(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023068119
(43)【公開日】2023-05-16
(54)【発明の名称】制御装置および変速システム
(51)【国際特許分類】
B62M 25/08 20060101AFI20230509BHJP
B62M 9/122 20100101ALI20230509BHJP
B62M 9/123 20100101ALI20230509BHJP
B62M 9/132 20100101ALI20230509BHJP
B62M 9/133 20100101ALI20230509BHJP
B62M 11/16 20060101ALI20230509BHJP
【FI】
B62M25/08
B62M9/122
B62M9/123
B62M9/132
B62M9/133
B62M11/16 H
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023045606
(22)【出願日】2023-03-22
(62)【分割の表示】P 2018246225の分割
【原出願日】2018-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】謝花 聡
(57)【要約】
【課題】無駄な変速を回避でき、スムーズに変速できる制御装置および変速システムを提供する。
【解決手段】制御装置20は、人力駆動車1の走行状態に関する走行状態情報を検出する検出部22と、検出部22によって検出される走行状態情報を参照して、人力駆動車1の変速装置12の変速待機時間を制御する制御部24と、を備え、走行状態情報は、人力駆動車1の走行速度に関する走行速度情報、および、人力駆動車1の回転情報に関するクランク情報以外の情報を含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人力駆動車の走行状態に関する走行状態情報を検出する検出部と、
前記検出部によって検出される前記走行状態情報を参照して、前記人力駆動車の変速装置の変速待機時間を制御する制御部と、を備え、
前記走行状態情報は、前記人力駆動車の走行速度に関する走行速度情報、および、前記人力駆動車の回転情報に関するクランク情報以外の情報を含む、制御装置。
【請求項2】
前記検出部は、前記走行状態情報として、
前記人力駆動車に入力されるトルクに関するトルク情報、
前記人力駆動車に入力されるパワーに関するパワー情報、
前記人力駆動車の走行路の斜度に関する斜度情報、
前記人力駆動車の推進方向における加速度に関する加速度情報、および、
ヨー軸、ロール軸、および、ピッチ軸のうちの少なくとも1つの軸まわりにおける加速度、角加速度、および、姿勢位置変化量のうちの少なくとも1つに関する前記人力駆動車の運動情報
のうちの少なくとも1つを検出し、
前記制御部は、前記検出部によって検出される少なくとも1つの情報を参照して、前記変速待機時間を制御する、請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記検出部は、少なくとも前記トルク情報を検出し、
前記制御部は、少なくとも前記トルク情報を参照して、前記変速待機時間を制御する、請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記検出部は、少なくとも前記パワー情報を検出し、
前記制御部は、少なくとも前記パワー情報を参照して、前記変速待機時間を制御する、請求項2または3に記載の制御装置。
【請求項5】
前記検出部は、少なくとも前記加速度情報を検出し、
前記制御部は、少なくとも前記加速度情報を参照して、前記変速待機時間を制御する、請求項2から4のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項6】
前記検出部は、少なくとも前記斜度情報を検出し、
前記制御部は、少なくとも前記斜度情報を参照して、前記変速待機時間を制御する、請求項2から5のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項7】
前記制御部は、少なくとも前記斜度情報の変化を参照して、前記変速待機時間を制御する、請求項6に記載の制御装置。
【請求項8】
前記検出部は、少なくとも前記運動情報を検出し、
前記制御部は、少なくとも前記運動情報を参照して前記変速待機時間を制御する、請求項2から7のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項9】
前記検出部は、さらに前記クランク情報を検出し、
前記制御部は、少なくとも前記斜度情報、および、前記クランク情報を参照して、前記変速待機時間を制御する、請求項2から8のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項10】
前記制御部は、少なくとも前記斜度情報、前記クランク情報、および、前記トルク情報を参照して、前記変速待機時間を制御する、請求項9に記載の制御装置。
【請求項11】
前記制御部は、少なくとも前記斜度情報、前記クランク情報、および、前記パワー情報を参照して、前記変速待機時間を制御する、請求項9または10に記載の制御装置。
【請求項12】
前記制御部は、変速方向に関する変速方向情報を含む制御信号を前記変速装置に送信するように構成され、
