(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023067781
(43)【公開日】2023-05-16
(54)【発明の名称】材木を製造するための方法および装置
(51)【国際特許分類】
B27C 1/02 20060101AFI20230509BHJP
B23C 3/00 20060101ALI20230509BHJP
B27B 25/00 20060101ALI20230509BHJP
B26D 5/00 20060101ALI20230509BHJP
B27M 1/00 20060101ALI20230509BHJP
【FI】
B27C1/02 B
B23C3/00
B27B25/00 Z
B26D5/00 B
B27M1/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022164628
(22)【出願日】2022-10-13
(31)【優先権主張番号】10 2021 126 725.0
(32)【優先日】2021-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】522210501
【氏名又は名称】ゲブリューダー・リンク, マシーネンファブリーク・“ガッターリンク”・ゲー・エム・ベー・ハー・ウント・コー・カー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】GEBRUEDER LINCK, MASCHINENFABRIK GATTERLINCK GMBH & CO. KG
【住所又は居所原語表記】APPENWEIERER STRASSE 46, 77704 OBERKIRCH, BUNDESREPUBLIK DEUTSCHLAND
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス・マルティン
(57)【要約】
【課題】木の幹から材木を製造する場合に側板領域における製造可能な材木量を高める。
【解決手段】木の幹が少なくとも二辺、好ましくは四辺において切削加工され、残りの樹皮領域が各フライス工具を用いて少なくとも二つの対向する角領域においてフライス加工され、ソーカットによって各角領域によって区切られた平面に沿って側板が切り離される方法において、本発明によると各角領域をフライス加工するために当該各フライス工具が木の幹の測量に基づいて予め決定された弓形状において木の幹に対して移動される際に、木の幹を各フライス工具に対して前進移動させる間に弓形状に沿って変位される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
木の幹(B)から材木を製造するための方法であって、前記木の幹(B)は少なくとも二辺、好ましくは四辺において切削加工されるかあるいは外皮を鋸引きすることによってまっすぐにされ、残りの樹皮領域は各フライス工具(F1)を用いて少なくとも二つの対向する角領域においてフライス加工され、前記各角領域によって区切られた平面に沿ったソーカットによって側板(4)が切り離される方法において、
前記各角領域をフライス加工するために前記各フライス工具(F1)は、前記木の幹(B)の測量に基づいて予め決定された弓形状(4a、4b)において前記木の幹(B)に対して移動される際に、前記木の幹(B)を前記各フライス工具(F1)に対して前進移動させる間に当該各フライス工具が前記弓形状(4a、4b)に沿って変位される、好ましくはこの際に高さが変位されることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記木の幹(B)は、前記各角領域をフライス加工するために前記木の幹の湾曲が垂直な平面にあるように回転されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記側板(4)あるいは必要に応じてさらなる各側板を切り離した後、前記木の幹(B)は、自身の湾曲が水平な面にあるように回転され、その後、前記木の幹(B)は自身の湾曲に沿った軌道で垂直に切断する鋸装置(S2)を通過するように案内されることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