IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アプライド・グラフェン・マテリアルズ・ユーケー・リミテッドの特許一覧

<>
  • 特開-複合成形材料 図1
  • 特開-複合成形材料 図2
  • 特開-複合成形材料 図3
  • 特開-複合成形材料 図4
  • 特開-複合成形材料 図5
  • 特開-複合成形材料 図6
  • 特開-複合成形材料 図7
  • 特開-複合成形材料 図8
  • 特開-複合成形材料 図9a
  • 特開-複合成形材料 図9b
  • 特開-複合成形材料 図10a
  • 特開-複合成形材料 図10b
  • 特開-複合成形材料 図11
  • 特開-複合成形材料 図12
  • 特開-複合成形材料 図13
  • 特開-複合成形材料 図14
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023067882
(43)【公開日】2023-05-16
(54)【発明の名称】複合成形材料
(51)【国際特許分類】
   B29B 15/08 20060101AFI20230509BHJP
   B29C 70/10 20060101ALI20230509BHJP
   B32B 5/24 20060101ALI20230509BHJP
   B32B 9/00 20060101ALI20230509BHJP
   B32B 3/00 20060101ALI20230509BHJP
【FI】
B29B15/08
B29C70/10
B32B5/24
B32B9/00 A
B32B3/00
【審査請求】有
【請求項の数】19
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023023201
(22)【出願日】2023-02-17
(62)【分割の表示】P 2019562298の分割
【原出願日】2018-05-09
(31)【優先権主張番号】1707428.7
(32)【優先日】2017-05-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(71)【出願人】
【識別番号】521354031
【氏名又は名称】アプライド・グラフェン・マテリアルズ・ユーケー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED GRAPHENE MATERIALS UK LIMITED
【住所又は居所原語表記】The Wilton Centre Redcar,Cleveland TS10 4RF(GB)
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】ブラザーウィック,ナイジェル アシュリー
(72)【発明者】
【氏名】シャープ,マシュー デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】ヨーマンズ,ケビン アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】ウィーバー,ウィリアム
(57)【要約】
【課題】
繊維層(12)と、前記繊維層(12)の表面(16)上の1つ以上の局所領域(R1,R2,R3,R4)で前記繊維層(12)に塗布されたグラファイト状材料(14)と、を含む複合成形材料(10)である。
【解決手段】
前記グラファイト状材料(14)は、前記繊維層の表面上に1つ以上の島を形成し、前記島の各々は、前記グラファイト状材料が欠乏している繊維材料の1以上の領域に囲まれている複合成形材料である。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維層と、前記繊維層の表面上の1つ以上の局所領域で前記繊維層に塗布されたグラファイト状材料と、を含む複合成形材料であって、
ここで、前記グラファイト状材料は、前記繊維層の表面上に1つ以上の島を形成し、前記島の各々は、前記グラファイト状材料が欠乏している繊維材料の1以上の領域に囲まれており、
前記グラファイト状材料は、二層グラフェンナノプレート、二層グラフェンオキシドナノプレート、二層還元型グラフェンオキシドナノプレート、少数層グラフェンナノプレート、少数層グラフェンオキシドナノプレート、少数層還元型グラフェンオキシドナノプレート、炭素原子が6~14層であるグラファイト状ナノプレート、ナノスケール寸法でありかつ炭素原子の層が40層以下であるグラファイトフレーク、ナノスケール寸法でありかつ炭素原子の層が25~30層であるグラファイトフレーク、ナノスケール寸法でありかつ炭素原子の層が25~35層であるグラファイトフレーク、ナノスケール寸法でありかつ炭素原子の層が20~35層であるグラファイトフレーク、又はナノスケール寸法でありかつ炭素原子の層が20~40層であるグラファイトフレークを含み、前記グラファイト状材料は、d50サイズが5μm~12μmであるプレートレットを含む、複合成形材料。
【請求項2】
前記グラファイト状材料は、前記繊維層の表面上の少なくとも1つの所定の領域に選択的に配置され、かつ、前記領域は互いに間隔を置いて不連続に配置され、かつ、前記少なくとも1つの領域は前記繊維層上の表面積を、0.01mm~1.5mm、0.01mm~1.0mm、0.5mm~1.5mm、0.5mm以上、又は1mm以上、カバーしている、請求項1に記載の複合成形材料。
【請求項3】
前記グラファイト状材料は、前記繊維層の表面上の領域のアレイ又はパターンに配置され、前記アレイ又はパターンが、円、スポット、正方形の規則的なアレイ、又は多面体形状の名目上の頂点に沿って整列したアレイである、請求項1又は2に記載の複合成形材料。
【請求項4】
前記グラファイト状材料が、グラフェンの複数の層を含むプレートレットを含み、かつ、その平均厚が、0.8~12ナノメートル、1.3~9.4ナノメートル、又は2.5~6ナノメートルである、請求項1~3のいずれか一項に記載の複合成形材料。
【請求項5】
前記グラファイト状材料は、最大25層のグラフェン、最大35層のグラフェン、5~25層のグラフェン、5~35層のグラフェン、5~15層のグラフェン、又は25~35層のグラフェンのプレートレットを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の複合成形材料。
【請求項6】
前記グラファイト状材料が、3層~6層のグラフェンのプレートレットを含む、請求項5に記載の複合成形材料。
【請求項7】
前記グラファイト状材料はキャリア媒体を含み、前記キャリア媒体は、樹脂、熱硬化性樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル(不飽和)樹脂、フェノール樹脂、ビニルエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ビスマレイミド樹脂、シアネートエステル樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、熱可塑性樹脂、ポリエチレン(PE)樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)樹脂、ポリアミド(PA又はナイロン)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂、高性能熱可塑性樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、ポリエーテルケトン(PEK)樹脂、ポリアミドイミド(PAI)樹脂、ポリアリールスルホン(PAS)樹脂、ポリエーテルイミド(PEI)樹脂、ポリエーテルスルホン(PES)樹脂、ポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂、バイオ系樹脂、デンプン含有バイオ系樹脂、デンプンカプロラクトンブレンド含有バイオ系樹脂、ポリエステル含有バイオ系樹脂、ポリコハク酸アルキレン含有バイオ系樹脂、ポリエステルアミド含有バイオ系樹脂、ポリヒドロキシアルカノエート含有バイオ系樹脂、ポリビニルブチラール含有バイオ系樹脂、ポリビニルバレエート含有バイオ系樹脂、ポリヒドロキシ酸含有バイオ系樹脂、ポリ乳酸含有バイオ系樹脂、ポリグリコール酸含有バイオ系樹脂、酢酸セルロース含有バイオ系樹脂、フルフラールアルコール含有バイオ系樹脂、フラン樹脂含有バイオ系樹脂、油変性ポリエステル含有バイオ系樹脂、植物油変性含有バイオ系樹脂、カシューナッツ変性油含有バイオ系樹脂、またはこれらの2種類以上の混合物又は組み合わせを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の複合成形材料。
【請求項8】
前記キャリア媒体は、脱イオン水、溶媒、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジエチルエーテル、1,4-ジオキサン、酢酸エチル、n-ブチルアセテート、t-ブチルアセテート、エチルエトキシプロピオネート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸メチル、ジメチルカーボネート、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソアミルケトン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、n-ブタノール、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、グリコール-エチレングリコール、プロピレングリコール、パラクロロベンゾトリフルオライド、のうちの1つ、又はこれらの2つ以上の混合物若しくは組み合わせ、を含む、請求項7に記載の複合成形材料。
【請求項9】
前記キャリア媒体は、エポキシ樹脂及びキシレンを含む、請求項8に記載の複合成形材料。
【請求項10】
前記グラファイト状材料におけるグラファイト含有量は、0.001質量%(wt%)~10質量%、0.001質量%~1質量%、0.01質量%~0.5質量%、又は0.01質量%~5質量%の範囲である、請求項1~9のいずれか一項に記載の複合成形材料。
【請求項11】
前記繊維層に塗布されたグラファイト状材料の面積密度は、1mg/m~2000mg/m、10mg/m~100mg/m、1000mg/m~20000mg/m、1000mg/m~10000mg/m、又は10mg/m~20mg/mの範囲である、請求項1~10のいずれか一項に記載の複合成形材料。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の複合成形材料の複数の層を含む成形用ラミネート。
【請求項13】
層が各々互いに同じであるか、前記層が各々互いに異なるか、又は、前記層の少なくとも2つが互いに同じであり、かつ、前記層のうち少なくとも1つの層上の前記グラファイト状材料が、面外方向で前記複合成形材料内の少なくとも1つの他の層上の前記グラファイト状材料と整列又は実質的に整列し、かつ、隣接する層の層上又は少なくとも2つの隣接する層の層上の前記グラファイト状材料は、面外方向に重ねられているか、又は実質的に重ねられている、請求項12に記載の成形用ラミネート。
【請求項14】
