(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023068009
(43)【公開日】2023-05-16
(54)【発明の名称】地図情報作成方法
(51)【国際特許分類】
G01C 21/28 20060101AFI20230509BHJP
G08G 1/00 20060101ALI20230509BHJP
G09B 29/00 20060101ALI20230509BHJP
【FI】
G01C21/28
G08G1/00 A
G09B29/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023037169
(22)【出願日】2023-03-10
(62)【分割の表示】P 2018015140の分割
【原出願日】2018-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】小山 和紀
(72)【発明者】
【氏名】松本 令司
(72)【発明者】
【氏名】天野 克巳
(72)【発明者】
【氏名】青木 岳
(72)【発明者】
【氏名】高橋 哲也
(72)【発明者】
【氏名】難波田 逸平
(57)【要約】
【課題】移動体の移動方向の位置推定精度の向上を図った地図情報作成方法及び現在位置推定方法を提供する。
【解決手段】計測車両5に搭載された第1車載機5は、LiDAR23Bを有している。第1車載機5は、路面に対して送信されたレーザが当該路面により反射された反射波を受信し、反射波の強度に基づき、路面に形成された区画線の端部を認識する。第1車載機5は、移認識した区画線の端部を含む路面情報を、ネットワークNを介してサーバ装置3に送信する。サーバ装置3は、路面情報に基づいて地図情報に含まれる区画線についての情報に、当該区画線の端部を示す端部情報と、当該区画が連続して存在していることを示す連続情報と、を付与する。車両6に搭載された第2車載機は、サーバ装置3から区画線についての情報を取得し、LiDAR41Bによって認識された区画線の端部と、サーバ装置3から取得した区画線の端部を示す情報とを比較して、現在位置を推定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の点情報により構成される区画線を示す情報の前記点情報のそれぞれに、区画線上の緯度、経度を付与するとともに、前記区画線の端部を示す端部情報と、前記区画線に含まれ前記端部でないことを示す非端部情報と、のうち少なくとも一方を付与することを特徴とする区画線情報作成方法。
【請求項2】
移動体の現在位置を推定する現在位置推定方法であって、
周辺地図情報に含まれる緯度、経度が付与された区画線の端部情報を複数取得する工程と、
前記移動体に配置されたセンサによって、路面上の区画線の端部を示す情報を複数取得する工程と、
取得した前記端部情報同士の位置関係と、前記路面上の区画線の端部を示す情報同士の位置関係と、に基づいて前記現在位置を推定する工程と、を含むことを特徴とする現在位置推定方法。
【請求項3】
複数の点情報により構成される区画線を示す情報の前記点情報のそれぞれに、区画線上の緯度、経度を付与するとともに、前記区画線の端部を示す端部情報と、前記区画線に含まれ前記端部でないことを示す非端部情報と、のうち少なくとも一方を付与する付与部を備えることを特徴とする区画線情報作成装置。
【請求項4】
複数の点情報により構成される区画線を示す情報の前記点情報のそれぞれに、区画線上の緯度、経度を付与するとともに、前記区画線の端部を示す端部情報と、前記区画線に含まれ前記端部でないことを示す非端部情報と、のうち少なくとも一方を付与する付与部として、コンピュータを機能させることを特徴とする区画線情報作成プログラム。
【請求項5】
移動体の現在位置を推定する現在位置推定装置であって、
周辺地図情報に含まれる緯度、経度が付与された区画線の端部情報を複数取得する取得部と、
前記移動体に配置され、路面上の区画線の端部を示す情報を複数取得するセンサと、
取得した前記端部情報同士の位置関係と、前記路面上の区画線の端部を示す情報同士の位置関係と、に基づいて前記現在位置を推定する推定部と、を含むことを特徴とする現在位置推定装置。
【請求項6】
前記非端部情報として、前記区画線上の不具合がない部分であることを示す情報と、前記区画線上の不具合がある部分であることを示す情報と、を識別可能に付与することを特徴とする請求項1に記載の区画線情報作成方法。
【請求項7】
前記区画線を示す情報のうち、区画が連続して存在していることを示す連続情報を、前記非端部情報を付与することに代えて前記点情報に付与することを特徴とする請求項1に記載の区画線情報作成方法。
【請求項8】
請求項4に記載の区画線情報作成プログラムが記録されていることを特徴とする記録媒
体。
【請求項9】
請求項2に記載の現在位置推定方法を、コンピュータにより実行させることを特徴とする現在位置推定プログラム。
【請求項10】
路面の情報を取得する路面情報取得装置であって、
路面上の区画線を認識する形状認識部と、
認識した前記区画線の両端部を認識する端部認識部と、
前記両端部の間に点列を内挿する内挿部と、を備えることを特徴とする路面情報取得装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図情報作成方法、地図情報構造及び現在位置推定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動運転車両では、LiDAR(Light Detection and Ranging)などのセンサで計測し
た地物位置と、自動運転用の地図情報の地物位置と、をマッチングして高精度に現在位置を推定する必要がある。特許文献1は、LiDARを用いて検出したランドマークとしての地物の位置と、地図情報の地物とを用いて現在位置を推定する手法の一例が記載されている。
【0003】
