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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023068118
(43)【公開日】2023-05-16
(54)【発明の名称】眼球内レンズシステム
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/16 20060101AFI20230509BHJP
【FI】
A61F2/16
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023045595
(22)【出願日】2023-03-22
(62)【分割の表示】P 2021023869の分割
【原出願日】2014-08-12
(31)【優先権主張番号】1314428.2
(32)【優先日】2013-08-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】1405005.8
(32)【優先日】2014-03-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】1413158.5
(32)【優先日】2014-07-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(71)【出願人】
【識別番号】520050325
【氏名又は名称】サイネオス ヘルス インターナショナル リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】230130074
【弁護士】
【氏名又は名称】藤河家 知美
(72)【発明者】
【氏名】キュレシ,エム
(72)【発明者】
【氏名】アータル,パブロ
(72)【発明者】
【氏名】スコット,ロビー
(72)【発明者】
【氏名】タベルネロ,ジュアン
(57)【要約】
【課題】加齢性黄斑変性症(AMD)を治療するための眼球内レンズシステムにおいて用いられるレンズを提供する。
【解決手段】
加齢性黄斑変性症(AMD)を治療するための眼球内レンズシステムにおいて用いられるレンズであって、レンズは、前面と、後面と、レンズとして前部光収束眼球内レンズが眼の光軸と並ぶように構成され、対称的なデザインを有する複数の触覚であって、複数の触覚は、前部光収束眼球内レンズを目の毛様体溝に位置するように構成され、毛様体溝に係合する表面を含む複数の触覚と、を備え、前面と後面とのうち少なくとも一方は、2つの網膜偏心度間の眼の網膜の黄斑領域において網膜像の連続体が結像するように、光学収差を最小限に抑えつつ、球面収差を誘発するように選択された非球面として形成される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加齢性黄斑変性症(AMD)を治療するための眼球内レンズシステムにおいて用いられるレンズであって、
前記レンズは、
前面と、
後面と、
前記レンズとして前部光収束眼球内レンズが眼の光軸と並ぶように構成され、対称的なデザインを有する複数の触覚であって、前記複数の触覚は、前記前部光収束眼球内レンズを目の毛様体溝に位置するように構成され、前記毛様体溝に係合する表面を含む複数の触覚と、を備え、
前記前面と前記後面とのうち少なくとも一方は、2つの網膜偏心度間の眼の網膜の黄斑領域において網膜像の連続体が結像するように、光学収差を最小限に抑えつつ、球面収差を誘発するように選択された非球面として形成される
レンズ。
【請求項2】
前記前面及び前記後面は、前記眼球内レンズシステムの後部光発散眼球内レンズに光を収束させるように構成されている
請求項1に記載のレンズ。
【請求項3】
前記レンズは、後部光発散眼球内レンズであって、
第2前面と、
第2後面と、
前記後部光発散眼球内レンズが眼の光軸と並ぶように構成される複数の触覚であって、前記複数の触覚は、前記前部光収束眼球内レンズを目の水晶体嚢に位置させるように構成され、前記水晶体嚢に係合する表面を含む複数の触覚と、を備える
請求項2に記載のレンズ
【請求項4】
前記レンズ及び前記後部光発散眼球内レンズのいずれか又は両方は、拡大された像が中心窩中央から5°を超えて網膜上に結像されるように構成される
請求項2に記載のレンズ。
【請求項5】
前記非球面のうちの第1の非球面は、焦点深度を増大させるように前記非球面のうちの第2の非球面よりも高い非球面度を有する、請求項1に記載のレンズ。
【請求項6】
少なくとも1つの前記非球面の表面の面だれ(z座標)は、
【数1】
r は動径座標
k は円錐係数
c は曲率半径の逆数
によって与えられる、請求項1に記載のレンズ。
【請求項7】
前記非球面の少なくとも1つは、収差を含む表面を有し、前記収差は、傾き、焦点ずれ、非点収差、または、コマ収差のいずれか1つについてゼルニケ多項式である、請求項1に記載のレンズ。
【請求項8】
前記前部光収束眼球内レンズと前記複数の前方の触覚は、軟質アクリルポリマーにより一体として形成される、請求項1に記載のレンズ。
【請求項9】
前記前部光収束眼球内レンズと前記後部光発散眼球内レンズは、生体適合材料から作製される、請求項2に記載のレンズ。
【請求項10】
前記生体適合材料は、シリコーンまたはポリメタクリル酸メチルである、請求項9に記載のレンズ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、眼球内レンズシステムに関する。
【0002】
本出願を通して、用語『レンズ』および『光学品』は、交換可能に使用され、光学品は、眼球内レンズの屈折構成部品を指すことを理解されたい。
【背景技術】
【0003】
