(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023067782
(43)【公開日】2023-05-16
(54)【発明の名称】面上における素材の堆積及び再スパッタリングを制御する方法
(51)【国際特許分類】
C23C 14/35 20060101AFI20230509BHJP
【FI】
C23C14/35 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】25
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022164698
(22)【出願日】2022-10-13
(31)【優先権主張番号】2115616.1
(32)【優先日】2021-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(71)【出願人】
【識別番号】512221197
【氏名又は名称】エスピーティーエス テクノロジーズ リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スコット ヘイモア
(72)【発明者】
【氏名】アドリアン トーマス
(72)【発明者】
【氏名】トニー ウィルビー
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン バージェス
【テーマコード(参考)】
4K029
【Fターム(参考)】
4K029BA06
4K029BA08
4K029BA16
4K029BA17
4K029BA58
4K029BA60
4K029CA05
4K029DC39
4K029DC40
4K029JA01
(57)【要約】
【課題】より単純でコスト効果的なPVDシステムを実現する。
【解決手段】本発明により提供される方法は、基板に形成された複数個の窪み内に、物理気相堆積(PVD)により堆積素材を堆積させる方法であって、基板支持器の上側基板支持面、但し永久磁石配列がその下方に配置されている上側基板支持面の上に、基板を配置することによって、永久磁石を基板下方に配設させる工程と、基板に形成された窪み内に、マグネトロン装置のターゲットからスパッタリング素材をスパッタリングすることによって、堆積素材を堆積させる工程と、を有し、堆積素材堆積工程にて、永久磁石配列により、基板表面を横断し基板周辺部を越えた領域内へと延びる略均一な横方向磁界を提供することで、窪み内に堆積された堆積済素材の再スパッタリングを増強する方法である。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に形成された複数個の窪み内に、物理気相堆積(PVD)により堆積素材を堆積させる方法であって、
基板支持器の上側基板支持面、但し永久磁石配列がその下方に配置されている上側基板支持面の上に、基板を配置することによって、永久磁石を前記基板の下方に配設させる工程と、
前記基板に形成された前記窪み内に、マグネトロン装置のターゲットからスパッタリング素材をスパッタリングすることによって、前記堆積素材を堆積させる工程と、
を有し、前記堆積素材堆積工程にて、前記永久磁石配列により、前記基板の表面を横断しその基板の周辺部を越えた領域内へと延びる略均一な横方向磁界を提供することで、前記窪み内に堆積された堆積済素材の再スパッタリングを増強する方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、永久磁石が前記基板の前記周辺部を越え付加的に配設されるよう前記永久磁石配列が前記上側基板支持面の下方に配置されている方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の方法であって、前記ターゲットと前記基板とを2.5~7.5cmなるギャップにより分離させる方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法であって、前記ターゲットと前記基板とを2.5~4cmなるギャップにより分離させる方法。
【請求項5】
請求項1~4のうち何れか一項に記載の方法であって、DC電力を前記ターゲットに印加することで、0.1~5Wcmー2なる印加電力密度で以て前記素材をスパッタリングさせる方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法であって、前記印加電力密度が0.25~1Wcm-2である方法。
【請求項7】
請求項1~6のうち何れか一項に記載の方法であって、前記永久磁石配列が可動であり、前記堆積素材堆積工程にて、前記永久磁石配列を、前記略均一な横方向磁界が提供されうるようにする運動に供する方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法であって、前記可動永久磁石配列が供される前記運動が回動である方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法であって、前記可動永久磁石配列を2.5~15rpmにて回動させる方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法であって、前記可動永久磁石配列を5~10rpmにて回動させる方法。
