以上の組合せでは、前記実行条件は、対応する前記品質管理用の分析結果が示す前記第1ストリームでの化合物の残留量が多いほど、洗浄時間が長い前記メソッドと組み合わされている、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の液体クロマトグラフシステム。
【請求項10】
液体クロマトグラフシステムであって、
分析用の流路を含む第1ストリームと、
前記第1ストリームに洗浄液を供給する1以上の洗浄ポンプと、
プロセッサと、
1以上の分析条件および1以上の洗浄のメソッドを格納するメモリと、を備え、
前記メモリにおいて、前記1以上の分析条件の各々は、前記1以上の洗浄のメソッドのいずれか一つと組み合わせられ、
前記プロセッサは、前記第1ストリームを試料の分析に利用することを決定し、前記1以上の分析条件の中のいずれか1つの分析条件に従った分析の後、前記1以上の洗浄のメソッドの中の前記1つの分析条件に組み合わされている1つの洗浄のメソッドに従って前記1以上の洗浄ポンプを駆動する、液体クロマトグラフシステム。
【請求項11】
前記1以上の洗浄ポンプの中の少なくとも一つに複数の洗浄液が接続され、
前記プロセッサは、前記洗浄のメソッドに従って前記複数の洗浄液の中から一の洗浄液を選択し、前記選択された洗浄液を前記1以上の洗浄ポンプに接続する、請求項1~請求項3および請求項10のいずれか1項に記載の液体クロマトグラフシステム。
【請求項12】
液体クロマトグラフシステムの洗浄方法であって、
前記液体クロマトグラフシステムは、第1の分析カラムを有する分析用の流路を含む第1ストリームと、前記第1ストリームに液体を供給する1以上のポンプと、洗浄のメソッドと洗浄の実行条件との2以上の組合せを格納するメモリと、を含み、
洗浄方法は、
前記第1ストリームを試料の分析に利用することを決定するステップと、
前記第1ストリームが試料の分析に利用されることが決定されたことに応じて、前記第1ストリームの品質管理用の分析結果および前記第1ストリームにおける分析対象の試料を特定する情報のうち少なくとも一方を取得するステップと、
前記2以上の組合せから、前記品質管理用の分析結果および前記情報のうち少なくとも一方が対応する実行条件を含む第1の組合せを特定するステップと、
前記第1の組合せに含まれるメソッドに従って前記1以上のポンプを駆動するステップと、
を備える、洗浄方法。
【請求項13】
コントローラのプロセッサによって実行されることにより、前記コントローラに、
液体クロマトグラフシステムにおいて、第1の分析カラムを有する分析用の流路を含む第1ストリームを試料の分析に利用することを決定するステップと、
前記第1ストリームが試料の分析に利用されることが決定されたことに応じて、前記第1ストリームの品質管理用の分析結果および前記第1ストリームにおける分析対象の試料を特定する情報のうち少なくとも一方を取得するステップと、
洗浄のメソッドと洗浄の実行条件との2以上の組合せから、前記品質管理用の分析結果および前記情報のうち少なくとも一方が対応する実行条件を含む第1の組合せを特定するステップと、
前記第1の組合せに含まれるメソッドに従って、前記第1ストリームに液体を供給する1以上のポンプを駆動するステップと、を実施させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、液体クロマトグラフシステムおよびその洗浄方法、ならびにプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
液体クロマトグラフィーは、分析対象の試料を移動相である溶離液とともにカラムに導入することにより、試料に含まれる成分を分離する技術である。液体クロマトグラフィーによって分離された試料の成分は、その成分などの性質などにより質量分析計によって分析される場合がある。
【0003】
特許文献1には、分析のスループット向上を目的とした、液体クロマトグラムのための複数のストリームを備えるクロマトグラフ質量分析装置が記載されている。特許文献1に記載されたクロマトグラフ質量分析装置は、カラムが接続された流路を3つ有している。特許文献1に記載されたクロマトグラフ質量分析装置は、質量分析計に接続された切替バルブによって3つの流路のうちのいずれかを質量分析計と接続する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2017/216934号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
クロマトグラフ質量分析装置等の液体クロマトグラフシステムでは、前回までの分析に用いた試料の一部が、オートサンプラーにおけるニードルや、ストリームにおけるバルブ、カラム等に汚れとして蓄積する場合がある。このような汚れの蓄積は、キャリーオーバーとも呼ばれ、前回までの分析が今回の分析に持ち越されることになり、質量分析装置で本来測定対象ではないサンプル由来のピークが検出されることになる。このため、液体クロマトグラフシステムでは、各回の分析の後にストリームの洗浄が実施される。しかしながら、従来、洗浄する際の条件は測定対象となるサンプルの性質やストリームで使用されるカラムや配管の種類等によって異なるため、特定の洗浄条件だけで、キャリーオーバーの発生を回避することや、キャリーオーバーが発生した場合に短時間で低減・解消させることは難しかった。
【0006】
本開示の目的は、液体クロマトグラフシステムにおいて、ストリームを適切に洗浄するための技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示のある局面に従う液体クロマトグラフシステムは、液体クロマトグラフシステムであって、試料を成分ごとに分離する第1のカラムと、第1のカラムを含む分析用の流路である第1ストリームと、第1ストリームに洗浄液を供給する1以上の洗浄ポンプと、洗浄のメソッドと洗浄の実行条件との2以上の組合せを格納するメモリと、プロセッサと、を備え、プロセッサは、第1ストリームを用いて試料の分析を行い、第1ストリームの品質管理用の分析結果および第1ストリームにおける分析対象の試料を特定する情報のうち少なくとも一方を取得し、2以上の組合せから、品質管理用の分析結果および情報の少なくとも一方が対応する実行条件を含む第1の組合せを特定し、第1の組合せに含まれるメソッドに従って1以上の洗浄ポンプを駆動する、ように構成されている。
【0008】
本開示の他の局面に従う液体クロマトグラフシステムは、液体クロマトグラフシステムであって、分析用の流路を含む第1ストリームと、第1ストリームに洗浄液を供給する1以上の洗浄ポンプと、プロセッサと、1以上の分析条件および1以上の洗浄のメソッドを格納するメモリと、を備え、メモリにおいて、1以上の分析条件の各々は、1以上の洗浄のメソッドのいずれか一つと組み合わせられ、プロセッサは、第1ストリームを試料の分析に利用することを決定し、1以上の分析条件の中のいずれか1つの分析条件に従った分析の後、1以上の洗浄のメソッドの中の1つの分析条件に組み合わされている1つの洗浄のメソッドに従って1以上の洗浄ポンプを駆動する。
【0009】
本開示のある局面に従う洗浄方法は、液体クロマトグラフシステムの洗浄方法であって、液体クロマトグラフシステムは、第1の分析カラムを有する分析用の流路を含む第1ストリームと、第1ストリームに液体を供給する1以上のポンプと、洗浄のメソッドと洗浄の実行条件との2以上の組合せを格納するメモリと、を含み、洗浄方法は、第1ストリームを試料の分析に利用することを決定するステップと、第1ストリームが試料の分析に利用されることが決定されたことに応じて、第1ストリームの品質管理用の分析結果および第1ストリームにおける分析対象の試料を特定する情報のうち少なくとも一方を取得するステップと、2以上の組合せから、品質管理用の分析結果および情報のうち少なくとも一方が対応する実行条件を含む第1の組合せを特定するステップと、第1の組合せに含まれるメソッドに従って1以上のポンプを駆動するステップと、を備える。
【0010】
本開示のある局面に従うプログラムは、コントローラのプロセッサによって実行されることにより、コントローラに、液体クロマトグラフシステムにおいて、第1の分析カラムを有する分析用の流路を含む第1ストリームを試料の分析に利用することを決定するステップと、第1ストリームが試料の分析に利用されることが決定されたことに応じて、第1ストリームの品質管理用の分析結果および第1ストリームにおける分析対象の試料を特定する情報のうち少なくとも一方を取得するステップと、洗浄のメソッドと洗浄の実行条件との2以上の組合せから、品質管理用の分析結果および情報のうち少なくとも一方が対応する実行条件を含む第1の組合せを特定するステップと、第1の組合せに含まれるメソッドに従って、第1ストリームに液体を供給する1以上のポンプを駆動するステップと、を実施させる。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、液体クロマトグラフシステムにおいて、ストリームが適切に洗浄される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】液体クロマトグラフシステムの概略構成図である。
図2】液体クロマトグラフシステムの構成を示す図である。
図3】液体クロマトグラフシステムの構成を示す図である。
図4】液体クロマトグラフシステムの構成を示すブロック図である。
図5】試料がニードルにより吸引される状態を例示する図である。
図6】ニードルにより吸引された試料が注入ポートに注入される状態を例示する図である。
図7】試料がカラムに案内された後、溶離液がカラムに注入される状態を例示する図である。
図8】分析対象のストリームが第1ストリームから第2ストリームに切り替えられた状態を例示する図である。
図9】本実施の形態に関わる液体クロマトグラフシステムに対する比較例を示す図である。
図10】第1洗浄パターン~第5洗浄パターンの概要を説明するための図である。
図11】第1洗浄パターンの具体的な構成例を示す図である。
図12】第2洗浄パターンの具体的な構成例を示す図である。
図13】第3洗浄パターンの具体的な構成例を示す図である。
図14】第4洗浄パターンの具体的な構成例を示す図である。
図15】第5洗浄パターンの具体的な構成例を示す図である。
図16】試料の吸引中に第3洗浄パターンおよび第4洗浄パターンにより流路を洗浄する例を示す図である。
図17】試料の注入中に第4洗浄パターンにより流路を洗浄する例を示す図である。
図18】試料の分析中に第2洗浄パターンにより流路を洗浄する例を示す図である。
図19】試料の分析中に第4洗浄パターンおよび第5洗浄パターンにより流路を洗浄する例を示す図である。
図20】第1~第4分析流路において選択可能な洗浄パターンを示す図である。
図21】洗浄パターンの設定の一例を示すタイミングチャートである。
図22】洗浄ポンプおよび高圧ポンプの駆動パターンの一例を示すタイミングチャートである。
図23】液体クロマトグラフシステム10において、ユーザからの分析に関する設定の入力を受け付けるための処理のフローチャートである。
図24】設定画面の一例を示す図である。
図25】メソッドファイルデータベースのデータ構成の一例を模式的に示す図である。
図26】液体クロマトグラフシステム10において、試料を分析するための処理のフローチャートである。
図27】ストリーム情報を表示する画面の一例を示す図である。
図28】メソッドファイルデータベースの第1変形例を示す図である。
図29】メソッドファイルデータベースの第2変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
<概略の構成>
図1は、液体クロマトグラフシステム10の概略構成図である。液体クロマトグラフシステム10には、試料の分析に用いられる流路291A~291Dが構成される。流路291A~291Dは、それぞれ、高圧バルブ180A~180Dを含んで構成される。流路291A~291Dは、検出器500に向かう流路292と接続される。
【0014】
流路291A~291Dと流路292との間にダイバートバルブ90が配置される。
【0015】