記弓形状は、前記切り離された側板(4)が予め指定されたあるいは予め指定することが可能な公差範囲内にあるエッジ曲率を有するように決定されることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記フライス工具(F1)が前記木の幹に対して当該弓形状に沿って移動される前記弓形状(4a、4b)は、前記測量によって判定された前記木の幹(B)の湾曲との関連において部分的に異なる湾曲を有する曲線、特に部分的に反対方向に湾曲する曲線が得られるように判定されることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記木の幹(B、1)の前記測量は、当該木の幹が少なくとも二辺、好ましくは四辺において切削加工された後に実施されることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記各フライス工具(F1)は、自身の予め決定された前記弓形状(4a、4b)に沿った変位運動の際に付加的に旋回される、特にそれぞれの前記フライス工具(F1)によって画定されるフライス平面が前記弓形状(4a、4b)に接線方向に沿うように旋回されることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
木の幹(B)から材木を製造するための装置であって、前記木の幹(B)を少なくとも二辺、好ましくは四辺において切削加工するかあるいは外皮を鋸引きすることによってまっすぐにするように配置される一つまたは複数の切削加工具(SP1、SP2)または鋸と、残りの樹皮領域を少なくとも二つの対向する角領域においてフライス加工するように配置される二つ以上のフライス工具(F1)と、ソーカットによって側板(4)を前記各角領域によって区切られた平面に沿って切り離すように配置される鋸装置(S1)とを有する装置において、
制御ユニット(CT)を有し、当該制御ユニットは、前記各フライス工具(F1)が前記各角領域をフライス加工するために前記木の幹(B)の測量に基づいて予め決定された弓形状(4a、4b)において前記木の幹(B)に対して移動される際に、前記木の幹(B)を前記各フライス工具(F1)に対して前進移動させる間に当該各フライス工具が前記弓形状(4a、4b)に沿って変位される、好ましくは高さが変位されるように前記装置を制御することを特徴とする装置。
【請求項9】
木の幹(B)のカット方式を判定するための方法であって、当該方法において前記木の幹(B)は少なくとも二辺、好ましくは四辺において切削加工されるかあるいは外皮を鋸引きすることによってまっすぐにされ、前記切削加工の前または後に測量され、各測量データに基づいて前記木の幹(B)をシングルカットまたはマルチカットの主板と一つまたは複数の側板を含んでなる材木に分割するための最適なカット方式を判定する方法において、
前記一つまたは複数の側板のために最大許容可能なエッジ曲率の公差範囲が予め指定され、前記カット方式によって少なくとも一つの側板(4)の弓形状(4a、4b)が判定され、当該弓形状に沿って該当する側板(4)を切り離す前に前記木の幹(B)の樹皮の各角領域がフライス加工され、前記弓形状(4a、4b)は、前記側板(4)の得られるエッジ曲率が当該側板を切り離した後に前記予め指定された公差範囲内にあるように寸法決定されることを特徴とする方法。
【請求項10】
木の幹(B)のためのカット方式を判定するための演算装置であって、当該演算装置は切削加工または外皮の鋸引きの前または後に得られた、少なくとも二辺、好ましくは四辺において切削加工されるかあるいは外皮を鋸引きすることによってまっすぐにされた木の幹(B、1)の各測量データを用いて前記木の幹(B)をシングルカットまたはマルチカットの主板と一つまたは複数の側板を含んでなる材木に分割するための最適なカット方式を判定するようにプログラムに従って適合されている演算装置において、
