(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023067990
(43)【公開日】2023-05-16
(54)【発明の名称】低煙火炎低減ケーブル
(51)【国際特許分類】
H01B 7/295 20060101AFI20230509BHJP
C08L 67/00 20060101ALI20230509BHJP
C08L 69/00 20060101ALI20230509BHJP
C08L 85/02 20060101ALI20230509BHJP
C08K 3/20 20060101ALI20230509BHJP
C08K 5/3477 20060101ALI20230509BHJP
C08K 5/3495 20060101ALI20230509BHJP
【FI】
H01B7/295
C08L67/00
C08L69/00
C08L85/02
C08K3/20
C08K5/3477
C08K5/3495
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023035635
(22)【出願日】2023-03-08
(62)【分割の表示】P 2020500805の分割
【原出願日】2018-07-12
(31)【優先権主張番号】62/532,507
(32)【優先日】2017-07-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519393129
【氏名又は名称】デュポン ポリマーズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エレニ カラヤニ
(57)【要約】
【課題】電気伝導性要素のために良い絶縁を提供しながら良い燃焼性能及び低発煙の両方を有するケーブルの需要が増大している。
【解決手段】良好な燃焼性能を有し且つ発煙が低減されたケーブルが提供される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)電気又は光伝導性要素と、
(2)前記伝導性要素を囲む絶縁層であって、コポリエーテルエステル及びメラミンシアヌレート、及び/又はメラミン、及び/又はメレム及び/又はメラムを含む絶縁層と、
(3)前記絶縁層を囲むジャケットであって、コポリエーテルエステル及びメラミンシアヌレート、及び/又はメラミン、及び/又はメレム及び/又はメラム、並びに少なくとも1つの無機水酸化物を含むジャケットとを含むケーブル。
【請求項2】
前記絶縁層内のメラミンシアヌレート、及び/又はメラミン、及び/又はメレム及び/又はメラムの全含有量が、前記絶縁層の総重量に基づいて10~25wt%の間である、請求項1に記載のケーブル。
【請求項3】
前記絶縁層が前記コポリエーテルエステル及びメラミンシアヌレートを含む、請求項1又は2のいずれか一項に記載のケーブル。
【請求項4】
前記絶縁層が、前記コポリエーテルエステル及びメレムを含む、請求項1、2又は3のいずれか一項に記載のケーブル。
【請求項5】
前記絶縁層がアルミニウムジエチルホスフィナートをさらに含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のケーブル。
【請求項6】
前記絶縁層がポリホスホネートをさらに含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のケーブル。
【請求項7】
前記絶縁層がコポリホスホネート-ポリカーボネートをさらに含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のケーブル。
【請求項8】
ジャケット層内のメラミンシアヌレート、及び/又はメラミン、及び/又はメレム及び/又はメラムの全含有量が、前記ジャケット層の総重量に基づいて10~25wt%の間である、請求項1~7のいずれか一項に記載のケーブル。
【請求項9】
前記ジャケット層が前記コポリエーテルエステル、メラミンシアヌレート及び前記無機水酸化物を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のケーブル。
【請求項10】
前記無機水酸化物が、前記ジャケット層の総重量に基づいて8~22wt%の濃度で存在している、請求項1~9のいずれか一項に記載のケーブル。
【請求項11】
前記無機水酸化物が、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、及び水酸化マグネシウムと水酸化アルミニウムとの混合物からなる群から選択される、請求項1~10のいずれか一項に記載のケーブル。
【請求項12】
(1)電気又は光伝導性要素と、
(2)前記伝導性要素を囲む絶縁層であって、前記絶縁層の総重量に基づいて前記コポリエーテルエステル50~85wt%及びメラミンシアヌレート10~25wt%を含む絶縁層と、
(3)前記絶縁層を囲むジャケット層であって、ジャケット層の総重量に基づいて前記コポリエーテルエステル50~85wt%及びメラミンシアヌレート10~25wt%、並びに少なくとも1つの無機水酸化物を含むジャケット層とを含む請求項1に記載のケーブルであり、
任意選択的に、前記無機水酸化物が、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、及び水酸化マグネシウムと水酸化アルミニウムとの混合物から選択される、ケーブル。
【請求項13】
前記絶縁層及び前記ジャケット層を前記電気又は光伝導性要素の周りに押し出す工程を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載のケーブルを製造するための方法。
【請求項14】
(1)請求項1~12のいずれか一項に記載のケーブルと、
(2)前記ケーブルを電気及び/又は電子装置に及び/又は電源に接続するための1つ又は2つの接続要素とを含む接続ケーブル。
