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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023068175
(43)【公開日】2023-05-16
(54)【発明の名称】ロータ、モータ、及びワイパモータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 1/278 20220101AFI20230509BHJP
【FI】
H02K1/278
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023049267
(22)【出願日】2023-03-27
(62)【分割の表示】P 2018235805の分割
【原出願日】2018-12-17
(71)【出願人】
【識別番号】000144027
【氏名又は名称】株式会社ミツバ
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】大堀 竜
(57)【要約】
【課題】作動音の悪化やロータ特性の悪化を抑制するとともに、永久磁石の材料コストを低減できるロータ、モータ、及びワイパモータを提供する。
【解決手段】周方向で隣り合う突極35の互いに向かい合う突極側面35a同士のなす角度θ1と、1つの永久磁石33における周方向の両側の磁石側面33a同士のなす角度θ2と、が同一角度であり、ロータコア32の外周面32bと丸面取り部35c1,35c2の径方向の最外側端との間の距離をLtとし、内周面33bと磁石側面33aにおける径方向の最外側端との間の距離をLmeとしたとき、各距離Lt,Lmeは、Lme<Ltを満たすように設定され、ロータコア32の外周面32bと突極35の凹部35dとの間の距離は、距離Ltと距離Lmeとの間に設定されている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸線の回りに回転するシャフトと、
前記シャフトに固定され前記回転軸線を径方向の中心として回転するロータコアと、
前記ロータコアの外周面に周方向に沿って並んで配置された複数の永久磁石と、
前記ロータコアの前記外周面から前記径方向の外側に向かって突出され、前記周方向で隣り合う前記永久磁石の間に配置されるとともに、前記回転軸線の方向からみて前記径方向に長い長方形状に形成された複数の突極と、
前記ロータコアと前記複数の永久磁石とを覆う筒状の磁石カバーと、
を備え、
前記突極は、
前記周方向で間隔をあけて対向配置された2つの突極側面と、
前記径方向の外側端に配置された突極先端面と、
前記突極先端面における前記周方向の両側の前記突極側面との角部で、かつ2つの前記突極側面の前記周方向の幅の範囲内にそれぞれ形成された第1丸面取り部及び第2丸面取り部と、
前記突極先端面における前記第1丸面取り部と前記第2丸面取り部との間の前記周方向の中央に前記回転軸線の方向に形成された凹部と、
を有し、
前記永久磁石は、前記回転軸線の方向からみて円弧状に形成されているとともに、前記周方向の中央を中心として線対称に形成されており、
前記永久磁石は、
前記周方向で前記突極側面と対向する平坦な磁石側面と、
前記径方向の内側に配置された円弧状の磁石内周面と、
前記径方向の外側に配置された円弧状の磁石外周面と、
前記磁石側面と前記磁石外周面との接続部に形成され、前記周方向の両側で平行に形成された磁石平行面と、
を有し、
前記磁石カバーは、前記磁石外周面に当接されており、
前記複数の突極の間における前記ロータコアの前記外周面の円弧中心は、前記ロータコアの前記外周面のうち、前記周方向で隣り合う前記突極の間の前記周方向の中心が最も前記径方向の外側に突出するように、前記回転軸線から前記径方向の外側にずれて偏心されており、
前記磁石内周面の円弧中心は、前記ロータコアの前記外周面に対応するように、前記回転軸線から前記径方向の外側にずれて偏心されており、
前記周方向で隣り合う前記突極の互いに向かい合う前記突極側面同士のなす角度と、1つの前記永久磁石における前記周方向の両側の前記磁石側面同士のなす角度と、が同一角度であり、
前記ロータコアの前記外周面と前記第1丸面取り部及び前記第2丸面取り部の前記径方向の最外側端との間の距離をLtとし、前記磁石内周面と前記磁石側面における前記径方向の最外側端との間の距離をLmeとしたとき、
各前記距離Lt,Lmeは、
Lme<Lt
を満たすように設定され、
前記ロータコアの前記外周面と前記突極の前記凹部との間の距離は、前記距離Ltと前記距離Lmeとの間に設定されている
ことを特徴とするロータ。
【請求項2】
前記第1丸面取り部及び前記第2丸面取り部と前記磁石平行面との当接を避けて前記磁石側面における前記径方向の外側のみが前記突極側面に当接される
ことを特徴とする請求項1に記載のロータ。
【請求項3】
前記第1丸面取り部及び前記第2丸面取り部は、前記磁石カバーに当接している
ことを特徴とする請求項1に記載のロータ。
【請求項4】
環状のステータコア及び前記ステータコアの内周面から前記径方向の内側に向かって突出する複数のティースを有するステータと、
前記ティースに装着されるコイルと、