一つまたは複数の側板について最大許容可能なエッジ曲率のための公差範囲を予め指定することが可能であり、前記カット方式によって少なくとも一つの側板(4)のための弓形状(4a、4b)を判定し、当該弓形状に沿って該当する側板(4)を切り離す前に前記木の幹(B)の樹皮の各角領域がフライス加工され、前記弓形状(4a、4b)は、前記側板(4)の得られるエッジ曲率が当該側板の切り離し後に前記予め指定された公差範囲内にあるように寸法決定されるように前記演算装置が適合されていることを特徴とする演算装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木の幹から材木を製造するための方法に関し、当該方法において木の幹は少なくとも二つの対向する辺、好ましくは四辺において切削加工されるかあるいは外皮を鋸引きすることによってまっすぐにされ、残りの樹皮領域は各フライス工具を用いて少なくとも二つの対向する角領域においてフライス加工され、各角領域によって区切られた平面に沿ったソーカットによって側板が切り離される。さらに本発明は、一つまたは複数の切削加工具または鋸、二つ以上のフライス工具および鋸装置を有する、相当する装置に関する。最後に本発明は、木の幹のカット方式を判定するための方法に関し、当該方法において木の幹は少なくとも二つの対向する辺において切削加工されるかあるいは外皮を鋸引きすることによってまっすぐにされ、切削加工または外皮の鋸引きの前または後に測量され、各測量データに基づいて木の幹をシングルカットまたはマルチカットの主板と一つまたは複数の側板を含んでなる材木に分割するためのカット方式を判定する。
【背景技術】
【0002】
木の幹を材木に分割する場合、丸太の自然な形状からできる限り多くの材木量を得ることを目的とする。このために木の幹を光学的に測量し、演算によって可能である材木の各寸法を幹の延伸に適合することによってカット方式を判定する。
【0003】
分割するためには各切削加工具を用いて木の幹の四辺を切削加工することにより木の幹からまずは角材を生成する。木の幹の縁領域において各側板が生じる。このためにまずは対毎の互いに対向する、樹皮の各角領域がフライス加工され、各角領域によって画定される切断面に沿って各側板が切り離される。
【0004】
複数の側板を各辺から生成するだけではなく丸太/角材において対角に位置する各側板を生成することも可能である。幹の湾曲によって側板を平面的あるいは弓状に沿う切削加工およびフライス加工によって長さに亘ってアーチ状になるように製造することも可能である。この際、四辺において切削加工された角材は、通常二つの第一の平行で直線状の面と二つの第二の平行であるものの湾曲した面とを有するように製造される。通常、切削加工の前または後に木の幹が三次元的に測量されてカット方式が判定される。直線状の各面において判定されたカット方式に相応して各角領域のフライス加工の後に角材の両側において第一の各側板が切り離され、その後角材が90度回転されて弓状に沿ってカット方式に相応して変位された、例えばガングソーなどの鋸装置へと案内される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、側板領域における製造可能な材木量をさらに高めることを課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題は、材木を製造するための方法に関しては請求項1の各特徴によって、または装置に関しては請求項8の各特徴によって解消される。有利な各実施形態は、各従属請求項から得られる。さらに請求項9に記載の材木量の歩留まりが最適化されたカット方法を判定するための方法と請求項10に記載のカット方法を判定するための演算装置とが述べられている。
【0007】
冒頭で述べた類の方法において、本発明によると各角領域のフライス加工のために各フライス工具は、木の幹の測量によって予め決定された弓形状において木の幹に対して移動される際に木の幹を各フライス工具に対して前進移動させる間に当該各フライス工具が弓形状に沿って変位される。この際、該当する側板を切り離すためのソーカットは、各フライス工具によって生成されたフライス縁の湾曲がある平面に沿って行われる。
【0008】