また、特許文献2には、LiDARを用いて白線を検出し、車両に対する白線の横方向の相対位置または白線に対して車両が向いている方向を高精度に検出することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-72422号公報
【特許文献2】特開2017-215199号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来では、白線(区画線)を用いて車両(移動体)の移動方向の位置を推定することができない、という問題が一例として挙げられる。
【0006】
本発明は、このような問題点に対処することを課題の一例とするものである。即ち、本発明は、例えば、移動体の移動方向の位置推定精度の向上を図った地図情報作成方法及び現在位置推定方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するためになされた請求項1記載の区画線情報作成方法は、複数の点情報により構成される区画線を示す情報の前記点情報のそれぞれに、区画線上の緯度、経度を付与するとともに、前記区画線の端部を示す端部情報と、前記区画線に含まれ前記端部でないことを示す非端部情報と、のうち少なくとも一方を付与することを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の現在位置推定方法は、移動体の現在位置を推定する現在位置推定方法であって、周辺地図情報に含まれる緯度、経度が付与された区画線の端部情報を複数取得する工程と、前記移動体に配置されたセンサによって、路面上の区画線の端部を示す情報を複数取得する工程と、取得した前記端部情報同士の位置関係と、前記路面上の区画線の端部を示す情報同士の位置関係と、に基づいて前記現在位置を推定する工程と、を含むことを特徴とする。
【0009】
請求項3記載の区画線情報作成装置は、複数の点情報により構成される区画線を示す情報の前記点情報のそれぞれに、区画線上の緯度、経度を付与するとともに、前記区画線の端部を示す端部情報と、前記区画線に含まれ前記端部でないことを示す非端部情報と、のうち少なくとも一方を付与する付与部を備えることを特徴とする。
【0010】
請求項4記載の区画線情報作成プログラムは、複数の点情報により構成される区画線を示す情報の前記点情報のそれぞれに、区画線上の緯度、経度を付与するとともに、前記区画線の端部を示す端部情報と、前記区画線に含まれ前記端部でないことを示す非端部情報と、のうち少なくとも一方を付与する付与部として、コンピュータを機能させることを特徴とする。
【0011】
請求項5記載の現在位置推定装置は、移動体の現在位置を推定する現在位置推定装置であって、周辺地図情報に含まれる緯度、経度が付与された区画線の端部情報を複数取得する取得部と、前記移動体に配置され、路面上の区画線の端部を示す情報を複数取得するセンサと、取得した前記端部情報同士の位置関係と、前記路面上の区画線の端部を示す情報同士の位置関係と、に基づいて前記現在位置を推定する推定部と、を含むことを特徴とする。
【0012】
請求項8記載の記録媒体には、請求項4に記載の区画線情報作成プログラムが記録されていることを特徴とする。
【0013】
請求項9記載の現在位置推定プログラムは、請求項2に記載の現在位置推定方法を、コンピュータにより実行させることを特徴とする。
【0014】
請求項10記載の路面情報取得装置は、路面の情報を取得する路面情報取得装置であって、路面上の区画線を認識する形状認識部と、認識した前記区画線の両端部を認識する端部認識部と、前記両端部の間に点列を内挿する内挿部と、を備えることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の路面情報取得方法、地図情報作成方法、現在位置推定方法を実施する運転支援システムの一実施形態を示すブロック図である。
【
図2】
図1に示された第1車載機の機能構成図である。
【
図3】
図1に示されたサーバ装置の機能構成図である。
【
図4】区画線の端部が記録される前の地図情報を説明するための説明図である。
【
図5】区画線の端部が記録された後の地図情報を説明するための説明図である。
【
図6】
図1に示された第2車載機の機能構成図である。
【
図7】
図1に示す第1車載機が実行する路面情報取得処理の手順を示すフローチャートである。
【
図8】端部にかすれがないときの区画線にレーザを照射したときの反射強度を示すグラフである。
【
図9】端部にかすれがあるときの区画線にレーザを照射したときの反射強度を示すグラフである。
【
図10】端部にかすれがないときの区画線にレーザを照射したときの反射波の強度分布を示すグラフである。
【
図11】端部にかすれがあるときの区画線にレーザを照射したときの反射波の強度分布を示すグラフである。
【
図12】
図1に示す第2車載機が実行する運転支援処理手順を示すフローチャートである。
【
図13】他の実施例における区分線の端部が記録された地図情報を説明するための説明図である。
【
図14】他の実施形態における第1車載機の機能構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態にかかる区画線情報作成方法は、路面に形成されている区画線を示す情報に、当該区画線の端部を示す端部情報と、当該区画が連続して存在していることを示す連続情報と、の少なくとも一方を付与することを特徴とする。これにより、区
画線の端部をランドマークとして用い、現在位置の推定に利用することができるため、移動体の移動方向の位置推定精度の向上を図ることができる。
【0017】
また、本発明の一実施形態にかかる区画線情報作成方法は、路面に形成されている区画線を示す情報に、当該区画線の端部を示す端部情報と、当該区画線に含まれ前記端部でないことを示す非端部情報と、の少なくとも一方を付与することを特徴とする。これにより、区画線の端部をランドマークとして用い、現在位置の推定に利用することができるため、移動体の移動方向の位置推定精度の向上を図ることができる。
