(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023068087
(43)【公開日】2023-05-16
(54)【発明の名称】生物学的適合放射線療法のためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
A61N 5/10 20060101AFI20230509BHJP
【FI】
A61N5/10 P
A61N5/10 F
A61N5/10 H
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023044411
(22)【出願日】2023-03-20
(62)【分割の表示】P 2019570458の分割
【原出願日】2018-06-22
(31)【優先権主張番号】62/523,691
(32)【優先日】2017-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】510246448
【氏名又は名称】リフレクション メディカル, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】マイケル カーク オーウェンス
(72)【発明者】
【氏名】ロステム バッサロー
(72)【発明者】
【氏名】ピーター ディミトリ オルコット
(72)【発明者】
【氏名】イェフゲン ボロネンコ
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド クエンティン ラーキン
(72)【発明者】
【氏名】サミュエル メイジン
(57)【要約】
【課題】生物学的適合放射線療法のためのシステムおよび方法の提供。
【解決手段】リアルタイムで(例えば、治療セッション中)入手された撮像データから抽出または計算される生物学的および/または生理学的データおよび/または解剖学的データに基づいて、放射線療法治療計画を適合させ、および/または更新するためのシステムおよび方法が、本明細書に開示される。放射線治療時に入手された機能撮像データは、治療計画および/または線量送達命令を修正し、処方線量分布を患者標的領域に提供するために使用される。リアルタイムで入手された撮像データに基づいて、治療計画を評価する方法も、本明細書に開示される。
【選択図】
図7A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療計画を評価するための有界線量-体積ヒストグラム(DVH)を計算する方法であって、前記方法は、
入手された患者画像Xに基づいて、J個の画像X’1,2,3,…,jを生成することであって、前記J個の画像X’1,2,3,…,jのそれぞれは、患者標的体積(PTV)を有し、前記J個の画像X’1,2,3,…,jのそれぞれのPTVは、患者の放射線発射域(RFZ)内のj個の異なる位置に位置している、ことと、
線量計算行列Aを放射線発射行列PおよびX’jで乗算することによって、線量Dj(Dj=A・P・X’j)を計算することであって、前記放射線発射行列Pは、撮像データから放射線フルエンスデータへの変換を指定する行列要素を含み、前記線量計算行列Aは、患者内のサンプリング点の数を表す列と、放射線の単位を送達するために利用可能な候補ビームレットの数を表す行とを有し、前記線量Djは、前記患者に対して分布される放射線量の総量であり、前記サンプリング点は、放射線送達が監視されることが可能な患者領域、および/または、臨床着目患者領域を含む、ことと、
各線量Djに基づいて線量-体積ヒストグラム(DVH)曲線をプロットすることにより、j個のDVH曲線の群を生成することであって、各線量Djに基づく前記DVH曲線は、各線量値のための体積画分を表す、ことと、
前記DVH曲線の群のうちの最小境界曲線(最小DVH曲線)と最大境界曲線(最大DVH曲線)とを生成することと
を含み、
前記最小DVH曲線は、前記DVH曲線の群の各線量値のための最小体積画分を表す第1の一連の点を含み、前記最大DVH曲線は、各線量値のための最大体積画分を表す第2の一連の点を含む、方法。
【請求項2】
前記J個の画像X’1,2,3,…,jを生成することは、前記J個の画像X’1,2,3,…,jのそれぞれに対して、前記RFZ内での前記PTVのj個の3次元リジッドシフトをシミュレートすることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記J個の画像X’1,2,3,…,jを生成することは、前記J個の画像X’1,2,3,…,jのそれぞれにおける前記PTVを表す画像ピクセルの強度値を変化させることにより、標準摂取値(SUV)の範囲をシミュレートすることを含み、前記SUVは、前記PTVを表す前記画像ピクセルの強度値から決定される、請求項1または2のいずれか1項に記載の方法。
【請求項4】
前記PTVを表す前記画像ピクセルの強度値を変化させることは、名目上の前記強度値より25%大きいように前記PTVを表す前記画像ピクセルの強度値を増加させることを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記PTVを表す前記画像ピクセルの強度値を変化させることは、名目上の前記強度値より25%小さいように前記PTVを表す前記画像ピクセルの強度値を減少させることを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記入手された画像Xは、PET画像である、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
最小DVH曲線を生成することは、前記第1の一連の点を第1の曲線に適合させることを含み、最大DVH曲線を生成することは、前記第2の一連の点を第2の曲線に適合させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記線量計算行列Aおよび前記放射線発射行列Pは、治療セッションに先立って、前記入手された患者画像Xに基づいて導出される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記患者画像Xは、第1の患者画像であり、前記方法は、第2の患者画像Yを入手することと、前記線量計算行列Aを前記放射線発射行列PおよびYで乗算することによって、線量DY(DY=A・P・Y)を計算することと、第2の患者画像Yに対応するDVH曲線をプロットすることとをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記第2の患者画像Yの前記DVH曲線が前記最小DVH曲線と前記最大DVH曲線との間に制限されていない場合、通知を生成することをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記通知は、視覚的通知および/または聴覚的通知である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第2の患者画像Yに対応する前記DVH曲線は、前記PTVに関する各線量値のための体積画分を表す、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記第2の患者画像Yに対応するDVH曲線は、危険臓器(OAR)に関する各線量値のための体積画分を表す、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記最小DVH曲線および前記最大DVH曲線をディスプレイ上に表示することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記ディスプレイは、放射線療法システムのディスプレイである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
各線量Djに基づいてDVH曲線をプロットすることは、前記PTVに関する各線量値のための体積画分をプロットすることにより、前記PTVのためのj個のDVH曲線の群を生成することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項17】
前記方法は、危険臓器(OAR)に関する各線量値のための体積画分をプロットすることにより、前記OARのためのj個のDVH曲線の群を生成することによって、各線量Djに基づいてDVH曲線をプロットすることをさらに含み、前記最小DVH曲線は、OAR最小DVH曲線であり、前記最大DVH曲線は、OAR最大DVH曲線である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記第2の画像Yに対応する前記DVH曲線は、OAR DVH曲線であり、前記方法は、前記第2の患者画像Yにおける前記OARの前記DVH曲線が前記OARの最大DVH曲線を超える場合、通知を生成することをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の引用)
本願は、米国仮特許出願第62/523,691号(2017年6月22日出願)に対する優先権を主張し、上記出願の開示は、その全体が参照により本明細書に引用される。
【0002】
(技術分野)
リアルタイムで(例えば、治療時)入手された撮像データから抽出または計算される生物学的および/または生理学的データおよび/または解剖学的データに基づいて、治療セッション中、放射線療法治療計画および/または放射線送達を適合させるための、および/または、更新するためのシステムおよび方法が、本明細書に開示される。リアルタイムで入手された撮像データに基づいて治療計画を評価する方法も、本明細書に開示される。
【背景技術】
【0003】
放射線療法治療計画は、通常、治療セッションの(例えば、数週間、数日、数時間)前に行われる。したがって、種々のパラメータは、治療計画セッションと治療セッションとの間の期間内に変化していることもあり、これらの変化は、患者に送達される線量に影響を及ぼし得る(すなわち、標的領域への不十分な放射、非標的領域への照射増加等)。
【0004】
典型的には、治療セッション直前の患者撮像走査は、患者および/または標的領域に対する任意の構造または幾何学的変化についての情報を提供する。例えば、治療当日および治療セッション直前に実施されるCTまたはMRI走査からの解剖学的画像は、患者および/または腫瘍の位置シフトに従って放射線フルエンスをシフトすること、患者および/または腫瘍のサイズ変化に対応するために照射領域のサイズを拡大または収縮させること、および/または、患者および/または腫瘍の形状の変化に対応するために照射領域の輪郭を調節することを行うために使用され得る。直近で入手されたデータに基づいて、治療計画および/または放射線送達を修正することは、より効率的かつ標的化された放射線療法を促進し得る。
【0005】
故に、放射線療法治療計画を更新し、患者および/または標的領域の変化を反映するための追加の方法を開発することが望ましくあり得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に説明されるのは、治療セッション中に入手された撮像データから抽出または計算される生物学的および/または生理学的データに基づいて、放射線療法治療計画を適合、および/または、更新する方法である。いくつかの変形例では、患者の生物学的活性および/または生理学的データは、トレーサ摂取値(例えば、標準摂取値またはSUV)、PETトレーサ動態、組織代謝データ(例えば、分光撮像データ、磁気共鳴分光撮像データ)、骨形成活性データ、酸素化データ、遺伝子発現データ(例えば、ヒト成長因子受容体2型(HER2)発現)、遊離脂肪酸摂取データ、血流データ、血管分布データ、腫瘍幾何学形状(例えば、棘突起形成)における形態学的シフト、および/またはリンパ活性データ等を含み得る。これらの生物学的活性および/または生理学的データに基づいて、治療計画を更新または適合させることは、1つ以上の標的領域または他の着目領域(ROI)の線量測定目標、1つ以上の標的領域または他の着目領域(ROI)の幾何学形状、総治療セッションの数、治療セッションの持続時間、および/または複数の治療セッションに関する分画パターン等を更新または修正することを含み得る。生物学的活性および/または生理学的データは、任意の撮像モダリティ、例えば、PET撮像、MRI撮像単一光子放射断層撮影またはSPECT撮像、磁気粒子撮像またはMPI等の機能撮像モダリティを使用して入手され得る。随意に、X線撮像、CT撮像、超音波撮像等の構造撮像モダリティも、治療計画を更新するために、または適合させるために使用され得る。代替として、または加えて、治療計画は、前の治療セッションまたは画分からの線量送達データに基づいて、更新され、または適合させられ得る。
【0007】
リアルタイムで入手された撮像データに基づいて治療計画を評価する方法も、本明細書に開示される。これらの方法は、治療セッション時、患者および/またはシステムパラメータに基づいて、処方治療計画を進めるべきかどうかを決定するために使用され得る。いくつかの変形例では、治療計画を進めるかどうかに関する決定は、1つ以上の患者標的領域の幾何学的変化(例えば、体積および/または形状変化)、1つ以上の放射線に敏感な領域(例えば、危険臓器またはOAR)の幾何学的変化、標的とOARとの間の相対的距離の変化、寸法または形状等の患者外部輪郭の変化、標準摂取値(SUV)、患者標的領域の組織構造上の特徴の変化(例えば、クラスタシェード、クラスタプロミネンス、細胞均一性)、およびそのような要因が治療時(またはその直前)に処方範囲内にあるかどうか等の種々の臨床パラメータに依存し得る。処方範囲は、診断撮像セッション中、治療計画セッション中、および/または治療セッションの開始時(例えば、患者事前走査中)に入手されたデータに基づいて決定され得、および/または、正常活性の既知もしくは広く承認された範囲であり得る。治療計画を進めるかどうかに関する決定は、治療計画品質(例えば、治療計画指数(PQI)値によって定量化され得る)および/または線量-体積ヒストグラム(DVH)曲線の変化にも依存し得る。いくつかの変形例では、PQI値および/または線量-体積ヒストグラムは、治療時(および/または直前)に入手された生物学的活性および/または生理学的データおよび/または解剖学的データに基づいて計算され得る。
【0008】
生物学的活性データは、生理学的データを含み得る。着目領域の生物学的活性データの例は、酸素化および/または低酸素レベル、血液灌流レベル、ある遺伝子の発現(例えば、細胞タンパク質結合を測定することによって)、免疫応答活性、細胞死および/または壊死、フラクタル寸法シフト(例えば、微小血管浸透性の変化)、腫瘍成長ベクトル、または特定の生物学的機能(例えば、代謝性活性または骨リモデリング)と関係づけられるトレーサの標準摂取値を含み得る。解剖学的データは、着目領域および/または患者の形状、サイズ、場所(例えば、他の解剖学的領域、および/またはマーカもしくは基準、および/または、撮像システムおよび/または放射線治療システム座標に対する絶対場所および/または相対場所)等の構造情報を含み得る。
【0009】
放射線療法治療計画を適合させる方法の一変形例は、放射線治療セッション中、1つ以上のPET検出器を使用して、患者領域の生物学的活性データを測定することと、測定された生物学的活性データを初期生物学的活性範囲と比較し、生物学的活性データにおける変化を計算することと、生物学的活性データにおける計算された変化に基づいて、放射線療法治療計画を更新することとを含み得る。初期生物学的活性範囲は、生物学的活性データを測定することに先立って、放射線治療セッション中に測定され得、および/または前の放射線治療セッション中に測定され得る。放射線療法治療計画を更新することは、1つ以上の患者標的領域の線量測定目標を変化させること、および/または、1つ以上の患者標的領域および/または線量成形構造の幾何学形状を変化させることを含み得る。放射線療法治療計画を更新することは、複数の治療セッションに関する分画パターンを変化させることを含み得る。放射線療法治療計画は、治療セッションの初期数を含み得、治療計画を更新することは、治療セッションの数を治療セッションの初期数から変化させることを含み得る。放射線療法治療計画は、初期治療セッション持続時間を含み得、治療計画を更新することは、治療セッション持続時間を初期治療セッション持続時間から変化させることを含み得る。生物学的活性データを測定することは、患者領域のPETトレーサの標準摂取値(SUV)を測定することを含み得る。
【0010】
1つ以上のPETトレーサが、本明細書に説明される方法のいずれかにおいて使用され得る。PETトレーサの例は、限定ではないが、18F-FDG、18F-NaF、18FHX4、18FFAZA、18FFMISO、18Fで標識された放射性標識5F7抗HER2ナノボディ、11C-パルミチン酸および14-(R,S)-18F-フルオロ-6-チアヘプタデカン酸、15O-水、13N-アンモニア、82Rb-ルビジウム、18F-フルオロチミジン、68Ga-ガリウム、68Ge-ゲルマニウム、F18-フルシクロビン、Ga68-DOTATATE、C11-コリン、Ga68-PSMA、F18-PyL(PSMA)、PD-L1、13N-窒素、11C-メチオニン、18F-フルオロエリトロニトロイミダゾール、3’-アザ-2’-[18F]フルオロ葉酸、N-スクシンイミジル3-((4-(4-(18)F-フルオロブチル)-1H-1,2,3-トリアゾル-1-イル)メチル)-5-(グアニジノメチル)安息香酸放射性標識5F7抗体、1-(2’-デオキシ-2’-[18F]フルオロアラビノフラノシル)シトシン(18F-FAC)、およびF18-フルシクロビンを含み得る。
【0011】
生物学的活性データは、組織代謝データ、および/または骨形成活性、および/または、酸素化レベル、および/またはヒト増殖因子受容体2型(HER2)遺伝子発現、および/または、遊離脂肪酸摂取、および/または生理学的活性データを含み得る。生理学的活性データは、血流データ、および/または患者領域の血管分布、および/または、患者領域内の腫瘍領域の棘突起形成における形態学的シフト、および/またはリンパ活性データを含み得る。生物学的活性データを測定することは、患者標的領域におけるPETトレーサ動態を定量的に測定することを含み得る。放射線療法治療計画は、標的線量分布を含み得、治療計画を更新することは、標的線量分布を変化させることを含み得る。いくつかの変形例では、更新された治療計画は、将来の放射線治療セッションのために使用され得る。患者標的領域の生物学的活性データを測定することは、磁気共鳴画像診断、レーザ走査蛍光撮像、超音波撮像、磁気粒子撮像、または単一光子放射断層撮影を使用して、患者標的領域の機能画像を入手することをさらに含み得る。患者領域の生物学的活性データを測定することは、PETトレーサを患者に提供することと、患者標的領域からの陽電子放出データを測定することとを含み得る。いくつかの変形例では、PETトレーサは、[18F]HX4、[18F]FAZA、および[18F]FMISO等の低酸素PETトレーサであり得、陽電子放出データを測定することは、患者標的領域にわたる低酸素PETトレーサ摂取値を測定することを含み得る。放射線療法治療計画を更新することは、閾値を超える低酸素PETトレーサ摂取値を伴う患者標的領域への放射線療法治療計画の放射線量を増加させることを含み得る。
【0012】
いくつかの変形例では、PETトレーサは、18Fで標識された5F7抗HER2ナノボディ(18F-RL-I-5F7)および18F-SFB等のHER2 PETトレーサを含み得、陽電子放出データを測定することは、患者標的領域にわたるHER2 PETトレーサ摂取値を測定することを含み得る。放射線療法治療計画を更新することは、上限閾値を超えるHER2 PETトレーサ摂取値を伴う患者標的領域への放射線療法治療計画の放射線量を増加させることを含み得る。方法は、随意に、標的領域の外の患者領域のHER2 PETトレーサ摂取値を測定することと、上限閾値を超えるHER2 PETトレーサ摂取値を有する標的領域の外の患者領域を識別することとを含み得る。放射線療法治療計画を更新することは、線量分布を変化させ、放射線量送達のために識別された患者領域を含めることを含み得る。代替として、または加えて、PETトレーサは、18Fで標識された5F7抗HER2ナノボディ(18F-RL-I-5F7)および18F-SFB等のHER2 PETトレーサを含み得、陽電子放出データを測定することは、患者標的領域にわたるHER2 PETトレーサ摂取値を測定することを含み得る。放射線療法治療計画を更新することは、上限閾値を超えるHER2 PETトレーサ摂取値を
伴う患者標的領域への放射線療法治療計画の放射線量を減少させることを含み得る。
【0013】
放射線療法治療計画を適合させる方法は、加えて、または代替として、測定された生物学的活性データに基づいて、放射線療法治療計画の計画品質指数(PQI)値を計算することと、計算されたPQI値をPQI値の所定の範囲と比較することと、計算されたPQI値がPQI値の所定の範囲内にない場合、放射線療法治療計画を更新することとを含み得る。放射線療法治療計画は、計算されたPQI値がPQI値の所定の範囲内にある場合、更新されないこともある。いくつかの変形例では、方法は、計算されたPQI値がPQI値の所定の範囲内にない場合、通知を表示することを含み得る。PQI値の所定の範囲は、臨床医承認PQI値の範囲であり得る。
【0014】
いくつかの変形例では、放射線療法治療計画は、測定された生物学的活性データが初期生物学的活性範囲内にない場合、更新される。方法は、測定された生物学的活性データが初期生物学的活性範囲内にない場合、通知を表示することを含み得る。初期生物学的活性範囲は、臨床医承認生物学的活性範囲であり得、および/または初期生物学的活性範囲は、放射線療法治療計画のための臨床医承認PQI値の範囲に基づいて計算され得る。いくつかの変形例では、初期生物学的活性範囲は、放射線療法治療計画のための臨床医承認有界DVHに基づいて計算され得る。放射線療法治療計画を更新することは、容認可能計画品質指数(PQI)値および/または生物学的活性値の範囲を調節し、測定された生物学的活性データを含む容認可能PQI値および/または容認可能生物学的活性値の範囲を有する更新された治療計画を立てることを含み得る。所定の有界DVHは、以下、すなわち、1つ以上の前の治療セッションにおいて患者標的領域に送達された線量、臨床医承認線量送達不確実性、最大線量レベル、および/または最小線量レベルのうちの1つ以上のものに基づいて計算され得る。
【0015】
放射線療法治療計画を適合させる方法のいくつかの変形例は、代替として、または加えて、放射線療法治療計画および測定された生物学的活性データに基づいて、患者標的領域のための線量-体積ヒストグラム(DVH)を計算することと、計算されたDVHを所定の有界DVHと比較することと、計算されたDVHが所定の有界DVH内にない場合、放射線療法治療計画を更新することとを含み得る。
【0016】
治療のために容認可能な生物学的活性範囲を生成する方法も、本明細書に開示される。方法の一変形例は、治療計画のための容認可能計画品質指数(PQI)値の範囲を決定することと、PQI値の範囲と対応する生物学的活性値の範囲を計算することとを含み得る。放射線治療のための方法は、治療計画のための容認可能PQI値の範囲を決定することと、放射線治療セッション中、1つ以上のPET検出器を使用して、患者領域の生物学的活性データを測定することと、測定された生物学的活性データを生物学的活性値の計算された範囲と比較し、測定された生物学的活性データが計算された範囲内にあるかどうかを決定することと、測定された生物学的活性データが生物学的活性値の計算された範囲内にある場合、放射線を患者領域に印加することとを含み得る。測定された生物学的活性データが生物学的活性の計算された範囲内にない場合、放射線療法治療計画は、測定された生物学的活性データに基づいて更新され得る。
【0017】
本明細書に開示されるのは、治療のために容認可能な計画品質指数(PQI)範囲を生成する方法である。方法の一変形例は、治療計画のための容認可能生物学的活性値の範囲を決定することと、容認可能生物学的活性値の範囲と対応するPQI値の範囲を計算することとを含み得る。生物学的活性値の計算された範囲は、放射線療法システムに伝送され得、および/または臨床医に表示され得る。
【0018】
本明細書に説明されるのは、放射線療法治療のための方法である。放射線療法のための方法の一変形例は、1つ以上のPET検出器を使用して、患者領域の生物学的活性データを測定することと、患者領域の測定された生物学的活性データと所定の生物学的活性範囲を比較することと、測定された生物学的活性データが所定の生物学的活性範囲内にない場合、治療計画を更新することと、更新された治療計画に基づいて、放射線を患者領域に印加することとを含み得る。所定の生物学的活性範囲は、臨床医承認生物学的活性範囲であり得る。患者領域の生物学的活性データを測定することは、患者領域に関する低酸素PETトレーサ摂取値を測定することを含み得、放射線を印加することは、より高い低酸素PETトレーサ摂取値を伴う領域への放射線量がより低い低酸素PETトレーサ摂取値を伴う領域への放射線量を上回るように、放射線を印加することを含む。
【0019】
