(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023067927
(43)【公開日】2023-05-16
(54)【発明の名称】迷光が低減された集束光を有するフィルタアレイ
(51)【国際特許分類】
G02B 5/28 20060101AFI20230509BHJP
G01J 3/26 20060101ALI20230509BHJP
【FI】
G02B5/28
G01J3/26
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023030887
(22)【出願日】2023-03-01
(62)【分割の表示】P 2021123031の分割
【原出願日】2016-10-28
(31)【優先権主張番号】62/250,272
(32)【優先日】2015-11-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】508348680
【氏名又は名称】マテリオン コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】マイケル ジェイ. タタレク
(72)【発明者】
【氏名】ケビン アール. ダウニング
(57)【要約】
【課題】迷光が低減された集束光を有する好適なフィルタアレイを提供すること。
【解決手段】光学フィルタ要素のアレイを含む、光学フィルタアレイ(10)を備える、装置が、開示され、各光学フィルタ要素は、少なくとも1対の対向する台形側壁と、互いに平行ではない、少なくとも1対の対向する側壁とを含む、側壁によって接続される対向する互いに平行な主面を有し、フィルタ要素の対向する互いに平行な主面は、集合的に、光学フィルタアレイの光学入口および出口開口を画定し、干渉フィルタを含む。さらに、そのようなフィタアレイを照明する方法も開示される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2015年11月3日に出願された米国仮特許出願第62/250,272号に対する優先権を主張するものである。この特許出願の完全な開示は、その全体が参照により本明細書中に援用される。
【0002】
以下は、光学技術、光学フィルタ技術、分光技術、価格設定情報配信技術、および関連技術に関する。
【背景技術】
【0003】
高スペクトル選択性を伴う、光学干渉フィルタは、交互屈折率値を伴う、層のスタックを備える。これらのフィルタは、通過帯域、阻止帯域、高域通過、低域通過、またノッチフィルタ出力を提供するように設計されることができる。光学層は、典型的には、設計ベースのスペクトルのために光学的に透明な基板プレート上に堆積され、故に、フィルタは、時として、フィルタプレートと称され、光学的に、プレートの面積にわたって均一である。
【0004】
一方、プレートの異なる面積内に異なる通過帯域または阻止帯域もしくはカットオフ波長を伴う、光学干渉フィルタは、分光計またはスペクトル分析デバイス等の多様なマルチスペクトル用途に有用である。層堆積の間に基板プレートを横断して層厚を制御可能に変動させることが困難であるため、そのようなマルチスペクトルフィルタは、時として、いわゆる「寄せ木」フィルタアレイとして製造される。寄せ木フィルタアレイを構築するために、異なるフィルタ特性(例えば、異なる通過帯域または阻止帯域および/もしくは帯域幅)を伴うフィルタプレートのセットが、適切な層堆積によって形成される。各フィルタプレートは、プレートの面積にわたって均一であるように設計される。フィルタプレートは、次いで、ダイスカットされ、ストリップの形態でフィルタ要素を形成し、これは、次いで、寄せ木フィルタアレイを形成するための設計されたパターンでともに接合される。2次元フィルタアレイが、フィルタプレートがダイスカットされ、フィルタ要素を形成し、これが、次いで、所望の2次元アレイにともに接合されることを除き、類似プロセスによって製造される。
【0005】
前述のタイプのいくつかの例証的マルチスペクトルアレイは、例えば、2014年10月16日に公開されたDowning et al.の米国公開第2014/0307309A1号(参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる)に説明されている。
【0006】