【請求項15】
請求項1~12のいずれか一項に記載のケーブルを含む電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年7月14日に出願された米国仮特許出願第62/532,507号に基づく優先権を主張する。この出願はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、低煙難燃ケーブルの分野に関する。
【背景技術】
【0003】
本発明が属する分野の状況をより完全に説明するために、いくつかの特許及び刊行物が本明細書で引用される。これらの特許及び刊行物のそれぞれの開示全体は、参照により本明細書に援用される。
【0004】
電気又は信号を伝導するためのケーブルは、日常生活の一部であり、本質的に広く普及している。ケーブルの一般的な構造物は、絶縁材料によって囲まれ、そして次にジャケット材料によって囲まれる、中心の電気又は光伝導性要素又はワイヤーである。絶縁材料は、特に、中心要素が電気伝導性である時に、高い体積抵抗率を有するように選択される。ジャケット材料は、低摩耗、又は心地よい触感及び外観などの、最終使用者が望む様々な特性を有するように選択することができる。コポリエーテルエステルなどの熱可塑性エラストマーは、それらの融通性及び概して高い抵抗率のために一般的なコーティング材料である。
【0005】
米国特許第8,536,449号明細書には、ジャケットが、(A)熱可塑性コポリエステルエラストマー及び/又はコポリアミドエラストマー、(B)ホスフィン酸及び/又はジホスフィン酸の金属塩及び/又はそのポリマー、(C)難燃剤成分として窒素-含有難燃剤相乗剤及び/又はリン/窒素含有難燃剤、並びに(D)塩基性及び両性酸化物、水酸化物、炭酸塩、ケイ酸塩、ホウ酸塩、錫酸塩、混合酸化物-水酸化物、酸化物-水酸化物-炭酸塩、水酸化物-ケイ酸塩及び水酸化物-ホウ酸塩、及びそれらの混合物から選択される無機化合物を含有する難燃剤組成物から製造される電子装置用の絶縁ワイヤーが記載されている。ケーブルは、良い燃焼性能を有すると言われている。
【0006】
多くの既存のケーブルは、電気抵抗並びに耐溶融性及び耐燃性などの良い燃焼性能を有する。それにもかかわらず、電気伝導性要素のために良い絶縁を提供しながら良い燃焼性能及び低発煙の両方を有するケーブルの需要が増大している。これらの特性は、住環境及び労働環境において存在しているケーブル及び車又は他の輸送形態におけるケーブルに特に重要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
したがって、第1の態様において、
(1)電気又は光伝導性要素と、
(2)伝導性要素を囲む絶縁層であって、コポリエーテルエステル及びメラミンシアヌレート、及び/又はメラミン、及び/又はメレム及び/又はメラムを含む絶縁層と、
(3)絶縁層を囲むジャケットであって、コポリエーテルエステル及びメラミンシアヌレート、及び/又はメラミン、及び/又はメレム及び/又はメラム、並びに少なくとも1つの無機水酸化物を含むジャケットとを含むケーブルが提供される。
【0008】
第2の態様において、絶縁層及びジャケットを伝導性要素の周りに押し出す工程を含むケーブルを製造するための方法が本明細書において提供される。
【0009】
第3の態様において、
(1)本明細書に記載されるようなケーブルと、
(2)ケーブルを電気及び/又は電子装置に及び/又は電源若しくは光源に接続するための1つ又は2つの接続要素とを含む接続ケーブルが本明細書において提供される。
【0010】
第4の態様において、本明細書に記載されるケーブルを含む電子装置が本明細書において提供される。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明者は驚くべきことに、良い燃焼性能及び低発煙、並びに良い絶縁性能を有するケーブルが以下の構造を使用して得ることができることを見出した:
(1)電気又は光伝導性要素、
(2)伝導性要素を囲む絶縁層であって、コポリエーテルエステル及びメラミンシアヌレート、及び/又はメラミン、及び/又はメレム及び/又はメラムを含む絶縁層、
(3)絶縁層を囲むジャケットであって、コポリエーテルエステル及びメラミンシアヌレート、及び/又はメラミン、及び/又はメレム及び/又はメラム、並びに少なくとも1つの無機水酸化物を含むジャケット。
【0012】
電気又は電子伝導のために、ケーブルは、コポリエーテルエステル及びメラミンシアヌレート、又はメラミン、又はメレム、又はメラムを含む絶縁層によって囲まれる、中心に通っている電気伝導性要素(ワイヤー)と、絶縁層を囲むジャケットであって、コポリエーテルエステル及びメラミンシアヌレート、又はメラミン、又はメレム、又はメラム、並びに無機水酸化物を含むジャケットとを含む。
【0013】
ワイヤーは任意の電気伝導性材料から製造されてもよい。典型的な材料は銅である。
【0014】
光信号伝導のために、ケーブルは、コポリエーテルエステル及びメラミンシアヌレート、又はメラミン、又はメレム、又はメラムを含む絶縁層によって囲まれる、中心に通っている光ファイバーと、絶縁層を囲むジャケットであって、コポリエーテルエステル及びメラミンシアヌレート、又はメラミン、又はメレム、又はメラム、並びに無機水酸化物を含むジャケットとを含む。
【0015】
ワイヤー又は光ファイバーは、1つ又は複数のワイヤー又は光ファイバーであってもよい。それらはさらに、伝導性要素と絶縁材料との間に適合する他の材料で巻回されるか又は外装されてもよい。同様に、絶縁層は、絶縁層とジャケット層との間に適合する他の材料で巻回されるか又は外装されてもよい。例えばガラス繊維又はアスベストなどの巻回材料及び外装材料もまた、燃焼及び発煙に対して耐性であるのが好ましい。
【0016】
