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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023067760
(43)【公開日】2023-05-16
(54)【発明の名称】レベルシフト回路
(51)【国際特許分類】
   H03K 19/0185 20060101AFI20230509BHJP
【FI】
H03K19/0185 240
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022145606
(22)【出願日】2022-09-13
(31)【優先権主張番号】PCT/JP2021/039969
(32)【優先日】2021-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】WO
(71)【出願人】
【識別番号】514315159
【氏名又は名称】株式会社ソシオネクスト
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】祇園 雅弘
【テーマコード(参考)】
5J056
【Fターム(参考)】
5J056AA16
5J056AA26
5J056CC18
(57)【要約】      (修正有)
【課題】レベルシフト回路のアシスト動作の実効性を高める。
【解決手段】レベルシフト回路1は、N型のトランジスタN1~N4と、P型のトランジスタP1、P2と、第1、第2のインバータ21、22と、を備える。トランジスタN1は、ゲートに入力信号INを受け、ドレインが反転出力ノードNOUTと接続する。トランジスタP1は、第3電源VDDIOと反転出力ノードの間に設けられる。トランジスタN2は、ゲートに反転入力信号NINを受け、ドレインが出力ノードOUTに接続される。トランジスタP2は、第3電源と出力ノードの間に設けられる。反転出力ノードと反転入力ノードとの間にトランジスタN3が設けられ、トランジスタN3のドレインとゲートの間にインバータ21が設けられる。出力ノードと入力ノードとの間にトランジスタN4が設けられ、トランジスタN4のドレインとゲートの間にインバータ22が設けられる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電源と前記第1電源より電位が低い第2電源との間で遷移する入力信号を受ける入力ノードと、
前記入力信号を反転させた反転入力信号を受ける反転入力ノードと、
ゲートが前記入力ノードに接続され、ソースが前記第2電源または前記反転入力ノードに接続され、ドレインが反転出力ノードに接続された第1のN型トランジスタと、
ドレインが前記反転出力ノードに接続され、ソースが前記第1電源より電位が高い第3電源に接続され、ゲートが出力ノードに接続された第1のP型トランジスタと、
ゲートが前記反転入力ノードに接続され、ソースが前記第2電源または前記入力ノードに接続され、ドレインが前記出力ノードに接続された第2のN型トランジスタと、
ドレインが前記出力ノードに接続され、ソースが前記第3電源に接続され、ゲートが前記反転出力ノードに接続された第2のP型トランジスタと、
ソースが前記反転入力ノードに接続され、ドレインが前記反転出力ノードに接続された第3のN型トランジスタと、
入力が前記反転出力ノードに接続され、出力が前記第3のN型トランジスタのゲートに接続された第1のインバータと、
ソースが前記入力ノードに接続され、ドレインが前記出力ノードに接続された第4のN型トランジスタと、
入力が前記出力ノードに接続され、出力が前記第4のN型トランジスタのゲートに接続された第2のインバータとを備える、レベルシフト回路。
【請求項2】
請求項1に記載のレベルシフト回路において、
前記第1のインバータの低電位側のスイッチング素子は、ゲートが前記反転出力ノードに接続された2つのN型トランジスタを直列接続した構成であり、
前記第2のインバータの低電位側のスイッチング素子は、ゲートが前記出力ノードに接続された2つのN型トランジスタを直列接続した構成である、レベルシフト回路。
【請求項3】
請求項1に記載のレベルシフト回路において、
前記第1のインバータの低電位側のスイッチング素子は、ゲートが前記第3電源に接続された第5のN型トランジスタと、ゲートが前記反転出力ノードに接続された第6のN型トランジスタとを直列接続した構成であり、
前記第2のインバータの低電位側のスイッチング素子は、ゲートが前記第3電源に接続された第7のN型トランジスタと、ゲートが前記出力ノードに接続された第8のN型トランジスタとを直列接続した構成である、レベルシフト回路。
【請求項4】
第1電源と前記第1電源より電位が低い第2電源との間で遷移する入力信号を受ける入力ノードと、
前記入力信号を反転させた反転入力信号を受ける反転入力ノードと、
ソースが前記反転入力ノードに接続され、ゲートが前記第1電源に接続され、ドレインが反転出力ノードに接続された第1のN型トランジスタと、
ドレインが前記反転出力ノードに接続され、ソースが前記第1電源より高い電位の第3電源に接続され、ゲートが出力ノードに接続された第1のP型トランジスタと、
ソースが前記入力ノードに接続され、ゲートが前記第1電源に接続され、ドレインが出力ノードに接続された第2のN型トランジスタと、
ドレインが前記出力ノードに接続され、ソースが前記第3電源に接続され、ゲートが前記反転出力ノードに接続された第2のP型トランジスタと、
ソースが前記反転入力ノードに接続され、ドレインが前記反転出力ノードに接続された第3のN型トランジスタと、
入力が前記反転出力ノードに接続され、出力が前記第3のN型トランジスタのゲートに接続された第1のインバータと、
ソースが前記入力ノードに接続され、ドレインが前記出力ノードに接続された第4のN型トランジスタと、
入力が前記出力ノードに接続され、出力が前記第4のN型トランジスタのゲートに接続された第2のインバータとを備える、レベルシフト回路。
【請求項5】
請求項4に記載のレベルシフト回路において、
前記第1のインバータの低電位側のスイッチング素子は、ゲートが前記反転出力ノードに接続された2つのN型トランジスタを直列接続した構成であり、
前記第2のインバータの低電位側のスイッチング素子は、ゲートが前記出力ノードに接続された2つのN型トランジスタを直列接続した構成である、レベルシフト回路。
【請求項6】
請求項4に記載のレベルシフト回路において、
前記第1のインバータの低電位側のスイッチング素子は、ゲートが前記第3電源に接続された第5のN型トランジスタと、ゲートが前記反転出力ノードに接続された第6のN型トランジスタとを直列接続した構成であり、