前記制御部は、前記検出部によって検出される少なくとも1つの情報、および、前記変速方向情報を参照して、前記変速待機時間を制御する、請求項2から11のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項13】
前記制御部は、第1制御信号を前記変速装置に送信し、前記変速待機時間が経過すると、第2制御信号を前記変速装置に送信する、請求項1から12のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一項に記載の制御装置と、
前記変速装置と、を備える、変速システム。
【請求項15】
変速操作装置をさらに備え、
前記制御装置は、前記変速操作装置に入力される操作に基づいて、前記制御信号を出力する、請求項14に記載の変速システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置および変速システムに関する。
【背景技術】
【0002】
人力駆動車は、複数の変速段を有する変速装置を変速制御することで、動力伝達機構の変速比を変化させることができる。近年においては、変速装置を自動制御する制御装置を備える人力駆動車が提案されている。たとえば、特許文献1には、自転車の車速またはクランク回転速度に基づいて変速装置を制御する自転車用変速制御装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
変速装置を、人力駆動車の走行状態により適した条件で制御することができる制御装置が求められている。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決するものであり、無駄な変速を回避でき、スムーズに変速できる制御装置および変速システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の第1側面に従う制御装置は、人力駆動車の走行状態に関する走行状態情報を検出する検出部と、前記検出部によって検出される前記走行状態情報を参照して、前記人力駆動車の変速装置の変速待機時間を制御する制御部と、を備え、前記走行状態情報は、前記人力駆動車の走行速度に関する走行速度情報、および、前記人力駆動車の回転情報に関するクランク情報以外の情報を含む。
【0007】
前記第1側面の制御装置によれば、制御部が、人力駆動車の走行速度に関する走行速度情報、および、人力駆動車の回転情報に関するクランク情報以外の情報を含む走行状態情報を参照して、人力駆動車の変速装置の変速待機時間を制御するため、走行状態に応じて変速装置の変速待機時間が設定される。このため、変速装置を、人力駆動車の走行状態により適した条件で制御することができる。
【0008】
前記第1側面に従う第2側面の操作装置において、前記検出部は、前記走行状態情報として、前記人力駆動車に入力されるトルクに関するトルク情報、前記人力駆動車に入力されるパワーに関するパワー情報、前記人力駆動車の走行路の斜度に関する斜度情報、前記人力駆動車の推進方向における加速度に関する加速度情報、および、ヨー軸、ロール軸、および、ピッチ軸のうちの少なくとも1つの軸まわりにおける加速度、角加速度、および、姿勢位置変化量のうちの少なくとも1つに関する前記人力駆動車の運動情報のうちの少なくとも1つを検出し、前記制御部は、前記検出部によって検出される少なくとも1つの情報を参照して、前記変速待機時間を制御する。
【0009】
前記第2側面の制御装置によれば、トルク情報、パワー情報、斜度情報、加速度情報、運動情報の少なくとも1つの情報に応じて変速装置の変速待機時間が設定される。このため、変速装置を、人力駆動車の走行状態により適した条件で制御することができる。
【0010】
前記第2側面に従う第3側面の制御装置において、前記検出部は、少なくとも前記トルク情報を検出し、前記制御部は、少なくとも前記トルク情報を参照して、前記変速待機時間を制御する。
【0011】
前記第3側面の制御装置によれば、少なくともトルク情報に応じて変速装置の変速待機時間が設定される。このため、変速装置を、人力駆動車の走行状態により適した条件で制御することができる。
【0012】
前記第2または第3側面に従う第4側面の制御装置において、前記検出部は、少なくとも前記パワー情報を検出し、前記制御部は、少なくとも前記パワー情報を参照して、前記変速待機時間を制御する。
【0013】
前記第4側面の制御装置によれば、少なくともパワー情報に応じて変速装置の変速待機時間が設定される。このため、変速装置を、人力駆動車の走行状態により適した条件で制御することができる。
【0014】
前記第2から第4側面のいずれかに従う第5側面の制御装置において、前記検出部は、少なくとも前記加速度情報を検出し、前記制御部は、少なくとも前記加速度情報を参照して、前記変速待機時間を制御する。
【0015】
前記第5側面の制御装置によれば、少なくとも加速度情報に応じて変速装置の変速待機時間が設定される。このため、変速装置を、人力駆動車の走行状態により適した条件で制御することができる。
【0016】
前記第2から第5側面のいずれかに従う第6側面の制御装置において、前記検出部は、少なくとも前記斜度情報を検出し、前記制御部は、少なくとも前記斜度情報を参照して、前記変速待機時間を制御する。
【0017】
前記第6側面の制御装置によれば、少なくとも斜度情報に応じて変速装置の変速待機時間が設定される。このため、変速装置を、人力駆動車の走行状態により適した条件で制御することができる。
【0018】
前記第6側面に従う第7側面の制御装置において、前記制御部は、少なくとも前記斜度情報の変化を参照して、前記変速待機時間を制御する。
