(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023067799
(43)【公開日】2023-05-16
(54)【発明の名称】解剖学的組織からの蛍光放射を使用して解剖学的組織を特徴付けるための技法
(51)【国際特許分類】
A61B 1/045 20060101AFI20230509BHJP
G01N 21/64 20060101ALI20230509BHJP
A61B 1/00 20060101ALI20230509BHJP
A61B 1/06 20060101ALI20230509BHJP
A61B 18/26 20060101ALI20230509BHJP
G01N 21/27 20060101ALN20230509BHJP
【FI】
A61B1/045 618
G01N21/64 Z
G01N21/64 B
A61B1/00 511
A61B1/00 621
A61B1/06 611
A61B18/26
G01N21/27 B
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022169391
(22)【出願日】2022-10-21
(31)【優先権主張番号】63/270,805
(32)【優先日】2021-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500498763
【氏名又は名称】ジャイラス エーシーエムアイ インク ディー/ビー/エー オリンパス サージカル テクノロジーズ アメリカ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】カート・ジー・シェルトン
(72)【発明者】
【氏名】セルゲイ・エー・ブケソフ
(57)【要約】
【課題】医療手技の前または医療手技中などに、除去される組織または他の標的の1つまたは複数の特性を特定できる手法を提供すること。
【解決手段】標的における物質の特性を決定するための方法が提供される。標的がパルス光源を用いて照光される。次いで、パルス光源が「オフ」状態であるときの標的からの蛍光信号が感知される。蛍光信号の分析に基づいて、標的における物質の特性が特定される。次いで、デバイスが、標的における物質の特定された特性に基づいて、制御され得る。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
標的に対して照明を送出するための光源と、
前記照明に反応しての前記標的からの少なくとも1つの蛍光信号を検出するように構成された検出器と、
制御装置であって、
前記検出器に、前記光源の動作に従って前記少なくとも1つの蛍光信号を検出させ、
前記検出した少なくとも1つの蛍光信号に少なくとも部分的に基づいて前記標的の少なくとも1つの特性を決定する、
ように構成される制御装置と、
を備える、システム。
【請求項2】
前記システムが、治療デバイスをさらに備え、前記制御装置が、前記標的の前記決定した少なくとも1つの特性に少なくとも部分的に基づいて前記治療デバイスを動作させるようにさらに構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記光源が「オン」状態および「オフ」状態を有し、前記制御装置が、前記光源が前記「オフ」状態にあるときに、前記標的からの前記少なくとも1つの蛍光信号を前記検出器に検出させるようにさらに構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記治療デバイスがレーザーシステムを有し、前記制御装置が、前記レーザーシステムに関連する少なくとも1つのパラメータセッティングを調整することにより、前記レーザーシステムを動作させるようにさらに構成される、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記少なくとも1つのパラメータセッティングが、
レーザーパルスのパルス幅、
レーザーパルスのパルス形状、
レーザーパルスのピークパワー、または、
単位時間当たりのレーザーパルスの数を表すパルス振動数、
のうちの少なくとも1つを含む、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記制御装置が、前記検出した少なくとも1つの蛍光信号を分析し、前記分析に基づいて前記標的の前記少なくとも1つの特性を決定するようにさらに構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記制御装置が、前記検出した少なくとも1つの蛍光信号に関連する、蛍光強度、蛍光励起スペクトル、蛍光放射スペクトル、または蛍光減衰時間、のうちの少なくとも1つを分析するようにさらに構成される、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
標的に対して照明を送出するための複数の発光ダイオードを備える光源であって、各発光ダイオードが異なる波長の光を放射する、光源と、
前記標的に対する前記発光ダイオードのうちの少なくとも1つの発光ダイオードからの前記照明に反応しての前記標的からの少なくとも1つの蛍光信号を検出するように構成された検出器と、
制御装置であって、
前記検出器に、前記複数の発光ダイオードの動作に従って前記標的からの少なくとも1つの蛍光信号を検出させ、
前記検出した少なくとも1つの蛍光信号に少なくとも部分的に基づいて前記標的の少なくとも1つの特性を決定する、
ように構成される制御装置と、
を備える、システム。
【請求項9】
前記システムが、治療デバイスをさらに備え、前記制御装置が、前記標的の前記決定した少なくとも1つの特性に少なくとも部分的に基づいて前記治療デバイスを動作させるようにさらに構成される、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記制御装置が、前記複数の発光ダイオードを順番に起動するようにさらに構成される、請求項8に記載のシステム。
【請求項11】
前記制御装置が、白色光が生成されるように、十分に高いレートで前記複数の発光ダイオードを順番に起動するようにさらに構成される、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記制御装置が、前記発光ダイオードのうちの現在の発光ダイオードが現在起動されるときに、1つまたは複数の既に起動された発光ダイオードを停止するようにさらに構成される、請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
前記制御装置が、前記発光ダイオードのうちの前記現在の発光ダイオードが現在起動されるときに、前記既に起動された発光ダイオードのうちの少なくとも1つの発光ダイオードに反応しての前記標的からの少なくとも1つの蛍光信号を前記検出器に検出させるようにさらに構成される、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記治療デバイスがレーザーシステムを有し、前記制御装置が、前記レーザーシステムに関連する少なくとも1つのパラメータセッティングを調整することにより前記レーザーシステムを動作させるようにさらに構成される、請求項9に記載のシステム。
【請求項15】
前記少なくとも1つのパラメータセッティングが、
レーザーパルスのパルス幅、
レーザーパルスのパルス形状、
レーザーパルスのピークパワー、または、
単位時間当たりのレーザーパルスの数を表すパルス振動数、
のうちの少なくとも1つを含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記制御装置が、前記検出した少なくとも1つの蛍光信号を分析し、前記分析に基づいて前記標的の前記少なくとも1つの特性を決定するようにさらに構成される、請求項8に記載のシステム。
【請求項17】
前記制御装置が、前記検出した少なくとも1つの蛍光信号に関連する、蛍光強度、蛍光励起スペクトル、蛍光放射スペクトル、または蛍光減衰時間、のうちの少なくとも1つを分析するようにさらに構成される、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
光源を用いて標的に照光するステップと、
前記光源の動作に従って、前記標的に照光することに反応しての前記標的からの少なくとも1つの蛍光信号を検出するステップと、
前記少なくとも1つの蛍光信号に少なくとも部分的に基づいて前記標的の少なくとも1つの特性を決定するステップと、
を含む方法。
【請求項19】
複数の発光ダイオードを有する光源を用いて標的に照光するステップであって、前記複数の発光ダイオードの各発光ダイオードが異なる波長の光を放射するように構成される、ステップと、
前記複数の発光ダイオードの動作に従って、前記標的の前記発光ダイオードのうちの少なくとも1つの発光ダイオードからの前記照光に反応しての前記標的からの少なくとも1つの蛍光信号を検出するステップと、
前記少なくとも1つの蛍光信号に少なくとも部分的に基づいて前記標的の少なくとも1つの特性を決定するステップと、
を含む方法。
【請求項20】
複数の発光ダイオードを有する光源を用いて標的に照光するステップであって、前記複数の発光ダイオードの各発光ダイオードが異なる波長の光を放射するように構成される、ステップと、
前記複数の発光ダイオードの動作に従って、前記標的の前記発光ダイオードのうちの少なくとも1つの発光ダイオードからの前記照光に反応しての前記標的からの少なくとも1つの蛍光信号を検出するステップと、
前記少なくとも1つの蛍光信号に少なくとも部分的に基づいて前記標的の少なくとも1つの特性を決定するステップと、
前記標的の前記決定された少なくとも1つの特性に少なくとも部分的に基づいて治療デバイスを動作させるステップと、
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その内容の全体が本明細書に組み込まれている、2021年10月22日に出願した米国仮特許出願第63/270,805号の優先権の利益を主張するものである。
【0002】
本文献は、概して、手術デバイスに関し、より詳細には、限定しないが、除去される組織または他の標的を特定するために蛍光放射を使用することができる手術デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
患者から硬組織または軟組織などの物質を除去するのに多様な手術手技が使用され得る。例えば、砕石手技中に腎臓結石を切除するのに、癌性組織を除去するのに、組織中に切開部を形成するのに、前立腺肥大症(BPH:Benign Prostatic Hyperplasia)の治療中などに組織を蒸発させるのに、手術手技が使用され得る。しかし、手術手技を実施するのに使用されるデバイスに多数の問題が発生し得る。
【0004】
例えば、デバイスに関連する種々のパラメータが、手術手技中に修正される可能性がある。しかし、施術者が、これらのパラメータの各々がその最適なセッティングであることを保証するための技術的知識を有さない可能性があり、これは、この手術手技に付随する時間を増大させることなどにより、組織除去の効率に影響し得る。
【0005】
癌性組織を除去するのに、腎臓結石を切除するのに、または、BPHを治療するのに、手術デバイスからの放射が利用されるケースにおいて、デバイスのパラメータが適切に設定されていない場合、デバイスが施術者の意図する通りに動作しない可能性がある。デバイスからの放射が、施術者の望むものに対応しない可能性がある。例えば、癌部位を治療するとき、組織除去が、施術者が見込むよりも迅速に行われ得る。このようなシナリオでは、組織が過度に除去される可能性がある。例えば、BPHを治療するのにデバイスが使用されるケースにおいて、組織除去が施術者が見込むよりも迅速に行われる場合、被膜穿孔(capsular perforation)が発生し得る。
【0006】
場合によっては、除去される組織が、その変化に施術者が気付くことなく、癌性組織または腎臓結石などの1つの種類から、健常組織などの別の種類に変化し得る場合がある。組織を誤認することによりデバイスのセッティングが不適切となり得、それにより、組織を過度に除去することまたは被膜穿孔を発生させることなどの上に記載される潜在的問題を生じさせ得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
医療手技の前または医療手技中などに、除去される組織または他の標的の1つまたは複数の特性を特定することができる手法が求められる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本文献は、標的部位の特性を決定することを目的として標的部位からの蛍光応答を使用する例を説明する。標的部位の特性には、標的の種類、物質、組成、組成プロフィール、構造、または硬さなどが含まれてよい。標的部位には、例えば、組織、腎臓結石、膵胆道、または胆嚢結石などが含まれてよい。本装置は、光源を使用する標的部位の照明に反応して標的から放射されるスペクトルを使用して標的の特性を決定することができる。標的部位の表面を活性化するために、標的部位が光源を用いて照光され得る。これに応じて、光源が停止されて「オフ」状態(つまり、停止された状態)にされる場合などにおいて、標的部位の活性化された表面から蛍光応答信号が得られ得る。蛍光応答信号のスペクトルが標的の特性を決定するのに使用され得る。
【0009】
例えば、装置の光源は「オン」状態(つまり、起動された状態)または「オフ」状態(つまり、停止された状態)で動作することができる。光検出器が、光源が「オフ」状態である場合に照明に対しての蛍光応答光信号を検出するのに使用され得る。こうすることで、光源からの照明光が飽和状態になることがなくなり、標的からの蛍光応答信号を不明瞭にすることがなくなる。
【0010】
例えば、光源が複数のLEDを有することができる。複数のLEDのうちの異なるLEDが異なる波長の光を放射することができる。光源が、第1の波長の光を放射する第1のLED、第2の波長の光を放射する第2のLED、および第3の波長の光を放射する第3のLEDを有することができる。第2のLEDおよび第3のLEDが「オフ」状態にある間、第1のLEDが「オン」状態にあってよい。第1のLEDが「オン」状態にある場合、標的部位が第1の波長の光を用いて照光され得る。次いで、第1のLEDが「オフ」状態に切り替えられ得、第2のLEDが「オン」状態に切り替えられ得、その結果、標的部位が第2の波長の光を用いて照光され得るようになる。標的部位が第2のLEDを用いて照光される間、第1のLEDによる励起に反応して標的部位から放射される第1の蛍光応答信号が検出され得る。次いで、第2のLEDが「オフ」状態に切り替えられ得、第3のLEDが、第3の波長の光で標的部位に照光するために、「オン」状態に切り替えられ得る。標的部位が第3のLEDを用いて照光される間、第2のLEDによる励起に反応して標的部位から放射される第2の蛍光応答信号が検出され得る。次いで、第3のLEDが「オフ」状態に切り替えられ得、第3のLEDによる励起に反応して標的部位から放射される第3の蛍光応答信号が検出され得る。標的部位からの第1の蛍光応答信号、第2の蛍光応答信号、および第3の蛍光応答信号を使用して、蛍光応答スペクトルが決定され得、蛍光応答スペクトルから、標的部位の特性がスペクトルに基づいて決定され得る。