前記第2のインバータの低電位側のスイッチング素子は、ゲートが前記第3電源に接続された第7のN型トランジスタと、ゲートが前記出力ノードに接続された第8のN型トランジスタとを直列接続した構成である、レベルシフト回路。
【請求項7】
第1電源と前記第1電源より電位が低い第2電源との間で遷移する入力信号を受ける入力ノードと、
前記入力信号を反転させた反転入力信号を受ける反転入力ノードと、
ソースが前記反転入力ノードに接続され、ゲートが前記第1電源に接続された第1のN型トランジスタと、
ドレインが反転出力ノードに接続され、ソースが前記第1電源より高い電位の第3電源に接続され、ゲートが出力ノードに接続された第1のP型トランジスタと、
ソースが前記入力ノードに接続され、ゲートが前記第1電源に接続された第2のN型トランジスタと、
ドレインが前記出力ノードに接続され、ソースが前記第3電源に接続され、ゲートが前記反転出力ノードに接続された第2のP型トランジスタと、
ソースが前記反転入力ノードに接続され、ドレインが前記反転出力ノードに接続された第3のN型トランジスタと、
入力が前記反転出力ノードに接続され、出力が前記第3のN型トランジスタのゲートに接続された第1のインバータと、
ソースが前記入力ノードに接続され、ドレインが前記出力ノードに接続された第4のN型トランジスタと、
入力が前記出力ノードに接続され、出力が前記第4のN型トランジスタのゲートに接続された第2のインバータと、
ゲートが前記第3電源に接続され、ソースが前記第1のN型トランジスタのドレインに接続され、ドレインが前記反転出力ノードに接続された第5のN型トランジスタと、
ゲートが前記第3電源に接続され、ソースが前記第2のN型トランジスタのドレインに接続され、ドレインが前記出力ノードに接続された第6のN型トランジスタとを備える、レベルシフト回路。
【請求項8】
請求項7に記載のレベルシフト回路において、
前記第1のインバータの低電位側のスイッチング素子は、ゲートが前記反転出力ノードに接続された2つのN型トランジスタを直列接続した構成であり、
前記第2のインバータの低電位側のスイッチング素子は、ゲートが前記出力ノードに接続された2つのN型トランジスタを直列接続した構成である、レベルシフト回路。
【請求項9】
請求項7に記載のレベルシフト回路において、
前記第1のインバータの低電位側のスイッチング素子は、ゲートが前記第3電源に接続された第7のN型トランジスタと、ゲートが前記反転出力ノードに接続された第8のN型トランジスタとを直列接続した構成であり、
前記第2のインバータの低電位側のスイッチング素子は、ゲートが前記第3電源に接続された第9のN型トランジスタと、ゲートが前記出力ノードに接続された第10のN型トランジスタとを直列接続した構成である、レベルシフト回路。
【請求項10】
請求項4に記載のレベルシフト回路において、
前記第1電源および前記第3電源がともにオンのときに前記第1電源が出力され、前記第1電源がオンかつ前記第3電源がオフのときに前記第2電源が出力される電源検知回路をさらに備え、
前記第1のN型トランジスタのゲートおよび前記第2のN型トランジスタのゲートは、前記電源検知回路を介して前記第1電源に接続される、レベルシフト回路。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異なる電源電圧が供給される回路間に信号を渡す際に必要な信号電位を変換するレベルシフト回路に関する。
【背景技術】
【0002】
レベルシフト回路は、例えば、半導体チップ内部の相対的に低電圧な回路から半導体チップ外部の相対的に高電圧な回路に信号を受け渡すインターフェース部分に設けられ、信号電位を変換する際に用いられる。
【0003】
例えば、特許文献1には、入力信号のレベルに応じて所望のレベルの出力信号を生成し、次段半導体装置等に供給するレベルシフト回路が示されている。
【0004】
具体的に、特許文献1の図1において、初期状態がΦ21=Lのとき、ノードN23=H(Vcc)なので、トランジスタ31がオフ、トランジスタ33がオン、ノードN32,N25=L、トランジスタ42がオフである。また、ノードN24=Lなので、トランジスタ41がオン、トランジスタ43がオフ、ノードN42,N26=H(Vpp)、トランジスタ32がオンである。
【0005】
そして、Φ21がLからHに遷移すると、トランジスタ31がオン、トランジスタ33がオフとなり、トランジスタ31,32を介してVccとノードN32,N25とが接続され、ノードN25が立ち上がる。これにより、特許文献1のレベルシフト回路では、レベルシフト動作がアシストされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7-202650号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の図1において、Φ21がLからHに遷移して、ノードN23がLになると、ノードN24=H(Vcc)となってトランジスタ43がオンとなり、ノードN42,N26がH(Vpp)からLに変化する。これにより、トランジスタ32がオフとなり、トランジスタ31,32を介したVccとノードN25,N32との接続が遮断される。そうすると、図6に破線丸印で示したように、レベルシフトのアシスト動作が信号がVccに立ち上がる途中で中断されて、高速化が不十分となる場合がある。
【0008】
また、特許文献1の図1が上記の初期状態の場合、トランジスタ41がオン、トランジスタ42がオフなので、トランジスタ41とトランジスタ42との間のノードがVccとなっている。この状態からΦ21がLからHに遷移すると、ノードN24がLからH(Vcc)に遷移するのでトランジスタ41がオフとなり、トランジスタ43がオンとなる。トランジスタ42は、オフ状態が維持されるので、トランジスタ41とトランジスタ42との間のノードは、トランジスタ41のゲート-ドレイン間のカップリング容量によりVccから昇圧される。これにより、トランジスタ42のソース-ドレイン間にストレスがかかるという課題がある。このような電圧ストレスは、従来のトランジスタにおいてはさほど問題とならなかったが、近年の製造プロセスの微細化に伴ってケアすることが必要な問題となっている。
【0009】