前記複数のティースに対して前記径方向の内側に配置される請求項1に記載のロータと、
を備え、
前記回転軸線の方向からみて、前記ロータが時計回りと反時計回りとの両回りで回転される
ことを特徴とするモータ。
【請求項5】
請求項4に記載のモータと、
前記シャフトの回転を減速して出力する減速部と、
を備えたことを特徴とするワイパモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータ、モータ、及びワイパモータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、界磁用の複数の永久磁石をロータコアの外周面に周方向に並べて配置した表面磁石(SPM:Surface Permanent Magnet)型のロータが知られている。また、この種の表面磁石型のロータの中には、ロータコアの外周面から径方向外側に向かって突出され、周方向で隣り合う永久磁石の間に配置された複数の突極を備えた、いわゆるインセット型のロータが知られている。
この種のインセット型のロータにおいて、ロータコア及び突極は、磁性材料によって形成されている。ロータコアの突極は、突出方向が径方向の外側であるのでステータのコイルによる鎖交磁束が流れやすい方向となる。また、突極は、鎖交磁束の磁路の磁気抵抗(リラクタンス)を小さくするようにロータコアを回転させる、リラクタンストルクを発生させる。
【0003】
また、永久磁石やロータコアの製造誤差により、周方向に隣り合う突極の間の幅よりも永久磁石の周方向の幅が大きくなってしまう可能性がある。このような場合、ロータコアの外周面に永久磁石を無理やり配置しようとすると、永久磁石に余計な応力がかかって永久磁石が損傷してしまう可能性がある。このため、周方向で隣り合う突極の間の幅よりも永久磁石の周方向の幅が小さくなるようにする場合が多い。
また、永久磁石によるロータコアへの回転トルクを増大させるために、永久磁石の周方向中心が最も径方向の外側に突出するように永久磁石の径方向の肉厚を、周方向の中央に向かうに従って徐々に厚くするものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2015/102047号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ロータコアへの永久磁石の固定方法として、永久磁石の外周面を覆うように磁石カバーを設け、この磁石カバーによってロータコアに永久磁石を固定する場合とがある。ここで、上述の従来技術のように、周方向で隣り合う突極の間の幅よりも永久磁石の周方向の幅が小さくなるようにすると、磁石カバーによってロータコアに永久磁石を固定する場合、永久磁石と突極との間の隙間分だけ永久磁石がガタつき、作動音が悪化する可能性があった。仮に接着剤を用いてロータコアに永久磁石を固定したとしても接着剤が剥がれて永久磁石がガタつく可能性があった。また、永久磁石の位置ずれによって、ロータ特性が悪化する可能性があった。
さらに、上述の従来技術のように、永久磁石の径方向の肉厚を、周方向の中央に向かうに従って徐々に厚くすると、永久磁石の材料コストが増大してしまうという課題があった。
【0006】
そこで、本発明は、作動音の悪化やロータ特性の悪化を抑制するとともに、永久磁石の材料コストを低減できるロータ、モータ、及びワイパモータを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の第1態様に係るロータは、回転軸線の回りに回転するシャフトと、前記シャフトに固定され前記回転軸線を径方向の中心として回転するロータコアと、前記ロータコアの外周面に周方向に沿って並んで配置された複数の永久磁石と、前記ロータコアの前記外周面から前記径方向の外側に向かって突出され、前記周方向で隣り合う前記永久磁石の間に配置されるとともに、前記回転軸線の方向からみて前記径方向に長い長方形状に形成された複数の突極と、前記ロータコアと前記複数の永久磁石とを覆う筒状の磁石カバーと、を備え、前記突極は、前記周方向で間隔をあけて対向配置された2つの突極側面と、前記径方向の外側端に配置された突極先端面と、前記突極先端面における前記周方向の両側の前記突極側面との角部で、かつ2つの前記突極側面の前記周方向の幅の範囲内にそれぞれ形成された第1丸面取り部及び第2丸面取り部と、前記突極先端面における前記第1丸面取り部と前記第2丸面取り部との間の前記周方向の中央に前記回転軸線の方向に形成された凹部と、を有し、前記永久磁石は、前記回転軸線の方向からみて円弧状に形成されているとともに、前記周方向の中央を中心として線対称に形成されており、前記永久磁石は、前記周方向で前記突極側面と対向する平坦な磁石側面と、前記径方向の内側に配置された円弧状の磁石内周面と、前記径方向の外側に配置された円弧状の磁石外周面と、前記磁石側面と前記磁石外周面との接続部に形成され、前記周方向の両側で平行に形成された磁石平行面と、を有し、前記磁石カバーは、前記磁石外周面に当接されており、前記複数の突極の間における前記ロータコアの前記外周面の円弧中心は、前記ロータコアの前記外周面のうち、前記周方向で隣り合う前記突極の間の前記周方向の中心が最も前記径方向の外側に突出するように、前記回転軸線から前記径方向の外側にずれて偏心されており、前記磁石内周面の円弧中心は、前記ロータコアの前記外周面に対応するように、前記回転軸線から前記径方向の外側にずれて偏心されており、前記周方向で隣り合う前記突極の互いに向かい合う前記突極側面同士のなす角度と、1つの前記永久磁石における前記周方向の両側の前記磁石側面同士のなす角度と、が同一角度であり、前記ロータコアの前記外周面と前記第1丸面取り部及び前記第2丸面取り部の前記径方向の最外側端との間の距離をLtとし、前記磁石内周面と前記磁石側面における前記径方向の最外側端との間の距離をLmeとしたとき、各前記距離Lt,Lmeは、Lme<Ltを満たすように設定され、前記ロータコアの前記外周面と前記突極の前記凹部との間の距離は、前記距離Ltと前記距離Lmeとの間に設定されている。
