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特開2023-67814液圧装置のためのコントローラ及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023067814
(43)【公開日】2023-05-16
(54)【発明の名称】液圧装置のためのコントローラ及び方法
(51)【国際特許分類】
   F15B 11/024 20060101AFI20230509BHJP
【FI】
F15B11/024 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022171409
(22)【出願日】2022-10-26
(31)【優先権主張番号】21205730
(32)【優先日】2021-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】520196553
【氏名又は名称】ダンフォス・スコットランド・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】DANFOSS SCOTLAND LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ハチソン
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・アブラハムズ
【テーマコード(参考)】
3H089
【Fターム(参考)】
3H089AA33
3H089CC01
3H089DA03
3H089DA13
3H089DB44
3H089DB48
3H089EE36
3H089FF22
(57)【要約】      (修正有)
【課題】液圧装置のためのコントローラを提供する。
【解決手段】コントローラは、液圧装置のモード変更基準が満たされたと決定する(410)ように構成されている。コントローラは、決定に応答して、液圧アクチュエータの第1のアクチュエータチャンバを、液圧機械に流体的に接続し、かつ液圧アクチュエータの第2のチャンバから流体的に隔離することと、第2のアクチュエータチャンバ及び液圧機械の両方に流体的に接続することとの間で変更するように、弁装置を制御する(420)ように構成されている。更に、コントローラは、決定に応答して、液圧機械の中を流れている液圧流体の流量を変更して、弁装置の制御中の液圧アクチュエータの運動を調節するように、液圧機械を制御する(430)ように構成されている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液圧装置のためのコントローラであって、前記液圧装置が、
原動機と、
液圧流体が流れることができる液圧回路と、
前記液圧回路内にあり、前記原動機と駆動係合している回転可能シャフトを有する液圧機械であって、動作中に、前記液圧機械が、前記液圧機械と前記液圧回路との間の液圧流体の流れによって、及び前記回転可能シャフトの運動を介して、前記液圧回路及び前記原動機とエネルギーを交換するように構成された、液圧機械と、
少なくとも第1のアクチュエータチャンバ及び第2のアクチュエータチャンバを有する少なくとも1つの液圧アクチュエータであって、各アクチュエータチャンバが、前記液圧回路内にあり、前記少なくとも1つの液圧アクチュエータが、前記液圧装置の液圧作業機能で使用され、前記第1のアクチュエータチャンバが、第1のアクチュエータ作業面によって部分的に画定され、前記第2のアクチュエータチャンバが、第2のアクチュエータ作業面によって部分的に画定され、前記第2のアクチュエータ作業面が、前記第1のアクチュエータ作業面に対して少なくとも部分的に反対に作動するように配置されている、少なくとも1つの液圧アクチュエータと、
前記第1のアクチュエータチャンバと前記液圧機械及び前記第2のアクチュエータチャンバのうちの1つ以上との間で前記液圧流体を選択的にルーティングするための、並びに前記第2のアクチュエータチャンバと前記第1のアクチュエータチャンバ及び低圧流体リザーバのうちの1つ以上との間で前記液圧流体を選択的にルーティングするための、前記液圧回路内の弁装置であって、前記コントローラが、
前記液圧装置のモード変更基準が満たされたと決定することと、
前記決定に応答して、
前記第1のアクチュエータチャンバを、前記液圧機械に流体的に接続され、かつ前記第2のアクチュエータチャンバから流体的に隔離されることと、前記第2のアクチュエータチャンバ及び前記液圧機械の両方に流体的に接続されることとの間で変更するように、前記弁装置を制御することと、
前記液圧機械及び前記第1のアクチュエータチャンバと流体連通している前記液圧回路の一部分を通って流れている液圧流体の流量を変更し、それによって、前記弁装置の前記制御中に、前記少なくとも1つの液圧アクチュエータの運動を調節するように、前記液圧機械を制御することと、を行うように構成された、弁装置と、を備える、コントローラ。
【請求項2】
液圧装置を制御する方法であって、前記液圧装置が、
原動機と、
液圧流体が流れることができる液圧回路と、
前記液圧回路内にあり、前記原動機と駆動係合している回転可能シャフトを有する液圧機械であって、動作中に、前記液圧機械が、前記液圧機械と前記液圧回路との間の液圧流体の流れによって、及び前記回転可能シャフトの運動を介して、前記液圧回路及び前記原動機とエネルギーを交換するように構成された、液圧機械と、
少なくとも第1のアクチュエータチャンバ及び第2のアクチュエータチャンバを有する少なくとも1つの液圧アクチュエータであって、各アクチュエータチャンバが、前記液圧回路内にあり、前記少なくとも1つの液圧アクチュエータが、前記液圧装置の液圧作業機能で使用され、前記第1のアクチュエータチャンバが、第1のアクチュエータ作業面によって部分的に画定され、前記第2のアクチュエータチャンバが、第2のアクチュエータ作業面によって部分的に画定され、前記第2のアクチュエータ作業面が、前記第1のアクチュエータ作業面に対して少なくとも部分的に反対に作動するように配置されている、少なくとも1つの液圧アクチュエータと、
前記第1のアクチュエータチャンバと前記液圧機械及び前記第2のアクチュエータチャンバのうちの1つ以上との間で前記液圧流体を選択的にルーティングするための、並びに前記第2のアクチュエータチャンバと前記第1のアクチュエータチャンバ及び低圧流体リザーバのうちの1つ以上との間で前記液圧流体を選択的にルーティングするための、前記液圧回路内の弁装置と、を備え、前記方法が、
前記液圧装置のモード変更基準が満たされたと決定することと、
前記決定に応答して、
前記第1のアクチュエータチャンバを、前記液圧機械に流体的に接続し、かつ前記第2のアクチュエータチャンバから流体的に隔離することと、前記第2のアクチュエータチャンバ及び前記液圧機械の両方に流体的に接続することとの間で変更するように、前記弁装置を制御することと、
前記液圧機械及び前記第1のアクチュエータチャンバと流体連通している前記液圧回路の一部分を通って流れている液圧流体の流量を変更し、それによって、前記弁装置の前記制御中に、前記少なくとも1つの液圧アクチュエータの運動を調節するように、前記液圧機械を制御することと、を含む、方法。
【請求項3】
前記弁装置及び前記液圧機械が、前記少なくとも1つの液圧アクチュエータが使用される、前記液圧作業機能の下降運動中に制御されるか、又は前記弁装置及び前記液圧機械が、前記少なくとも1つの液圧アクチュエータが使用される、前記液圧作業機能の上昇運動中に制御される、請求項1に記載のコントローラ又は請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1のアクチュエータ作業面の表面積が、前記第2のアクチュエータ作業面の表面積よりも大きい、先行請求項のいずれか一項に記載のコントローラ又は方法。
【請求項5】
前記液圧装置の前記モード変更基準が満たされたという前記決定は、前記液圧作業機能に対する速度要求が所定の閾値を超えることに応答する、先行請求項のいずれか一項に記載のコントローラ又は方法。
【請求項6】
前記決定に応答して、前記弁装置が、前記第1のアクチュエータチャンバを、前記液圧機械に流体的に接続し、かつ前記第2のアクチュエータチャンバから流体的に隔離することから、前記第2のアクチュエータチャンバ及び前記液圧機械の両方に流体的に接続することへと変更するように制御され、前記液圧機械が、前記液圧機械及び前記第1のアクチュエータチャンバと流体連通している前記液圧回路の前記一部分を通って流れている液圧流体の流量を低減させるように制御される、先行請求項のいずれか一項に記載のコントローラ又は方法。
【請求項7】
前記決定に応答して、前記弁装置が、前記第1のアクチュエータチャンバを、前記第2のアクチュエータチャンバ及び前記液圧機械の両方に流体的に接続することから、前記液圧機械に流体的に接続し、かつ前記第2のアクチュエータチャンバから流体的に隔離することへと変更するように制御され、前記液圧機械が、前記液圧機械及び前記第1のアクチュエータチャンバと流体連通している前記液圧回路の前記一部分を通って流れている液圧流体の流量を増加させるように制御される、先行請求項のいずれか一項に記載のコントローラ又は方法。