絶縁層及びジャケットは両方とも、コポリエーテルエステルを含む。絶縁層及びジャケットにおいて使用されるコポリエーテルエステルは、同一であっても異なっていてもよい。好ましいコポリエーテルエステルは、エステル結合を介して頭-尾結合した複数の繰り返し長鎖エステル単位及び短鎖エステル単位を有するコポリマーであり、前記長鎖エステル単位は式(A):
【0017】
【0018】
で表され、及び前記短鎖エステル単位は、式(B):
【0019】
【0020】
で表される(式中、
Gは、約400~約6000の間の数平均分子量を好ましくは有するポリ(アルキレンオキシド)グリコールから末端ヒドロキシル基を除去した後に残っている二価基であり;Rは、約300未満の分子量を有するジカルボン酸からカルボキシル基を除去した後に残っている二価基であり;及びDは、好ましくは約250未満の分子量を有するジオールからヒドロキシル基を除去した後に残っている二価基であり;及び前記コポリエーテルエステルは好ましくは、約15~約99wt.%の短鎖エステル単位と約1~約85wt.%の長鎖エステル単位とを含有する)。
【0021】
本明細書で用いる場合、ポリマー鎖中の単位に適用されるような用語「長鎖エステル単位」は、長鎖グリコールとジカルボン酸との反応生成物を意味する。好適な長鎖グリコールは、末端(又はできる限り末端に近い)ヒドロキシ基を有し、且つ約400~約6000及び好ましくは約600~約3000の数平均分子量を有するポリ(アルキレンオキシド)グリコールである。好ましいポリ(アルキレンオキシド)グリコールは、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、ポリ(トリメチレンオキシド)グリコール、ポリ(プロピレオキシド)グリコール、ポリ(エチレンオキシド)グリコール、これらのアルキレンオキシドのコポリマーグリコール、及びエチレンオキシド-キャップトポリ(プロピレンオキシド)グリコールなどのブロックコポリマーを含む。これらのグリコールの2種以上の混合物を使用することができる。
【0022】
コポリエーテルエステルのポリマー鎖中の単位に適用されるような用語「短鎖エステル単位」は、低分子量化合物又はポリマー鎖単位を意味する。それらは、低分子量ジオール又はジオールの混合物をジカルボン酸と反応させて、上の式(B)で表されるエスエル単位を形成することによって製造される。コポリエーテルエステルを製造するための使用に好適な短鎖エステル単位を形成するために反応する低分子量ジオールの中には、非環式、脂環式及び芳香族ジヒドロキシ化合物が含まれる。好ましい化合物は、エチレン、プロピレン、イソブチレン、テトラメチレン、1,4-ペンタメチレン、2,2-ジメチルトリメチレン、ヘキサメチレン及びデカメチレングリコール、ジヒドロキシシクロヘキサン、シクロヘキサンジメタノール、レゾルシノール、ヒドロキノン、1,5-ジヒドロキシナフタレンなどの約2~15個の炭素原子のジオールである。とりわけ好ましいジオールは、2~8個の炭素原子を含有する脂肪族ジオールであり、より好ましいジオールは、1,4-ブタンジオールである。
【0023】
特に好ましい実施形態において、絶縁層及びジャケット層の両方において使用されるコポリエーテルエステルは、
テレフタル酸又はその活性形態、例えば、ジメチルテレフタレート、
1,3-プロパンジオール及び/又は1,4ブタンジオール、好ましくは1,4-ブタンジオールなどのジオール、及び
ポリ(トリメチレンエーテル)グリコール及び/又はポリ(テトラメチレンエーテル)グリコール、好ましくはポリ(テトラメチレンエーテル)グリコールなどのポリ(アルキレンエーテル)グリコールから製造される。
【0024】
特に好ましいコポリエーテルエステルは、以下の特性を有する:
1.ポリエーテルブロックセグメントとして約1000g/モルの平均分子量を有する約44.9重量パーセントのポリ(テトラメチレンオキシド)を含むコポリエーテルエステルエラストマーであって、重量百分率がコポリエーテルエステルエラストマーの総重量を基準としており、コポリエーテルエステルの短鎖エステル単位がポリブチレンテレフタレート及びポリブチレンイソフタレートセグメントである、コポリエーテルエステルエラストマー。
2.ポリエーテルブロックセグメントとして約2000g/モルの平均分子量を有する約72.5重量パーセントのポリ(テトラメチレンオキシド)を含むコポリエーテルエステルエラストマーであって、重量百分率がコポリエーテルエステルエラストマーの総重量を基準としており、コポリエーテルエステルの短鎖エステル単位がポリブチレンテレフタレートセグメントである、コポリエーテルエステルエラストマー。
【0025】
特に好ましいコポリエーテルエステルエラストマーの短鎖エステル単位の重量パーセントは、コポリエーテルエステルエラストマーの総重量に基づいて好ましくは15~99wt%、より好ましくは20~95wt%である。
【0026】
コポリマーの共重合繰り返し単位の量に対して使用されるとき、重量百分率は、コポリマーの総重量に基づいている。本明細書中で用いられるとき、重量百分率は相補的であり、例えば、与えられたコポリマーの共重合繰り返し単位の重量百分率の総計は100wt%である。
【0027】
絶縁層のために使用される材料は、コポリエーテルエステル成分の他に、メラミンシアヌレート、及び/又はメラミン、及び/又はメレム(シアメルロトリアミド)及び/又はメラム[(N2-(4,6-ジアミノ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリアミン)]を含む。
【0028】
絶縁層内のメラミンシアヌレート、メラミン、メレム及びメラムの全含有量は、材料又は絶縁層の総重量に基づいて好ましくは10~25wt%の間である。
【0029】
好ましい実施形態において、絶縁層内のメラミンシアヌレート、メラミン、メレム及びメラムの全含有量は、材料又は絶縁層の総重量に基づいて20wt%である。
【0030】
