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特開2023-68135同軸環状センサを備えたナビゲート可能な吸引器具
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023068135
(43)【公開日】2023-05-16
(54)【発明の名称】同軸環状センサを備えたナビゲート可能な吸引器具
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/00 20060101AFI20230509BHJP
【FI】
A61M1/00 131
A61M1/00 160
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023046464
(22)【出願日】2023-03-23
(62)【分割の表示】P 2018103353の分割
【原出願日】2018-05-30
(31)【優先権主張番号】62/512,830
(32)【優先日】2017-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/964,886
(32)【優先日】2018-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】516389190
【氏名又は名称】アクラレント インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Acclarent, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】エーサン・シャメリ
(72)【発明者】
【氏名】イツハク・ファン
(57)【要約】
【課題】 患者の解剖学的通路内又は解剖学的通路に隣接して手術を行うこと。
【解決手段】 装置は、カニューレアセンブリ及びセンサアセンブリを含む。カニューレアセンブリは、近位端、遠位端、及び近位端から遠位端まで延在する第1の管腔を含む。カニューレは、剛性材料で形成されている。センサアセンブリは、センサ及び通信ワイヤを含む。センサは、カニューレアセンブリに固定されている。通信ワイヤは、センサと電気的に連通している。通信ワイヤは、第1の管腔の外側でカニューレアセンブリの長さに沿って延在する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
(a)カニューレアセンブリであって、
(i)近位端、
(ii)遠位端、及び
(iii)前記近位端から前記遠位端に延在する吸引管腔を備え、前記カニューレアセンブリが、剛性材料で形成されている、カニューレアセンブリと、
(b)センサアセンブリであって、
(i)前記カニューレアセンブリに固定されたセンサ、及び
(ii)前記センサと電気的に連通した通信ワイヤであって、前記吸引管腔の外側で前記カニューレアセンブリの長さに沿って延在する通信ワイヤを備える、センサアセンブリと、を備えており、
前記カニューレアセンブリが、内部に前記吸引管腔を画定する内側管及び外側シースを含み、
前記装置が、内部に通路を備えるグリップ部分を更に備え、前記グリップ部分の前記通路が、前記カニューレアセンブリの前記内側管の一部を少なくとも収容し、
前記グリップ部分は、前記グリップ部分の外部と前記通路とを接続する第1の通気開口部を有し、前記内側管は、前記内側管の外側表面から前記吸引管腔まで延びる第2の通気開口部を有し、前記第1の通気開口部と前記第2の通気開口部は、互いに整列するように位置付けられている、装置。
【請求項2】
前記カニューレアセンブリの前記遠位端が、狭小部分を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記センサが、前記狭小部分に隣接している、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記センサアセンブリが、前記センサと前記狭小部分との間に配置された第1の保護部材を含む、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記センサアセンブリが、第2の保護部材を含み、前記センサが、前記第1の保護部材と前記第2の保護部材との間に配置されている、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記カニューレアセンブリが、前記センサ上に嵌装するように構成された遠位キャップを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
ロック部材を更に備え、前記ロック部材が、前記センサを前記カニューレアセンブリに固定するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記ロック部材が、ロックナットを備える、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記ロックナットが、前記センサの遠位に配置され、前記ロックナットが、前記カニューレアセンブリの前記遠位端に解放可能に固設されている、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記センサアセンブリが、第1の接点及び第2の接点を更に備え、前記第1の接点が、前記センサに組み込まれ、前記第2の接点が、前記カニューレアセンブリの前記遠位端に組み込まれ、前記第1の接点及び前記第2の接点が、前記センサから前記通信ワイヤへの通信のための経路を提供するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記センサが、コイルを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記センサが、環状センサを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記センサが、単一軸の周囲に巻かれた1個のコイルの形態である一軸センサを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記一軸センサが、4層のワイヤ巻線を有する、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記4層のワイヤ巻線の各層が、1層当たり64の巻線を備える、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
装置であって、
(a)カニューレアセンブリであって、
(i)近位端、
(ii)遠位端、及び
(iii)前記近位端から前記遠位端に延在する吸引管腔を備え、前記カニューレアセンブリが、剛性材料で形成されている、カニューレアセンブリと、
(b)センサアセンブリであって、
(i)前記吸引管腔の外側の前記カニューレアセンブリの部分において、前記カニューレアセンブリに対して固定されたセンサ、及び
(ii)前記センサと電気的に連通した通信ワイヤであって、前記吸引管腔の外側で前記カニューレアセンブリの長さに沿って延在する通信ワイヤを備える、センサアセンブリと、を備えており、
前記カニューレアセンブリが、内部に前記吸引管腔を画定する内側管及び外側シースを含み、
前記装置が、内部に通路を備えるグリップ部分を更に備え、前記グリップ部分の前記通路が、前記カニューレアセンブリの前記内側管の一部を少なくとも収容し、
前記グリップ部分は、前記グリップ部分の外部と前記通路とを接続する第1の通気開口部を有し、前記内側管は、前記内側管の外側表面から前記吸引管腔まで延びる第2の通気開口部を有し、前記第1の通気開口部と前記第2の通気開口部は、互いに整列するように位置付けられている、装置。
【請求項17】
装置であって、
(a)カニューレアセンブリであって、
(i)近位端、
(ii)狭小部分を有する遠位端、及び
(iii)前記近位端から前記遠位端に延在する吸引管腔を備え、前記カニューレアセンブリが、剛性材料で形成されている、カニューレアセンブリと、
(b)センサアセンブリであって、
(i)前記狭小部分の外側において前記カニューレアセンブリに対して固定されたセンサ、及び
(ii)前記センサと電気的に連通した通信ワイヤであって、前記吸引管腔の外側で前記カニューレアセンブリの長さに沿って延在する通信ワイヤを備える、センサアセンブリと、を備えており、
前記カニューレアセンブリが、内部に前記吸引管腔を画定する内側管及び外側シースを含み、
前記装置が、内部に通路を備えるグリップ部分を更に備え、前記グリップ部分の前記通路が、前記カニューレアセンブリの前記内側管の一部を少なくとも収容し、
前記グリップ部分は、前記グリップ部分の外部と前記通路とを接続する第1の通気開口部を有し、前記内側管は、前記内側管の外側表面から前記吸引管腔まで延びる第2の通気開口部を有し、前記第1の通気開口部と前記第2の通気開口部は、互いに整列するように位置付けられている、装置。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
いくつかの場合では、粘膜の切開、骨の除去、又は解剖学的通路の拡張を行うなど、患者の解剖学的通路内又は解剖学的通路に隣接して手術を行うことが望ましい場合がある。このような手術は、副鼻腔自然口(例えば副鼻腔を治療するため)、喉頭、エウス夕キオ管、又は耳、鼻、若しくは咽喉内の他の通路などの解剖学的通路内で行われ得る。上記に述べた手術、又は同様の手術以外に、上記に述べた手術、又は同様の手術の前、その間、又はその後に、解剖学的通路内又は解剖学的通路に隣接して吸引及び/又は灌流を適用することが望ましい場合がある。患者の解剖学的通路内又は解剖学的通路に隣接して吸引を適用する1つの方法は、細長いシャフトの開放遠位端で終端する、外部吸引源と流体連通した管腔を画定する細長いシャフトを有する吸引デバイスを得ることを含む。次いで、操作者は、患者の鼻孔又は口腔内に細長いシャフトの遠位端を患者体内の所望の位置に向かって挿入することができる。細長いシャフトの遠位端が患者体内に挿入された状態で、操作者は吸引デバイス及び/又は吸引源を操作することによって患者の解剖学的通路の近傍又はその内部の異物及び/又は望まれない物質を除去することができる。手術中に吸引及び/又は灌流を適用することは、当業者には明らかであるように複数の目的で有益であり得る。
【0002】
画像誘導手術(Image-guided surgery、IGS)は、コンピュータを用いて、患者の身体内に挿入された器具の位置の、術前に得られた画像群(例えば、CT又はMRIスキャン、3Dマップなど)に対するリアルタイムの相関を得ることで器具の現在位置を術前に得られた画像に重ね合わせる技術である。いくつかのIGS処置では、術野のデジタルトモグラフィスキャン(例えば、CT又はMRI、3Dマップなど)を外科手術の前に得る。次に、特別にプログラムされたコンピュータを用いて、デジタルトモグラフィスキャンデータをデジタルマップに変換する。外科手術中、センサ(例えば、電磁界を発生させる及び/又は外部で発生した電磁界に反応する電磁コイル)が装着された特別な器具を用いて処置を実行し、同時に、センサがコンピュータに各手術用器具の現在位置を示すデータを送る。コンピュータは、器具装着センサから受信したデータを、術前トモグラフィスキャンから作成されたデジタルマップと相関づける。トモグラフィスキャン画像は、スキャン画像内に示される解剖学的構造に対するそれぞれの外科器具のリアルタイム位置を示す指標(例えばクロスヘア又は照明ドットなど)とともにビデオモニタ上に表示される。これにより、外科医は、器具自体を体内のその現在の位置において直接見ることができない場合であっても、ビデオモニタを見ることによって各センサ搭載器具の正確な位置を知ることができる。