【0018】
また、前記区画線を示す情報は、前記区画線上の緯度、経度を示す点情報を含み、前記点情報に前記端部情報及び非端部情報の少なくとも一方を付与してもよい。これにより、簡単に端部情報及び非端部情報を付与できる。
【0019】
また、前記非端部情報として、前記区画線上の不具合がない部分であることを示す情報と、前記区画線上の不具合がある部分であることを示す情報と、を識別可能に付与してもよい。これにより、区画線上の不具合がある部分を、ランドマークに用いないようにすることができるため、より一層、移動体の移動方向の位置推定精度の向上を図ることができる。
【0020】
また、本発明の一実施形態にかかる区画線データ構造は、路面に形成されている区画線を示す区画線データのデータ構造であって、前記区画線データに、当該区画線の端部を示す端部情報と、当該区画が連続して存在していることを示す連続情報と、が付与可能なことを特徴とする。これにより、区画線の端部をランドマークとして用い、現在位置の推定に利用することができるため、移動体の移動方向の位置推定精度の向上を図ることができる。
【0021】
また、本発明の一実施形態にかかる区画線データ構造は、路面に形成されている区画線を示す区画線データのデータ構造であって、前記区画線データに、当該区画線の端部を示す端部情報と、当該区画線に含まれ前記端部でないことを示す非端部情報と、が付与可能なことを特徴とする。これにより、区画線の端部をランドマークとして用い、現在位置の推定に利用することができるため、移動体の移動方向の位置推定精度の向上を図ることができる。
【0022】
また、本発明の一実施形態にかかる記憶装置は、路面に形成されている区画線を示す区画線情報を記憶する記憶装置であって、前記区画線情報には、当該区画線の端部を示す端部情報と、当該区画線に含まれ前記端部でないことを示す非端部情報と、が含まれることを特徴とする。これにより、区画線の端部をランドマークとして用い、現在位置の推定に利用することができるため、移動体の移動方向の位置推定精度の向上を図ることができる。
【0023】
また、本発明の一実施形態にかかる現在位置推定方法は、区画線に関する情報に基づいて移動体の現在位置を推定する現在位置推定方法であって、外部装置から区画線の端部を示す端部情報を取得する取得工程と、前記移動体に配置されたセンサによって認識された、路面上の区画線の端部を示す情報と、前記取得された端部情報と、に基づいて前記移動体の現在位置を推定する推定工程と、を含むことを特徴とする。これにより、移動体の移動方向の位置推定精度の向上を図ることができる。
【0024】
また、本発明の一実施形態にかかる区画線情報作成装置は、路面に形成されている区画線を示す情報に、当該区画線の端部を示す端部情報と、当該区画が連続して存在していることを示す連続情報と、の少なくとも一方を付与する付与部を備えることを特徴とする。
これにより、区画線の端部をランドマークとして用い、現在位置の推定に利用することができるため、移動体の移動方向の位置推定精度の向上を図ることができる。
【0025】
また、上述した区画線情報作成方法をコンピュータにより実行させる区画線情報作成プログラムとしてもよい。このようにコンピュータにより実行されるプログラムであるので、専用のハードウェア等が不要となり、汎用の情報処理装置にインストールして機能させることができる。
【0026】
また、上述した情報処理プログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよい。このようにすることにより、当該プログラムを機器に組み込む以外に単体でも流通させることができ、バージョンアップ等も容易に行える。
【実施例0027】
以下、本発明の路面情報取得方法、区画線情報作成方法、現在位置推定方法を実施する運転支援システムについて
図1~
図6を参照して説明する。
【0028】
運転支援システム1は、路面情報取得装置としての第1車載機2と、外部装置、区画線情報作成装置としてのサーバ装置3と、第2車載機4と、を備えている。第1車載機2は、路面情報を取得して、サーバ装置3に送信する機器であり、例えば、地図情報を作成することを目的として、道路上を走行する移動体としての計測車両5に搭載されている。サーバ装置3は、第1車載機2からの路面情報を取得して、地図情報を作成する。サーバ装置3は、例えば、インターネット等のネットワークNを介して第1車載機2と通信可能になっており、当該ネットワークNを利用して、第1車載機2から路面情報を取得する。なお、サーバ装置3の路面情報の取得については、上述の形態に限定されず、例えば、ネットワークNを利用せずに、オペレータ等が手動で第1車載機2からサーバ装置3に路面情報を移動させるようにしてもよい。以降の説明では、第1車載機2及び第2車載機4と、サーバ装置3との情報の授受は、ネットワークNを介して送受信するものとして説明するが、上述の通りいずれについても本形態に限定されるものではなく、情報の授受はオペレータの手動によるものであってもよい。
【0029】
第2車載機4は、ネットワークNを介してサーバ装置3と通信可能になっている。第2車載機4は、サーバ装置3から地図情報を受信して、運転支援を行う機器であり、例えば、運転支援を受ける移動体としての車両6に搭載されている。また、本実施例では、サーバ装置3と通信可能な端末として車両5、6に搭載された第1、第2車載機2、4を例に挙げて説明するが、スマートフォンなどの移動体に配置可能な携帯端末であってもよい。なお、第2車載機4の地図情報の受信については、上述の形態に限定されず、例えば、ネットワークNを利用せずに、オペレータ等が手動でサーバ装置3から第2車載機4に地図情報を移動させるようにしてもよい。
【0030】
第1車載機2の機能的構成を
図2に示す。第1車載機2は、制御部21と、入出力部22と、センサ部23と、を備えている。
【0031】