【請求項8】
前記液圧機械は、各々が前記液圧回路内に少なくとも1つの作業チャンバを備えている、複数のチャンバ群を備え、前記液圧装置が、前記液圧回路内にあり、かつ前記液圧機械に選択的に流体的に接続される、少なくとも1つの更なる液圧流体コンシューマを備え、前記少なくとも1つの更なる液圧流体コンシューマが、更なる液圧作業機能で使用され、前記液圧装置の前記モード変更基準が満たされたという前記決定が、前記更なる液圧作業機能に対する要求の増加に応答し、前記決定に応答して、前記液圧装置が、前記液圧機械の少なくとも1つのチャンバ群を、前記少なくとも1つの液圧アクチュエータの前記第1のアクチュエータチャンバから隔離するように制御され、前記少なくとも1つのチャンバ群が、以前に前記少なくとも1つの液圧アクチュエータの前記第1のアクチュエータチャンバとともに流体連通していた前記複数のチャンバ群のうちの少なくとも2つの中のものである、先行請求項のいずれか一項に記載のコントローラ又は方法。
【請求項9】
前記弁装置が、前記液圧回路内で前記第1のアクチュエータチャンバと前記第2のアクチュエータチャンバとの間に提供され、非比例弁である、アクチュエータチャンバ接続弁を備える、先行請求項のいずれか一項に記載のコントローラ又は方法。
【請求項10】
前記液圧機械が、電子整流式液圧機械である、先行請求項のいずれか一項に記載のコントローラ又は方法。
【請求項11】
前記弁装置の前記変更と、前記液圧機械及び前記第1のアクチュエータチャンバと流体連通している前記液圧回路の前記一部分を通って流れている前記液圧流体の前記流量の前記変更との間に時間オフセットが存在し、任意選択的に、前記時間オフセットが、0.5秒未満である、先行請求項のいずれか一項に記載のコントローラ又は方法。
【請求項12】
前記決定に応答して、前記流量を変更するように前記液圧機械を制御するために、前記液圧機械が、前記液圧機械を通って流れている前記液圧流体の中間流量を実施し、その後に、前記液圧機械を通って流れている前記液圧流体の更なる流量を実施するように制御される、先行請求項のいずれか一項に記載のコントローラ又は方法。
【請求項13】
前記中間流量は、前記液圧機械が液圧流体を前記第2のアクチュエータチャンバに向かってポンプ圧送して、前記第2のアクチュエータチャンバの加圧を生じさせるような、前記更なる流量とは反対の方向である、請求項12に記載のコントローラ又は方法。
【請求項14】
前記液圧機械を通って流れている前記液圧流体の前記流量の前記変更が、変位値の変更の所定の流量制限に応じて実施される、先行請求項のいずれか一項に記載のコントローラ又は方法。
【請求項15】
液圧装置であって、
原動機と、
液圧流体が流れることができる液圧回路と、
前記液圧回路内にあり、前記原動機と駆動係合している回転可能シャフトを有する液圧機械であって、動作中に、前記液圧機械が、前記液圧機械と前記液圧回路との間の前記液圧流体の運動によって、及び前記回転可能シャフトの運動を介して、前記液圧回路及び前記原動機とエネルギーを交換するように構成された、液圧機械と、
少なくとも第1のアクチュエータチャンバ及び第2のアクチュエータチャンバを有する少なくとも1つの液圧アクチュエータであって、各アクチュエータチャンバが、前記液圧回路内にあり、前記少なくとも1つの液圧アクチュエータが、前記液圧装置の液圧作業機能で使用され、前記第1のアクチュエータチャンバが、第1のアクチュエータ作業面によって部分的に画定され、前記第2のアクチュエータチャンバが、第2のアクチュエータ作業面によって部分的に画定され、前記第2のアクチュエータ作業面が、前記第1のアクチュエータ作業面に対して少なくとも部分的に反対に作動するように配置されている、少なくとも1つの液圧アクチュエータと、
前記第1のアクチュエータチャンバと前記液圧機械及び前記第2のアクチュエータチャンバのうちの1つ以上との間で前記液圧流体を選択的にルーティングするための、並びに前記第2のアクチュエータチャンバと前記第1のアクチュエータチャンバ及び低圧流体リザーバのうちの1つ以上との間で前記液圧流体を選択的にルーティングするための、前記液圧回路内の弁装置と、
請求項1に直接的又は間接的に従属するときに、請求項1又は請求項3~14のいずれか一項に記載のコントローラと、を備える、液圧装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両などの液圧装置のためのコントローラ及びそのような液圧装置を制御する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液圧アクチュエータは、時には、第1の移動可能な作業面を有する第1の液圧チャンバと、第2の移動可能な作業面を有する第2の液圧チャンバと、を備える。そのような液圧アクチュエータは、複動式液圧アクチュエータと称され得る。第1の液圧チャンバ及び第2の液圧チャンバは、可動バッフルによって分離されており、可動バッフルの各面は、それぞれ、第1及び第2の作業面を画定している。このようにして、圧力下で、第1の作業面は、典型的には、第2の作業面とは反対方向への運動を生じさせるように作動する。しばしば、第1の作業面の有効作業領域は、第2の作業面の有効作業領域と異なる。液圧シリンダとしての複動式液圧アクチュエータの1つの例では、ロッドは、第2の作業面から第2の液圧チャンバを通って延在しており、バッフルは、ピストンである。その結果、ロッドの断面は、第1の液圧チャンバの有効作業領域未満である第2の液圧チャンバの有効作業領域を低減させる。
【0003】
時には、液圧ポンプ、液圧モータ、又は液圧ポンプモータなどの液圧機械が第1の液圧チャンバと流体連通し得、代わりに、第2の液圧チャンバが低圧液圧リザーバと流体連通する。液圧アクチュエータは、液圧流体を第1の液圧チャンバにポンプ圧送することによって第1の方向に移動させることができ、また、第1の液圧チャンバからの液圧流体によってモータリングすることによって、第1の方向とは反対の、第2の方向に移動することを可能にすることができる。おそらくは、これは、「通常」モードと称され得る。
【0004】
別の動作モードでは、第1の液圧チャンバが第2の液圧チャンバと流体連通するように、第1の液圧チャンバ及び第2の液圧チャンバの両方と流体連通する液圧機械を有することが知られている。これは、「差動」モードと称され得る。差動モードで、第1の液圧チャンバの容積が減少するように液圧アクチュエータを動作させたときに、第1の液圧チャンバからの液圧流体の一部は、液圧機械ではなく第2の液圧チャンバに向かって指向される。第1の液圧チャンバの有効作業領域が第2の液圧チャンバの有効作業領域よりも大きいので、第2の液圧チャンバの容積は、第1の液圧チャンバの容積が減少するよりも緩やかに増加する。その結果、第1の液圧チャンバからの液圧流体の全てを第2の液圧チャンバに向かって指向させることができるわけではなく、残部は、液圧機械に向かって指向され得る。このようにして、液圧アクチュエータが差動モードで動作するときに、液圧機械を通る同じ流量の液圧流体が、液圧アクチュエータのより高速な運動をサポートすることができることが理解されるであろう。
【0005】
差動モードにおいて、液圧アクチュエータによって取り扱うことができる最大負荷は、第1の液圧チャンバが第2の液圧アクチュエータから流体的に隔離されているときよりも小さい。
【0006】
本発明が、考案されているのはこの文脈においてである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様によれば、液圧装置のためのコントローラが提供される。液圧装置は、原動機と、液圧流体が流れることができる液圧回路と、液圧回路内にあり、原動機と駆動係合している回転可能シャフトを有する液圧機械と、を備える。液圧機械は、動作中に、液圧機械が、液圧機械と液圧回路との間の液圧流体の運動によって、及び回転可能シャフトの運動を介して、液圧回路及び原動機とエネルギーを交換するように構成されている。液圧装置は、少なくとも第1のアクチュエータチャンバ及び第2のアクチュエータチャンバを有する、少なくとも1つの液圧アクチュエータを更に備えている。各アクチュエータチャンバは、液圧回路内にある。少なくとも1つの液圧アクチュエータが、液圧装置の液圧作業機能で使用される。第1のアクチュエータチャンバは、第1のアクチュエータ作業面によって部分的に画定され、第2のアクチュエータチャンバは、第2のアクチュエータ作業面によって部分的に画定され、第2のアクチュエータ作業面は、第1のアクチュエータ作業面に対して少なくとも部分的に反対に作動するように配置されている。液圧装置は、第1のアクチュエータチャンバと液圧機械及び第2のアクチュエータチャンバのうちの1つ以上との間で液圧流体を選択的にルーティングするための、液圧回路内の弁装置を更に備えている。弁装置はまた、第2のアクチュエータチャンバと第1のアクチュエータチャンバ及び低圧流体リザーバのうちの1つ以上との間で液圧流体を選択的にルーティングするためのものでもある。