この際の本発明の基本的な考え方は、各側板について板の鎌状の湾曲、いわゆるエッジ曲率または反りを意図的に許容し、カット方式を判定する時に共に考慮することにある。これにより木の幹の湾曲に沿う弓状に沿ったカット制御の場合のような曲がった各板だけではなく、幹の湾曲に対して垂直に自身の狭い長手方向縁に亘って湾曲した、エッジ曲率を有する各側板をも生成することが可能となる。この種のエッジ曲率を有する各板は、その後にプレス切断およびフィンガージョイントによってまっすぐにされても、あるいはエッジ曲率を有する各板が自身の屈曲した輪郭ごと集成木材板の中間層に組みこまれた上で工程においてまっすぐになるようにプレス加工されることも可能である。エッジ曲率を有する各側板を計算に入れることによってとりわけいわゆるプレカット側板の歩留まりを著しく高めることが可能である。
【0009】
自身の湾曲が水平面にあるように木の幹が方向づけられている場合、弓形状に相応した相対運動を生成するために各フライス工具を水平方向において変位することが可能である。したがって該当する側板を水平なソーカットによって切り離すことが可能である。
【0010】
しかしながら好ましい実施形態において切削加工された木の幹(角材)は、各角領域をフライス加工するために自身の湾曲が垂直な平面にあるように回転され、さらには角材の各端部が下を向くことが好ましい。この場合、弓形状に相当する相対運動を生成するために各フライス工具の高さが変位される。したがってフライス加工された各角領域の弓状の延伸は、角材の直線状の湾曲していない各面に位置して木の幹の湾曲の延伸に適合され得る。こうして該当する側板はさらに角材を回転することなく垂直であるソーカットによって切り離され得る。
【0011】
側板あるいは必要に応じてさらなる各側板を切り離した後、木の幹は、今度は自身の湾曲が水平な面にあるように好適に回転され得る。その後、木の幹は自身の湾曲に沿った軌道において垂直に切断する第二の鋸装置を通過するように案内される。したがってこの際に生成された各主板および側板はもはやエッジ曲率を有さず、木の幹の湾曲に沿って曲げられている。しかしながら当該曲げはその後、各板を乾燥する際にまっすぐにすることが可能であるため、第二の鋸引き工程において生成された各板は実質的に屈曲を有しない。
【0012】
各角領域は、四辺において切削加工された角材においてフライス加工されて該当する各側板を切り離すことが好ましい。しかしながら木の幹をまずは二つの対向する辺においてのみ切削加工し、当該各辺において各角領域の各樹皮をフライス加工してそれぞれ一枚の側板を切り離すことも可能である。同一の各辺においてそれぞれ段差をつけてさらなる各角領域をフライス加工し、さらなる各側板を切り離すことも可能であり、当該各側板には同様に湾曲が許容される。同様に木の幹を切削加工する代わりに、少なくとも一つの辺において外皮を鋸引きすることによって木の幹をまっすぐにしてその後各角領域をフライス加工することも可能である。
【0013】
したがって各角領域をフライス加工する場合、切削加工または外皮を鋸引きした後に木の幹に残る樹皮を完全に除去する必要はなく、一部の樹皮の(部分)領域のみが除去される。むしろ樹皮を複数のフライスステップにおいて段階ごとにフライス加工することにより、例えば連続して複数の徐々に大きな幅を有する側板を切り離すことも可能である。
【0014】
本発明によるとカット方式を演算するために公差範囲が予め指定されていても指定してもよい。この際弓形状は、後に切り離される側板が公差範囲内にあるエッジ曲率を有するように決定される。公差範囲は、生成された各側板が意図し用途のために使用され得るようにあるいは所定の等級に該当し得るように選択され得る。選択される公差範囲が大きければ大きいほどプレカット側板の歩留まりが向上する。したがって本発明は、用途に応じた公差範囲を予め指定することにより目標とする歩留まりに対して影響を与えることを可能とする。
【0015】
さらに各フライス工具が木の幹に対して当該弓形状に沿って移動される弓形状は、測量によって判定された木の幹の湾曲との関連において部分的に異なる湾曲を有する曲線、特に部分的に反対方向に湾曲する曲線が得られるように判定され得る。したがってそれぞれ部分的に予め指定された公差範囲内にあるエッジ曲率を有する各側板を生成することは本発明の範囲内にある。
【0016】
カット方式の測量および判定は、基本的に切削加工の前でも後でも実施され得る。同様に第一の測量を切削加工の前に実施して第一のカット方式を判定し、切削加工の後に新たな測量を実施して必要に応じて最適なカット方式を判定することも可能である。
【0017】