いくつかの改良が、本明細書に開示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国公開第2014/0307309A1号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、光学フィルタ要素のアレイを含む、光学フィルタアレイを備える、装置に関し、各光学フィルタ要素は、少なくとも1つの対の対向する台形側壁と、互いに平行ではない、少なくとも1つの対の対向する側壁とを含む、側壁によって接続された対向する互いに平行な主面を有し、また、フィルタ要素の対向する互いに平行な主面は、集合的に、光学フィルタアレイの光学入口および出口開口を画定し、干渉フィルタを含む。
【0009】
本開示はまた、前述のフィルタアレイを提供し、フィルタ要素の側壁の側壁角度に適合する局所角度を有する収束光または発散光で光学フィルタアレイを照明する方法を対象とする。
【0010】
加えて、本開示は、光学フィルタアレイの最外光学フィルタ要素ではない、内部光学フィルタ要素のアレイを備える、光学フィルタアレイを含む、装置を対象とし、各内部光学フィルタ要素は、少なくとも1つの対の対向する台形側壁と、互いに平行ではない、少なくとも1つの対の対向する側壁とを含む、側壁によって接続されたより大きいおよびより小さい対向する互いに平行な主面を有し、内部光学フィルタ要素のより大きい主面は、光学フィルタアレイの発散開口を備え、内部光学フィルタ要素のより小さい主面は、光学フィルタアレイの収束開口を備える。
本明細書は、例えば、以下の項目も提供する。
(項目1)
装置であって、
光学フィルタ要素のアレイを備える光学フィルタアレイを備え、
各光学フィルタ要素は、少なくとも1つの対の対向する台形側壁と、互いに平行ではない少なくとも1つの対の対向する側壁とを含む側壁によって接続された対向する互いに平行な主面を有し、
前記フィルタ要素の対向する互いに平行な主面は、集合的に、前記光学フィルタアレイの光学入口開口および光学出口開口を画定し、干渉フィルタを含む、
装置。
(項目2)
各フィルタ要素は、1対の対向する台形端側壁と、互いに平行ではない1対の対向する長側壁とを含む側壁を伴うストリップである、項目1に記載の装置。
(項目3)
前記フィルタ要素の長側壁と平行な長軸を有する線形または円筒形光源をさらに備える、項目2に記載の装置。
(項目4)
各フィルタ要素は、各対の対向する台形側壁が互いに平行ではない2対の対向する台形側壁を含む、項目1に記載の装置。
(項目5)
収束光または発散光を発生させるように構成される光学システムをさらに備え、各フィルタ要素の少なくとも1つの対の対向する側壁は、前記収束光または発散光の局所角度と整合される、項目1に記載の装置。
(項目6)
前記フィルタアレイの最外フィルタ要素以外のフィルタ要素の主面は、前記光学入口開口および光学出口開口の一方において、前記光学入口開口および光学出口開口の他方より大きい面積を有する、項目1に記載の装置。
(項目7)
前記光学フィルタ要素は、異なる干渉フィルタによって画定される異なる光学フィルタタイプの複数の光学フィルタ要素を備える、項目1に記載の装置。
(項目8)
前記光学フィルタ要素の干渉フィルタは、通過帯域フィルタまたはノッチフィルタを備える、項目1に記載の装置。
(項目9)
方法であって、
項目1に記載の光学フィルタアレイを提供するステップと、
前記フィルタ要素の側壁の側壁角度に適合する局所角度を有する収束光または発散光で前記光学フィルタアレイを照明するステップと、
を含む、方法。
(項目10)
装置であって、
前記光学フィルタアレイの最外光学フィルタ要素ではない内部光学フィルタ要素のアレイを備える、光学フィルタアレイを備え、
各内部光学フィルタ要素は、少なくとも1つの対の対向する台形側壁と、互いに平行ではない少なくとも1つの対の対向する側壁とを含む側壁によって接続されたより大きいおよびより小さい対向する互いに平行な主面を含み、
前記内部光学フィルタ要素のより大きい主面は、前記光学フィルタアレイの発散開口を備え、前記内部光学フィルタ要素のより小さい主面は、前記光学フィルタアレイの収束開口を備える、装置。
(項目11)
各内部光学フィルタ要素は、1対の対向する台形端側壁と、互いに平行ではない1対の対向する長側壁とを伴うストリップである、項目10に記載の装置。
(項目12)
各内部光学フィルタ要素は、各対の対向する台形側壁が互いに平行ではない2対の対向する台形側壁を含む、項目10に記載の装置。
(項目13)
前記発散開口において前記光学フィルタアレイに進入し、前記収束開口において前記光学フィルタアレイから退出する収束光を発生させる光学システムをさらに備える、項目10に記載の装置。
(項目14)