黄斑に影響を与える最も一般的な状態は、年齢に関連する黄斑変性(AMD)であり、これは、また、先進国における有意な視力障害の最も一般的な原因である。AMDによって、結果的に、黄斑として知られている網膜の特化された部分における光受容細胞(光受容体)および眼の奥の支持組織の損失が発生する。この状態は、黄斑のまさしく中央部(中心窩)、つまり、読み取りおよび面の認識を可能にする領域に関与することが最も多い。年齢に関連する黄斑変性がある患者らの大半において、失明が、数年にわたって発生し、この視力障害のパターンは、黄斑における機能する光受容体の小さい島の維持を可能にする。組織のこれらの残りの島は、患者が読み取ることを可能にする場合があるが、光受容細胞の密度は中心窩からの偏心度の増大と共に減少するので、視力解像度は、鼻から中心窩にかけて3°にて、視力は、0.4(0°にて1.0の視力と比較して)に低減し、5°にて、視力は、さらに0.34に低減するように弱くなる恐れがある。疾患の重症度によっては、患者らは、拡大鏡などの視覚補助具、または、読み取りを促進する眼鏡取付け式かまたは手持ち式の望遠鏡機器の使用から恩恵を受ける場合がある。そのような用具の使用は、制限的であることが多いが、拡大鏡は、簡単に持ち運びできるものではなく(かつ、良好な照明が必要)、望遠鏡機器は、患者の視野をひどく低減する可能性があるからである。視力低下に関連した諸問題にもかかわらず、年齢に関連する黄斑変性および中心視野に影響を与える類似した状態を有する患者は、それでも、損傷した中心窩の外側の残りの黄斑の組織(時には「選好網膜部位(preferred retinal locus)」つまりPRLと呼ばれる)を効果的に使用し得るが、これは、患者が、偏心して固定すること-何か必ずしも簡単に達成されるというわけではないこと-ができるようになる必要がある場合がある。患者らの固定を向上させる1つ潜在的な方法は、像が拡大効果の有無を問わずPRL上に結像されるように眼における光路を改変する用具を導入する手術を受けることである。しかしながら、PRLの正確な場所は、患者によって変わり、そのようなアプローチを使用するPRLの正確なターゲッティングが、患者の視力が悪化させるべきではない場合には不可欠である。更に、疾患が進行して機能している網膜の残りの島のサイズが縮むにつれて、PRLの場所がずれる可能性があり、これを考慮するために眼における光路に変えることが必要になる場合がある。
【0004】
年齢に関連する黄斑変性における視力低下の管理に対する現行の外科的アプローチとしては、場合によっては白内障手術における使用に採用されるものと異ならない望遠レンズの移植が挙げられる。そのようなレンズは、外部望遠鏡機器の使用に関連した短所なく優れた光学品の長所を有する。更に、望遠鏡機器は、中心窩に対して偏心している健全な黄斑の領域上に結像される拡大された像を提供するように構成することができる。これらの眼球内用具の大部分の既存のデザインでは、発散眼球内レンズ(IOL)が眼において収束IOLの後に位置選定されるように、ガリレオ望遠鏡システムの変形例を採用している。
【0005】
眼球内ガリレオ望遠鏡に対する基本的な軸傍アプローチは、以下の通りである。
【数1】
D=レンズ間距離(想定された薄いレンズ)
M=倍率
fobj=対物レンズの焦点距離
foc=接眼レンズの焦点距離
【0006】
眼の後眼房内に位置する光発散IOLを採用するガリレオ眼球内望遠鏡および前眼房内の光収束レンズは、Orzalesiら(Ophthalmology Volume114 Issue 5、2007)によって、およびU.S.Pat.No.20120136438A1で開示されている。これらのシステムは、黄斑のターゲットより健全部分をターゲットするために、像の拡大および光の偏向を提供する。後者は、非対称触覚デザインによる収束レンズの光学軸に垂直な方向での発散レンズの変位によって達成される(触覚は、対で見られることが多いIOLの支持アームであり、各々1つが、眼球内のIOLの位置が安定したままであることを確保するためにインプラントの両側にて装着される)。一方の触覚を短くして他方を長くすることによって、プリズム効果が達成され、光が固定に対して偏心して集束されるように発散するIOLを移動することが可能である。この構成は、いくつかの短所を有する。第1に、プリズム効果は、発散するIOLにより与えられ、発散IOLは、両方の実例において収束IOLの後ろにあり、その結果、万一場所が後日に変わった場合にはPRLを目標とするために発散するIOLを回転させるためにはアクセスが難しくなる。第2に、前眼房内のIOLの位置決めは、緑内障などの2次病変部および眼の角膜の損傷に関連することを知られている。第3に、そのような構成の光学品は、IOLが拡大のために一定の距離を隔てて、および、PRLを目標とするために光軸に垂直な一定の変位にて(発散レンズの場合)留まることに非常に左右され、その結果、互いに対するIOLの最適構成の考慮がなく、システムは、患者の視力を更に悪化させる可能性を有する。
【0007】
一定の位置合わせに置かれるIOLを利用する眼球内望遠鏡が、U.S.Pat.No.7186266、6596026、5391202、7918886、20040082995および20110153014で開示されている。これらのシステムにおいて発散レンズを収束レンズに固定する主な短所は、1)この構成は、(大部分の円筒形単品デザインに当てはまるように)PRLを対象とするために必要なプリズム効果が得られるように他方に対する一方のレンズの変位を可能にすることができず、2)一部の実例において、プリズム効果は、達成される場合、インプラントを交換しないで改変可能であることができず、3)用具(または用具の一部)が水晶体嚢内に移植されるシステムの場合に、インプラントの真上の水晶体嚢の線維形成が、万一PRLの変化に即した調整の必要性が生じた場合には容易な交換または回転を妨げる恐れがあり、4)インプラントのサイズが増大され、眼内のより大きい切開部がインプラントを位置決めするために必要とされるようになっている(これは、傷治癒期間の延長および視力の質に悪影響を与える恐れがある非点収差の増大に関連する)ということである。更に、採用されるレンズの高い屈折力には、視覚的可能性を最適化して、インプラントの性能不良を回避するようにレンズ表面に対する慎重な配慮が必要とされる。
