IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ラディシス インディア プライベート リミティドの特許一覧

特開2023-67860UE DCオフセットの存在下でダウンリンクMIMOのスループットの改善を促進する方法及びシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023067860
(43)【公開日】2023-05-16
(54)【発明の名称】UE DCオフセットの存在下でダウンリンクMIMOのスループットの改善を促進する方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   H04B 7/0426 20170101AFI20230509BHJP
【FI】
H04B7/0426
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022174626
(22)【出願日】2022-10-31
(31)【優先権主張番号】202141049699
(32)【優先日】2021-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(71)【出願人】
【識別番号】522130748
【氏名又は名称】ラディシス インディア プライベート リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】ゴーピクリシュナ チャリパディ
(72)【発明者】
【氏名】サイカット セナパティ
(57)【要約】
【課題】本発明は、UE DCオフセットの存在下でのダウンリンクMIMOセクタースループットの改善を促進するための方法及びシステムを提供する。
【解決手段】システムは、複数のUEからBLERを受信し、UEにおけるDL BLERを計算するL1によって追跡を行い、DCサブキャリアを含むRBを割り当てられたUEからのBLERが目標BLERを超えているか否かをチェックし、そうである場合、L1は、DCサブキャリアを含むREのパワ-を3dBのステップで増加させる。UEのBLERが改善された場合、L1は、DCサブキャリアREのパワ-の更なる増加を停止する。L1は、改善されたUE/セクターのスループット及びサブキャリアREの電力を維持する。さらに、システムは、互いに異なる帯域幅を有する複数の5G NR UEをサポートし、UEの各々のDCキャリアを、予め定められた命令のセットにより、L2によって対処することができる。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セクタースループットの改善を促進するためのシステム(110)であって、
複数のユーザ機器(UE)に動作可能に結合された一つ以上のプロセッサであって、前記複数のUEは、多入力多出力(MIMO)基地局とのダウンリンク通信チャネルを更に有する、一つ以上のプロセッサを備え、
前記一つ以上のプロセッサ(202)は、メモリ(204)に格納されている実行可能命令のセットを実行し、実行時に、前記プロセッサ(202)は、
UEの各々からのダウンリンク(DL)フィードバック通信信号に関連するデータパケットのセットを前記複数のUE(104)から受信することと、
前記UEの各々におけるDLブロックエラ-率(BLER)に関連する第1のセットの属性を、受信した前記データパケットのセットから抽出することと、
抽出された前記第1のセットの属性に基づいて、前記UEの各々の平均BLERを決定することと、
前記UEの各々の決定した前記平均BLERと、予め定められた目標BLERとを比較することと、
直流(DC)サブキャリアを含むリソースブロック(RB)を前記UEの各々に割り当てているか否かを判断することと、
決定した前記平均BLERがUEにおいて前記予め定められた目標BLERよりも大きく、かつ、DCサブキャリアモジュールを含むリソースブロック(RB)を前記UEに割り当てている場合、前記DCサブキャリアを含むRBにおける前記DCサブキャリアの電力レベルを予め定められた最大レベルまで増加させることと、
を前記システム(110)に行わせる、システム(110)。
【請求項2】
前記BLERの予め定められたレベルへの減少に応答して、前記UEのスループットが、予め定められたレベルまで増加する、請求項1に記載のシステム(110)。
【請求項3】
前記UEにおいてBLERが予め定められたレベルまで改善される場合、前記一つ以上のプロセッサは、
前記DCサブキャリアの更なる電力増加のスケジュ-リングを防止し、
前記UEが電力レベルの観点から基地局に近づくまで前記UEの前記DCサブキャリアの電力を維持し続けるように更に構成された、請求項1に記載のシステム(110)。
【請求項4】
前記一つ以上のプロセッサは、
DCキャリアを含む前記RBの増加した前記DCサブキャリアの電力レベルを下げ、
前記DCキャリアを含む前記RBのフルスループットを維持するように更に構成された、請求項1に記載のシステム(110)。
【請求項5】
前記一つ以上のプロセッサは、
前記UEから受信した一つ以上のUEパワーヘッドルームレポートの追跡の一つ以上のレポートに基づいて、前記UEの電力レベルが前記MIMO基地局の電力レベルに近づいたか否かを判断し、
DCキャリアの電力レベルの上昇を予め定められた量だけ減少させるように更に構成された、請求項1に記載のシステム(110)。
【請求項6】
前記一つ以上のプロセッサは、
前記UEから受信した一つ以上のUEパワーヘッドルームレポートの追跡の一つ以上のレポートに基づいて、前記UEが高い信号強度でダウンリンク通信信号を受信しているか否かを判断し、
前記DCキャリアの電力レベルの上昇を予め定められた量だけ減少させるように更に構成された、請求項4に記載のシステム(110)。
【請求項7】
前記DCサブキャリアの電力レベルの上昇を介して前記BLERが予め定められた目標BLER未満に改善されない場合、前記一つ以上のプロセッサは、
前記BLERがDCオフセットのリークに起因するものではないと結論付け、
前記BLERが前記DCオフセットのリークに起因するものではないという結論に基づいて、前記DCサブキャリアの電力レベルの増加を終了するように更に構成された、請求項1に記載のシステム(110)。
【請求項8】
前記一つ以上のプロセッサは、前記複数のUEがフルキャリア帯域幅を受信することをサポートするために、複数の帯域幅チャネルに動作可能に結合された、請求項1に記載のシステム(110)。
【請求項9】
前記一つ以上のプロセッサは、互いに異なる帯域幅部分を有する前記複数のUEをサポートするように構成され、前記UEの各々の前記DCサブキャリアが5Gスペクトルの互いに異なる帯域幅に位置する、請求項8に記載のシステム(110)。
【請求項10】
前記一つ以上のプロセッサは、互いに異なる帯域幅に属する前記UEの各々の前記DCサブキャリアの位置を決定するように構成された、請求項9に記載のシステム(110)。
