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特開2023-67985情報処理装置、制御方法、プログラム及び記憶媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023067985
(43)【公開日】2023-05-16
(54)【発明の名称】情報処理装置、制御方法、プログラム及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20230509BHJP
   E01C 23/01 20060101ALI20230509BHJP
【FI】
G08G1/00 J
E01C23/01
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023035208
(22)【出願日】2023-03-08
(62)【分割の表示】P 2021092160の分割
【原出願日】2016-07-29
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107331
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 聡延
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 喬浩
(57)【要約】
【課題】道路に冠水等が発生している場合に、当該冠水等の程度を好適に把握することが可能な情報処理装置を提供する。
【解決手段】ナビゲーション装置1のシステムコントローラ20は、カメラ2が出力するカメラ画像Icに基づき、道路上において冠水している水面領域Awと当該水面領域Aw以外の道路上の道路領域Arとの代表境界位置Prを検出する。そして、システムコントローラ20は、代表境界位置Prの緯度及び経度に基づいて、地図データ32の道路形状データに含まれる標高情報を参照することで、水深Dwcを算出する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像装置又はセンサの出力結果に基づき、道路上において冠水又は積雪している第1範囲と当該第1範囲と異なる第2範囲との境界位置を検出する検出手段と、
前記境界位置に基づいて、前記第1範囲における冠水又は積雪の深さを取得する取得手段と、
を備える情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路の状態を好適に把握するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両に設置されたカメラが出力する画像に基づき、道路の状態を認識する技術が知られている。例えば、特許文献1には、可視光のカメラ画像による画像処理により、路面状態を検出する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-157676号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
道路形状によっては、大雨により一部が冠水して通行が制限される場合がある。特許文献1の技術によれば、走行する道路が濡れているか否かを検知することが可能である一方で、上述のような冠水を検知する点については何ら開示されていない。
【0005】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、道路に冠水等が発生している場合に、当該冠水等の程度を好適に把握することが可能な情報処理装置を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、情報処理装置であって、撮像装置又はセンサの出力結果に基づき、道路上において冠水又は積雪している第1範囲と当該第1範囲と異なる第2範囲との境界位置を検出する検出手段と、前記境界位置に基づいて、前記第1範囲における冠水又は積雪の深さを取得する取得手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
請求項8に記載の発明は、情報処理装置が実行する制御方法であって、撮像装置又はセンサの出力結果に基づき、道路上において冠水又は積雪している第1範囲と当該第1範囲と異なる第2範囲との境界位置を検出する検出工程と、前記境界位置に基づいて、前記第1範囲における冠水又は積雪の深さを取得する取得工程と、を備えることを特徴とする。
【0008】
請求項9に記載の発明は、コンピュータが実行するプログラムであって、撮像装置又はセンサの出力結果に基づき、道路上において冠水又は積雪している第1範囲と当該第1範囲と異なる第2範囲との境界位置を検出する検出手段と、前記境界位置に基づいて、前記第1範囲における冠水又は積雪の深さを取得する取得手段として前記コンピュータを機能させることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例に係る冠水警告システムの概略構成である。