【0008】
結果的に、像をPRL上に確実に結像すると同時に、また、更なる外科手術を必要とせず患者のPRLの場所の変化を可能にするのに十分に可撓である眼球内レンズシステムに対する必要性が存在する。
【0009】
本発明の第1の態様により、前面と後面とを有する少なくとも1つの眼球内レンズを含み、レンズの少なくとも1つの表面(および、好ましくは両方の表面)は、2つの網膜偏心度間の領域において網膜にて結像されるべき網膜像の連続体を提供するために非球面性を含むように構成される、眼球内レンズシステムを提供する。
【0010】
本発明の一部の実施形態は、2つ(又はそれ以上)のレンズ、例えば、前面と後面とを有し、眼内の位置決めのための前光収束眼球内レンズと、前面と後面とを有する、前レンズの後方にある眼内の位置決めのための後光発散眼球内レンズを含み、前レンズの表面および後レンズの表面の少なくとも1つは、2つの網膜偏心度間の領域において網膜にて結像されるべき網膜像の連続体を提供するために非球面性を含む改変された表面である。
【0011】
これを達成するために、最適化プロセスが、半径の正確な値、および、(例えば各表面の円錐値として与えられる)各レンズ表面に独自の非球面性を判定するために使用される。網膜偏心度の異なる角度について類似した光学特性を生成するために採用され得るこれらの値(半径および円錐値)の複数の組み合わせがある。複数のレンズを使用することによって、網膜上に提示された像を拡大し、ならびに、2つの網膜偏心度間の領域において像の所望の連続体を提供することが可能である。
【0012】
2つの網膜偏心度間の領域は、視軸から少なくとも2°、好ましくは、少なくとも3°、更に好ましくは、少なくとも4°延在する領域であり得る。一部の実施形態において、網膜像が結像される領域は、視軸から少なくとも5°延在する。領域は、中心窩全体に延在し得る。
【0013】
所望の画像特性を提供するために、表面の少なくとも2つが非球面性を含むことが、通常、好適になる。一部の実施形態において、レンズ表面の少なくとも3つは、非球面性を含む。他の実施形態において、全てのレンズ表面(すなわち、2つのレンズがある4つの表面の全て)は、非球面性を含む。
【0014】
2つのレンズが使用される場合、前レンズおよび後レンズは、互いと別個であり得る。あるいは、該レンズは、例えば、該レンズを設定された距離を隔てて保持するために、物理的構造体によって互いに接続され得る。一部の実施形態において、2つのレンズは、該レンズを接続する役目をすることができる光透過要素を有することができる。
【0015】
一部の実施形態において、システムは、拡大された像を提供するために、ガリレオ望遠鏡式に配置された少なくとも2つの眼球内レンズ(IOL)を含む。両方のレンズは、視軸に中心を有する。非球面性の使用は、固定から5°又はそれ以上延在する領域において網膜に提示されるべき拡大された像を提供する。これは、特定の網膜軌跡を目標とするためにプリズム効果を誘発する必要性を省き、それで、視軸に垂直な方向に他方に対して一方のレンズを偏倚させる必要がない。このようにして、像は、不良な中心視を有する個人において中心窩(ただし、必ずしも中心窩に限定されない)全体にわたって連続体で結像され得る。
【0016】
任意選択的に、より高度の非球面性は、改変された表面のいずれか、または、表面の組み合わせに与えられ得る。システムの許容差は、有利なことに、改変された表面の1つにおいて非球面性を更に増大させる結果として増大される。これは、2つのレンズの相対的位置決めの方の重要さがよりすくないことを意味し、システムは、したがって、例えば、患者の眼の解剖学的組織または手技の差のために生じ得る2つのレンズ間の分離の変動のほうには影響がより少ない。例えば、改変された表面の上記1つの非球面性は、非球面性を含む他の表面の1つ又はそれ以上の非球面性の2~4倍の大きさであり得る。後レンズの後面は、システム内の残りの表面よりも高い非球面性の量を有することが好ましい。収差は、IOLシステムの許容差が向上するように任意の高次収差(特に4~6次)、球面収差、またはその他であり得る。IOLシステムは、したがって、患者の視力を特定の分離距離にてよりもむしろある範囲のレンズ分離距離にわたって向上させるように機能することができる。IOLシステムは、患者の眼球内のシステムの設置によって、実際に、結果的に、2つのレンズの相対位置に関連した光学効果のために、患者の視力の質の低減が発生する可能性がある他のIOLシステムに関連した諸問題を回避する。
【0017】
システムは、有利なことに、患者が用具を忍容しない場合、または、用具が交換を必要としない場合にはレンズの相対的に単純な外移植を可能にする。
【0018】
2つの眼球内レンズ(IOL)の同時の使用は、年齢に関連する黄斑変性および黄斑および中央視野に影響を与える他の進行性および非進行性の状態を有する患者の視覚的可能性を最大化する方法を提供する。
【0019】
任意選択的に、改変された表面は、回転対称の多項式円錐面であるが、他の非球状の表面が、他の実施形態において使用され得る。
【0020】
任意選択的に、改変された表面の面だれ(z座標)は、
【数2】

によって与えられる。
【0021】
半径(r)および円錐定数(k)の可能であるが独自でない組み合わせは、以下である。