前記収束開口において前記光学フィルタアレイに進入し、前記発散開口において前記光学フィルタアレイから退出する発散光を発生させる光学システムをさらに備える、項目10に記載の装置。
【0011】
本開示のこれらならびに他の非限定的側面および/または目的は、以下により具体的に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
以下は、本明細書に開示される例示的実施形態を図示する目的のために提示され、それを限定する目的のためではない、図面の簡単な説明である。
【0013】
【
図1】
図1は、収束光を図示する光線トレーシングおよび光検出器アレイと併せて、収束光をフィルタ処理するためのフィルタアレイの側断面図を図式的に示す。
【
図2】
図2は、
図1の光学フィルタアレイの単独側断面図を図式的に示す。
【
図3】
図3は、
図1および2のフィルタアレイの一例証的光学フィルタ要素の単独側断面図を図式的に示す。
【
図4】
図4、5、6、および7は、それぞれ、
図1および2のフィルタアレイの正面側、上側、右側、および斜視図を図式的に示す。
図4-7では、例証的光学フィルタ要素の数は、図の複雑性を軽減するために、4×4アレイに縮小されている。
【
図5】
図4、5、6、および7は、それぞれ、
図1および2のフィルタアレイの正面側、上側、右側、および斜視図を図式的に示す。
図4-7では、例証的光学フィルタ要素の数は、図の複雑性を軽減するために、4×4アレイに縮小されている。
【
図6】
図4、5、6、および7は、それぞれ、
図1および2のフィルタアレイの正面側、上側、右側、および斜視図を図式的に示す。
図4-7では、例証的光学フィルタ要素の数は、図の複雑性を軽減するために、4×4アレイに縮小されている。
【
図7】
図4、5、6、および7は、それぞれ、
図1および2のフィルタアレイの正面側、上側、右側、および斜視図を図式的に示す。
図4-7では、例証的光学フィルタ要素の数は、図の複雑性を軽減するために、4×4アレイに縮小されている。
【
図8】
図8、9、10、および11は、それぞれ、例えば、例証される線形または円筒形光源によって発生される、1次元のみにおいて収束または発散する光のための変形フィルタアレイの正面側、上側、右側、および斜視図を図式的に示す。
図4-7におけるように、
図8-11でも、例証的光学フィルタ要素の数は、図の複雑性を軽減するために、4×4アレイに縮小されている。
【
図9】
図8、9、10、および11は、それぞれ、例えば、例証される線形または円筒形光源によって発生される、1次元のみにおいて収束または発散する光のための変形フィルタアレイの正面側、上側、右側、および斜視図を図式的に示す。
図4-7におけるように、
図8-11でも、例証的光学フィルタ要素の数は、図の複雑性を軽減するために、4×4アレイに縮小されている。
【
図10】
図8、9、10、および11は、それぞれ、例えば、例証される線形または円筒形光源によって発生される、1次元のみにおいて収束または発散する光のための変形フィルタアレイの正面側、上側、右側、および斜視図を図式的に示す。
図4-7におけるように、
図8-11でも、例証的光学フィルタ要素の数は、図の複雑性を軽減するために、4×4アレイに縮小されている。
【
図11】
図8、9、10、および11は、それぞれ、例えば、例証される線形または円筒形光源によって発生される、1次元のみにおいて収束または発散する光のための変形フィルタアレイの正面側、上側、右側、および斜視図を図式的に示す。
図4-7におけるように、
図8-11でも、例証的光学フィルタ要素の数は、図の複雑性を軽減するために、4×4アレイに縮小されている。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書に開示されるプロセスおよび装置のより完全な理解は、付随の図面を参照することによって得られ得る。これらの図は、単に、既存の技術および/または本開発を実証する便宜上かつおよび容易性に基づく略図であって、したがって、アセンブリまたはその構成要素の相対的サイズおよび寸法を示すことを意図しない。
【0015】
具体的用語が、明確にする目的のために、以下の説明において使用されるが、これらの用語は、図面における例証のために選択された実施形態の特定の構造のみを指すために意図され、本開示の範囲を定義または限定することを意図しない。図面および以下に続く説明では、同様の数字指示は、同様の機能の構成要素を指すことを理解されたい。
【0016】
単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈によって明確に別様に示されない限り、複数参照も含む。
