(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023068205
(43)【公開日】2023-05-16
(54)【発明の名称】薬剤仕分装置
(51)【国際特許分類】
A61J 3/00 20060101AFI20230509BHJP
【FI】
A61J3/00 310K
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023050574
(22)【出願日】2023-03-27
(62)【分割の表示】P 2021162927の分割
【原出願日】2018-04-12
(31)【優先権主張番号】P 2017080623
(32)【優先日】2017-04-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2018048554
(32)【優先日】2018-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】592246705
【氏名又は名称】株式会社湯山製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】天野 弘和
(72)【発明者】
【氏名】▲すぎ▼本 知大
(72)【発明者】
【氏名】吉川 泰行
(72)【発明者】
【氏名】松永 真季
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 弘治
(72)【発明者】
【氏名】樋口 優太
(57)【要約】
【課題】薬剤自体を認識し、自動的に仕分ける薬剤仕分装置を備える。
【解決手段】薬剤仕分装置(1)は、複数種類の薬剤を収容する第1収容部(11)と、薬剤を種類毎に仕分けられた状態で収容する第2収容部(14)と、第1収容部から取り出した薬剤の種類を判別する判別部(64)と、判別部による判別結果に基づき、薬剤を種類毎に第2収容部に収容する搬送・仕分ユニット(12)と、を備え、複数種類の薬剤は、容器に収容されていない薬剤、または包装が施されていない薬剤であり、かつ、患者に処方された後に返品された薬剤である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤仕分装置であって、
前記薬剤仕分装置に投入された複数種類の薬剤のそれぞれについて、その種類を判別する判別部と、
前記薬剤を種類毎に仕分けられた状態で収容する収容部と、
前記判別部による判別結果に基づき、前記薬剤を種類毎に前記収容部に収容する仕分部と、を備え、
前記仕分部は、薬剤を吸着する吸着機構と、前記吸着機構が吸着した前記薬剤が落下することを防止するシャッター機構とを含む、薬剤仕分装置。
【請求項2】
前記シャッター機構は、前記吸着機構の下側に設けられており、前記仕分部による前記薬剤の搬送中には閉状態であり、前記吸着機構が前記薬剤を吸着または解放するときに開状態となる、請求項1に記載の薬剤仕分装置。
【請求項3】
薬剤仕分装置であって、
前記薬剤仕分装置に投入された複数種類の薬剤のそれぞれについて、その種類を判別する判別部と、
前記薬剤を種類毎に仕分けられた状態で収容する収容部と、
前記判別部による判別結果に基づき、前記薬剤を種類毎に前記収容部に収容する仕分部と、を備え、
前記仕分部は、単一の平面上で移動して、前記薬剤に投入された領域から前記収容部へ前記薬剤を搬送する、薬剤仕分装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬剤を仕分ける薬剤仕分装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、返品された複数種類の薬剤は、薬剤師または医師の手により種類毎に仕分けられていた。返品される薬剤は、様々な患者に処方される、または処方された調剤後の薬剤である。そのため、1患者単位の処方箋情報に基づいて、調剤機器等に予め薬種単位でまとめられた薬種群(薬剤カセット)から、一服用時期単位毎に、(1種または複数種の)薬剤(錠剤)を取りまとめる(分包する)調剤業務に比べて、複数の患者に処方された薬剤がまとめて返品される薬剤の種類は非常に多い。そのため、返品された薬剤を自動的に仕分けて、再利用することの有用性は高い。なお、一服用時期用に調剤される薬剤は、一般に2~3種類程度であり、多くても10種類程度である。
【0003】
なお、仕分け業務にかかる時間、手間、または仕分け間違い(薬剤カセットへの戻し間違い)による誤投与のリスクを避けるため、返品された薬剤を、そのまま廃棄する薬局または病院(正確には院内薬剤部)も存在している。
【0004】
特許文献1には、返品されたアンプルまたはバイアルを自動的に認識して格納する薬剤仕分装置が開示されている。この薬剤仕分装置は、アンプルまたはバイアルの向き及び姿勢と、アンプルまたはバイアルの性状(例:形状、大きさ、種類及び使用期限)とを認識する。そして、認識されたアンプルまたはバイアルの大きさに応じて格納時に個々のアンプルまたはバイアルに設定される格納領域と、個々のアンプルまたはバイアルの識別情報とを関連付けて、アンプルまたはバイアルを個別に配置し、それによって個別のアンプルまたはバイアルを取り出し可能に格納する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2015/170761号(2015年11月12日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1での返品対象は、アンプルまたはバイアルであり、錠剤またはカプセル等の、容器等に収容されていない薬剤、または包装等が施されていない薬剤自体ではない。そのため、特許文献1では、このような薬剤(例:錠剤またはカプセル)そのものを識別し、自動的に仕分けることについてまでは想定されていない。
【0007】
本発明の一態様は、薬剤自体を認識し、自動的に仕分けることが可能な薬剤仕分装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る薬剤仕分装置は、前記薬剤仕分装置に投入された複数種類の薬剤のそれぞれについて、その種類を判別する判別部と、前記薬剤を種類毎に仕分けられた状態で収容する収容部と、前記判別部による判別結果に基づき、前記薬剤を種類毎に前記収容部に収容する仕分部と、を備え、前記仕分部は、薬剤を吸着する吸着機構と、前記吸着機構が吸着した前記薬剤が落下することを防止するシャッター機構とを含む。
【0009】
また、本発明の一態様に係る薬剤仕分装置は、前記薬剤仕分装置に投入された複数種類の薬剤のそれぞれについて、その種類を判別する判別部と、前記薬剤を種類毎に仕分けられた状態で収容する収容部と、前記判別部による判別結果に基づき、前記薬剤を種類毎に前記収容部に収容する仕分部と、を備え、前記仕分部は、単一の平面上で移動して、前記薬剤に投入された領域から前記収容部へ前記薬剤を搬送する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一態様に係る薬剤仕分装置によれば、薬剤自体を認識し、自動的に仕分けることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施形態に係る薬剤仕分装置の全体構成を示すブロック図である。
【
図2】上記薬剤仕分装置の全体構成を示す斜視図である。
【
図3】上記薬剤仕分装置が備える薬剤仕分領域の基本構成を示す斜視図である。
【
図4】(a)は、上記薬剤仕分装置が備える第1収容部の底部に設けられるシートの一例を示す図であり、(b)~(d)は撮像されたシートの画像解析処理を説明するための図である。
【
図5】(a)および(b)は、上記薬剤仕分装置が備える吸着機構が備える制御弁の一例を示す模式的な図である。
【
図6】(a)および(b)は、上記薬剤仕分装置が備える撮像ユニットの全体構成を示す斜視図である。
【
図7】上記撮像ユニットの内部の構成を模式的に示す図である。
【
図8】(a)および(b)は、上記撮像ユニットの旋回について説明するための図である。
【
図9】(a)および(b)は、上記薬剤仕分ユニットが備える仕分カップへの仕分処理を説明するための図である。
【
図10】上記薬剤仕分装置が備える第2RFIDリーダ・ライタユニットの配置を示す斜視図である。
【
図11】画像表示の一例を示す図であり、(a)は薬剤仕分処理中の表示例であり、(b)は指定された仕分カップに対応する画像データの表示例である。
【
図13】文字認識処理の一例を説明するための図である。
【
図14】撮像位置の特定処理の一例を説明するための図である。
【
図15】(a)~(c)は、吸着位置の特定処理の一例を説明するための図である。
【
図16】(a)~(d)は、薬剤吸着範囲の特定処理の一例を説明するための図である。
【
図17】(a)及び(b)は、薬剤及び仕分カップの指定処理の一例を説明するための図である。
【
図18】搬送・仕分ユニットが備える吸着機構の一例を示す模式的な図である。
【
図19】(a)~(d)は、薬剤載置台に載置された薬剤の個数判定の一例について説明するための図であり、第1カメラが撮像した画像である。
【
図20】薬剤仕分から薬剤返却までの処理の流れの一例を示す図である。
【
図21】鑑査画像の表示方法の一例を示す図である。
【
図22】(a)及び(b)は、鑑査画像の表示方法の一例を示す図である。
【
図23】(a)及び(b)は、目視鑑査完了後の返却方法の一例を示す図である。
【
図24】目視鑑査完了後の返却方法の一例を示す図である。
【
図26】(a)は仕分画像の一例を示す図であり、(b)は仕分けた薬剤に係る情報を示す仕分薬剤一覧画像の一例を示す図である。
【
図27】(a)~(c)は、仕分画像に対するユーザ入力を受付けたときに表示される画像の一例を示す図である。
【
図28】(a)~(c)は、鑑査画像の一例を示す図である。
【
図29】(a)~(c)は、鑑査画像の別例を示す図である。
【
図30】薬剤仕分装置により仕分けられた薬剤の集計業務に係る表示画像例を示す図である。
【
図31】(a)~(d)は、集計結果がジャーナルにより出力されるときの出力例を示す図である。
【
図32】(a)は、仕分カップの具体的な構成の一例を示す図であり、(b)~(d)は、仕分カップの変形例を示す図である。
【
図34】(a)~(c)は、仕分カップの更なる変形例を示す図である。
【
図35】(a)~(h)は、仕分カップの更なる変形例を示す図である。
【
図36】(a)~(d)は、記号特定情報の生成方法の一例を説明するための図であり、(a)は、記号登録情報の生成対象となる薬剤の画像の一例を示す図であり、(b)~(d)は、記号特定情報を取得するときの薬剤の画像の一例を示す図である。
【
図37】薬剤吸着方法の一例を説明するための図であり、(a)は、吸着機構を移動させながら比較的小さな薬剤を吸着したときの様子を説明する図であり、(b)及び(c)は、薬剤の大きさによって吸着方法を変更したときの、薬剤が吸着される様子を説明するための図である。
【
図38】(a)~(c)は、吸着位置の特定処理を説明するための図である。
【
図39】薬剤仕分装置の別構成例を示す図であり、(a)は当該薬剤仕分装置の斜視図であり、(b)は、当該薬剤仕分装置が備える薬剤仕分領域の基本構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の一実施態様について、
図1~
図12を用いて以下に詳細に説明する。
【0013】
〔薬剤仕分装置1の概要〕
まず、薬剤仕分装置1の概要について
図1および
図2を用いて説明する。
図1は、薬剤仕分装置1の全体構成を示すブロック図である。
図2は、薬剤仕分装置1の全体構成を示す斜視図である。
図1および
図2に示すように、薬剤仕分装置1は、薬剤仕分領域2、タッチパネル3、印刷出力部4、第1RFID(Radio Frequency Identifier)リーダ・ライタユニット5、および分包機構6を備える。
【0014】
薬剤仕分装置1は、複数種類の薬剤のそれぞれについて撮像し、撮像の結果得られた画像に基づき薬剤の種類を判別し、種類毎に薬剤を仕分ける。具体的には、薬剤仕分領域2においてこの処理が行われる。薬剤仕分領域2(薬剤仕分装置1の内部構成)については後述する。なお、種類毎に仕分けられた薬剤は、ユーザによる目視鑑査が行われた後、分包されたり、薬剤棚へと返却されたりする。
【0015】
本実施形態では、複数種類の薬剤は、容器等に収容されていない薬剤、または包装等が施されていない薬剤であり、その一例として、錠剤またはカプセルであるものとして説明する。また、複数種類の薬剤が返品された薬剤であるものとして説明する。薬剤の返品としては、薬局または病院における採用薬が当該薬局または病院にて「返品薬」として返品される場合と、当該薬局または病院において、当該採用薬以外に、他の薬局または病院で発行された薬剤も含み得る「持参薬」が返品される場合とが含まれる。換言すれば、返品される薬剤という概念には、上記「返品薬」および「持参薬」の少なくともいずれかが含まれる。薬剤仕分装置1は、薬剤が返品された後、撮像から仕分までの処理を自動的に行うことが可能である。
【0016】
タッチパネル3は、操作部31にて各種ユーザ入力を受け付けるとともに、表示部32にて各種画像(例:薬剤仕分の推移を示す画像、目視鑑査用の画像)を表示する。
【0017】
印刷出力部4は、目視鑑査後のユーザ入力に従って、目視鑑査後の薬剤に関する薬剤データ(例:薬剤名、製造元または成分を示すデータ)を表すジャーナルを印字する。薬剤データには、薬剤固有の画像を示す画像データが含まれていてもよい。
【0018】
第1RFIDリーダ・ライタユニット5は、第2収容部14の各仕分カップ141の底部に設けられたRFIDタグ(不図示)に記憶された、各仕分カップ141に格納された薬剤に関するデータ(例:格納された薬剤の個数、薬剤データ、および撮像ユニット13が取得した画像データ)を読取る。当該データは、目視鑑査によって決定された薬剤データ(目視鑑査後の薬剤データ)を含んでもよい。また、上記RFIDタグに目視鑑査後の薬剤データを書込んでもよい。目視鑑査後の薬剤データは、対応する仕分カップ141に格納された薬剤を、(1)分包機構6、もしくは薬剤仕分装置1とは異なる分包機で分包する時、または(2)薬剤棚へ返却する時に用いられる。
【0019】
分包機構6は仕分けられた薬剤を分包する。分包機構6はオプション機構である。分包機構6が薬剤仕分装置1に備えられる場合、返品された薬剤の仕分から、目視鑑査を経た後の分包までの処理を、薬剤仕分装置1で一括して行うことが可能となる。特に、搬送・仕分ユニット12により分包機構6へ薬剤が投入される場合には、目視鑑査を除き、上記仕分から分包までの処理を自動で行うことができる。
【0020】
分包機構6としては、従来から用いられている錠剤分包機または散薬分包機の分包部を採用することが可能である。この場合、例えば、同一薬種毎に仕分けられた仕分カップ141内の薬剤を、一包または複数包に分包することができる。なお、分包処理時に、分包機構6に設けられた印刷機構により、仕分カップ141のRFIDタグに記憶された、仕分カップ141内の薬剤の薬剤名が分包紙に印刷される。また、当該薬剤の薬剤名情報を含むバーコードが各包に印刷される。これらの印刷は、薬剤棚への返却時、または、錠剤分包機への返却時等に活用される。
【0021】
〔薬剤仕分領域2の基本構成〕
次に、
図1および
図3を用いて、薬剤仕分領域2の基本構成(薬剤仕分装置1の内部構成)について説明する。
図3は、薬剤仕分領域2の基本構成を示す斜視図である。
【0022】
図1および
図3に示すように、薬剤仕分領域2は、ハードウェアとして主に、第1収容部11、搬送・仕分ユニット12(仕分部)、撮像ユニット13、第2収容部14、待機トレイ15、回収トレイ16、薬剤投入口17および第2RFIDリーダ・ライタユニット18を備える。そして、搬送・仕分ユニット12を除く各部材は台座19に設けられている。搬送・仕分ユニット12、撮像ユニット13、および第2RFIDリーダ・ライタユニット18の主要機能については、後述の各処理の説明において詳細に説明する。
【0023】
第1収容部11は、ユーザによって返品された複数種類の薬剤を混在した状態で収容する。本実施例では、第1収容部11は、複数の収容部に分割されている。この場合、例えば、1つの収容部に収容された薬剤の全てが搬送・仕分ユニット12によって搬送されると、当該収容部に隣接する収容部に収容された薬剤が搬送対象となる。また、第1収容部11がZ軸(円柱形状の中心)に対して回動可能に設けられてもよい。この場合、コンピュータ60の制御部(以降、単に制御部と称する)は、例えば1つの収容部が空になったタイミングで、搬送・仕分ユニット12が薬剤を取得しやすいように第1収容部11を回動させてもよい。
【0024】
第1収容部11の形状は円柱形状である。この形状により、収容容量の増大化を図ることができる。この点を考慮しなければ、円柱形状に限らず、複数種類の薬剤が収容できる形状であればよい。また、第1収容部11の底部にドット形状の図柄または凹凸が設けられてもよい。この場合、制御部は、第2カメラ121によって撮像された画像を解析することにより、第1収容部11が空になったことを特定できる。
【0025】
上記ドット形状が図柄で表現される場合、例えば、検出対象の薬剤よりも十分に小さい黒点を等間隔に印字したシート(
図4の(a)参照)により実現される。シートは白地で、黒点の間隔は黒点の大きさと同程度とする。また、凹凸で表現される場合には、検出対象の薬剤よりも十分に小さい凹または凸が等間隔に設けられたシートにより実現される。黒点または凹凸は、シートの代わりに、第1収容部11の底部に直接設けられてもよい。また、仕分カップ141の底部にも同様の図柄または凹凸が設けられてもよい。
【0026】
第2収容部14は、薬剤を種類毎に仕分けられた状態で収容する複数の仕分カップ141を備える。制御部は、撮像ユニット13で撮像された薬剤の画像に基づき薬剤の種類を判別し、その判別結果に基づき当該薬剤を格納する仕分カップ141を決定する。当該薬剤は、その決定された仕分カップ141に搬送・仕分ユニット12により搬送され、格納される。
【0027】
待機トレイ15は、仕分カップ141の全てに薬剤が格納されている場合に、制御部により、それら以外の種類が判別された薬剤を仮置きしておく収容部である。仕分カップ141から薬剤が取り除かれた後、待機トレイ15から当該仕分カップ141に搬送されてもよい。
【0028】
回収トレイ16は、制御部により種類が判別できなかった物(例:薬剤以外の異物)を格納する収容部である。薬剤以外の異物としては、例えば、PTP(Press Through Pack)シートの破片が挙げられる。PTPシートの破片は、薬剤の返品時に第1収容部11に混入する可能性がある。
【0029】
薬剤投入口17は、薬剤仕分装置1に分包機構6が備えられている場合に、第2収容部14に格納された薬剤を、搬送・仕分ユニット12により分包機構6へ搬送するためのものである。当然ながら、薬剤仕分装置1に分包機構6が備えられていない場合には、薬剤投入口17は不要な構成である。
【0030】
また、
図1に示すように、薬剤仕分装置1の上記各部材(ハードウェア)を統括して制御するコンピュータ60を備える。コンピュータ60は、制御部(ソフトウェア)として主に、搬送制御部61、仕分制御部62、撮像制御部63、判別部64、画像分類部65、操作入力部66、表示制御部67、RFID制御部68、および印刷出力制御部69を備える。搬送制御部61、仕分制御部62、撮像制御部63、判別部64、および画像分類部65については、後述の各処理の説明において詳細に説明する。
【0031】
操作入力部66および表示制御部67は、それぞれタッチパネル3の操作部31および表示部32を制御する。RFID制御部68は、第1RFIDリーダ・ライタユニット5および第2RFIDリーダ・ライタユニット18を制御する。印刷出力制御部69は、操作入力部66が受け付けたユーザ入力に従って、印刷出力部4を制御する。なお、薬剤仕分装置1が分包機構6を備える場合には、コンピュータ60は、制御部として、分包機構6を制御する分包制御部を備えることとなる。
【0032】
また、コンピュータ60は記憶部80を備える。記憶部80は、例えば、複数種類の薬剤に関する薬剤データを管理する薬剤データベース(薬剤マスタ)と、第1カメラ131が撮像した画像データとを記憶する。また、記憶部80は、判別部64の判別結果と、仕分制御部62が決定した薬剤の仕分位置とを紐付けたデータを記憶する。このデータは、仕分開始から仕分完了までの、薬剤と仕分位置とを紐付けた仕分状況データともいえる。
【0033】
なお、薬剤データベース、画像データおよび仕分状況データは、記憶部80にて管理されていなくてもよく、例えば外部装置で管理されてもよい。この場合、制御部は、薬剤データベース、画像データおよび仕分状況データを、必要に応じて、インターネット等の通信回線を通じて当該外部装置から取得してもよい。また、薬剤データベースは、新たな薬剤データが追加されることにより、更新されてもよい。
【0034】
〔薬剤仕分装置1における処理の概要〕
薬剤仕分装置1では、搬送・仕分ユニット12が、第1収容部11に返品された各薬剤を撮像ユニット13まで搬送する。搬送された各薬剤を順次撮像ユニット13が撮像し、制御部は、撮像された画像に基づき各薬剤の種類を判別するとともに、判別した各薬剤の第2収容部14における仕分位置を決定する。搬送・仕分ユニット12は、決定された仕分位置に各薬剤を搬送する。そして、第2収容部14に格納された薬剤についての情報は、仕分カップ141のRFIDタグに書き込まれたり、記憶部80に記憶されたり、タッチパネル3に表示されたりする。また、薬剤の仕分が完了した後、または仕分の途中において、ユーザがタッチパネル3を操作することで、目視鑑査、分包等の処理が行われる。以降、各処理について具体的に説明する。
【0035】
〔撮像ユニット13への薬剤搬送処理〕
まず、第1収容部11から撮像ユニット13への薬剤搬送処理について、
図1、
図3~
図5を用いて説明する。
図4の(a)は、第1収容部11の底部に設けられるシートの一例を示す図であり、
図4の(b)~(d)は撮像されたシートの画像解析処理を説明するための図である。
図5の(a)および(b)は、吸着機構が備える制御弁の一例を示す模式的な図である。上記薬剤搬送処理は、主として、搬送・仕分ユニット12および搬送制御部61により行われる。
【0036】
具体的には、搬送・仕分ユニット12は、第1収容部11に収容された薬剤を、撮像ユニット13が薬剤を受け入れる受入領域Ar1(
図6の(b)参照)まで搬送させる。搬送制御部61は、搬送・仕分ユニット12による当該搬送処理を制御する。
【0037】
搬送・仕分ユニット12は、第2カメラ121、吸着・シャッター機構122、および搬送機構123を備える。
【0038】
第2カメラ121は、搬送対象とする薬剤を特定するために、第1収容部11を逐次撮像する。撮像制御部63は、第2カメラ121の撮像処理を制御する。第2カメラ121は、搬送・仕分ユニット12の(具体的には、少なくとも吸着・シャッター機構122を含む筐体の)、台座19と対向する側の端部に設けられる。第2カメラ121は、後述の吸着機構の先端部に設けられてもよい。撮像制御部63は、撮像された画像を解析して、当該画像に薬剤が含まれるか否かを判定する。搬送制御部61は、薬剤が含まれると判定された場合には、例えば、上記先端部を第1収容部11に近づけ、そのとき撮像された画像に含まれる薬剤を搬送対象の薬剤として特定する。
【0039】
より具体的には、第2カメラ121は、第1収容部11に含まれる複数の収容部のうちの1つの収容部全体を撮像する。撮像制御部63は、当該収容部を含む画像を、明暗の差を元に二値化処理した明度画像に変換し、当該明度画像における明暗の境界を元に、複数の薬剤からなる塊の輪郭およびその領域を特定する(薬剤領域特定方法1)。撮像制御部63は、特定した領域のうち、最も明るい部分を含む領域に対応する収容部内の位置に上記先端部を近づけていくことで、当該収容部内に含まれる1つの薬剤を吸着する。
【0040】
第2カメラ121の近傍には可視光源(不図示)が設けられており、第2カメラ121の撮像時には、収容部の上方(+Z軸方向)から可視光が照射される。そのため、明度画像において最も明るい部分が、収容部において最も上記先端部に近いと判断できる。それゆえ、最も明るい部分を含む領域に向けて上記先端部を近づけることで、上記先端部に最も近い薬剤から取得していくことが可能となる。なお、明度画像は、撮像した薬剤の画像について、画像の属性である色相、彩度および明度のうちのいずれかを変換した画像であればよい。
【0041】
また、撮像制御部63は、
図4の(b)~(d)に示すように画像解析を行うことにより、第1収容部11に含まれる薬剤の位置を特定してもよい(薬剤領域特定方法2)。なお、第1収容部11の底部には、検出対象の薬剤よりも十分に小さい黒点が等間隔に印字されているものとする。
【0042】
具体的には、撮像制御部63は、
図4の(b)に示すように、第1収容部11の1つの収容部に収容された複数の薬剤を含む画像を明度画像に変換し、平坦化処理を実行することにより、