r1=6.6mm、k1=-9、
r2=-5.7mm、k2=-0.6、
r3=-13.3mm、k3=-100、
r4=4mm、k4=-7。
【0022】
半径および円錐定数の多くの他の組み合わせが類似した値を与え得ることに注意されたい。
【0023】
眼球内レンズシステムは、4つのレンズ表面の全ての改変を含むことが好ましい。
【0024】
眼球内レンズシステム内の4つの表面の全ては、非球面にされることが好ましい。
【0025】
眼球内レンズシステムは、前レンズ位置決め手段と、後レンズ位置決め手段とを更に含み、前位置決め手段は、前レンズが眼内に位置決めされるときに、前位置決め手段は、該前レンズが眼の光軸と位置合わせされるように前レンズの場所を特定するように構成され、後レンズ位置決め手段は、後レンズが眼内に位置決めされるときに、後位置決め手段は、該後レンズが眼の光軸と位置合わせされるように中に後レンズの場所を特定するように構成されることが好ましい。このようにして、触覚は、IOLシステムによって網膜上へ結像される像が2つの網膜偏心度間に延在する領域において中心窩にて結像されるように使用時に左右対称の触覚デザインで構成した。
【0026】
任意選択的に、前レンズおよび前位置決め手段は、単体であり、及び/又は、後レンズおよび後位置決め手段は、単体である。例えば、各レンズは、その触覚を含むように成型され得る。
【0027】
任意選択的に、改変された表面は、第2の収差を含み、第2の収差は、傾き、焦点ずれ、非点収差、または、コマ収差のいずれか1つについてゼルニケ多項式である。この収差は、少なくとも4次収差であり得る。随意的に、それは、6次収差のみであり得る。
【0028】
このようにして、IOLシステムは、特定の患者らの更なる光学収差を補正するようにさらに最適化される。
【0029】
好ましくは、眼球内レンズの一方又は両方は、黄色に薄く着色され、それによって、レンズ材料が390nmを下回る波長を有する光を吸収するように構成される。このようにして、横色収差は、低減され、その結果、システムの光学品が最適化される。
【0030】
任意選択的に、レンズの光学品は、拡大された像が中心窩中央から広幅角度にて(中心窩中央から5°を超えて)網膜上に結像されるように改変される。
【0031】
任意選択的に、回折特性を組み込む表面を有する第3の眼球内レンズは、システムの焦点深度を増大させるために第1及び第2のレンズ間に位置選定可能である。
【0032】
任意選択的に、非球面性を組み込む表面を有する第3の眼球内レンズは、像が網膜にて提示される偏心度の範囲を増大させるために第1及び第2のレンズ間で位置選定可能である。
【0033】
一部の実施形態において、前レンズは、眼の前眼房内に位置決めされるのに適し、後レンズは、眼の毛様溝内に位置するのに適する。前レンズは、5mm未満である直径を有し得る。任意選択的に、前レンズは、少なくとも4mmおよび5mm未満の直径を有し得る。他の実施形態において、一方又は両方のレンズは、6mm未満の直径を有し得る。尚も更なる実施形態において、6mmを上回る直径のレンズが使用され得る。
【0034】
一部の実施形態において、前レンズは、眼の前記毛様溝内に位置決めされるのに適し、後レンズは、眼の水晶体嚢内に位置決めされるのに適する。やはり、前レンズは、5mm未満である直径を有し得る。任意選択的に、前レンズは、少なくとも4mmおよび5mm未満の直径を有し得る。
【0035】
一部の実施形態において、前レンズおよび後レンズの両方は、眼の水晶体嚢内に位置決めされるのに適する。
【0036】
一部の実施形態において、前レンズは、眼の前眼房内の位置決めに適し、後レンズは、眼の水晶体嚢内の位置決めに適する。
【0037】
一部の実施形態において、前レンズおよび後レンズは、両方共、眼の毛様溝内の位置決めに適する。
【0038】
レンズの少なくとも一部は、生体適合材料から作製されることが好ましい。
【0039】
両方のレンズは、生体適合材料から部分的に又は完全に作製されることが好ましい。
【0040】
生体適合材料は、シリコーンまたはアクリルであり得る。材料はポリメタクリル酸メチルなどの剛性材料であり得るが、疎水性または親水性特性を有し得るより軟質のアクリルであり得る。
【0041】
任意選択的に、眼球内レンズシステムは、上記レンズが眼の光軸に対して様々な方向に傾動されることを可能にするように角度付けされる前レンズおよび/または後レンズ向けの触覚を含む。
【0042】
任意選択的に、前レンズは、不透明アニュラスを含む。これは、該アニュラスがレンズの外側周りに進行する光の結果としてそうでない場合は発生し得る網膜像のぶれを防止するので患者の本来の瞳が大きい場合には特に有用である。
【0043】
前レンズが不透明アニュラスが装備される場合、アニュラスは、5mm~7mmの内径を有し得る。アニュラスは、レンズに接続可能である別個の特徴部であり得る。
【0044】
本発明の実施形態を添付図面を参照して例示する。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1】眼の横断面図である。
図2図2および6に例示するシステムの一部として特長とされる前IOLの上面図および側面図である。
図3図2および6に例示するシステムの一部として特長とされる後IOLの上面図および側面図である。
図4】本開示に定められたように本発明の実施形態を特長とする眼の横断面図である。
図5】眼内の本発明の実施形態および関連の光跡の横断面図である。
図6】標準的な単焦点光学品により提供された画質と比較した、本発明によって供給される軸外画質を示す図である。
図7】網膜での固定からの0~5°の偏心の範囲において、および、1.4mm~1.7mmで変わるシステムの2つの光学品間の距離で本発明によって提供された一貫した画質を示す図である。