図2】ナビゲーション装置の概略構成を示す。
図3】冠水警告処理の概要を示すフローチャートである。
図4】境界検出処理の手順を示すフローチャートである。
図5】道路領域及び水面領域が検出されたカメラ画像を示す。
図6】水深算出処理の手順を示すフローチャートである。
図7】道路形状データに基づくデータ点を明示した冠水部の断面図を示す。
図8】冠水部を検出した場合のディスプレイの第1表示例を示す。
図9】冠水部を検出した場合のディスプレイの第2表示例を示す。
図10】冠水部を検出した場合のディスプレイの第3表示例を示す。
図11】冠水部を検出した場合のディスプレイの第4表示例を示す。
図12】変形例に係る冠水警告システムの概略構成である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の好適な実施形態によれば、情報処理装置は、撮像装置又はセンサの出力結果に基づき、道路上において冠水又は積雪している第1範囲と当該第1範囲と異なる第2範囲との境界位置を検出する検出手段と、前記境界位置に基づいて、前記第1範囲における冠水又は積雪の深さを取得する取得手段と、を備えることを特徴とする。
【0011】
上記情報処理装置は、検出手段と、取得手段とを備える。検出手段は、撮像装置又はセンサの出力結果に基づき、道路上において冠水又は積雪している第1範囲と当該第1範囲と異なる第2範囲との境界位置を検出する。取得手段は、検出手段が検出した境界位置に基づいて、第1範囲における冠水又は積雪の深さを取得する。この態様によれば、情報処理装置は、道路上に冠水又は積雪している部分が存在する場合に、冠水又は積雪の程度を好適に把握することができる。
【0012】
上記情報処理装置の一態様では、情報処理装置は、道路の位置情報及び標高情報を記憶する記憶手段をさらに備え、前記取得手段は、前記境界位置に基づき、前記境界位置の標高である第1標高情報と、前記第1範囲における最も標高が低い地点の標高である第2標高情報とを取得する標高情報取得手段と、前記第1標高情報と、前記第2標高情報とに基づいて、前記深さを算出する深さ算出手段と、を備える。情報処理装置は、この態様により、冠水面又は積雪面の標高を示す第1標高情報と冠水又は積雪の最深部の標高を示す第2標高情報とを取得して冠水又は積雪の深さを的確に算出することができる。
【0013】
上記情報処理装置の他の一態様では、前記検出手段は、前記出力結果に基づき、前記撮像装置又はセンサの検出範囲内での座標系で表された前記境界位置の相対座標を算出し、前記標高情報取得手段は、前記相対座標を前記道路の位置情報と同一の座標系に変換した絶対座標に基づき、前記第1標高情報を取得する。この態様により、情報処理装置は、撮像装置又はセンサにより検出した境界位置の絶対座標に基づき記憶手段に記憶された標高情報を参照し、第1標高情報を好適に取得することができる。
【0014】
上記情報処理装置の他の一態様では、情報処理装置は、前記深さが所定値以上である場合に、前記第1範囲の通行を制限する情報を表示手段又は音声出力手段の少なくとも一方により出力する出力制御手段をさらに備える。この態様により、情報処理装置は、通行ができない又は通行が安全上好ましくない程度の冠水または積雪部分が存在する場合などに、好適に通行を制限することができる。
【0015】
上記情報処理装置の他の一態様では、前記出力制御手段は、前記表示手段に出力する場合、前記第1範囲を含む道路を道路沿いに切断して前記冠水又は積雪の部分を含む断面画像を前記表示手段に表示させる。この態様によっても、情報処理装置は、冠水または積雪が発生した道路の状況を好適に観察者に把握させることができる。
【0016】
上記情報処理装置の他の一態様では、前記出力制御手段は、前記表示手段に出力する場合、撮像装置が出力する画像における冠水又は積雪の領域に、前記深さに応じて表示態様が異なる画像を重ねて前記表示手段に表示させる。この態様により、情報処理装置は、冠水または積雪の深さの分布を好適に観察者に把握させることができる。
【0017】
上記情報処理装置の他の一態様では、前記撮像装置が撮影した前記第1範囲を含む道路の画像を、前記第1範囲の形成前の前記道路の画像と並べて前記表示手段に表示させる。この態様により、情報処理装置は、冠水または積雪の発生前後での道路状況の比較を可能にし、冠水または積雪の態様をより直感的に観察者に把握させることができる。
【0018】
本発明に係る他の好適な実施形態では、情報処理装置が実行する制御方法であって、撮像装置又はセンサの出力結果に基づき、道路上において冠水又は積雪している第1範囲と当該第1範囲と異なる第2範囲との境界位置を検出する検出工程と、前記境界位置に基づいて、前記第1範囲における冠水又は積雪の深さを取得する取得工程と、を備える。情報処理装置は、この制御方法を実行することで、道路上に冠水又は積雪している部分が存在する場合に、冠水又は積雪の程度を好適に把握することができる。
【0019】