【0008】
コントローラは、液圧装置のモード変更基準が満たされたと決定することと、該決定に応答して、第1のアクチュエータチャンバを、液圧機械に流体的に接続し、かつ第2のアクチュエータチャンバから流体的に隔離することと、第1のアクチュエータチャンバが第2のアクチュエータチャンバ及び液圧機械の両方に流体的に接続することとの間で変更するように、弁装置を制御することと、を行うように構成されている。更に、コントローラは、該決定に応答して、液圧機械及び第1のアクチュエータチャンバと流体連通している液圧回路の一部分を通って流れている液圧流体の流量を変更し、それによって、弁装置の制御中に、少なくとも1つの液圧アクチュエータの運動(すなわち、位置又はその派生物)を調節するように、液圧機械を制御するように構成されている。
【0009】
コントローラは、1つ以上のプロセッサと、命令を格納するように構成されたメモリと、を備え得、該命令は、1つ以上のプロセッサによって実行されたときに、液圧装置に、本明細書に記載されたコントローラの機能を実行させる。メモリは、非一時的コンピュータ可読メモリであり得る。メモリは、そこに格納された命令を有し得る。本発明は、本明細書で説明されるように装置を制御するために、そこに格納された命令を有する非一時的コンピュータ可読媒体(例えば、メモリ)にまで及ぶ。メモリは、ソリッドステートメモリであり得る。コントローラは、単一のデバイス内に提供され得る。他の例では、コントローラは、分散され得、複数のプロセッサを有する。第1のプロセッサは、分散様式で第2のプロセッサから分離され得る。
【0010】
別の態様から概観すると、コントローラが構成されているように動作するために液圧装置を制御する方法が提供される。
【0011】
具体的には、液圧装置を制御する方法が提供され、該液圧装置は、原動機と、液圧流体が流れることができる液圧回路と、液圧回路内にあり、原動機と駆動係合している回転可能シャフトを有する液圧機械と、を備える。液圧機械は、動作中に、液圧機械が、液圧機械と液圧回路との間の液圧流体の流れによって、及び回転可能シャフトの運動を介して、液圧回路及び原動機とエネルギーを交換するように構成されている。液圧装置は、少なくとも第1のアクチュエータチャンバ及び第2のアクチュエータチャンバを有する、少なくとも1つの液圧アクチュエータを更に備えている。各アクチュエータチャンバは、液圧回路内にある。少なくとも1つの液圧アクチュエータが、液圧装置の液圧作業機能で使用される。第1のアクチュエータチャンバは、第1のアクチュエータ作業面によって部分的に画定され、第2のアクチュエータチャンバは、第2のアクチュエータ作業面によって部分的に画定され、第2のアクチュエータ作業面は、第1のアクチュエータ作業面に対して少なくとも部分的に反対に作動するように配置されている。液圧装置は、第1のアクチュエータチャンバと液圧機械及び第2のアクチュエータチャンバのうちの1つ以上との間で液圧流体を選択的にルーティングするための、並びに第2のアクチュエータチャンバと第1のアクチュエータチャンバ及び低圧流体リザーバのうちの1つ以上との間で液圧流体を選択的にルーティングするための、液圧回路内の弁装置を更に備えている。本方法は、液圧装置のモード変更基準が満たされたと決定することと、該決定に応答して、第1のアクチュエータチャンバを、液圧機械に流体的に接続し、かつ第2のアクチュエータチャンバから隔離することと、第2のアクチュエータチャンバ及び液圧機械の両方に流体的に接続することとの間で変更するように、弁装置を制御することと、を含む。更に、本方法は、決定に応答して、液圧機械を通って流れ、かつ第1のアクチュエータチャンバと流体連通している液圧回路の一部分を通って流れている液圧流体の流量を制御し、それによって、弁装置の制御中に、少なくとも1つの液圧アクチュエータの運動を調節することを含む。
【0012】
したがって、液圧アクチュエータの動作モードが変更されたかどうか、具体的には、第1のアクチュエータチャンバを第2のアクチュエータチャンバと流体連通させているかどうかに依存して、液圧機械を通って流れ、かつ第1のアクチュエータチャンバと流体連通している液圧回路の一部分を通って流れている液圧流体の流量を変更することができる。このようにして、液圧装置は、少なくとも1つの液圧アクチュエータの運動中に、通常モードと差動モードとの間で再構成することができる。当然ながら、2つのアクチュエータチャンバ間のバッフルを横断する非常に小さい流れ漏出が存在し得るが、これは、本明細書で定義される本発明の範囲内で第1のアクチュエータチャンバと第2のアクチュエータチャンバとの間に流体接続を提供することには考慮されないことが理解されるであろう。
【0013】
液圧装置は、実質的に、液圧作業機能を実行するために少なくとも1つの液圧アクチュエータを使用するように構成された、複数の構成要素の任意のシステムであり得る。液圧装置は、ローダなどの車両、例えばホイールローダの一部として提供され得る。したがって、本発明は、液圧装置を備える車両にまで及ぶ。
【0014】
液圧機械は、典型的には、各々が液圧回路内にある複数の作業チャンバを画定する。各作業チャンバは、シリンダの内面、及び回転可能シャフトに機械的に結合された移動可能な作業面によって部分的に画定され得る。典型的には、移動可能な作業面は、ピストン-シリンダ対のピストンの表面である。各作業チャンバの容積は、回転可能シャフトの回転ごとに周期的に変化し得る。このようにして、移動可能な作業面の1つ以上及び回転可能シャフトの運動によって、液圧回路と原動機との間でエネルギーが交換されることが理解されるであろう。
【0015】
本発明は、特に、作業チャンバ容積のアクティブサイクルが散在している電子整流式液圧機械に関し得、液圧作動流体の正味変位が存在し、作業チャンバ容積の非アクティブサイクルを伴い、作業チャンバと液圧回路との間には、液圧作動流体の正味変位が存在しない。典型的には、アクティブサイクルの大部分又は全ては、フルストロークサイクルであり、作業チャンバは、弁作動信号のタイミングの好適な制御によって、作動流体の所定の最大変位を変位させる。また、複数の作業チャンバのうちの1つ以上の低圧弁及び任意選択的に高圧弁を調節して、いわゆる部分ストロークサイクルを動作させることによって、アクティブサイクル中になされる最大変位の画分を調節することが知られている。しかしながら、そのような機械は、典型的には、部分ストロークサイクルのみによって動作させる代わりに、アクティブ及び非アクティブサイクルを散在させており、アクティブサイクルがフルストロークサイクルであり、アクティブサイクルであるサイクルの画分(アクティブサイクル画分)を変化させて、要求された微小な変位を達成する。
【0016】
コントローラは、作業チャンバ容積の各サイクル中に、各作業チャンバに、作業チャンバ容積のアクティブサイクル又は非アクティブサイクルのいずれかを実行させるように、作業チャンバの低圧弁及び任意選択的に高圧弁を制御するように構成され(例えば、プログラミングされ)得る。
【0017】
「アクティブサイクル」は、作動流体の正味変位をなす作業チャンバ容積のサイクルを指す。「非アクティブサイクル」は、作動流体の正味変位をなさない(典型的には、低圧弁及び高圧弁の一方又は両方がサイクルの全体にわたって閉じられたままである)作業チャンバ容積のサイクルを指す。典型的には、アクティブ及び非アクティブサイクルは、要求信号によって示される要求を満たすように散在される。これは、アクティブサイクルのみを実行する機械とは対照的であり、その変位は変化し得る。
【0018】
液圧機械の1つ以上の作業チャンバの要求信号は、典型的には、「変位画分」Fdとして処理され、これは、回転可能シャフトの回転当たりの作動液圧流体の最大変位の目標画分である。容積に関する用語で表される要求(1秒当たりの作動液圧流体の容積)は、回転可能シャフトの回転の現在の速度、並びに液圧装置の同じ高圧マニホールド及び1つ以上の液圧構成要素(例えば、少なくとも1つの液圧アクチュエータ及び1つ以上の更なる液圧構成要素)に群で接続された作業チャンバの数を考慮して、変位画分に変換することができる。要求信号は、液圧回路を介して液圧装置の該1つ以上の液圧構成要素に流体的に接続された1つ以上の作業チャンバ群の組み合わせた流体変位の要求に関する。それぞれの要求信号を有する1つ以上の他の液圧構成要素に流体的に接続された1つ以上の作業チャンバの他の群が存在し得る。
【0019】
おそらくは、少なくとも、低圧弁(任意選択的に高圧弁、任意選択的に低圧弁及び高圧弁の両方)が電子制御式弁であり、コントローラ又は更なるコントローラは、作業チャンバ容積のサイクルとの位相的な関係で(例えば、電子制御式)弁を制御し、それによって、作業チャンバ容積のサイクルごとに各作業チャンバによって液圧流体の正味変位を決定するように構成されている。本方法は、作業チャンバ容積のサイクルとの位相的な関係で(例えば電子制御式)弁を制御し、それによって、作業チャンバ容積のサイクルごとに各作業チャンバによって液圧流体の正味変位を決定することを含み得る。
【0020】