図4の(c)に示す平坦化画像を生成する。撮像制御部63は、明度画像の階調値と平坦化画像の階調値との差分を求め、所定値よりも差分が小さい領域を、画像に含まれる薬剤の領域であると判断する。
図4の(d)は、上記差分を求めた後の差分画像である。
【0043】
図4の(c)および(d)に示すように、差分画像において薬剤の無い領域は、薬剤が存在する領域に比べ、上記階調値の差が大きくなっている。そのため、撮像制御部63は、上記差分が小さい領域を薬剤の領域として特定できる。
【0044】
一般に、薬剤を吸着して搬送する機構において、搬送対象となる薬剤の位置特定においては、当該薬剤を収容する収容部の下方から可視光を出射するバックライト(透過照明)が設けられ、薬剤と背景との明度等の差分を求めることが多い。しかし、当該機構を備える装置の大きさもしくはコストの制約、または装置の運用方法等により、バックライトを設けることができない場合もある。また、薬剤と背景との色が類似している場合には、上記位置特定の精度が低下する。
【0045】
上述した薬剤領域特定方法2によれば、バックライト(透過照明)を備えることなく、精度良く上記位置特定を行うことができる。第1収容部11の底部に上記黒点が設けられていれば、上述した薬剤領域特定方法1によっても同様の効果を奏することができる。
【0046】
吸着・シャッター機構122は、搬送対象として特定された薬剤を吸着する吸着機構と、吸着機構が吸着した薬剤が落下することを防止するシャッター機構とを含む。吸着機構はZ軸方向に移動可能に設けられる。シャッター機構は上記端部の前方に、XY平面と略平行に移動可能に設けられる。
【0047】
吸着機構は、薬剤取得時に、上記端部から延伸して、その先端部において、特定された薬剤を吸着した後、上記端部の位置まで戻る。この状態において、搬送制御部61は、上記端部と対向する位置にシャッター機構を移動させ、薬剤搬送中、シャッター機構の位置を維持する(閉状態とする)。搬送制御部61は、受入領域Ar1に配置された薬剤保持機構133の薬剤載置台133a(
図6の(b)参照)と対向する位置まで吸着・シャッター機構122を移動させると、シャッター機構を上記端部と対向しない位置に移動させる(開状態とする)。そして、吸着機構を上記端部から延伸させた後、吸着状態を解除することにより、薬剤載置台133aに薬剤を載置する。
【0048】
換言すれば、吸着機構は、撮像ユニット13への薬剤搬送処理時においては、第1収容部11と対向する位置において第1収容部11へと移動し(換言すれば、第1収容部11の上方から第1収容部11の内部へと移動し)、第1収容部11に収容されている薬剤を吸着する。
【0049】
吸着機構は、例えば、
図5に示すような構成を有する。
図5に示すように、その先端部に、搬送対象の薬剤に接触する吸着パッド122aを備えている。吸着パッド122aは、空気が流れる空気管122bを介して、真空を発生させる(空気を吸引する)真空ポンプ122dに接続されている。
【0050】
図5の(a)では、空気管122bの途中に、空気管122bに流れる空気の流量を制御する比例制御電磁弁122cが設けられている。一方、
図5の(b)では、比例制御電磁弁122cの代わりに、電磁弁122pおよび流量制御弁122q・122rが設けられている。具体的には、
図5の(b)の例では、空気管122bの途中に、流量制御弁122qが設けられている。また、空気管122bから分岐した分岐空気管122b’に、空気管122bに近い順から、流量制御弁122q・122rを制御する電磁弁122pと、分岐空気管122b’に流れる空気の流量を制御する流量制御弁122rとが設けられている。
図5の(a)では比例制御電磁弁122cにより、
図5の(b)では電磁弁122pおよび流量制御弁122q・122rにより、空気管122bを流れる空気の流量を制御でき、吸着パッド122aにおける薬剤を吸着するための吸引力(吸着圧力)を調整できる。なお、
図5の(b)は、電磁弁122pがオフ状態の場合を示している。
【0051】
ここで、吸着パッド122aで薬剤を吸着する場合には、空気の流量を上げて比較的強い吸引力を発生させる必要がある。なお、吸着パッド122aで複数の薬剤を同時に吸着した場合には、空気の流量を上げても吸引力が所定値よりも上がらないことを検出し、再度薬剤の吸着を試みる必要がある。また、吸着して搬送している間は、吸着パッド122aに薬剤が完全に密着していなくても薬剤を保持できるように、空気の流量を上げて比較的強い吸引力を維持する必要がある。このように、吸着時において、吸引力を変更するために空気の流量を制御する必要があるが、それほど複雑に制御する必要は無い。
【0052】
図5の(b)の場合、電磁弁122pを用いて流量制御弁122q・122rを制御することにより、空気管122bを流れる空気の流量について、「強」および「弱」の2つの流量のいずれかに切り替える。具体的には、電磁弁122pをオンすることにより当該空気の流量を小さくし、電磁弁122pをオフすることにより当該空気の流量を大きくする。この場合、
図5の(a)の比例制御電磁弁122cの場合よりも空気の流量制御を簡素化することができる。なお、これらの吸着機構の制御は、搬送制御部61および仕分制御部62により行われる。
【0053】
また、搬送制御部61(薬剤仕分時には仕分制御部62)は、吸着パッド122aに薬剤を密着させてから、上記先端部を上方に引き上げる(薬剤を持ち上げる)までの時間を、薬剤の種類により変更してもよい。
【0054】
この場合、搬送制御部61は、例えば、第2カメラ121で撮像した薬剤の画像を解析することで、薬剤の大きさまたは形状が、吸着パッド122aの大きさと比較して密着しにくい大きさまたは形状であるか否かを判定する。搬送制御部61は、密着しにくい薬剤の大きさまたは形状であると判定した場合には、密着しやすい薬剤と判定した場合よりも、上記先端部の引き上げまでの時間を所定時間だけ延ばす。密着しにくい薬剤を吸着後すぐに引き上げた場合、吸引力が引き上げに十分な規定値に達していたとしても、吸着パッド122aへの吸着が十分ではなく落下してしまう可能性がある。上記先端部の引き上げまでの時間を所定時間だけ延ばすことで、薬剤を十分に吸着パッド122aに密着させることができ、引き上げ時の薬剤の落下を防止できる。
【0055】
なお、第1収容部11における吸着時には、搬送制御部61は、画像における薬剤に適当に色づけをしておき、画像における色づけされた部分の面積と、設定した面積の大きさの値とを比較することにより、薬剤の大きさを判断する。
【0056】
搬送機構123は、搬送制御部61の制御を受けて、X軸およびY軸方向に吸着・シャッター機構122を移動させる。この搬送機構123により、第1収容部11上での搬送対象となる薬剤の探索時の吸着・シャッター機構122の動き、または第1収容部11から薬剤載置台133aまでの薬剤搬送が可能となる。また、後述の薬剤仕分処理においても、薬剤載置台133aから第2収容部14への薬剤搬送が可能となる。
【0057】
なお、搬送・仕分ユニット12は、上記吸着機構の先端部に、当該先端部から薬剤までの距離(Z軸方向の距離)を検出(測定)する測距センサを備えてもよい。また、吸着機構による吸引力を検出する圧力センサ(センサ)を備えてもよい。
【0058】
測距センサによりZ軸方向の距離を測定することで、搬送制御部61は、第1収容部11に対する第2カメラ121の位置、および第1収容部11における薬剤の積み上がり状態に依らず、薬剤の正確な位置を特定できる。
【0059】
測距センサは、測定対象までの距離を、撮像された画像の面積の平均に基づき測定してもよい。この場合、搬送制御部61は、測距センサが取得した当該面積の平均に基づく測定対象までの距離(平均高さ)の範囲で上記先端部を降下させる。圧力センサを備える場合には、後述の処理により、第1収容部11に収容された薬剤に対して上記先端部が行き過ぎないように降下させることが可能となる。
【0060】
また、測距センサは、第1収容部11において積み上げられることにより形成される薬剤の山の頂上付近までの距離を測定してもよい。この場合、搬送制御部61は、当該距離に基づき、上記頂上の手前まで一気に上記先端部を降下させることができる。
【0061】
また、上記先端部の前方に対象物が存在するか否かにより、圧力センサが検出する吸引力は変化する。圧力センサを備える場合、搬送制御部61は、当該吸引力の変化に基づき上記先端部が薬剤に近づいているか否かを判定し、当該判定結果に基づき吸着機構のZ軸方向の移動を制御する。例えば、上記先端部が薬剤に近づいて吸引力が変化した場合に、吸着機構のZ軸方向への移動速度を小さくすることで、薬剤の吸着時に、上記先端部が薬剤に衝突して、第1収容部11に積み上げられた薬剤を崩してしまうことを防止できる。
【0062】
また例えば、圧力センサに設定される閾値を2段階に設定してもよい。閾値が1つの場合には、搬送制御部61(薬剤仕分時には仕分制御部62)は、吸引力が当該閾値以上となった場合に、上記先端部が吸着できる位置にあると判定する。しかし、上記先端部の上記移動速度は速いため、上記判定後に移動速度を小さくして停止させても、上記先端部が薬剤に衝突して第1収容部11に積み上げられた薬剤を崩してしまう可能性がある。
【0063】
そこで、圧力センサに設定される閾値として、上記先端部の近傍に薬剤等の吸着対象物が存在するか否かを判定するための第1閾値と、薬剤が上記先端部に吸着したと判定するための第2閾値とを設定する。第1閾値は第2閾値よりも低い値で、かつ上記1つの場合の閾値よりも低い値である。これらの2つの閾値は実験等を経て予め設定されている。上記先端部が降下し、当該先端部の所定範囲内(薬剤を吸着できる範囲内)に薬剤が入った場合には、吸引力にわずかな変化が生じる(吸引力はわずかに大きくなる)。第1閾値は、このときの変化後の吸引力を検出できるように設定される。一方、薬剤の吸着時には、当該変化後の吸引力よりも大きい吸引力が生じる。第2閾値は、この吸着時の大きな吸引力を検出できるように設定される。
【0064】
搬送制御部61は、上記先端部を降下させるとともに、真空ポンプ122dによる吸引を開始する。搬送制御部61は、圧力センサが検出した吸引力が第1閾値以上になったと判定した場合に、薬剤を吸着できる位置まで上記先端部が薬剤に近づいたと判定し、上記先端部を停止する。その後、搬送制御部61は、上記先端部に最も近い薬剤が自然に吸着してくるのを所定時間待機する。上記先端部に薬剤が吸着した場合には、さらに吸引力は大きくなり、変化後の吸引力は第2閾値以上となる。搬送制御部61は、変化後の吸引力が第2閾値以上となったと判定した場合に、上記先端部が薬剤を吸着したと判定し、上記先端部を上昇させ、薬剤を次の搬送先へと搬送する。
【0065】
一方、搬送制御部61は、上記先端部を停止させてから所定時間以内に第2閾値以上になったと判定できない場合には、例えば、一旦上記先端部を上昇させた後、再度、当該先端部を降下させることにより、薬剤の吸着処理をリトライしてもよい。また、搬送制御部61は、当該場合には、停止した位置から所定距離(薬剤の山を押し潰さない程度の距離、例えば数mm程度)降下させ、吸引力が第2閾値以上となるか否かを判定してもよい。換言すれば、薬剤を上記先端部に吸着させるように、当該先端部を少しだけ降下させてもよい。
【0066】
このように2段階の閾値(特に第1閾値)を設定することで、薬剤の吸着時に、上記先端部により、第1収容部11に積み上げられた薬剤を崩してしまうことを確実に防止できる。
【0067】
なお、搬送制御部61は、最初に上記先端部を降下させる場合、当該先端部を、所定距離だけ(例:当該先端部が第1収容部11の内部に入り込まない位置まで)所定速度で降下させた後、減速させてもよい。そして、搬送制御部61は、減速後、吸引力が第1閾値または第2閾値以上となるまで上記先端部を降下させてもよい。上記最初に降下させるとは、少なくとも吸着・シャッター機構122を含む筐体の、台座19と対向する側の端部から、上記先端部を降下させる場合を意味する。なお、搬送制御部61は、吸引力が一気に第2閾値以上となった場合には、そのまま搬送処理に移行する。
【0068】
〔薬剤撮像処理〕
次に、撮像ユニット13による薬剤撮像処理について、
図1、
図3および
図6~8を用いて説明する。
図6の(a)および(b)は、撮像ユニット13の全体構成を示す斜視図である。
図7は、撮像ユニット13の内部の構成を模式的に示す図である。
図8の(a)および(b)は、撮像ユニット13の旋回について説明するための図である。上記薬剤撮像処理は、主として、撮像ユニット13および撮像制御部63により行われる。
【0069】
具体的には、撮像ユニット13は、薬剤載置台133aに載置され、
図6の(b)および
図7に示す撮像対象となる薬剤を配置する配置領域Ar2に配置された薬剤を撮像する。撮像制御部63は、撮像ユニット13による当該撮像処理と、第1カメラ131および照明器134の旋回移動と、薬剤保持機構133の移動とを制御する。撮像ユニット13は、
図1および
図6に示すように、第1カメラ131(撮像部)、回転機構132(回動部)、薬剤保持機構133(薬剤載置台、移動機構)、および照明器134(紫外光照射部、可視光照射部)を備える。
【0070】
第1カメラ131は、後述の判別部64において薬剤の種類を判別するために、第1カメラ131と対向する配置領域Ar2に配置された薬剤を撮像する。薬剤保持機構133は、薬剤を保持する機構であり、
図6の(a)および(b)に示すように、薬剤載置台(シャーレ)133aと、旋回機構133b(移動機構)と、薬剤載置台133aおよび旋回機構133bを接続する軸部133cとを備える。薬剤載置台133aは、撮像対象となる薬剤を載置するものである。旋回機構133bは、薬剤載置台133aを移動させるものであり、具体的には、薬剤載置台133aをXY平面に対して旋回させるとともに、軸部133cを、軸部133cの周方向に旋回させる。
【0071】
撮像制御部63は、薬剤載置台133aに第1収容部11から搬送された薬剤が載置されると、旋回機構133bを駆動し、当該薬剤載置台133aを受入領域Ar1から配置領域Ar2へと移動させる。その後、少なくとも第1カメラ131および照明器134を制御して、配置領域Ar2に配置された薬剤を撮像する。撮像した画像は記憶部80に画像データとして記憶する。撮像制御部63は、例えば撮像が完了した後に、旋回機構133bを駆動し、撮像された薬剤が載置された薬剤載置台133aを配置領域Ar2から受入領域Ar1へと移動させる。
【0072】
換言すれば、旋回機構133bは、撮像制御部63の制御を受けて、薬剤載置台133aを、薬剤が載置される受入領域Ar1(載置領域)から、配置領域Ar2へと移動させる。また、旋回機構133bは、薬剤載置台133aを、配置領域Ar2から、第2収容部14への仕分けを待機するために、再び受入領域Ar1(仕分待機領域)へと移動させる。本実施形態では、薬剤が載置される載置領域と、仕分を待機する仕分待機領域との機能を受入領域Ar1が兼用しているが、載置領域および仕分待機領域は、それぞれ台座19の別の位置に配置されてもよい。
【0073】
本実施形態では、薬剤載置台133aは軸部133cの先端部(端部)に2つ設けられている。旋回機構133bは、軸部133cを旋回させることにより、一方の薬剤載置台133aを配置領域Ar2に配置したとき、他方の薬剤載置台133aを受入領域Ar1に配置する。配置領域Ar2での薬剤撮像時に、搬送・仕分ユニット12により、受入領域Ar1に存在する薬剤載置台133aに、第1収容部11から薬剤を搬送しておくことで、連続的な薬剤の撮像処理が可能となる。なお、当該薬剤載置台133aは、第2収容部14への薬剤仕分処理後等、薬剤が載置されていない状態であることが前提である。
【0074】
また、本実施形態では、薬剤載置台133aは透明性を有する。そのため、第1カメラ131は、薬剤載置台133aに載置された薬剤を、薬剤載置台133aを通して多方面から撮像できる。
【0075】
また、
図7に示すように、薬剤載置台133aは底部が凹んだ状態の断面V字形状であってもよい。また、
図6の(b)および
図7に示すように、薬剤載置台133aが受入領域Ar1および配置領域Ar2に配置されている場合、断面V字形状の溝方向(軸部133cの延伸方向)は、回転機構132による撮像機構(後述)の旋回軸Ay(
図8の(a)参照)に対して略平行である。また、底部の断面V字形状は、鋭角なV字形状ではなく、薬剤載置台133aの裏側から見ても(撮像しても)、薬剤の刻印またはプリントが示す情報(刻印情報または印字情報)を認識できる程度で、かつ薬剤が固定される程度の形状であればよい。
【0076】
薬剤がカプセルまたは変形錠(例:ラグビーボール形)の場合、薬剤載置台133aの底部が平坦であれば、XY平面上で薬剤の向きがそろわずに、鮮明な薬剤の画像(刻印情報または印字情報)を取得することが困難になる可能性がある。断面V字形状であれば、最下端部にカプセルまたは変形錠が嵌合され、当該薬剤を固定できる。そのため、鮮明な薬剤の画像が取得しやすくなる。なお、錠剤の場合には、例えば、軸部133cを軸部133cの周方向に旋回させることで、薬剤載置台133aの平面部分を第1カメラ131に対向させることで、当該薬剤を確実に動かないようにしてもよい。
【0077】
その他、旋回機構133bは、薬剤載置台133aを振動させる(小さく動かす、ゆする)ことも可能である。この場合、薬剤載置台133aに載置されたカプセルに振動を与えて転がすことで、カプセルの刻印またはプリントが付された部分を所定の方向に向かせることができる(例:当該部分を、後述の初期位置に配置された第1カメラ131と対向させることができる)。そのため、撮像制御部63は、初回(第1カメラ131の旋回前)の薬剤の撮像にて、刻印またはプリントを含む薬剤の画像を取得できる。また、上記振動により、例えば円筒状(底部が円形状)の錠剤が上記平面部分に立った状態で載置されたとしても、錠剤を横に倒す(錠剤の底部が当該平面部分に対向するように配置する)ことができる。
【0078】
また、薬剤載置台133aの底部周縁に黒膜を設けてもよい。この場合、撮像時に薬剤に照射された光が、薬剤載置台133aにより反射することを防止できる。
【0079】
照明器134は、撮像制御部63の制御により、薬剤の撮像時に、薬剤に照射される光を出射する。照明器134は、
図6の(a)および
図7に示すように、薬剤に可視光を照射する可視光照射部(第1照射部134aおよび第2照射部134b)と、薬剤に紫外光を照射する紫外光照射部134cとを備える。第1照射部134aおよび第2照射部134bは、可視光として白色光を薬剤に照射する。第1照射部134aはバー形状の可視光源(バー照明)であり、第2照射部134bはリング形状の可視光源(リング照明)である。第1カメラ131は、第1照射部134aまたは第2照射部134bから出射され、薬剤で反射した可視光を受光することにより、可視光に基づく画像(可視光画像)を取得する。撮像制御部63は、第1カメラ131が取得した可視光画像を示す画像データを、判別部64に出力する。
【0080】
ここで、第1カメラ131が配置領域Ar2に対して対向して配置されている位置を初期位置とする。初期位置は、配置領域Ar2の上方であって、配置領域Ar2に対して略垂直方向の位置であるともいえる。
図6、
図7および
図8の(a)では、第1カメラ131は初期位置に存在する。
【0081】
第1照射部134aは、
図7に示すように、初期位置において、配置領域Ar2に配置された薬剤載置台133aに対して斜め上方に設けられる。このように、第1照射部134aを配置することで、薬剤に付されたプリントの鮮明な像を取得することが可能となる。
【0082】
一方、第2照射部134bは、第1照射部134aよりも近い位置に設けられる。第2照射部134bは、初期状態において、配置領域Ar2に配置された薬剤載置台133aに対して、第1照射部134aよりも水平方向に近い方向から可視光を照射する。このように、第2照射部134bを配置することで、薬剤に付された刻印(凹凸)の鮮明な像を取得することが可能となる。
【0083】
紫外光照射部134cは、薬剤に紫外光(例:365nm以上410nm以下のピーク波長を有する光)を照射することで、薬剤に含まれる成分を励起させる。これにより、薬剤から蛍光(例:410nm以上800nm以下のピーク波長を有する光)が取り出される。そのため、紫外光照射部134cは、薬剤を励起させる励起光を出射する励起光源ともいえる。
【0084】
第1カメラ131は、薬剤から発せられた蛍光を受光することにより、紫外光に基づく画像(紫外光画像)を取得する。撮像制御部63は、第1カメラ131が取得した紫外光画像を示す画像データを、判別部64に出力する。そのため、後述の判別部64では、可視光画像に加え、紫外光画像も用いて、薬剤の種類を判別できる。
【0085】
本実施形態では、紫外光照射部134cは、第1照射部134aに隣接する位置に設けられる。紫外光照射部134cの配置位置は、薬剤に紫外光を照射し、効率良く蛍光を取り出すことが可能な位置であれば、特に限定されない。
【0086】
また、
図7に示すように、第1カメラ131のレンズの前方には、偏光フィルタ(PLフィルタ)131aと、紫外光除去フィルタ131bとが設けられる。偏光フィルタ131aは、第1カメラ131へ向かう光のうち、撮像に不要な光(例:薬剤載置台133aでの反射光)を除去する。紫外光除去フィルタ131bは、第1カメラ131へ向かう紫外光、例えば紫外光照射部134cから出射され、薬剤により励起されず反射された紫外光を除去する。また、第1照射部134aの前方には、薬剤に向けて可視光のみを透過し、それ以外の不要な光を除去する偏光フィルタ134dが設けられる。さらに、紫外光照射部134cの前方には、薬剤に向けて紫外光のみを透過し、それ以外の不要な光(例:可視光)を除去する紫外光透過フィルタ134eが設けられる。
【0087】
回転機構132は、
図6に示すように、撮像対象となる薬剤が配置される配置領域Ar2(当該位置に配置された薬剤載置台133a)の周囲を旋回するように第1カメラ131を回動させる。第1カメラ131は、回転機構132が回動させた複数の位置から、配置領域Ar2に配置された薬剤を撮像する。具体的には、第1カメラ131および照明器134を含む撮像機構を、配置領域Ar2の周囲を旋回するように回動させる。そのため、配置領域Ar2に対する第1カメラ131および照明器134の位置関係を維持したまま、第1カメラ131が複数の方向から薬剤を撮像できる。
【0088】
回転機構132は、
図6の(a)に示すように、撮像機構駆動部132aと動力伝達機構132bとを含む。撮像機構駆動部132aは、撮像機構を配置領域Ar2の周囲を旋回させるための動力を発生する。動力伝達機構132bは、撮像機構駆動部132aが発生させた動力を撮像機構へと伝達する。撮像機構駆動部132aは、撮像制御部63の制御により駆動し、配置領域Ar2の周囲における撮像機構の位置を変更する。
【0089】
回転機構132は、撮像機構を、初期位置と、初期位置と対向する位置との間において旋回させる。初期位置と対向する位置とは、配置領域Ar2に対して略垂直方向の位置であって、配置領域Ar2の下方の位置である。また、当該位置は、第1カメラ131が配置領域Ar2に存在する薬剤載置台133aの底部と対向する位置であるともいえる。
【0090】
図8に示すように、配置領域Ar2の中心を通りZ軸と平行な軸を軸Ax0とし、配置領域Ar2の中心および撮像機構の中心を通る軸を軸Ax1とする。また、軸Ax0と軸Ax1とのなす角をθとする。本実施形態では、回転機構132は、撮像機構を、θ=0°(初期位置)、45°、135°および180°の位置のいずれかに配置する。なお、
図8の(a)は撮像機構がθ=0°の位置にある場合を示し、
図8の(b)は撮像機構が初期位置から旋回してθ=45°の位置にある場合を示す。
【0091】
このように、撮像機構を配置領域Ar2の周囲を旋回させることにより、薬剤を配置領域Ar2に固定した状態で、複数の方向から薬剤を撮像できる。また、薬剤載置台133aをゆすっても薬剤(錠剤)が立っている場合であっても、斜め方向(θ=45°または135°)からの撮像で、薬剤に付された刻印等が示す情報を取得できる。
【0092】
なお、撮像機構を固定し薬剤を回動させることで複数の方向から当該薬剤を撮像してもよい。また、上記のように、旋回機構133bが薬剤載置台133aに振動を与え、薬剤載置台133a上で薬剤を転がすことで、固定された撮像機構により、刻印またはプリントが付された部分を取得できるようにしてもよい。また、複数の方向から薬剤を撮像する構成としては、以下の(A)~(C)を含む構成であってもよい。(A)配置領域Ar2の上方に、配置領域Ar2と対向する位置に設けられた第1カメラ131と、配置領域Ar2に配置された薬剤載置台133aに対して斜め上方に設けられた第1照射部134aおよび紫外光照射部134cとの組が配置(固定)される。換言すれば、当該組は、
図7に示す位置に固定されている。(B)配置領域Ar2の下方に、配置領域Ar2と対向する位置に設けられた第1カメラ131と、配置領域Ar2に配置された薬剤載置台133aに対して斜め下方に設けられた第1照射部134aおよび紫外光照射部134cとの組が配置(固定)される。換言すれば、当該組は、配置領域Ar2を挟んで上記(A)と対向する位置に固定されている。(C)第2照射部134bは、