本発明に係るさらに別の実施形態では、コンピュータが実行するプログラムであって、撮像装置又はセンサの出力結果に基づき、道路上において冠水又は積雪している第1範囲と当該第1範囲と異なる第2範囲との境界位置を検出する検出手段と、前記境界位置に基づいて、前記第1範囲における冠水又は積雪の深さを取得する取得手段として前記コンピュータを機能させる。コンピュータは、このプログラムを実行することで、道路上に冠水又は積雪している部分が存在する場合に、冠水又は積雪の程度を好適に把握することができる。好適には、このプログラムは、記憶媒体に記憶される。
【実施例0020】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例について説明する。
【0021】
[冠水警告システムの構成]
図1は、本実施例に係る冠水警告システムの概略構成である。冠水警告システムは、道路上に形成された冠水部分(「冠水部WC」とも呼ぶ。)を検出して警告を行うシステムであって、ナビゲーション装置1と、カメラ2とを有する。
【0022】
ナビゲーション装置1は、車両と共に移動し、車両の前方方向に向けられたカメラ2と電気的に接続している。そして、ナビゲーション装置1は、カメラ2から受信した画像(「カメラ画像Ic」とも呼ぶ。)に基づき、冠水部WCの有無の判定及び冠水の水深(「水深Dwc」とも呼ぶ。)の算出を行う。水深Dwcの算出では、ナビゲーション装置1は、図1に示すように、冠水部WCにおける最も標高が低い部分である最深部「Lwc」と、冠水部WCの水面と道路との境界「Bwc」との標高差を水深Dwcとして算出する。そして、ナビゲーション装置1は、算出した水深Dwcに応じた冠水部WCに対する警告表示を行う。
【0023】
[ナビゲーション装置の構成]
図2は、本発明における表示装置が適用されたナビゲーション装置1の概略構成を示す。
【0024】
図2に示すように、ナビゲーション装置1は、自立測位装置10、GPS受信機18、システムコントローラ20、データ記憶ユニット31、通信装置38、表示ユニット40、音声出力ユニット50及び入力装置60を備える。
【0025】
自立測位装置10は、加速度センサ11、角速度センサ12及び距離センサ13を備える。加速度センサ11は、例えば圧電素子からなり、車両の加速度を検出し、加速度データを出力する。角速度センサ12は、例えば振動ジャイロからなり、車両の方向変換時における車両の角速度を検出し、角速度データ及び相対方位データを出力する。距離センサ13は、車両の車輪の回転に伴って発生されているパルス信号からなる車速パルスを計測する。
【0026】
GPS受信機18は、複数のGPS衛星から、測位用データを含む下り回線データを搬送する電波19を受信する。測位用データは、緯度及び経度情報等から車両の絶対的な位置を検出するために用いられる。
【0027】
システムコントローラ20は、インタフェース21、CPU22、ROM23及びRAM24を含んでおり、ナビゲーション装置1全体の制御を行う。本実施例では、システムコントローラ20は、後述する冠水警告処理を行う。システムコントローラ20は、本発明における「検出手段」、「取得手段」、「標高情報取得手段」、「深さ算出手段」、「出力制御手段」及び本発明におけるプログラムを実行するコンピュータの一例である。
【0028】
インタフェース21は、加速度センサ11、角速度センサ12及び距離センサ13並びにGPS受信機18とのインタフェース動作を行う。そして、これらから、車速パルス、加速度データ、相対方位データ、角速度データ、GPS測位データ、絶対方位データ等をシステムコントローラ20に入力する。CPU22は、システムコントローラ20全体を制御する。ROM23は、システムコントローラ20を制御する制御プログラム等が格納された図示しない不揮発性メモリ等を有する。RAM24は、入力装置60を介して使用者により予め設定された経路データ等の各種データを読み出し可能に格納したり、CPU22に対してワーキングエリアを提供したりする。
【0029】
システムコントローラ20、データ記憶ユニット31、表示ユニット40、音声出力ユニット50及び入力装置60は、バスライン30を介して相互に接続されている。
【0030】
データ記憶ユニット31は、例えば、HDDなどの記憶媒体などにより構成され、地図データ32などのナビゲーション処理に用いられる各種データを記憶する。地図データ32は、道路に相当するリンクと、道路の接続部分(交差点)に相当するノードとにより表された道路データや、各施設に関する施設情報などを含む。道路データには、各道路の形状に関する道路形状データが含まれており、道路形状データは、例えば、道路上での所定間隔ごとの標高を示す標高情報を含む。データ記憶ユニット31は、本発明における「記憶手段」の一例である。
【0031】
通信装置38は、VICS(登録商標、Vehicle Information Communication System)センタから配信される道路交通情報、その他の情報を受信する。なお、通信装置38は、システムコントローラ20の制御に基づき、通信網を介して通信可能なサーバから、地図データ32としてデータ記憶ユニット31に記憶させる情報(例えば道路形状データ等)を受信してもよい。