【請求項11】
予め定められた目標BLERよりも低いBLERを達成するために、DCキャリアの電力レベルは、予め定められたデシベル(dB)のステップで増加する、請求項1に記載のシステム(110)。
【請求項12】
セクタースループットの改善を促進するための方法であって、
一つ以上のプロセッサによって、UEの各々からのダウンリンク(DL)フィードバック通信信号に関連するデータパケットのセットを前記複数のUE(104)から受信することであって、
前記一つ以上のプロセッサは、複数のユーザ機器(UE)に動作可能に結合され、前記複数のUEは、多入力多出力(MIMO)基地局とのダウンリンク通信チャネルを更に有する、一つ以上のプロセッサを備え、
前記一つ以上のプロセッサ(202)は、メモリ(204)に格納されている実行可能命令のセットを実行することと、
前記一つ以上のプロセッサによって、前記UEの各々におけるDLブロックエラ-率(BLER)に関連する第1のセットの属性を、受信した前記データパケットのセットから抽出することと、
前記一つ以上のプロセッサによって、抽出された前記第1のセットの属性に基づいて、前記UEの各々の平均BLERを決定することと、
前記一つ以上のプロセッサによって、抽出された前記第1のセットの属性に基づいて、前記UEの各々の平均BLERを決定することと、
前記一つ以上のプロセッサによって、直流(DC)サブキャリアを含むリソースブロック(RB)を前記UEの各々に割り当てているか否かを判断することと、
決定した前記平均BLERがUEにおいて前記予め定められた目標BLERよりも大きく、かつ、DCサブキャリアモジュールを含むリソースブロック(RB)を前記UEに割り当てている場合、前記一つ以上のプロセッサによって、前記DCサブキャリアを含むRBにおける前記DCサブキャリアの電力レベルを予め定められた最大レベルまで増加させることと、
を備える方法。
【請求項13】
前記BLERの予め定められたレベルの減少によって、前記UEのスループットが、予め定められたレベルまで増加する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記UEにおいてBLERが予め定められたレベルまで改善される場合、
前記一つ以上のプロセッサによって、前記DCサブキャリアの更なる電力増加のスケジュ-リングを防止するステップと、
前記一つ以上のプロセッサによって、前記UEが電力レベルの観点から基地局に近づくまで前記UEの前記DCサブキャリアの電力を維持し続けるステップと、
を更に備える、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記一つ以上のプロセッサによって、DCキャリアを含む前記RBの増加した前記DCサブキャリアの電力レベルを下げるステップと、
前記一つ以上のプロセッサによって、前記DCキャリアを含む前記RBのフルスループットを維持するステップと、
を更に備える、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記一つ以上のプロセッサによって、前記UEから受信した一つ以上のUEパワーヘッドルームレポートの追跡の一つ以上のレポートに基づいて、前記UEの電力レベルが前記MIMO基地局の電力レベルに近づいたか否かを判断するステップと、
前記一つ以上のプロセッサによって、DCキャリアの電力レベルの上昇を予め定められた量だけ減少させるステップと、
を更に備える、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記一つ以上のプロセッサによって、前記UEから受信した一つ以上のUEパワーヘッドルームレポートの追跡の一つ以上のレポートに基づいて、前記UEが高い信号強度でダウンリンク通信信号を受信しているか否かをするステップと、
前記一つ以上のプロセッサによって、DCキャリアの電力レベルの上昇を予め定められた量だけ減少させるステップと、
を更に備える、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記DCサブキャリアの電力レベルの上昇を介して前記BLERが所定の目標BLER未満に改善されない場合、
前記一つ以上のプロセッサによって、前記BLERがDCオフセットのリークに起因するものではないと結論付けるステップと、
前記BLERが前記DCオフセットのリークに起因するものではないという結論に基づいて、前記一つ以上のプロセッサによって、前記DCサブキャリアの電力レベルの増加を終了するステップと、
を更に備える、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
前記一つ以上のプロセッサは、前記複数のUEがフルキャリア帯域幅を受信することをサポートするために、複数の帯域幅チャネルに動作可能に結合された、請求項12に記載の方法。
【請求項20】
前記一つ以上のプロセッサは、互いに異なる帯域幅部分を有する前記複数のUEをサポートするように構成され、前記UEの各々の前記DCサブキャリアが5Gスペクトルの互いに異なる帯域幅に位置する、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、一般に、多入力多出力通信システムにおけるデータ伝送のための方法及び装置に関し、更に詳しくは、一つ以上のユ-ザ機器にDCオフセットがあるときに複数のコードブロックによる伝送の性能を向上させることに関する。
【背景技術】
【0002】
以下の関連技術の説明は、本開示の分野に関連する背景情報を提供することを意図している。このセクションは、本開示の様々な特徴に関連するかもしれない技術の特定の態様を含むことがある。しかしながら、このセクションは、本開示に関する読者の理解を深めるためにのみ使用されるとともに先行技術の容認として使用されないことを理解されたい。
【0003】
マルチアンテナ通信システムは、一般に、多入力多出力(MIMO)システムと呼ばれ、無線通信において通信システムの性能を向上させるために広く使用されている。MIMOシステムでは、送信機は、独立した信号を送信することができる複数のアンテナを備え、受信機は、複数の受信アンテナを備える。高度な無線システムでは、多くのMIMO機構がよく利用されている。
【0004】