本発明の好ましい実施形態において木の幹の測量は、当該木の幹が四辺において切削加工された後に実施される。特に切削加工の前に木の幹に対して切削加工のための木の幹の湾曲方向と回転とを判定するために用いられる第一の測量を実施することが可能である。切削加工の後には角材の第二の測量が実施され、当該測量を用いて今度はプリカットにおいて生成される各側板のカット方式と湾曲曲線とを判定する。二段階測量により精度が向上し、材木量の歩留まりがより高くなる。
【0018】
さらに本発明の発展態様において各フライス工具が自身の予め決定された弓形状に沿った変位運動の際に付加的に旋回される、特にそれぞれのフライス工具によって画定されるフライス平面が弓形状に接線方向に沿うように旋回されるようにすることが可能である。これにより既にフライス加工された領域に入る変位運動中における各フライス工具の再切削が防止される。
【0019】
本発明による、木の幹から材木を製造するための装置は、木の幹を少なくとも二辺、好ましくは四辺において切削加工するように配置される一つまたは複数の切削加工具と、残りの樹皮領域を少なくとも二つの対向する角領域においてフライス加工するように配置される二つ以上のフライス工具と、ソーカットによって側板を各角領域によって区切られた平面に沿って切り離すように配置される鋸装置とを有する。このために装置は、制御ユニットを有し、当該制御ユニットは、各フライス工具が角領域をフライス加工するために木の幹の測量に基づいて予め決定された弓形状において木の幹に対して移動される際に木の幹を各フライス工具に対して前進移動させる間に当該各フライス工具が弓形状に沿って、特にその高さが変位されるように装置を制御する。制御ユニットは、特に前述の一つまたは複数の方法ステップが実施されるように装置を制御するようにされている。前述の各切削加工具の別法として各鋸を設け、当該各鋸を用いて木の幹の外皮を二辺または四辺において切り離して木の幹を続く各角領域のフライス加工のためにまっすぐにすることも可能である。
【0020】
木の幹が少なくとも二辺、好ましくは四辺において切削加工されるか外皮を鋸引きすることによりまっすぐにされ、切削加工または外皮の鋸引きの前または後に測量されて各測量データに基づいて木の幹をシングルカットまたはマルチカットの主板と一つまたは複数の側板を含んでなる材木に分割するためのカット方式を判定する、木の幹のためのカット方式を判定するための方法において、本発明によると一つまたは複数の側板のために最大許容可能なエッジ曲率の公差範囲が予め指定され、カット方式によって少なくとも一つの側板の弓形状が判定され、当該弓形状に沿って該当する側板を切り離す前に後の側板を縁取る木の幹の樹皮の各角領域がフライス加工され、弓形状は、側板の得られるエッジ曲率が当該側板を切り離した後に予め指定された公差範囲内にあるように寸法決定される。
【0021】
木の幹のためのカット方式を判定するための相応する演算装置は、切削加工または外皮の鋸引きの前または後に得られた木の幹の各測量データを用いて木の幹をシングルカットまたはマルチカットの主板と一つまたは複数の側板を含んでなる材木に分割するためのカット方式を判定するようにプログラムに従って適合されている。本発明によると一つまたは複数の側板について最大許容可能なエッジ曲率のための公差範囲を予め指定することが可能であり、カット方式によって少なくとも一つの側板のための弓形状を判定し、当該弓形状に沿って該当する側板を切り離す前に木の幹の樹皮の各角領域がフライス加工され、弓形状は、側板の得られるエッジ曲率が当該側板を切り離した後に予め指定された公差範囲内にあるように寸法決定されるように演算装置が適合されている。
【図面の簡単な説明】
【0022】
本発明のさらなる有利な各特徴と各特性は、各図面を用いた実施形態例に関する以下の説明から明らかになる。
【0023】
【
図1】
図1aから
図1fは、個々の加工段階後の木の幹を通る各断面を用いた木の幹を分割する際の各作業進行の概略図である。
【
図2】予め演算されたエッジ曲率を有するプリカット側板の輪郭が描き込まれた、四辺が切削加工された木の幹(角材)である。
【
図3】自身の狭い長手方向辺に亘って延伸する湾曲を有する、
図2における切り離された側板である。
【