【0019】
前記第7側面の制御装置によれば、少なくとも斜度情報の変化に応じて変速装置の変速待機時間が設定される。このため、変速装置を、人力駆動車の走行状態により適した条件で制御することができる。
【0020】
前記第2から第7側面のいずれかに従う第8側面の制御装置において、前記検出部は、少なくとも前記運動情報を検出し、前記制御部は、変速装置を、人力駆動車の走行状態により適した条件で制御することができる。
【0021】
前記第8側面の制御装置によれば、少なくとも運動情報に応じて変速装置の変速待機時間が設定される。このため、変速装置を、人力駆動車の走行状態により適した条件で制御することができる。
【0022】
前記第2から第8側面のいずれかに従う第9側面の制御装置において、前記検出部は、さらに前記クランク情報を検出し、前記制御部は、少なくとも前記斜度情報、および、前記クランク情報を参照して、前記変速待機時間を制御する。
【0023】
前記第9側面の制御装置によれば、少なくとも斜度情報、および、クランク情報に応じて変速装置の変速待機時間が設定される。このため、変速装置を、人力駆動車の走行状態により適した条件で制御することができる。
【0024】
前記第9側面に従う第10側面の制御装置において、前記制御部は、少なくとも前記斜度情報、前記クランク情報、および、前記トルク情報を参照して、前記変速待機時間を制御する。
【0025】
前記第10側面の制御装置によれば、少なくとも斜度情報、クランク情報、および、トルク情報に応じて変速装置の変速待機時間が設定される。このため、変速装置を、人力駆動車の走行状態により適した条件で制御することができる。
【0026】
前記第9または第10側面に従う第11側面の制御装置において、前記制御部は、少なくとも前記斜度情報、前記クランク情報、および、前記パワー情報を参照して、前記変速待機時間を制御する。
【0027】
前記第11側面の制御装置によれば、少なくとも斜度情報、クランク情報、および、パワー情報に応じて変速装置の変速待機時間が設定される。このため、変速装置を、人力駆動車の走行状態により適した条件で制御することができる。
【0028】
前記第2から第11側面のいずれかに従う第12側面の制御装置において、前記制御部は、変速方向に関する変速方向情報を含む制御信号を前記変速装置に送信するように構成され、前記制御部は、前記検出部によって検出される少なくとも1つの情報、および、前記変速方向情報を参照して、前記変速待機時間を制御する。
【0029】
前記第12側面の制御装置によれば、検出部によって検出される少なくとも1つの情報、および、変速方向情報に応じて変速装置の変速待機時間が設定される。このため、変速装置を、人力駆動車の走行状態により適した条件で制御することができる。
【0030】
前記第1から第12側面のいずれかに従う第13側面の制御装置において、前記制御部は、第1制御信号を前記変速装置に送信し、前記変速待機時間が経過すると、第2制御信号を前記変速装置に送信する。
【0031】
前記第13側面の制御装置によれば、変速待機時間が経過すると、制御部が第2制御信号を変速装置に送信するため、設定される変速待機時間に応じた適切なタイミングで変速できる。このため、変速装置を、人力駆動車の走行状態により適した条件で制御することができる。
【0032】
本発明の第14側面に従う変速システムは、前記第1から第13側面のいずれかに記載の制御装置と、前記変速装置と、を備える。
【0033】
前記第14側面の変速システムによれば、制御装置によって、走行状態に応じて変速装置の変速待機時間が設定される。このため、変速装置を、人力駆動車の走行状態により適した条件で制御することができる。
【0034】
前記第14側面に従う第15側面の変速システムにおいて、変速操作装置をさらに備え、前記制御装置は、前記変速操作装置に入力される操作に基づいて、前記制御信号を出力する。
【0035】
前記第15側面の変速システムによれば、変速操作装置に入力される操作に基づいて、制御装置が制御信号を出力する。このため、より適切なタイミングで変速できる。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、変速装置を、人力駆動車の走行状態により適した条件で制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る制御装置が取り付けられる人力駆動車の構成を示す模式図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係る変速システムのブロック図である。
【
図3】
図3は、変速待機時間制御テーブルの一例の一部を示す図である。
【
図4】
図4は、制御装置の制御フローの一例を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、トルク情報センサの検出結果の一例を示すグラフである。
【
図6】
図6は、第2実施形態に係る変速システムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下に添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、本発明は実施形態に限定されない。また、実施形態が複数ある場合、本発明は、複数の実施形態の組み合わせによって構成される実施形態も含み得る。
【0039】