図8】前IOLの実施形態の上面図および側面図である。
図9】後IOLの実施形態の上面図および側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
本発明の1つの実施形態は、2つの別個のIOLを含む。第1のIOLは、眼の毛様溝において第2の光学品の前方に位置するように成形および寸法決定された光収束レンズである。第2のIOLは、水晶体嚢において位置するように成形および寸法決定された後光発散レンズである。この実施形態は、これらの位置に位置選定されるIOLと共に最も良好に採用されるが、他の実施形態は、眼の前眼房内の光収束レンズ、および、毛様溝内の光発散IOL、または、毛様溝内の両方のIOLの位置選定を可能にする。IOLは、各レンズの光学品に装着されたかまたは該光学品と接続する触覚によって相対位置に安定化され、この構成は、ガリレオ望遠鏡式に拡大された像を提供する。しかしながら、中心窩中央からある範囲の網膜偏心度全体にわたって網膜像を結像するために、眼球内レンズの表面は非球面にされる。これは、2つの網膜偏心度間の領域において像の連続体を結像する能力と引き換えに、特定の網膜軌跡での最適画質を犠牲にし、その結果、レンズ列においてプリズム効果を誘発する必要性が省かれる。更に、本発明の実施形態は、同じデザインであるが異なる屈折力に基づいてその後の処置中のIOLの除去およびIOLとの交換を可能にすることができ、多少なりとも、網膜像の拡大を提供することができるようになっている。
【0047】
例示的なシステムは、中心窩中央から少なくとも5°まで延在する領域(または、中心窩中央を中心とする10°の全径の領域)において一貫した品質の像の連続体を与えるように改変される4つの回転対称の円錐レンズ表面を含む。システム内の4つのレンズ表面の全ては、後レンズの後面に与えられる最高量の非球面性で非球面にされることが好ましい。この組み合わせはある範囲の網膜偏心度全体にわたって眼の網膜に提示された像の質を最適化して、IOL位置決めにおける誤差に対するシステムの許容差を増大させる。
【0048】
本発明の可撓性は、ある範囲の光学収差を補正するためにレンズ表面の最適化によって可能とされる。IOL面の最適化は、光学品の高い屈折力のために第1の実例において必要とされるが、これらは、先述した肉薄レンズ軸傍製法から逸脱するからである。本発明内のIOLの各表面は、非球面を有する。これによって、拡大された像が視軸に垂直な方向での互いに対する2つのレンズの変位を必要とせずある範囲の網膜偏心度全体にわたって中心窩に提示される余裕が生じる。可撓性は、また、本発明の例証する実施形態の2つのレンズ間の結合がなく、その結果、非点収差を増大させて回復時間を増大させると思われる眼の大きい切開部を必要とせずIOLの移植が促進されるという事実によって与えられる。同様に、この機能は、(そのように所望されないか場合には)レンズのより簡単な外移植を可能にする。光学軸に沿った2つのレンズ間の距離は、また、網膜像の質を判定する際の極めて重要な要素であり、光学軸に沿った互いに対するレンズの位置の小さいずれによって、結果的に、有意な屈折誤差の生成および黄斑に提示される像の質の劣化が発生する。本発明の何らかの実施形態は、システムにおける4つのレンズ表面の1つ(好ましくは後レンズの後面)においてより高度の非球面性を誘発することによってこの問題を克服する。これによって、焦点深度が増大し、網膜像の高い質および有意な範囲の位置決め許容差が確保される。一方又は両方のIOLに対する他の任意選択的な改変が、本発明の本開示に含まれ、これらとしては、さまざまに、より大きい瞳に関して口径食を低減するためのなど、光学品の洗練、および、用具のより広い適用を可能にする変更が挙げられる。キットは、異なる屈折力の様々なIOLおよび様々な像拡大を与える表面、AMD以外の状態を有する患者および高い屈折誤差および非点収差を有する患者を含む多種多様な患者における発明の使用を含むことになることが企図されている。
【0049】
各IOL光学品の表面が、球面収差を誘発し、光学収差を最小限に抑え、かつ、IOL位置決めの許容差を増大させるようにモデル化/構成されることが、本発明の重要な特長である。本発明において使用される眼球内レンズの表面特性は、ゼルニケ多項式を使用して説明することができ、これらは、円形の領域上にわたる波面または面だれに適合するために使用することができる単位円上に画定された完全な1組の直交多項式である。該多項式は、効率的にコマ収差および球面収差などの一般的なエラーを表すので方程式に従って説明する。
【数3】

式中、ρおよびθは、それぞれ正規化された半径および方位角を表し、aiは、この項の重み付け係数である。
【0050】
表1は、始めの15個のゼルニケ項および各項が表す収差を示す。
【表1】

【0051】
本開示の原理の完全な理解を促進するためにここで図を参照する。本開示の範囲のいかなる制限も意図されていない。説明する用具、器具、方法に対する一切の変更および更なる改変、及び、本開示の原理の一切の更なる適用が、本開示が関係する当業者に通常思いつくと思われるように完全に企図されている。特に、1つの実施形態に関して説明する特徴、構成部品および/またはステップは、本開示の他の実施形態に関して説明する特徴、構成部品および/またはステップと組み合わされ得ることが完全に企図されている。
【0052】