治療計画を評価するための有界線量-体積ヒストグラム(DVH)を計算する方法も、本明細書に説明される。方法の一例は、入手された患者画像Xに基づいて、複数の画像X’1,2,3,…,jを生成することであって、患者標的体積(PTV)は、患者の放射線発射域(RFZ)内のj個の異なる位置に位置している、ことと、線量計算行列Aを放射線発射行列PおよびX’jで乗算することによって、画像X’1,2,3,…,jの各々のための線量Dj(Dj=A・P・X’j)を計算することと、各線量Djのための線量-体積ヒストグラム(DVH)曲線をプロットし、j個のDVH曲線の群を生成することであって、各線量DjのためのDVH曲線は、各線量値のための体積画分を表し得る、ことと、DVH曲線の群の最小境界曲線(最小DVH曲線)および最大境界曲線(最大DVH曲線)を生成することとを含み得る。最小DVH曲線は、DVH曲線の群の各線量値のための最小体積画分を表す第1の一連の点を含み得、最大DVH曲線は、各線量値のための最大体積画分を表す第2の一連の点を含み得る。複数の画像X’jを生成することは、画像X’jの各々のために、RFZ内でのPTVのj個の3次元リジッドシフト(rigid shift)をシミュレートすることを含み得る。代替として、または加えて、複数の画像X’jを生成することは、各画像X’jにおけるPTVの強度値を変化させ、標準摂取値(SUV)の範囲をシミュレートすることを含み得る。いくつかの変形例では、PTVの強度値を変化させることは、PTVの強度値を名目上の強度値より25%大きいように増加させること、および/または、PTVの強度値を名目上の強度値よりを25%小さいように減少させることを含み得る。入手された画像Xは、PET画像であるか、またはCT画像であり得る。最小DVH曲線を生成することは、第1の一連の点を第1の曲線に適合させることを含み得、最大DVH曲線を生成することは、第2の一連の点を第2の曲線に適合させることを含み得る。線量計算行列Aおよび放射線発射行列Pは、治療セッションに先立って、入手された患者画像Xに基づいて導出され得る。一変形例では、患者画像Xは、第1の患者画像であり得、方法は、第2の患者画像Yを入手することと、線量計算行列Aを放射線発射行列PおよびYで乗算することによって、線量DY(DY=A・P・Y)を計算することと、第2の患者画像Yに対応するDVH曲線をプロットすることとをさらに含み得る。方法は、第2の患者画像YのDVH曲線が最小DVH曲線と最大DVH曲線との間に制限されていない場合、通知を生成することをさらに含み得る。通知は、視覚的通知および/または聴覚的通知であり得る。第2の患者画像Yに対応するDVH曲線は、PTVに関する各線量値のための体積画分を表し得、および/または、第2の患者画像Yに対応するDVH曲線は、危険臓器(OAR)に関する各線量値のための体積画分を表し得る。方法は、最小DVH曲線および最大DVH曲線をディスプレイまたはモニタ/画面上に表示することも含み得る。いくつかの変形例では、ディスプレイは、放射線療法システムのディスプレイであり得る。各線量DjのためのDVH曲線をプロットすることは、PTVに関する各線量値のための体積画分をプロットし、PTVのためのj個のDVH曲線の群を生成することを含み得る。代替として、または加えて、いくつかの方法は、危険臓器(OAR)に関する各線量値のための体積画分をプロットし、OARのためのj個のDVH曲線の群を生成することによって、各線量DjのためのDVH曲線をプロットすることを含み得、最小DVH曲線は、OAR最小DVH曲線であり得、最大DVH曲線は、OAR最大DVH曲線であり得る。第2の画像Yに対応するDVH曲線は、OAR DVH曲線であり得、方法はさらに、第2の患者画像YにおけるOARのDVH曲線がOARの最大DVH曲線を超える場合、通知を生成することを含み得る。
【0020】
放射線療法治療計画を評価する方法も、本明細書に説明される。方法の一変形例は、患者の撮像データxを入手することと、入手された撮像データおよび放射線発射行列Pに基づいて、放射線量Dx(Dx=A・P・x)を計算し、線量-体積ヒストグラム(DVH)をプロットすることと、DVHが最小DVH曲線と最大DVH曲線とによって画定される範囲内にない場合、モニタ上に表示される通知を生成することとを含み得る。随意に、いくつかの方法は、放射線量分布Dxが最小線量閾値と最大線量閾値とによって画定される線量分布範囲内にない場合、モニタ上に表示される通知を生成することを含み得る。撮像データは、PET撮像データおよび/またはCT撮像データであり得る。いくつかの変形例は、入手された撮像データxに基づいて、計画品質指数(PQI)を計算することと、PQIが最小PQI閾値と最大PQI閾値とによって画定されるPQI範囲内にない場合、モニタ上に表示される通知を生成することとを含み得る。
本発明は、例えば、以下を提供する。
(項目1)
治療計画を評価するための有界線量-体積ヒストグラム(DVH)を計算する方法であって、前記方法は、
入手された患者画像Xに基づいて、複数の画像X’1,2,3,…,jを生成することであって、患者標的体積(PTV)は、患者の放射線発射域(RFZ)内のj個の異なる位置に位置している、ことと、
線量計算行列Aを放射線発射行列PおよびX’jで乗算することによって、前記画像X’1,2,3,…,jの各々のための線量Dj(Dj=A・P・X’j)を計算することと、
各線量Djのための線量-体積ヒストグラム(DVH)曲線をプロットし、j個のDVH曲線の群を生成することであって、各線量Djのための前記DVH曲線は、各線量値のための体積画分を表す、ことと、
前記DVH曲線の群のうちの最小境界曲線(最小DVH曲線)と最大境界曲線(最大DVH曲線)とを生成することと
を含み、
前記最小DVH曲線は、前記DVH曲線の群の各線量値のための最小体積画分を表す第1の一連の点を含み、前記最大DVH曲線は、各線量値のための最大体積画分を表す第2の一連の点を含む、方法。
(項目2)
複数の画像X’jを生成することは、前記画像X’jの各々のために、前記RFZ内でのPTVのj個の3次元リジッドシフトをシミュレートすることを含む、項目1に記載の方法。
(項目3)
複数の画像X’jを生成することは、各画像X’jにおける前記PTVの強度値を変化させ、標準摂取値(SUV)の範囲をシミュレートすることを含む、項目1または2のいずれか1項に記載の方法。
(項目4)
前記PTVの強度値を変化させることは、名目上の前記強度値より25%大きいように前記PTVの強度値を増加させることを含む、項目3に記載の方法。
(項目5)
前記PTVの強度値を変化させることは、名目上の前記強度値よりを25%小さいように前記PTVの強度値を減少させることを含む、項目3に記載の方法。
(項目6)
前記入手された画像Xは、PET画像である、項目1-5のいずれか1項に記載の方法。
(項目7)
最小DVH曲線を生成することは、前記第1の一連の点を第1の曲線に適合させることを含み、最大DVH曲線を生成することは、前記第2の一連の点を第2の曲線に適合させることを含む、項目1に記載の方法。
(項目8)
前記線量計算行列Aおよび前記放射線発射行列Pは、治療セッションに先立って、前記入手された患者画像Xに基づいて導出される、項目1に記載の方法。
(項目9)
前記患者画像Xは、第1の患者画像であり、前記方法は、第2の患者画像Yを入手することと、前記線量計算行列Aを前記放射線発射行列PおよびYで乗算することによって、線量DY(DY=A・P・Y)を計算することと、第2の患者画像Yに対応するDVH曲線をプロットすることとをさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目10)
前記第2の患者画像Yの前記DVH曲線が前記最小DVH曲線と前記最大DVH曲線との間に制限されていない場合、通知を生成することをさらに含む、項目9に記載の方法。
(項目11)
前記通知は、視覚的通知および/または聴覚的通知である、項目10に記載の方法。
(項目12)
前記第2の患者画像Yに対応する前記DVH曲線は、前記PTVに関する各線量値のための体積画分を表す、項目10に記載の方法。
(項目13)
前記第2の患者画像Yに対応するDVH曲線は、危険臓器(OAR)に関する各線量値のための体積画分を表す、項目10に記載の方法。
(項目14)
前記最小DVH曲線および前記最大DVH曲線をディスプレイ上に表示することをさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目15)
前記ディスプレイは、放射線療法システムのディスプレイである、項目14に記載の方法。
(項目16)
各線量DjのためのDVH曲線をプロットすることは、前記PTVに関する各線量値のための体積画分をプロットし、前記PTVのためのj個のDVH曲線の群を生成することを含む、項目9に記載の方法。
(項目17)
危険臓器(OAR)に関する各線量値のための体積画分をプロットし、前記OARのためのj個のDVH曲線の群を生成することによって、各線量DjのためのDVH曲線をプロットすることをさらに含み、前記最小DVH曲線は、OAR最小DVH曲線であり、前記最大DVH曲線は、OAR最大DVH曲線である、項目16に記載の方法。
(項目18)
前記第2の画像Yに対応する前記DVH曲線は、OAR DVH曲線であり、前記方法は、前記第2の患者画像Yにおける前記OARの前記DVH曲線が前記OARの最大DVH曲線を超える場合、通知を生成することをさらに含む、項目17に記載の方法。
(項目19)
放射線療法治療計画を評価する方法であって、前記方法は、
患者の撮像データxを入手することと、
前記入手された撮像データおよび放射線発射行列Pに基づいて、放射線量Dx(Dx=A・P・x)を計算し、線量-体積ヒストグラム(DVH)をプロットすることと、
前記DVHが最小DVH曲線と最大DVH曲線とによって画定される範囲内にない場合、モニタ上に表示される通知を生成することと
を含む、方法。
(項目20)
前記放射線量分布Dxが最小線量閾値と最大線量閾値とによって画定される線量分布範囲内にない場合、前記モニタ上に表示される通知を生成することをさらに含む、項目19に記載の方法。
(項目21)
前記撮像データは、PET撮像データである、項目19に記載の方法。
(項目22)
前記入手された撮像データxに基づいて、計画品質指数(PQI)を計算することと、
前記PQIが最小PQI閾値と最大PQI閾値とによって画定されるPQI範囲内にない場合、モニタ上に表示される通知を生成することと
をさらに含む、項目19に記載の方法。
(項目23)
放射線療法治療計画を適合させる方法であって、前記方法は、
放射線治療セッション中、1つ以上のPET検出器を使用して、患者領域の生物学的活性データを測定することと、
前記測定された生物学的活性データを初期生物学的活性範囲と比較し、前記生物学的活性データにおける変化を計算することと、
前記生物学的活性データにおける前記計算された変化に基づいて、放射線療法治療計画を更新することと
を含む、方法。
(項目24)
前記初期生物学的活性範囲は、前記生物学的活性データを測定することに先立って、前記放射線治療セッション中に測定される、項目23に記載の方法。
(項目25)
前記初期生物学的活性範囲は、前の放射線治療セッション中に測定される、項目23に記載の方法。
(項目26)
前記放射線療法治療計画を更新することは、1つ以上の患者標的領域の線量測定目標を変化させることを含む、項目23に記載の方法。
(項目27)
前記放射線療法治療計画を更新することは、1つ以上の患者標的領域および/または線量成形構造の幾何学形状を変化させることを含む、項目23に記載の方法。
(項目28)
前記放射線療法治療計画は、治療セッションの初期数を含み、前記治療計画を更新することは、治療セッションの数を治療セッションの前記初期数から変化させることを含む、項目23に記載の方法。
(項目29)
前記放射線療法治療計画は、初期治療セッション持続時間を含み、前記治療計画を更新することは、治療セッション持続時間を前記初期治療セッション持続時間から変化させることを含む、項目23に記載の方法。
(項目30)
前記放射線療法治療計画を更新することは、複数の治療セッションに関する分画パターンを変化させることを含む、項目23に記載の方法。
(項目31)
生物学的活性データを測定することは、前記患者領域のPETトレーサの標準摂取値(SUV)を測定することを含む、項目24に記載の方法。
(項目32)
前記PETトレーサは、18F-FDG、18F-NaF、18FHX4、18FFAZA、18FFMISO、18Fで標識された放射性標識5F7抗HER2ナノボディ、11C-パルミチン酸および14-(R,S)-18F-フルオロ-6-チアヘプタデカン酸、15O-水、13N-アンモニア、82Rb-ルビジウム、18F-フルオロチミジン、68Ga-ガリウム、68Ge-ゲルマニウム、F18-フルシクロビン、Ga68-DOTATATE、C11-コリン、Ga68-PSMA、F18-PyL(PSMA)、PD-L1、13N-窒素、11C-メチオニン、18F-フルオロエリトロニトロイミダゾール、3’-アザ-2’-[18F]フルオロ葉酸、N-スクシンイミジル3-((4-(4-(18)F-フルオロブチル)-1H-1,2,3-トリアゾル-1-イル)メチル)-5-(グアニジノメチル)安息香酸放射性標識5F7抗体、1-(2’-デオキシ-2’-[18F]フルオロアラビノフラノシル)シトシン(18F-FAC)から成る群から選択される、項目31に記載の方法。
(項目33)
生物学的活性データは、組織代謝データを含む、項目23に記載の方法。
(項目34)
生物学的活性データは、骨形成活性を含む、項目23に記載の方法。
(項目35)
生物学的活性データは、酸素化レベルを含む、項目23に記載の方法。
(項目36)
生物学的活性データは、ヒト増殖因子受容体2型(HER2)遺伝子発現を含む、項目23に記載の方法。
(項目37)
生物学的活性データは、遊離脂肪酸摂取を含む、項目23に記載の方法。
(項目38)
生物学的活性データは、生理学的活性データを含む、項目23に記載の方法。
(項目39)
生理学的活性データは、血流データを含む、項目38に記載の方法。
(項目40)
生理学的活性データは、前記患者領域の血管分布を含む、項目38に記載の方法。
(項目41)
生理学的活性データは、前記患者領域内の腫瘍領域の棘突起形成における形態学的シフトを含む、項目38に記載の方法。
(項目42)
生理学的活性データは、リンパ活性データを含む、項目38に記載の方法。
(項目43)
生物学的活性データを測定することは、前記患者標的領域におけるPETトレーサ動態を定量的に測定することを含む、項目23に記載の方法。
(項目44)
前記放射線療法治療計画は、標的線量分布を含み、前記治療計画を更新することは、前記標的線量分布を変化させることを含む、項目23に記載の方法。
(項目45)
前記更新された治療計画は、将来の放射線治療セッションのために使用される、項目23に記載の方法。
(項目46)
患者標的領域の生物学的活性データを測定することは、磁気共鳴画像診断、レーザ走査蛍光撮像、超音波撮像、磁気粒子撮像、または単一光子放射断層撮影を使用して、前記患者標的領域の機能画像を入手することをさらに含む、項目23に記載の方法。
(項目47)
患者領域の生物学的活性データを測定することは、
PETトレーサを前記患者に提供することと、
患者標的領域からの陽電子放出データを測定することと
を含む、項目23に記載の方法。
(項目48)
前記PETトレーサは、[18F]HX4、[18F]FAZA、および[18F]FMISOから成る群から選択される低酸素PETトレーサを含み、陽電子放出データを測定することは、前記患者標的領域にわたる低酸素PETトレーサ摂取値を測定することを含み、前記放射線療法治療計画を更新することは、閾値を超える低酸素PETトレーサ摂取値を伴う患者標的領域への前記放射線療法治療計画の放射線量を増加させることを含む、項目47に記載の方法。
(項目49)
前記PETトレーサは、18Fで標識された5F7抗HER2ナノボディ(18F-RL-I-5F7)および18F-SFBから成る群から選択されるHER2 PETトレーサを含み、陽電子放出データを測定することは、前記患者標的領域にわたるHER2 PETトレーサ摂取値を測定することを含み、前記放射線療法治療計画を更新することは、上限閾値を超えるHER2 PETトレーサ摂取値を伴う患者標的領域への前記放射線療法治療計画の放射線量を増加させることを含む、項目47に記載の方法。
(項目50)
前記標的領域の外の患者領域のHER2 PETトレーサ摂取値を測定することと、
前記上限閾値を超えるHER2 PETトレーサ摂取値を有する前記標的領域の外の患者領域を識別することと
をさらに含み、
前記放射線療法治療計画を更新することは、前記線量分布を変化させ、放射線量送達のために前記識別された患者領域を含むことを含む、項目49に記載の方法。
(項目51)
前記PETトレーサは、18Fで標識された5F7抗HER2ナノボディ(18F-RL-I-5F7)および18F-SFBから成る群から選択されるHER2 PETトレーサを含み、陽電子放出データを測定することは、前記患者標的領域にわたるHER2 PETトレーサ摂取値を測定することを含み、前記放射線療法治療計画を更新することは、上限閾値を超えるHER2 PETトレーサ摂取値を伴う患者標的領域への前記放射線療法治療計画の放射線量を減少させることを含む、項目47に記載の方法。
(項目52)
前記測定された生物学的活性データに基づいて、前記放射線療法治療計画の計画品質指数(PQI)値を計算することと、
前記計算されたPQI値をPQI値の所定の範囲と比較することと
をさらに含み、
前記放射線療法治療計画を更新することは、前記計算されたPQI値が前記PQI値の所定の範囲内にない場合、前記放射線療法治療計画を更新することを含む、項目23に記載の方法。
(項目53)
前記放射線療法治療計画は、前記計算されたPQI値が前記PQI値の所定の範囲内にある場合、更新されない、項目52に記載の方法。
(項目54)
前記計算されたPQI値が前記PQI値の所定の範囲内にない場合、通知を表示することをさらに含む、項目52に記載の方法。
(項目55)
前記PQI値の所定の範囲は、臨床医承認PQI値の範囲である、項目52に記載の方法。
(項目56)
前記放射線療法治療計画を更新することは、前記測定された生物学的活性データが前記初期生物学的活性範囲内にない場合、前記放射線療法治療計画を更新することを含む、項目23に記載の方法。
(項目57)
前記放射線療法治療計画は、前記測定された生物学的活性データが前記初期生物学的活性範囲内にある場合、更新されない、項目56に記載の方法。
(項目58)
前記測定された生物学的活性データが前記初期生物学的活性範囲内にない場合、通知を表示することをさらに含む、項目56に記載の方法。
(項目59)
前記初期生物学的活性範囲は、臨床医承認生物学的活性範囲である、項目56に記載の方法。
(項目60)
前記初期生物学的活性範囲は、前記放射線療法治療計画のための臨床医承認PQI値の範囲に基づいて計算される、項目56に記載の方法。
(項目61)
前記初期生物学的活性範囲は、前記放射線療法治療計画のための臨床医承認有界DVHに基づいて計算される、項目56に記載の方法。
(項目62)
前記放射線療法治療計画を更新することは、容認可能計画品質指数(PQI)値および/または生物学的活性値の範囲を調節し、更新された治療計画を立てることを含み、前記更新された治療計画は、前記測定された生物学的活性データを含む容認可能PQI値の範囲および/または容認可能生物学的活性値の範囲を有する、項目56に記載の方法。
(項目63)
前記放射線療法治療計画および前記測定された生物学的活性データに基づいて、患者標的領域のための線量-体積ヒストグラム(DVH)を計算することと、
前記計算されたDVHを所定の有界DVHと比較することと
をさらに含み、
前記放射線療法治療計画を更新することは、前記計算されたDVHが前記所定の有界DVH内にない場合、前記放射線療法治療計画を更新することを含む、項目23に記載の方法。
(項目64)
前記所定の有界DVHは、1つ以上の前の治療セッションにおいて前記患者標的領域に送達された線量、臨床医承認線量送達不確実性、最大線量レベル、および最小線量レベルのうちの1つ以上のものに基づいて計算される、項目63に記載の方法。
(項目65)
治療のために容認可能な生物学的活性範囲を生成する方法であって、前記方法は、
治療計画のための容認可能計画品質指数(PQI)値の範囲を決定することと、
前記PQI値の範囲と対応する生物学的活性値の範囲を計算することと
を含む、方法。
(項目66)
治療のために容認可能な計画品質指数(PQI)範囲を生成する方法であって、前記方法は、
治療計画のための容認可能生物学的活性値の範囲を決定することと、
前記容認可能生物学的活性値の範囲と対応するPQI値の範囲を計算することと
を含む、方法。
(項目67)
前記生物学的活性値の計算された範囲を放射線療法システムに伝送することをさらに含む、項目66に記載の方法。
(項目68)
前記生物学的活性値の計算された範囲を臨床医に表示することをさらに含む、項目66に記載の方法。
(項目69)
放射線治療のための方法であって、前記方法は、
項目66に記載の方法と、
放射線治療セッション中、1つ以上のPET検出器を使用して、患者領域の生物学的活性データを測定することと、
前記測定された生物学的活性データを前記生物学的活性値の計算された範囲と比較し、前記測定された生物学的活性データが前記計算された範囲内にあるかどうかを決定することと、
前記測定された生物学的活性データが前記生物学的活性値の計算された範囲内にある場合、放射線を前記患者領域に印加することと
を含む、方法。
(項目70)
前記測定された生物学的活性データが前記生物学的活性の計算された範囲内にない場合、前記測定された生物学的活性データに基づいて、前記放射線療法治療計画を更新する、項目69に記載の方法。
(項目71)
放射線療法治療のための方法であって、前記方法は、
1つ以上のPET検出器を使用して、患者領域の生物学的活性データを測定することと、
前記患者領域の測定された生物学的活性データを所定の生物学的活性範囲と比較することと、
前記測定された生物学的活性データが前記所定の生物学的活性範囲内にない場合、治療計画を更新することと、
前記更新された治療計画に基づいて、放射線を前記患者領域に印加することと
を含む、方法。
(項目72)
前記所定の生物学的活性範囲は、臨床医承認生物学的活性範囲である、項目71に記載の方法。
(項目73)
前記患者領域の生物学的活性データを測定することは、前記患者領域にわたる低酸素PETトレーサ摂取値を測定することを含み、放射線を印加することは、より高い低酸素PETトレーサ摂取値を伴う領域への放射線量がより低い低酸素PETトレーサ摂取値を伴う領域への放射線量を上回るように、放射線を印加することを含む、項目71に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1A】
図1Aは、適合放射線療法のためのシステムの一変形例を描写する。
【
図1B】
図1Bは、適合放射線療法のためのシステムの別の変形例を描写する。
【0022】
【
図1C】
図1C-1Dは、適合放射線療法のためのシステムの例を描写する。
【
図1D】
図1C-1Dは、適合放射線療法のためのシステムの例を描写する。
【0023】
【
図2A】
図2Aは、適合放射線療法のための方法の一変形例を表すフローチャートを描写する。
【0024】
【
図2B-1】
図2Bは、オンライン適合放射線療法のための方法の一変形例を表すフローチャートを描写する。
【
図2B-2】
図2Bは、オンライン適合放射線療法のための方法の一変形例を表すフローチャートを描写する。
【0025】
【
図2C-1】
図2Cは、リアルタイム適合放射線療法のための方法の一変形例を表すフローチャートを描写する。
【
図2C-2】
図2Cは、リアルタイム適合放射線療法のための方法の一変形例を表すフローチャートを描写する。
【0026】
【
図2D】
図2Dは、オフライン適合放射線療法のための方法の一変形例を表すフローチャートを描写する。
【0027】
【
図3A】
図3Aは、種々の着目領域への処方放射線量の例の表を描写する。
【0028】
【
図3B-1】
図3Bは、計画品質指数(PQI)の例の表を描写する。
【
図3B-2】
図3Bは、計画品質指数(PQI)の例の表を描写する。
【0029】
【
図4A】
図4Aは、例示的PQI値、処方PQI値、および容認可能PQI値の範囲の表を描写する。
【0030】
【
図4B】
図4Bは、リアルタイムで入手された撮像データに基づいて計算されるPQI値を使用して治療計画を評価する方法の一変形例を表すフローチャートを描写する。
【0031】
【
図5A】
図5Aは、治療計画セッション中および治療時に計算される例示的臨床パラメータおよびPQI値の表を描写する。
【0032】
【
図5B】
図5Bは、リアルタイムで入手された撮像データから導出される臨床パラメータを使用して治療計画を評価する方法の一変形例を表すフローチャートを描写する。
【0033】
【
図5C】
図5Cは、容認可能臨床パラメータの範囲を計算する方法の一変形例を表すフローチャートを描写する。
【0034】
【
図5D】
図5Dは、容認可能臨床パラメータの範囲を計算する方法の一変形例を表すフローチャートを描写する。
【0035】
【
図6A】
図6Aは、PQI値の選択された範囲に基づいて容認可能生物学的活性値の範囲を計算する方法の一変形例を表すフローチャートを描写する。
【0036】
【
図6B】
図6Bは、選択されたPQI閾値に基づいて容認可能生物学的活性値の範囲を計算する方法の別の変形例を表すフローチャートを描写する。
【0037】
【
図7A】
図7Aは、線量-体積ヒストグラム(DVH)および有界DVHの例を描写する。
【0038】
【
図7B】
図7Bは、リアルタイムで入手された撮像データから導出されるDVHを使用して治療計画を評価する方法の別の変形例を表すフローチャートを描写する。
【0039】
【
図8A】
図8Aは、治療時に入手された生物学的および/または生理学的データに基づいて治療計画を評価するために使用され得る有界DVH曲線を計算する1つの方法を表すフローチャートを描写する。
【0040】
【
図8B】
図8Bは、
図8Aの方法の一部としてDVH曲線の群を計算するために、放射線発射域(RFZ)内の患者標的体積(PTV)の画像をシフトする略図を描写する。
【0041】
【
図8C】
図8Cは、PTV、RFZ、および2つのOARのためのDVH曲線を含むRFZ内のPTVの種々のシフトされた画像に対して計算される複数のDVH曲線の一例を描写する。
【0042】
【
図8D】
図8Dは、PTV、RFZ、および1つのOARのための有界DVH曲線の一例を描写する。
【発明を実施するための形態】
【0043】
リアルタイムで(例えば、治療セッション中)入手された撮像データから抽出または計算される生物学的および/または生理学的データおよび/または解剖学的データに基づいて、放射線療法治療計画を適合させ、および/または更新するためのシステムおよび方法が、本明細書において開示される。放射線治療時に入手された機能撮像データは、治療計画および/または線量送達命令を修正し、処方線量分布を患者標的領域に提供するために使用される。リアルタイムで入手された撮像データに基づいて、治療計画を評価する方法も、本明細書において開示される。
【0044】
((システム))