1つ以上の作業チャンバ群は、液圧回路内の1つ以上の液圧構成要素群(例えば、液圧アクチュエータ及び/又は1つ以上の更なる液圧構成要素)のそれぞれの群に動的に割り当てられ、それによって、例えば、コントローラの制御下で、例えば、電子制御式弁(例えば、本明細書に記載された高圧弁及び低圧弁)を開閉することによって、1つ以上の作業チャンバのどれが(例えば、一群の)液圧構成要素に接続されるのかを変更する。(例えば、1つ以上の)作業チャンバ群は、(例えば、1つ以上の)液圧構成要素の(それぞれの)群に割り当てられ、それによって、コントローラ又は更なるコントローラの制御下で、例えば、(例えば、電子制御式)弁を開く及び/又は閉じることによって、どの機械の作業チャンバがどの液圧構成要素に結合されるのかを変更する。各作業チャンバ(及び/又は各液圧構成要素)を通した液圧流体の正味変位は、1つ又は複数の液圧構成要素に接続されている1つ又は複数の作業チャンバの正味変位を調節することによって調節することができる。1つ以上の作業チャンバ群は、典型的には、該マニホールドを通して、1つ以上の該液圧構成要素群のそれぞれの群に接続されている。
【0021】
おそらくは、各作業チャンバによって受容又は出力される液圧流体の流量は、独立して制御可能である。おそらくは、各作業チャンバによって受容又は生成される液圧流体の流れは、作業チャンバ容積のサイクルごとに各作業チャンバによる液圧流体の正味変位を選択することによって独立して制御することができる。この選択は、典型的には、コントローラによって実行される。
【0022】
典型的には、液圧機械は、ポンプ動作モードにおいてポンプとして動作可能であるか、又はモータ動作モードにおいてモータとして動作可能である。おそらくは、液圧機械の作業チャンバのいくつかは、ポンプ圧送し得(及びいくつかの作業チャンバは、液圧流体を出力し得)、一方で、液圧機械の他の作業チャンバは、モータリングし得る(及びいくつかの作業チャンバは、液圧流体を入力し得る)。
【0023】
液圧機械は、ポンプモータであり得る。ポンプモータは、デジタル変位ポンプモータであり得る。デジタル変位ポンプモータの高い効率のため、液圧機械と少なくとも1つの液圧アクチュエータとの間のエネルギー伝達もまた特に効率的であり、かつ代替技術よりも効率的である。可能である圧力及び流れの高速で正確な独立した制御のため、デジタル変位ポンプモータが特に本出願に適していることが更に理解されるであろう。
【0024】
弁装置は、液圧回路を通る液圧流体の圧力、流量、又はルートなどの液圧回路の流体流れ特性に影響を及ぼし得る、実質的にあらゆる弁を液圧回路内に備え得ることが理解されるであろう。典型的には、弁装置は、複数のルーティング弁を備えている。複数のルーティング弁のうちの少なくとも1つを制御することは、依然として弁装置を制御することであると理解されることが理解されるであろう。
【0025】
低圧流体リザーバの圧力と大気圧との間の差は、第1のアクチュエータチャンバの圧力と大気圧との間の差よりも小さくなり得る。低圧流体リザーバは、大気開放され得る。
【0026】
第2のアクチュエータチャンバの液圧流体の容積は、液圧回路の一部分によって送給される。流体は、液圧回路の周りで変位し、その相対的に非圧縮性の性質のため、一方の側において注入された流体は、他方の側において異なる流体の即座の流体吐出を生じさせる。この流体変位効果は、流体連通と称される。それは、注入された流体が回路の別の部分の流体吐出を生じさせるという現実を反映しており、これが(同じ実際の流体ではない、すなわち、それらの出力と比較して異なる流体粒子が入力される場合であっても)流体連通である。注入された流体粒子は、上流の粒子の変位を生じさせて、液圧回路からそれらの吐出点に到達するまで輸送されるのに時間がかかる。
【0027】
弁装置及び液圧機械は、少なくとも1つの液圧アクチュエータが使用される液圧作業機能の下降運動又は上昇運動中に、本明細書で説明されるように制御され得る。
【0028】
下降運動は、液圧作業機能が、液圧流体を第1のアクチュエータチャンバから液圧機械に向かって流れさせるように作業させる、実質的にあらゆる運動であることが理解されるであろう。同様に、上昇運動は、液圧作業機能が、液圧機械から第1のアクチュエータチャンバに向かう液圧流体の流れによって生じる作業を行っている、実質的にあらゆる運動であることが理解されるであろう。
【0029】
少なくとも1つの液圧アクチュエータは、垂直液圧作業機能の一部であり得る。換言すれば、液圧作業機能は、垂直方向の少なくともある成分を有する方向に移動し得る。
【0030】
2つのアクチュエータチャンバは、各々が同じ液圧アクチュエータの一部であり得る。2つのアクチュエータチャンバの間には、可動バッフルが提供され得る。このようにして、第1のアクチュエータ作業面が、可動バッフルの第1の側に画定され、第2のアクチュエータ作業面が、第1の側の反対側の、可動バッフルの第2の側に画定されることが理解されるであろう。
【0031】
いくつかの実施例では、少なくとも1つの液圧アクチュエータは、2つの液圧アクチュエータなどの複数の液圧アクチュエータであり得る。各液圧アクチュエータは、上で説明した2つのアクチュエータチャンバを有し得る。
【0032】
このようにして、少なくとも1つの液圧アクチュエータが、第1のアクチュエータチャンバの、又はその各々の第1のアクチュエータ作業面の総有効表面積である第1の有効作業領域を画定し、また、第2のアクチュエータチャンバの、又はその各々の第2のアクチュエータの作業面の総有効表面積である第2の有効作業領域を画定することが理解されるであろう。
【0033】
典型的には、第1の有効作業領域は、第2の有効作業領域よりも大きく、液圧アクチュエータの運動中に、第1のアクチュエータチャンバと第2のアクチュエータチャンバとの間に容積変化のアンバランスが存在し、液圧機械に向かう、又はそこから離れる流体流れによってバランスをとることを確実にする。したがって、少なくとも1つの液圧アクチュエータは、第1のアクチュエータチャンバを第2のアクチュエータチャンバと流体連通させることによって差動モードで動作され得る。第1のアクチュエータチャンバ作業面の表面積は、第2のアクチュエータチャンバ作業面の表面積よりも大きくあり得る。典型的には、液圧アクチュエータのロッドは、少なくとも1つの液圧アクチュエータの第2のチャンバを通って第2のアクチュエータチャンバ作業面まで延在し得る。
【0034】
液圧装置のモード変更基準が満たされたという決定は、液圧作業機能に対する速度要求が所定の閾値を超えることに応答し得る。したがって、所定の閾値を超える速度要求の変更が存在する場合に、モード変更基準が満たされ得る。
【0035】
一例では、おそらくは、要求された速度は、少なくとも1つの液圧アクチュエータが通常モードで動作するときに、第1の所定の閾値よりも低い第1のレベルから、第1の所定の閾値よりも高い第2のレベルまで増加する。典型的には、第1の所定の閾値は、最大速度要求以下であるように設定され、これは、少なくとも1つの液圧アクチュエータが通常モードで動作しているときに(すなわち、第1のアクチュエータチャンバが、液圧回路を介して、第2のアクチュエータチャンバから流体的に隔離されている場合)、第1のアクチュエータチャンバと流体連通している液圧機械によって満たすことができる。したがって、第2の速度要求を満たすために、液圧装置は、液圧アクチュエータを通常モードでの動作から差動モードでの動作に切り替えるように構成されている。
【0036】
別の例では、おそらくは、液圧作業機能の要求された速度は、少なくとも1つの液圧アクチュエータが差動モードで動作しているときに、第2の所定の閾値よりも高い第3の速度要求から、第2の所定の閾値よりも低い第4の速度要求まで減少する。典型的には、第2の所定の閾値は、最大速度要求以上であるように設定される。したがって、液圧装置は、(例えば、液圧作業機能によって安全にサポートすることができる負荷を増加させるために)液圧アクチュエータを差動モードから通常モードに切り替えるように構成することができる。
【0037】
第2の所定の閾値は、第1の所定の閾値と異なり得る。例えば、第2の所定の閾値は、第1の所定の閾値よりも大きくあり得る。したがって、速度要求が第1の所定の閾値及び第2の所定の閾値のうちの1つに近い場合、液圧アクチュエータの動作モードは、人工ヒステリシスのような挙動の形態であり、また、速度要求の非常に小さい変動のみに基づいて急に弁を切り替えることを阻止するようなものである。
【0038】
モード変更基準が満たされたという決定に応答して、弁装置は、第1のアクチュエータチャンバの流体接続を、液圧機械に流体的に接続され、かつ第2のアクチュエータチャンバから流体的に隔離されることから、第2のアクチュエータチャンバ及び液圧機械の両方に流体的に接続されている第1のアクチュエータチャンバの別の状態へと変更するように制御され得る。この更なる状態では、液圧機械及び第1のアクチュエータチャンバと流体連通している液圧回路の一部分を通って流れている液圧流体の流量が低減され得る。したがって、液圧装置は、少なくとも1つの液圧アクチュエータの動作モードを通常モードから差動モードに変更するように制御することができる。