好ましい絶縁層は、コポリエーテルエステル及びメラミンシアヌレートを含む。
【0031】
絶縁層は、他の添加剤をさらに含んでもよい。特に好ましい絶縁層は、式(III)のホスフィナート、式(IV)のジスホスフィナート
【0032】
【0033】
[式中、R1及びR2は同一であるか又は異なっており、R1及びR2のそれぞれは水素、直鎖、分岐状、若しくは環状C1~C6アルキル基、又はC6~C10アリールであり;R3は直鎖又は分岐状C1~C10アルキレン基、C6~C10アリーレン基、C6~C12アルキル-アリーレン基、又はC6~C12アリール-アルキレン基であり;Mは、カルシウムイオン、アルミニウムイオン、マグネシウムイオン、亜鉛イオン、アンチモンイオン、錫イオン、ゲルマニウムイオン、チタンイオン、鉄イオン、ジルコニウムイオン、セリウムイオン、ビスマスイオン、ストロンチウムイオン、マンガンイオン、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン及びそれらの組合せから選択され;m、n、及びxはそれぞれ、1~4(両端を含む)の同一であるか又は異なる整数である]、及びそれらの組合せ又はポリマーからなる群から選択される非ハロゲン化難燃剤をさらに含む。
【0034】
一実施形態において、ハロゲンを含有しない難燃剤は、アルミニウムメチルエチルホスフィナート、アルミニウムジエチルホスフィナート、次亜リン酸アルミニウム、及びそれらの組合せ又は2つ以上からなる群から選択されるか、或いは少なくとも1つのハロゲンを含有しない難燃剤はアルミニウムメチルエチルホスフィナート又はアルミニウムジエチルホスフィナートである。特に好ましいのはアルミニウムジエチルホスフィナートである。
【0035】
好ましい絶縁層には、限定されないが、以下に記載されるものが含まれる:
コポリエーテルエステル及びメラミンシアヌレート;
コポリエーテルエステル、メラミンシアヌレート及びアルミニウムジエチルホスフィナート
コポリエーテルエステル、メラミンシアヌレート、アルミニウムジエチルホスフィナート及びポリホスホネート;
コポリエーテルエステル、メラミンシアヌレート、アルミニウムジエチルホスフィナート及びコポリホスホネート-ポリカーボネート;
コポリエーテルエステル及びメレム;
コポリエーテルエステル、メレム及びアルミニウムジエチルホスフィナート;
コポリエーテルエステル、メレム、アルミニウムジエチルホスフィナート及びポリホスホネート;
コポリエーテルエステル、メレム、アルミニウムジエチルホスフィナート及びコポリホスホネート-ポリカーボネート;
【0036】
より好ましい絶縁層には、限定されないが、以下に記載されるものが含まれる:
コポリエーテルエステル及びメラミンシアヌレート(10~25wt%、好ましくは約20wt%);
コポリエーテルエステル、メラミンシアヌレート(10~25wt%、好ましくは約20wt%)及びアルミニウムジエチルホスフィナート
コポリエーテルエステル、メラミンシアヌレート(10~25wt%、好ましくは約20wt%)、アルミニウムジエチルホスフィナート及びポリホスホネート;
コポリエーテルエステル、メラミンシアヌレート(10~25wt%、好ましくは約20wt%)、アルミニウムジエチルホスフィナート及びコポリホスホネート-ポリカーボネート;
コポリエーテルエステル及びメレム(5~30wt%、好ましくは約20wt%);
コポリエーテルエステル、メレム(5~30wt%、好ましくは約20wt%)及びアルミニウムジエチルホスフィナート;
コポリエーテルエステル、メレム(5~30wt%、好ましくは約20wt%)、アルミニウムジエチルホスフィナート及びポリホスホネート。
コポリエーテルエステル、メレム(5~30wt%、好ましくは約20wt%)、アルミニウムジエチルホスフィナート及びコポリホスホネート-ポリカーボネート;
【0037】
より特に好ましい絶縁層には、限定されないが、以下に記載されるものが含まれる:
コポリエーテルエステル(60~90wt%、好ましくは80wt%)及びメラミンシアヌレート(10~25wt%、好ましくは20wt%);
コポリエーテルエステル(60~90wt%、好ましくは74wt%)、メラミンシアヌレート(10~25wt%、好ましくは20wt%)及びアルミニウムジエチルホスフィナート(1~10wt%、好ましくは5wt%);
コポリエーテルエステル(60~90wt%、好ましくは74wt%)、メラミンシアヌレート(10~25wt%、好ましくは20wt%)、アルミニウムジエチルホスフィナート(1~10wt%、好ましくは5wt%)及びポリホスホネート(0.25~2wt%、好ましくは1wt%);
コポリエーテルエステル(60~90wt%、好ましくは74wt%)、メラミンシアヌレート(10~25wt%、好ましくは20wt%)、アルミニウムジエチルホスフィナート(1~10wt%、好ましくは5wt%)及びコポリホスホネート-ポリカーボネート(0.25~2wt%、好ましくは1wt%);
コポリエーテルエステル(60~90wt%、好ましくは74wt%)及びメレム(5~30wt%、好ましくは20wt%);
コポリエーテルエステル(60~90wt%、好ましくは74wt%)、メレム(5~30wt%、好ましくは20wt%)及びアルミニウムジエチルホスフィナート(1~10wt%、好ましくは5wt%);
コポリエーテルエステル(60~90wt%、好ましくは74wt%)、メレム(5~30wt%、好ましくは20wt%)、アルミニウムジエチルホスフィナート(1~10wt%、好ましくは5wt%)及びポリホスホネート(0.25~2wt%、好ましくは1wt%)。
コポリエーテルエステル(60~90wt%、好ましくは74wt%)、メレム(5~30wt%、好ましくは20wt%)、アルミニウムジエチルホスフィナート(1~10wt%、好ましくは5wt%)及びコポリホスホネート-ポリカーボネート(0.25~2wt%、好ましくは1wt%);
【0038】