図7に示すように、配置領域Ar2に配置された薬剤載置台133aの近傍に設けられる。
【0093】
(撮像位置制御)
次に、撮像機構の位置制御の一例について説明する。撮像制御部63は、まず撮像機構を初期位置にセットし、第1カメラ131に、当該初期位置おいて配置領域Ar2に配置された薬剤を撮像させる。このとき、第1カメラ131は、第1照射部134aおよび第2照射部134bからの可視光に基づく可視光画像(2つの可視光画像)を取得するとともに、紫外光照射部134cからの紫外光に基づく紫外光画像を取得する。
【0094】
次に、撮像制御部63は、撮像機構を初期位置とは対向する位置にセットし、第1カメラ131に、当該位置において配置領域Ar2に配置された薬剤を撮像させ、2つの可視光画像および紫外光画像を取得する。判別部64は、これら6つの画像を解析することにより、薬剤の種類を判別する。薬剤の種類を1つに特定できなかった場合、撮像制御部63は、θ=45°および135°の位置において、第1照射部134aおよび第2照射部134bから可視光を出射させ、第1カメラ131に薬剤を撮像させる。判別部64は、このときの可視光画像を解析して薬剤の種類を判別する。
【0095】
上記に限らず、撮像機構の位置制御は種々の方法が挙げられる。例えば、初期位置と対向する位置から撮像した後、初期位置から撮像を行ってもよい。また、θ=45°の位置から撮像したときの可視光画像に基づく薬剤の判別処理を行い、薬剤の種類を1つに特定できなかった場合にのみθ=135°の位置から撮像したときの可視光画像を取得してもよい。また、初期位置および初期位置と対向する位置において紫外光画像のみを取得し、当該紫外光画像に基づく薬剤の判別処理を行った後、当該位置における可視光画像を取得してもよい。また、全ての位置において可視光画像および紫外光画像を取得してもよい。
【0096】
〔画像処理・判別処理〕
次に、撮像ユニット13により撮像された画像に対する画像処理と、画像処理の結果に基づく薬剤の判別処理について、
図1を用いて説明する。上記画像処理は、主として撮像制御部63により行われ、上記判別処理は、主として判別部64により行われる。
【0097】
判別部64は、第1カメラ131により撮像された薬剤の画像に基づき、薬剤の種類を判別する。具体的には、判別部64は、第1照射部134aまたは第2照射部134bから可視光が照射された状態で撮像された薬剤の撮像結果(可視光画像)に基づき、薬剤の種類を判別する。また、判別部64は、紫外光が照射された状態で撮像された薬剤の撮像結果(紫外光画像)に基づき、薬剤の種類を判別する。
【0098】
判別部64は、可視光画像および/または紫外光画像のそれぞれにおいて画像解析を実行することにより、当該画像に含まれる薬剤の特徴を抽出する。換言すれば、判別部64は、薬剤の特徴を抽出する特徴抽出部の機能を有する。薬剤の特徴としては、例えば、大きさ、形状、刻印、プリント、割線、代表色(刻印またはプリントが付された領域の色)が挙げられる。OCR(Optical Character Recognition)等を行った場合には、薬剤の特徴として、刻印またはプリントにより表された薬剤名または製造元を示す識別情報、使用期限等のその他の情報が抽出される。また、紫外光画像の場合には、薬剤の特徴として、画像中の薬剤における代表色が挙げられる。判別部64は、抽出した各薬剤の特徴を、薬剤の画像データに紐づけて記憶部80に記憶する。なお、薬剤の特徴抽出は、公知の技術により行われてもよい。
【0099】
判別部64は、各薬剤の特徴を薬剤データベースと照合することにより薬剤の種類を判別する。換言すれば、判別部64は、抽出した薬剤の特徴に基づいて、パターンマッチング等を用いて、薬剤データベースの中から、撮像された薬剤に関する薬剤データの候補を絞込む薬剤データ抽出部の機能を有する。この場合、例えば、上述した大きさ、形状、刻印、プリント、割線、および代表色の少なくとも1つを用いて薬剤データの候補を絞込む。その後、判別部64は、OCR等を行い、刻印またはプリントに表された識別情報等を読取り、パターンマッチング等を用いて上記候補の中から薬剤の種類をさらに絞込む。
【0100】
また、判別部64は、各薬剤の特徴同士を対比してこれらが同一とみなされるか否かにより、薬剤の種類を判別する。換言すれば、判別部64は、パターンマッチング等を用いて、抽出した薬剤の特徴(対象特徴)を、それまでに抽出した薬剤の特徴(照合用特徴)と照合し、その照合結果に基づいて、薬剤の種類を判別する照合部の機能を有する。なお、上述した特徴の少なくとも1つを対象特徴および照合用特徴として照合すればよい。
【0101】
具体的には、後述の薬剤仕分処理により仕分カップ141に仕分けられた薬剤の画像を基準画像とした場合、その後取得された画像に含まれる薬剤の特徴(対象特徴)については、基準画像に含まれる薬剤の特徴(照合用特徴)と対比される。照合結果に基づき当該薬剤が仕分カップ141に仕分られた場合、当該薬剤の画像も基準画像となる。このように、判別部64は、仕分けされた薬剤の画像を基準画像とし、それ以降に撮像された薬剤の画像における特徴を、当該基準画像における薬剤の特徴と対比する。これにより、基準画像を薬剤データベースの代わりに用いて上記の照合を行うことができるので、薬剤データベースに薬剤が事前登録されていなくても、仕分カップ141への薬剤仕分処理が可能となる。
【0102】
なお、1つ目の薬剤(仕分対象物)、または基準画像の特徴と一致しなかった薬剤(仕分対象物)は、例えば、当該仕分対象物の特徴が、薬剤が有する特徴であると判別された場合(後述の推定薬剤の場合)には、仕分カップ141に仕分けられる。また、当該仕分対象物は、その特徴が、所定数の薬剤に関する薬剤データベースに含まれる薬剤の特徴と対比された結果に基づいて、仕分カップ141に仕分けられてもよい。
【0103】
また、上記の絞込みにおいて、判別部64は、紫外光画像の解析結果も用いる。ここで、紫外光画像の解析結果を用いない場合、薬剤に付された刻印またはプリントの鮮明な像が取得できない場合には、薬剤の色、大きさまたは形状等により種類を判別することになる。この場合、同色(例:白色)の薬剤で、大きさまたは形状もほぼ同一の薬剤については、同一の種類と判別してしまうことになる。このように判別してしまうと、後の目視鑑査において同一の種類か否かを確認する作業負担が大きくなる。
【0104】
判別部64は、紫外光照射により薬剤から発せられる蛍光が薬剤の成分により異なることを利用して、薬剤の種類を判別する。そのため、同色・同大・同形状の薬剤であっても薬剤の成分が異なれば、異なる薬剤として正確に判別できる。薬剤の成分は薬剤毎に固有であるため、紫外光画像の解析結果を用いることにより、可視光画像のみを用いた絞込みに比べ、正確な候補の絞込みおよび判別を行うことが可能となる。
【0105】
そのため、判別部64は、上記候補の絞込みにおける第1段階として、紫外光画像の解析結果(薬剤の代表色)を、薬剤データベースに含まれる各薬剤の、紫外光を照射したときに得られる代表色と比較することにより、上記候補の絞込みを行うことが好ましい。判別部64は、まず、紫外光照射により薬剤が蛍光を発することに基づき、紫外光画像において薬剤の輪郭(蛍光により周囲と明度が異なる領域の輪郭)を抽出することで、紫外光画像に含まれる薬剤を特定する。その後、紫外光画像において特定した薬剤の代表色と、薬剤データベースの代表色とを比較することにより、上記候補の絞込みを行う。
【0106】
この場合、紫外光画像を用いない場合よりも絞込み後の候補数の削減が見込めるので、少ない候補数に対して、その他の特徴を用いて照合を行うことができる。そのため、照合の精度を高めることができる。また、候補数が削減された場合、OCR等により識別情報等を特定しなくても薬剤の種別を判別できる可能性がある。この場合、画像処理の負荷を低減できる。また、特に透明薬剤の場合、可視光画像では、可視光画像に含まれる薬剤と薬剤載置台133a(背景)との区別が困難である。そのため、薬剤の輪郭(領域)を抽出できず、透明薬剤の特徴を抽出することが困難となる。一方、上記のように紫外光画像を用いた場合、透明薬剤であっても蛍光の発光により薬剤の輪郭を抽出できる。そのため、薬剤が透明薬剤であってもその特徴を抽出することが可能となる。
【0107】
返品される薬剤の種類は、調剤で用いられる薬剤とは異なり多種多様であり、その数も膨大である。そのため、薬剤の種類を正確に判別できることは、後の目視鑑査の作業負担を考慮すれば、非常に重要なファクタとなる。そして、このような薬剤の種類の判別処理の性能の向上により、膨大な量の薬剤の仕分を迅速に行うことが可能となる。
【0108】
なお、判別部64は、特徴同士の照合の場合においても、薬剤データベースを用いた場合と同様の処理順で特徴同士が同一であるとみなされるか否かを判定し、対象特徴に対応する薬剤データの絞込みを行ってもよい。
【0109】
また、判別部64は、特徴同士の照合、および薬剤データベースを用いた照合を並行してもよいし、以下のように行ってもよい。例えば、判別部64は、抽出した薬剤の特徴を薬剤データベースと照合し、当該特徴に基づき、薬剤データベースの中に、撮像された薬剤に関する薬剤データの候補が存在するか否かを判定する。そして、判別部64は、薬剤データベースの中に、当該候補が存在しないと判定した場合に、対象特徴と照合用特徴との照合を行うことにより、薬剤の種類を判別してもよい。
【0110】
また、判別部64は、複数の方向から撮像された薬剤の可視光画像および紫外光画像のそれぞれから、当該薬剤の複数の色データを当該薬剤の特徴として抽出し、上記候補の絞込みを行ってもよい。この場合、判別部64は、複数の色データについて、例えば薬剤データベースに含まれる代表色と対比する(換言すれば、色マッチングを行う)。なお、可視光画像の場合には、薬剤データベースにおける、可視光を照射したときに得られる代表色と対比され、紫外光画像の場合には、薬剤データベースにおける、紫外光を照射したときに得られる代表色と対比される。また、照合用特徴として抽出した色データと対比してもよい。
【0111】
また、薬剤に、当該薬剤の製造元を示すロゴが付されている場合においては、ロゴも識別情報として薬剤の特徴となる。そのため、判別部64は、当該場合には、ロゴも用いて薬剤の種類を判別する。ロゴは刻印またはプリントにて薬剤に付されているため、判別部64は、可視光画像を解析することによりロゴを取得する。またロゴについては、判別部64は、人工知能(機械学習、特にディープラーニング)を用いて、対象特徴と、薬剤データベースまたは照合用特徴とを照合することで、上記候補の絞込みを行ってもよい。
【0112】
この場合、判別部64は、紫外光画像により候補を絞込んだ後、パターンマッチングを用いた、ロゴ以外の対象特徴と、薬剤データベースまたは照合用特徴との照合による候補の絞込みに加えて、ロゴについては人工知能による上記照合を行うことで候補の絞込みを行ってもよい。具体的には、ディープラーニングの場合、主要な製造元のロゴ(大きさ、形状、色等が異なる複数種類のロゴ)を示す刻印またはプリントが付された薬剤の画像を用いて、深層学習のためのニューラルネットワークに対して、多クラス分類問題を学習させる。例えば、多クラス分類問題は、製造元の数が20個あれば、20クラス分類問題となる。
【0113】
ロゴは、一般にその見易さを重視して、大きさ(文字であればフォント)、形状、色等がたびたび変更される。そのため、薬剤の販売時期によって、同じ薬剤であっても異なる大きさ等のロゴが付される可能性がある。また、カプセルと錠剤とにおいて、製造元が同じであっても付されるロゴの大きさ等が異なる場合がある。そのため、ロゴについて、パターンマッチング等を用いて、対象特徴と薬剤データベースまたは照合用特徴との照合を行っても、薬剤データベースに登録されたロゴまたは照合用特徴のロゴと異なる大きさ等になっている場合には、同じ製造元の同種のロゴであっても、同一であると判別できない可能性がある。
【0114】
上記のように、判別部64がロゴの照合において人工知能を用いることにより、パターンマッチングの場合とは異なり、ロゴの特徴抽出方法自体を学習させることができる。そのため、大きさ、形状、色または照明条件等の変動に対して頑強なマッチング処理を行うことができるので、パターンマッチングでは同一と判別できなかったロゴについて、同一であると判別できるようになる。これにより、ロゴの照合の精度を高めることができ、候補の絞込み性能を向上させることできる。また、抽出したロゴの特徴(画像データ)を蓄積し、上記学習に用いることで、人工知能による照合の精度をさらに高めることができる。
【0115】
また、判別部64は、対象特徴が、薬剤データベースに無く、かつ照合用特徴と同一とみなされない場合であっても、対象特徴の少なくとも一部に基づき薬剤(錠剤またはカプセル)であると推定される場合には、薬剤の種類を推定薬剤として判別する。この場合、推定薬剤も、第2収容部14または待機トレイ15への仕分け対象とすることができる。
【0116】
判別部64は、薬剤の種類の判別結果を仕分制御部62に出力する。例えば、薬剤の種類を1つに特定できた場合、または所定数以内の候補数に絞込んだ場合には、当該薬剤に関する薬剤データを判別結果として出力する。この場合、判別部64は、当該薬剤に関する薬剤データを、当該薬剤の画像データに紐づけて記憶部80に記憶する。
【0117】
なお、判別部64は、候補数が所定数を超えないように制御して、判別結果を取得する。例えば、上記所定数(例:5個)を閾値として設定しておき、判別部64は、絞り込んだ候補数が閾値を超えているか否かを判定する。判別部64は、候補数が閾値を超えていると判定した場合には、複数の候補について、判別対象の薬剤の特徴に類似する順に順位付けを行う。そして、上位から閾値として設定された数の候補(例:上位5個)を抽出し、当該候補の薬剤に関する薬剤データを判別結果として出力する。類似順は、例えば、一致する特徴の数の多さにより決定される。また、各特徴に重み付けを行っておき、重み付けを考慮した各特徴の一致度合いから類似順を決定してもよい。
【0118】
判別部64は、薬剤の種類を推定薬剤として判別した場合には、薬剤の特徴(推定薬剤として推定された物の特徴)を判別結果として出力する。一方、判別部64は、第1収容部11に収容された物が薬剤以外の異物であると判別した場合、薬剤の種類を判別できなかった旨を判別結果として出力する。
【0119】
また、判別部64が薬剤の種類を判別し確定させた後、撮像制御部63は、第1カメラ131により、当該薬剤を含む薬剤載置台133aの可視光画像を取得し、当該画像データを記憶部80に記憶する。可視光画像は、例えば、刻印またはプリントが付された薬剤の表面を含む画像、およびその反対側の表面を含む画像である。この可視光画像は、仕分カップ141に書き込まれる薬剤に関するデータに含まれ、表示制御部67による表示対象となる(
図11の(b)参照)。
【0120】
〔画像分類処理〕
次に、上記判別処理の結果に基づく画像分類処理について、
図1を用いて説明する。上記画像分類処理は、主として画像分類部65により行われる。
【0121】
画像分類部65は、判別部64が判別した薬剤の種類毎に、第1カメラ131が撮像した画像を分類する。画像分類部65は、判別部64による判別結果を受けると、当該判別結果と同一の判別結果が記憶部80に記憶されているか否かを判定することにより、上記分類を行う。例えば、同一の判定結果が記憶されていない場合には、当該判別結果の記憶領域を新たに作成し、当該記憶領域に、薬剤の種類が判別された画像データを格納する。一方、同一の判定結果が記憶されている場合には、当該判別結果の記憶領域に、薬剤の種類が判別された画像データを格納する。
【0122】
画像分類部65は、記憶領域が作成されるごとに、記憶領域に名称(仮名)を付している。この名称としては、例えば、判別部64の判別結果に基づき特定された薬剤名(候補が複数ある場合には類似順1位の薬剤名)が付与される。推定薬剤の場合には、推定薬剤である旨が付与される。各記憶領域の名称は、目視鑑査時に一意に特定された薬剤名に変更される。
【0123】
なお、画像分類部65は、判別部64による判別の結果、判別対象の薬剤に複数の薬剤データの候補が存在する場合には、当該複数の薬剤データが、記憶されている各薬剤の複数の薬剤データの全てと一致した場合に、上記2つの判別結果が同一であると判定してもよい。また、推定薬剤と判別されている場合には、当該推定薬剤の特徴と、記憶されている1つの薬剤に対応する複数の特徴の全てと一致した場合に、上記2つの判別結果が同一であると判定してもよい。
【0124】
このように、画像分類部65を備えることで、後述する薬剤仕分処理による仕分結果と一致するように、薬剤の画像データを分類できる。そのため、ユーザは、分類された画像データ群に含まれる各画像データを見ることで、任意の仕分カップ141に仕分けられた複数の薬剤が同種であるか否かを確認できる。
【0125】
〔薬剤仕分処理〕
次に、上記判別処理の結果に基づく薬剤仕分処理について、
図1、
図9および
図10を用いて説明する。
図9の(a)および(b)は、仕分カップ141への仕分処理を説明するための図である。
図10は、第2RFIDリーダ・ライタユニット18の配置を示す斜視図である。上記薬剤仕分処理は、主として、搬送・仕分ユニット12および仕分制御部62により行われる。
【0126】
搬送・仕分ユニット12は、判別部64による判別結果に基づき、薬剤を種類毎に仕分けて第2収容部14または待機トレイ15へ格納する。仕分制御部62は、搬送・仕分ユニット12を制御して、撮像および判別処理後に受入領域Ar1に配置された薬剤を、判別結果に基づき、第2収容部14の所定の仕分カップ141または待機トレイ15まで搬送する。
【0127】
仕分制御部62は、薬剤の判別結果を受けると、当該薬剤を格納する仕分位置を決定し、当該判別結果と、決定した仕分位置とを紐付けて記憶部80に記憶する。具体的には、仕分制御部62は、上記判別結果と同一の判別結果が記憶部80に記憶されているか否かを判定する。なお、これら2つの判別結果が同一である否かの判定手法は、上記〔画像分類処理〕において説明したので省略する。
【0128】
上記判別結果と同一の判別結果が記憶されている場合、記憶されている判別結果に紐付けられた仕分カップ141を、仕分位置として決定する。また、記憶されている判別結果に紐付けられた仕分位置が待機トレイ15である場合、待機トレイ15を仕分位置として決定する。一方、上記判別結果と同一の判別結果が記憶されていない場合、薬剤未格納の仕分カップ141(仕分位置として未決定の仕分カップ141)を、仕分位置として決定する。仕分カップ141の全てに薬剤が格納されている場合には、待機トレイ15を仕分位置として決定する。
【0129】
仕分制御部62は、仕分位置を決定すると、搬送制御部61と同様に搬送機構123を制御して、搬送・仕分ユニット12を受入領域Ar1の上方に移動させる。仕分制御部62は、搬送制御部61と同様、第2カメラ121および吸着・シャッター機構122を制御して、受入領域Ar1に配置された薬剤を吸着する。その後、搬送機構123により、決定した仕分カップ141または待機トレイ15へと薬剤を搬送させる。上述したように、薬剤搬送中はシャッター機構が閉状態となるため、決定した仕分位置以外の領域(例:決定した仕分カップ141以外の仕分カップ141)に薬剤が落下することを防止できる。搬送後、吸着を解除することにより、当該仕分カップ141または待機トレイ15に薬剤を格納する。また、仕分制御部62は、仕分カップ141に格納した薬剤の個数をカウントし、仕分位置に紐づけて記憶部80に記憶する。
【0130】
仕分制御部62が、受入領域Ar1に配置された薬剤載置台133aの薬剤(判別完了後の薬剤)を仕分位置に搬送した後、搬送制御部61は、搬送・仕分ユニット12を制御して、第1収容部11に収容されている薬剤を、空になった上記薬剤載置台133aに搬送し、載置する。これにより、薬剤仕分装置1は、薬剤の種類の判別を連続的に行うことができる。
【0131】
なお、判別部64により対象特徴と照合用特徴とが照合されている場合、仕分制御部62は、判別部64の照合結果に基づいて仕分位置を決定するともいえる。具体的には、仕分制御部62は、判別部64により対象特徴と照合用特徴とが一致すると判定された場合には、対象特徴を有する薬剤を、照合用特徴を有する薬剤を仕分けた位置と同じ位置へと搬送する。一方、仕分制御部62は、対象特徴と照合用特徴とが一致しないと判定された場合には、対象特徴を有する薬剤を、当該薬剤の仕分け前に照合用特徴を有する薬剤が既に仕分けられている位置とは異なる新たな位置へと搬送する。
【0132】
また、仕分制御部62は、薬剤の種類を判別できなかった旨の判別結果を受けた場合には、判別後に受入領域Ar1に配置された物は異物であるため、当該異物を回収トレイ16へと搬送する。
【0133】
このように、仕分制御部62は、薬剤の種類の判別結果に依らず、第1収容部11に収容された物の全てを、第2収容部14、待機トレイ15または回収トレイ16の何れかに格納する。そのため、薬剤の種類を1つに特定できない場合、または第1収容部11に異物が混入していた場合であっても、それを理由に仕分処理を停止することなく、継続させることができる。
【0134】
なお、仕分制御部62は、受入領域Ar1に配置された薬剤載置台133aから、判別処理が完了した薬剤を取り出すために、第2カメラ121に当該薬剤載置台133aを撮像させて、当該薬剤の位置を絞り込む。また、仕分制御部62は、仕分カップ141に格納された薬剤の分包機構6への搬送時に、当該仕分カップ141から薬剤を取り出すために、第2カメラ121に当該仕分カップ141を撮像させて、搬送対象とする薬剤を絞り込む。
【0135】
また、仕分制御部62は、仕分カップ141に格納される薬剤の個数の上限値まで薬剤が格納された場合には、仕分けようとする薬剤の種類が、当該仕分カップ141に仕分られた薬剤の種類と同一であっても、仕分けようとする薬剤を、当該仕分カップ141とは異なる空の仕分カップ141に格納する。
【0136】
また、仕分制御部62は、仕分カップ141により多くの薬剤を載置可能なように、例えば
図9に示すような処理を実行する。仕分制御部62は、
図9の(a)に示すように、仕分カップ141に薬剤を格納する位置を、仕分カップ141の基準位置(ここでは中心線CL)から水平方向に所定距離Dだけずらした位置に決定し、当該位置に薬剤を載置する。一方、当該仕分カップ141に次の薬剤が格納される場合には、仕分制御部62は、
図9の(b)に示すように、当該薬剤を格納する位置を、
図9の(a)の場合とは逆の方向に、基準位置から所定距離Dだけずらした位置に決定し、当該位置に薬剤を載置する。
【0137】
所定距離D(基準位置からの移動量)は、撮像により取得可能な薬剤の最大長さと、ずらす方向における仕分カップ141の幅とに基づいて、仕分カップ141内に薬剤が格納されるように算出される。例えば、薬剤の最大長さが大きい場合には、小さい薬剤に比べ、移動量が小さくなるように算出される。
【0138】
このように、仕分カップ141への薬剤の格納位置を制御することにより、例えば中心線CLに沿って薬剤が積み上げられた場合に、積み上げられた薬剤が倒れ、仕分カップ141の外にこぼれ出ることを防止できる。また、吸着・シャッター機構122の吸着機構の先端部が、積み上げられた薬剤と衝突してしまうことを防止できる。
【0139】
また、仕分制御部62により仕分カップ141に格納された薬剤に関する薬剤データは、第2RFIDリーダ・ライタユニット18によって、当該仕分カップ141に設けられたRFIDタグに記憶される。
【0140】
第2RFIDリーダ・ライタユニット18は、第1RFIDリーダ・ライタユニット5と同様、RFIDタグへの薬剤データの書込み、またはRFIDタグに記憶された薬剤データの読出しを行う。仕分制御部62は、RFID制御部68に、仕分カップ141に薬剤を格納するたびに、当該薬剤に関するデータを書込ませる。
【0141】
第2RFIDリーダ・ライタユニット18は、第2収容部14の下側に設けられている。具体的には、
図10に示すように、各仕分カップ141のRFIDタグに記憶された薬剤に関するデータの読取りまたは書込み時に、各仕分カップ141の底部と対向するように設けられる。本実施形態では、第2RFIDリーダ・ライタユニット18は、X軸方向に複数のRFIDリーダ・ライタ18aが並設されており、Y軸方向に延伸するガイド部材18bによりY軸方向に移動可能に構成されている。これにより、各仕分カップ141のRFIDタグとの通信が可能となり、例えば薬剤仕分処理時に書込まれた薬剤に関するデータを、後の処理において用いることが可能となる。
【0142】
〔表示処理〕
次に、表示処理について、
図1、
図11および
図12を用いて説明する。
図11は、画像表示の一例を示す図であり、(a)は薬剤仕分処理中の表示例(薬剤仕分の推移を示す画像例)であり、(b)は指定された仕分カップ141に対応する画像データの表示例(目視鑑査用の画像例)である。
図12は、画像表示の別例を示す図である。
【0143】