図1を参照すると、横断面での人間の眼の図である。眼は、堅い繊維様被膜、つまり、前にはない強膜1により境界が示され、強膜は、角膜2と交わる。角膜2は、眼にその集束力の大部分を与える、かつ、前眼房3の前境界域を形成する透明な構造体である。後眼房4は、虹彩5によって前眼房3から分離される。後眼房の前周辺にて毛様溝6として知られる窪みがある。虹彩5は、天然の水晶体8への光の通過を可能にする瞳7として知られる円形の中心孔を含む。天然の水晶体8は水晶体嚢9として知られる肉薄の連続した膜内に収容され、水晶体嚢9に装着されるのは、毛様小帯10として知られる装着される多数の細い靭帯である。周辺領域にて、毛様小帯10は、毛様筋11に装着される。天然の水晶体8の形状の変化は、毛様筋11の作用および水晶体嚢9に毛様小帯10を介して伝達される力(調節として知られる効果)により可能にされる。天然の水晶体8は、中心窩12、つまり、それ自体網膜14(眼の後ろの感光組織)の特化された部分である黄斑13の高度に特化された部分上に光線を集束するように働く。網膜14は、光受容体として知られる細胞の光感受性層を含む複数の層から成る。色覚および高解像度視力を促進する光受容体(錐体視細胞として知られる)は、黄斑13にて、最も詳しくは、中心窩12-読み取りおよび顔の認識に不可欠である領域にて最も高度に集中される。中心窩12および黄斑13の損傷は、これらの部位に集束された光が、脳において処理された任意の像の結果的に生じる不良のために検出されるのを妨げる場合があることがわかるであろう。最後に、光軸15は光が光学システムを通って伝播する経路を画定する想像線である。眼などのシステムについては、光軸15は、角膜2および天然の水晶体8の曲率中心を通過し、かつ、回転対称軸と一致する。
【0053】
図1及び図2の両方をここで参照すると、本発明の1つの実施形態は、毛様溝6内に位置する前光収束IOL16および水晶体嚢18内に位置する後光発散IOL17を含む。この実施形態において、水晶体嚢18は、白内障手術中に採用される現行の微小切開技術と一致する方法で天然の水晶体つまり白内障の除去を促進するために前に円形の欠陥を含むことに注意されたい。前IOL16の光学部品は、非対称構成で触覚によって所定の位置に維持され、第1の触覚19は、第2の触覚20と同じ長さであり、したがって、後レンズの光軸は、眼の光軸と一致して走るようになっている。後IOLの光学品は、装着された触覚によって水晶体嚢において所定の位置に維持され、第1の触覚21は、第2の触覚22と同じ長さであり、したがって、後レンズの光軸は、眼の光軸および前レンズの光軸と一致して走るようになっている。この実施形態において、両方の光学品16、17は、軟質アクリルポリマ(屈折率1.54、アッベ数40、可視域透過>92%、紫外線光透過<0.5%)など疎水性材料で作製されるが、一般的に、光学品は、(以下で述べるような)相応に改訂される光学品面の最適化のための計算で、眼球内レンズ構造において使用される任意の透明な生体用材料で作製され得る。同様に、触覚19、20、21、22は、ポリメタクリル酸メチルおよび/またはポリプロピレンを含む任意の適切なポリマー材料で形成され得る。IOLは、長さが5mm未満の眼の傷を介して移植を促進するために折り畳み可能であるように設計される。
【0054】
図1、2、3、4、5、6および7を参照して、IOLおよび構成の態様をより詳細で論じる。
【0055】
図3は、横断面23でかつ頂部24から前光収束IOLを示す。前収束IOLは、厚さ25、直径26および屈折力を有する光収束光学品から成り、後IOLと連動して、黄斑にてある範囲の網膜偏心度全体にわたって特定の拡大の網膜像を提供するために光を集束することができるようになっている。不良な中心視を有する個人のためになるために十分な品質の網膜像を達成するために、第1のレンズの光学設計は、該レンズが非球面前面27および非球面後面28から成るように最適化される。第1のレンズの各面は、動径座標rの関数として面だれ(z座標)を以下により与えることができる回転対称の多項式非球面円錐面である。
【数4】

式中、
i)
cは、曲率半径Rの逆であり、R:c=1/R
ii)
kは、円錐定数であり(-1~0の範囲の値で、
iii)
aは、円錐定数への追加である非球面の多項式の係数である。
【0056】
第1のレンズは、前光学品に装着されるか、または、前光学品と接続する2つの触覚によって中心が眼の光軸と一致し、第1の触覚29は、第2の触覚30と同じ長さであるようになっている。光学品は、したがって、各触覚が眼6と接触するように設計される地点から等距離31、32に位置選定される。この実施形態において、両方の触覚は、光学品が毛様溝の平面の後にある平面に位置選定されるように該触覚が光学品から出てくる地点から前方に角度付けされることに注意されたい。このようにすると、前IOLの前面は、虹彩5とは無縁のままである。しかしながら、触覚は、眼の前眼房3、毛様溝6、または水晶体嚢9における光学品の位置決めに向けて設計することができる。
【0057】
図4を参照すると、後光発散IOLは、横断面33でかつ頂部34から示されている。後光発散IOLは、中央厚さ35、直径36、および屈折力を有する光発散光学品から成り、前IOLと連動して、光を特定の倍率の網膜像を提供する黄斑の領域上に集束することができるようになっている。やはり、この構成で十分な品質の網膜像を達成するために、後光学品の光学設計は、該光学品が回転対称の多項式の非球面の前面37および回転対称の多項式の非球面の後面38から成るように最適化される。各表面について、動径座標rの関数としての面だれ座標zは、前光学品の場合と同様に以下により与えることができる。
【数5】
【0058】
一例としてのみ、本発明の1つの実施形態における円錐定数(k)は、(前光学品の前面から始まって)以下の通りであり得る。
第1の面:-9
第2の面:-0.6
第3の面:-110
第4の面:-7
【0059】