特に好ましい絶縁層には、限定されないが、以下のものが含まれる:
コポリエーテルエステル(80wt%)及びメラミンシアヌレート(20wt%);
コポリエーテルエステル(74wt%)、メラミンシアヌレート(20wt%)及びアルミニウムジエチルホスフィナート(5wt%)
コポリエーテルエステル(74wt%)、メラミンシアヌレート(20wt%)、アルミニウムジエチルホスフィナート(5wt%)及びポリホスホネート(1wt%);
コポリエーテルエステル(74wt%)、メラミンシアヌレート(20wt%)、アルミニウムジエチルホスフィナート(5wt%)及びコポリホスホネート-ポリカーボネート(1wt%);
コポリエーテルエステル(74wt%)及びメレム(20wt%);
コポリエーテルエステル(74wt%)、メレム(20wt%)及びアルミニウムジエチルホスフィナート(5wt%);
コポリエーテルエステル(74wt%)、メレム(20wt%)、アルミニウムジエチルホスフィナート(5wt%)及びポリホスホネート(1wt%)。
コポリエーテルエステル(74wt%)、メレム(20wt%)、アルミニウムジエチルホスフィナート(5wt%)及びコポリホスホネート-ポリカーボネート(1wt%)。
【0039】
絶縁層又はジャケット層の成分の量に対して使用されるとき、重量百分率は絶縁層又はジャケット層の総重量に基づいている。或いは、重量百分率は、絶縁層の組成物又はジャケット層の組成物の総重量に基づいている。本明細書中で用いられるとき、重量百分率は相補的であり、例えば、与えられた層又は組成物の成分の重量パーセントの総計は100wt%である。
【0040】
コポリエーテルエステル成分の他に、ジャケット層のために使用される材料は、メラミンシアヌレート、及び/又はメラミン、及び/又はメレム(シアメルロトリアミド)及び/又はメラム[(N2-(4,6-ジアミノ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリアミン)]、並びに少なくとも1つの無機水酸化物を含む。
【0041】
ジャケット層内のメラミンシアヌレート、メラミン、メレム及びメラムの全含有量は、材料又はジャケット層の総重量に基づいて好ましくは10~25wt%の間である。
【0042】
好ましい実施形態において、ジャケット層内のメラミンシアヌレート、メラミン、メレム及びメラムの全含有量は、材料又はジャケット層の総重量に基づいて20wt%又は約20wt%である。
【0043】
ジャケット層は、コポリエーテルエステル及びメラミンシアヌレートを含み、さらに無機水酸化物を含む。二価及び三価カチオンの水酸化物が好ましい。二価金属の水酸化物の例には、水酸化マグネシウム及び水酸化カルシウムが含まれ、水酸化マグネシウムが特に好ましい。三価金属の水酸化物の例には、水酸化アルミニウムが含まれる。水酸化物の代替物として、他の炭酸塩、塩基性及び両性酸化物、錫酸塩及びそれらの混合物をジャケット層のための難燃剤混合物において使用することができる。
【0044】
2つ以上の無機水酸化物をジャケット層において使用することができ、水酸化マグネシウムと水酸化アルミニウムとの組合せが特に好ましい。
【0045】
無機水酸化物は好ましくは、ジャケット層の総重量に基づいて4~25wt%、より好ましくは8~22wt%の濃度でジャケット層において使用される。
【0046】
好ましい実施形態において、ジャケット層は、ジャケット層の総重量に基づいて4~10wt%の水酸化マグネシウム、より好ましくは5~8wt%の水酸化マグネシウムを含む。
【0047】
別の好ましい実施形態において、ジャケット層は、ジャケット層の総重量に基づいて8~20wt%の水酸化アルミニウム、より好ましくは10~15wt%の水酸化アルミニウムを含む。
【0048】
別の好ましい実施形態において、ジャケット層は、水酸化アルミニウムと水酸化マグネシウムとの混合物、好ましくは4~10wt%の水酸化マグネシウム、より好ましくは5~8wt%の水酸化マグネシウム及び8~20wt%の水酸化アルミニウム、より好ましくは10~15wt%の水酸化アルミニウムを含む。特に好ましいのは6~7wt%の水酸化マグネシウム及び12~14wt%の水酸化アルミニウムである。これらの好ましい及びより好ましい重量百分率はジャケット層の総重量に基づいている。
【0049】
好ましいジャケット層には、限定されないが、以下に記載されるものが含まれる:
コポリエーテルエステル、メラミンシアヌレート、及び無機水酸化物;
コポリエーテルエステル、メラミンシアヌレート及び水酸化アルミニウム;
コポリエーテルエステル、メラミンシアヌレート及び水酸化マグネシウム;
コポリエーテルエステル、メラミンシアヌレート、水酸化アルミニウム及び水酸化マグネシウム。
【0050】
より好ましいジャケット層には、限定されないが、以下に記載されるものが含まれる:
コポリエーテルエステル及びメラミンシアヌレート(10~25wt%、好ましくは20wt%)、及び無機水酸化物;
コポリエーテルエステル及びメラミンシアヌレート(10~25wt%、好ましくは20wt%)、及び水酸化アルミニウム;
コポリエーテルエステル及びメラミンシアヌレート(10~25wt%、好ましくは20wt%)、及び水酸化マグネシウム;
コポリエーテルエステル及びメラミンシアヌレート(10~25wt%、好ましくは20wt%)、水酸化アルミニウム及び水酸化マグネシウム。
【0051】
より好ましいジャケット層には、限定されないが、以下に記載されるものが含まれる:
コポリエーテルエステル及びメラミンシアヌレート(10~25wt%、好ましくは20wt%)、及び無機水酸化物(4~25wt%、より好ましくは8~22wt%);
コポリエーテルエステル及びメラミンシアヌレート(10~25wt%、好ましくは20wt%)、及び水酸化アルミニウム(8~20wt%、より好ましくは10~15wt%);