図1Aは、適合放射線療法のために使用され得るシステムの一変形例を図式的に描写する。システム100は、撮像システム102と、放射線治療システム104と、撮像システムおよび放射線治療システムと通信するコントローラ106と、通信インターフェース108とを備え得る。撮像システム102および放射線治療システム104は、患者画像データが撮像システムによって入手された直後に患者が放射線治療システム内に容易に位置付けられ得るように配列され得る。例えば、撮像システム102および放射線治療システム104は、同一設備または建物および/または同一部屋または観測室内に位置し得、および/または、同一シャーシまたはガントリ上に搭載され得る。いくつかの変形例では、撮像システムおよび放射線治療システムは、撮像システムの患者領域が治療システムの患者領域と整列させられるように配列され得る。
図1Aは、患者領域132を伴う撮像システム130と、患者領域136を伴う治療システム134との一例を描写し、患者領域132、136の患者領域の縦軸L1、L2は、整列させられ、または同一直線上にある。代替として、撮像システムおよび放射線治療システムは、撮像システムおよび放射線治療システムの各々の患者領域が、整列させられないが、互いに隣接しているように配列され得る。
図1Bは、患者領域142を伴う撮像システム140と、患者領域146を伴う治療システム144との一例を描写し、患者領域142、146の縦軸L3、L4は、一直線上にはなく、代わりに、互いに平行であるか、または互いにある角度にあり得る。治療時(例えば、放射線治療システムのアクティブ化直前および/または患者への療法用放射線の印加中)に撮像システム102によって入手された撮像データは、コントローラ106に伝送され得、コントローラプロセッサは、患者の生物学的活性データ(および/または生理学的および/または解剖学的データ)を入手された撮像データから抽出するように構成され得る。コントローラは、最近入手された生物学的活性データに照らして、治療計画の予測される品質および/または有効性を計算するようにも構成され得る。生物学的活性レベルおよび/または生理学的データにおける任意の変化の大きさおよび/または特性に応じて、コントローラは、次いで、患者の放射線治療が、所定の治療計画に基づいて進行または継続すべきかどうか、および/または、治療計画が更新され、および/または、適合させられるべきかどうかを評価し得る。代替として、または加えて、これらの計算された品質は、評価および/または治療計画承認のためにも、通信インターフェース108を介して、臨床医に提示され得る。放射線治療システム104は、治療時に入手された撮像データのみならず臨床医の評価および/または承認にも基づいて、療法用放射線ビームを患者に適合させるように構成され得る。
【0045】
撮像システム102は、撮像システムが治療セッション中に(すなわち、リアルタイムで)データを入手することが可能な限り、機能的および/または解剖学的撮像モダリティを含む任意の1つ以上の撮像モダリティを使用して、撮像データを入手するように構成され得る。撮像システム102は、1つ以上のPET検出器、および/またはX線検出器(例えば、kVまたはMV検出器)、および/または、MRIセンサ、超音波検出器等を備え得る。撮像システム102からの撮像データは、患者の身体および/または1つ以上の着目領域(ROI)もしくは標的領域に関連する生物学的活性および/または生理学的および/または解剖学的データを提供し得る。いくつかの撮像システムは、患者の身体における種々のタイプのトレーサの摂取に関連するデータを入手し得る。例えば、患者は、トレーサ(例えば、PETトレーサ、X線造影剤等)を注入され得、撮像システムは、トレーサの蓄積に関するデータを入手し得る(定質的および/または定量的に)。トレーサ蓄積場所、トレーサ蓄積体積のサイズおよび形状のみならずトレーサ動態も、患者における種々の生物学的活性レベルおよび/または生理学的現象の指示を提供し得る。例えば、組織領域内の細胞代謝レベルおよび酸素の存在(または不在)が、撮像データの強度によって示されるようなトレーサ摂取の量および/または率から計算され得る。トレーサでタグ付けされた遺伝子の発現の変化も、画像強度の変化を測定することによって計算され得る。腫瘍領域のサイズおよび形状は、少なくとも部分的に、トレーサ摂取の領域の所定の閾値を超えるサイズおよび形状によって、決定され得る。いくつかの撮像システムは、放射線治療システムのアクティブ化状態にかかわらず(例えば、療法用放射線源がアクティブにされているかどうかにかかわらず)、撮像データを任意の時点で入手するように構成され得るが、他の撮像システムは、放射線治療システムの療法用放射線源がアクティブにされていない(例えば、放射線ビームを発射していない)とき、撮像データを入手するように構成され得る。例えば、1つ以上のX線検出器を備えている撮像システムは、療法用放射線ビームパルス間に、および/または療法用放射線源がアクティブにされていないとき、撮像データを入手し得る(高エネルギー放射線源から散乱するX線の効果に起因して)。1つ以上のPET検出器を備えている撮像システムは、療法用放射線ビームパルス間に、および/または第1の療法用放射線パルス前の治療セッションの開始時、および/または、最後の療法用放射線パルス後の治療セッションの終了時、PETデータを入手し得る。対照的に、1つ以上のMRIセンサを備えている撮像システムは、療法用放射線源が、アクティブにされているかどうかにかかわらず、および/または、放射線ビームパルスを印加しているかどうかにかかわらず、撮像データを入手し得る。
【0046】
放射線治療システム104は、撮像システムによって入手された撮像データ(例えば、この撮像データから計算される生物学的活性データおよび/または解剖学的データ)に基づいて、更新され、または適合させられ得る治療計画に従って、放射線を患者に向けるように構成され得る。放射線治療システムは、療法用放射線源(例えば、線形加速器等のMV X線放射線源、コバルト-60源等の放射性同位体源、またはサイクロトロン等の粒子ビーム源)と、療法用放射線ビームをむけるように、または限定するように構成され得る1つ以上のビーム成形構造と、療法用放射線源およびビーム成形構造を患者エリアの周囲の種々の発射位置に迅速に移動させるように構成される運動システムとを備え得る。一変形例では、放射線治療システムは、MV X線放射線源と、放射線源のビーム経路内に配置される動的マルチリーフコリメータとを備え得、両方は、移動可能なガントリを備えている運動システム上に搭載される。ガントリは、円形ガントリまたはL型アームもしくはC型アームガントリ等の回転可能ガントリであり、および/または、患者エリアの周りに移動可能および/または回転可能な関節運動式ロボットアームであり得る。ガントリは、随意に、持続的に回転するガントリであり得る。運動システムは、約10秒未満、例えば、約5秒未満、約3秒未満、約2秒未満、約1秒未満、約0.5秒未満、約0.25秒未満等以内に、放射線源およびビーム成形構造を1つの発射位置から別の発射位置に移動させるように構成され得る。動的マルチリーフコリメータは、複数のリーフを備え得、各リーフは、リーフをコントローラによって指定される場所に移動させるリーフ作動機構に取り付けられる。動的マルチリーフコリメータは、バイナリマルチリーフコリメータまたは2-Dマルチリーフコリメータであり得る。他のビーム成形デバイスまたはコリメータ、例えば、円形場を生成する半径方向コリメータも、使用され得る。リーフ作動機構は、放射線源が次のビームパルスを発射する前にリーフを1つの位置から別の位置に迅速に移動させるように構成され得る。例えば、バイナリマルチリーフコリメータでは、リーフ作動機構は、約5秒未満、例えば、約3秒未満、約2秒未満、約1秒未満、約0.5秒未満、約0.75秒未満、約0.5秒未満、約0.3秒未満、約0.25秒未満、約0.2秒未満、約0.1秒未満等以内に、リーフを閉鎖位置から開放位置に(その逆も同様である)移行させるように構成され得る。迅速移動運動システムと迅速移行動的マルチリーフコリメータとの組み合わせは、撮像データから抽出される生物学的活性データに基づいて、撮像データの入手と放射線ビームパルスの印加との間の待ち時間を低減させることに役立ち得る。特定の発射場所(例えば、療法用放射線源が放射線ビームを発射するときに位置付けられ得る患者エリアの周囲の場所)におけるリーフの位置は、治療計画に基づいて決定され得る。治療計画は、治療計画セッションにおいて計算され得、治療日に(例えば、リアルタイムで)入手された撮像データから抽出される生物学的活性データおよび/または生理学的データおよび/または解剖学的データに基づいて、治療セッション直前または治療セッション中に更新され得る。いくつかの変形例では、コントローラのプロセッサは、放射線ビームが治療計画に準拠する照射形状を有するように、各発射場所における各リーフの移動および位置決めを駆動するマルチリーフコリメータコマンドの組を生成し得る。この算出は、治療計画のセグメント化(および/または治療計画のフルエンスマップを生成する)とも称され、サイノグラムまたは放射線発射行列を生成し得る。サイノグラムは、マルチリーフコリメータの各リーフの位置を各発射位置または角度にマッピングするマルチリーフコリメータコマンドの組を表し得る。いくつかのサイノグラムは、マルチリーフコリメータリーフパターン(例えば、個々のリーフ位置を集約した結果としての累積ビーム形状)を各発射位置または角度にマッピングし得る。治療計画が、撮像システムによって入手された生物学的活性データおよび/または生理学的データおよび/または解剖学的データに基づいて更新され、または適合させられるにつれて、リーフ命令は、生物学的活性レベルおよび/または生理学的現象の任意の変化を考慮するように変化または適合し得る。いくつかの変形例では、動的マルチリーフコリメータは、療法用放射線源が次の発射位置に移動させられている間に1つ以上のリーフの位置を変化させるように構成され得る。同時リーフ移動および放射線源移動は、生物学的活性データの検出と放射線の印加との間の待ち時間を低減させることに役立ち得、それは、放射線治療システムが、腫瘍領域を、それらが実質的に移動する前に照射することに役立ち得る。さらに、マルチリーフコリメータの構成(例えば、種々の発射場所におけるリーフの位置)は、治療計画が治療日(例えば、治療時、治療の間)に入手された撮像データに基づいて更新されるにつれて、更新され得る。
【0047】
コントローラ106は、入手された撮像データが処理され得るように(例えば、生物学的活性データおよび/または生理学的データおよび/または解剖学的データを抽出または計算するため)、および、療法用放射線ビームの送達が入手された撮像データに基づいて調節され得るように、撮像システム102および放射線治療システム104と通信し得る。コントローラ106は、1つ以上のプロセッサ(例えば、中央処理ユニット)と、1つ以上のメモリとを備え得る。コントローラメモリは、1つ以上の治療計画に関連するデータ、治療計画パラメータ(例えば、計画品質指数、線量-体積ヒストグラム等)、以前に収集された撮像データ(例えば、診断撮像セッションから)、リアルタイム撮像データ(例えば、治療セッション日、治療時に入手された)、抽出された生物学的活性および/または解剖学的データ、放射線治療システムコマンドおよび命令、治療計画適合のために使用される動的モデルおよびアルゴリズム、ユーザ実装プログラム等を記憶し得る。コントローラ106は、撮像データおよび撮像構成要素フィードバック(例えば、画像検出器またはセンサのステータス、較正データ等)を撮像システム102から受信し得、撮像コマンド(例えば、任意のX線源のアクティブ化および/または画像検出器またはセンサのアクティブ化、検出器利得および/または感度レベルの調節、患者および/または放射線治療システムに対する撮像システムの位置付け等)を撮像システムに伝送することもし得る。コントローラ106は、データを放射線治療システムの種々の構成要素から受信し得、コマンドを放射線治療システムに伝送し得る。例えば、放射線治療システムは、運動システム(例えば、ガントリ)と、運動システム上に搭載される療法用放射線源(例えば、線形加速器)およびビーム成形デバイス(例えば、動的MLC)と、運動システム上に搭載される放射線検出器(例えば、MV検出器)とを備え得る。コントローラ106は、運動システムからの位置および/または速度データ、放射線源からの位置および/または放射線ビーム生成データ、ビーム成形デバイスからのリーフ構成データ、および/またはより一般的には、動作ステータス、較正データ、エラーインジケータ等を受信し得る。コントローラ106は、MLCコマンド、ガントリ回転/運動コマンド、線形加速器パルス命令等を伝送し得、これらのコマンドおよび命令は、治療計画、以前に入手された画像、リアルタイムで入手された撮像データ、患者の生物学的活性および/または生理学的データ、および/または、放射線治療システムの状態の組み合わせに基づいて、生成され得る。
【0048】
コントローラ106は、通信インターフェース108を介してディスプレイと通信し得、ディスプレイは、治療計画、撮像データ、生物学的活性および/または生理学的データ、撮像データに基づく治療計画に対する潜在的更新、患者識別、患者ステータス、システムステータス、治療セッション進行度、線量送達ステータス等に関する情報をユーザに提供するグラフィカルユーザインターフェース(GUI)を投影し得る。GUIは、ユーザ選択のためのコマンドのメニュー、および、ユーザが機械命令およびパラメータの所定の組を打ち込み得るようにプログラミングインターフェースも提供し得る。例えば、ディスプレイは、リアルタイム患者生物学的活性および/または生理学的データ、現在の治療計画の有効性に及ぼすこのデータの影響(例えば、生物学的および/または生理学的活性の現在のレベルを伴って、放射線が現在の治療計画に従って送達される場合の計画品質指数またはPQI、線量-体積ヒストグラムまたはDVH)を表す1つ以上の視覚的インジケータを提示し、臨床医が、現在の治療計画を進めるべきか、治療計画を修正すべきか、または治療セッションを一時停止すべきかを決定することを可能にし得る。いくつかの変形例では、ディスプレイ上のGUIは、治療計画中に計算された(例えば、計画CTおよび/またはPET画像等の計画画像から導出される生物学的および/または生理学的データに基づいて)、有界DVH曲線、PQI値、および/または任意の治療計画評価メトリクスを含み得る。これらのDVH曲線、PQI値、および/または任意の治療計画評価メトリクスは、臨床医によって事前に承認されている。DVH曲線、PQI値、および/または任意の治療計画評価メトリクスは、治療時、リアルタイムで入手された患者生物学的活性および/または生理学的データを使用して生成され、治療計画中に計算された同一メトリクスと同時に表示され得る。例えば、治療時に入手された撮像データから抽出される生物学的および/または生理学的データに基づいて計算される1つ以上のDVH曲線(例えば、PTVおよび/またはOARに対する)が、治療計画システムによって生成された有界DVH曲線の上にオーバーレイまたは重ねられ得る。ディスプレイは、本明細書に説明される方法のうちの1つ以上のものに従って、患者の生物学的活性および/または生理学的データに基づいて、追加の、および/または、代替の治療計画も提示し得る。いくつかの変形例では、ディスプレイ上のGUIは、リアルタイム撮像データに基づいて計算される治療計画メトリクスが事前に承認された範囲内(例えば、合格)および/または事前に承認された範囲外(例えば、不合格)であるかに関する視覚的通知を含み得る。随意に、いくつかの変形例は、例えば、治療計画への準拠の種々の程度を示す追加の通知の階層を含み得る。例えば、いくつかの変形例は、計算された治療計画メトリクスの分散が容認可能許容範囲内にあることを示す通知(例えば、許容範囲内で合格)および/または計算された治療メトリクスの分散が容認可能許容範囲外にあることを示す通知(例えば、一部を除き合格)を含み得る。随意に、リアルタイム撮像データに基づいて計算される治療計画メトリクスが、事前に承認された範囲外にあるとき、治療計画適合推奨が、GUIに提供され得る。ディスプレイ上に提示される情報は、臨床医が、治療時、患者の状態を所与として、最良の一連の措置を決定することに役立ち得る。代替として、または加えて、通知は、スピーカによって生成された1つ以上の聴覚信号または音を含み得、通知の各タイプまたは階層は、異なる音を有し得る。
【0049】
図1Bは、適合放射線療法のためのシステムの一変形例を描写する。システム120は、1つ以上のPET検出器124を備えている撮像システム122と、療法用放射線源128(例えば、線形加速器等のMV X線源)、動的MLCまたはDMLC130、およびMV検出器132を備えている放射線治療システム126とを備え得る。システム120はまた、撮像システムおよび放射線治療システム126と通信するコントローラ134と、通信インターフェース136とを備え得る。放射線放出アセンブリは、回転可能ガントリ等の移動可能なガントリ上に搭載され得る。いくつかの変形例では、回転可能ガントリは、持続的に回転可能な円形ガントリであり得る。随意に、撮像システム122も、移動可能なガントリ上に搭載され得る。1つ以上のPET検出器124によって入手されたPETデータ(例えば、1つ以上の個々の陽電子消滅放出経路)は、コントローラ134に伝送され得、それは、コントローラメモリに記憶され、および/または、本明細書に説明される方法のいずれかに従って処理され得る。コントローラ134は、生物学的活性および/または生理学的データをPETデータから計算および/または抽出し得、それは、随意に、臨床医に提示され得る。放射線治療システム126は、コントローラ134からのコマンドに従って、療法用放射線源128を移動させ、DMLCリーフ構成を変化させ、データをMV検出器から入手し得る。いくつかの変形例では、ガントリは、約40RPMまたはそれを上回って、例えば、約60RPM、約70RPMで回転するように構成され得る。DMLC130は、ガントリが放射線放出アセンブリを1つの発射位置から別の発射位置に移動させる時間間隔内にリーフ位置を変化させるリーフ作動機構を備え得る。例えば、DMLC130は、約10ms未満以内にリーフを完全閉鎖位置から完全開放位置に移動させるように構成されるリーフ作動機構を備え得る。いくつかの変形例では、n個の発射位置を有し、周波数fで回転する円形ガントリは、0.7
*(f/n)秒未満のDMLC移行時間を有し得る。例えば、n=100個の発射位置を有し、約1Hzの周波数fで回転する円形ガントリは、約7msのDMLC移行時間を有し得る。DMLCは、空気圧シリンダと1つ以上のばねとを備えているリーフ作動機構を備え得、リーフ作動機構は、リーフ位置を発射位置間の時間間隔内で変化させるために十分な原動力を提供し得る。マルチリーフコリメータリーフ作動機構ならびに放射線治療システムの追加の詳細および例は、2016年6月10日に出願された米国特許出願第15/179,823号および2016年11月15日に出願された米国特許出願第62/422,404号(参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる)に提供される。
【0050】
((方法))
(適合放射線療法)
生物学的活性および/または生理学的データに基づいて、放射線療法を適合させる方法は、撮像データをリアルタイムで(例えば、治療時および/または治療中に)入手することと、生物学的活性および/または生理学的データを撮像データから抽出することと、抽出された生物学的活性および/または生理学的データに基づいて、以前に生成された治療計画が送達され得るかどうかを決定することと、生物学的活性および/または生理学的データに従って、治療計画を更新または適合させることとを含み得る。撮像データは、完全分解能、高コントラスト、および/または高信号対雑音比(SNR)画像に限定されないこともあり、より低い分解能、より低いコントラスト、および/またはより低いSNRを有し得る画像を含み得る。いくつかの変形例では、撮像データは、部分的PET画像、部分的MRI画像、および/または部分的CT画像等を含み得る。例えば、部分的PET画像は、1つ以上の陽電子消滅放出経路(例えば、陽電子消滅事象によって放出される一対の同時発生光子によって画定される応答のライン)を含み得、部分的MRI画像は、フーリエドメイン内のk-空間の1つ以上の個々のライン(例えば、k-空間におけるサブサンプリング)を含み得、部分的CT画像は、1つ以上の2-D投影X線画像を含み得る。以前に生成された治療計画が、生物学的活性および/または生理学的データに照らして、臨床上適切なまま継続するかどうかを決定することは、それらのデータ値を以前に承認されたデータ値と比較すること(比較は、事前にプログラムされたコントローラまたはプロセッサによって実施され得る)および/または現在のデータ値に基づいて現在の治療計画の有効性を計算することを含み得る。いくつかの変形例では、システムは、抽出された生物学的活性および/または生理学的活性、治療計画品質パラメータ、および/または、関連閾値を臨床医に表示し得る。
【0051】
いくつかの変形例では、治療時に入手された撮像データから抽出される生物学的および/または生理学的データ(療法用放射線源がアクティブにされる前に入手されたPET事前走査から計算されるデータ等)は、治療セッションが現在の治療計画を用いて進められることができるかどうか(すなわち、「続行可」または「続行不可」)を決定するために使用され得る。現在の治療計画が送達のためにもはや適切ではないことが決定される場合、システムは、生物学的および/または生理学的データに従って、計画を適合させ、および/または更新し得る。一例では、DVH曲線および/または1つ以上のPQIが、現在の治療計画および現在の(例えば、リアルタイムで入手された)生物学的および/または生理学的データに基づいて、計算され得る。すなわち、システムは、入手された生物学的および/または生理学的データに照らして、治療が現在の治療計画を用いて進められるべき場合、送達される放射線量(例えば、DVH曲線および/または1つ以上のPQIメトリクス)を計算し得る。計算されたDVH曲線および/または1つ以上のPQI値は、治療計画および治療計画画像(例えば、計画CTおよび/またはPET画像)に基づいて計算されるDVH曲線および/またはPQI値と比較され得る。放射線療法システムは、計算されたDVHおよび/またはPQI値と、治療計画DVHおよび/またはPQI値との間の類似性のレベルを示す複数のレベルまたは階層の通知を臨床医または技術者に提供するように構成され得る。例えば、臨床医および/または放射線療法システムは、放射線が処方治療計画に従って送達されるために、標的領域被覆率が、放射線の処方中、1%許容範囲を伴って、少なくとも95%被覆率でなければならない(94%被覆率は、容認可能であるが、精査を必要とし、臨床医評価および承認を要求することを意味する)ことを規定し得る。治療セッションの開始時(すなわち、療法用放射線源ビームがオンになる前)に入手されたPET事前走査からの生物学的および/または生理学的データは、処方治療計画に基づいて、標的領域被覆率を計算するために使用され得る。計算された標的領域被覆率に応じて、放射線療法システムは、処方治療計画に従って放射線を送達することを進めるべきこと(すなわち、「続行可」)、または最新生物学的および/または生理学的データに基づいて治療計画が更新または(再)計算されるまでセッションが終了されるべきこと(すなわち、「続行不可」)の通知(例えば、ディスプレイ上に提示されるGUIを介した視覚的通知および/または聴覚信号)を提供し得る。いくつかの変形例は、下記の表1に要約されるステータスのうちの1つ以上のものを示す通知を生成し得る。
【表1】
【0052】
治療計画送達のために容認可能であると見なされる、DVHおよび/またはPQIは、臨床医、および/または、医院によって変動し得る。一変形例では、DVHおよび/またはPQIは、OARおよびBgROIの名目上のDVHにおける処方線量の10%を上回る全てのDVH点のうちの95%が、有界DVHの2つの境界における最小および最大DVH点内(±1%許容範囲以内)にある場合、合格/続行可であると見なされる。試験閾値、パーセント合格、および比較許容範囲は、システムの試運転中に調節され得る構成変数であり得る。続行可ステータスに進むための他の基準は、随意に、標的領域内の平均活性(例えば、腫瘍等のPET親和性領域)がシステムにおいて構成される最小レベルを上回ることを確実にするためのチェックを含み得る。例えば、標的領域内の平均SUVがシステムおよび/または臨床医、および/または、治療計画によって規定されるような最小レベルを上回ることのチェックが挙げられる。
【0053】
いくつかの変形例では、送達される放射線が事前に承認された範囲または境界内にないであろうため、治療計画がもはや送達可能ではないことが決定される場合、放射線療法システムは、治療計画適合のタイプに関する推奨または指針を臨床医および/または技術者に提供し得る。いくつかの変形例は、生物学的適合誘因を含み得、生物学的適合誘因は、1つ以上の治療計画品質および/または送達基準もしくはメトリクスを含み、治療計画によって送達される計算された線量(例えば、リアルタイム撮像データ、生物学的および/または生理学的データに基づいて計算される)がそれらの品質および/または送達基準を満たさない場合、適合の対応するタイプ(または複数のタイプ)を含む。例えば、臨床医または医院は、放射線送達中の1%許容範囲を伴った少なくとも95%の標的領域被覆率レベルの第1の治療目標(例えば、94%被覆率が、送達のために容認可能であり得、随意に、臨床医精査および承認を受け得ることを意味する)と、構造全体にわたって200cGy許容範囲を伴った1,500cGy最大平均線量未満の近傍場OARに対する最大平均線量(MMD)値の第2の治療目標(例えば、1,500cGy~1,700cGy最大平均線量が、送達のために容認可能であり得、随意に、臨床医精査および承認を受け得ることを意味する)とを設定し得る。治療計画が、治療日に、これらの目的または送達メトリクスのいずれかに満たない場合(すなわち、事前走査からの撮像データに基づいて)、システムは、治療計画のために推奨される適合のタイプの随意の指示、例えば、「推奨を伴う不合格」とともに、送達が「不合格/続行不可」であることを示し得る。
【0054】