制御部21は、第1車載機2のCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサが
機能し、第1車載機2の全体制御を司る。制御部21は、後述するLiDAR23Bを用いて、路面に形成された白線、黄線などの区画線の端部などを認識し、路面情報としてサーバ装置3に送信する。制御部21は、路面情報以外の周辺情報を取得して、サーバ装置3に送信してもよい。
【0032】
入出力部22は、第1車載機2のネットワークインタフェース等が機能し、路面情報を送信する。
【0033】
センサ部23は、GPS(Global Positioning System)受信機23A、送信部、受信部
としてのLiDAR23B等を含む。なお、本実施例では、センサ部23は、電磁波を送信可能なセンサの一例として、LiDAR23Bを含むものとしている。GPS受信機23Aは、計測車両5の現在位置情報を検出する。GPS受信機23Aは、公知であるように複数のGPS衛星から発振される電波を定期的に受信して、現在の位置情報及び時刻を求めて制御部21に出力する。
【0034】
LiDAR23Bは、所定の検知領域において出力方向を変えながらパルス状のレーザを出力し、そのレーザの反射波を受信して点群情報を生成する。LiDAR23Bは、検知領域内に複数パルスのレーザを出力し、この複数パルスのレーザの反射波に基づいて点群情報を生成する。点群情報を構成するそれぞれの情報は、レーザの出力方向と、当該レーザを反射した対象物までの距離と、反射波の強度と、を示す情報である。本実施例では、LiDAR23Bは、レーザを路面に向けて照射し、路面を検知領域としている。このため、点群情報は、対象物としての路面までの距離を示す情報となる。なお、LiDAR23Bは、路面以外にレーザを出射して、路面情報以外の周辺情報を取得するようにしてもよい。
【0035】
サーバ装置3は、地図情報を提供する事務所などに設置されている。
【0036】
サーバ装置3の機能的構成を
図3に示す。サーバ装置3は、記憶装置としての記憶部31と、制御部32と、入出力部33と、を備えている。
【0037】
記憶部31は、サーバ装置3のハードディスク等の記憶装置が機能し、地図情報が記憶されている。本実施例では、地図情報には既に、区画線についての情報が含まれているものとする。区画線についての情報は、
図4を用いて説明する。
図4に示す例では、区画線を示す点情報P
1、…、P
14から構成される。また、点情報P
1、…P
14には、それぞれ位置情報(緯度、経度)が付与されている。
【0038】
制御部32は、サーバ装置3のCPU等のプロセッサが機能し、サーバ装置3の全体制御を司る。制御部32は、第1車載機2から送信される区画線の端部などの路面情報に基づいて、
図5に示すように、点情報P
1、…、P
14のうち、端点であると認識されるもの(図中白丸で示す)に区画線の端部を示す端部情報の付与などを行う。このように地図情報に含まれる区画線についての情報に上述の端部情報が付与されることで、当該地図情報を受信した第2車載機4は、当該区画線についての情報から区画線の端部を認識することが可能となる。
【0039】
入出力部33は、サーバ装置3のネットワークインタフェース等が機能し、第1車載機2からの路面情報を受信すると共に、第2車載機4へ地図情報を送信する。
【0040】
第2車載機4の機能的構成を
図6に示す。第2車載機4は、センサ部41と、制御部42と、入出力部43と、を備えている。
【0041】
センサ部41は、GPS受信機41A、LiDAR41B等を含む。GPS受信機41Aは上述した第1車載機2のGPS受信機23Aと、LiDAR41Bは第1車載機2のLiDAR23Bと、同様の機能を有する機器であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0042】
制御部42は、第2車載機4のCPU等のプロセッサが機能し、第2車載機4の全体制御を司る。制御部42は、センサ部41から得た情報や、サーバ装置3から得た地図情報
を用いて運転支援(ハンドル、アクセル、ブレーキなどの制御や運転に関する情報の提示など)を行う。なお、以下では、説明を簡単にするために、走行支援として自動運転制御を行っているとして説明する。制御部42は、自動運転制御を行うために自車両の現在位置を推定する必要がある。本実施例では、制御部42は、LiDAR41Bを用いて認識した区画線の端部を示す情報と、サーバ装置3から得た地図情報に含まれる区画線の端部情報と、に基づいて現在位置を推定している。
【0043】
入出力部43は、第2車載機4のネットワークインタフェース等が機能し、地図情報を受信する。
【0044】
次に、本実施例における運転支援システム1の動作について説明する。まず、第1車載機2の制御部21(以下、単に第1車載機2)が実行する路面情報取得処理について
図7を参照して以下説明する。第1車載機2が、
図7に示すフローチャートをコンピュータプログラムとすることで、路面情報取得方法をコンピュータにより実行させる路面情報取得プログラムとなる。
【0045】
第1車載機2は、走行中に路面情報取得処理を実行する。路面情報取得処理において、第1車載機2は、LiDAR23Bを制御して、上述した走行中の路面に関する点群情報を取得する(ステップS1)。次に、第1車載機2は、点群情報を基に、区画線セグメントを抽出する。具体的には、取得した点群情報に基づいて点群のオルソ画像を生成する。そして、当該オルソ画像について画像処理を行い、例えば線分(直線)等を検出する。そして、検出した線分(直線)等のグルーピングを行い、一つの区画線の輪郭を形成する区画線セグメントを抽出する(ステップS2)。なお、
図8におけるKSが区画線セグメントの一例である。次に、第1車載機2は、
図8及び
図9に示すように、抽出された区画線セグメントから走行中の路面に形成された区画線の端部、非端部を認識する(ステップS3)。次に、第1車載機2は、当該認識した端部及び非端部間の点列を内挿(すなわち、端部と端部の間の連続部分に点列を内挿)した後(ステップS4)、ステップS1に戻る。
