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  • 特開-加熱収縮装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023006800
(43)【公開日】2023-01-18
(54)【発明の名称】加熱収縮装置
(51)【国際特許分類】
   B65B 53/02 20060101AFI20230111BHJP
   F26B 3/04 20060101ALI20230111BHJP
   B65B 53/00 20060101ALI20230111BHJP
【FI】
B65B53/02 H
F26B3/04
B65B53/00 C
B65B53/02 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021109582
(22)【出願日】2021-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】313004403
【氏名又は名称】株式会社フジシール
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】大岡 昌彦
(72)【発明者】
【氏名】山本 訓大
【テーマコード(参考)】
3L113
【Fターム(参考)】
3L113AA02
3L113AB02
3L113AC08
3L113AC51
3L113BA26
3L113CB24
3L113DA13
(57)【要約】
【課題】加熱室間の温度の影響を簡素かつ安価な構成で軽減する。
【解決手段】加熱収縮装置(1)は、容器(10)を被覆する熱収縮性のラベル(101)を第1温度で加熱収縮させる予熱室(4)と、予熱室(4)で収縮したラベル(101)を、第1温度と異なる第2温度で加熱収縮させる仕上げ室(5)と、予熱室(4)と仕上げ室(5)との間に配置され、仕上げ室(5)より低い高さを有し、ラベル(101)を加熱しない温度緩衝室(6)と、を備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を被覆する熱収縮性のフィルムを第1温度で加熱収縮させる第1加熱室と、
前記第1加熱室で収縮した前記フィルムを、前記第1温度と異なる第2温度で加熱収縮させる第2加熱室と、
前記第1加熱室と前記第2加熱室との間に配置され、前記第2加熱室より低い高さを有し、前記フィルムを加熱しない非加熱室と、を備えていることを特徴とする加熱収縮装置。
【請求項2】
前記非加熱室の高さは、前記第2加熱室の高さより、少なくとも前記第2加熱室の高さの3分の1低いことを特徴とする請求項1に記載の加熱収縮装置。
【請求項3】
前記第2加熱室と前記非加熱室との間の開口の高さを前記開口の上部で変更する変更部材をさらに備えていることを特徴とする請求項1または2に記載の加熱収縮装置。
【請求項4】
加熱部材と、
前記第2加熱室の上部に設けられ、前記第2加熱室内の空気を吸い上げて前記加熱部材の側方に吹き出すことにより前記加熱部材により加熱された空気を前記第2加熱室内で循環させるブロアと、をさらに備えていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の加熱収縮装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱収縮性のフィルムを加熱収縮させる加熱収縮装置に関する。
【背景技術】
【0002】
加熱収縮装置は、熱収縮性のフィルムを水蒸気や熱風によって加熱することにより収縮させて物品に密着させる。
【0003】
例えば、特許文献1には、水蒸気によってフィルムを収縮させて商品に密着させる加熱室と、加熱室で商品およびフィルムに付着した水分を除去する乾燥室と、加熱室と乾燥室との間で内部が陰圧になる陰圧室とを備えた装置が開示されている。このような装置によれば、加熱室から流出する蒸気を含む高温気体が陰圧室で吸引されるので、乾燥室に蒸気を含む高温気体が混入することはない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-59386号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に、加熱収縮装置は、加熱温度を低い温度から複数の段階を経て上昇させる加熱手法を採用している。