流路291A~291Dは、それぞれ、試料注入装置100を経由してダイバートバルブ90に向かう第1流路と、試料注入装置100を経由しないでダイバートバルブ90に向かう第2流路とに切り替えられる。試料注入装置100は、試料を注入するニードルなどを含んで構成される。
【0016】
ダイバートバルブ90は、ポート91~97を備える。ポート91には流路291Aが接続される。ポート92には流路291Bが接続される。ポート93には流路291Cが接続される。ポート94には流路291Dが接続される。ポート95には検出器500が接続される。ポート96,97には排液管(図示省略)が接続される。ポート95はメインポートに相当する。ポート96,97はドレインポートに相当する。
【0017】
ダイバートバルブ90により、ポート95の接続先をポート91~ポート94のいずれかに切り替える切替バルブが構成されている。ダイバートバルブ90により、流路291A~291Dのうちのいずれか1つが検出器500に向かう流路292と接続される。
【0018】
流路291Aの構成を詳細に説明する。
【0019】
流路291Aは、高圧バルブ180Aを含み、高圧バルブ180Aからカラム230Aの方向に向かう流路である。流路291Aは、高圧バルブ180Aによって、試料注入装置100を経由してカラム230Aに向かう第1流路と、試料注入装置100を経由することなくカラム230Aに向かう第2流路とに切り替えられる。
【0020】
流路291Aには、高圧ポンプ220Aと、洗浄ポンプ143Aと、洗浄バルブ18Aと、高圧バルブ180Aと、カラム230Aとが少なくとも配置される。高圧バルブ180Aは、カラム230Aと接続される。カラム230Aには、試料の成分を分離するための固定相が充填される。
【0021】
高圧バルブ180Aは、洗浄バルブ18Aを介して高圧ポンプ220Aおよび洗浄ポンプ143Aと接続される。高圧ポンプ220Aは、容器210Aに入った溶離液を高圧バルブ180Aに供給する。洗浄ポンプ143Aは、容器250Aに入ったリンス液を高圧バルブ180Aに供給する。洗浄バルブ18Aは、高圧ポンプ220Aおよび洗浄ポンプ143Aのいずれか一方を高圧バルブ180Aに接続する。その結果、溶離液またはリンス液が高圧バルブ180Aへ供給される。
【0022】
流路291Aが、試料注入装置100を経由する第1流路に設定されている場合、高圧ポンプ220Aから高圧バルブ180Aに供給された溶離液は、試料注入装置100を経由して、カラム230Aに流れる。試料注入装置100が保持している試料は、溶離液によってカラム230Aに送られる。
【0023】
流路291Aが、試料注入装置100を経由しない第2流路に設定されている場合、高圧ポンプ220Aから高圧バルブ180Aに供給された溶離液は、試料注入装置100を経由することなく、カラム230Aに流れる。カラム230Aに試料が注入済みの場合、第2流路によって溶離液が高圧バルブ180Aからカラム230Aに送られる。これにより、カラム230A内で試料の分離が進む。
【0024】
カラム230Aは、ダイバートバルブ90のポート91に接続されている。ダイバートバルブ90がポート91とポート95とを接続している場合、カラム230Aで分離された試料の成分は、ダイバートバルブ90を経由して検出器500に流れる。その結果、カラム230Aで分離された試料の成分は、質量分析計などにより構成される検出器500によって分析される。
【0025】
洗浄バルブ18Aによって洗浄ポンプ143Aと高圧バルブ180Aとが接続されている場合、リンス液が高圧バルブ180Aに供給される。高圧バルブ180Aは、試料注入装置100を経由させて、または試料注入装置100を経由させないで、リンス液をカラム230Aに流すことが可能である。これにより、試料注入装置100を経由してカラム230Aに向かう第1流路と、試料注入装置100を経由することなくカラム230Aに向かう第2流路との双方の流路が洗浄され得る。
【0026】
ダイバートバルブ90のポート91とポート95とが接続されている場合、リンス液はカラム230Aからダイバートバルブ90のポート91およびポート95を経て検出器500に向かう。その結果、ダイバートバルブ90から検出器500に向かう流路292も併せて洗浄される。ダイバートバルブ90のポート91とポート96,97とが接続されている場合、ダイバートバルブのポート91およびポート96,97が洗浄される。
【0027】
以上、流路291Aの構成を詳細に説明した。次に、流路291B~291Dの構成を説明する。
【0028】
流路291Bは、高圧バルブ180Bを含み、高圧バルブ180Bからカラム230Bの方向に向かう流路である。流路291Bは、高圧バルブ180Bによって、試料注入装置100を経由してカラム230Bに向かう第1流路と、試料注入装置100を経由することなくカラム230Bに向かう第2流路とに切り替えられる。
【0029】
流路291Bには、容器250Bから溶離液を吸い上げる高圧ポンプ220Bと、容器250Bからリンス液を吸い上げる洗浄ポンプ143Bと、洗浄バルブ18Bと、高圧バルブ180Bと、カラム230Bとが少なくとも配置される。
【0030】
流路291Cは、高圧バルブ180Cを含み、高圧バルブ180Cからカラム230Cの方向に向かう流路である。流路291Cは、高圧バルブ180Cによって、試料注入装置100を経由してカラム230Cに向かう第1流路と、試料注入装置100を経由することなくカラム230Cに向かう第2流路とに切り替えられる。
【0031】
流路291Cには、容器250Cから溶離液を吸い上げる高圧ポンプ220Cと、容器250Cからリンス液を吸い上げる洗浄ポンプ143Cと、洗浄バルブ18Cと、高圧バルブ180Cと、カラム230Cとが少なくとも配置される。
【0032】
流路291Dは、高圧バルブ180Dを含み、高圧バルブ180Dからカラム230Dの方向に向かう流路である。流路291Dは、高圧バルブ180Dによって、試料注入装置100を経由してカラム230Dに向かう第1流路と、試料注入装置100を経由することなくカラム230Dに向かう第2流路とに切り替えられる。
【0033】
流路291Dには、容器250Dから溶離液を吸い上げる高圧ポンプ220Dと、容器250Dからリンス液を吸い上げる洗浄ポンプ143Dと、洗浄バルブ18Dと、高圧バルブ180Dと、カラム230Dとが少なくとも配置される。
【0034】
このように、流路291B~291Dの構成は、流路291Aの構成と同様である。したがって、ここでは、すでにした流路291Aについての詳細な説明を以て、流路291B~291Dについての詳細な説明とする。
【0035】
以下では、流路291A、流路291B、流路291C、および流路291Dをそれぞれ、第1分析流路291A、第2分析流路291B、第3分析流路291C、および第4分析流路291Dとも称する。第1分析流路291A、第2分析流路291B、第3分析流路291C、および第4分析流路291Dは、それぞれ、試料注入装置100を経由してダイバートバルブ90に向かう第1流路と、試料注入装置100を経由しないでダイバートバルブ90に向かう第2流路とに切り替えられる。
【0036】
液体クロマトグラフシステム10は、第1分析流路291A、第2分析流路291B、第3分析流路291C、および第4分析流路291Dの間で、分析に使用する流路を切り替えることができる。このため、液体クロマトグラフシステム10によれば、検出器500において様々な試料を連続的に分析することができる。その結果、液体クロマトグラフシステム10によれば、分析効率を向上させることができる。
【0037】
さらに、液体クロマトグラフシステム10は、第1分析流路291Aに対応する洗浄ポンプ143Aと、第2分析流路291Bに対応する洗浄ポンプ143Bと、第3分析流路291Cに対応する洗浄ポンプ143Cと、第4分析流路291Dに対応する洗浄ポンプ143Dとを備える。これらの構成は、液体クロマトグラフシステム10において、様々なパターンで流路を洗浄することを可能とする。
【0038】
たとえば、第1分析流路291Aが試料の分析に用いられている場合、第2分析流路291B、第3分析流路291C、および第4分析流路291Dのうちの所望の流路を洗浄することが可能である。
<液体クロマトグラフシステム10の構成>
図2および図3は、液体クロマトグラフシステム10の構成を示す図である。特に、図3には、液体クロマトグラフシステム10に含まれるダイバートバルブ90の構成が示されている。
【0039】
図1を用いて説明したとおり、液体クロマトグラフシステム10は、4つの高圧バルブ180A~180Dを備える。図2においては、図1に示した4つの高圧バルブ180A~180Dのうち、高圧バルブ180Cに関わる構成の図示を省略している。
【0040】
高圧バルブ180A~180Dは、第1切替バルブ150および第2切替バルブ160と接続される。第1切替バルブ150および第2切替バルブ160は、高圧バルブ180A~180Dのうち、試料の吸引および注入に関わる高圧バルブを選択する機能を備える。第1切替バルブ150および第2切替バルブ160は、たとえば、多方切替バルブにより構成される。
【0041】
第1切替バルブ150は、ニードルバルブ260と接続される。ニードルバルブ260は、サンプルループ192を介してニードル191と接続される。ニードル191は、試料を吸入するための注射針状の部品である。サンプルループ192は、ニードル191で吸引された試料を保持する。ニードル移動機構190は、直交する3軸の方向のそれぞれにニードル191を移動させる。
【0042】
液体クロマトグラフシステム10は、注入ポート198A~198Dを備える。注入ポート198Aは、高圧バルブ180Aに対応して設けられる。注入ポート198Bは、高圧バルブ180Bに対応して設けられる。注入ポート198Cは、高圧バルブ180Cに対応して設けられる。注入ポート198Dは、高圧バルブ180Dに対応して設けられる。
【0043】
試料台300には試料が入った容器302A~302Cが置かれている。ニードル移動機構190は、ニードル191を移動させることによって、容器302A~302Cのいずれかより試料を吸引する。ニードル移動機構190は、ニードル191を移動させることによって、吸引した試料を注入ポート198A~198Dのいずれかに注入する。
【0044】
ニードルバルブ260には、ニードル洗浄ポンプ20がさらに接続される。
【0045】
第2切替バルブ160は、低圧バルブ170と接続される。低圧バルブ170は計量ポンプ130と接続される。計量ポンプ130は、所定量の試料をニードル191で吸引するために用いられる。
【0046】
高圧バルブ180Aは、ポート181A~186Aを備える。ポート181Aは、図示しない排液管に接続される。つまり、ポート181Aはドレインポートである。ポート182Aは、注入ポート198Aに接続される。ポート183Aは、カラム230Aに接続される。ポート184Aは、洗浄バルブ18Aを介して高圧ポンプ220Aおよび洗浄ポンプ143Aに接続される。ポート185Aは、第1切替バルブ150に接続される。ポート186Aは、第2切替バルブ160に接続される。
【0047】
高圧バルブ180Aは、接続部187A~189Aを備える。接続部187A~189Aは、ポート181A~186Aの接続状態を第1状態と第2状態とに切り替える。
【0048】
第1状態は、図2に示される状態である。すなわち、第1状態は、ポート181Aとポート182Aとが接続され、ポート183Aとポート184Aとが接続され、ポート185Aとポート186Aとが接続された状態である。
【0049】
第1状態においては、高圧バルブ180Aを介して第1切替バルブ150と第2切替バルブ160とが接続される。第1状態においては、高圧バルブ180Aを介してカラム230Aと高圧ポンプ220Aまたは洗浄ポンプ143Aとが接続される。第1状態においては、注入ポート198Aが高圧バルブ180Aのドレインポートであるポート181Aと接続される。
【0050】
第2状態は、図1に示される接続部187A~189Aが高圧バルブ180Aの中心を軸にして30度回転した状態である。すなわち、第2状態は、ポート182Aとポート183Aとが接続され、ポート184Aとポート185Aとが接続され、ポート186Aとポート181Aとが接続された状態である。第2状態は、たとえば、図6に示されている。