コポリエーテルエステル及びメラミンシアヌレート(10~25wt%、好ましくは20wt%)、及び水酸化マグネシウム(4~10wt%の水酸化マグネシウム、より好ましくは5~8wt%);
コポリエーテルエステル及びメラミンシアヌレート(10~25wt%、好ましくは20wt%)、水酸化アルミニウム及び水酸化マグネシウム、好ましくは総計20wt%、特に好ましくは4~10wt%の水酸化マグネシウム、より好ましくは5~8wt%の水酸化マグネシウム及び8~20wt%の水酸化アルミニウム、より好ましくは10~15wt%の水酸化アルミニウム。
【0052】
特に好ましい絶縁層には、限定されないが、以下のものが含まれる:
好ましい絶縁層1
ポリエーテルブロックセグメントとして約2000g/モルの平均分子量を有する共重合ポリ(テトラメチレンオキシド)約72.5wt%を含むコポリエーテルエステルエラストマー78.29wt%、共重合ポリ(テトラメチレンオキシド)の重量百分率はコポリエーテルエステルエラストマーの総重量に基づいており、コポリエーテルエステルの短鎖エステル単位はポリブチレンテレフタレートセグメントである;
20wt%のメラミンシアヌレート;
1.10wt%の酸化防止剤;
0.30wt%のヒンダードアミン光安定剤;
0.31wt%の1つ又は複数の紫外線安定剤。
好ましい絶縁層2
ポリエーテルブロックセグメントとして約2000g/モルの平均分子量を有する共重合ポリ(テトラメチレンオキシド)約72.5wt%を含むコポリエーテルエステルエラストマー72.29wt%、共重合ポリ(テトラメチレンオキシド)の重量百分率はコポリエーテルエステルエラストマーの総重量に基づいており、コポリエーテルエステルの短鎖エステル単位はポリブチレンテレフタレートセグメントである;
20wt%のメラミンシアヌレート;
5wt%のアルミニウムジエチルホスフィナート;
1wt%のポリホスホネート;
1.10wt%の酸化防止剤;
0.30wt%のヒンダードアミン光安定剤;
0.31wt%の1つ又は複数の紫外線安定剤。
好ましい絶縁層3
ポリエーテルブロックセグメントとして約2000g/モルの平均分子量を有する共重合ポリ(テトラメチレンオキシド)約72.5重量パーセントを含むコポリエーテルエステルエラストマー72.29wt%、共重合ポリ(テトラメチレンオキシド)の重量百分率はコポリエーテルエステルエラストマーの総重量に基づいており、コポリエーテルエステルの短鎖エステル単位はポリブチレンテレフタレートセグメントである;
5wt%のアルミニウムジエチルホスフィナート;
1wt%のポリホスホネート;
20wt%のメレム;
1.10wt%の酸化防止剤;
0.30wt%のヒンダードアミン光安定剤;
0.31wt%の1つ又は複数の紫外線安定剤。
【0053】
特に好ましいジャケット層には、限定されないが、以下のものが含まれる:
好ましいジャケット層1
ポリエーテルブロックセグメントとして約2000g/モルの平均分子量を有する共重合ポリ(テトラメチレンオキシド)約72.5wt%を含むコポリエーテルエステル51.09wt%、共重合ポリ(テトラメチレンオキシド)の重量百分率はコポリエーテルエステルエラストマーの総重量に基づいており、コポリエーテルエステルの短鎖エステル単位はポリブチレンテレフタレートセグメントである;
20wt%のメラミンシアヌレート;
6.80wt%の水酸化マグネシウム;
13.50wt%の水酸化アルミニウム;
0.30wt%のステアリン酸;
0.30wt%の酸化防止剤;
0.30wt%のヒンダードアミン光安定剤;
0.31wt%の1つ又は複数の紫外線安定剤;
7.40wt%の着色剤。
好ましいジャケット層2
ポリエーテルブロックセグメントとして約1000g/モルの平均分子量を有する共重合ポリ(テトラメチレンオキシド)約44.9wt%を含むコポリエーテルエステル30.09wt%、共重合ポリ(テトラメチレンオキシド)の重量百分率はコポリエーテルエステルエラストマーの総重量に基づいており、コポリエーテルエステルの短鎖エステル単位は、ポリブチレンテレフタレート及びポリブチレンイソフタレートセグメントである;
ポリエーテルブロックセグメントとして約2000g/モルの平均分子量を有する共重合ポリ(テトラメチレンオキシド)約72.5wt%を含むコポリエーテルエステル20wt%、共重合ポリ(テトラメチレンオキシド)の重量百分率はコポリエーテルエステルエラストマーの総重量に基づいており、コポリエーテルエステルの短鎖エステル単位はポリブチレンテレフタレートセグメントである。
20wt%のメラミンシアヌレート;
6.80wt%の水酸化マグネシウム;
13.50wt%の水酸化アルミニウム;
0.30wt%のステアリン酸;
1.0wt%の、ビニル基を有するポリジメチルシロキサン;
0.30wt%の酸化防止剤;
0.30wt%のヒンダードアミン光安定剤;
0.31wt%の1つ又は複数の紫外線安定剤;
7.40wt%の着色剤。
【0054】
ジャケットと絶縁層との好ましい組合せには、限定されないが、以下のものが含まれる:
好ましいジャケット層1と好ましい絶縁層1、2又は3のうちの任意の1つ;
好ましいジャケット層2と好ましい絶縁層1、2又は3のうちの任意の1つ;
【0055】
絶縁層及びジャケット層は、ガラス繊維及び/又は炭素繊維などの無機充填剤と、アラミド繊維などの有機充填剤とをさらに含んでもよい。
【0056】
絶縁層及びジャケットは、安定剤、酸化防止剤、金属不活性化剤、加工助剤、潤滑剤、ドリップ防止剤、改質剤、着色剤、充填剤及び補強剤、耐衝撃性改良剤、流動向上添加剤、帯電防止剤、結晶化促進剤、粘度調整剤、核剤、引っ掻き及び擦傷改質剤、接着性改質剤及びポリマー配合技術において公知のその他の加工助剤などの添加剤をさらに含んでもよい。
【0057】