【0008】
本発明の第2態様では、第1態様のロータにおいて、前記第1丸面取り部及び前記第2丸面取り部と前記磁石平行面との当接を避けて前記磁石側面における前記径方向の外側のみが前記突極側面に当接される。
【0009】
本発明の第3態様では、第1態様又は第2態様のロータにおいて、前記第1丸面取り部及び前記第2丸面取り部は、前記磁石カバーに当接している。
【0010】
本発明の第4態様に係るモータは、環状のステータコア及び前記ステータコアの内周面から前記径方向の内側に向かって突出する複数のティースを有するステータと、前記ティースに装着されるコイルと、前記複数のティースに対して前記径方向の内側に配置される第1態様から第3態様のいずれかの態様のロータと、を備え、前記回転軸線の方向からみて、前記ロータが時計回りと反時計回りとの両回りで回転される。
【0011】
本発明の第5態様に係るワイパモータは、第4態様のモータと、前記シャフトの回転を減速して出力する減速部と、を備えた。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、作動音の悪化やロータ特性の悪化を抑制するとともに、永久磁石の材料コストを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態におけるワイパモータの斜視図。
図2図1のA-A線に沿う断面図。
図3】本発明の実施形態におけるステータ及びロータの径方向に沿う断面図。
図4】本発明の実施形態におけるロータを軸方向からみた平面図。
図5】軸方向からみたロータの一部を拡大した平面図であり、(a)は従来のロータを示し、(b)は本実施形態のロータを示す。
図6】永久磁石の周方向のガタつきの説明図であり、(a)は従来のロータを示し、(b)は本実施形態のロータを示す。
図7】ロータの一部を示し、(a)は図6(a)のB部拡大図、(b)は図6(b)のC部拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0015】
(ワイパモータ)
図1は、ワイパモータ1の斜視図である。図2は、図1のA-A線に沿う断面図である。
図1図2に示すように、ワイパモータ1は、例えば車両に搭載されるワイパの駆動源となる。ワイパモータ1は、モータ部(モータ)2と、モータ部2の回転を減速して出力する減速部3と、モータ部2の駆動制御を行うコントローラ部4と、を備えている。
なお、以下の説明において、単に軸方向という場合は、モータ部2のシャフト31の回転軸線C1方向をいい、単に周方向という場合は、シャフト31の周方向をいい、単に径方向という場合は、シャフト31の径方向をいうものとする。
【0016】
(モータ部)
モータ部2は、モータケース5と、モータケース5内に収納されている略円筒状のステータ8と、ステータ8の径方向の内側に設けられ、ステータ8に対して回転可能に設けられたロータ9と、を備えている。モータ部2は、ステータ8に電力を供給する際にブラシを必要としない、いわゆるブラシレスモータである。
【0017】
(モータケース)
モータケース5は、例えばアルミダイキャスト等の放熱性の優れた材料に形成されている。モータケース5は、軸方向に分割可能に構成された第1モータケース6と、第2モータケース7と、からなる。第1モータケース6及び第2モータケース7は、それぞれ有底筒状に形成されている。
第1モータケース6は、底部10が減速部3のギアケース40と接合されるように、このギアケース40と一体成形されている。底部10の径方向の略中央には、ロータ9のシャフト31を挿通可能な貫通孔10aが形成されている。
【0018】
また、第1モータケース6の開口部6aに、径方向の外側に向かって張り出す外フランジ部16が形成されている。さらに、第2モータケース7の開口部7aに、径方向の外側に向かって張り出す外フランジ部17が形成されている。これら外フランジ部16,17同士を突き合わせて内部空間を有するモータケース5を形成している。そして、モータケース5の内部空間に、第1モータケース6及び第2モータケース7の内周面にステータ8の外周面が嵌合されている。
【0019】
(ステータ)
図3は、ステータ8及びロータ9の径方向に沿う断面図である。
図2図3に示すように、ステータ8は、径方向に沿う断面形状が略円環状となる円筒状のコア部21と、コア部21から径方向の内側に向かって突出する複数(例えば、本実施形態では6つ)のティース22と、が一体成形されたステータコア20と、を有している。