図4】制御ユニットとカット方式を判定するための付加的な演算装置とを有する材木を生成するための装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
一実施形態による、丸太から材木を製造するための各作業進行は、
図1において概略的に図示されており、各加工段階後の加工されたワークピースの断面が図示されている。
【0025】
丸太B.0(木の幹)の元の断面からスタートして
図1aにおいて図示されるように当該丸太は、まず図面平面に対して垂直な方向に第一の、切削加工具SP1と称される加工具を通過するように案内される。この際、切削加工具SP1は、二つの対向する辺において樹皮を除去することで二つの平面平行である面を有するワークピースB.1を生成する。ここで当該ワークピースは90度回転させられて
図1bに図示される第二の切削加工具SP2へと案内され、当該第二の切削加工具は各樹皮を除去するために二つの残った辺を切削加工する。
【0026】
既に各切削加工具SP1、SP2による加工時に丸太B.0において予めまずは大まかに決定された湾曲が考慮され、具体的には切削加工具SP1による加工が湾曲平面に対して平行に実施されることによって一方側に湾曲を有する丸太においてまず二つの第一の平面平行である、すなわち湾曲していない各面が生成され、ワークピースB.1がその後90度回転されて(
図1b)予め決定された湾曲線に弓状に沿う曲線において切削加工具SP2を通過するように案内されて(
図1c)二つの第二の平行であるものの湾曲した面が得られるようにする。
【0027】
その結果、断面B.2を有する湾曲した角材が得られる。角材B.2は、四つの切削加工された面を有するものの各縁側においてまだ樹皮の残りがあり、ここで当該樹皮は後の鋸引きの前にさらなる各加工ステップにおいて除去される。
【0028】
このために角材B.2はここで再度回転されて(
図1d)各縁において
図1eに図示されるフライス装置F1を用いてフライス加工される。フライス装置は、四つのそれぞれ対毎に対向するフライスヘッドを有し、当該各フライスヘッドを用いて角材の縁のうちそれぞれ一つがフライス加工される。これにより残っている前各樹皮が少なくとも部分的に除去されるだけではなく、各フライス加工部は、同時に切り離すべき各側板の縁取りをも形成する。それぞれ一辺における各フライスヘッドは、それぞれ(図示されない)機械基部に固定されており、当該機械基部は相応する各アクチュエータ(例えば油圧シリンダ)を介して各フライスヘッドの高さと幅の変位を可能にする。
【0029】
その後、角材B.3は
図1fに図示される鋸装置S1を通過する。鋸装置S1は、
図1eにて生成された各フライス加工の深さにちょうど位置する二つの側方の切り目を生成するため、二つの第一の、樹皮がない側板が落下する。
図1eおよび
図1fにおける加工は、ここでも
図1aのように湾曲平面に対して平行である各平面において実施されるため、この際に湾曲を考慮することなくカット制御を実施することが可能である。
【0030】
ここで残る角材B.4は輪郭が少し狭くなったものの、まだ各樹皮の残りを有することがある。当該各樹皮を除去するためにここで角材B.4は再度回転されて(
図1g)
図1hに図示されるフライス工具F2を通過するように案内される。当該フライス工具は、角材B.4の各縁に沿った各フライス加工部を生成することにより残った各樹皮を除去する。続いて当該角材は鋸装置S2を通過するように案内されて、当該鋸装置は切削加工されてフライス加工された角材B.5から個々の材木を生成する。この際、以前に生成された各フライス加工部の領域において
図1iにおいて見受けられるように再び二つのより狭い側板が形成される。鋸装置S2は(ついでながら鋸装置S1も)例えば二軸丸鋸であり得る。
【0031】
角材B.3の湾曲は、当該湾曲が弓状に自身の湾曲線に沿って鋸装置S2を通過するように案内されるように、あるいは能動的な弓状に沿った切断の際に鋸装置S2の各鋸刃が通過時に相応して位置付けられて弓状に沿って案内されることによりカット制御の際に考慮される。したがって角材B.3の湾曲線を正確に把握することは重要である。
【0032】
一般に所望する各製造公差を得るには最初の丸太において実施された湾曲の決定では不十分であるため、切削加工の後且つ最後の鋸引きの前に切削加工の後に得られる湾曲曲線を正確に決定するために新たな測量が実施される。
