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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023067883
(43)【公開日】2023-05-16
(54)【発明の名称】薬物送達システム
(51)【国際特許分類】
   A61K 47/44 20170101AFI20230509BHJP
   A61K 31/337 20060101ALI20230509BHJP
   A61K 31/475 20060101ALI20230509BHJP
   A61K 31/706 20060101ALI20230509BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230509BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20230509BHJP
【FI】
A61K47/44
A61K31/337
A61K31/475
A61K31/706
A61P35/00
A61P35/02
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023023598
(22)【出願日】2023-02-17
(62)【分割の表示】P 2019556621の分割
【原出願日】2018-04-20
(31)【優先権主張番号】102017000043316
(32)【優先日】2017-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(71)【出願人】
【識別番号】512299978
【氏名又は名称】リポジェムズ インターナショナル ソシエタ ペル アチオニ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100150810
【弁理士】
【氏名又は名称】武居 良太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100196977
【弁理士】
【氏名又は名称】上原 路子
(72)【発明者】
【氏名】アウグスト ペッシーナ
(72)【発明者】
【氏名】ジュリオ アレッサンドリ
(72)【発明者】
【氏名】カルロ フェルディナンド マリア トレモラーダ
(72)【発明者】
【氏名】オファー ゼイラ
(57)【要約】
【課題】本発明は、分子、好ましくは、薬物の送達システムに関する。
【解決手段】前記システムは、脂肪組織またはその誘導体を含む。更に、本発明は、癌の治療における使用のための、好ましくは、抗腫瘍活性を有する分子を添加した、脂質ベースの送達システムに関する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分子、好ましくは、薬物、の組織ベースの送達システムであって、ここで、前記組織が、単離された脂肪組織もしくはその誘導体である、組織ベースの送達システム。
【請求項2】
前記脂肪組織が、吸引脂肪組織である、請求項1に記載の組織ベースの送達システム。
【請求項3】
前記組織が、好ましくは、10~5000μm、好ましくは、100~3000μm、より好ましくは、200~2500μm、さらにより好ましくは、300~1500μm、より好ましくは、400~900μmの範囲に及ぶサイズを有する脂肪組織のクラスタを好ましくは含む、微小断片化脂肪または微小断片化吸引脂肪組織である、請求項1または2に記載の組織ベースの送達システム。
【請求項4】
前記微小断片化脂質および/または微小断片化吸引脂肪組織、および/または微小断片化脂質/吸引脂肪組織のクラスタが:間葉系幹細胞(MSC)、脂肪由来幹細胞(ASC)、脂肪幹細胞、周皮細胞、脂肪細胞、内皮細胞、および任意のそれらの組み合わせ、から選択される細胞を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の組織ベースの送達システム。
【請求項5】
前記脂肪組織、好ましくは、微小断片化脂肪組織および/または微小断片化吸引脂肪組織が、任意の動物から単離され、より好ましくは、ヒトから単離され、そして、前記ヒトが、生きているかまたは死骸である、請求項1~4のいずれか1項に記載の組織ベースの送達システム。
【請求項6】
前記分子/薬物が:抗炎症性分子、抗生物質、抗癌分子、および5α-レダクターゼ阻害剤、から選択され、ここで、前記抗癌分子(化学療法剤)が:天然物、好ましくは、ビンカアルカロイド、から好ましくは選択され、より好ましくは:ビンブラスチン、ビンクリスチン、およびビノレルビン、タキサン、好ましくは、パクリタキセルもしくはドセタキセル、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ノコダゾール、エポチロンおよびナベルビン、エピジポドフィロトキシン(テニポシド)、アクチノマイシン、アムサクリン、アントラサイクリン、ブレオマイシン、ブスルファン、カンプトテシン、カルボプラチン、クロラムブシル、シスプラチン、シクロホスファミド、シトキサン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、ヘキサメチルメラミンオキサリプラチン、イフォスファミド、メルファラン、メルクロルエタミン、マイトマイシン、ミトキサントロン、ニトロソ尿素、プリカマイシン、プロカルバジン、テニポシド、トリエチレンチオホスホルアミドおよびエトポシド(VP16)、アドリアマイシン、アムサクリン、カンプトテシン、ダウノルビシン、ダクチノマイシン、ドキソルビシン、エニポシド、エピルビシン、エトポシド、イダルビシン、イリノテカン(CPT-11)およびミトキサントロン、ペメトレキセド、5-FU、ラフェニブ、メトトレキセート、シクロホスファミド、ボルテゾミブ、トモゾロミド、ソラフェニブ、ならびに任意のそれらの組み合わせ、から選択される、請求項1~5のいずれか1項に記載の組織ベースの送達システム。
【請求項7】
前記抗癌分子が:パクリタキセル(PTX-タキソールもしくはオンキサール)またはその誘導体、好ましくは、アブラキサンおよび/またはドセタキセル、ドキソルビシンまたはその誘導体、好ましくは、アドリアマイシン、および/またはビンクリスチン、ならびに任意のそれらの組み合わせ、から選択される、請求項1~6のいずれか1項に記載の組織ベースの送達システム。
【請求項8】
前記分子/薬物の量が、1~5mg/mlの範囲に及び、好ましくは、抗癌効果/活性を得るための、パクリタキセル(PTX-タキソールまたはオンキサール)およびその誘導体、好ましくは、アブラキサン、ドセタキセル、の量が、100μlの前記微小断片化脂肪組織または微小断片化吸引脂肪組織あたり150ng以上、および/または100μlの脂肪組織または吸引脂肪組織あたり300ng以上である、請求項1~7のいずれか1項に記載の組織ベースの送達システム。
【請求項9】
1日あたりに放出される前記分子/薬物の量が、分子/薬物の添加/プライミング量に対して10~15%の範囲に及ぶ、請求項1~8のいずれか1項に記載の組織ベースの送達システム。