本開示は、上記課題を解決し、レベルシフト回路において、アシスト動作の実効性をより高めること、及び、トランジスタへの電圧ストレスを緩和することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の一態様におけるレベルシフト回路は、第1電源と前記第1電源より電位が低い第2電源との間で遷移する入力信号を受ける入力ノードと、前記入力信号を反転させた反転入力信号を受ける反転入力ノードと、ゲートが前記入力ノードに接続され、ソースが前記第2電源または前記反転入力ノードに接続され、ドレインが反転出力ノードに接続された第1のN型トランジスタと、ドレインが前記反転出力ノードに接続され、ソースが前記第1電源より電位が高い第3電源に接続され、ゲートが出力ノードに接続された第1のP型トランジスタと、ゲートが前記反転入力ノードに接続され、ソースが前記第2電源または前記入力ノードに接続され、ドレインが前記出力ノードに接続された第2のN型トランジスタと、ドレインが前記出力ノードに接続され、ソースが前記第3電源に接続され、ゲートが前記反転出力ノードに接続された第2のP型トランジスタと、ソースが前記反転入力ノードに接続され、ドレインが前記反転出力ノードに接続された第3のN型トランジスタと、入力が前記反転出力ノードに接続され、出力が前記第3のN型トランジスタのゲートに接続された第1のインバータと、ソースが前記入力ノードに接続され、ドレインが前記出力ノードに接続された第4のN型トランジスタと、入力が前記出力ノードに接続され、出力が前記第4のN型トランジスタのゲートに接続された第2のインバータとを備える。
【0011】
本態様のレベルシフト回路では、電荷の供給のオンオフを切り替える第3のトランジスタについて、反転出力信号が変化してから第1のインバータによる所定の遅延時間が経過した後に、アシスト動作がオフされるようになる。同様に、電荷の供給のオンオフを切り替える第4のトランジスタについて、出力信号が変化してから第2のインバータによる所定の遅延時間が経過した後に、アシスト動作がオフされるようになる。これにより、従来技術と比較して、十分なアシスト動作期間を確保することができ、アシスト動作の実効性をより高めることができる。
【0012】
さらに、特許文献1の技術では、図1に記載されたノードN24がHになると、トランジスタ41,42がともにオフとなるため、トランジスタ41とトランジスタ42の間のノードが昇圧される課題がある。これに対し、本態様では、アシスト動作の過程において、特定のノードの両側において同時にトランジスタがオフとなってフローティング状態になるような場所はないので、特定ノードの昇圧についての問題は生じない。
【発明の効果】
【0013】
本開示では、レベルシフト回路において、アシスト動作の実効性をより高めること、及び、トランジスタへの電圧ストレスを緩和することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第1の実施形態に係るレベルシフト回路の構成の一例を示す回路図
図2A】レベルシフト回路の各ノードの電圧波形の一例を示す図
図2B】レベルシフト回路の各ノードの電圧波形の他の例を示す図
図3A】第1の実施形態に係るレベルシフト回路の変形例を示す回路図
図3B】第1の実施形態に係るレベルシフト回路の他の変形例を示す回路図
図4】第2の実施形態に係るレベルシフト回路の構成の一例を示す回路図
図5】第2の実施形態に係るレベルシフト回路の構成の変形例を示す回路図
図6】従来のレベルシフト回路の各ノードの電圧波形の一例を示す図
図7】第1の実施形態に係るレベルシフト回路の他の変形例を示す回路図
図8】第2の実施形態に係るレベルシフト回路の構成の他の変形例を示す回路図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、実施の形態について説明する。なお、以下の実施形態において示される具体的な数値等は、発明の理解を容易にするための例示にすぎず、発明の範囲を限定する意図はない。なお、以下の説明において、回路のノードと、そのノードを通る信号やそのノードの電圧に同じ符号を付して説明する場合がある。また、電源名とその電源の電源電圧とに同じ符号を付して説明する場合がある。
【0016】
<第1の実施形態>
レベルシフト回路1は、第1電源VDDとグランドVSSとの間で遷移する入力信号INおよび反転入力信号NINを受けて、第3電源VDDIOとグランドVSSとの間で遷移する出力信号OUTおよび反転出力信号NOUTとして出力する。言い換えると、入力信号INおよび反転入力信号NINは、振幅がVDDの信号であり、出力信号OUTおよび反転出力信号NOUTは、振幅がVDDIOの信号である。第1電源VDDは、例えば0.8[V]であり、第3電源は、例えば1.3[V]である。
【0017】
図1には、第1の実施形態に係るレベルシフト回路1の回路図の一例を示している。
【0018】
レベルシフト回路1は、第1および第2のN型トランジスタN1,N2と第1および第2のP型トランジスタP1,P2とで構成される基本回路、および、ライズアシスト回路2を備える。
【0019】
-基本回路-
第1のN型トランジスタN1は、ゲートが入力ノードINに接続され、ソースがグランドVSSに接続され、ドレインが反転出力ノードNOUTに接続される。第1のN型トランジスタN1のゲートには、入力ノードINを介して入力信号INが与えられる。なお、グランドVSSは、第2電源に相当する。言い換えると、第2電源は、グランドVSSに限定されず、第1電源VDDより電位が低い他の電位の電源であってもよい。
【0020】
第2のN型トランジスタN2は、ゲートが反転入力ノードNINに接続され、ソースがグランドVSSに接続され、ドレインが出力ノードOUTに接続される。第2のN型トランジスタN2のゲートには、反転入力ノードNINを介して反転入力信号NINが与えられる。
【0021】
この例では、反転入力信号NINは、インバータ81を介して、入力信号XINを反転させた信号である。入力信号INは、インバータ81およびインバータ82を介して、入力信号XINを2回反転させた信号である。図示しないが、インバータ81の電源端子は、第1電源VDDに接続され、グランド端子はグランドVSSに接続される。同様に、インバータ82の電源端子は、第1電源VDDに接続され、グランド端子はグランドVSSに接続される。なお、図1からインバータ81,82を省き、レベルシフト回路1の前段回路(図示省略)で入力信号INおよび反転入力信号NINを生成し、レベルシフト回路1に入力する構成としてもよい。
【0022】
第1のP型トランジスタP1は、ゲートが出力ノードOUTに接続され、ソースが第3電源VDDIOに接続され、ドレインが反転出力ノードNOUTに接続される。言い換えると、第1のP型トランジスタP1と第1のN型トランジスタN1とが、第3電源VDDIOとグランドVSSとの間に直列に接続される。第3電源VDDIOは、第1電源VDDより高電位の電源である。
【0023】