【0051】
高圧バルブ180B~180Dは、それぞれ、高圧バルブ180Aと同様の構成を備えている。高圧バルブ180B~180Dは、それぞれ、高圧バルブ180Aと同様に第1状態と第2状態とに切り替わる。高圧バルブ180B~180Dに関するこれ以上の説明は、実質的に高圧バルブ180Aの構成の説明を繰り返すことになる。このため、ここでは、これ以上の高圧バルブ180A~180Dの説明を繰り返さない。
【0052】
第1切替バルブ150は、ポート151~155を備える。ポート151には高圧バルブ180Aが接続される。ポート152には高圧バルブ180Bが接続される。ポート153には高圧バルブ180Cが接続される。ポート154には高圧バルブ180Dが接続される。ポート155にはニードルバルブ260が接続される。
【0053】
第1切替バルブ150は、接続部158を備える。接続部158は、ポート155に対する接続先をポート151~154の中で切り替える。
【0054】
ニードルバルブ260は、ポート261~266と、接続部267~269とを備える。ポート261には第1切替バルブ150が接続される。ポート262にはサンプルループ192が接続される。ポート263にはニードル洗浄ポンプ20が接続される。
【0055】
ニードルバルブ260は、図2に示す状態と、図2に示す状態からニードルバルブ260の中心を軸にして接続部267~269が30度回転した状態とに、接続部267~269の状態を切り替える。
【0056】
図2に示される状態では、ニードル191がサンプルループ192を介してニードルバルブ260と接続され、ニードルバルブ260が第1切替バルブ150と接続され、第1切替バルブ150が高圧バルブ180Aと接続されている。さらに、高圧バルブ180Aが第2切替バルブ160と接続され、第2切替バルブ160が低圧バルブ170を介して計量ポンプ130と接続されている。このため、ニードル191を容器302A~302Cのいずれかに移動させた上で、計量ポンプ130を駆動することにより、ニードル191によって試料が吸引される。
【0057】
図3に示されるように、カラム230A~230Dは、ダイバートバルブ90と接続される。図3には、ダイバートバルブ90の中央に形成されたポート95と、カラム230Aに対応するポート91とが接続された状態が示されている。このとき、ダイバートバルブ90のポート92~94は、ダイバートバルブ90のドレインポートであるポート96,97と接続される。
【0058】
この状態では、カラム230Aを含む流路が検出器500に接続される。検出器500では、カラム230Aの試料を分析することができる。カラム230Bを含む流路は、ダイバートバルブ90のポート96,97を経て、図示を省略した排液管に向かう。カラム230Cを含む流路、およびカラム230Dを含む流路も同様に、ダイバートバルブ90のポート96,97を経て、図示を省略した排液管に向かう。
【0059】
以上、説明したように、液体クロマトグラフシステム10は、多数のバルブを備える。第1切替バルブ150および第2切替バルブ160との関係において、ダイバートバルブ90は第3切替バルブとも称することができ、ニードルバルブ260は第4切替バルブとも称することができる。
<液体クロマトグラフシステム10のブロック図>
図4は、液体クロマトグラフシステム10の構成を示すブロック図である。これまでに説明したとおり、液体クロマトグラフシステム10は、多数のバルブおよび多数のポンプを備える。
【0060】
液体クロマトグラフシステム10が備えるバルブには、低圧バルブ170と、高圧バルブ180A~180Dと、洗浄バルブ18A~18Dと、ニードルバルブ260と、第1切替バルブ150と、第2切替バルブ160と、ダイバートバルブ90とが含まれる。
【0061】
これらのバルブの具体的な構成については、図1図3を用いてすでに説明したので、ここでは、その説明を繰り返さない。
【0062】
液体クロマトグラフシステム10が備えるポンプには、高圧ポンプ220A~220Dと、洗浄ポンプ143A~143Dと、ニードル洗浄ポンプ20と、計量ポンプ130とが含まれる。高圧ポンプ220A~220Dは、それぞれ、容器210A~210Dから溶離液を吸引する。洗浄ポンプ143A~143Dは、それぞれ、容器250A~250Dからリンス液を吸引する。
【0063】
容器210A~210Dの各々には同一の溶離液を入れてもよく、容器210A~210Dの各々に異なる種類の溶離液を入れてもよい。容器250A~250Dの各々には同一のリンス液を入れてもよく、容器250A~250Dの各々に異なる種類のリンス液を入れてもよい。
【0064】
ニードル洗浄ポンプ20は、容器200からリンス液を吸引する。容器200には容器250A~250Dに入ったリンス液と同じリンス液を入れてもよく、容器200には容器250A~250Dに入ったリンス液と異なる種類のリンス液を入れてもよい。
【0065】
試料注入装置100は、第1切替バルブ150、ニードルバルブ260、ニードル191、およびサンプルループ192を含む。
【0066】
液体クロマトグラフシステム10は、さらに、制御装置110と、入力装置120と、表示装置125と、ニードル移動機構190とを備える。ニードル移動機構190の詳細は、図2を用いてすでに説明したので、ここでは、その説明を繰り返さない。
【0067】
制御装置110は、プロセッサ111とメモリ112とを備える。プロセッサ111は、典型的には、CPU(Central Processing Unit)またはMPU(Multi-Processing Unit)などの演算処理部である。プロセッサ111は、メモリ112に記憶されたプログラムを読み出して実行することで、液体クロマトグラフシステム10の処理を実現する。
【0068】
メモリ112は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)およびフラッシュメモリなどの不揮発性メモリによって実現される。メモリ112は、プロセッサ111が読出可能な形式で非一時的にプログラムを記録することができれば、CD-ROM(Compact Disc - Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disk - Read Only Memory)、USB(Universal Serial Bus)メモリ、メモリーカード、D(Flexible Disk)、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)、磁気テープ、カセットテープ、MO(Magnetic Optical Disc)、MD(Mini Disc)、IC(Integrated Circuit)カード(メモリーカードを除く)、光カード、マスクROM、またはEPROMにより構成してもよい。
【0069】
入力装置120は、たとえば、キーボードおよびマウスにより構成されている。ユーザは、入力装置120を操作することにより、制御装置110に対して各種の指示を入力することができる。表示装置125は、制御装置110が出力する映像信号に応じた画像を表示する。
【0070】
表示装置125には、液体クロマトグラフシステム10に設けられた第1分析流路291A~第4分析流路291D(図1参照)の各々に対する設定情報が表示される。ユーザは、表示装置125の画面を見ながら、第1分析流路291A~第4分析流路291Dを用いた分析スケジュールなどを設定することが可能である。制御装置110は、入力されたスケジュールに基づいて分析を実行し、また、第1分析流路291A~第4分析流路291Dを洗浄する。
<試料の吸引>
図5は、試料がニードル191により吸引される状態を例示する図である。ここでは、注入ポート198Aに注入する試料をニードル191が容器302Aから吸引する例を説明する。
【0071】
注入ポート198Aは、高圧バルブ180A~180Dのうち、高圧バルブ180Aに対応している。このため、第1切替バルブ150および第2切替バルブ160は、高圧バルブ180Aと接続される。図示のとおり、第1切替バルブ150は、ニードルバルブ260およびサンプルループ192を介してニードル191と接続される。ニードル移動機構190は、ニードル191を容器302Aに案内する。第2切替バルブ160は、低圧バルブ171を介して計量ポンプ130と接続される。
【0072】
計量ポンプ130は、低圧バルブ170、第2切替バルブ160、第1切替バルブ150、およびニードルバルブ260を介して、ニードル191に所定の負圧を与える。これにより、ニードル191は、容器302Aから所定量の試料を吸引する。ニードル191が吸引した試料は、たとえば、サンプルループ192付近で保持される。
【0073】
図5においては、高圧バルブ180Aを経由して試料が吸引される例を示した。第1切替バルブ150および第2切替バルブ160の接続先が高圧バルブ180B~180Dの間で切り替えられることにより、高圧バルブ180B~180Dのそれぞれを経由して、試料が吸引される。
【0074】
第1切替バルブ150および第2切替バルブ160により、計量ポンプ130からニードル191に向かう流路において経由する高圧バルブを高圧バルブ180A~180Dの間で切り替える切替装置が構成される。
<試料の注入>
図6は、ニードル191により吸引された試料が注入ポート198Aに注入される状態を例示する図である。
【0075】
試料を注入ポート198Aに注入する場合、接続部187A~189Aは、図5に示される状態から高圧バルブ180Aの中心を軸にして30度回転する。洗浄バルブ18Aは、高圧バルブ180Aと高圧ポンプ220Aとを接続する。さらに、ニードル移動機構190は、ニードル191を注入ポート198Aに移動させる。
【0076】
その結果、高圧ポンプ220Aから高圧バルブ180A、第1切替バルブ150、ニードル191、注入ポート198A、および高圧バルブ180Aを経由してカラム230Aに至る流路が形成される。この流路は、図1を用いて説明したとおり、第1分析流路291Aのうち、試料注入装置100を経由する第1流路に相当する。このとき、カラム230Aは、ダイバートバルブ90を経由して検出器500と接続される。図6では、カラム230Aとダイバートバルブ90との接続状態の図示を省略している。その接続状態は、たとえば、図3に示されるとおりである。
【0077】
以上のとおりに流路が形成された状態で高圧ポンプ220Aが駆動されることにより、溶離液が高圧バルブ180Aに供給される。高圧バルブ180Aに供給された溶離液は、第1切替バルブ150などを経由してニードル191の方向へ流れる。これにより、サンプルループ192付近に保持された試料が溶離液とともにニードル191の先端から注入ポート198Aに注入される。注入された試料は溶離液とともにカラム230Aに向かう。
【0078】
図6においては、高圧バルブ180Aに対応する注入ポート198Aに試料が注入される例を示した。第1切替バルブ150の接続先が高圧バルブ180B~180Dの間で切り替えられることにより、高圧バルブ180B~180Dのそれぞれに対応する注入ポート198B~198Dに試料が注入される。
<溶離液の注入>
図7は、試料がカラム230Aに案内された後、溶離液がカラム230Aに注入される状態を例示する図である。
【0079】
試料がカラム230Aに案内された後、接続部187A~189Aは、図6に示される状態から高圧バルブ180Aの中心を軸にして30度回転する。これにより、高圧ポンプ220Aは、高圧バルブ180Aのポート184Aおよびポート183Aを経由してカラム230Aと接続される。
【0080】
この流路は、図1を用いて説明したとおり、第1分析流路291Aのうち、試料注入装置100を経由しない第2流路に相当する。このとき、カラム230Aは、ダイバートバルブ90を経由して検出器500と接続される。その接続状態は、たとえば、図3に示されるとおりである。溶離液が高圧ポンプ220Aから高圧バルブ180Aに供給されることにより、カラム230Aにおいて試料が分離される。
【0081】