【請求項11】
請求項7に記載の方法であって、前記可動永久磁石配列が供される前記運動が往復運動である方法。
【請求項12】
請求項1~11のうち何れか一項に記載の方法であって、前記基板の前記表面を横断し提供され且つその基板の前記周辺部を越えた領域内に延びる前記略均一な横方向磁界が、100~500ガウス(0.01~0.05テスラ)の範囲内の磁界強度を有する方法。
【請求項13】
請求項1~12のうち何れか一項に記載の方法であって、Ar及び/又はHeを、前記堆積素材堆積工程にてプロセスガスとして用いる方法。
【請求項14】
請求項1~13のうち何れか一項に記載の方法であって、RF電力を前記基板に印加することで、前記堆積素材堆積工程にて100~500VなるDCバイアスを発生させる方法。
【請求項15】
請求項1~14のうち何れか一項に記載の方法であって、前記堆積素材堆積工程を、2~150mTorr、オプション的には30~100mTorrの範囲内のチャンバ圧にて実行する方法。
【請求項16】
請求項1~15のうち何れか一項に記載の方法であって、前記堆積素材がTi、TiN、Ta、TaN、W、WN、Co、Ru又はCuである方法。
【請求項17】
請求項1~16のうち何れか一項に記載の方法であって、前記堆積素材を反応性ガス、オプション的には水素、窒素又は酸素を用いる反応性スパッタリングにより堆積させる方法。
【請求項18】
請求項1~17のうち何れか一項に記載の方法であって、前記窪みがビアである方法。
【請求項19】
基板に形成された複数個の窪み内に堆積素材を堆積させる物理気相堆積(PVD)装置であって、
チャンバと、
前記チャンバ内に配設されておりそこからスパッタリング素材をスパッタリング可能なターゲットを備えるマグネトロン装置と、
所定寸法の基板を保持しうるよう構成された基板ホルダであり、前記チャンバ内に配設された基板支持器が備わる基板ホルダと、
を備え、前記基板支持器が、上側基板支持面と、使用に際し前記基板の下方に永久磁石が配設されるよう前記上側基板支持面の下方に配置された永久磁石配列と、を備え、前記永久磁石配列が、使用に際し、前記基板の表面を横断しその基板の周辺部を越えた領域内へと延びる略均一な横方向磁界を提供することで、前記窪み内に堆積された堆積済素材の再スパッタリングを増強するよう、構成されているPVD装置。
【請求項20】
請求項19に記載のPVD装置であって、永久磁石が前記基板の前記周辺部を越え付加的に配設されるよう前記永久磁石配列が前記上側基板支持面の下方に配置されたPVD装置。
【請求項21】
請求項19又は20に記載のPVD装置であって、使用に際し、前記ターゲットと前記基板支持器とを2.5~7.5cmなるギャップにより分離させるPVD装置。
【請求項22】
請求項19~21のうち何れか一項に記載のPVD装置であって、前記永久磁石配列が可動な装置であり、更に、使用に際し前記略均一な横方向磁界が提供されうるようにする運動に前記永久磁石配列を供するよう構成された機構を、備えるPVD装置。
【請求項23】
請求項22に記載のPVD装置であって、前記機構が、前記可動永久磁石配列を回動させる回動機構であるPVD装置。
【請求項24】
請求項19~23のうち何れか一項に記載のPVD装置であって、自装置を制御することで請求項1~17のうち何れか一項に記載の方法を実行させるよう構成されたコントローラを、備えるPVD装置。
【請求項25】
請求項19~24のうち何れか一項に記載のPVD装置であって、前記基板支持器の前記上側基板支持面上に配置された前記基板との組合せたるPVD装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は物理気相堆積(PVD)により基板上に堆積素材を堆積させる方法に関するものであり、具体的に参照されるのは、基板に形成された複数個の窪み内にPVDにより堆積素材を堆積させる方法である。本発明は関連するPVD装置にも関する。
【背景技術】
【0002】
PVDにより堆積された薄い金属又は窒化金属層が、半導体デバイス内のバックエンドオブライン(BEOL)相互接続層を作成するための製造プロセスにて、広く用いられている。これらのプロセスにて堆積される素材の例には、Ti、TiN、Ta、TaN、W、WN、Co、Ru及びCuがある。銅ダマシン金属化を用いる際には、銅シード層のPVD堆積及びその後の電気化学的(ECD)銅堆積に先立ち、例えばTi等の薄い接着及び/又は障壁層を堆積させることが、必要となる。1個の接着/障壁層に代え2個の層を堆積させてもよい。例えば、Ti層とTiN層とを堆積させてもかまわない。高アスペクト比スルーシリコンビア(TSV)等のアプリケーションでは、そのビア内へのバルク銅の上首尾なECDを行えるようにするため、連続金属障壁及びシード層の形成が必要とされる。厳格な定義ではないが、5:1以上のアスペクト比を有し約0.5~10μm径の開口直径を有するビアを、高アスペクト比ビアと見なすことができる。