図1に示すように、本実施形態に係る人力駆動車1は、搭乗者が搭乗する車両であり、搭乗者が人力駆動車1を運転する。本実施形態における人力駆動車1は、走行のための原動力に関して、少なくとも部分的に人力を用いる車両を意味し、例えば電動駆動力によって人力を補助する車両を含む。人力以外の原動力のみを用いる車両は、人力駆動車には含まれない。特に、内燃機関のみを原動力に用いる車両は、人力駆動車には含まれない。通常、人力駆動車には、小型軽車両が想定され、公道においての運転に免許を要しない車両が想定される。
【0040】
人力駆動車1は、搭乗者による人力の駆動力にて運転される自転車である。人力駆動車1は、フレームFRと、フロントフォークFFと、サドルSAと、ハンドルバーアセンブリHDと、クランクアセンブリCAと、フロントスプロケットアセンブリFSと、リアスプロケットアセンブリRSと、チェーンCNと、前輪FWと、後輪RWと、変速システム10と、を有する。
【0041】
クランクアセンブリFCは、クランク軸AX、および、クランク軸AXの両側端部にそれぞれ取り付けられた一対のクランクアームCRを含む。クランク軸AXは、フレームFRに設けられるボトムブラケットにおいて回転可能に支持される。各クランクアームCRにはペダルPDが連結される。各ペダルPDは、回転可能に各クランクアームCRに支持される。
【0042】
フロントスプロケットアセンブリFSは、クランクアセンブリFCに連結される。フロントスプロケットアセンブリFSの回転軸心は、クランク軸AXの回転軸心と同軸である。フロントスプロケットアセンブリFSは、1または複数のフロントスプロケットを含む。本実施形態において、フロントスプロケットアセンブリFSは、径または歯数が異なる複数のフロントスプロケットを含む。
【0043】
リアスプロケットアセンブリRSは、後輪RWの回転軸心まわりに回転可能に、後輪RWに連結される。リアスプロケットアセンブリRSは、1または複数のリアスプロケットを含む。本実施形態において、リアスプロケットアセンブリRSは、径または歯数が異なる複数のリアスプロケットを含む。
【0044】
チェーンCNは、フロントスプロケットアセンブリFSのフロントスプロケットと、リアスプロケットアセンブリRSのリアスプロケットと、に巻き掛けられる。サドルSAに腰かけた搭乗者からペダルPDに加えられる人力駆動力によってフロントスプロケットアセンブリFSが正回転するとき、チェーンCNおよびリアスプロケットアセンブリRSを介して駆動力が伝達することで、後輪RWが正回転して人力駆動車1が前進する。
【0045】
変速システム10は、変速装置12と、制御装置20と、を備える。変速装置12は、制御装置20からの制御信号に基づいて、人力駆動車1の変速比を変化させる。変速比は、クランクアームCRが1回転する場合の後輪RWの回転量である。本実施形態において、変速装置12は、フロントディレイラ16と、リアディレイラ18と、を有する。フロントディレイラ16は、フロントスプロケットアセンブリFSについて、チェーンCNが巻き掛けられるフロントスプロケットを変更することで、人力駆動車1の変速比を切り替える。また、リアディレイラ18は、リアスプロケットアセンブリRSについて、チェーンCNが巻き掛けられるリアスプロケットを変更することで、人力駆動車1の変速比を切り替える。
【0046】
変速システム10は、変速操作装置14をさらに備える。制御装置20は、変速操作装置14に入力される操作に基づいて、制御信号を出力する。本実施形態において、変速操作装置14は、ハンドルバーアセンブリHDに設けられる。変速操作装置14には、人力駆動車1の搭乗者によって変速操作が入力される。本実施形態において、変速操作装置14は、制御装置20と電気的に接続されており、入力された操作に対応する操作信号が制御装置20に有線通信または無線通信によって伝達される。
【0047】
制御装置20は、
図2に示すように、検出部22と、制御部24と、を備える。検出部22は、人力駆動車1の走行状態に関する走行状態情報を検出する。制御部24は、検出部22によって検出される走行状態情報を参照して、人力駆動車1の変速装置12の変速待機時間を制御する。走行状態情報は、人力駆動車1の走行速度に関する走行速度情報、および、人力駆動車1の回転情報に関するクランク情報以外の情報を含む。本実施形態において、走行状態情報は、人力駆動車1に入力されるトルクに関するトルク情報、人力駆動車1に入力されるパワーに関するパワー情報、人力駆動車1の走行路の斜度に関する斜度情報、人力駆動車1の推進方向における加速度に関する加速度情報、および、人力駆動車1の運動情報を含む。運動情報は、ヨー軸、ロール軸、および、ピッチ軸のうちの少なくとも1つの軸まわりにおける加速度、角加速度、および、姿勢位置変化量のうちの少なくとも1つに関する情報を含む。
【0048】
検出部22は、走行状態センサ28の検出結果から走行状態情報を検出する。本実施形態において、走行状態センサ28は、トルクセンサ28aと、ケイデンスセンサ28bと、斜度センサ28cと、加速度センサ28dと、角速度センサ28eと、を有する。
【0049】
トルクセンサ28aは、人力駆動車1に入力されるトルクを検出する。具体的には、トルクセンサ28aは、クランクアームCRに加えられるトルクを検出する。トルクセンサ28aは、歪みセンサ、磁歪センサ、または光学センサ等を含む。ケイデンスセンサ28bは、人力駆動車1のケイデンスを検出する。検出部22は、トルクセンサ28aによって検出されるトルクと、ケイデンスセンサ28bによって検出されるケイデンスと、に基づいて人力駆動車1に入力されるパワーを算出する。斜度センサ28cは、人力駆動車1の走行路面の斜度を検出する。斜度センサ28cは、大気圧センサ、およびGPSセンサを含む。なお、後述する角速度センサ28eによって検出される結果人力駆動車1のピッチ軸回りの角速度に基づいて、検出部22が斜度を算出してもよい。