このとき、注入ポート198Aは、高圧バルブ180Aのドレインポートであるポート181Aに接続される。さらに、ニードルバルブ260の接続部267~269は、図6に示される状態からニードルバルブ260の中心を軸にして30度回転する。その結果、ニードル洗浄ポンプ20がニードルバルブ260およびサンプルループ192を経由してニードル191と接続された状態となる。
【0082】
図7においては、カラム230Aに溶離液が注入される例を示した。高圧バルブ180B~180Dのそれぞれに対応する高圧ポンプ220B~220Dが駆動することにより、同様にして、カラム230B~カラムDのそれぞれに溶離液が注入される。
<分析流路の切り替え>
図8は、試料を分析するために使用する流路が第1分析流路291Aから第2分析流路291Bに切り替えられた状態を例示する図である。第1分析流路291Aおよび第2分析流路291Bの概念は、図1を用いて説明したとおりである。
【0083】
試料を分析するために使用する流路が第1分析流路291Aから第2分析流路291Bに切り替えられる場合、第1切替バルブ150および第2切替バルブ160の状態が変化する。すなわち、第1切替バルブ150の接続部158は、ポート155の接続先をポート151からポート152に切り替える。第2切替バルブ160の接続部168は、ポート167の接続先をポート161からポート162に切り替える。
【0084】
これにより、第1切替バルブ150および第2切替バルブ160は、高圧バルブ180Bと接続される。図示のとおり、第1切替バルブ150はニードルバルブ260およびサンプルループ192を介してニードル191と接続される。第2切替バルブ160は、低圧バルブ171を介して計量ポンプ130と接続される。
【0085】
たとえば、ニードル191を試料の入った容器302A~302Cのいずれかに移動した後、制御装置110は、計量ポンプ130を駆動する。これにより、高圧バルブ180Bを経由して、試料をニードル191で吸引することができる。注入ポート198Bは、高圧バルブ180A~180Dのうち、高圧バルブ180Bに対応している。このため、ニードル191で吸引した試料を注入ポート198Bに注入することにより、第2分析流路291Bに対応するカラム230Bに試料を案内することができる。
<比較例の構成>
図9は、本実施の形態に関わる液体クロマトグラフシステム10に対する比較例を示す図である。比較例は、複数の高圧バルブ1800A~1800F、第1切替バルブ1500、第2切替バルブ1600、および低圧バルブ1700を備えている。
【0086】
第1切替バルブ1500および第2切替バルブ1600は、連動し、高圧バルブ1800A~1800Fのいずれかと接続する。低圧バルブ1700は、第2切替バルブ1600を経由して高圧バルブ1800A~1800Fのいずれかと接続される。
【0087】
比較例においては、高圧バルブ1800A~1800Fの各々に対応する洗浄ポンプが設けられておらず、低圧バルブ1700に対応して洗浄ポンプ1400が設けられている。洗浄ポンプ1400を駆動することにより、リンス液が低圧バルブ1700を経由して第2切替バルブ1600に供給される。比較例では、第1切替バルブ1500および第2切替バルブ1600が高圧バルブ1800Aと接続されているとき、洗浄ポンプ1400を駆動することにより、高圧バルブ1800Aを含んで形成される流路を洗浄することができる。
【0088】
しかし、第1切替バルブ1500および第2切替バルブ1600が高圧バルブ1800Aと接続されているときに、高圧バルブ1800Bを含んで形成される流路を洗浄することができない。同様に、第1切替バルブ1500および第2切替バルブ1600が高圧バルブ1800Aと接続されているときに、高圧バルブ1800C~1800Fを含んで形成されるそれぞれの流路を洗浄することができない。
【0089】
第1切替バルブ1500および第2切替バルブ1600が高圧バルブ1800Aと接続されているとき、高圧バルブ1800Aを含んで形成される流路を用いて試料が分析されているかもしれない。このとき、高圧バルブ1800A~1800Fを含んで形成されるそれぞれの流路は試料の分析に用いられていない。しかし、比較例では、洗浄ポンプ1400からのリンス液の供給先が第2切替バルブ1600の接続先に限定されてしまう。このため、比較例では、第2切替バルブ1600が高圧バルブ1800Aと接続されているとき、高圧バルブ1800A~1800Fを含んで形成されるそれぞれの流路を洗浄することができない。
【0090】
これに対して、本実施の形態に関わる液体クロマトグラフシステム10では、高圧バルブ180A~180Dにそれぞれ対応する洗浄ポンプ143A~143Dを備えている。このため、液体クロマトグラフシステム10によれば、第2切替バルブ160が高圧バルブ180A~180Dのいずれと接続されているかという点に影響を受けることなく、高圧バルブ180A~180Dを含んで形成される流路のいずれをもリンス液で洗浄することができる。
<第1洗浄パターン~第5洗浄パターンの概要>
図10は、第1洗浄パターン~第5洗浄パターンの概要を説明するための図である。ここでは、図10を参照して、高圧バルブ180Aを含んで構成される流路を対象として、洗浄パターンを説明する。液体クロマトグラフシステム10は、図10に示される第1洗浄パターン~第5洗浄パターンによって、高圧バルブ180Aを含んで構成される流路を洗浄することができる。
【0091】
第1洗浄パターンおよび第2洗浄パターンでは、高圧バルブ180Aを含む流路が左上の枠内のとおりに設定される。なお、ダイバートバルブ90内の実線の矢印は第1洗浄パターンとして設定される流路であり、ダイバートバルブ90内の破線の矢印は第2洗浄パターンとして設定される流路である。
【0092】
第1洗浄パターンおよび第2洗浄パターンでは、洗浄ポンプ143Aから高圧バルブ180Aに供給されたリンス液が、高圧バルブ180A、第1切替バルブ150、ニードルバルブ260、サンプルループ192、ニードル191、高圧バルブ180A、カラム230A、およびダイバートバルブ90の順に流れる。
【0093】
第1洗浄パターンおよび第2洗浄パターンとして設定される洗浄の流路は、ニードルバルブ260、サンプルループ192、およびニードル191を経由する第1流路に相当する。第1流路は、たとえば、第1分析流路291Aの一形態である。
【0094】
第1洗浄パターンでは、ダイバートバルブ90のポート91とポート95とが接続されるため、ダイバートバルブ90に流入したリンス液はポート91,95を流れ、ダイバートバルブ90から検出器500に向かう流路を含めて洗浄する。第2洗浄パターンでは、ダイバートバルブ90のポート91とポート96,97とが接続されるため、ダイバートバルブ90に流入したリンス液はポート91を洗浄し、ポート96,97から排出される。
【0095】
第3洗浄パターンおよび第4洗浄パターンでは、高圧バルブ180Aを含む流路が左下の枠内のとおりに設定される。なお、ダイバートバルブ90内の実線の矢印は第3洗浄パターンとして設定される流路であり、ダイバートバルブ90内の破線の矢印は第4洗浄パターンとして設定される流路である。
【0096】
第3洗浄パターンおよび第4洗浄パターンでは、洗浄ポンプ143Aから高圧バルブ180Aに供給されたリンス液は、高圧バルブ180A、カラム230A、およびダイバートバルブ90の順に流れる。
【0097】
第3洗浄パターンおよび第4洗浄パターンとして設定される洗浄の流路は、ニードルバルブ260、サンプルループ192、およびニードル191を経由しない第2流路に相当する。第2流路は、たとえば、第1分析流路291Aの一形態である。
【0098】
第3洗浄パターンでは、ダイバートバルブ90のポート91とポート95とが接続されるため、ダイバートバルブ90に流入したリンス液はポート91,95を流れ、ダイバートバルブ90から検出器500に向かう流路を含めて洗浄する。第4洗浄パターンでは、ダイバートバルブ90のポート91とポート96,97とが接続されるため、ダイバートバルブ90に流入したリンス液はポート91を洗浄し、ポート96,97から排出される。
【0099】
第5洗浄パターンでは、高圧バルブ180Aを含む流路が右の枠内のとおりに設定される。第5洗浄パターンでは、ニードル洗浄ポンプ20からニードルバルブ260に供給されたリンス液は、ニードルバルブ260、サンプルループ192、ニードル191、および高圧バルブ180Aの順に流れる。高圧バルブ180Aに流入したリンス液は高圧バルブ180Aのポート181Aから排出される。
【0100】
次に、第1~第5洗浄パターンの具体的な構成を説明する。以下では、高圧バルブ180Aを含んで構成される流路を代表例として、その構成を説明する。
<第1洗浄パターンおよび第2洗浄パターン>
図11は、第1洗浄パターンの具体的な構成例を示す図である。図12は、第2洗浄パターンの具体的な構成例を示す図である。図11および図12では、構成の一部の図示を省略するとともに、ダイバートバルブ90に関わる構成を枠で囲んでいる。図13図19も同様である。
【0101】
第1洗浄パターンでは、たとえば、図11に示される流路が設定される。すなわち、第1切替バルブ150のポート151とポート155とが接続される。ニードル191は注入ポート198Aに接続される。高圧バルブ180Aにおいて、ポート182Aとポート183Aとが接続され、ポート184Aとポート185Aとが接続され、ポート186Aとポート181Aとが接続される。ダイバートバルブ90において、ポート91とポート95とが接続される。
【0102】
洗浄ポンプ143Aから高圧バルブ180Aにリンス液が供給されると、高圧バルブ180A、第1切替バルブ150、ニードルバルブ260、サンプルループ192、ニードル191、注入ポート198A、高圧バルブ180A、カラム230A、およびダイバートバルブ90を含む流路がリンス液によって洗浄される。さらに、リンス液によって、検出器500に向かう流路が洗浄される。このとき、試料台300にリンス液や溶離液といったブランク試料の容器を準備しておき、ニードル191で吸引してから第1洗浄パターンで洗浄してもよい。
【0103】
第2洗浄パターンでは、たとえば、図12に示される流路が設定される。第2洗浄パターンは、ダイバートバルブ90の流路の設定が第1洗浄パターンと異なる。すなわち、第2洗浄パターンでは、ダイバートバルブ90のポート91とポート96,97とが接続される。このため、第2洗浄パターンでは、ダイバートバルブ90のポート91からポート96,97に向かう流路が洗浄される。このとき、試料台300にリンス液や溶離液といったブランク試料の容器を準備しておき、ニードル191で吸引してから第2洗浄パターンで洗浄してもよい。
<第3洗浄パターンおよび第4洗浄パターン>
図13は、第3洗浄パターンの具体的な構成例を示す図である。図14は、第4洗浄パターンの具体的な構成例を示す図である。
【0104】
第3洗浄パターンでは、たとえば、図13に示される流路が設定される。すなわち、高圧バルブ180Aのポート181Aとポート182Aとが接続され、ポート183Aとポート184Aとが接続され、ポート185Aとポート186Aとが接続される。ダイバートバルブ90において、ポート91とポート95とが接続される。
【0105】
洗浄ポンプ143Aから高圧バルブ180Aに供給されたリンス液は、ニードル191に向けて流れることなく、カラム230Aに向かう。その結果、ダイバートバルブ90、およびダイバートバルブ90から検出器500に向かう流路がリンス液によって洗浄される。
【0106】
第4洗浄パターンでは、たとえば、図14に示される流路が設定される。第4洗浄パターンは、ダイバートバルブ90の流路の設定が第3洗浄パターンと異なる。すなわち、第4洗浄パターンでは、ダイバートバルブ90のポート91とポート96,97とが接続される。このため、第4洗浄パターンでは、ダイバートバルブ90のポート91からポート96,97に向かう流路が洗浄される。
<第5洗浄パターン>
図15は、第5洗浄パターンの具体的な構成例を示す図である。
【0107】
第5洗浄パターンでは、たとえば、図15に示される流路が設定される。すなわち、ニードルバルブ260のポート262とポート263とが接続され、ポート264とポート265とが接続され、ポート266とポート261とが接続される。高圧バルブ180Aのポート181Aとポート182Aとが接続され、ポート183Aとポート184Aとが接続され、ポート185Aとポート186Aとが接続される。