全ての添加剤、特に、メラミンシアヌレート、メレム、メラム及び無機水酸化物などの難燃剤添加剤は、コートされる粒子、例えばコーティングとコアとを有し、コアが難燃剤添加剤を含む粒子の形態であってもよい。コーティングは、オルガノシラン、エステル、ポリオール、二無水物、エポキシ、若しくはジカルボン酸;又はこれらのコーティング材料の2つ以上の混合物;又は当業者に公知の任意の粒子コーティングを含むことができる。そのような場合、コーティングの量は、一般に、コートされる粒子の総重量を基準として約0.1~約6wt%の範囲であるであろう。
【0058】
いくつかの実施形態において、エポキシ化合物を絶縁層に添加して耐加水分解性を改良することができる。
【0059】
製造方法
また、本発明は、本明細書に記載されるケーブルの製造方法を提供する。製造方法において、絶縁層とジャケットとが伝導性要素の周りに押し出される。押出は同時押出によるものであってもよく、その場合、2つの層は同時に押し出されるか、或いはそれは単層押出によるものであってもよく、その場合、層は別々に押し出される。絶縁層とジャケット層との間に付加的な外装を含むことが望ましいとき、単層押出が好ましい。
1.単層押出(並列工程において材料の単層を押し出す)、それは、絶縁材料をコア伝導性要素上に押し出す工程と、その後に、ジャケット材料をこのように形成された絶縁ワイヤーの上に押し出す工程とを必要とする。絶縁ワイヤーを囲む編組があってもよく、ジャケット材料を、編組上に直接に押し出すことができる。
2.同時押出(材料の複数層を同時に押し出す)。動的押出が含まれる。
【0060】
本明細書に記載されるケーブルは、長さ125mm×幅13mm及び厚さ1.6又は0.8mmの寸法を有する試験検体を使用して、UL94試験標準、20mm垂直燃焼試験に従って測定されるときV2以上の等級を有する良い燃焼性能を示す。
【0061】
ケーブルは、矩形プラックの形状の試験検体を使用して、ASTM E662有炎法に従って測定されるとき、低発煙を示す。
【0062】
ケーブルは、50未満、より好ましくは30未満、特に好ましくは20未満の「Ds 360秒」を有する。ケーブルは、250未満、より好ましくは220未満、特に好ましくは200未満の「Ds max」を有する。
【0063】
以下の実施例は、本発明をさらに詳細に説明するために提供される。本発明を実施するために現在想定されている好ましい態様を示すこれらの実施例は、本発明を例示することを意図され、それを限定することは意図されない。
【実施例0064】
材料
実施例において使用される材料のために用いられる略語を表1に記載する。
【0065】
【0066】
TPE1:ポリエーテルブロックセグメントとして約1000g/モルの平均分子量を有するポリ(テトラメチレンオキシド)約44.9重量パーセントを含むコポリエーテルエステルエラストマーであって、重量百分率がコポリエーテルエステルエラストマーの総重量を基準としており、コポリエーテルエステルの短鎖エステル単位がポリブチレンテレフタレート及びポリブチレンイソフタレートセグメントである、コポリエーテルエステルエラストマー。
TPE2:ポリエーテルブロックセグメントとして約2000g/モルの平均分子量を有するポリ(テトラメチレンオキシド)約72.5重量パーセントを含むコポリエーテルエステルエラストマーであって、重量百分率がコポリエーテルエステルエラストマーの総重量を基準としており、コポリエーテルエステルの短鎖エステル単位はポリブチレンテレフタレートセグメントである、コポリエーテルエステルエラストマー。
【0067】
絶縁層とジャケット材料
本発明の難燃性ポリマー組成物及び比較用組成物を以下のように調製した:表2及び3に記載された量の上述の材料を二軸スクリュー押出機内で溶融ブレンドした。配合され、溶融ブレンドされた混合物をレース又はストランドの形態で押出し、水槽内で冷却し、粒体に細断し、吸湿を防ぐために密封アルミニウム内張り袋内に置いた。
【0068】
試験方法
難燃性
燃焼性試験は、UL94試験標準、20mm垂直燃焼試験に従って行った。試験検体は、長さ125mm×幅13mm及び厚さ1.6又は0.8mmの寸法を有するテストバーの形態で組成物を射出成形することによって形成された。射出成形の前に、上述の方法に従って調製された難燃剤組成物の粒体を乾燥させて、0.08パーセント未満の水分レベルを有する粒状組成物をもたらした。難燃性試験が行われる前に、試験検体を48時間にわたり23°C及び50%の相対湿度で状態調節した。試験検体を、検体の下端が乾燥した吸収性脱脂綿の水平層の300mm上にあるように検体の縦軸を垂直にして固定した。20mm高さの青炎をもたらすバーナーを、10秒間にわたり検体の下縁の中間点に炎が中心で適用されるように置いた。10秒間にわたる検体への炎の適用後、バーナーを試料から引き離し、残炎時間、t1を測定した。試験検体の残炎が停止したとき、バーナーを追加の10秒間にわたり検体の真下に再び置いた。炎を次に試験検体から引き離し、第2残炎時間、t2を測定した。燃焼中の材料の挙動に基づいて、材料を試験仕様書に従ってV-0、V-1又はV-2として分類した。V-0は最も良い難燃性能であり、V-1は中間であり、V-2は最も要求の厳しくない仕様である。組成物が最も要求の厳しくない分類の評価基準を満たすことができなかったとき(V-2)、それは表において「不合格」と記録される。
【0069】
材料の燃焼性能は表3に記載される。
【0070】
発煙方法
装置及び設定方法:表2に記載される組成物からの発煙を標準法ASTM E662有炎法に従って測定した。長さ75mm×幅75mm、及び厚さ2又は1mmを有する寸法の矩形プラックの形状の試験検体は、得られたままの押出材料から成形された。試験はNBS煙室内で実施された。単独の材料組成物の発煙性能を試験するために、厚さ2mmのプラックを使用した。ジャケット及び絶縁材料の組合せの発煙性能を試験するために、絶縁材料の厚さ1mmのプラックをジャケット材料の2mmプラックの後ろに置いた。結果は、特定光学濃度、Dsとして表される。Dsの値が大きくなればなるほど、与えられた時間において生じる煙はより多くなる。