【0033】
図2において一例として
図1cの加工ステップの後の四辺が切削加工された木の幹または角材が図示されている。搬送方向Aにおけるベルトコンベア3に沿った角材1の長手方向における搬送の間、角材の測量が実施される。このために測量装置2が概略的に図示されている。測量は、例えば光学的、レーザを用いて、レーダを用いてあるいはその他の方法で実施することが可能である。
【0034】
角材1の測量後、幾何学的各測量データに基づいてカット方式が判定される。カット方式は、どの各側板および主板を生成すべきかを決定する。このために各板のための可能である各寸法を測量によって得られた角材の仮想モデルに対して演算によって適合することにより可能な限り最適な材木量の歩留まりを得られるようにする。カット方式の範囲においてはいわゆるプリカット側板が定義されており、当該各側板は
図1fに図示されるカットにおいてまずは切り離されてその後角材が再度回転されて相応する垂直である長手方向におけるカットによって分割される。
【0035】
本発明によるとこの際、プリカットによって生成された各側板が予め指定することが可能な公差範囲内におけるエッジ曲率を有することが可能であるとされる。したがってカット方式の判定時に各側板を当該各側板が幹の湾曲に沿って配置されるように角材1に演算によって適合させることが可能である。
図2において相当するエッジ曲率を有する側板の外形が例示されている。
図1dから
図1fに図示された回転、フライス加工および鋸引きの各ステップを用いて該当するプレカット側板を切り離すことが可能である。
【0036】
図3において相応して生成された、エッジ曲率を有するプレカット側板4が図示されている。エッジ曲率は、いわゆる起立高さhによって示されている。長手方向の湾曲の起立高さhは、最も変形が大きい箇所で測量されて絶対値としてあるいは例えば2mの測量長さとの関係において示され得る。したがってエッジ曲率を有する各側板が許容されるため、鋸引きされる各木の幹の自然な湾曲性を利用することによりプレカットにおける材木量の歩留まりを向上することが可能である。
【0037】
図2および
図3に図示される、エッジ曲率を有する各板4を生成するには、平行に延伸する、側板4の各狭辺を形成する各曲線4a、4bに沿って側板4を切り離す前に角材のプロフィール分析を実施する必要がある。このことは
図1eに図示される各フライス工具F1を制御することによって実施する。左側と右側におけるそれぞれ一対のフライス工具対の高さが相当する各アクチュエータを制御することによって木の幹1を弓形状4aまたは4bに沿うように前進運動Aさせる間に変位される。この際、木の幹1の左側と右側における曲線4a、4b(
図1eを参照のこと)は、互いに異なるものであってもよい。プリカットにおいて複数の側板を生成することも可能である。
【0038】
フライス装置F1の各フライスヘッドとしては欧州特許第1807249号明細書に記載される各工具ヘッドを用いることが可能であり、不必要な繰り返しを避けるためこれにより当該明細書の全文を参照するものとする。そこで示される組み合わされたフライス加工および鋸引きセグメントヘッドとは、一方では垂直方向および水平方向の各ソーカットによる各側板のきれいな各側端を、他方では付加的な各チョッパーによって再利用に適した木材チップを生成する。
【0039】
フライスヘッドは、二つの互いに対して垂直であるフライス平面を有し、そのうち一方は後の側板の長手方向縁を生成し、もう一方は後に側板を切り離すためのソーカットが実施される平面に概ね位置している。変位運動中の各フライスヘッドの切り直しを防止するために当該各フライスヘッドを自身の変位運動に加えて同時に旋回することも可能である。旋回動作は、後の長手方向縁をフライス加工するのに用いられるフライスヘッドのフライス平面が各フライスヘッドを木の幹に対して変位する弓形状に接線方向に沿うように実施されることが合理的である。したがって旋回軸は、側板を切り離すためのソーカットが実施される平面に対して垂直になる。このような旋回運動は、ピッチング運動とも称される。
【0040】
最後に
図4は、材木を製造するための装置のブロック図である。装置は、搬送方向Aに連続して
図1aから