【0032】
表示ユニット40は、システムコントローラ20の制御の下、各種表示データをディスプレイなどの表示装置に表示する。具体的には、システムコントローラ20は、データ記憶ユニット31から地図データを読み出す。表示ユニット40は、システムコントローラ20によってデータ記憶ユニット31から読み出された地図データに基づく画像を、ディスプレイなどの表示画面上に表示する。なお、本実施例では、表示ユニット40は、カメラ2から取得したカメラ画像Icを表示し、カメラ画像Ic上に運転を補助するための画像を重畳して表示する。表示ユニット40は、バスライン30を介してCPU22から送られる制御データに基づいて表示ユニット40全体の制御を行うグラフィックコントローラ41と、VRAM(Video RAM)等のメモリからなり即時表示可能な画像情報を一時的に記憶するバッファメモリ42と、グラフィックコントローラ41から出力される画像データに基づいて、液晶、CRT(Cathode Ray Tube)等のディスプレイ44を表示制御する表示制御部43と、ディスプレイ44とを備える。ディスプレイ44は、例えば対角5~10インチ程度の液晶表示装置等からなり、車内のフロントパネル付近に装着される。ディスプレイ44は、本発明における「表示手段」の一例である。
【0033】
音声出力ユニット50は、システムコントローラ20の制御の下、RAM24等からバスライン30を介して送られる音声デジタルデータのD/A変換を行うD/Aコンバータ51と、D/Aコンバータ51から出力される音声アナログ信号を増幅する増幅器(AMP)52と、増幅された音声アナログ信号を音声に変換して車内に出力するスピーカ53とを備えて構成されている。スピーカ53は、本発明における「音声出力手段」の一例である。
【0034】
入力装置60は、各種コマンドやデータを入力するための、キー、スイッチ、ボタン、リモコン、音声入力装置等から構成されている。入力装置60は、車内に搭載された当該車載用電子システムの本体のフロントパネルやディスプレイ44の周囲に配置される。また、ディスプレイ44がタッチパネル方式である場合には、ディスプレイ44の表示画面上に設けられたタッチパネルも入力装置60として機能する。
【0035】
[冠水警告処理]
次に、システムコントローラ20が実行する冠水警告処理について説明する。
【0036】
(1)処理概要
図3は、本実施例における冠水警告処理の概要を示すフローチャートである。システムコントローラ20は、図3に示すフローチャートを繰り返し実行する。
【0037】
まず、システムコントローラ20は、カメラ画像Ic上で冠水部WCの有無を判定し、カメラ画像Ic上で冠水部WCを検出した場合に水面境界Bwcの絶対的な位置座標(「境界絶対座標」とも呼ぶ。)を算出する処理である境界位置検出処理を実行する(ステップS101)。本実施例では、システムコントローラ20は、境界絶対座標として、水面境界Bwcの代表点の緯度及び経度を算出するものとする。境界位置検出処理の詳細については、図4及び図5を参照して後述する。
【0038】
次に、システムコントローラ20は、ステップS101の境界位置検出処理において冠水部WCを検出したか否か判定する(ステップS102)。そして、システムコントローラ20は、冠水部WCを検出できなかったと判断した場合(ステップS102;No)、ステップS105へ処理を進める。
【0039】
一方、システムコントローラ20は、冠水部WCを検出したと判断した場合(ステップS102;Yes)、水深Dwcを算出する処理である水深算出処理を実行する(ステップS103)。水深算出処理では、システムコントローラ20は、地図データ32に含まれる道路形状データの標高情報から、ステップS101で算出した境界値絶対座標に対応する標高情報及び最深部Lwcに対応する標高情報をそれぞれ抽出することで、水深Dwcを算出する。境界値絶対座標に対応する標高情報は、本発明における「第1標高情報」の一例であり、最深部Lwcに対応する標高情報は、本発明における「第2標高情報」の一例である。水深算出処理の詳細については、図6及び図7を参照して後述する。
【0040】
その後、システムコントローラ20は、算出した水深Dwcに応じた表示を行う(ステップS104)。この場合、システムコントローラ20は、例えば、カメラ画像Icをディスプレイ44に表示すると共に、カメラ画像Icに表示された冠水部WCの水深Dwc及び当該冠水部WCの通行の可否などを示す画像を、カメラ画像Icに重ねて表示する。ステップS104の表示例については、「(4)表示例」のセクションで詳しく説明する。
【0041】
次に、システムコントローラ20は、表示処理等に対する停止命令があるか否か判定する(ステップS105)。そして、システムコントローラ20は、停止命令を検知した場合(ステップS105;Yes)、フローチャートの処理を終了する。一方、システムコントローラ20は、停止命令を検知しない場合(ステップS105;No)、再びステップS101へ処理を戻す。
【0042】
(2)境界位置検出処理