硬化性マトリクス樹脂内に保持された複数の繊維層、及び、少なくとも2つの前記繊維層の間の1つ以上の局所領域にあるグラファイト状材料、を含む繊維強化複合コンポーネントであって、前記1つ以上の局所領域では層間破壊靭性がもたらされ、ここで、前記繊維層の少なくとも1つは、請求項1~11のいずれか一項に記載の複合成形材料である、繊維強化複合コンポーネント。
【請求項15】
繊維層を提供すること、及び、前記繊維層の表面上の1つ以上の局所領域でグラファイト状分散液を塗布すること、を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の複合成形材料を製造する方法であって、
ここで、前記グラファイト状分散液は、前記繊維層の表面上に1つ以上の島を形成するように選択的に塗布され、前記島又は前記島の各々は、グラファイト状材料が欠乏している繊維材料の1つ以上の領域に囲まれており、
前記グラファイト状分散液は、二層グラフェンナノプレート、二層グラフェンオキシドナノプレート、二層還元型グラフェンオキシドナノプレート、少数層グラフェンナノプレート、少数層グラフェンオキシドナノプレート、少数層還元型グラフェンオキシドナノプレート、炭素原子が6~14層であるグラファイト状ナノプレート、ナノスケール寸法でありかつ炭素原子の層が40層以下であるグラファイトフレーク、ナノスケール寸法でありかつ炭素原子の層が25~30層であるグラファイトフレーク、ナノスケール寸法でありかつ炭素原子の層が25~35層であるグラファイトフレーク、ナノスケール寸法でありかつ炭素原子の層が20~35層であるグラファイトフレーク、又はナノスケール寸法でありかつ炭素原子の層が20~40層であるグラファイトフレークを含み、ここで、前記グラファイト状分散液は、d50サイズが5μm~12μmであるプレートレットを含む、
方法。
【請求項16】
前記グラファイト状分散液は液滴により塗布され、かつ前記液滴の間隔は0.01mm~0.5mm又は0.3mm~2mmである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記グラファイト状分散液は、23℃における10s-1のせん断速度(γ・)で測定された粘度が、1~75mPa・s、1~50mPa・s、10~50mPa・s、20mPa・s、又は15mPa・sである、請求項15又は16に記載の方法。
【請求項18】
複数の繊維層と、前記繊維層を強化する硬化性マトリクス樹脂とを提供すること、及び
前記繊維層のうち少なくとも1つの表面上の1つ以上の局所領域にグラファイト状分散液を塗布することを含む、繊維強化複合コンポーネントを製造する方法であって、ここで、前記グラファイト状分散液は、前記繊維層の表面上に1つ以上の島を形成するように選択的に塗布され、前記島又は前記島の各々は、グラファイト状材料が欠乏している繊維材料の1つ以上の領域に囲まれており、
前記繊維層は、前記グラファイト状分散液から生じる前記グラファイト状材料が2つの隣接する繊維層の間に位置するように、位置決めされ、かつ、
前記コンポーネントは、前記繊維材料の周囲の前記硬化性マトリクス樹脂を硬化させる条件で曝露され、ここで、
前記グラファイト状分散液は、二層グラフェンナノプレート、二層グラフェンオキシドナノプレート、二層還元型グラフェンオキシドナノプレート、少数層グラフェンナノプレート、少数層グラフェンオキシドナノプレート、少数層還元型グラフェンオキシドナノプレート、炭素原子が6~14層であるグラファイト状ナノプレート、ナノスケール寸法でありかつ炭素原子の層が40層以下であるグラファイトフレーク、ナノスケール寸法でありかつ炭素原子の層が25~30層であるグラファイトフレーク、ナノスケール寸法でありかつ炭素原子の層が25~35層であるグラファイトフレーク、ナノスケール寸法でありかつ炭素原子の層が20~35層であるグラファイトフレーク、又はナノスケール寸法でありかつ炭素原子の層が20~40層であるグラファイトフレークを含み、ここで、前記グラファイト状分散液は、d50サイズが5μm~12μmであるプレートレットを含む、
方法。
【請求項19】
前記繊維層を強化する硬化性マトリクス樹脂は、熱硬化性樹脂を含み、場合によっては、前記熱硬化性樹脂はエポキシ樹脂である、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、複合成形材料、及び特にグラフェン及び/又はグラファイトを含む繊維強化複合成形材料、及びそれから作られた複合コンポーネントに関する。
【背景技術】
【0002】
背景
繊維強化複合(FRC)は、それらが比較的軽量であり、面内固有の強度と剛性が高いため、多くの製造分野、特に高強度/軽量構造の製造で広く使用されている。
【0003】
FRCは、典型的には、マトリクス樹脂内に固められた複数の繊維強化層から構成されるラミネート構造を有する。面内強度と剛性が見られるのは、繊維強化層の面内である。ただし、FRCの有利な面内特性と比較して、それらの面外(厚さ貫通)特性は弱さを表しており、エッジからの剥離、又は外部荷重又は損傷及びその後の伝播の結果としての剥離に対する脆弱性を表し、保守性、全体的な整合性を損ない、壊滅的な障害につながる可能性がある。
【0004】
ステッチング、Zピン留め、3D織り、及び強化熱可塑性インターリーブの挿入などを包含する、FRCにおけるこのような層間剥離に対する耐性を向上させるために、さまざまなアプローチが行われている。しかしながら、これらはすべて、面内の機械的特性に悪影響を及ぼす可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、面内強度や質量増加を大幅に損なうことなく、疲労性能の向上を達成するために、破壊靭性と層間強度を向上させることは依然として課題である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の記載
本発明の一態様によれば、繊維層と、前記繊維層の表面上の1つ以上の局所領域で前記繊維層に塗布されたグラフェン/グラファイト状材料と、を含む複合成形材料であって、前記グラフェン/グラファイト状材料が、グラフェンナノプレート、グラフェンオキシドナノプレート、還元型グラフェンオキシドナノプレート、二層グラフェンナノプレート、二層グラフェンオキシドナノプレート、二層還元型グラフェンオキシドナノプレート、少数層グラフェンナノプレート、少数層グラフェンオキシドナノプレート、少数層還元型グラフェンオキシドナノプレート、炭素原子が6~14層であるグラフェン/グラファイト状ナノプレート、ナノスケール寸法でありかつ炭素原子の層が40層以下であるグラファイトフレーク、ナノスケール寸法でありかつ炭素原子の層が25~30層であるグラファイトフレーク、ナノスケール寸法でありかつ炭素原子の層が25~35層であるグラファイトフレーク、又はナノスケール寸法でありかつ炭素原子の層が20~40層であるグラファイトフレークから構成される、複合成形材料が提供される。
【0007】
前記グラフェンナノプレート、グラフェンオキシドナノプレート、還元型グラフェンオキシドナノプレート、二層グラフェンナノプレート、二層グラフェンオキシドナノプレート、二層還元型グラフェンオキシドナノプレート、少数層グラフェンナノプレート、少数層グラフェンオキシドナノプレート、少数層還元型グラフェンオキシドナノプレート、炭素原子6~14層のグラフェン/グラファイト状ナノプレート、ナノスケール寸法でありかつ炭素原子の層が40層以下であるグラファイトフレーク、ナノスケール寸法でありかつ炭素原子の層が25~30層であるグラファイトフレーク、ナノスケール寸法でありかつ炭素原子の層が25~35層であるグラファイトフレーク、又はナノスケール寸法でありかつ炭素原子の層が20~40層であるグラファイトフレークは、以下では総称して「グラフェン/グラファイト(状)プレートレット」という。グラフェン、グラフェンオキシド、及び/又は還元型グラフェンオキシドナノプレートは、通常、炭素原子1~10層の、通常0.3nm~3nmの厚さ、及び約100nm~100μmの範囲の横寸法を持つ。
【0008】
前記グラフェン/グラファイト状材料は、前記繊維層の表面上の少なくとも1つの、及び好ましくは複数の所定の領域に選択的に配置され得る。
【0009】
前記領域は互いに間隔を置いて不連続に配置されている。
【0010】
前記領域又は各領域は、0.001mm~0.01mm、0.002mm~0.01mm、0.01mm~1.5mm、0.01mm~1.0mm、0.5mm~1.5mm、0.003mmより大きい、0.5mmより大きい、又は1mmより大きい、前記繊維層上の表面積をカバーしてもよい。
【0011】
前記領域(複数可)の前記、各々又は少なくとも1つにおける前記グラフェン/グラファイト状材料は、材料の単体を含んでもよいか、又は前記領域(複数可)内の複数の不連続体(discrete bodies)を含んでもよい。
【0012】
前記グラフェン/グラファイト状材料は、前記繊維層の表面上に1つ以上の島を形成してもよく、前記若しくは各島は、グラフェン/グラファイト状材料が欠乏している繊維材料の1つ以上の領域に囲まれていることが好ましい。それはグラフェン/グラファイト状材料がないところである。
【0013】
各ボディは、1つのそのような島であり得る。
【0014】
前記グラフェン/グラファイト状材料は、前記繊維層の表面上の領域のアレイ又はパターンにおいて、又はその中に配置され得る。
【0015】
前記アレイ又はパターンは、規則的な、例えばバンド、ストライプ、円、スポット、正方形、ブロック、カラム、列についての規則的なアレイ、又は多面体形状、例えば六角形、五角形又は他のモザイク形状(tessellating shapes)などの多面体形状の名目上の頂点に沿って整列したアレイ、であり得る。
【0016】
あるいは、前記アレイは不規則なアレイであってもよいか、又は部分的に規則的であり、かつ他の部分は不規則であるアレイであってもよい。
【0017】
前記領域(複数可)の前記若しくは少なくとも1つにおけるグラフェン/グラファイト状材料の本体は、前記繊維層の表面上のグラフェン/グラファイト状材料のアレイ又はパターンを含むことができる。
【0018】
前記アレイ又はパターンは、規則的な、例えばバンド、ストライプ、円、スポット、正方形、ブロック、カラム、列についての規則的なアレイ、又は多面体形状、例えば六角形、五角形又は他のモザイク形状(tessellating shapes)などの多面体形状の名目上の頂点に沿って整列したアレイ、であり得る。
【0019】
あるいは、前記アレイは不規則なアレイであってもよいか、又は部分的に規則的であり、かつ他の部分は不規則であるアレイであってもよい。
【0020】
前記グラフェン/グラファイト状材料は、前記グラフェン/グラファイト状材料の特性が前記複合成形材料から成形された複合コンポーネントにとって有益となる1つ又は複数の領域に配置することができる。
【0021】
前記グラフェン/グラファイト状材料は、キャリア媒体に分散されたグラフェン/グラファイト状プレートレットを含む分散液であってもよい。
【0022】
前記グラフェン/グラファイト状プレートレットは、グラフェン/グラファイトの複数の層を含むプレートレットを含んでもよく、かつ、0.8~12ナノメートルの平均厚さ、1.3~9.4ナノメートルの間であってもよく、かつ2.5~6ナノメートルの間であってもよい。
【0023】