【請求項10】
癌の治療における使用のための、請求項1~9のいずれか1項に記載の分子/または薬物を好ましくは添加した脂肪組織またはその誘導体を含む送達システムであって、ここで、前記癌が、好ましくは:腎細胞癌、カポジ肉腫、慢性白血病、前立腺癌、乳癌、肉腫、膵臓癌、卵巣癌腫、直腸癌、咽喉癌、黒色腫、結腸癌、膀胱癌、肥満細胞腫、肺癌、乳腺腺癌、膵臓腺癌、骨髄腫、リンパ腫、咽頭扁平上皮癌腫、および胃腸または胃癌、から選択され、より好ましくは:膵臓癌、神経膠芽細胞腫、神経芽細胞腫、および中皮腫、から選択される、送達システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
説明
本発明は、分子、好ましくは、薬物の送達システムに関し、前記システムは、脂肪組織またはその誘導体を含む。
そのうえ、本発明は、癌の治療における使用のための、好ましくは、抗腫瘍活性を有する分子を添加した、脂質ベースの送達システムに関する。
【背景技術】
【0002】
背景
薬物は、健康を改善し、そして、寿命を延長するのに長い間、使用されてきた。
送達アプローチが薬物の効果に顕著な影響を及ぼすことは周知である。確かに、一部の薬物は、最大限の利益が引き出される至適濃度範囲によって特徴づけられ、この範囲外の濃度では、毒性であるか、または治療効果を全く生じない可能性がある。
【0003】
その一方、疾患の治療効果の非常に遅い進展は、組織の標的への治療薬の送達に対する学際的アプローチの必要性を高めた。
この必要性が、過去数十年間の薬物送達の実施における劇的な変化を引き起こし、そして近い将来には、さらに大きな変化が期待される。
【0004】
特に、最近、治療用担体としての細胞の使用に基づく、異なった概念および送達方法が開発された。合成が難しいか、短い半減期を有するか、組織浸透度が限られているか、または直接的な生体内の導入によって急速に不活性かされる、生物学的治療薬の送達にとって、細胞ベースのビヒクルが特に魅力的である。
それらの有効性を改善すると同時に、不利な副作用を最小にするように、全身に治療薬を送達する生理学的担体の使用は、多くの臨床現場で適用され得る魅力的な見解である。
【0005】
本発明は、先に報告した必要性に対する解決策として、脂肪組織またはその誘導体で作製された送達システムを提案する。具体的には、脂肪組織は、吸引脂肪組織、好ましくは、微小断片化脂肪組織、および/または微小断片化吸引脂肪組織である。
【0006】
実際には、本発明の著者は、以下のことを驚いたことに見出した:
1)単離された脂肪組織(isolated fat tissue)、好ましくは微小断片化脂肪組織(micro-fragmented fat tissue)、の送達システム(足場)には、分子/薬物が迅速に添加される(添加/プライミング相には数分/数時間かかる);
2)添加された分子/薬物は、治療的有効量かつ持続的な様式で放出される;
3)添加された分子/薬物は、放出後にそれらの生物学的活性を維持する;
【0007】
4)脂肪組織、好ましくは、微小断片化脂肪組織、の脱細胞化(細胞成分の破壊)は、分子/薬物の放出に影響することはなく、そして、有利なことには、分子/薬物が最終的に添加される、これに関連して開示された足場はまた、冷凍されたままであり得、かつ、その後の段階に使用され得ることを意味する;
【0008】
5)斯かる一種の送達システムには、広範囲の分子/薬物が添加され得る;
6)本発明の送達システムとその分解生成物は、生物学的に適合しており、かつ、中毒作用と無関係である;および
7)本発明の送達システムは、身体の自然な部分であり、そのため、生分解性を除いて免疫原性ではない。
【0009】
具体的には、先に報告された効果は、吸引脂肪組織それ自体、および微小断片化吸引脂肪組織の両方を使用することによって実験的に実証された、すなわち、脂肪組織は、以下で開示した吸引脂肪組織の制御された微細断片化プロセス後に得られた。
【0010】
しかしながら、微小断片化脂肪送達システムは、吸引脂肪組織(脂肪組織)それ自体よりもより有利であるが、なぜなら、取り扱いがより簡単であり、かつ、それがより良好な標準化および治療結果の信頼性を可能にするからである。この点に関して、あらゆる治療用途にとって標準化および信頼性がどれほど重要であるかは、周知のことである。
【発明の概要】
【0011】
本発明の第一の態様は、分子、好ましくは、薬物、の組織ベースの送達システムに関し、ここで、前記組織は、単離された脂肪組織もしくはその誘導体、または好ましくは、吸引脂肪組織である。
好ましくは、その組織は、好ましくは、任意の動物から単離された、微小断片化脂肪または微小断片化吸引脂肪組織であって、より好ましくは、それはヒトから単離され、前記ヒトは、生きているかまたは死骸である、および/または、好ましくは、10~5000μm、より好ましくは、100~3000μm、さらにより好ましくは、200~2500μm、より好ましくは、300~1500μm、より好ましくは、400~900μmの範囲に及ぶサイズを有する脂肪組織のクラスタを好ましくは含む。
【0012】
好ましくは、微小断片化脂質/吸引脂肪組織、および/または微小断片化脂質/吸引脂肪組織のクラスタは:間葉系幹細胞(MSC)、脂肪由来幹細胞(ASC)、脂肪幹細胞、周皮細胞、脂肪細胞、内皮細胞、および任意のそれらの組み合わせ、から選択される細胞を含む。
好ましくは、その分子/薬物は:抗炎症性分子、抗生物質、抗癌分子、および5α-レダクターゼ阻害剤、から選択される。
【0013】
抗癌分子(化学療法剤)は:天然物、好ましくは、ビンカアルカロイド、から好ましくは選択され、より好ましくは:ビンブラスチン、ビンクリスチン、およびビノレルビン、タキサン、好ましくは、パクリタキセルもしくはドセタキセル、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ノコダゾール、エポチロンおよびナベルビン、エピジポドフィロトキシン(テニポシド)、アクチノマイシン、アムサクリン、アントラサイクリン、ブレオマイシン、ブスルファン、カンプトテシン、カルボプラチン、クロラムブシル、シスプラチン、シクロホスファミド、シトキサン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、ヘキサメチルメラミンオキサリプラチン、イフォスファミド、メルファラン、メルクロルエタミン、マイトマイシン、ミトキサントロン、ニトロソ尿素、プリカマイシン、プロカルバジン、テニポシド、トリエチレンチオホスホルアミドおよびエトポシド(VP16)、アドリアマイシン、アムサクリン、カンプトテシン、ダウノルビシン、ダクチノマイシン、ドキソルビシン、エニポシド、エピルビシン、エトポシド、イダルビシン、イリノテカン(CPT-11)およびミトキサントロン、ペメトレキセド、5-FU、ラフェニブ、メトトレキセート、シクロホスファミド、ボルテゾミブ、トモゾロミド、ソラフェニブ、ならびに任意のそれらの組み合わせ、から選択される。
【0014】