【0003】
ENT及び洞手術で用い得る電磁IGSシステムの例としては、InstaTrak ENT(商標)システム(GE Medical Systems、Salt Lake City,Utahから入手可能)が挙げられる。本開示に従って用いるように改変することができる電磁気画像誘導システムの他の例としては、これらに限定されないが、CARTO(登録商標)3 System(Biosense-Webster,Inc.、Diamond Bar,California)、Surgical Navigation Technologies,Inc.(Louisville,Colorado)から入手可能なシステム、及びCalypso Medical Technologies,Inc.(Seattle,Washington)から入手可能なシステムが挙げられる。
【0004】
内視鏡下機能的副鼻腔手術(functional endoscopic sinus surgery、FESS)、バルーンサイナプラスティ(balloon sinuplasty)、及び/又はその他のENT処置に適用した場合、画像誘導システムを用いることによって、外科医は、内視鏡だけを通して見ることによって実現できるよりも、手術用器具のより正確な動き及び配置を実現することができる。これは、典型的な内視鏡の画像が空間的に制限された2次元の視線の視界だからである。画像誘導システムを用いることによって、空間的に制限された2次元の直接視線の内視鏡視野において実際に見えるものだけではなく、術野を囲む生体構造すべてのリアルタイムの3次元図が得られる。その結果、画像誘導システムはFESS、バルーンサイナプラスティ、並びに/又は、吸引及び/若しくは灌流源が望ましい場合があるその他のENT処置の実行中に特に有用であり得、特に、通常の解剖学的目印が存在しないか又は内視鏡的に視覚化することが難しい場合に有用である。
【0005】
ENT処置及び他の医療処置においてIGSナビゲーションシステム及び付属する構成要素の使用を更に容易とする特徴を提供することが望ましい場合がある。IGS及びENT手術に関連していくつかのシステム及び方法がこれまでに製造され、使用されているが、本発明者らよりも以前に付属の特許請求の範囲に記載される本発明を製造及び使用した者はないものと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
本明細書は、本発明を具体的に示し、明確にその権利を請求する特許請求の範囲をもって結論となすものであるが、本発明は以下の特定の実施例の説明を添付図面と併せ読むことでより深い理解が得られるものと考えられる。図中、同様の参照符合は同様の要素を示す。
図1】例示的な副鼻腔手術ナビゲーションシステムの概略図を示す。
図2】患者の頭部を図1のナビゲーションシステムの構成要素とともに示す斜視図を示す。
図3】例示的な吸引器具の斜視図を示す。
図4図3の4-4線に沿った、図3の吸引器具の側面断面図を示す。
図5】例示的かつ代替的な吸引器具アセンブリの斜視図を示す。
図6図5の吸引器具アセンブリの例示的な吸引器具の分解斜視図を示す。
図7図6の吸引器具の別の分解斜視図を示す。
図8図6の吸引器具の例示的なグリップ部分の斜視図を示す。
図9図8の9-9線に沿った、図8のグリップ部分の断面斜視図を示す。
図10図6の吸引器具の例示的な細長いカニューレアセンブリの斜視図を示す。
図11図10の細長いカニューレアセンブリの一部の拡大斜視図を示す。
図12図10の細長いカニューレアセンブリの分解斜視図を示す。
図13図10の細長いカニューレアセンブリの分解斜視図を示す。
図14図10の14-14線に沿った、図10の細長いカニューレアセンブリの断面図を示す。
図15図10の15-15線に沿った、図10の細長いカニューレアセンブリの別の断面図を示す。
図16図5の16-16線に沿った、図6の吸引器具の一部の断面斜視図を示す。
図17図5の16-16線に沿った、図6の吸引器具の拡大断面斜視図を示す。
図18図5の18-18線に沿った、図6の吸引器具の断面斜視図を示す。
図19】別の例示的な吸引器具アセンブリの斜視図を示す。
図20】別の例示的な吸引器具アセンブリの斜視図を示す。
図21】別の例示的な吸引器具アセンブリの遠位端部分の斜視図を示す。
図22図21の遠位端部分の分解斜視図を示す。
【0007】
図面は、いかなる方式でも限定することを意図しておらず、本発明の種々の実施形態は、図面に必ずしも描写されていないものを含め、他の様々な方式で実施し得ることが企図される。本明細書に組み込まれ、その一部をなす添付図面は、本発明のいくつかの態様を図示したものであり、本説明文とともに本発明の原理を説明する役割を果たすものである。しかしながら、本発明が示される正確な配置に限定されない点が理解される。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の特定の実施例の以下の説明文は、本発明の範囲を限定する目的で用いられるべきではない。本発明の他の実施例、特徴、態様、実施形態、及び利点は、本発明を実施するために企図される最良の形態の1つを実例として示す以下の説明文より当業者には明らかとなろう。理解されるように、本発明には、いずれも本発明から逸脱することなく、他の異なる、かつ明白な態様が可能である。例えば、様々であるが。したがって、図面及び説明は、限定的な性質のものではなく、例示的な性質のものとみなされるべきである。
【0009】
「近位」及び「遠位」なる用語は、本明細書では、ハンドピースアセンブリを把持している臨床医に対して用いられることが理解されるであろう。すなわち、エンドエフェクタは、より近位のハンドピースアセンブリに対して遠位にある。便宜上及び明確さのために、「上部」及び「下部」といった空間に関する用語もまた、本明細書において、ハンドピースアセンブリを把持している臨床医を基準として用いられている点も更に理解されよう。しかしながら、外科器具は、多くの配向及び位置で使用されるものであり、これらの用語は、限定的かつ絶対的なものであることを意図するものではない。
【0010】
更に、本明細書に記載の教示、表現要素、変形形態、実施例などのうちのいずれか1つ又は2つ以上を、本明細書に記載の他の教示、表現要素、変形形態、実施例などのうちのいずれか1つ又は2つ以上と組み合わせることができる点も更に理解される。したがって、以下に記載の教示、表現要素、変形形態、実施例などは、互いに独立して考慮されるべきではない。本明細書の教示に照らして、本明細書の教示を組み合わせることができる様々な好適な方法が、当業者には直ちに明らかとなろう。かかる改変形態及び変形形態は、「特許請求の範囲」内に含まれるものとする。
【0011】
I.例示的な画像誘導手術ナビゲーションシステム
図1は、例示的なIGSナビゲーションシステム(1)を示し、これにより、IGSを使用してENT処置を行うことができる。いくつかの場合では、下記に詳細に説明されるように、IGSナビゲーションシステム(1)は、処置部位に隣接した、かつ/又は処置部位内での吸引が所望される処置中に使用される。しかし、IGSナビゲーションシステム(1)は、種々の他の種類の処置において容易に使用され得ることが理解される。
【0012】
本明細書に述べられる構成要素及び動作性を有することに加えるか又は代えて、IGSナビゲーションシステム(1)は、以下の文献の教示の少なくとも一部に従って構成し動作可能としてもよい。すなわち、米国特許第8,702,626号、発明の名称「Guidewires for Performing Image Guided Procedures」(2014年4月22日発行)(開示内容は本明細書において参照により組み込まれている)、米国特許第8,320,711号、発明の名称「Anatomical Modeling from a 3-D Image and a Surface Mapping」(2012年11月27日発行)(開示内容は本明細書において参照により組み込まれている)、米国特許第8,190,389号、発明の名称「Adapter for Attaching Electromagnetic Image Guidance Components to a Medical Device」(2012年5月29日発行)(開示内容は本明細書において参照により組み込まれている)、米国特許第8,123,722号、発明の名称「Devices,Systems and Methods for Treating Disorders of the Ear,Nose and Throat」(2012年2月28日発行)(開示内容は本明細書において参照により組み込まれている)、及び米国特許第7,720,521号、発明の名称「Methods and Devices for Performing Procedures within the Ear,Nose,Throat and Paranasal Sinuses」(2010年5月18日発行)(開示内容は本明細書において参照により組み込まれている)。
【0013】
同様に、本明細書に述べられる構成要素及び機能を有することに加えて、又はそれに代えて、IGSナビゲーションシステム(1)は、以下の文献の教示の少なくとも一部に従って構成及び機能することができる。すなわち、米国特許出願公開第2014/0364725号、発明の名称「Systems and Methods for Performing Image Guided Procedures within the Ear,Nose,Throat and Paranasal Sinuses」(2014年12月11日公開)(開示内容は本明細書において参照により組み込まれている)、米国特許出願公開第2014/0200444号、発明の名称「Guidewires for Performing Image Guided Procedures」(2014年7月17日公開)(開示内容は本明細書において参照により組み込まれている)、米国特許第9,198,736号、発明の名称「Adapter for Attaching Electromagnetic Image Guidance Components to a Medical Device」(2015年12月1日発行)(開示内容は本明細書において参照により組み込まれている)、米国特許出願公開第2011/0060214号、発明の名称「Systems and Methods for Performing Image Guided Procedures within the Ear,Nose,Throat and Paranasal Sinuses」(2011年3月10日公開)(開示内容は本明細書において参照により組み込まれている)、米国特許第9,167,961号、発明の名称「Methods and Apparatus for Treating Disorders of the Ear Nose and Throat」(2015年10月27日発行)(開示内容は本明細書において参照により組み込まれている)、及び米国特許出願公開第2007/0208252号、発明の名称「Systems and Methods for Performing Image Guided Procedures within the Ear,Nose,Throat and Paranasal Sinuses」(2007年9月6日公開)(開示内容は本明細書において参照により組み込まれている)。