第2のP型トランジスタP2は、ゲートが反転出力ノードNOUTに接続され、ソースが第3電源VDDIOに接続され、ドレインが出力ノードOUTに接続される。言い換えると、第2のP型トランジスタP2と第2のN型トランジスタN2とが、第3電源VDDIOとグランドVSSとの間に直列に接続される。
【0024】
-ライズアシスト回路-
ライズアシスト回路2は、出力信号OUTの立ち上がり、または、反転出力信号NOUTの立ち上がりをアシストする回路である。
【0025】
この例では、ライズアシスト回路2は、第3および第4のN型トランジスタN3,N4と、第1および第2のインバータ21,22とを備える。
【0026】
第3のN型トランジスタN3は、ソースが反転入力ノードNINに接続され、ドレインが反転出力ノードNOUTに接続される。
【0027】
第1のインバータ21は、入力が反転出力ノードNOUTに接続され、出力が第3のN型トランジスタN3のゲートに接続される。図示しないが、第1のインバータ21は、図1の第2のインバータ22と同様の回路構成であり、例えば、P型トランジスタとN型トランジスタとが第3電源VDDIOとグランドVSSとの間に直列接続される。以下の説明では、第1のインバータ21の出力信号をS1と称する。
【0028】
第4のN型トランジスタN4は、ソースが入力ノードINに接続され、ドレインが出力ノードOUTに接続される。
【0029】
第2のインバータ22は、入力が出力ノードOUTに接続され、出力が第4のN型トランジスタN4のゲートに接続される。例えば、第2のインバータ22では、P型トランジスタP11(高電位側のスイッチング素子)とN型トランジスタN11(低電位側のスイッチング素子)とが第3電源VDDIOとグランドVSSとの間に直列接続される。以下の説明では、第2のインバータ22の出力信号をS2と称する。
【0030】
-レベルシフト回路の動作-
次に、レベルシフト回路1の動作について説明する。
【0031】
〈入力信号INがLからHに遷移する場合の動作〉
ここでは、図2Aを参照しつつ、入力信号INがLからHに遷移する場合におけるレベルシフト回路1の動作について説明する。
【0032】
図2Aに示すように、初期状態(時間T0)では、入力信号XIN=Lであり、入力信号IN=L、反転入力信号NIN=Hである。第2のN型トランジスタN2がオンされ、第2のP型トランジスタP2がオフされるので、出力信号OUT=Lである。第2のインバータ22の出力信号S2=Hであり、第4のN型トランジスタN4はオン状態である。
【0033】
また、第1のN型トランジスタN1がオフされ、第1のP型トランジスタP1がオンされるので、反転出力信号NOUT=Hである。第1のインバータ21の出力信号S1=Lであり、第3のN型トランジスタN3はオフ状態である。
【0034】
時間T1において、入力信号XINが立ち上がると、反転入力信号NINがHからLとなり、入力信号INがLからHとなる。
【0035】
反転入力信号NINがLになると、第2のN型トランジスタN2がオフとなる。初期状態において第4のN型トランジスタN4はオン状態なので、入力信号INがLからHと立ち上がる過程で、第4のN型トランジスタN4を介して第1電源VDDから出力ノードOUTに電荷が供給される。この電荷供給が、出力信号OUTの立ち上がりをアシストすることで、出力信号OUTの立ち上がりを早くすることができる。
【0036】
また、入力信号INがHになると、第1のN型トランジスタN1がオンとなり、反転出力信号NOUTが立ち下がり始める。反転出力信号NOUTが立ち下がると、第2のP型トランジスタP2がオンされるので、第3電源VDDIOから出力ノードOUTへの電荷の供給が開始される。
【0037】
前述のとおり、第2のインバータ22は、第3電源VDDIOで動作する回路なので、出力信号OUTの電圧が第3電源を基準とした閾値まで上昇すると、出力信号S2がHからLになる。すなわち、第2のインバータ22は、所定の遅延時間の経過後にHからLになる。そうすると、第4のN型トランジスタN4がオフされ、ライズアシスト回路2によるアシスト動作が終了する。
【0038】
第2のP型トランジスタP2がオンされているので、出力信号OUTは最終的に第3電源VDDIOまで立ち上がる。
【0039】
このように、本実施形態では、第2のインバータ22の遅延時間に応じてアシスト動作の終了時間を延ばすことができる。具体的に、図2Aの例では、ライズアシスト回路2のアシスト動作は、出力信号OUTが第1電源VDD近傍となるまで継続されている。インバータ82は、第1電源VDDで動作する回路であり、図2Aの例ではその電源電圧近傍までアシスト動作が実現できていることになる。すなわち、アシスト動作の実効性をより高めることができる。
【0040】
なお、反転出力信号NOUTが立ち下がって、第1のインバータ21の出力信号S1がHになると、第3のN型トランジスタN3がオンとなる。しかしながら、反転入力信号NINと反転出力信号NOUTがともにLである。言い換えると、第3のN型トランジスタN3のソース/ドレインがともにLである。したがって、第3のN型トランジスタN3がオンされても、他の回路の動作に影響を及ぼさない。
【0041】
〈入力信号INがHからLに遷移する場合の動作〉
ここでは、図2Bを参照しつつ、入力信号INがHからLに遷移する場合におけるレベルシフト回路1の動作について説明する。
【0042】
図2Bに示すように、初期状態(時間T0)では、入力信号XIN=Hであり、言い換えると、入力信号IN=H、反転入力信号NIN=Lである。第2のN型トランジスタN2がオフされ、第2のP型トランジスタP2がオンされるので、出力信号OUT=Hである。第2のインバータ22の出力信号S2=Lであり、第4のN型トランジスタN4はオフ状態である。
【0043】
また、第1のN型トランジスタN1がオンされ、第1のP型トランジスタP1がオフされるので、反転出力信号NOUT=Lである。第1のインバータ21の出力信号S1=Hであり、第3のN型トランジスタN3はオン状態である。
【0044】
時間T1において、入力信号XINが立ち下がると、反転入力信号NINがLからHとなり、入力信号INがHからLとなる。
【0045】
入力信号INがLになると、第1のN型トランジスタN1がオフとなる。初期状態において第3のN型トランジスタN3はオン状態なので、反転入力信号NINがLからHと立ち上がる過程で、第3のN型トランジスタN3を介して第1電源VDDから反転出力ノードNOUTに電荷が供給される。この電荷供給が、反転出力信号NOUTの立ち上がりをアシストすることで、反転出力信号NOUTの立ち上がりを早くすることができる。
【0046】