より好ましくは、抗癌分子は:パクリタキセル(PTX-タキソールもしくはオンキサール)またはその誘導体、好ましくは、アブラキサン、ドセタキセルおよび/またはドキソルビシンまたはその誘導体、好ましくは、アドリアマイシン、ビンクリスチン、から選択される。
【0015】
好ましい実施形態によると、前記分子/薬物の量は、1~5mg/mlの範囲に及び、好ましくは、抗癌効果/活性を得るための、パクリタキセル(PTX-タキソールまたはオンキサール)およびその誘導体、好ましくは、アブラキサン、ドセタキセル、の量は、100μlの前記微小断片化脂肪組織または微小断片化吸引脂肪組織あたり150ng以上、および/または100μlの脂肪組織または吸引脂肪組織サンプルあたり300ng以上である。
【0016】
好ましい実施形態によると、1日あたり放出される前記分子/薬物の量は、分子/薬物の添加/プライミング量と比較して10~15%の範囲に及ぶ。
【0017】
本発明のさらなる態様は、癌の治療における使用のための、先に開示した分子/または薬物を好ましくは添加した、脂肪組織またはその誘導体を含む送達システムに関し、ここで、前記癌は:腎細胞癌、カポジ肉腫、慢性白血病、前立腺癌、乳癌、肉腫、膵臓癌、卵巣癌腫、直腸癌、咽喉癌、黒色腫、結腸癌、膀胱癌、肥満細胞腫、肺癌、乳腺腺癌、膵臓腺癌、骨髄腫、リンパ腫、咽頭扁平上皮癌腫、および胃腸または胃癌、から好ましくは選択され、より好ましくは:膵臓癌、神経膠芽細胞腫、神経芽細胞腫、および中皮腫、から選択される。
【0018】
図面
本発明は、以下の図面に言及する制限されることのない例によってさらに詳細に開示される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】-図1は、LPG/PTXおよびLASP/PTXの増量に従って、癌細胞増殖のインビトロにおける阻害、特に、膵臓癌細胞(CFPAC1)の増殖を示す。腫瘍細胞増殖は、クリスタルバイオレット(CV)染色によって評価された。図1Bは、酢酸で溶出され、そして、550nmで計測されたCVの吸光度を示す。図1Cは、MTTアッセイを用いて試験された抗癌活性を示す。結果は、LPG/PTXまたはLASP/PTXの増量(25、50、100、および200μl)は、細胞増殖の阻害を誘発した。
図2】-図2は、様々な量のLPG/PTX(A)およびLASP/PTX(B)(0.78~100μl)によって培地中に放出されたPTXの生物学的な投薬量を示す。投薬量は、CFPAC1細胞に対するPTX活性を計測するMTTアッセイを使用することによって評価された。Cの表は、様々な量のLPG/PTXおよびLASP/PTXのV50値(細胞増殖を50%阻害する体積)を報告する。
図3】-図3は、様々な量のLPG/PTXおよびLASP/PTXのPTX放出動態を示す。ヒストグラム(A)は、LPG/PTXおよびLASP/PTXの総パクリタキセル相当濃度(p-EC)値を報告する。R2値は、用量-応答動態の相関係数を意味する。表(B)は、単独のp-EC値および対照(CTRL-100%)に対するパーセンテージとしてのPTXの放出を報告する。
図4】-図4は、LPG/PTXおよびLASP/PTXが、初代GBM(GC-GBM)癌細胞の増殖を阻害することを示す。写真は、対照およびLPG/PTXまたはLASP/PTX(2μg/mlを添加)から得られた、SNの50%希釈物で処理されたまた未処理のGC-GBM細胞に関する。結果は、LPG/PTXおよびLASP/PTXの追加に続く、GC-GBM細胞の完全な死滅を示す。対照脂肪組織から得られたSNは、GC-GBM細胞増殖に影響しない。対照培地(CTRL)と比較して有意な差はなかった。写真を処理の72時間後に撮影した。
図5】-図5は、LPG/PTXおよびLASP/PTXがIMR32増殖阻害を引き起こすことを示す。写真は、LPG/PTXまたはLASP/PTX(2μg/mlを添加)から得られたSNの50%の希釈物を用いてまたは用いずに培養したIMR32、および対照培養物に関する。結果は、LPG/PTXおよびLASP/PTXの両方がIMR32細胞死をもたらしたことを示す。脂肪組織を添加しなかったものから得られた対照CMは、IMR32細胞増殖に影響を及ぼさなかった。写真を処理の72時間後に撮影した。
図6】-図6は、LPG/PTXおよびLASP/PTXの両方が、用量依存的様式で薬物を放出することを示し、さらにそれらが、長期間のIMR32増殖阻害を引き起こし、それに加え、血管新生を阻害する。図6Aは、LPG/PTXおよびLASP/PTXの用量依存的活性を示す。結果は、300ngのPTXを含む100μlのLPGのプライミングがIMR32増殖を妨げるのに十分であることを示す。図6Bは、LPG/PTXおよびLASP/PTXの持続的な(4週間後でさえ)抗腫瘍活性を示す。図6Cは、LPG/PTXおよびLASP/PTXの両方から得られたSNが、内皮細胞(HUVEC)増殖を阻害することができることを示す。
図7】-図7は、LPG/PTXの冷凍が、その抗血管形成性および抗腫瘍活性に影響を及ぼさなかったことを示す。PTXを用いたプライミング後に、LPGは、-20℃が2週間にわたり維持され、その後、解凍され、そして、試験された。図7Aは、冷凍前後の(HUVECにおいて様々な希釈にて試験した)LPG/PTXから得られたSNの抗血管形成活性を示す。図7Bは、GC-GBM細胞において試験された抗腫瘍活性を示す。
図8】-図8は、LPG/PTXおよびLASP/PTXの両方からのPTXの経時的放出動態を示す。CFPAC1細胞に対する抗癌活性は、MTTアッセイによって評価された。その試験では、インキュベーション1、2、5および7日目におけるLPG/PTX(A)およびLASP/PTX(B)の両方からSN(上清)に放出された薬物を測定する。
図9】-図9は、PTX放出のパーセンテージを示す。グラフと表は、異なった日におけるLPG/PTX(A)およびLASP/PTX(B)の両方による、総量(p-EC)およびCTRLに対するパーセンテージとして表されるPTXの放出を示す。P-ECは、生物学的な投薬量アッセイにおいて評価されたPTX相当濃度を表す。
図10】-図10は、結合/非結合PTXの生物学的な投薬量を示す。処理の5分後、3日後および6日後の結合/非結合PTXの量。用量応答動態を、表AおよびBに報告された値を計算するのに使用した。
図11】-図11は、2μg/mlの蛍光PTX(PTX-F35)を用いて1時間または24時間処理したLPGの写真を示す。結果は、1時間が、LPGによるPTX-F35の完全な取り込みに十分であることを示す。結果は、PTX-F35が、LPG脂肪細胞の細胞質中に主に局在化されることを示す。
図12】-図12は、LPGおよびLASPの両方によるドキソルビシン(DXR)の取り込みおよび放出を示す。グラフでは、ドキソルビシン(DXR)で処理されたLPG(A)およびLASP(B)の両方からのSN(上清(surnatants))の生物学的活性を報告する。 SNは、処理から3日および6日後にLPG/DXRおよびLASP/DXRを洗浄することによって回収され、そして、CFPAC-1細胞に対して試験された。