【0039】
モード変更基準が満たされたという決定に応答して、弁装置は、第1のアクチュエータチャンバの流体接続を、複数の作業チャンバのうちの少なくとも1つ及び第2のアクチュエータチャンバに流体的に接続されることから、複数の作業チャンバのうちの少なくとも1つに流体的に接続され、かつ第2のアクチュエータチャンバから流体的に隔離されている第1のアクチュエータチャンバの別の状態へと変更するように制御され得る。この更なる状態では、液圧機械及び第1のアクチュエータと流体連通している液圧回路の一部分を通って流れている液圧流体の流量が増加され得る。したがって、液圧装置は、少なくとも1つの液圧アクチュエータの動作モードを差動モードから通常モードに変更するように制御することができる。
【0040】
いくつかの実施例では、液圧機械は、複数のチャンバ群を備え得る。各チャンバ群は、少なくとも1つの作業チャンバを備え得る。各チャンバ群は、複数のチャンバ群のうちの少なくとも他の1つとは独立して制御可能にルーティングされ得る。このようにして、複数のチャンバ群のうちの1つを、少なくとも1つの液圧アクチュエータに流体的に接続し、一方で、複数のチャンバ群のうちの別のものを、液圧装置の少なくとも1つの更なる液圧構成要素(更なる液圧アクチュエータ又はエネルギー貯蔵構成要素、例えば、液圧アキュムレータなど)に流体的に接続することが可能である。いくつかの例では、チャンバ群の1つ超が、液圧装置の液圧構成要素(液圧アクチュエータ又はエネルギー貯蔵構成要素など)に接続され得る。チャンバ群は、ポンプモジュールとも称され得る。
【0041】
液圧装置は、液圧回路内に少なくとも1つの更なる液圧流体コンシューマを備え得る。該コンシューマは、液圧機械に選択的に流体的に接続され得る。少なくとも1つの更なる液圧流体コンシューマが、更なる液圧作業機能で使用され得る。
【0042】
液圧装置のモード変更基準が満たされたという決定は、更なる液圧作業機能に対する要求の変更に応答し得る。更なる液圧作業機能に対する要求が増加した場合、モード変更基準が満たされたという決定に応答して、液圧装置は、液圧機械の複数のチャンバ群のうちの少なくとも1つを、少なくとも1つの液圧アクチュエータの第1のアクチュエータチャンバから隔離するように制御され得る。少なくとも1つのチャンバ群は、以前に少なくとも1つの液圧アクチュエータの第1のアクチュエータチャンバとともに流体連通していた複数のチャンバ群のうちの少なくとも2つのうちのものである。モード変更基準が満たされたという決定に応答して、液圧装置は、液圧機械の少なくとも1つのチャンバ群を、更なる液圧作業機能の要求を満たすために使用される更なる液圧構成要素と流体連通させるように更に制御され得る。したがって、液圧機械は、更なる液圧作業機能の要求を満たすことを補助するように再構成することができる。
【0043】
更なる液圧流体コンシューマからの要求が減少した場合、モード変更基準が満たされたという決定に応答して、液圧装置は、更なる液圧作業機能の以前の要求を満たすために以前に更なる液圧構成要素と流体連通していた液圧機械のチャンバ群の少なくとも1つを、更なる液圧構成要素から隔離して、複数のチャンバ群のうちの少なくとも1つを、少なくとも1つの液圧アクチュエータの第1のアクチュエータチャンバと流体連通させるように制御され得る。したがって、液圧機械は、更なる液圧作業機能が低減された要求を有するときに、少なくとも1つの液圧アクチュエータの運動要求をサポートするように再構成することができる。
【0044】
液圧装置に関してモード変更基準が満たされたという決定は、原動機速度の変化に応答し得る。原動機の減速に対して、液圧流体変位の速度も低下する。したがって、少なくとも1つの液圧アクチュエータと流体連通している液圧機械のチャンバ群の数を増加させることなく、液圧作業機能に対する速度要求を満たし続けるために、少なくとも1つの液圧アクチュエータを、通常モードでの動作から差動モードでの動作に変更することが必要であり得る。原動機の速度が増加した場合、複数の作業チャンバのうちの少なくとも1つによって達成することができる液圧流体変位の速度も増加する。したがって、少なくとも1つの液圧アクチュエータと流体連通している液圧機械のチャンバ群の数を増加させることなく、液圧作業機能に対する速度要求を満たし続けながら、少なくとも1つの液圧アクチュエータを、差動モードでの動作から通常モードでの動作に変更することが起こり得る。
【0045】
弁装置は、アクチュエータチャンバ接続弁を備え得る。アクチュエータチャンバ接続弁は、液圧回路内で2つのアクチュエータチャンバの間に提供され得る。アクチュエータチャンバ接続弁は、非比例弁であり得る。
【0046】
非比例弁は、通常、選択することができる少数の離散的な流れ状態のみを有し、少なくとも、弁が開いており、あったとしてもわずかな流れ制限でそこを通る液圧流体の流れを可能にする開状態、及び弁が閉じおり、少なくとも1つの方向にそこを通って液圧流体の流れを可能にする閉状態を含むことが理解されるであろう。おそらくは、閉状態は、弁を通したどちらの方向における液圧流体の流れも阻止する。非比例弁は、典型的には、ちょうど2つの流れ状態などの、5つよりも少ない離散的な流れ状態を含む。したがって、弁の状態は、開閉の間で迅速に変更することができ、これは、少なくとも1つの液圧アクチュエータの運動中に、少なくとも1つの液圧アクチュエータのモードが通常モードと差動モードの間で変更される場合に有用である。換言すれば、非比例弁は、起こり得る連続流れ状態の中の1つの流れ状態の選択を可能にしない場合がある。
【0047】
弁装置は、タンク弁と称され得る低圧流体リザーバ接続弁を備え得る。低圧流体リザーバは、タンク、単純にラベルと称され得、実際には、文字通りのタンクではない場合があり、又は文字通りのタンクであり得る。タンク弁は、液圧回路内で第2のアクチュエータチャンバとタンクとの間に提供され得る。タンク弁は、非比例弁であり得る。タンク弁の第1の状態では、一方向弁として構成され得、また、ポペット弁であり得る。具体的には、第1の状態では、タンク弁は、第2のアクチュエータチャンバからタンク弁を通ってタンクに向かう流体流れを実質的に阻止し、一方で、タンクからタンク弁を通って第2のアクチュエータチャンバに向かう流体流れを可能にするように配置され得る。タンク弁の第2の状態では、開放弁として構成され得、どちらかの方向へのそこを通る流体流れを可能にする。タンク弁は、5つよりも少ない流れ状態を含み得る。タンク弁は、ちょうど2つの流れ状態を含み得る。
【0048】
弁装置は、制御可能なオリフィスを備え得る。制御可能なオリフィスは、制限された量の液圧流体が制御可能なオリフィスを通過することを可能にする、制限された流れ状態に選択的に構成可能であり得る。制御可能なオリフィスは、制限された流れ状態よりも多くの量の液圧流体が通過することを可能にする、開いた流れ状態を更に含み得る。制御可能なオリフィスは、液圧回路内での第2のアクチュエータチャンバと低圧流体リザーバとの間に提供され得る。制御可能なオリフィスは、タンク弁と同様でもあり得る。
【0049】
1)弁装置の変更と、2)液圧機械及び第1のアクチュエータチャンバと流体連通している液圧回路の一部分を通って流れている液圧流体の流量の変更との間に、時間オフセットが存在し得る。換言すれば、弁装置の1つ以上の弁の状態の変更を生じさせるための弁制御信号は、流量制御信号と異なる時間に提供されて、液圧機械を通って流れている液圧流体の流量の変更を生じさせ得る。したがって、弁装置の弁の応答速度及び動作時間が液圧機械の弁のそれらと異なる場合、弁制御信号は、依然として、システム要求に従って液圧作業機能の滑らかな運動を維持することができる。液圧作業機能の滑らかな運動は、液圧機械を通る液圧流体の流量の変更とは異なる時間に弁の状態を変更させ始めることによって行われる。
【0050】
いくつかの例では、弁装置の状態の変更は、変位値の変更の前に始まり得るか、又はその後に始まり得る。
【0051】
時間オフセットは、0.5秒未満であり得る。時間オフセットは、200ミリ秒未満であり得る。時間オフセットは、10ミリ秒よりも長くあり得る。
【0052】
決定に応答して、変位値を変更するように液圧機械を制御するために、液圧機械は、液圧機械を通って流れている液圧流体の中間流量を実施し、その後に、液圧機械を通って流れている液圧流体の更なる流量を実施するように制御され得る。したがって、液圧機械は、初期流量と更なる流量との間で即時に切り替えるように制御され得ないが、いくつかの例では、中間流量へ切り替え得る。その結果、液圧作業機能の運動は、第1のアクチュエータチャンバと第2のアクチュエータチャンバとの間の一時的に相当な圧力差を考慮することによって、より滑らかに調節され得る。
【0053】
中間流量は、初期流量及び更なる流量によって画定された範囲外であり得る。更なる流量は、初期流量と中間流量との間であり得る。したがって、少なくとも1つの液圧アクチュエータが通常モードから差動モードに切り替えられるときに、液圧機械の中間流量を使用して、第1のアクチュエータチャンバを含む液圧回路の一部分にすでにある液圧流体と同様の圧力を有する液圧流体を、第2のアクチュエータチャンバを含む液圧回路の一部分に迅速に充填し、それによって、液圧作業機能の運動を調節することができる。