また、反転入力信号NINがHになると、第2のN型トランジスタN2がオンとなり、出力信号OUTが立ち下がり始める。出力信号OUTが立ち下がると、第1のP型トランジスタP1がオンされるので、第3電源VDDIOから反転出力ノードNOUTへの電荷の供給が開始される。
【0047】
前述のとおり、第1のインバータ21は、第3電源VDDIOで動作する回路なので、反転出力信号NOUTの電圧が第3電源VDDIOを基準とした閾値まで上昇すると、出力信号S1がHからLになる。すなわち、第1のインバータ21は、所定の遅延時間の経過後にHからLになる。そうすると、第3のN型トランジスタN3がオフされ、ライズアシスト回路2によるアシスト動作が終了する。このように、本実施形態では、第1のインバータ21の遅延時間に応じてアシスト動作の終了時間を延ばすことができる。その結果、例えば、図2Bの例では、反転出力信号NOUTが第1電源VDD近傍となるまでアシスト動作が実施されている。インバータ81は、第1電源VDDで動作する回路なので、その電源電圧近傍までアシスト動作が実現できていることになる。すなわち、アシスト動作の実効性をより高めることができる。
【0048】
第1のP型トランジスタP1がオンされているので、反転出力信号NOUTは最終的に第3電源VDDIOまで立ち上がる。
【0049】
なお、出力信号OUTが立ち下がって、第2のインバータ22の出力信号S2がHになると、第4のN型トランジスタN4がオンとなる。しかしながら、入力信号INと出力信号OUTがともにLである。言い換えると、第4のN型トランジスタN4のソース/ドレインがともにLである。したがって、第4のN型トランジスタN4がオンされても、他の回路の動作に影響を及ぼさない。
【0050】
-第1の実施形態の作用効果-
前述のとおり、特許文献1の従来技術(以下、単に「従来技術」という)では、レベルシフト回路の出力信号の変化に起因して、出力信号の立ち上がりの比較的早い段階でアシスト動作が中断されるので、改善の余地があった(図6参照)。
【0051】
これに対し、第1の実施形態のレベルシフト回路1では、出力信号OUTの出力状態が変化しても、そこからさらに第2のインバータ22の遅延時間が経過した後にライズアシスト回路2が停止するようになっている。出力信号NOUTについても同様である。これにより、従来技術と比較して、十分なアシスト動作を得ることができる。
【0052】
また、前述のとおり、従来技術では、トランジスタ41とトランジスタ42が同時にオフ状態となる場合があり、その時に両トランジスタの中間ノードが昇圧される課題があった。
【0053】
これに対し、本実施形態では、従来技術のように、出力信号のアシスト動作の過程において、特定のノードの両側において同時にトランジスタがオフになってフローティング状態になるような場所はないので、特定ノードの昇圧についての問題は生じない。より具体的には、本実施形態において、第4のN型トランジスタN4が従来技術のトランジスタ42に相当し、入力ノードINが従来技術のトランジスタ41とトランジスタ42の中間ノードに相当する。そして、インバータ82のP型トランジスタ(図示省略)が従来技術のトランジスタ41に相当する。本実施形態では、第4のN型トランジスタN4とインバータ82のP型トランジスタとを接続する入力ノードINにはインバータ82のN型トランジスタも接続されている。このN型トランジスタの作用により、入力信号の遷移によって従来技術のように入力ノードINが昇圧されることがなく、従来技術の課題を解決している。
【0054】
(変形例)
図3Aおよび図3Bには、第1の実施形態に係るレベルシフト回路1の変形例を示している。図3Aおよび図3Bにおいて、図1と対応する構成については、同一の符号を付している。以下の説明では、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。なお、基本的な動作は、上記の第1の実施形態と同様である。
【0055】
本変形例では、図1の構成と比較して、第1のインバータ21および第2のインバータ22の回路構成が異なっている。なお、図3Aおよび図3Bでは、第2のインバータ22の回路構成を示しているが、第1のインバータ21についても同じ構成の回路を用いる。
【0056】
具体的に、図3Aおよび図3Bのレベルシフト回路1の第2のインバータ22において、低電位側のスイッチング素子は、ノードS2とグランドVSSとの間に2つのN型トランジスタN12,N13を直列接続した構成である。言い換えると、第2のインバータ22は、P型トランジスタP11と2つのN型トランジスタN12,N13とが、第3電源VDDIOとグランドVSSとの間に直列接続された構成を有する。第1のインバータ21についても同様であり、低電位側のスイッチング素子は、ノードS1とグランドVSSとの間に2つのN型トランジスタN12,N13を直列接続した構成である。
【0057】
そして、図3Aでは、第2のインバータ22において、それぞれのN型トランジスタN12,N13のゲートがともに出力ノードOUTに接続されている。N型トランジスタN12は、ドレインがノードS2に接続され、ソースがN型トランジスタN13のドレインに接続される。N型トランジスタN13のソースは、グランドVSSに接続される。
【0058】
同様に、図3Aの第1のインバータ21において、それぞれのN型トランジスタN12,N13のゲートがともに反転出力ノードNOUTに接続されている。N型トランジスタN12は、ドレインがノードS1に接続され、ソースがN型トランジスタN13のドレインに接続される。N型トランジスタN13のソースは、グランドVSSに接続される。
【0059】
図3Bでは、図3Aと比較すると、N型トランジスタN12のゲートが第3電源VDDIOに接続されている点が異なっている。その他の構成は、図3Aと同じである。言い換えると、図3Bの第2のインバータ22の低電位側のスイッチング素子は、ゲートが第3電源VDDIOに接続されたN型トランジスタN12(第7のN型トランジスタに相当)と、ゲートが出力ノードOUTに接続されたN型トランジスタN13(第8のN型トランジスタに相当)とを直列接続した構成である。同様に、第1のインバータ21の低電位側のスイッチング素子は、ゲートが第3電源VDDIOに接続されたN型トランジスタN12(第5のN型トランジスタに相当)と、ゲートが反転出力ノードNOUTに接続されたN型トランジスタN13(第6のN型トランジスタに相当)とを直列接続した構成である。
【0060】