【0014】
本実施例のIGSナビゲーションシステム(1)は、1組の磁場発生器(22)を備えている。外科処置が開始されるのに先立って、各磁場発生器(22)は患者の頭部に固定される。図2に最も分かりやすく示されるように、各磁場発生器(22)はフレーム(20)に組み込まれ、このフレームが患者の頭部に締め付けられる。この実施例では各磁場発生器(22)は患者の頭部に固設されているが、磁場発生器(22)は代わりに他の様々な好適な位置及び他の様々な好適な構造上に配置することができる点は理解されよう。あくまで例にすぎないが、磁場発生器(22)は、患者が置かれたテーブル又は椅子に固定された独立した構造上に、患者の頭部に対して適所にロックされた床取り付け式スタンド上に、並びに/又は任意の他の好適な位置及び/若しくは任意の他の好適な構造上に配置することができる。あくまで例にすぎないが、患者が配置される椅子に磁場発生器(22)が取り付けられる変形形態では、フレーム(20)及び磁場発生器(22)は、その開示内容が本明細書に参照により組み込まれる、2017年10月30日出願の発明の名称が「Dilation Catheter with Navigation Sensor and Vent Passageway in Tip」である米国特許出願公開第15/797,049号の教示の少なくとも一部に従って構成することができる。
【0015】
磁場発生器(22)は患者の頭部の周囲に電磁場を発生させるように動作可能である。詳細には、磁場発生器(22)は、フレーム(20)に近接する領域内に異なる周波数の交流磁場を伝達するように動作される。これにより、磁場発生器(22)は、患者の副鼻腔及び患者の頭部内の他の位置に挿入されたナビゲーションガイドワイヤ(30)の位置を追跡することを可能にする。磁場発生器(22)を形成及び駆動するために使用することができる様々な好適な構成部品は、本明細書の教示を考慮することで当業者には明らかとなろう。
【0016】
本実施例のIGSナビゲーションシステム(1)は、IGSナビゲーションシステム(1)の磁場発生器(22)及び他の要素を制御するプロセッサ(10)を更に含んでいる。プロセッサ(10)は、1つ又は2つ以上のメモリと通信する処理ユニットを有している。本実施例のプロセッサ(10)は、キーパッド及び/又はマウス又はトラックボールなどのポインティングデバイスを有する操作制御部(12)を有するコンソール(16)内に実装されている。医師は、外科処置を行いながら操作制御部(12)を使用してプロセッサ(10)と相互作用する。
【0017】
コンソール(16)は、システム(1)の他の要素にも接続している。例えば、図1に示すように、連結ユニット(32)がナビゲーションガイドワイヤ(30)の近位端に固設されている。本実施例の連結ユニット(32)は、コンソール(16)とナビゲーションガイドワイヤ(30)との間でデータ及び他の信号の無線通信を提供するように構成されている。いくつかの変形形態では、連結ユニット(32)は、ナビゲーションガイドワイヤ(30)からのデータ又は他の信号を、コンソール(16)からのデータ又は他の信号を更に通信することなく、コンソール(16)へと一方向に単純に通信する。いくつかの他の変形形態では、連結ユニット(32)は、ナビゲーションガイドワイヤ(30)とコンソール(16)との間でデータ又は他の信号の双方向の通信を提供する。本実施例の連結ユニット(32)はコンソール(16)と無線で連結しているが、いくつかの他の変形形態は、連結ユニット(32)とコンソール(16)との間で有線連結を提供すてもよい。連結ユニット(32)に組み込むことができる様々な他の好適な特徴及び機能が、本明細書の教示を考慮することで当業者には明らかとなろう。
【0018】
プロセッサ(10)はプロセッサ(10)のメモリに格納されたソフトウェアを用いてシステム(1)を較正し、動作させる。このような動作としては、磁場発生器(22)を駆動すること、ナビゲーションガイドワイヤ(30)からのデータを処理すること、操作制御部(12)からのデータを処理すること、及びディスプレイ画面(14)を駆動することが挙げられる。ソフトウェアは、例えば、ネットワークを介して電子的形態でプロセッサ(10)にダウンロードされてもよいし、又は代替的に若しくは加えて、磁気メモリ、光学メモリ、若しくは電子メモリなどの、非一時的な有形媒体上に提供される、かつ/又は格納されてもよい。
【0019】
プロセッサ(10)は更に、患者の頭部のビデオカメラ画像、患者の頭部のCTスキャン画像、及び/又は患者の鼻腔内及び患者の鼻腔に隣接した解剖学的構造のコンピュータで生成された3次元モデルに対するナビゲーションガイドワイヤ(30)の遠位端の位置を示すビデオを、ディスプレイ画面(14)を介してリアルタイムで提供するように動作可能である。ディスプレイ画面(14)は、これらの画像を同時に、かつ/又は互いに重ね合わせて表示することができる。更に、ディスプレイ画面(14)は、外科処置の間にこのような画像を表示することができる。このような表示された画像はまた、ナビゲーションガイドワイヤ(30)などの患者の頭部に挿入された器具のグラフィック表現を更に含んでもよく、これにより、操作者は器具のバーチャルレンダリングをその実際の位置でリアルタイムに見ることができる。このようなグラフィック表現は、実際に器具のように見えるものでもよく、又は例えばドット、クロスヘアなどのより単純な表現であってもよい。ディスプレイ画面(14)は、その開示内容が参照により本明細書に組み込まれ、2016年1月14日公開の発明の名称が「Guidewire Navigation for Sinuplasty」である米国特許出願公開第2016/0008083号の教示の少なくとも一部に従って、画像を提供することができる。操作者が内視鏡も使用している場合には、内視鏡画像をディスプレイ画面(14)にも表示することもできる。ディスプレイ画面(14)によって提供される画像は、操作者が患者の頭部内で器具を操縦し、また他の形で操作する助けとなり得る。
【0020】
本実施例では、ナビゲーションガイドワイヤ(30)は、ナビゲーションガイドワイヤ(30)の遠位端に1つ又は2つ以上のコイルを有する。これらのコイルが磁場発生器(22)によって発生された電磁場の中に配置されると、その磁場内でのコイルの運動によってコイルに電流が発生し、この電流はナビゲーションガイドワイヤ(30)内の導電路に沿って、更に連結ユニット(32)を介してプロセッサ(10)に伝送され得る。以下に詳細に説明するように、この現象によってIGSナビゲーションシステム(1)が3次元空間内のナビゲーションガイドワイヤ(30)の遠位端の位置を決定することが可能となる。詳細には、プロセッサ(10)は、ナビゲーションガイドワイヤ(30)の遠位端の位置座標をナビゲーションガイドワイヤ(30)内のコイルの位置関連信号から計算するアルゴリズムを実行する。本実施例では、ナビゲーションセンサを提供するためにコイルがナビゲーションガイドワイヤ(30)に組み込まれているが、ナビゲーションガイドワイヤ(30)に他の任意の好適な構成要素を組み込んでナビゲーションセンサを提供することができる点は理解されよう。
【0021】
場合によっては、ナビゲーションガイドワイヤ(30)は、患者の鼻腔内のナビゲーションを提供するために使用される以外に、患者の鼻腔内及び患者の鼻腔に隣接した解剖学的構造の3次元モデルを生成するために使用される。代替的に、任意のその他の好適なデバイスを用いて患者の鼻腔内の及び患者の鼻腔に隣接する解剖学的構造の3次元モデルを生成することを、ナビゲーションガイドワイヤ(30)を用いて患者の鼻腔内のナビゲーションを提供する前に行ってもよい。あくまで例にすぎないが、この解剖学的構造のモデルを、米国特許出願公開第2016/0310042号、発明の名称「System and Method to Map Structures of Nasal Cavity」(2016年10月27日出願)(開示内容は本明細書において参照により組み込まれている)の教示の少なくとも一部に従って生成することができる。患者の鼻腔内の及び患者の鼻腔に隣接する解剖学的構造の3次元モデルを生成し得る更に他の好適な方法は、本明細書における教示を考慮すれば当業者には明らかになるであろう。また当然のことながら、患者の鼻腔内の及び患者の鼻腔に隣接する解剖学的構造の3次元モデルを生成する方法又は場所には関係なく、モデルをコンソール(16)上に記憶させてもよい。したがって、コンソール(16)は、モデルの少なくとも一部分の画像を、ディスプレイ画面(14)を介してレンダリングしてもよいし、更にモデルに対するナビゲーションガイドワイヤ(30)の位置のリアルタイムビデオ画像を、ディスプレイ画面(14)を介してレンダリングしてもよい。
【0022】
II.例示的な吸引器具アセンブリ
様々な外科処置が、患者体内の手術野及び/又は他の部位から液体及び/又は破片を除去するうえで吸引器具の使用を必要とし得る。例えば、FESS手術、副鼻腔形成術、及び/又は様々な他のENT処置において吸引を行うことが望ましい場合がある。図3~4は、このような処置において吸引を提供するために使用することができる例示的な吸引器具アセンブリ(50)を示す。図に示されるように、器具アセンブリ(50)は、導管(90)を介して吸引源(80)と流体連結された吸引器具(60)を有している。吸引源(80)は、従来技術で知られている他の構成要素の中でもとりわけ、真空ポンプ及び流体リザーバを含むことができる。吸引源(80)は、吸引器具(60)を介して過剰な流体及び/又は破片を引き込むのに充分な吸引力を提供するように構成されている。
【0023】
本実施例の吸引器具(60)は、グリップ部分(70)から遠位方向に延在する細長いカニューレ(62)を備えている。カニューレ(62)は、開放遠位端(64)と、グリップ部分(70)の直ぐ遠位側に形成された屈曲領域(66)とを有している。屈曲領域(66)は、グリップ部分(70)を把持した操作者による患者体内への遠位端(64)の挿入を促すように選択された屈曲角を規定している。使用可能な様々な好適な屈曲角が本明細書の教示を鑑みることで当業者には明らかとなろう。
【0024】