【0054】
いくつかの例では、中間流量は、0であり得る。中間流量は、液圧機械を反対方向に動作させるなどのためのものであり得る。換言すれば、液圧機械が以前にモータリングしていた場合、中間流量は、少なくとも一時的に、液圧機械をポンプ圧送させるなとのためのものであり得る。
【0055】
中間流量は、更なる流量とは反対の方向であり得、よって、液圧機械は、液圧流体を第2のアクチュエータチャンバに向かってポンプ圧送して、第2のアクチュエータチャンバの加圧を生じさせる。
【0056】
おそらくは、コントローラは、第2のアクチュエータチャンバの液圧が圧力閾値を満たしている(例えば、超えている)と決定することに応答して、液圧機械に、更なる流量に従って液圧機械を動作させるように構成される。
【0057】
液圧機械を通って流れている液圧流体の流量の変更は、流量の変更の所定の流量制限に応じて実施され得る。したがって、液圧機械を通って流れている液圧流体の流量は、所定の流量制限によって可能にされるほどに迅速にならずに変更するように制御され得る。所定の流量限度は、メモリに格納され得る。所定の流量限度は、液圧機械によって物理的に起こり得る流量の最大変化率よりも少なくなり得る。したがって、変化率は、通常モードと差動モードとの間での少なくとも1つの液圧アクチュエータの動作モードの変更中の液圧作業機能の滑らかな運動を維持するように制御され得る。
【0058】
液圧アクチュエータは、加圧液圧流体と動力学的運動との間でエネルギーを交換するための、実質的にあらゆる液圧構成要素であることが理解されるであろう。換言すれば、液圧アクチュエータは、加圧液圧流体によって移動可能な構成要素に及ぼされる力によって、移動可能な構成要素の運動を生じさせることによって、加圧液圧流体からエネルギーを抽出し得る。追加的又は代替的に、液圧アクチュエータは、移動可能な構成要素によって及ぼされる力によって液圧流体の加圧を生じさせることによって、移動可能な構成要素の運動からエネルギーを抽出し得る。
【0059】
動力学的運動は、直線的又は回転的であり得る。いくつかの例では、液圧アクチュエータは、液圧推進モータであり得る。
【0060】
別の態様から概観すると、上で説明した液圧装置が提供され、同じく上で説明したコントローラを備えている。
【0061】
明確に言及されていない場合、本明細書で記載された方法はまた、本明細書の他の場所に記載されているようにコントローラによって実行されるステップのいずれも含み得ることが理解されるであろう。
【0062】
本発明の例示的な実施形態を、以下の図を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0063】
図1】本明細書で説明される液圧装置の一例の概略図である。
図2】本明細書で説明される液圧装置の一部分の概略図である。
図3】本開示の一例による車両のシステムの概略図である。
図4】本明細書で説明される液圧機械を制御する方法を例示するフローチャートである。
図5】液圧機械の一例の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0064】
図1は、本明細書で説明される液圧装置の一例の概略図である。液圧装置100は、原動機102と、液圧機械104と、を備えている。液圧機械104は、原動機102と駆動係合している回転可能シャフト106を有している。この実施例では、液圧機械104は、複数の作業チャンバ群、特に、チャンバ群108a、108b、108c、108d、108eとも称される、5つの作業チャンバ群を画定する。液圧機械104、及び特に作業チャンバ群108a、108b、108c、108d、108eの詳細な動作は、下で図5を参照しながら更に説明される。図1には示されていないが、作業チャンバ群108a、108b、108c、108d、108eの各々は、典型的には、液圧回路内に複数の作業チャンバを備え、各作業チャンバは、部分的に、回転可能シャフト106に機械的に結合された移動可能な作業面によって画定され、よって、動作中に、液圧機械104は、作業面及び回転可能シャフト106の運動によって、エネルギーを液圧回路及び原動機102と交換する。
【0065】
液圧回路は、液圧流体が流れることができ、液圧機械104の作業チャンバのいずれかと流体連通している、又はさせることができる、液圧装置100の任意の部分によって画定されることが理解されるであろう。
【0066】
液圧装置100は、第1の液圧作業機能、この実施例ではブーム上げ作業機能110を備えている。ブーム上げ作業機能110は、第1の液圧アクチュエータ112a及び第2の液圧アクチュエータ112bを使用し、各々が、シリンダラムの形態で、ブーム上げ作業機能の動作によって移動される車両のブームの2つの相互に移動可能な構成要素の間に装着されている。第1の液圧アクチュエータ112aは、第1のアクチュエータチャンバ114aと、第2のアクチュエータチャンバ116aと、を備えている。同様に、第2の液圧アクチュエータ112bもまた、第1のアクチュエータチャンバ114bと、第2のアクチュエータチャンバ116bと、を備えている。アクチュエータチャンバ114a、114b、116a、116bの各々は、液圧回路である。第1の液圧アクチュエータ112aは、そこから第1の液圧アクチュエータ112aの第2のアクチュエータチャンバ116aを通って延在しているロッド120aを有する、ピストン118aを更に備えている。同様に、第2の液圧アクチュエータ112bもまた、そこから第2の液圧アクチュエータ112bの第2のアクチュエータチャンバ116bを通って延在しているロッド120bを有する、ピストン118bを備えている。第1の液圧アクチュエータ112aのロッド120aは、液圧アクチュエータ112a、112b、及びブーム122のうちの一方の運動が、液圧アクチュエータ112a、112b、及びブーム122のうちの他方の運動を生じさせるように、第2の液圧アクチュエータ112bのロッド120bに、及びブーム122に機械的に接続されている。
【0067】
アクチュエータ弁装置124は、液圧回路で第1の液圧アクチュエータ112a及び第2の液圧アクチュエータ112bと液圧機械104との間に提供され、更に、低圧流体リザーバ126と流体連通している。図1に示されていないが、アクチュエータ弁装置124は、典型的には、各々がそこを通る少なくとも1つの方向における流体の流れを制限するための複数の弁を備えている。複数の弁のうちの少なくとも1つは、少なくとも2つの動作状態の間で選択的に変更するように制御可能である。アクチュエータ弁装置124は、第1の液圧アクチュエータ112a及び第2の液圧アクチュエータ112bの第1のアクチュエータチャンバ114a、114bの両方と流体連通しており、それとは別に、第1の液圧アクチュエータ112a及び第2の液圧アクチュエータ112bの第2のアクチュエータチャンバ116a、116bの両方と流体連通している。アクチュエータ弁装置124は、第1のアクチュエータチャンバ114a、114b(シリンダラムの各々の底部に位置する)と、液圧機械104及び第2のアクチュエータチャンバ116a、116b(シリンダラムの各々の頂部に位置する)のうちの1つ以上との間で、液圧回路の部品を介して、液圧流体を選択的にルーティングするように制御することができ、また、第2のアクチュエータチャンバ116a、116bと、第1のアクチュエータチャンバ114a、114b及び低圧流体リザーバ126のうちの1つ以上との間で、液圧回路を介して、液圧流体を選択的にルーティングするように制御することができる。換言すれば、アクチュエータ弁装置124は、第1の構成において、第2のアクチュエータチャンバ116a、116bを低圧流体リザーバ126と流体連通させる代わりに、第1のアクチュエータチャンバ114a、114bを液圧機械104と流体連通させ、かつ第1のアクチュエータチャンバ114a、114bを第2のアクチュエータチャンバ116a、116bから隔離するように構成されている。アクチュエータ弁装置124は、更に、第2の構成において、第1のアクチュエータチャンバ114a、114b(シリンダラムの底部に位置する)を液圧機械104と、第2のアクチュエータチャンバ116a、116bと流体連通させ、かつ低圧流体リザーバ126を第2のアクチュエータチャンバ116a、116bから隔離するように構成されている。アクチュエータ弁装置124の例示的な構成及びその動作は、下で図2を参照しながらより詳細に示され、説明される。
【0068】
液圧装置100は、集合配置128の形態の液圧機械弁装置128を更に備えている。集合配置128は、液圧回路を介して、液圧機械104の作業チャンバを液圧装置100の他の構成要素と選択的に流体連通させるための複数の弁を備えている。
【0069】