【0108】
ニードル洗浄ポンプ20からニードルバルブ260にリンス液が供給されると、サンプルループ192、ニードル191、注入ポート198A、および高圧バルブ180Aを含む流路がリンス液によって洗浄される。このとき、試料台300にリンス液や溶離液といったブランク試料の容器を準備しておき、ニードル191で吸引してから第5洗浄パターンで洗浄してもよい。
【0109】
以上、説明したとおり、第1洗浄パターンおよび第2洗浄パターンによれば、カラム230Aからダイバートバルブ90までの流路のみならず、ニードル191およびサンプルループ192を含む流路も洗浄することができる。
【0110】
第3洗浄パターンおよび第4洗浄パターンでは、第1洗浄パターンおよび第2洗浄パターンに比べると、洗浄できる範囲が少ない。しかし、第3洗浄パターンおよび第4洗浄パターンにニードル191およびサンプルループ192が含まれないことが、洗浄方法のパリエーションを増やす効果を生み出している。すなわち、第3洗浄パターンおよび第4洗浄パターンを活用することにより、ニードル191およびサンプルループ192で試料を吸引しているタイミングで流路を洗浄することが可能になる。
【0111】
第1洗浄パターンおよび第3洗浄パターンによれば、ダイバートバルブ90のポート95を含めて検出器500に向かう流路を洗浄することができる。このような洗浄パターンは、たとえば、高濃度の試料を用いて分析する場合、あるいは、本実施の形態に関わる液体クロマトグラフシステム10のように、複数の分析流路(第1分析流路291A~第4分析流路291D)を切り替えて分析を継続できる構成において、効果的である。
【0112】
複数の分析流路を切り替えて分析を継続する場合、分析流路を切り替えるダイバートバルブ90に試料の成分が蓄積する可能性がある。特に、ダイバートバルブ90のうち、検出器500が接続されるポート95に試料の成分が繰り返し蓄積し、キャリーオーバーが発生するかもしれない。あるいは、試料が連続的にダイバートバルブ90を通じて検出器500のインタフェース部分に送り込まれるため、そのインタフェース部分においてキャリーオーバーが発生するかもしれない。
【0113】
第1洗浄パターンおよび第3洗浄パターンによれば、ダイバートバルブ90のポート95および検出器500のインタフェース部分を含めて洗浄することができるため、複数の分析流路を用いた効率的な分析をしつつ、キャリーオーバーの発生要因となる箇所を十分に洗浄することができる。
【0114】
図10図15を用いた説明では、リンス液を用いて流路を洗浄する例を説明した。しかしながら、第1~第5洗浄パターンにおいて、溶離液(ブランク液)を用いて流路を洗浄してもよい。たとえば、第1~第4洗浄パターンにおいて、洗浄ポンプ143Aに変えて高圧ポンプ220Aを用いることによって、溶離液を用いた洗浄を実現してもよい、また、第5洗浄パターンにおいて、ニードル洗浄ポンプ20を溶離液が入った容器に接続することによって、溶離液を用いた洗浄を実現してもよい。さらに、第1~第5洗浄パターンにおいて、リンス液と溶離液とを組み合わせた洗浄を実現してもよい。たとえば、リンス液で流路を洗浄した後、溶離液で流路を洗浄してもよい。
【0115】
ここでは、高圧バルブ180Aを含んで構成される流路を例として、第1~第5洗浄パターンを説明した。しかし、液体クロマトグラフシステム10は、高圧バルブ180B~180Dをそれぞれ含んで構成される流路に対しても同様に、第1~第5洗浄パターンによる洗浄が可能であることはいうまでもない。上記の説明は、高圧バルブ180B~180Dをそれぞれ含んで構成される流路に対しても同様に当てはまる。
【0116】
次に、図16図19を参照して、第1分析流路291A~第4分析流路291Dのうちの1つで試料の分析または分析の準備をしているときに、各種の洗浄パターンで液体クロマトグラフシステム10に構成される流路を洗浄する例を説明する。
<試料の吸引中に洗浄する例>
図16は、試料の吸引中に第3洗浄パターンおよび第4洗浄パターンにより流路を洗浄する例を示す図である。特に、ここでは、試料の吸引中に、第1分析流路291Aを第3洗浄パターンで洗浄するとともに第2分析流路291Bを第4洗浄パターンで洗浄する例を説明する。
【0117】
図16において、第1切替バルブ150および第2切替バルブ160は、高圧バルブ180Aと接続されている。ダイバートバルブ90において、カラム230Aに向けられたポート91と、検出器500に向けられたポート95とが接続されている。このため、高圧バルブ180Aを含む第1分析流路291Aにおいて試料を分析できる状態にある。
【0118】
計量ポンプ130は、低圧バルブ170、第2切替バルブ160、高圧バルブ180A、第1切替バルブ150、およびニードルバルブ260を経由してニードル191と接続されている。ニードル191は、試料の入った容器302Aに案内されている。ニードル191は、計量ポンプ130が与える負圧によって容器302Aから試料を吸入する。
【0119】
高圧バルブ180Bでは、ポート183Bとポート184Bとが接続されている。
【0120】
このような状態において、液体クロマトグラフシステム10は、高圧バルブ180Aを含む第1分析流路291Aを対象とした第3洗浄パターンによる洗浄と、高圧バルブ180Bを含む第2分析流路291Bを対象とした第4洗浄パターンによる洗浄とを実行することが可能である。
【0121】
洗浄ポンプ143Aから高圧バルブ180Aに供給されたリンス液は、高圧バルブ180A、カラム230A、およびダイバートバルブ90を流れ、それらの各部および検出器500に向かう流路を洗浄する(第3洗浄パターン)。
【0122】
洗浄ポンプ143Bから高圧バルブ180Bに供給されたリンス液は、高圧バルブ180B、カラム230B、およびダイバートバルブ90を流れ、それらの各部を含む流路を洗浄する(第4洗浄パターン)。
【0123】
このように、液体クロマトグラフシステム10は、第1分析流路291Aにおいて試料を分析するために、試料を吸引する動作が継続しているときに、第1分析流路291Aを洗浄することができる。さらに、液体クロマトグラフシステム10は、第2分析流路291Bを洗浄することができる。なお、液体クロマトグラフシステム10は、高圧バルブ180Cを含む第3分析流路291Cおよび高圧バルブ180Dを含む第4分析流路291Dを併せて洗浄できることはいうまでもない。
<試料の注入中に洗浄する例>
図17は、試料の注入中に第4洗浄パターンにより流路を洗浄する例を示す図である。特に、ここでは、第1分析流路291Aのカラム230Aへ試料を注入しているときに、第2分析流路291Bを第4洗浄パターンで洗浄する例を説明する。
【0124】
図17において、第1切替バルブ150および第2切替バルブ160は、高圧バルブ180Aと接続されている。ダイバートバルブ90において、カラム230Aに向けられたポート91と、検出器500に向けられたポート95とが接続されている。
【0125】
高圧ポンプ220Aは、高圧バルブ180A、第1切替バルブ160、およびニードルバルブ260を経由してニードル191と接続されている。ニードル191は、注入ポート198Aに接続されている。サンプルループ192は試料を保持している。ニードル191は、高圧ポンプ220Aから供給される溶離液と共にサンプルループ192内の試料を注入ポート198Aに注入する。これにより、試料が高圧バルブ180Aを経てカラム230Aに注入される。
【0126】
高圧バルブ180Bでは、ポート183Bとポート184Bとが接続されている。
【0127】
このような状態において、液体クロマトグラフシステム10は、高圧バルブ180Bを含む第2分析流路291Bを対象とした第4洗浄パターンによる洗浄を実行することが可能である。すなわち、洗浄ポンプ143Bから高圧バルブ180Bにリンス液を供給することにより、高圧バルブ180B、カラム230B、およびダイバートバルブ90を含む流路を洗浄することができる(第4洗浄パターン)。
【0128】
このように、液体クロマトグラフシステム10は、第1分析流路291Aにおいて試料をカラム230Aに注入する動作が継続しているときに、第2分析流路291Bを洗浄することができる。なお、液体クロマトグラフシステム10は、高圧バルブ180Cを含む第3分析流路291Cおよび高圧バルブ180Dを含む第4分析流路291Dを併せて洗浄できることはいうまでもない。
<試料の分析中に洗浄する第1の例>
図18は、試料の分析中に第2洗浄パターンにより流路を洗浄する例を示す図である。特に、ここでは、第1分析流路291Aを用いて試料を分析しているときに、第2分析流路291Bを第2洗浄パターンで洗浄する例を説明する。
【0129】
図18において、高圧ポンプ220Aは、高圧バルブ180Aを経由してカラム230Aと接続されている。カラム230Aには試料が入っている。ダイバートバルブ90において、カラム230Aに向けられたポート91と、検出器500に向けられたポート95とが接続されている。高圧ポンプ220Aから供給される溶離液は、高圧バルブ180Aを経て試料の入ったカラム230Aに注入される。検出器500において、試料の分析が進められる。
【0130】
第1切替バルブ150および第2切替バルブ160は、高圧バルブ180Bと接続されている。洗浄ポンプ143Bは、高圧バルブ180B、第1切替バルブ160、およびニードルバルブ260を経由してニードル191と接続されている。ニードル191は、注入ポート198Bに案内されている。
【0131】
このような状態において、液体クロマトグラフシステム10は、高圧バルブ180Bを含む第2分析流路291Bを対象とした第2洗浄パターンによる洗浄を実行することが可能である。すなわち、洗浄ポンプ143Bから高圧バルブ180Bにリンス液を供給することにより、高圧バルブ180B、第1切替バルブ150、ニードルバルブ260、サンプルループ192、ニードル191、注入ポート198B、高圧バルブ180B、カラム230B、およびダイバートバルブ90の順にリンス液が流れ、それらの各部を含む流路が洗浄すされる(第2洗浄パターン)。
【0132】
このように、液体クロマトグラフシステム10は、第1分析流路291Aにおいて試料の分析が進められているときに、第2分析流路291Bを第2洗浄パターンで洗浄することができる。なお、液体クロマトグラフシステム10は、第2分析流路291Bに変えて、高圧バルブ180Cを含む第3分析流路291Cまたは高圧バルブ180Dを含む第4分析流路291Dを第2洗浄パターンで洗浄できることはいうまでもない。
【0133】
また、液体クロマトグラフシステム10は、第1分析流路291Aにおいて試料の分析が進められているときに、第2分析流路291Bを第4パターンで洗浄することも可能である。さらに、液体クロマトグラフシステム10は、第1分析流路291Aにおいて試料の分析が進められているときに、第2分析流路291Bを第2洗浄パターンで洗浄しつつ、第3分析流路291Cを第4洗浄パターンで洗浄することも可能である。
<試料の分析中に洗浄する第2の例>
図19は、試料の分析中に第4洗浄パターンおよび第5洗浄パターンにより流路を洗浄する例を示す図である。特に、ここでは、第1分析流路291Aを用いて試料を分析しているときに、第2分析流路291Bを第4洗浄パターンで洗浄するとともに高圧バルブ180Aを含む流路を第5洗浄パターンで洗浄する例を説明する。
【0134】
図19において、第1切替バルブ150および第2切替バルブ160は、高圧バルブ180Aと接続されている。ダイバートバルブ90において、カラム230Aに向けられたポート91と、検出器500に向けられたポート95とが接続されている。高圧ポンプ220Aから供給される溶離液は、高圧バルブ180Aを経て試料の入ったカラム230Aに注入される。検出器500において、試料の分析が進められる。
【0135】
ニードルバルブ260では、ポート262とポート263とが接続されている。高圧バルブ180Bでは、ポート183Bとポート184Bとが接続されている。
【0136】