このため、加熱収縮装置は、比較的低い温度で加熱を行うことによりある程度ラベルを収縮させる予熱室と、予熱室より高い温度で加熱を行うことにより収縮を仕上げる仕上げ室とを有する。また、加熱収縮装置は、加熱によりフィルムを収縮させることから、上記のような予熱室および仕上げ室の上部において、熱が滞留することで高温化しやすい。しかしながら、一般に、予熱室および仕上げ室は連続して同じ高さに設けられているために、仕上げ室の上部に滞留した熱が、より温度の低い予熱室に移動することにより、予熱室の温度を上げてしまうという不都合がある。
【0006】
このような不都合に対し、特許文献1に開示された陰圧室を予熱室と仕上げ室との間に設けることが考えられる。このように構成すれば、仕上げ室の上部から移動してきた高温気体を陰圧室において吸引することにより、予熱室が仕上げ室の温度の影響を受けないようにすることができる。
【0007】
ところが、陰圧室は、内部を陰圧にするための吸引機構を必要とする。このため、装置の構成が大型化するとともに、装置の価格が高騰化するという問題がある。
【0008】
本発明の一態様は、加熱室間の温度の影響を簡素かつ安価な構成で軽減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る加熱収縮装置は、物品を被覆する熱収縮性のフィルムを第1温度で加熱収縮させる第1加熱室と、前記第1加熱室で収縮した前記フィルムを、前記第1温度と異なる第2温度で加熱収縮させる第2加熱室と、前記第1加熱室と前記第2加熱室との間に配置され、前記第2加熱室より低い高さを有し、前記フィルムを加熱しない非加熱室と、を備えている。
【0010】
上記の構成によれば、非加熱室の高さが第2加熱室の高さより低く、かつ非加熱室が第2加熱室と第1加熱室との間を隔てる。これにより、第2加熱室内の上部に滞留する高温の空気を非加熱室に流れ込みにくくすることができる。それゆえ、第2加熱室からの高温の空気が第1加熱室に流れ込む量を減少させることができる。したがって、第1加熱室が第2加熱室の温度の影響を受けにくくすることができる。
【0011】
前記加熱収縮装置において、前記非加熱室の高さは、前記第2加熱室の高さより、少なくとも前記第2加熱室の高さの3分の1低くてもよい。
【0012】
上記の構成によれば、第1加熱室の内部温度に影響を与える高温の空気が、第2加熱室における第2加熱室の上端から第2加熱室の高さの3分の1の範囲にほぼ全てが滞留するため、第2加熱室内の上部に滞留する高温の空気を非加熱室にほとんど流れ込ないようにすることができる。これにより、第1加熱室は、第2加熱室の温度の影響をほぼ受けないようにすることができる。
【0013】
前記加熱収縮装置は、前記第2加熱室と前記非加熱室との間の開口の高さを前記開口の上部で変更する変更部材をさらに備えていてもよい。
【0014】
上記の構成によれば、板部材の位置を下げることで開口の高さを低くすることができる。開口の高さが低いほど、第2加熱室から第1加熱室への温度の影響を軽減する効果が高まる。これにより、物品の高さが非加熱室の高さより十分低くても、非加熱室の高さを変更できないために、上記の効果を高めることができないという不都合を回避することができる。
【0015】
前記加熱収縮装置は、加熱部材と、前記第2加熱室の上部に設けられ、前記第2加熱室内の空気を吸い上げて前記加熱部材の側方に吹き出すことにより前記加熱部材により加熱された空気を前記第2加熱室内で循環させるブロアと、をさらに備えていてもよい。
【0016】
上記の構成によれば、第2加熱室の上部において、空気が流動することで高温の空気が滞留する領域を狭くすることができる。これにより、第2加熱室から第1加熱室への温度の影響を軽減する効果をより一層高めることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の一態様によれば、加熱室間の温度の影響を簡素かつ安価な構成で軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態に係る加熱収縮装置の構成を示す正面図である。
図2図1のA-A線矢視断面図である。