【0011】
オペレーション中、標的の特性が任意選択でリアルタイムで決定され得、つまり、その結果、標的を除去するために使用される装置が、決定された特性に少なくとも部分的に基づくなどして、リアルタイムで制御され得る。例えば、レーザーが標的から物質を除去するのに使用される場合、レーザーの1つまたは複数のパラメータ(レーザーパルスのパルス幅、レーザーパルスのパルス形状、レーザーパルスのピークパワー、または単位時間当たりのレーザーパルスの数を表すパルス振動数)が、決定された特性に少なくとも部分的に基づくなどして、リアルタイムで確立または調整され得る。さらに、第1の時間帯中に標的部位から物質を除去した後、蛍光応答が、標的部位の特性が変化したか否かを決定するのに使用され得る。例えば、光源を使用して物質が再び照光されることに反応して標的部位における物質から放射される第2のスペクトルに基づいて、特性が決定され得る。第2の決定に基づいて、装置が、標的からの蛍光応答の変化から決定される特性の変化に基づいて1つまたは複数のデバイスパラメータを確立または調整することにより、リアルタイムなどで制御され得る。
【0012】
本発明の技法を使用して、複数の潜在的利点が可能となり得る。例えば、標的部位のところで吸収されたエネルギーに対応する蛍光応答信号が、光源を「オン」状態と「オフ」状態との間で切り替えることなどにより、標的部位に照光する光源からの光を照射することなく、かつ、それにより、蛍光効果を飽和状態にしたりまたは不明瞭にしたりすることなく、検出され得る。
【0013】
さらに、複数のLEDまたは他の照明光源を使用するとき、第1の照明光源がオフにされた後で、第1の照明光源に対しての蛍光応答が決定され得る。第1の照明光源に対しての第1の蛍光応答のこの検出中に第2のLEDまたは他の照明光源がオンにされる場合でも、第2の照明光源が、第1の蛍光応答波長より長い第2の波長の光を放出する場合などでは、第1の蛍光応答を検出することにおける利点が依然として存在することができ、それにより、蛍光応答信号検出中にまたは信号処理中にフィルタにかけることがより容易になり、第1の蛍光応答信号を飽和状態にしたりまたは不明瞭にしたりするかあるいは第1の蛍光応答信号を検出することに干渉したりする可能性が低減される。複数のLEDのうちの1つのLEDが標的部位に照光する場合などで、複数のLEDを有する光源を使用することにより、複数のLEDのうちの別のLEDからの照明からの、標的部位のところで吸収されるエネルギーに対応する蛍光応答信号が、検出され得る。
【0014】
別の潜在的利点が、標的の物質の特性をリアルタイムで特定することを含むことができ、それによりさらに、特定された特性に基づいて標的部位における物質を除去するかまたは他のかたちで治療するのに使用されている装置の1つまたは複数のパラメータをリアルタイムで調整するのを可能にすることができる。
【0015】
別の潜在的利点が、標的部位からのより正確な物質除去に関連することができ、それにより、標的部位のところでの所望の物質除去により適しているものとするようにデバイスセッティングを確立または変更することにより、標的部位から物質を過度に除去するかまたは過少に除去する可能性を低減するかまたは最小にする。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】標的部位から物質を除去するための手技で使用されるための内視鏡を有することができるシステムの一部分の実施例を示す図である。
【
図2】
図1の内視鏡の種々の構造部の実施例を示す図である。
【
図3】
図1のシステムのフィードバックアナライザの一部分の実施例を示す図である。
【
図4】標的部位の特性を決定する方法の一部分の実施例を示す図である。
【
図5】パルス光などを用いて、標的部位に照光することの実施例を示す図である。
【
図6】照明光により励起される蛍光色素分子の蛍光応答放射の実施例を示す図である。
【
図7】標的部位からの蛍光応答信号の放射および感知の実施例を示す図である。
【
図8】
図4に示される方法などに基づいて、その1つまたは複数のパラメータが確立または調整されたレーザーからのレーザービームを使用して、標的部位から組織を除去することの実施例を示す図である。
【
図9】腫瘍性組織または健常組織のための波長の関数としての蛍光応答強度の違いの実施例を示す図である。
【
図10】標的部位の特性を決定することの実施例を示す図である。
【
図11】パルス光を用いて標的部位に照光することの実施例を示す図である。
【
図12】照明および標的部位からの蛍光応答信号の感知の実施例を示す図である。
【
図13】標的部位の特性を決定するように構成されたコンピュータベースの臨床方針支援システムの一部分の実施例を示す概略図である。
【
図14】機械にインストールされ得るソフトウェアアーキテクチャの一部分の実施例を示すブロック図である。
【
図15】本明細書で説明される技法のうちの任意の1つまたは複数の技法を機械により実施するためにそれを用いて1組の命令が実施され得るものであるコンピュータシステムの形態の機械の実施例を示す概略図である。
【
図16】標的部位の特性を決定する方法の実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
医療デバイスが、標的部位の特性を決定するために蛍光応答信号を使用することができる。特性には、標的の種類、物質、組成、組成プロフィール、構造、または硬さなどが含まれてよい。例えば、標的部位には、組織、腎臓結石、膵胆道、または胆嚢結石などが含まれてよい。本装置は、標的部位の表面を活性するための光源を用いる標的の照明に反応して、標的から放射される応答光のスペクトルに基づいて標的の特性を決定することができる。標的部位が、光源により、定期的に、反復的に、または無作為に、照光され得る。光源が、「オン」状態(つまり、起動されて照明光を放射する)と、「オフ」状態(つまり、停止されて照明光を放射しない)と、を有することができる。光源からのパルスに対応する蛍光応答信号が、パルス光源が「オフ」状態にされた後で、検出され得る。次いで、装置が、蛍光応答信号のスペクトルを決定することができる。決定されたスペクトルを使用して、装置が、標的の特性(種類、物質、組成、組成プロフィール、構造、硬さ、など)を決定することができる。本発明の技法は、標的部位から物質を除去するためのまたは別の所望の医療手技を実施するための、レーザー、超音波、または他のシステムと共に使用され得る。
【0018】
標的部位からの蛍光応答信号が、標的部位の特性を決定するのに使用され得る。例えば、第1のLED光源が、約180nmから約800nmの間の範囲内などの第1の照明波長などを用いて、標的部位に照光するのに使用され得る。手術標的部位における物質が光からエネルギーを吸収することができる。例えば、手術標的部位のところのこのような物質には、組織、腎臓結石、膵胆道、または胆嚢結石などが含まれてよい。照明のエネルギー吸収に反応して、標的部位における物質が1つまたは複数の蛍光応答光子(fluorescence response photon)を放射することができる。蛍光応答放射は、光源から放射されて標的部位のところで吸収される照明光の第1の波長とは異なる第2の波長であってよい。光源が「オン」状態と「オフ」状態との間でパルス化されるケースにおいて、照明光源が「オフ」状態にあるとき、蛍光応答光子放射が検出され得る。これが、照明光源からの照明光の同時的存在による、検出された蛍光応答信号の飽和状態を回避(または、少なくとも低減)するのを支援することができる。蛍光応答放射が、分光学的にまたは他のかたちなどで、分析され得、組織を特徴付けるのに使用され得る。次いで、この組織の特徴付けが、1つまたは複数のパラメータセッティングを調整するのに使用され得る。
【0019】
図1が、手術部位などの標的部位から物質を治療または除去するのに使用され得るシステム100の一部分の実施例を示す。システム100が、標的部位のイメージを医療専門家などの施術者に提供するのに使用され得るイメージングプラットフォーム104と通信状態にある内視鏡102を有することができる。例えば、内視鏡102には、腎盂尿管鏡、膀胱鏡、尿管鏡、または任意の他の種類の内視鏡が含まれてよい。内視鏡102が、少なくとも部分的に患者の中に挿入可能である本体106を有することができる。本体106が、ハンドル、ハブ、または他の把持可能な近位側部分108と、把持可能な近位側部分108から延在する細長い剛体部分110と、細長い剛体部分110から遠位端114まで遠位側に延在する可撓性遠位側部分112と、を有することができる。関節制御装置116が把持可能な近位側部分108上に位置することができる。関節制御装置116が、施術者が把持可能な近位側部分108を把持するときに施術者によって作動可能となり得る。関節制御装置116が、可撓性遠位側部分112の位置を調整することができる。把持可能な近位側部分108がさらに、(例えば、本体106に沿って延在する1つまたは複数のワイヤを介して)本体106の遠位端114に位置することができる基板200(
図2)に連結され得る電気ポート118を有することができる。本明細書で説明される実施例は内視鏡を含むが、本主題は分光学的技法を実施する内視鏡またはデバイスのみに限定されず、他の種類の治療デバイスを使用することも含むことができる。
【0020】
内視鏡102が、施術者が標的部位を可視化するのを可能にするための、本体106の遠位端114のところにある可視化システムを有することができる。可視化システムが、組織または結石(例えば、腎臓結石または膵胆道、あるいは胆嚢結石)などの、物質の作業エリアに照光することができ、物質の照光されたエリアのビデオイメージまたは1つまたは複数の静止イメージを生成することができる。可視化システムがビデオイメージを表示デバイス120に送ることができる。
【0021】
可視化システムが、
図2に示されるように、内視鏡102の遠位端114のところにある基板200上に位置する少なくとも1つの光源202を有することができる。別法として、光源が内視鏡102の近位端に位置することができ(または、内視鏡102から離れて位置することができ)、例えば光ファイバーまたは照明チャネルを介して、光を内視鏡の遠位端に送ることができる。基板200が、回路ボード、ハイブリッドチップ、セラミックコンポーネント、あるいは、他の適切なコンポーネントまたは要素のうちの1つまたは複数を有することができる。電気ポート118が、基板200上の回路ボードに電力供給するための電力を受け取ることができる。回路ボードまたは他の基板200が、デジタルビデオ信号を表示デバイス120に無線で通信することができる。回路ボードまたは他の基板200が光源202を機械的に支持することができ、光源202に電気的に電力供給することができる。回路ボードまたは他の基板200および内視鏡102の遠位端114に位置する光源202に加えて、さらに、イメージングセンサ302が、内視鏡102の遠位端114に位置することができる。例えば、イメージングセンサ302には、紫外線(UV)波長、可視光(VIS)波長、または赤外線(IR)波長に対して感度の高いCCDカメラまたはCMOSカメラなどの、イメージングカメラが含まれてよい。
【0022】
回路ボードまたは他の基板200が、別法として、光源202と共に、内視鏡102の近位側部分126に位置してもよく、内視鏡102の把持可能な近位側部分108などに位置してもよい。基板202が、内視鏡102の遠位側部分114または近位側部分126のいずれかに位置するときに本明細書で説明されるコンポーネントおよび機能性を有することができる。
【0023】
光源202には、とりわけ、発光ダイオード(LED)またはキセノン光が含まれてよい。光源202にはLEDが含まれてよい。LEDが、青色波長、緑色波長、黄色波長、または赤色波長のうちの1つまたは複数を含むことができる白色光を出力することができる。光源202には、後でさらに説明されるように、標的部位のところの1つまたは複数の標的の特性を得るのを支援することなどを目的として、多様な波長の光を放射することができるLEDが含まれてよい。いくつかの実施例では、光源202が、内視鏡102のための、使用者に可視である照準光(user-visible aiming light)として機能することができ、施術者はこの照準光を視覚的に観察することができ、内視鏡102のレーザーの向く場所を決定するのにこの標準光を使用することができ、その間、同時に、本明細書において後で説明されるように、標的部位からの1つまたは複数の蛍光応答信号を検出するために標的部位に照光するのにこの標準光を使用する。
【0024】
光源202が、標的部位における物質に照光することなどを目的として、本体106の遠位端114から遠位側に離れるように方向付けられた光を放射することができる。上述したように、光源が、標的部位における物質に照光することを目的として、光ファイバーまたは光ファイバー束を通すかたちなどで、内視鏡102の本体106を通して送られる光を提供する(例えば、内視鏡102の外部にある)外部光源であってよい。光源202が、結石に照光するために白色光を放射することができる。白色光は、本体106の遠位端114のところかまたはその近くで標的部位における物質上での変色または他の色に基づく効果(color-based effect)を施術者が観察するのを可能にすることができる。光源202が、加えてまたは別法として、標的部位における物質に照光するために青色光を放射することができる。青色光は熱拡散を示すのに良好に適し得、それにより、物質内の実際のまたは潜在的な熱的ダメージを検出するのに使用され得る。赤色、琥珀色、黄色、または緑色などの他の色波長または色帯が使用されてもよい。光源202が光学レンズ206に連結され得、光学レンズ206が、光源202からの光出力を屈折によりまたは他のかたちで角度的に調整することができる。光学レンズ206が、光源202から出力された光のビームを狭めることができる。さらに、光学レンズ206が、光源202から出力された光のビームを広くすることができる。このような角度調整が、標的部位における物質が指定の角度視野の範囲内で十分に照光されるのを保証するのを支援することができる。
【0025】
光ファイバー204または光ファイバー束が内視鏡102に一体化され得る。光ファイバー204が、内視鏡102の本体106内をファイバーチャネル(作業チャネルであってよいか、または作業チャネルとは異なるチャネルであってよい)に沿って延在することができる。光ファイバー204が内視鏡102から離れていてもよい。光ファイバー204が使用前にまたは使用中に内視鏡102のファイバーチャネルに沿って供給され得、使用後に内視鏡102のファイバーチャネルから回収され得る。光ファイバー204が、適切なコネクタなどを介して、内視鏡102の外部にある、レーザーエミッターなどの物質除去デバイス501(