なお、本変形例(図3Aおよび図3B)において、第2のインバータ22の高電位側のスイッチング素子は、図1と同様に、ゲートが出力ノードOUTに接続され、ソースが第3電源VDDIOに接続され、ドレインがノードS2に接続されたP型トランジスタP11で構成される。同様に、第1のインバータ21の高電位側のスイッチング素子は、ゲートが反転出力ノードNOUTに接続され、ソースが第3電源VDDIOに接続され、ドレインがノードS1に接続されたP型トランジスタP11で構成される。
【0061】
本変形例のような構成にすることにより、第1のインバータ21および第2のインバータ22の低電位側のスイッチング素子において、単一のトランジスタのソース-ドレイン間に印加される電圧ストレスを低減することができる。
【0062】
具体例を前述の「入力信号INがLからHに遷移する場合の動作」に沿って説明する。初期状態(時間T0)である入力信号IN=Lから入力信号IN=Hに立ち上がった場合に、第4のN型トランジスタN4のゲート-ソース間のカップリング容量によってノードS2の電圧が上昇する。これによって、ノードS2とグランドVSSとの間(例えば、第2のインバータ22を構成する低電位側のスイッチング素子のソース-ドレイン間)に過電圧がかかる恐れがある。同様に、前述の「入力信号INがHからLに遷移する場合の動作」において、初期状態(時間T0)である入力信号IN=Hから入力信号IN=Lに立ち下がった場合に、第3のN型トランジスタN3のゲート-ソース間のカップリング容量によってノードS1の電圧が上昇する。これによって、ノードS1とグランドVSSとの間(例えば、第1のインバータ21を構成する低電位側のスイッチング素子のソース-ドレイン間)に過電圧がかかる恐れがある。
【0063】
そこで、本変形例のように、低電位側のスイッチング素子について、2つのN型トランジスタを直列接続した構成にすることで、1つあたりのN型トランジスタにかかる電圧ストレスを低減することができる。すなわち、過電圧によるN型トランジスタの劣化を防ぐことができる。
【0064】
また、図1図3A及び図3Bの構成において、第1のN型トランジスタN1のソースを反転入力ノードNINに接続し、第2のN型トランジスタN2のソースを入力ノードINに接続してもよい。図7には、図1の構成の変形例を示している。この場合においても、上記の第1の実施形態およびその変形例と実質的に同じ動作をし、それぞれ同様の効果が得られる。
【0065】
ここでは、図7における“入力信号INがLからHに遷移する場合の動作”について、図1の構成と異なる点に関連する動作を中心に説明する。
【0066】
まず、図7の構成において、初期状態では、反転入力信号NINがHなので、第1のN型トランジスタN1のソースがHとなり、図1の場合と異なる。ただし、このとき第1のN型トランジスタN1はオフされるので、図1図7との間で動作としての実質的な違いはない。
【0067】
次に、図7において、入力信号XINが立ち上がると、入力信号INがLからHに変化し、第2のN型トランジスタN2のソースがHとなるので、図1の場合と異なる。ただし、このとき第2のN型トランジスタN2はオフされるので、上記実施形態での動作と実質的な違いはない。
【0068】
上記以外の動作は、前述の実施形態と同様である。すなわち、図1図7では接続が異なる部分があるものの動作としての実質的な差はない。
【0069】
“入力信号INがHからLに遷移する場合の動作”、及び、前述の図3Aおよび図3Bに示す変形例について図7と同様の変更を適用した場合についても同様である。
【0070】
<第2の実施形態>
図4には、第2の実施形態に係るレベルシフト回路1の回路図の一例を示している。図4において、図1と対応している構成については、同一の符号を付している。以下の説明では、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。なお、図1図4で同一の符号を付している素子(例えば、トランジスタやインバータ)について、各種の設計パラメータ/プロセスパラメータ等が同一であることを限定する意図はない。すなわち、本開示の技術的範囲には、図1図4とで同一の符号を付している素子の各種パラメータが図1図4との間で互いに異なる構成が含まれる。他の図面同士の関係においても同様である。
【0071】
図4の構成では、第1のN型トランジスタN1および第2のN型トランジスタN2のゲートが第1電源VDDに接続されている点で図1の構成と異なっている。また、図4の構成では、第1のN型トランジスタN1のソースが反転入力ノードNINに接続され、第2のN型トランジスタN2のソースが入力ノードINに接続されている点で図1の構成と異なっている。
【0072】
-レベルシフト回路の動作-
次に、本実施形態のレベルシフト回路1の動作について説明する。
【0073】
〈入力信号INがLからHに遷移する場合の動作〉
ここでは、入力信号INがLからHに遷移する場合におけるレベルシフト回路1の動作について説明する。各信号波形は、図2Aと同様である。
【0074】
初期状態(時間T0)では、入力信号XIN=Lであり、入力信号IN=L、反転入力信号NIN=Hである。第1のN型トランジスタN1および第2のN型トランジスタN2のゲートにVDDが印加されているので、反転出力信号NOUT=H、出力信号OUT=Lである。そうすると、第1のインバータ21の出力信号S1=Lであり、第3のN型トランジスタN3はオフ状態である。また、第2のインバータ22の出力信号S2=Hであり、第4のN型トランジスタN4はオン状態である。
【0075】
時間T1において、入力信号XINが立ち上がると、入力信号INがLからHへと立ち上がり始める。第2のN型トランジスタN2は、初期状態におけるゲート-ソース間電圧がVDDである。そのため、入力信号INの立ち上がり過程において、出力信号OUT=VDD-Vt(VtはN2の閾値電圧)になるまで、第2のN型トランジスタN2を介して第1電源VDDから出力ノードOUTに電荷が供給される。さらに、第4のN型トランジスタN4がオンされているので、第4のN型トランジスタN4を介して第1電源VDDから出力ノードOUTに電荷が供給される。この第2のN型トランジスタN2および第4のN型トランジスタN4を介した電荷供給が、出力信号OUTの立ち上がりをアシストすることで、その立ち上がりを早くすることができる。
【0076】
また、反転入力信号NINがLになると、第1のN型トランジスタN1を介して反転出力信号NOUTが立ち下がり始める。反転出力信号NOUTが立ち下がると、第2のP型トランジスタP2がオンされるので、第3電源VDDIOから出力ノードOUTへの電荷の供給が開始される。
【0077】