例えば、標的被覆率が、94%許容範囲点を下回るが、90%を上回り、近傍場OARに対するMMD値が、目標以内である場合、システムは、「推奨を伴う不合格」を示す通知を生成し得る。推奨は、近傍場OARがそのMMD制約に違反しない限り、被覆率を増加させるための線量上昇を提供するように、治療計画を適合させるためのものであり得る。例えば、標的被覆率が、1,300cGyのOARに対するMMD値を伴って、93%である場合、システムは、「推奨を伴う不合格」を示す通知を生成し得る。推奨は、均一線量上昇を標的領域に提供し、95%および1,450cGyの更新された標的被覆率を達成するように、治療計画を適合させるためのものであり得る。
【0055】
別の例では、近傍場OARに対するMMD値が、1,700cGy許容範囲レベルを上回り、標的被覆率が、95%目標を上回る場合、システムは、「推奨を伴う不合格」を示す、通知を生成し得る。推奨は、標的被覆率が95%目標を上回ったままである限りMMD被覆率を減少させるために線量低減を提供するように、治療計画を適合させるためのものであり得る。例えば、標的被覆率が、1,950cGyのOARに対するMMD値を伴う99%である場合、システムは、「推奨を伴う不合格」を示す、通知を生成し得る。推奨は、均一線量低減を標的構造に提供し、95%および1,450cGyの更新された標的被覆率を達成するように、治療計画を適合させるためのものであり得る。代替として、または加えて、他の目標および/または放射線送達メトリクスも、治療計画への更新または適合を誘起し得る。例えば、治療計画は、線量成形の変化、構造修正、所与の位置に関する発射角度の変化、または意図される送達への類似調節に応答して、更新され得る。
【0056】
図2Aは、生物学的活性および/または生理学的データに基づいて、放射線療法を適合させる方法のフローチャート表現を描写する。この例は、PETトレーサを使用した状況において説明されるが、任意のタイプのトレーサおよび/または撮像モダリティが、使用され得ることを理解されたい。方法200は、治療セッションの開始時および/または治療セッション中、患者の撮像データを入手すること202と、生物学的活性および/または生理学的データを入手された撮像データから抽出すること204とを含み得る。撮像データは、例えば、治療セッションに先立って患者の中に注入されるPETトレーサから放出される陽電子消滅放出経路を含み得る。生物学的活性および/または生理学的データは、トレーサ摂取値(例えば、標準摂取値またはSUV)、PETトレーサ動態、組織代謝データ、骨形成活性データ、酸素化データ、遺伝子発現データ(例えば、ヒト成長因子受容体2型(HER2)発現)、遊離脂肪酸摂取データ、血流データ、血管分布データ、腫瘍幾何学形状内の形態学的シフト(例えば、棘突起形成)、および/またはリンパ活性データ等を含み得る。画像内の特定の2Dまたは3D領域のSUVが、以下のように、最初の注入(走査入手時)以降の特定の時間における患者体重(典型的には、kg単位)あたり注入される線量(典型的には、mCi単位)によって除算される、既知の組織トレーサ活性(典型的には、mCi/g単位)を表すように較正されるその領域内のピクセルまたはボクセルの強度を乗算することによって、撮像データから計算され得る。
【数10】
式中、c
img(t)は、最初の注入以降に経過した時間の関数としての較正された組織トレーサ活性であり、IDは、最初の注入時に注入された線量であり、BWは、最初の注入時の患者の体重である。
【0057】
種々の代替導出値が、加えて、3D体積の平均SUV、最小値、最大値、標準偏差、多領域SUV比率、および/または、全体重(時として、SUV
BWとも称される)の代わりに、除脂肪体重(SUV
LBM)もしくは体表面積(SUV
BSA)と関係づけられるSUV等、着目体積に対して計算され得る。PETトレーサ動態は、経時的ピクセル強度の変化を監視し、経時的に導出される活性値を計算することによって、計算され得る。すなわち、PETトレーサ動態およびSUV測定(例えば、平均摂取値、SUVの変化等)から導出される生物学的活性および/または生理学的値は、随意に、時間の関数として計算され得る。異なるタイプのPETトレーサが、異なるタイプの細胞マーカ(例えば、タンパク質、遺伝子等)を標的化し得、PETトレーサ動態を測定することは、トレーサタグ付け細胞マーカの変化の指示を提供し得る。例えば、着目領域の組織代謝の変化、および/または好気性および嫌気性解糖、および/または、グルコース消費または代謝が、18-Fフルオロデオキシグルコース(FDG)を注入し、長期治療期間(例えば、30分)の過程にわたって、所与の画定された標的領域内のトレーサ活性レベル(例えば、SUVの変化)を測定し、以下の式を用いて、腫瘍の中への進入の正味摂取率を表す傾き値Kを計算することによって測定され得る。
【数11】
式中、K
1は、血液から腫瘍組織の中に進入するPETトレーサ率であり、k
3/(k
2+k
3)は、もはや画定された標的領域の内外に移動していない腫瘍内のトレーサの割合であり、k
3は、もはや移動していないトレーサ活性であり、k
2は、移動し続けているトレーサ活性である。いくつかの変形例では、FDG PETデータを測定することによって、腫瘍領域の代謝を測定することは、SUV
maxの勾配を使用して、例えば、約30~50%SUV
maxの勾配を使用して、腫瘍組織と非腫瘍組織との間で線を描くことを含み得る。閾値は、勾配に沿った値に設定され得、勾配に沿った値は、上昇SUVレベルの領域を識別し得、または領域の輪郭を描き得る。代替として、または加えて、正常組織解糖(NTG)に対する腫瘍または病変解糖(LG)の比率が、治療計画を適合させるために使用され得る。LGは、代謝性腫瘍体積(MTV)をMTVのSUV(SUV
mean)の平均によって乗算することによって計算され得、NTGは、OAR体積をOAR体積のSUV
meanによって乗算することによって計算され得る。
【0058】
他のタイプのトレーサも、異なる生物学的機構および/または生理学的および/または生物学的活性レベルを測定するために使用され得る。例えば、13N-窒素トレーサが、局所肺機能(RPF)および/またはトレーサを含む血液のエアレーションを監視するために、患者内で使用され得る。これは、血液エアレーションが正常または予期される範囲内にあるかどうかと、血液が肺の換気領域を通して流動しているかどうかとの指示を提供し得る。13N-窒素トレーサ動態を測定することは、肺の非換気領域への血流(すなわち、換気肺領域からそれた、またはそれから他へ向けられた血液)についての情報も提供し得る。エアレーションされた血液の正味流量は、標的領域のトレーサ動態を計算することによって、計算され得る。例えば、正味トレーサ動態(例えば、正味トレーサ流量)を計算することは、マルチコンパートメントモデルを使用して、エアレーションされたトレーサ(例えば、分散または拡散したエアレーションされた血液内に存在するトレーサ)と短絡トレーサまたはエアレーションされていないトレーサ(例えば、流体で灌流されている肺胞等のエアレーションされていない血液または非換気組織内に存在するトレーサ)の流量間の差異を計算することを含み得る。正味トレーサ流量は、予期されるトレーサ流量データ(例えば、前の診断または治療セッションにおいて収集される)と比較され、治療計画適合が適切であり得るかどうかを決定することに役立ち得る。例えば、ある領域の正味トレーサ流量が、予期されるトレーサ流量(例えば、前の治療セッション中に計算されるような)未満である場合、治療計画は、より高い線量がその領域に送達されることを可能にするように修正され得る。より低い正味トレーサ流量は、改良または堅牢肺機能および/または血流、したがって、標的領域が増加レベルの放射線に耐えることが可能であり得ることを示し得る。より高い正味トレーサ流量は、低下または非効果的肺機能および/または血流、したがって、標的領域が放射線に対して敏感または低耐性であり得る(例えば、肺圧潰をより受けやすく、肺灌流における増加を生じさせる可能性がより高くあり得る)ことを示し得る。
【0059】
別の例では、治療セッション中のDNA合成および/または腫瘍細胞増殖率の変化が、18F-フルオロチミジントレーサを使用することによって、測定され得る。11C-メチオニントレーサも、治療セッション中のタンパク質合成および/または腫瘍細胞増殖率の変化を測定するために使用され得る。腫瘍領域のSUVの差異(例えば、SUVdiff)が、現在の治療セッションにおける着目領域内のボクセルのSUVを前の治療セッションにおけるボクセルのSUVから減算することによって、測定され得る。腫瘍領域低酸素度の変化が、18F-フルオロミソニダゾール(例えば、FMISO、FETNIM)および/または18F-フルオロアゾマイシンアラビノシドトレーサ(例えば、FETNIM)を使用して、測定され得る。SUVmaxの勾配法が、例えば、約30~50%SUVmaxの勾配を使用して、腫瘍組織と非腫瘍組織との間の線を描くために使用され得る。閾値は、上昇SUVレベルの領域、したがって、増加低酸素度の領域を識別し、または領域乗り物輪郭を描き得る勾配に沿った値に設定され得る。治療セッション中の葉酸受容体密度の変化が、3’-アザ-2’-[18F]フルオロ葉酸トレーサを使用して、測定され得る。卵巣腫瘍領域のSUVの差異(例えば、SUVdiff)が、現在の治療セッションにおける着目領域内のボクセルのSUVを前の治療セッションにおけるボクセルのSUVから減算することによって、測定され得る。HER2遺伝子発現(HER2GE)のレベルが、N-スクシンイミジル3-((4-(4-(18)F-フルオロブチル)-1H-1,2,3-トリアゾル-1-イル)メチル)-5-(グアニジノメチル)安息香酸放射性標識5F7抗体を使用して、測定され得る。着目体積(VOI)の平均SUV(SUVmean_total)によって表され得るHER2発現レベルが、VOIの体積を腫瘍体積のSUVの平均(SUVmean)によって乗算することによって、計算され得る。代替として、または加えて、治療セッション中のHER2発現レベルの変化が、現在の治療セッションにおけるVOI内のボクセルのSUVを前の治療セッションまたは走査におけるボクセルのSUVから減算することによって計算され得るVOIのSUVの差異(例えば、SUVdiff)によって表され得る。
【0060】
随意に、生物学的活性および/または生理学的データは、分光撮像データに基づいて、計算され得る。例えば、分光撮像は、1つ以上の患者領域(例えば、OAR、PTV等を含む任意の着目領域)内の代謝物濃度の空間分布を計算するために使用され得る。いくつかの変形例では、磁気共鳴(MR)分光画像データが、各治療セッションにおいて入手され、前の治療セッションおよび/または診断撮像セッションからのMR分光画像データと比較され得る。治療計画および/または放射線送達は、増加レベルの代謝物を有する腫瘍領域がより高いレベルの放射線で照射され得るように修正され得る。逆に言えば、腫瘍領域内の代謝物レベルが減少した場合、治療計画および/または放射線送達は、これらの腫瘍領域に送達される線量が低減させられるように修正され得る。
【0061】
いくつかの変形例は、解剖学的データ、例えば、任意の標的領域のサイズおよび場所、骨構造、照射回避領域、患者体重等を計算および/または抽出することも含み得る。
【0062】
方法200は、現在の治療計画が、抽出された生物学的活性および/または生理学的データに基づいて、送達可能であるかどうかを決定すること206をさらに含み得る。治療計画は、概して、以前に入手された患者データ(例えば、解剖学的、生物学的活性および/または生理学的データ)に基づいて策定され、任意の患者パラメータが初期データ入手セッションおよび治療セッションから変化した場合、治療計画は、臨床治療目標を達成するために、更新または再計算される必要があり得る。治療時、治療計画が送達可能と見なされ得るかどうかを決定することは、新しく入手された撮像データおよび/または抽出された生物学的および/または生理学的データに基づいて、治療計画を評価することと、患者内の1つ以上の標的領域への予期される送達線量を計算することと、予期される送達線量が所定の線量範囲内にあるかどうか、および/または、所望の線量分布に準拠するかどうかを決定することとを含み得る。例えば、治療計画は、照射標的領域への予期される送達線量が下限閾値(例えば、最小境界)を超え、かつ照射回避領域への予期される送達線量が上限閾値(例えば、最大境界)を超えない場合、送達可能と見なされ得る。いくつかの変形例では、コントローラは、臨床医によって事前に承認されているデータ値に基づいて、放射線療法治療計画を進めるかどうかの決定を行ない得る。例えば、DVH曲線および/またはPQIのうちの1つ以上のものが、治療計画中、計算され得、これらの範囲(例えば、有界DVH曲線、PQI値の範囲)は、臨床医によって精査および承認され得る。代替として、または加えて、放射線治療を進めるべきかどうかの決定は、コントローラによって提供される生物学的、生理学的活性レベル、治療計画効率性、線量分布等についての情報を用いて、臨床医によって行われ得る。上で説明されるように、いくつかの変形例では、ディスプレイ(例えば、モニタ)上にレンダリングされるGUIが、現在の治療計画が送達可能であるかどうか(すなわち、現在の治療計画が以前に承認されている範囲内の放射線を送達するであろうかどうか)の視覚的および/または可聴通知を提供し得る。例えば、GUIは、以下の通知のうちの1つ以上を提供し得る:合格/続行可、および/または不合格/続行不可、および/または、許容範囲内で合格、および/または一部を除き合格、および/または、推奨を伴う不合格。いくつかのシステムは、2つの階層の通知(例えば、合格/続行可、および不合格/続行不可)、3つの階層の通知(例えば、合格/続行可、許容範囲内で合格または一部を除き合格、および不合格/続行不可)、4つの階層の通知(例えば、合格/続行可、許容範囲内で合格、一部を除き合格、および不合格/続行不可)、または上で説明される5つの階層の通知を提供するように構成され得る。臨床医および/または医院は、所望される通知のタイプまたは階層の数を選択し得、生成された通知に従って、またはそれに反して、治療を進めるまたは停止するべきかどうかを決定し得る。
【0063】
治療セッションが、現在の治療計画を用いて進行し得ることが決定される場合208、コントローラは、システム命令/コマンドの組を生成し、患者への放射線送達のために、それらを放射線放出アセンブリに伝送し得る。いくつかの変形例では、それは、治療計画に基づいて、フルエンスマップを生成することと、フルエンスマップをDMLCリーフパターンまたはサイノグラムにセグメント化することとを含み得る。ステップ202-206は、治療セッションが完了する(治療計画および/または臨床医コマンド、および/または、患者コマンドによって規定されるように)まで、繰り返され得る。治療セッションが現在の治療計画を進めるべきではないことが決定される場合、方法200は、治療セッションが終了されるべきかどうかを決定すること210を含み得る。例えば、入手された生物学的活性および/または生理学的データは、患者が任意の放射線暴露に耐えることが不可能であること、および/または、着目領域が治療計画セッションから著しく変化したこと、および/または、患者が治療前プロトコルを順守しなかったこと(例えば、治療セッション直前に糖質の多い食品を摂取し、18-F FDGを使用したとき、患者のPET画像を無効にした)、および/または、計画された放射線暴露がもはや適正な治療を提供しないこともあり(例えば、腫瘍が低酸素になり、放射線治療を妨害する)、計画を適合させることが実行不可能であること、および/または、PETトレーサ摂取またはSUVが、容認可能品質の線量送達を保証することが不可能であろう(例えば、不良な摂取、非特異的摂取、高レベルの背景雑音等)ことを示し得る。治療セッションを終了させること212は、随意に、生物学的活性および/または生理学的データの変化に適合させるように治療計画を更新または再計算することを含み得る。更新され、または適合させられた治療計画は、次いで、将来的治療セッションのために使用され得る。
【0064】
治療セッションが終了されるべきではないことが決定される場合210、方法200は、随意に、治療計画中に入手された生物学的活性および/または生理学的データと比較した送達時に入手された生物学的活性および/または生理学的データの差異に起因する予期される線量分布の任意の変化を考慮するように、治療計画を更新または再計算する(すなわち、治療計画を再計画する、適合させる)ことを含み得る。更新された治療計画は、臨床医によって設定された臨床目標の(全てではないにしても)大部分を満たしながら、入手された生物学的活性および/または生理学的データによって示されるような患者、および/または、標的領域の現在の状態を考慮し得る。例えば、更新された治療計画は、入手された生物学的活性および/または生理学的データを組み込み、1つ以上の標的領域に送達される線量が所望の線量範囲内にあるように、更新された放射線送達パラメータ(例えば、RFM、フルエンスマップ、放射線放出アセンブリ命令等)を計算し得る。
【0065】
治療計画は、生理学的および/または生物学的活性データにおける変化の許タイプおよび/または大きさに応じて、1つ以上の側面において更新され得る。治療計画は、データが、標的領域がより放射線耐性であることを示す場合、標的領域に送達される線量を増加させるように更新され得、および/または、照射面積は、標的領域の運動または標的領域のサイズの変化に応じて、増加または減少させられ得る。代替として、または加えて、治療計画は、OARの照射を減少させるように調節され得る。代謝性腫瘍体積(MTV)の変化に起因する治療計画への適合は、MTVの新しいサイズおよび形状に合うように標的輪郭を調節することを含み得る。代謝率の変化に起因する適合は、低減させられた代謝率のエリアへの線量を低減させ、増加させられた代謝率のエリアへの線量を増加させることを含み得る。低下された代謝率のエリアは、非腫瘍組織と対応し得る一方、上昇された代謝率のエリアは、腫瘍組織と対応し得る。代謝性活性レベルおよび/または代謝物の濃度の変化は、SUV、および/または、分光データ(例えば、MR分光法)の変化に基づいて、計算され得る。LG対NTG比率の増加(周囲OARに対して)に起因する計画適合は、それらの領域内において線量勾配を増加させること(例えば、より急峻な線量勾配)を含み得る。計画適合は、ある領域のLGレベルの増加が検出される場合、その領域への線量を増加させることを含み得る。より低い正味流量等のRPFの検出された変化に起因する計画適合は、標的領域の近傍のOARの照射を低減させる(例えば、OAR線量除外度を増加させる)ことを含み得、それは、随意に、標的領域に送達される線量を低減させることを含み得る。DNA合成および/またはタンパク質合成率の増加に起因する治療計画への適合は、正のSUVdiff値を伴うボクセルへの線量を増加させ、負のSUVdiff値を伴うボクセルへの線量を減少させることを含み得る。標的領域内の低酸素レベルの変化に起因する治療計画への適合は、低酸素レベルが増加する場合、線量を増加させる(例えば、最小線量レベルを増加させる)ことを含み得る。葉酸受容体密度の変化に起因する治療計画への適合は、SUVdiff体積に関して正の値を伴うボクセルへの線量を増加させ、SUVdiff体積に関して負の値を伴うボクセルへの線量を減少させることを含み得る。HER2発現の変化に起因する治療計画への適合は、SUVmean_totalが増加した(例えば、HER2遺伝子発現の増加を示す)場合、着目腫瘍体積と正常組織との間の線量勾配を延長することを含み得る。放射線療法が、HER2標的化免疫療法と併せて事前に規定されている場合、治療計画は、SUVdiff体積に関して正の値を伴うボクセルへの線量を減少させ、SUVdiff体積に関して負の値を伴うボクセルへの線量を増加させることによって、調節され得る。
【0066】
下記の表2は、撮像データに基づいて計算され得る生理学的および/または生物学的活性データのタイプの例、この活性データを撮像データから導出する方法、および対応する治療計画適合の例を要約する。
【表2-1】
【表2-2】
【表2-3】
【表2-4】
【0067】
更新された治療計画を生成後(随意に、臨床医によって精査および承認され得る)、方法200は、更新された治療計画に従って放射線を患者に送達すること216を含み得る。いくつかの変形例では、それは、更新された治療計画に基づいて、フルエンスマップを生成し、フルエンスマップをDMLCリーフパターンまたはサイノグラムにセグメント化することを含み得る。療法用放射線源が、サイノグラムに基づいて、コントローラからの命令に従ってアクティブにされ得る。方法200は、治療セッション中、1回またはそれを上回って実施され得る。例えば、方法200は、治療セッションの開始時に実施され、現在の治療計画を進めるべきかどうか、および/または、現在の治療計画を更新または再計算し、そして、次の治療セッションまで再び実施されない。これは、オンライン適合放射線療法と称され得る。代替として、方法200は、治療セッション全体を通して、複数回、例えば、治療セッションの開始時、治療セッション全体を通して周期的に(例えば、全ての発射位置、1つおきの発射位置等において)、および/または治療セッションの終了時、実施され得る。これは、治療セッション全体を通して、患者のリアルタイム状態に従って、治療計画を持続的に更新し得る。これは、リアルタイム適合放射線療法と称され得る。随意に、方法200は、臨床医によってコマンドされるように実施され得る(例えば、GUIを介して)。治療セッション時に入手された生物学的活性および/または生理学的データが、次の治療セッションのための治療計画を更新または再計算するために、治療セッション後に使用され得る。これは、オフライン適合放射線療法と称され得る。
【0068】
(オンライン適合放射線療法)
図2Bは、生物学的活性および/または生理学的データに基づいたオンライン適合放射線療法のための方法の一変形例を描写する。治療セッションに先立って(ブロック231a-231c)、治療計画が、任意の所望の撮像モダリティ(例えば、PET、SPECT、MRI、CT、X線等)を使用して入手された画像または画像データに基づいて、および/または、臨床医の診察に伴って、患者のために生成され得る。いくつかの変形例では、治療計画の予期される線量分布プロファイルを計算および/または推定するために、治療計画シミュレーションが行われ、シミュレーションの成果に応じて、治療計画に対するさらなる変更があり得る。オンライン適合放射線療法は、治療セッションの開始時(例えば、療法用放射線源がオンにされる前)に入手された生物学的および/または生理学的データに基づいて、治療計画を更新または計算することを含み得る。新しく適合せられた、または計算された治療計画は、その治療セッション中、放射線を患者に送達するために使用され得る。例えば、オンライン適合放射線療法方法230は、治療送達時、機能撮像走査等の撮像データを入手すること232を含み得る。これは、例えば、治療セッションの開始時、最初の放射線ビームが患者に印加される前、任意の撮像モダリティ(例えば、PET、SPECT、MRI、CT、X線等)を使用して、撮像データを入手することを含み得る。コントローラは、次いで、撮像データから抽出される生物学的活性および/または生理学的データが、現在の治療計画に対する変更が必要とされることを示すかどうかを評価し得る234。生物学的活性および/または生理学的データを評価することは、限定ではないが、標的領域輪郭描写、標的領域アイソセンタ、および/または、OAR場所を含む患者および/または標的領域の種々のパラメータを抽出することを含み得る。線量送達率、治療時間、等線量勾配、線量不均一性、線量適合、ビーム特性、および運動管理方略が、生物学的活性および/または生理学的データに基づいて、適合させられ得る。これは、例えば、患者の標的領域の運動エンベロープが、特定の生物学的機能に起因してサイズが低減させられる(例えば、近傍領域標的の運動エンベロープを低減させる副作用を有し得る低減させられた局所肺機能を検出するためのPETトレーサ動態を使用すること)とき、線量送達率および寝台速度を増加させることによる、治療時間の短縮を含み得る。代替として、または加えて、それは、例えば、より高い濃度の線量を前の治療計画基準画像に存在しなかった標的領域内の領域(例えば、シミュレーション画像に存在しなかった低酸素領域)に提供するために、所与の標的領域の等線量勾配および線量不均一性を増加させることを含み得る。この適合は、標的領域への増加させられた総送達線量も含み得るが、必須ではない。代替として、または加えて、それは、例えば、運動管理機構が利点より多くの害を生じさせ得ることの生理学的インジケータの結果、治療中に使用されるべき運動管理機構の特定の機構を改変することを含み得る(例えば、以前に検出されていない灌流に起因したより高い腹部内圧の検出により、腹部圧迫ユニットによって加えられる圧力をシフトまたは低減させること、加えて、現時点で増加させられた運動エンベロープに合わせるように治療計画の標的領域サイズを補償すること)。随意に、方法は、放射線療法システムが処方放射線量を送達することが可能であるかどうか、および/または、処方放射線量が計画に従って送達されたかどうかを決定すること235を含み得る。患者撮像データに基づいて、治療計画を評価し、現在の治療計画が更新され、または適合させられる必要があるかどうかを決定する方法が、下でさらに説明される。変更が、必要とされない場合、放射線治療システムは、現在の治療計画に従って、治療を送達することに進み得236、随意に、生物学的活性および/または生理学的パラメータを示す撮像データ(例えば、PETデータ)を入手し得る。
【0069】