ステータコア20は、複数の金属板Ptを軸方向に積層することにより形成されている。なお、ステータコア20は、複数の金属板Ptを軸方向に積層して形成する場合に限られるものではなく、例えば、軟磁性粉を加圧成形することにより形成してもよい。
【0020】
ティース22は、コア部21の内周面から径方向に沿って突出するティース本体101と、ティース本体101の径方向の内側端から周方向に沿って延びる鍔部102と、が一体成形されたものである。鍔部102は、ティース本体101から周方向の両側に延びるように形成されている。そして、周方向で隣り合う鍔部102の間に、スロット19が形成される。
【0021】
また、コア部21の内周面、及びティース22は、樹脂製のインシュレータ23によって覆われている。このインシュレータ23の上から各ティース22にコイル24が巻回されている。各コイル24は、コントローラ部4からの給電により、ロータ9を回転させるための磁界を生成する。
【0022】
(ロータ)
図4は、ロータ9を軸方向からみた平面図である。
図3図4に示すように、ロータ9は、ステータ8の径方向の内側に微小隙間を介して回転自在に設けられている。ロータ9は、減速部3を構成するウォーム軸44(図2参照)と一体成形されたシャフト31と、シャフト31の外周面に嵌合固定されこのシャフト31の軸心を回転軸線C1とする略円柱状のロータコア32と、ロータコア32の外周面に設けられた4つの永久磁石33と、を備えている。このように、モータ部2において、永久磁石33の磁極数とスロット19(ティース22)の数との比は、4:6である。
【0023】
ロータコア32は、複数の金属板Ptを軸方向に積層することにより形成されている。なお、ロータコア32は、複数の金属板Ptを軸方向に積層して形成する場合に限られるものではなく、例えば、軟磁性粉を加圧成形することにより形成してもよい。
また、ロータコア32の径方向の略中央には、軸方向に貫通する貫通孔32aが形成されている。この貫通孔32aに、シャフト31が圧入されている。なお、貫通孔32aに対してシャフト31を挿入とし、接着剤等を用いてシャフト31にロータコア32を固定してもよい。
【0024】
さらに、ロータコア32の外周面32bには、4つの突極35が周方向に等間隔で設けられている。突極35は、径方向の外側に突出され、かつロータコア32の軸方向の全体に延びるように形成されている。突極35は、軸方向からみて径方向に長い長方形状に形成されており、周方向の両側の突極側面35aと径方向の外側の先端面35bとを有している。
突極35の先端面35bには、周方向の両側の角部に、丸面取り部35c1,35c2(第1丸面取り部35c1、第2丸面取り部35c2)が軸方向の全体に渡って形成されている。また、突極35の先端面35bには、周方向の中央に、凹部35dが軸方向の全体に渡って形成されている。
【0025】
突極35の根本、つまり突極35の突極側面35aと外周面32bとの間の接続部には、円弧部32cが形成されている。この円弧部32cを介して突極側面35aと外周面32bとが接続されている。
ロータコア32の外周面32bにおける円弧中心C2は、外周面32bのうち、周方向で隣り合う突極35の間の周方向の中心が最も径方向の外側に突出するように、回転軸線C1から径方向の外側にずれて偏心されている。
このように形成されたロータコア32の外周面32bは、周方向で隣り合う2つの突極35の間が、それぞれ磁石収納部36として構成されている。これら磁石収納部36に、それぞれ永久磁石33が配置されている。
【0026】
永久磁石33は、例えばフェライト磁石である。永久磁石33は、軸方向からみて略円弧状に形成され、かつ周方向の中央を中心として線対称に形成されている。永久磁石33は、周方向で突極側面35aと対向する平坦な磁石側面33aと、径方向の内側における円弧状の内周面33bと、径方向の外側の円弧状の外周面33cと、磁石側面33aと外周面33cとの接続部に形成され周方向の両側で平行に形成された平行面33dと、磁石側面33aと内周面33bとの接続部に形成された丸面取り部33eと、を有している。
【0027】
永久磁石33の内周面33bは、ロータコア32の外周面32bと同様に形成されている。永久磁石33の内周面33bにおける円弧中心C3は、ロータコア32の外周面32bにおける円弧中心C2と一致している。永久磁石33の内周面33bは、周方向の中心が最も径方向の外側に突出している。
永久磁石33の外周面33cにおける円弧中心C4も回転軸線C1から径方向の外側にずれて偏心されている。外周面33cは、周方向の中心が最も径方向の外側に突出するように形成されている。
【0028】
ここで、永久磁石33の内周面33bの曲率半径をRiとし、外周面33cの曲率半径をRoとしたとき、各曲率半径Ri,Roは、
Ro>Ri ・・・(1)
を満たすように設定されている。そして、永久磁石33の外周面33cにおける円弧中心C4は、永久磁石33の内周面33bにおける円弧中心C3、及びロータコア32の外周面32bにおける円弧中心C2と一致している。
また、周方向で隣り合う突極35の互いに向かい合う突極側面35a同士のなす角度をθ1とし、永久磁石33の周方向の両側の磁石側面33a同士のなす角度をθ2としたとき、角度θ1,θ2は、