本実施例では、カニューレ(62)は剛性を有しているため、カニューレ(62)は屈曲領域(66)の屈曲を維持し、患者の鼻腔内への挿入時に折れ曲がらない。あくまで例にすぎないが、カニューレ(62)は、ステンレス鋼(例えば、ステンレス鋼製ハイポチューブなど)及び/又は他の任意の好適な剛性材料で形成することができる。本実施例ではまた、カニューレ(62)は、約2.44mmの直径を有する管腔(68)を画定している。代替的に、他の任意の好適な直径を用いることもできる。管腔(68)は、所望に応じて、楕円形の断面形状又は他の何らかの非円形断面形状を有し得る点も理解されよう。非円形の断面形状は、カニューレ(62)と同じ解剖学的通路(例えば、鼻腔)内に他の器具を同時に配置するための更なるクリアランスを提供することができる。
【0025】
本実施例のグリップ部分(70)は、導管(90)と連結されるように構成された近位吸引導管ポート(72)を有している。本実施例では、ポート(72)は、エラストマー導管(90)としっかりと嵌合するように掛かりのついた構成を有しているが、様々な他の種類の構成をポート(72)に使用することができる点も理解されよう。本実施例のグリップ部分(70)は更に、上面(75)を貫通して形成された横断方向通気開口部(74)、及び下面(76)を有している。図4に最も分かりやすく示されるように、通気開口部(74)は、グリップ部分(70)を貫通して形成された管腔(78)と流体連通している。通気口(74)は本実施例では涙滴形を有しているが、通気口(74)は他の任意の好適な形状を有し得る点は理解されよう。あくまで例にすぎないが、涙滴形状(又は他の何らかの細長い形状)は、操作者が、通気開口部(74)上の操作者の親指(又は他の指)の長手方向の位置に基づいて吸引量を選択的に変化させることを可能とする。管腔(78)は更に、ポート(72)及びカニューレ(62)の管腔(68)と流体連通している。管腔(68、78)が協働して、ポート(72)からカニューレ(62)の開放遠位端(64)に至る、閉塞していない流体経路を提供している点が理解されよう。
【0026】
表面(75、76)は、作業者によるグリップ部分(70)の把持を促進するように構成されている。詳細には、上面(75)が凹状の外形を提供しているのに対して下面(76)は一連の隆起部を提供している。あくまで例にすぎないが、操作者は、上面(75)に親指を載せ、下面(76)に同じ手の人差し指の側面を置くことにより、グリップ部分(70)を把持することができる。グリップ部分(70)の長方形の形状が操作者にグリップ部分(70)の実質的な手掛かりを提供することができる一方で、表面(75、76)の構成は、操作者のグリップを更に確実にすることができる。
【0027】
吸引器具アセンブリ(50)の使用の間、操作者はグリップ部分(70)を把持してカニューレ(62)の遠位端(64)を患者体内の標的部位に配置することができる。いくつかのそのような例では、吸引源(80)は、常に作動状態に置かれる。これらの例では、操作者は、患者に対して操作者が器具(60)を配置する際、通気開口部(74)を開放された状態にしておくことができる。これにより、吸引源(80)は、開放遠位端(64)から吸引を行うことなく、通気開口部(74)から吸引を行うことができる。操作者が開放遠位端(64)から患者体内の標的部位に吸引を適用することを望む場合、操作者は、操作者の親指で通気開口部(74)を単純に覆う(又は、他の形で通気開口部(74)を覆う)だけでよい。このようにして、操作者は処置の間に通気開口部(74)を選択的に覆い、また、開放することによって選択的に吸引を適用することができる。
【0028】
上記及び下記の実施例は吸引器具に関連して示されているが、同様の器具(及びその変形形態)を使用して患者体内の標的部位に液体灌流を提供するか、又は様々な他の種類の機能を提供することができる点は理解されよう。したがって、本明細書の教示は吸引器具及び操作自体に限定されない。本明細書の教示を適用することができる他の好適な器具及び処置は当業者には明らかであろう。
【0029】
III.例示的なナビゲート可能な吸引器具
いくつかの場合では、器具のような吸引器具(60)に画像誘導ナビゲーション性能を提供することが望ましい場合がある。これにより、器具(60)をIGSナビゲーションシステム(1)とともに使用することが可能となる。器具(60)のような吸引器具をIGSナビゲーションシステム(1)とともに使用することで、操作者が患者体内のカニューレ(62)の遠位端(64)をより効果的に配置及び追跡することが可能となる。更に、画像誘導ナビゲーション性能を有するセンサを器具(60)のような吸引器具に取り付けることにより、センサが吸引器具(60)に対して永久的に空間的に固定され、また、センサが吸引管腔(78)を閉塞しないようにすることが望ましい場合もある。これにより、カニューレ(62)の遠位端(64)の追跡をより確実かつ/又は正確に行うことが可能となる。更に、これにより、管腔(68)内に配置されたナビゲーションガイドワイヤ(30)を有する場合に比べて、より大きな吸引性能を提供することが可能となる。
【0030】
図5は、IGSナビゲーションシステム(100)とともに使用されるように構成された例示的な吸引器具アセンブリ(1)を示す。吸引器具アセンブリ(100)は、代替的な吸引器具(110)、IGSナビゲーションシステム(1)のコンソール(16)、及び吸引源(80)を有している。吸引器具(110)は、導管(90)を介して吸引源(80)と流体連結されている。吸引源(80)は、従来技術で知られている他の構成要素の中でもとりわけ、真空ポンプ及び液体リザーバを含むことができる。吸引源(80)は、吸引器具(110)を介して過剰な液体及び/又は破片を引き込むのに充分な吸引を提供するように構成されている。
【0031】
吸引器具(110)は、コンソール(16)を介してIGSナビゲーションシステム(1)と通信している。下記により詳細に説明されるように、吸引器具(110)はコンソール(16)と通信するように構成されているため、プロセッサ(10)は、吸引器具(110)の選択された部分の位置座標を計算するアルゴリズムを実行することができる。したがって、吸引器具(110)はIGSナビゲーションシステム(1)と通信しており、IGSナビゲーションシステム(1)は患者の鼻腔内の、又は鼻腔に隣接する解剖学的構造の3次元モデルに対する吸引器具(110)の部分の空間的位置を計算、追跡、及び表示することができる。
【0032】
図5~7に示すように、吸引器具(110)は、連結ユニット(120)、近位吸引導管ポート(130)、グリップ部分(140)、及び細長いカニューレアセンブリ(160)を有している。吸引器具(110)は、上記に述べたような吸引器具(60)が使用される処置と同様の処置において吸引を提供することができる。したがって、細長いカニューレアセンブリ(160)の遠位端を経鼻的に、又は患者の鼻腔内若しくは鼻腔に隣接して(又は患者体内の他の箇所に)挿入することで吸引を提供することができる。下記により詳細に説明されるように、細長いカニューレアセンブリ(160)は、細長いカニューレアセンブリ(160)の3次元の空間的位置に対応するデータを、連結ユニット(120)を介してコンソール(16)に通信することができる装着センサアセンブリ(190)を有している。
【0033】
連結ユニット(120)は、センサカップリング(122)、コンソールカップリング(124)、及びセンサカップリング(122)とコンソールカップリング(124)とを接続し、これらの間の通信を確立するケーブル(126)を有している。センサカップリング(122)は、グリップ部分(140)の近位キャビティ(156)内に収容されるプロング(128)を有している。下記により詳細に説明されるように、コンソールカップリング(124)がコンソール(16)と結合されるように構成されている一方で、センサカップリング(122)のプロング(128)は吸引器具(110)の装着センサアセンブリ(190)と結合されるように構成されているため、装着センサアセンブリ(190)はコンソール(16)と通信している。コンソールカップリング(124)は、コンソール(16)と有線又は無線通信することができる。いくつかの変形形態では、連結ユニット(120)は、吸引器具(110)の選択された部分からのデータ又は他の信号をコンソール(16)に単純に通信し、更にコンソール(16)からのデータ又は他の信号を通信することはない。いくつかの他の変形形態では、連結ユニット(120)は、吸引器具(110)の選択された部分とコンソール(16)との間のデータ又は他の信号の双方向通信を提供する。連結ユニット(120)に組み込むことができる様々な他の好適な特徴及び機能が、本明細書の教示を考慮することで当業者には明らかとなろう。
【0034】
近位吸引導管ポート(130)は、グリップ部分(140)内に延在する遠位シャフト(134)に接続された近位掛かり付き構造(132)を有している。近位吸引導管ポート(130)は、近位掛かり付き構造(132)の開放端から遠位シャフト(134)の開放端にまで延在する通路(136)を画定している。近位掛かり付き構造(132)は、通路(136)と導管(90)の内部とが互いに流体連通するように導管(90)との確実な嵌合を提供するように構成されている。本実施例は、導管(90)との確実な嵌合を提供するために近位掛かり付き構造(132)を用いているが、様々な他の種類の構成を用いて近位吸引導管ポート(130)と導管(90)との間の確実な嵌合を提供することができる点は理解されよう。下記により詳細に説明されるように、通路(136)が細長いカニューレアセンブリ(160)の一部を受容するような寸法となっていることにより、細長いカニューレアセンブリ(160)は導管(90)、ひいては吸引源(80)と流体連通している。
【0035】
図8~9に最も分かりやすく示されるように、グリップ部分(140)は、本体(142)及び近位キャップ(145)を有している。本体(142)を操作者が把持することによって操作者が吸引器具(110)を操作及び制御することができる。本体(142)は、第1の通気開口部(144)、遠位開口部(146)、近位キャビティ(156)、及び遠位開口部(146)から近位キャビティ(156)内に延在する通路(154)を画定している。近位キャップ(145)は、近位キャビティ(156)を画定する本体(142)の一部に取り付けられるように構成されている。近位キャップ(145)は、いずれも近位キャップ(145)の外部から近位キャビティ(156)内に延在する第1の近位開口部(148)及び第2の近位開口部(150)を画定している。第1の近位開口部(148)が近位吸引導管ポート(130)のシャフト(134)を受容する寸法に構成されているのに対して、第2の近位開口部(150)は、連結ユニット(120)のセンサカップリング(122)を受容する寸法に構成されている。したがって、図17~18に最も分かりやすく示されるように、センサカップリング(122)の一部はグリップ部分(140)の近位キャビティ(156)内に収容されるように構成されている。更に、図17に最も分かりやすく示されるように、近位吸引導管ポート(130)は近位キャップ(145)と連結するように構成されているため、シャフト(134)によって画定される通路(136)はグリップ部分(140)の近位キャビティ(156)からアクセス可能となっている。
【0036】