【0017】
数量に関連して使用される修飾語「約」は、述べられた値を含有し、文脈によって示される意味を有する(例えば、少なくとも、特定の数量の測定値と関連付けられた誤差の程度を含む)。具体的値と併用されるとき、また、その値も開示するものと見なされるべきである。例えば、用語「約2」はまた、値「2」も開示し、範囲「約2~約4」はまた、範囲「2~4」も開示する。
【0018】
図1を参照すると、本明細書で認識される寄せ木タイプフィルタアレイの不利点は、それらが、有限焦点面を有し、収束光ビームまたは発散光ビームに作用する、多くの実践的光学システムに適合しないことである。
図1は、光学軸OAに沿った有限位置に焦点面Pを有する、そのようなシステムに関する光線トレーシングを図示する。焦点面Pの有限場所に起因して、光学システムを通して通過する光(例証的光線Lによって図式的に示される)は、
図1に示されるような円錐半角Aを伴う円錐ビームを形成し、これは、焦点面Pで収束する。例証的
図1では、光線Lは、図面の左から右に進行しており、焦点面Pに近接する面内に位置する、検出器アレイ8によって検出される、すなわち、光線Lは、したがって、収束光線である。代替として、光が、有限焦点面から離れるように進行している、例えば、焦点面における小型光源から発出している場合、光線は、発散し得る(代替は図示せず)。いずれの場合も、光線は、収束(図示されるように)または発散のいずれかのビームを形成する。
【0019】
寄せ木タイプフィルタアレイは、フィルタプレートから切断されたストリップ(1次元アレイに関して)またはブロック(2次元アレイに関して)の形態においてフィルタ要素から構成される。ダイシングソーは、ストリップまたはブロックのための垂直側壁を生産する。Downing et al.の米国公開第2014/0307309A1号は、光の入射角がフィルタアレイの表面に対して垂直ではないときに使用するための改良を開示している。Downing et al.の米国公開第2014/0307309A1に開示される設計では、ストリップまたはブロックは、光の入射角に適合するように選定された角度において側壁を伴うようにダイスカットされる。これは、フィルタ要素間の境界における光散乱および損失を低減させる。
【0020】
本明細書では、収束光または発散光の場合、そのようなフィルタアレイは、隣接するフィルタ要素間の境界における光散乱および損失を生産すると認識される。本散乱および光学損失は、収束光または発散光の入射角が画定されないため、Downing et al.の米国公開第2014/0307309A1号のアプローチを使用して低減されることができない。
【0021】
図1を継続して参照し、かつ
図2をさらに参照すると、改良された光学フィルタアレイ10は、非平行側壁を伴う、光学フィルタ要素12a、12b、12c、12d、12e、12f、12g、12h、12i、12jを有し、その角度は、フィルタ要素(随意に、フィルタアレイ10の周界を形成する、最外フィルタ要素12a、12jの外側側壁を除く)毎に、光線Lの局所的な収束角度または発散角度に合致するように設計される。隣接するフィルタ要素の側壁の継合は、フィルタアレイ10の表面上の同一局所場所にあって、故に、同一側壁角度を有する。本明細書で認識されるように、近隣側壁角度の本一致は、フィルタ要素が、例えば、接着剤または他の接合を使用して、側壁の継合においてともに固着され、フィルタアレイ10を形成することを可能にする。例証として、
図2のフィルタ要素12bと12cとの間の界面14において標識されるように、フィルタ要素12bおよび12cの側壁の継合は、同一側壁角度を有する。
【0022】
図1および2にさらに見られるように、側壁角度は、光学軸OAからの距離の増加に伴う収束光ビームまたは発散光ビームの角度の増加に一致するように、光学軸OAからの距離の増加に伴って増加する。
【0023】
図1および2を継続して参照し、かつ
図3をさらに参照すると、所与のフィルタ要素の側壁は、互いに平行ではない。むしろ、所与のフィルタ要素の中央寄り側壁は、外側寄り側壁より小さい側壁角度を有する(「中央寄り」および「外側寄り」は、それぞれ、光学軸OAに比較的に近いことと、そこから比較的に遠いこととを示す)。例証として、
図3は、フィルタ要素12dを単独で示す。フィルタ要素12dに関して、中央寄り側壁16は、外側寄り側壁18の側壁角度A
Oと比較して、より小さい側壁角度A
I(光学軸OAの方向から測定される)を有する。
【0024】