図5)に連結され得、物質除去のために標的部位のところにある物質に対してレーザービームを送出することができる。標的部位には、レーザービームにより切除されて砕石状態の石(stone fragment)になる腎臓結石が含まれてよい。標的部位には、レーザービームにより標的部位から切除され得る組織が含まれてよい。物質除去デバイス501はレーザービームのみに限定されない。例えば、標的部位から軟組織および/または硬組織を切除するのに超音波変換器が使用されてもよい。
【0026】
物質除去デバイス501のレーザーエミッターによって生成されるレーザービームが、2100nm、1942nm、および他の波長などの、ヒト血液または塩水の吸収のスペクトルピークに対応する波長を有することができる。例えば、1900nmから3000nmの間の範囲内の波長が、水の光吸収のスペクトル領域に対応することができ、対して、400nmから520nmの間の波長が、酸素ヘモグロビンおよび/または脱酸素ヘモグロビンの光吸収のスペクトル領域に対応することができる。例えば、物質除去デバイス501には、1908nmまたは1940nmの波長のレーザービームを生成することができるツリウムファイバーレーザーが含まれてよい。物質除去デバイス501には、2010nmの波長のレーザービームを生成することができるツリウム:イットリウム-アルミニウム-ガーネット(YAG)・レーザーが含まれてよい。物質除去デバイス501は、2120nmの波長のレーザービームを生成することができるホルミウム:YAGレーザーであってもよい。物質除去デバイス501には、2940nmの波長のレーザービームを生成することができるエルビウム:YAGレーザーが含まれてよい。これらの範囲内の他の波長も使用され得る。
【0027】
さらに、物質除去デバイス501には、1064nmの波長のレーザービームを生成することができるネオジム:(YAG)(Nd:YAG)レーザーが含まれてよい。一般に、血液および塩水での十分な光吸収を有するレーザービームを送出することが有利となり得る。その理由は、このようなレーザービームは周囲組織に対しての影響を低減することができるからである。これが、標的部位の近くの異なる物質に対してのダメージを低減または排除するのを支援することができる。レーザーが、例えば、20ワットから120ワットなどの間の、出力パワーの適切な範囲内にある出力パワーを有する光を提供することができる。光ファイバー204には、マルチモードファイバーまたはシングルモードファイバーが含まれてよい。
【0028】
可視化システムには、イメージ取得デバイス208を機械的に支持することができ、イメージ取得デバイス208に電気的に電力供給することができる回路ボードまたは他の基板200上に位置することができるイメージ取得デバイス208が含まれてよい。イメージ取得デバイス208が、カメラなどのイメージングセンサを有することができ、標的における照光された物質のビデオイメージあるいは1つまたは複数の静止イメージを取得することができる。ビデオイメージが、リアルタイムであってよいか、または、処理のための比較的短い待ち時間を有するほぼリアルタイムであってよく、その結果、施術者が本体106を操作して内視鏡102を制御するときに、施術者が標的部位または周囲組織における物質を観察することができる。イメージ取得デバイス208が、レンズと、レンズの焦点面のところに位置することができる焦点面アレイ(FPA:focal plane array)などのマルチピクセル光検出器センサと、を有することができる。センサには、ビデオイメージ内の各ピクセルにおいて、赤色光、緑色光、および青色光のための強度値を提供するRGBセンサなどのカラーセンサが含まれてよい。回路ボードが、標的部位のところで照光された物質の取得したビデオイメージを表すデジタルビデオ信号を生成することができる。デジタルビデオ信号が、10Hz、20Hz、24Hz、25Hz、30Hz、40Hz、50Hz、60Hzのビデオリフレッシュレート、または別の適切なビデオリフレッシュレートを有することができる。別の実施例では、イメージ取得デバイス208が、分光電荷結合素子(Spectroscopic Charge Coupled Device)(CCD)カメラまたは相補型金属酸化膜半導体(CMOS:complementary metal-oxide-semiconductor)カメラであってよい。
【0029】
別の実施例では、イメージ取得デバイス208が、標的部位から放射されるスペクトルを取得することができ、光路209などを介してこのスペクトルをイメージングプラットフォーム104のフィードバックアナライザ121に提供することができる。光路208が、マルチモード光ファイバーまたはシングルモード光ファイバー、あるいは光ファイバー束を有することができる。後でさらに説明されるように、フィードバックアナライザ121が、蛍光信号のスペクトルを決定するように構成され得る。さらに、後でさらに説明されるように、フィードバックアナライザ121が、特定したスペクトルを使用して標的部位の特性を特定するように構成され得る。
【0030】
内視鏡102が、洗浄ルーメン210および吸引ルーメン212(各々が作業チャネルと同じであってよいかまたは異なっていてもよい)をさらに有することができる。洗浄ルーメン210が、手技中に洗浄剤を標的部位に提供することができる。さらに、吸引ルーメン212が、標的部位から洗浄剤および廃棄物を除去することができる。内視鏡102が、任意選択で、内視鏡102の本体106内にある、管、チャンバ、追加の作業チャネル、または他の通路214を有することができる。施術者が、砕石器、結石回収バスケット、あるいは、別の適切なツールまたは器具などの任意の種類の別個のツールまたは器具を配備するために通路214を使用することができる。
【0031】
図1を参照すると、内視鏡102が、把持可能な近位側部分108上に位置することができるレーザー制御装置などのレーザー制御装置122を有することができる。別法として、レーザー制御装置122が、内視鏡102から離れて位置することができる。レーザー制御装置122が、動作状態(「オン」状態)と非動作状態(「オフ」状態)との間でレーザービームの状態を切り替えることができる。例えば、レーザー制御装置122が、内視鏡102の外部に位置するレーザーに対して、有線のおよび/または無線のレーザー制御信号を送ることができる。レーザー制御信号がレーザーをオンまたはオフにすることができる。いくつかの実装形態では、施術者が、出力パワー、パルス幅、パルス形状、および/またはパルス振動数などの、レーザーの1つまたは複数のセッティングを調整するために、レーザー制御装置122を使用することができる。
【0032】
手技中、施術者が、1分、2分、3分、4分、または任意適切な長さの時間などの、一定の時間にわたってレーザーを動作状態にするのを可能にするように、レーザー制御装置122を操作することができる。レーザーオペレーションの一定の時間帯中、施術者が、送出するレーザービームを標的部位における物質の表面上で移動させるために、内視鏡102の本体106を操作することができる。レーザーパワーレベルおよび露出時間は、機械化された露出機構または自動露出機構を必要とすることなく、施術者がレーザーパワーのオンおよびオフを手動で安全に切り替えるのを可能にするようなものであってよい。レーザーパワーはまた、周囲組織の偶発的な露出が周囲組織に影響を及ぼすことを回避するのを可能にするように、十分な低さとなり得る。さらに、内視鏡102がフラッシュコントローラ124を有することができるかまたはフラッシュコントローラ124に連結され得、フラッシュコントローラ124が、洗浄ルーメン210を通る洗浄剤の流量および吸引ルーメン212を通る吸引力を制御するのに使用され得る。
【0033】
図3が、フィードバックアナライザ121の構造部を示す。フィードバックアナライザ121が、標的構造からの光信号(例えば、蛍光信号)を検出し、標的の特性を決定するために受信した信号を分析するように構成された光検出器300を有することができる。信号の処理および分析には、例えば、蛍光強度、蛍光励起スペクトル、蛍光放射スペクトル、蛍光減衰時間、または、検出した蛍光信号に関連する他の特性の分析が含まれてよい。例えば、フィードバックアナライザ121が、検出した信号から1つまたは複数の分光プロパティを生成することができる。分光プロパティには、1つまたは複数の蛍光特性が含まれてよく、加えてまたは別法として、反射率、反射スペクトル、または吸収指数などの1つまたは複数の他の特性が含まれてよい。光検出器300が、とりわけ、フーリエ変換赤外(FTIR:Fourier Transform Infrared)分光計、ラマン分光計、UV-VIS分光計、UV-VIS-IR分光計、または蛍光分光計などの、とりわけ、分光センサを有することができる。さらに、フォトダイオードを使用して光子を電気信号に変換するためのCMOSテクノロジ、CCDテクノロジに基づくセンサなどの光センサが適している。光検出器が個別のフォトダイオードであってよいか、あるいは、デジタルカメラのためのCMOSイメージャまたはCCDイメージャ内で使用されるものなどのフォトダイオードのアレイであってよい。これらの両方の種類のデバイスが、特定の波長の光学信号の強度に対応する電気信号を提供し、分光法を実施するのに適している。加えて、光強度と波長との関係(light intensity versus wavelength)を収集することができる任意の種類の分光計または分光光度計が使用され得る。光検出器300が、分光法の方式または技法に対応することができる。例えば、UV-VIS分光法が、標的物または標的部位からの蛍光ライトまたは反射光から情報を集めるのに使用され得、これは、目から得られるか、または、高解像度カメラによって作られるカラーイメージから得られる情報などに類似するものであってよいが、より定量的かつ客観的である。例えば、分光法が標的からの反射光に基づいて物質に関する情報を提供することができる。その理由は、光の反射および吸収がその化学的組成および表面のプロパティによって決定され得るからである。サンプルの表面のプロパティおよびバルク特性の両方に関する情報が、この技法を使用して、得られ得る。軟組織または硬組織の組成を識別するために、反射分光法が使用され得る。FTIR分光法は迅速な物質分析のために使用され得、比較的良好な空間分解能を有し、物質の化学的組成に関する情報を与えることができる。ラマン分光法は、硬組織および軟組織の組成を特定するために使用され得る。高い空間分解能の技法として、ラマン分光法は、標的物内の物質の組成の空間的分布を決定するのにも有用である。
【0034】
さらに、光検出器300は蛍光分光法と共に使用され得る。蛍光分光法は、サンプルからの蛍光を分析する電磁分光法の一種である。蛍光分光法は、標的部位における物質成分を励起して物質組成に通常は可視域またはIR域内にある蛍光応答光を放射させる、紫外線などの照明光のビームを使用することを伴うことができる。蛍光分光法は、硬組織および軟組織を区別するのを支援することなどのために、一部の有機物成分の分析に適用され得る。光検出器300が、種々の構造部(例えば、炭化した組織、炭化していない組織、または、脈管構造など)を感知および検出するためのより広範囲の能力を可能にするものなどの、2つ以上の種類の分光計またはイメージングカメラを有することができる。さらに、イメージングセンサが、治療手技中または診断手技中に使用されるのに利用可能である内視鏡102の1つまたは複数のイメージング能力を利用することができる。例えば、内視鏡102が、治療手技(例えば、腫瘍または腎臓結石のレーザー切除)中に解剖学的構造部を可視化するのに使用され得る。このような事例では、内視鏡102の内視鏡的イメージング能力が、光検出器300によって使用され得るかまたは光検出器300によって増強され得る。例えば、内視鏡102が、1つまたは複数の解剖学的構造部(例えば、病変、腫瘍、脈管構造、または石など)の可視化を向上させるのに適している狭帯域のイメージングを実現することができる。光検出器300を内視鏡的イメージング(白色光のおよび/または狭帯域のイメージング)と組み合わせることにより、炭化のレベルなどの、1つまたは複数の組織プロパティを検出するのを支援することができ、この情報が、治療療法の遂行を正確に制御するのに使用され得る。例えば、光検出器300が、光路209に動作可能に連結され得る。したがって、光路209のところで受信される蛍光信号などの光学信号が、光検出器300に提供され得る。
【0035】
フィードバックアナライザ121が、標的検出器304または標的分類器306のうちの1つまたは複数の共に、イメージングセンサ121を有することができる。標的検出器304が複数の構造区分のうちの1つの区分として標的構造を特定するように構成され得、これは、検出した蛍光応答信号の1つまたは複数の蛍光プロパティ、ならびに/あるいは、上述したような、光検出器300によって生成されるような1つまたは複数の分光プロパティを使用することを含み得るものなどである。さらに、標的検出器304が、イメージングセンサ302によって検出されるイメージングプロパティとの組み合わせで、複数の構造区分のうちの1つの区分として標的構造を特定するように構成され得る。例えば、標的検出器304が、1つまたは複数の蛍光プロパティおよび/または分光プロパティを使用して、結石構造の区分としてまたは解剖学的構造の区分として、標的構造を特徴付けるのを支援することなどを目的として、標的の特性を特定することができる。結石構造の例には、泌尿器系、胆嚢、鼻腔、胃腸管、胃、または扁桃腺などの種々の結石形成領域内にある石または砕石状態の石が含まれてよい。解剖学的構造の例には、とりわけ、軟組織(例えば、筋肉、腱、靭帯、血管、筋膜、皮膚、脂肪、および線維組織)、骨などの硬組織、軟骨などの結合組織が含まれてよい。
【0036】
フィードバックアナライザ121が、受信した反射信号を使用する反射スペクトルなどの応答信号スペクトルを生成することができ、反射スペクトルから1つまたは複数のスペクトル特徴を抽出することができる。応答信号スペクトルが、複数の波長にわたっての反射強度を含むことができる。反射率は、物質界面のところで反射する入射電磁パワーの関数として決定され得る。反射率は、電磁放射線を反射するときの物質表面の有効性を表すことができる。反射率に加えて、さらに、応答信号スペクトルが、手術部位で吸収されて、光源により手術部位に照光しなくなった後の短い時間を含めて、蛍光応答信号波長で再放射される照明エネルギーを表すことができる。反射スペクトルが、データアレイとして、または、スペクトル反射率曲線などのグラフ表示として、形式化され得る。例えば、反射スペクトルが、約400nm~約1000nmの範囲内の波長にわたっての反射率を表すことができる。
【0037】