図11の(a)に示すように、表示制御部67は、仕分制御部62が決定した仕分位置と、当該仕分位置に紐付けられた薬剤に関するデータとに基づいて薬剤仕分処理中の表示画像を生成し、表示部32に表示する。各仕分カップ141に対応する矩形部分、および表示切替等の各アイコンは、操作部31を通してユーザ入力を受付け可能である。
【0144】
図11の(a)の表示画像例では、薬剤が格納された各仕分カップ141に対応する矩形部分に、薬剤名、個数、目視済か否かが表示される。表示制御部67は、1個の薬剤の仕分が完了するたびに、RFID制御部68に、少なくとも直近で薬剤が格納された仕分カップ141のRFIDタグから、薬剤に関するデータを読み出させる。これにより、リアルタイムに仕分状況を表示できる。
【0145】
この表示画像例において、1行目が薬剤仕分装置1の手前側(+Y軸方向側)、7行目が奥側(-Y軸方向側)にそれぞれ設けられた仕分カップ141に対応する。また、この表示画像例では、B-1の仕分カップ141に50錠(本例における、1つの仕分カップ141に格納できる個数の上限値)の薬剤が格納されているため、51錠目以降は、C-1の仕分カップ141に格納されていることが分かる。さらに、この表示画像例に示すように、仕分制御部62は、手前側の1行目、および奥側の7行目の仕分カップ141から、薬剤を格納していってもよい。この場合、第2収容部14における手前側の領域を、錠剤分包機に実装されている薬剤が仕分けされる領域とし、奥側の領域を、薬剤棚等に戻す、錠剤分包機には実装されていない薬剤を仕分ける領域として設定してもよい。このように設定することで、錠剤分包機に実装されている薬剤を取り出しやすい位置に仕分けることができる。
【0146】
薬剤が格納された仕分カップ141に対応する矩形部分においてユーザ入力を受け付けると、表示制御部67は、
図11の(b)に示すように、当該仕分カップ141に格納された薬剤の全画像データを表示する。具体的には、表示制御部67は、判別結果に基づき種類毎に仕分けられた仕分カップ141のうち、ユーザにより選択された仕分カップ141に格納された全ての薬剤についての可視光画像(薬剤の種類が確定した後に取得された薬剤載置台133aの可視光画像)を表示する。
【0147】
これにより、ユーザは、同一または同種の薬剤が同一の仕分カップ141に仕分けられているという前提で、当該仕分カップ141内の全ての当該薬剤の画像を個々に目視鑑査することが可能となるため、異なった薬剤や異物等があれば発見できる。
【0148】
また、作業効率の関係から「一括OK」または「一括NG」に対するユーザ入力を受け付けた場合には、表示制御部67は、
図11の(a)において該当の仕分カップ141に対応する矩形部分を、目視済である旨の表示に切り替える。また、RFID制御部68は、目視済であることを、当該仕分カップ141のRFIDタグに記憶(登録)する。このとき、記憶部80においても目視済であることを記憶してもよい。
【0149】
なお、複数の候補の薬剤データが紐付けられた薬剤、または推定薬剤と判別された薬剤については、目視鑑査において、当該薬剤に関する薬剤データが一意に特定される。そのため、一意に特定された薬剤データが、RFIDタグまたは記憶部80に登録される。
【0150】
また、
図12に示すように、薬剤仕分処理中または処理後の表示画像において、薬剤の返却先(例:錠剤分包機または薬剤棚)に応じて、各仕分カップ141に対応する矩形部分を色分けしてもよい。
図12の例では、分包機Pに返却される薬剤と、分包機Qに返却される薬剤と、薬剤棚に返却される薬剤との区別ができるように色分けされている。記憶部80には、返却先と、返却先に対応付けて設定された表示色とが記憶されている。
【0151】
例えば、目視鑑査前に色分けする場合には、制御部は、判別部64の判別結果に基づく薬剤データと、各錠剤分包機が実装している薬剤データとを照合し、照合結果に基づき各仕分カップ141の薬剤を返却する錠剤分包機を決定する。錠剤分包機に実装されていない薬剤と判定した場合には、返却先を薬剤棚と決定する。表示制御部67は、当該決定結果に基づき、上記矩形部分の色分け表示を行う。制御部は、目視鑑査により薬剤データが変更された場合には、当該変更結果にあわせて表示色を変更する。推定薬剤の場合には、制御部は、例えば色分けを保留しておき、目視鑑査による薬剤データ確定後に最終的な表示色を決定する。
【0152】
一方、目視鑑査後であれば、制御部は、各仕分カップ141のRFIDタグに書き込まれた薬剤データと、各錠剤分包機が実装している薬剤データとを照合すればよい。
【0153】
このように色分け表示を行うことにより、ユーザは、薬剤の使用目的等に応じてどの仕分カップ141を取り出せばよいのかを一目で確認できる。この色分け表示は、錠剤分包機を複数所有するユーザには特に有用である。薬剤(仕分カップ141)返却時の返却先の確認作業にかかる手間を削減できるためである。
【0154】
〔その他の処理〕
その他の処理の一例について説明する。
【0155】
(薬剤データベースの作成・更新)
薬剤データベースは、複数種類の薬剤に関する薬剤データを管理するものである。上述のように、薬剤データベースは、薬剤仕分装置1において扱われる薬剤の種類を特定するために用いられる。
【0156】
薬剤データベースは、多種多様に存在する薬剤の全ての薬剤データを含んでいることが好ましいが、例えば薬剤仕分装置1の出荷時に、その全てを網羅しておくことは現実的には困難である。また、薬剤仕分装置1の出荷後に、新規の薬剤が開発される可能性もある。そのため、薬剤データベースは、新たな薬剤に関する薬剤データを追加(更新)することが可能となっている。
【0157】
例えば、推定薬剤と判別された薬剤について、上述のように、目視鑑査において当該薬剤に関する薬剤データが一意に特定された場合、制御部は、上記の登録時に、薬剤データベースに、当該薬剤に関する薬剤データを登録する。これにより、薬剤データベースにとって新規の薬剤を登録でき、薬剤データベースを随時更新できる。また、薬剤データベースの作成段階において全ての薬剤を含める必要がなくなる。
【0158】
なお、判別部64の判別結果に基づき特定された各薬剤に関する薬剤データは、目視鑑査を支援するために薬剤仕分装置1で予測したものといえる。そのため、表示制御部67が表示する薬剤名は予測薬剤名である。表示された各薬剤の画像データおよび予測薬剤名に基づき、ユーザが目視鑑査を行うことにより、薬剤に関する薬剤データが一意に特定される。
【0159】
また、上述のように、基準画像を用いて(換言すれば、対象特徴と照合用特徴との照合結果を用いて)薬剤の種類の判別を行う場合には、薬剤データベースに薬剤が事前登録されていなくてもよい。この場合、上記のように目視鑑査により一意に特定された薬剤の薬剤データを、基準画像とともに、正式な薬剤データとして薬剤データベースに登録していくこととなる。
【0160】
(吸着・シャッター機構の位置検出)
制御部は、第2カメラ121および吸着・シャッター機構122を含む筐体の位置を検出してもよい。この場合、例えば、当該筐体の+X軸方向を向いた表面、および+Y軸方向を向いた表面にそれぞれ測距センサを設置し、薬剤仕分装置1の筐体までの距離を測定することで、上記位置を検出する。これにより、制御部は、吸着・シャッター機構122の位置を特定できるので、例えば、吸着・シャッター機構122が正確な仕分位置に移動しているか否かを判定できる。
【0161】
(障害物検知機構)
また、薬剤仕分装置1には、薬剤仕分領域2に何等かの障害物が置かれていることを検知する障害物検知機構が設けられていてもよい。障害物検知機構は、例えば、仕分カップ141が正しく載置されず台座19に対して斜めに載置された場合に、台座19に正しく載置されている場合の仕分カップ141の最上面よりも突出した仕分カップ141の一部を、上記障害物として検知する。また障害物検知機構は、例えば、薬剤が積み重なり、仕分カップ141の最上面から突出してしまった場合に、当該最上面から突出した薬剤を、上記障害物として検知する。障害物検知機構は、例えば、第2カメラ121および吸着・シャッター機構122を含む筐体の底部(台座19と対向する最下面)と、台座19に正しく載置されている場合の仕分カップ141の最上面との間の空間に、障害物が置かれた場合に、当該障害物を検知する。
【0162】
障害物検知機構は、上記空間にレーザ光を出射するレーザ光源と、レーザ光源から出射されたレーザ光を受光するセンサとを備える。障害物が置かれた場合、センサは、レーザ光を受光できなくなることで、当該置かれたことを検知する。例えば、台座19の一端に障害物検知機構を設け、他端に反射ミラーを設ける。この場合、センサは、レーザ光源から出射され、反射ミラーで反射したレーザ光を受光する。また、障害物検知機構は、台座19の一端に沿って可動する構成でもよい。
【0163】
(仕分不要薬剤の除外)
薬剤仕分装置1は、第1収容部11に収容された薬剤が、仕分不要である仕分不要薬剤に該当する場合には、仕分しなくてもよい。具体的には、判別部64は、種別を判別した薬剤が仕分不要薬剤に該当する場合には、当該薬剤を仕分対象から除外する。
【0164】
仕分不要薬剤は、例えばユーザが、薬剤仕分業務の運用等に照らして仕分不要と判断した薬剤であり、薬剤仕分装置1に予め設定される。例えば、ユーザは、仕分条件設定画面を介して、仕分不要薬剤の条件を設定する。当該条件としては、例えば以下の4つが挙げられ、判別部64は、薬剤が当該条件のいずれかに該当した場合には、判別対象の薬剤を仕分不要薬剤として仕分対象から除外する。(1)薬価が所定料金以下である薬剤。(2)最終分包日が仕分処理日よりも所定日以上前である薬剤。(3)フラグ(例:向精神薬を示すフラグ、抗がん剤を示すフラグ)が付与されている薬剤。(4)薬剤名に特定の文字列が含まれる薬剤。なお、上記(1)の薬価情報、および上記(3)のフラグは、外部装置が管理する医薬品総合データベースから取得可能である。上記(2)の最終分包日、および上記(4)の薬剤名は、錠剤分包機からマスタデータをダウンロードすることにより取得可能である。
【0165】
判別部64が仕分不要薬剤と判別した場合、搬送制御部61は、吸着・シャッター機構122を制御して、当該薬剤を載置した薬剤載置台133aから当該薬剤を取り出して、回収トレイ16へと搬送して、1箇所にまとめておく。このように、ユーザが仕分けたくない薬剤を仕分対象から除外することにより、当該薬剤に対する仕分処理または目視鑑査等の不要な処理を排除できる。
【0166】
(画像データのログ)
仕分カップ141から薬剤を取り出して分包するときに、どの薬剤を取り出して分包したかということを確実に特定できるように(当該処理の流れのトレーサビリティを目的として)、仕分カップ141から取り出した時の画像を残しておいてもよい。吸着・シャッター機構122を用いて、仕分カップ141の薬剤を、薬剤投入口17を介して分包機構6へ搬送する場合には、例えば、第2カメラ121で薬剤を撮像し、その画像データを記憶部80に記憶する。この場合、薬剤が取り出されるたびに画像データがログとして記録されることになる。そのため、当該画像データを確認することで、分包処理後に、分包処理の正当性を確認することが可能となる。
【0167】
(返品元の指定)
薬剤の仕分開始前に返品元を指定できるようにし、仕分けられた薬剤の返品元を履歴として残すようにしてもよい。
【0168】
例えば、薬剤仕分装置1の制御部は、返品元の情報を、病院内の錠剤分包機からマスタデータをダウンロードすることにより取得する。返品元の情報は、ユーザ入力により取得してもよいし、返品された薬剤に付されたバーコード(識別情報)を読取って取得してもよい。これにより、制御部は、薬剤の仕分開始前に、第1収容部11に収容された薬剤の返品元を特定する。また、制御部は、仕分けた薬剤に関するデータに返品元の情報を紐付ける。これにより、薬剤仕分装置1、または薬剤仕分装置1と接続された外部装置にて、仕分けた薬剤の返品元の履歴を管理することが可能となる。
【0169】
また、薬剤仕分装置1または外部装置は、返品された薬剤の集計処理(集計業務)において、病棟、診療科または施設ごとに、返品された薬剤数をカウントし、その結果を出力してもよい。
【0170】
(処方箋発行医師の指定)
薬剤の仕分開始前に、処方箋発行医師を選択できるようにし、仕分けられた薬剤を処方した医師を履歴として残すようにしてもよい。
【0171】
例えば、薬剤仕分装置1の制御部は、処方箋発行医師の情報を、ユーザ入力により取得してもよいし、当該医師に発行されている識別情報(例:IDカードに付されたバーコード)を読取って取得してもよい。また、当該情報を、病院内の錠剤分包機からマスタデータをダウンロードすることにより取得してもよい。これにより、制御部は、薬剤の仕分開始前に、第1収容部11に収容された薬剤を処方した医師を特定する。また、制御部は、仕分けた薬剤に関するデータに、当該薬剤を処方した医師の情報を紐付ける。これにより、薬剤仕分装置1、または薬剤仕分装置1と接続された外部装置にて、仕分けた薬を処方した医師の履歴を管理することができる。
【0172】
また、薬剤仕分装置1または外部装置は、返品された薬剤の集計処理(集計業務)において、医師ごとに、返品された薬剤数をカウントし、その結果を出力してもよい。
【0173】
〔薬剤仕分装置1の要部構成〕
薬剤仕分装置1は、上述のとおり種々の構成を備える。以下の(1)~(4)は、その種々の構成のうち、特に主要な構成の一例である。以下の(1)~(4)はあくまで一例であり、薬剤仕分装置1のその他の構成を主要な構成から除外するものではない。
【0174】
(1)薬剤仕分装置1は、複数種類の薬剤を混在した状態で収容する第1収容部(第1収容部11)と、上記薬剤を種類毎に仕分けられた状態で収容する第2収容部(第2収容部14)と、上記薬剤を撮像する撮像部(第1カメラ131)と、上記撮像部によって撮像された画像に基づき、上記薬剤の種類を判別する判別部(判別部64)と、上記判別部による判別結果に基づき、上記薬剤を種類毎に仕分けて上記第2収容部へ格納する仕分部(搬送・仕分ユニット12)と、を備える。
【0175】
(2)薬剤仕分装置1は、薬剤を撮像する撮像部と、撮像部によって撮像された画像に基づき、上記薬剤の種類を判別する判別部と、判別部による判別結果に基づき、上記薬剤を種類毎に仕分け置く仕分部と、判別部が判別した薬剤の種類毎に、撮像部が撮像した画像を分類する画像分類部(画像分類部65)を備える。
【0176】
(3)薬剤仕分装置1は、薬剤を撮像する撮像部と、薬剤に紫外光を照射する紫外光照射部(紫外光照射部134c)と、複数種類の薬剤に関する薬剤データを管理する薬剤データベースの中から、撮像された薬剤に関する薬剤データの候補を絞込む薬剤データ抽出部(判別部64)と、を備える。
【0177】
(4)薬剤仕分装置1は、薬剤を撮像する撮像部と、上記撮像部が撮像した画像のそれぞれにおいて上記薬剤の特徴を抽出するとともに、当該特徴同士を対比してこれらが同一とみなされるか否かにより、上記薬剤の種類を判別する判別部と、上記判別部により上記特徴同士が同一とみなされると判定された場合に、上記判別部が種類を判別した薬剤を、上記判別部がそれまでに種類を判別した薬剤を仕分けた位置と同じ位置に仕分け置く仕分部と、を備える。
【0178】
〔ソフトウェアによる実現例〕
薬剤仕分装置1の制御ブロック(特に搬送制御部61、仕分制御部62、撮像制御部63、判別部64、画像分類部65、操作入力部66、表示制御部67、RFID制御部68、印刷出力制御部69)は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、CPU(Central Processing Unit)を用いてソフトウェアによって実現してもよい。
【0179】
後者の場合、薬剤仕分装置1は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するCPU、上記プログラムおよび各種データがコンピュータ(またはCPU)で読み取り可能に記録されたROM(Read Only Memory)または記憶装置(これらを「記録媒体」と称する)、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などを備えている。そして、コンピュータ(またはCPU)が上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明の一態様は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0180】
以下に、薬剤仕分装置1の更なる構成及び処理等について説明する。但し、以下に示す説明において、上述した内容と重複する部分、又は具体的に記載した部分もあることに留意されたい。
【0181】
<種々の処理又は動作例>
(文字認識)
まず、判別部64による文字認識処理の一例について説明する。
図13の(a)~(d)は、文字認識処理の一例を説明するための図である。
【0182】
本例では、判別部64は、第1カメラ131が撮像した画像に含まれる薬剤に付与された複数の文字(例:数字)に対する認識処理を行う。この認識処理は、上述したようなOCR等を行うことで、薬剤の特徴を抽出する処理である。
【0183】
上記認識処理の対象となる薬剤は、搬送・仕分ユニット12によって薬剤載置台133aに載置される。このとき、薬剤の刻印又はプリントが印字された位置が所定方向を向くように、薬剤が載置されるわけではない。そのため、判別部64は、撮像された薬剤の画像を回転させながら上記認識処理を行う。この場合、薬剤に付された割線又はロゴ等の模様についても無理やり文字として認識してしまう可能性がある。
【0184】
そこで本例では、判別部64は、上記認識処理によって認識された複数の文字のうち、当該文字の大きさが所定範囲の大きさであり、かつ当該文字が列を形成していると判定した文字について、実際に薬剤に付された複数の文字であると判定する。
【0185】
判別部64は、
図13の(a)に示すように、文字と認識した部分(図中の矩形部分)が複数存在する場合、当該部分のそれぞれにおいて、長辺の長さh1、h2及びh3が、予め設定された長さの範囲(所定範囲)内であるか否かを判定する。長辺の長さh1、h2及びh3が所定範囲内であれば、判別部64は、各部分が所定範囲の大きさを有するものと判定する。
【0186】
上記所定範囲は、例えば、文字と認識された部分の長辺の長さ(高さ)を予め複数取得し、この高さの平均値を基準として設定されても構わない。所定範囲は、適宜調整できるが、例えば、平均値の0.8倍以上、平均値の1.2倍以下の範囲に設定される。所定範囲は、判別部64が薬剤に付された文字を認識できる程度の大きさに設定されていればよい。
【0187】
なお、本例では、長辺の長さを用いて、各部分の大きさが所定範囲の大きさであるか否かを判定しているが、これに限らず、短辺の長さ、又は各部分の大きさ(面積)を用いて判定しても構わない。
【0188】
判別部64は、各部分が所定範囲の大きさを有すると判定した場合、各部分の並びに直線性があるか否かを判定する。例えば、判別部64は、着目する部分の任意の1辺の端部と、当該部分から所定範囲にある部分の任意の1辺の端部とを結ぶ。この処理を、全ての部分について行う。判別部64は、このようにして結ばれた複数の線分が直線、又は直線とみなせる場合に、当該線分を形成する各部分の並びに直線性があると判定する。
【0189】
例えば、
図13の(b)に示すような薬剤の画像を取得した場合について考える。この例では、判別部64が数字の並びを正確に読取る例について説明する。
【0190】
判別部64は、
図13の(c)に示すように、上記認識処理によって、例えば、実際の文字「A」を文字「4」(図中の符号Ch1)として認識し、実際の文字「R」を文字「0」(図中の符号Ch2)として認識する。また、判別部64は、上記認識処理によって、例えば、実際の文字「E」の一部を文字「1」(図中の符号Ch3)として認識し、実際の割線の一部を文字「1」(図中の符号Ch4)として認識する。また、判別部64は、
図13の(d)に示すように、上記認識処理によって実際の文字「102」を文字「102」として、読み取っている。
【0191】
このような認識処理が行われた場合、実際に付されている文字「102」とは異なる数字列を読取ってしまうことになる。
【0192】
判別部64は、文字(上記部分)の大きさが所定範囲の大きさで、かつ当該文字の並びに直線性があるか否かを判定する。符号Ch3が付された部分は、所定範囲の大きさを有していないため、認識する文字から除外される。また、符号Ch1、Ch2及びCh4が付された部分は、その並びに直線性が無いものとして除外される。一方、実際の文字「102」については、画像において、「1」、「0」及び「2」の各部分の大きさが所定範囲の大きさを有しており、かつその並びに直線性があるものとして判定される。
【0193】
その結果、判別部64は、画像から数字列として、実際の薬剤に付された「102」のみを抽出する。このように、本例の判別部64によれば、正確に数字列を読取ることができる。なお、
図13の(b)~(d)では数字列を読取ることを例として説明したが、数字以外の文字列についても同様に判定できる。つまり、本例の判別部64によれば、薬剤に付された複数の文字の読取精度を向上させることができる。
【0194】
(撮像位置の特定)
次に、撮像制御部63による撮像位置の特定処理の一例について説明する。
図14の(a)~(e)は、撮像位置の特定処理の一例を説明するための図である。
【0195】
図14の(a)に示すように、配置領域Ar2に配置され、撮像対象となる薬剤を載置する薬剤載置台133aには、薬剤載置台133aを支持する軸部133cが設けられている。また、軸部133cは、配置領域Ar2に薬剤載置台133aが配置されたとき、第1カメラ131が回動する軸方向に略平行となる。
【0196】
本例の軸部133cには、撮像制御部63が撮像した画像を用いて撮影位置が適切であるか否かを判定するための模様が付された確認領域Crが設けられている。この判定を可能とするために、本例では、確認領域Crには、軸部133cの周方向において互いに異なる模様が付されている。また本例では、その模様として、軸部133cの周方向に複数種類の色が付されている。
【0197】
例えば、確認領域Crとしての軸部133cの周方向の少なくとも一部に、赤色、緑色、青色、橙色及び紫色がこの順で均等に付されている。この場合、
図14の(b)~(e)に示すように、第1カメラ131の撮像位置によって、第1カメラ131が撮像した画像に含まれる確認領域Cr内に存在する各色の割合が異なってくる。従って、
図14の(b)~(e)に示すような画像を、各撮像位置において予め撮像しておくことで、第1カメラ131が予め規定された位置から薬剤を撮像しているか否かを判定できる。
【0198】
具体的には、撮像制御部63は、薬剤の種類の判別のために撮像した画像を取得すると、当該画像に含まれる模様を、予め撮像した画像に含まれる模様(所定模様)と比較することで、第1カメラ131が適切な位置に配置されているか否かを判定する。
【0199】
本例では、撮像制御部63は、各撮像位置において、画像に含まれる確認領域Cr内に存在する各色の割合を予め求め、当該割合を記憶部80に記憶しておく。撮像制御部63は、薬剤の種類の判別のための撮像した画像に含まれる、確認領域Cr内に存在する各色の割合を求め、当該各色の割合(対象割合と称する)を、予め求めた各色の割合(参照割合と称する)と比較する。その結果、撮像制御部63は、対象割合が参照割合と略一致する(対象割合と参照割合との差が所定範囲にある)場合には、撮像位置が適切な位置であると判定する。
【0200】
例えば、撮像位置0°(配置領域Ar2の真上)から薬剤を撮像する場合、撮像制御部63は、第1カメラ131を撮像位置0°に配置した後、当該撮像位置から薬剤載置台133aに載置された薬剤を撮像する。撮像制御部63は、撮像した画像から対象割合を求めるとともに、撮像位置0°の参照割合を読出した後、対象割合を参照割合と比較する。これにより、撮像制御部63は、撮像した画像が、規定された撮像位置0°から撮像した画像であるか否かを判定できる。つまり、第1カメラ131が、規定された撮像位置0°から薬剤を撮像したか否かを判定できる。
【0201】
なお、撮像制御部63は、規定された撮像位置からずれていると判定した場合には、撮像位置を調整した後、調整後の撮像位置が適切な位置であるか否かを再度判定する。
【0202】
また、本例では、第1カメラ131の撮像範囲内となる軸部133cの周方向に、複数種類の色が付されているが、これに限らず、撮像制御部63が撮像位置を特定できるように、薬剤仕分装置1内に模様が付されていればよい。例えば、各撮像位置から撮像した画像に映る薬剤仕分装置1の、軸部133c以外の一部分(例:薬剤載置台133aの一部)に付された模様であっても構わない。また、色ではなく、凹凸形状等であっても構わない。但し、各撮像位置においてその模様の映り方が互いに異なる必要はある。また、軸部133cの周方向に複数種類の色が付される場合、撮像位置毎に一意の割合が求められるのであれば、上記5色に限られず、また、複数種類の色が均等に配置されている必要は無い。
【0203】