前記グラフェン/グラファイト状プレートレットは、最大25層又は最大35層のグラフェンを含んでもよく、グラフェン5層から25層の間又は5層から35層であってもよく、かつ、グラフェン5層から15層の間又は25層から35層の間であってもよい。
【0024】
前記グラフェン/グラファイト状プレートレットは、グラフェン、グラフェンオキシド、還元型グラフェンオキシド、グラファイト、グラファイトオキシド、又は一般的な板状(プレートレット)平面構造の還元型グラファイトオキシドのうちの1つ又は複数を含んでもよい。
【0025】
前記グラフェン/グラファイト状プレートレットは、40wt%から99wt%の炭素含有量を有してもよく、グラフェン又はグラファイトのプレートレットの場合97wt%から99wt%の間であってもよく、還元型グラフェンオキシド又は還元型グラファイトオキシドのプレートレットの場合80wt%から99wt%の間であってよく、かつグラフェンオキシド又はグラファイトオキシドのプレートレットの場合、質量に基づき40wt%から60wt%の間であってよい。
【0026】
前記グラフェン/グラファイト状プレートレットは、40質量%から98質量%のsp2含有量を有してよく、かつグラフェン又はグラファイトのプレートレットの場合95質量%から98質量%の間であってもよく、還元型グラフェンオキシド又は還元型グラファイトオキシドのプレートレットの場合60質量%から95質量%の間であってもよく、且つグラフェンオキシド又はグラファイトオキシドの場合40質量%から60質量%の間であり得る。
【0027】
前記グラフェン/グラファイト状プレートレットは、1質量%から50質量%の酸素を含んでもよく、グラフェン又はグラファイトのプレートレットの場合1質量%から3質量%の酸素であってもよく、還元型グラフェンオキシド又は還元型グラファイトオキシドのプレートレットの場合5質量%から10質量%の間であってもよく、還元型グラフェンオキシド又は還元型グラファイトオキシドのプレートレットの場合20質量%から50質量%の間であり得る。
【0028】
前記グラフェン/グラファイト状プレートレットは、Mastersizer 3000を使用して測定される前記粒子サイズで、d90サイズが最大40μmの平均プレートレットサイズ(平面寸法)、d90サイズが5μmから25μm、d90サイズが1μmから40μm、d50サイズが5μmから12μm、及び/又はd50サイズが1μm~30μmの間であってよい。
【0029】
前記グラフェン/グラファイト状プレートレットは、グラファイト状炭素に埋め込まれたグラフェン、グラフェンオキシド、及び/又は還元型グラフェンオキシドの複数の層を含んでもよい。
【0030】
前記キャリア媒体は、樹脂、例えばエポキシ、ポリエステル(不飽和)、フェノール、ビニルエステル、ポリウレタン、シリコーン、ポリアミド、ポリアミドイミド、ビスマレイミド、シアン酸エステル、ベンゾオキサジンのうち1つ以上を含んでもよい熱硬化性樹脂など、を含んでもよい。
【0031】
代替的又は追加的に、前記キャリア媒体は熱可塑性樹脂を含んでもよく、これは、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリカーボネート(PC)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリアミド(PA又はナイロン)及びポリプロピレン(PP)、高性能熱可塑性樹脂-ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリアリールスルホン(PAS)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)のうち1つ以上を含んでもよい。
【0032】
代替的又は追加的に、前記キャリア媒体はバイオ系樹脂を含んでもよく、これは、デンプン、デンプンカプロラクトンブレンド、ポリエステル-ポリアルキレンスクシネート、ポリエステルアミド、ポリヒドロキシアルカノエート-ポリビニルブチラール-ポリビニルバレエート、ポリヒドロキシ酸-ポリ乳酸-ポリグリコール酸、酢酸セルロース、フルフラールアルコール/フラン樹脂、油変性ポリエステル-植物油の変性-カシューナッツ油の変性、のうち1つ以上を含んでもよい。
【0033】
代替的又は追加的に、前記キャリア媒体は脱イオン水及び/又は溶媒、これは、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジエチルエーテル、1,4-ジオキサン、酢酸エチル、n-ブチルアセテート、t-ブチルアセテート、エチルエトキシプロピオネート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸メチル、ジメチルカーボネート、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソアミルケトン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、n-ブタノール、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、グリコール-エチレングリコール、プロピレングリコール、パラクロロベンゾトリフルオライド、のうちの1つ以上を含んでもよい。
【0034】
前記キャリア媒体は、前記繊維層中の樹脂と同じか、そうでなければ樹脂と相溶性であってもよい。
【0035】
前記分散液は、0.001質量%から10質量%、0.001質量%から1質量%、0.01質量%から0.5質量%、0.01質量%から5質量%の範囲のグラフェン/グラファイト状材料含有量を有することができる。
【0036】
前記繊維層に塗布されたグラフェン/グラファイト状材料の面積密度は、1mg/mから35000mg/m、1mg/mから2000mg/m、10mg/mから100mg/m、1000mg/mから20000mg/m、1000mg/mから10000mg/m、又は10mg/mから20mg/mの範囲であり得る。
【0037】
前記分散液は、10Υ.(s-1)@23℃において測定された、1~75センチポアズ、1~50センチポアズ、10~50センチポアズの範囲の、約20センチポアズ、又は約15センチポアズの粘度を有してもよい。
【0038】
前記グラフェン/グラファイト状分散液は、熱ドロップオンデマンド及びピエゾドロップオンデマンドインクジェット印刷、バルブジェット印刷、接触印刷、非接触印刷のうちの1つ以上を包含するインクジェット印刷などの選択的塗布プロセスによって、スプレー技術によって、又はマスクとスプレー法の使用によって、前記繊維層に好ましくは塗布される。
【0039】
前記グラフェン/グラファイト状分散液は液滴で塗布されてもよく、かつ前記液滴間の間隔は0.01mm~0.5mm又は0.3mm~2mmであってもよい。
【0040】
前記グラフェン/グラファイト状材料は、前記繊維層の表面全体の1つ又は複数の選択された領域で前記グラフェン/グラファイト状材料の正確な位置を選択的に塗布できるいずれの方法で塗布することができる。前記領域(複数可)は、前記複合成形材料から成形された複合コンポーネント内の応力がかかっている、又は潜在的に応力がかかっている場所にあるように、事前に選択されてもよい。
【0041】
前記繊維層は、硬化性マトリクス樹脂で部分的又は完全に含浸された繊維材料を含んでもよく、かつプリプレグ、部分硬化プリプレグ、未硬化繊維プリフォーム、部分硬化繊維プリフォームのうち1つ又は複数の形態であってもよい。
【0042】
前記繊維層は、繊維材料の1つ以上のプライ(plies)を含んでもよい。
【0043】
代替的又は追加的に、前記繊維層は、少なくとも部分的に、乾燥繊維材料を含んでもよい。
【0044】
前記繊維材料は、繊維強化複合用の繊維強化材料のうち1つ以上の形態を含むことができ、織物マット、不織布マット、連続織物、一方向織物、編組(braided)織物、編物、織物、不連続マット、チョップドファイバー、3D織物材料、単繊維トウ(tow)、一方向プリプレグ、スリットテーププリプレグ、トウプリプレグ、のうちの1つ以上を包含する。
【0045】
前記繊維材料は、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、プラスチック繊維、ナイロン繊維、テリレン繊維、麻繊維、木材繊維及び/又は他の有機繊維若しくは無機繊維のうちの1つ又は複数を含んでもよい。
【0046】
前記繊維層の前記硬化性マトリクス樹脂は、熱硬化性樹脂などの樹脂を含んでもよく、これは、エポキシ、ポリエステル(不飽和)、フェノール樹脂、ビニルエステル、ポリウレタン、シリコーン、ポリアミド、ポリアミドイミド、ビスマレイミド、シアン酸エステル、ベンゾオキサジン、のうち1つ以上含むことができる。
【0047】
代替的に又は加えて、前記繊維層の前記硬化性マトリクス樹脂は熱可塑性樹脂を含み、これは、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリカーボネート(PC)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリアミド(PA又はナイロン)及びポリプロピレン(PP)、高性能熱可塑性樹脂-ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリアリールスルホン(PAS)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)のうち1つ以上を含んでもよい。
【0048】
代替的に又は加えて、前記繊維層の前記硬化性マトリクス樹脂はバイオ系樹脂を含んでもよく、これは、デンプン、デンプンカプロラクトンブレンド、ポリエステル-ポリアルキレンスクシネート、ポリエステルアミド、ポリヒドロキシアルカノエート-ポリビニルブチラール-ポリビニルバレエート、ポリヒドロキシ酸-ポリ乳酸-ポリグリコール酸、酢酸セルロース、フルフラールアルコール/フラン樹脂、油変性ポリエステル-植物油変性-カシューナッツ油変性、のうち1つ以上を含んでもよい。
【0049】
前記キャリアは、前記硬化性マトリクス樹脂と同じ樹脂、実質的に同じ、又はそうでなければ相溶性であってもよい。
【0050】
前記繊維層は、ラミネート構造を含んでもよく、これは、繊維材料の複数のプライ(piles)を含んでもよく、ここで、前記繊維材料及び/又は硬化性マトリクス樹脂は、前記プライ間で同じであっても異なっていてもよい。
【0051】
前記複合成形材料は、前記複合成形材料中のさもなければいずれの外部に露出したグラフェン/グラファイト状材料をカバーする可能性のある外層1つ以上を含んでもよい。
【0052】
前記外層(複数可)は、繊維層を含んでもよい。
【0053】
本発明のさらなる一態様によれば、前述の段落のいずれかに記載された複合成形材料の複数の層を含む成形用ラミネートが提供される。
【0054】
前記複合成形材料は、前記層のいくつかが、及び好ましくはすべてが同じであってもよい。
【0055】
あるいは、前記複合成形材料は層の間で異なっていてもよく、かつ各層は前記成形用ラミネート内の他のすべての層と異なっていてもよい。
【0056】
複合成形材料の前記層は、一方が他方の上に積層されていてもよい。
【0057】