図4は、図3のステップS101で実行される境界位置検出処理の手順を示すフローチャートである。
【0043】
まず、システムコントローラ20は、カメラ画像Icをカメラ2から取得する(ステップS201)。次に、システムコントローラ20は、取得したカメラ画像Icから、公知の画像認識処理に基づき、道路を構成する領域(「道路領域Ar」とも呼ぶ。)の抽出処理を行う(ステップS202)。さらに、システムコントローラ20は、公知の画像認識処理に基づき、カメラ画像Icから水面を構成する領域(「水面領域Aw」とも呼ぶ。)の抽出処理を行う(ステップS203)。この場合、システムコントローラ20は、例えば、水面領域Awでは反射率が高くなることを勘案し、反射率が相対的に高く、かつ、道路が存在すると推定される範囲に形成された所定画素数以上の連結領域を、水面領域Awとして抽出する。
【0044】
次に、システムコントローラ20は、カメラ画像Icから水面領域Awを抽出できたか否か判定する(ステップS204)。そして、システムコントローラ20は、カメラ画像Icから水面領域Awを抽出できた場合(ステップS204;Yes)、ステップS205へ処理を進める。一方、システムコントローラ20は、水面領域Awを抽出できなかった場合(ステップS204;No)、冠水部WCが検出できなかったと判断し、フローチャートの処理を終了する。
【0045】
次に、システムコントローラ20は、道路領域Arと水面領域Awとの境界の代表点(「代表境界点Pr」とも呼ぶ。)のカメラ画像Ic内での2次元の相対座標を算出する(ステップS205)。この場合、例えば、システムコントローラ20は、道路の区画線等に沿った道路領域Arの仮想的な中心線を特定し、特定した中心線と水面領域との交点のカメラ画像Ic内の座標を、代表境界点Prの相対座標として求める。ステップS205の具体例については、図5を参照して詳しく説明する。上述の代表境界点Prの相対座標は、本発明における「境界位置の相対座標」の一例である。
【0046】
そして、システムコントローラ20は、GPS受信機18等の出力に基づく現在位置情報及び自立測位装置10等の出力に基づく車両の進行方向の情報を取得する(ステップS206)。その後、システムコントローラ20は、ステップS206で取得した現在位置情報及び進行方向の情報に基づき、代表境界点Prに対応する緯度及び経度である境界絶対座標を算出する(ステップS207)。例えば、システムコントローラ20は、車両の進行方向ごとにカメラ画像Ic内の相対座標と現在位置に対する緯度及び経度の差分とを対応付けたマップ又は式等を予め記憶し、当該マップ又は式等を参照して現在位置からの緯度及び経度の差分を特定し、現在位置情報が示す緯度及び経度に加算することで、境界絶対座標を算出する。
【0047】
図5は、道路領域Ar及び水面領域Awが検出されたカメラ画像Icを示す。図5の例では、システムコントローラ20は、カメラ画像Icに対する公知の画像認識処理に基づき、図4のステップS202で道路領域Arを抽出し、ステップS203で水面領域Awを抽出する。その後、システムコントローラ20は、道路領域Arの中心線が区画線(白線)上であるとみなし、区画線と水面領域Awとの交点のカメラ画像Ic内の相対座標を、代表境界点Prの相対座標として抽出する。その後、システムコントローラ20は、現在位置情報及び車両の進行方向の情報に基づき、代表境界点Prの相対座標を緯度及び経度により表した座標を、境界絶対座標として算出する。
【0048】
なお、水面領域Awは本発明における「第1範囲」の一例であり、道路領域Arは本発明における「第2範囲」の一例である。また、代表境界点Prは本発明における「境界位置」の一例であり、境界絶対座標は本発明における「絶対座標」の一例である。
【0049】
(3)水深算出処理
図6は、水深算出処理の手順を示すフローチャートである。
【0050】
まず、システムコントローラ20は、地図データ32に含まれる緯度及び経度ごとの標高を示した道路形状データを参照し、境界位置検出処理で算出した緯度及び経度により表された境界絶対座標に対応する標高「H1」を算出する(ステップS301)。この場合、例えば、システムコントローラ20は、標高が登録された地点間の緯度及び経度の標高を線形補間などの公知の補間処理に基づき適宜補間することで、境界絶対座標に対応する標高を算出する。他の例では、システムコントローラ20は、道路形状データに標高が登録された緯度及び経度のうち、境界絶対座標に最も近い緯度及び経度に対応する標高を、標高H1として定める。この場合、好適には、システムコントローラ20は、水深Dwcの過小評価を避けるため、境界絶対座標に最も近い所定個数(例えば4個)分の標高のうち、最も高い標高を標高H1として定めてもよい。
【0051】