図13】-図13は、LPG/DXRおよびLASP/DXRの両方によるDXRの経時的放出動態を示す。ヒストグラムでは、LPGおよびLASPを処理するのに使用された量のパーセンテージ(A)および総DXR相当濃度(d-EC)(B)として表された、処理後3および6日目におけるLPGおよびLASPの両方によって放出されるDXRの量を報告する。表(C)には数値をまとめる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の詳細な説明
本発明の第一の対象は、分子、好ましくは、薬物、を送達するためにシステムを指し、前記送達システムは、単離された脂肪組織またはその誘導体を含む。
言い換えれば、本発明の第一の対象は、分子、好ましくは、薬物、を送達するための組織ベースのシステムを指し、ここで、該組織は、単離された脂肪組織またはその誘導体である。
【0021】
あるいは、本発明の組織ベースのシステムはまた、分子/薬物を添加するための足場または分子/薬物を送達するための足場であるとも規定できる。
好ましい実施形態によると、脂肪組織は、断片化され、好ましくは、以下で詳細に論じられるように微小断片化される。
【0022】
そのため、本発明との関連において、単離された脂肪組織、好ましくは、微小断片化脂肪組織は、多量の分子、好ましくは、薬物、より好ましくは、親油性分子および/または薬物、例えば、タキソール(PTX)または任意の誘導体など、あるいは、親水性分子および/または薬物、例えば、ドキソルビシンまたは任意の誘導体など、を送達するための足場(送達システム)として使用される。
【0023】
組織ベースのシステムは、それを必要とする個体(任意の動物)の体内または身体の任意の部分に分子および/または薬物の送達を可能にする。そのため、本発明の組織ベースのシステムは、それを必要とする個体(任意の動物)における分子および/または薬物投与を可能にする。好ましくは、分子/薬物は、着目の部位、好ましくは、病気および/または負傷部位に送達される。
【0024】
本発明との関連において、脂肪組織(fat tissue)は、脂肪組織(adipose tissue)を意味する。
好ましくは、前記脂肪組織は、任意の動物から単離され、より好ましくは、それはヒトから単離され、前記ヒトは、生きているかまたは死骸である。
好ましくは、前記脂肪組織は、身体の任意の部分、好ましくは、下腹領域および/または脇腹領域、に由来するか、またはそこから単離される(精製される)。
【0025】
好ましくは、前記脂肪組織は、脂肪吸引(lipoaspiration)/脂肪吸出し(liposuction)手順によって身体から単離される(吸引脂肪組織)。そのため、好ましい実施形態によると、脂肪組織は、吸引脂肪組織(lipoaspirate:脂肪組織の一例として実施例および図面中ではLASPと記載)またはその誘導体である。
本発明との関連において、脂肪吸引、脂肪吸出しまたは単に脂肪(lipo)は、一般的に、カニューレを使用することによる、陰圧条件下での脂肪組織(脂質)の取り出しを意味する。
【0026】
すでに触れたとおり、脂肪組織、好ましくは、吸引脂肪組織は、微小断片化(微小断片化脂肪組織の一例として実施例および図面中ではLPG)される。好ましくは、脂肪組織は、非酵素的手順によって微小断片化され、そのため、本発明の脂質は、より好ましくは、非酵素的な微小断片化脂質である。言い換えれば、送達システムとして本発明において使用または投与される脂質は、まったく酵素的処理されることなしに微小断片化された。
【0027】
本発明のさらなる好ましい実施形態によると、微小断片化脂肪組織は、より好ましくは、特許出願WO2011/145075に十分に開示された手順に従って、Lipogems(登録商標)デバイス(LPG)を使用することによって得られる。
脂肪組織、好ましくは、吸引脂肪組織は、Lipogems(登録商標)デバイスに導入され、ここで、それは、好ましくは、弱い機械的な力によって、および、より好ましくは、溶液、好ましくは、生理的食塩溶液の存在下、脂肪組織の小さいクラスタに徐々に縮小される(断片化される)。
【0028】
好ましい実施形態によると、本発明の微小断片化脂質は、好ましくは、10~5000μm、より好ましくは、100~3000μm、さらにより好ましくは、200~2500μm、より好ましくは、300~1500μm、より好ましくは、400~900μm、の範囲に及ぶサイズを有する脂肪組織のクラスタを含んでいる。
【0029】
さらに好ましい実施形態によると、脂質、好ましくは、微小断片化脂質または微小断片化脂質のクラスタは、間葉系幹細胞(MSC)、および/または脂肪由来幹細胞(ASC)、および/または脂肪幹細胞、および/または周皮細胞、および/または脂肪細胞、および/または内皮細胞を含む。この点に関して、微小断片化脂肪クラスタは特に有利であるが、なぜなら、それらは、結果として、栄養および/またはシグナル伝達に関して天然/生理学的な状況に類似した間質によって支えられている、常在細胞の天然/完全な間質血管ニッチを維持しているからである。さらに、その間質は、あらゆる物理的および/または化学的損傷、例えば、機械的、酸素など、に対して細胞のグラフト中に保護された環境を提供する。
【0030】
そのため、本発明の微小断片化脂質は、好ましくは、以下を特徴とする:
- 好ましくは、10~5000μm、より好ましくは、100~3000μm、
さらにより好ましくは、200~2500μm、さらにより好ましくは、300~1500μm、さらにより好ましくは、400~900μm、の範囲に及ぶサイズを有する組織のクラスタ;および/または
【0031】
- 間葉系幹細胞(MSC)、および/または脂肪由来幹細胞(ASC)、および/または脂肪幹細胞、および/または周皮細胞、および/または脂肪細胞、および/または内皮細胞;および/または
- 血液残渣および/または炎症誘発性油性物質を含まない。
【0032】
好ましい実施形態によると、脂肪組織、好ましくは、微小断片化脂肪組織または微小断片化吸引脂肪組織、より好ましくは、常在細胞、好ましくは、間葉系幹細胞(MSC)、および/または脂肪由来幹細胞(ASC)、および/または脂肪幹細胞、および/または周皮細胞、および/または脂肪細胞、および/または内皮細胞は:CD44、CD73、CD90、CD105、CD146、CD166および任意のそれらの組み合わせから選択されるマーカーの少なくとも1つ、好ましくは、そのすべて;および/または以下の:OCT4、SOX2、NANOG、b-チューブリンIII NESTIN、NEUROD1、MUSASHI1、PAX6、SOX3、および任意のそれらの組み合わせのから選択される少なくとも1つのマーカー、より好ましくは、それらすべてを発現する。
【0033】
より好ましくは、その細胞、好ましくは、前記間葉系幹細胞(MSC)、および/または脂肪由来幹細胞(ASC)、および/または脂肪幹細胞は、以下のマーカー(識別特性)のパネル:ネスチン、b-チューブリンIII、GFAP、およびO4、を同時発現する。