前記層は、少なくとも1つ又はいくつかの層上のグラフェン/グラファイト状材料が、面外方向で前記成形材料内の少なくとも1つの他の層上のグラフェン/グラファイト状材料と整列又は実質的に整列するように積層されてもよい。面外方向とは、検討中の前記グラフェン/グラファイト状材料の位置で、前記1つ又は複数の層の平面にほぼ垂直な方向である。
【0058】
前記層は、隣接する層上又は少なくとも2つの隣接する層上の前記グラフェン/グラファイト状材料の一部又はすべてが面外方向に重なるか又は実質的に重なるように積層されてもよい。
【0059】
あるいは、隣接する層上のグラフェン/グラファイト状材料が不整合若しくは実質的に不整合になるように、又は隣接する層上の前記グラフェン/グラファイト状材料の少なくとも一部がこれらの層間で不整合若しくは実質的に不整合になるように、層を積層してもよい。
【0060】
前記成形用ラミネートは、前記成形用ラミネート内のいずれの別の方法で外部に露出したグラフェン/グラファイト状材料をカバーすることができる1つ又は複数の外側ラミネート層を含むことができる。
【0061】
前記外側ラミネート層(複数可)は、前記成形用ラミネート中の複合成形材料の繊維層と同じか又は実質的に同じであってもよい。
【0062】
本発明のさらに別の態様によれば、硬化性マトリクス樹脂内に保持された複数の繊維層、及び、少なくとも2つの前記繊維層の間の1つ以上の局所領域にあるグラフェン/グラファイト状材料、を含む繊維強化複合コンポーネントであって、前記1つ以上の局所領域では層間破壊靭性がもたらされる、繊維強化複合コンポーネントが提供される。
【0063】
本発明のさらに別の態様によれば、複合成形材料を製造する方法であって、当該方法は、繊維層を提供することと、前記繊維層の表面上の1つ以上の局所領域でグラフェン/グラファイト状分散液を塗布すること、を含み、
前記グラフェン/グラファイト状分散液が、グラフェンナノプレート、グラフェンオキシドナノプレート、還元型グラフェンオキシドナノプレート、二層グラフェンナノプレート、二層グラフェンオキシドナノプレート、二層還元型グラフェンオキシドナノプレート、少数層グラフェンナノプレート、少数層グラフェンオキシドナノプレート、少数層還元型グラフェンオキシドナノプレート、炭素原子が6~14層であるグラフェン/グラファイト状ナノプレート、ナノスケール寸法でありかつ炭素原子の層が40層以下であるグラファイトフレーク、ナノスケール寸法でありかつ炭素原子の層が25~30層であるグラファイトフレーク、ナノスケール寸法でありかつ炭素原子の層が25~35層であるグラファイトフレーク、又はナノスケール寸法でありかつ炭素原子の層が20~40層であるグラファイトフレークを含む、複合成形材料を製造する方法、が提供される。
【0064】
前記グラフェン/グラファイト状分散液は、繊維層に塗布することができる液体であることが理解される。一度塗布すると、前記分散液は固体又は少なくとも粘度の高い液体となり、前記グラフェン/グラファイト状材料を形成する。前記分散液が前記材料になるプロセスは、前記分散液の性質に依存し、かつ溶媒の蒸発、化学反応、又は熱化学反応を包含し得るが、これらに限定されない。
【0065】
前記グラフェン/グラファイト状分散液は、前記繊維層の表面上の、好ましくは少なくとも1つの、及び好ましくは複数の所定の領域に、選択的に塗布されてもよい。
【0066】
前記グラフェン/グラファイト状分散液を離間した及び別個の領域に選択的に塗布してもよい。
【0067】
前記若しくは各領域が、0.01mm~1.5mm、0.01mm~1.0mm、0.5mm~1.5mm、及び通常、0.5mm以上、又は1mm以上、前記繊維層上の表面積をカバーし得るように、前記グラフェン/グラファイト状分散液を選択的に塗布することができる。
【0068】
前記領域(複数可)の前記、各々又は少なくとも1つにおける前記グラフェン/グラファイト状材料は、材料の単体を含んでもよいか、又は前記領域(複数可)内の複数の不連続体(discrete bodies)を含んでもよいように、前記グラフェン/グラファイト状分散液を選択的に塗布することができる。
【0069】
前記グラフェン/グラファイト状材料は、前記繊維層の表面上に1つ以上の島を形成してもよく、前記若しくは各島は、グラフェン/グラファイト状材料が欠乏している繊維材料の1つ以上の領域に囲まれていることが好ましいように、前記グラフェン/グラファイト状分散液を選択的に塗布することができる。
【0070】
前記グラフェン/グラファイト状分散液は、前記繊維層の表面上の局所領域のアレイ又はパターンにおいて、又はその中に塗布することができる。
【0071】
前記グラフェン/グラファイト状分散液は、バンド、ストライプ、円、スポット、正方形、ブロック、カラム、列、又は多面体形状、例えば六角形、五角形、又はその他のモザイク形状(tessellating shapes)、の名目上の頂点に沿って整列したアレイなどの規則的なアレイ又はパターンとして塗布することができる。
【0072】
あるいは、前記グラフェン/グラファイト状分散液は、不規則なアレイ又はパターンとして、又は部分的に規則的で他の部分が不規則なアレイ又はパターンとして塗布されてもよい。
【0073】
前記領域(複数可)の前記若しくは少なくとも1つでのグラフェン/グラファイト状分散液のボディは、前記繊維層の表面上のグラフェン/グラファイト状分散液のアレイ又はパターンとして塗布されてもよい。
【0074】
前記アレイ又はパターンは、バンド、ストライプ、円、スポット、正方形、ブロック、カラム、列、又は多面体形状、例えば六角形、五角形、又はその他のモザイク形状(tessellating shapes)、の名目上の頂点に沿って整列したアレイなどの規則的なアレイなど、規則的であってよい。
【0075】
あるいは、アレイは不規則であってもよく、又は一部が規則的であり、他の部分が不規則であってもよい。
【0076】
前記グラフェン/グラファイト状分散液は、前記グラフェン/グラファイト状材料の特性が前記複合成形材料から成形された複合コンポーネントに有益となる1つ以上の領域に塗布することができる。
【0077】
前記グラフェン/グラファイト状分散液は、キャリア媒体に分散されたグラフェン/グラファイト状プレートレットを含んでもよい。
【0078】
前記グラフェン/グラファイト状プレートレットは、グラフェンの複数の層を含むプレートレットを含んでもよく、かつ、0.8~12ナノメートル、1.3~9.4ナノメートルの平均厚さを有してもよく、かつ2.5~6ナノメートルであってもよい。
【0079】
前記グラフェン/グラファイト状プレートレットは、最大25層又は最大35層のグラフェンを含んでもよく、グラフェンの5~25又は5~35層であってもよく、かつグラフェンの5~15又は25~35層である。
【0080】
前記グラフェン/グラファイト状プレートレットは、グラフェン、グラフェンオキシド、還元型グラフェンオキシド、グラファイト、グラファイトオキシド、一般に板状(プレートレット)の立体構造を持つ還元型グラファイトオキシドのうち1つ以上を含んでもよい。
【0081】
前記グラフェン/グラファイト状プレートレットは、40wt%から99wt%の炭素含有量を有してもよく、かつグラフェン又はグラファイトのプレートレットでは97wt%から99wt%であってもよく、還元型グラフェンオキシド又は還元型グラファイトオキシドのプレートレットでは80wt%から99wt%であってもよく、かつグラフェンオキシド又はグラファイトオキシドのプレートレットで、質量に基づき40wt%から60wt%の間であり得る。
【0082】
前記グラフェン/グラファイト状プレートレットは40質量%から98質量%のsp2含有量を有してもよく、かつグラフェン又はグラファイトのプレートレットでは95質量%から98質量%であってもよく、還元型グラフェンオキシド又は還元型グラファイトオキシドのプレートレットでは60質量%から95質量%であってもよく、かつグラフェンオキシド又はグラファイトオキシドでは40質量%から60質量%の間であり得る。
【0083】
前記グラフェン/グラファイト状プレートレットは、1質量%から50質量%の酸素を含んでもよく、グラフェン又はグラファイトのプレートレットでは1質量%から3質量%の酸素であってもよく、還元型グラフェンオキシド又は還元型グラファイトオキシドのプレートレットでは5質量%から10質量%であってもよく、かつグラフェンオキシド又はグラファイトオキシドのプレートレットでは20質量%から50質量%の間であり得る。
【0084】
前記グラフェン/グラファイト状プレートレットは、Mastersizer 3000を使用して測定される前記粒子サイズ最大40μmの平均プレートレットサイズ(平面寸法)、5μmから25μmの間のd90サイズ、1μmから40μmの間のd90サイズ、5μmから12μmの間のd50サイズ、及び/又は1μm~30μmの間のd50サイズを有してもよい。
【0085】
前記グラフェンプレートレットは、グラフェン、グラフェンオキシド、及び/又はグラファイトカーボンに埋め込まれた還元型グラフェンオキシドの複数の層を含んでもよい。
【0086】
使用される前記キャリア媒体は、熱硬化性樹脂などの樹脂を含んでもよく、これは、エポキシ、ポリエステル(不飽和)、フェノール樹脂、ビニルエステル、ポリウレタン、シリコーン、ポリアミド、ポリアミドイミド、ビスマレイミド、シアン酸エステル、ベンゾオキサジン、のうち1つ以上含むことができる。
【0087】
代替的又は追加的に、前記キャリア媒体は熱可塑性樹脂を含んでもよく、これは、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリカーボネート(PC)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリアミド(PA又はナイロン)及びポリプロピレン(PP)高性能熱可塑性樹脂-ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリアリールスルホン(PAS)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)のうち1つ以上を含んでもよい。
【0088】
代替的又は追加的に、前記キャリア媒体はバイオ系樹脂を含んでもよく、これは、デンプン、デンプンカプロラクトンブレンド、ポリエステル-ポリアルキレンスクシネート、ポリエステルアミド、ポリヒドロキシアルカノエート-ポリビニルブチラール-ポリビニルバレエート、ポリヒドロキシ酸-ポリ乳酸-ポリグリコール酸、酢酸セルロース、フルフラールアルコール/フラン樹脂、油変性ポリエステル-植物油の変性-カシューナッツ油の変性、のうち1つ以上を含んでもよい。
【0089】
代替的又は追加的に、前記キャリア媒体は脱イオン水及び/又は溶媒、例えば、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジエチルエーテル、1,4-ジオキサン、酢酸エチル、n-ブチルアセテート、t-ブチルアセテート、エチルエトキシプロピオネート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸メチル、ジメチルカーボネート、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソアミルケトン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、n-ブタノール、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、グリコール-エチレングリコール、プロピレングリコール、パラクロロベンゾトリフルオライドのうちの1つ以上、を含んでもよい。