次に、システムコントローラ20は、図4のステップS203で抽出した水面領域Aw内の緯度経度を、代表境界点の境界絶対座標の算出方法と同様に算出する。そして、システムコントローラ20は、道路形状データから水面領域Aw内の緯度及び経度に対応する各標高を抽出することで、最深部Lwcの標高「H2」を算出する(ステップS302)。この場合、例えば、システムコントローラ20は、道路形状データから抽出した水面領域Aw内の緯度及び経度に対応する各標高のうち、最も低い標高を標高H2として算出する。他の例では、システムコントローラ20は、道路形状データから抽出した水面領域Aw内の緯度、経度及び標高を示す3次元座標点(「データ点」とも呼ぶ。)に基づく曲線又は曲面を算出し、当該曲線又は曲面における標高の最小値を、標高H2として算出してもよい。
【0052】
そして、システムコントローラ20は、ステップS301で算出した標高H1と、ステップS302で算出した標高H2とに基づき、水深Dwcを算出する(ステップS303)。具体的には、システムコントローラ20は、標高H1から標高H2を減算した値を、水深Dwcとして算出する。
【0053】
図7は、道路形状データに基づく上述のデータ点を明示した冠水部WCの断面図を示す。図7の例では冠水部WC近傍のデータ点P1~P6が示されている。この場合、システムコントローラ20は、図6のステップS301で算出すべき代表境界点Prでの標高H1を、例えば、代表境界点Prの緯度及び経度(即ち境界絶対座標)に最も近いデータ点P1の標高に定める。他の例では、システムコントローラ20は、境界絶対座標に最も近い2つのデータ点P1、P2を結ぶ補間線を仮想的に求め、当該補間線により定まる境界絶対座標での標高を、標高H1として定めてもよい。
【0054】
同様に、システムコントローラ20は、図6のステップS302で算出すべき最深部Lwcでの標高H2を、例えば、冠水部WC内のデータ点P2~P6のうち最も低い標高に対応するデータ点P5が示す標高に定める。このように、システムコントローラ20は、地図データ32の道路形状データに登録された標高情報に基づき、標高H1、H2を求め、好適に水深Dwcを算出することができる。
【0055】
(4)表示例
次に、図8図11を参照してディスプレイ44による具体的な表示例(第1~第4表示例)について説明する。
【0056】
図8(A)、(B)は、冠水部WCを検出した場合のディスプレイ44の第1表示例である。図8(A)、(B)の例では、システムコントローラ20は、カメラ2から取得したカメラ画像Icに重ねて、検出した冠水部WCに対する警告を示す警告画像8A、8Bを表示させている。
【0057】
図8(A)、(B)の例では、システムコントローラ20は、水深Dwcに対する第1及び第2閾値を予め記憶しておき、水深Dwcと第1及び第2閾値との比較結果に応じて異なる内容の警告画像8A、8Bを表示させている。ここで、第1閾値は、検出した冠水部WCを通過するのに徐行運転が必要か否かを判定するための閾値(例えば3cm)であり、第2閾値は、検出した冠水部WCを通過可能であるか否かを判定するための水深Dwcに対する閾値(例えば30cm)とする。
【0058】
具体的に、図8(A)の例では、システムコントローラ20は、算出した水深Dwc(ここでは15cm)が第1閾値よりも大きく、かつ、第2閾値未満であることから、車両の徐行運転が必要であると判断する。よって、この場合、システムコントローラ20は、検出した水深Dwc及び徐行運転すべき旨を示した警告画像8Aを、カメラ画像Icに重畳して表示させている。なお、システムコントローラ20は、警告画像8Aを、水面領域Awと車両側において隣接する道路領域Ar上に重ねることで、路面標示と同様に運転者に視認させている。
【0059】
一方、図8(B)の例では、システムコントローラ20は、算出した水深Dwc(ここでは50cm)が第2閾値よりも大きいことから、冠水部WCを車両が通過できないと判断する。よって、この場合、システムコントローラ20は、検出した水深Dwcと共に通行止めである旨を示した警告画像8Bを、カメラ画像Icに重畳して表示させている。
【0060】
このように、図8(A)、(B)の例によれば、システムコントローラ20は、検出した冠水部WCの水深Dwcに応じて冠水部WCの通行の可否等を好適に通知することができる。なお、図8(A)、(B)の例では、システムコントローラ20は、第1及び第2閾値を用いたが、これに代えて、水深Dwcが第2閾値未満の場合には車両の徐行運転が必要であると判断し、水深Dwcが第2閾値以上の場合に車両の通行が不可であると判断してもよい。即ち、システムコントローラ20は、1つの閾値のみを用いて警告画像の表示内容を決定してもよい。
【0061】
図9は、冠水部WCを検出した場合のディスプレイ44の第2表示例である。図9の例では、システムコントローラ20は、カメラ2から取得したカメラ画像Icに重ねて、検出した冠水部WCに対する警告を示す警告画像8Cと、水深Dwcに応じた色分け画像9A、9Bとを表示させている。
【0062】