θ1≒θ2 ・・・(2)
を満たすように設定されている。
【0029】
また、ロータコア32の外周面32bと永久磁石33における突極側面35aの径方向の最外側端との距離、つまり、ロータコア32の円弧部32cを除いた外周面32bと、突極35における径方向の最外側端との間の距離をLtとし、永久磁石33の内周面33bと磁石側面33aの径方向の最外側端との間の距離をLmeとし、永久磁石33の周方向の中心における径方向の肉厚をLmとしたとき、距離Lt,Lme及び肉厚Lmは、
Lme<Lm<Lt ・・・(3)
を満たすように設定されている。
【0030】
永久磁石33は、ロータコア32の磁石収納部36に配置された後、磁石カバー37によって固定される。磁石カバー37は、永久磁石33の外周面33cを覆うように形成されている。磁石カバー37は、磁性材の薄板にプレス加工を施すことにより形成されている。なお、磁石カバー37に加え、図示しない接着剤等を用いてロータコア32に永久磁石33を貼り付けてもよい。このように構成することで、ロータコア32に、強固に永久磁石33を固定することができる。
【0031】
(永久磁石の周方向のガタつき)
次に、図5(a)~図7(a)に基づいて、本実施形態のロータ9における永久磁石33の周方向のガタつきを、従来のロータ109における永久磁石133の周方向のガタつきと比較して説明する。
図5は、軸方向からみたロータの一部を拡大した平面図であり、(a)は従来のロータ109を示し、(b)は本実施形態のロータ9を示す。図5(a)、図5(b)は、前述の図4に対応している。なお、以下の説明では、本実施形態における永久磁石33の説明の重複を避けるために、従来のロータ109におけるロータコア132、及び永久磁石133の各部の名称を、本実施形態のロータ9におけるロータコア32、及び永久磁石33の各部の名称と同一名称とし、同一符号を付して説明する。
【0032】
前述したように、本実施形態のロータ9は、ロータコア32の外周面32bにおける円弧中心C2、及び永久磁石33の内周面33bにおける円弧中心C3が回転軸線C1から径方向の外側にずれて偏心されている。これに対し、図5(a)に示すように、従来のロータ109は、ロータコア132の外周面32bにおける円弧中心C2、及び永久磁石133の内周面33bの円弧中心C3が偏心されておらず、回転軸線C1と一致している。
図5(a)に示すように、従来の永久磁石133における周方向の両側の磁石側面33aと、これら磁石側面33aと周方向で対向する突極側面35aとの間に、隙間S1を形成する。また、図5(b)に示すように、本実施形態の永久磁石33における周方向の両側の磁石側面33aと、これら磁石側面33aと周方向で対向する突極側面35aとの間に、隙間S2を形成する。これら隙間S1,S2は、同一寸法とする。
【0033】
図6は、永久磁石の周方向のガタつきの説明図であり、(a)は従来のロータ109を示し、(b)は本実施形態のロータ9を示す。図6(a)は、前述の図5(a)に対応している。図6(b)は、前述の図5(b)に対応している。図7(a)は、図6(a)のB部拡大図である。図7(b)は、図6(b)のC部拡大図である。
上記のような構成のもと、図6(a)、図6(b)に示すように、永久磁石33,133を周方向で隣り合う2つの突極35のうち、一方の突極35側に寄せると、突極側面35aに各永久磁石33,133の磁石側面33aが当接される。このときの突極側面35aへの磁石側面33aの当接の仕方が本実施形態と従来とで異なってくる。
【0034】
すなわち、図7(a)に示すように、従来のロータ109における磁石側面33aの突極側面35aへの当接面積に対し、図7(b)に示すように、本実施形態のロータ9における磁石側面33aの突極側面35aへの当接面積が小さい。より具体的には、本実施形態のロータ9では、磁石側面33aの径方向の外側部のみが突極側面35aに当接される(図7(b)におけるD部参照)。これは、本実施形態におけるロータコア32の外周面32bにおける円弧中心C2、及び永久磁石33の内周面33bにおける円弧中心C3が回転軸線C1から径方向の外側にずれて偏心されているからである。
【0035】
つまり、このように各円弧中心C2,C3が偏心されていると、ロータコア32の外周面32b、及び永久磁石33の内周面33bの曲率半径が従来と比較して小さくなる。このため、突極35に永久磁石33を寄せた際、突極側面35aに対する磁石側面33aの傾きが大きくなる。この結果、図7(b)に示すように、本実施形態のロータ9は、突極側面35aに磁石側面33aが当接された状態で、突極側面35aの径方向の内側と磁石側面33aの径方向の内側との間に隙間S3が残る。
【0036】
ここで、本実施形態のロータ9において、周方向で隣り合う突極35の互いに向かい合う突極側面35a同士のなす角度θ1と、永久磁石33の周方向における両側の磁石側面33a同士のなす角度θ2は、上記式(2)を満たすように設定されている。また、ロータコア32の外周面32bと突極35における径方向の最外側端との間の距離Lt、及び永久磁石33の内周面33bと磁石側面33aの径方向の最外側端との間の距離Lmeは、上記式(3)を満たすように設定されている。このため、突極35に永久磁石33が寄った際、突極35に磁石側面33aの径方向の外側部が確実に当接される。