治療計画への変更が、必要とされる場合、抽出された生物学的活性および/または生理学的データが、治療計画を再計算するために、またはそれを適合させるために使用され得る238。随意に、機能画像データおよび/または計画画像データ(それぞれ、ブロック237aおよび237bから)が、治療計画を適合させるために使用され得る。治療計画に対する修正は、各標的領域のための絶対線量値、各標的領域のための、および/または、累積的に患者のための線量限界、生物学的有効線量値、等価線量値、および、治療分画を含み得る。これは、例えば、シミュレーションと治療との間の低酸素領域形成を考慮するために、体積のあるパーセンテージにわたって許容される最大線量を増加させることによって、標的領域のための線量限界を適合させることを含み得る。加えて、または代替として、それは、例えば、現在の画分(fraction)が治療不可能であることをもたらす、標的領域内で検出される実質的に異なる代謝性活性から生じる治療分画(faractination)の変化に合わせるために、ある領域のための許容される生物学的有効線量制約を増加させることを含み得る。代替として、または加えて、使用されるトレーサのタイプに応じて、治療計画は、上で説明され、表2に要約されるように、適合させられ得る。いくつかの変形例では、治療時に入手された生物学的活性および/または生理学的データを組み込むように、治療計画を再計算することまたは適合させることは、入手された生物学的活性および/または生理学的データを用いて、1つ以上の試験治療計画をシミュレートすることと、臨床目標を満たし、および/または所望の線量分布を提供する1つ以上の試験治療計画から更新された治療計画を選択することとを含み得る。いくつかの変形例では、更新され、または適合させられた治療計画は、規定または承認されたPQI範囲および/または生物学的活性および/または生理学的データ範囲に準拠し得る。適合放射線療法治療計画プロセスは、通常治療計画と類似方法論に従って、治療計画および関連治療計画アーチファクトを生成し得る。いくつかの変形例では、これらのアーチファクトの多くは、自動的に生成されるか、または動作を実施するために要求される時間量を低減させるように具体的に設計されるツールの使用に伴って生成される。いくつかの変形例では、適合および適合治療計画プロセスは、最初の治療計画と同一ソフトウェア上で実施される。方法230は、次いで、更新され、または適合させられた治療計画に従って放射線を送達すること236を含み得る。いくつかの変形例では、更新され、または適合させられた治療計画は、作成時および/または放射線が更新された計画に従って送達される前、臨床医によって、精査、評価、および/または承認され得る。更新され、または適合させられた治療計画は、随意に、治療計画データベース内(例えば、コントローラのメモリおよび/または遠隔サーバメモリ内)に記憶され得る。将来的治療セッションまたは画分は、所望に応じて、記憶された治療計画を参照し得る。代替として、または加えて、更新され、または適合させられた治療計画は、患者および/または臨床医による精査および査定のために、患者治療記録内に記憶され得る。将来的治療セッションまたは画分は、所望に応じて、患者記録内に記憶される治療計画を参照し得る。
【0070】
随意に、治療セッションの完了時、追加の撮像データが、入手され得る。例えば、1つ以上の最終機能撮像走査が、治療セッションの完了時(例えば、最後の放射線ビームが印加された後)に入手され得る。随意に、治療セッション後(すなわち、患者が放射線治療システムから退出した後)、コントローラは、最終撮像走査から抽出される生物学的活性および/または生理学的データに基づいて、治療セッション内で送達された治療計画が次の治療セッションのために更新されるべきかどうかを評価し得る240。生物学的活性および/または生理学的データが、治療計画への変更が必要とされることを示す場合、コントローラは、次いで、上で説明される適合のうちの任意の1つ以上のものを使用して、将来的治療セッションのために治療計画を再計算し、または適合させ得る242。オフライン適合治療計画は、前の治療セッション中に入手された生物学的活性および/または生理学的データを使用した治療セッションの合間の治療計画の計算、および/または、シミュレートを指し得る。随意に、治療セッション中におよび/またはオフラインで生成された治療計画は、治療計画データベースに記憶され得る。データベース内の治療計画は、所望に応じて、将来的治療セッションにおいて使用され得る。
【0071】
(リアルタイム適合放射線療法)
図2Cは、生物学的活性および/または生理学的データに基づいたリアルタイム適合放射線療法のための方法の一変形例を描写する。リアルタイム適合放射線療法では、治療計画は、同一治療セッション中に入手された生物学的活性および/または生理学的データに基づいて、治療セッション中、複数回、更新され、または適合させられる。例えば、治療セッションの開始時に入手された画像データから抽出される、入手された生物学的活性および/または生理学的データが、前の計画セッションにおいて生成された治療計画が依然として適用可能であることを示す場合、放射線治療システムは、その治療計画に従って、放射線量送達を開始し得る。機能画像データが、治療セッション中に入手されるにつれて、治療計画は、生物学的活性および/または生理学的データ内で検出された任意の変化に従って、更新され、または適合させられ得る。リアルタイム適合放射線療法は、治療セッション全体を通して(例えば、療法用放射線源のアクティブ化の間に)入手された生物学的および/または生理学的データに基づいて、治療計画を更新または計算することを含み得る。新しく適合せられた、または計算された治療計画は、その治療セッション中、かついくつかの変形例では、リアルタイムで、患者に送達され得る。治療セッションの終了時、治療計画の最終反復は、患者生物学的活性および/または生理学が治療の過程において変化し得る状態に応じて、治療セッションの開始からの治療計画と同一ではない場合がある。
【0072】
ここで
図2Cに目を向けると、治療セッションに先立って(ブロック251a-251c)、治療計画が、任意の所望の撮像モダリティ(例えば、PET、SPECT、MRI、CT、X線等)を使用して入手された画像または画像データに基づいて、および/または臨床医の診察を用いて、患者のために生成され得る。いくつかの変形例では、治療計画の予期される線量分布プロファイルを計算および/または推定するために、治療計画シミュレーションが行われ、シミュレーションの成果に応じて、治療計画へのさらなる変更が行われ得る。オンライン適合放射線療法方法250は、治療送達時、機能撮像走査等の撮像データを入手すること252を含み得る。これは、例えば、治療セッションの開始時、最初の放射線ビームが患者に印加される前に任意の撮像モダリティ(例えば、PET、SPECT、MRI、CT、X線等)を使用して、撮像データを入手することを含み得る。コントローラは、次いで、撮像データから抽出される生物学的活性および/または生理学的データが、現在の治療計画への変更が必要とされることを示すかどうかを評価し得る254。生物学的活性および/または生理学的データを評価することは、限定ではないが、標的領域輪郭描写、標的領域アイソセンタ、および/または、OAR場所を含む患者および/または標的領域の種々のパラメータを抽出することを含み得る。生物学的活性および/または生理学的データは、線量送達率、治療時間、等線量勾配、線量不均一性、線量適合、ビーム特性、および運動管理方略に関連する情報も提供し得る。これは、例えば、患者の標的領域の運動エンベロープが、特定の生物学的機能に起因してサイズが低減させられる(例えば、近傍領域標的の運動エンベロープを低減させる副作用を有し得る低減させられた局所肺機能を検出するためのPETトレーサ動態を使用すること)とき、線量送達率および寝台速度を増加させることによる治療時間の短縮を含み得る。代替として、または加えて、例えば、より高い濃度の線量を前の治療計画基準画像に存在しなかった標的領域内の領域(例えば、シミュレーション画像に存在しなかった低酸素領域)に提供するために、所与の標的領域の等線量勾配および線量不均一性を増加させることを含み得る。この適合は、標的領域への増加させられた総送達線量も含み得るが、必須ではない。代替として、または加えて、それは、例えば、運動管理機構が利点より多くの害を生じさせ得ることの生理学的インジケータの結果として、治療中に使用されるべき運動管理機構の特定の機構を改変することを含み得る(例えば、以前に検出されていない灌流に起因したより高い腹部内圧の検出により、腹部圧迫ユニットによって加えられる圧力をシフトまたは低減させること、加えて、現時点で増加させられた運動エンベロープに合わせるように治療計画の標的領域サイズを補償すること)。患者撮像データに基づいて、治療計画を評価し、現在の治療計画が更新され、または適合させられる必要があるかどうかを決定する方法が、下でさらに説明される。
【0073】
変更が、必要とされない場合、放射線治療システムは、現在の治療計画に従って、治療を送達することに進み得る258。治療計画への変更が、必要とされる場合、抽出された生物学的活性および/または生理学的データが、治療計画を再計算するために、または適合させるために使用され得る260。治療計画への修正は、
図2Bを参照して上で説明されるように、各標的領域のための絶対線量値、各標的領域のための、および/または累積的に患者のための線量限界、生物学的有効線量値、等価線量値、およびに治療分画を含み得る。代替として、または加えて、使用されるトレーサのタイプに応じて、治療計画は、上で説明され、表2に要約されるように、適合させられ得る。いくつかの変形例では、治療時に入手された生物学的活性および/または生理学的データを組み込むように、治療計画を再計算することまたは適合させることは、
図2Bを参照して上で説明されるように、入手された生物学的活性および/または生理学的データを用いて、1つ以上の試験治療計画をシミュレートすることと、臨床目標を満たし、および/または所望の線量分布を提供する1つ以上の試験治療計画から更新された治療計画を選択することとを含み得る。いくつかの変形例では、更新され、または適合させられた治療計画は、規定または承認されたPQI範囲および/または生物学的活性および/または生理学的データ範囲に準拠し得る。方法250は、次いで、更新され、または適合させられた治療計画に従って放射線を送達すること258を含み得る。いくつかの変形例では、更新され、または適合させられた治療計画は、作成時および/または放射線が更新された計画に従って送達される前、臨床医によって、精査、評価、および/または承認され得る。
【0074】
治療セッション中、生物学的活性および/または生理学的データは、治療計画の現在のバージョンまたは反復に従って放射線を印加する間、撮像データを入手することによって、監視され続け得る(例えば、リアルタイムで)。例えば、撮像データは、所定の時間間隔(例えば、約10Hz、5Hz、2Hz、1Hz、0.5Hz等)および/または全ての発射位置もしくは発射位置のある一部において入手され得る。方法250は、次いで、治療送達を変調させること、または適合させることを行うべきかどうかを決定すること262を含み得る。更新された生物学的活性および/または生理学的データに照らして、治療計画を評価し、現在の治療計画が治療のために好適であるかどうかを決定する方法が、下でさらに説明される。治療送達を変調することまたは適合させること264は、例えば、フルエンスマップをシフトまたはスケーリングすること、および/またはある標的領域に関する線量強度を調節すること、および/または、ある標的領域のための線量を増加もしくは減少させること等を含み得る。加えて、または代替として、治療送達は、領域が、元々計画されたものと異なる量の放射線を受け取ることを防止するであろう、またはそれを可能にするであろう変化に合わせるために、治療のデューティサイクルを変化させること、利用可能な発射位置の数を増加または減少させることによって、変調され得る(例えば、心臓灌流が治療途中で悪化する深刻度を検出すること、それは、システムが、その領域を放射線にさらす発射位置の数を低減させるが、全体的治療時間を増加させ、放射線の同じ処方線量に到達することを可能にし得る)。代替として、または加えて、使用されるトレーサのタイプに応じて、治療計画は、上で説明され、表2に要約されるように、適合させられ得る。放射線治療システムは、次いで、上で計算された修正に従って、放射線を患者に送達することに進み得る。
【0075】
随意に、治療セッションの完了時、追加の撮像データが、入手され得る。例えば、1つ以上の最終機能撮像走査が、治療セッションの完了時(例えば、最後の放射線ビームが印加された後)に入手され得る。随意に、治療セッション後(すなわち、患者が放射線治療システムから退出した後)、コントローラは、最終撮像走査から抽出される生物学的活性および/または生理学的データに基づいて、治療セッション中に実行される治療パラメータまたは計画のいずれかを更新または適合するかどうかを評価し得る266。生物学的活性および/または生理学的データが、治療計画への変更が必要とされることを示す場合、コントローラは、次いで、上で説明される適合のうちの任意の1つ以上のものを使用して、将来的治療セッションのために治療計画を再計算し、または適合させ得る268。随意に、治療セッション中におよび/またはオフラインで生成された治療パラメータ、および/または、治療計画は、治療計画データベースに記憶され得る。データベース内の治療計画は、所望に応じて、将来的治療セッションにおいて使用され得る。
【0076】
(オフライン適合放射線療法)
治療セッション中に入手された撮像データ(機能撮像データ等)が、次の治療セッション時、患者のための治療計画を計算または生成するために使用され得る。オフライン適合放射線療法は、患者が治療システム内に位置していないときの治療セッションの合間に、治療計画を計算または生成することを含み得る。前述のように、撮像データは、治療セッションの開始時、最初の放射線ビームが患者に印加される前、入手され得る。撮像データは、PET、SPECT、MRI、CT、X線等の任意の撮像モダリティを使用して入手され得る。コントローラは、次いで、以前に計算された治療計画が、入手された撮像データから抽出される生物学的活性および/または生理学的データに基づいて、送達可能であり、および/または、臨床目標を満たすかどうかを評価し得る。送達可能でない、および/または、臨床目標を満たさない場合、治療セッションは、終了され、撮像データ、抽出された生物学的活性および/または生理学的データが、次の治療セッションのための治療計画を更新するために、または適合させるために、コントローラメモリに記憶される。以前に計算された治療計画が送達可能であり、および/または、臨床目標を満たす場合、その治療計画に基づく放射線療法が、進行し得る。随意に、撮像データは、治療セッション中および/または治療セッションの終了時に入手され得る。全ての撮像データ、抽出された生物学的活性および/または生理学的データ、および任意の他の算出された品質が、コントローラメモリに記憶され得る。治療セッションの終了後、コントローラは、上で説明される適合のうちの1つ以上のものを使用して、入手された撮像データに基づいて、治療計画を更新し、または適合させ得る(もしくは新しい治療計画を生成する)。前述のように、任意の治療計画および/または治療セッションパラメータは、治療計画データベース、および/または、患者記録データベースに記憶され得る。
【0077】
図2Dは、オフライン適合放射線療法のための方法を描写する。治療セッションに先立って(ブロック271a-271c)、治療計画が、前述のように、任意の所望の撮像モダリティ(例えば、PET、SPECT、MRI、CT、X線等)を使用して入手された画像または画像データに基づいて、および/または臨床医の診察を用いて、患者のために生成され得る。放射線が以前に生成された治療計画に基づいて送達される治療セッション中273、放射線治療システムは、撮像データを入手し、それから、生物学的活性および/または生理学的データが、抽出され得る。このデータは、コントローラメモリに記憶され得、治療セッションの完了後、治療計画を更新し、または適合させる(もしくは新しい治療計画を生成する)ために使用され得る。オフライン適合放射線療法方法270は、前の治療セッション中に入手された撮像データから抽出される生物学的活性および/または生理学的データに基づいて、治療計画を更新すべきかどうかを決定すること272を含み得る。生物学的活性および/または生理学的データを評価することは、限定ではないが、標的領域輪郭描写、標的領域アイソセンタ、および/または、OAR場所を含む患者および/または標的領域の種々のパラメータを抽出することを含み得る。生物学的活性および/または生理学的データは、線量送達率、治療時間、等線量勾配、線量不均一性、線量適合、ビーム特性、および運動管理方略に関連する情報も提供し得る。これは、例えば、患者の標的領域の運動エンベロープが、特定の生物学的機能に起因してサイズが低減させられる(例えば、近傍領域標的の運動エンベロープを低減させる副作用を有し得る低減させられた局所肺機能を検出するためのPETトレーサ動態を使用すること)とき、線量送達率および寝台速度を増加させることによる、治療時間の短縮を含み得る。代替として、または加えて、それは、例えば、より高い濃度の線量を前の治療計画基準画像に存在しなかった標的領域内の領域(例えば、シミュレーション画像に存在しなかった低酸素領域)に提供するために、所与の標的領域の等線量勾配および線量不均一性を増加させることを含み得る。この適合は、標的領域への増加させられた総送達線量も含み得るが、必須ではない。代替として、または加えて、例えば、運動管理機構が利点より多くの害を生じさせ得ることの生理学的インジケータの結果として、治療中に使用されるべき運動管理機構の特定の機構を改変することを含み得る(例えば、以前に検出されていない灌流に起因したより高い腹部内圧の検出により、腹部圧迫ユニットによって加えられる圧力をシフトまたは低減させること、加えて、現時点で増加させられた運動エンベロープに合わせるように治療計画の標的領域サイズを補償すること)。代替として、または加えて、使用されるトレーサのタイプに応じて、治療計画は、上で説明され、表2に要約されるように、適合させられ得る。患者撮像データに基づいて、治療計画を評価し、現在の治療計画が更新され、または適合させられる必要があるかどうかを決定する方法が、下でさらに説明される。
【0078】
変更が、必要とされない場合、治療計画は、次の治療セッションまたは画分のために、放射線を送達するために使用され得る。治療計画への変更が、必要とされ、および/または生物学的活性データ、および/または、生理学的データが、治療計画を更新するための基準を満たす場合、抽出された生物学的活性および/または生理学的データは、治療計画を再計算するために、または適合させるために使用され得る274。随意に、機能画像データおよび/または計画画像データ(ブロック275a)が、治療計画を適合させるために使用され得る。随意に、治療シミュレーションが、治療計画を適合させるために再入手され得る(ブロック275b)。治療計画への修正は、
図2Bを参照して上で説明されるように、各標的領域のための絶対線量値、各標的領域のための、および/または累積的に患者のための線量限界、生物学的有効線量値、等価線量値、および治療分画を含み得る。代替として、または加えて、使用されるトレーサのタイプに応じて、治療計画は、上で説明され、表2に要約されるように、適合させられ得る。いくつかの変形例では、治療時に入手された生物学的活性および/または生理学的データを組み込むように、治療計画を再計算することまたは適合させることは、
図2Bを参照して上で説明されるように、入手された生物学的活性および/または生理学的データを用いて、1つ以上の試験治療計画をシミュレートすることと、臨床目標を満たし、および/または所望の線量分布を提供する1つ以上の試験治療計画から更新された治療計画を選択することとを含み得る。いくつかの変形例では、更新され、または適合させられた治療計画は、規定または承認されたPQI範囲および/または生物学的活性および/または生理学的データ範囲に準拠し得る。更新された治療計画は、続く治療セッションまたは画分のために使用され得る。方法270は、所望に応じて、各治療セッションまたは治療セッションの選択された組の後、繰り返され得る。いくつかの変形例では、治療計画計算は、放射線治療システムコントローラによって実施され得る。代替として、または加えて、放射線治療システムは、収集された撮像データおよび/または生物学的活性および/または生理学的データを治療計画システムコントローラ等の遠隔コントローラに伝送し得、それは、治療計画計算を実施し、治療計画(更新される場合とそうではない場合がある)を放射線治療システムに返送し得る。
【0079】
(治療計画を評価する方法)
1つ以上の方法が、治療計画を評価し、治療計画が所望の線量の放射線をROIまたは標的領域に提供するであろうかどうかを決定するために使用され得る。所望の放射線量は、いくつかの変形例では、放射腫瘍医によって書かれた処方箋であり得、標的領域(例えば、照射標的領域および/または照射回避領域)のための線量-体積(DV)制約を規定し得る。これらは、腫瘍領域および/または放射線に敏感な領域(例えば、危険臓器)のためのDV制約を含み得る。腫瘍を含む照射標的領域は、肉眼的腫瘍体積と、微視的疾患、腫瘍運動、および患者設定不確実性を考慮するために、肉眼的腫瘍体積を包囲する辺縁とを含み得る。肺定位治療のための放射線量処方箋の例は、
図3Aに描写される。表に説明されるように、臨床医は、患者内の異なるタイプのROI、例えば、動静脈系の少なくとも一部を含む1つ以上の計画標的体積(PTV;腫瘍塊と、腫瘍塊の周囲の辺縁とを含み得る)、脊髄領域、全体的肺、皮膚領域、肋骨、心臓、食道、肝臓、および特定の血管領域(例えば、大動脈、下大静脈、上大静脈、肺動脈、または肺静脈等の脈管によって占有された領域)を規定し得る。これらのROIのうちのいくつかは、照射標的領域(例えば、PTV)である一方、その他は、照射回避領域(例えば、脊髄、肺、皮膚、血管系)である。ROIの各々のために、臨床医は、照射されるべきROIの割合のための閾値、ROI全体にわたって印加され得る放射線の最大累積量、およびROIの一部にわたって印加され得る放射線の最大量を規定し得る。例えば、PTV領域等の照射標的領域のために、放射線量処方箋は、約50Gyの最大累積放射線レベルを伴って、PTV領域の少なくとも95%が照射され、PTVのいかなる部分も、処方放射線レベルの107%を上回って放射線に暴露されてはならない(例えば、1.07×50Gy=53.5Gy)ことを規定し得る。いくつかの変形例では、臨床医は、PTVの小領域が照射されるべきであることを規定し得る。すなわち、臨床医は、PTVの腫瘍塊領域のみが照射されるべきであり、および/または、PTV体積のある割合(例えば、約10%、約20%約25%、約35%、約40%、約50%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約90%、約95%等)が照射されるべきであることを規定し得る。臨床医が照射のために規定し得るPTV小領域の例は、腫瘍塊領域、腫瘍塊領域の小領域、複数の腫瘍塊領域の一部、1つ以上の低酸素領域、1つ以上のPET親和性領域、および/または上記任意の組み合わせを含み得る。理論によって拘束されることを所望するわけではないが、PTVの一部(PTVの全体の代わりに)の照射は、患者免疫応答を誘起するために十分なレベルの腫瘍細胞死を生じさせ得る。標的化された放射線送達と併せて患者の免疫系を回復させることは、腫瘍成長の抑制を促進しながら、全体的患者放射線暴露を低減させる(PTVの全体が照射される治療と比較して)ことに役立ち得る。脊髄領域(および/または肺、および/または、皮膚、および/または血管領域)等の照射回避領域のために、放射線量処方箋は、約22.5Gyの最大累積放射線レベルを伴って、約0.25cc未満が照射され、脊髄領域のいかなる部分も、約30Gyを上回って放射線に暴露されてはならないことを規定し得る。他の放射線量処方箋は、異なるタイプの腫瘍が根絶のために異なるレベルの照射を要求し、異なるタイプの臓器が放射線暴露に対して異なる感度を有し得るので、
図3Aにおける処方箋と異なる閾値を有し得る。いくつかの変形例では、PTVに印加されるべき放射線の量は、少なくとも部分的に、治療計画セッションの前または間に測定された患者パラメータに基づいて、決定され得る。例えば、低酸素のエリアを伴う腫瘍は、低酸素エリアを有していない腫瘍と比較して、根絶のためにより高いレベルの放射線を要求し得る。治療計画セッションでは、測定された患者パラメータ(例えば、PETトレーサSUV摂取)が、PTVが1つ以上の低酸素エリアを有することを示す場合、放射線量処方箋は、そのPTVのより大きい割合が、そのPTVが低酸素領域を有していない場合より高いレベルの放射線で照射されることを規定し得る。
【0080】
治療計画システムは、放射線量処方箋に規定されるように、かつ治療計画セッションの前またはセッション中に測定された患者パラメータに従って、放射線量レベルを患者ROIまたは標的領域に送達することに照準を当てた治療計画を生成し得る。治療計画と治療セッションとの間の時間における患者パラメータの変化は、治療計画の有効性に影響を及ぼし得る。治療計画の有効性に影響を及ぼし得る患者パラメータ変化の例は、限定ではないが、照射回避領域に対する標的領域の位置および/または距離、標的領域および/または照射回避領域の形状およびサイズ、ならびにトレーサのSUVおよび/またはトレーサ活性(例えば、PETトレーサ、腫瘍特有のトレーサ等)等の前述の生物学的活性および/または生理学的パラメータのいずれかを含み得る。
【0081】