図9の例では、システムコントローラ20は、例えば、図8(A)、(B)の例と同様に第1及び第2閾値を設け、水深Dwcが第1閾値以上であって第2閾値未満となる水面領域Awに対して所定色(例えば黄色)の色分け画像9Aを重ね、水深Dwcが第2閾値以上となる水面領域Awに対して色分け画像9Aよりも目立つ色(例えばオレンジ)の色分け画像9Bを重ねて表示する。そして、システムコントローラ20は、通行が不可である旨及び検出した水深Dwcを示した警告画像8cを、色分け画像9Bに対応付けて表示させている。この態様によれば、システムコントローラ20は、運転者に対して冠水部WCの深さの分布を明示すると共に、冠水部WCの通行の可否を好適に通知することができる。
【0063】
図10は、冠水部WCを検出した場合のディスプレイ44の第3表示例である。図10の例では、システムコントローラ20は、走行中の道路及び当該道路上で検出した冠水部WCの車両の進行方向に沿った断面図を、道路形状データを参照してグラフィック表示している。また、図10の例では、システムコントローラ20は、第1及び第2表示例と同様に、第1及び第2閾値と検出した水深Dwcとの比較を行い、水深Dwc(ここでは50cm)が第2閾値以上であると判断する。よって、この場合、システムコントローラ20は、断面表示した冠水部WCの通行が不可である旨及び算出した水深Dwcを示した警告画像8Dを表示させている。第3表示例においてディスプレイ44が表示する画像は、本発明における「断面画像」の一例である。
【0064】
図11は、冠水部WCを検出した場合のディスプレイ44の第4表示例である。図11の例では、システムコントローラ20は、ディスプレイ44上において、カメラ画像Icに第2表示例と同様に警告画像8C及び色分け画像9A、9Bを重ねた左画面7Aと、冠水部WCが形成される前に左画面7Aに表示されたカメラ画像Icと略同一位置から撮影された画像を表示する右画面7Bとの2画面表示を行っている。
【0065】
この場合、システムコントローラ20は、左画面7Aを、図9で説明した第2表示例と同様に表示すると共に、右画面7Bに表示すべき画像を、車両から撮影された画像のデータベースを有する図示しないサーバ装置から受信する。この場合、システムコントローラ20は、例えば、自立測位装置10やGPS受信機18の出力に基づく車両の位置情報及び進行方向の情報をサーバ装置に送信することで、車両の位置情報が示す位置及び進行方向の情報が示す方向に対応付けられた撮影画像をサーバ装置から受信する。なお、この場合、例えば、ナビゲーション装置1を搭載する車両を含む各車両は、冠水部WCを検出しなかったときのカメラ画像Icを現在位置情報及び進行方向の情報と関連付けてサーバ装置に送信することで、サーバ装置は、撮影時の車両の位置及び進行方向と対応付けた撮影画像のデータベースを生成及び更新する。なお、図11の例では、システムコントローラ20は、左画面7Aに第2表示例に基づく画像を表示させたが、これに代えて、左画面7Aに第1表示例又は第3表示例に基づく画像を表示させてもよい。
【0066】
以上説明したように、本実施例に係るナビゲーション装置1のシステムコントローラ20は、カメラ2が出力するカメラ画像Icに基づき、道路上において冠水している水面領域Awと当該水面領域Aw以外の道路上の道路領域Arとの代表境界位置Prを検出する。そして、システムコントローラ20は、代表境界位置Prの緯度及び経度に基づいて、地図データ32の道路形状データに含まれる標高情報を参照することで、水深Dwcを算出する。これにより、ナビゲーション装置1は、道路上に冠水部WCが存在する場合に、冠水の程度を好適に把握して的確な警告表示を行うことができる。
【0067】
[変形例]
以下、実施例の各変形例について説明する。なお、これらの各変形例は、組み合わせて上述の実施例に適用してもよい。
【0068】
(変形例1)
実施例においてナビゲーション装置1が実行した境界位置検出処理及び水深算出処理等を、ナビゲーション装置1とネットワークを介して通信を行うサーバ装置が実行してもよい。
【0069】
図12は、変形例に係る冠水警告システムの構成を示す。図12の例では、冠水警告システムは、ナビゲーション装置1と、カメラ2と、道路形状データを含む地図データ32Aを有するサーバ装置3とを有する。
【0070】
図12の構成例では、ナビゲーション装置1は、所定間隔ごとに、カメラ2から取得したカメラ画像Icと、自立測位装置10とGPS受信機18との出力又は当該出力に基づき生成した車両の位置情報及び進行方向の情報とを、サーバ装置3へ送信する。この場合、サーバ装置3は、受信したカメラ画像Icと車両の位置情報及び進行方向の情報とに基づき図4に示す境界位置検出処理を行い、冠水部WCを検出した場合には図6に示す水深算出処理をさらに実行する。そして、サーバ装置3は、水深算出処理において水深Dwcを算出した場合、算出した水深Dwcの情報及びナビゲーション装置1が図8図11等に示した冠水部WCに対する警告表示を行うのに必要な情報を、ナビゲーション装置1へ送信する。そして、この場合、ナビゲーション装置1は、サーバ装置3から受信した情報に基づき、図8図11等に示した表示を行う。
【0071】
ここで、サーバ装置3は、上述した第1及び第2閾値と水深Dwcとの比較による冠水部WCの徐行運転の要否や通行可否に関する判定を行い、カメラ画像Icに上述の判定結果に基づく警告画像等を重ねた画像を、ナビゲーション装置1へ送信してもよい。この場合、ナビゲーション装置1は、サーバ装置3から受信した画像をディスプレイ44に表示させる。