【0003】
図1(a)には、ビアに開口狭窄が現れない理想的なPVD堆積プロセスに従いTSVの半模式的表現が示されている。他方、
図1(b)には、上首尾なウェハ処理のため回避されるべき問題のうち幾つかが示されている。
図1(a)ではTSV100がシリコンウェハ102内へのエッチングにより作成されている。その上で、相応な素材例えばSiO
2からなる誘電ライナ104が、典型的にはCVD又はALDプロセスにより開口内に堆積されている。これには更に障壁層106の堆積、例えばイオン化PVDによるTiの堆積が後続し、それにイオン化PVDによる銅層108の堆積が後続する。これらの層全てを連続なものとする必要がある。これはPVDプロセス、とりわけ高アスペクト比フィーチャ向けのそれでは特に難題であり、何故なら、ターゲットからビア内に入る素材が比較的直交的に入来するため、その入来で以てビアの側壁を被覆させることが難しいからである。
図1(b)においては、回避する必要がある問題のうち二つを看取することができる。直交PVD堆積条件下の開口上部では、フィールド(ウェハ表面)における堆積速度がビア内のそれよりかなり高くなることが、期待されよう。これによりビア上部にオーバハング110が生じ、ひいてはそのフィーチャ内に入りうる堆積素材の量が減少する。ビアの下部領域112上への素材堆積は特に減少する。やがてはそれによりフィーチャ閉止が生じることがあろうし、それは許容することができない。とはいえ、僅かな開口狭隘化だけでも後続のECD銅堆積プロセスがより過酷となろうし、またそのビア内にボイドがあると欠陥デバイスがもたらされよう。
【0004】
従来型の連続障壁及びシード層膜実現手段では、再スパッタリング能力付のイオン化PVD(i-PVD)システムが用いられている。イオン化PVDシステムでは、浸漬ICPコイル、磁気閉じ込め又はターゲット向け超大電力パルス、或いはそれらの技術の組合せの使用を通じ、ターゲット近傍で高密度プラズマ源が用いられている。これにより、ウェハ支持器の方へと差し向けうる金属イオンの源泉が提供されている。金属の高比率イオン化が求められており、典型的には少なくとも30%のイオン化比率が達成される。金属イオン及び電子がウェハ支持器の方へと進行するため、しばしば、損失最小化のため磁気閉じ込めが用いられる。フィーチャの基部カバレージを最大化させるため、これらの従来型システムは、傾向として、10cm超という比較的大きなターゲット対ウェハ間隔で以て稼働される。これは、非直交入来にてウェハ表面に到来する素材の量を、最少化させるためである。非直交的スパッタ素材束は、
図1(b)に示されている通りビア開口を閉止させやすい。こうした種類のイオン化PVDシステムの例が特許文献1~5に記載されている。
【0005】
数mTorrなる低圧で稼働させることで散乱を最少化させること、並びに大きなターゲット対ウェハ間隔にすることでウェハ表面に到達する素材束を平行化させることにより、イオン化源から強い金属イオン束を提供しウェハに差し向けることができる。この束と併せ、負のDCバイアスをウェハ支持器に加えてカチオンをウェハへと吸引させることにより、秀逸な基部カバレージを実現することができる。負のDCバイアスは、RFバイアス電力をその支持器に印加することにより実現される。しかしながら、イオン化素材をフィーチャの側壁上へと差し向けて良好なステップカバレージを実現することができない。適切な側壁カバレージは、フィーチャ内素材を再スパッタリングさせることで実現される。ウェハ近傍にて浸漬ICPコイル、ウェハ付近にて電磁石を用いることで、ウェハ付近で高密度プラズマが維持され再スパッタリングプロセスが助長されてきた。
【0006】
これらの従来型i-PVDシステムの何れにも短所がある。これらは非常に複雑且つ高コストであり、大きなDC電力をターゲットに供給する必要がある。300mm径ウェハシステムで十分に密なプラズマを実現するには、通常、10kW超のDC電力とし20W/cm2超のターゲット電力密度を発生させることが必要になる。浸漬ICPコイルシステムが用いられている場合、潜在的には、複数個のRF電源が必要とされうる。プラズマを封じ込めて差し向けるため、しばしば、電磁石が必要とされる。更なる問題には、大きなターゲット・ウェハ間間隔故に比較的低効率なターゲット利用になることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許出願公開第2012/0228125号明細書
【特許文献2】米国特許第7504006号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2018/0327893号明細書
【特許文献4】米国特許第8435389号明細書
【特許文献5】米国特許第7378001号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このように、より単純でよりコスト効果的なPVDシステムであり、より効率的なターゲット利用で以て同等な又は理想的に改善されたプロセス性能を実現しうるものを、求める需要がある。また、窪みフィーチャ例えばビア内へのPVDに係るプロセス性能改善を望む一般的期待もある。とりわけ、秀逸な側壁カバレージと併せ高品質連続膜を窪みフィーチャ内にもたらせるPVDプロセス及び装置を望む期待がある。関連する期待に、ステップカバレージ改善を達成することがある。