【0046】
ステップS3の詳細について、
図8及び
図9を用いて説明する。
図8は、区画線にかすれ等の不具合がない場合を示しており、
図9は、区画線にかすれ等の不具合がある場合を示している。ステップS3の一例としては、
図8及び
図9に示すように、区画線の長手方向に沿った複数のラインL1~L4上のそれぞれにおける、反射波の強度(以下、「反射強度」と言う)の前記長手方向に沿った方向の変化に基づいて区画線の端部、非端部を認識する方法が挙げられる。なお、非端部は、区画線上にかすれなどの不具合があり精度よく端部を検知できない箇所である。言い換えれば、非端部は、区画線の反射強度が長手方向に沿って変化しているが、当該変化が区画線の端部であるためではなく、かすれ等の不具合によるものと認識される個所である。なお、不具合は、かすれ以外に細り、汚れ、線の重なりなども考えられる。
【0047】
区画線が形成されている路面でのレーザの反射率は高く、区画線が形成されていない路面のレーザの反射率は低い。したがって、LiDAR23Bでは、区画線が形成されている路面からは、区画線が形成されていない路面よりも高い強度で反射波が受信されることとなる。そこで、第1車載機2は、レーザの反射強度(即ち、LiDAR23Bが受信する反射波の強度)から区画線の位置を推定して、区画線上の長手方向に沿ったラインL1~L4を設定する。
【0048】
また、
図8に示すように、かすれなどの不具合がない区画線の端部では、区画線の長手方向に沿ったラインL1~L4上のそれぞれにおいて反射強度が急激に変化する。このため、かすれなどの不具合がない区画線の端部は、車両6に搭載されたLiDAR41Bが
区画線の端部を検出する際のばらつきが少なく、ランドマークとして用いることができる。
【0049】
一方、
図9に示すように、かすれがある区画線の端部では、区画線の長手方向に沿ったラインL1~L4上の全て又は一部で反射強度が緩やかに変化する。このため、かすれがある区画線の端部は、車両6に搭載されたLiDAR41Bが区画線の端部を検出する際に検出位置にばらつきが生じやすく、車両6の進行方向(区画線の長手方向)の自己位置推定のランドマークとして用いるのは適切ではない。
【0050】
そこで、本実施例では、第1車載機2は、反射強度の変化が急激なラインL1~L4上の位置を区画線の端部T1として認識し、反射強度の変化が緩やかなラインL1~L4上の位置を区画線の非端部T2として認識する。また、
図9においては、かすれは左右方向に均一に生じている。しかしながら、実際のかすれは、左右方向に均一に生じないこともあり、区画線の上側だけ、下側だけ、中央だけに生じることもある。そこで、本実施例では、第1車載機2は、全てのラインL1~L4において反射強度の変化が急激であれば、その反射強度が変化する位置を区画線の端部T1として認識し、全てのラインのうち1つでも反射強度の変化が緩やかであれば、その反射強度が変化する位置を区画線の非端部T2として認識する。
【0051】
具体的な処理としては、第1車載機2は、全てのラインL1~L4上の反射強度が区画線上で反射された高い状態から区画線以外の路面で反射された低い状態に変化し、かつ、全てのラインL1~L4上の変化率が第1閾値以上であれば区画線の端部T1として認識する。また、第1車載機2は、全てのラインL1~L4上の反射強度が区画線以外の路面で反射された低い状態から区画線上で反射された高い状態に変化し、かつ、全てのラインL1~L4上の変化率が第1閾値以上であれば区画線の端部T1として認識する。
【0052】
また、第1車載機2は、全てのラインL1~L4上の反射強度が区画線上で反射された高い状態から区画線以外の路面で反射された低い状態に変化し、かつ、全てのラインL1~L4のうち1つでもその変化率が第1閾値未満であれば区画線の非端部T2として認識する。また、第1車載機2は、全てのラインL1~L4のうち1つでも反射強度が区画線以外の路面で反射された低い状態から区画線上で反射された高い状態に変化し、かつ、その変化率が第1閾値未満であれば区画線の非端部T2として認識する。
【0053】
また、第1車載機2は、認識した端部T1又は非端部T2について、同じ区画線(破線の場合は同じ連続線)上の端部T1又は非端部T2を関連付ける。詳しくは、第1車載機2は、長手方向に沿って隣り合う2つの端部T1間、2つの非端部T2間又は端部T1-非端部T2間の反射率が高ければ、隣り合う2つの端部T1、2つの非端部T2又は隣り合う端部T1-非端部T2を同じ区画線上にあるものとして、関連付けて記憶する。
【0054】
また、ステップS3の他の一例としては、
図10及び
図11に示すように、区画線の長手方向に沿って走査される反射エリアA1~A4で反射された反射波の強度分布に基づいて区画線の端部を認識する方法が挙げられる。第1車載機2は、レーザの反射強度から区画線の位置を推定して、区画線上の長手方向に沿った反射エリアA1~A4を設定する。
【0055】
図10に示すように、かすれなどの不具合がない区画線の端部周辺の強度分布は、分散が小さい状態を保ったまま反射強度が急激に変化する。即ち、
図10に示す例では、区画線上の端部に形成された反射エリアA1における強度分布は、分散が小さく反射強度が大きい。この反射エリアA1と隣接する反射エリアA2、反射エリアA2に隣接する反射エリアA3、反射エリアA3に隣接する反射エリアA4は、区画線が形成されていない路面上で反射される。このため、反射エリアA2~A3の強度分布は、分散が小さい状態を保
ったまま反射エリアA1よりも反射強度が急激に小さくなる。
【0056】
一方、
図11に示すように、かすれなどの不具合がある区画線の端部周辺の強度分布は、分散が大きくなって反射強度が徐々に変化する。即ち、