【0090】
前記キャリア媒体は、前記繊維層中の樹脂と同じか、そうでなければ樹脂と相溶性であってもよい。
【0091】
前記分散液は、0.001質量%から10質量%、0.001質量%から1質量%、0.01質量%から0.5質量%、0.01質量%から5質量%の範囲のグラフェン/グラファイト状材料含有量を有することができる。
【0092】
前記繊維層に塗布されたグラフェン/グラファイト状材料の面積密度は、1mg/mから35000mg/m、1mg/mから2000mg/m、10mg/mから100mg/m、1000mg/mから20000mg/m、1000mg/mから10000mg/m、又は10mg/mから20mg/mの範囲であり得る。
【0093】
前記分散液は、10Υ.(s-1)@23℃において測定された、1~75センチポアズ、1~50センチポアズ、10~50センチポアズの範囲の、約20センチポアズ、又は約15センチポアズの粘度を有してもよい。
【0094】
前記グラフェン/グラファイト状分散液は、熱ドロップオンデマンド及びピエゾドロップオンデマンドインクジェット印刷、バルブジェット印刷、接触印刷、非接触印刷のうちの1つ以上を包含するインクジェット印刷などの選択的塗布プロセスによって、スプレー技術によって、又はマスクとスプレー法の使用によって、前記繊維層に好ましくは塗布される。
【0095】
前記グラフェン/グラファイト状分散液は液滴で塗布されてもよく、かつ前記液滴間の間隔は0.01mm~0.5mm又は0.3mm~2mmであってもよい。
【0096】
前記グラフェン/グラファイト状材料は、前記繊維層の表面全体の1つ又は複数の選択された領域で前記グラフェン/グラファイト状材料の正確な位置を選択的に塗布できるいずれの方法で塗布することができる。前記領域(複数可)は、前記複合成形材料から成形された複合コンポーネント内の応力がかかっている、又は潜在的に応力がかかっている場所にあるように、事前に選択されてもよい。
【0097】
前記繊維層は、硬化性マトリクス樹脂で部分的又は完全に含浸された繊維材料を含んでもよく、かつプリプレグ、部分硬化プリプレグ、未硬化繊維プリフォーム、部分硬化繊維プリフォームのうち1つ又は複数の形態であってもよい。
【0098】
前記繊維層は、繊維材料の1つ以上のプライ(plies)を含んでもよい。
【0099】
代替的又は追加的に、前記繊維層は、少なくとも部分的に、乾燥繊維材料を含んでもよい。
【0100】
前記繊維材料は、繊維強化複合用の繊維強化材料のうち1つ以上の形態を含むことができ、織物マット、不織布マット、連続織物、一方向織物、編組(braided)織物、編物、織物、不連続マット、チョップドファイバー、3D織物材料、単繊維トウ(tow)、一方向プリプレグ、スリットテーププリプレグ、トウプリプレグ、のうちの1つ以上を包含する。
【0101】
使用される前記繊維材料は、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、プラスチック繊維、ナイロン繊維、テリレン繊維、麻繊維、木材繊維及び/又は他の有機繊維若しくは無機繊維のうちの1つ又は複数を含んでもよい。
【0102】
前記繊維層の前記硬化性マトリクス樹脂は、熱硬化性樹脂などの樹脂を含んでもよく、これは、エポキシ、ポリエステル(不飽和)、フェノール樹脂、ビニルエステル、ポリウレタン、シリコーン、ポリアミド、ポリアミドイミド、ビスマレイミド、シアン酸エステル、ベンゾオキサジン、のうち1つ以上含むことができる。
【0103】
代替的に又は加えて、前記繊維層の前記硬化性マトリクス樹脂は熱可塑性樹脂を含み、これは、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリカーボネート(PC)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリアミド(PA又はナイロン)及びポリプロピレン(PP)、高性能熱可塑性樹脂-ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリアリールスルホン(PAS)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)のうち1つ以上を含んでもよい。
【0104】
代替的に又は加えて、前記繊維層の前記硬化性マトリクス樹脂はバイオ系樹脂を含んでもよく、これは、デンプン、デンプンカプロラクトンブレンド、ポリエステル-ポリアルキレンスクシネート、ポリエステルアミド、ポリヒドロキシアルカノエート-ポリビニルブチラール-ポリビニルバレエート、ポリヒドロキシ酸-ポリ乳酸-ポリグリコール酸、酢酸セルロース、フルフラールアルコール/フラン樹脂、油変性ポリエステル-植物油変性-カシューナッツ油変性、のうち1つ以上を含んでもよい。
【0105】
使用される前記キャリアは、前記硬化性マトリクス樹脂と同じ樹脂、実質的に同じ、又はそうでなければ相溶性であってもよい。
【0106】
前記繊維層は、ラミネート構造を含んでもよく、これは、繊維の複数のプライ(piles)を有してもよく、ここで、前記繊維材料及び/又は硬化性マトリクス樹脂は、前記プライ間で同じであっても異なっていてもよい。
【0107】
前記複合成形材料中の外部に露出しているグラフェン/グラファイト状材料をカバーするために、1つ又は複数の外層を設けることができる。
【0108】
設けられた前記外層(複数可)は、繊維層を含んでもよい。
【0109】
本発明のさらなる一態様によれば、前述のように複合成形材料の複数の積層することを含む方法が提供される。
【0110】
使用される前記複合成形材料は、前記層のいくつかが、及び好ましくはすべてが同じであってもよい。
【0111】
あるいは、使用される前記複合成形材料は層の間で異なっていてもよく、かつ各層は前記成形用ラミネート内の他のすべての層と異なっていてもよい。
【0112】
複合成形材料の前記層は、一方が他方の上に積層されていてもよい。
【0113】
前記層は、前記層の少なくともいくつかの上のグラフェン/グラファイト状材料が、前記成形材料内の少なくとも1つの他の層上のグラフェン/グラファイト状材料と整列しているか又は実質的に整列しているように、積層されてもよい。
【0114】
前記層は、隣接する層上の前記グラフェン/グラファイト状材料の一部又はすべてが面外方向に重なるか、又は実質的に重なるように積層されてもよい。
【0115】
あるいは、隣接する層上のグラフェン/グラファイト状材料が不整合若しくは実質的に不整合になるように、又は隣接する層上の前記グラフェン/グラファイト状材料の少なくとも一部がこれらの層間で不整合若しくは実質的に不整合になるように、層を積層してもよい。
【0116】
前記成形用ラミネート内のいずれの別の方法で外部に露出したグラフェン/グラファイト状材料をカバーすることができる、1つ又は複数の外側ラミネート層が提供されてもよい。
【0117】
使用される前記外側ラミネート層(複数可)は、前記成形用ラミネート中の複合成形材料の繊維層と同じか又は実質的に同じであってもよい。
【0118】
本発明の別の態様によれば、繊維強化複合コンポーネントを製造する方法が提供される。当該方法は、
複数の繊維層と、前記繊維層を強化する硬化性マトリクス樹脂とを提供すること、
前記繊維層のうち少なくとも1つの表面上の1つ以上の局所領域にグラフェン/グラファイト状分散液を塗布すること、
前記グラフェン/グラファイト状材料が2つの隣接する繊維層の間に位置するように前記繊維層を位置決めすること、及び
前記繊維材料の周りの前記マトリクス樹脂を硬化させる条件に前記コンポーネントを曝露すること、を含む。
【実施例0119】
実施例
本発明による複合成形材料の利点を実証するために、グラファイト状材料のインクジェット塗布(application)を使用して試験片複合材料を作製した。
【0120】
インクジェットプリンタで使用するインクは、次のように調製した。
キシレン、エポキシ樹脂(SHD Composite Materials Ltd.,UKから名称BP012で市販されている)及びグラフェン/グラファイト状プレートレットの必要量を混合した。
【0121】
前記インクは、表1に示す配合で作成した。
表1
【表1】
【0122】
グラフェン/グラファイト状材料A-GNP10は、英国のApplied Graphene Materials UK Limitedから市販されており、かつ原子厚25から35層のグラファイト状プレートレットを含む。
【0123】
グラフェン/グラファイト状材料A-GNP30は、英国のApplied Graphene Materials UK Limitedから市販されており、かつ原子厚3から6層のグラファイト状プレートレットを含む。
【0124】
グラフェン/グラファイト状材料A-GNP35(T)は、英国のApplied Graphene Materials UK Limitedから市販されており、かつ原子厚6から12層のグラファイト状プレートレットを含む。
【0125】
60μmのノズル、約30Hzの堆積速度、及び0.28mmのドット間隔を使用するMicrofab Jetlab 4xlインクジェットプリンタを使用して、インク配合物のプリエ(plie)への印刷を実施した。グラファイト状材料の被覆率は、表2に示したとおりである。
【0126】
サンプルパネルは、次の方法で製造された。
12プライ(plies)が0°の向きで一方向にレイアップされた。印刷されたプリエ(plie)はレイアップ中の6番目のプリエ(plie)として使用されており、かつ、印刷された領域は、前記印刷されたプリエ(plie)の表面に置かれた剥離フィルムに隣接して位置していた。前記剥離フィルムは、サンプル内の所望の位置で層間亀裂を開始するために使用される。
【0127】
次に、120℃まで1℃/分のランプ速度を包含する硬化温度プロファイルでサンプルを加圧硬化し、その後、120℃で、及び600kPa(6バール)の圧力で1時間の滞留(dwell)が続いた。
【0128】
次いでサンプルは、ASTM-5528標準法及び英国規格ISO 15024:2001を使用してモードI破壊靭性(クラック伝播)(G1c)を、Shimdazu EZ-LX 1kN試験装置を使用して25℃で、テストした。
【0129】
テストの結果は、表3に示すとおりであった。
表2
【表2】
表3
【表3】
【0130】
図面の簡単な説明
本発明の好ましい実施形態を、添付の図面を参照して、ほんの一例として以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0131】
図1】本発明による複合材料の概略斜視図である。
図2】本発明の別の実施形態による複合材料の概略斜視図である。
図3】本発明のさらなる実施形態による複合材料の概略斜視図である。
図4】本発明の別の実施形態による複合材料の概略斜視図である。
図5】本発明のさらなる実施形態による複合材料の概略斜視図である。
図6】本発明の別の実施形態による複合材料の概略斜視図である。
図7】本発明のさらなる実施形態による複合材料の概略斜視図である。
図8】本発明のさらに別の実施形態による複合成形材料の概略断面図である。
図9a】本発明による成形用ラミネートの概略斜視図である。