チャネル条件が好ましい場合(例えば、移動速度が低い場合)、システム性能を向上させるために閉ループ多重入力多重出力(MIMO)機構を使用することができる。閉ループMIMOシステムにおいて、受信機は、チャネル条件を送信機にフィードバックする、及び/又は、好適には、MIMO処理機構を送信する。送信機は、スケジュ-リングの優先順位、データ及びリソースの可用性のような他の考慮事項と共にトランスポート機構を共同で最適化するために、このフィードバック情報を使用する。この最適化の閉ループMIMO機構は、MIMOプリコーディングと呼ばれる。プリコーディングの場合、トランスポートストリームは、複数の送信アンテナに渡される前にプリコーディングマトリックスによって事前に多重化される。多入力多出力(MIMO)システムの別の態様は、送信のために複数のデータストリームを別々にエンコード又は符号化することである。データ伝送のための全てのレイヤは、単一符号語(SCW)MIMOシステムにおいて一緒に符号化され、全てのレイヤは、多重符号語(MCW)システムにおいて別々に符号化される。LTE(ロングタームエボリューション)では、ダウンリンクにSU-MIMO(シングルユ-ザMIMO)とMU-MIMO(マルチユ-ザMIMO)が使用される。
【0005】
互いに異なるコードブロックからの変調シンボルへの符号化ビットのマッピング並びに時間、周波数及び空間リソースへの自己変調シンボルのマッピングを含むチャネルインターリーバは、各コードブロックが略同一になるように慎重に設計される。複数のコードブロックを送信する場合、受信機が他のコードブロックの変調シンボルを復調する間にいくつかのコードブロックの復号を開始できるようにすることが有益である。ロングタームエボリューション(LTE)システム及び5G次世代無線(NR)システムでは、復調及び復号中に十分な参照信号がない場合にチャネル推定性能に悪影響を及ぼす可能性があるので、上記のアプロ-チには課題がある。
【0006】
既存のMIMOシステムでは、20Mhzキャリア帯域幅におけるダウンリンクの少なくとも八つのユーザ機器(UE)の送信時間間隔(TTI)、256ビット直交振幅変調(QAM)を使用した4x4MIMOによる無線リンク制御(RLC)確認応答モード(RLC_AM)及びRLC非確認応答モードTCP/UDPデータ、すなわち、8UE/TTI、DL 4x4 MIMO、256-QAM、RLC_AM/RLC_UM、伝送制御プロトコル(TCP)/ユーザーデータグラムプロトコル(UDP)データをテストしたとき、5%~10%のブロック誤り率(BLER)が観測された。その結果、20Mhzでは404MBpsのスループットの代わりに380MBpsのスループットしか得られないことが判明した。例えば、8UE/TTI,106リソースブロック(RB)(20Mhz)において、各UEに割り当てられるRB数は少なくとも13RB(L2によるRB均等割り付け)であった。この8UEのうち、特に1UEが影響を受け、常に、BLER(巡回冗長検査(CRC)失敗)のほとんどを示すことが判明した。すなわち、
UE#1:prb=1:13; CRC成功
UE#2:prb=14:13; CRC成功
UE#3:prb=27:13; CRC成功
UE#4:prb=40:13; CRC成功
UE#5:prb=53:13; CRC失敗
UE#6:prb=66:13; CRC成功
UE#7:prb=79:14; CRC成功
UE#8:prb=93:12; CRC成功
である。
【0007】
一貫してCRCが失敗した影響を受けたUE#5は、その13個のRB内にDCサブキャリアを含むRBが割り当てられていたものであった。このUEの13個のRBで報告された平均チャネル品質インジケータ(CQI)は非常に良好(CQI=15)であるので、L2スケジュ-ラは、フルスループットのために最高のMCS=27(符号レート0.92578125)で最高の変調順序すなわち256-QAMを割り当てた。しかしながら、この高符号レートによる冗長ビットが非常に少ないので、UEの受信機にDCオフセットが残っているとき、以下の表に示すように1スロット当たりの受信総量13824ビットのうちのDCキャリアを含むRBで1152ビットがエラーになる(すなわち、スロットごとに8%のエラー)。したがって、このUEは、常に高いCRC失敗を示した。以下の表は、UE#5のCRC失敗の強調を示す。
【表1】
【0008】
したがって、全体として6%のセクタースループットBLERとなり、理論値405MBpsの代わりに380MBpsのスループットとなった。さらに、直接変換受信機では、直流(DC)オフセットが問題となる。直接変換受信機は、コストが低い(低BOM)ためにUEデバイスで人気がある。DCオフセットは、局部発振器リークとも呼ばれ、局部発振器リークが受信機ミキサで反射して自己混合されるために発生する。DCオフセットの他の発生源、すなわち、アナログ-デジタルコンバータ(ADC)、IQ受信機経路の非対称性等がある。重要なのは、今日の高周波集積回路(RFIC)が複雑な動的DCオフセット除去回路を備えることができるとしてもDCオフセットが-60dBm程度の限られた範囲でしか除去できないことである(アナログデバイスの最新の5G RFIC ADRV9029からの下の表2を参照)。UEデバイスが5G基地局から更に離れている場合、-60dBmの残留DCオフセットは、依然として大きな割合を形成し、この場合、受信したUEの信号のレベルは、ADCデジタル出力が受信信号のダイナミックレンジを失い始めるように設定される。その理由は、ADCの自動利得制御(AGC)が既に最大(典型的には、ADI RFICでは最大40dB AGC)であるとともにUEが遠ざかるに従って低い受信信号をもはや高めることができないからである。その結果、UE RFIC出力におけるAGC後の受信信号の通常12ビット IQ ADCフルスケ-ル・ビット幅は、UEが基地局から更に遠ざかるに従って低下し始め、UEにおける受信信号のレベルは、経路損失の増加により低下し、したがって、AGC後の受信信号は、典型的には、6dB損失/ビットだけ減少する。
【表2】
【0009】
したがって、一つ以上のUE DCオフセットの存在下でDL MIMOセクタースループットを増加させるために向上した方法及びシステムが必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ここでの少なくとも一つの実施形態が満たす本開示の目的のいくつかは、ここで以下に列挙する通りである。
【0011】
本開示の目的は、ダウンリンク(DL)多入力多出力(MIMO)セクターのUEにおけるBLERを減少させる方法及びシステムを提供することである。
【0012】
本開示の目的は、20Mhzに対して380MBpsのスループットから少なくとも404MBpsのスループットに増加する方法及びシステムを提供することである。
【0013】
本開示の目的は、CRC失敗を防止する方法及びシステムを提供することである。
【0014】
本開示の目的は、互いに異なる帯域幅を有する複数の5G NR UEをサポートする方法及びシステムを提供することであり、UEの各々のDCキャリアを、L2によって対処することができる。
【課題を解決するための手段】
【0015】
このセクションは、詳細な説明において後に更に説明する本開示の特定の目的及び態様を簡略化した形で紹介するために提供されるものである。この要約は、重要な特徴又は主張した主題の範囲を特定することを意図しない。
【0016】