【0071】
煙室試験は、特定光学濃度対時間の曲線をもたらす。「Ds 360秒」は、360秒後の特定光学濃度である。「Ds max」は、40分までの実験時間について測定された最大特定光学濃度である。単独の材料についてと組合せの材料についてとの発煙性能は表3に記載されている。
【0072】
体積抵抗率
成形されたプラックの体積抵抗率を以下のように測定した:試験検体は、長さ100mm×幅100mm、厚さ2.0mmの寸法を有するプラックの形態で組成物を射出成形することによって組成物から形成された。
【0073】
23℃の空気中での体積抵抗率:プラックを成形後に室温で少なくとも16時間静置させた。このようなプラックからの体積抵抗率は、それぞれの読み取りの前に60秒間500Vの直流電位を印加することによってIEC 60093に従って室温の空気中で測定された。それぞれの読み取りの時間は60秒であった。体積抵抗率の測定値は表3に記載されている。
【0074】
【0075】
【0076】
「煙濃度 ジャケット及び絶縁層」での「ジャケット」の欄において、結果はジャケット材料の二重層についてであり、すなわち、ジャケット材料は、絶縁層及びジャケット層として両方で使用される。
【0077】
一般的には、50未満のDs 360秒を有する材料又は材料の組合せは許容範囲である。
【0078】
一般的には、250未満のDs maxを有する材料又は材料の組合せは許容範囲である。
【0079】
「材料低下」という表示は、検体が分解するほどにまで材料が燃焼及び溶融することを意味する。これは、容認できない性能を示す。
【0080】
表3の結果は驚くべきことに、絶縁材料E1、E2及びE3は容認できない煙濃度の結果しか生じないが、それらがジャケットと組み合わせられるとき、Ds 360秒はすぐれており、Ds maxは十分に容認できる範囲内(<250)であることを示す。
【0081】
本発明のある種の好ましい実施形態を上で説明し、具体的に例示してきたが、本発明をそのような実施形態に限定することは意図されない。以下の特許請求の範囲に示されるような本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく、様々な修正形態がなされ得る。
以下、本明細書に記載の主な発明について列記する。
(I)
(1)電気又は光伝導性要素と、
(2)前記伝導性要素を囲む絶縁層であって、コポリエーテルエステル及びメラミンシアヌレート、及び/又はメラミン、及び/又はメレム及び/又はメラムを含む絶縁層と、
(3)前記絶縁層を囲むジャケットであって、コポリエーテルエステル及びメラミンシアヌレート、及び/又はメラミン、及び/又はメレム及び/又はメラム、並びに少なくとも1つの無機水酸化物を含むジャケットとを含むケーブル。
(II)
前記絶縁層内のメラミンシアヌレート、及び/又はメラミン、及び/又はメレム及び/又はメラムの全含有量が、前記絶縁層の総重量に基づいて10~25wt%の間である、(I)に記載のケーブル。
(III)
前記絶縁層が前記コポリエーテルエステル及びメラミンシアヌレートを含む、(I)又は(II)のいずれか一項に記載のケーブル。
(IV)
前記絶縁層が、前記コポリエーテルエステル及びメレムを含む、(I)、(II)又は(III)のいずれか一項に記載のケーブル。
(V)
前記絶縁層がアルミニウムジエチルホスフィナートをさらに含む、(I)~(IV)のいずれか一項に記載のケーブル。
(VI)
前記絶縁層がポリホスホネートをさらに含む、(I)~(V)のいずれか一項に記載のケーブル。
(VII)
前記絶縁層がコポリホスホネート-ポリカーボネートをさらに含む、(I)~(VI)のいずれか一項に記載のケーブル。
(VIII)
ジャケット層内のメラミンシアヌレート、及び/又はメラミン、及び/又はメレム及び/又はメラムの全含有量が、前記ジャケット層の総重量に基づいて10~25wt%の間である、(I)~(VII)のいずれか一項に記載のケーブル。
(IX)
前記ジャケット層が前記コポリエーテルエステル、メラミンシアヌレート及び前記無機水酸化物を含む、(I)~(VIII)のいずれか一項に記載のケーブル。
(X)
前記無機水酸化物が、前記ジャケット層の総重量に基づいて8~22wt%の濃度で存在している、(I)~(IX)のいずれか一項に記載のケーブル。
(XI)
前記無機水酸化物が、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、及び水酸化マグネシウムと水酸化アルミニウムとの混合物からなる群から選択される、(I)~(X)のいずれか一項に記載のケーブル。
(XII)
(1)電気又は光伝導性要素と、
(2)前記伝導性要素を囲む絶縁層であって、前記絶縁層の総重量に基づいて前記コポリエーテルエステル50~85wt%及びメラミンシアヌレート10~25wt%を含む絶縁層と、
(3)前記絶縁層を囲むジャケット層であって、ジャケット層の総重量に基づいて前記コポリエーテルエステル50~85wt%及びメラミンシアヌレート10~25wt%、並びに少なくとも1つの無機水酸化物を含むジャケット層とを含む(I)に記載のケーブルであり、
任意選択的に、前記無機水酸化物が、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、及び水酸化マグネシウムと水酸化アルミニウムとの混合物から選択される、ケーブル。
(XIII)
前記絶縁層及び前記ジャケット層を前記電気又は光伝導性要素の周りに押し出す工程を含む、(I)~(XII)のいずれか一項に記載のケーブルを製造するための方法。
(XIV)
(1)(I)~(XII)のいずれか一項に記載のケーブルと、
(2)前記ケーブルを電気及び/又は電子装置に及び/又は電源に接続するための1つ又は2つの接続要素とを含む接続ケーブル。
(XV)
(I)~(XII)のいずれか一項に記載のケーブルを含む電子装置。