治療計画が処方線量分布を送達するかどうかを評価する方法は、治療日に、但し、治療開始前(例えば、最初の放射線ビームが発射される前)に、撮像データを入手することを含み得る。この撮像データは、事前走査データと称され得、コントローラは、生物学的活性および/または生理学的および/または解剖学的データを事前走査データから抽出し得る。抽出された生物学的活性および/または生理学的および/または解剖学的データは、治療セッションの開始時、現在の治療計画が適正な線量を標的領域に提供するであろうかどうかを計算するために使用され得る。例えば、コントローラプロセッサは、撮像データ、抽出された生物学的活性および/または生理学的および/または解剖学的データ、および現在の治療計画に基づいて、線量分布マップまたは線量値ヒストグラム(DVH)をシミュレート/計算し得る。シミュレートされた線量分布マップまたはDVHがある基準または閾値を満たすかどうかに応じて、コントローラおよび/または臨床医は、治療計画が更新されるべきであるかどうかを決定し得る。例えば、シミュレーションの体積の95%に送達されるべき予期される線量が、線量の容認可能範囲を下回る場合、送達されるべき体積定義または線量のいずれかが、制約を許容範囲内に戻るように改変され得る。代替として、または加えて、方法は、治療セッション中または治療セッション後、リアルタイムで入手された撮像データに照らして、治療計画の有効性を評価するためにも使用され得る。方法のいくつかの変形例は、治療計画セッション中(例えば、治療計画計算時)、容認可能臨床パラメータの範囲を計算することを含み得、事前走査撮像データおよび/または治療セッション撮像データから抽出された生物学的活性、および/または、生理学的および/または解剖学的データは、容認可能臨床パラメータの範囲と比較され得る。容認可能臨床パラメータの範囲は、診断撮像セッション中、治療計画セッション中、および/または治療セッションの開始時(例えば、患者事前走査中)に入手されたデータに基づいて決定され得、および/または既知もしくは広く承認されている正常活性の範囲を含み得る。抽出されたデータが、容認可能臨床パラメータの範囲内である場合、コントローラおよび/または臨床医は、コントローラプロセッサが、治療時、線量分布マップまたはDVHをシミュレートまたは計算することを要求せずに、現在の治療計画を進めることが適切であることを決定し得る。現在の治療計画を進めるべきかどうかを決定するためにかかる時間を低減させることによって、撮像データの入手と療法用放射線の印加との間の待ち時間は、低減させられ得る。治療セッションに先立って容認可能範囲が計算され得る臨床パラメータの例は、OARの場所に対する標的領域の位置、標的領域の形状および体積、標的領域のSUV、標的領域および/またはOARにおけるPETトレーサ活性等を含み得る。
【0082】
代替として、または加えて、治療計画セッション中、容認可能臨床パラメータの範囲を計算するために、容認可能治療計画品質パラメータの範囲が、計算され得る。治療計画品質パラメータは、特定の治療計画が、所望の放射線量を標的領域に提供しながら、非標的領域(例えば、放射線に敏感な領域および/または正常組織領域)を除外する程度を査定する、任意のメトリクスであり得る。計画品質スコアまたは計画品質指数(PQI)の例は、
図3Bにおける表に描写され、腫瘍線量被覆率を表す線量分布指数またはパラメータ、標的領域またはROIに関するDV関係、適合性指数、均一性、および線量勾配指数等を含み得る。標的体積またはTVは、ROIの総体積(例えば、計画標的体積PTVまたは肉眼的腫瘍体積GTV)であり得、一部のPQIは、規定された放射線レベルで照射されるべきTVの割合および/またはTVの絶対体積(例えば、cc単位)を規定し得る。治療計画のDvv指数は、その治療計画に従った放射線送達の結果としてのTVの一部vv(例えば、cc単位の総TVまたは絶対体積のパーセント)の照射の予測される/計算されるレベルを表し得る。例えば、D95%=45GyのDvv指数を伴う治療計画は、放射線送達が治療計画に従って進行する場合、TVの95%が45Gyで照射されるであろうことを示す。治療計画のVdd指数は、治療計画に従った放射線送達の結果として、線量dd(例えば、Gy単位の総標的線量または絶対線量のパーセント)を受け取ることが予測される/計算されるTVの部分(例えば、cc単位の総TVまたは絶対体積のパーセント)を表し得る。例えば、V20Gy=40%のVdd指数を伴う治療計画は、放射線送達が治療計画に従って進行する場合、TVの40%が20Gyで照射されるであろうことを示す。PQIの別の例は、処方箋等線量によって被覆される体積に対するPTVの体積の比率を表す適合性指数CIを含み得る。CIは、特定の標的がどの程度しっかりと処方箋等線量によって被覆されるかを規定し得る。数値的に、比率が1に近いほど、計画により適合する。理想的場合では、PTV体積は、処方箋等線量体積に非常に近似し、その場合、CI=1である。臨床医は、CIが、例えば、1~1.2のある容認可能範囲内にある場合、計画を承認することに積極的であり得る。CI>1.2である場合、臨床医は、異なる制約を使用した再計画(すなわち、治療計画の再計算)を要求し得る。PQIの別の例は、線量勾配指数(DGI)=PTVに対するV50の比率であり、V50は、50%等線量によって定められる体積である。理想的計画は、標的の周囲の勾配が非常に高く、それは、V50が可能な限りPTVに近くあるべきであることを意味する。したがって、DGIが1に近いほど、勾配がより高く、より高い線量が標的の周囲に集中する結果を伴い、標的から離れると、線量が急低下する。臨床医は、DGIのための範囲を<2であるように設定し得る。これは、治療計画を進めるために、V50体積がPTVの2倍を上回ってはならないことを意味するであろう。計画品質指数の他の例は、平均線量メトリクス(例えば、PTVにわたって送達される平均放射線量)、均一性指数(例えば、PTVに関する線量変動の大きさ)、大域的最大場所(例えば、最高放射線量を受け取る患者領域の場所)等を含み得る。PQIの別の例は、異なる個々のPQIまたは
図3Bに列挙されたPQIの形態の関数として構築され得る組み合わせPQIである。この例では、各PQIは、無単位にされ得、1または1未満の値を与える式によって表され得る。例えば、以下である。
【数12】
式中、w
iは、各p
i(PQIの形態)のためのユーザ定義重みであり、p
iは、例えば、以下によって与えられるi番目のPQIの形態である。
【数13】
式中、CIは、以下
【数14】
またはある他の適合性指数の表現によって与えられる。他の形態のp
iは、例えば、以下の不均一性指数HIの変形例である。
【数15】
式中、D
normは、標的処方箋線量または任意の他のユーザ選択線量レベル、例えば、D50と等しくあり得る。上記式におけるD1およびD99は、それぞれ、D2およびD9、または他のユーザ選択線量レベルと置換され得る。
【0083】
別のp
iは、以下の線量勾配指数DGIを使用し得る。
【数16】
式中、DGIは、以下の定義を使用し得る。
【数17】
【0084】
(CI-1)は、CIが1を上回るか、またはそれ未満であり得るので、p1として使用されるが、理想的シナリオでは、CI=1であり、したがって、(CI-1)2は、理想的場合からの偏差を測定することに留意されたい。組み合わせPQIを画定するために使用される他のPQIおよび異なる数学的形態のPQI組み合わせが存在し得、例えば、加重平方の和の平方根の代わりに、PQIの形態の単純加重和が、組み合わせPQIを表すために使用され得る。組み合わせられたPQIの目標は、治療計画の全体的品質を判断することである。
【0085】
いくつかの変形例では、所望の線量分布が、治療計画システムに関する制約として課され得、PQIに関する制約によって表され得る。例えば、少なくとも50Gyの線量を受け取るためのPTVの98%のための処方箋は、PQI制約:PTV D98=50Gyと称され得る。肺領域に送達され得る最大量の放射線に関する制約は、D(1000cc)<13.5Gyとして表され得る。これらの制約は、所望の線量分布および/または臨床目標を満たすように照準を当てる治療計画の生成を促進し得る。
【0086】
治療計画の有効性は、患者および/または標的領域の特性に応じて変動し得、特性は、治療計画セッションと治療セッションとの間、および/または、治療セッション中にも変化し得る。すなわち、特定の時点における1組の患者または標的領域特性に基づいて、容認可能放射線量または分布を提供し得る治療計画は、異なる時点におけるそれらの特性のいずれかに変化がある場合、容認可能放射線量または分布を提供しないこともある。いくつかの変形例は、治療計画生成時、治療計画が容認可能線量または分布を提供するであろう(すなわち、治療計画がPQI指数閾値を満たすであろう)、生物学的活性および/または生理学的パラメータの範囲を計算することを含み得る。代替として、または加えて、方法は、治療時に入手されたリアルタイム撮像データに基づいて、PQI値を計算することを含み得る。撮像データ、および/または撮像データから抽出される生物学的活性および/または生理学的データ、および/または計算されたPQI、および/または、容認可能臨床パラメータの範囲および/または治療計画を進めるかどうかに関する任意の推奨が、ディスプレイ上において臨床医に提示され得る。臨床医は、次いで、これらのパラメータおよびデータを検討し、現在の治療計画を用いて治療セッションを開始または継続すべきか、または、患者および/または標的領域の変化を考慮するように治療計画を適合させることまたは更新することを行うべきかを決定し得る。いくつかの変形例では、放射線治療システムは、生物学的活性および/または生理学的データ、および/または、リアルタイムで入手されたデータに基づいて計算される治療計画品質指数が、処方または所定の範囲内にある場合、治療計画に従って、放射線を印加することに進み得る。本明細書に説明される治療計画を評価する方法は、治療セッション前、中、および/または後に使用され、現在の治療計画に従って放射線治療を継続するべきか、または、患者および/または標的領域の変化を考慮するように治療計画を更新すること/適合させること(それは、現在の治療計画を送達不可能、および/または、非効果的にし得る)を行うべきかを決定し得る。
【0087】
(計画品質指数(PQI)を使用して治療計画を評価する)
リアルタイムで入手された撮像データおよび/または撮像データから抽出される生物学的活性および/または生理学的データに基づいて治療計画を評価するための一変形例が、
図4A-4Bに描写される。方法は、治療時に入手された臨床パラメータ(生物学的活性および/または生理学的および/または解剖学的データ等)に基づいて、現在の治療計画のPQIを計算することを含み得る。リアルタイム臨床パラメータに基づいて計算されるPQIは、所定の容認可能PQI値の範囲と比較され得、計算されたPQIが範囲内にある場合、治療システムは、臨床医および/または技術者に、放射線治療が現在の治療計画に従って進行し得ることを推奨し得る。容認可能PQI値の範囲は、診断撮像セッション中、治療計画セッション中、および/または治療セッションの開始時(例えば、患者事前走査中)に入手されたデータに基づいて決定され得、および/または、既知もしくは広く承認されているPQI値の範囲を含み得る。計算されたPQIが所定の容認可能PQI値の範囲内にない場合、治療システムは、臨床医および/または技術者に、治療計画を更新するように推奨またはアラートし得る。
図4Aは、PQIの例を提供する表である:医師の処方箋に従い、治療計画セッション中に線量計算によって満たされる処方PQI値(「処方PQI」列)、および、治療時、治療のために容認可能であろうPQI MAPO値(「PQI MAPO」列)。
図4Aにおける範囲は、各患者および/または標的領域および/または治療セッション等に対して変動し得る。例えば、最初の処方箋は、PTV(計画治療体積)の少なくとも99%が処方箋線量の90%に対応する等線量表面で照射または「被覆」される(V90%=99%)ことを規定し得る(
図4Aの表の第1行および第2列)。しかしながら、治療時、リアルタイムで入手された撮像データに基づいて、患者臨床パラメータに基づく計算が、90%等線量表面が標的領域の96%のみを封入または被覆するであろう(V90%=96%)ことを決定し得る。このV90%値(96%)は、最右列に規定されたMAPO範囲内にある(すなわち、95%を上回る)ので、治療システムは、治療が治療計画に従って進行することを推奨し得る。別の例として、
図4Aの表は、医師の処方箋が肺体積の10%未満が20Gyまたはそれを上回る放射線量で照射される(すなわち、肺V20Gy<10%)ことを要求することを規定し得る。しかしながら、治療時、治療計画が任意の適合を伴わずに送達される場合、肺体積の23%が20Gyまたはそれを上回る放射線量を受け取るであろう(V20Gy=23%)ことを患者臨床パラメータの測定された変化が、示し得る。23%までの肺体積照射のこの増加は、例えば、肺内で変化した腫瘍場所の結果であり得る。しかしながら、この23%のV20Gy値は、MAPO範囲内にない(すなわち、15%のMAPO値を超える)ので、臨床医は、計画が任意の適合または変更を伴わずに送達される場合、V20 PQIが違反されるであろうことをアラートされ得る。追加のPQIおよび/または治療計画品質パラメータが、
図4Aに描写される表に類似する表内に含まれ、放射線治療システムコントローラに提供され得る。いくつかの変形例では、
図4Aの表に類似する表は、各標的領域および/またはOARのために生成され得る。随意に、臨床医および/または技術者は、このような表または任意の他のグラフィカル表現においてデータで提示され得る。臨床医は、PQI値が、腫瘍被覆、適合性、線量-体積限界の変化を直感的に反映し、放射線療法処方箋と類似フォーマットで表現または提示され得るので、PQI値を使用して治療計画を評価することを好み得る。
【0088】
図4Bは、リアルタイムで入手された撮像データおよび現在の治療計画に基づいて計算されるPQIを使用して、治療計画を評価する1つの方法のフローチャート図を描写する。方法400は、治療時(例えば、治療日、最初の放射線ビームの発射前、および/または放射線ビームの印加中)および/または治療セッション後(すなわち、次の治療セッションのために同じ治療計画を使用するかどうかを決定するため)、放射線治療システムのコントローラによって実施され得る。方法400は、治療セッションの開始時および/またはセッション中、生物学的活性および/または生理学的および/または解剖学的データ(および/または任意の他の患者もしくは標的領域データ)を測定すること402を含み得る。本明細書に説明されるように、生物学的活性および/または生理学的および/または解剖学的データを測定することは、PETデータ、SPECTデータ、X線またはCT、データ、MRIデータ等の撮像データを入手することを含み得る。いくつかの変形例では、生物学的活性データを測定することは、CTまたはPET-CT画像を入手することを含み得る。生物学的活性および/または生理学的および/または解剖学的データは、入手された撮像データに基づいて、抽出または計算され得る。方法400は、次いで、測定されたデータに基づいて、1つ以上のPQIを計算すること404と、計算された1つ以上のPQIをそれらの対応する容認可能範囲の値と比較すること406とを含み得る。いくつかの変形例では、更新されたPQI値は、標的領域の任意の改変された幾何学形状、または、送達される線量分布を計算することにおいて使用され得る他の非幾何学的臨床パラメータ(例えば、生物学的活性および/または生理学的データ)の変化に対して線量計算を実施することによって、計算され得る。非幾何学的臨床パラメータの例は、限定ではないが、標的領域のPET SUVおよび/またはそれらの標的領域のPET活性変化を含み得る。PQIの各々のための容認可能範囲が、例えば、治療計画セッション中、臨床医によって事前決定され得、治療システムに転送され得る。臨床医および/または技術者は、ステップ406からの比較に基づいて、治療計画を進めるべきかどうかを決定し得る。
【0089】
随意に、計算されたPQIが容認可能範囲内にある場合、方法400は、治療計画に従って放射線を送達すること408を含み得る。計算されたPQIが容認可能範囲内にない場合、方法400は、随意に、治療計画を更新すること410と、更新された治療計画に従って放射線を送達すること412とを含み得る。代替として、方法400は、治療セッションを終了することと、将来的セッションのために治療計画を更新することとを含み得る。1つ以上のPQIのうちのいくつかがその対応する所望の範囲内にあり、1つ以上のPQIがそれらの対応する所望の範囲内にない状況では、治療計画を進めるべきかどうかの決定は、臨床医の裁量により得る。代替として、または加えて、方法400は、異なるPQIを優先順位付けおよび/またはランク付けする規程を含み得る。例えば、治療計画を進めるかどうかに関する推奨は、PQIの加重和に基づき得、高く重み付けされた(例えば、比較的により重要な)PQIからの偏差は、より低く重み付けされた(例えば、比較的にあまり重要ではない)PQI内の準拠性を相殺し得る。いくつかの変形例では、高く重み付けされたPQIが所望のまたは処方範囲内にある限り、いくつかのより低く重み付けされたPQIが範囲外にある場合でも、コントローラは、放射線送達が治療計画に従って進行すべきことを推奨し得る。
【0090】
(臨床パラメータを使用して治療計画を評価する)
図5A-5Bは、リアルタイムで入手された撮像データおよび/または撮像データから抽出される生物学的活性および/または生理学的データに基づいて治療計画を評価する方法の別の変形例を描写する。方法は、治療セッション前(例えば、治療計画セッション中)に、容認可能臨床パラメータの範囲(例えば、容認可能生物学的活性、生理学的、および/または解剖学的データの範囲)を計算することを含み得る。治療時、リアルタイムで入手された撮像データから抽出される生物学的活性および/または生理学的データは、容認可能臨床パラメータの範囲と比較され得る。容認可能臨床パラメータの範囲は、所望のPQI値(例えば、最小PQI値)の範囲を設定し、対応する容認可能臨床パラメータの範囲を反復的に計算する(例えば、1つ以上の臨床値をインクリメントおよび/またはデクリメントし、計算されたPQIが範囲外になるまで、治療計画品質指数を再計算する)ことによって、計算または導出され得る。代替として、または加えて、臨床医は、容認可能臨床パラメータの範囲を規定し得、その範囲内において、患者は、放射線治療を受け取るために適格である。いくつかの変形例では、容認可能臨床パラメータの範囲は、診断撮像セッション中、治療計画セッション中、および/または治療セッションの開始時(例えば、患者事前走査中)に入手されたデータに基づいて決定され得、および/または、既知もしくは広く承認されている正常活性の範囲を含み得る。
【0091】
図5Aは、臨床パラメータおよびそれらの容認可能/所望の値範囲(「臨床パラメータ変化」列)と、容認可能臨床パラメータのその範囲のための容認可能PQI(「PQI」列)と、治療計画セッション中のPQI(「シミュレーション日のPQI」列)と、治療セッション時のPQI(「最初の治療日のPQI」列)との例を提供する表である。表は、臨床パラメータの変化をPQI値の変化にマッピングする。臨床医および/または治療システムコントローラは、PQI値の変化が現在の治療計画に従って放射線を送達することを進めるために容認可能であるかどうかを決定し得る。例えば、治療時のPTVの中心と脊髄との間の距離が治療計画セッション中に測定されるような距離より3mm小さい場合、PQIは、29Gyから31Gyまで増加し得る(すなわち、脊髄は、予期されるものより多くの放射線に暴露されるであろう)ことが計算され得る。臨床医は、治療時、これが治療を進めるために容認可能かどうかを決定し得る。代替として、臨床医は、治療セッションに先立って、治療日のPQI値が容認可能PQI値の範囲内である限り、患者が治療を進め得るように、容認可能PQI値の範囲を決定し得る。
【0092】
図5Bは、リアルタイムで入手された撮像データから抽出され、またはそれに基づいて計算される臨床パラメータと提案される/現在の治療計画とを使用して、治療計画を評価する1つの方法のフローチャート図を描写する。方法500は、治療セッションの開始時および/またはセッション中、生物学的活性および/または生理学的および/または解剖学的データ(および/または任意の他の患者もしくは標的領域データ)を測定すること502を含み得る。本明細書に説明されるように、生物学的活性および/または生理学的および/または解剖学的データを測定することは、PETデータ、SPECTデータ、X線またはCT、データ、MRIデータ等の撮像データを入手することを含み得る。いくつかの変形例では、生物学的活性データを測定することは、CTまたはPET-CT画像を入手することを含み得る。生物学的活性および/または生理学的および/または解剖学的データは、入手された撮像データに基づいて、抽出または計算され得る。そのようなデータの例は、限定ではないが、標的領域のサイズ、形状、および場所、ならびに標的領域のPET SUVおよび/またはそれらの標的領域のPET活性変化等の任意の非幾何学的臨床パラメータを含み得る。方法500は、次いで、生物学的活性および/または生理学的および/または解剖学的データ(集合的に、臨床パラメータと称され得る)を容認可能値の範囲と比較すること504を含み得る。臨床パラメータ毎の容認可能範囲が、例えば、治療計画セッション中、臨床医によって事前決定され得、治療システムに転送され得る。臨床医および/または技術者は、ステップ504からの比較に基づいて、治療計画を進めるべきかどうかを決定し得る。随意に、生物学的活性および/または生理学的および/または解剖学的データが容認可能範囲内にある場合、方法500は、治療計画に従って、放射線を送達すること506を含み得る。生物学的活性および/または生理学的および/または解剖学的データが容認可能範囲内にない場合、方法500は、随意に、治療計画を更新すること508と、更新された治療計画に従って放射線を送達すること510とを含み得る。代替として、方法500は、治療セッションを終了することと、将来的セッションのために治療計画を更新することとを含み得る。生物学的活性および/または生理学的および/または解剖学的データのうちのいくつかがそれらの対応する所望の範囲内にあり、その他がその所望の範囲内にない状況において、治療計画を進めるべきかどうかの決定は、臨床医の裁量により得る。代替として、または加えて、方法500は、異なる生物学的活性および/または生理学的および/または解剖学的データを優先順位付けおよび/またはランク付けする規程を含み得る。例えば、治療計画を進めるかどうかに関する推奨は、生物学的活性および/または生理学的および/または解剖学的データの加重和に基づき得、高く重み付けされた(例えば、比較的により重要な)生物学的活性および/または生理学的および/または解剖学的データからの偏差は、より低く重み付けされた(例えば、比較的にあまり重要ではない)生物学的活性および/または生理学的および/または解剖学的データ内の準拠性を相殺し得る。いくつかの変形例では、高く重み付けされた生物学的活性および/または生理学的および/または解剖学的データが所望のまたは処方範囲内にある限り、いくつかのより低く重み付けされた生物学的活性および/または生理学的および/または解剖学的データが範囲外にある場合でも、コントローラは、放射線送達が治療計画に従って進行すべきことを推奨し得る。臨床パラメータに基づいて治療計画を評価することは、治療セッション中、治療計画のPQI値を計算し、標的領域を再輪郭決めし、および/または線量分布を計算しないことによって、リアルタイム撮像データの入手と放射線送達との間待ち時間を短縮し得る。これは、患者のための治療セッション時間を低減させることに役立ち得る。
【0093】
容認可能PQI値の組に基づいて、容認可能生物学的活性レベルの組または範囲を計算する方法の一変形例が、
図5Cに描写される。
図5Dは、腫瘍サイズ(V)および腫瘍SUV(SUV)を含む臨床パラメータの組と、肺V20およびPTV CIを含むPQIの組とに適用される
図5Cの方法の例を描写する。臨床医は、対応するPQI値の組も対応する容認可能範囲内にあるであろうように、治療時に測定された臨床パラメータの組が範囲内にある場合、治療計画が送達のために適切であることを決定し得る。臨床医は、例えば、可能な容認可能臨床パラメータ値の範囲が、計画腫瘍サイズ(V_p)から約±20%および計画腫瘍SUV(SUV_p)の約±30%であり得ることを決定し得る。臨床医は、これらの範囲内の臨床パラメータ値を治療計画システムの中に入力し、容認可能臨床パラメータ値の範囲と対応するであろう肺V20およびPTV CIのための容認可能PQI値の範囲を決定し得る。
図5Cは、容認可能臨床パラメータ値の範囲を決定するための1つの方法520を描写する。方法520は、臨床パラメータの組における各臨床パラメータのための計画臨床パラメータ値を選択すること522と、各臨床パラメータのための値の試験組を選択すること524と、臨床パラメータの組における各臨床パラメータの試験値の各組み合わせのための治療計画を計算すること526と、計算された治療計画の各々のためのPQIの組における各PQIのためのPQI値を計算すること528と、所定の範囲内のPQI値およびそれらのPQI値をもたらす臨床パラメータ値の対応する組を識別すること530と、所定の範囲内であると識別されたPQI値に対応する臨床パラメータの組における各臨床パラメータのための容認可能臨床パラメータ値の範囲を画定すること532とを含み得る。特定のPQIのための容認可能臨床パラメータ値の範囲を画定することは、所定の範囲内のPQI値をもたらす最低臨床パラメータ値を識別することと、所定の範囲内のPQI値をもたらす最高臨床パラメータ値を識別することとを含み得る。臨床パラメータの組における各臨床パラメータのための計算された範囲(例えば、PQI値の範囲内の(例えば、それを満たす)V_pおよびSUV値の範囲)は、治療時に治療を行うかどうかの決定を行うために使用されるための治療時の容認可能臨床パラメータ値の組であり得る。すなわち、治療時、測定された臨床パラメータがその範囲内にある(すなわち、最低臨床パラメータ値以上であり、最高臨床パラメータ以下である)かどうかである。容認可能臨床パラメータの範囲は、治療セッションに先立って算出されるので、これは、撮像データの入手と治療計画を進めるかどうかの決定との間の待ち時間を低減させることに役立ち得る。いくつかの変形例では、治療システムのコントローラは、抽出された患者データ(例えば、生物学的活性データ、および/または生理学的データ、および/または解剖学的データ)を容認可能臨床パラメータの範囲と比較することによって、治療計画を進めるかどうかを決定し得る。いくつかの変形例では、臨床医は、治療を進めるべきかどうか、および/または、治療計画が更新され、または適合させられるべきかどうかの最終決定が行われるように、1つ以上の抽出された患者データが容認可能臨床パラメータの範囲外であるとき、通知される。
【0094】
図5Dは、肺V20および腫瘍CIを含むPQIの組が、容認可能範囲内の値を有するように、腫瘍体積Vおよび腫瘍SUVのための容認可能値の範囲を識別する方法540を描写する。方法540は、評価のために、臨床パラメータの組およびPQIの組を選択すること542を含み得る。治療計画に基づくVの値は、V_pであり、治療計画に基づくSUVの値は、SUV_pである。方法540は、Vのための試験値およびV_pパラメータに関するSUVを可能なパラメータ値の範囲から選択すること544を含む。例えば、Vのための試験値は、0.8