図3を継続して参照すると、フィルタ要素(例えば、例証的フィルタ要素12d)毎に、フィルタ要素は、対向する主面22、24間に延在する4つの側壁16、18によって境界される(側壁16、18に加えて、
図3の側断面図に描写されない2つの側壁を含む)、透明基板または本体20を備える。これらの主面の一方または両方は、干渉フィルタを含む、例えば、フィルタ要素12dの例証的主面22は、干渉フィルタ26を含み、これは、例えば、スパッタリング、真空蒸着、プラズマ堆積等の技法によって堆積されてもよい。干渉フィルタ26は、典型的には、設計ベースの通過帯域、阻止帯域、高域通過、低域通過、またはノッチフィルタを提供する光学干渉を提供する層の設計されたスタックから構成される。本干渉フィルタ26の波長、半値全幅(FWHM)、または他のスペクトル特性は、特定の用途のために設計される。さらに、フィルタアレイ10は、典型的には、マルチスペクトルフィルタであるため、各フィルタ要素12a、12b、12c、12d、12e、12f、12g、12h、12i、12jは、一般に、異なる干渉フィルタを有する(但し、いくつかのフィルタ要素は、同じように選定されてもよい。例えば、フィルタアレイ10が、光学軸OAを中心として対称であるように意図される場合、フィルタ要素12a、12jのための干渉フィルタは、同じであって、フィルタ要素12b、12iのための干渉フィルタは、同じであって、フィルタ要素12c、12hのための干渉フィルタは、同じであって、フィルタ要素12d、12gのための干渉フィルタは、同じであって、フィルタ要素12e、12fのための干渉フィルタは、同じである)。図示されないが、干渉フィルタは、加えて、または代替として、フィルタ要素12dの主面24上に含まれてもよい。
【0025】
フィルタ要素は、一般に、紫外線波長範囲、可視波長範囲、または赤外線波長範囲内の任意の通過帯域または阻止帯域のために設計されてもよい。例証的実施例として、フィルタ要素(またはより具体的には、フィルタ要素本体または基板、例えば、
図3の例証的フィルタ要素12dのフィルタ要素本体または基板20)は、ガラス、サファイア、または動作光学範囲内の好適な透明度を有する別の材料等の光透過性材料から作製されてもよい。干渉フィルタ26は、酸化タンタル(Ta
2O
5)と二酸化ケイ素(SiO
2)の交互層、またはより一般的には、異なる屈折率値を伴う2つの(またはそれを上回る)材料の交互層を含んでもよい。干渉フィルタ26を構成する層はまた、好ましくは、動作光学範囲のために光透過性であるが、それらは、薄層であるため、動作光学範囲内のある程度の光学吸収は、容認可能であり得る。例えば、別の例証的実施例として、層は、チタン/二酸化チタン(Ti/TiO
2)等の金属/金属酸化物層であってもよい。干渉フィルタを設計するための公知の技法は、所与の通過帯域もしくはノッチフィルタ阻止帯域のための層厚を設計する、または所望の高域通過もしくは低域通過フィルタ処理特性を提供するために採用されることができる。
【0026】
図1および2は、フィルタ10を側断面図において描写する。本側面図は、収束光Lまたはフィルタアレイ10の3次元形状を捕捉しない。
【0027】
図4-6を参照すると、本3次元形状が、フィルタ10の正面側(
図4)、上側(
図5)、および右側(
図6)図によって図式的に描写され、
図7は、斜視図に示される収束光ビームLおよび検出器アレイ8を含む、その光学環境内におけるフィルタ10の斜視図を示す。
図4-7では、図式的簡略化のために、示されるフィルタ要素の数は、フィルタ要素の4×4アレイに縮小される。フィルタ要素の数は、所望のフィルタ分解能およびフィルタアレイの総面積に基づいて好適に選定される設計パラメータであることを理解されたい。
【0028】
フィルタ要素は、同一数の頂点(例証的フィルタアレイ10の長方形底辺22、24のための4つの頂点)を伴う2つの互いに平行底辺22、24(すなわち、底辺22、24は、相互に平行である)と、平行四辺形ではない(異なる側壁角度、例えば、例証的
図3におけるフィルタ要素12dのための異なる角度A
I、A
Oに起因して)、少なくとも2つの台形側壁16、18とを伴う、角錐台の形状を有する(特に、
図3の例証的フィルタ要素12dを参照する)。組み立てられたフィルタアレイ10内のフィルタ要素の2つの平行底辺22、24は、集合的に、
図1および7に最良に見られるように、フィルタアレイ10の光学入口開口および出口開口(またはその逆)を画定する。
【0029】
図4-7を継続して参照し、かつ