一態様において、本開示は、改善されたセクタースループットを促進するためのシステムを提供する。システムは、複数のユ-ザ機器(UE)に動作可能に結合された一つ以上のプロセッサを有してもよく、複数のUEは、多入力多出力(MIMO)基地局とのダウンリンク通信チャネルを更に有する。一つ以上のプロセッサは、メモリに格納することができる実行可能命令のセットを実行してもよく、実行時に、プロセッサは、UEの各々からのダウンリンク(DL)フィードバック通信信号に関連するデータパケットのセットを複数のUEから受信することと、UEの各々におけるDLブロック誤り率(BLER)に関連する第1のセットの属性を、受信したデータパケットのセットから抽出することと、をシステムに行わせる。システムは、抽出された第1のセットの属性に基づいて、UEの各々の平均BLERを決定し、UEの各々の決定した平均BLERと、予め定められた目標BLERとを比較してもよい。さらに、システムは、直流(DC)サブキャリアを含むリソースブロック(RB)をUEの各々に割り当てているか否かを判断してもよい。決定した平均BLERがUEにおいて予め定められた目標BLERよりも大きく、かつ、DCサブキャリアモジュールを含むリソースブロック(RB)をUEに割り当てている場合、システムは、DCサブキャリアを含むRBにおけるDCサブキャリアの電力レベルを予め定められた最大レベルまで増加させてもよい。
【0017】
実施形態において、BLERの予め定められたレベルへの減少に応答して、UEのスループットが、予め定められたレベルまで増加してもよい。
【0018】
実施形態において、UEにおいてBLERが予め定められたレベルまで改善される場合、一つ以上のプロセッサは、DCサブキャリアの更なる電力増加のスケジュ-リングを防止し、UEが電力レベルの観点から基地局に近づくまでUEのDCサブキャリアの電力を維持し続けるように更に構成されてもよい。
【0019】
実施形態において、一つ以上のプロセッサは、DCキャリアを含むRBの増加したDCサブキャリアの電力レベルを下げ、DCキャリアを含むRBのフルスループットを維持するように更に構成されてもよい。
【0020】
実施形態において、一つ以上のプロセッサは、UEから受信した一つ以上のUEパワーヘッドルームレポートの追跡の一つ以上のレポートに基づいて、UEの電力レベルがMIMO基地局の電力レベルに近づいたか否かを判断し、DCキャリアの電力レベルの上昇を予め定められた量だけ減少させるように更に構成されてもよい。
【0021】
実施形態において、一つ以上のプロセッサは、UEから受信した一つ以上のUEパワーヘッドルームレポートの追跡の一つ以上のレポートに基づいて、UEが高い信号強度でダウンリンク通信信号を受信しているか否かを判断し、DCキャリアの電力レベルの上昇を予め定められた量だけ減少させるように更に構成されてもよい。
【0022】
実施形態において、DCサブキャリアの電力レベルの上昇を介してBLERが予め定められた目標BLER未満に改善されない場合、一つ以上のプロセッサは、BLERがDCオフセットのリークに起因するものではないと結論付け、BLERがDCオフセットのリークに起因するものではないという結論に基づいて、DCサブキャリアの電力レベルの増加を終了するように更に構成されてもよい。
【0023】
実施形態において、一つ以上のプロセッサは、複数のUEがフルキャリア帯域幅を受信することをサポートするために、複数の帯域幅チャネルに動作可能に結合されてもよい。
【0024】
実施形態において、一つ以上のプロセッサは、互いに異なる帯域幅部分を有する複数のUEをサポートするように構成されてもよく、UEの各々のDCサブキャリアが5Gスペクトルの互いに異なる帯域幅に位置する。
【0025】
実施形態において、一つ以上のプロセッサは、互いに異なる帯域幅に属するUEの各々のDCサブキャリアの位置を決定するように構成されてもよい。
【0026】
実施形態において、予め定められた目標BLERよりも低いBLERを達成するために、DCキャリアの電力レベルは、予め定められたデシベル(dB)のステップで増加してもよい。
【0027】
一態様において、本開示は、セクタースループットの改善を促進するための方法を提供する。方法は、一つ以上のプロセッサによって、UEの各々からのダウンリンク(DL)フィードバック通信信号に関連するデータパケットのセットを複数のUEから受信するステップを有してもよい。実施形態において、一つ以上のプロセッサは、複数のユーザ機器(UE)に動作可能に結合されてもよく、複数のUEは、多入力多出力(MIMO)基地局とのダウンリンク通信チャネルを更に有する。方法は、一つ以上のプロセッサによって、UEの各々におけるDLブロック誤り率(BLER)に関連する第1のセットの属性を、受信したデータパケットのセットから抽出するステップと、一つ以上のプロセッサによって、抽出された第1のセットの属性に基づいて、UEの各々の平均BLERを決定するステップと、を更に有してもよい。方法は、一つ以上のプロセッサによって、抽出された第1のセットの属性に基づいて、UEの各々の平均BLERを決定するステップと、一つ以上のプロセッサによって、直流(DC)サブキャリアを含むリソースブロック(RB)をUEの各々に割り当てているか否かを判断するステップと、を更に有してもよい。一つ以上のプロセッサによって、決定した平均BLERがUEにおいて予め定められた目標BLERよりも大きく、かつ、DCサブキャリアモジュールを含むリソースブロック(RB)をUEに割り当てている場合、方法は、一つ以上のプロセッサによって、DCサブキャリアを含むRBにおけるDCサブキャリアの電力レベルを予め定められた最大レベルまで増加させるステップを含んでもよい。
【0028】
ここに組み込まれるとともに本発明の一部を構成する添付図面は、開示した方法及びシステムの例示的な実施形態を示し、同様の参照数字が異なる図面全体を通して同一の部品を指す。図面中の構成要素は、必ずしも縮尺通りではなく、代わりに、本発明の原理を明確に示すことに重点が置かれている。図面は、ブロック図を使用して構成要素を示す場合があり、各構成要素の内部回路を表さない場合がある。そのような図面の発明が電気部品、電子部品又はそのような部品を実装するために一般的に使用される回路の発明を含むことが当業者には理解される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1A】本開示の実施形態による提案されたシステムの例示的な表現を示す。
図1B】本開示の実施形態による提案されたシステムの例示的な表現を示す。
【0030】
図2】本開示の実施形態によるシステムの例示的な表現(200)を示す。
【0031】
図3】本開示の実施形態による提案された方法の例示的なフロ-図である。
【0032】
図4A】本開示の実施形態による100Mhz,8UE/TTIのための既存のシステムの例示的な表現を示す。
図4B】本開示の実施形態による100Mhz,8UE/TTIのための既存のシステムの例示的な表現を示す。