図1(b)に示されているオーバハングに係る問題を避けよとの期待もある。
【0009】
本発明、少なくともその実施形態のうち幾つかでは、上述の諸問題、需要及び期待に対処している。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1態様によれば、基板に形成された複数個の窪み内に、物理気相堆積(PVD)により堆積素材を堆積させる方法であって、
基板支持器の上側基板支持面、但し永久磁石配列がその下方に配置されている上側基板支持面の上に、基板を配置することによって、永久磁石を前記基板の下方に配設させる工程と、
基板に形成されたそれら窪み内に、マグネトロン装置のターゲットからスパッタリング素材をスパッタリングすることによって、堆積素材を堆積させる工程と、
を有し、その堆積素材堆積工程にて、その永久磁石配列により、基板表面を横断し基板周辺部を越えた領域内へと延びる略均一な横方向磁界を提供することで、それら窪み内に堆積された堆積済素材の再スパッタリングを増強する方法が、提供される。
【0011】
永久磁石が基板周辺部を越え付加的に配設されるよう、上側基板支持面の下方にその永久磁石配列を配置することができる。基板表面を横断し基板周辺部を越えた領域内へと延びる略均一な横方向磁界を生み出す助けとなるので、こうした配列は有利である。とはいえ、この種の略均一な横方向磁界を、基板下方にあるが基板周縁部を越え延びていない永久磁石配列を用い、発生させることもできる。典型的には、その永久磁石配列を、これらの例における基板周辺部の近く、例えば基板周辺部の1~2cmへと延ばす。
【0012】
ターゲットと基板とを2.5~7.5cmなるギャップにより分離させることができる。ターゲットと基板とを2.5~4cmなるギャップにより分離させることができる。有利なことに、上述の理由で、比較的短いターゲット対基板間隔を実現することができる。
【0013】
DC電力をターゲットに印加し素材をスパッタリングさせることができる。ターゲットに対するこのDC電力印加により、その素材を0.1~5Wcmー2なる印加電力密度で以てスパッタリングさせることができる。その印加電力密度を0.25~1Wcm-2とすることができる。かなり有利なことに、i-PVD法例えば大きなターゲット電力の使用を必要としない、効率的なやり方で本発明を実施し、高比率イオン化を達成することができる。また、本発明を実施するために、電磁石使用による基板上方での磁気閉じ込めや浸漬ICPコイル等といったi-PVD関連手段を、用いる必要がない。
【0014】
永久磁石配列は可動なものとすることができる。堆積素材堆積工程にて、その永久磁石配列を、略均一な横方向磁界が提供されうるようにする運動に供することができる。可動永久磁石配列が供されるその運動を、回動とすることができる。可動永久磁石配列を2.5~15rpmにて回動させることができる。可動永久磁石配列を5~10rpmにて回動させることができる。
【0015】
これに代え、可動永久磁石配列が供されるその運動を往復運動とすることができる。許容しうる程度に均一な横方向磁界が実現される他の運動も、慮内とされよう。とはいえ、効率的且つ経済的なやり方で実施できるので、回動及び往復運動がとりわけ有利である。原理上、永久磁石配列内の磁石を静止させつつ、十分に均一な横方向磁界を発生させることもできる。
【0016】
基板表面を横断し基板周辺部を越えた領域内に提供される略均一な横方向磁界の磁界強度を、100~500ガウス(0.01~0.05テスラ)の範囲内とすることができる。
【0017】
Ar又はHeを、堆積素材堆積工程にてプロセスガスとして用いることができる。知見によれば、Ar及びHeにより、ひときわ有利な結果をもたらすことができる。Arにより、窪みからの秀逸な再スパッタリングで以て、秀逸な底部、底部隅部及び側壁カバレージを提供することができる。Heにより、秀逸な下部側壁カバレージを提供することができる。他の好適なプロセスガスを用いること、例えばNe、Kr、Xe等といった他の貴ガスを用いることもできる。プロセスガスの組合せ、例えばHeとArの組合せを用いることもできる。
【0018】
堆積素材堆積工程にて、RF電力を基板に印加しDCバイアスを発生させることができる。基板に対するそのRF電力印加により、100~500VなるDCバイアスをもたらすことができる。
【0019】
堆積素材堆積工程を、2~150mTorrの範囲内のチャンバ圧にて実行することができる。その堆積素材堆積工程が実行される際のチャンバ圧を、30~100mTorrとすることができる。
【0020】
堆積素材を、Ti、TiN、Ta、TaN、W、WN、Co、Ru又はCuとすることができる。とはいえ、堆積素材はこれらの例に限られない。
【0021】