このような状態において、液体クロマトグラフシステム10は、高圧バルブ180Aを含む流路を対象とした第5洗浄パターンによる洗浄と、高圧バルブ180Bを含む第2分析流路291Bを対象とした第4洗浄パターンによる洗浄とを実行することが可能である。
【0137】
ニードル洗浄ポンプ20からニードルバルブ260に供給されたリンス液は、ニードルバルブ260、サンプルループ192、ニードル191,および高圧バルブ180Aを流れ、それらの各部を含む流路が洗浄される(第5洗浄パターン)。
【0138】
洗浄ポンプ143Bから高圧バルブ180Bに供給されたリンス液は、高圧バルブ180B、カラム230B、およびダイバートバルブ90を流れ、それらの各部を含む流路が洗浄される(第4洗浄パターン)。
【0139】
このように、液体クロマトグラフシステム10は、第1分析流路291Aを用いて試料を分析する処理が継続しているときに、高圧バルブ180Aを含む流路を対象とした第5洗浄パターンによる洗浄と、高圧バルブ180Bを含む第2分析流路291Bを対象とした第4洗浄パターンによる洗浄とを実行することが可能である。
【0140】
なお、液体クロマトグラフシステム10は、高圧バルブ180Cを含む第3分析流路291Cおよび高圧バルブ180Dを含む第4分析流路291Dを併せて第4洗浄パターンにより洗浄できることはいうまでもない。
<選択可能な洗浄パターンの種類>
図20は、第1分析流路291A~第4分析流路291Dにおいて選択可能な洗浄パターンを示す図である。図20には、第1分析流路291Aを用いて進行する3つの処理の各段階で選択可能な洗浄パターンの種類が第1分析流路291A~第4分析流路291D毎に示されている。
【0141】
これまでに図10図19を用いて説明した各種の洗浄パターンを整理すると、たとえば、第1分析流路291Aが試料の分析に用いられているときに、第1分析流路291A~第4分析流路291Dを洗浄するために選択可能な洗浄パターンの種類は、図20に示されるとおりとなる。
【0142】
なお、第5洗浄パターンにより洗浄される流路は、洗浄液が高圧バルブ180A~180Dのドレインポートである181A~184Aに向かう流路である。図20では、第1分析流路291A~第4分析流路291Dに関連する洗浄パターンという位置付けで、第5洗浄パターンを第1分析流路291A~第4分析流路291Dに対応付けて記載している。
【0143】
図20に示される、試料吸引、試料注入、および溶離液注入の各段階は、それぞれ、試料をニードル191により吸引する段階、吸引された試料をニードル191から注入ポート198Aおよび高圧バルブ180Aを経由してカラム230Aに注入する段階、および高圧ポンプ220Aから高圧バルブ180Aに供給された溶離液をカラム230Aに注入する段階を意味する。
【0144】
試料をニードル191により吸引しているとき、第3または第4洗浄パターンで第1分析流路291A~第4分析流路291Dを洗浄することができる。たとえば、第1分析流路291Aを第3洗浄パターンで洗浄するとともに、第2分析流路291B~第4分析流路291Dを第3洗浄パターンで洗浄することが可能である。
【0145】
吸引された試料をニードル191から注入ポート198Aおよび高圧バルブ180Aを経由してカラム230Aに注入しているとき、第3または第4洗浄パターンで第2分析流路291B~第4分析流路291Dを洗浄することができる。たとえば、第2分析流路291Bを第3洗浄パターンで洗浄するとともに、第3分析流路291Cおよび第4分析流路291Dを第4洗浄パターンで洗浄することが可能である。
【0146】
高圧ポンプ220Aから高圧バルブ180Aに供給された溶離液をカラム230Aに注入しているとき、第5洗浄パターンで第1分析流路291Aを洗浄することが可能である。このときに洗浄される部分は、ニードルバルブ、サンプルループ192、ニードル191、注入ポート198A、高圧バルブ180Aのポート182A、および高圧バルブ180Aのポート181Aである。
【0147】
高圧ポンプ220Aから高圧バルブ180Aに供給された溶離液をカラム230Aに注入しているとき、第2、第4、および第5洗浄パターンのいずれかで第2分析流路291B~第4分析流路291Dを洗浄することが可能である。たとえば、第2分析流路291Bを第2洗浄パターンで洗浄するとともに、第3分析流路291Cおよび第4分析流路291Dを第4洗浄パターンで洗浄することが可能である。
【0148】
このように、液体クロマトグラフシステム10は、様々な洗浄パターンで第1分析流路291A~第4分析流路291Dを洗浄することができる。液体クロマトグラフシステム10は、各分析流路の洗浄に用いる洗浄パターンおよび洗浄のタイミングの入力を受け付ける。
【0149】
ユーザは、入力装置120(図4参照)を用いて各分析流路の洗浄に用いる洗浄パターンおよび洗浄のタイミングを設定する。設定の内容は表示装置125(図4参照)に表示される。制御装置110(図4参照)は、入力装置120に入力されたユーザの指示に応じて、各分析流路の洗浄に用いる洗浄パターンおよび洗浄のタイミングを設定する。
<洗浄パターンの設定の一例>
図21は、洗浄パターンの設定の一例を示すタイミングチャートである。図21において、(1)~(5)は、それぞれ、第1~第5洗浄パターンを意味する。ここでは、ユーザの指示に応じて設定された洗浄パターンおよび洗浄のタイミングに従って液体クロマトグラフシステム10が実行する処理の流れを図21に基づいて説明する。
【0150】
試料を用いた分析は、第1分析流路291A~第4分析流路291Dが順に用いられて実行される。はじめに第1分析流路291Aを対象として、第1洗浄パターンによる洗浄が実行される。これにより、高圧バルブ180A、第1切替バルブ150、ニードルバルブ260、サンプルループ192、ニードル191、注入ポート198A、高圧バルブ180A、カラム230A、およびダイバートバルブ90を含む流路がリンス液によって洗浄される。さらに、リンス液によって、ダイバートバルブ90から検出器500に向かう流路が洗浄される。
【0151】
次に、第1分析流路291Aを対象として、試料がニードル191により吸引される。試料がニードル191により吸引される間に、第2分析流路291B~第4分析流路291Dを対象として、第4洗浄パターンによる洗浄が実行される。これにより、たとえば、第2分析流路291Bにおいて、高圧バルブ180Bからカラム230Bに向かう流路、およびカラム230Bからダイバートバルブ90のポート96,97に向かう流路が洗浄される。
【0152】
第1分析流路291Aを対象とした試料の吸引が終了すると、試料を溶離液とともにカラム230Aに注入する処理が実行される。ニードル191からすべての試料が注入されると、第5洗浄パターンによる洗浄が実行される。これにより、ニードルバルブ260、サンプルループ192、ニードル191、注入ポート198A、および高圧バルブ180Aを含む流路が洗浄される。
【0153】
第1分析流路291Aにおいて、ニードル191からすべての試料が注入されると、高圧バルブ180Aの接続状態が切り替わり、カラム230Aに注入された試料に対して溶離液を流す処理が開始される。これにより、検出器500では分析が進められる。
【0154】
第1分析流路291Aにおいて分析が進められる間、第2分析流路291B~第4分析流路291Dの順に第2洗浄パターンによる洗浄が実行される。第1分析流路291Aにおいて分析が終了すると、第1分析流路291Aを対象として、第2洗浄パターンによる洗浄および第3洗浄パターンによる洗浄が実行される。
【0155】
次に、第2分析流路291Bを用いて試料を分析するための処理が開始される。すなわち、第1切替バルブ150および第2切替バルブ160の接続先が高圧バルブ180Aから高圧バルブ180Bに切り替えられる。続いて、第2分析流路291Bを対象として、第1洗浄パターンによる洗浄が実行される。
【0156】
以下、図21に示されるように、同様の手順で、第2分析流路291B~第4分析流路291Dを用いて試料を分析するための処理、および、第1分析流路291A~第4分析流路291Dを洗浄する処理が繰り返される。
<リンス液と溶離液とを組み合わせた洗浄>
図22は、洗浄ポンプ143A~143Dおよび高圧ポンプ220A~220Dの駆動パターンの一例を示すタイミングチャートである。液体クロマトグラフシステム10は、第1~第4洗浄パターンで流路を洗浄する場合、洗浄液としてリンス液と溶離液(ブランク液)とを用いることが可能である。
【0157】
たとえば、第1分析流路291Aを洗浄する場合、はじめに洗浄ポンプ143Aが駆動される。これにより、リンス液で第1分析流路が洗浄される。洗浄ポンプ143Aの駆動から時間T1が経過して時点で、洗浄ポンプ143Aに変えて、高圧ポンプ220Aが駆動される。これにより、溶離液で第1分析流路が洗浄される。高圧ポンプ220Aの駆動から時間T2が経過して時点で高圧ポンプ220Aの駆動が停止される。
【0158】
このような駆動パターンによれば、リンス液による洗浄の後、溶離液が流れる。このため、カラム230A~230Dにおいて、溶離液により構成される移動相が平衡化された状態とすることができる。このような駆動パターンは、第1~第4洗浄パターンのすべてにおいて採用してもよい。たとえば、図21に示した洗浄パターンの設定において、図22に示すようなリンス液と溶離液とを組み合わせてもよい。
【0159】
また、ここでは、高圧ポンプ220Aの駆動から時間T2が経過して時点で高圧ポンプ220Aの駆動が停止するものとしたが、高圧ポンプ220Aの駆動は停止せず、洗浄ポンプ143Aからリンス液を供給するときを除いて、高圧ポンプ220Aを常時駆動してもよい。
【0160】
<処理の流れ(設定)>
図23は、液体クロマトグラフシステム10において、ユーザからの分析に関する設定の入力を受け付けるための処理のフローチャートである。一実現例では、図23に示された処理は、プロセッサ111が所与のプログラムを実行することによって実現される。
【0161】
ステップS100において、液体クロマトグラフシステム10は、表示装置125に設定画面を表示する。設定画面は、分析対象を特定する情報(たとえば、化合物名)の入力を受け付ける。図24は、設定画面の一例である。図24に示されるように、設定画面2400は、分析対象と特定する情報の入力を受け付ける入力欄2401を含む。
【0162】
図23に戻って、ステップS102において、液体クロマトグラフシステム10は、設定画面に入力された、分析対象を特定する情報を取得し、メモリ112に書き込む。その後、液体クロマトグラフシステム10は、図23の処理を終了させる。
【0163】
<メソッドファイルデータベース>
図25は、メソッドファイルデータベースのデータ構成の一例を模式的に示す図である。メソッドファイルデータベースは、2以上の洗浄メソッドファイル(以下メソッドファイル)を含む。各メソッドファイルは、液体クロマトグラフシステム10によって実施される分析および洗浄の内容を規定する。
【0164】
より具体的には、図25には、4種類のメソッドファイル(1)~(4)が示されている。メソッドファイル(1)~(4)のそれぞれは、分析メソッドおよび洗浄メソッドを含む。すなわち、メソッドファイルデータベースでは、1以上の分析メソッド(分析条件)の各々が、1以上の洗浄メソッドのいずれか一つを組み合わされている。
【0165】
図25の例では、メソッドファイル(1)に含まれる分析メソッドは、溶離液流速の設定値として、値R1を含む。メソッドファイル(1)に従うと、液体クロマトグラフシステム10は、分析において、カラム(カラム230A等)に流速R1で溶離液が送られるように、高圧ポンプ(高圧ポンプ220A等)を制御する。
【0166】
メソッドファイル(1)に含まれる洗浄メソッドは、「実行条件」「対象試料」および「洗浄内容」のそれぞれの設定値を有する。
【0167】
「実行条件」は、各メソッドファイルが選択される条件を意味する。メソッドファイル(1)において、「実行条件」の設定値は、「QC値≧V1」を含む。QC値は、ストリームの品質管理用の分析結果を意味し、ストリームにおける化合物の残存量を表す。QC値が大きいほど、残存量が多いことを意味する。QC値の算出方法の具体例は、図26のステップS208を参照して、後述される。実行条件の設定値が「QC値≧V1」であることは、この分析結果の値がV1以上である場合に、メソッドファイル(1)が選択されることを意味する。