図1iに図示される各加工ユニット、すなわち切削加工具SP1、第一の回転装置D1、切削加工具SP2、第二の回転装置D2,フライス装置F1、鋸装置S1、第三の回転装置D3、フライス装置F2および鋸装置S2を含んでなる。全ての各加工ユニットは、制御ユニットCTによって制御される。当該制御ユニットは、予め判定された各測量データに相応して第一の切削加工の前の適切な木の幹の回転、切削加工具SP1の適切な配置、第一の回転装置D1による回転、切削加工具SP2の適切な配置および測量によって判定された木の幹の湾曲に相応して切削加工具SP2を通過して木の幹を弓状に案内することを保証する。制御ユニットCTは、回転装置D2による回転を制御し、フライス装置F1の各フライスヘッドを位置決めし、予め指定されたエッジ曲率について判定された弓形状4a、4bに相応して木の幹が前進する間、当該各フライスヘッドを木の幹に対して変位する。制御ユニットCTは、鋸装置S1の位置決めと続く回転装置D3における回転とを制御する。最後に制御ユニットCTは、各フライス工具F2の位置決め、鋸装置S2の変位およびフライス工具F2および鋸装置S2を通過する弓状に沿った木の幹の案内を制御する。
【0041】
各回転装置は、それ自体公知である方法によって90度回転可能なフレームに配置された各ローラによって実現され得る。木の幹の加工および回転は、連続的な前進運動によって実施される。このために例えば同様に公知である方法によって各ローラまたはチェーンコンベアを用いて実現され得る搬送装置が使用される。搬送方向は、同様に制御ユニットCTによって制御されることが好ましく、したがって当該制御ユニットは木の幹の前進速度を制御する。
【0042】
さらに
図4において演算装置REが図示されている。当該演算装置は、最適なカット方式を判定するために使用される。このために当該演算装置は、例えば各カメラや各光学スキャナからなる集成体などである光学的測量ユニット2に接続されている。測量ユニット2は、四辺において切削加工された角材1(
図1における輪郭B.2)において測量を実施し、その後当該角材が新たに回転される。測量ユニット2によって供給される各測量データから角材1の仮想モデルが生成され、当該仮想モデルを用いて可能な各材木寸法を仮想モデルに演算によって適合することにより、演算装置REが最適なカット方式を演算する。
【0043】
カット方式の演算の際にプレカットにおいて生成すべき各側板のエッジ曲率も判定される。演算装置REは、ユーザインタフェースUIを有し、当該ユーザインタフェースを介して最大限許容されるエッジ曲率のための許容される公差範囲を記述する(例えば最大起立高さhなどの)パラメータを予め指定することが可能である。この際、各プレカット側板の後の縁の延伸を記述する弓形状4a、4bは、得られるエッジ曲率が予め指定された公差範囲内にあるように判定される。
【0044】
加えて演算装置REは、第一の切削加工の前の木の幹の最適な回転を判定するように設計されている。このために別の光学的測量ユニット2′が設けられており、当該測量ユニットを用いて第一の切削加工の前に木の幹が当該木の幹の湾曲を判定し、回転を演算するためにスキャンされ、当該回転においては(主)湾曲が垂直平面にあるため切削加工具SP1によって二つの平行で平らな側面が生成され得、90度回転した後、木の幹が自身の湾曲に弓状に沿って第二の切削加工具SP2を通過して案内され得るため、二つの第二の平行でありながら湾曲した角材1の側面が生成される。
【0045】
演算装置REは、
図4に図示するように別個のプログラム可能な演算ユニットとしてあるいは当該演算ユニットを介して、または制御ユニットCTと一体化されてプログラム可能な共通の演算ユニット上で実現され得るものであり、演算ユニットREと制御ユニットCTとは別個のコンピュータプログラムによってあるいは共通の一体化されたコンピュータプログラムの相応する各サブルーチンによって実現され得る。
【0046】
最後に、本発明は、実施形態にて説明したように再切削における弓状に沿ったカット制御あるいはカット方式を判定するための二段階測量などに限定されないことを指摘すべきである。むしろカット方式の測量および演算は、切削加工の前に丸太において実施し、再切削における角材を分割するためのカット制御は、湾曲を考慮することなく直線的なカット制御によって実施することも可能である。
【外国語明細書】