堆積素材をそのターゲットから直に堆積させることができる。こうした例では、堆積素材が、そのターゲットの製造元素材に相応したものとなる。これに代え、堆積素材を、反応性ガスを用い反応性スパッタリングにより堆積させることもできる。その反応性ガスは水素、窒素又は酸素とすることができる。堆積済素材は水素化物、窒化物又は酸化物となりうる。
【0022】
それらの窪みをビアとすることができる。窪みを他の窪みフィーチャ、例えばトレンチとすることもできる。本発明の方法は、コンタクト金属化アプリケーションに組み込むことができる。
【0023】
略均一な横方向磁界とは、基板表面上での堆積継続時間内平均径方向変動が±25%であり基板周辺部を越える領域内にも延びる磁界のことで、ありうる。オプション的には、その堆積継続時間内平均径方向変動が±10%のものとされる。
【0024】
本発明の第2態様によれば、基板に形成された複数個の窪み内に堆積素材を堆積させる物理気相堆積(PVD)装置であって、
チャンバと、
そのチャンバ内に配設されておりそこからスパッタリング素材をスパッタリング可能なターゲットを備えるマグネトロン装置と、
所定寸法の基板を保持しうるよう構成された基板ホルダであり、チャンバ内に配設された基板支持器が備わる基板ホルダと、
を備え、その基板支持器が、上側基板支持面と、使用に際し基板下方に永久磁石が配設されるようその上側基板支持面の下方に配置された永久磁石配列と、を備え、その永久磁石配列が、使用に際し、基板表面を横断し基板周辺部を越えた領域内へと延びる略均一な横方向磁界を提供することで、それら窪み内に堆積された堆積済素材の再スパッタリングを増強するよう、構成されているPVD装置が、提供される。
【0025】
永久磁石が基板周辺部を越え付加的に配設されるよう、上側基板支持面の下方に永久磁石配列を配置することができる。
【0026】
使用に際し、ターゲットと基板支持器とを2.5~7.5cmなるギャップにより分離させることができる。
【0027】
永久磁石配列は可動なものとすることができる。本装置を、更に、使用に際し略均一な横方向磁界が提供されうるようにする運動にその永久磁石配列を供するよう構成された機構を、備えるものとすることができる。その機構を、その可動永久磁石配列を回動させる回動機構とすることができる。その機構を、その可動永久磁石配列を往復運動させる往復運動機構とすることもできる。
【0028】
その永久磁石配列内の磁石群を、相応な二次元(2D)構成の態で構成することができる。使用に際しては、この配列をi)基板下方に延ばし、オプション的にはii)基板周辺部を越えて延ばす。その永久磁石配列を、永久磁石の円形配設アレイ、永久磁石の直線配設アレイ等、相応なパターンに従い構成されたアレイとすることができる。
【0029】
基板ホルダは、ある特定のサイズ及び形状の基板を処理しうるよう構成及びサイズ設定される。その基板ホルダを更に、特定種類の基板向けに特化した遮蔽及びそれに類するファニチャを備えるものと、することができる。その基板支持器を、プラテン又はチャックを備えるものとすることができる。その基板支持器を、金属質素材で形成することができる。その金属質素材を金属又は金属合金、例えばアルミニウム又はアルミニウム合金とすることができる。
【0030】
典型的には、本装置を、自装置を制御し本発明の第1態様に係る方法を実行させるよう構成された、コントローラを備えるものとする。
【0031】
本装置を、基板支持器に接続されたRF電力源を備えるものとすることができる。そのRF電力源によりRF電力を基板に印加し、DCバイアスを発生させることができる。
【0032】
本装置を、基板支持器の上側基板支持面上に配置された基板との組合せで提供することができる。その基板を半導体基板とすることができる。その基板をシリコン基板、例えばシリコンウェハとすることができる。
【0033】
本発明につき上述したが、これは、先に説明されており或いは後掲の記述、図面又は請求項中にある諸特徴の、あらゆる独創的な組合せに敷衍される。例えば、本発明の第1態様との関連で開示されている何れの特徴も、本発明の第2態様との関連で開示されているあらゆる特徴と組み合わせることができ、その逆も成り立つ。
【0034】
以下の添付図面を参照し、専ら例示によって、本発明の諸実施形態について以下記述する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】ビアの半模式断面図であり、(a)ではビア開口に狭窄がなく(b)ではビア開口に狭窄がある。
【
図3】
図2の基板ホルダの半模式図であり、永久磁石配列が入っている。
【
図4】従来型イオン化PVD装置を用い堆積させたチタン層を伴うビアのSEM(走査型電子顕微鏡)画像を示す図である。
【
図5】RFバイアス電力及びターゲット電力の関数たる発現DCバイアスを示す図である。
【
図6】Arプロセスガスで以て本発明の装置を用い堆積させたチタン層を伴うビアのSEM画像を示す図である。
【
図7a】Heプロセスガスで以て本発明の装置を用い堆積させたチタン層を伴うビアの上部のSEM画像を示す図である。
【
図7b】Heプロセスガスで以て本発明の装置を用い堆積させたチタン層を伴うビアの基部のSEM画像を示す図である。
【
図8a】PVDで堆積させたチタン層を伴うビアの模式的表現であり、15個の計測ポイントを示す図である。