図4C】本開示の実施形態による100Mhz,8UE/TTIのための既存のシステムの例示的な表現を示す。
図4D】本開示の実施形態による100Mhz,8UE/TTIのための既存のシステムの例示的な表現を示す。
【0033】
図5A】本開示の実施形態による100Mhz,8UE/TTIの提案システムの例示的な表現を示す図である。
図5B】本開示の実施形態による100Mhz,8UE/TTIの提案システムの例示的な表現を示す図である。
図5C】本開示の実施形態による100Mhz,8UE/TTIの提案システムの例示的な表現を示す図である。
図5D】本開示の実施形態による100Mhz,8UE/TTIの提案システムの例示的な表現を示す図である。
【0034】
図6】本開示の実施形態による既存の方法についての基地局からの同心円のカバ-マップの例示的な表現を示す。
【0035】
図7】本開示の実施形態によるLTE及びNRにおけるDCサブキャリアの取り扱いの例示的な表現を示す。
【0036】
図8A】本開示の実施形態による既存のシステムと提案されたシステムとの相違点の例示的な表現を示す。
図8B】本開示の実施形態による既存のシステムと提案されたシステムとの相違点の例示的な表現を示す。
図8C】本開示の実施形態による既存のシステムと提案されたシステムとの相違点の例示的な表現を示す。
図8D】本開示の実施形態による既存のシステムと提案されたシステムとの相違点の例示的な表現を示す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
上記は、以下の本発明の更に詳しい説明から更に明らかになる。
【0038】
以下の説明では、説明のために、本開示の実施形態の完全な理解を提供するために様々な特定の詳細を記載する。しかしながら、本開示の実施形態は、これらの具体的な詳細なしに実施してもよいことは明らかである。後に説明するいくつかの特徴を、互いに独立して又は他の特徴の任意の組合せでそれぞれ使用することができる。個々の特徴は、上述した問題の全てに対処しないかもしれない又は上述した問題のいくつかにしか対処しないかもしれない。上述した問題のいくつかは、ここに記載された特徴のいずれかによって完全に対処されないかもしれない。
【0039】
本発明は、UE DCオフセットの存在下でダウンリンクMIMOセクタースループットの改善を促進するためのロバストかつ効果的なソリュ-ションを提供する。提案されたソリュ-ションは、CRC成功の取得及び少なくとも405MBpsへの完全なセクタースループットの増加をもたらす。したがって、提案されたソリュ-ションでは、100%のセクタースループットを約0%のBLERで達成することができる。
【0040】
図1Aは、本開示の実施形態による本開示のシステムを実装することができる又はそれを備える例示的なネットワークア-キテクチャを示す。図示したように、一態様において、多入力多出力(MIMO)基地局(102)は、複数のユ-ザ機器(UE)(104-1,104-2,・・・104-N)にダウンリンク帰還通信信号を提供してもよい。例示的な実施形態において、複数のUE104-1,104-2,104-Nを、独立してMIMO基地局(102)に接続してもよい。
【0041】
図1Bは、提案されたシステム(110)にMIMO基地局(102)を動作可能に結合してもよいことを例示する。システム(110)を一つ以上のプロセッサ(202)(図2参照)に動作的に結合してもよく、一つ以上のプロセッサ(202)は、DCオフセットオプティマイザ制御モジュール(152)、DCサブキャリアスケーリングモジュール(154)、L2-L1設定モジュール(166)及び(ここではgNodeソフトウェア(SW)とも称する)レイヤ2ソフトウェア(SW)モジュール(168)に関連し、その全ては、標準データパスダウンリンク処理モジュール(156~164)とやり取りを行う。
【0042】
例示的な実施形態では、UE(104)は、DCサブキャリアを含むリソースブロック(RB)を割り当てられてよい。実施形態の一つは、レイヤ1/レイヤ2ダウンリンク・ア-キテクチャを示し、制御パスが、DCオフセットオプティマイザモジュール152に含まれ、DCサブキャリア電力増大/減少を行うデータパスが、DCサブキャリアスケーリングモジュール154に含まれる。さらに、複数のUEは、多入力多出力(MIMO)基地局とのダウンリンク通信チャネルに動作可能に結合されてもよい。DCオフセット最適化モジュール152、DCサブキャリアスケーリングモジュール154は、ダウンリンク通信チャネルにつないでもよく、ダウンリンク通信チャネルは、物理データ共有チャネル158と、物理データ制御チャネル160と、チャネル状態インジケータ-基準信号162と、164に全て含まれる一次同期信号、二次同期信号、一次放送チャネルを含む同期信号ブロックと、を含んでもよい。これら全てのモジュールを、リソースエレメントマッパ156に結合してもよい。実施形態の一部は、L2-L1インターフェースブロック166を介して、DCオフセットオプティマイザモジュール152から受信したトリガに作用するレイヤ2 168に実装される。
【0043】
実施形態において、一つ以上のプロセッサ202は、UE104の各々からのダウンリンク(DL)フィードバック通信信号に関連するデータパケットのセットを複数のUE104から受信することをシステム110に行わせる。次に、システム110は、UEの各々におけるDLブロック誤り率(BLER)に関連する第1のセットの属性を、受信したデータパケットのセットから抽出し、その後、抽出された第1のセットの属性に基づいて、UEの各々の平均BLERを決定してもよい。次に、システム110は、UEの各々の決定した平均BLERと、予め定められた目標BLERとを比較し、その後、直流(DC)サブキャリアを含むリソースブロック(RB)をUEの各々に割り当てているか否かを判断してもよい。決定した平均BLERがUEにおいて予め定められた目標BLERよりも大きく、かつ、DCサブキャリアモジュールを含むリソースブロック(RB)をUEに割り当てている場合、システム110は、DCサブキャリアを含むRBにおけるDCサブキャリアの電力レベルを予め定められた最大レベルまで増加させてもよい。
【0044】
実施形態において、BLERの予め定められたレベルへの減少に応答して、UEのスループットが、予め定められたレベルまで増加してもよい。実施形態において、UEにおいてBLERが予め定められたレベルまで改善される場合、一つ以上のプロセッサは、DCサブキャリアの更なる電力増加のスケジュ-リングを防止し、UEが電力レベルの観点から基地局に近づくまでUEのDCサブキャリアの電力を維持し続けるように更に構成されてもよい。
【0045】
実施形態において、システム110は、DCキャリアを含むRBの増加したDCサブキャリアの電力レベルを下げ、DCキャリアを含むRBのフルスループットを維持してもよい。