図9b図9aの線IXbに沿った概略断面図である。
図10a】本発明のさらなる実施形態による成形用ラミネートの概略斜視図である。
図10b】線Xbに沿った図10aの成形用ラミネートの概略断面図である。
図11】本発明のさらなる実施形態によるさらなる成形用ラミネートの概略断面図である。
図12】本発明による繊維強化複合コンポーネントの概略断面図である。
図13】締結具Fにより固定された、本発明による2つの繊維強化複合コンポーネントの概略断面図である。
図14】成形されている図10aの成形用ラミネートの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0132】
好ましい実施形態の詳細な説明
本発明は、繊維層と、前記繊維層の表面上の1つ以上の局所領域で前記繊維層に塗布されたグラフェン/グラファイト状材料とを含む複合成形材料を提供する。
【0133】
図1は、繊維層12と、前記繊維層12の表面16上の4つの局所領域R1、R2、R3、R4で前記繊維層12に塗布されたグラフェン/グラファイト状材料14とを有する複合成形材料10の一実施形態を示す。
【0134】
前記グラフェン/グラファイト状材料14は、前記繊維層12の前記表面16上の前記所定の領域R1、R2、R3、R4の各々に選択的に塗布されている。
【0135】
図1に示す特定の実施形態において、前記4つの所定の領域R1、R2、R3、R4の各々は、一般に前記繊維層12の前記表面16のそれぞれの隅に位置する。前記領域R1、R2、R3、R4は、グラフェン/グラファイト状材料14の別個の物体を提供するために互いに離間している。図1に示す前記実施形態において、グラフェン/グラファイト状材料14の単一のボディが各領域R1、R2、R3、R4に提供される。
【0136】
所定の領域の前記繊維層に塗布されるグラフェン/グラファイト状材料の量は、いくつかの要因、これらは、前記グラフェン/グラファイト状材料自体の性質、前記繊維層の性質、前記複合成形材料を死傷して製造されるいずれの成形用ラミネートの性質、所望の特性と特徴、特に、前記複合成形材料を使用して形成される複合コンポーネントに必要とされる又は求められる、層間靭性及び強度特性、を包含する、に従って決定される。
【0137】
例として、各領域R1、R2、R3、R4における前記グラフェン/グラファイト状材料14は、特定の実施形態において0.01~1.5mmの、他の実施形態において0.5mm~1.5mmの、他の実施形態において0.01mm~1.0mmの、0.5mmより大きい、又は1mmより大きい、前記繊維層上の表面を覆うことができる。適切な/必要な場合、カバーされる面積は1mmよりもかなり大きい場合がある。
【0138】
図1の前記実施形態におけるグラフェン/グラファイト状材料の各ボディ14は、前記繊維層12の前記表面上にグラフェン/グラファイト状材料の島を形成し、かつ各島はグラフェン/グラファイトを欠く繊維材料に囲まれている。
【0139】
図1の前記実施形態において、前記グラフェン/グラファイト状材料14は、R1、R2、R3、R4が四辺形の名目上の頂点に沿って整列している領域の規則的なアレイ又はパターンに配置されている。
【0140】
図2は、さらなる実施形態による複合成形材料を示し、図1の実施形態におけるフィーチャと同一又は同等のフィーチャは、「1」が前に付された同じ参照番号を有する。同じ又は同等のフィーチャを有する本明細書に記載の他の実施形態に関して、これらは同じ数字であるがそれぞれのプレフィックス番号で参照される。
【0141】
図2の前記実施形態において、前記グラフェン/グラファイト状材料114は、2つの局所領域R1、R2に塗布されており、前記2つの局所領域は、一般に、前記表面116を横切って延び、かつ一般に、前記複合成形材料210の前記繊維層112の側面に相互にほぼ平行な2つのバンド又はストライプの単純なパターンの形態である。
【0142】
前記グラフェン/グラファイト状材料は、いずれの数の領域又は領域の形状(configuration)に塗布適用することができ、かつこれらの領域は、前記繊維層の前記表面上に、バンド、ストリップ、円、スポット、正方形、ブロック、カラム、列の規則的なアレイ又はパターンなどの、規則的なアレイ又はパターン、及び/又は面体形状、例えば六角形、五角形又は他のモザイク形状、の名目上の頂点に沿って配置されているいかなるアレイ又はパターン、を形成してよい。
【0143】
特定の実施形態において、前記グラフェン/グラファイト状材料は、それらの間で不規則なパターン又はアレイを画定する局所化された、事前に選択された、及び所定の領域で提供される。
【0144】
図3は、グラフェン/グラファイト状材料214が、前記複合成形材料310の前記繊維層212の表面216上に領域R1、R2、R3、R4、R5の不規則なパターン又はアレイとして提供される、そのような例示的な一実施形態を示す。
【0145】
さらなる実施形態において、前記グラフェン/グラファイト状材料は、部分的に規則的であり、かつ他の部分は不規則であるアレイ又はパターンにおいて前記繊維層の前記表面に塗布される。
【0146】
そのような実施形態の図解例が図4に示されており、ここで、前記領域R1、R2、R3、R4は前記アレイ又はパターンの規則的な部分を提供し、かつR5、R6、R7は不規則な部分を表す。
【0147】
本発明の範囲内で、前記グラフェン/グラファイト状材料は、前記繊維層の前記表面上の局所領域のいずれの構成で塗布することができ、かつ、本発明の利点は、前記グラフェン/グラファイト状材料の、及び特に前記材料内の前記グラフェン/グラファイト状の有利な特徴及び特性を提供する材料を設計し、選択的かつ所定の方法で実現できることである。これにより、後述するように、関連する多くの利点を実現できる。
【0148】
典型的な層間の弱点が存在するか、又はコンポーネント内のどこよりも問題が発生する可能性が高い場合、多くの場合、積層繊維強化複合を使用して作られたコンポジットコンポーネント内に特定の領域又はゾーンが存在し、かつ、グラフェン/グラファイト状材料がそれらの領域又はゾーンに存在するように複合コンポーネントを設計できるように、そのような複合コンポーネントを製造するために使用できる、複合成形材料内の所定の局所領域でのグラフェン/グラファイト状材料の選択的塗布を提供する。したがって、前記グラフェン/グラファイト状材料が提供する改善された層間破壊靭性と強度特性を、正確に必要な場所で複合に提供し、かつ必要とされない他の場所では提供しない。
【0149】
この方法において複合を正確に設計するこの能力には、多くの利点がある。
【0150】
まず第一に、グラフェン/グラファイトのプレートレットを本当に必要な場所にのみ正確に配置することができ、これがコストの効率及びその他の製造効率を有する。
【0151】
不要な重みの追加を避けるのに役立つ。配合樹脂、フィルム、プリプレグテープなどの中間体を製造する際に高比表面積のナノ材料を組み込む際に見られる、粘度/粒子の凝集などの処理の問題及びコストを回避又は削減するのに役立つ。より低い圧密圧力及び/又はより速いサイクル時間で含浸繊維に低粘度及び費用効果の高い樹脂の使用を促進又は可能にすることができる。廃棄物やスクラップのレベルを減らす。他の機械的又は物理的特性への悪影響を減らすのに役立つ。かつプロセス又は設計のオーバーホールを必要とせずに、既存の材料及び/又は構造設計をアップグレードできる。
【0152】
前記グラフェン/グラファイト状材料を層間境界に正確に配置することにより、クラックブリッジング及びたわみメカニズムにより破壊靭性が向上させる。これにより、亀裂成長の減少と疲労下での複合設計の改善が期待される。層間境界での破壊靭性の改善により、複合の性能が向上し、かつ複合設計手法の変更が可能になる。このようなグラフェン/グラファイト状プレートレット改質材料を使用すると、安全設計の考慮事項に合わせて複合構造を開発できるはずであるが、ただし、複合層の数が少ないため、使用する材料と複合コンポーネントの質量に大きなメリットがある。
【0153】
特定の実施形態において、領域内にグラフェン/グラファイト状材料のボディが提供され、かつ前記ボディは、ゾーン内の前記繊維層の表面上にグラフェン/グラファイト状材料のアレイ又はパターンを含む。
【0154】
図5は、複合成形材料410におけるそのような一実施形態を示している。ここで、グラフェン/グラファイト状材料414の3つの個別のボディB1、B2、B3が各領域R1、R2、R3、R4に提供される。
【0155】
前記領域R1、R2、R3、R4は相互に規則的なパターンであり、かつ各領域内の前記ボディB1、B2、B3も同様に相互に規則的なパターンである。この特定の図5の実施形態において、前記ボディB1、B2、B3は、それぞれの前記領域R1、R2、R3、R4内で相互に平行に走るストリップである。
【0156】
他の実施形態において、それ以外の場合、領域内のグラフェン/グラファイト状材料のボディのパターン若しくはアレイ又は前記領域の1つ以上は規則的である。例えば、バンド、円、スポット、正方形、ブロック、カラム、列の規則的なアレイ又はパターン、又は多面体形状、例えば六角形、五角形、若しくはその他のモザイク形状、の名目上の頂点に沿って整列されたいかなるアレイ。
【0157】
他の実施形態において、領域内の前記ボディは、図6で具体化された前記複合成形材料510におけるボディB1、B2、B3で示されるように、不規則であるアレイ又はパターンに塗布される。
【0158】
他の実施形態において、前記領域の1つ以上は規則的であり、かつ前記他の領域の前記他の又は少なくとも1つ以内のボディは不規則である。
【0159】
そのような一実施形態による成形材料610の例示的な例が図7に示されている。ここで、領域R1におけるグラフェン/グラファイト状材料614のボディB1、B2、B3は、不規則なパターン又は配列にあり、かつ、領域R2におけるグラフェン/グラファイト状材料614のボディB1、B2、B3は、前記表面612上の3つの相互に平行なストリップ又はラインの規則的な配列にある。
【0160】
前記グラフェン/グラファイト状材料は、キャリア場体中に分散されたグラフェン/グラファイト状プレートレットの分散液(dispersion)を含む。
【0161】
前記グラフェン/グラファイト状プレートレットは、グラフェン(単層)の層を複数を含むプレート状粒子又はプレートレットを含む。各プレートレットは、特定の実施形態では0.8~12ナノメートルの、他の実施形態では1.3~9.4ナノメートルの、及びさらなる実施形態では2.5~6.0ナノメートルの、一般的な厚さ(一般に前記プレートレットの平面に垂直に横切る、前記プレートレットの厚さを通して測定された)を有する。
【0162】
本発明において特に有用であることが見出されたグラフェン/グラファイト状プレートレットは、最大25層又は最大35層のグラフェン/グラファイトを含む。特定の実施形態において、前記グラフェン/グラファイト状プレートレットは、グラフェン/グラファイトの5~25又は5~35層を有し、かつ他の実施形態において、グラフェン/グラファイトの5~15又は25~35層を有する。
【0163】
特定の実施形態において、前記グラフェン/グラファイト状プレートレットは40%から99質量%の炭素含有量を有するが、化学含有量はプレートレットの組成に応じて変動するであろう。
【0164】