遠位開口部(146)は、細長いカニューレアセンブリ(160)の選択された部分を受容する寸法に構成されている。更に、通路(154)は、遠位に向けられた肩部(152)を有している。図17に最も分かりやすく示されるように、遠位に向けられた肩部(152)は、カニューレアセンブリ(160)が遠位開口部(146)を介してグリップ部分(140)内に挿入される際に、外側シース(162)の開放近位端(166)に当接するような寸法に構成されている。更に、図17に最も分かりやすく示されるように、遠位に向けられた肩部(152)は、細長いカニューレアセンブリ(160)の内側吸引管(170)の一部を、通路(154)、近位キャビティ(156)、及び近位吸引導管ポート(130)の通路(136)を通じて更に挿入することができるような寸法に構成されている。したがって、導管(90)は、適切に組み立てられる際に、吸引管(170)の開放近位端(176)を介して吸引管(170)の吸引管腔(178)と流体連通することができ、これにより、吸引源(80)が吸引管腔(178)を通じて過剰な液体及び/又は破片を引き込むのに充分な吸引を提供することができる。
【0037】
上記に述べたように、グリップ部分(140)もまた、本体(142)の外部から通路(154)内に延在する第1の通気開口部(144)を画定している。上記に述べた通気開口部(74)と同様、第1の通気開口部(144)は、涙滴形状(又は他の何らかの細長い形状)を有することができる。下記により詳細に説明されるように、第1の通気開口部(144)は、操作者が患者体内の標的部位に選択的に吸引を提供することを可能にする。
【0038】
図10~15は、例示的な細長いカニューレアセンブリ(160)を示す。細長いカニューレアセンブリ(160)は、外側シース(162)、内側吸引管(170)、装着センサアセンブリ(190)、及び遠位キャップ(184)を有している。下記により詳細に説明されるように、外側シース(162)、内側吸引管(170)、及び遠位キャップ(184)は、協働して装着センサアセンブリ(190)を収容するように構成されているため、装着センサアセンブリ(190)は細長いカニューレアセンブリ(160)の残りの部分に対して空間的に固定される。下記により詳細に説明されるように、装着センサアセンブリ(190)は、磁場発生器(22)が発生した電磁場の中での運動に応じて電流を発生し、次いで、その電流を、連結ユニット(120)を介してコンソール(16)に通信するように構成されているため、IGSナビゲーションシステム(1)が細長いカニューレアセンブリ(160)の遠位端の位置を決定することができる。
【0039】
外側シース(162)は開放遠位端(164)から開放近位端(166)まで延在し、屈曲部分(165)がそれらの間に位置している。外側シース(162)もまた、開放近位端(166)から開放遠位端(164)にまで延在する中空内部(168)を画定している。中空内部(168)は、内側吸引チューブ(170)の一部、及び内側吸引管(170)によって画定される案内通路(180)内に、案内通路(180)に沿って延在する通信ワイヤ(196)の一部を収容する寸法に構成されている。上記に述べたように、開放近位端(166)は、適切に組み立てられる際に、グリップ部分(140)の遠位に向けられた肩部(162)に当接するような寸法に構成されている。屈曲部分(165)は、本明細書の教示を鑑みることで当業者には明らかとなるであろう外側シース(162)の長さに沿った任意の好適な位置に適切な屈曲を有することができる。
【0040】
内側吸引管(170)は、開放遠位端(174)から開放近位端(176)にまで延在し、その間に屈曲部分(175)が位置している。内側吸引管(170)の近位部分は、適切に組み立てられる際、外側シース(162)の開放近位端(166)を通じて、開放近位端(166)から離れる方向に延在する。内側吸引管(170)もまた、適切に組み立てられる際に、外側シース(162)の開放遠位端(164)から離れる方向に延在する狭小遠位部分(172)を有している。下記により詳細に説明されるように、狭小遠位部分(172)は装着センサアセンブリ(190)の一部を受容する寸法に構成されているため、装着センサアセンブリ(190)の一部が狭小遠位部分(172)に固定される。更に、狭小遠位部分(172)は遠位キャップ(184)を受容するような寸法にも構成されているため、遠位キャップ(184)が狭小遠位部分(172)及び狭小遠位部分(172)に固定される装着センサアセンブリ(190)の部分を覆うようになっている。
【0041】
内側吸引管(170)は、狭小遠位部分(172)の近位端から開放近位端(176)の方向に延在する案内通路(180)を画定している。上記に述べたように、また、下記に説明されるように、案内通路(180)は、外側シース(162)と協働して通信ワイヤ(196)を収容するような寸法に構成されている。内側吸引管(170)もまた、開放遠位端(174)から開放近位端(176)にまで延在する吸引管腔(178)を画定している。上記に述べたように、適切に組み立てられる際に開放近位端(176)が近位吸引導管ポート(130)と連結されるため、内側吸引管(170)の吸引管腔(178)が導管(90)及び吸引源(80)と流体連通することができる。内側吸引管(170)の近位部分は、グリップ部分(140)の通路(154)及び近位キャビティ(156)を通じて延在することによって近位吸引導管ポート(130)の通路(136)内に収容されてよく、これにより、適切に組み立てられる際に内側吸引管(170)の開放近位端(176)が導管(90)及び吸引源(80)と流体連結される。開放遠位端(174)もまた、吸引管腔(178)を介して開放近位端(176)と流体連通しているため、吸引源(80)は開放遠位端(174)から吸引管腔(178)を介して開放近位端(176)の方向に、導管(90)を通じて、吸引源(80)の方向に過剰な液体及び/又は破片を引き込むだけの充分な吸引を提供することができる。したがって、細長いカニューレアセンブリ(160)の遠位端が鼻腔内若しくは鼻腔に隣接して、又は患者の他の所望の位置に挿入される際、細長いカニューレアセンブリ(160)は、本明細書の教示に従って、吸引管腔(178)を介して過剰な液体及び/又は破片を所望の位置から引き離す吸引を提供することができる。吸引管腔(178)は、楕円形の断面形状を有してもよく、又は所望に応じて他の何らかの非円形の断面形状を有してもよい点は理解されよう。非円形の断面形状は、カニューレアセンブリ(160)と同じ解剖学的通路(例えば、鼻腔)内に他の器具を同時に配置するための更なるクリアランスを提供することができる。
【0042】
内側吸引管(170)は、第2の通気開口部(182)を画定している。図17に最も分かりやすく示されるように、グリップ部分(140)の第1の通気開口部(144)は、適切に組み立てられる際に第2の通気開口部(182)と長手方向に整列するような寸法に構成されている。第2の通気開口部(182)は、内側吸引管(170)の外側表面から吸引管腔(178)内に延在する。適切に組み立てられる際に第1の通気開口部(144)と第2の通気開口部(182)とが長手方向に整列するため、第1及び第2の通気開口(144、182)は、本体(142)の外部から内側吸引管(170)の吸引管腔(178)に流体経路を提供する。したがって、適切に組み立てられる際に、操作者は、第1の通気開口部(144)を選択的に覆うことによって吸引源(80)から開放遠位端(174)に対応した吸引管腔(178)に伝達される吸引力を制御することができる。更に、あくまで例にすぎないが、涙滴形状(又は他の何らかの細長い形状)によって、操作者が第1の通気開口部(144)上の操作者の親指(又は他の指)の長手方向の位置に基づいて吸引源(80)から吸引管腔(178)に伝達される吸引の量を選択的に変化させることが可能となる。
【0043】
したがって、吸引器具アセンブリ(100)の使用中に、操作者がグリップ部分(140)を把持し、細長いカニューレアセンブリ(160)の遠位キャップ(184)及び開放遠位端(174)を患者体内の標的部位に配置することができる。いくつかのそのような例では、吸引源(80)は、常に作動状態に置かれる。これらの例では、操作者は、患者に対して操作者が器具(110)を配置する際、最初に通気開口部(144)を開放された状態にしておくことができる。これにより、吸引源(80)は、吸引管(170)の開放遠位端(174)から吸引を行うことなく、通気開口部(182、144)から吸引を行うことができる。操作者が開放遠位端(174)から患者体内の標的部位に吸引を適用することを望む場合、操作者は、操作者の親指で通気開口部(144)を単純に覆う(又は、他の形で通気開口部(144)を覆う)だけでよい。このようにして、操作者は処置の間に通気開口部(144)を選択的に覆い、また、開放することによって選択的に吸引を適用することができる。
【0044】
内側吸引管(170)の屈曲部分(175)は、外側シース(162)の屈曲部分(165)に一致している。別の言い方をすれば、内側吸引管(170)の屈曲部分(175)は、外側シース(162)の屈曲部分(165)内に配置されている。外側シース(162)及び内側吸引管(170)の屈曲部(165、175)は、互いに対して適切に組み立てられた後、同時に形成されてもよい。例えば、下記により詳細に説明されるように、装着センサアセンブリ(190)が内側吸引管(170)に適切に取り付けられた後、内側吸引管(170)及び外側シース(160)の両方を屈曲させる前に外側シース(162)を内側吸引管(170)上にスライドさせることができる。次いで、外側シース(162)の開放近位端(166)を内側吸引管(170)にレーザ溶接することにより内側吸引管(170)と外側シース(162)とを互いに固定することができる。別の言い方をすれば、内側吸引管(170)と外側シース(162)とを、屈曲部分(165、175)が形成されていないほぼ真っ直ぐな形状に互いに連結することができる。装着センサアセンブリ(190)が内側吸引管(170)に適切に組み付けられ、内側吸引管(170)と外側シース(162)とが互いに対して適切に固定された状態で、屈曲部分(165、175)を同時に形成することができる。
【0045】
本実施例では、外側シース(162)及び内側吸引管(170)は剛性を有するため、外側シース(162)及び内側吸引管(170)はそれぞれの屈曲領域(165、175)の屈曲を維持し、患者の鼻腔内への挿入時に折れ曲がらない。あくまで例にすぎないが、外側シース(162)及び内側吸引管(170)は、ステンレス鋼(例えば、ステンレス鋼製ハイポチューブなど)及び/又は他の任意の好適な剛性材料で形成することができる。
【0046】
図12~13に最も分かりやすく示されるように、装着センサアセンブリ(190)は、環状センサ(192)、ポリイミド管(194)、通信ワイヤ(196)、センサ連結ワイヤ(198)、及びエポキシシース(186)を有している。図13及び図15に最も分かりやすく示されるように、ポリイミド管(194)は内側吸引管(170)の狭小部分(172)上に嵌装する寸法に構成され、環状センサ(192)はポリイミド管(194)上に嵌装する寸法に構成されている。ポリイミド管(194)は狭小部分(172)の外側に固定され、環状センサ(192)はポリイミド管(194)の外側に固定されている。ポリイミド管(194)は構造的な固さを提供し、環状センサ(192)を内側吸引管(170)の狭小部分(172)との接触から保護するインスレーターとして機能することができる。