【0050】
加速度センサ28dは、人力駆動車1の加速度を検出する。加速度センサ28dは、人力駆動車1の推進方向における加速度を検出する加速度センサ等を含む。角速度センサ28eは、人力駆動車1のヨー軸、ロール軸、および、ピッチ軸のうちの少なくとも1つの軸まわりにおける角加速度を検出するジャイロセンサを含む。検出部22は、角速度センサ28eの検出結果から、人力駆動車1のヨー軸、ロール軸、および、ピッチ軸のうちの少なくとも1つの軸まわりにおける加速度、および姿勢位置変化量を算出する。
【0051】
制御部24は、変速操作装置14に入力される操作、検出部22にて取得した結果、および後述する記憶部26に記憶されている情報に基づいて演算処理を行い、演算結果に基づいて、変速装置12の動作を制御する。制御部24は、例えば、CPU(Central Processing Unit)またはMPU(Micro Processing Unit)である。
【0052】
記憶部26は、制御部24から送信される情報を一時的に記憶するキャッシュメモリと、予め記憶される情報、および制御部24から送信される情報を継続的に記憶するメインメモリと、を含む。記憶部26の一例は、RAM(Random Access Memory)またはROM(Read Only Memory)である。
【0053】
制御部24は、変速方向に関する変速方向情報を含む制御信号を変速装置12に送信するように構成される。変速方向は、人力駆動車1の変速比が高くなるアップシフト方向と、人力駆動車1の変速比が低くなるダウンシフト方向と、を含む。制御部24は、検出部22によって検出される少なくとも1つの情報、および変速方向情報を参照して、変速待機時間を制御する。
【0054】
制御部24は、第1制御信号を変速装置12に送信し、変速待機時間が経過すると、第2制御信号を変速装置12に送信する。制御部24は、変速操作装置14に入力される変速操作に応じた制御信号を変速装置12に送信するように構成されている。変速操作装置14に変速操作が2回入力されると、変速操作装置14は、第1操作信号と第2操作信号と、を制御部24に送信する。制御部24は、変速操作装置14から第1操作信号に対応する第1制御信号を変速装置12に送信し、変速待機時間が経過すると、第2操作信号に対応する第2制御信号を変速装置12に送信する。
【0055】
本実施形態において、変速待機時間は、段階的に設定され、第1待機時間t1[msec]、第2待機時間t2[msec]、および第3待機時間t3[msec]を含む。第1待機時間t1は第2待機時間t2および第3待機時間t3よりも長く、第2待機時間t2は、第3待機時間t3よりも長い。なお、変速待機時間は、3段階に設定される場合に限定されず、2段階または4段階以上に設定されてもよい。制御部24は、変速操作装置14に操作が入力された時点の走行状態に鑑みた緊急度に応じて変速待機時間を制御する。例えば、変速待機時間は、走行状態に鑑みた緊急度が高いほど短くなり、緊急度が低いほど長くなる。制御部24は、タイマを有し、変速操作装置14からの操作信号を受信するとタイマをスタートさせる。制御部24は、タイマの値を読み取り、変速待機時間が経過したか否かを判定する。
【0056】
記憶部26は、変速待機時間制御テーブル30を記憶する。変速待機時間制御テーブル30は、走行状態情報と、変速待機時間とを対応させたデータテーブルである。変速待機時間制御テーブル30は、
図3に示すように、複数のテーブル32を有する。各テーブル32は、それぞれの走行状態情報と、当該走行状態情報について設定される変速待機時間とが対応して記憶される。
【0057】
図3では、走行状態情報として、トルク情報が例として示されている。
図3に示すテーブル32は、トルク情報τ1、τ2、・・・と、当該トルク情報について設定される変速待機時間t1、t2、・・・とが対応して記憶される。複数のテーブル32は、図示を省略するが、パワー情報、斜度情報、加速度情報、および運動情報の各走行状態情報と、当該走行状態情報に対応する変速待機時間とが対応して記憶されたテーブルを含む。
【0058】
制御部24がトルク情報を参照して変速待機時間を制御する例を説明する。検出部22は、少なくともトルク情報を検出し、制御部24は、少なくともトルク情報を参照して、変速待機時間を制御する。
【0059】
人力駆動車1に入力されるトルクが高い場合、人力駆動車1は例えば急な上り坂を走行していることが推定される。このような場合、搭乗者の走行に関する負荷が高いため、搭乗者が人力駆動車1の変速比を低くすることが推定される。すなわち、ダウンシフト方向への変速の緊急性が高く、アップシフト方向への変速の緊急性は低い。したがって、制御部24は、ダウンシフト方向への変速の変速待機時間を第3待機時間t3に設定してテーブル32に記憶させ、アップシフト方向への変速の変速待機時間を第1待機時間t1に設定してテーブル32に記憶させる。
【0060】
一方、人力駆動車1に入力されるトルクが低い場合、人力駆動車1は例えば急な下り坂を走行していることが推定される。このような場合、坂を下ることによって上昇した人力駆動車1の走行速度に、人力駆動車1の変速比を適合させるために、搭乗者が人力駆動車1の変速比を高くすることが推定される。すなわち、アップシフト方向への変速の緊急性が高く、ダウンシフト方向への変速の緊急性は低い。したがって、制御部24は、アップシフト方向への変速の変速待機時間を第3待機時間t3に設定してテーブル32に記憶させ、ダウンシフト方向への変速の変速待機時間を第1待機時間t1に設定してテーブル32に記憶させる。