本明細書で説明される、関節制御装置116、レーザー制御装置112、フラッシュコントローラ124、フィードバックアナライザ121、および/または標的検出器304は、単一の制御装置または個別の制御装置として実装され得る。加えて、これらのうちの2つ以上が単一の制御装置として実装されてもよく、対して、残りが個別の制御装置として実装されてもよい。本明細書で使用される制御装置は、ハードウェア、ソフトウェア、またはこれら2つの組み合わせ、として実装され得る。ソフトウェアは、FORTRAN、PASCAL、JAVA(登録商標)、C、C++、C#、BASIC、種々のスクリプト言語、および/またはHTMLなどの多数のハイレベル言語のうちの任意の言語で、書き込まれ得る。加えて、ソフトウェアは、ターゲットコンピュータに常駐するマイクロプロセッサのためのアセンブリ言語として実装され得る。ソフトウェアは、限定しないが、フロッピーディスク、ジャンプドライブ、ハードディスク、光ディスク、磁気テープ、PROM、EPROM、EEPROM、フィールドプログラマブルゲートアレイ、またはCD-ROMを含めて、製造物として具現化されてもよい。ハードウェア回路は、例えば、1つまたは複数のFPGAプロセッサ、CPLDプロセッサ、またはASICプロセッサを使用して、実装され得る。
【0038】
図4が、標的部位の物質の特性を決定する方法400の実施例を示す。402で、標的部位が光源を用いて照光され得る。光源が、パルス照明を発生させることなどを目的として、定期的にまたは無作為に起動および停止され得る。例えば、402で、光源が標的に照光するために起動され得る(つまり、光源が「オン」状態にある)。本明細書では「第1の例示」と称される、方法400に関連する実施例をさらに示すために、次に、
図5を参照すると、402で、内視鏡102が、パルス光502を用いて手術標的部位500に照光するために制御され得る。光源202が、402で、LEDからの白色光または他の広帯域の光を手術標的部位500に提供することができる。第1の例示では、広帯域の光または白色光が使用され得る。白色光は、可視スペクトルの光のすべての波長を等しい強度で含むことができる。したがって、白色光は、手術標的部位500のところの蛍光色素分子を励起することができる波長を含むことができる。第1の例示では、手術標的部位500の表面504が、パルス光502を用いて照光される。より具体的には、手術標的部位表面504が、手術標的部位表面504のところでのまたはその下での蛍光色素分子の励起などの励起を引き起こす、光子などのエネルギーを吸収する。
【0039】
図4では、403で、光源202が、LEDが光を放射する「オン」状態から、LEDが光を放射しない「オフ」状態に切り替えられ得る。この時間中(つまり、パルス光源が「オフ」状態にあるとき)、404で、標的部位から放射される蛍光信号が、照明に反応して、フィードバックアナライザ121の光検出器300によって検出される。ここでは、パルス光源が「オフ」状態にあることを理由として、標的からの蛍光信号が、標的部位を活性化する照明エネルギーの波長によって不明瞭にされたりまたは飽和状態にされたりする必要がない。これが、検出された蛍光信号に基づく標的部位の標的の特性の決定をより正確なものとするのを可能にするのを支援することができる。
【0040】
標的部位における物質が、光源によって放射される光の中の特定の波長によって励起され得る蛍光色素分子を含むことができる。蛍光色素分子が励起されると、蛍光色素分子が、
図6を参照して示されるように、短い時間で光を放射することができる。具体的には、パルス化された広帯域の光または白色光などの励起パルスEPが、蛍光色素分子を含む物質の方に方向付けられ、蛍光色素分子を含む物質によって吸収されたエネルギーが時間Tにわたって減衰し、ここでは、減衰時間が、蛍光Fを用いて示されるように、蛍光色素分子を有する物質に照光するのに使用される光に関連する強度Iに比例する。蛍光Fが、蛍光強度および蛍光励起スペクトルを決定するのに使用され得る。さらに、蛍光Fが、蛍光放射スペクトルおよび蛍光減衰時間を決定するのに使用され得る。CCDまたはCMOSあるいは他のフォトセンサが、蛍光Fに関連する強度が、CCDまたはCMOSあるいは他のフォトセンサにより蛍光Fを検出することが不可能となるポイント未満まで減衰する前に、蛍光Fを検出するのに使用され得る。404で、吸収されたエネルギーが、蛍光応答信号として検出され得る。
【0041】
403で、光源202が、オペレーション402の「オン」状態から「オフ」状態に切り替えられ得る。光源202が「オフ」状態に切り替えられるとき、方法400が第1の例示のオペレーション404を実施することができる。具体的には、404で、
図7では概してエネルギー700として示される、手術標的部位表面504によって吸収されたエネルギーが、手術標的部位表面504から放射される波長に対応することができる蛍光信号702として放射される。したがって、手術標的部位表面504が活性化されるとき、蛍光信号702が、活性化された手術標的部位表面504から放射される波長に対応することができる。第1の例示では、蛍光信号702が、光路209、光ファイバー204、および/または通路214を介して、フィードバックアナライザ121に送信され得、その結果、フィードバックアナライザ121が、検出された蛍光信号702を分析することができる。
【0042】
蛍光信号が404で検出されると、方法400が任意選択でオペレーション406を実施し、ここでは、蛍光プロパティ(例えば、蛍光強度、蛍光励起スペクトル、蛍光放射スペクトル、および/または蛍光減衰時間)、ならびに/あるいは、蛍光信号に関連するスペクトルが決定される。フィードバックアナライザ121が、上で考察したように、蛍光信号に関連するスペクトルを決定するのに使用され得る。加えてまたは別法として、スペクトルが、標的部位の特定の結石構造の反射スペクトルまたは正規化された反射スペクトルから抽出され得る。この反射率特徴には、特定の波長でのまたは特定の波長範囲にわたっての反射スペクトル(または、正規化された反射スペクトル)、反射スペクトルから計算された統計値(例えば、2つ以上の異なる波長にわたっての反射率の変化、または、一定の波長範囲にわたっての反射率の変化率、など)、あるいは、スペクトル反射率曲線の少なくとも一部分の形態(例えば、勾配、曲率、または曲線の弧、など)を表すグラフ的特徴が含まれてよい。結石反射率特徴および組織反射率特徴が、イメージングプラットフォーム104の記憶回路に保存され得る。
【0043】
406で蛍光信号に関連するスペクトルを決定した後、408で、標的部位の特性が、蛍光プロパティおよび/またはスペクトルを使用して決定され得る。例えば、408で、標的部位の特性を決定するために、標的検出器304が、加えてまたは別法として、406で決定された反射スペクトルから1つまたは複数の反射率特徴を抽出することができる。標的検出器304は、蛍光プロパティおよび/または反射率特徴を、特性に基づく所定の閾値または値範囲と比較することにより、標的蛍光プロパティおよび/または反射率特徴が特徴閾値を超えるかまたは一定の値範囲内にある場合に、標的を結石構造として特定することができる。加えて、標的検出器304が、標的蛍光プロパティおよび/または反射率特徴が、所定の閾値未満であるか、または、特性に基づく値範囲外にある場合に、標的を腎臓組織として特定することができる。手技前に体外でおよび/または体内で得られる、結石蛍光プロパティおよび/または反射率特徴、ならびに、組織蛍光プロパティおよび/または反射率特徴を使用して、所定の閾値または値範囲が決定され得る。さらに、標的の個別の特性に関連する閾値または値範囲が、イメージングプラットフォーム104の参照用テーブルに保存され得る。実施例では、閾値が、結石蛍光プロパティおよび/または反射率特徴、ならびに、組織蛍光プロパティおよび/または反射率特徴を指定のマージンで分離する閾値として決定され得る。
【0044】
408で、標的検出器304が、一定範囲の波長にわたって標的部位における物質の蛍光プロパティおよび/または反射強度を傾向分析(trend)することができ、蛍光プロパティおよび/または反射強度の傾向(あるいは、「蛍光傾向」または「反射率傾向」)に基づいて物質を決定することができる。例えば、蛍光傾向または反射率傾向が、400nm~550nmの第1の範囲内で生成され得る。第1の波長範囲内で蛍光傾向または反射率傾向が単調増加する場合、物質が結石構造であると決定され得る。第1の波長範囲内で蛍光傾向または反射率傾向が単調増加しない場合、物質が腎臓組織として特定され得る。別の実施例では、蛍光傾向または反射率傾向が、650nm~700nmの第2の範囲内で生成され得る。第2の波長範囲内で蛍光傾向または反射率傾向が単調増加する場合、物質が結石構造であると決定され得る。第2の波長範囲内で蛍光傾向または反射率傾向が単調減少する場合、物質が腎臓組織であると決定され得る。
【0045】
手術部位における物質が結石構造または解剖学的構造であると決定するために、標的検出器304によりテンプレートマッチング法が使用され得る。標的蛍光プロパティおよび/または反射率特徴が、フィードバックアナライザ121のメモリ308に保存される、結石蛍光プロパティおよび/または反射率特徴のうちの少なくとも1つ、あるいは、物質蛍光プロパティおよび/または反射率特徴のうちの少なくとも1つと比較され得、それにより、マッチング基準が満たされるか否かを決定する。例えば、手術部位における物質は、標的蛍光プロパティおよび/または反射率特徴と結石蛍光プロパティおよび/または反射率特徴との間の相違量(dissimilarity metric)が第1の類似性閾値未満である場合、結石構造であると決定され得るか、あるいは、標的蛍光プロパティおよび/または反射率特徴と組織蛍光プロパティおよび/または反射率特徴との間の相違量が第2の類似性閾値未満である場合、腎臓組織として特定され得る。
【0046】
標的分類器306が、解剖学的構造の特定された区分の範囲内にある特定の組織種類、または、結石構造の特定された区分の範囲内にある特定の結石種類などの、同じ区分の複数の構造種類のうちの1つの構造種類として標的部位における物質を分類するために、上述したように、同じ区分の多様な構造種類の間の反射スペクトルの区分内での差異を使用することができる。この分類は、特定の波長の反射率のうちの1つまたは複数の反射率、2つ以上の異なる波長にわたっての反射率の統計的特徴(例えば、差異、または他の差異量)、あるいは、反射スペクトルのグラフ表示から生成されるグラフ的特徴に基づいてよい。例えば、標的部位が石を含む例では、種々の石の種類の間での別個の正規化された反射スペクトルに基づいて、標的分類器306が、手術部位のところの石を特定の石の種類として分類するために、特定の波長(例えば、550nm)または波長範囲の正規化された反射率を1つまたは複数の閾値と比較することができる。
【0047】
決定した解剖学的構造を、複数の組織種類のうちの1つの組織種類として分類するために、1つまたは複数の分光プロパティが標的分類器306によって使用され得る。例えば、標的分類器306が、腎杯組織、皮質組織、骨髄組織、または尿管組織などの、別個の解剖学的ロケーションでの組織種類のうちの1つの組織種類として、決定した腎臓組織を分類するように構成され得る。例えば、種々の組織種類の間の別個の正規化された蛍光スペクトルおよび/または反射スペクトルに基づいて、標的分類器306が、特定の波長(例えば、480nm)または波長範囲の正規化された蛍光および/または反射率と、1つまたは複数の蛍光閾値および/または反射率閾値と、の間の比較に基づいて、手術部位のところの組織を、特定の組織種類として分類することができる。
【0048】
標的分類器306が、決定した解剖学的構造を、正常組織または異常組織(例えば癌性組織)として分類するように構成され得る。正常組織および癌性組織は、異なる形状およびピークロケーション(つまり、一定の波長範囲において蛍光スペクトルおよび/または反射スペクトルがピーク値に達するときの波長)を有する明確に異なる蛍光スペクトルおよび/または反射スペクトルを明示することができる。分類器306が、解剖学的構造を、治療エリア(例えば、除去することを意図される腫瘍またはポリープ)として、または、非治療エリア(例えば、血管、筋肉など)として、分類または決定するように構成され得る。この分類は、特定の波長の蛍光および/または反射率のうちの1つまたは複数の蛍光および/または反射率、2つ以上の異なる波長にわたっての蛍光および/または反射率の統計的特徴(例えば、差異、または他の差異量)、あるいは、蛍光スペクトルおよび/または反射スペクトルのグラフ表示から生成されるグラフ表示(例えば、勾配)に基づいてよい。癌性組織が、非癌性組織と比較して異なるスペクトルを有することができる。したがって、標的分類器306が、スペクトルに基づいて組織を分類することができる。
【0049】
フィードバックアナライザ121が、制御装置310をさらに有することができる。制御装置310が、レーザー510または他の物質除去デバイス501を自動で制御することができる。これが、施術者が物質除去デバイス501を手動で制御することの必要性を排除することができる。
【0050】
第1の例示に戻ると、406で、404で検出された蛍光信号702がフィードバックアナライザ121に送信され、フィードバックアナライザ121が、(例えば、450nmから500nmの範囲内の波長を有する)光源を用いて照光されるときの標的のスペクトルが特定のスペクトル(例えば、460nmから700nm)を有していることを決定する。さらに、408で、フィードバックアナライザ121が、検出した蛍光信号(例えば、スペクトルの形状およびピークロケーション)に基づいて、手術部位のところの標的の特性(例えば、種類、物質、組成、組成プロフィール、構造、硬さなど)を特定する。
【0051】
410で、治療デバイスが、任意選択で、408の物質の特性の特定に基づいて制御され得る。例えば、装置からのエネルギー放射などの装置の種々のパラメータセッティングを調整するために、制御信号が使用され得る。例えば、装置がレーザーシステムを有する場合、パラメータセッティングには、レーザーパルスのエネルギー、パルス振動数、レーザーパワー、およびパルスモード、レーザーパルスのパルス幅、レーザーパルスのパルス形状、レーザーパルスのピークパワー、または、単位時間当たりのレーザーパルスの数を表すパルス振動数などが含まれてよい。ここでは、放射が、これらのパラメータに関連するレーザーに関連することができる。さらに、410がリアルタイムで実施され得、その結果、1つまたは複数の制御信号が制御装置310により装置に送られ得、それにより、標的部位から組織を除去するかまたは任意の他の種類の有機堆積物を除去する手術手技中に装置を調整する。
【0052】
例えば、標的部位における物質が癌性組織(または、いくつかの実施形態では、腎臓結石)を含むと決定され、装置がレーザーデバイスである場合、制御装置310が、癌性組織を除去する(または、いくつかの実施形態では、腎臓結石を砕石する)ことができるレーザービームを送出するようにレーザーを制御することができる。したがって、制御装置310が、決定した第1の特性に少なくとも部分的に基づいて、治療デバイスを制御することができる。第1の例示に戻ると、ここでは、物質除去デバイス501がNd:YAGレーザーを有することができる。加えて、上で述べたように、フィードバックアナライザ121が、スペクトルの形状およびピークロケーションに基づいて、手術部位のところの組織を癌性であると特定する。したがって、第1の例示の410で、制御装置310が、手術標的部位500のところの癌性組織を除去することを目的として例えば1064nmの波長のレーザービームを放射するように物質除去デバイス501を自動で制御することができ、その結果、物質除去デバイス501が、第1の特定された標的の特性に少なくとも部分的に基づいて、制御される。