図3】上記加熱収縮装置の予熱室および仕上げ室の内部構造を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
〔実施形態〕
以下、本発明の一実施形態について、図1図3を参照して詳細に説明する。
【0020】
[加熱収縮装置の概要]
図1は、本発明の一実施形態に係る加熱収縮装置1の構成を示す正面図である。図1に示すように、加熱収縮装置1は、加熱トンネル2と、コンベア3とを備えている。
【0021】
コンベア3は、熱収縮性のラベル101が被覆された容器10(物品)を所定の方向に搬送する。コンベア3は、例えばベルトコンベアで構成される。
【0022】
容器10は、例えば、ブロー成形により形成されたポリエステル製のPETボトルである。ただし、ラベル101が被覆される対象は容器10に限定されず、ラベル6を巻き付けて使用される物品であればよい。
【0023】
ラベル101は、ポリエチレン、ポリプロピレン、PVC等から成る熱収縮性のフィルム(シュリンクフィルム)により形成される。ラベル101は、その両端を接合させることにより筒状に形成した後にロール状に巻き取り、このロールを繰り出しながら所定の長さに切断したものである。ラベル101は、図示しない開口装置により筒状に開口されて容器10に被覆されるように装着される。
【0024】
加熱トンネル2は、コンベア3によって搬送される容器10を被覆するラベル101を加熱する空間を形成する。加熱トンネル2は、予熱室4(第1加熱室)と、仕上げ室5(第2加熱室)と、温度緩衝室6(非加熱室)とを有している。予熱室4がコンベア3による容器10の搬送の上流側となり、仕上げ室5が搬送の下流側となる。
【0025】
予熱室4は、ラベル101を第1温度で加熱収縮させる。第1温度は、ラベル101が収縮を開始し始める温度であり、例えば60℃以上かつ80℃未満である。仕上げ室5は、予熱室4で加熱収縮したラベル101を、第1温度より高い第2温度でさらに加熱収縮させて容器10に密着させる収縮の仕上げ処理を行う。第2温度は、例えば80℃以上かつ95℃以下である。予熱室4および仕上げ室5は、高さH1を有する。高さH1は、予熱室4および仕上げ室5の内部における最下端から最上端までの高さである。
【0026】
温度緩衝室6は、予熱室4と仕上げ室5との間に配置されている。温度緩衝室6は、仕上げ室5の高さH1より低い高さH2を有している。高さH2は、温度緩衝室6の内部における最下端から最上端までの高さである。温度緩衝室6は、ラベル101を加熱しないように、予熱室4および仕上げ室5が有する後述のヒータ13のような加熱部材を有していない。高さH2は、温度緩衝室6の最下部から内壁の上面までの高さである。
【0027】
温度緩衝室6は、加熱トンネル2の正面側に、開閉可能な扉6aが設けられている。温度緩衝室6を扉6aで開くことにより、ラベル101の収縮状態を確認したり、詰まった容器10を取り出したりすることができる。
【0028】
予熱室4には、予熱室4と温度緩衝室6との間の開口の高さを調整する仕切り板41(変更部材)が設けられている。また、仕上げ室5には、仕上げ室5と温度緩衝室6との間の開口の高さを調整する仕切り板51(変更部材)が設けられている。仕切り板41,51は、矢印U方向(上昇方向)と矢印D方向(下降方向)とに移動可能となるように、それぞれ予熱室4および仕上げ室5における温度緩衝室6側の上部壁に配置されている。仕切り板41,51は、手動で昇降するように設けられていてもよいし、機械的に昇降駆動されるように設けられていてもよい。
【0029】
[予熱室および仕上げ室の詳細]
続いて、予熱室4および仕上げ室5の内部構造について説明する。図3は、加熱収縮装置1の予熱室4および仕上げ室5の内部構造を示す縦断面図である。
【0030】
図3に示すように、予熱室4および仕上げ室5は、外郭体11と、循環ブロア12(ブロア)と、ヒータ13(加熱部材)と、導風部14とを有している。
【0031】
外郭体11は、予熱室4および仕上げ室5の外郭を成す。外郭体11は、上面壁と、上面壁の両側端からそれぞれ下方に伸びる側壁とを有しており、下端が開放されている。外郭体11の下端から上面壁の内面までの距離は高さH1である。
【0032】