後光学品に装着されるか、または、後光学品と接続するのは、等しい長さ41、42の2つの触覚39、40である。触覚は、眼の前眼房3、後眼房4、または水晶体嚢9における光学品の位置決めに向けて設計することができる。前IOLからの最大距離を達成するために、光学品が触覚が水晶体嚢18の周辺と接触する部位の後の平面内にあるように後IOLに装着された触覚39、40に角度をつけることが必要であり得ることに注意されたい。後IOLに対する前IOLの構成の横断面を示す図2及び5を参照すると、IOLは、前光収束IOL46が後光発散IOL47から最適距離にて位置選定され、その結果、1.2~1.4の網膜像の拡大が得られるように眼の光軸と一致して眼内に配置される。
【0060】
図1図5を参照すると、角膜に入ると眼内で取られて本発明44、45および図6の光学品を通過する光43の経路を表す線、眼の横断面での本発明の概略図。第1のレンズ44の光学品は、ガリレオ望遠鏡式に第2のレンズ45の光学品のそれの前方に位置選定され、両方のレンズは、光軸が眼15の光軸と一致した状態で中央に位置する。各光学品の表面は、拡大された像が同時に網膜46、47、48にてある範囲の偏心度全体にわたって提示されるように非球面にされる。本発明は、同様の光学品質の像を10°軸外の領域(中心窩中央から5°の半径を有する領域)に与えるように最適化される。図6は、標準的な21のジオプトリ単焦点光学品で取得された画質と比較したときの固定から0、2.5~5°の偏心度にて本発明によって達成された画質の軸外最適化を示す。効果は、具体的に網膜のこの領域を目標とする必要がなく、かつ、患者が偏心して固定することを習得することを必要とすることなく、拡大された像を患者の好適な網膜軌跡にて提示することができるようなものである。更に、患者の好適な網膜軌跡が経時的に変わる場合、患者は、初めに使用された網膜偏心度と異なる網膜偏心度にて提示される像を利用することを習得することができる。
【0061】
互いに対する2つのインプラントの意図された軸方向の位置決めからの小さい偏向さえ網膜にて呈される像の有意な屈折誤差および劣化を生成し得ることから、本発明は、システム内の表面の1つ、優先的に第2のレンズ38の後面をシステム内の他の光学面よりも非球面にすることによって準最適なインプラント軸方向位置決めに向けてシステムの許容差を増大させる。これによって収差が追加されて、本発明の焦点深度が増大する。更なる収差の正確な量は、網膜像の有効な十分な品質および位置決め許容差の有意な範囲を確保するために判定される。本発明のこの機能は、本発明が個々の外科医の実践における変動および早期および後期の術後の期間中の眼の解剖学的組織の変化に対応しながら網膜像の高品質を供給することができることを確保する。本発明においてIOL位置決めの許容差を増大させる際の球面収差の追加の利点、および、本発明によるある範囲の偏心度全体にわたって網膜にて提示される像の質を共に図7に示す。類似の画質が、0~5°の範囲の偏心角にて供給され、かつ、2つのレンズ間の距離が1.4mm~1.7mmまで変わるときに品質は維持されるということがわかる。
【0062】
システムの光学品は、互い51に対するインプラントの垂直変位によって誘発される横方向の色収差を考慮するようにさらに最適化され、これは、製造プロセス中にインプラントに黄色の色合いを追加することによって達成される。IOLへの黄色の色合いの追加によって、また、紫外放射からの黄斑の保護という追加された利点が与えられる。
【0063】
表1を参照すると、本発明のIOLの光学品の表面は、球面収差の値の他にゼルニケ多項式の値の追加によってさらに最適化することができるということがわかる。表面は、個々の患者の光学収差が最小限に抑えられるように傾き、焦点ずれ、非点収差およびコマ収差のゼルニケ多項式を含む線形結合ゼルニケ多項式として表すことができる。レンズの結果として生じる改造は、少なくとも1つのレンズ設計パラメータが変更されることを意味しており、これは、前面形状および中心半径および後面形状および中心半径を含み得、IOLは、所期の効果を達成するためにレンズのキットから選択することができる。
【0064】
触覚の材料、生体機械的な特性、長さおよび形状および前後光学品の材料、表面、サイズおよび生体機械的な特性は、所望の網膜像を達成するように修正することができる(触覚は、例えば、単体前または後IOLの一部を成すことができ、かつ、眼9の前眼房3、後眼房4、または、水晶体嚢におけるレンズまたは両方のレンズの位置選定を可能にするされることができる)。ある範囲の屈折力、光学的曲面、光学品色合いおよび触覚構成から成るある範囲の前インプラントおよび対応する後インプラントが、広範囲にわたる屈折誤差があっても個々の患者におけるPRLのターゲッティングを促進するためにキット内に含められ得る(これは、高い非点収差を補正する円環光学品を含む)ことが更に企図されている。横断面49でおよび上から50前光収束IOLのバージョンを示す図8をここで参照すると、本発明に関して、特に前後IOL間の垂直の偏芯のレベルが高い場合により大きい瞳のサイズで発生する視覚的に有意な口径食のリスクがあることが企図されている。そのような口径食を防止するように設計された前光収束IOLのバージョンを49、50に示す。光学品の直径は、この実施形態51において増大され、更なるリム52が、表面53への生体用の安定した不透明塗料の塗布によって不透明にされる。
【0065】
あるいは、不透明リムが、同じ効果が得られるように当初に考えられたように、光学品の表面上に位置決め、例えば光学品に接合され得る。リムは、より大きい瞳での口径食を防止するのに十分な幅である。光学品の屈折部分は、影響されないままであり、等しい長さである触覚54、55は、先述したように光学品に挿入する。図9を参照すると、横断面56でおよび頂部57から後光発散IOLのバージョンを示すが同じまたは類似の効果は、不透明であり、かつ、光学品に接合するか、または、例示において示すように、表面60に塗布された生体用で安定した不透明塗料によって不透明する(不変のままである触覚の構成61、62)ことができるリム59を含むために後光学品58の直径を増大させることによって達成することができる。