【
図8b】本発明の装置及び従来型イオン化PVD装置を用いPVDを実行しTEM(透過型電子顕微鏡)を用い計測した場合の、それら15個の計測ポイントにおけるチタン層厚を、%カバレージ値として提示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図2には本発明のPVD装置200が示されている。ウェハ240は、真空チャンバ204内にあるチャック202又はプラテンの基板支持面上に配置される。チャック202は基板支持器206の一部分である。チャック202内でウェハ及び基板支持面の下方には、その全体が208で指し示されている永久磁石配列がある。この配列については、
図3との関連でより詳細に後述する。本装置は更にRF電力源210を備えており、ウェハ240に対しRFバイアスを提供しうるようそのRF電力源210が基板支持器206に接続されている。RF電力源210は、典型的には2~20MHz(通常はその範囲のうち13.56MHz)にて動作させるが、あらゆる好適周波数例えば380~400kHzのRF電気信号を用いることができよう。温度制御は抵抗加熱を通じ果たされ、また流体ベース除熱は、チャック202に対する除熱流体の流出入を可能にする連結器212を通じ、熟練読者にとり周知の要領で果たされる。このチャンバ内には、ライン遮断弁214及びガスライン216を通じ一種類又は複数種類のプロセスガスが入れられる。その又はそれらのプロセスガスを、一種類又は複数種類の貴ガス例えばAr、He、Ne、Kr、Xe入りのものとすることができる。後述の通り、He及び/又はArを用いることで、良好な結果を得ることができる。反応性ガス例えば窒素、酸素又は水素を、反応性スパッタリングプロセスの一環として用いることができる。ライン遮断弁214及びライン216は、所望の一種類又は複数種類のプロセスガスを配給しうる相応なガスマニフォルド(図示せず)に連結される。本装置は、相応な真空ポンピングシステム(図示せず)を用い、装置と同数の開口218を通じ抜気される。ウェハ装荷/降荷はスロット弁220の働きで行われる。ターゲット222は、チャンバ204の上部にありウェハ240とは逆側にある。ターゲット222は負DC電源224により駆動されており、誘電体絶縁226の使用を通じ接地済金属チャンバから絶縁されている。典型的には、このターゲットは円形とされる。そのターゲット222の背後には回動磁石アセンブリ228が配置されている。回動磁石アセンブリ228は永久磁石230を備えており、その助力により、ターゲット222周辺で電子を捕獲すること及びそのターゲット222の全面浸食をもたらすことができる。それらターゲット222、回動磁石アセンブリ228及び電源224によりマグネトロン装置が構成されており、それによりスパッタリングを実行することができる。後により詳細に説明する通り、基板支持器206はRFの容量性結合を担っており、また再スパッタリングプロセスの磁気的増進をも担っている。
【0037】
図3は
図2のチャック202の断面図であり、ウェハ240が定位置にある。
図3には永久磁石300,302の配列が示されており、その配列を、堆積及び再スパッタリングを増強するのに用いることができる。処理対象ウェハ240は、チャック202の基板支持面304上に配置されている。チャック202は下部306及び上部308を備えている。上部308は環状輪であり、それにより基板支持面304が担持されている。上部308は下部306に装着されており、その下部306と共に上部308及び基板支持面304によって、チャック202内空洞が形成されている。その空洞内では、永久磁石300,302のアレイが回動プレート310上に配置されており、またその回動プレート310がシャフト312に装着されている。回動プレート310が下部306の上方で回動する一方、シャフト312が下部306内開口を通り抜けていて、相応な駆動機構(図示せず)によりそのシャフト312を回動させることができる。
図3に示されている通り、アレイをなしている磁石300,302がある直線的な断面軸に沿い配列されていて、またN極性のそれ300とS極性のそれ302とが交互になっている。隣り合う別極性の磁石が間隔314により分離されている。見ての通り
図3は断面図であり、ある1本の断面軸に沿いその配列が示されている。実際には、永久磁石配列は相応な構成の二次元(2D)アレイであり、ウェハ基板240の下面全体の下方にて延設されており、また基板周辺部を越え延ばすこともできる。この永久磁石配列は強い局所磁界をもたらす。その磁界の典型値は、ウェハ240の表面をウェハエッジを越え延ばしたところにて100~500ガウス(0.01~0.05テスラ)となる。
【0038】
チャック202の下部306及び上部308、並びに基板支持面304のプレート状本体は、典型的には、金属例えばアルミニウムか、合金例えばアルミニウム合金を用い作成される。基板支持面304の最外部のうち、ウェハ240と接触するところを、CrO2被覆で以て覆うことで、熱性能の改善を果たすことができる。熟練読者にとり既知な通り、スパッタリングされた素材を保持しうるよう、フレームスプレーその他の手段で表面をざらざらにすることができる。永久磁石アレイの回動により、ウェハ表面にて均一な横方向磁界を発生させることができ、ひいてはウェハ上での堆積の中央対エッジ均一性を秀逸なものにすることができる。