循環ブロア12は、ブロアモータ12aと、羽根12bと、ケーシング12cとを有している。ブロアモータ12aは、外郭体11の上面壁上に取り付けられている。羽根12bは、ブロアモータ12aの駆動軸を介して回転する。羽根12bは、外郭体11の上面壁の内面の近傍に配置されたケーシング12cの内部に設けられている。羽根12bの回転により、ケーシング12cの下方より吸い上げられた空気は、羽根12bの側方に設けられたケーシング12cの吹き出し口から羽根12bの直径方向に吹き出される。
【0033】
ヒータ15は、シーズヒータなどの発熱体であり、円形を成している。ヒータ15は、ケーシング12cの周囲に配置されるように、外郭体11の上面壁の内面に取り付けられている。ヒータ15は、ケーシング12cの吹き出し口から吹き出される空気を加熱する。
【0034】
導風部14は、固定壁16と、2つのノズル壁17とを有している。
【0035】
固定壁16は、上面部と、上面部の両側端からそれぞれ下方に伸びる側面部とを有しており、下端が開放されている。上面部は、ケーシング12cと接続されており、ケーシング12cと導風部14とを連通させる貫通孔を有している。側面部の下端の位置は、外郭体11の側壁の下端の位置と同じである。また、固定壁16は、外郭体11よりも小さく形成されるとともに、固定壁16の側面部の外面が外郭体11の側壁の内面と所定の間隔をおくような位置に配置されている。これにより、外郭体11の側壁の内面と固定壁16の側面部の外面との間には、循環空間18が形成されている。
【0036】
ノズル壁17は、固定壁16の2つの側面部に対向するように嵌め込まれている。ノズル壁17は、多数のノズル孔17aを有している。ノズル孔17aは、行列状に配置されており、ノズル壁17を水平方向に貫通するように形成されている。容器10は、対向するノズル壁17の間に形成される空間である加熱ゾーン19を通過する。
【0037】
[予熱室および仕上げ室における空気循環]
上記のように構成される予熱室4および仕上げ室5において、固定壁16内の加熱ゾーン19の空気は、循環ブロア12によって吸い上げられ、羽根12bによってヒータ15の側方に吹き出されて、ヒータ15によって加熱される。加熱された空気は、循環空間18を通り、ノズル壁17の各ノズル孔17aから加熱ゾーン19に吹き出された後、容器10に被覆されたラベル101を加熱して再び循環ブロア12によって吸い上げられる。
【0038】
このように、循環ブロア12は、ヒータ15により加熱された空気を予熱室4および仕上げ室5の内部で循環させる空気の流れを発生する。これにより、予熱室4および仕上げ室5において、加熱された空気が循環する。
【0039】
加熱収縮装置1は、図示しない制御部を備えている。制御部は、循環空間18に配置された図示しない温度センサによって検出された空気の温度が所定の温度となるように、ヒータ15の発熱温度を制御する。
【0040】
なお、ノズル壁17は、ノズル孔17aが開閉可能となるように設けられていてもよい。これにより、容器10の所望の箇所に熱風を吹き出すことができる。
【0041】
[実施形態の効果]
加熱収縮装置1における予熱室4および仕上げ室5の間の温度の影響について説明する。図2は、図1のA-A線矢視断面図である。
【0042】
上述したように、仕上げ室5においては、予熱室4の第1温度よりも高い第2温度でラベル101を加熱するので、仕上げ室5内の上部空間には、高温の空気が滞留している。これに対し、温度緩衝室6の高さが仕上げ室5の高さより低く、かつ温度緩衝室6が予熱室4と仕上げ室5との間を隔てている。これにより、仕上げ室5内の上部空間に滞留する高温の空気を予熱室4に流れ込みにくくすることができる。それゆえ、仕上げ室5からの高温の空気が予熱室4に流れ込む量を減少させることができる。したがって、予熱室41が仕上げ室5の温度の影響を受けにくくすることができる。
【0043】
また、予熱室4の内部温度に影響を与える高温の空気が、仕上げ室5内の、仕上げ室5の上面壁の内面から高さH1の3分の1の範囲にほぼ全てが滞留する。それゆえ、予熱室4の高さH2は、仕上げ室5の高さH1より、少なくとも高さH1の3分の1低いことが好ましい(H2≦(HI-HI/3))。これにより、予熱室4が仕上げ室5の温度の影響をほぼ受けないようにすることができる。
【0044】