第2のインバータ22は、第3電源VDDIOで動作する回路なので、出力信号OUTの電圧が第3電源VDDIOを基準とした所定の閾値まで上昇すると、出力信号S2がHからLになる。すなわち、第2のインバータ22は、所定の遅延時間の経過後にHからLになる。そうすると、第4のN型トランジスタN4がオフされ、ライズアシスト回路2によるアシスト動作が終了する。
【0078】
第2のP型トランジスタP2がオンされているので、出力信号OUTは最終的に第3電源VDDIOまで立ち上がる。
【0079】
このように、本実施形態では、第1実施形態と同様に、インバータ22の遅延時間に応じてアシスト動作の終了時間を延ばすことができる。
【0080】
なお、反転出力信号NOUTが立ち下がって、第1のインバータ21の出力信号S1がHになると、第3のN型トランジスタN3がオンとなるが、反転入力信号NINと反転出力信号NOUTがともにLである。言い換えると、第3のN型トランジスタN3のソース/ドレインがともにLである。したがって、第3のN型トランジスタN3がオンされても、他の回路の動作に影響を及ぼさない。
【0081】
〈入力信号INがHからLに遷移する場合の動作〉
ここでは、入力信号INがHからLに遷移する場合におけるレベルシフト回路1の動作について説明する。各信号波形は、図2Bと同様である。
【0082】
初期状態(時間T0)では、入力信号XIN=Hであり、入力信号IN=H、反転入力信号NIN=Lである。第1のN型トランジスタN1および第2のN型トランジスタN2のゲートにVDDが印加されているので、反転出力信号NOUT=L、出力信号OUT=Hである。そうすると、第1のインバータ21の出力信号S1=Hであり、第3のN型トランジスタN3はオン状態である。また、第2のインバータ22の出力信号S2=Lであり、第4のN型トランジスタN4はオフ状態である。
【0083】
時間T1において、入力信号XINが立ち下がると、反転入力信号NINがLからHへと立ち上がり始める。第1のN型トランジスタN1は、初期状態におけるゲート-ソース間電圧がVDDである。そのため、反転入力信号NINの立ち上がり過程において、反転出力信号NOUT=VDD-Vt(VtはN1の閾値電圧)になるまで、第1のN型トランジスタN1を介して第1電源VDDから反転出力ノードNOUTに電荷が供給される。さらに、第3のN型トランジスタN3がオンされているので、第3のN型トランジスタN3を介して第1電源VDDから反転出力ノードNOUTに電荷が供給される。この第1のN型トランジスタN1および第3のN型トランジスタN3を介した電荷供給が、反転出力信号NOUTの立ち上がりをアシストすることで、その立ち上がりを早くすることができる。
【0084】
また、入力信号INがLになると、第2のN型トランジスタN2を介して出力信号OUTが立ち下がり始める。出力信号OUTが立ち下がると、第1のP型トランジスタP1がオンされるので、第3電源VDDIOから反転出力ノードNOUTへの電荷の供給が開始される。
【0085】
第1のインバータ21は、第3電源VDDIOで動作する回路なので、反転出力信号NOUTの電圧が第3電源VDDIOを基準とした所定の閾値まで上昇すると、出力信号S1がHからLになる。すなわち、第1のインバータ21は、所定の遅延時間の経過後にHからLになる。そうすると、第3のN型トランジスタN3がオフされ、ライズアシスト回路2によるアシスト動作が終了する。
【0086】
第1のP型トランジスタP1がオンされているので、反転出力信号NOUTは最終的に第3電源VDDIOまで立ち上がる。
【0087】
このように、本実施形態では、第1実施形態と同様に、インバータ21,22の遅延時間に応じてアシスト動作の終了時間を延ばすことができる。
【0088】
なお、出力信号OUTが立ち下がって、第2のインバータ22の出力信号S2がHになると、第4のN型トランジスタN4がオンとなる。しかしながら、入力信号INと出力信号OUTがともにLである。言い換えると、第4のN型トランジスタN4のソース/ドレインがともにLである。したがって、第4のN型トランジスタN4がオンされても、他の回路の動作に影響を及ぼさない。
【0089】
-第2の実施形態の作用効果-
以上のように、第2の実施形態のレベルシフト回路1では、第1の実施形態と同様に、出力信号OUTの出力状態が変化しても、そこからさらに第2のインバータ22の遅延時間が経過した後にライズアシスト回路2が停止するようになっている。出力反転信号NOUTについても同様である。これにより、従来技術と比較して、十分なアシスト動作を得ることができる。また、第1の実施形態と同様に、アシスト動作の過程において、特定のノードの両側において同時にトランジスタがオフになってフローティング状態になるような場所はないので、特定ノードの昇圧についての問題は生じない。
【0090】
さらに、本実施形態では、第1および第2のN型トランジスタN1,N2のゲートを第1電源VDDに接続し、第1のN型トランジスタN1のソースを反転入力ノードNINに接続し、第2のN型トランジスタN2のソースを入力ノードINに接続している。これにより、第1および第2のN型トランジスタN1,N2のそれぞれにおいて、ソース/ドレイン/ゲート間にかかる電圧を第1の実施形態と比べて小さくすることができる。具体的には、第1の実施形態では、例えば、第1のN型トランジスタN1のゲート電圧がVSS、 ソース電圧がVSS、ドレイン電圧がVDDIOの場合があり得る。この場合、ソース-ドレイン間の電圧がVDDIOとなる。これに対し、第2の実施形態では、第1のN型トランジスタN1または第2のN型トランジスタN2において、ドレイン電圧がVDDIOのときゲート電圧およびソース電圧がVDDである。そうすると、ソース-ドレイン間の電圧がVDDIO-VDDとなるので、第1実施形態と比較して小さくなる。これにより、本実施形態では、第1のN型トランジスタN1として、耐圧は低いが高速なトランジスタを使用することができるため、第1の実施形態よりも回路の動作を高速化することができる。
【0091】
(変形例1)
図5には、第2の実施形態に係るレベルシフト回路1の変形例を示している。図5において、図4と対応する構成については、同一の符号を付している。以下の説明では、第2の実施形態との相違点を中心に説明する。なお、基本的な動作は、上記の第2の実施形態と同様である。
【0092】
本変形例では、図4の構成と比較して、反転出力ノードNOUTと第1のN型トランジスタN1との間に、第5のN型トランジスタN5を設けている点、および、出力ノードOUTと第2のN型トランジスタN2との間に、第6のN型トランジスタN6を設けている点、が異なる。
【0093】