【0046】
別の実施形態では、システム110は、UEから受信した一つ以上のUEパワーヘッドルームレポートの追跡の一つ以上のレポートに基づいて、UEの電力レベルがMIMO基地局の電力レベルに近づいたか否かを判断し、DCキャリアの電力レベルの上昇を予め定められた量だけ減少させてもよい。
【0047】
さらに別の実施形態では、システム110は、UEから受信した一つ以上のUEパワーヘッドルームレポートの追跡の一つ以上のレポートに基づいて、UEが高い信号強度でダウンリンク通信信号を受信しているか否かを判断し、DCキャリアの電力レベルの上昇を予め定められた量だけ減少させてもよい。
【0048】
DCサブキャリアの電力レベルのブ-ストを介してBLERが所定の目標BLER未満に改善されない場合、システム、110は、BLERがDCオフセットリークによるものではないと結論付け、したがって、終了しDCサブキャリアの電力レベルの増加を終了させることができる。
【0049】
限定でない例として、gNodeソフトウェア(SW)は、UEにおけるDLブロック誤り率(BLER)を追跡し、(a)当該UEの平均BLERが目標BLER(10%)より大きく、かつ、(b)当該UEがDCサブキャリアを含むRBを割り当てられる場合、SWは、DCサブキャリアを含むRBを、例えば、3dBステップで最大事前決定レベルまで電力を増加し、当該UEにおいてBLERが改善される場合、結果的に、SWは、当該DCサブキャリアで更なる電力増加をスケジューリングしない。その結果、UE/セクタースループットが改善されるので、SWは、UEが基地局に近づいた(とともに現在利用可能なIQ受信ビット幅の数が増加した)と判断してフルスループットを維持しながらDCキャリアを含む当該REの増加したDCサブキャリアの電力を低減すると決定するまで、悪影響が及ぼされたUE上の当該RE DCサブキャリア出力を維持し続けることになる。これを決定する一つの方法は、UEから受信したUEパワーヘッドルームレポートを追跡することによりUEパワーヘッドルームレポートの増加を検出することであり、それは、UEが基地局に近づいたこと又は高い信号強度でダウンリンク受信信号を受けていることをgNodeB SWに示し、そのために、DCサブキャリアREの上昇を減少させることができる。UEは、UE BLERが目標BLER(10%)未満であるか否かをチェックしながら適切に電力を減少させる。信号電力を上げてもBLERが10%未満に改善されない場合、gNodeB SWは、BLERがDCオフセットのリークに起因するものではないと判断し、処理を終了する。
【0050】
例示的な実施形態において、システム(110)は、複数の帯域の一部(multiple bandwidth parts)の場合に更に高いダウンリンクのスループットの改善をもたらすことができる。複数の帯域の一部は、完全なキャリア帯域幅の受信をサポートしないデバイス(UE)をサポートするために5G NRに導入された機能である。その結果、全てのデバイスがキャリアの中心に一致するDCサブキャリアを有するLTEとは異なり、5G NRでは各NRデバイス(UE)がキャリアの互いに異なる位置にDCサブキャリアを有してもよい。したがって、NRでは、このDCサブキャリアの品質が低下する場合があることを受け入れることを決定した。そのために、UEの各々のDCキャリアは、UEの局部発振器のDCリークに対して不釣り合いなほど高い干渉を受ける可能性がある。
【0051】
例示的な実施形態において、システム(110)は、互いに異なる帯域幅を有する複数の5G新無線(NR)UEをサポートしてもよく、UEの各々のDCキャリアを、UEの各々がサポートする帯域幅をL2に伝えるとともにL2が受け取るUE CAPABILITY RESPONSEメッセ-ジを使用してL2によって対処することが可能である。レイヤ2のSWは、図2のフローチャートで説明したように、TTI毎のRB割当てにDCサブキャリアを含むUE RNTI(無線ネットワーク一時識別子)を、L2-L1インターフェース上の標準3GPP(登録商標) DL CONFIG REQメッセ-ジを介してレイヤ1 SWに通知することができる。そして、レイヤ1 gNodeBソフトウェアは、そのDCサブキャリアがRB割当てに含まれるUEの各々について、上記と同様の発明を適用することができる。サポートされる帯域幅部品の数が増加するに従って、フローチャートに記載された制御を使用して、ネットワークにおける最先端の5G展開よりも高い総セクター/セルスループットをネットワークにおいて達成することができる。
【0052】
図2は、本開示の実施形態による提案されたシステム110の例示的な表現を示す。一態様において、システム110は、一つ以上のプロセッサ202を有してもよい。一つ以上のプロセッサ202を、一つ以上のマイクロプロセッサ、マイクロコンピュ-タ、マイクロコントロ-ラ、エッジ又はフォグマイクロコントロ-ラ、デジタル信号プロセッサ、中央処理装置、論理回路、及び/又は、動作命令に基づいてデータを処理する任意のデバイスとして実装されてもよい。他の機能の中で、一つ以上のプロセッサ202は、システム110のメモリ204に格納されたコンピュ-タ可読命令をフェッチ及び実行するように構成されてもよい。メモリ204は、非一過性のコンピュ-タ可読記憶媒体に一つ以上のコンピュ-タ可読命令又はル-チンを格納してもよく、これらは、ネットワークサ-ビス上でデータパケットを作成又は共有するためにフェッチ及び実行されてもよい。メモリ204は、例えば、RAMのような揮発性メモリ又はEPROM、フラッシュメモリ等のような不揮発性メモリを含む任意の非一時的記憶装置を備えてもよい。
【0053】
一実施形態では、システム110は、(一つ以上の)インターフェース206を有してもよい。(一つ以上の)インターフェース206は、様々なインターフェース、例えば、I/Oデバイスと呼ばれるデータ入力及び出力デバイスのためのインターフェース、ストレ-ジデバイス等を備えてよい。(一つ以上の)インターフェース206は、システム、110の通信を促進してもよい。(一つ以上の)インターフェース206は、システム110の一つ以上の構成要素のための通信経路を提供してもよい。そのような構成要素の例は、(一つ以上の)処理装置/エンジン(208)及びデータベ-ス(210)を含むがそれに限定されない。
【0054】
(一つ以上の)処理装置/エンジン208を、(一つ以上の)エンジンの一つ以上の機能性を実装するために、ハ-ドウェア及びプログラミング(例えば、プログラマブル命令)の組合せとして実装してもよい。ここで説明する例では、ハ-ドウェア及びプログラミングのそのような組合せを、いくつかの異なる方法で実装してもよい。例えば、(一つ以上の)処理エンジン208のためのプログラミングは、非一時的機械可読記憶媒体に格納されたプロセッサ実行可能命令であってもよく、(一つ以上の)処理エンジン208のためのハ-ドウェアは、そのような命令を実行するための処理リソース(例えば、一つ以上のプロセッサ)を備えてもよい。本実施例では、機械可読記憶媒体は、処理リソースによって実行されるときに(一つ以上の)処理エンジン208を実装する命令を格納してもよい。そのような例では、システム110は、命令を格納する機械可読記憶媒体及び命令を実行する処理リソースを備えてもよい、又は、機械可読記憶媒体は、システム110及び処理リソースと別個であるがこれらにアクセス可能であってもよい。他の例では、(一つ以上の)処理エンジン208は、電子回路によって実装されてもよい。