【0168】
「対象試料」は、液体クロマトグラフシステム10における分析対象を意味する。一実現例では、液体クロマトグラフシステム10は、ステップS102において、設定画面に入力された情報に基づいて分析対象(対象試料)を特定する。
【0169】
メソッドファイル(1)において、「対象試料」の設定値は、「K1」を含む。対象試料の設定値が「K1」であることは、対象試料が「K1」である場合に、メソッドファイル(1)が選択されることを意味する。
【0170】
「洗浄内容」は、ストリームの洗浄において実施される内容を意味する。メソッドファイル(1)において、「洗浄内容」の値は、「第1洗浄パターン[10min]」および「第2洗浄パターン[10min]」を含む。このことは、ストリームの洗浄のために、第1洗浄パターン(図11)による10分間の洗浄が実施され、その後、第2洗浄パターン(図12)による10分間の洗浄が実施されることを意味する。
【0171】
メソッドファイル(2)は、メソッドファイル(1)に対して、実行条件および洗浄内容のそれぞれの設定値が異なる。メソッドファイル(2)では、「実行条件」の設定値は、「QC値<V1」を含む。
【0172】
メソッドファイル(2)では、「洗浄内容」の値は、「第1洗浄パターン[5min]」および「第2洗浄パターン[5min]」を含む。このことは、ストリームの洗浄のために、第1洗浄パターン(図11)による5分間の洗浄が実施され、その後、第2洗浄パターン(図12)による5分間の洗浄が実施されることを意味する。
【0173】
図25の例では、対象試料が「K1」である場合であって、QC値≧V1であれば、メソッドファイル(1)が選択される。一方、対象試料が「K1」である場合であって、QC値<V1であれば、メソッドファイル(2)が選択される。メソッドファイル(1)では、メソッドファイル(2)よりも、第1洗浄パターンおよび第2洗浄パターンのそれぞれが実施される時間が長い。QC値は、ストリームにおける化合物の残存量の多さを表す。すなわち、本実施の形態では、ストリームにおける化合物の残存量が多いほど、より長い洗浄時間を有する洗浄メソッドが選択される。
【0174】
メソッドファイル(3)は、メソッドファイル(1)に対して、対象試料および洗浄内容のそれぞれの設定値が異なる。メソッドファイル(3)では、「対象試料」の設定値は、「K1以外」を含む。
【0175】
メソッドファイル(3)では、「洗浄内容」の値は、「第1洗浄パターン[9min]」および「第2洗浄パターン[9min]」を含む。このことは、ストリームの洗浄のために、第1洗浄パターン(図11)による9分間の洗浄が実施され、その後、第2洗浄パターン(図12)による9分間の洗浄が実施されることを意味する。
【0176】
図25の例では、対象試料が「K1」である場合であって、QC値≧V1であれば、メソッドファイル(1)が選択される。一方、対象試料が「K1以外」である場合であって、QC値≧V1であれば、メソッドファイル(3)が選択される。
【0177】
メソッドファイル(4)は、メソッドファイル(2)に対して、対象試料および洗浄内容のそれぞれの設定値が異なる。メソッドファイル(4)では、「対象試料」の設定値は、「K1以外」を含む。
【0178】
メソッドファイル(4)では、「洗浄内容」の値は、「第1洗浄パターン[4min]」および「第2洗浄パターン[4min]」を含む。このことは、ストリームの洗浄のために、第1洗浄パターン(図11)による4分間の洗浄が実施され、その後、第2洗浄パターン(図12)による4分間の洗浄が実施されることを意味する。
【0179】
図25の例では、対象試料が「K1」である場合であって、QC値<V1であれば、メソッドファイル(2)が選択される。一方、対象試料が「K1以外」である場合であって、QC値<V1であれば、メソッドファイル(4)が選択される。
【0180】
<処理の流れ(分析)>
図26は、液体クロマトグラフシステム10において、試料を分析するための処理のフローチャートである。一実現例では、図26に示された処理は、プロセッサ111が所与のプログラムを実行することによって実現される。
【0181】
ステップS200において、液体クロマトグラフシステム10は、図26の処理で利用される変数Nの値として「1」を設定する。変数Nは、4つのストリームのうち分析に利用されるストリームを識別する。変数Nの値が「1」であれば、第1ストリーム(第1分析流路291A)が分析に利用される。変数Nの値が「2」であれば、第2ストリーム(第2分析流路291B)が分析に利用される。変数Nの値が「3」であれば、第3ストリーム(第3分析流路291C)が分析に利用される。変数Nの値が「4」であれば、第4ストリーム(第4分析流路291D)が分析に利用される。
【0182】
ステップS202において、液体クロマトグラフシステム10は、分析に利用されるストリームに、当該ストリーム内の高圧ポンプ(高圧ポンプ220A~220Dのいずれか)に溶離液を送らせることにより、溶離液を検出器500に向けて注入する。ステップS202の制御は、いわゆる「ブランク注入」に相当する。
【0183】
ステップS204において、液体クロマトグラフシステム10は、検出器500に分析の実施を指示する。これに応じて、検出器500は、上記「ブランク注入」によって注入さた溶離液の分析を実施する。
【0184】
ステップS206において、液体クロマトグラフシステム10は、検出器500から上記「ブランク注入」によって注入さた溶離液の分析の結果を取得する。
【0185】
ステップS208において、液体クロマトグラフシステム10は、ステップS206において取得された分析の結果から、QC値を算出する。一実現例では、液体クロマトグラフシステム10は、分析の結果としてMS(マススペクトル)データを取得し、そして、当該MSデータにおいて溶離液に起因するピーク以外のピークの高さとしてQC値を算出する。
【0186】
ステップS210において、液体クロマトグラフシステム10は、ステップS102において取得された対象試料をメモリ112から読み出す。
【0187】
ステップS212において、液体クロマトグラフシステム10は、ステップS208において算出されたQC値およびステップS210において読み出された対象試料に基づいて、メソッドファイルデータベースに含まれる複数のメソッドファイルから、今回の分析において参照されるメソッドファイルを特定する。すなわち、ステップS208にて算出したQC値は、特定されるメソッドファイルの洗浄メソッドの「実行条件」を満たす。また、ステップS210にて読み出した対象試料は、特定されるメソッドファイルの洗浄メソッドの「対象試料」に含まれる。
【0188】
ステップS214において、液体クロマトグラフシステム10は、ステップS212において特定されたメソッドファイルの洗浄メソッドに従って、ストリームの洗浄を実施する。
【0189】
ステップS216において、液体クロマトグラフシステム10は、表示装置125に、ストリーム情報の表示を開始する。図27は、ストリーム情報を表示する画面の一例を示す図である。
【0190】
図27の画面2600は、グラフ2601を含む。グラフ2601は、第1ストリームの高圧ポンプ220Aおよび第2ストリームの高圧ポンプ220Bのそれぞれの時間変化を表す。グラフ2601の右側の縦軸は、圧力値を表す。グラフ2601の横軸は、時間を表す。
【0191】
図27の例では、第1ストリームおよび第2ストリームのそれぞれの高圧ポンプの圧力値が示されている。高圧ポンプの圧力値とは、高圧ポンプが液体を吐出する圧力を意味する。
【0192】
ストリーム情報は、分析に利用されるストリームの高圧ポンプの圧力値を含めば、すべてのストリームの高圧ポンプの圧力値を含んでも良いし、一部のストリームの高圧ポンプの圧力値のみを含んでも良い。ストリーム情報として、さらに、各ストリームについて算出されたQC値が表示されてもよい。一実現例では、液体クロマトグラフシステム10は、連続的に高圧ポンプの圧力値を検出し、ステップS218として後述する分析メソッドが終了するまで、ストリーム情報の表示を継続する。
【0193】
再度図26を参照して、ステップS218において、液体クロマトグラフシステム10は、ステップS212において特定されたメソッドファイルの分析メソッドに従って、試料の分析を実施する。
【0194】
ステップS220において、液体クロマトグラフシステム10は、変数Nの値を更新する。より具体的には、液体クロマトグラフシステム10は、変数Nの値が「1」~「3」であれば、ステップS220では、変数Nの値を1加算更新する。変数Nの値が「4」であれば、変数Nの値を「1」へと更新する。これにより、変数Nの値は「1」~「4」の間で循環する。その後、液体クロマトグラフシステム10は、ステップS202へ制御を戻す。
【0195】
以上説明された処理によれば、液体クロマトグラフシステム10は、各ストリームを利用した分析の開始時に、当該ストリームの品質管理用の分析結果を取得する。そして、液体クロマトグラフシステム10は、当該品質管理用の分析結果に基づいて、分析に利用されるメソッドファイルを特定する。メソッドファイルが特定されることにより、分析のための洗浄メソッドが特定される。洗浄メソッドは、洗浄のモードを規定することにより、洗浄において1以上のポンプが制御されるメソッドを規定する。1以上のポンプは、高圧ポンプ220A~220Dおよび洗浄ポンプ143A~143Dの中の少なくとも1つを含む。各ストリームに対する洗浄メソッドが上記のように特定されることにより、各ストリームの状態に従って、各ストリームが洗浄される。したがって、本開示によれば、各ストリームを適切に洗浄するための技術が提供される。
【0196】
液体クロマトグラフシステム10では、1の洗浄用のポンプに、複数の種類の洗浄液が接続されていてもよい。メソッドファイルデータベースにおいて、洗浄メソッドは、洗浄に利用される洗浄液の種類を規定していてもよい。液体クロマトグラフシステム10は、ステップS212において1つの洗浄メソッドファイルを特定することにより、1つの洗浄メソッドを特定する。1つの洗浄メソッドが特定されることにより、洗浄に利用される浄液の種類が特定される。ステップS214において、液体クロマトグラフシステム10は、上記複数の種類の洗浄液のうち、洗浄に利用されるように特定された種類の洗浄液のみが洗浄用のポンプに接続されるように、液体クロマトグラフシステム10における接続態様を制御してもよい。
【0197】
品質管理用の分析結果として取得されたQC値は、MSデータに基づく値に限定されない。分析結果の算出には、質量分析以外の分析方法に従った分析結果が利用されてもよい。たとえば、上記「ブランク注入」を経た試料の液体クロマトグラムが利用されてもよい。この場合、当該液体クロマトグラムから、溶離液以外の化合物に起因するピークのピーク値に基づいて、QC値が算出されてもよい。
【0198】
洗浄のモードは、第1~第5洗浄パターンの中のどれを選択するか、および/または、洗浄パターンを実行する時間の長さを含む。高圧ポンプ220A~220Dの各々は、ストリームに移動相を供給する駆動ポンプの一例である。
【0199】
液体クロマトグラフシステム10では、4つのストリーム(第1分析流路291A、第2分析流路291B、第3分析流路291C、および第4分析流路291D)は、並列に配置されている。液体クロマトグラフシステム10は、ステップS214において、あるストリームについて洗浄メソッドに従った洗浄を実施した場合、他のストリームについての同じ洗浄メソッドに従った洗浄を実施しても良い。これにより、複数のストリームを含む液体クロマトグラフシステム10における制御が容易になり得る。
【0200】
また、液体クロマトグラフシステム10は、ステップS218において分析メソッドを実施した後、メソッドファイルデータベースにおいて当該分析メソッドが含まれるのと同じ洗浄メソッドファイルに含まれる洗浄メソッドを実行してもよい。すなわち、液体クロマトグラフシステム10は、ある分析条件に従った分析の後、メソッドファイルデータベースにおいて当該分析メソッドと組み合わされている洗浄メソッドに従って、洗浄用のポンプを駆動してもよい。
【0201】