*V_p、V_p、および1.2V_pを含み得、それは、計画時の体積からの腫瘍体積の約±20%増減に対応する。SUVのための試験値は、0.7
*SUV_p、0.8
*SUV_p、SUV_p、1.2
*SUV_p、および1.3SUV_pを含み得る。計画は、試験V値および試験SUV値の各組み合わせ(計算される計画の組をもたらす)のために計算され得546、計算された計画の各々のための肺V20および腫瘍CIの値を計算する548。方法は、容認可能範囲内のPTV CIおよび肺V20値をもたらすV_pおよびSUV値の組み合わせを決定することをさらに含み得る。例えば、方法は、所定の範囲内の肺V20および腫瘍CIの値と、容認可能範囲外にあるPTV CIおよび肺V20値をもたらすV_pおよびSUV値の組み合わせとを識別すること550を含み得る。次に、方法は、所定の範囲(例えば、PQI値の範囲を満たすVおよびSUVの範囲)内にあると識別された肺V20および腫瘍CI値と対応する容認可能V値およびSUV値の範囲を画定すること552を含み得る。VおよびSUVの容認可能値の範囲を画定することは、依然として事前に決定された/容認可能範囲内にある肺V20および腫瘍CI値をもたらす最低および最高のVおよびSUV値を識別することを含み得る。
【0095】
図6Aおよび6Bは、上で説明される方法において使用するための容認可能PQIの範囲を計算する方法を描写する。
図6Aは、所望のPQI値の範囲にマッピングする生物学的活性レベルまたは値の範囲を生成するための1つの方法600を描写する。治療時、入手された生物学的活性および/または生理学的および/または解剖学的データは、上で説明されるように、この生成された生物学的活性レベルまたは値の範囲と比較され得る。代替として、または加えて、容認可能生物学的活性または値の範囲は、診断撮像セッション中、治療計画セッション中、および/または治療セッションの開始時(例えば、患者事前走査中)に入手されたデータに基づいて決定され得、および/または、既知または広く承認されている正常活性の範囲を含み得る。方法600は、第1の閾値PQI値および第2の閾値PQI値を有する1つ以上のPQIの範囲を選択すること602と、第1の閾値PQI値に対応する第1の生物学的活性値を計算すること604と、第2の閾値PQI値に対応する第2の生物学的活性値を計算すること606とを含み得る。随意に、方法600は、第1および第2の生物学的活性値閾値(生物学的活性範囲)を治療システムコントローラに伝送すること608を含み得る。方法600は、所望のPQI値の範囲にマッピングする生理学的データ範囲および/または解剖学的データ範囲を生成するためにも使用され得る。
【0096】
図6Bは、所望のPQI値と対応する生物学的活性値を反復的に計算する方法610の一変形例を描写する。方法610は、初期生物学的活性値を選択すること612と、選択された生物学的活性値に基づいて、治療計画のPQIを計算すること614と、計算されたPQIを所望のPQI値(所望のPQI閾値等)と比較すること616とを含み得る。計算されたPQIが、所望のPQI値に合致しない場合、方法600は、新しい生物学的活性値を選択すること618と、ステップ614および616を繰り返すことを含む。新しい生物学的活性値を選択することは、計算されたPQIが所望のPQI値を上回るか、下回るかに応じて、現在の生物学的活性値をインクリメントまたはデクリメントすることを含み得る。計算されたPQIが、所望のPQI値に合致する(または所望のPQI値の規定または容認可能許容範囲もしくは範囲内にある)場合、コントローラは、次いで、生物学的活性値をコントローラメモリ(例えば、治療計画システムのコントローラおよび/または治療システムのコントローラ)に記憶し得る620。方法610は、所望のPQI値にマッピングする生理学的データ値および/または解剖学的データ値を生成するためにも使用され得る。
【0097】
(有界DVHを使用して治療計画を評価する)
リアルタイムで入手された生物学的活性および/または生理学的および/または解剖学的データに基づいて計算されるPQI値に基づいて、治療計画を評価することの代替として、またはそれに加えて、治療計画は、線量-体積ヒストグラムまたはDVHにも基づいて、評価され得る。DVHは、標的体積の領域または部分に送達される線量レベルを描写するプロットである。DVHプロットの例は、
図7A(実線)に示される。理想的システムでは、線量D
targetが、任意の「ホットスポット」(すなわち、D
targetを上回る線量を受け取る標的体積の領域)および/または線量D
target未満の線量を受け取る標的体積の領域を伴わずに、標的体積の100%に送達される。しかしながら、多くの場合、線量D
targetは、標的体積の100%に送達されない(例えば、実際の送達される線量は、D
targetを上回るまたは下回り得る)が、送達されるある範囲の線量は、臨床上容認可能であり得る。DVHプロットは、治療計画セッション中、その時点における患者パラメータおよび治療計画に基づいて、計算され得る。DVHプロットは、随意に、照射標的領域のうちの1つ以上のもののための所望のDVHプロファイルを有していない治療計画が更新または精緻化され得るように、治療計画を生成することの一部として含まれ得る。所望のDVHプロファイルの範囲は、
図7Aにおける点線によって表される、有界DVHによって表され得る。有界DVHは、最小および最大線量分布によって画定され得る。最小線量分布と最大線量分布との間の線量分布をもたらす治療計画は、送達のために容認可能と見なされ得る。治療計画セッション中、有界DVH曲線は、各ROI(例えば、着目体積)または標的領域のために、計画セッション前または計画セッショ中に入手された生物学的活性および/または生理学的および/または解剖学的データに基づいて、生成され得る。治療時、リアルタイムで入手された撮像データは、標的領域のうちの1つ以上のもののための更新されたDVH曲線を計算するために使用され得る。すなわち、生物学的活性および/または生理学的および/または解剖学的データの変化は、1つ以上の標的領域のためのDVH曲線も改変し得る。更新されたDVH曲線は、有界DVH曲線と比較され得る。範囲内にある場合、治療システムコントローラおよび/または臨床医は、放射線送達が治療計画に従って進行し得ることを決定し得る。範囲内にない場合、治療システムコントローラおよび/または臨床医は、進行前、治療計画を更新することを決定し得る。
【0098】
治療時、DVH曲線は、リアルタイムで入手された撮像データに基づいて、標的領域の全てのために計算され得る。いくつかの変形例では、リアルタイムで入手された撮像データは、PET撮像データ(例えば、PET事前走査)を含み得る。PTV、および/または生物学的指針着目領域(BgROI)もしくは放射線発射域(RFZ)、および/またはOARのための名目上のDVH曲線が、PET撮像データに基づいて計算され得る。PTVまたは標的被覆、BgROI/RFZ内の平均活性、PTVの平均SUV等の他の放射線送達メトリクスも、1つ以上の正規化係数とともに、PET撮像データに基づいて計算され得る。いくつかの標的領域のためのDVH曲線は、それらの領域のための有界DVHによって画定された範囲内にあり得る一方、他の標的領域のためのDVH曲線は、有界DVH範囲内になくてもよい。治療計画を進めるべきかどうかの決定は、臨床医の裁量により得る。代替として、または加えて、異なる標的領域を優先順位付けおよび/またはランク付けする規程が、治療計画セッション中、生成され、治療計画を進めるべきかどうかを決定するために使用され得る。例えば、治療計画を進めるかどうかに関する推奨は、標的領域の加重和に基づき得、高く重み付けされた(例えば、比較的により重要な)標的領域のための境界外DVH曲線は、より低く重み付けされた(例えば、比較的にあまり重要ではない)標的領域のための境界内DVH曲線を相殺し得る。いくつかの変形例では、高く重み付けされた標的領域のためのDVH曲線が所望または処方境界または範囲内にある限り、いくつかのより低く重み付けされた標的領域のためのDVH曲線が境界外にある場合でも、コントローラは、放射線送達が治療計画に従って進行すべきことを推奨し得る。
【0099】
図7Bは、有界DVHを使用して治療計画を評価する方法の一変形例を描写する。方法は、単一標的領域のためのDVHを評価するように描写されるが、方法は、複数の標的領域のためのDVHを評価するために使用され得ることを理解されたい。方法は、所望に応じて、上で説明されるように、治療セッションの開始時(例えば、最初の放射線ビームが発射される前)および/または治療セッション中に実施され得る。方法700は、治療時、生物学的活性データを測定すること702を含み得る。生物学的活性データを測定することは、生理学的および/または解剖学的データを測定することを含み得、および/または撮像データを入手することを含み得、それらから、生物学的活性および/または生理学的および/または解剖学的データが計算され得る。そのようなデータ入手は、治療セッションの開始時(例えば、最初の放射線ビームが発射される前、事前走査中)および/または治療セッション中(例えば、最初の放射線ビームが発射された後)に生じ得る。方法700は、次いで、放射線療法治療計画および測定された生物学的活性データに基づいて、標的領域のDVH曲線を計算すること704と、計算されたDVH曲線をその領域に関する所定の有界DVHと比較すること706とを含み得る。計算されたDVH曲線が有界DVH内にある場合、方法700は、随意に、治療計画に従って、放射線を送達すること708を含み得る。計算されたDVH曲線が有界DVH外にある場合、方法700は、随意に、治療計画を更新すること710と、随意に、更新された治療計画に従って、放射線を送達すること712とを含み得る。代替として、方法700は、治療セッションを終了することと、将来的セッションのために治療計画を更新することとを含み得る。方法700は、随意に、標的領域の全てのDVH曲線の偏差を比較することと、標的領域の規程またはランク付けに従って、偏差に重み付けすることとを含み得る。DVH曲線偏差の全ての加重和を算出することは、臨床医が、有界DVHの境界外にある、ある標的領域のためのあるDVH曲線に照らして、放射線送達を進めるべきかどうかを決定することを補助し得る。
【0100】
(有界DVH曲線を計算する方法)
治療計画中、有界DVH曲線が、患者内の各着目領域、すなわち、各照射標的領域および/または各照射回避領域のために計算され得る。例えば、有界DVH曲線は、腫瘍領域(すなわち、肉眼的腫瘍体積)、および/またはPTV(すなわち、辺縁を伴う肉眼的腫瘍体積)、および/または放射線発射域もしくはRFZ(すなわち、潜在的に移動するPTVおよびRFZ内のPTVの可能性のある位置の大部分もしくは全部を含む領域)、および/または1つ以上のOARのために計算され得る。一変形例では、治療計画は、例えば、1つ以上のPET画像Xおよび/または患者CT画像(計画画像と称され得る)に基づいて、放射線発射行列Pを計算することを含み得、RFZ(例えば、標的領域および/またはPTV)および/またはOARは、PET画像Xおよび/または患者CT画像(および/または同一座標系における他の補完的患者画像)において識別され、または輪郭決めされ得る。随意に、それらのサイズ、形状、場所、および放射線感度の程度等のRFZおよび/またはOARのための追加のデータ、最大許容可能放射線暴露、および/または照射標的領域に送達されるべき処方放射線量、および/または、各患者標的領域のために送達される最大および最小線量等の他の線量制約も、放射線発射行列Pの計算において使用され得る。計画患者CT画像は、線量計算、例えば、放射線が放射線発射行列Pに従って患者に印加される場合に送達される線量の分布を予測するためにも使用され得る。有界DVH曲線の群は、RFZ内のPTVのPET画像Xの固定シフトを実施し、その特定のシフトされたPTV位置のためのOAR、RFZ、および/またはPTVに対応する線量を計算することによって、放射線発射行列Pに基づいて、各OAR、RFZ、および/またはPTVのために計算され得る。例えば、RFZ内のPTVおよび1つのOARを伴う患者のために、PTVのためのDVH曲線の群が、RFZ内のPTVの各シフト位置のために計算され得る。随意に、RFZのための第2のDVH曲線の群およびOARに関する第3のDVH曲線の群が、RFZ内のPTVの各シフト位置のために計算され得る。最小DVH曲線は、そのDVH曲線の群の最左点を抽出すること(すなわち、各線量値のために、最低体積画分を伴う点を選択すること、または各体積画分のために、最低線量を伴う点を選択すること)によって、DVH曲線の群から導出され得る。最大DVH曲線は、そのDVH曲線の群の最右点を抽出すること(すなわち、各線量値のために、最高体積画分を伴う点を選択すること、または各体積画分のために、最高線量を伴う点を選択すること)によって、DVH曲線の群から導出され得る。最小DVH曲線、最大DVH曲線、および名目上のDVH曲線(例えば、計画画像に基づいて計算される線量)を含む特定の着目領域(例えば、PTV、RFZ、OAR)のための有界DVH曲線が、治療計画システムから放射線療法システムに伝送され、更新された撮像データおよび/または生物学的、および/または、生理学的データに基づいて、治療計画を評価するために使用され得る。
【0101】
図8Aは、治療計画中、有界DVH曲線を計算する方法の一変形例のフローチャート図である。方法800は、患者CT画像を入手する802ステップと、線量制約、処方箋、PTVおよび/またはRFZおよびOARの輪郭および他のデータを画定すること804と、患者PET画像(X)を入手すること806と、線量計算行列(A)を計算すること808と、撮像データから、フルエンスマップへの変換を指定する放射線発射行列(P)を計算すること810とを含み得、放射線発射行列(P)は、治療セッション中に患者に印加されるべきビームレットパターンおよび/またはビームレット強度を含み得る。いくつかの変形例では、患者PET画像806を入手することは、線量制約、処方箋、および/または輪郭を画定すること804の前に生じ得る。線量制約、処方箋および/または輪郭は、ある患者領域への最小および/または最大線量(例えば、OARまたは照射回避領域への最大線量、PTVまたは照射標的領域への最小線量、異なる患者領域に関するフルエンス平滑度)を規定すること、照射標的領域に送達されるべき総線量(例えば、PTVあたり10Gy)を規定すること、および/または、OARおよび/またはPTVを輪郭決めすることを含み得る。追加の線量制約は、下で説明される。方法800は、PTVがRFZ内の種々の(j)位置に位置するように、画像データ(X’
j)を総合的に変動させ、RFZ内のPTVの種々の位置および/または運動をシミュレートし、DVH曲線の群を生成することによって812、各PTVおよび/またはRFZおよび/またはOARのための有界DVH曲線を生成することを含み得る(すなわち、各DVH曲線は、RFZ内の特定の位置におけるPTVに送達される線量を表す)。有界DVH曲線は、特定のPTVおよび/またはRFZおよび/またはOARのための最小DVH曲線と、名目上のDVH曲線と、最大DVH曲線とを含む。最小DVH曲線は、そのDVH曲線の群の最左点を抽出すること(すなわち、各線量値のために、最低体積画分を伴う点を選択すること)によって、導出され得814、最大DVH曲線は、そのDVH曲線の群の最右点を抽出すること(すなわち、各線量値のために、最高体積画分を伴う点を選択すること)によって、導出され得る814。随意に、方法800は、放射線が放射線発射行列Pおよび計画患者PET画像Xに基づいて、送達された場合の患者への総線量を計算すること816を含み得る。
【0102】
方法800の808において計算されるような線量計算行列Aは、ビームレット係数(例えば、フルエンス値)を患者内の事前に選択された領域(すなわち、サンプリング点またはボクセル)の組における線量値にマッピングし得る。サンプリング点は、放射線送達および線量が監視され得る患者領域および/または臨床着目患者領域を含み得る。例えば、サンプリング点は、患者内のPTV、OAR、およびRFZの1つ以上のもの(例えば、全部)内で選択され得る。線量計算行列Aは、n×m行列であり得、式中、nは、患者内のサンプリング点の数に対応し、mは、放射線の単位を送達するために利用可能な候補ビームレットの数に対応する。すなわち、線量計算行列Aの特定の列に沿ったm個のエントリは、m個のサンプリング点またはボクセルの各々への1で重み付けされたビームレットからの線量寄与を表し得る。いくつかの変形例では、候補ビームレットによって送達される放射線の単位は、療法用ビーム平面(例えば、ビームステーション)に対する特定の患者プラットフォーム位置における特定の発射位置(例えば、放射線療法システムアイソセンタに対するガントリ角度)での単一MLCリーフ開放を通して送達される放射線レベルであり得る。線量計算行列Aは、例えば、RFZまたは患者体積を通して、経路に沿った各ビームレットの開口(または軌道)をレイトレーシングし、n個のサンプリング点またはボクセルの各々への1で重み付けされたビームレットの寄与を計算することによって、列毎に計算され得る。ビームレット開口は、単一MLCリーフ開放(すなわち、バイナリMLCまたは2-D MLCの)によって画定されたMLC開口であり得る。線量計算アルゴリズムの例は、モンテカルロシミュレーション、崩壊円錐畳み込み重畳、ペンシルビーム畳み込み、およびその他を含み得る。
【0103】
放射線発射行列Pは、撮像データからフルエンスマップへの変換を指定する行列であり得、フルエンスマップは、治療セッション中に患者に印加されるべきビームレットパターンおよび/またはビームレット強度を含み得る。放射線発射行列Pは、患者領域への放射線送達のためのフルエンスマップFと、その患者領域の画像Xとの間の関係を表し得る。すなわち、放射線発射行列Pは、y=P・Xであるような任意の行列であり得る。放射線発射行列Pは、1つ以上のコスト関数(例えば、上で説明される放射線量制約および目標に基づいて形成される、結果として生じる線量分布およびフルエンスのコスト関数C(y))を最小化するフルエンスマップを反復的に解法することによって、計算され得る。Cは、ペナルティ関数の合計、C=ΣC
i(y)を含み得る。ペナルティ関数の例は、限定ではないが、標的領域のための最小線量、OARのための平均または最大線量、および/または、フルエンス平滑度、総放射出力、総組織線量、治療時間等を含み得る。ペナルティ関数のさらなる例は、フルエンス平滑度を促すペナルティ関数(C
i=|L(y)|
1、すなわち、フルエンスマップyのラプラシアンの1-ノルム)、総フルエンスの大きさに対するペナルティ(すなわち、「総MU」;(C
k=Σy
k)、種々の体積または着目領域内のサンプリング点における線量値D=A・yに対するペナルティ(例えば、C
i=|Ay|
1は、患者への全体的最小線量を促すペナルティ関数であり得る)、および/または、危険臓器の最大線量を超えることに関するペナルティ等の処方箋目標および制約(上で説明される制約のいずれか等)に対応する線量値D=A・yに対するペナルティ(
【数17-1】
であり、式中、V
kは、OAR kに対応するサンプリング点の組を与え、d
maxは、その臓器のための最大線量であり、
【数17-2】
は、片側ノルム演算子である)を含み得る。
【0104】
いくつかの変形例では、放射線発射行列Pを生成することは、コスト関数C(y)を最小化するための最適化問題を設定することと、以下の条件が満たされながら、コスト関数C(y)が最小化されるように、異なるPの組を通して反復させることとを含み得る。
【数18】
式中、Dは、予測される線量分布であり得、Aは、ステップ808において計算される線量計算行列であり得、yは、予測される総送達放射線フルエンスであり得、Xは、1Dベクトルの中に線形化される計画患者PET画像および/または計画患者CT画像であり得る。患者への総線量分布を計算すること816は、線量計算行列Aと放射線発射行列Pおよび計画患者CT画像および/または計画患者PET画像Xを乗算することを含み得る。
【0105】
有界DVH曲線は、最小DVH曲線と、名目上のDVH曲線と、最大DVH曲線とを含み、最小DVHおよび最大DVH曲線は、治療時の種々の要因および/または不確実性に起因した線量分布または治療転帰の可能性のある範囲を表す。治療日に送達される線量に影響を及ぼし得る要因および/または不確実性の例は、設定誤差、SUV変動性、患者運動および/またはシフト、および/または、腫瘍(例えば、PTV)運動および/またはシフト、および/または、OAR運動および/またはシフトを含み得る。名目上のDVH曲線は、臨床医の処方箋に準拠する線量分布を表し得る。最小DVH曲線は、線量分布の下限境界を表し得、最大DVH曲線は、線量分布の上側境界を表し得、最小DVH曲線および最大DVH曲線によって画定された範囲は、治療時の種々の不確実性に起因する送達される線量の変動を表す。最小DVHおよび最大DVH曲線による線量分布または範囲境界は、臨床医によって精査および/または評価され、それらの境界内で送達される線量が、臨床上妥当または治療力があるかどうか、および/または、患者のために望ましいかどうか、および/または、安全であろうかどうかを決定し得る。RFZ(または任意の着目領域、例えば、OAR、RFZ等)内の特定のPTVのための最小DVHおよび最大DVH曲線を導出するために、治療計画システムは、RFZ内のPTVのj個の位置を表す複数の画像X’
jを生成し得る。j個の位置は、例えば、患者移動および/または腫瘍移動に起因する治療日のRFZ内のPTVの可能な場所をシミュレートし得る。
図8Bは、RFZ内の場所824におけるRFZ820およびPTV822の概略2-D描写であり、場所824は、計画患者CT画像および/または計画患者PET画像Xに従ったPTV822の場所である。RFZ820内のPTV822のj個の位置を表すPTV822のためのDVH曲線の群を生成するために、j個の画像X’
1、2、3,…,jが、j個の位置へのPTV822(および画像X内の全ての着目解剖学的構造、例えば、PET親和性構造)の剛体3-Dシフトを実施することによって生成され得る。すなわち、第1の画像X’
1は、RFZ820内の場所826におけるPTV822を有し得、第2の画像X’
2は、RFZ820内の場所828におけるPTV822を有し得、第3の画像X’
3は、RFZ820内の場所830におけるPTV822を有し得、第4の画像X’
4は、RFZ820内の場所832におけるPTV822を有し得る等。j個のDVH曲線の群が、D
1,2,3,・・・,j=A・P・X’
1,2,3,・・・,jを計算し、各線量レベルにおける体積画分をプロットすることによって、画像X’
1、2、3,…,jから計算され得る。随意に、PTVの場所がRFZ内で変動するにつれてDVH曲線を計算することに加え、いくつかの変形例では、X’
j内のPTVの強度も、変動し得、それは、治療日のPETトレーサの異なる摂取値(例えば、SUV)の影響をシミュレートし得る。例えば、PET画像X’
j内のボクセルの強度は、名目上の値(すなわち、計画PET画像Xからの強度)から±25%変動し得る。例えば、RFZ内の各PTVの場所のための3つのDVH曲線、すなわち、名目上のSUVレベルのための第1のDVH曲線と、名目から-25%のSUVレベルに関する第2のDVH曲線と、名目から+25%のSUVレベルのための第3のDVH曲線とが、計算され得る。いくつかの変形例では、重み係数が、PTVが特定の場所にあるであろう確率/尤度および/またはその場所におけるPTVの予期される滞留時間に基づいて、各画像X’
1、2、3,…,jに割り当てられ得る。
図8Cは、上で説明されるように生成されたPTV、RFZ、および2つのOARのためのDVH曲線の群の例を描写する。各DVH曲線の群は、3つのDVH曲線~50のDVH曲線またはそれを上回る(例えば、10、15、25、30、45、50、70、100、またはそれを上回るDVH曲線)を有し得る。DVH曲線の群840は、PTVのためのものであり得、DVH曲線の群842は、RFZ(その中にPTVが位置する)のためのものであり得、DVH曲線の群844は、第1のOARのためのものであり得、DVH曲線の群846は、第2のOARのためのものであり得る。
図8Dは、PTV、RFZ、およびOARのための有界DVH曲線(それぞれ、850、852、854)を描写し、各々は、最小DVH曲線(それぞれ、850a、852a、854a)と、最大DVH曲線(それぞれ、850b、852b、854b)と、名目上のDVH曲線(それぞれ、850c、852c、854c)とを有する。DVH曲線の群840からPTVのための最小DVH曲線を導出するために、そのDVH曲線の群の最左点841が、抽出され(すなわち、各線量値に対して、最低体積画分を伴う点を選択すること、または各体積画分に対して、最低線量を伴う点を選択すること)、曲線と適合させられ得る。最大DVH曲線は、そのDVH曲線の群の最右点843を抽出し(すなわち、各線量値に対して、最高体積画分を伴う点を選択すること、または各体積画分に対して、最高線量を伴う点を選択すること)、それらの点を曲線に適合させることによって、DVH曲線の群から導出され得る。代替として、または加えて、順序統計量が、DVH曲線から計算され、治療日に治療計画を評価するために使用され得る。順序統計量の例は、限定ではないが、DVH曲線の最大および最小値、DVH曲線の5%値および95%値、DVH曲線の2%値および98%値、絶対最小および最大線量値、ならびに均一性指数のための上限および下限閾値、適合性指数のための上限および下限閾値等を含み得る。
【0106】