図11に示す例では、区画線上に形成された反射エリアA1における強度分布は、分散が小さく反射強度が大きい。この反射エリアA1に隣接する反射エリアA2、反射エリアA2に隣接する反射エリアA3は、区画線上のかすれなどの不具合が生じている部分に形成されている。このため、反射エリアA2、A3における強度分布は、分散が大きく反射強度は反射エリアA1よりも小さくなる。さらに、反射エリアA3と隣接する反射エリアA4は、区画線が形成されていない路面上で反射されるためその強度分布は分散が小さく反射強度は反射エリアA2、A3よりも小さい。
【0057】
そこで、本実施例では、第1車載機2は、反射エリアA1~A4の強度分布の分散が小さい状態を保ったまま反射強度が変化する位置を区画線の端部T1として認識し、反射エリアA1~A4の強度分布の分散が小さい状態を保てずに反射強度が変化する位置を区画線の非端部T2として認識する。
【0058】
具体的な処理としては、第1車載機2は、反射エリアの強度分布の分散が第2閾値未満の状態のまま反射エリアの強度が区画線上で反射された高い状態から区画線以外の路面で反射された低い状態に変化する位置を区画線の端部T1として認識する。また、第1車載機2は、反射エリアの強度分布の分散が第2閾値未満の状態のまま反射エリアの強度が区画線以外の路面で反射された低い状態から区画線で反射された高い状態に変化する位置を区画線の端部T2として認識する。
【0059】
また、第1車載機2は、反射エリアの強度分布の分散が第2閾値以上になり反射エリアの強度が区画線上で反射された高い状態から区画線以外の路面で反射された低い状態に変化する位置を区画線の非端部T2として認識する。また、第1車載機2は、反射エリアの強度分布の分散が第2閾値以上になり反射エリアの強度が区画線以外の路面で反射された低い状態から区画線で反射された高い状態に変化する位置を区画線の非端部T2として認識する。
【0060】
第1車載機2は、所定のタイミングで、区画線の端部T1、非端部T2の位置、認識した端部T1、T2に関連付けられた同一の区画線上にある端部T1又は非端部T2についての情報、を含む路面情報をサーバ装置3に送信する。
【0061】
次に、サーバ装置3の制御部32(以下、単にサーバ装置3)が行う区画線情報作成処理について
図5及び
図6を参照して説明する。サーバ装置3が、区画線情報作成処理をコンピュータプログラムとすることで、区画線情報作成方法をコンピュータにより実行させる路面情報取得プログラムとなる。
【0062】
サーバ装置3は、区画線の端部、非端部の位置を含む路面情報を受信すると、
図4に示す区画線についての情報に、区画線の端部を示す端部情報と、区画線に含まれ端部でないことを示す非端部情報(不具合あり)、非端部情報(不具合なし)と、のいずれかを付与する。詳しくは、
図5に示すように、サーバ装置3は、区画線についての情報として記憶された点P
1~P
14に、受信した区画線の端部、非端部の位置に対応する点があれば、その点に端部情報、非端部情報(不具合あり)を付与する。
図5に示す例では、白丸で示す点P
1、P
8、P
13に端部情報が付与され、斜線で示す点P
7に非端部情報(不具合あり)が付与される。なお、上述のように区画線の端部を示す端部情報と、区画線に含まれ端部でないことを示す非端部情報(不具合あり)、非端部情報(不具合なし)と、のいずれかを付与することに代えて、区画が連続して存在していることを示す連続情報を該当
する点情報に付与するようにしてもよい。すなわち、端部ではないとされる点情報(非端部情報(不具合あり)及び非端部情報(不具合なし))に連続情報を付与し、端部であるとされる点情報には連続情報を付与しないようにしてもよい。
【0063】
また、サーバ装置3は、区画線についての情報として記憶された点P
1~P
14に、受信した区画線の端部、非端部の位置に対応する点がなければ、区画線についての情報に区画線の端部、非端部の位置に対応する点を加え、さらにその点に端部情報、非端部情報(不具合あり)を付与する。
図5に示す例では、白丸で示す端部情報が付与された点P
15、P
16、P
18が加えられ、斜線で示す非端部情報(不具合あり)が付与された点P
17が加えられる。
【0064】
また、サーバ装置3は、同一の区画線上にある端部、非端部間の点に、非端部情報(不具合なし)を付与する。
図5に示す例では、黒丸で示す点P
2~P
6、P
9、P
11、P
14に非端部情報(不具合なし)が付与される。
【0065】
次に、第2車載機4が行う運転支援処理について
図12のフローチャートを参照して説明する。この運転支援処理をサーバ装置3が、実行することにより現在位置推定方法を実施する。まず、第2車載機4は、LiDAR41Bから点群情報を取得する(ステップS10)。次に、第2車載機4は、点群情報から物体検知を行うと共に、LiDAR41Bからの点群情報に基づいて区画線の端部を検知する(ステップS11)。
【0066】
具体的には、第2車載機4は、点群情報に基づいて所謂オブジェクト認識処理を実行することで、物体を検知し、その種類(建物か歩行者か他車両かなど)を認識する。これにより、車両周辺に物体の種類とその物体までの距離を認識することができる。また、第2車載機4は、第1車載機2と同様の判定方法を用いて、区画線の端部を検知し、端部までの距離を認識する。
【0067】
次に、第2車載機4は、サーバ装置3と通信して、GPS受信機41Aからの信号により検出された現在位置周辺の地図情報を取得する(ステップS12)。その後、第2車載機4は、認識した物体や区画線の端部をランドマークとして現在位置を推定する(ステップS13)。即ち、ステップS13において、第2車載機4は、地図情報に含まれる地物の位置情報とステップS10で認識した物体の位置との位置関係に基づいて現在位置を推定する。また、地図情報に含まれる区画線についての情報とステップS11で認識した区画線の端部の位置との位置関係を比較して、現在位置を推定する。
【0068】
その後、第2車載機4は、推定した現在位置に基づいて運転支援を実行して(ステップS14)、再びステップS10に戻る。