図8に示されるように、自動制御装置310が、光ファイバー204を介して手術部位500のところをレーザービーム800の標的とするように物質除去デバイス501に信号802を送ることができる。410が完了すると、方法400が完了するか、または別法として、特定の治療効果が達成される(例えば、腎臓結石の砕石または細粉化が完了するとき)までオペレーション402~410が繰り返し実施されてもよい。
【0053】
光源202が「オン」状態と「オフ」状態との間で切り替えられるとき、光源が「オフ」状態であるときの時間中に異なる励起波長が放射され得る。例えば、光源202または物質除去デバイス501が、異なる励起波長を放射することが可能となり得る。さらに例示すると、異なる励起が370nmの波長を有することができ、
図9に示されるように、約425nmと550nmとの間の蛍光を生成することができる。
図9では、腫瘍性組織が存在する場合、900で示されるように、スペクトルがこれを反映することになる。さらに、スペクトルが、902で示されるように、健常組織の存在も反映することができる。
【0054】
方法400が第1の時間帯中に実施され得、ここでは、蛍光信号に関連する第1のスペクトルが決定され、手術標的部位500における物質の特性が第1の時間帯中に決定され、制御信号802などの第1の制御信号が、制御装置310から物質除去デバイス501に送られる。ここでは、物質除去デバイス501が、第1の時間帯中に行われる決定に基づいて、リアルタイムで制御され得る。第2の時間帯中、方法400が繰り返され得、ここでは、蛍光信号に関連する第2のスペクトルが決定され、手術標的部位500における物質の第2の特性が第2の時間帯中に決定され、物質除去デバイス501が、第2の時間帯中に行われる決定に基づいて、リアルタイムで制御される。具体的には、制御装置310が、第2の時間帯中に行われた決定に基づいて信号804(
図8)を送ることができ、ここでは、本明細書で考察される原理を使用して、標的の第2の特性が第2の時間帯中に決定され得る。さらに、第2の特性は第1の特性と異なっていてよいかまたは第1の特性と同じであってもよい。例えば、特性は、第1の時間帯で決定された特性とは異なるものであると決定され得る。ここでは、第2の時間帯中の特性の特定に基づいて、レーザーが制御され得る。さらに、第2の制御信号804、および第2の制御信号804に基づく第2の時間帯後の第2の調整がリアルタイムで行われ得る。
【0055】
装置が、レーザーに対して第2の調整を行うことにより、制御され得る。第2の調整には、レーザーパルスのエネルギー、パルス振動数、レーザーパワー、およびパルスモードなどのレーザーの1つまたは複数のパラメータを調整することが含まれてよい。さらに、いくつかの実施例では、第1の時間後に調整されたパラメータおよび第2の時間後に調整されたパラメータが異なっていてよい。例えば、第1の時間帯後に、レーザーパルスのエネルギーが調整され得、対して、第2の時間帯後に、パルス振動数が調整され得る。
【0056】
「オン」状態において手術標的部位に照光した後で広帯域光源または白色光源が「オフ」状態にあるときに蛍光を検出することにより、手術標的部位の特性が決定され得る。複数の光源(例えば、発光ダイオードつまりLED)が手術標的部位に照光するためにパルス化され得、蛍光応答信号が、各々の光源のパルス化の後で、測定され得る。例えば、複数の光源の各光源(例えば、LED)が、十分に高いレートで異なる色を順番に放射することができ、その結果、異なる色の組み合わせが白色光としてヒトの目によって知覚され得る。第1の光源が赤色光を放射し、第2の光源が緑色光を放射し、第3の光源が青色光を放射するような3つの光源の場合、赤色光源、緑色光源、および青色光源の組み合わせが白色光を作り出す。さらに、本明細書では、赤色、緑色、および青色の色が白色光を作り出すのに考察されるが、手術標的部位の特性を決定するために任意の光の色が使用され得る。手術標的部位のところの標的のスペクトルおよび特性が、
図10でさらに説明されるかたちなどで、手術標的部位に照光するすべての光源に反応して放射される蛍光に基づいて、決定され得る。
【0057】
図10が、複数のLEDを使用して手術標的部位の特性を特定する方法1000の実施例を示しており、各々のLEDが異なる波長の光を放射する。LEDが十分に高いレートでオンおよびオフに順番に切り替えられ得、その結果、異なる色の組み合わせが白色光としてヒトの目によって知覚される。(異なる波長の光を放射する)現在のLEDが標的部位に照光する間において、既に起動されたLEDに反応しての蛍光信号が検出され得る。例えば、光源が、赤色LED、緑色LED、および青色LEDを有することができる。光源が、レーザー手技中、十分に高い周波数で、赤色光、緑色光、青色光、赤色光、緑色光、青色光...を順番に放射することができる。緑色LEDまたは青色LEDが現在光を放射している間において、既に発射された赤色光に反応しての蛍光信号が検出され得、分析され得る。1002で、標的部位が、第1のパルス光源を用いて、第1のパルス光源の「オン」状態において、照光され得る。例えば、第1の光源が、赤色などの第1の色に対応することができる。
図11を参照すると、1002で、内視鏡102が、第1のパルス化された第1の色の光1102を用いて手術標的部位1100に照光するように制御され得る。第2の例示では、1002で、光源202がLEDから手術標的部位1100に赤色光を提供することができ、ここでは、赤色光が第1のパルス光1102に対応することができる。第2の例示では、内視鏡102が、「オン」状態において光源に赤色光を放射させることにより、手術標的部位1100に照光することができ、その結果、手術標的部位1100の表面1104が、第1のパルス化された第1の色の光1102を用いて照光される。例えば、手術標的部位表面1104が光子を吸収することができ、光子が手術標的部位表面1104において蛍光色素分子の励起を引き起こすことができる。
【0058】
1004で、標的部位が、第2のパルス化された第2の色の光源を用いて、第2のパルス光源の「オン」状態において、照光され得る。例えば、第2の光源が、緑色などの第2の色に対応することができる。1004で、1002で手術標的部位に照光した第1のパルス光源が「オフ」状態にある。
【0059】
1004の間において、1004の前において、または1004の後において、1006で、第1のパルス光源サイトが「オフ」状態にあるとき、第1の蛍光信号が手術標的部位から放射され得、検出され得る。標的部位が、光源から放射される光の中の特定の波長によって励起され得る蛍光色素分子を含むことができる。ここでは、標的部位が第2のパルス光源を用いて照光される間において、第1のパルス光信号による励起に反応して放射される蛍光信号が検出され得る。蛍光色素分子が励起されると、蛍光色素分子が短い時間で光を放射することができる。1006で、手術標的部位1100が第2のパルス光源を用いて照光される間において、第1のパルス光源に対応する第1の蛍光が検出され得る。
【0060】
1004で、内視鏡102が、第1のパルス光1102とは異なる色を有する第2のパルス光1106を用いて手術標的部位1100に照光するように制御され得る。例えば、1004で、光源202が、「オン」状態において、LEDから手術標的部位1100に緑色光を提供することができる。さらに、1004で、第1のパルス光源が「オフ」状態にある。
【0061】
第2の例示では、第1のパルス光源が「オフ」状態にある間において、手術標的部位1100が第2のパルス光源を用いて照光されるとき、1006で、
図12で概してエネルギー1200として示される、手術標的部位表面1104によって吸収されるエネルギーが、第1の蛍光信号1202として放射され得る。第2の例示では、第1の蛍光信号1202が、手術標的部位表面1104から放射される波長に対応することができる。手術標的部位表面1104が第1のパルス光1102を用いて照光されるとき、手術標的部位表面1104が活性化状態となることができ、活性化された手術標的部位表面1104から放射される波長に対応することができる得られた第1の蛍光応答信号1202が検出され得る。第2の例示では、第1の蛍光信号1202が、光路209を介して、フィードバックアナライザ121に送信され得る。
【0062】
1008で、標的部位が、第3のパルス光源を用いて、例えば青色を使用して照光する第3のパルス光源の「オン」状態において、照光され得る。1008で、1004で標的部位に照光した第2のパルス光源が「オフ」状態にあってよい。同様に、1008で、1002で標的部位に照光した第1のパルス光源が「オフ」状態にあってよい。
【0063】
1008の間において、1008の前において、または1008の後において、1010で、第2のパルス光源サイトが「オフ」状態にあるとき、第2のパルス光源からの照明に反応して標的部位から放射される第2の蛍光信号が検出され得る。標的部位が第3のパルス光源を用いて照光される間において、蛍光信号が標的部位から放射され得る。1010で、手術標的部位1100が第3のパルス光源を用いて照光される間において、第2の光のパルス光源に対応する第2の蛍光が検出され得る。
【0064】
第3のパルス光源が「オフ」状態に切り替えられた後(および、第1のパルス光源が「オン」状態に切り替えられた間において)、1012で、第3のパルス光源サイトが「オフ」状態にあるとき、標的部位から放射される第3の蛍光信号が検出され得る。実施例では、第2のパルス光源からの励起により、蛍光信号が生成される。
【0065】
1008で、内視鏡102が、青色光などの第3のパルス光1108を用いて手術標的部位1100(
図11)に照光するように制御され得る。1008で、第1のパルス光源および第2のパルス光源が「オフ」状態にある間において、光源202が、「オン」状態において、LEDから手術標的部位1100に青色光を提供することができる。
【0066】
第1のパルス光源および第2のパルス光源が「オフ」状態にある間において、手術標的部位1100が第3のパルス光1108を用いて照光されるとき、1010で、パルス光1106を用いて手術標的部位1100が照光されたときに手術標的部位表面1104によって吸収されたエネルギー1200が、第2のパルス光1106によって励起されることに反応して、手術標的部位表面1104から放射される波長に対応することができる第2の蛍光信号1204として、放射され得る。したがって、手術標的部位表面1104が活性化されるとき、蛍光信号が、第2のパルス光1106によって照光されることに反応して、活性化された手術標的部位表面1104から放射される波長に対応することができる。第2の例示では、第2の蛍光信号1204が、光路209を介して、フィードバックアナライザ121に送信され得る。
【0067】
1010で第2の蛍光信号が検出された後、1012で、第3の蛍光信号1206が検出され得る。具体的には、第3の蛍光信号1206が、第2のパルス光1106によって励起されることに反応して手術標的部位表面1104から放射される波長に対応することができる。したがって、手術標的部位表面1104が活性化されるとき、蛍光信号が、第3のパルス光1108によって照光されることに反応して、活性化された手術標的部位表面1104から放射される波長に対応することができる。第2の例示では、第3の蛍光信号1206が、光路209を介して、フィードバックアナライザ121に送信され得る。
【0068】
図10の手法1000は、第1の蛍光信号、第2の蛍光信号、および第3の蛍光信号の検出を描いているが、1つまたは複数の標的の特性を決定するのに、これらの信号のうちの1つまたは2つの信号を検出することで十分となる可能性もある。例えば、標的の特性を決定するために、第1の蛍光信号のみを利用することで、または、第1の蛍光信号および第3の蛍光信号の組み合わせを利用することで、十分である可能性もある。第1の(ならびに、いくつかの実施形態では、第2のおよび第3の)蛍光信号が、1012で、検出された後、1014で、検出された信号に適切に関連する蛍光プロパティが決定され得る。例えば、第1の蛍光信号、第2の蛍光信号、および/または第3の蛍光信号に関連するスペクトルが、フィードバックアナライザ121などを使用して、決定され得る。
【0069】
1014で、第1の蛍光信号、第2の蛍光信号、および/または第3の蛍光信号に関連する蛍光プロパティまたはスペクトルを決定した後、1016で、標的部位の特性が、この蛍光プロパティまたはスペクトルを使用して、特定され得る。1016で、標的部位の特性を特定するために、標的検出器304が、1014で決定された検出された蛍光信号および/または反射スペクトルから、1つまたは複数の標的蛍光プロパティおよび/または反射率特徴を抽出することができる。標的蛍光プロパティおよび/または反射率特徴をプロパティ閾値および/または特徴閾値あるいは値範囲と比較することにより、標的蛍光プロパティおよび/または反射率特徴が特徴閾値を超えるかまたは値範囲内にある場合、標的検出器304が標的部位の特性を結石構造として特定することができる。標的蛍光プロパティおよび/または蛍光特徴がプロパティ閾値未満および/または特徴閾値未満であるかまたは値範囲外にある場合、標的検出器304が、標的部位の特性を腎臓組織として特定することができる。プロパティ閾値および/または特徴閾値あるいは値範囲は、結石蛍光プロパティおよび/または結石反射率特徴、ならびに、組織蛍光プロパティおよび/または組織反射率特徴を使用して、決定され得る。さらに、蛍光プロパティおよび/または特徴閾値あるいは値範囲が、イメージングプラットフォーム104の参照用テーブルに保存され得る。蛍光プロパティ閾値および/または特徴閾値は、結石蛍光プロパティおよび/または反射率特徴、ならびに、組織蛍光プロパティおよび/または反射率特徴を指定のマージンで分離する閾値として決定され得る。
【0070】
1016で、標的検出器304が、上で既に説明したように、一定範囲の波長にわたって標的部位のところの特性の蛍光プロパティおよび/または反射強度のうちの1つまたは複数を傾向分析することができ、1つまたは蛍光プロパティの傾向(または、「蛍光傾向」)ならびに/あるいは反射強度の傾向(または、「反射率傾向」)に基づいて、特性を特定することができる。
【0071】
第2の例示に戻ると、1014で、1006、1010、1012で検出された第1の蛍光信号1202、第2の蛍光信号1204、および/または第3の蛍光信号1206が、フィードバックアナライザ121に送信され得、フィードバックアナライザ121が、手術部位のところの組織の蛍光プロパティまたはスペクトルが、例えば450nmから500nmの範囲内の光源を用いて照光されるときに460nmから700nmのスペクトルを有することを決定する。第2の例示では、第1の蛍光信号1202、第2の蛍光信号1204、および第3の蛍光信号1206の各々が保存され得、フィードバックアナライザ121に同時に送信され得る。さらに、1016で、第1の例示と同様に、第2の例示で、フィードバックアナライザ121が、例えばスペクトルの形状およびピークロケーションに基づいて、手術部位のところの組織を癌性であると特定する。