具体的には、第5のN型トランジスタN5は、ゲートが第3電源VDDIOに接続され、ソースが第1のN型トランジスタN1のドレインに接続される。また、第5のN型トランジスタN5のドレインは、反転出力ノードNOUT、第1のインバータ21の入力、および、第3のN型トランジスタN3のドレインに接続される。
【0094】
第6のN型トランジスタN6は、ゲートが第3電源VDDIOに接続され、ソースが第2のN型トランジスタN2のドレインに接続される。また、第6のN型トランジスタN6のドレインは、出力ノードOUT、第2のインバータ22の入力、および、第4のN型トランジスタN4のドレインに接続される。
【0095】
本変形例によると、第5のN型トランジスタN5のソース電圧、言い換えると、第1のN型トランジスタN1のドレイン電圧の最大値をVDDIO-Vt(Vtは第5のN型トランジスタN5の閾値電圧)にすることができる。第2のN型トランジスタN2のドレイン電圧についても同様である。これにより、第1および第2のN型トランジスタN1,N2のソース-ドレイン間にかかる電位差を小さくすることができ、第1および第2のN型トランジスタN1,N2に耐圧の低いトランジスタを使用することができる。
【0096】
なお、上記の各実施形態および変形例は適宜組み合わせることができる。例えば、図4および図5の構成において、第1のインバータ21および第2のインバータ22として、図1の構成に代えて、図3Aに示した構成を用いてもよいし、図3Bに示した構成を用いてもよく、それぞれ第1の実施形態と同様の効果が得られる。
【0097】
具体的には、図4および図5の構成において、図3AのXの回路を適用し、第1のインバータ21の低電位側のスイッチング素子は、ゲートが反転出力ノードNOUTに接続された2つのN型トランジスタを直列接続した構成としてもよい。また、第2のインバータ22の低電位側のスイッチング素子は、ゲートが出力ノードOUTに接続された2つのN型トランジスタを直列接続した構成としてもよい。
【0098】
同様に、図4および図5の構成において、図3BのXの回路を適用し、第1のインバータ21の低電位側のスイッチング素子は、ゲートが第3電源VDDIOに接続されたN型トランジスタ(第5のN型トランジスタに相当)と、ゲートが反転出力ノードNOUTに接続されたN型トランジスタ(第6のN型トランジスタに相当)とを直列接続した構成としてもよい。また、第2のインバータ22の低電位側のスイッチング素子は、ゲートが第3電源VDDIOに接続されたN型トランジスタ(第7のN型トランジスタに相当)と、ゲートが出力ノードOUTに接続されたN型トランジスタ(第8のN型トランジスタに相当)とを直列接続した構成としてもよい。
【0099】
(変形例2)
図8には、第2の実施形態に係るレベルシフト回路1の他の変形例を示している。図8において、図4と対応する構成については、同一の符号を付している。以下の説明では、第2の実施形態との相違点を中心に説明する。なお、基本的な動作は、上記の第2の実施形態と同様である。
【0100】
図8では、図4の構成に加えて、電源検知回路4を備える。電源検知回路4は、2つのN型トランジスタN41,N42と、2つのインバータ43,44とを備える。
【0101】
N型トランジスタN41は、第3電源VDDIOとノードXpとの間に設けられ、ゲートが第1電源VDDに接続される。N型トランジスタN42は、ゲートが第3電源VDDIOに接続され、ソースがノードXpに接続され、ドレインが第1電源VDDに接続される。そして、ノードXpと電源検知回路4の出力との間に、2つのインバータ43,44が直列に接続される。図示しないが、インバータ43,44の電源端子は、第1電源VDDに接続され、グランド端子はグランドVSSに接続される。
【0102】
本変形例において、第1のN型トランジスタN1のゲートおよび第2のN型トランジスタN2のゲートには、第1電源VDDに代えて電源検知回路4の出力が接続される。言い換えると、第1のN型トランジスタN1のゲートおよび第2のN型トランジスタN2のゲートは、電源検知回路4を介して第1電源VDDに接続される。
【0103】
電源検知回路4は、第1電源VDDおよび第3電源VDDIOがともにオンのときに第1電源VDDが出力され、第1電源VDDがオンかつ第3電源VDDIOがオフのときに出力がグランドVSSになる。
【0104】
具体的に、(1)第1電源VDDおよび第3電源VDDIOがともにオンの場合において、VDDIO-Vt2<VDD(Vt2はN型トランジスタN42の閾値電圧)のとき、ノードXpの電圧Xpは、N型トランジスタN42の作用により、Xp=VDDIO-Vt2となる。同様に、(2)第1電源VDDおよび第3電源VDDIOがともにオンの場合において、VDDIO-Vt2>VDDのとき、ノードXpの電圧Xpは、Xp=VDDとなる。上記(1),(2)のいずれの場合においても、インバータ43の入力はHとなるので、インバータ44の出力もHとなる。すなわち、電源検知回路4から第1のN型トランジスタN1のゲートおよび第2のN型トランジスタN2のゲートに第1電源VDDが与えられる。
【0105】
次に、第1電源VDDがオンかつ第3電源VDDIOがオフ(VDDIO=VSS)のときには、N型トランジスタN41がON、N型トランジスタN42がOFFとなるので、ノードXpの電圧Xpは、Xp=VSSとなる。そうすると、インバータ43の入力はLとなるので、インバータ44の出力もLとなる。すなわち、電源検知回路4から第1のN型トランジスタN1のゲートおよび第2のN型トランジスタN2のゲートにグランドVSSが与えられる。
【0106】
このような構成にすることで、第1電源VDDおよび第3電源VDDIOのどちらが先に立ち上がった場合においても、レベルシフト回路1内において貫通電流が流れる場所が生じないようにすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0107】
本開示のレベルシフト回路は、レベルシフト回路において、アシスト動作の実効性をより高めることができるとともに、トランジスタへの電圧ストレスを緩和することができるので極めて有用である。
【符号の説明】
【0108】
1 レベルシフト回路
21 第1のインバータ
22 第2のインバータ
N1 第1のN型トランジスタ
N2 第2のN型トランジスタ
N3 第3のN型トランジスタ
N4 第4のN型トランジスタ
N5 第5のN型トランジスタ
N6 第6のN型トランジスタ
P1 第1のP型トランジスタ
P2 第2のP型トランジスタ
IN 入力ノード
NIN 反転入力ノード
VDD 第1電源
VSS 第2電源
VDDIO 第3電源
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8