このように、撮像制御部63は、第1カメラ131が撮像した画像に含まれる、薬剤以外の所定部分の模様を、第1カメラ131が予め撮像した画像に含まれる所定模様と比較する。これにより、撮像制御部63は、第1カメラ131の撮像位置が予め規定された位置であるか否かを判定できる。そして、第1カメラ131の撮像範囲に模様を付しておくという簡易な手法で、撮像制御部63は、第1カメラ131が適切な位置から撮像しているか否かを認識できる。
【0204】
(吸着位置の特定)
次に、搬送制御部61による吸着位置の特定処理の一例について説明する。
図15の(a)~(c)は、吸着位置の特定処理の一例を説明するための図である。
【0205】
上述のように、搬送制御部61は、第1収容部11から第1カメラ131側(具体的には受入領域Ar1)へと薬剤を搬送する搬送・仕分ユニット12を制御する。本例の搬送制御部61は、更に、第2カメラ121が撮像した画像において薬剤が含まれると推定される薬剤推定領域の突出部分を含む突出領域内の位置を、吸着機構が薬剤を吸着する吸着位置として特定する。
【0206】
具体的には、搬送制御部61は、
図15の(a)に示すように、第2カメラ121が撮像した画像において、薬剤の吸着領域(ピッキング領域)を絞込んだ後、撮像した画像における輝度分布に基づき、薬剤推定領域Mrを複数抽出する。この輝度分布に基づく薬剤推定領域Mrの抽出には、例えば公知のWatershedアルゴリズムが用いられる。
【0207】
搬送制御部61は、
図15の(b)に示すように、抽出した複数の薬剤推定領域Mrのうちの最も大きい最大薬剤推定領域Mrmaxを特定する。搬送制御部61は、最大薬剤推定領域Mrmaxが所定形状、又は所定形状に類似した形状であるか否かを判定する。所定形状とは、薬剤固有の形状であり、例えば錠剤又はカプセルの形状である。つまり、画像において真円度又は矩形度が比較的高い形状である。
【0208】
搬送制御部61は、最大薬剤推定領域Mrmaxが所定形状とは異なる形状であると判定した場合、最大薬剤推定領域Mrmaxにおいて複数の薬剤が隣接又は重なっていると判定する。搬送制御部61は、例えば、最大薬剤推定領域Mrmaxと所定形状との一致度が所定値以下であると判定した場合、最大薬剤推定領域Mrmaxが所定形状とは異なる形状(つまり、薬剤として不自然な形状)であると判定する。
【0209】
搬送制御部61は、最大薬剤推定領域Mrmaxが所定形状とは異なる形状であると判定した場合、
図15の(b)に示すように、特定した最大薬剤推定領域Mrmaxに外接する外接矩形領域Rrを設定する。搬送制御部61は、設定した外接矩形領域Rrの外周に内接する所定領域において、最も突出した突出部分Ppを特定した後、その突出部分Ppを含む突出領域Prを特定する。
【0210】
その後、搬送制御部61は、特定した突出領域Pr内の任意の位置(例:突出領域Prの中心)を、吸着位置として特定する。
【0211】
第1収容部11において複数の薬剤が隣接又は重なっている場合、薬剤推定領域Mrの中央付近を吸着位置として特定しても、薬剤を吸着できない可能性がある。本例によれば、複数の薬剤が隣接又は重なっている場合であっても、薬剤が存在する可能性が高い位置を吸着位置として特定できる。そのため、より確実に薬剤を吸着することが可能となる。
【0212】
なお、本例では、最大薬剤推定領域Mrmaxを用いて吸着位置の特定を行ったが、これに限らず、最大薬剤推定領域Mrmax以外の薬剤推定領域Mrを用いて吸着位置の特定を行っても構わない。また、本例では、最大薬剤推定領域Mrmaxの形状が所定形状であるか否かを判定しているが、これに限らず、当該判定を行うことなく、抽出した複数の薬剤推定領域Mrのうちの1つの薬剤推定領域Mrを用いて吸着位置の特定を行っても構わない。
【0213】
(薬剤吸着範囲の特定)
次に、搬送制御部61又は仕分制御部62による薬剤吸着範囲の特定処理の一例について説明する。
図16の(a)~(d)は、薬剤吸着範囲の特定処理の一例を説明するための図である。
【0214】
本例の仕分制御部62(検出領域変更部)は、第2カメラ121が仕分カップ141を撮像した画像に、仕分カップ141の底部の少なくとも一部が含まれているか否かによって、仕分カップ141に収容された薬剤を検出するための検出領域を変更する。同様に、本例の搬送制御部61(検出領域変更部)は、第2カメラ121が第1収容部11を撮像した画像に、第1収容部11の底部の少なくとも一部が含まれているか否かによって、第1収容部11に収容された薬剤を検出するための検出領域を変更する。本処理は、仕分制御部62及び搬送制御部61の少なくとも何れか一方で行われればよい。
【0215】
この検出領域の特定処理を実現するために、本例では、
図16の(a)に示すように、仕分カップ141の底部にマークMkが設けられている。また、
図16の(b)に示すように、第1収容部11の底部にマークMkが付されている。本例では、マークMkが設けられたシートが底部に挿入されているが、底部に直接マークMkが形成されても構わない。検出領域の特定処理は、仕分制御部62及び搬送制御部61において同様であるため、以降では、仕分制御部62による処理を例に挙げて説明する。
【0216】
仕分制御部62は、第2カメラ121が撮像した画像に仕分カップ141の底部が含まれていない場合、
図16の(c)に示すように、仕分カップ141の底部の大きさBrよりも小さい範囲を検出領域Drとして特定する。本例では、仕分制御部62は、画像においてマークMkを認識できない場合、画像に底部が含まれていないと判定する。
【0217】
画像に底部が含まれていない場合、仕分カップ141に含まれる薬剤の数が多いと判断できる。そのため、仕分カップ141が所定の配置位置からずれて配置されることも考慮して、仕分制御部62は、底部の大きさBrよりも小さい範囲を検出領域Drとして特定する。
【0218】
一方、仕分制御部62は、撮像した画像に仕分カップ141の底部の少なくとも一部が含まれている場合、
図16の(d)に示すように、仕分カップ141の底部の大きさBrと略同一の範囲を、検出領域Drとして特定する。この検出領域Drは、本来設定されるべき検出領域Drである。本例では、仕分制御部62は、画像においてマークMkを認識できた場合、画像に底部が含まれていると判定する。
【0219】
画像に底部が含まれている場合、仕分カップ141に含まれる薬剤の数が少ないと判断できる。また、その薬剤は仕分カップ141の端部に付近に存在すると判断できる。そのため、仕分制御部62は、底部の大きさBrと略同一の範囲を検出領域Drとして特定する。なお、マークMkを基準として、検出領域Drの大きさを求めても構わない。
【0220】
このように、画像に底部が含まれているか否かによって検出領域Dr(具体的にはその大きさ)を変更することで、仕分カップ141又は第1収容部11に含まれる薬剤の数の多寡に応じた検出領域Drを特定できる。また、仕分カップ141又は第1収容部11の位置ずれに起因して薬剤を取出すことができない可能性を低減できる。つまり、上記の処理によれば、より確実に薬剤を取出すことが可能となる。
【0221】
上述した薬剤の取出し手法(第1取出し手法)は、仕分カップ141又は第1収容部11が略透明の場合に有用である。略透明である場合、例えば、仕分カップ141又は第1収容部11の底面は微細な凹凸形状となっており、かつその側面は略透明となっている。この場合、仕分制御部62又は搬送制御部61は、第2カメラ121が撮像した画像を解析したときに、底面と側面との境界部分を薬剤の一部として誤検出してしまう可能性がある。また、仕分制御部62又は搬送制御部61は、当該画像を解析したときに、当該境界部分に載置された比較的小さな薬剤を検出できない可能性がある。第1取出し手法によれば、このような可能性を低減できる。
【0222】
一方、仕分カップ141又は第1収容部11が色味(例:黒色)を有する場合、特に一色で統一されている場合、仕分制御部62又は搬送制御部61は、上記画像の解析において、上記境界部分の影響を受ける可能性を低減できる。そのため、仕分制御部62又は搬送制御部61は、輝度又は色等によって薬剤を安定的に検出できる。つまり、第1取出し手法を採用しなくても、仕分カップ141又は第1収容部11から薬剤を安定的に検出できる。
【0223】
また、仕分カップ141又は第1収容部11が色味を有する場合、例えば、第1取出し手法とは異なる第2取出し手法で、仕分カップ141から薬剤を取出しても構わない。この場合、例えば、仕分制御部62は、仕分カップ141の底面の中心付近に存在する薬剤から順に薬剤を吸着するように、当該底面に対して吸着機構を移動させる。具体的には、仕分制御部62は、まず薬剤の吸着領域として、底面の中心を含む、当該中心付近に絞った領域を特定し、当該領域内の薬剤を吸着するよう、吸着機構の位置を制御する。その後、仕分制御部62は、吸着領域を徐々に(例:2段階で)側面側へと広げていく。これにより、仕分カップ141において薬剤が積み上がっていたとしても、中心付近から薬剤を崩しながら吸着していくことが可能となる。なお、搬送制御部61は、同様の処理にて第1収容部11から薬剤を取出しても構わない。
【0224】
また、仕分カップ141又は第1収容部11が色味を有する場合、仕分制御部62又は搬送制御部61は、上記微細な凹凸形状を有する底面においては検出しにくかった略透明なカプセル、又は底面に起立した比較的小さな薬剤も安定的に検出できる。
【0225】
(薬剤及び仕分カップの指定)
次に、仕分制御部62による薬剤及び仕分カップ141の指定処理の一例について説明する。
図17の(a)及び(b)は、薬剤及び仕分カップ141の指定処理の一例を説明するための図である。具体的には、
図17の(a)は、薬剤データベースを変更(例:メンテナンス)するときのメンテナンス画像Im10である。
図17の(b)は、仕分カップ141のRFIDタグ(情報記録媒体)の記憶内容を初期化するときの初期化画像Im11である。
【0226】
なお、表示部32に表示対象となる画像については、画面と称されても構わない。例えば、メンテナンス画像及び初期化画像は、それぞれメンテナンス画面及び初期化画面と称されても構わない。その他、後述の仕分画像、鑑査画像、仕分薬剤一覧画像、表示色切替画像、返却元選択画像、拡大表示画像及び集計画像も、それぞれ仕分画面、鑑査画面、仕分薬剤一覧画面、表示色切替画面、返却元選択画面、拡大表示画面及び集計画面と称されても構わない。
【0227】
メンテナンス画像Im10の仕分グループ選択領域Gr1、及び、初期化画像Im11の仕分容器グループ設定領域Gr2は、仕分識別情報を設定するためのユーザ操作を受付ける領域である。仕分識別情報は、所定の仕分カップ141に仕分けることをユーザが希望する薬剤に対して付与される、薬剤を所定の仕分カップ141に仕分けるための情報である。
【0228】
具体的には、ユーザは、特定の仕分カップ141に特定の薬剤を仕分けたい場合、当該薬剤のメンテナンス画像Im10を表示部32に表示させ、当該メンテナンス画像Im10の仕分グループ選択領域Gr1に、仕分識別情報として、仕分グループを特定するための仕分グループ番号を入力する。
【0229】
また、ユーザは、初期化画像Im11を表示部32に表示させる。そして、初期化画像Im11の仕分容器グループ設定領域Gr2に、仕分識別情報として、メンテナンス画像Im10の仕分グループ選択領域Gr1に入力した仕分グループ番号と同じ仕分グループ番号を入力する。
【0230】
仕分グループ選択領域Gr1に入力された仕分グループ番号、及び、仕分容器グループ設定領域Gr2に入力された仕分グループ番号は、記憶部80に記憶される。そのため、仕分制御部62は、仕分グループ選択領域Gr1に入力された仕分グループ番号が付与された薬剤を、仕分容器グループ設定領域Gr2に入力された仕分グループ番号と同じ仕分グループ番号が付与された仕分カップ141を特定できる。つまり、搬送・仕分ユニット12は、特定の薬剤を特定の仕分カップ141に仕分けることができる。
【0231】
なお、仕分識別情報は、仕分カップ141を特定するための情報であっても構わない。この場合、仕分グループ選択領域Gr1及び仕分容器グループ設定領域Gr2にこの仕分識別情報が入力される。
【0232】
仕分カップ141は使いまわされるため、色付きの薬剤又はOD錠(口腔内崩壊錠)等、他の薬剤と接触させたくない薬剤を仕分ける場合には、使用後の仕分カップ141を清掃する必要があった。色付きの薬剤又はOD錠等の返品が多い病棟等においては、その清掃に時間を要する可能性がある。そのような薬剤については、仕分識別情報を用いることで、特定の仕分カップ141に仕分けることができる。そのため、当該薬剤を仕分けるための清掃作業を軽減又は不要とすることができる。
【0233】
(仕分位置の決定)
次に、仕分制御部62による仕分位置の決定処理の一例について説明する。仕分制御部62は、搬送・仕分ユニット12を制御することで、薬剤仕分装置1から取出す対象として特定された薬剤を、薬剤仕分装置1における薬剤の取出し側(第2収容部14において手前側の領域に配置された仕分カップ141)に仕分けても構わない。
【0234】
具体的には、仕分制御部62は、仕分けられた薬剤の返却先に関する返却先情報に基づき、ユーザによる目視鑑査結果を反映した薬剤に関する薬剤データを印字したジャーナルの要否を判定しても構わない。仕分制御部62は、ジャーナルが必要である薬剤であると判定した場合、当該薬剤を、薬剤仕分装置1から取出す対象として特定する。
【0235】
返却先情報は、薬剤に関する薬剤データのそれぞれに紐付けられて、記憶部80に記憶されている。返却先情報には、例えば、返却先又は返却補助装置に薬剤データを読取るリーダ(例:RFIDリーダ)が設けられているか否かを示すリーダ情報が含まれる。また、返却先情報には、返却先を示す情報として、例えば、薬剤仕分装置1に付属の分包機構6であるかを示す分包機情報が含まれる。
【0236】
返却先には、例えば、錠剤分包機、散薬分包機、薬剤棚、又は薬剤仕分装置1が備える分包機構6が含まれる。返却補助装置は、返却先(例:薬剤棚)へ返却するための装置である。また、少なくともリーダ情報は、薬剤仕分装置1とは異なる他設備又は他装置(例:上述の返却先又は返却補助装置)から取得する。
【0237】
ここで、返却補助装置は、例えば、薬剤に関する薬剤データ(例:薬剤の識別情報)及び返却先情報を、ジャーナルから読取ることが可能な読取部と、読取部が読取った薬剤データ及び返却先情報を表示する表示部と、を備えている。薬剤データ及び返却先情報が少なくともバーコード又は二次元コード等で表されている場合、読取部は、バーコードリーダで実現される。また、表示部は、読取部が読取った返却先情報に含まれる薬剤棚(例:棚番号)等の詳細な情報を表示する。表示部に返却先情報が表示されるため、ユーザが返却先を間違えてしまう可能性を低減できる。なお、返却先となる個々の薬剤棚に棚識別情報が付与されていても構わない。この場合、例えば、返却補助装置は、ジャーナルに付与された返却先情報に加えて、薬剤棚に付与された棚識別情報を読取る。返却補助装置は、読取ったこれらの情報の照合を行うことで、照合結果を報知する。これにより、返却補助装置を用いたユーザは、薬剤の返却先となる薬剤棚を間違える可能性をより低減できる。
【0238】
仕分制御部62は、薬剤を仕分けるときに、当該薬剤の返却先情報を参照することで、返却先が分包機構6であるか否かを判定する。また、仕分制御部62は、返却先が他設備又は他装置の場合、返却先にRFIDリーダが設けられているか否かを判定する。仕分制御部62は、返却先が他設備又は他装置で、かつ、返却先にRFIDリーダが設けられていないと判定した場合には、ジャーナルが必要な薬剤であると判定する。一方、仕分制御部62は、返却先が分包機構6であると判定した場合、又は、返却先にRFIDリーダが設けられていると判定した場合、ジャーナルが不要な薬剤であると判定する。
【0239】
仕分制御部62は、ジャーナルが必要な薬剤については、手前側の領域に配置された仕分カップ141に仕分けるように、搬送・仕分ユニット12を制御する。搬送・仕分ユニット12は、ジャーナルが必要である判定するたびに、例えば手前右側に配置された仕分カップ141から順に薬剤を収容していく。また、仕分制御部62は、ジャーナルが不要な薬剤については、奥側の領域に配置された仕分カップ141に仕分けるように、搬送・仕分ユニット12を制御する。搬送・仕分ユニット12は、ジャーナルが不要である判定するたびに、例えば奥左側に配置された仕分カップ141から順に薬剤を収容していく。
【0240】
ジャーナルは、仕分けられた薬剤が収容される仕分カップ141に挿入される。ユーザは、ジャーナルを仕分カップ141に挿入するとき、薬剤仕分装置1から取出す必要がある。上記の処理により、取出す必要がある薬剤(つまり、ジャーナルが必要となる薬剤)を、取出し易い手前側の仕分カップ141に収容できる。
【0241】
なお、取出す対象の薬剤を仕分ける仕分カップ141(つまり、取出す対象の薬剤が仕分けられる手前側の所定領域)を、予め設定していても構わない。
【0242】
また、返却先情報に、リーダ情報が含まれていなくても構わない。この場合、仕分制御部62は、例えば薬剤の返却先のみを用いて、ジャーナルの要否を判定しても構わない。
【0243】
例えば、仕分制御部62は、返却先が分包機の場合、分包機がどの分包機であるのかを特定することで、仕分けられる薬剤についてのジャーナルの要否を判定する。分包機毎にRFIDリーダが設けられているか否かを事前に把握することは可能であるため、分包機毎にジャーナルの要否を紐付けて記憶しておくことは可能である。この場合も、仕分制御部62は、RFIDリーダが設けられている分包機が返却先である薬剤については、ジャーナルが不要であるため、奥側の領域に配置された仕分カップ141へと仕分ける。一方、返却先が薬剤棚の場合には、ジャーナルが必要となる。そのため、仕分制御部62は、薬剤棚が返却先である薬剤については、手前側の領域に配置された仕分カップ141へと仕分ける。
【0244】
ここで、ジャーナルは、実際には次のように発行されても構わない。ユーザが、仕分カップ141を第1RFIDリーダ・ライタユニット5に載置することで、表示制御部67は、当該仕分カップ141のRFIDタグに記憶された情報を読取る。これにより、表示制御部67は、仕分カップ141に収容された薬剤の鑑査画像(後述)を表示する。ユーザは、鑑査画像を確認することで当該薬剤の目視鑑査を実行する。ユーザは、目視鑑査後、仕分カップ141に収容された薬剤の返却先に応じてジャーナルの要否を判断し、ジャーナルが必要な場合には、ジャーナル要否確認画像に対して、ジャーナル発行のためのユーザ入力を行う。印刷出力制御部69は、当該ユーザ入力を受付けた場合、印刷出力部4を制御することで、ジャーナルを発行する。ユーザは、発行されたジャーナルを、目視鑑査を行った仕分カップ141に挿入する。このように、仕分カップ141を第1RFIDリーダ・ライタユニット5に載置するごとにジャーナルを印字するようにすることで、ユーザがジャーナルを間違って他の仕分カップ141に挿入してしまうことを防止できる。
【0245】
また、仕分制御部62は、上述したように、錠剤分包機に実装されている薬剤を手前側の領域に、錠剤分包機に実装されていない薬剤を奥側の領域に、それぞれ仕分けても構わない。この場合、仕分けられた薬剤が錠剤分包機に実装されているか否かを示す情報は、例えば、当該薬剤に関する薬剤データに紐付けられて記憶部80に記憶されている。なお、仕分制御部62は、返却先情報によって、薬剤が錠剤分包機に実装されているか否かを判定しても構わない。
【0246】
また、仕分制御部62は、第2収容部14の手前側の領域に薬剤を仕分ける場合、第2収容部14の最も手前側の列から中央側に向けて順に薬剤を収容していく。また、仕分制御部62は、第2収容部14の奥側の領域に薬剤を仕分ける場合、第2収容部14の最も奥側の列から中央側に向けて順に薬剤を収容していく。
【0247】
(薬剤の形状の特定)
次に、判別部64による薬剤の形状の特定処理の一例について説明する。本実施形態では、第1カメラ131は、上述したように、θ=0°及び180°の位置から薬剤を撮像した後、薬剤の種類を1つに特定できなかった場合には、θ=45°及び135°の位置から薬剤を撮像する。
【0248】
ここで、錠剤については、一般に、平面視した場合の形状が略円形状であり、側面から見た場合の形状が略矩形状である。一方、カプセルについては、一般に、略円柱状(但し、端部は略半球状)である。そのため、カプセルを平面視した場合及び側面から見た場合、その形状はいずれも略矩形状である。
【0249】
従って、薬剤をθ=0°及び180°の位置から撮像した場合(つまり平面視する位置から撮像した場合)、薬剤が錠剤であるかカプセルであるかを判別できる。また、θ=0°及び180°の位置から撮像した画像に含まれる錠剤の形状は略円形状であるが、θ=45°及び135°の位置から撮像した画像に含まれる錠剤の形状は略矩形状である。つまり、θ=0°及び180°の位置から撮像した場合と、θ=45°及び135°の位置から撮像した場合とで、画像における錠剤の形状は異なる。一方、カプセルの場合は、いずれの位置から撮像しても、画像におけるカプセルの形状は略一致する。
【0250】
そこで、本例ではまず、判別部64は、第1カメラ131がθ=0°の位置(第1方向)又は180°の位置(第1方向と反対の方向である第2方向)から撮像した画像に含まれる薬剤の形状に基づき、薬剤が錠剤であるか否かを判定する。θ=0°の位置は、薬剤が載置される薬剤載置台133aの載置面と対向する位置(方向)である。
【0251】
例えば、判別部64は、これらの位置から撮像した画像から薬剤の形状を抽出し、記憶部80に記憶された、一般的な錠剤の形状との一致度を求めることで、当該薬剤が錠剤であるかカプセルであるかを判定する。第1カメラ131は、まずθ=0°又は180°の位置から薬剤を撮像する。そのため、薬剤判別処理の初期の段階で錠剤であるかカプセルであるかの絞込みを行えることで、薬剤判別処理の迅速化を図ることができる。
【0252】
一方、θ=0°又は180°の位置から撮像した画像に基づき、薬剤が錠剤であるか否かを判別部64が判定できない場合、第1カメラ131は、θ=45°又は135°の位置(つまり、上記載置面に対して斜め方向)から薬剤を撮像する。そして、判別部64は、θ=0°又は180°の位置から撮像した画像、及びθ=45°又は135°の位置から撮像した画像に含まれる薬剤の形状に基づいて、薬剤が錠剤であるか否かを判定する。例えば、判別部64は、θ=0°又は180°の位置から撮像した画像に含まれる薬剤の第1形状と、θ=45°又は135°の位置から撮像した画像に含まれる薬剤の第2形状とを比較することで、薬剤が錠剤であるか否かを判定する。
【0253】
上述したように、錠剤の場合、第1形状と第2形状とは異なるが、カプセルの場合、第1形状と第2形状とは略一致する。そのため、判別部64は、第1形状と第2形状とが略一致する(第1形状と第2形状との差が所定範囲にある)場合、薬剤がカプセルであると判定し、当該差が所定範囲外である場合には、薬剤が錠剤であると判定する。
【0254】
なお、本実施形態では、上記載置面と対向する位置がθ=0°の位置であるため、θ=0°の位置からの撮像方向を第1方向として説明したが、これに限られない。つまり、上記載置面と対向する位置から撮影する場合の撮影方向が第1方向であればよい。
【0255】
また、本実施形態では、第1カメラ131は、マニュアルフォーカス機能を有するものが採用されるが、オートフォーカス機能を有するものが採用されても構わない。第1カメラ131がオートフォーカス機能を有する場合、薬剤の高さに応じて、薬剤にピントを合わせることが可能となる。
【0256】
例えば、撮像制御部63は、予め登録された薬剤の直径を示す情報を用いて、ピントの調整を行う。カプセルの場合、薬剤の直径が薬剤載置台133aに載置されたときの薬剤の高さとなるため、当該直径の情報を用いてピントの調整を行う。一方、錠剤の場合、例えば、所定の直径以上の場合に適用する薬剤の高さと、所定の直径未満の場合に適用する薬剤の高さとを記憶部80に記憶しておく。撮像制御部63は、予め登録された薬剤の直径から適用される薬剤の高さを特定し、当該薬剤の高さに応じたピントの調整を行う。
【0257】
(薬剤固定情報の使用例)
次に、薬剤(薬剤の種類)を特定するための薬剤固有情報の使用例について説明する。一般に、薬剤固有情報は、薬剤を扱う装置毎に個別に割り当てられている。そのため、同じ薬剤であっても、例えば薬剤仕分装置1と、薬剤仕分装置1とは異なる他設備又は他装置(例:返却先としての錠剤分包機若しくは散薬分包機、又は返却補助装置)との間で、異なる薬剤固有情報が付与されている場合がある。
【0258】
例えば、薬剤仕分装置1では、任意の薬剤の薬剤固有情報として「001」、「002」及び「003」が記憶されており、他装置又は他設備では、当該薬剤固有情報として「002」及び「003」が記憶されているものとする。1つの薬剤につき複数の薬剤固有情報が記憶されている場合で、かつ、ジャーナルへの印字のために最初に登録された薬剤固有情報が用いられる場合、薬剤仕分装置1は、薬剤固有情報として「001」を採用する。つまり、薬剤仕分装置1は、薬剤固有情報として「001」が印字されたジャーナルを発行する。なお、薬剤固有情報が例えばGS1である場合、ジャーナルにはGS1バーコードとして印字される。
【0259】