デバイス内部の脂肪断片化は、1もしくは複数の断片化/離散/乳化手段を使用することによって、好ましくは制御される。
【0034】
好ましい実施形態によると、前記手段は、金属製の手段、より好ましくは、金属製のビーズ、および/またはフィルター/ネットであり、ここで、該フィルター/ネットは、好ましくは、組織サンプルの微細断片化をもたらすと同時に、ビーズは、組織サンプルの固体部分と液体部分の間の分離を促進するためにデバイスの内側で自由に動き、そして、洗浄流体と共に液体部分の乳濁液を(本質的に)提供する。
【0035】
好ましくは、ビーズは、好ましくは、0.1~30ミリメートル、より好ましくは、1~20mm、さらにより好ましくは、5~10mm、さらにより好ましくは、7.5~8.5mmの範囲に及ぶサイズ(平均直経)を有し、および/または前記フィルター/ネットは、2000μm~200μm、好ましくは、1500μm~500μmの範囲に及ぶ平均直径を有する。
フィルター/ネットのメッシュ平均直径は、50μm~6000μm、好ましくは、500μm~3000μmの範囲に及ぶ。
【0036】
より好ましくは、制御されたデバイスの振盪をおこなうことによって、脂肪組織の至る所に断片化/離散/乳化手段の緩やかな運動を実行することが望ましい。
【0037】
好ましい実施形態によると、断片化/離散/乳化は、好ましくは、デバイスを通した生理食塩水バッファーの連続的な流動により、液浸で実施され、そのようにして、組織サンプルの簡単な洗浄を可能にする(具体的には、効果的な油状および/または血液残渣の除去)。より好ましくは、断片化/離散/乳化は、固形物質を生理食塩水バッファーの入口に向かって持ち上げることを可能にする、ビーズ振盪を伴った生理食塩水バッファーの連続的な流動によって組織サンプルを洗浄し、油状物質および/また血液残渣を出口に向かって生理的食塩水と一緒に流出させることによって実施される。
断片化/離散/乳化手順は、好ましくは、数秒間続く。
【0038】
そのため、さらなる好ましい実施形態によると、本発明の微小断片化脂質は、ゆるやかな、酵素を含まない、無菌の、術中の、および迅速な操作を使用することによって得られる。
【0039】
本発明の脂肪組織は、好ましくは、任意の動物から、より好ましくは、ヒトから、単離される。好ましくは、前記動物/ヒトは、健康であるかまたは死骸である。
好ましい実施形態によると、脂質は、動物の脂肪組織、より好ましくは、ヒトの脂肪組織、より好ましくは、個体の下腹領域および/または脇腹領域から単離された/脂肪引出し物である。しかしながら、前記脂質は、任意の有用な体領域から単離され得る。
好ましくは、微小断片化脂質は、自家または異種である。
【0040】
本発明との関連において、送達されるべき分子は、生物学的および/または薬理活性を有する任意の分子、物質、または化合物、および/または少なくとも1つの薬物および/またはプロドラッグもしくは治療剤、を意味する。好ましくは、前記分子は、親油性(難水溶性または非水溶性)である。しかしながら、本発明の組織ベースのシステムもまた、親水性分子/薬物を送達するのに好適である。
【0041】
本発明の目的のために、送達されるべき好ましい分子は:抗炎症性分子、抗生物質、抗癌分子、および5α-レダクターゼ阻害剤(5-ARI)、から選択される。
【0042】
前記抗癌分子(化学療法剤)は:天然物、好ましくは、ビンカアルカロイド、から好ましくは選択され、より好ましくは:ビンブラスチン、ビンクリスチン、およびビノレルビン、タキサン、好ましくは、パクリタキセルもしくはドセタキセル、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ノコダゾール、エポチロンおよびナベルビン、エピジポドフィロトキシン(テニポシド)、アクチノマイシン、アムサクリン、アントラサイクリン、ブレオマイシン、ブスルファン、カンプトテシン、カルボプラチン、クロラムブシル、シスプラチン、シクロホスファミド、シトキサン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、ヘキサメチルメラミンオキサリプラチン、イフォスファミド、メルファラン、メルクロルエタミン、マイトマイシン、ミトキサントロン、ニトロソ尿素、プリカマイシン、プロカルバジン、テニポシド、トリエチレンチオホスホルアミドおよびエトポシド(VP16)、アドリアマイシン、アムサクリン、カンプトテシン、ダウノルビシン、ダクチノマイシン、ドキソルビシン、エニポシド、エピルビシン、エトポシド、イダルビシン、イリノテカン(CPT-11)およびミトキサントロン、ペメトレキセド、5-FU、ラフェニブ、メトトレキセート、シクロホスファミド、ボルテゾミブ、トモゾロミド、ソラフェニブ、から選択される。先に報告された分子の任意の組み合わせは、本開示の部分を形成すると見なされるべきである。
【0043】
より好ましくは、分子は:パクリタキセル(PTX-タキソールまたはオンキサール)またはその誘導体、から選択され、アブラキサン、および/またはドセタキセル、ドキソルビシンまたはその誘導体、好ましくは、アドリアマイシンおよび/またはビンクリスチンおよび任意のそれらの組み合わせ、から選択される。
【0044】
抗癌分子は:抗生物質、抗炎症性物質、ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体、免疫調節分子、生物学的製剤およびその組み合わせ、から好ましくは選択されるさらなる分子と組み合わせて同様に送達され得る。
【0045】
分子、および/または薬物/プロドラッグは、例えば、ペグ化などの任意の形で修飾されてもよく、またはそれは、粒子、好ましくは、例えばアルブミンナノ粒子などのナノ粒子と関連し得る。
【0046】
本発明のさらなる態様によると、好ましくは、先に開示した分子および/または薬物を添加/プライミングする、本発明の組織ベースの送達システムは、癌の治療に使用される。
本発明との関連において、「癌」という用語は、例えば、腎細胞癌、カポジ肉腫、慢性白血病、前立腺癌、乳癌、肉腫、膵臓癌、卵巣癌腫、直腸癌、咽喉癌、黒色腫、結腸癌、膀胱癌、肥満細胞腫、肺癌、乳房腺癌、膵臓腺癌、骨髄腫、リンパ腫、咽頭扁平上皮癌腫、および胃腸または胃癌、のような細胞障害を含めたあらゆる腫瘍性疾患を指す。
【0047】
本発明の送達システムを使用することによって治療される最も好ましいタイプの癌は:膵臓癌、神経膠芽細胞腫、神経芽細胞腫、中皮腫、卵巣癌腫、前立腺癌、および乳房腺癌、から選択される。
【0048】
あるいは、好ましくは、先に開示した少なくとも1つの分子および/または薬物を添加/プライミングする、本発明の送達システムは、変更されたおよび/または増強された増殖状況、好ましくは、過剰増殖性疾患/障害に関連するか、またはそれらによって引き起こされた、あらゆる疾患または状態の治療のために使用される。
【0049】
細胞の「増殖状態」とは、細胞増殖の速度および/または細胞分化の状況を指す。