【0069】
上述した実施例によれば、路面に対して送信されたレーザが当該路面により反射された反射波を受信し、反射波の強度に基づき、路面に形成された区画線の端部を認識している。これにより、精度良く区画線の端部を認識することができる。また、当該認識した区画線の端部をランドマークとして用い、現在位置の推定に利用することができるため、車両6の移動方向の位置推定精度の向上をも図ることができる。
【0070】
また、上述した実施例によれば、計測車両5に配置されたLiDAR23Bからレーザが送信されている。このように、計測車両5にLiDAR23Bを搭載することにより、容易に広範囲の区画線の端部を認識することができる。
【0071】
また、上述した実施例によれば、区画線の長手方向に沿ったラインL1~L4上における反射強度の変化に基づいて区画線の端部を認識している。これにより、区画線の端部の
認識精度の向上を図ることができる。
【0072】
また、上述した実施例によれば、長手方向に対して垂直方向に並ぶ複数のラインL1~L4上における、反射強度の長手方向に沿った変化に基づいて区画線の端部を認識している。これにより、より一層、区画線の端部の認識精度の向上を図ることができる。
【0073】
また、上述した実施例によれば、全てのラインL1~L4上で反射波の強度が長手方向に沿って変化し、かつ、その変化率が第1閾値以上となる位置を区画線の端部として認識している。これにより、かすれなどの不具合が生じて端部が精度よく認識できない箇所を区画線の端部として認識することがない。
【0074】
また、上述した実施例によれば、全てのラインL1~L4上において反射波の強度が長手方向に沿って変化し、かつ、その変化率が第1閾値未満の位置を区画線の端部ではない非端部として認識している。これにより、かすれなどの不具合が生じて端部が精度よく認識できない箇所を区画線の非端部として認識することができる。
【0075】
また、上述した実施例によれば、区画線の長手方向に沿って走査される反射エリアA1~A4での反射波の強度分布に基づいて区画線の端部を認識している。これにより、区画線の端部の認識精度の向上を図ることができる。
【0076】
また、上述した実施例によれば、反射波の強度分布の分散が第2閾値未満の状態を保ったまま反射波の強度が変化する位置を区画線の端部として認識している。これにより、かすれなどの不具合が生じて端部が精度よく認識できない箇所を区画線の端部として認識することがない。
【0077】
また、上述した実施例によれば、反射波の強度分布の分散が第2閾値以上の状態となり反射波の強度が変化する位置を区画線の非端部として認識している。これにより、かすれなどの不具合が生じて端部が精度よく認識できない箇所を区画線の非端部として認識することができる。
【0078】
また、上述した実施例では、地図情報に含まれる区画線についての情報に、当該区画線の端部を示す端部情報と、当該区画が連続して存在していることを示す連続情報と、の少なくとも一方を付与している。これにより、区画線の端部をランドマークとして用い、現在位置の推定に利用することができるため、車両6の移動方向の位置推定精度の向上を図ることができる。
【0079】
また、上述した実施例では、地図情報に含まれる区画線についての情報に、当該区画線の端部を示す端部情報と、当該区画線に含まれ前記端部でないことを示す非端部情報と、を付与している。これにより、区画線の端部をランドマークとして用い、現在位置の推定に利用することができるため、車両6の移動方向の位置推定精度の向上を図ることができる。
【0080】
また、上述した実施例では、地図情報に含まれる区画線についての情報は、区画線上の緯度、経度を示す点情報であり、点情報に端部情報及び非端部情報に付与している。これにより、簡単に端部情報及び非端部情報を付与できる。
【0081】
また上述した実施例では、非端部情報としては、区画線上の不具合がない部分であることを示す非端部情報(不具合なし)と、区画線上の不具合がある部分であることを示す非端部情報(不具合あり)と、を識別可能に付与している。これにより、区画線上の不具合がある部分を、ランドマークに用いないようにすることができるため、より一層、車両6
の移動方向の位置推定精度の向上を図ることができる。
【0082】
また、上述した実施例では、第2車載機2は、外部装置であるサーバ装置3から区画線の端部を示す端部情報を取得し、車両6に配置されたLiDAR41Bによって認識された、路面上の区画線の端部を示す情報と、取得された端部情報と、に基づいて車両6の現在位置を推定している。これにより、車両6の移動方向の位置推定精度の向上を図ることができる。
【0083】
なお、上述した実施例では、サーバ装置3の記憶部31にすでに記憶された区画線についての情報を構成する点に、端部情報、非端部情報を付与していたが、これに限ったものではない。サーバ装置3は、第1車載機2から受信した路面情報に基づいて新たに区画線についての情報を作成するようにしてもよい。この場合、サーバ装置3は、例えば、区画線の端部、非端部の位置を含む路面情報を受信すると、
図13に示すような区画線についての情報を作成する。
【0084】
また、サーバ装置3は、第1車載機2から受信した端部の位置を示す点P20、P27、P30、P31、P34、P37に端部情報を付与する。また、サーバ装置3は、第1車載機2から受信した非端部の位置を示す点P26、P33に非端部情報(不具合あり)を付与する。次に、サーバ装置3は、同一の区画線上にある端部、非端部に相当する点P20-P26間、点P27-P30間、点P31-点P33間、点P34-点P37間の区画線上に沿って等間隔に並べた点P21~P25、点P28~P29、点P32、点P35~P36を付与し、その点P21~P25、点P28~P29、点P32、点P35~P36に非端部情報(不具合なし)を付与する。
【0085】