この場合、ジャーナルに印字された薬剤固有情報を他装置又は他設備で読取ったとしても、他装置又は他設備では、薬剤固有情報として「001」を記憶していないため、照合ができない。そのため、他装置又は他設備に薬剤を返却できない。
【0260】
そこで本例では、印刷出力制御部69は、薬剤仕分装置1とは異なる他装置又は他設備である返却先又は返却補助装置から取得した、仕分けられた薬剤に係る複数の薬剤固有情報のうちの少なくとも1つの薬剤固有情報をジャーナルに印字する。
【0261】
具体的には、制御部は、返却先及び返却補助装置の全てから、これらの装置で管理されている全ての薬剤固有情報を返却先と紐付けて予め取得しておく。薬剤固有情報が薬剤データベースで管理されている場合、薬剤データベースを取得しても構わない。
【0262】
仕分けられた薬剤の返却先が特定されると、印刷出力制御部69は、特定された返却先(返却先が薬剤棚の場合には返却補助装置)で管理されていた、当該薬剤に係る複数の薬剤固有情報のうちの少なくとも1つを抽出する。薬剤データベースを取得している場合には、印刷出力制御部69は、特定された返却先又は返却補助装置で管理されていた薬剤データベースから、返却する薬剤の薬剤固有情報を抽出する。例えば、薬剤データベースから抽出した薬剤固有情報のファイルをテキスト変換したデータを、ジャーナルへの印字に用いる薬剤固有情報としても構わない。
【0263】
印刷出力制御部69は、抽出した薬剤固有情報を例えばGS1バーコードとして印字したジャーナルを発行する。これにより、返却先が有する薬剤固有情報を必ず用いてジャーナルを発行できるので、返却先で確実に照合を行うことができ、その結果、確実に薬剤を返却先に返却できる。
【0264】
特にGS1バーコードとして薬剤固有情報をジャーナルに印字する場合、1つの薬剤固有情報が印字されることが一般的である。そのため、特にジャーナルに薬剤固有情報が印字される場合において有用な処理といえる。
【0265】
なお、印刷出力制御部69は、薬剤仕分装置1が元々記憶している少なくとも1つの装置固有情報と、返却先から取得した少なくとも1つの装置固有情報とを比較し、一致する装置固有情報を、ジャーナルへの印字対象として特定しても構わない。
【0266】
また、仕分けられた薬剤を収容する仕分カップ141に設けられたRFIDタグに、返却先から取得した薬剤固有情報の少なくとも1つを記憶しても構わない。RFIDタグに記憶された薬剤固有情報を、返却先のRFIDリーダで読取る場合においても、返却先で確実に照合できる。
【0267】
(薬剤載置台の清掃動作)
次に、薬剤載置台133aの清掃動作例について説明する。
図18は、搬送・仕分ユニット12が備える吸着機構の一例を示す模式的な図である。
図18に示す吸着機構は、薬剤載置台133aの清掃動作に適した構成となっている。
【0268】
図18の例では、吸着機構は、吸着パッド122aと真空ポンプ122dとを結ぶ空気管122bの途中に、空気管122bに流れる空気の流量を制御する電磁弁122p’が設けられている。また、
図18に示すように、吸着機構は、空気管122bとして、空気を吸着パッド122aから排出する第1経路と、吸着パッド122aから空気を吸い上げる第2経路とを備える。第2経路上の、吸着パッド122aと電磁弁122p’との間には、吸着パッド122aから吸い上げられた粉塵等を収集するためのフィルタ122fが設けられている。フィルタ122fは取替え可能に設けられている。
【0269】
ここで、第1収容部11に薬剤が投入されたときに薬剤が砕け、その破片又は粉塵が第1収容部11に収容されている可能性がある。この場合、第1収容部11から搬送され、かつ薬剤載置台133aに載置された薬剤に、その破片又は粉塵が付着している可能性がある。また、埃等が薬剤に付着している場合もある。配置領域Ar2に配置された薬剤載置台133aは、薬剤載置台133aに載置された薬剤の種類の判別するために第1カメラ131の撮像対象となる。そのため、粉塵等の異物が付着した薬剤が薬剤載置台133aに載置されたり、当該異物が薬剤載置台133aに蓄積したりすると、撮像した画像において、薬剤の輪郭又は刻印等を正確に読取ることができない可能性がある。この場合、判別部64による薬剤の種類の判別に影響を及ぼす。また、衛生面を考慮すれば、異物は除去した方がよい。
【0270】
そこで本例では、搬送・仕分ユニット12を用いて薬剤載置台133aの清掃を行う。具体的には、搬送制御部61は、薬剤載置台133aを清掃する場合、薬剤載置台133aの底部の内面(内部底面)から所定距離離れた位置まで、吸着パッド122aを当該内部底面に近付ける。この状態において、搬送制御部61は、真空ポンプ122dに空気の引込みを行わせる。これにより、薬剤載置台133a内の異物は、吸着パッド122aを介して、フィルタ122fにおいて収集される。この動作により、薬剤載置台133aは清掃される。
【0271】
ここで、吸着機構は、薬剤を吸着するとともに、薬剤を放す動作を行う。空気管122bの経路が1つの場合、薬剤を放す動作を行うときに、フィルタ122fで収集した異物が逆流して、吸着機構の外部に排出されてしまう可能性がある。この場合、収集した異物を薬剤仕分装置1の内部(仕分カップ141を含む)に戻してしまうことになる。
【0272】
本例の吸着機構は、上述のように、空気管122bとして、空気を吸着パッド122aから排出する第1経路と、吸着パッド122aから空気を吸い上げる第2経路とを備える。異物を吸着するときには、真空ポンプ122dにより引き込まれた空気が第2経路を流れ、薬剤を放すときには、真空ポンプ122dにより排出された空気が第1経路を流れる。そのため、上記のように、フィルタ122fで吸着した異物が薬剤仕分装置1の内部に戻されてしまうという事態を回避できる。
【0273】
搬送制御部61は、吸着機構の動作を制御することにより、薬剤載置台133aの内部底面全体に対して吸着機構を移動させる。これにより、内部底面を全体的に清掃できる。また、搬送制御部61は、第2カメラ121が撮像した画像を解析することで、内部底面の少なくとも一部の領域のみを清掃対象としても構わない。
【0274】
なお、上記では、薬剤載置台133aの内部底面を清掃対象としたが、これに限らず、第1収容部11又は仕分カップ141の内部底面を清掃対象としても構わない。仕分カップ141が清掃対象となる場合、搬送制御部61の処理を仕分制御部62が行えばよい。
【0275】
(目詰まり回避動作)
図18に示す吸着機構は、フィルタ122fを備えることで、後段の空気管122b、電磁弁122p’又は真空ポンプ122dに粉塵等の異物が混入することを防止している。しかし、異物によりフィルタの目詰まりが発生した場合には、フィルタ122fを新たなフィルタと交換する必要がある。なお、
図5に示す吸着機構においても、空気管122bの、吸着パッド122a近傍にフィルタを設けることで、当該異物の混入を防止しても構わない。
【0276】
吸着機構に流量センサ(後述)が設けられている場合、搬送制御部61(又は仕分制御部62)は、空気管122b内の、薬剤を非吸着時の空気の流量が、所定の流量以下であるか否かを判定する。所定の流量は、薬剤が吸着可能な流量(薬剤の吸着に影響を与えない程度の流量)に設定されていればよい。搬送制御部61は、所定の流量以下であると判定した場合には、フィルタの目詰まりが発生していると判定する。このように判定した場合、搬送制御部61は、例えば回収トレイ16上に吸着機構を移動させ、吸着機構を制御することで、吸着パッド122aから空気を排出させる。これにより、フィルタに付着した異物を除去できるため、フィルタの使用期間(フィルタ交換までの期間)を長くできる。
【0277】
(薬剤載置台の汚れ検出)
薬剤が載置されていない状態の薬剤載置台133aを第1カメラ131で撮像することで、薬剤載置台133aに汚れ(例:異物)が存在するか否かを判定しても構わない。
【0278】
薬剤仕分装置1は、
図7を用いて説明したように、可視光を出射する可視光照射部(第1照射部134aおよび第2照射部134b)と、紫外光を出射する紫外光照射部134cとを備える。そのため、第1カメラ131は、可視光画像及び紫外光画像を取得できる。制御部は、可視光画像及び紫外光画像を用いて、薬剤載置台133aに汚れが存在するか否かを判定する。
【0279】
ここで、新品の状態である薬剤載置台133a(つまり、綺麗な状態の薬剤載置台133a)を予め撮像しておき、その可視光画像及び紫外光画像(それぞれ参照可視光画像及び参照紫外光画像と称する)を記憶部80に記憶しておく。
【0280】
例えば仕分開始時に、撮像制御部63は、薬剤が載置されていない薬剤載置台133aを、第1カメラ131を用いて撮像する。制御部は、この可視光画像及び紫外光画像(それぞれ対象可視光画像及び対象紫外光画像と称する)をそれぞれ、参照可視光画像及び参照紫外光画像と比較することで、対象可視光画像及び対象紫外光画像において、薬剤載置台133aの背景にある薬剤仕分装置1の部品(背景部分)を特定する。
【0281】
薬剤載置台133aは透明性を有するため、薬剤載置台133aの背景部分も可視光画像に映り込む。また、背景部分の材質によっては、紫外光画像において発光する場合もある。そのため、参照可視光画像と対象可視光画像との比較、又は、参照紫外光画像と対象紫外光画像との比較を行うことで、背景部分を汚れの判定対象から除去できる。
【0282】
制御部は、対象可視光画像において、背景部分とは異なる像が存在するか否かを判定する。制御部は、背景部分とは異なる像が存在すると判定した場合、その像の大きさが、所定の大きさ以上であるか否かを判定する。制御部は、所定の大きさ以上であると判定した場合、その像を汚れであると判定する。
【0283】
また、制御部は、対象紫外光画像において、背景部分とは異なる発光が存在するか否かを判定する。制御部は、背景部分とは異なる発光が存在すると判定した場合、その発光の強度が、所定の大きさ以上であるか否かを判定する。制御部は、所定の大きさ以上であると判定した場合、その発光が汚れに起因するものであると判定する。
【0284】
制御部は、薬剤載置台133aに汚れが存在すると判定した場合、例えば表示部32を介して、薬剤載置台133aの清掃を促す報知を行う。これにより、薬剤載置台133aの清掃が行われることで、汚れが判別部64による薬剤の種類の判別に影響を及ぼす可能性を低減できる。
【0285】
また、可視光画像の場合、埃を認識できない可能性がある。一方、紫外光画像の場合、埃を認識しやすい(埃は紫外光の照射を受けて発光しやすい)が、黒っぽい物体を認識できない可能性がある。可視光画像及び紫外光画像を解析し、その結果を用いて薬剤載置台133aの汚れの存在を判定することで、様々な汚れの特定が可能となる。
【0286】
なお、像の大きさの比較対象である所定の大きさ、及び発光の強度の比較対象である所定の大きさは、上記判別に影響を及ぼす程度の汚れを制御部が認識できる程度の大きさに設定されていればよい。また、汚れの判定において背景部分の影響が少ない場合には、撮像した画像を、参照可視光画像又は参照紫外光画像と比較する必要は必ずしもない。
【0287】
(薬剤の吸着可否判定)
次に、搬送制御部61又は仕分制御部62による薬剤の吸着可否判定について説明する。
【0288】
搬送・仕分ユニット12は、吸着機構の空気管122bに流れる空気の流量を検出する流量センサ(不図示)を備えていても構わない。この場合、搬送制御部61(又は仕分制御部62)は、吸着パッド122aで薬剤を吸着したことを、流量センサが検出する流量の変化に基づき判定できる。つまり、搬送制御部61は、当該吸着の判定を、圧力センサが検出する吸引力の変化に代えて、流量の変化に基づき判定できる。
【0289】
薬剤の吸着状態に変化があった場合(例:薬剤を吸着した状態、薬剤を吸着した状態から放した状態)でも、その変化を圧力センサが検出できる程度に、空気管122b内の圧力が変化するまでには時間がかかる。一方、流量の場合、薬剤の吸着状態の変化に追随してリアルタイムに変化する。そのため、圧力センサに代わり流量センサを用いて、搬送制御部61が薬剤の吸着可否を判定することで、圧力センサを用いた場合よりも、当該吸着可否の判定にかかる時間を短縮できる。
【0290】
なお、圧力センサと同様、搬送制御部61は、流量センサが検出する流量の変化に基づき、吸着機構の先端部から所定範囲まで薬剤が近づいたことを検出しても構わない。また、閾値を適宜設定しておくことで、搬送制御部61は、当該流量の変化に基づいて、吸着機構が吸着パッド122a自体を吸い込んでいるか否かの判定を行うこともできる。この判定についても、圧力センサを用いても行う場合よりも、流量センサを用いて行った場合の方が時間を短縮できる。
【0291】
(薬剤載置台に載置された薬剤の個数判定)
次に、撮像制御部63による、薬剤載置台133aに載置された薬剤の個数判定処理について説明する。薬剤載置台133aには、判別部64の判別対象となる薬剤が1つ載置されるが、薬剤載置台133aに薬剤が残ったまま別の薬剤が載置されてしまうといった不具合が生じる可能性もある。2個以上の薬剤が薬剤載置台133aに載置された状態では、判別部64による薬剤の種類の判別を適切に行うことができない可能性がある。
【0292】
そこで本例では、撮像制御部63は、薬剤載置台133aに2個以上の薬剤が載置されている場合には、エラーが発生したと判定する。例えば、撮像制御部63は、薬剤の表面(θ=0°の位置から撮像した画像における薬剤の像)に対する領域抽出処理において、薬剤が2個以上あると判定したとする。この場合、撮像制御部63は、薬剤の裏面(θ=180°の位置から撮像した画像における薬剤の像)に対する領域抽出処理を行わず、エラーが発生したと判定する。エラーが発生した場合、例えば表示部32を介してその旨を報知すると共に、制御部は、薬剤仕分処理を一時中断しても構わない。
【0293】
撮像制御部63は、薬剤載置台133aに2個以上の薬剤が載置されているか否かの判定を、例えば以下のように行う。
【0294】
まず、薬剤に付された色によって、画像における薬剤の明るさが異なるため、撮像制御部63は、第1カメラ131が撮像した画像において、輝度分布に基づき複数の領域を抽出する。例えば3種類の輝度分布に基づく領域に分類する場合、第1輝度閾値及び第2輝度閾値が予め設定されている。この場合、撮像制御部63は、第1輝度閾値以上の輝度を有する領域R(A)、第1輝度閾値未満、第2輝度閾値以上の輝度を有する領域R(B)、及び第2輝度閾値未満の輝度を有する領域R(C)に分類する。
【0295】
次に、撮像制御部63は、上記画像に対して形状特徴量による絞込み処理を行う。形状特徴量とは、薬剤ではない対象物の像を除去するために予め設定されている特徴量である。形状特徴量としては、例えば、薬剤として想定される面積、及び縁部の刻み度(ぎざぎざ度、凸面度)が挙げられる。撮像制御部63は、形状特徴量を参照することで、上記画像から、薬剤ではないと推定される領域を除去することで、薬剤と推定される領域のみを抽出する。
【0296】
次に、撮像制御部63は、薬剤と推定される領域において、領域R(A)、領域R(B)及び領域R(C)のいずれかのみを抽出する。ここで、領域R(A)は比較的明るい色が付された薬剤に対応する領域であり、領域R(C)は比較的暗い色が付された薬剤に対応する領域であり、領域R(B)はその中間色が付された薬剤に対応する領域であると推定される。
【0297】
撮像制御部63は、画像において、領域R(A)及び領域R(B)が抽出されている場合、当該領域が比較的明るい色が付された薬剤に対応する領域であると判定し、領域R(A)を抽出する。撮像制御部63は、画像において、領域R(B)及び領域R(C)が抽出されている場合、当該領域が比較的暗い色が付された薬剤に対応する領域であると判定し、領域R(C)を抽出する。撮像制御部63は、画像において、領域R(A)、領域R(B)及び領域R(C)が抽出されている場合、当該領域がその中間色が付された薬剤に対応する領域であると判定し、領域R(B)を抽出する。
【0298】
撮像制御部63は、領域R(A)、領域R(B)及び領域R(C)のいずれかを抽出した後、当該抽出した領域について、輝度分布に基づく分割処理(例:公知のWatershedアルゴリズムを用いた処理)を行う。これにより、抽出した領域中に輝度分布にて分割できる領域があれば、2以上の領域に分割される。
【0299】
そして、撮像制御部63は、最終的に得られた領域が薬剤に対応する領域であると判定し、その個数を計数する。撮像制御部63は、その個数が2以上ある場合には、エラーが発生したと判定する。
【0300】
図19の(a)~(d)は、上記個数判定処理の一例について説明するための図であり、第1カメラ131が撮像した画像である。
【0301】
図19の(a)の例では、撮像制御部63は、領域R(A)として、領域R1(A)及び領域R3(A)を抽出し、領域R(B)として、領域R2(B)を抽出し、領域R(C)として、領域R4(C)及び領域R5(C)を抽出する。
【0302】
次に、撮像制御部63は、
図19の(b)に示すように、形状特徴量を参照することで、明らかに薬剤の形状とは異なる領域R3(A)、領域R4(C)及び領域R5(C)を除外し、薬剤の形状を抽出し得る領域R1(A)及び領域R2(B)を抽出する。
【0303】
次に、撮像制御部63は、抽出した領域が領域R1(A)及び領域R2(B)であるため、
図19の(c)に示すように、領域R1(A)を抽出する。撮像制御部63は、抽出した領域R1(A)に対して輝度分布に基づく分割処理を行う。
図19の例では、
図19の(d)に示すように、撮像制御部63は、領域R1(A)を2つの領域を抽出する。つまりこの場合には、撮像制御部63は、薬剤載置台133aに薬剤が2つ載置されていると判定し、エラーが発生したと判定する。
【0304】
これにより、薬剤載置台133aに薬剤が1つ載置されているときのみ、判別部64に判別処理を行わせることができる。つまり、薬剤仕分処理を安全に行うことを可能にする。
【0305】
(予約設定)
また、表示制御部67は、薬剤の仕分開始時刻を予約するためのユーザ入力を受付可能な設定画像を表示部32に表示しても構わない。この場合、制御部は、設定された仕分開始時刻になった時点で、第1収容部11に収容された薬剤の仕分処理を開始する。そのため、仕分動作の開始まで薬剤仕分装置1をスリープモード(エコモード)に設定できるので、薬剤仕分装置1の消費電力を低減できる。また一般に、昼間よりも夜間の方が電気代は安い。そのため、薬剤仕分処理が夜間に行われるように仕分開始時刻が設定された場合には、電気代を更に低減できる。
【0306】
(持参薬鑑別及び再分包処理)
次に、薬剤仕分装置1による持参薬鑑別及び再分包処理について説明する。例えば他の病院に通院又は入院していた患者を受入れる場合、受入先である病院又は薬局において、他の病院又は薬局にて処方された薬剤(つまり持参薬)の鑑別を行うことになる。この場合、患者が持参した分包紙をほどいて持参薬に対する目視鑑査を行い、その後、医師による診察結果に基づいて再分包を行う必要がある。その持参薬の目視鑑査及び再分包処理に、薬剤仕分装置1を用いることができる。
【0307】
例えば、ユーザは、任意の一患者が持参した分包紙をほどいて、当該分包紙に内包されていた持参薬を第1収容部11へと収容する。薬剤仕分装置1は、第1収容部11に収容された持参薬を第2収容部14へと仕分ける。その後、ユーザによる目視鑑査が行われる。また、当該患者に対する医師の診察結果を受けて、当該患者に係る処方箋情報が入力される。薬剤仕分装置1の分包機構6は、第2収容部14に収容された持参薬を、入力された処方箋情報に基づいて再分包する。
【0308】
処方箋情報が入力されているので、持参薬に含まれていない新しい薬剤を追加して分包できる。また、持参薬に含まれていたが、処方箋情報に入力されていない薬剤については分包しないようにすることができる。
【0309】
(マスタ画像の配信可否判定)
次に、管理装置によるマスタ画像の配信可否判定処理について説明する。薬剤仕分装置1は、返品された薬剤を第1カメラ131で撮像した後、目視鑑査を行った画像を、薬剤名と紐付けてマスタ画像として登録できる。また、薬剤仕分装置1は、複数の場所(例:病院)に設置された場合、任意の場所に設置された薬剤仕分装置1で登録されたマスタ画像を、他の場所に設置された薬剤仕分装置1に配信することもできる。しかし、マスタ画像の信憑性を確認せずに、他の薬剤仕分装置1へ配信した場合、当該薬剤仕分装置1にて薬剤の種類の判別を誤ってしまう可能性がある。
【0310】
そこで本例では、複数の薬剤仕分装置1からマスタ画像を収集し、かつ複数の薬剤仕分装置1へとマスタ画像を配信可能な管理装置(不図示)において、マスタ画像の配信可否判定を行う。管理装置は、マスタ画像の配信可否判定を、例えば、
(A1)マスタ画像を登録した登録日、
(A2)薬剤仕分装置1への返品回数、
(A3)錠剤分包機又は散薬分包機に初めて返品された返品初日、及び、
(A4)錠剤分包機又は散薬分包機に最後に返品された返品最終日、という4つの観点から決定する。上記(1)~(4)の情報は、薬剤仕分装置1にて管理されており、登録したマスタ画像に紐付けて管理装置に送信される。
【0311】
管理装置は、薬剤仕分装置1からマスタ画像を受信すると、例えば、
(B1)登録日から所定日数経過しているか、
(B2)返品回数が所定回数に達しているか、
(B3)返品初日から所定日数経過しているか、及び、
(B4)返品最終日から所定日数経過しているか、を判定する。
【0312】
(B1)に関し、登録日から所定日数経過していない場合には、薬剤仕分装置1でマスタ画像が使用された回数(つまり目視鑑査に用いられた回数、換言すれば使用実績)が低い可能性が高いため、信憑性が低いマスタ画像であると判断できる。そのため、管理装置は、登録日から所定日数経過していない場合、配信対象のマスタ画像から除外する。
【0313】
(B2)に関し、返品回数が所定回数に達していない場合、マスタ画像の使用実績が少ないため、その信憑性が低いマスタ画像であると判断できる。そのため、管理装置は、返品回数が所定回数に達していない場合、配信対象のマスタ画像から除外する。
【0314】
(B3)に関し、返品初日から所定日数経過していない場合、たとえマスタ画像の使用実績が高い場合であっても(返品回数が所定回数に達していたとしても)、その後の目視鑑査において、誤ってマスタ画像の登録がなされていると判断される可能性もある。そのため、マスタ画像の信憑性を高めるため、管理装置は、返品初日から所定日数経過していない場合、配信対象のマスタ画像から除外する。
【0315】
(B4)に関し、返品最終日から所定日数経過している場合、錠剤分包機又は散薬分包機に最後に返品されてからしばらく使用されていないため、マスタ画像の信憑性に欠けると判断できる。そのため、管理装置は、返品最終日から所定日数経過している場合、配信対象のマスタ画像から除外する。
【0316】
このようにマスタ画像の配信可否を判定することで、薬剤仕分装置1に信憑性の高いマスタ画像を配信できる。
【0317】
なお、(B1)、(B3)及び(B4)の所定日数は、使用実績の観点から経験等に基づき設定されていればよく、(B1)、(B3)及び(B4)の所定日数はそれぞれ異なる日数が設定されてよい。また、(B2)の所定日数についても同様に設定される。
【0318】
<薬剤仕分から薬剤返却までの処理例>
以下に、薬剤仕分から薬剤返却までの処理例(薬剤返却方法の一例)について説明する。
図20は、薬剤仕分から薬剤返却までの処理の流れの一例を示す図である。本例では、薬剤仕分装置1にて複数種類の薬剤が種類毎に仕分けられるものとして説明する。
【0319】
図20に示すように、薬剤仕分装置1は、第1収容部11に複数種類の薬剤が投入されると、第2収容部14の仕分カップ141のそれぞれに、薬剤の種類毎に仕分けて収容する(薬剤仕分工程)。
【0320】
その後、薬剤仕分装置1は、薬剤仕分装置1で仕分けられた薬剤に対する目視鑑査を行うための鑑査画像Im2をタッチパネル3に表示する(表示工程)。つまり、ユーザは、タッチパネル3に表示された鑑査画像Im2を用いて、薬剤仕分装置1で仕分けられた薬剤に対する目視鑑査を行う(鑑査工程)。
【0321】
その後、薬剤仕分装置1は、鑑査画像Im2を用いた目視鑑査結果に基づき、目視鑑査後の薬剤を返却先である分包機200又は薬剤棚300に返却することを可能とするための処理を行う(返却準備工程)。つまり、ユーザは、目視鑑査結果(鑑査結果)に基づき、目視鑑査後の薬剤を、分包機200又は薬剤棚300に返却する(返却工程)。なお、分包機200としては、例えば錠剤分包機又は散薬分包機が挙げられる。
【0322】
上記工程を経ることにより、薬剤仕分装置1が仕分けた薬剤を、ユーザによる目視鑑査を経て返却先である分包機200又は薬剤棚300へと返却できる。
【0323】
次に、
図21及び
図22を用いて、鑑査画像Im2の表示方法について説明する。
図21、
図22の(a)及び(b)は、鑑査画像Im2の表示方法の一例を示す図である。
【0324】
薬剤仕分装置1は、薬剤の仕分動作を任意のタイミングで停止できる。薬剤仕分装置1は、例えば、仕分動作を停止するためのユーザ入力を受付けた場合、又は、第1収容部11に収容された薬剤の、第2収容部14への仕分が完了した場合に、仕分動作を停止する。薬剤仕分装置1は、仕分動作を停止した場合(例:薬剤の仕分動作が完了したと判定した場合)、