本明細書中に使用される場合、「過剰増殖性疾患/障害」とは、それが、患者における好ましくない細胞増殖によって引き起こされるか、または細胞増殖を呈する、あらゆる障害を指す。好ましくは、過剰増殖性障害は:乾癬、関節リウマチ、葉状魚鱗癬、表皮剥離性角質増殖症、再狭窄、子宮内膜症、および異常な創傷治癒、または神経変性疾患、好ましくは、筋萎縮性側索硬化症、背髄性筋萎縮症、多発性硬化症、および外傷性神経損傷、例えば脊損など、から選択される。
【0050】
本明細書中に使用される場合、「増殖性」および「増殖」は、有糸分裂している細胞を指す。
好ましい実施形態によると、本発明の送達システム内に添加/プライミングされ得る前記分子/薬物の量は、1~5mg/ml脂肪組織の範囲に及ぶ。
【0051】
さらなる好ましい実施形態によると、抗癌効果/活性を得るための、パクリタキセル(PTX-タキソール(Taxol)またはオンキサール(Onxal))またはその誘導体、好ましくは、アブラキサン、ドセタキセル、の量は、100μlの微小断片化脂肪組織/吸引脂肪組織(LPG)につき150ng以上、および/または100μlの脂肪組織/吸引脂肪組織(LASP)につき300ng以上である。
【0052】
それにもかかわらず、最大量として添加され得る量は、薬物の親油-親水特性に依存する。
本発明の送達システムによって1日に放出される分子/薬物の量は、微小断片化脂肪組織/吸引脂肪組織(LPG)および/または脂肪組織/吸引脂肪組織(LASP)をプライミングするのに使用される量である添加/プライミング量と比較して、10~15%の範囲に及ぶ。
【0053】
本発明のさらなる態様は、障害のある(変更された)血管新生によって引き起こされるまたは関係する疾患または状態の治療における使用のために、そのため、病的な血管新生を治療するために、好ましくは、先に開示した少なくとも1つの分子および/または薬物を添加した、本発明の送達システムを指す。
【0054】
癌以外に、本発明との関連において、変更された血管新生に関連するまたは引き起こされる疾患/状態は、例えば、糖尿病性網膜症または神経障害などのさらなる疾患を意味する。
本発明の好ましい実施形態によると、組織ベースの送達システムは、局所、非経口、腹膜、粘膜、皮膚、上皮、皮下、経皮、筋肉内、経鼻、経口、局所、腟、直腸または眼内投与のためのものである。
【0055】
さらなる好ましい実施形態によると、先に開示した分子/薬物が最終的に添加された本発明の組織ベースの送達システムは、(プレ-ポスト)放射線療法および/または外科手術と組み合わせて投与/適用される。好ましくは、先に開示した分子/薬物が最終的に添加された本発明の組織ベースの送達システムは、例えば、取り除くべき腫瘍領域を削減し、それにより、特に、脳/東部などの特殊な領域に関して、外科手術の外傷をより少なくするために、外科手術前に関係する領域に適用される。
【0056】
先に開示した分子/薬物が最終的に添加された本発明の組織ベースの送達システムは、好ましくは、癌の再発を予防するため、より好ましくは、転移性腫瘍のために、好ましくは、外科手術前および/または後の投与/適用、好ましくは、局所、腹腔内、皮下に投与/適用である。
【実施例0057】
サンプル収集
以下の結果は、吸引脂肪組織それ自体(LASP)およびLipogems(登録商標)組織(LPG、すなわち、Lipogemsデバイスを用いた処理後の吸引脂肪組織-微小断片化吸引脂肪組織)の両方を指す。
【0058】
LASPを、Lipogems(登録商標)キットと共に提供される使い捨てのカニューレを使用することによって、先に記載(WO2011/145075)の皮下組織の脂肪吸出しによって入手した。
微小断片化脂肪組織-LPG-を得るために、LASPを、Bianchi et al., 2013およびTremolada et al., 2016によるLipogems(登録商標)デバイスによって加工した。
【0059】
薬物
LPGおよびLASPを、以下の例の化学療法剤に接触させた:
1)パクリタキセル(PTX-原液6mg/ml);
2)塩酸ドキソルビシン、および
3)ビンクリスチン(VC)(原液5mg/ml)。
PTX、DXRおよびVCを、作業濃度/要求濃度にて、以下に報告されるように培養培地中に希釈した。
【0060】
薬物を用いたLipogems(登録商標)および吸引脂肪組織のプライミング
LPGおよびLASPの両方のサンプルを、15mlのコニカルチューブ(Euroclone, UK)内で1分間ボルテックス処理した。それに続いて、PTX、DXRおよびVCを2μg/mlの終濃度にてサンプルに追加した。
【0061】
サンプルLPGおよびLASPを、1分間ボルテックス処理し、次に、37℃、5%CO2にて5分間または24時間インキュベートした。インキュベーション後に、サンプルを、1倍量のIscove完全培地(IMDM+10%のFBS+2mMのL-グルタミン;Euroclone, UK)と混合し、さらに1分間ボルテックス処理し、そして、2500×Gにて10分間遠心分離した。
【0062】
親水相をすぐに回収し、そして、置換した。
この操作を、各実験において記載されている様々な回数、繰り返した。
次に、PTX、DXR、VCプライミングサンプル(LPG/PTX、LPG/DXR、LASP/PTX、LASP/DXR、LPG/VC、LASP/VC)を、様々な方法論に従って加工して、薬物放出を試験した。
【0063】
細胞株
PTX、DXRおよびVCの抗癌活性を、以下の細胞に対して試験した:
- Iscove完全培地中で培養および増殖させたヒト膵臓腺癌細胞株CFPAC-1;
【0064】
- Neurocult培地(NC)中で培養および増殖させた初代膠芽細胞腫(GBM)細胞株、別名GC-GBM;および
- Dr. Mirco Ponzoni(Gaslini Hospital Genova, Italy)によって良心的に寄贈された以下の神経芽細胞腫(NB)細胞株:IMR32、HTLA230、SY5Y、SY5Y-LUC、NB1691およびNB1691-Luc。
【0065】
SY5Y-Luc、NB1691およびNB1691-Luc細胞を、RPMI1640+10%のFCS中で培養した。
IMR32、HTLA230およびSY5Y細胞を、DMEM完全培地(Euroclone, UK)中で培養し、そして、72時間ごとに1:5を分割比にて継代した。
【0066】
薬物と共に添加したLPGおよびLASPの抗血管形成活性を、ヒト内皮細胞系(HUVEC)においてアッセイした。
HUVECを、EGM完全培地(Lonza)中で培養し、1週間ごとに1:3にて継代した。
【0067】
トランスウェルインサートによって分析したLPG/PTXおよびLASP/PTXの抗癌活性
増量した体積(25、50、100、200μl)のLPG/PTXおよびLASP/PTXを、700μlの終量まで完全IMDM培地を使用して24ウェルプレート(BD Falcon, USA、直径1.9cm2)に導入した。300μlの培地中に2×103個のCFPAC-1細胞を、上部インサート(0.4μmの細孔径;BD Falcon, USA)に播種した。
【0068】
腫瘍細胞の増殖においてLPG/LASPによって放出される薬物の効果を、10分間、0.25%のクリスタルバイオレット(Sigma Aldrich, USA)で接着細胞を染色し、続いて、0.5mLの33% 氷酢酸で細胞を溶解することによって評価した。