なお、ステップS214において他のストリームに対して上記洗浄メソッドに従った洗浄を実施しようとしたときに、当該他のストリームにおいて試料の注入が実施されている最中であれば、液体クロマトグラフシステム10は、当該試料の注入の終了後に、当該他のストリームに対する上記洗浄を実施してもよい。
【0202】
さらに、液体クロマトグラフシステム10では、メソッドファイルの特定に、対象試料のみが利用されてもよい。すなわち、図25の例では、ステップS212において、ステップS208において算出されたQC値と、ステップS210において読み出された対象試料との双方に基づいて、今回の分析において参照されるメソッドファイルが特定された。しかしながら、今回の分析において参照されるメソッドファイルは、ステップS208において算出されたQC値のみによって特定されてもよいし、ステップS210において読み出された対象試料のみによって特定されてもよい。
【0203】
図28は、メソッドファイルデータベースの第1変形例を示す図である。図28に示されたメソッドファイルデータベースでは、洗浄メソッドには対象試料が関連付けられていない。この例では、液体クロマトグラフシステム10は、ステップS212において、ステップS208において算出されたQC値を実行条件として含むメソッドファイルを、分析において参照されるメソッドファイルとして特定する。
【0204】
図29は、メソッドファイルデータベースの第2変形例を示す図である。図29に示されたメソッドファイルデータベースは、洗浄メソッドの実行条件として対象試料を含む。この例では、液体クロマトグラフシステム10は、ステップS212において、ステップS210において読み出された対象試料を実行条件として含むメソッドファイルを、分析において参照されるメソッドファイルとして特定する。この例において、「対象試料」は、分析に利用されるストリームにおける分析対象の試料を特定する情報の一例である。
【0205】
[態様]
上述した複数の例示的な実施形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0206】
[態様]
(第1項)一態様に係る液体クロマトグラフシステムは、試料を成分ごとに分離する第1のカラムと、前記第1のカラムを含む分析用の流路である第1ストリームと、前記第1ストリームに洗浄液を供給する1以上の洗浄ポンプと、洗浄のメソッドと洗浄の実行条件との2以上の組合せを格納するメモリと、プロセッサと、を備え、前記プロセッサは、前記第1ストリームを用いて試料の分析を行い、前記第1ストリームの品質管理用の分析結果および前記第1ストリームにおける分析対象の試料を特定する情報のうち少なくとも一方を取得し、前記2以上の組合せから、前記品質管理用の分析結果および前記情報の少なくとも一方が対応する実行条件を含む第1の組合せを特定し、前記第1の組合せに含まれるメソッドに従って前記1以上の洗浄ポンプを駆動する、ように構成されていてもよい。
【0207】
第1項に記載の液体クロマトグラフシステムによれば、ストリームが適切に洗浄される。
【0208】
(第2項)第1項に記載の液体クロマトグラフシステムにおいて、前記プロセッサは、前記品質管理用の分析結果を取得し、前記品質管理用の分析結果は、前記第1ストリームを通過した成分の残存量の分析結果を含んでいてもよい。
【0209】
第2項に記載の液体クロマトグラフシステムによれば、品質管理用の分析結果に、移動相として利用される溶離液とともに、第1ストリームに蓄積している汚れが反映される。
【0210】
(第3項)請求項2に記載の液体クロマトグラフシステムにおいて、前記品質管理用の分析結果は、質量分析装置による分析結果を含んでいてもよい。
【0211】
第3項に記載の液体クロマトグラフシステムによれば、第1ストリームに蓄積している汚れの質量分析の結果が取得され得る。
【0212】
(第4項)請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の液体クロマトグラフシステムにおいて、前記1以上の洗浄ポンプは、前記第1ストリームに移動相を供給する駆動ポンプを含み、前記プロセッサは、前記駆動ポンプの吐出圧力および前記品質管理用の分析結果の時間変化を表示してもよい。
【0213】
第4項に記載の液体クロマトグラフシステムによれば、ユーザは、駆動ポンプおよび品質管理用の分析結果を視認し得る。
【0214】
(第5項)請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の液体クロマトグラフシステムは、前記情報の入力を受け付ける入力装置をさらに備えていてもよい。
【0215】
第5項に記載の液体クロマトグラフシステムによれば、ユーザが次の分析対象の試料の種類を入力すれば、当該試料の種類に応じてストリームの洗浄のメソッドが設定され得る。
【0216】
(第6項)請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の液体クロマトグラフシステムは、前記第1ストリームと並列して設けられた、第2ストリームをさらに備え、前記プロセッサは、前記第1ストリームに対して前記第1の組合せを特定したことに応じて、前記第2ストリームに対する前記第1の組合せに従った洗浄のための制御を実行してもよい。
【0217】
第6項に記載の液体クロマトグラフシステムによれば、複数のストリームを含む液体クロマトグラフシステムにおける制御が容易になり得る。
【0218】
(第7項)請求項6に記載の液体クロマトグラフシステムにおいて、前記プロセッサは、前記第1ストリームに対して前記第1の組合せを特定したことに応じて、前記第2ストリームを前記第1の組合せと同じメソッドで洗浄してもよい。
【0219】
第7項に記載の液体クロマトグラフシステムによれば、複数のストリームを同じメソッドで洗浄することができる。
【0220】
(第8項)請求項6に記載の液体クロマトグラフシステムにおいて、前記プロセッサは、前記第2ストリームにおいて試料が注入されている場合には、当該注入の後に、前記第2ストリームに対する前記第1の組合せに従った洗浄のための制御を実行してもよい。
【0221】
第8項に記載の液体クロマトグラフシステムによれば、第2のストリームにおいて実行中の試料の注入が洗浄により無駄になることが回避される。
【0222】
(第9項)請求項1~請求項8のいずれか1項に記載の液体クロマトグラフシステムにおいて、前記2以上の組合せでは、前記実行条件は、対応する前記品質管理用の分析結果が示す前記第1ストリームでの化合物の残留量が多いほど、洗浄時間が長い前記メソッドと組み合わされていてもよい。
【0223】
第8項に記載の液体クロマトグラフシステムによれば、第1ストリームでの化合物の残留量が多くても、洗浄により、当該化合物が確実に除去され得る。
【0224】
(第10項)他の態様に係る液体クロマトグラフシステムは、分析用の流路を含む第1ストリームと、前記第1ストリームに洗浄液を供給する1以上の洗浄ポンプと、プロセッサと、1以上の分析条件および1以上の洗浄のメソッドを格納するメモリと、を備え、前記メモリにおいて、前記1以上の分析条件の各々は、前記1以上の洗浄のメソッドのいずれか一つと組み合わせられ、前記プロセッサは、前記第1ストリームを試料の分析に利用することを決定し、前記1以上の分析条件の中のいずれか1つの分析条件に従った分析の後、前記1以上の洗浄のメソッドの中の前記1つの分析条件に組み合わされている1つの洗浄のメソッドに従って前記1以上の洗浄ポンプを駆動してもよい。
【0225】
第10項に記載の液体クロマトグラフシステムによれば、ストリームが適切に洗浄される。
【0226】
(第11項)請求項1~請求項10のいずれか1項に記載の液体クロマトグラフシステムにおいて、前記1以上の洗浄ポンプの中の少なくとも一つに複数の洗浄液が接続され、前記プロセッサは、前記洗浄のメソッドに従って前記複数の洗浄液の中から一の洗浄液を選択し、前記選択された洗浄液を前記1以上の洗浄ポンプに接続してもよい。
【0227】
第11項に記載の液体クロマトグラフシステムによれば、ストリームは、実行される洗浄メソッドについて適切な洗浄液で洗浄される。
【0228】
(第12項)ある態様に係る洗浄方法は、液体クロマトグラフシステムの洗浄方法であって、前記液体クロマトグラフシステムは、第1の分析カラムを有する分析用の流路を含む第1ストリームと、前記第1ストリームに液体を供給する1以上のポンプと、洗浄のメソッドと洗浄の実行条件との2以上の組合せを格納するメモリと、を含み、洗浄方法は、前記第1ストリームを試料の分析に利用することを決定するステップと、前記第1ストリームが試料の分析に利用されることが決定されたことに応じて、前記第1ストリームの品質管理用の分析結果および前記第1ストリームにおける分析対象の試料を特定する情報のうち少なくとも一方を取得するステップと、前記2以上の組合せから、前記品質管理用の分析結果および前記情報のうち少なくとも一方が対応する実行条件を含む第1の組合せを特定するステップと、前記第1の組合せに含まれるメソッドに従って前記1以上のポンプを駆動するステップと、を備えていてもよい。
【0229】
第12項に記載の洗浄方法によれば、液体クロマトグラフシステムでは、ストリームが適切に洗浄される。
【0230】
(第13項)ある態様に係るコンピュータ可読媒体は、プログラムを記録した、非一時的なコンピュータ可読媒体であって、前記プログラムは、コントローラのプロセッサによって実行されることにより、前記コントローラに、液体クロマトグラフシステムにおいて、第1の分析カラムを有する分析用の流路を含む第1ストリームを試料の分析に利用することを決定するステップと、前記第1ストリームが試料の分析に利用されることが決定されたことに応じて、前記第1ストリームの品質管理用の分析結果および前記第1ストリームにおける分析対象の試料を特定する情報のうち少なくとも一方を取得するステップと、洗浄のメソッドと洗浄の実行条件との2以上の組合せから、前記品質管理用の分析結果および前記情報のうち少なくとも一方が対応する実行条件を含む第1の組合せを特定するステップと、前記第1の組合せに含まれるメソッドに従って、前記第1ストリームに液体を供給する1以上のポンプを駆動するステップと、を実施させてもよい。
【0231】
第13項に記載のコンピュータ可読媒体によれば、液体クロマトグラフシステムでは、ストリームが適切に洗浄される。
【0232】
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0233】
10 液体クロマトグラフシステム、18A~18D 洗浄バルブ、19 ニードルバルブ、20 ニードル洗浄ポンプ、90 ダイバートバルブ、91~97,151~155,161~167,171~175,181A~186A,181B~186B,181C~186C,181D~186D,181E~186E,181D~186D ポート、100 液体クロマトグラフシステム、110 制御装置、111 プロセッサ、112 メモリ、120 入力装置、125 表示装置、130 計量ポンプ、140 洗浄ポンプ、143A~143D 洗浄ポンプ、150 第1切替バルブ、160 第2切替バルブ、170 低圧バルブ、158,168,187A~187D,188A~188D,189A~189D,267~269 接続部、180A~180D 高圧バルブ、190 ニードル移動機構、191 ニードル、192 サンプルループ、198A~198D 注入ポート、200,210A~210D,250A~250D,302A~302C 容器、220A~220D 高圧ポンプ、230A~230D カラム、260 ニードルバルブ、291A 流路(第1分析流路)、291B 流路(第2分析流路)、291C 流路(第3分析流路)、291D 流路(第4分析流路)、300 試料台、400 設定画面、401 ターゲット設定項目、402 オートサンプラー項目、403 ストリーム項目、404 ウインドウ、500 検出器、1400 洗浄ポンプ、1500 第1切替バルブ、1600 第2切替バルブ、1700 低圧バルブ、1800A~1800F 高圧バルブ。
図1
図2
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