【0072】
また、サーバ装置3は、水深算出処理において算出した水深Dwcの情報及び冠水部WCの位置情報を記憶部に蓄積し、他の車両のナビゲーション装置に送信してもよい。この場合、冠水部WCに関する情報をサーバ装置3から受信したナビゲーション装置は、例えば、冠水部WCが形成された道路を通らない案内ルートを設定する処理を行ったり、地図上に冠水部WCが形成されている位置及びその水深Dwcを表示させたりしてもよい。
【0073】
このように、本変形例の構成例によっても、ナビゲーション装置1は、冠水部WCが存在する場合の徐行運転の要否や通行可否に関する情報を好適に運転者に通知することができる。本変形例では、サーバ装置3は、本発明における「情報処理装置」の一例であり、サーバ装置3のCPUなどは、本発明における「検出手段」、「取得手段」、「標高情報取得手段」、「深さ算出手段」及び本発明におけるプログラムを実行するコンピュータの一例である。
【0074】
(変形例2)
ナビゲーション装置1は、カメラ2から取得したカメラ画像Icに基づき、冠水部WCを検出する代わりに、車両前方の道路上を対象範囲に含む赤外線センサやレーザレンジセンサ(ライダ)などの外界センサの出力に基づき、冠水部WCを検出してもよい。この場合であっても、ナビゲーション装置1は、冠水部WCの水面と冠水していない道路面との温度の違いやレーザの反射率の違い等に基づき、センサの検出対象範囲から、道路領域Ar及び水面領域Awの抽出を行い、代表境界点Prを検出する。このように、ナビゲーション装置1は、カメラ2以外の外界センサの出力によっても、冠水部WCの検出及び水深Dwcの算出を好適に行うことができる。
【0075】
(変形例3)
ナビゲーション装置1は、道路上に形成された冠水部WCを検出するのに代えて、又はこれに加えて、道路上での積雪部分を検出してもよい。
【0076】
この場合、ナビゲーション装置1は、図3図4図6の各フローチャートを実施例と同様に実行することで、積雪部分の積雪の深さを推定し、推定した積雪の深さに応じた警告表示などを行う。なお、図4のフローチャートのステップS203では、システムコントローラ20は、水面領域AWをカメラ画像Icから抽出するのに代えて、積雪部分の領域をカメラ画像Icから抽出する。本変形例によれば、システムコントローラ20は、道路上の積雪部分を検出し、通行可否等に関する情報を好適に運転者に通知することができる。
【0077】
(変形例4)
システムコントローラ20は、水深Dwcに応じた警告画像等をカメラ画像Icに重ねて表示する代わりに、又はこれに加えて、水深Dwcに応じた音声出力ユニット50による音声出力を行ってもよい。
【0078】
この場合、例えば、システムコントローラ20は、図8(A)の例では、警告画像8Aの表示に代えて、又はこれに加えて、前方の冠水部WCの水深Dwcが15cmである旨及び徐行が必要である旨を音声出力する。また、システムコントローラ20は、図8(B)の例では、警告画像8Bの表示に代えて、又はこれに加えて、前方の冠水部WCの水深Dwcが50cmである旨及び通行ができない旨を音声出力する。このように、本変形例によっても、ナビゲーション装置1は、冠水部WCが存在する場合の徐行運転の要否や通行可否に関する情報を好適に運転者に通知することができる。
【0079】
また、システムコントローラ20は、水深Dwcに応じた警告画像等をカメラ画像Icに重ねてディスプレイ44に表示するのに代えて、図示しないヘッドアップディスプレイにより、水深Dwcに応じた警告画像等を前方風景に重ねて運転者に表示させてもよい。この場合、例えば、ナビゲーション装置1は、車両のフロントウィンドウ又は車室内に設けられたコンバイナに光を出射する光源部と電気的に接続し、光源部の出射を制御することで、水深Dwcに応じた警告画像等を虚像として表示させる。この態様によっても、ナビゲーション装置1は、冠水部WCが存在する場合の徐行運転の要否や通行可否に関する情報を好適に運転者に通知することができる。
【0080】
(変形例5)
ナビゲーション装置1は、ナビゲーション装置1が車両を自動制御する自動運転機能を有する場合などでは、冠水部WCを検出した場合に、警告を出力する代わりに、自動運転に検出した冠水部WC及び水深Dwcの情報を自動運転に使用してもよい。例えば、ナビゲーション装置1は、水深Dwcが第1閾値以上第2閾値未満の場合には検出した冠水部WCを徐行運転により通過し、水深Dwcが第2閾値以上の場合には車両の停止などを行う。
【符号の説明】
【0081】
1 ナビゲーション装置
2 カメラ
3 サーバ装置
10 自立測位装置
12 GPS受信機
20 システムコントローラ
22 CPU
31 データ記憶ユニット
38 通信装置
40 表示ユニット
44 ディスプレイ
50 音声出力ユニット
60 入力装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12