他の構成要素は、液圧アキュムレータ130の形態のエネルギー貯蔵構成要素130と、1つ以上の更なる液圧サービス、この実施例では、6つの更なる液圧サービス132、134、136、138、140、142と、を備えている。6つの更なる液圧サービス132、134、136のうちの3つは、第1の導管144を介して、集合配置128に制御可能に流体的に接続されている。6つの更なる液圧サービス138、140、142のうちの更なる3つは、第1の導管144とは別の第2の導管146を介して、集合配置128に制御可能に流体的に接続されている。更なる弁(図1に示さず)が、集合配置128と、更なる液圧サービス132、134、136、138、140、142の各々との間に流体的に接続され得ることが理解されるであろう。更なる液圧サービスの各々はまた、低圧流体リザーバ126などの他の液圧回路構成要素にも選択的に接続され得るが、これらの接続は、簡単にするために省略されている。
【0070】
図1はまた、集合配置128に示される弁の例示される設定に基づく液圧流体のルーティングを示す、両頭破線矢印も含んでいる。
【0071】
液圧装置100は、液圧装置100の少なくとも液圧機械104、アクチュエータ弁装置124、及び集合配置128を制御するように構成されたコントローラ(図1に示さず)を更に備えている。コントローラの動作は、下で図4を参照しながら更に説明される。いくつかの例では、液圧装置を、液圧装置の1つ以上の構成要素を制御するための別個のコントローラに接続することができるが、それでもなお液圧装置であるとみなすことができることが理解されるであろう。
【0072】
図2は、本明細書で説明される液圧装置の一部分の概略図である。具体的には、液圧装置の一部分200は、各々がシリンダラムの形態であり、ともに液圧作業機能210で使用される、第1の液圧アクチュエータ212aと、第2の液圧アクチュエータ212bと、を備えている。第1の液圧アクチュエータ212aは、第1のアクチュエータチャンバ214aと、第2のアクチュエータチャンバ216aと、を備えている。同様に、第2の液圧アクチュエータ212bもまた、第1のアクチュエータチャンバ214bと、第2のアクチュエータチャンバ216bと、を備えている。アクチュエータチャンバ214a、214b、216a、216bの各々は、液圧回路250内にある。第1の液圧アクチュエータ212aは、そこから第1の液圧アクチュエータ212aの第2のアクチュエータチャンバ216aを通って延在しているロッド220aを有する、ピストン218aを更に備えている。同様に、第2の液圧アクチュエータ212bもまた、そこから第2の液圧アクチュエータ212bの第2のアクチュエータチャンバ216bを通って延在しているロッド220bを有する、ピストン218bを備えている。図2に示されていないが、典型的には、第1の液圧アクチュエータ212aのロッド220aは、ピストンがともに移動するように、第2の液圧アクチュエータ212bのロッド220bに機械的に接続されている。
【0073】
アクチュエータ弁装置224は、Hブリッジ224の形態で、液圧回路250内で第1の液圧アクチュエータ212a及び第2の液圧アクチュエータ212bと液圧機械204との間に提供され、更に、低圧流体リザーバ226と流体連通している。
【0074】
アクチュエータ弁装置224は、本明細書で説明されるように液圧装置を機能させるように制御可能な複数の弁を備えている。液圧回路250は、複数の導管で形成されている。複数の導管は、第1のアクチュエータチャンバ214a、214bの両方をアクチュエータ弁装置224と接続している、第1のチャンバ導管252を備えている。複数の導管は、第2のアクチュエータチャンバ216a、216bの両方をアクチュエータ弁装置224と接続している、第2のチャンバ導管254を更に備えている。複数の導管は、液圧機械204をアクチュエータ弁装置224に接続している液圧機械導管256と、低圧流体リザーバ226をアクチュエータ弁装置224に接続している低圧リザーバ導管258と、を更に備えている。アクチュエータ弁装置224は、第1の弁260と、第2の弁262と、第3の弁264と、第4の弁266と、を備えている。
【0075】
第1の弁260は、第2のチャンバ導管254と低圧リザーバ導管258との間の流れを制御する。第1の位置において、第1の弁260は、低圧リザーバ導管258から第2のチャンバ導管254に向かってのみ液圧流体の流れを可能にし、一方で、第2のチャンバ導管254から低圧リザーバ導管258に向かう液圧流体の流れを実質的に阻止するように構成されている。第2の位置において、第1の弁260は、第2のチャンバ導管254から低圧リザーバ導管258に向かう液圧流体の流れを可能にするように構成されている。第1の弁260は、第2の位置において複数の異なる流体流量を実施するために、比例的に制御することができる。
【0076】
第2の弁262は、第2のチャンバ導管254と液圧機械導管256との間の流れを制御する。第1の位置において、第2の弁262は、第2のチャンバ導管254から液圧機械導管256に向かってのみ液圧流体の流れを可能にし、一方で、液圧機械導管256から第2のチャンバ導管254に向かう液圧流体の流れを実質的に阻止するように構成されている。第2の位置において、第2の弁262は、液圧機械導管256と第2のチャンバ導管254との間でいずれかの方向にも液圧流体の流れを可能にするように構成されている。第2の弁262は、ソレノイド作動式である。
【0077】
第3の弁264は、第1のチャンバ導管252と液圧機械導管256との間の流れを制御する。第1の位置において、第3の弁264は、第1のチャンバ導管252から液圧機械導管256に向かってのみ液圧流体の流れを可能にし、一方で、液圧機械導管256から第1のチャンバ導管252に向かう液圧流体の流れを実質的に阻止するように構成されている。第2の位置において、第3の弁264は、液圧機械導管256と第1のチャンバ導管252との間でいずれかの方向にも液圧流体の流れを可能にするように構成されている。第3の弁264は、ソレノイド作動式である。
【0078】
第4の弁266は、第1のチャンバ導管252と低圧リザーバ導管258との間の流れを制御する。第1の位置において、第4の弁266は、低圧リザーバ導管258から第1のチャンバ導管252に向かってのみ液圧流体の流れを可能にし、一方で、第1のチャンバ導管252から低圧リザーバ導管258に向かう液圧流体の流れを実質的に阻止するように構成されている。第2の位置において、第4の弁266は、低圧リザーバ導管258と第1のチャンバ導管252との間でどちらかの方向にも液圧流体の流れを可能にするように構成されている。第4の弁266は、第2の位置において複数の異なる流体流量を実施するために、比例的に制御することができる。
【0079】
第1、第2、第3、及び第4の弁(260、262、264、266)の各々は、第1の位置(図2に示す)と第2の位置との間で移動可能な電子的に制御可能な弁である。
【0080】
アクチュエータ弁装置224は、液圧機械導管256に危険な圧力蓄積が生じた場合に、液圧機械導管256を低圧リザーバ導管258に直接接続することを可能にする、安全弁268を更に含んでいる。
【0081】
装置は、第1のアクチュエータ安全弁270と、第2のアクチュエータ安全弁272と、を更に備えており、これらは各々、装置の電子制御システムの故障が生じた場合に、第1のアクチュエータ212a及び第2のアクチュエータ212bがそれぞれ制御不可能に下降することを阻止するように動作する。
【0082】
図3は、本開示の一例による車両のシステムの概略図である。車両300は、液圧機械320及びコントローラ330を含む、本明細書で説明される液圧装置310を備えている。コントローラ330は、信号325を液圧機械320と交換して、コントローラ330によって受信された入力信号に従って、例えば、車両300のオペレータによるユーザ入力から、液圧装置310を制御するように構成されている。コントローラ330は、この実施例では、1つ以上のプロセッサ340及びコンピュータ可読メモリ350によって実現されている。メモリ350は、1つ以上のプロセッサ340によって実行されたときに、本明細書で説明されるように液圧装置310を動作させる命令を格納している。
【0083】
コントローラ330は、車両300の一部であるものとして示されているが、コントローラ330の1つ以上の構成要素、更にはコントローラ330全体を、車両300とは別に、例えば、車両300から遠隔に提供して、無線通信によって車両300と信号を交換することができることが理解されるであろう。
【0084】
図4は、本明細書で説明される液圧機械を制御する方法を例示しているフローチャートである。方法400は、通常動作モードと差動動作モードとの間の少なくとも1つの液圧アクチュエータの移行中に、液圧機械を含む液圧装置を制御する方法である。具体的には、方法400は、液圧装置のモード変更基準が満たされたことを決定すること410を含む。換言すれば、方法は、1つ以上のパラメータに基づいて、少なくとも1つの液圧アクチュエータの動作モードを、現在の動作モードから異なる動作モードに(すなわち、通常モードから差動モードに、又はその逆に)移行させなければならないと決定することを含む。上で説明したように、少なくとも1つの液圧アクチュエータの動作モードを変更しなければならないという決定は、1)液圧アクチュエータの要求された速度、2)液圧機械に接続された更なる液圧作業機能に対する代わりの動作の要求、及び3)原動機のシャフト速度の変更、のうちの1つ以上に依存し得る。