【0061】
なお、検出部22は、少なくともパワー情報を検出し、制御部24は、少なくともパワー情報を参照して変速待機時間を制御してもよい。パワーを参照する場合も、トルクを参照する場合と同様の制御が可能である。
【0062】
つまり、人力駆動車1に入力されるパワーが高い場合、ダウンシフト方向への変速の変速待機時間を第3待機時間t3に設定してテーブル32に記憶させ、アップシフト方向への変速の変速待機時間を第1待機時間t1に設定してテーブル32に記憶させる。人力駆動車1に入力されるパワーが低い場合、アップシフト方向への変速の変速待機時間を第3待機時間t3に設定してテーブル32に記憶させ、ダウンシフト方向への変速の変速待機時間を第1待機時間t1に設定してテーブル32に記憶させる。
【0063】
また、検出部22は、少なくとも加速度報を検出し、制御部24は、加速度情報を参照して変速待機時間を制御してもよい。人力駆動車1の加速度が急激に変化する場合には、アップシフト方向への変速およびダウンシフト方向への変速の両方の緊急性が高い。したがって、制御部24は、アップシフト方向への変速およびダウンシフト方向への変速の両方の変速待機時間を第3待機時間t3に設定してテーブル32に記憶させる。
【0064】
また、検出部22が少なくとも斜度情報を検出し、制御部24は、斜度情報を参照して変速待機時間を制御してもよい。より具体的には、制御部24は、少なくとも斜度情報の変化を参照して、変速待機時間を制御してもよい。人力駆動車1の斜度の変化が大きい場合、アップシフト方向への変速およびダウンシフト方向への変速の両方の緊急性が高い。したがって、制御部24は、アップシフト方向への変速およびダウンシフト方向への変速の両方の変速待機時間を第3待機時間t3に設定してテーブル32に記憶させる。
【0065】
また、検出部22は、少なくとも運動情報を検出し、制御部24が運動情報を参照して変速待機時間してもよい。人力駆動車1の運動情報の変化が大きい場合、つまり、人力駆動車1のヨー軸、ロール軸、および、ピッチ軸の軸まわりにおける加速度、角加速度、および、姿勢位置変化量の変化が大きい場合、アップシフト方向への変速およびダウンシフト方向への変速の両方の緊急性が高い。したがって、制御部24は、アップシフト方向への変速およびダウンシフト方向への変速の両方の変速待機時間を第3待機時間t3に設定してテーブル32に記憶させる。
【0066】
また、人力駆動車1が平地、緩い上り坂、および緩い下り坂を走行する場等、変速の緊急性が高くも低くもない。このような場合、制御部24は、アップシフト方向への変速およびダウンシフト方向への変速の両方の変速待機時間を第2待機時間t2に設定してテーブル32に記憶させる。
【0067】
図4は、制御部24の制御フローを示すフローチャートである。変速操作装置14に第1変速操作および第2変速操作が入力されると、変速操作装置14から制御部24に第1操作信号および第2操作信号が送信される。制御部24は、変速操作装置14からの第1操作信号および第2操作信号を受信すると、変速装置12に対して第1制御信号を送信する(ステップS2)。ステップS2において、制御部24はタイマをスタートさせる。変速装置12は、第1制御信号を受信すると、人力駆動車1の変速比を第1制御信号に基づいて変化させる。制御部24は、検出部22から走行状態情報を取得する(ステップS4)。制御部24は、取得した走行状態情報に基づいて、変速待機時間を設定する(ステップS6)。ステップS6において、制御部24は、記憶部26のテーブル32を参照し、取得した走行状態情報に対応する変速待機時間を設定する。
【0068】
制御部24は、ステップS2において第1制御信号を送信してから変速待機時間が経過したか否かを判定する(ステップS8)。ステップS8において、制御部24は、ステップS6において算出した変速待機時間と、タイマの値とに基づいて、変速待機時間が経過したか否かを判定する。制御部24は、変速待機時間が経過していないと判定した場合(ステップS8のNo)、変速待機時間が経過するまで、ステップS8を繰り返し実行する。
【0069】
制御部24は、変速待機時間が経過したと判定した場合(ステップS8のYes)、変速装置12に対して第2制御信号を送信する(ステップS10)。変速装置12は、第2制御信号を受信すると、人力駆動車1の変速比を第2制御信号に基づいて変化させる。
【0070】
なお、本実施形態において、制御部24が変速操作装置14に入力される変速操作に基づいて制御信号を出力する例を説明したが、変速システム10が変速操作装置14を含んでいなくてもよい。この場合、制御部24は、人力駆動車1の走行速度やケイデンスなどに基づいて、変速装置12に制御信号を自動的に出力する。
【0071】
(変形例)
変速待機時間は、
図5に示すようなトルクのピークの数で計測されてもよい。
図5の横軸は時間を示し、縦軸はトルク値の大きさを示す。搭乗者が人力駆動車1で走行する場合、人力駆動車1に対して周期的にトルクが入力される。したがって、トルクセンサ28aの出力を時系列的に示すと、
図5に示すように、周期的にピークPを形成する。変速待機時間は、このようなトルクのピークPの個数によって定義されてもよい。例えば、変速待機時間は、トルクのピークPの検出回数Nとして設定することができる(Nは自然数)。この構成において、制御部24は、検出部22によって検出されるトルク情報を参照し、トルクのピークPがN回検出された時点で、第2制御信号を変速装置12に送信することができる。