【0037】
したがって、突極35に永久磁石33,133を寄せた際、図6(a)に示すように、従来のロータ109における突極側面35aと磁石側面33aとの隙間S1’に対し、図6(b)に示すように、本実施形態のロータ9における突極側面35aと磁石側面33aとの隙間S2’が小さくなる。このため、従来のロータ109に対し、本実施形態のロータ9における永久磁石33の周方向のガタつきは小さくなる。
【0038】
(減速部)
図1図2に戻り、減速部3は、モータケース5が取り付けられているギアケース40と、ギアケース40内に収納されるウォーム減速機構41と、を備えている。ギアケース40は、例えばアルミダイキャスト等の放熱性の優れた材料により形成されている。ギアケース40は、一面に開口部40aを有する箱状に形成されており、内部にウォーム減速機構41を収容するギア収容部42を有する。また、ギアケース40の側壁40bには、第1モータケース6が一体成形されている箇所に、この第1モータケース6の貫通孔10aとギア収容部42とを連通する開口部43が形成されている。
【0039】
また、ギアケース40の底壁40cには、略円筒状の軸受ボス49が突設されている。軸受ボス49は、ウォーム減速機構41の出力軸48を回転自在に支持する。軸受ボス49の内周面には、図示しない滑り軸受が設けられている。軸受ボス49の先端内周縁には、図示しないOリングが装着されている。これにより、軸受ボス49を介して外部から内部に塵埃や水が侵入してしまうことが防止される。軸受ボス49の外周面には、複数のリブ52が設けられている。これにより、軸受ボス49の剛性が確保されている。
【0040】
ギア収容部42に収容されたウォーム減速機構41は、ウォーム軸44と、ウォーム軸44に噛合されるウォームホイール45と、により構成されている。ウォーム軸44は、モータ部2のシャフト31と同軸上に配置されている。そして、ウォーム軸44は、両端がギアケース40に設けられた軸受46,47によって回転自在に支持されている。ウォーム軸44のモータ部2側の端部は、軸受46を介してギアケース40の開口部43に至るまで突出している。この突出したウォーム軸44の端部とモータ部2のシャフト31との端部が接合され、ウォーム軸44とシャフト31とが一体化されている。なお、ウォーム軸44とシャフト31は、1つの母材からウォーム軸部分と回転軸部分とを成形することにより一体として形成してもよい。
【0041】
ウォーム軸44に噛合されるウォームホイール45には、このウォームホイール45の径方向の中央に出力軸48が設けられている。出力軸48は、ウォームホイール45の回転軸の方向と同軸上に配置されている。出力軸48は、ギアケース40の軸受ボス49を介してギアケース40の外部に突出している。出力軸48の突出した先端には、図示しない電装品と接続可能なスプライン48aが形成されている。
【0042】
また、ウォームホイール45の径方向の中央には、出力軸48が突出されている側とは反対側の面に、図示しないセンサマグネットが設けられている。このセンサマグネットは、ウォームホイール45の回転位置を検出する回転位置検出部60の一方を構成している。回転位置検出部60の他方を構成する磁気検出素子61は、ウォームホイール45のセンサマグネット側(ギアケース40の開口部40a側)でウォームホイール45と対向配置されているコントローラ部4に設けられている。
【0043】
(コントローラ部)
モータ部2の駆動制御を行うコントローラ部4は、磁気検出素子61が実装されたコントローラ基板62と、ギアケース40の開口部40aを閉塞するように設けられたカバー63と、を備えている。そして、コントローラ基板62が、ウォームホイール45のセンサマグネット側(ギアケース40の開口部40a側)に対向配置されている。
【0044】
コントローラ基板62は、いわゆるエポキシ基板に複数の図示しない導電性のパターンが形成されたものである。コントローラ基板62には、モータ部2のステータコア20から引き出されたコイル24の端末部が接続されているとともに、カバー63に設けられたコネクタの端子(何れも図示しない)が電気的に接続されている。また、コントローラ基板62には、磁気検出素子61の他に、コイル24に供給する電流を制御するFET(Field Effect Transistor:電界効果トランジスタ)等のスイッチング素子からなる図示しないパワーモジュールが実装されている。さらに、コントローラ基板62には、このコントローラ基板62に印加される電圧の平滑化を行う図示しないコンデンサ等が実装されている。
【0045】
このように構成されたコントローラ基板62を覆うカバー63は、樹脂により形成されている。また、カバー63は、若干外側に膨出するように形成されている。そして、カバー63の内面側は、コントローラ基板62等を収容するコントローラ収容部56とされている。
また、カバー63の外周部に、図示しないコネクタが一体成形されている。このコネクタは、図示しない外部電源から延びるコネクタと嵌着可能に形成されている。そして、図示しないコネクタの端子に、コントローラ基板62が電気的に接続されている。これにより、外部電源の電力がコントローラ基板62に供給される。
【0046】