【0055】
処理エンジン208は、データ取得エンジン212、平均BLER計算エンジン214及び他のエンジン216のいずれかから選択した一つ以上のエンジンを有してもよい。他のエンジン216は、DCオフセットオプティマイザ制御モジュール(152)、DCサブキャリアスケーリングモジュール(154)、L2-L1設定モジュール(166)及び(ここではgNodeソフトウェア(SW)とも称する)レイヤ2ソフトウェア(SW)モジュール(168)を更に有してもよく、その全ては、標準データパスダウンリンク処理モジュール(156~164)とやり取りを行うが、それに限定されない。
【0056】
図3は、本開示の実施形態による提案された方法の例示的なフロ-図を示す。フローチャートとして図示したモジュールを含む110のア-キテクチャを説明する一実施形態では、DCオフセットオプティマイザ制御モジュールに対する方法300及びDCサブキャリアスケーリングモジュールに対する方法322であり、それによって、gNodeBからの距離が離れているためダウンリンク信号の8ビット未満のダイナミックレンジを受け取るUEにおけるDCオフセット干渉の存在下でセクタースループットを改善することができる。第一に、この方法では、DCサブキャリアを含むリソース(PRB)(302)の割当てが行われたUE RNTI(無線ネットワーク一時識別子)の各々の平均DL-BLER-per-UEを、gNodeBソフトウェアによって計算する(301)。305において、この平均DL-BLER-per-UEが、目標BLER(10%)よりも大きい場合、DCサブキャリアを予め定められた相対電力レベルまで電力上昇することと判断する(306)。一実施形態では、予め定められた相対的パワ-レベルは、12dBである。307において、電力上昇は、3dBのステップで繰り返し増加され、307において、307において、電力上昇が行われたことを示す上昇フラグを設定する。また、307においてそれまで適用した累積電力情報を、YdBとして記録する。そして、再び302,305の測定ループが継続され、308,304において、平均DL-BLER-per-UEがまだ10%より大きい場合、306~307の上昇動作を継続する。チェック中に305の平均DL-BLER-per-UEが10%未満であることが判明し、307で電力上昇フラグが先に設定された場合、gNodeB物理層は、312でレイヤ3ソフトウェア(L3)から要求されたときに報告されたUEパワーヘッドルームが改善されているか否かを常に監視する。この改善度XdBを、312において、L3から受信した連続したUEパワーヘッドルームレポートの差の平均を計算することにより取得する。平均UEパワーヘッドルーム信号が改善されたとき、これは、UEがgNodeBに近づいたこと及び/又はそのSINRが改善されたことを示すが、314及び318で、DCサブキャリアの電力減少がトリガされる。その後、303及び305の測定ループが継続され、317及び304において、平均DL-BLERがまだ10%未満であれば、307のブ-スト電力のYdB全体が減少するまで、311~318の減少動作が継続され、その後、減少フラグは、リセットされてL3に知らされ、L1へのUEパワーヘッドルームレポートの送信を停止する。場合によっては、DCサブキャリア電力をあらかじめ決められた最大レベルまで低減しても、302において、平均DL-BLER-per-UEが目標BLERより大きいままであれば、DCサブキャリア電力を上昇させ、309において、上昇フラグをリセットし、302と305の測定ループを継続する。YdB全体の減少が完了したことを確認するために、315,320,321の特定の境界条件チェックを行い、その後、減少フラグは、リセットされてL3の316に送られる。このフローチャートの方法は、送信時間間隔(TTI)ごとのRB割当てがDCサブキャリアを含むUEに対してのみトリガされ、そのような場合、301において、上昇フラグは、リセットされ、X及びYは、初期条件として0dBに設定される。
【0057】
例示的な実施形態において、方法(300)は、異なる帯域幅を有する複数の5G NR UEをサポートすることができ、UEの各々のDCキャリアを、予め定められた命令のセットによりL2によって対処することができる。
【0058】
図4A~4Dは、本開示の実施形態による100Mhz,8UE/TTIのための既存システムの例示的な表現を示す図である。図4Aに示すように、UEの各々に対するDCキャリアRB(開始RB,RE0)は、意図的に2ビットだけ下にシフトされ、256-QAMコンステレ-ションのEVMが分散され、それは、図4Bにおいて、Keysight VSA上で復号され、VSAは、図4Cにおいて、全ての8個のUEでCRC失敗を返した。全てのUE、14シンボル全て、256QAM、mcs-27に対する1アンテナ、開始RB、0番目のREを以下に示す。
UE-0,0-33rbs -34rbs CRC失敗
UE-1,34-67rbs -34rbs CRC失敗
UE-2,68-101rbs -34rbs CRC失敗
UE-3,102-135rbs -34rbs CRC失敗
UE-4,136-169rbs -34rbs CRC失敗
UE-5,170-203rbs -34rbs CRC失敗
UE-6,204-237rbs -34rbs CRC失敗
UE-7,238-272rbs -35rbs CRC失敗
【0059】
これは、全てのUEの14のシンボル割当てのための開始RB、0番目のREの1アンテナIQで行われた。コンスタレーションプロットは、図4Aに示すように分散され、PDSCH EVMは、図4Dに示すように、256-QAMで>11%(3GPP(登録商標)仕様では<5%を要求する)であり、平均EVMは、5.5%であった。
【0060】
図5A~5Dは、本開示の実施形態による100Mhz,8UE/TTIの提案されたシステムの例示的な表現である。ビットの左シフトによって電力を増加させるシステムにおいて提案された方法を適用した後、図5A図5B及び図5Cは、256-QAMコンステレ-ションのEVMが完全であること、すなわち、DCサブキャリア(0番目のRE)上で12dB増加すると全てのUEが以下に示すようにCRCを成功することを示す。
UE-0,0-33rbs -34rbs CRC成功
UE-1,34-67rbs -34rbs CRC成功