【0066】
更なる実施形態(図示せず)において、不透明リムは、光学品本体の一部内に位置し得
る。
【0067】
本発明を添付図に例示する好適な実施形態において説明しているが、いかなる制限もこれによって意図されるものではない。光学的曲面のデザインおよび構成は、光学特性を洗練するための色合いの塗布を含め、本発明に不可欠と考えられ、かつ、様々な状況において適用され得る。例えば、IOLの構成は、相応に光学的曲面、IOL屈折力および触覚デザインの修正での前眼房3内の前光収束IOLおよび後眼房内の後光発散IOL、後眼房4内の両方のIOL、または、水晶体嚢9内の両方のIOLの位置決めを含み得ることが企図されている。
【0068】
更なる実施形態(図示せず)は、眼においてある範囲の焦点を可能にするための一方の光学品または両方の光学品への回折面の適用(および結果的に補正なしの距離および近見)、及びPRLをターゲット-または、前眼房、後眼房、または水晶体嚢への上述した特性の1つを有する第3の光学品の導入を含む。
【0069】
また、AMDを有する被験者における本発明の使用に言及するが、その使用に関していかなる制限も意図されていない。本発明は、固定に対して偏心する黄斑の領域の、かつ、ある範囲の倍率および屈折能力でのターゲッティングを達成するために多種多様な臨床シナリオにおいて使用されることになることが企図されている。本発明は、カートリッジ注入器の使用の有無を問わず小さい(5mm)切開部を介した眼への挿入、天然の水晶体または白内障摘出中に採用される外科手術手技という状況における使用と一致するアプローチ向けに設計される。この点を踏まえると、本発明は、天然の水晶体抽出と組み合わせて、または、白内障手術時に、または、必要であれば、白内障手術/レンズ抽出後に(その適用で-光学品面、触覚デザイン、光学品材料および光学品屈折力の任意の改変と共に-眼内の既存のインプラントに加えて又は該インプラントの代わりに)使用され得ることが予想される。
【0070】
このアプローチとの調和を保つ際、ある範囲の単焦点IOLが提供され得、これは、本発明が初期手術時に指示されていないが天然の水晶体が除去されて、患者が後日本発明を使用する可能性を持ち続けることを望む場合の使用向けに考案される。これらの状況下では、初回手術時に移植された単焦点IOLの光学品は、患者が黄斑の疾患を発症した場合に本発明が万一必要とされる場合には本発明に関連した使用に向けて最適化されることになる。
【0071】
広範囲にわたる改変および置き換えが、本開示に関して企図され、提供する例示は、本発明のデザインを制限したり、または、使用の適用を制限したりすることは意図されていない。更に、本発明の様々な置換が、添付の特許請求の範囲において明らかにされるように様々な特性を組み込むことによって生み出され得ることが意図されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2023-04-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加齢性黄斑変性症(AMD)を治療するための眼球内レンズシステムにおいて用いられるレンズであって、
前記レンズは、
前面と、
後面と、
前記レンズとして前部光収束眼球内レンズが眼の光軸と並ぶように構成され、対称的なデザインを有する複数の触覚であって、前記複数の触覚は、前記前部光収束眼球内レンズを目の毛様体溝に位置するように構成され、前記毛様体溝に係合する表面を含む複数の触覚と、を備え、
前記前面と前記後面とのうち少なくとも一方は、2つの網膜偏心度間の眼の網膜の黄斑領域において網膜像の連続体が結像するように、光学収差を最小限に抑えつつ、球面収差を誘発するように選択された非球面として形成される
レンズ。
【請求項2】
前記前面及び前記後面は、前記眼球内レンズシステムの後部光発散眼球内レンズに光を収束させるように構成されている
請求項1に記載のレンズ。
【請求項3】
記後部光発散眼球内レンズは、
第2前面と、
第2後面と、
前記後部光発散眼球内レンズが眼の光軸と並ぶように構成される複数の触覚であって、前記複数の触覚は、前記前部光収束眼球内レンズを目の水晶体嚢に位置させるように構成され、前記水晶体嚢に係合する表面を含む複数の触覚と、を備える
請求項2に記載のレンズ
【請求項4】
前記レンズ及び前記後部光発散眼球内レンズのいずれか又は両方は、拡大された像が中心窩中央から5°を超えて網膜上に結像されるように構成される
請求項2に記載のレンズ。
【請求項5】
前記非球面のうちの第1の非球面は、焦点深度を増大させるように前記非球面のうちの第2の非球面よりも高い非球面度を有する、請求項1に記載のレンズ。
【請求項6】
少なくとも1つの前記非球面の表面の面だれ(z座標)は、
【数1】
r は動径座標
k は円錐係数
c は曲率半径の逆数
によって与えられる、請求項1に記載のレンズ。
【請求項7】
前記非球面の少なくとも1つは、収差を含む表面を有し、前記収差は、傾き、焦点ずれ、非点収差、または、コマ収差のいずれか1つについてゼルニケ多項式である、請求項1に記載のレンズ。
【請求項8】
前記前部光収束眼球内レンズと前記複数の前方の触覚は、軟質アクリルポリマーにより一体として形成される、請求項1に記載のレンズ。
【請求項9】
前記前部光収束眼球内レンズと前記後部光発散眼球内レンズは、生体適合材料から作製される、請求項2に記載のレンズ。
【請求項10】
前記生体適合材料は、シリコーンまたはポリメタクリル酸メチルである、請求項9に記載のレンズ。