ここで、コントローラ基板62は、コイル24に対し、進角通電と、電気角θが121°から180°の広角通電とを行う。また、コントローラ基板62は、コイル24に対し、5次高調波を重畳した駆動電流を印加する。
【0047】
さらに、カバー63の開口縁には、ギアケース40の側壁40bの端部と嵌め合わされる嵌合部81が突出形成されている。嵌合部81は、カバー63の開口縁に沿う2つの壁81a,81bにより構成されている。そして、これら2つの壁81a,81bの間に、ギアケース40の側壁40bの端部が挿入(嵌め合い)される。これにより、ギアケース40とカバー63との間にラビリンス部83が形成される。このラビリンス部83によって、ギアケース40とカバー63との間から塵埃や水が浸入してしまうことが防止される。なお、ギアケース40とカバー63との固定は、図示しないボルトを締結することにより行われる。
【0048】
(ワイパモータの動作)
次に、ワイパモータ1の動作について説明する。
ワイパモータ1において、コネクタ11を介してコントローラ基板62に供給された電力は、図示しないパワーモジュールを介してモータ部2の各コイル24に選択的に供給される。すると、各コイル24に流れる電流は、ステータ8(ティース22)に所定の鎖交磁束を形成する。この鎖交磁束は、ロータ9の永久磁石33により形成される有効磁束との間で磁気的な吸引力又は反発力(磁石トルク)を発生させる。
【0049】
また、ロータコア32の突極35は、突出方向をステータ8(ティース22)からの鎖交磁束が流れやすい方向とするとともに、鎖交磁束の磁路の磁気抵抗(リラクタンス)を小さくするように、ロータコア32を回転させるリラクタンストルクを発生させる。これらの永久磁石33によるトルク及びリラクタンストルクは、ロータ9を継続的に回転させる。
【0050】
ここで、ロータ9のロータコア32における突極35の先端面35bには、周方向の中央に、凹部35dが軸方向の全体に渡って形成されている。このため、突極35の先端面35bと、ステータ8のティース22(特に、鍔部102)との間の径方向の間隔が不均一になる。この結果、ロータ9の回転中に突極35がティース22間を通過する前後でティース22(特に、鍔部102)に生じる磁束密度の急激な変化が抑制され、ロータ9の急激なトルク変動及びトルクリップルの増大が抑制される。
【0051】
また、ロータ9は、従来のロータ109に対して永久磁石33の周方向のガタつきが小さい。ロータ9は、軸方向からみて、時計回りと反時計回りとの両回りで回転される。このように、ロータ9が両回りされる場合であってもロータコア32に対する永久磁石33の周方向の移動範囲が極力抑えられる。このため、例え永久磁石33の位置がずれてこの永久磁石33がロータコア32の突極35に衝突した場合であっても衝突音が極力低減される。
【0052】
ロータ9の回転は、シャフト31と一体化されているウォーム軸44に伝達され、さらにウォーム軸44に噛合されているウォームホイール45に伝達される。そして、ウォームホイール45の回転は、ウォームホイール45に連結されている出力軸48に伝達され、出力軸48は、所望の電装品(例えば、ワイパ)を駆動させる。
【0053】
また、コントローラ基板62に実装されている磁気検出素子61によって検出されたウォームホイール45の回転位置の検出信号は、図示しない外部機器に出力される。図示しない外部機器は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサによって所定のプログラムが実行されることにより機能するソフトウェア機能部である。ソフトウェア機能部は、CPUなどのプロセッサ、プログラムを格納するROM(Read Only Memory)、データを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)及びタイマーなどの電子回路を備えるECU(Electronic Control Unit)である。また、図示しない外部機器の少なくとも一部は、LSI(Large Scale Integration)などの集積回路であってもよい。
【0054】
図示しない外部機器は、ウォームホイール45の回転位置検出信号に基づいて、図示しないパワーモジュールのスイッチング素子等の切替えタイミングを制御し、モータ部2の駆動制御を行う。なお、パワーモジュールの駆動信号の出力及びモータ部2の駆動制御は、図示しない外部機器の代わりにコントローラ部4によって実行されてもよい。
【0055】
このように、本実施形態のロータ9において、ロータコア32の外周面32bにおける円弧中心C2は、外周面32bのうち、周方向で隣り合う突極35の間の周方向の中心が最も径方向の外側に突出するように、回転軸線C1から径方向の外側にずれて偏心されている。永久磁石33は、軸方向からみて略円弧状に形成され、かつ周方向の中央を中心として線対称に形成されている。また、永久磁石33の内周面33bにおける円弧中心C3は、ロータコア32の外周面32bにおける円弧中心C2と一致している。さらに、周方向で隣り合う突極35の互いに向かい合う突極側面35a同士のなす角度θ1と、永久磁石33の周方向の両側の磁石側面33a同士のなす角度θ2は、上記式(2)を満たすように設定されている。また、ロータコア32の外周面32bと突極35における径方向の最外側端との間の距離Lt、及び永久磁石33の内周面33bと磁石側面33aの径方向最外側端との間の距離Lmeは、上記式(3)を満たすように設定されている。このため、周方向で隣り合う突極35の間の幅よりも永久磁石33の周方向の幅を小さくした場合であっても(図5(b)における隙間S2参照)、突極35と永久磁石33とのガタ分で突極側面35aに磁石側面33aが面接触されることなく、突極35に磁石側面33aの径方向最外側だけが当接される。よって、永久磁石33の周方向の移動範囲を狭めることができ、作動音の悪化やロータ9のロータ特性の悪化を抑制できる。