図8-11をさらに参照すると、2次元で発散または収束する光ビームに関して、フィルタ要素の全4つの側壁は、
図4、6、および7に最良に見られるように、台形側壁である。これらの実施形態では、各対の対向する台形側壁(例えば、
図3の側壁16、18)は、互いに平行ではない(すなわち、相互に平行ではない)。一方、
図8-11に見られるように、1つのみの次元において発散または収束し、直交寸法(例えば、円筒形または線形光源30によって発生される)において平行であって、発散または収束の方向においてのみマルチスペクトル的にフィルタ処理されることになる、光ビームに関して、変形フィルタアレイ40は、ストリップの形態におけるフィルタ要素を有し、各フィルタ要素は、台形である2つの端側壁46
trapと、平行四辺形である長側壁46
parとを有する。本実施形態では、2つの台形端側壁46
trapは、互いに平行(すなわち、相互に平行)である、対向する側壁である一方、2つの平行四辺形長側壁46
parは、互いに平行ではない、対向する側壁である。線形または円筒形光源30は、フィルタ要素の長側壁46
parと平行であって、台形端側壁46
trapに対して横方向にある、長軸32を有する。
【0030】
図1および2に戻って参照すると、一般に、内部フィルタ要素(すなわち、フィルタアレイ10の最外フィルタ要素12a、12jではない、フィルタ要素12b、12c、12d、12e、12f、12g、12h、12i)は、他の主面(
図3の主面24)より大きい面積を有する、1つの主面(
図3の主面22)を有する。内部フィルタ要素のより大きい面積の主面は、集合的に、フィルタアレイ10の発散開口50(
図2に標識される)を構成する。内部フィルタ要素のより小さい面積の主面は、集合的に、フィルタアレイ10の収束開口52を構成する。
図1および2では、フィルタアレイ10の左側は、発散開口50である一方、フィルタアレイ10の右側は、収束開口52である。(例証的
図1におけるように)フィルタが、収束光に適用される場合、発散開口は、入口開口であって(すなわち、収束光は、発散開口50に入力される)、収束開口は、出口開口である(すなわち、収束光は、フィルタアレイ10の収束開口52から退出する)。逆に言えば、フィルタが、発散光に適用される場合(
図11の実施例の場合のように)、収束開口(
図11に示されるように、フィルタアレイ40の上側開口)は、入口開口であって、発散開口(
図11に示される斜視図では不可視)は、出口開口である。
【0031】
最外フィルタ要素は、随意に、全体としてフィルタアレイ10のための非傾斜周界側壁を有するように「四角」にされ得(これは、左主面が右主面より小さい、最外フィルタ要素12aおよび12jに見られる)、これが、主面の面積に影響を及ぼし得るため、前述の幾何学形状の例外であり得る。
【0032】
フィルタ要素の側壁角度(例えば、
図3の例証的フィルタ要素12dのための角度A
IおよびA
O)を設計する際、側壁における発散または収束光Lの局所角度が、考慮される。本角度は、好ましくは、スネルの法則に従って、光の屈曲に起因して、空中の角度ではなく、フィルタ要素の材料における角度である。フィルタ要素材料内の光線の角度θ
feは、スネルの法則による空中の光線の角度θ、すなわち、sin(θ)=n
fesin(θ
fe)に関連し、式中、n
feは、フィルタ要素の屈折率であって、周囲は、屈折率n=1を伴う空気、真空、または別の周囲であると仮定される。例えば、局所光線角度が、フィルタ要素側壁においてθ=15°であって、n
fe=1.5である場合、
【化1】
であって、本場所における側壁は、10
oとして好適に選定される。(周囲が、1と異なるn
ambientを伴う油またはある他の材料である場合、スネルの法則は、n
ambientsin(θ)=n
fesin(θ
fe)に一般化する。フィルタ要素は、最初に、平行六面体フィルタ要素をダイスカットし、次いで、個々のダイスカットされたフィルタ要素を研磨し、側壁角度を形成すること等によって、種々の方法で加工されてもよい。代替として、ダイスカットは、好適に角度付けられた切断ソーまたは角度付けられたウエハ搭載ジグを採用することができる。
【0033】
前述の開示される種々のものならびに他の特徴および機能またはその代替は、望ましくは、多くの他の異なるシステムまたは用途に組み合わせられてもよいことを理解されたい。さらに、本明細書において種々の現在予期しないまたは予想外の代替、修正、変形例、もしくは改良も、当業者によって後に作製され得、これもまた、以下の請求項によって包含されることが意図されることを理解されたい。
【外国語明細書】