治療日に、DVH曲線が、撮像データ(および/または撮像データ、および/または、他の源から抽出される生物学的および/または生理学的データ)に基づいて、計算され得る。DVH曲線は、治療セッションの開始時(例えば、療法用放射線源がアクティブにされる前)に、例えば、放射線発射行列Pと入手された撮像データ(例えば、PET事前走査画像X)とを乗算すること、すなわち、D=P・Xによって計算され得る。計算されたDVH曲線が最小DVH曲線および最大DVH曲線によって画定された範囲内にある場合、治療は、治療計画に従って進行し得る。随意に、1つ以上のDVH曲線が、リアルタイムで入手された撮像データ、および/または、生物学的および/または生理学的データに基づいて、治療セッション全体を通して計算され得、リアルタイムで生成されたDVH曲線は、有界DVH曲線と比較され、放射線送達が治療計画に従って継続されるべきかどうかを決定し得る。撮像データ(不完全または雑音がある低信号対雑音比画像xであり得る)に基づいてDVH曲線を計算することは、放射線発射行列Pと撮像データとを乗算すること、すなわち、D=P・xによって、線量Dを計算することを含み得る。前述のように、いくつかのシステムは、現在計算されているDVH曲線を有界DVH曲線でオーバーレイし、および/または現在計算されているDVH曲線が有界DVH曲線によって画定された範囲内にあるかどうかの1つ以上の視覚的、および/または、聴覚的通知を提供するディスプレイまたはモニタ上に提示されるGUIを備え得る。治療セッションの開始時および/またはセッション中、放射線送達および治療を再評価することは、治療がさらに患者の変化する条件に対して調整され得るかどうかに関するフィードバックを臨床医に提供することに役立ち得る。
【0107】
上で説明される治療計画を評価する方法(例えば、
図4-7に描写されるように)は、本明細書に説明される適合放射線療法方法(
図2A-2Dに描写されるように)のいずれかにおいて、別個に採用され得るが、これらの方法のうちの1つ以上のものは、互いに並行して(例えば、同時に)使用され得ることを理解されたい。例えば、放射線治療システムおよび/または臨床医は、治療計画が現在の治療セッションにおいて患者のために適切であるかどうかを決定するとき、更新されたPQI値および更新された臨床パラメータ(例えば、生物学的活性および/または生理学的および/または解剖学的データ)を同時に精査し得る(例えば、
図4-5を参照して描写および説明される方法を組み合わせる)。代替として、治療計画を評価することは、更新された臨床パラメータおよびDVH曲線を同時に精査することを含み得る(例えば、
図5-6を参照して描写および説明される方法を組み合わせる)。代替として、治療計画を評価することは、更新されたPQI値およびDVH曲線を同時に精査することを含み得る(例えば、
図4および6を参照して描写および説明される方法を組み合わせる)。いくつかの変形例では、リアルタイムで入手された臨床パラメータデータ、PQI値、および/またはDVH曲線が、治療計画が治療セッションにおいて患者のために適切であるかどうかを決定するとき、精査および検討され得る。これは、その特定の時点における患者のための治療計画の適否が複数の基準を使用して評価されることを可能にし得る。例えば、治療時の患者の臨床パラメータが、事前に計算された容認可能臨床パラメータの範囲外にある場合、治療システムは、更新されたPQI値を計算し、それらの更新されたPQI値が事前に計算された容認可能PQI値の範囲内にあるかどうかを評価し得る。すなわち、患者のある臨床パラメータが、処方範囲内にない場合でさえ、これらのパラメータの変化が、ある相乗作用を有し得ることが可能であり、それによって、最初の臨床パラメータの組に基づいて計算される治療計画が、依然として処方線量分布を提供するであろ。更新されたPQIおよび/または更新されたDVH曲線を計算することは、そのような相乗作用を明らかにし得、臨床医および/または放射線療法システムは、更新された臨床パラメータ、更新されたDVH、および/または更新されたPQI値のうちの1つ以上のものが、容認可能範囲内にある場合、治療を進めるべきことを決定し得る。
【0108】
いくつかの変形例では、治療計画は、PQI値、臨床パラメータ、および/またはDVH曲線のうちの1つ以上のものに基づいて、生成され得る。例えば、治療計画システムは、容認可能の範囲PQI値に基づいて、治療計画を生成し、治療計画が依然として容認可能の範囲PQI値内にあるであろう臨床パラメータの範囲を計算し、次いで、臨床パラメータの計算された範囲が患者のために適切であるかどうかを評価し得る(患者特有のデータおよび/または臨床医を使用して、コントローラによって決定され得る)。臨床パラメータの計算された範囲が患者のために適切ではない場合、治療計画システムは、患者のために適切なコントローラおよび/または臨床医によって選択された臨床パラメータの範囲に関して反復し、新しい治療計画を生成し、新しい治療計画に関するPQI値を計算し得る。
【0109】
((例示的使用例))
(例示的使用例#1:腫瘍低酸素の領域のためのオフライン適合)
患者が、診断および治療計画セッションまたはシミュレーション中、低酸素領域を呈していないが、放射線治療セッションに先立って、臨床医は、腫瘍低酸素の1つ以上の領域が存在し得ると疑い得る。治療セッションまたは画分の開始時の設定撮像走査(例えば、事前走査)および/または治療セッション中の撮像データ入手時、腫瘍の領域が、入手された機能撮像データ(例えば、[18F]HX4 PETデータ、[18F]FAZA PETデータ、[18F]FMISO PETデータ等)に基づいて、低酸素であると決定される。患者の最初の放射線療法計画が、現在の画分またはセッションのために送達され、最初に計画された線量を患者に提供し得る。
【0110】
患者の処置チーム(例えば、臨床医)は、次の放射線療法画分のために、低酸素撮像データに基づいて、治療計画を更新し得る。例えば、処置チームは、治療システムからの低酸素撮像データを治療計画システムに転送し得る。治療計画は、低酸素領域への線量を修正するように更新され得る。例えば、更新された治療計画は、腫瘍低酸素の放射線抵抗性領域に送達される線量を増加させる新しい標的体積内同時ブースト強度変調放射線療法(SIB-IMRT)画分を提供し得る。低酸素領域への線量は、最初の治療計画に基づいた領域に関する最大線量に比例する係数によって増大させられる。更新された治療計画は、次の画分における放射線送達のために使用され得る。
【0111】
治療の各後続画分後、患者の腫瘍低酸素は、再評価され得、患者の腫瘍低酸素に送達される増大量(絶対線量値および標的増大領域の両方)は、この後続画分および前の画分から入手された低酸素データを使用して適合させられ、患者の治療過程をさらに適合させ得る。
【0112】
(例示的使用例#2:腫瘍低酸素の領域のためのオンラインおよびオフライン適合)
患者が、診断および治療計画セッションおよび/またはシミュレーション中、低酸素領域を呈する。放射線治療セッション(または画分)の開始時の設定撮像走査(例えば、事前走査)および/または治療セッション中の撮像データ入手時、腫瘍の領域が、入手された機能撮像データ(例えば、[18F]HX4 PETデータ、[18F]FAZA PETデータ、[18F]FMISO PETデータ等)に基づいて、低酸素であると決定される。
【0113】
現在の治療計画は、現在の治療セッションまたは画分中、低酸素領域への線量を修正するように更新され得る。例えば、更新された治療計画は、最初に計画されたものより精密な標的体積内同時ブースト強度変調放射線療法(SIB-IMRT)画分を提供し、腫瘍低酸素の放射線抵抗性領域に送達される線量を増加させ得る。低酸素領域への線量は、最初の治療計画に基づいた領域に関する最大線量に比例する係数によって増大させられる。いくつかの変形例では、治療システムは、低酸素撮像データを受信および/または記憶し、現在の治療計画への更新するまたは修正を計算するように構成され得るオンライン治療計画システムを備え得る。修正された治療計画は、次いで、この現在の画分中、患者に送達され得、より臨床利点を患者に提供する、より精密かつ効果的治療を提供し得る。
【0114】
治療の各画分後、患者の腫瘍低酸素は、再評価され、患者の腫瘍低酸素に送達される増大量(絶対線量値および標的増大領域の両方)は、次の画分のためのオンライン治療計画プロセスを促すことに役立てるために、前の画分から入手された低酸素データを使用して、再び適合させられる。
【0115】
(例示的使用例#3:腫瘍低酸素の領域のためのリアルタイム適合)
患者が、診断および治療計画セッションおよび/またはシミュレーション中、低酸素領域を呈する。患者は、腫瘍低酸素の予期される領域を画定する機能撮像を使用して作成された治療計画を用いて、放射線治療を受け得る。
【0116】
治療セッション中、腫瘍低酸素の正確な領域が、リアルタイムで入手された機能撮像データ(例えば、[18F]HX4 PETデータ、[18F]FAZA PETデータ、[18F]FMISO PETデータ等)に基づいて決定され得る。リアルタイムで、検出された正確な低酸素領域への線量が、修正され得、それは、再計画ステップを要求せずに、より多くの線量を腫瘍低酸素の放射線抵抗性領域に送達することに役立ち得る。いくつかの変形例では、現在の治療計画への線量修正および/または任意の他の変調は、治療システムの治療送達ソフトウェアモジュールによって計算され得る。治療セッション中、治療計画への生物学的活性および/または生理学的データフィードバック、および/または、任意の線量変調および/または任意の変調が、患者監視のために、活性治療パラメータとして表示され得る。これは、追加のフィードバックを治療セッション中の患者の処置チーム(例えば、臨床医)に提供することに役立ち得る。
【0117】
現在の治療セッションまたは画分の完了時、患者の腫瘍低酸素は、再評価され得る。例えば、患者の腫瘍低酸素に送達される予期される増大量(絶対線量値および標的増大領域の両方)は、次の画分における線量を変調する治療送達ソフトウェアモジュールの能力を改良することに役立てるために、前の画分から入手された低酸素データを使用して、さらに適合させられ得る。
【0118】
(例示的使用例#4:心臓灌流のためのオンライン適合)
患者が、心臓灌流欠陥を呈し(例えば、放射線療法の前の過程から)、現時点で、胸部癌の再発に関する第2の過程を受けている。患者の心臓灌流のための改良された線量除外効果を提供するために、患者の処置チームは、治療時、放射線送達直前に入手された生理学的特性に基づいて、治療計画を適合させる(例えば、オンライン適合を実施する)ことを決定する。例えば、治療セッションの開始時、心臓灌流PET撮像データが、入手され得る(例えば、[15O]H2O、[13N]アンモニア、およびその他は、機能撮像を介した生理学的特性の抽出のために効果的であることが示されている)。
【0119】
患者は、患者の心臓灌流欠陥の予期される領域を画定し得る以前に入手された撮像データ(例えば、機能撮像データ)を使用して作成された初期(または現在の)治療計画を用いて、治療を受け得る。撮像データは、画分の初期設定事前走査中に入手され得、心臓灌流欠陥の精密な領域が、撮像データに基づいて決定され得る。心臓灌流欠陥が、検出され、撮像データから抽出される血流特性に基づくシミュレーションと実質的に異なることに着目される場合、患者の処置チームは、心臓灌流欠陥領域がより低いレベルの放射線に暴露され、心臓灌流欠陥領域の近傍の標的の境界が精緻化されるように、現在の治療計画を改訂し、線量送達を修正し得る。例えば、治療計画を更新または適合させることは、欠陥領域および欠陥領域の周囲のエリアに対する絶対線量値および標的領域輪郭描写を修正することを含み得る。概して、更新は、利用可能な発射位置の数を低減させ、ある発射位置において送達される線量を増加させ、欠陥領域の回避を増加させるであろう。治療計画へのこれらの改訂は、心臓灌流欠陥領域に対してより良好な線量勾配、等線量ライン、および線量-体積ヒストグラムを提供することに役立ち得る。いくつかの変形例では、心臓灌流撮像データは、治療計画を更新するための治療システムのオンライン治療計画システムに転送され得る。
【0120】
修正された治療計画は、次いで、この現在の画分中、患者に送達され得、それは、殆ど負の副作用を伴わずに、より効果的治療を提供することに役立ち得、より全体的臨床利点を患者に提供するであろう。各治療画分後、患者の心臓灌流欠陥は、再評価され得、患者に送達される具体的線量(絶対線量値および標的/回避領域の両方)は、前の画分の間に入手された生理学的心臓灌流データを使用して、再び適合させられ得る。これは、次の画分のためのオンライン治療計画プロセスを促すことに役立ち得る。
【0121】
(例示的使用例#5:免疫応答のためのオンラインおよびオフライン適合)
患者が、診断および治療計画セッションおよび/またはシミュレーション中、HER2陽性原発腫瘍および侵襲性HER2陽性転移を呈する。放射線治療開始時までに、追加の転移および/またはHER2発現の変化が存在し得ると疑われる。撮像データが、画分の初期設定事前走査中および/または治療セッション中、入手され得、HER2発現の精密な領域および量が、この撮像データに基づいて決定され得る。例えば、PET撮像データが、18F-RL-I-5F7と称される残留標識を介して、および18F-SFBと称されるタンパク質標識を介して、18Fで放射性標識された5F7抗HER2ナノボディを使用して入手され得、これらの標識は、HER2遺伝子発現の有効生物学的撮像を提供することが示されている。放射性標識タンパク質は、次いで、PET走査上で検出され、HER2受容体が活性である領域に集中し、濃度および相対的強度の差異が量子化され、HER2遺伝子発現の領域を精密に識別することを可能にするであろう。
【0122】
患者の処置チームは、例えば、HER2陽性領域への線量を修正し、より高い線量をHER2発現の領域に提供し、さらに、HER2発現を伴う新しく発見された転移性腫瘍に基づいて、新しい標的領域を追加することによって、現在の治療計画を更新し得る。いくつかの変形例では、HER2発現撮像データは、治療計画を更新するための治療システムのオンライン治療計画システムに転送され得る。
【0123】
修正された治療計画は、次いで、この現在の画分中、患者に送達され得、それは、患者への増加させられる臨床利点とともに、より精密かつ効果的治療を提供することに役立ち得る。各治療画分後、患者のHER2発現データは、再評価され得、患者のHER2陽性腫瘍に送達される線量は、前の画分から入手されたHER2発現データを使用して、さらに適合させられ得る。全身療法のためのHER2活性領域の放射線プライミングを求める場合のために、計画は、それらの領域において作用する全身療法の効果を増幅させるために、HER2発現領域への放射線の量を増加させるように修正され得る。代替として、追加の放射線がHER2遺伝子発現と相互作用する免疫療法からの全身治療に干渉し得る場合に関して、計画は、HER2発現領域への放射線の量を減少させ、代わりに、非発現結節に集束させ、遠達効果を利用するように修正され得る。これは、次の画分のためのオンライン治療計画プロセスを促すことに役立ち得る。
【0124】
本明細書に説明される放射線治療方法および/またはシステムのいずれかは、単独で、または他の腫瘍療法と併せて、使用され得る。例えば、適合放射線療法は、外科手術および/または化学療法、および/または、免疫療法および/または遺伝子療法と併用され得る。さらに、本明細書における治療方法および/またはシステムは、着目領域または標的(例えば、照射標的領域および/または照射回避領域)を識別することに役立ち得る任意のタイプのトレーサを使用し得る。例えば、以下のPETトレーサのうちの1つ以上のもの、すなわち、18F-FDG、18F-NaF、18FHX4、18FFAZA、18FFMISO、18Fで標識された放射性標識5F7抗HER2ナノボディ、11C-パルミチン酸および14-(R,S)-18F-フルオロ-6-チアヘプタデカン酸、15O-水、13N-アンモニア、82Rb-ルビジウム、フルオロチミジン、68Ga-ガリウム、および68Ge-ゲルマニウムが、使用され得る。PETトレーサは、具体的タンパク質、細胞マーカ、代謝性生成物等に結合する作用物質を含み得る。代替として、または加えて、本明細書に説明されるシステムおよび方法のいずれかは、治療セッション中、ROIまたは標的領域が追跡および識別されることを可能にする1つ以上の基準マーカ、放射線不透過性マーカ、または任意の他の識別子を使用し得る。
【0125】
(システムコントローラ)
本明細書に説明される放射線療法治療計画システムおよび放射線治療システムの各々は、プロセッサと、1つ以上のメモリとを有するコントローラを備え得る。いくつかの変形例では、計画システムおよび治療システムは、所望に応じて、コントローラを共有し得る。コントローラは、1つ以上のプロセッサと、1つ以上のプロセッサと通信する1つ以上の機械読み取り可能なメモリとを備え得る。コントローラは、有線または無線通信チャネルによって、放射線療法システムおよび/または他のシステムに接続され得る。いくつかの変形例では、治療計画システムのコントローラは、患者と同一または異なる部屋内に位置し得る。例えば、コントローラは、患者プラットフォームに結合されるか、もしくは患者および/またはオペレータに隣接する運搬車もしくは医療用カート上に配置され得る。
【0126】
コントローラは、多数の汎用または特殊目的コンピューティングシステムもしくは構成に準拠して実装され得る。本明細書に開示されるシステムおよびデバイスとの使用のために好適であり得る種々の例示的コンピューティングシステム、環境、および/または構成は、限定ではないが、パーソナルコンピューティングデバイス、ネットワーク機器、ルーティング/コネクティビティコンポーネント等のサーバまたはサーバコンピューティングデバイス、ポータブル(例えば、ハンドヘルド)またはラップトップデバイス、マルチプロセッサシステム、マイクロプロセッサベースのシステム、および分散型コンピューティングネットワーク内または上に具現化されるソフトウェアまたは他のコンポーネントを含み得る。
【0127】
ポータブルコンピューティングデバイスの例は、スマートフォン、携帯情報端末(PDA)、携帯電話、タブレットPC、ファブレット(スマートフォンより大きいが、タブレットより小さい、パーソナルコンピューティングデバイス)、スマートウォッチの形態をとるウェアラブルコンピュータ、ポータブル音楽デバイス等を含む。
【0128】
(プロセッサ)
いくつかの実施形態では、プロセッサは、命令またはコードの組を起動および/または実行するように構成される任意の好適な処理デバイスであり得、1つ以上のデータプロセッサ、画像プロセッサ、グラフィック処理ユニット、物理処理ユニット、デジタル信号プロセッサ、および/または中央処理ユニットを含み得る。プロセッサは、例えば、汎用プロセッサ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)等であり得る。プロセッサは、アプリケーションプロセスおよび/または他のモジュール、システム、および/または、それに関連付けられたネットワークに関連付けられたプロセスおよび/または機能を起動、および/または、実行するように構成され得る。基礎となるデバイス技術は、種々のコンポーネントタイプ、例えば、相補的金属酸化物半導体(CMOS)のような金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)技術、エミッタ結合論理(ECL)のようなバイポーラ技術、ポリマー技術(例えば、シリコン共役ポリマーおよび金属共役ポリマー金属構造)、混合アナログおよびデジタル等に提供され得る。
【0129】
(メモリ)
いくつかの実施形態では、メモリは、データベースを含み得、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、メモリバッファ、ハードドライブ、消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ(EPROM)、電気的に消去可能な読み取り専用メモリ(EEPROM)、読み取り専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリ等であり得る。メモリは、プロセッサに、1つ以上の治療計画、前の治療セッションおよび/または現在の治療セッション(例えば、リアルタイム撮像データ)中に入手された撮像データ、生物学的活性、撮像データから抽出される生理学的および/または解剖学的データ、更新され、または適合させられた治療計画、更新され、または適合させられた線量送達命令、放射線療法システム命令(例えば、ガントリ、療法用放射線源、マルチリーフコリメータ、および/または放射線療法システム、および/または、診断または治療計画システムの任意の他の構成要素の動作を指示し得る)、および処理治療計画および/または送達に関連付けられた画像、および/または、データ処理等のシステムに関連付けられたモジュール、プロセス、および/または機能を実行させるための命令を記憶し得る。
【0130】
本明細書に説明されるいくつかの実施形態は、その上に種々のコンピュータ実装動作を実施するための命令またはコンピュータコードを有する非一過性コンピュータ読み取り可能な媒体(非一過性プロセッサ読み取り可能な媒体とも称され得る)を伴うコンピュータ記憶製品に関する。コンピュータ読み取り可能な媒体(またはプロセッサ読み取り可能な媒体)は、それ自体が一過性伝搬信号(例えば、空間またはケーブル等の伝送媒体上で情報を搬送する伝搬電磁波)を含まないという意味において、非一過性である。媒体およびコンピュータコード(コードまたはアルゴリズムとも称され得る)は、具体的目的または複数の目的のために設計および構築されるものであり得る。非一過性コンピュータ読み取り可能な媒体の例は、限定ではないが、磁気記憶媒体、例えば、ハードディスク、フロッピー(登録商標)ディスク、および磁気テープ、光学記憶媒体、例えば、コンパクトディスク/デジタルビデオディスク(CD/DVD)、コンパクトディスク-読み取り専用メモリ(CD-ROM)、およびホログラフィックデバイス、磁気光学記憶媒体、例えば、光学ディスク、ソリッドステート記憶デバイス、例えば、ソリッドステートドライブ(SSD)およびソリッドステートハイブリッドドライブ(SSHD)、搬送波信号処理モジュール、ならびにプログラムコードを記憶および実行するように特別に構成されるハードウェアデバイス、例えば、用途特有の集積回路(ASIC)、プログラマブル論理デバイス(PLD)、読み取り専用メモリ(ROM)、およびランダムアクセスメモリ(RAM)デバイスを含む。本明細書に説明される他の実施形態は、例えば、本明細書に開示される命令および/またはコンピュータコードを含み得るコンピュータプログラム製品に関する。
【0131】
ユーザインターフェースは、オペレータまたは臨床医と治療計画システムとの間の通信インターフェースとしての役割を果たし得る。ユーザインターフェースは、入力デバイスと、出力デバイス(例えば、タッチスクリーンおよびディスプレイ)とを備え、入力データおよび出力データを支持アーム、外部磁石、センサ、送達デバイス、入力デバイス、出力デバイス、ネットワーク、データベース、およびサーバのうちの1つ以上のものから受信するように構成され得る。1つ以上のセンサからのセンサデータは、ユーザインターフェースによって受信され、視覚的に、聴覚的に、および/または触知フィードバックを通して、1つ以上の出力デバイスによって出力され得る。別の例として、入力デバイスのオペレータ制御(例えば、ジョイスティック、キーボード、タッチスクリーン)は、ユーザによって受信され、次いで、ユーザインターフェースのためのプロセッサおよびメモリによって処理され、制御信号を1つ以上の支持アーム、外部磁石、空洞内デバイス、および送達デバイスに出力し得る。
【0132】
フルエンスマップを生成するための治療計画システムのいくつかの変形例は、オペレータが、フルエンスマップ、および/または線量分布、および/または、着目領域および/または着目体積、および/または、患者解剖学的画像、および/または患者データ(例えば、生理学的および/または生物学的)等のグラフィカルおよび/またはテキスト表現を視認することを可能にし得るディスプレイデバイスを備え得る。いくつかの変形例では、出力デバイスは、発光ダイオード(LED)、液晶ディスプレイ(LCD)、エレクトロルミネセントディスプレイ(ELD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、薄膜トランジスタ(TFT)、有機発光ダイオード(OLED)、電子ペーパー/電子インクディスプレイ、レーザディスプレイ、および/またはホログラフィックディスプレイのうちの少なくとも1つを含むディスプレイデバイスを備え得る。
【0133】
(通信)
いくつかの実施形態では、治療計画システムおよび/または放射線治療システムは、例えば、各々が任意のタイプのネットワーク(例えば、有線ネットワーク、無線ネットワーク)であり得る1つ以上のネットワークを介して、他のコンピューティングデバイスと通信し得る。無線ネットワークは、任意の種類のケーブルによって接続されない任意のタイプのデジタルネットワークを指し得る。無線ネットワーク内の無線通信の例は、限定ではないが、セルラー、無線、衛星、およびマイクロ波通信を含む。しかしながら、無線ネットワークは、インターネット、他のキャリア音声およびデータネットワーク、ビジネスネットワーク、およびパーソナルネットワークとインターフェースをとるために、有線ネットワークに接続し得る。有線ネットワークは、典型的には、銅ツイストペア、同軸ケーブル、および/または光ファイバケーブルを経由して搬送される。広域ネットワーク(WAN)、都市規模ネットワーク(MAN)、ローカルエリアネットワーク(LAN)、インターネットエリアネットワーク(IAN)、キャンパスエリアネットワーク(CAN)、インターネットのようなグローバルエリアネットワーク(GAN)、および仮想プライベートネットワーク(VPN)を含む多くの異なるタイプの有線ネットワークが、存在する。以降、ネットワークは、典型的には、インターネットを通して相互接続され、統一されたネットワーキングおよび情報アクセスシステムを提供する、無線、有線、パブリック、およびプライベートデータネットワークの任意の組み合わせを指す。
【0134】
セルラー通信は、GSM(登録商標)、PCS、CDMAまたはGPRS、W-CDMA、EDGEまたはCDMA2000、LTE、WiMAX、および5Gネットワーキング規格等の技術を包含し得る。いくつかの無線ネットワーク展開は、複数のセルラーネットワークからのネットワークを組み合わせるか、または、セルラー、Wi-Fi、および衛星通信の混合を使用する。いくつかの実施形態では、本明細書に説明されるシステム、装置、および方法は、無線周波数受信機、送信機、および/または光学(例えば、赤外線)受信機ならびに送信機を含み、1つ以上のデバイスおよび/またはネットワークと通信し得る。
【外国語明細書】