図21に示すように、薬剤の仕分状況を示す仕分画像Im1を表示する。なお、薬剤仕分装置1は、仕分動作中に仕分画像Im1を表示しても構わない。
【0325】
薬剤が仕分けられる複数の仕分位置のそれぞれと、当該仕分位置に配置される仕分カップ141と、仕分カップ141に収容された薬剤に関する薬剤データとは紐付けられて、記憶部80、及び仕分カップ141に設けられたRFIDタグに記憶されている。そのため、薬剤仕分装置1は、第2収容部14における複数の仕分位置と、仕分位置のそれぞれにおける仕分状況(例:収容された薬剤の個数)とを反映した、仕分画像Im1を表示できる。
【0326】
図21に示すように、薬剤仕分装置1は、仕分画像Im1に示された仕分位置に対するユーザ入力を受付けることで、当該仕分位置に対応付けられた薬剤の鑑査画像Im2をタッチパネル3に表示する。これにより、ユーザが目視鑑査を行うことを所望する薬剤の鑑査画像Im2を表示できる。
【0327】
また、薬剤仕分装置1は、第1収容部11に収容された薬剤がなくなるまで仕分を行う。第2収容部14に配置できる仕分カップ141の数が例えば40個である場合、薬剤仕分装置1は、第2収容部14に40種類の薬剤を収容できる。第1収容部11に41種類以上の薬剤が収容されている場合、薬剤仕分装置1は、第2収容部14に全ての薬剤を仕分けることができない。そのため、薬剤仕分装置1は、第2収容部14に配置された全ての仕分カップ141に薬剤が仕分けられている場合、41種類目以降の薬剤については、待機トレイ15へと仕分ける。
【0328】
この場合、薬剤仕分装置1は、待機トレイ15に収容された薬剤を仕分カップ141に収容するために、いずれかの仕分カップ141に収容された薬剤を取出し、分包機構6にて分包しても構わない。例えば、仕分けが完了した薬剤が収容された仕分カップ141が、分包機構6による自動分包の対象となる。
【0329】
なお、薬剤仕分装置1では、ユーザは、任意のタイミングで、仕分カップ141に収容された薬剤に対する目視鑑査を行うことができる。薬剤仕分装置1は、目視鑑査が行われた薬剤については仕分けが完了したものと判定すると共に、目視鑑査完了後の薬剤を取出し対象又は分包対象とすることができる。そのため、薬剤仕分装置1は、薬剤の仕分け中であっても、仕分カップ141に収容された薬剤に対する目視鑑査が行われた場合には、当該薬剤の仕分けが完了したものとして、当該薬剤を、上述のように分包機構6による自動分包の対象とすることができる。但し、薬剤仕分装置1は、薬剤の分包処理を行う場合、薬剤の仕分処理を一旦停止する。
【0330】
分包機構6は、
図22の(a)に示すように、自動分包の対象となった薬剤を分包した後、分包紙に、鑑査画像Im2を読出すためのバーコードを付与する。当該バーコードには、例えば、薬剤に関する薬剤データが含まれている。
【0331】
ユーザは、仕分けされた薬剤が分包されている場合には、バーコードリーダ(不図示)に、分包紙に付与されたバーコードに含まれる薬剤に関する薬剤データを読取らせる。薬剤仕分装置1は、バーコードリーダが読取った薬剤に関する薬剤データを用いて、当該データに紐付けられて記憶部80に記憶されている画像データを読み出すことで、当該薬剤の鑑査画像Im2をタッチパネル3に表示する。
【0332】
また、
図22の(b)に示すように、薬剤仕分装置1は、仕分カップ141に設けられたRFIDタグに記憶されたデータを用いて、鑑査画像Im2を表示しても構わない。この場合、ユーザは、返却先への返却対象となる薬剤が収容された仕分カップ141を取出し、第1RFIDリーダ・ライタユニット5に載置する。薬剤仕分装置1は、第1RFIDリーダ・ライタユニット5が読取った薬剤に関するデータを用いて、当該データに紐付けられて記憶部80に記憶されている画像データを読出すことで、当該薬剤の鑑査画像Im2をタッチパネル3に表示する。画像データがRFIDタグに含まれている場合、当該画像データを用いて、鑑査画像Im2をタッチパネル3に表示しても構わない。
【0333】
このように、
図22に示す方法によっても、ユーザが目視鑑査を行うことを所望する薬剤の鑑査画像Im2を表示できる。
【0334】
次に、目視鑑査完了後の返却方法について、
図23及び
図24を用いて説明する。
図23の(a)及び(b)、並びに
図24は、目視鑑査完了後の返却方法の一例を示す図である。
【0335】
返却先である分包機200に、仕分カップ141に設けられたRFIDタグに記憶されたデータを読出す機能が設けられている場合、例えば、
図23の(a)に示すような返却方法となる。
【0336】
具体的には、薬剤仕分装置1は、ユーザ入力又はユーザ操作に基づき、鑑査画像Im2を表示する。ユーザは、鑑査画像Im2を確認することで、任意の仕分カップ141に収容された薬剤の目視鑑査を行う。ユーザは、目視鑑査が完了した後、薬剤仕分装置1に対してその旨のユーザ入力を行う。薬剤仕分装置1は、当該ユーザ入力を受けて、目視鑑査結果を判定した当該薬剤に関するデータを、当該仕分カップ141のRFIDタグに記憶する。
【0337】
その後、ユーザは、当該仕分カップ141を分包機200まで運び、分包機200に設けられたRFIDリーダ(不図示)に、仕分カップ141のRFIDタグに記憶された薬剤に関するデータを読み出させる。これにより、ユーザは、仕分カップ141に収容された薬剤を、分包機200に設けられた、当該薬剤が収容されたカセット(不図示)に収容(返却)できる。この時、前記分包機200のカセットがロック付きの蓋を設けている場合、仕分カップ141のRFIDタグに記憶された、目視鑑査結果、即ち、本装置により確実に認識された薬剤の刻印またはプリントが示す情報(刻印情報または印字情報)に基づいて仕分けされた鑑査画像Im2をユーザーが目視鑑査した結果として、当該仕分カップ141の目視監査が全てOKであるという鑑査結果が記憶されていることが確認できたことを条件として、前記分包機200のカセットのロックを開錠するようにしてもよい。
【0338】
一方、返却先である分包機200に、仕分カップ141に設けられたRFIDタグに記憶されたデータを読出す機能が設けられていない場合、又は、返却先が薬剤棚300である場合、例えば、
図23の(b)に示すような返却方法となる。
【0339】
具体的には、ユーザは、目視鑑査の対象とする仕分カップ141を、第1RFIDリーダ・ライタユニット5に載置する。これにより、薬剤仕分装置1は、当該仕分カップ141のRFIDタグに記憶された薬剤に関するデータに基づき、鑑査画像Im2を表示する。その後、ユーザは、鑑査画像Im2を確認することで、当該仕分カップ141に収容された薬剤の目視鑑査を行う。ユーザは、目視鑑査が完了した後、薬剤仕分装置1に対してその旨のユーザ入力を行う。薬剤仕分装置1は、当該ユーザ入力を受けて、目視鑑査結果を反映した当該薬剤に関する薬剤データ及び返却先情報等を印字したジャーナルJoを発行する。
【0340】
その後、返却先が分包機200である場合、ユーザは、当該仕分カップ141及びジャーナルJoを分包機200まで運ぶ。そして、分包機200に設けられたバーコードリーダ(不図示)に、ジャーナルJoに印字されたバーコードに含まれた薬剤に関する薬剤データを読み出させる。これにより、ユーザは、仕分カップ141に収容された薬剤を、分包機200に設けられた、当該薬剤が収容されたカセットに収容(返却)できる。この時、前記分包機200のカセットにロック付きの蓋を設けている場合、ジャーナルJoに印字されたバーコードに含まれる目視鑑査結果、即ち、本装置により確実に認識された薬剤の刻印またはプリントが示す情報(刻印情報または印字情報)に基づいて仕分けされた鑑査画像Im2をユーザーが目視鑑査した結果として、当該仕分カップ141の目視監査が全てOKであるという鑑査結果が含まれていることが確認できたことを条件として、前記分包機200のカセットのロックを開錠するようにしてもよい。
【0341】
また、返却先が薬剤棚300である場合、ユーザは、上述の返却補助装置に設けられた読取部(例:バーコードリーダ)に、ジャーナルJoに印字されたバーコードに含まれた薬剤に関する薬剤データ及び返却先情報を読み出させる。これにより、ユーザは、仕分カップ141及びジャーナルJoを返却先である薬剤棚300まで運ぶと共に、仕分カップ141に収容された薬剤を、薬剤棚300の所定の位置に収容(返却)できる。この時、前記薬剤棚300がロック付きの扉を設けている場合、ジャーナルJoに印字されたバーコードに含まれる目視鑑査結果、即ち本装置により確実に認識された薬剤の刻印またはプリントが示す情報(刻印情報または印字情報)に基づいて仕分けされた鑑査画像Im2をユーザーが目視鑑査した結果として、当該仕分カップ141の目視監査が全てOKであるという鑑査結果が含まれていることが確認できたことを条件として、前記薬剤棚300の扉のロックを開錠するようにしてもよい。
【0342】
また、分包機構6で分包した薬剤を、分包機200又は薬剤棚300に返却する場合、例えば、
図24に示すような返却方法となる。例えば、上述したように、第2収容部14に配置された全ての仕分カップ141に薬剤が収容され、かつ待機トレイ15に薬剤が収容されている場合、仕分カップ141の薬剤を取出し、待機トレイ15の薬剤を仕分カップ141に収容することになる。この場合、仕分カップ141から取出された薬剤が分包機構6によって分包される。
【0343】
図23の(a)と同様、ユーザは、目視鑑査が完了した後、薬剤仕分装置1に対してその旨のユーザ入力を行う。薬剤仕分装置1は、当該ユーザ入力を受けて、目視鑑査結果を反映した当該薬剤に関するデータを、当該仕分カップ141のRFIDタグ及び記憶部80に記憶する。
【0344】
その後、薬剤仕分装置1は、RFIDタグ又は記憶部80に記憶された薬剤に関するデータを用いて、分包機構6による当該薬剤の分包を行う。このとき、薬剤仕分装置1は、薬剤に関する薬剤データ及び/又は返却先情報を、例えばバーコード形式で当該薬剤を分包した分包紙に付与する。ユーザは、
図23の(b)と同様、分包機200に設けられたバーコードリーダ、又は返却補助装置に設けられた読取部により、分包紙に印字されたバーコードに含まれた薬剤に関する薬剤データ及び/又は返却先情報を読み出させる。これにより、ユーザは、仕分カップ141に収容された薬剤を、分包機200のカセット、又は薬剤棚300の所定の位置に収容(返却)できる。この時、分包機200のカセットの蓋や、前記薬剤棚300が扉を有し、そこにロック機構を有するものであれば、前記分包紙に印字されたバーコードに含まれる目視鑑査結果、即ち、本装置により確実に認識された薬剤の刻印またはプリントが示す情報(刻印情報または印字情報)に基づいて仕分けされた鑑査画像Im2をユーザーが目視鑑査した結果として、当該仕分カップ141の目視監査が全てOKであるという鑑査結果が含まれていることが確認できたことを条件として、前記分包機200のカセットのロックや、前記薬剤棚300の扉のロックを開錠するようにしてもよい。
【0345】
(ジャーナルの一例)
次に、
図25を用いて、薬剤仕分装置1が発行するジャーナルの一例について説明する。
図25の(a)及び(b)は、ジャーナルの一例を示す図である。
図25の(a)は、任意の仕分カップ141に収容された全薬剤が同一種類の薬剤であるとの目視鑑査結果を受けて発行されるジャーナルJo1の一例を示す。この場合の目視鑑査結果を「目視OK」と称する。
図25の(b)は、任意の仕分カップ141に収容された薬剤のうち、少なくとも1つの薬剤の種類が他の薬剤の種類とは異なるとの目視鑑査結果を受けて発行されるジャーナルJo2の一例を示す。この場合の目視鑑査結果を「目視NG」と称する。
【0346】
図25の(a)に示すように、目視鑑査結果が「目視OK」である場合、ジャーナルJo1には、目視鑑査結果を示す薬剤に関する情報として、バーコード及び文字情報が印字される。バーコードに含まれる情報としては、例えば、薬剤固有情報(薬剤識別コード)の他、薬剤仕分装置1を特定するための装置固有情報、又は仕分カップ141に収容された薬剤の個数が挙げられる。
【0347】
ジャーナルJo1に装置固有情報又は個数の情報が記録されることで、分包機200に返却(充填)するときに、これらの情報を分包機200側で読出すことができる。装置固有情報が記録されている場合、いずれの薬剤仕分装置1で仕分けられた薬剤であるかを、分包機200側で判別できる。
【0348】
ジャーナルJo1に印字される文字情報としては、例えば、鑑査日時、鑑査者名、薬剤名、薬剤に付された刻印、仕分カップ141に収容されている薬剤総数、当該薬剤の薬価合計、仕分カップ141を識別するための容器固有情報、及び返却先を示す各情報が挙げられる。
【0349】
図25の(a)に示すように、ジャーナルJo1には、返却候補となる複数の返却先が印字されている。具体的には、返却先となる分包機200の種類、分包機200の機体番号、及び分包機200が備えるカセットのカセット番号が印字されている。また、薬剤棚300の棚番号が印字されている。
【0350】
一方、
図25の(b)に示すように、目視鑑査結果が「目視NG」である場合、ジャーナルJo2にも、目視鑑査結果を示す薬剤に関する情報として、バーコード及び文字情報が印字されるが、ジャーナルJo1とは以下の点で異なる。
【0351】
ジャーナルJo2は、仕分カップ141に「目視NG」の薬剤(他の薬剤とは異なる種類の薬剤)が収容されている場合に発行されるものであるため、バーコードに含まれる情報として、仕分カップ141に収容された薬剤の個数は含まれない。この場合、分包機200側では返却される薬剤の個数を特定できない。そのため、ジャーナルJo2には、目視鑑査の結果がNGである薬剤(上記「目視NG」の薬剤)を除去して残った薬剤(目視鑑査の結果がOKである薬剤)の個数を数え、かつその個数をユーザ入力するよう促す文章が印字される。また、ジャーナルJo2では、ジャーナルJo1で印字される薬剤総数の代わりに、目視鑑査の結果がOKである薬剤の個数(目視OK数)、及び目視鑑査の結果がNGである個数(目視NG数)が印字される。さらに、ジャーナルJo2では、
図25の(b)に示すように、目視鑑査結果が一目でわかるように「目視NG」の文字が印字される。
【0352】
なお、バーコードは、
図24に示す返却方法において分包紙にも付される。分包紙に付されるバーコードは、上述したバーコードであってよい。つまり、分包紙に付されるバーコードについても、「目視OK」か「目視NG」かによってバーコードに含まれる情報が異なっていても構わない。
【0353】
(表示画像例:仕分画像及び鑑査画像)
次に、
図26~
図29を用いて表示画像例について説明する。
【0354】
図26の(a)は仕分画像Im1の一例を示す図であり、(b)は仕分けた薬剤に係る情報を示す仕分薬剤一覧画像Im3の一例を示す図である。なお、
図26の(a)に示す仕分画像Im1は、
図11の(a)に示す表示画像の別例である。
図26の(a)に示す仕分画像Im1では、主としてその下段の構成が、
図11の(a)に示す表示画像とは異なる。ここでは、主として、仕分画像Im1において
図11の(a)に示す表示画像と異なる部分について説明する。また、
図27の(a)~(c)は、仕分画像Im1に対するユーザ入力を受付けたときに表示される画像の一例を示す図である。
【0355】
仕分画像Im1において、第2収容部14に配置された各仕分カップ141に対応する複数の矩形部分Rsは、ユーザ入力を受付け可能である。薬剤仕分装置1は、矩形部分Rsに対するユーザ入力により、当該矩形部分Rsに対応する鑑査画像Im2(
図28の(a)参照)を表示する。また、
図11の(a)と同様、薬剤仕分装置1は、薬剤が仕分けられた仕分カップ141に対応する矩形部分Rsには、仕分けられた薬剤の個数を表示する。
【0356】
「表示切替」ボタンBo1は、矩形部分Rsの色分け方法を選択するためのユーザ入力を受付ける操作ボタンである。薬剤仕分装置1は、「表示切替」ボタンBo1に対するユーザ入力を受付けると、
図27の(a)に示すような色分け方法を示す表示色切替画像Im4をポップアップ表示する。
【0357】
表示色切替画像Im4には、例えば、「返却先毎色分け」ボタンBo11、及び「目視鑑査状態毎色分け」ボタンBo12が含まれる。「返却先毎色分け」ボタンBo11は、返却先毎に色分けするためのユーザ入力を受付ける操作ボタンである。「目視鑑査状態毎色分け」ボタンBo12は、目視鑑査状態毎に色分けするためのユーザ入力を受付ける操作ボタンである。
【0358】
「返却先毎色分け」ボタンBo11にユーザ入力があった場合、薬剤仕分装置1は、例えば、仕分カップ141に収容された薬剤の薬剤名を判別している場合、当該薬剤に関する薬剤データに紐付けられた返却先情報を参照することで矩形部分Rsの色分けを行う。また、薬剤仕分装置1は、薬剤名を判別していない矩形部分Rs、及び薬剤が収容されていない仕分カップ141に対応する矩形部分Rsについては、薬剤名を判別している場合とは別の色で表示する。薬剤名が判別できていない矩形部分Rsと、薬剤が収容されていない仕分カップ141に対応する矩形部分Rsとは、互いに異なる色で表示されても構わない。返却先毎の矩形部分Rsの表示例としては、上述した
図12に示す表示画像が挙げられる。
【0359】
「目視鑑査状態毎色分け」ボタンBo12にユーザ入力があった場合には、薬剤仕分装置1は、例えば、(1)目視鑑査結果が「目視OK」である矩形部分Rs、(2)目視鑑査結果が「目視NG」である矩形部分Rs、及び(3)目視鑑査未実施の矩形部分Rsをそれぞれ色分けして表示する。
図26の(a)は、目視鑑査状態毎の色分け表示を行っている仕分画像Im1の一例である。なお、上記3種類の目視鑑査状態のうちの少なくとも1種類の目視鑑査状態が、他の目視鑑査状態と異なる色で表示されても構わない。
【0360】
また、仕分画像Im1には、薬剤仕分装置1による仕分けを開始及び停止するためのユーザ入力を受付ける「仕分」ボタンBo3、及び、分包機構6による分包を開始及び停止するためのユーザ入力を受付ける「分包」ボタンBo4が含まれる。
【0361】
本実施形態では、薬剤仕分装置1による薬剤仕分処理と、分包機構6による分包処理とが同時に処理できない仕様であっても構わない。当該仕様の場合、
図26の(a)に示すように、例えば薬剤仕分処理中であれば、「分包」ボタンBo4は非アクティブな状態となる(仕分けを停止するためのボタン(四角いボタン)のみアクティブな状態となる)。一方、分包処理中であれば、「仕分」ボタンBo3が非アクティブな状態となる(分包を停止するためのボタン(四角いボタン)のみアクティブな状態となる)。なお、薬剤仕分装置1が分包機構6を備えていない場合には、「分包」ボタンBo4は表示されなくてよい。
【0362】
また、「返却元選択」ボタンBo5は、薬剤の返却元を選択するためのユーザ入力を受付ける操作ボタンである。返却元とは、薬剤仕分装置1に投入される前に薬剤が保管されていた場所であり、例えば病棟、診療科、又は施設(例:医療機関)である。「返却元選択」ボタンBo5に対するユーザ入力を受付けると、薬剤仕分装置1は、例えば
図27の(b)に示す返却元選択画像Im5を表示する。例えば、薬剤仕分装置1が分包機200と連動している(通信可能に接続されている)場合には、薬剤仕分装置1は、分包機200が設置された病棟等を特定する情報(例:病棟ID)を取得できる。そのため、薬剤仕分装置1は、病棟ID等を特定する情報を、投入された薬剤に関する薬剤データに紐付けて、記憶部80又は仕分カップ141のRFIDタグに記憶できる。
【0363】
図27の(b)に示す返却元選択画像Im5に表示された返却元が選択されると、
図26の(a)に示す返却元(図中では「未選択」と表示)に、選択された返却元が表示される。
【0364】
「分包対象選択」ボタンBo6は、分包機構6による薬剤の分包方法を選択するためのユーザ入力を受付ける操作ボタンである。「分包対象選択」ボタンBo6に対するユーザ入力を受付けると、薬剤仕分装置1は、例えば
図27の(c)に示すようなポップアップ表示を行う。
図27の(c)の例では、(1)仕分けられた全薬剤を分包機構6で分包する「全分包」ボタンBo61、(2)仕分けられた全薬剤のうち、目視鑑査が完了した薬剤のみを分包機構6で分包する「目視完了のみ」ボタンBo62、(3)仕分けられた全薬剤のうち、返却先において未実装の薬剤のみを分包機構6で分包する「未実装のみ」ボタンBo63、及び、(4)仕分けられた全薬剤のうち、ユーザが個別に選択した仕分カップ141に収容された薬剤のみを分包機構6で分包する「選択のみ」ボタンBo64、が表示される。ユーザによる選択に従って、
図26の(a)に示す分包方法(図中では「未選択」と表示)に、選択された分包方法が表示される。なお、仕分けられた薬剤に関する薬剤データに返却先情報が紐付けられている場合がある。この場合、「分包対象選択」ボタンBo6に対するユーザ入力は、返却先情報が示す返却先が分包機構6である薬剤を収容した仕分カップ141に対応する矩形部分Rsについてのみ適用されるものであっても構わない。
【0365】
「仕分け一覧」ボタンBo7は、仕分画像Im1から仕分薬剤一覧画像Im3へと表示画像を切替えるための操作ボタンである。「仕分け一覧」ボタンBo7にユーザ入力があった場合には、薬剤仕分装置1は、仕分薬剤一覧画像Im3の表示に切替える。
【0366】
仕分薬剤一覧画像Im3は、
図26の(b)に示すように、薬剤仕分装置1による仕分の履歴を薬剤の種類毎に示すものである。記憶部80又は仕分カップ141のRFIDタグには、仕分薬剤一覧画像Im3を生成可能なように、薬剤に関する薬剤データ、仕分カップ141を特定するための容器固有情報、仕分カップ141に収容された薬剤の個数、及び返却先情報等が紐付けられて記憶されている。
【0367】
仕分薬剤一覧画像Im3に含まれる任意の薬剤が選択された状態で、かつ「目視鑑査」ボタンBo31に対するユーザ入力を受付けると、薬剤仕分装置1は、当該薬剤の鑑査画像Im2を表示する。また、仕分薬剤一覧画像Im3に含まれる薬剤の一覧は、ユーザ入力により上下方向にスクロールでき、またソートできる。また、仕分薬剤一覧画像Im3の「容器一覧」ボタンBo32に対するユーザ入力を受付けることで、薬剤仕分装置1は、仕分薬剤一覧画像Im3から仕分画像Im1の表示に切替える。
【0368】
なお、仕分画像Im1は、薬剤仕分装置1による薬剤仕分処理中の薬剤の仕分状態(現在の仕分状態)を示す表示画像である。一方、仕分薬剤一覧画像Im3は、薬剤仕分処理中の薬剤の仕分状態に加え、薬剤仕分装置1による過去の薬剤の仕分状態を含む表示画像である。つまり、仕分薬剤一覧画像Im3を表示することで、ユーザは、例えば、過去に仕分けた目視鑑査未完了の薬剤に関する情報を確認できる。
【0369】
図28の(a)~(c)は、鑑査画像Im2の一例を示す図である。なお、
図28の(a)及び(b)に示す鑑査画像Im2は、
図11の(b)に示す表示画像の別例である。主として、鑑査画像Im2において
図11の(b)に示す表示画像と異なる部分について説明する。
【0370】
図28の(a)に示すように、薬剤仕分装置1は、仕分画像Im1又は仕分薬剤一覧画像Im3において任意の薬剤が選択されると、当該薬剤の鑑査画像Im2を表示する。鑑査画像Im2の「目視鑑査開始」ボタンBo21に対するユーザ入力を受付けると、薬剤仕分装置1は、
図28の(b)に示すような、目視鑑査の確認結果を受付可能な鑑査画像Im2を表示する。
【0371】
図28の(b)に示す鑑査画像Im2には、表示された薬剤(仕分カップ141に収容された薬剤)について目視鑑査結果を一括登録可能な「一括OK」ボタンBo22及び「NGあり」ボタンBo23が含まれる。この「一括OK」ボタンBo22及び「NGあり」ボタンBo23は、
図11の(b)に示す表示画像に含まれる「登録」ボタンに代わる操作ボタンである。
【0372】
「一括OK」ボタンBo22に対するユーザ入力を受付けると、薬剤仕分装置1は、表示された全薬剤の目視鑑査結果が「目視OK」であるものとして、当該目視鑑査結果を、当該薬剤が収容された仕分カップ141のRFIDタグに書込む。一方、「NGあり」ボタンBo23に対するユーザ入力を受付けると、薬剤仕分装置1は、表示された全薬剤のうちの少なくとも1つの薬剤の目視鑑査結果が「目視NG」であるものとして、当該目視鑑査結果を、当該薬剤が収容された仕分カップ141のRFIDタグに書込む。
【0373】
また、
図28の(a)及び(b)に示す鑑査画像Im2において、仕分カップ141に収容された薬剤の画像(撮像ユニット13により撮像された薬剤の可視光薬剤)に対するユーザ入力を受付けると、薬剤仕分装置1は、
図28の(c)に示すように、当該薬剤の拡大表示画像Im6を表示する。
【0374】
拡大表示画像Im6の拡大表示領域R21には、選択された薬剤の拡大画像が表示される。撮像ユニット13により撮像された薬剤の表面及び裏面の画像が表示される。また、正画像表示領域R22には、選択された薬剤の、薬剤データベースに登録された画像(マスタ画像)(例:裸錠画像)及び大きさが表示される。
【0375】