【0039】
図2及び
図3に示されている装置を用い、4cmなるターゲット対ウェハ間隔で以て実験を実行した。秀逸な基部及び側壁カバレージの高アスペクト比ビアが実現された。それらビアのアスペクト比(フィーチャ深さ/フィーチャ直径)は24:1超、直径は0.5μmであった。332mm径Tiターゲットを用い、そのターゲットからスパッタリングされる素材の付加的プラズマ増強なしで小ターゲット電力(5W/cm
2未満)にて動作させることで、200mm径シリコンウェハ上に薄いTi障壁層を堆積させた。これらの条件下では、本システムは、高密度のイオン化Tiをそのターゲットから放出させることなく(言い換えればプラズマ内高イオン比率なしで)稼働する。これは従来型イオン化PVDシステムと対照的である。ターゲット対ウェハ間隔が小さく4cmであるので、顕著な量のスパッタリング素材がもたらされ、非直交入来で以てウェハに到達することが、期待されよう。予測によれば、ターゲット対ウェハ間隔が2.5~7.5cmであっても同様の様式で稼働することが期待されよう。この範囲を越えているターゲット対ウェハ間隔では、イオン化PVD技術が採用されているのでない限り、均一性及び堆積速度が懸案となろう。
【0040】
見いだされたところによれば、堆積中におけるビア開口の閉止を回避することができ、またエッチング性能の増強故にそれら超高アスペクト比フィーチャにつき秀逸な基部及び側壁カバレージを実現することができた。一組の実験を、82mTorrのAr圧、0.4kWのターゲット電力(0.46W/cm2)、120VのDCバイアス、約5~10rpmでの永久磁石アレイ回動、なる稼働条件に従い実行した。その結果得られたステップカバレージ結果値は表1に示されている通りであり、これは、高アスペクト比フィーチャにて秀逸な中央対エッジ均一性が実現されたことを示している。注目されうる通り、ウェハのエッジでさえ、(ビアプロファイルに起因する)僅かな陰影発生しか観測されなかった。ウェハ表面上及び深いフィーチャ内における素材再スパッタリングの増強により、ビアの閉止が回避され、良好な基部カバレージ及び秀逸な側壁カバレージを実現可能となったのである。
【0041】
【0042】
図2及び
図3に示されている本発明の装置と、出願人により製造された従来型i-PVDモジュール(英国サウスウェールズのニューポートに所在するSPTS Technologies Limitedから商業的に入手可能なSigma fxP(商標)PVD装置上のアドバンストHiFill(商標)PVDモジュール)との間で、性能比較を行った。
【0043】
従来型のアドバンストHiFill(商標)PVDチャンバにて、高いプラテンDCバイアスと、そのチャンバを取り巻くソレノイドコイルとを、ロングスローデザインと併用することで、ステップカバレージの改善を図った。高アスペクト比ビア(25:1)内へのTi堆積を、1mTのArプロセスガスを用い、40kWのターゲット電力(46W/cm
2)にて、450WのRFバイアス(その結果たる110VのDCバイアス)で以て、また約350mmなるターゲット対基板距離との組合せで実行した。
図4に示されている通り、フィールドのそれ(232nm)の19%にも上る良好な基部カバレージ([フィーチャ基部でのカバレージの厚み/フィールドでの厚み]%)が実現された。しかしながら、その素材のうちごく少量しか、ビア底部にて側壁上へと再スパッタリングされず、2%カバレージしかもたらされなかった。
【0044】
本発明の装置を用いることで、かなり高度な再スパッタリングを実現することができる。0.25kW(約0.29W/cm2)のターゲット電力、100WのRF電力、並びに3.5mTorrのチャンバ圧で以て、110Vなるバイアスが実現される。しかしながら、これらの条件では、ビア底部における再スパッタリングが無視しうる程度のものとなった。ターゲット電力がかなり多いにも関わらず基部カバレージが約5%、即ち従来型システムで以て同様の圧力を用い且つ同様のDCバイアスを発現させた場合のそれより悪いものとなった。これは、不十分な堆積素材しかウェハに到達していないことを、示唆している。
【0045】
注記されることに、高めな度合いの再スパッタリングを用いうるのは、基部カバレージを増大させうる場合のみである。これは、素材を側壁上へと再スパッタリングさせるためには、素材をまずそのビアの基部上に堆積させねばならないからである。より均等な基部カバレージを実現するには、バイアス及びターゲット電力の精細チューニングが必要である。