【0047】
同様に、エポキシシース(186)は環状センサ(192)の外側を被覆するため、エポキシシース(186)は構造的な固さを提供するとともに、内側吸引管(170)の遠位キャップ(184)又は他の部分及び外側シース(162)との接触から環状センサ(192)を保護するインスレーターとして機能することができる。エポキシシース(186)は、ポリイミド管(194)及び環状センサ(192)が狭小部分(172)に適切に固定された後、環状センサ(192)、ポリイミド管(192)、及び狭小部分(172)の外側に成形することができる。したがって、環状センサ(192)は内側吸引管(170)の狭小部分(172)に対して固定されている。遠位キャップ(184)は狭小部分(172)及びエポキシシース(186)を覆うことにより、吸引器具(110)の使用中に装着センサアセンブリ(190)を保護する。本実施例ではエポキシ及びポリイミドが使用されているが、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかとなるように他の好適な材料を使用することも可能である。
【0048】
環状センサ(192)は、磁場の中で動かされると電流を発生するように構成されている。詳細には、環状センサ(192)は、IGSナビゲーションシステム(1)の磁場発生器(22)が発生した電磁場の中で動かされる際に電流を発生することができる。環状センサ(192)は、本明細書の教示を鑑みれば当業者には周知である、電磁場の中で動かされる際に電流を発生する任意の好適な構成要素を含むことができる。例えば、環状センサ(192)は1つ又は2つ以上のコイル、ワイヤ巻線の層などを含むことができる。あくまで1つの例として、環状センサ(192)は1層当たり64巻の巻線を有する4層のワイヤ巻線を有する一軸センサを有することができる。
【0049】
図13及び図15に最も分かりやすく示されるように、センサ連結ワイヤ(198)は、通信ワイヤ(192)及び環状センサ(192)に連結されている。センサ連結ワイヤ(198)は環状センサ(192)内に埋め込まれ、環状センサ(192)から近位方向に延在することにより、環状センサ(192)と通信ワイヤ(196)とを電気的に連結することができる。したがって、電磁場中での環状センサ(192)の運動により発生した電流を環状センサ(192)から通信ワイヤ(196)にセンサ連結ワイヤ(198)を介して伝送することができる。
【0050】
上記に述べ、また、図14に最も分かりやすく示されるように、通信ワイヤ(192)は案内通路(180)に沿って延在する。グリップ部分(140)の外側のカニューレアセンブリ(160)に沿って延在する通信ワイヤ(192)の部分は、案内通路(180)と外側シース(162)との間に収容され得る。通信ワイヤ(192)は、通信ワイヤ(192)が誤って組織などの外部物体と望ましくない接触をしないように収容されている。本実施例では、内側吸引管(170)の中空内部(168)及び案内通路(180)がグリップ部分(140)の外側の通信ワイヤ(192)の部分を収容しているが、他の任意の好適な管の通路/組み合わせを用いて通信ワイヤ(192)を収容することができる点は理解されよう。例えば、外側シース(162)を省略してもよく、内側吸引管(170)が、通信ワイヤ(192)の全体を収容するように構成された、吸引管腔(178)から流体隔離された管腔を画定してもよい。本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかとなるに、他の任意の好適なハウジングの構成を用いることができる。
【0051】
図18に見られるように、通信ワイヤ(192)は、案内通路(180)に沿ってグリップ部分(140)の近位キャビティ(156)内に延在する。通信ワイヤ(192)はPCB基板(195)に連結することができ、このPCB基板(195)は更に連結ユニット(120)のセンサカップリング(122)のプロング(128)に連結している。通信ワイヤ(192)、PCB基板(195)、及びセンサカップリング(122)が適切に組み立てられた後、近位キャビティ(156)にエポキシ充填材(155)を充填することによってPCB基板(195)及び通信ワイヤ(199)を近位キャビティ(156)内に固定することができる。本実施例ではPCBボード(195)を使用して通信ワイヤ(196)をプロング(128)に連結しているが、これはあくまで任意であり、プロング(128)は、本明細書の教示を鑑みれば当業者には周知である、任意の好適な手段によって通信ワイヤ(196)と連結することができる。例えば、通信ワイヤ(196)は、プロング(128)と直接連結することができる。
【0052】
上記に述べたように、センサカップリング(122)のプロング(128)は、ケーブル(126)を介してコンソールカップリング(124)と電気的に連通している。コンソールカップリング(124)は、IGSナビゲーションシステム(1)のコンソール(16)と通信している。したがって、通信ワイヤ(192)は、PCB基板(195)及び連結ユニット(120)を介して、IGSナビゲーションシステム(1)のコンソール(16)と通信するように動作可能である。
【0053】
環状センサ(192)の電磁場中での運動によって電流が発生すると、環状センサ(192)はこの電流をセンサ連結ワイヤ(198)、通信ワイヤ(196)、PCB基板(195)、及び連結ユニット(120)を介して、IGSナビゲーションシステム(1)のコンソール(16)に伝送することができる。
【0054】
例示的な使用では、細長いカニューレアセンブリ(160)の遠位端が、磁場発生器(22)が発生する電磁場の中に置かれる際、その磁場中での環状センサ(192)の運動によって環状センサ(192)内に電流が発生し、この電流を、センサ連結ワイヤ(198)、通信ワイヤ(196)、PCB基板(195)、連結ユニット(120)に沿って、更にプロセッサ(10)に伝送することができる。後述するように、この現象によってIGSナビゲーションシステム(1)は、3次元空間内の環状センサ(192)の位置を決定することが可能である。詳細には、プロセッサ(10)は、環状センサ(192)の位置関連信号から環状センサ(192)の位置座標を計算するアルゴリズムを実行する。環状センサ(192)は細長いカニューレアセンブリ(160)の残りの部分に対して固定されているため、IGSナビゲーションシステム(1)は、カニューレアセンブリ(160)の全体の位置を計算、追跡、及び表示することができる。代替的に、IGSシステム(1)は、環状センサ(192)又は環状センサ(192)を表すポイント/指標のみを計算、追跡、表示してもよい。更に、操作者は上記の教示に従って任意の好適な時間に吸引を適用することもできる。したがって、操作者は、吸引器具(110)が例示的な使用中にどこにあるかを視覚化することができる。
【0055】
上記に述べたように、細長いカニューレアセンブリ(160)は、本明細書の教示に鑑みれば当業者には明らかとなるであろう任意の好適な屈曲部分を有することができる。図19~20は、代替的な吸引器具(210、310)をそれぞれ有する2つの代替的な器具アセンブリ(200、300)を示している。代替的な吸引器具(210、310)は上記に述べた吸引器具(110)と実質的に同様であるが、以下に述べる相違点を有する。
【0056】
したがって、吸引器具(210)は、上記に述べた連結ユニット(120)、近位吸引導管ポート(130)、及びグリップ部分(140)と実質的に同様の連結ユニット(220)、近位吸引導管ポート(230)、及びグリップ部分(240)を有している。更に、吸引器具(210)は、上記に述べた細長いカニューレアセンブリ(160)と実質的に同様の細長いカニューレアセンブリ(260)を有しているが、以下に述べる相違点を有する。詳細には、細長いカニューレアセンブリ(260)は、約70°の角度を有する屈曲部分(265、275)を有している。更に、遠位キャップ(284)は、使用中に外傷を生じにくいオリーブ形状の外形を有している。
【0057】
吸引器具(310)は、上記に述べた連結ユニット(120)、近位吸引導管ポート(130)、及びグリップ部分(140)と実質的に同様の連結ユニット(320)、近位吸引導管ポート(330)、及びグリップ部分(340)を有している。更に、吸引器具(310)は、上記に述べた細長いカニューレアセンブリ(160)と実質的に同様の細長いカニューレアセンブリ(360)を有しているが、以下に述べる相違点を有する。詳細には、細長いカニューレアセンブリ(360)は、約90°の角度を有する屈曲部分(365、375)を有している。更に、遠位キャップ(384)は、使用中に外傷を生じにくいオリーブ形状の外形を有している。
【0058】
図21~22は、上記に述べた器具(110、210、310)のような吸引器具に組み込むことができる別の例示的な代替的な遠位端部分(400)を示している。この実施例の遠位端部分(400)は、吸引管(410)、センサ(420)、及びロックナット(430)を有している。吸引管(410)は、遠位狭小部分(412)を有し、管腔(414)を画定している。センサ(420)及びロックナット(430)は、狭小部分(412)に沿って同軸上に配置されている。センサ(420)は、狭小部分(412)の近位端に位置する、遠位に向けられた肩部(415)と、センサ(420)の遠位に位置するロックナット(430)との間に長手方向に介在している。センサ(420)は、狭小部分(412)を受容するように構成された通孔(422)を画定している。同様に、ロックナット(430)は、狭小部分(412)を受容するように構成された通孔(432)を画定している。
【0059】
センサ(420)は、磁場発生器(22)が発生した電磁場中でのセンサ(420)の運動に応じて電気信号を発生するように構成されている点でセンサ(192)と同様の構成及び機能を有する。いくつかの変形形態では、センサ(420)は、プラスチックハウジング内に密封された1つ又は2つ以上のコイルを有する。センサ(420)を形成するために使用することが可能な他の好適な構成要素及び構成が、本明細書の教示を鑑みることで当業者には明らかとなろう。プロセッサ(10)は、センサ(192)からの信号を処理することで3次元空間内でのセンサ(420)の位置を決定し、これにより3次元空間内での遠位端部分(400)の位置を決定するように構成されている。これにより、プロセッサ(10)は、ディスプレイ(14)を作動させて3次元空間内での遠位端部分(400)のグラフィック表現を示すことが可能であり、これにより、操作者が3次元空間内での遠位端部分(400)の表現された位置をリアルタイムで容易に観察することを可能とする。
【0060】