また、温度緩衝室6を設けることにより、特許文献1に開示された陰圧室のように、内部を陰圧にするための吸引機構を必要としない。これにより、仕上げ室5の予熱室4に対する温度の影響を、簡素かつ安価な構成により軽減することができる。しかも、温度緩衝室6が上記吸引機構のように電力を消費することがないので、エネルギー効率の高い加熱収縮装置1を提供することができきる。
【0045】
なお、温度緩衝室6のコンベア3の搬送方向の長さを長くするほど、仕上げ室5からの高温の空気が予熱室4に届きにくくなるので、仕上げ室5の予熱室4に対する温度の影響をより軽減することができる。しかしながら、温度緩衝室6の当該長さを長くすることにより、加熱トンネル2の全体の長さが長くなるので、加熱トンネル2の大型化を避けるには、温度緩衝室6の当該長さを100mm~500mm程度にすることが好ましい。
【0046】
上述したように、仕上げ室5には、仕切り板51が設けられている。仕切り板51は、仕上げ室5と温度緩衝室6との間の開口OPの高さを開口OPの上部で変更する。具体的には、図2に示すように、仕切り板51の下端が温度緩衝室6の高さH2よりも低い位置に達するように仕切り板51を下げる。これにより、開口OPの高さは、温度緩衝室6の高さH2より低い高さH3に変更される。
【0047】
開口OPの高さが低いほど、仕上げ室5から予熱室4への温度の影響を軽減する効果が高まる。しかしながら、容器10の高さが予熱室4の高さH2より十分低い場合、高さH2を変更できない。このため、上記の効果を高めることができない。これに対し、仕切り板51によって開口OPの高さH3を低くすることで、上記の効果を高めることができる。
【0048】
また、予熱室4にも、仕切り板51と同様な仕切り板41が設けられている。これにより、仕上げ室5の高温の空気が仕切り板51を越えて温度緩衝室6に漏れ出てきて、温度緩衝室6と予熱室4との境界付近にまで達しても、仕切り板41によって当該空気の予熱室4への進入を阻止することができる。
【0049】
また、仕切り版51および仕切り版41の代わりに、温度緩衝室6の上部全面に上下方向に可動な板を設ける構成としても良い。容器10の大きさに合わせて該板を下降させることで、予熱室4への空気の侵入を阻止することができる。
【0050】
仕上げ室5は、その上部に設けられる循環ブロア12を備えている。これにより、仕上げ室5内の上部空間において、空気が流動することで高温の空気が滞留する領域を狭くすることができる。したがって、仕上げ室5から予熱室4への温度の影響を軽減する効果をより一層高めることができる。
【0051】
なお、循環ブロア12は、仕上げ室5の上部に設けられているが、仕上げ室5の下部に設けられていてもよい。循環ブロア12が仕上げ室5の下部に設けられる構成では、仕上げ室5内の下部空間で空気が流動するが上部空間では空気が流動しないので、上部空間において高温の空気が滞留しやすくなる。このように構成された加熱収縮装置1においても、仕上げ室5より高さの低い温度緩衝室6を設けることにより、仕上げ室5から予熱室4への温度の影響を軽減することができるのは勿論である。
【0052】
また、本実施形態では、加熱収縮装置1が予熱室4および仕上げ室5を1つずつ備えるが、それらの数は1つに限定されない。例えば、加熱収縮装置1が2つの予熱室を備えていてもよい。このような構成では、1つ目の予熱室により最も低い温度でラベル101を加熱し、2つめの予熱室により、さらに高い温度でラベル101を加熱した後、仕上げ室5により、最も高い温度でラベル101を加熱する。
【0053】
また、本実施形態では、加熱収縮装置1がヒータ15を備えるが、ラベル101を加熱する熱媒としては、高温空気(熱風)に限定されない。例えば、熱媒としては、加熱収縮装置の外部から供給される高温蒸気を利用することも可能である。
【0054】
〔付記事項〕
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。また、本発明は、実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0055】
1 加熱収縮装置
4 予熱室(第1加熱室)
5 仕上げ室(第2加熱室)
6 温度緩衝室(非加熱室)
10 容器(物品)
12 循環ブロア(ブロア)
13 ヒータ(加熱部材)
51 仕切り板(変更部材)
101 ラベル(フィルム)
OP 開口
図1
図2
図3