60%と98%との間のsp2含有量を有するグラフェン/グラファイト状プレートレットは、本発明において特に有用であるが、やはり前記sp2含有量は、前記プレートレットの組成に応じて変動するであろうことが分かった。
【0165】
典型的には、前記グラフェン/グラファイト状プレートレットの酸素含有量は、1%と50%との間であり、前記プレートレットの前記組成に応じて変動する。
【0166】
表5は、グラフェン、還元型グラフェンオキシド、及びグラフェンオキシドのプレートレットの質量に基づく典型的な百分率炭素含有量、sp2含有量、及び酸素含有量を示す。
表5
【表4】
【0167】
本発明の特定の実施形態において、グラフェン/グラファイト状プレートレットは40μmまでの平均プレートレットサイズ(平面寸法)、5μmと25μmと間のd90サイズ、1μmと40μmとの間のd90サイズ、5μmと12μmとの間のd50サイズ、及び/又は1μmと30μmとの間のd50サイズ、を有していてもよい。Mastersizer3000を使用して測定される粒子サイズ。
【0168】
前記グラフェンプレートレットは、グラフェン、グラフェンオキシド、及び還元型グラフェンオキシドのうち1つ以上を含んでいてもよい。これは典型的にはグラファイト炭素に埋め込まれている。還元グラフェン酸化物のうちの1つ又は複数を含んでもよい。
【0169】
特定の実施形態において、前記キャリア媒体は熱硬化性樹脂を含む。これは、エポキシ、ポリエステル(不飽和)、フェノール、ビニルエステル、ポリウレタン、シリコーン、ポリアミド、ポリアミドイミド、ビスマレイミド、シアン酸エステル、ベンゾオキサジンのうち1つ以上を含む。
【0170】
他の実施形態において、前記キャリア媒体は熱可塑性樹脂を含む。これは、特定の実施形態において、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリカーボネート(PC)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリアミド(PA又はナイロン)及びポリプロピレン(PP)、高性能熱可塑性樹脂-ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリアリールスルホン(PAS)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)のうち1つ以上から選択される。
【0171】
特定の実施形態において、前記キャリア媒体は、バイオ系樹脂を含んでもよく、これは、デンプン、デンプンカプロラクトンブレンド、ポリエステル-ポリアルキレンスクシネート、ポリエステルアミド、ポリヒドロキシアルカノエート-ポリビニルブチラール-ポリビニルバレエート、ポリヒドロキシ酸-ポリ乳酸-ポリグリコール酸、酢酸セルロース、フルフラールアルコール/フラン樹脂、油変性ポリエステル-植物油の変性-カシューナッツ油の変性、のうち1つ以上を含んでもよい。
【0172】
前記キャリア媒体は脱イオン水及び/又は溶媒、例えば、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジエチルエーテル、1,4-ジオキサン、酢酸エチル、n-ブチルアセテート、t-ブチルアセテート、エチルエトキシプロピオネート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸メチル、ジメチルカーボネート、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソアミルケトン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、n-ブタノール、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、グリコール-エチレングリコール、プロピレングリコール、パラクロロベンゾトリフルオライドのうちの1つ以上、を含んでもよい。
【0173】
特定の実施形態において、前記キャリア媒体は熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、バイオベースの樹脂、溶媒及び水のうち1つ以上を含む。
【0174】
好ましい実施形態において、前記キャリア媒体は前記繊維層における前記樹脂と相溶性であり、かつ特定の実施形態において、前記キャリア媒体は前記繊維層における樹脂と同じである。
【0175】
特定の実施形態において、前記分散液は、質量に基づき0.001質量~10%質量%、0.001質量%~1質量%の範囲のグラフェン/グラファイト状プレートレット含有量を有し、質量に基づき0.01質量%~0.5質量%、0.01質量%~5質量%の範囲であり得る。
【0176】
特定の実施形態において、前記繊維層に塗布されたグラフェン/グラファイト状材料の面積密度は、1mg/mから35000mg/m、1mg/mから2000mg/m、10mg/mから100mg/m、1000mg/mから20000mg/m、1000mg/mから10000mg/m、又は10mg/mから20mg/mの範囲にある。
【0177】
特定の実施形態において、特に塗布時の前記分散液は、1から75センチポアズ、1から50センチポアズ、10から50センチポアズの範囲、約20センチポアズ、又は約15センチポアズの粘度粘度(viscosity viscosity)を有する。
【0178】
このような実施形態において、前記分散液は、典型的には約20質量%の樹脂と、溶媒、例えばキシレン又は本明細書に記載のような前記他の溶媒キャリアのうちいずれか、とを含む。
【0179】
他の実施形態において、前記分散液の粘度は0.9から50センチポアズの範囲であり、かつそのような実施形態において、前記分散液は通常、樹脂を含まないか、又は実質的に樹脂を含まない。前記グラフェン/グラファイト状プレートレットは、溶媒などの非樹脂性キャリア媒体に分散しており、1つはキシレンであり、又は本明細書に記載の前記他のもののうちいずれかである。
【0180】
本発明に関連して論じされた粘度は、10 Υ.(s-1)@ 23℃においてMalvern Kinexusレオメータで測定された通りである。
【0181】
前記グラフェン/グラファイト状材料は、サーマルドロップオンデマンド及びピエゾドロップオンデマンドインクジェット印刷、バルブジェット印刷、接触印刷、非接触印刷を包含する、インクジェット印刷などの選択的な塗布プロセスによって、いずれの他の適切な選択的かつ正確なスプレー技術によって、又はマスクとスプレー法の使用によって、前記繊維層に塗布できる粘度のものである。
【0182】
本発明に特に好ましい塗布プロセスは、インクジェット印刷である。これにより、前記繊維層の前記表面上の所定の局所領域又は複数の領域に前記グラフェン/グラファイト状材料の正確な位置を選択的に塗布することが可能になるためである。
【0183】
前記グラフェン/グラファイト状材料は、印刷の単一ステージで、又は多段ステージ印刷プロセスで塗布することができる。
【0184】
前記グラフェン/グラファイト状材料を0.01mmから0.5mmの間の液滴間間隔を有する液滴として塗布することは、本発明において特に有用であることが見出された。前記グラフェン/グラファイト状材料を所定の局所領域(複数可)で、療育の所定のパターン又はアレイで、又は上記のような領域内でそのように印刷すると、複合にグラフェン/グラファイト状材料を正確かつ精確に堆積及び供給することができる。複合成形材料の正確なエンジニアリングと、そのような複合成形品から作られた成形用ラミネート及び複合コンポーネントの前進エンジニアリングを可能にする。その中で前記グラフェン/グラファイト状材料が局在している。前記複合成形材料から成形された複合コンポーネント内で、層間剥離が予想されるか、著しい確率とみなされる場合、応力が既知、予想されるか、又は顕著な確率とみなされる場合、又はそうでなければ有利とみなされる場合、したがって、強度と層間靭性の向上を包含する、前記グラフェン/グラファイト状材料の存在の結果として、正確かつ局所的な利点が実現される。
【0185】
特定の実施形態において、前記複合成形材料の前記繊維層は、硬化性マトリクス樹脂で部分的又は完全に含浸された繊維材料を含む。
【0186】
特定の実施形態において前記繊維層は、未硬化プリプレグ、部分的に硬化したプリプレグ、未硬化の繊維プリフォーム又は部分的に硬化した繊維プリフォームを含む。
【0187】
特定の実施形態において、前記繊維層は、繊維材料の1つのプライ(ply)を含み、かつ他の実施形態において繊維材料の複数のプライ(plies)を含む。
【0188】
特定の実施形態において、繊維層は(いずれの関連する樹脂なしの)乾燥繊維材料を含み、かつ他の実施形態において、乾燥繊維材料の1つ以上のプライ及び樹脂で予め含浸された繊維材料の1つ以上のプライを含む。
【0189】
本発明の前記複合成形材料の前記繊維材料は、繊維強化複合材料に典型的に使用される繊維強化の既知のフォーマットであり得る。織布マット、不織布マット、連続布地、一方向布地、編組布地、編地布地、織布、不連続マット、チョップドファイバー、単繊維トウ、含浸スリットテープ、3D織布材料、一方向プリプレグ、スリットテーププリプレグ、トウプリプレグ、のうちの1つ以上を包含する。
【0190】
前記繊維材料は、いずれの好適な有機及び/又は無機繊維を含むことができ、かつ特定の実施形態において、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、プラスチック繊維、ナイロン繊維、テリレン繊維、麻繊維、木材繊維のうちの1つ以上を含むことができる。
【0191】
特定の実施形態において、前記繊維層の前記硬化性マトリクスは熱硬化性樹脂を含み、これは、エポキシ、ポリエステル(不飽和)、フェノール、ビニルエステル、ポリウレタン、シリコーン、ポリアミド、ポリアミドイミド、ビスマレイミド、シアン酸エステル、ベンゾオキサジンのうち1つ以上から選択することができる。
【0192】
他の実施形態において、前記繊維層の前記硬化性マトリクスは熱可塑性樹脂を含み、これは、から選択することができ、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリカーボネート(PC)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリアミド(PA又はナイロン)及びポリプロピレン(PP)、高性能熱可塑性樹脂-ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリアリールスルホン(PAS)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)のうち1つ以上から選択することができる。
【0193】
前記繊維層の前記硬化性マトリクスは、バイオ系樹脂、例えば、デンプン、デンプンカプロラクトンブレンド、ポリエステル-ポリアルキレンスクシネート、ポリエステルアミド、ポリヒドロキシアルカノエート-ポリビニルブチラール-ポリビニルバレエート、ポリヒドロキシ酸-ポリ乳酸-ポリグリコール酸、酢酸セルロース、フルフラールアルコール/フラン樹脂、油変性ポリエステル-植物油の変性-カシューナッツ油の変性のうち1つ以上を含んでもよい。
【0194】