センサ(420)をプロセッサ(10)と電気的に連結するため、センサ(420)は、センサ(420)の通孔(422)内に配置された1組の電気接点(424)を有している。接点(440)は、センサ(420)が狭小部分(412)上に完全に配置される際に吸引管(410)の狭小部分(412)上の相補的な接点(440)と係合するように構成されている。図22では、接点(424、440)は正方形のものとして示されているが、接点(424、440)は、環状リングを含むがこれに限定されない任意の好適な形態を有することができる。一方の組の接点(424、440)を、センサ(420)が狭小部分(412)上に完全に配置された際の他方の組の接点(424、440)との接触を促すように弾性的に付勢することもできる。接点(440)は、吸引管(410)の長さに沿って延在するワイヤ(444)と連結されている。ワイヤ(444)もまた、本明細書の教示を鑑みることで当業者には明らかとなるように、任意の好適な構造及び技術によってプロセッサ(10)と通信することができる。
【0061】
ロックナット(430)は、狭小部分(412)に着脱可能に固設されるように構成されている。あくまで例にすぎないが、ロックナット(430)は狭小部分(412)にねじ連結を介して連結されてもよく、その場合、狭小部分(412)の遠位部分がねじ山を有し、通孔(432)が相補的なねじ山を有する。別のあくまで例示的な例として、ロックナット(430)は、狭小部分(412)の遠位部分にスナップ嵌め又は摩擦嵌めすることもできる。ロックナット(430)を狭小部分(412)に着脱可能に固設することができる他の好適な方法も、本明細書の教示を考慮すれば当業者には明らかとなろう。
【0062】
本実施例では、センサ(420)は接点(444、424)を介してワイヤ(444)と連結されており、また、ロックナット(430)が狭小部分(412)から取り外し可能であるため、エンドユーザがセンサ(420)を狭小部分(412)から容易に取り外して交換することができる。例えば、医療処置において遠位部分(400)が組み込まれた器具を使用した後、操作者は狭小部分(412)からロックナット(430)を取り外し(例えば、ロックナット(430)を狭小部分(412)からねじって外す)、次いで、センサ(420)をスライドさせて狭小部分(412)から外すことができる。この後、操作者は、吸引管(410)を再処理及び滅菌を行うために発送することにより、その後の医療処置で吸引管(410)を使用することができる。使用済みのセンサ(420)及びロックナット(430)は、簡単に廃棄することができる。吸引管(410)がその後の医療処置で使用できる状態にある場合、新たなセンサ(420)及び新たなロックナット(430)を狭小部(412)に固設し、新たに組み立てられた遠位部分(400)を後の医療処置で使用することができる。
【0063】
本明細書に述べられる異なる実施例において、センサ(192、420)は、単一軸の周囲に巻かれた1個のコイルの形態である。いくつかの他の変形形態では、センサ(192、420)は、互いに垂直なそれぞれの軸の周囲に巻かれた2個のコイルを含む。更なる他の変形形態では、センサ(192、420)は、互いに垂直なそれぞれの軸の周囲に巻かれた3個のコイルを含む。代替的に、任意の好適な数の対応するコイル軸を有する3個よりも多いコイルを用いてセンサ(192、420)を形成してもよい。
【0064】
本明細書に述べられる異なる実施例においてもまた、キャップ(184、284、384)又はロックナット(430)は、センサ(192、420)上に配置される。いくつかの他の変形形態では、センサ(192、420)を吸引管(170、410)の内径に配置及び固設し、キャップ(184、284、384)又はロックナット(430)を省略することができる。更なる他の変形形態では、吸引管(170,410)の側壁にセンサ(192,420)を埋設し、キャップ(184、284、384)又はロックナット(430)を省略することができる。
【0065】
カニューレアセンブリ(160、260、360)の様々な遠位先端部の形状について本明細書で説明したが、カニューレアセンブリ(160、260、360)は、本明細書の教示を鑑みることで当業者には明らかとなるように任意の好適な遠位先端部の形状を有することができる。あくまで例にすぎないが、カニューレアセンブリ(160、260、360)は、直線状、オリーブ形、ボール形、尖端状、又は他の形に構成された遠位先端部の形状を有することができる。
【0066】
IV.例示的な組み合わせ
以下の実施例は、本明細書の教示を組み合わせるか又は適用することができる様々な非網羅的な方法に関する。以下の実施例は、本出願における又は本出願の後の出願におけるどの時点でも提示され得るいずれの請求項の適用範囲をも限定することを目的としたものではないことを理解されたい。一切の権利放棄を意図するものではない。以下の実施例は単なる例証目的で提供されるものにすぎない。本明細書の様々な教示は、多くの他の方法で配置及び適用され得ることが企図される。また、いくつかの変形形態では、以下の実施例で言及される特定の特徴を省略してもよいことも企図される。したがって、本発明者によって、又は本発明者の関係者たる継承者によって、後日、そうである旨が明示的に示されない限り、以下に言及される態様又は特徴のいずれも重要なものとしてみなされるべきではない。以下に言及される特徴以外の更なる特徴を含む請求項が本出願において、又は本出願に関連する後の出願において示される場合、これらの更なる特徴は、特許性に関連するいずれの理由によって追加されたものとしても仮定されるべきではない。
【実施例0067】
(実施例1)
(a)(i)近位端、(ii)遠位端、及び(iii)近位端から遠位端に延在する第1の管腔を有するカニューレアセンブリであって、カニューレが剛性材料で形成されたカニューレアセンブリと、(b)(i)カニューレアセンブリに固定されたセンサ、及び(ii)センサと電気的に連通した通信ワイヤであって、第1の管腔の外側でカニューレアセンブリの長さに沿って延在する通信ワイヤを有するセンサアセンブリと、を備える、装置。
【0068】
(実施例2)
カニューレアセンブリが内側管及び外側シースを有し、通信ワイヤが、内側管と外側シースとの間でカニューレアセンブリの長さに沿って延在する、実施例1に記載の装置。
【0069】
(実施例3)
内側管が第1の管腔及び案内通路を画定し、通信ワイヤが案内通路内に少なくとも部分的に配置されている、実施例2に記載の装置。
【0070】
(実施例4)
カニューレアセンブリの遠位端が狭小部分を有する、実施例1~3のいずれか1つ又は2つ以上に記載の装置。
【0071】
(実施例5)
センサが狭小部分に隣接している、実施例4に記載の装置。
【0072】
(実施例6)
センサアセンブリが、センサと狭小部分との間に配置された第1の保護部材を有する、実施例5に記載の装置。
【0073】
(実施例7)
センサアセンブリが第2の保護部材を有し、センサが第1の保護部材と第2の保護部材との間に配置されている、実施例6に記載の装置。
【0074】
(実施例8)
カニューレアセンブリが、センサ上に嵌装するように構成された遠位キャップを含む、実施例1~7のいずれか1つ又は2つ以上に記載の装置。
【0075】
(実施例9)
装置がグリップ部分を更に備える、実施例1~8のいずれか1つ又は2つ以上に記載の装置。
【0076】
(実施例10)
グリップ部分が、カニューレアセンブリの一部を収容する通路を画定している、実施例9に記載の装置。
【0077】
(実施例11)
通信ワイヤが、通路内に少なくとも部分的に配置されている、請求項10に記載の装置。
【0078】
(実施例12)
グリップ部分が通気開口部を画定している、実施例9~11のいずれか1つ又は2つ以上に記載の装置。
【0079】
(実施例13)
センサがコイルを含む、実施例1~12のいずれか1つ又は2つ以上に記載の装置。
【0080】
(実施例14)
センサが環状センサを含む、実施例1~12のいずれか1つ又は2つ以上に記載の装置。
【0081】
(実施例15)
センサが一軸センサを含む、実施例1~12のいずれか1つ又は2つ以上に記載の装置。
【0082】
(実施例16)
センサが、4層のワイヤ巻線を有する一軸センサを含む、実施例1~12のいずれか1つ又は2つ以上に記載の装置。
【0083】
(実施例17)
4層のワイヤ巻線の各層が、1層当たり64の巻線を有する、実施例16に記載の装置。
【0084】
(実施例18)
(a)(i)近位端、(ii)遠位端、及び(iii)近位端から遠位端に延在する吸引管腔を有するカニューレアセンブリであって、カニューレが剛性材料で形成されたカニューレアセンブリと、(b)(i)吸引管腔の外側のカニューレアセンブリの部分においてカニューレアセンブリに対して固定されたセンサ、及び(ii)センサと電気的に連通した通信ワイヤであって、第1の管腔の外側でカニューレアセンブリの長さに沿って延在する通信ワイヤを有するセンサアセンブリと、を備える、装置。
【0085】
(実施例19)
装置がグリップ部分を更に備え、グリップ部分がカニューレアセンブリの少なくとも一部を収容する、実施例18に記載の装置。
【0086】
(実施例20)
(a)(i)近位端、(ii)狭小部分を有する遠位端、及び(iii)近位端から遠位端に延在する吸引管腔を有するカニューレアセンブリであって、カニューレが剛性材料で形成されたカニューレアセンブリと、(b)(i)狭小部分の外側においてカニューレアセンブリに対して固定されたセンサ、及び(ii)センサと電気的に連通した通信ワイヤであって、第1の管腔の外側でカニューレアセンブリの長さに沿って延在する通信ワイヤを有するセンサアセンブリと、を備える、装置。
【0087】
(実施例21)
ロック部材を更に備え、ロック部材がセンサをカニューレアセンブリに固定するように構成されている、実施例1~20のいずれか1つ又は2つ以上に記載の装置。
【0088】
(実施例22)
ロック部材がロックナットを含む、実施例21に記載の装置。
【0089】
(実施例23)
ロックナットがセンサの遠位に配置され、ロックナットがカニューレアセンブリの遠位端に解放可能に固設されている、実施例22に記載の装置。
【0090】
(実施例24)
センサアセンブリが第1の接点及び第2の接点を更に有し、第1の接点がセンサに組み込まれ、第2の接点がカニューレアセンブリの遠位端に組み込まれ、接点がセンサから通信ワイヤへの通信の経路を提供するように構成されている、実施例1~23のいずれか1つ又は2つ以上に記載の装置。
【0091】
V.その他
上記の特徴及び機能のいずれかを有することに加えて、本明細書に述べられる様々な実施例は、以下に開示されるデバイスの1つ又は2つ以上の特徴及び機能を更に有することができる。すなわち、その開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、2017年2月1日出願の発明の名称が「Navigation Guidewire with Interlocked Coils」である米国特許出願公開第62/453,220号、及び/又は、その開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、2017年2月1日出願の発明の名称が「Surgical Instrument with Navigation Wire Interface Features」である米国特許出願公開第62/453,235号。本明細書の教示を、米国特許出願公開第62/453,220号及び米国特許出願公開第62/453,235号の教示と組み合わせることができる様々な好適な方法は、当業者には明らかとなろう。