なお、サーバ装置3は、第1車載機2から受信した端部の位置を示す点P20、P27、P30、P31、P34、P37以外の点に、区画が連続して存在していることを示す連続情報(言い換えれば、端部ではないという情報)を付与するようにしてもよい。
【0086】
また、上述した
図13に示す例では、サーバ装置3は、破線についての情報に、点P
28~P
29、点P
32、点P
35~P
36を付与し、その点P
28~P
29、点P
32、点P
35~P
36に非端部情報(不具合なし)を付与していたが、これに限ったものではない。
【0087】
また、本実施例では、計測専用の計測車両6に第1車載機2を搭載し、運転支援を受ける車両6に第2車載機4を搭載していたがこれに限ったものではない。運転支援を受ける車両6に搭載された車載機4に、第1車載機2、第2車載機4双方の機能を持たせてもよい。
【0088】
また、上述した実施例では、端部、非端部の認識を第1車載機2が行っていたが、これに限ったものではない。第1車載機2が、点群情報だけをサーバ装置3に送信し、サーバ装置3が端部、非端部の認識を行うようにしてもよい。
【0089】
また、上述した実施例では、非端部情報として、非端部情報(不具合あり)と、非端部情報(不具合なし)と、を識別可能にしていたが、これに限ったものではない。区画線上の点のうち、端部に相当する点以外に非端部情報を付与して、不具合のある部分と不具合のない部分とを識別しなくてもよい。
【0090】
また、上述した実施例では、かすれなどの不具合が生じている端部を非端部として認識していたが、これに限ったものではない。かすれなどの不具合が生じていても端部として認識するようにしてもよい。
【0091】
また、上述した実施例では、サーバ装置3が区画線についての情報に、端部情報、非端部情報を付与しているが、これに限ったものではない。例えば、第1車載機2から送信された路面情報を見て、地図メーカのオペレータが、手動で端部情報、非端部情報の付与を行うようにしてもよい。また、上述の実施例においては、区画線についての情報を含む地図情報は、サーバ3(記憶部31)に記憶・保持されていることとしているが、当該サーバ3と適宜通信して、第1車載機2及び第2車載機4も当該地図情報の少なくとも一部を記憶・保持可能である。また、上述した、端部情報、非端部情報を付与する処理は、計測車両側(第1車載機2)で行うこととしてもよい。すなわち、上述した区画線の端部、非端部の認識処理(
図7のステップS3)や、端部情報又は非端部情報を付与する処理を含む地図情報の生成処理は、サーバ装置3で実施することとしてもよいし、計測車両側(第1車載機2)で実施することとしてもよい。
【0092】
また、上述した実施例では、第1車載機2に搭載されるセンサ部23には一例としてLiDAR23Bが含まれるものとした。これに代えて、又は加えて、第1車載機に搭載されるセンサ部23は、
図14に示すように、計測車両5が走行する路面を撮影する撮影部23Cを含むものとしてもよい。この場合、第1車載機2の制御部21は、撮影部23Cによって撮影された路面の画像を撮影部23Cから取得し、当該取得した画像の輝度情報等に基づいて、当該路面に形成された区画線の端部を認識する。撮影部23Cは、例えば、撮影対象となる物体までの距離を検出可能なステレオカメラによって構成されている。
【0093】
具体的には、第1車載機2(制御部21)は、
図7に例示した路面情報取得処理を実行する際に、ステップS1の「点群情報を取得する」ことに代えて、又は加えて、撮影部23Cによって撮影された路面の画像を撮影部23Cから取得する。そして、ステップS3と同様に、当該取得した画像から、走行中の路面に形成された区画線の端部、非端部を認識した後(ステップS3)、ステップS1に戻る。より具体的には、第1車載機(制御部21)はステップS3において、取得した撮影画像をオルソ画像に変換し、当該オルソ画像の輝度情報等を用いて、区画線(白線)の端部、非端部を認識する。また、他の例としては、撮影部23Cを単眼カメラで構成するようにして、当該単眼カメラによって撮影された路面の画像を取得し、当該画像をLiDAR23Bから取得した点群情報と対応させることとしてもよい。この場合、LiDAR23Bから取得した点群情報上で(言い換えれば、3Dの情報のまま)、撮影画像における輝度情報等を用いて、区画線(白線)の端部、非端部を認識することができる。
【0094】
ここで、撮影された画像における区画線が形成されている路面の部分は輝度が高く、区画線が形成されていない路面の部分は輝度が低い。また、
図8に示した、かすれなどの不具合がない区画線の端部では、撮影画像における区画線の長手方向に沿ったラインL1~L4上のそれぞれにおいて輝度強度が急激に変化する。また
図9に示した、かすれがある区画線の端部では、撮影画像における区画線の長手方向に沿ったラインL1~L4上のそれぞれで反射強度が緩やかに変化する。
【0095】
したがって、第1車載機2(制御部21)は、撮影画像上における区画線の長手方向に沿ったラインL1~L4を設定し、これに沿った輝度の変化を検出・認識した結果に基づき、上述した実施例と同様に、区画線(白線)の端部、非端部を認識することができる。言い換えれば、本変形例の撮影画像における区画線の「輝度情報」は、上述した実施例の区画線における「反射強度」と同等に扱うことが可能となる。なお、この場合において、
図8~
図11の「反射強度」とあるのは撮影画像における「輝度」と適宜読み替えが可能である。
【0096】
また、第2車載機4に搭載されるセンサ部41には、一例としてLiDAR41Bが含
まれるものとしたが、第1車載機2と同様に、これに代えて、又は加えて第2車載機4に搭載されるセンサ部41は車両6が走行する路面を撮影する撮影部41Cを含むものとしてもよい。すなわち、上述した手法によって、第2車載機4が撮影画像から区画線の端部を認識することとし、
図12に記載の運転支援処理を実行することとしてもよい。
【0097】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。