【0072】
標的部位のところの特性が1016で特定された後、1018で、治療デバイスなどの装置が、特性の特定に基づいて、制御され得る。実施例では、装置を制御することには、装置がレーザーを有する場合、レーザーパルスのエネルギー、パルス振動数、レーザーパワー、および、パルスモードなどの装置の種々のパラメータを調整することが含まれてよい。さらに、1018がリアルタイムで実施され得、ここでは、装置の1つまたは複数のパラメータが、組織、石、または任意の他の種類の有機堆積物を手術部位から除去するために、手術手技中に、調整され得る。
【0073】
実施例では、手術部位のところの組織が癌性であることの決定が行われる場合、制御装置310が、癌性組織を除去することができるレーザービームを送出するようにレーザーを制御することができる。第2の例示に戻ると、ここでは、物質除去デバイス501がNd:YGAレーザーである。加えて、上で述べたように、フィードバックアナライザ121が、スペクトルの形状、ピークロケーション、または他のプロパティに基づいて、手術部位のところの組織を癌性であると特定する。したがって、第2の例示の1016で、自動制御装置310が、手術標的部位500のところの癌性組織を除去することを目的として、特定の波長(例えば、1064nm)のレーザービームを放射するように物質除去デバイス501を自動で制御する。1018が完了すると、方法1000が完了する。別法として、治療効果が達成される(例えば、腎臓結石の砕石または細粉化が完了するとき)まで、オペレーション1002~1018が繰り返し実施されてもよい。
【0074】
説明したように、光源が、多様な波長の光を放射するように制御され得る。単一のまたは共通の光パルスを使用するのを可能にすることなどを目的として、感知した蛍光信号をフィルタリングするのに1つまたは複数の光学フィルタが使用され得る。例えば、第2の波長および第3の波長に関連する波長をフィルタリングするのに光学フィルタリング技法が使用され得、それにより、第1の波長のみに関連する蛍光信号を送信することが可能となる。同様に、第1の波長および第3の波長に関連する波長をフィルタリングするのに光学フィルタリング技法が使用され得、それにより、第1の波長のみに関連する蛍光信号を送信することが可能となる。加えて、第1の波長および第2の波長に関連する波長をフィルタリングするのに光学フィルタリング技法が使用され得、それにより、第3の波長のみに関連する蛍光信号を送信することが可能となる。したがって、光源が、第1の波長、第2の波長、および第3の波長の光を放射することができ、光学フィルタリング技法が、第1の波長、第2の波長、および第3の波長の各々に関連する蛍光信号をフィルタリングするのに使用され得る。さらに、スペクトルに基づく特性と共に、スペクトルが、上で考察したように、治療デバイスを制御することを目的として、フィルタリングされた波長に基づいて決定され得る。例えば、波長フィルタなどのハードウェアが、第1の波長、第2の波長、および第3の波長の各々に関連する蛍光信号をフィルタリングするのに使用され得る。さらに、ハードウェアデバイスが、第1の波長、第2の波長、および第3の波長の各々に関連する蛍光信号をフィルタリングするための機能性をハードウェアに提供するソフトウェアを用いてプログラムされ得る。
【0075】
方法1000が第1の時間帯中に実施され得、第1の時間帯中に、手術標的部位500のところの特性が決定され、物質除去デバイス501が、この決定に基づいて、リアルタイムで制御される。第2の時間帯中、方法1000が繰り返され得、第2の時間帯中に、手術標的部位500のところの特性が決定され、物質除去デバイス501が、この決定に基づいて、リアルタイムで制御され得る。決定した特性が、第1の時間帯と第2の時間帯との間で変化することができる。レーザーが、この変化に基づいて、または、第2の時間帯中の特性の特定に基づいて、リアルタイムで制御され得る。
【0076】
例えば、レーザーが、レーザーパルスのエネルギー、パルス振動数、レーザーパワー、およびパルスモードなどの、レーザーの1つまたはレーザーパラメータを調整することを目的として第2の調整を行うことにより、制御され得る。第1の時間の後で調整されるパラメータは、上で説明したように、第2のパラメータの後で調整されるパラメータとは異なっていてよい。
【0077】
図13が、手術部位のところの組織などの標的部位における物質の特性を決定することに基づいて、レーザーシステムを制御するように構成され得るコンピュータベースの臨床方針支援システム(CDSS:computer-based clinical decision support system)の実施例の概略図を示す。CDSS1300が入力インターフェース1302を有することができ、入力インターフェース1302を通して、患者に固有の、手術部位のところの組織に関連するスペクトルが、入力特徴として、人工知能(AI)モデル1304に提供され、ここでは、プロセッサ1306と連動して、手術部位のところの組織の特性が出力される。推論オペレーションにおいて、標的部位における物質の特性を表す出力1308を生成することを目的として、手術部位のところの組織に関連するスペクトルがAIモデルに適用され、ユーザーインターフェース(UI)を通して、標的部位における物質の特性が、例えば臨床医などの、使用者に通信される。
【0078】
入力インターフェース1302が、CDSS1300と、入力特徴のうちの少なくとも一部を生成する、内視鏡102などの1つまたは複数の医療デバイスと、の間に、ダイレクトデータリンクを有することができる。例えば、入力インターフェース1302が、治療手技中におよび/または診断医療手技中に、手術部位のところの組織に関連するスペクトルをCDSS1300に直接的に送信することができる。加えてまたは別法として、入力インターフェース1302が、使用者とCDSS1300との間の相互作用を促進するユーザーインターフェースを有することができる。さらに例示すると、入力インターフェース1302がユーザーインターフェースを支援することができ、このユーザーインターフェースを通して、使用者が、手術部位のところの組織に関連するスペクトルを手動で入力することができる。加えてまたは別法として、入力インターフェース1302が、電子カルテへのアクセス権をCDSS1300に提供することができ、電子カルテから1つまたは複数の入力特徴が抽出され得る。これらの事例のいずれにおいても、入力インターフェース1302が、標的部位における物質の特性を決定するためにCDSS1300が使用されるときにおいてまたはその前において、特定の患者に関連する種々の入力特徴のうちの1つまたは複数を収集するように構成される。例えば、第1の入力特徴からn番目の入力特徴が、多様な時間間隔で手術部位のところの組織に関連するスペクトルに関連することができる。さらに例示すると、第1の入力特徴が第1の時間間隔において手術部位のところの組織に関連するスペクトルに対応することができ、対して、n番目の入力特徴が、n番目の時間間隔において手術部位のところの組織に関連するスペクトルに対応することができる。
【0079】
上記の入力特徴のうちの1つまたは複数の入力特徴に基づいて、プロセッサ1306が、標的部位における物質の特性を生成することを目的として、AIモデルを使用して推論オペレーションを実施することができる。例えば、入力インターフェース1302が、標的部位における物質に関連するスペクトルをAIモデルの入力層に送出することができ、入力層がこれらの入力特徴をAIモデルを通して出力層に伝える。AIモデルが、明確にプログラムされることなく、データの分析で見られるパターンに基づいて推論を行うことにより、タスクを実施する能力をコンピュータシステムに提供することができる。AIモデルが、既存のデータから学習を行うことができ、新しいデータに関する予測を行うことができる、アルゴリズム(例えば、機械学習アルゴリズム)の学習および構築を実施する。このようなアルゴリズムは、データ駆動予測、あるいは、出力または評価として表される決定を行うことを目的として、標本訓練データ(example training data)からAIモデルを組み立てることにより、動作する。
【0080】
機械学習(ML:machine learning)のための形態には、教師ありMLおよび教師なしMLが含まれてよい。教師ありMLは、入力と出力との間の関係を学習するために従来の知識(例えば、入力を出力または結果に相互に関連付ける標本)を使用する。教師ありMLの目標は、何らかの訓練データを所与として、訓練入力と出力との間の関係を最良に近似する関数を学習することであり、その結果、MLモデルが、入力を与えられたときに、対応する出力を生成するために同じ関係を実装することができるようになる。教師なしMLは、分類もラベリングもされていない情報を使用し、ガイダンスなしでアルゴリズムがその情報に作用するのを可能にする、MLアルゴリズムの訓練である。教師なしMLは探索分析に有用である。その理由は、教師なしMLはデータ内の構造を自動で特定することができるからである。
【0081】
教師ありMLのための一部のタスクは、分類問題および回帰問題である。カテゴリー化問題とも称される分類問題は、項目を複数の区分値のうちの1つの区分値に分類することを狙いとする(例えば、このオブジェクトがりんごまたはみかんであるか?)。回帰アルゴリズムは、(例えば、いくつかの入力の値に対してスコアを提供することにより)いくつかの項目を定量化することを狙いとする。教師ありMLアルゴリズムで一般に使用されるいくつかの例として、ロジスティック回帰(LR:Logistic Regression)、単純ベイズ、ランダムフォレスト(RF:Random Forest)、ニューラルネットワーク(NN:neural network)、ディープニューラルネットワークス(DNN:deep neural network)、行列因数分解、およびサポートベクターマシン(SVM:Support Vector Machine)がある。
【0082】
教師なしMLのための一部のタスクには、クラスタリング、表現学習、および密度予測が含まれる。教師なしMLアルゴリズムのいくつかの例として、k平均法、主成分分析、およびオートエンコーダがある。
【0083】
MLの別の種類として、データを交換することなく、ローカルデータを含む複数の分散型デバイスにわたってアルゴリズムを訓練する連合学習(協調学習としても知られている)がある。この手法は、複数のローカルデータセットのすべてを1つのサーバーにアップロードするような集中型機械学習技法とは際立って対照的であり、さらには、ローカルデータサンプルを等しく分配することを前提とすることができるより分散型である手法とは際立って対照的である。連合学習は、データを共有することなく複数のアクター(actor)が共通のロバストな機械学習モデルを組み立てるのを可能にし、それにより、データプライバシー、データセキュリティ、データアクセス権利、および、異種データに対してのアクセス権などの重要問題に対処することが可能となる。
【0084】
いくつかの実施例では、AIモデルが、プロセッサ1306により推論オペレーションを実施する前に継続的にまたは定期的に訓練され得る。次いで、推論オペレーション中、AIモデルに提供される患者固有の入力特徴が、入力層から、1つまたは複数の隠れ層を通して、最終的に、出力層に伝えられ得、出力層が、標的部位における物質の特性に対応する出力を提供する。例えば、出力層が標的部位における物質の特性に対応する出力を生成するとき、内視鏡102、イメージングプラットフォーム104、レーザー制御装置122、制御装置310、または物質除去デバイス501などの、手術部位を切除するのに使用されるシステムが、手術手技を実施するために材料の特性に基づいて調整され得る。
【0085】
推論オペレーション中、および/または推論オペレーションに次いで、標的部位における物質の特性が、ユーザーインターフェース(UI)を介して使用者に通信され得、かつ/あるいは、自動で、内視鏡102、イメージングプラットフォーム104、レーザー制御装置122、制御装置310、または物質除去デバイス501に、手術部位の切除などの所望のアクションを実施させることができる。
【0086】
図14が、上述したデバイス(例えば、関節制御装置116、レーザー制御装置122、フラッシュコントローラ124、フィードバックアナライザ121、および/または標的検出器304)のうちの1つまたは複数のデバイスにインストールされ得るソフトウェアアーキテクチャ1102を示すブロック
図1400である。
図14は単にソフトウェアアーキテクチャの非限定の例であり、本明細書で説明される機能性を促進するために多くの他のアーキテクチャが実装され得ることが認識されよう。ソフトウェアアーキテクチャ1402が、プロセッサ1610、メモリ1630、および/またはI/Oコンポーネント1650を有する機械1600などのハードウェアによって実装され得る。この実施例では、ソフトウェアアーキテクチャ1402が層のスタックとして概念化され得、ここでは、各層が特定の機能性を提供することができる。例えば、ソフトウェアアーキテクチャ1402が、オペレーティングシステム1404、ライブラリ1406、フレームワーク1408、およびアプリケーション1410などの層を有する。動作上で、アプリケーション1410が、いくつかの実装形態によると、ソフトウェアスタックを通してアプリケーションプログラミングインターフェース(API)コール1412を呼び出し、APIコール1412に反応してメッセージ1414を受信する。
【0087】
種々の実装形態で、オペレーティングシステム1404がハードウェア資源を管理し、一般的なサービスを提供する。オペレーティングシステム1404が、例えば、カーネル1420、サービス1422、およびドライバ1424を有する。カーネル1420が、いくつかの実装形態では、ハードウェアと他のソフトウェア層との間の抽象化層として機能する。例えば、カーネル1420が、複数の機能性の中でもとりわけ、メモリ管理、プロセッサ管理(例えば、スケジューリング)、コンポーネント管理、ネットワーキング、およびセキュリティ設定を実現する。サービス1422が、他のソフトウェア層のための他の一般的なサービスを実現することができる。ドライバ1424が、基盤となるハードウェアを制御することまたは基盤となるハードウェアと相互作用することを担うことができる。例えば、ドライバ1424には、ディスプレイドライバ、カメラドライバ、Bluetooth(登録商標)ドライバ、フラッシュメモリドライバ、シリアル通信ドライバ(例えば、ユニバーサルシリアルバス(USB)ドライバ)、Wi-Fi(登録商標)ドライバ、オーディオドライバ、および電力管理ドライバなどが含まれてよい。
【0088】