特定の実施形態において、前記硬化性マトリクス樹脂は、前記グラフェン材料の前記キャリア媒体と同じか、実質的に同じか、そうでなければ相溶性である。
【0195】
特定の実施形態において、前記繊維層は、繊維材料の複数のプライを含むラミネート構造を含む。
【0196】
特定の実施形態において、前記繊維材料はラミネート間で同じであり、かつ他の実施形態において、前記繊維材料はラミネート間で異なっていてもよい。
【0197】
図8は、プライを一緒に保持する未硬化の樹脂材料で含浸された繊維材料の3つのプライP1、P2、P3から構成されるラミネート構造を有する、複合成形材料7の例示的な一実施形態の概略断面図である。グラフェン/グラファイト状材料714は、2つの局所領域R1、R2で前記繊維層712の前記表面716上に示されている。
【0198】
特定の実施形態において、前記表面716に塗布された前記グラフェン/グラファイト状材料714をカバーし、かつ典型的には保護するために、前記表面716上に外層(図示せず)が提供される。前記外層は典型的には、硬化前に除去されるが、特定の実施形態では、硬化プロセス中に残り、かつ硬化複合コンパートメントの一部になり得る。
【0199】
本発明はまた、上記のような複数の層状複合成形材料を含む成形用ラミネートを提供する。
【0200】
図9a及び図9bは、複合成形材料810A、810B、810Cの3つの積層された層を含む成形用ラミネート18の一実施形態を示している。
【0201】
前記複合成形材料810A、810B、810Cは同じであり、かつ各層のグラフェン/グラファイト状材料814A、814B、814Cのボディが前記層の平面をほぼ(垂直に)通る方向に互いの上に整列するように、前記層は上下に直接積層される。
【0202】
一代替実施形態において、前記複合成形材料は層の間で異なり、かつ特定の実施形態において、各層は前記成形用ラミネート内の他のすべての層とは異なる。
【0203】
そのような実施形態において、前記グラフェン/グラファイト状材料の位置は、前記それぞれの層の同じ領域に依然として存在することができ、そのため、積層時に特に各複合成形材料の前記繊維層の違いにもかかわらず、一般に図9a及び9bに示すように、前記グラフェン/グラファイト状材料を整列させることができる。
【0204】
さらに別の実施形態では、少なくともいくつかの層上のグラフェン/グラファイト状材料のボディが整列しないように、同じ層又は異なる層を積層してもよい。
【0205】
図10a及び10bは、複合材料910A、910B、910Cの3つの層を含む成形用ラミネート118を示し、ここで、複合成形材料910A及び910Cは同じであり、かつグラフェン/グラファイト状材料914A、914Cのボディは一般に前記層の平面に垂直な(貫通して)方向に整列しており、かつ前記中間層910Bは、複合成形材料910A、910C上のそれとは異なる又はオフセットしたグラフェン/グラファイト状材料910Bのパターン又はアレイを有する。
【0206】
そのような実施形態は、グラフェン/グラファイト状材料の異なる場所を提供し、及びしたがって前記ラミネートの厚さを通してタフニング及び強化する場所を提供する。
【0207】
特定の実施形態においては、そうでなければ層のスタックの外面に露出することになるグラフェン/グラファイト状材料をカバーするために、外側ラミネート層が提供される。
【0208】
図11は、そのような外側ラミネート層20を備えた図10a及び10bの複合成形材料を示している。
【0209】
特定の実施形態において、前記外側ラミネート層20は、前記成形用ラミネートの前記複合成形材料の1つ又はすべての前記繊維層と同じである。
【0210】
他の実施形態別において、前記外側ラミネート層は、保護又は剥離シート又はフィルムなどの異なる材料のものである。
【0211】
精密で事前に決められかつ局所的な強化とタフニング、特に層間強度とタフニング、を備えた膨大な範囲の材料を設計できるように、前記グラフェン/グラファイト状材料の選択的かつ局所的な塗布において、本発明によって提供される精度と柔軟性を使用して、前記複合成形材料及び前記成形用ラミネートの構成、立体構造、及び組成を設計できることは、当業者には明らかであろう。
【0212】
本明細書に記載されるように、本発明の前記複合成形材料の前記繊維材料は、多くの既知の形態及びほぼ無制限の形状及びサイズであり得る。主な制限は、前記材料は扱いやすく、処理可能なサイズであること、かつ、その表面上の1つ以上の局所領域でグラフェン/グラファイト状材料を前記繊維層に適用できる表面を提供すること、である。したがって、例えば、前記材料はシート又はプライ、3Dプリフォーム、テープ、トウの形態にすることができる。
【0213】
本発明はまた、硬化性マトリクス樹脂内に保持された複数の繊維層、及び、少なくとも2つの前記繊維層の間の1つ以上の局所領域にあるグラフェン/グラファイト状材料、を含む繊維強化複合コンポーネントであって、前記1つ以上の局所領域では層間破壊靭性がもたらされる、繊維強化複合コンポーネントを提供する。
【0214】
図12は、マトリクス樹脂内に固められた4つの繊維層1012A、1012B、1012C、1012Dと、前記コンポーネント内のほぼ中央領域にある前記4つの繊維層1012A、1012B、1012C、1012Dの各々の間に位置するグラフェン/グラファイト状材料1014A、1014B、1014Cとを含む繊維強化複合コンポーネント22の一実施形態を示している。
【0215】
前記グラフェン/グラファイト状材料1014A、1014B、1014Cの存在は、それが配置されている層間破壊靭性を提供する。そして、図12に示す前記実施形態において、グラフェン/グラファイト状材料1014A、1014B、1014Cの前記コンポーネント22の厚さを貫通する方向における整列は、前記コンポーネント22の厚さを貫通る改善された靭性の中央領域を提供する。
【0216】
この厚さ貫通の層間靭性は、コンポーネント22に正確で局所的な有益な物理的特性を提供する。
【0217】
これには、多くの利点と用途がある。そのうちの一つは、前記繊維強化複合コンポーネント22の前記中央領域(図示)を中心に通過する機械的固定又は締結具の強度と靭性を高めることである。
【0218】
図13は、2つの繊維強化複合コンポーネント22の図示された中央領域を通過してそれらを一緒に固定する、リベット、ボルトなどの、機械的締結具(fastening)Fの概略図である。
【0219】
前記締結具が前記コンポーネント22を通過する場所に前記グラフェン/グラファイト状材料が存在しない場合、前記締結具Fが前記コンポーネントを通り抜けるか、又は前記締結具Fを収容するために穴が開けられるため、従来の繊維強化複合材料では、層間損傷や疲労の重大なリスクがある。
【0220】
本発明によるグラフェン/グラファイト状材料の提供により、層間破壊靭性が改善され、そのような層間剥離及びクラック伝播に対する耐性が提供される。及び従って、コンポーネントに、改善されたが局所的な靭性と層間剥離に対する耐性が提供される。
【0221】
例えば、複合コンポーネントを一緒に固定するため、又は複合コンポーネントを貫通するために一連のファスナーが必要な場合、本発明によれば、複合成形材料、成形用ラミネート、及び繊維強化複合コンポーネントは、ファスナーを使用する場所でのグラフェン/グラファイト状材料の選択的で所定の正確な局所的供給により設計できることが理解されよう。特定の、正確で、費用効果が高く、その他の点で有利な方法で、層間靭性と強度を改善する。
【0222】
本発明はまた、繊維強化複合コンポーネントを製造する方法を提供する。当該方法は、
複数の繊維層と、前記繊維層を強化する硬化性マトリクス樹脂とを提供すること、
前記繊維層のうち少なくとも1つの表面上の1つ以上の局所領域にグラフェン/グラファイト状分散液を塗布すること、
前記分散液から生じる前記グラフェン/グラファイト状材料が2つの隣接する繊維層の間に位置するように前記繊維層を位置決めすること、及び
前記繊維材料の周りの前記マトリクス樹脂を硬化させる条件に前記コンポーネントを
曝露すること、を含む。
【0223】
繊維強化コンポーネントを形成するための既知の技術及びプロセスは、本発明の製造方法の一部として使用することができる。例えば、繊維層のプライの手動及び自動レイアップ、真空成形、オートクレーブ成形、繊維配置、引抜成形、テープ敷設などを使用できる。
【0224】
図14は、図10bの成形用ラミネート118から複合コンポーネントを形成するために使用される単純な真空成形プロセスの概略図である。前記ラミネート118は、不浸透性膜IMの下の型Mの表面上でシールされる。ラミネートを固め、かつマトリクス樹脂を硬化させるため、前記ラミネートに熱を加えられると、矢印Aで概略的に示されているように、前記膜IMの下から空気が引き出される。
【0225】
この性質のプロセスは、特定の(一般にシート状の)立体構造の複合成形材料を成形するのに特に好適であることが理解されよう。
【0226】
フィラメントワインディング、テープ敷設及び引抜成形などのプロセスは、本発明の複合成形材料をトウ又はテープの形態で成形するために使用でき、本発明による複合成形材料を成形するために使用できる。
【0227】
本発明によれば、前記グラフェン/グラファイト状材料は、樹脂を予め含浸させた繊維層、又は乾燥繊維層(樹脂を予め含浸させていない)、又は本発明による複合ラミネートの特定の実施形態内では、両方に、塗布できることが理解されよう。
【0228】
予備含浸繊維材料及び乾燥繊維材料(例えば、樹脂転写)を成形するための技術及びプロセスは、当業者に周知である。そしてそのような技術及びプロセスは、本発明の文脈で使用できることが理解されよう。
【0229】
本発明によれば、本発明の範囲内に該当する複合成形材料の任意の数の同じ又は異なる組み合わせを、部分的、全体的、又は非整列のいずれかで積層することにより、成形用ラミネートを提供できること、及び多層ラミネートのそれぞれの層の間で整列の性質が変動し得ることが理解されよう。
【0230】
本発明の精神又は範囲から逸脱することなく、様々な修正を行うことができる。例えば、成形用ラミネートを備えた複合成形材料は、それぞれの複合成形材料の配向が連続する層の間で交互になるように変化するように層状にされ、それにより、グラフェン/グラファイト状材料を担持するそれぞれの表面が構造を通して交互になり、隣接する層上のグラフェン/グラファイト状材料が整列したときに接触できるようにする。
【0231】
前述の説明で説明したフィーチャは、明示的に説明した組み合わせ以外の組み合わせで使用できる。機能は特定のフィーチャを参照して説明できるが、これらの機能は、説明されているかどうかに関係なく、他のフィーチャによって実行可能である場合がある。特定の実施形態を参照してフィーチャを説明してきたが、これらの実施形態は、説明されているかどうかにかかわらず、他の実施形態にも存在し得る。
【0232】
前述の明細書では、特に重要であると考えられる本発明のフィーチャに注意を向けるよう努めているが、それについて特に強調されているかどうかにかかわらず、出願人は、上記で参照及び/又は図面に示されたいずれの特許性のあるフィーチャ又はフィーチャの組み合わせに関して保護を請求することを理解されたい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9a
図9b
図10a
図10b
図11
図12
図13
図14
【外国語明細書】