【0072】
(第2実施形態)
図6に示す変速システム10aの制御装置20において、人力駆動車1には、クランクセンサ34が設けられる。クランクセンサ34の検出結果から、検出部22は、さらにクランク情報を検出する。クランク情報は、クランクアームCRが順方向に回転する場合の回転角度に関する情報である。
【0073】
人力駆動車1が上り坂において低い変速比で走行した後下り坂を走行するときに、変速操作装置14にアップシフト方向への変速操作が複数回入力される場合、制御部24は、少なくとも斜度情報、および、クランク情報を参照して、変速待機時間を制御する。制御部24は、検出部22の斜度情報を参照して、人力駆動車1が上り坂または下り坂を走行していることを検出する。制御部24は、クランク情報を参照して、例えばクランクアームCRの回転角度が所定角度に到達するまでの時間を変速待機時間と設定して記憶部26にテーブルとして記憶させることができる。所定角度は、90°または360°である。この場合、制御部24は、クランクアームCRが所定角度回転するごとに、制御信号を変速装置12に出力することができる。
【0074】
また、制御部24は、斜度情報、クランク情報、および、トルク情報を参照して変速待機時間を制御してもよい。この構成において、制御部24は、人力駆動車1に入力されるトルクが所定値以下となる場合に、上記の制御を実行する。
【0075】
また、制御部24は、斜度情報、クランク情報、および、パワー情報を参照して変速待機時間を制御してもよい。この構成において、制御部24は、人力駆動車1に入力されるパワーが所定値以下となる場合に、上記の制御を実行する。
【0076】
なお、上記した各実施形態においては、制御部24が1つまたは複数の走行状態情報を参照して、変速装置12の変速待機時間を制御する例を説明したが、複数の走行状態情報の組み合わせについては実施形態に限定されない。制御部24は、上記した第1実施形態、変形例、第2実施形態の説明とは異なる任意の組み合わせの複数の走行状態情報を参照して、変速装置12の変速待機時間を制御してもよい。
【0077】
以上、本発明の実施形態および変形例を説明したが、この実施形態の内容によって実施形態が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、前述した実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換または変更できる。
【0078】
本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、所望の選択肢の「1つ以上」を意味する。一例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、その選択肢の数が2つであれば「1つの選択肢のみ」または「2つの選択肢の双方」を意味する。他の例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、その選択肢の数が3つ以上であれば「1つの選択肢のみ」または「2つ以上の任意の選択肢の組み合わせ」を意味する。
【符号の説明】
【0079】
τ1,τ2…トルク情報、P…ピーク、CR…クランクアーム、1…人力駆動車、10,10a…変速システム、12…変速装置、14…変速操作装置、20…制御装置、22…検出部、24…制御部、28…走行状態センサ、28a…トルクセンサ、28b…ケイデンスセンサ、28c…斜度センサ、28d…加速度センサ、28e…角速度センサ、34…クランクセンサ
【手続補正書】
【提出日】2023-04-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人力駆動車の走行状態に関する走行状態情報を検出する検出部と、
前記検出部によって検出される前記走行状態情報を参照して、前記人力駆動車の変速装置の変速待機時間を制御する制御部と、を備え、
前記変速待機時間は、少なくとも3つの待機時間を有する、制御装置。
【請求項2】
前記少なくとも3つの待機時間は、第1待機時間、第2待機時間、および第3待機時間を有し、
前記第1待機時間は、前記第2待機時間および前記第3待機時間よりも長く、
前記第2待機時間は、前記第3待機時間よりも長い、請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記走行状態情報は、前記人力駆動車の走行速度に関する走行速度情報、および、前記人力駆動車の回転情報に関するクランク情報の少なくとも1つを含む、請求項1または2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記走行状態情報と、前記変速待機時間とを対応させた変速待機時間制御テーブルを記憶する記憶部をさらに備える、請求項1から3のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項5】
前記走行状態情報は、前記人力駆動車の走行速度に関する走行速度情報、および、前記人力駆動車の回転情報に関するクランク情報以外の情報を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項6】
前記走行状態情報は、
前記人力駆動車に入力されるトルクに関するトルク情報、