溶出した色素の吸光度(OD)を、550nmにて計測した(ChroMate, Awareness technology Inc, USA)。
インサートの培地を、回収して、MTT試験に従ってパクリタキセル相当濃度(p-EC)を概算するために、標準化した生物学的投薬量決定の手順において抗癌活性を試験した。
【0069】
いくつかの実験では、細胞を剥離し、そして、カウントして、それらの数を評価した。
結果を、処理の不存在下で培養した対照細胞(CTRL)に対する増殖阻害のパーセンテージとして表される。
【0070】
MTTアッセイによる生物学的な投薬量の抗癌活性
薬物を用いてプライミングしたLPGおよびLASPからの上清(SN)を、CFPAC-1細胞増殖(Mosmann, 1983)に対して、MTTアッセイ(3-(4,5-ジメチル-2-チアゾリル)-2,5-ジフェニル-2-H-テトラゾリウム;Sigma-Aldrich, USA)によって評価した。
阻害濃度(IC50)を、Reed and Muench formula (1938)に従って決定した。
【0071】
生物学的な投薬量システムに従って、PTXおよびDXRを用いてプライミングしたLPGおよびLASPの抗腫瘍活性を、薬物を含まないもののそれと比較し、そして、PTXまたはDXR相当濃度(それぞれp-ECおよびd-EC)として表し、以下のアルゴリズムを適用した:p-またはd-EC(ng/ml)=IC50 PTXまたはDXR(ng/ml)×100/V50-SN;ここで、V50-SNは、そこで50%の阻害が観察される、プライミングLPGまたはLASPからのSNの体積であり、かつ、IC50 PTXまたはDXRは、50%の阻害を生じるの純粋なPTXまたはDXRの濃度(ng/ml)である。
【0072】
プライミングLPGまたはLASPによって放出されるPTXまたはDXRのパーセンテージ(薬物放出%)を評価するために、我々は、LPGまたはLASPをプライミングするのに使用した薬物の総量(μg)に関係する、放出された薬物の総量(p-ECまたはd-EC×SNの体積)を計算した。
【0073】
LPG/PTXおよびLASP/PTXによる薬物の経時的放出の動態
LPG/PTXおよびLASP/PTXを、同量のIscove完全培地(Euroclone, UK)に希釈した。
【0074】
サンプルを、1分間ボルテックス処理し、次に、37℃、5%のCO2にて、かつ、様々なインキュベーション期間(1、2、3、5、および7日間)でインキュベートした。
培地上清(SN)を回収して、インビトロにおいてその抗癌活性を試験した。非プライミングLPGまたはLASPからの上清を、対照として使用した。
【0075】
データの詳細
結果を、平均±標準偏差(SD)として表す。必要とされる場合には、平均値の間の差を、GraphPad InStatプログラム(GraphPad Software Inc., San Diego, CA, USA)によって実施したスチューデントt検定に従って評価した。p値≦0.05を、統計的に有意であると見なした。用量-応答動態を、線形回帰法を使用し、そして、Excel2007ソフトウェア(Microsoft, Inc.)によって相関係数(R2)を評価することによって分析した。
【0076】
結果
LPG/PTXおよびLASP/PTXのインビトロにおける癌増殖の阻害
結果は、増量(25、50、100および200μl)のプライミングLPG(LPG/PTX)またはLASP(LASP/PTX)が、CFPAC-1増殖の劇的かつ完全な阻害をもたらしたことを示す(図1A)。
【0077】
観察された阻害は、最低量のサンプルでも最大であり(図1B)、そして、25μlのプライミングサンプルによって1mlの培地中に放出されたPTXの量は、IC90の濃度に達した。そのため、トランスウェルにおけるPTX相当濃度(p-EC)を推定するために、我々は、終量の1mlの培地に混合した、25、50、100および200μlのLPG/PTXまたはLASP/PTXを加えた培地の生物学的な投薬量を実施した(1:40;1:20;1:10および1:5の希釈に相当する)。
【0078】
結果は、培地(親水性)が、ボックス内に報告されるV50値(細胞増殖の50%を阻害する体積)によって、非常に高い抗癌活性を伴った用量応答阻害をもたらすことを示す(図2)。
総PEC値(図3)の計算では、PTXの放出がLPGまたはLASPのプライミングサンプルの量に依存していることを確認した。実際には、結果は、LPG/PTXおよびLASP/PTXに関して、それぞれ0.86および0.75の結果をもたらすR2値によって十分に表される顕著な相関関係が存在することを示している。
【0079】
類似の結果は、CGGBM細胞株およびNB細胞株IMR32に対してLPG/PTXおよびLASP/PTXを試験することによって得られた。具体的には、これらの細胞における結果は、LPG/PTXおよびLASP/PTXから得られた様々な希釈のSNの、GC-GBMおよびIMR32細胞の培養への添加が、強力な用量依存的な増殖阻害をもたらすことを示している。さらに、GC-GBMおよびIMR32細胞を、様々なインキュベーション時間後に得られた、LPG/PTXまたはLASP/PTX由来SNで処理した。それぞれのインキュベーション時間にて、SNを吸い出し、新しい培地で置換した。これらの実験では、抗腫瘍作用の持続性を評価した。結果は、GC-GBMおよびIMR32それぞれに対するLPG/PTXの抗癌効果が、4週間のインキュベーション後にさえ維持されたことを示す。
【0080】
特に、LASP/PTXの活性は、より急速に減少した。
さらに、我々は、100μlのLPGまたはLASPに添加するのに十分な薬物の用量を確定するために、PTXを用いて実験を実施した。
【0081】
結果は、効果的な抗癌効果を得るために必要なPTXの最小量が、両腫瘍細胞株に対して、100μlのLPGにつき約150ngおよび100μlのLASPにつき300ngであったことを示す。
LPG/PTXおよびLASP/PTX由来SNおよび対照脂質SNを用いた72時間処理によるGC-GBMおよびIMR32癌細胞の形態学的外観を、図4および5に示す。
癌細胞増殖の阻害に関するPTX、DXRおよびVCを添加したLPGおよびLASPの能力を、他のNB腫瘍細胞株を使用することによって確認した。
【0082】
抗癌剤を添加したLPGおよびLASPの抗血管形成活性
血管新生に影響を与えるLPG/PTXおよびLASP/PTXの能力を評価するために、HUVECを使用した。癌細胞株に関する先に開示した実験を、HUVECを使用して繰り返した(図6)。
【0083】
結果は、LPG/PTXおよびLASP/PTX由来のSNが、用量依存的様式でHUVECの増殖を阻害することができることを示す。その一方で、対照の未処理LPGおよびLASPからのSNは、HUVECの増殖に影響を及ぼさなかった(図6A)。結果は、LPG/PTXの抗血管形成性効果が本当に高く、かつ、癌細胞に関して観察されるように、それが最長4週間にわたり有効な状態を維持したことを示す。