【0085】
方法400は、決定に応答して、少なくとも1つの液圧アクチュエータの動作モードをモード間で変更するように弁装置を制御すること420を更に含む。具体的には、少なくとも1つの液圧アクチュエータを通常モードで動作させるために、液圧アクチュエータの第1のチャンバは、液圧アクチュエータの第2のチャンバから流体的に隔離され、かつ液圧機械と流体的に接続される。典型的には、第2のチャンバは、低圧流体リザーバと流体的に接続されている。少なくとも1つの液圧アクチュエータを差動モードで動作させるために、液圧アクチュエータの第1のチャンバは、液圧機械の液圧アクチュエータ及び第2のチャンバの両方に同時に流体的に接続される。
【0086】
また、決定に応答して、方法400は、液圧機械及び少なくとも1つの液圧アクチュエータと流体連通している液圧回路の一部分を通って流れている液圧流体の流量(例えば、液圧機械の変位画分)を変更するように液圧機械を制御すること430を更に含む。上で説明したように、アクチュエータの動作モードを通常から差動に、又は差動から通常に変更する場合、液圧アクチュエータの運動中に、液圧アクチュエータの第1のチャンバと液圧機械との間で交換されている液圧流体の割合が非常に短い時間で大幅に変化する。したがって、液圧機械を通る液圧流体の流量もまた、移行中の液圧アクチュエータの滑らかな運動を確実にするために変更することが必要である。具体的には、液圧アクチュエータの通常動作モードから液圧アクチュエータの差動動作モードへの移行中には、流量を低減させることが必要である。反対に、液圧アクチュエータの差動動作モードから液圧アクチュエータの通常動作モードへの移行中には、流量を増加させことが必要である。
【0087】
図5は、図1及び2に示される液圧装置の部品の概略図であり、現在高圧マニホールド554を通して1つ以上の液圧構成要素(例えば、アクチュエータ)に接続されている単一の作業チャンバ群を示す。図5は、第1の群500に関する詳細を提供するが、該群は、シリンダの内面によって画定された作業容積526を有するシリンダ524を有する複数の作業チャンバ(8つが示されている)と、偏心カム532によって回転可能シャフト530から駆動され、シリンダ内を往復運動してシリンダの作業容積を変化させるピストン528(作業面528を提供する)と、を備えている。回転可能シャフトは、駆動シャフトに強固に接続されて、ともに回転する。シャフト位置及び速度センサ534は、電気信号を信号線536通してコントローラ550に送信し、したがって、コントローラが、シャフトの瞬間的な角度位置及び回転速度を決定すること、及び各シリンダのサイクルの瞬時位相を決定することを可能にする。
【0088】
作業チャンバは、各々が、関連付けられた作業チャンバを有する電子作動面シーリングポペット弁552の形態で低圧弁(LPV)と関連付けられており、また、選択的に、作業チャンバから、1つ又は複数の作業チャンバを接続し得る低圧液圧流体マニホールド554まで、又は実際に本明細書に示されているように全てまで、低圧液圧流体マニホールド液圧回路まで延在しているチャネルをシールするように動作可能である。LPVは、常開ソレノイド作動弁であり、これは、作業チャンバ内の圧力が低圧液圧流体マニホールド内の圧力以下であるときに、すなわち、吸気ストローク中に受動的に開いて、作業チャンバを低圧液圧流体マニホールドと流体連通させるが、作業チャンバの低圧液圧流体マニホールドとの流体連通を解除させるために、LPV制御線556を介したコントローラのアクティブ制御下で選択的に閉鎖可能である。弁は、代替的に常閉弁であり得る。圧力差から弁全体にわたって生じる力と同様に、弁を横断する流体の通過による流れ力もまた、可動弁部材への正味力に影響を及ぼす。
【0089】
作業チャンバは、各々が圧力作動吐出弁の形態で、各々が高圧弁(HPV)564と更に関連付けられている。HPVは、それらのそれぞれの作業チャンバから外向きに開いており、また、各々が、弁ブロックを通して、作業チャンバから、1つ又は複数の作業チャンバを、又は実際に図5に示されるように全てを接続し得る、高圧液圧流体マニホールド558まで延在しているそれぞれのチャネルをシールするように動作可能である。HPVは、作業チャンバ内の圧力が高圧液圧流体マニホールド内の圧力を超えたときに受動的に開く、常閉圧力開放逆止弁として機能する。HPVはまた、HPVが、関連付けられた作業チャンバ内の圧力によって開かれた時点で、コントローラがHPV制御線562を介して選択的に開いた状態に保持し得る、常閉ソレノイド作動逆止弁としても機能する。典型的には、HPVは、コントローラによって高圧液圧流体マニホールドの圧力に対して開放可能ではない。HPVは、追加的に、高圧液圧流体マニホールド内に圧力が存在するが、作業チャンバ内には存在しないときに、コントローラの制御下で開放可能であり得るか、又は部分的に開放可能であり得る。
【0090】
ポンプ圧送モードにおいて、コントローラは、低圧液圧流体マニホールドへの経路を閉じる、関連付けられた作業チャンバのサイクルにおける典型的には最大容積点の近くで、LPVの1つ以上を能動的に閉じることによって、液圧モータによって作業チャンバから高圧液圧流体マニホールドまでの液圧流体の正味の変位率を選択し、それによって、液圧流体を、関連付けられたHPVを通して、後続の収縮ストロークに指向させる(しかし、HPVを能動的に開いた状態に保持しない)。コントローラは、流れを生成するか又はシャフトトルク若しくは動力を作成して、選択された正味の割合を満たすように、LPV閉鎖及びHPV開放の数及びシーケンスを選択する。
【0091】
モータリング動作モードにおいて、コントローラは、高圧液圧流体マニホールドを介して変位される、液圧流体の正味の変位率を選択し、関連付けられた作業チャンバのサイクルの最小体積点の直前でLPVの1つ以上を能動的に閉鎖し、作業チャンバ内の液圧流体を収縮ストロークの残部によって圧縮させる、低圧液圧流体マニホールドへの経路を閉じる。関連付けられたHPVは、そこを横断する圧力が同等になったときに開かれて、少量の液圧流体が、コントローラによって開いた状態に保持されている関連付けられたHPVを通して外へ指向される。コントローラは、次いで、典型的には、関連付けられた作業チャンバのサイクルの最大容積の近くまで、関連付けられたHPVを能動的に開いた状態に保持し、液圧流体を高圧液圧流体マニホールドから作業チャンバまで流入させて、トルクを回転可能シャフトに適用する。
【0092】
サイクルベースで、LPVが閉じていないか、又は開いた状態を保持しているかを決定することと同様に、コントローラは、異なる作業チャンバ容積に対するHPVの閉鎖の正確な位相を変化させ、それによって、高圧から低圧液圧流体マニホールドへの、又はその反対の正味の変位率を選択するように動作可能である。
【0093】
低圧流体接続506及び高圧流体接続521上の矢印は、モータリングモードにおける液圧流体流れを示し、ポンプ圧送モードでは、流れが反転する。圧力解放弁566は、第1の群を損傷から保護し得る。
【0094】
通常動作では、作業チャンバ容積のアクティブ及び非アクティブサイクルは、液圧機械制御信号によって示される要求を満たすために散在されている。
【0095】
本明細書の説明及び特許請求の範囲の全体にわたって、「備える」、「含む」という用語、及びそれらの変形形態は、「含むが限定されない」ことを意味し、それらは、他の構成要素、整数、又はステップを除外すること意図しておらず、除外するものではない。本明細書の説明及び特許請求の範囲の全体にわたって、単数形は、文脈上他に要求されない限り、複数形を包含する。特に、不定冠詞が使用されている場合、明細書は、文脈上他に要求されない限り、複数形並びに単数形を想到するものとして理解されたい。
【0096】
本発明の特定の態様、実施形態、又は実施例と併せて記載された特徴、整数、特性、又は群は、互いに矛盾していない限り、本明細書に記載された任意の他の態様、実施形態、又は実施例に適用可能であることを理解されたい。本明細書(任意の添付の特許請求の範囲、要約書、及び図面を含む)に開示された全ての特徴、及び/又はそのように開示された任意の方法若しくはプロセスの全てのステップは、そのような特徴及び/又はステップの少なくとも一部が互いに排他的である組み合わせを除いて、任意の組み合わせで組み合わせられ得る。本発明は、いかなる前述の実施形態の詳細にも限定されない。本発明は、本明細書(任意の添付の特許請求の範囲、要約書、及び図面を含む)に開示された特徴の任意の新規なもの若しくは任意の新規な組み合わせにまで、又はそのように開示された任意の方法若しくはプロセスのステップの任意の新規なもの若しくは任意の新規な組み合わせにまで及ぶ。
図1
図2
図3
図4
図5