【0056】
また、永久磁石33の内周面33bにおける円弧中心C3は、回転軸線C1から径方向の外側にずれて偏心されているので、従来の永久磁石133の内周面33bの位置(図5(b)における2点鎖線参照)よりも、本実施形態の永久磁石33の内周面33bの位置を径方向の外側にできる。この分、永久磁石33の内周面33b側の肉厚を従来と比較して切除でき、永久磁石33の径方向の肉厚を薄肉化できる。よって、永久磁石33の材料コストを低減できる。
【0057】
また、永久磁石33の外周面33cにおける円弧中心C4も回転軸線C1から径方向の外側にずれて偏心されている。永久磁石33の周方向中心における径方向の肉厚Lmは、上記式(3)を満たすように設定されている。このため、永久磁石33の材料コストを低減しつつ、永久磁石33の外周面33cを周方向中心が最も径方向の外側に突出するように形成することができ、ロータ特性を向上できる。
【0058】
また、永久磁石33の内周面33bの曲率半径Ri、及び外周面33cの曲率半径Roは、上記式(1)を満たすように設定されている。このため、永久磁石33の外周面33cを緩やかな円弧形状とし、この外周面33cに対して内周面33bをきつい円弧形状にできる。よって、永久磁石33の内周面33b側の肉厚を従来と比較して確実に切除できる。
また、ロータ9は、軸方向からみて、時計回りと反時計回りとの両回りで回転される。このように、ロータ9が両回りされる場合であってもロータコア32に対する永久磁石33の周方向の移動範囲が極力抑えられるので、例え永久磁石33の位置がずれてこの永久磁石33がロータコア32の突極35に衝突した場合であっても衝突音を極力低減できる。このため、ロータ9が両回りするモータ部2に、上記構成を好適に用いることができる。
【0059】
なお、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述の実施形態に種々の変更を加えたものを含む。
例えば、上述の実施形態では、ワイパモータ1を例に挙げたが、ワイパモータ1以外にも、車両に搭載される電装品(例えば、パワーウインドウ、サンルーフ、電動シート等)の駆動源となるものや、その他のさまざまな用途に、上記のワイパモータ1の構成を採用することができる。
【0060】
また、上述の実施形態では、永久磁石33の外周面33cにおける円弧中心C4も回転軸線C1から径方向の外側にずれて偏心されている場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、永久磁石33の外周面33cにおける円弧中心C4は偏心していなくてもよい。
【0061】
また、上述の実施形態では、ロータコア32の外周面32bと突極35における径方向の最外側端との間の距離Lt、永久磁石33の内周面33bと磁石側面33aの径方向の最外側端との間の距離Lme、及び永久磁石33の周方向の中心における径方向の肉厚Lmが上記式(3)を満たすように設定されている場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、少なくとも距離Lt,Lmeが、Lme<Ltを満たすように設定されていればよい。このように構成することで、突極35に磁石側面33aの径方向の最外側を確実に当接させることができる。
【0062】
また、上述の実施形態では、永久磁石33の外周面33cにおける円弧中心C4は、永久磁石33の内周面33bにおける円弧中心C3、及びロータコア32の外周面32bにおける円弧中心C2と一致している場合について説明した。しかしながら、永久磁石33の内周面33bの曲率半径Riと、外周面33cの曲率半径Roとが上記式(1)を満たしていればよく、内周面33bの円弧中心C3よりも外周面33cの円弧中心C4が径方向の外側にずれていてもよい。
【符号の説明】
【0063】
1…ワイパモータ、2…モータ部(モータ)、3…減速部、8…ステータ、9…ロータ、22…ティース、24…コイル、31…シャフト、32…ロータコア、32b…外周面、33…永久磁石、33a…磁石側面、33b…内周面(磁石内周面)、33c…外周面(磁石外周面)、33d…平行面(磁石平行面)、33e…丸面取り部、35…突極、35a…突極側面、35b…先端面(突極先端面)、35c1…第1丸面取り部、35c2…第2丸面取り部、35d…凹部、37…磁石カバー、C1…回転軸線、C2,C3,C4…円弧中心、Ri,Ro…曲率半径、S3…隙間、θ1,θ2…角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7