特に、LASP/PTXは、LPG/PTXの1つと比較して、低い効果を示す(図6B)。
【0084】
興味深いことに、抗血管形成効果を誘発するのに必要なPTXの量は、100μlのLPGあたり150ng未満であり;代わりに、LASPを用いて類似の抗血管形成活性を有するためには、600ngのPTXが必要であった(図6C)。
LPG/PTXまたはLASP/PTXへの曝露によるHUVECの形態学的分析は、細胞の強力な核断片化を示し、そして、HUVEC増殖阻害に対するLPG/PTXまたはLASP/PTXの機構が、恐らく細胞アポトーシスに関係することを示唆した。
【0085】
類似の結果が、PTXの代わりにVCを使用することによって見られた。
解凍および凍結は、薬物を添加および放出するLPGの能力に影響を及ぼさなかった。
実際には、LPGのサンプルを、1週間-20℃に保ち、その後、解凍し、そして、PTXで処理した。あるいは、新しいLPGのサンプルを、PTXで処理し、凍結させ、1週間-20℃に保ち、その後、解凍して、抗腫瘍性および抗血管形成活性を試験した。
【0086】
PTXでの処理の前後のいずれかで凍結させたLPGサンプルは、それらの抗腫瘍性および抗血管形成活性を維持した(図7)。
LPGにDXRおよびVCを添加したとき、またはLASPを使用したとき、同じ結果が観察された。
しかしながら、この場合、抗腫瘍効果の有意な減少が、薬物をLASP解凍時に添加した場合に観察された。
【0087】
LPG/PTXおよびLASP/PTXによる薬物の経時的な放出動態
プライミングしたLPGおよびLASPによって放出されるPTXの量を評価するために、チューブ内の標準的なマクロシステムを使用した。
試験は、5時間にわたり2000ng/mlのPTXを含む2mlのサンプルをプライミングし、次に、それを、同じ体積(1:2)の培地と直接混合することによる、段取りであった。
【0088】
これは、短時間のプライミング(5時間)の有効性と、それに続く、1週間の放出の確認を可能にした。サンプルを、37℃にてインキュベートし、サンプルの遠心分離後1、3、5および7日目に、培地(親水性画分)を回収し、そして、新しい培地で置換した。癌細胞に対するそれらの生物学的活性を評価するために、培地を様々な日に回収した。結果は、試験した培養の最終日まで、高い活性を実証する(図8)。
【0089】
LPG/PTXおよびLASP/PTXによる放出のパーセンテージの概算
PTX抗癌活性の生物学的アッセイは、p-ECに関して1日あたりに培地中に放出される薬物の量を概算することを可能にした。放出とは、LPGまたはLASPをプライミングするのに使用されるPTXの量を指し(それは5.000ngである)、そして、放出される薬物のパーセンテージとして、および薬物蓄積の動態として表される(図9)。
【0090】
結果は、1日目に放出されるPTXの総量は、LPG/PTXに関しては60.9ngであり、およびLASP/PTXに関しては124.8ngであることを示す。
培地を、それぞれの時点で置換した。その結果、我々は、それぞれの時点にて放出されるPTXの量を積算することによって、薬物蓄積の動態を概算し得る。7日目には、それは、LPG/PTXに関して175.7ngであり、およびLASP/PTXに関して302.7ngである。
【0091】
そのうえ、結果は、期間中に放出されるPTXのパーセンテージの低下を示す。
この観察を考慮して、薬物放出動態をもっと十分に理解するために、薬物放出パーセンテージとサンプル希釈との見込まれる相関関係を評価した。
【0092】
結果は、関連した薬物放出パーセンテージとサンプル希釈率の上昇との間の有意な相関関係を示す(これは、LASP/PTX、R2=0.52よりも、LPG/PTX、R2=0.91に関してより明白である)。この観察は、親水性培地のより高い希釈率にて、LPGまたはLASPから容易に溶出され得る(その中に強固に組込まれている)PTXの親油性化学構造によって説明され得る。希釈率が高ければ高いほど、顕著なPTX親和性を有する分子である血清アルブミンの量がより多い。
【0093】
これらのデータは、LPG/LASPが、薬物、この場合にはPTX、の薬理学的な有効量、具体的には、試験した薬物に関する、有効な抗癌活性を、試験日の間中にわたって放出できることを実証する。その結果、LPGおよび/またはLASPは、具体的には、現場への注射によって、数日間にわたり、腫瘍領域における有効量(非常に高い投薬量)の薬物を放出するのに使用できる。
【0094】
そのうえ、我々はまた、インビトロにおける放出の効率が、(例えば、その環境が多かれ少なかれ親油性である場合)LPG/PTXまたはLASP/PTXが注射された周辺組織の生物構造によって促進され得ると主張することもできる。どのような場合でも、腫瘍環境に薬物を放出するのに使用されるLPGまたはLASPは、静脈内への化学療法によって起こる全身毒性を低減する場合がある。
【0095】
LPGおよびLASP全体へのPTX結合能の研究
PTXがLPGまたはLASPに結合するために必要とする時間、および結合/非結合薬物の割合を計測するために、実験を準備した。具体的には、サンプルのプライミングを、様々な時点(72、24、5時間および5分)にて実施した。
【0096】
結果は、どの時点でも同じであり、そのため、5分でのPTX結合だけを報告した。
プライミング後に、サンプルを、培地ですぐに洗浄し、そして、遠心分離して、PTXの非結合画分を回収した。
3および6日後の薬物放出を計測するために、浮遊画分もまた培地中で培養した。
【0097】
結果は、LPGが約95%(およびLASPに関しては90%)のPTXを結合したことを確認する。さらに、3および6日後に、PTXは、腫瘍細胞増殖の有意な阻害を発揮することができる量でまだ放出されている(図10)。
【0098】
LPG中での薬物の分布を、蛍光PTX(PTX-F35)を使用することによって評価した。結果は、PTX-F35(2μg)が、1時間以内にLPGの脂質画分にほとんど吸着され、そして、遊離薬物が検出されなかったことを示す(図11)。結果は、24時間まで同じである。LASPは、一様でないように見える場合であっても、同じ薬物分布を示す。
【0099】
予備的なドキソルビシン実験
LPGおよびLASPが、非親油性薬物の良好な足場(送達システム)となるかどうか理解するために、同じ実験を、親水性抗腫瘍薬ドキソルビシン(DXR)を使用して実施した。
【0100】
その置換の3および6日後に培地中に放出されるDXRの生物学的な投薬量は、LPGおよびLASPの両方が、インビトロにおける腫瘍増殖に対して有効な量でDXRを結合し、そしてその後、放出することができることを、明確に示す。
【0101】
更なるデータによって確認されるが、LPGは、3日目に放出されるものに比べて、6日目におけるほぼ2倍高い放出に関してより良好に働くように思える(図12および13)。
図1
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【外国語明細書】