いくつかの実装形態では、ライブラリ1406が、アプリケーション1410によって利用され得る低レベルの一般的なインフラストラクチャを提供する。ライブラリ1406には、記憶割当機能、ストリング操作機能、および数学機能などの機能を提供することができるシステムライブラリ1430(例えば、Cスタンダードライブラリ)が含まれてよい。加えて、ライブラリ1406には、メディアライブラリ(例えば、ムービングピクチャーエクスパーツグループ-4(MPEG4)、アドバンストビデオコーディング(H.264またはAVC)、ムービングピクチャーエクスパーツグループ層3(Moving Picture Experts Group Layer-3)(MP3)、アドバンストオーディオコーディング(AAC)、適応マルチレート(AMR:Adaptive Multi-Rate)オーディオコーデック、ジョイントフォトグラフィックエキスパーツグループ(JPEGもしくはJPG)、またはポータブル・ネットワーク・グラフィックス(PNG)などの種々のメディアフォーマットの表出および操作を支援するためのライブラリ)、グラフィックライブラリ(例えば、ディスプレイ上でのグラフィックの文脈で2次元(2D)または3次元(3D)でレンダリングするのに使用されるOpenGLフレームワーク)、データベースライブラリ(例えば、種々の関係型データベース機能を提供するためのSQLite)、ならびにウェブライブラリ(例えば、ウェブ閲覧の機能性を提供するためのWebKit)などのAPIライブラリ1432が含まれてよい。ライブラリ1406にはさらに、多くの他のAPIをアプリケーション1410に提供するために多種多様な他のライブラリ1434が含まれてよい。
【0089】
フレームワーク1408が、いくつかの実装形態によると、アプリケーション1410によって利用され得る高レベルの一般的なインフラストラクチャを提供する。例えば、フレームワーク1408が、種々のグラフィックユーザーインターフェース(GUI)機能、高レベル資源管理機能、および高レベルロケーション機能などを提供する。フレームワーク1408が、そのうちのいくつかが特定のオペレーティングシステムまたはプラットフォームに固有のものであってよいアプリケーション1410によって利用され得る広域スペクトルの他のAPIを提供することができる。
【0090】
アプリケーション1410には、ホームアプリケーション1450、コンタクトアプリケーション(contacts application)1452、ブラウザアプリケーション1454、ブックリーダーアプリケーション1456、ロケーションアプリケーション1458、メディアアプリケーション1460、メッセージングアプリケーション1462、ゲームアプリケーション1464、および、サードバーティのアプリケーション1466などの広範囲の分類の他のアプリケーションが含まれてよい。アプリケーション1410が、プログラム内で定義される機能を実行するプラグラムを含むことができる。種々のプログラミング言語が、種々の方法で構造化されるアプリケーション1410のうちの1つまたは複数のアプリケーションを作り出すのに採用され得、これは、オブジェクト指向プログラミング言語(例えば、オブジェクティブ-C、Java(登録商標)、またはC++)あるいは手続き型プログラミング言語(例えば、C言語またはアセンブリ言語)などである。特定の実施例では、サードパーティのアプリケーション1466(例えば、特定のプラットフォームのベンダーではなく、エンティティによるAndroid(商標)またはiOS(商標)のソフトウェア開発キット(SDK:software development kit)を使用して開発されたアプリケーション)が、iOS(商標)、Android(商標)、Windows(登録商標)Phone、または他のモバイルオペレーティングシステムなどのモバイルオペレーティングシステム上で作動するモバイルソフトウェアであってよい。この実施例では、サードパーティのアプリケーション1466が、本明細書で説明される機能性を促進するために、モバイルオペレーティングシステム(例えば、オペレーティングシステム1404)によって提供されるAPIコール1412を呼び出すことができる。
【0091】
特定の実施例が、論理を含むものとして、あるいは、多数のコンポーネント、モジュール、または機構を含むものとして本明細書で説明される。モジュールが、ソフトウェアモジュール(例えば、(1)非一時的機械可読媒体の上に、または、(2)伝送信号の中で具現化されるコード)、あるいはハードウェア実装モジュールを構築することができる。ハードウェア実装モジュールは特定のオペレーションを実施することができる有形ユニットであり、特定のかたちで構成または配置構成され得る。実施例では、1つまたは複数のコンピュータシステム(例えば、独立型コンピュータシステム、クライアントコンピュータシステム、またはサーバーコンピュータシステム)あるいは1つまたは複数のプロセッサが、本明細書で説明される特定のオペレーションを実施するために動作するハードウェア実装モジュールとして、ソフトウェア(例えば、アプリケーションまたはアプリケーションの一部分)によって構成され得る。
【0092】
種々の実施例で、ハードウェア実装モジュールが機械的にまたは電子的に実装され得る。例えば、ハードウェア実装モジュールが、特定のオペレーションを実施することを目的として、(例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)または特定用途向け集積回路(ASIC:application-specific integrated circuit)などの特殊目的のプロセッサとして)永久的に構成された専用回路または論理を含むことができる。ハードウェア実装モジュールがさらに、特定のオペレーションを実施するためにソフトウェアによって一時的に構成されるプログラマブル論理または回路(例えば、汎用プロセッサまたは他のプログラマブルプロセッサに包含される)を含むことができる。専用の永久的に構成された回路内で、または一時的に構成される回路(例えば、ソフトウェアによって構成される)内で、ハードウェア実装モジュールを機械的に実装するための決定が、コストおよび時間を考慮しながらドライブされ得ることが認識されよう。
【0093】
したがって、「ハードウェア実装モジュール」という用語は、特定の方法で動作するようにかつ/または本明細書で説明される特定のオペレーションを実施するように永久的に構成された(ハードワイヤードである)または一時的に構成される(例えば、プログラムされる)、物理的に構築された実在物である有形実在物を包含するものとして理解されなければならない。ハードウェア実装モジュールが一時的に構成される(例えば、プログラムされる)実施例を考察するが、ハードウェア実装モジュールの各々が任意の1つの時間的段階において構成またはインスタンス化される必要はない。例えば、ハードウェア実装モジュールがソフトウェアを使用して構成される汎用プロセッサを含む場合、汎用プロセッサが、多様な時間にそれぞれ異なるハードウェア実装モジュールとして構成され得る。したがって、ソフトウェアが、例えば、時間の1つの段階において特定のハードウェア実装モジュールを構築するように、かつ、別の時間の段階において別のハードウェア実装モジュールを構築するように、プロセッサを構成することができる。
【0094】
ハードウェア実装モジュールが、他のハードウェア実装モジュールに情報を提供することができ、他のハードウェア実装モジュールから情報を受信することができる。したがって、説明されるハードウェア実装モジュールは、通信可能に接続されるものとしてみなされ得る。複数のこのようなハードウェア実装モジュールが同時的に存在する場合、ハードウェア実装モジュールを接続する信号伝送(例えば、適切な回路およびバスを介する)を通して通信が達成され得る。複数のハードウェア実装モジュールが多様な時間に構成またはインスタンス化される実施例では、このようなハードウェア実装モジュールの間の通信が、例えば、複数のハードウェア実装モジュールによってアクセスされるメモリ構造内での情報の保存および検索を通して、達成され得る。例えば、1つのハードウェア実装モジュールが1つのオペレーションを実施することができ、この1つのハードウェア実装モジュールを通信可能に接続しているメモリデバイス内に、このオペレーションの出力を保存することができる。さらに、別のハードウェア実装モジュールが、保存している出力を検索および処理するために、後で、メモリデバイスにアクセスすることができる。ハードウェア実装モジュールがさらに、入力デバイスまたは出力デバイスとの通信を開始することができ、資源上で動作することができる(例えば、情報の収集)。
【0095】
本明細書で説明される例示の方法の種々のオペレーションが、関連のオペレーションを実施するために、(例えば、ソフトウェアにより)一時的に構成されるかまたは永久的に構成される1つまたは複数のプロセッサにより、少なくとも部分的に、実施され得る。一時的に構成される場合または永久的に構成される場合のいずれでも、このプロセッサが、1つまたは複数のオペレーションまたは機能を実施するように動作するプロセッサ実装モジュールを構築することができる。本明細書で参照されるモジュールには、いくつかの実施例では、プロセッサ実装モジュールが含まれてよい。
【0096】
同様に、本明細書で説明される方法は、少なくとも部分的に、プロセッサ実装され得る。例えば、方法のオペレーションのうちの少なくともいくつかのオペレーションが、1つまたは複数のプロセッサまたはプロセッサ実装モジュールによって実施され得る。特定のオペレーションのパフォーマンスが、単一の機械内に常駐するのみではなく、多数の機械にわたっても配備される、1つまたは複数のプロセッサの間で分配される。いくつかの実施例では、プロセッサが単一のロケーション(例えば、ホーム環境、オフィス環境、またはサーバーファームの中)に位置することができ、対して、他の実施例では、プロセッサが多数のロケーションにわたって分布することができる。
【0097】
1つまたは複数のプロセッサがさらに、「クラウドコンピューティング」環境内で、または「サービス型ソフトウェア(SaaS:Software as a service)」として、関連のオペレーションのパフォーマンスを支援するように動作することができる。例えば、オペレーションのうちの少なくともいくつかのオペレーションが、(プロセッサを含む機械の実施例として)コンピュータのグループによって実施され得、これらのオペレーションが、ネットワーク115(例えば、インターネット)を介して、および、1つまたは複数の適切なインターフェース(例えば、アプリケーションプログラムインターフェース(API))を介して、アクセス可能である。
【0098】
実施例が、デジタル電子回路の中で、あるいは、コンピュータハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、またはこれらの組み合わせの中で実装され得る。実施例が、例えばプログラマブルプロセッサ、コンピュータ、または複数のコンピュータなどのデータ処理装置によって実行されるためのあるいはこのデータ処理装置の動作を制御するための、例えば機械可読媒体内などで、情報担体内で有形的に具現化される例えばコンピュータプログラムなどの、コンピュータプログラム製品を使用して、実装され得る。
【0099】
コンピュータプログラムが、コンパイラ型言語またはインタープリタ型言語を含めた、任意の形態のプログラマブル言語で書き込まれ得、独立型プログラム、あるいは、モジュール、サブルーチン、または計算環境で使用されるのに適している他のユニットを含めた任意の形態で配備され得る。コンピュータプログラムが、1つのコンピュータ上で実行されるように、あるいは、1つのサイトにあるかまたは複数のサイトにわたって分布して通信ネットワークによって相互接続される複数のコンピュータ上で、実行されるように、配備され得る。
【0100】
計算システムがクライアントおよびサーバーを含むことができる。クライアントおよびサーバーは一般に互いから遠隔場所にあり、通信ネットワークを通して相互作用することができる。クライアントおよびサーバーの関係が、互いに対してクライアント-サーバーの関係を有する、それぞれのコンピュータ上で動作するコンピュータプログラムによって生じる。プログラマブル計算システムを配備する実施例では、ハードウェアアーキテクチャおよびソフトウェアアーキテクチャの両方を考察することが必要であることが認識されよう。具体的には、永久的に構成されたハードウェア(例えば、ASIC)内で特定の機能性を実装するか、一時的に構成されるハードウェア(例えば、ソフトウェアとプログラマブルプロセッサとの組み合わせ)内で特定の機能性を実装するか、または、永久的および一時的な組み合わせで構成されるハードウェア内で特定の機能性を実装するかのいずれかの選択が、設計選択であってよいことが認識されよう。種々の実施例における、配備され得るハードウェア(例えば、機械)およびソフトウェアアーキテクチャが以下に記載される。
【0101】
図15は、本明細書で説明される方法論のうちの任意の1つまたは複数の方法論を機械により実施するためにそれを用いて命令が実行され得るものである機械のブロック図である。一実施例で、機械が上述のデバイスのうちの任意のデバイスであってよい。代替的実施例で、機械が独立型デバイスとして動作するかまたは他の機械に接続(例えば、ネットワーク接続)され得る。ネットワーク接続の配備では、機械がサーバー-クライアントネットワーク環境内でサーバーマシンまたはクライアントマシンの立場で動作することができるか、あるいは、ピアツーピア(または、分散)ネットワーク環境内でピアマシンとして動作することができる。機械が、パーソナルコンピュータ(PC)、タブレットPC、セットトップボックス(STB:set-top box)、携帯情報端末(PDA:personal digital assistant)、携帯電話、ウェブアプライアンス、ネットワークルータ、スイッチまたはブリッジ、あるいは、機械によって行われるアクションを指定する命令を(連続的にまたは他のかたちで)実行することができる任意の機械であってよい。さらに、単一の機械のみが示されるが、「機械」という用語は、本明細書で考察される方法論のうちの任意の1つまたは複数の方法論を実施するために1組(または、複数の組の)の命令を個別にまたは一体に実行する機械の任意の集合体を含むものとしても解釈されるものとする。
【0102】
コンピュータシステム1500の実施例が、プロセッサ1502(例えば、中央演算処理装置(CPU:central processing unit)、グラフィック処理装置(GPU:graphics processing unit)、あるいはこれらの両方)、メインメモリ1504およびスタティックメモリ1506を含み、これらがバス1508を介して互いに通信する。コンピュータシステム1500が、ビデオ表示ユニット1510(例えば、液晶ディスプレイ(LCD:liquid crystal display)または陰極線管(CRT:cathode ray tube))をさらに含むことができる。コンピュータシステム1500が、英数字入力デバイス1512(例えば、キーボード)、ユーザーインターフェース(UI)ナビゲーションデバイス(カーソル制御デバイス)1514(例えば、マウス)、ディスクドライブユニット1516、信号生成デバイス1518(例えば、スピーカー)、およびネットワークインターフェースデバイス1520をさらに含む。