UE-2,68-101rbs -34rbs CRC成功
UE-3,102-135rbs -34rbs CRC成功
UE-4,136-169rbs -34rbs CRC成功
UE-5,170-203rbs -34rbs CRC成功
UE-6,204-237rbs -34rbs CRC成功
UE-7,238-272rbs -35rbs CRC成功
【0061】
図5Dに示すように、PDSCHアンテナ1のEVMは、0.02%であり、平均EVMは、0.02%である。
【0062】
図6は、本開示の実施形態による既存の方法についての基地局からの同心円のカバ-マップの例示的な表現を示す。例示的な実施形態において、例えば、図5の同心円のカバレッジマップに示すように、UEが基地局から遠く離れているために、UEの受信機のADCフルスケールは、先行するAGCブロックから40dBの最大利得を取得した後でも、8ビットIQサンプルビット幅しか生成できない場合がある。ここで、SINR=34dBであるため、全てのサブキャリアで256-QAMをサポートできるが、DCキャリアでは、通常-60dBmのDCオフセット干渉のため、SINR=12dBとなり、既に説明したように、DCサブキャリアでは、256-QAMは失敗する。
【表3】
【0063】
(ADI RFICの7dBmの典型的なフルスケ-ルRMS電力を有するUE ADCに対する)ADI RFICの40dBの典型的な最大自動利得制御(AGC)利得及び5dBm/20MhzのAGC設定値において、=>-36dBm/REは、ADC入力での1RE当たりの信号電力となる。熱雑音レベルは、(mu=0及びUE雑音指数=10dBについて)-122dBm/REとなり、40dBのAGCゲインで増幅されると、-82dBm/REの熱雑音電力となる。したがって、これは、SNR=46dBを意味する。
【0064】
同一の受信ダウンリンクで経路損失が更に12dBだけ増加するようにUEが基地局から更に遠ざかるとき、受信平均ダウンリンク信号電力/20Mhzは、-17dBm/20Mhzに減少する。-17dBm/20Mhzの受信RMS信号電力では、これは、-48dBm/REを意味する。SNR=34dB。
【0065】
UEが更に遠ざかるとき、-23dBm/20Mhzが受信平均信号電力となるように経路損失が更に増加する。-23dBm/20Mhzでは、これは、RMS信号電力が-54dBm/REであることを意味する。SNR=-28dB。しかしながら、DCサブキャリアでは、既に説明したDCオフセットは、-60dBmhzレベルにあり、-82dBm/REの熱雑音レベルを超える支配的な雑音要因となる。したがって、DCオフセットでのSNRは、-54-(-60)=6dBとなり、256-QAMの最高MCSを送信するスロット全体においてCRC失敗となる。他のREでは、雑音レベルが-82dB/RE、すなわち、-122dBm/RE+40dB(AGC利得)(NF=10dB)となるので、SNRは、28dBとなる。しかしながら、この場合、UEが12個のRBで報告した平均CQIが15と高いので、スケジュ-ラによって256-QAMがスケジュ-リングされる。したがって、符号レートは、0.93の最高値となる。0.93の符号レートでは、(a)冗長性が非常に低く、(b)上記で説明したようにDCサブキャリア上のSNR=6dBと共にスロット全体を通してDCサブキャリアに位置する復調参照シンボル(DMRS)のREに悪影響が及ぼされてDCサブキャリアを含む特定のRBのチャネル推定が不正確になり、(a)と(b)の組み合わせにより、4X4DL MIMOでCRC失敗となる。したがって、12個のRBに対してDCキャリアを含むRB割当てを行ったUE RNTIでは、全ての再送信でCRC失敗が発生した。
【0066】
図7は、本開示の実施形態によるLTE及びNRにおけるDCサブキャリアの取り扱いの例示的な表現を示す。図示したように、例示的な実施形態において、システムは、互いに異なる帯域幅を有する複数の5G NR UEをサポートしてもよく、UEの各々DCキャリアを、L2が受け取るUE CAPABILITY RESPONSEメッセ-ジを使用することによって対処することができ、UEの各々によってサポートされる帯域幅は、L2に伝達される。UEから報告されたCQIが15であり、かつ、上記の表3に示すようにSINRが影響を受けたDCキャリアを除いて十分高いSINRであることにより他の全てのサブキャリアが256-QAMをサポートできるにもかかわらず、好ましくないほど高いBLERがあることが判明した場合、L2は、同一の発明に適用できるとともにL1に割り当てられたDC RB(又はサブキャリア)の電力を上げるよう通知することができる。
【0067】
図8A~8Dは、本開示の実施形態による既存のシステムと提案されたシステムとの相違点の例示的な表現を示す。図8Aは、既存の方式による基地局からの同心円のカバレージマップを示し、それに対し、図8Bは、256QAMカバレージが8ビットの同心円に増加する提案された方式による基地局からの同心円のカバレージマップを示す。図8Cは、互いに異なる帯域幅を有する複数のUEがサポートされ、少ないリソース割り当てのUEでCRCが失敗し、高いリソース割り当てのUEでCRCが成功することを強調する複数のBWPの3GPP(登録商標) 5G標準スループットを示し、それに対し、図8Dは、以前に失敗したUEに対してCRCを通過させるようにDCサブキャリアを含むREの電力を意図的に増加させるためにL1を設定することによってCRCの成功のみが存在する提案されたシステム及び方法による5Gセクターのスループットにおいて著しく高いスループットが取得されることを示す。
【0068】
ここでは、好適な実施形態にかなりの重点を置いてきたが、多くの実施形態を作ることができるとともに本発明の原理から逸脱することなく好適な実施形態に多くの変更を加えることができることが理解される。本発明の好適な実施形態におけるこれらの変更及び他の変更は、当業者にはここの開示から明らかであり、それによって、前述の説明的事項が単に本発明を例示するものとして実施されるとともに限定するものではないことが明確に理解される。
【0069】
本開示の利点
本開示は、DL MIMOセクターのUEにおけるBLERを減少させる方法及びシステムを提供する。
【0070】
本開示は、スループットを増加させる方法及びシステムを提供する。
【0071】
本開示は、CRC失敗を防止する方法及びシステムを提供する。
【0072】
本開示は、互いに異なる帯域幅を有する複数の5G NR UEをサポートする方法及びシステムを提供し、UEの各々のDCキャリアを、L2によって対処することができる。
図1A
図1B
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B
図5C
図5D
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
【外国語明細書】