【0092】
上記に述べた例は、ナビゲーションコイル又は他のナビゲーションセンサを器具の遠位端に組み込むことでIGSシステム(1)によるナビゲーション及び誘導を可能とするものである。このようなナビゲーションコイル又は他のナビゲーションセンサを器具の遠位端に設けることに加えるか、又はそれに代えて、いくつかの変形形態では、1つ又は2つ以上の他の位置に1つ又は2つ以上のナビゲーションコイル又は他のナビゲーションセンサを組み込むこともできる。あくまで例にすぎないが、器具の近位部分及び/又は器具の使用中に患者の外部に残るいくつか他の構成要素に1つ又は2つ以上の他のナビゲーションコイル又は他のナビゲーションセンサを設けることができる。1つ又は2つ以上の他のナビゲーションコイル又は他のナビゲーションセンサを設けることができる他の様々な好適な位置が、本明細書の教示を考慮することで当業者には明らかとなろう。
【0093】
本明細書のデバイスのいずれも、その開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、2016年10月27日公開の発明の名称が「System and Method to Map Structures of Nasal Cavity」である米国特許出願公開第2016/0310042号の教示の少なくとも一部に従って改変及び/又は使用することができる。したがって、本明細書のデバイスを使用することで、患者の鼻腔内及び患者の鼻腔に隣接する解剖学的構造のマッピングを行うことができる。同様に、本明細書のデバイスを使用することで、患者の鼻腔の内部及び患者の鼻腔に隣接する解剖学的構造のプロービングを行うことができる。
【0094】
本明細書に記載の実施例のうちのいずれも、上述のものに加えて又はそれに代えて、様々な他の特徴を含み得る点が理解されるべきである。あくまで例としてであるが、本明細書に記載の実施例のうちのいずれも、参照により本明細書に組み込まれる様々な参考文献のいずれかに開示されている様々な特徴のうちの1つ又は2つ以上を含むこともできる。
【0095】
本明細書に記載の教示、表現要素、実施形態、実施例などのうちのいずれか1つ又は2つ以上を、本明細書に記載の他の教示、表現要素、実施形態、実施例などのうちのいずれか1つ又は2つ以上と組み合わせることができる点が理解されるべきである。したがって、上記の教示、表現要素、実施形態、実施例などは、互いに対して独立して考慮されるべきではない。本明細書の教示に照らして、本明細書の教示を組み合わせることができる様々な好適な方法が、当業者には直ちに明らかとなろう。かかる改変形態及び変形形態は、「特許請求の範囲」内に含まれるものとする。
【0096】
参照により本明細書に組み込まれると言及されたいかなる特許、刊行物、又は他の開示内容も、全体的に又は部分的に、組み込まれた内容が現行の定義、見解、又は本開示に記載された他の開示内容とあくまで矛盾しない範囲でのみ本明細書に組み込まれることを認識されたい。それ自体、また必要な範囲で、本明細書に明瞭に記載される開示内容は、参照により本明細書に組み込まれるあらゆる矛盾する記載に優先するものとする。参照により本明細書に組み込まれるが、既存の定義、記載、又は本明細書に記載される他の開示文献と矛盾する任意の文献、又はそれらの部分は、組み込まれる文献と既存の開示内容との間に矛盾が生じない範囲においてのみ組み込まれるものとする。
【0097】
本明細書に開示されるデバイスの変形形態は、1回の使用後に処分されるように設計するか又は複数回使用されるように設計することができる。いずれか又は両方の場合において、様々な変形形態は、少なくとも1回の使用後に再利用のために再調整され得る。再調整は、デバイスの分解工程、それに続く特定の部分の洗浄又は交換工程、及びその後の再組立工程の任意の組み合わせを含み得る。詳細には、デバイスの変形形態は分解されてもよく、また、デバイスの任意の数の特定の部品又は部材を任意の組み合わせで選択的に交換又は取り外すことができる。特定の部品を洗浄及び/又は交換した後、デバイスの変形形態は、再調整用の施設において、又は外科処置の直前に外科チームによって、その後の使用のために再組立することができる。当業者であれば、デバイスの再調整において、分解、洗浄/交換、及び再組立のための様々な技術を利用することができることを認識するであろう。かかる技術の使用、及び結果として得られる再調整されたデバイスは、すべて本発明の範囲内にある。
【0098】
あくまで例としてであるが、本明細書に記載の変形形態は手術に先立って処理することができる。まず、新品又は使用済みの器具を入手し、必要に応じて洗浄することができる。特定の場合では、器具を再処理トレイ(例えば、金属ビン又はバスケット)内に配置した後、外科器具用洗浄機中で洗浄することができる。次いで器具を滅菌することができる。1つの滅菌技術では、器具は、プラスチックバッグ又はTYVEKバッグなど、閉鎖され密封された容器に入れられる。次いで、容器及び器具を、γ線、X線、又は高エネルギー電子などの容器を透過し得る放射線野に置くことができる。放射線は、器具上及び容器内の細菌を死滅させることができる。この後、滅菌済みの器具を滅菌容器内で保管することができる。密封容器は、手術設備で開封されるまで器具を滅菌状態に保つことができる。デバイスはまた、これらに限定されるものではないが、β線又はγ線、エチレンオキシド、水蒸気、過酸化水素蒸気(例えば、カリフォルニア州アーバイン所在のAdvanced Sterilization Products社によるSTERRAD滅菌システムによる)を含む、当該技術分野では周知の他の任意の技術を用いて、かつ/又は他の任意の好適なシステム又は技術を使用して滅菌することもできる。
【0099】
本発明の様々な変形形態について図示し説明したが、本明細書で説明した方法及びシステムの更なる応用が、当業者による適切な改変形態により、本発明の範囲から逸脱することなく実現可能である。そのような可能な改変形態のうちのいくつかについて述べたが、他の改変形態も当業者には明らかであろう。例えば、上述の実施例、変形形態、幾何学形状、材料、寸法、比率、工程などは例示的なものであって、必須ではない。したがって、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲の観点から考慮されるべきものであり、本明細書及び図面において図示され、説明された構造及び動作の細部に限定されないものとして理解されたい。
【0100】
〔実施の態様〕
(1) 装置であって、
(a)カニューレアセンブリであって、
(i)近位端、
(ii)遠位端、及び
(iii)前記近位端から前記遠位端に延在する第1の管腔を備え、前記カニューレが、剛性材料で形成されている、カニューレアセンブリと、
(b)センサアセンブリであって、
(i)前記カニューレアセンブリに固定されたセンサ、及び
(ii)前記センサと電気的に連通した通信ワイヤであって、前記第1の管腔の外側で前記カニューレアセンブリの長さに沿って延在する通信ワイヤを備える、センサアセンブリと、を備える、装置。
(2) 前記カニューレアセンブリが、内側管及び外側シースを含み、前記通信ワイヤが、前記内側管と前記外側シースとの間で前記カニューレアセンブリの前記長さに沿って延在する、実施態様1に記載の装置。
(3) 前記内側管が、前記第1の管腔及び案内通路を画定し、前記通信ワイヤが、前記案内通路内に少なくとも部分的に配置されている、実施態様2に記載の装置。
(4) 前記カニューレアセンブリの前記遠位端が、狭小部分を備える、実施態様1に記載の装置。
(5) 前記センサが、前記狭小部分に隣接している、実施態様4に記載の装置。
【0101】
(6) 前記センサアセンブリが、前記センサと前記狭小部分との間に配置された第1の保護部材を含む、実施態様5に記載の装置。
(7) 前記センサアセンブリが、第2の保護部材を含み、前記センサが、前記第1の保護部材と前記第2の保護部材との間に配置されている、実施態様6に記載の装置。
(8) 前記カニューレアセンブリが、前記センサ上に嵌装するように構成された遠位キャップを備える、実施態様1に記載の装置。
(9) ロック部材を更に備え、前記ロック部材が、前記センサを前記カニューレアセンブリに固定するように構成されている、実施態様1に記載の装置。
(10) 前記ロック部材が、ロックナットを備える、実施態様9に記載の装置。
【0102】
(11) 前記ロックナットが、前記センサの遠位に配置され、前記ロックナットが、前記カニューレアセンブリの前記遠位端に解放可能に固設されている、実施態様10に記載の装置。
(12) 前記センサアセンブリが、第1の接点及び第2の接点を更に備え、前記第1の接点が、前記センサに組み込まれ、前記第2の接点が、前記カニューレアセンブリの前記遠位端に組み込まれ、前記接点が、前記センサから前記通信ワイヤへの通信のための経路を提供するように構成されている、実施態様1に記載の装置。
(13) 前記センサが、コイルを備える、実施態様1に記載の装置。
(14) 前記センサが、環状センサを備える、実施態様1に記載の装置。
(15) 前記センサが、一軸センサを備える、実施態様1に記載の装置。
【0103】
(16) 前記センサが、4層のワイヤ巻線を有する一軸センサを備える、実施態様1に記載の装置。
(17) 前記4層のワイヤ巻線の各層が、1層当たり64の巻線を備える、実施態様16に記載の装置。
(18) 装置であって、
(a)カニューレアセンブリであって、
(i)近位端、
(ii)遠位端、及び
(iii)前記近位端から前記遠位端に延在する吸引管腔を備え、前記カニューレが、剛性材料で形成されている、カニューレアセンブリと、
(b)センサアセンブリであって、
(i)前記吸引管腔の外側の前記カニューレアセンブリの部分において、前記カニューレアセンブリに対して固定されたセンサ、及び
(ii)前記センサと電気的に連通した通信ワイヤであって、前記第1の管腔の外側で前記カニューレアセンブリの長さに沿って延在する通信ワイヤを備える、センサアセンブリと、を備える、装置。
(19) 前記装置が、グリップ部分を更に備え、前記グリップ部分が、前記カニューレアセンブリの少なくとも一部を収容する、実施態様18に記載の装置。
(20) 装置であって、
(a)カニューレアセンブリであって、
(i)近位端、
(ii)狭小部分を有する遠位端、及び
(iii)前記近位端から前記遠位端に延在する吸引管腔を備え、前記カニューレが、剛性材料で形成されている、カニューレアセンブリと、
(b)センサアセンブリであって、
(i)前記狭小部分の外側において前記カニューレアセンブリに対して固定されたセンサ、及び
(ii)前記センサと電気的に連通した通信ワイヤであって、前記第1の管腔の外側で前記カニューレアセンブリの長さに沿って延在する通信ワイヤを備える、センサアセンブリと、を備える、装置。
図1
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【外国語明細書】