図5には、本発明の装置を用いる際のDCバイアスがRFバイアス電力及びターゲット電力の関数として示されている。V単位の発現DCバイアスがW単位のRF電力の関数として示されており、ターゲット電力が0.25kWであるときのそれが500、0.5kWであるときのそれが502、2kWであるときのそれが504で示されている。RF電力を増大させるにつれ、非常に高いDCバイアス値が実現されていく。しかしながら、所与値のRF電力にてターゲット電力を増大させても、DCバイアスは増大していかない。この結果から見て明白な通り、チャック向けRF電力が与えられている下では、再スパッタリング速度が比較的一定になる。これは、所与ターゲット膜厚が与えられている下で十分な再スパッタリングを達成するには、ターゲット電力及びRF電力の値が重要であることを、示唆している。
【0046】
Ar圧を100mTorrへと大きく高め散乱を増やす一方、ターゲット電力密度を0.4W/cm
2、基板DCバイアスを123Vに高めることで、
図6にみられる通り、基部カバレージにつき顕著な改善が果たされた。これにより、17%なる底部カバレージがもたらされ、また12%なる底部隅部カバレージがもたらされたのであり、これは従来型システムに対しかなり勝っている。
【0047】
使用するプロセスガスの種類が、再スパッタリングの制御に用いうるもう一つのプロセスパラメータである。前述の通り、Arをプロセスガスとして用いた場合、RF電力を多めにすることで、ウェハに対するDCバイアス故に再スパッタリングが増強される。判明している通り、RF電力によりイオン化素材がビア底部へと差し向けられる。しかしながら、大量の堆積素材例えばTiをビア底部へと選択的に向かわせ、大量の再スパッタリングをなくすことも、有利たりうる。これは、ビア底部のカバレージをかなり増大させうるやり方の一つである。非常に多くのRF電力を用いTiをビア内に差し向けることで、Heガスの使用について調べてみた。Heイオンが小質量であるため、再スパッタリングの量は比較的少なくなろう。即ち、多くのRF電力を用いることで、再スパッタリングによりビア開口が閉止されることなく、ビア内にTiを差し向けることができよう。見いだされたところによれば、この方式は、DCバイアス値が高く200V超である場合にうまく働くものであり、フィールドのそれの約50%なる底部側壁カバレージが観測された。
図7に示されている通り、20mTorrのHe、0.25kWのターゲット電力、400WのRFバイアス、それによりもたらされる227VのDCバイアスにて動作させることにより、秀逸な結果が達成された。このDCバイアスは十分高く、ビア閉止を回避しつつ(
図7a)、ビア底部から素材をスパッタリングさせることができた(
図7b)。Arをプロセスガスとして用いる同等のテストでは、ビア閉止が発生した。これが生じたのは、大量の素材をビア底部上へと堆積させることができていないうちに、素材がビア開口内へと再スパッタリングされてビア閉止がもたらされたからである。これらの結果を、より軽量なプロセスガスを用いると、生じる再スパッタリングがより少量になる反面、より高度な方向性が生じるしるしとして、捉えた。
【0048】
図8aは、ハードマスク800を用い高アスペクト比フィーチャ804(25:1のアスペクト比、0.5μm径の開口)内に堆積されたTi層802の概要図である。
図8aには、Ti層厚が計測される15個のTEM計測ポイント1~15も示されている。
図8bには、そのフィーチャ向けに最適化された諸条件下で従来型i-PVDシステム806及び本発明808の双方を用いTiを堆積させた後、
図8aに示されている15個のポイントにて採取された一連のTi厚高分解能TEM計測値のプロットが示されている。看取しうる通り、全てのポイントにて、本発明では従来型システムに比べビア内カバレージが改善されている。
【0049】
何れの個別理論又は推論にも拘束されず発明者が提案するところによれば、ウェハ表面に対し実質的に平行であり比較的強く(100~500ガウスであり)均一な磁界とすることで、RF駆動プラテンアセンブリに発する電子損失が低減される。ひいてはそれにより固定RF電力でのイオン化が増大する。これによって、より密なプラズマが生じるので、ウェハ表面上及びビア内に存する素材をより効率的に再スパッタリングさせることができる。この再スパッタリング増強をもたらす磁界はビア内で減衰しない。これとは対照的に、従来型システムの浸漬コイル、例えば特許文献3に記載されているそれはウェハの上方に横たわっているので、プラズマがそのウェハの上方にある限りウェハ付近でプラズマ増強がもたらされる。ただ、そのプラズマが、ビア内に到達すると消えている。
【0050】
比較的小さなターゲット対ウェハ間隔とすることで、比較的低い電力密度(5W/cm2未満)でさえ、強いスパッタリング素材束がウェハに到達することとなる。プロセスパラメータ例えば圧力、ターゲット電力、DCバイアス及びプロセスガスの賢明な選択を通じ、秀逸な結果を達成することができる。ArとHeの混合物(又はその他のプロセスガス混合物)を用い、所望のプロセス性能を提供することができよう。本願にて提示されている方法及び情報は、そのまま用いること、或いは習熟者がルーチン実験を通じ速やかに適合化させることができ、ひいては、広範な実現形態及び用途に亘り、PVDにより窪みフィーチャ内に素材を堆積させる際に秀逸な結果をもたらすことができる。例えば、反応性ガス例えばN2又はO2を導入することにより、本発明を用い窒化物又は酸化物の堆積を果たすことができよう。