前記人力駆動車に入力されるパワーに関するパワー情報、
前記人力駆動車の走行路の斜度に関する斜度情報、
前記人力駆動車の推進方向における加速度に関する加速度情報、および、
ヨー軸、ロール軸、および、ピッチ軸のうちの少なくとも1つの軸まわりにおける加速度、角加速度、および、姿勢位置変化量のうちの少なくとも1つに関する前記人力駆動車の運動情報
のうちの少なくとも1つを含む、請求項5に記載の制御装置。
【請求項7】
前記制御部は、変速方向に関する変速方向情報を含む制御信号を前記変速装置に送信するように構成され、
前記制御部は、前記検出部によって検出される少なくとも1つの情報、および、前記変速方向情報を参照して、前記変速待機時間を制御する、請求項1から6のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の制御装置と、
前記変速装置と、を備える、変速システム。
【請求項9】
変速操作装置をさらに備え、
前記制御装置は、前記変速操作装置に入力される操作に基づいて、制御信号を前記変速装置に出力する、請求項8に記載の変速システム。
【請求項10】
人力駆動車の走行状態に関する走行状態情報を検出する検出部と、
前記検出部によって検出される前記走行状態情報を参照して、前記人力駆動車の変速装置の変速待機時間を制御する制御部と、を備え、
前記走行状態情報は、前記人力駆動車の走行速度に関する走行速度情報、および、前記人力駆動車の回転情報に関するクランク情報以外の情報を含み、
前記制御部は、変速方向に関する変速方向情報を含む制御信号を前記変速装置に送信するように構成され、
前記制御部は、前記検出部によって検出される少なくとも1つの情報、および、前記変速方向情報に基づいて、前記変速待機時間を制御する、制御装置。
【請求項11】
前記制御部は、アップシフト方向への変速の前記変速待機時間を第1変速待機時間に設定するように構成され、
前記制御部は、ダウンシフト方向への変速の前記変速待機時間を第2変速待機時間に設定するように構成される、請求項10に記載の制御装置。
【請求項12】
前記制御部は、第1条件において、前記第1変速待機時間がよりも前記第2変速待機時間が長くなるように前記変速待機時間を制御するように構成され、
前記制御部は、前記第1条件とは異なる第2条件において、前記第1変速待機時間がよりも前記第2変速待機時間が短くなるように前記変速待機時間を制御するように構成される、請求項11に記載の制御装置。
【請求項13】
前記制御部は、前記変速待機時間は、少なくとも3つの待機時間を有する、請求項10から12のいずれか一項に記載の制御装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0047
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0047】
制御装置20は、
図2に示すように、検出部22と、制御部24と、を備える。検出部22は、人力駆動車1の走行状態に関する走行状態情報を検出する。制御部24は、検出部22によって検出される走行状態情報を参照して、人力駆動車1の変速装置12の変速待機時間を制御する。走行状態情報は、人力駆動車1の走行速度に関する走行速度情報、および、人力駆動車1の回転情報に関するクランク情報以外の情報を含む。本実施形態において、走行状態情報は、人力駆動車1に入力されるトルクに関するトルク情報、人力駆動車1に入力されるパワーに関するパワー情報、人力駆動車1の走行路の斜度に関する斜度情報、人力駆動車1の推進方向における加速度に関する加速度情報、および、人力駆動車1の運動情報を含む。運動情報は、ヨー軸、ロール軸、および、ピッチ軸のうちの少なくとも1つの軸まわりにおける
角速度、角加速度、および、姿勢位置変化量のうちの少なくとも1つに関する情報を含む。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0050
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0050】
加速度センサ28dは、人力駆動車1の加速度を検出する。加速度センサ28dは、人力駆動車1の推進方向における加速度を検出する加速度センサ等を含む。角速度センサ28eは、人力駆動車1のヨー軸、ロール軸、および、ピッチ軸のうちの少なくとも1つの軸まわりにおける角速度または角加速度を検出するジャイロセンサを含む。検出部22は、角速度センサ28eの検出結果から、人力駆動車1のヨー軸、ロール軸、および、ピッチ軸のうちの少なくとも1つの軸まわりにおける角速度、角加速度、および姿勢位置変化量のうちの少なくとも1つを算出する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0065
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0065】
また、検出部22は、少なくとも運動情報を検出し、制御部24が運動情報を参照して変速待機時間してもよい。人力駆動車1の運動情報の変化が大きい場合、つまり、人力駆動車1のヨー軸、ロール軸、および、ピッチ軸のうちの少なくとも1つの軸まわりにおける角速度、角加速度、および、姿勢位置変化量のうちの少なくとも1つの変化が大きい場合、アップシフト方向への変速およびダウンシフト方向への変速の両方の緊急性が高い。したがって、制御部24は、アップシフト方向への変速およびダウンシフト方向への変速の両方の変速待機時間を第3待機時間t3に設定してテーブル32に記憶させる。