【0103】
ドライブユニット1516が機械可読媒体1522を含み、本明細書で説明される方法論または機能のうちの任意の1つまたは複数の方法論または機能を具現化するかまたはそれらによって利用される1組または複数の組の命令およびデータ構造(例えば、ソフトウェア)1524が、機械可読媒体1522に保存される。命令1524がさらに、コンピュータシステム1500によるその実行中に、メインメモリ1504および/またはプロセッサ1502内に完全にまたは少なくとも部分的に常駐することができ、メインメモリ1504およびプロセッサ1502がさらに機械可読媒体を構築する。命令1524がさらにスタティックメモリ1506内に常駐することができる。
【0104】
機械可読媒体1522は一実施例で単一の媒体であるとして示されるが、「機械可読媒体」という用語には、1つまたは複数の命令またはデータ命令1524を保存する単一の媒体または複数の媒体(例えば、集中型または分散型データベース、ならびに/あるいは、付随のキャッシュおよびサーバー)が含まれてよい。「機械可読媒体」という用語はさらに、機械によって実行されるための命令1524を保存、エンコード、または保持することができ、本発明の方法論のうちの任意の1つまたは複数の方法論を機械に実施させるか、あるいはこの命令1524によって利用されるかまたはこの命令1524に関連するデータ構造を保存、エンコード、または保持することができる、任意の有形媒体を含むものとして解釈されるものとする。したがって、「機械可読媒体」という用語は、限定しないが、ソリッドステートメモリおよび光学磁気媒体を含むものものとして解釈されるものとする。機械可読媒体の具体的な実施例には、例として、例えば消去可能リードオンリーメモリ(EPROM:erasable programmable read-only memory)、電気的消去可能リードオンリーメモリ(EEPROM:electrically erasable programmable read-only memory)、およびフラッシュメモリデバイスなどの半導体メモリデバイス、内蔵型ハードディスクおよび可換型ディスクなどの磁気ディスク、磁気光学ディスク、ならびに、CD-ROMディスクおよびDVD-ROMディスクを含めた不揮発性メモリが含まれる。
【0105】
さらに、命令1524が、伝送媒体を使用して通信ネットワーク1526上で送信または受信され得る。命令1524が、ネットワークインターフェースデバイス1520、および、多数のよく知られている転送プロトコルのうちの任意の1つの転送プロトコル(例えば、HTTP)を使用して、送信され得る。通信ネットワークの例には、ローカルエリアネットワーク(「LAN」)、ワイドエリアネットワーク(「WAN」)、インターネット、携帯電話ネットワーク、基本電話サービス(POTS:plain old telephone service)ネットワーク、ならびに無線データネットワーク(例えば、Wi-FiネットワークおよびWi-Maxネットワーク)が含まれる。「伝送媒体」という用語は、機械によって実行されるための命令1524を保存、エンコード、または保持することができ、デジタルまたはアナログ通信信号を含む任意の無形媒体、あるいは、このソフトウェアの通信を促進するための他の無形媒体を含むものとして解釈されるものとする。
【0106】
図16は、標的部位の特性を決定するのに使用され得る多様な励起波長の光を放射するように調節され得る単一の調節可能な光源を使用する方法1600の実施例を示す。さらに例示すると、単一の量子カスケードレーザー(QCL:量子カスケードレーザー)が、標的部位のところの特性を決定することを目的として多様な波長で光を放射するのに使用され得る。1602で、調節可能な光源が、第1の波長の光を用いて標的に照光するのに使用され得る。第1の波長が、赤色、緑色、または青色のうちの1つの色などの第1の色に対応することができる。QCLが、標的部位に照光することを目的として第1の波長の光を放射するように調節され得る。1604で、第1の蛍光信号が、上述の技法を使用して感知され得る。
【0107】
第1の蛍光信号が1604で検出された後、1606で、調節可能な光源が、第2の波長の光を用いて標的に照光することを目的として第2の波長の光を放射するように制御され得る。ここでは、第2の波長が、赤色、緑色、または青色のうちの1つの色などの第2の色に対応することができる。第2の色は第1の色と異なっていてよい。例えば、第1の色が赤色である場合、第2の色が緑色または青色のうちの一方であってよい。QCLが、標的部位に照光することを目的として第2の波長の光を放射するように調節され得る。1606で標的部位に照光するとき、第2の蛍光信号が上述したように感知され得る。
【0108】
第2の蛍光信号が1608で検出された後、1610で、調節可能な光源が、第3の波長の光を用いて標的に照光することを目的として第3の波長の光を放射するように制御され得る。ここでは、第3の波長が、赤色、緑色、または青色のうちの1つの色などの第3の色に対応することができる。第3の色は第1の色および第2の色と異なっていてよい。例えば、第1の色が赤色であり、第2の色が緑色である場合、第3の色が青色であってよい。QCLが、標的部位に照光することを目的として第3の波長の光を放射するように調節され得る。1610で標的部位に照光するとき、1612で、第3の蛍光信号が上述した技法を使用して感知され得る。
【0109】
1604、1608、および1612で、第1の蛍光信号、第2の蛍光信号、および第3の蛍光信号を感知した後、1614で、第1の信号、第2の信号、および第3の信号の各々に関連するスペクトルが決定され得る。フィードバックアナライザ121が、上で考察したように、蛍光信号に関連するスペクトルを決定するのに使用され得る。反射スペクトルが、標的部位の既知の結石構造の反射スペクトルまたは正規化された反射スペクトルから抽出され得る。
【0110】
1614で、第1の蛍光信号、第2の蛍光信号、および第3の蛍光信号に関連するスペクトルを決定した後、1616で、標的部位のところの特性が、上述したように、蛍光スペクトルまたは反射スペクトルあるいは他の応答スペクトルの一方または両方を使用して、特定され得る。さらに、標的検出器304が、上で考察したように、一定範囲の波長にわたって標的部位における物質の反射強度を傾向分析することができ、反射強度の傾向に基づいて特性を特定することができる。
【0111】
標的部位の特性が決定された後、1618で、方法1600が、標的部位のところの決定された特性に基づいて治療デバイスをリアルタイムで制御することができる。1618が完了すると、方法1600が完了する。
【0112】
方法1600では、多様な波長の光を放射するように調節可能な光源が制御され得る実施例を考察した。実施例によると、光学フィルタが、感知した蛍光信号をフィルタリングするのに使用され得る。使用され得るフィルタリングの種類には、蛍光信号を隣接する信号からおよび励起波長から分離するように配備され得る、バンドパス光学フィルタ、ローパス光学フィルタ、またはハイパス光学フィルタ、あるいはこれらの組み合わせが含まれてよい。例えば、励起照明に対しての蛍光応答信号が対象の任意の他の信号より長い波長を有する場合、ハイパスフィルタが、対象のこの波長未満まで信号を弱めるように配備され得る。ここでは、ハイパスは振動数の代わりに波長を意味する。より高い振動数はより短い波長を有し、逆も同様である。別法として、対象の蛍光応答信号が他の信号によって囲まれた波長で発生する場合、蛍光応答の波長の中心にあるバンドパスフィルタが配備され得る。例えば、第2の波長および第3の波長に関連する波長をフィルタリングするのに光学フィルタリング技法が使用され得、それにより、第1の波長のみに関連する蛍光信号を送信することが可能となる。同様に、第1の波長および第3の波長に関連する波長をフィルタリングするのに光学フィルタリング技法が使用され得、それにより、第1の波長のみに関連する蛍光信号を送信することが可能となる。加えて、第1の波長および第2の波長に関連する波長をフィルタリングするのに光学フィルタリング技法が使用され得、それにより、第3の波長のみに関連する蛍光信号を送信することが可能となる。したがって、光源が、第1の波長、第2の波長、および第3の波長の光を放射することができ、光学フィルタリング技法が、第1の波長、第2の波長、および第3の波長の各々に関連する蛍光信号をフィルタリングするのに使用され得る。さらに、スペクトルに基づく特性と共に、スペクトルが、上で考察したように、治療デバイスを制御することを目的として、フィルタリングされた波長に基づいて決定され得る。
【0113】
上で詳説される説明は、詳細な説明の一部を形成する添付図面を参照することを含む。図面は、例示として、本発明が実施され得る具体的な実施例を示す。これらの実施例は本明細書では「例(example)」とも称される。これらの実施例は、示されるかまたは説明される要素とは別の要素を含むことができる。しかし、発明者は、示されるかまたは説明される要素のみを提供する実施例も企図する。さらに、発明者は、特定の実施例(または、その1つもしくは複数の態様)に関連させて、あるいは、本明細書で示されるかまたは説明される他の実施例(または、その1つもしくは複数の態様)に関連させて、示されるかまたは説明される要素(あるいは、その1つまたは複数の態様)の任意の組み合わせまたは置換を使用する実施例も企図する。
【0114】
本文献では、「a」または「an」という用語は、特許文献で一般に使用されるように、任意の他の例とは無関係に、あるいは、「少なくとも1つの」または「1つまたは複数の」の使用とは無関係に、1つ、または、2つ以上を含むために使用されるものである。本文献では、「または」という用語は非排他的を意味するのに使用され、つまり、その結果として、「AまたはB」は、特に明記しない限り、「AであるがBではない」、「BであるがAではない」、および「AおよびB」を含むことになる。本文献では、「including」および「in which」という用語は、「comprising」および「wherein」という各々の用語のより分かり易い英語の均等物として使用されるものである。さらに、以下の特許請求の範囲では、「including」および「comprising」という用語は非限定的な意味であり、つまり、列記される要素とは別の要素も含む、システム、デバイス、項目、構成、系統的論述、またはプロセスは、このような用語が1つの請求項で見られる場合、その請求項の範囲内にあるとみなされる。さらに、以下の特許請求の範囲では、「第1」、「第2」、および「第3」などの用語は単に標識として使用され、それらの目的語に対して数値的な要求を課すことを意図されない。
【0115】
上記の説明は例示的であることを意図され、限定的であることを意図されない。例えば、上述の実施例(あるいは、その1つまたは複数の態様)は互いに組み合わされて使用され得る。当業者が上記の説明を読むことなどにより、他の実施例も使用され得る。要約は、技術的開示の本質を読者が迅速に認識するのを可能にするために、37C.F.R、1.72(b)に従うものとして提供される。したがって、要約は、要約が特許請求の範囲の範囲または意味を解釈または限定するのに使用されないことの理解の上で、提出されるものである。また、上記の詳細な説明では、種々の特徴が本開示を合理化するために一体にグループ化され得る。これは、特許請求されない開示される特徴がいずれかの請求項にとって不可欠なものであることを意図するものとして解釈されるべきではない。むしろ、本発明の主題は、特定の開示される実施例のすべての特徴を満たさずに存在し得る。したがって、以下の特許請求の範囲は実施例として詳細な説明に組み込まれ、ここでは、各請求項がそれ自体で個別の実施例として成り立ち、また、これらの実施例が種々の組み合わせまたは置換で互いに組み合わされ得ることが企図される。本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲が与えられている均等物の全範囲と共に、添付の特許請求の範囲を基準として決定されるべきである。
【符号の説明】
【0116】
100 システム
102 内視鏡
104 イメージングプラットフォーム
106 本体
108 近位側部分
110 細長い剛体部分
112 可撓性遠位側部分
114 遠位端
116 関節制御装置
118 電気ポート
120 表示デバイス
121 フィードバックアナライザ
122 レーザー制御装置
124 フラッシュコントローラ
126 近位側部分
200 基板
202 光源
204 光ファイバー
206 光学レンズ
208 イメージ取得デバイス
209 光路
210 洗浄ルーメン
212 吸引ルーメン
214 他の通路
300 光検出器
302 イメージングセンサ
304 標的検出器
306 標的分類器
308 メモリ
310 制御装置
400 方法
500 手術部位
501 物質除去デバイス
502 パルス光
504 手術標的部位表面
510 レーザー
700 エネルギー
702 蛍光信号
800 レーザービーム
802 信号
804 信号
1000 方法
1100 手術標的部位
1102 第1のパルス光
1104 手術標的部位表面
1106 第2のパルス光
1108 第3のパルス光
1200 エネルギー
1202 第1の蛍光信号
1204 第2の蛍光信号
1206 第3の蛍光信号
1300 CDSS
1302 入力インターフェース
1304 人工知能モデル
1306 プロセッサ
1308 出力
1400 ブロック図
1402 ソフトウェアアーキテクチャ
1404 オペレーティングシステム
1406 ライブラリ
1408 フレームワーク
1410 アプリケーション
1412 アプリケーションプログラミングインターフェースコール
1420 カーネル
1422 サービス
1424 ドライバ
1432 APIライブラリ
1434 他のライブラリ
1450 ホームアプリケーション
1452 コンタクトアプリケーション
1454 ブラウザアプリケーション
1456 ブックリーダーアプリケーション
1458 ロケーションアプリケーション
1460 メディアアプリケーション
1462 メッセージングアプリケーション
1464 ゲームアプリケーション
1466 サードバーティのアプリケーション
1500 コンピュータシステム
1502 プロセッサ
1504 メインメモリ
1506 スタティックメモリ
1508 バス
1510 ビデオ表示ユニット
1512 英数字入力デバイス
1514 ユーザーインターフェースナビゲーションデバイス
1516 ディスクドライブユニット
1518 信号生成デバイス
1520 ネットワークインターフェースデバイス
1522 機械可読媒体
1524 命令およびデータ構造
1600 機械、方法
1630 メモリ
1650 I/Oコンポーネント
【外国語明細書】