選択された薬剤について目視鑑査結果が「目視OK」であれば、薬剤仕分装置1は、「目視OK」ボタンBo22に対するユーザ入力を受付けることで、当該薬剤の目視鑑査結果として「目視OK」を受付ける。一方、「目視NG」であれば、薬剤仕分装置1は、「NGあり」ボタンBo23に対するユーザ入力を受付けることで、当該薬剤の目視鑑査結果として「目視NG」を受付ける。
【0376】
また、
図28の(a)及び(b)に示す鑑査画像Im2では、撮像された薬剤の画像に対するユーザ入力により、当該画像を拡大又は縮小できる(例:ピンチイン又はピンチアウト)。これにより、
図28の(a)及び(b)に示す鑑査画像Im2では、
図11の(b)に示す表示画像の、表示サイズを変更するための「表示サイズ」ボタンが不要となる。
【0377】
なお、薬剤仕分装置1は、鑑査画像Im2において、仕分カップ141に収容された複数の薬剤の画像について、薬剤データベースに登録された当該薬剤の画像とのマッチング精度の高い順に(例えば左上から)並べても構わない。或いは、マッチング精度の低い順に(例えば左上から)並べても構わない。これにより、作業者が最も視覚的に見易い位置から順に、マッチング精度の低い薬を表示することができ、目視鑑査の効率と精度を向上させることができる。なお、ユーザーが仕分カップ141に収容された薬剤を、分包機200の当該薬剤が収容されたカセット(不図示)に収容(返却)したり、薬剤棚300の所定の位置に収容(返却)する場合において、前記カセットの蓋や棚の扉にロック機構を有するものであれば、返却しようとする当該仕分カップ141に収容された全ての薬剤のマッチング精度が所定値以上であることを条件として、前記カセットの蓋や棚の扉のロック機構が開錠されるようにしてもよい。前記マッチング精度は、薬剤仕分装置1により認識される薬剤の刻印またはプリントが示す情報(刻印情報または印字情報)の認識の確実性の高さに基づいてレベルや閾値を設定してもよい。
【0378】
次に、
図29の(a)~(c)は、鑑査画像Im2の別例を示す図である。
図29の(a)~(c)に示すように、薬剤仕分装置1は、目視鑑査の実行有無、及び目視鑑査結果を反映した鑑査画像Im2を表示しても構わない。
【0379】
例えば、
図29の(a)及び(b)に示すように、薬剤仕分装置1は、「一括OK」ボタンBo22に対するユーザ入力を受付けた場合と、「NGあり」ボタンBo23に対するユーザ入力を受付けた場合とで、表示方法を異ならせても構わない。例えば、薬剤仕分装置1は、
図29の(a)に示すように、「一括OK」ボタンBo22に対するユーザ入力を受付けると、監査対象となった薬剤の表示領域R23の全体を所定模様(例:緑色)で囲む。一方、薬剤仕分装置1は、
図29の(b)に示すように、「NGあり」ボタンBo23に対するユーザ入力を受付けると、表示領域R23の全体を上記所定模様とは異なる模様(例:黄色)で囲む。
【0380】
また、
図29の(c)に示すように、薬剤仕分装置1は、表示領域R23に表示された個々の薬剤の画像に対して、目視鑑査の実行有無、及び目視鑑査結果が判別可能な模様を付した鑑査画像Im2を表示しても構わない。例えば、各薬剤について、目視鑑査未実行、目視鑑査結果が「目視OK」、及び目視鑑査結果が「目視NG」の3つの状態が判別可能な模様が付される。
図29の(c)では、表示領域R23の上2段の各薬剤の画像については目視鑑査未実行を示す模様が付されており(例:青色で囲まれている)、下3段の各薬剤の画像については「目視OK」を示す模様が付されている(例:緑色で囲まれている)。
【0381】
(表示画像例:集計画像)
次に、
図30及び
図31を用いて表示画像例について説明する。
図30は、薬剤仕分装置1により仕分けられた薬剤の集計業務に係る表示画像(集計画像Im7)例を示す図である。薬剤仕分装置1は、薬剤の集計業務を行うためのユーザ入力を受付けることにより、
図30に示すような集計画像Im7を表示する。集計画像Im7は、例えば「集計期間」、「出力区分」、「出力単位」及び「ジャーナル出力形式」を特定するためのユーザ入力を受付けることが可能である。薬剤仕分装置1は、これらのユーザ入力に従い、集計結果の表示(例:CSV(Comma Separated Value)出力)又はジャーナルによる出力を行う。
【0382】
「集計期間」においては、ユーザが所望する集計期間が設定される。
【0383】
「出力区分」においては、集計結果の出力方法が設定される。「出力区分」の選択項目として、例えば「仕分け結果集計」及び「本体エラー履歴集計」がプルダウン表示される。「仕分け結果集計」が選択されると、薬剤仕分装置1は、仕分けられた薬剤に関する集計を行う。「本体エラー履歴集計」が選択されると、薬剤仕分装置1は、薬剤仕分装置1におけるエラーの履歴を集計する。薬剤仕分装置1は、搬送・仕分ユニット12の動作エラー、薬剤仕分装置1における通信エラー、又は吸着機構による薬剤の吸着ミス等の不具合が生じたときのログを記憶しておくことで、当該ログをエラーの履歴として集計する。
【0384】
「出力単位」においては、仕分けられた薬剤に関する集計を行うときの出力方法が設定される。「出力単位」の選択項目として、例えば「薬品別」、「薬品種類別」、「薬効分類別」、「返品元別(病棟/診療科/施設)」及び「利用者別」がプルダウン表示される。薬剤仕分装置1は、選択された項目に応じて、薬剤毎、薬剤の種類毎、薬効毎、返品元毎、又は利用者(ユーザ)毎に、仕分けられた薬剤に関する集計を行う。
【0385】
「ジャーナル出力形式」においては、仕分けられた薬剤の集計結果をジャーナルに印字して出力するときの出力方法が選択される。「ジャーナル出力形式」の選択項目として、例えば「仕分け薬品数(薬品別)」、「仕分け薬価(薬品別)」、「仕分け薬品数、薬価(薬品別)」及び「仕分け薬品数、薬価(総合計)」がプルダウン表示される。薬剤仕分装置1は、選択された項目に応じて、仕分けられた薬剤毎の個数、仕分けられた薬剤毎の薬価(合計、すなわち薬剤の個数×薬剤の単価)、仕分けられた薬剤毎の個数及び薬価(合計)、又は、仕分けられた全薬剤の個数及び薬価の総合計について集計を行う。
【0386】
図31の(a)~(d)は、集計結果がジャーナルにより出力されるときの出力例を示す図である。
【0387】
図31の(a)は、仕分けられた薬剤毎に、薬剤の個数がジャーナルに印字されている例である。この例では、集計画像Im7において、「ジャーナル出力形式」として「仕分け薬品数(薬品別)」が選択されている。
図31の(b)は、仕分けられた薬剤毎に、薬剤の薬価がジャーナルに印字されている例である。この例では、集計画像Im7において、「ジャーナル出力形式」として「仕分け薬価(薬品別)」が選択されている。
図31の(c)は、仕分けられた薬剤毎に、薬剤の個数及び薬価の両方がジャーナルに印字されている例である。この例では、集計画像Im7において、「ジャーナル出力形式」として「仕分け薬品数、薬価(薬品別)」が選択されている。
図31の(d)は、仕分けられた薬剤全体の個数及び薬価がジャーナルに印字されている例である。この例では、集計画像Im7において、「ジャーナル出力形式」として「仕分け薬品数、薬価(総合計)」が選択されている。
【0388】
なお、
図31の(a)~(c)のジャーナル出力例では、仕分けられた全薬剤の個数及び薬価の総合計もあわせて印字されているが、この印字は任意である。
【0389】
集計業務時に、このような集計画像Im7へのユーザ入力を受付けることにより、薬剤仕分装置1は、例えば、「仕分け処理回別(病棟、診療科又は施設別)」及び「指定期間別」に、仕分けた薬剤の集計を行うことができる。また、薬剤仕分装置1は、「薬剤別」、「薬効別」又は「薬種別」に、薬剤の個数(仕分錠数)又は薬価(合計)を集計できる。そして、薬剤仕分装置1は、集計結果を表示又はジャーナルへの印字により出力できる。なお、薬価については各薬剤の単価を出力しても構わない。また、薬剤仕分装置1は、仕分できなかった薬剤についても、例えばその個数(総錠数)を集計して出力しても構わない。
【0390】
<仕分カップの構成例>
以下に、仕分カップ141の具体的な構成例について説明する。
図32の(a)は、仕分カップ141の具体的な構成の一例を示す図である。
図33は、
図32の(a)に示す仕分カップ141の6面図である。
【0391】
仕分カップ141は、上述のとおり、第2収容部14に配置されることで、薬剤仕分装置1(具体的には搬送・仕分ユニット12)によって仕分けられた薬剤を収容する仕分容器である。
【0392】
図32の(a)及び
図33に示すように、仕分カップ141は、側壁143(外壁)及び底部144から構成される略直方体形状を有する。つまり、開口142側から見たときの、仕分カップ141の形状(開口142及び底部144の形状)は略矩形状である。この場合、仕分カップ141が略円柱形状である場合に比べ、第2収容部14に隙間なく仕分カップ141を配置できる。そのため、第2収容部14における仕分カップ141の収容スペースを有効活用できる。なお、本実施形態では、仕分カップ141の形状における「矩形」には、4隅が曲線で接続されている場合も含む。
【0393】
また特に、開口142側から見たときの、仕分カップ141の形状が略矩形状である場合、第2収容部14に仕分カップ141を配置したときの、仕分カップ141の方向性を規定できる。つまり、複数の仕分カップ141のそれぞれの長辺(又は短辺)が同じ方向を向くように、複数の仕分カップ141を整列して配置できる。なお、第2収容部14において、仕分カップ141の載置場所をこの仕分カップ141の形状に合わせて形成しておくことで、複数の仕分カップ141を隙間なく、かつ所定の方向に一律に配置できる。
【0394】
仕分カップ141では、搬送・仕分ユニット12により仕分けられた薬剤が挿入される開口142は、側壁143によって仕分カップ141の上面に形成されている。また、側壁143の上部は、開口142の外周としての縁部145を規定している。
【0395】
また、搬送・仕分ユニット12が搬送した薬剤を仕分カップ141へ収容し易いように、及び、仕分カップ141に収容された薬剤を取出し易いように、底部144の大きさよりも開口142の大きさの方が大きくても構わない。つまり、底部144の垂線を含む平面で切った仕分カップ141の断面形状(側壁143側から見た仕分カップ141の断面形状)は、開口142側よりも底部144側の方が小さい略台形状であっても構わない。これに限らず、仕分カップ141は、直方体形状(底部144の大きさと開口142の大きさが略同一)であっても構わない。
【0396】
仕分カップ141には、縁部145の少なくとも一部に凸部146が設けられている。具体的には、縁部145を構成する複数の辺の少なくともいずれかに凸部146が設けられている。つまり、縁部145は、凸部146と、凸部146以外の部分である基底部148とから構成されている。
【0397】
ユーザは凸部146を把持することで、第2収容部14に配置された仕分カップ141を持ち上げることができる。つまり、縁部145に凸部146を設けることで、第2収容部14に収容された複数の仕分カップ141のそれぞれを、第2収容部14から取出し易くできる。
【0398】
図32の(a)では、縁部145の4辺のそれぞれに1つの凸部146が設けられている。また、隣接する2辺のそれぞれに設けられた凸部146は互いに隣接している。そして、互いに隣接している隣接部分146aの高さ146hは同じである。これにより、凸部146を広くできるので、仕分カップ141の取易さが向上する。
【0399】
また、
図32の(a)では、凸部146は互いに対向する角部に設けられている。また、上述のように、開口142及び底部144は略矩形状である。そのため、ユーザは、仕分カップ141の方向を揃えて第2収容部14に配置し易く、その結果、角部に設けられた凸部146同士が隣接しないように容易に配置できる。つまり、ユーザは、意識することなく、仕分カップ141を取出し易いように配置できる。
【0400】
開口142及び底部144が正方形の場合には、ユーザが意識して仕分カップ141を配置しないと、隣接する仕分カップ141において、凸部146同士が隣接することになる可能性がある。この場合、ユーザは、凸部146を把持しにくくなるため、仕分カップ141を取出し難くなる。但し、例えば、第2収容部14において、取出し易くなるように仕分カップ141の配置場所を規定するのであれば、開口142側から見たときの、仕分カップ141の形状は正方形であっても構わない。
【0401】
なお、ユーザが意識することなく仕分カップ141を取出し易いように配置できるのであれば、上記のように角部に凸部146が設けられていなくても構わない。例えば、対向する辺において点対称となるように、それぞれの辺に凸部146が設けられても構わない。
【0402】
また、上述したような点を考慮しなければ、仕分カップ141の形状はどのような形状であっても構わない。例えば、開口142又は底部144の形状が円状又は楕円状であっても構わないし、開口142又は底部144の外周の一部が曲線状であっても構わない。また、凸部146は、全ての辺に設けられていなくても構わないし、角部において隣接するように、かつ対向するように設けられていなくても構わない。さらに、隣接する凸部146において、隣接部分146aの高さが互いに異なっていても構わない。
【0403】
縁部145は、側壁143との接続部分(側壁143の上部)において、側壁143よりも外側に突出している突出部(返し部分)として機能する。これにより、ユーザは突出部に指をひっかけることができるので、取出し易さがさらに向上する。但し、この点を考慮しなければ、縁部145が側壁143も外側に突出している必要は必ずしも無い。
【0404】
また、
図32の(a)では、凸部146の上部146uは、傾斜が無く、かつ直線状である。凸部146の、基底部148まで延伸する延伸部分146eは、上部146uから基底部148に向けて傾斜している。基底部148は、傾斜が無く、かつ直線状である。凸部146の上部146uと延伸部分146eとの接続部分146c、及び、凸部146の延伸部分146eと基底部148との接続部分146dは、共に略円弧状である。
【0405】
本例の仕分カップ141は、第2カメラ121による撮像において薬剤を特定し易いように色味(例えば黒色)を有している。但し、薬剤を撮像できるのであれば、光透過性を有していても構わない。
【0406】
(仕分カップ141の変形例)
図32の(b)~(d)は、仕分カップ141の変形例を示す図である。
図32の(b)に示す仕分カップ141aでは、開口142及び底部144の形状が、
図32の(a)に示す仕分カップ141の開口142及び底部144よりも横長(又は縦長)の長方形となっている。
図32の(c)に示す仕分カップ141bでは、凸部146の高さ146h’が、
図32の(a)に示す仕分カップ141の凸部146の高さ146hよりも高い。
図32の(d)に示す仕分カップ141cは、仕分カップ141において、縁部145に上記突出部(返し部分)が設けられていないものである。
【0407】
図34の(a)~(c)及び
図35の(a)~(h)は、仕分カップ141の更なる変形例を示す図である。
図34の(a)~(c)及び
図35の(a)~(h)においては、縁部145に上記突出部が設けられていないものとして図示しているが、仕分カップ141のように縁部145に上記突出部が設けられていても構わない。
【0408】
図34の(a)に示す仕分カップ141dでは、凸部146(つまり上部146u及び延伸部分146e)が略円弧状である。つまり、上部146uにおいて、延伸部分146eと接続されている端部とは反対側の端部(
図34の(a)では、凸部146同士が隣接する隣接部分146a)が上側に最も突出している。
図34の(b)に示す仕分カップ141eでは、凸部146及び延伸部分146eに加え、基底部148も略円弧状となっている。仕分カップ141dでは、少なくとも基底部148が凹形状となっている。つまり、仕分カップ141dでは、点Px及び点Pyを結ぶ曲線は、その略中心Pcにおいて点対称となっている。
図34の(c)に示す仕分カップ141fでは、上部146uが直線状であり、延伸部分146e及び基底部148が略円弧状となっている。少なくとも基底部148は凹形状となっている。
【0409】
図35の(a)に示す仕分カップ141gでは、凸部146の中央付近が上側に隆起した湾曲形状となっている。つまり、仕分カップ141gでは、凸部146において上側に最も突出しているのはその中央付近であって隣接部分146aでは無い点で、
図34の(a)に示す仕分カップ141dとは異なる。また、基底部148も、その中央付近が上側に隆起した湾曲形状となっている。
図35の(b)に示す仕分カップ141hでは、凸部146は
図35の(a)と同様の湾曲形状を有しているが、基底部148が直線状となっている。
図35の(c)に示す仕分カップ141iでは、凸部146は
図35の(a)と同様の湾曲形状を有しているが、基底部148は
図34の(b)に示す仕分カップ141eと同様、凹形状となっている。
【0410】
図35の(a)~(c)に示す仕分カップ141g~141iでは、凸部146が湾曲形状であったが、
図35の(d)~(g)に示す仕分カップ141j~141mのように、凸部146が多角形状であっても構わない。更に、
図35の(h)に示すように、凸部146が階段形状であっても構わない。
【0411】
(その他:仕分カップの底部形状)
仕分カップ141の内部底面に、微細な突起を設けていても構わない。仕分カップ141の内部底面に上記吸着機構近付き、仕分カップ141を吸引した結果、仕分カップ141を持ち上げてしまう可能性がある。内部底面に微細な突起を設けることで、仕分カップ141を吸着しにくくすることができる。
【0412】
なお、第1収容部11が持ち上げられることを抑制すべく、第1収容部11の内部底面に、微細な突起が設けられていても構わない。
【0413】
<その他の種々の処理又は動作例>
(文字認識)
次に、判別部64による文字認識処理の別例について説明する。ここで、記憶部80には、例えば、薬剤名を示す識別情報に紐付けて、文字、刻印及び割線等を含む薬剤の画像を示す画像データ(マスタ画像)を、薬剤のマスタ情報として記憶しているものとする。この画像データは、薬剤データベースにより管理されても構わない。またこの場合、判別部64は、配置領域Arにおいて第1カメラ131により撮像された薬剤の画像について、記憶部80に記憶された複数の画像データとのパターンマッチングを行うものとする。
【0414】
一般に、OCR処理を行う場合、対象となる画像に含まれる文字の向き及び大きさが一定である必要がある。そのため、判別部64は、可視光画像を回転させながらOCR処理を行っている。しかしこの場合、解析のたびに可視光画像を回転させる必要があるため、その分処理時間を要してしまう。また、OCR処理による文字認識精度が必ずしも高くない可能性がある。
【0415】
そこで本例では、薬剤に示された記号の種類(例:文字(数字及び英字等)、メーカーマーク、及び割線)、大きさ及び角度を示す、薬剤に示された記号を特定するための記号特定情報を、予め識別情報に紐付けて登録しておく。判別部64は、記号特定情報を参照することで、薬剤の種類を特定する。
【0416】
記号特定情報の生成方法について、
図36に基づき説明する。
図36は記号特定情報の生成方法の一例を説明するための図である。
図36の(a)は、記号登録情報の生成対象となる薬剤の画像Imaの一例を示す図であり、(b)~(d)は、記号特定情報を取得するときの薬剤の画像Imr1~Imr3の一例を示す図である。なお、記号特定情報の生成処理は、記号特定情報を生成する情報生成装置により実行される。情報生成装置を薬剤仕分装置1に備え、薬剤仕分装置1にて記号登録情報を生成しても構わない。また、情報生成装置は、上述のマスタ情報を有しているものとする。
【0417】
まず、情報生成装置は、
図36の(a)に示すように、記号登録情報の生成対象となる薬剤の画像Imaを取得する。この例では、画像Imaには、1、2、3の文字(数字)が含まれている。
【0418】
次に、情報生成装置は、
図36の(b)~(d)に示すように、画像Imaを回転させながら、薬剤のマスタ情報に含まれる画像データとのパターンマッチングを行うことで、記号特定情報を取得する。例えば、
図36の(b)の状態においては、パターンマッチングを行うことで、画像Imr1から「1」を取得する。このとき、情報生成装置は、画像Imr1における「1」をなぞるように線を引くことで、「1」を形成する複数の画素を特定する。これにより、情報生成装置は、画像Imr1における「1」の大きさを特定する。またこのときに、文字の種類を数字と特定しても構わない。また、情報生成装置は、
図36の(a)に示す画像Imaの位置を基準としたときの、当該基準からの画像Imr1の角度も取得する。これにより、情報生成装置は、画像Imr1における「1」の角度を特定する。
図36の(c)及び(d)の状態においても、画像Imr2における「2」、画像Imr3における「3」のそれぞれの大きさ及び角度を特定する。
【0419】
情報生成装置は、特定した文字の種類、大きさ及び角度を記号特定情報として、識別情報(マスタ情報)に紐付けて、薬剤仕分装置1の記憶部80に記憶する。
【0420】
判別部64は、撮像された薬剤の画像について、記憶部80に記憶された複数の画像データとのパターンマッチングを行うことで、マッチングスコアが高い順に複数(例:10種類)の薬剤の種類を絞込む。判別部64は、絞込んだ複数の薬剤のそれぞれについて、撮像された画像を記号特定情報と照合する(撮像された画像に記号特定情報を当てはめる)。判別部64は、絞り込んだ薬剤の、撮像された画像のうち、記号特定情報との一致度が最も高い薬剤の画像を特定し、当該薬剤が、当該記号特定情報に紐付けられた薬剤の種類(薬剤名)であることを特定する。
【0421】
このように、判別部64は、記号特定情報を用いて照合を行うことで、OCR処理に比べ、簡易にかつ正確に薬剤の種類を特定できる。そのため、判別部64は、迅速にかつ精度良く薬剤の種類を特定できる。
【0422】
(薬剤吸着方法)
次に、薬剤吸着方法について、
図37を用いて説明する。
図37は、薬剤吸着方法の一例を説明するための図である。
図37の(a)は、吸着機構を移動させながら比較的小さな薬剤を吸着したときの様子を説明する図であり、(b)及び(c)は、薬剤の大きさによって吸着方法を変更したときの、薬剤が吸着される様子を説明するための図である。
【0423】
上述したように、吸着機構は、例えば圧力センサにより検出された吸引力の変化に基づき、薬剤吸着時のZ軸方向への移動速度(降下時の移動速度)を変化させる。例えば、吸着機構が第1収容部11の薬剤を吸着するときには、その降下により薬剤を押し込まないように、吸着機構は薬剤の手前で(薬剤との接触前に)停止する。この場合、吸着機構は、薬剤の手前で薬剤を吸着することになるため、真空ポンプ122dで空気を吸引した状態で降下する。
【0424】
ここで、比較的小さな薬剤はその質量も比較的軽い。そのため、
図37の(a)に示すように、上記の手法で薬剤を吸着しようとすると、比較的小さな薬剤は、その手前で斜めに吸い上げられる可能性がある。この場合、吸着パッド122aとの間に隙間ができたり、吸着パッド122aの位置によって吸引力(流量)が異なったりするために、吸引力が安定しなくなってしまう。そのため、吸着パッド122aに当該薬剤が吸着しているのか否かを吸引力の変化によって特定することが困難となる可能性がある。
【0425】
また、薬剤の吸着時には、第2カメラ121により薬剤載置台133aに収容された薬剤を撮像する。そのため、仕分制御部62は、撮像した画像を解析することで、吸着対象とする薬剤の大きさ(面積)を算出できる。特に、少なくとも薬剤吸着時に薬剤載置台133aに載置される薬剤は1個であるため、仕分制御部62は、比較的容易に、吸着対象となる薬剤の大きさを算出できる。薬剤の大きさは、例えば、取得した画像における、薬剤の像のピクセル数を計数することで特定される。
【0426】
本例では、仕分制御部62は、算出した薬剤の大きさが所定値以上であるか否かを判定することで、薬剤の吸着手法を変更する。この所定値は、例えば、実験等を経て予め設定されている。
【0427】
具体的には、仕分制御部62は、算出した薬剤の面積が所定値未満である場合(薬剤が比較的小さい場合)、
図37の(b)に示すように、吸引しない状態で吸着機構を所定位置PS1まで降下させる。その後、仕分制御部62は、所定位置PS1において吸引を開始することで、薬剤を吸着する。所定位置PS1は、吸引により薬剤を吸着することが可能な位置であり、例えば上述の手法による吸引力が変化する箇所と略一致している。このように吸着させた場合、薬剤を真上に持ち上げることができるため、
図37の(a)の場合とは異なり、薬剤が吸着した状態の吸引力を安定させることができる。そのため、仕分制御部62は、比較的小さな薬剤の吸着判定を安定して行うことが可能となる。
【0428】
なお、所定位置PS1は、一律に同じ位置(高さ)に設定されていても構わないし、例えば測距センサが検出した薬剤までの距離から算出されても構わない。また、所定位置PS1は、薬剤の種類が特定されている場合には、薬剤データベースに含まれる薬剤の大きさに関する情報(例:径、厚み)に基づき算出されても構わない。
【0429】
一方、仕分制御部62は、算出した薬剤の面積が所定値以上である場合(薬剤が比較的大きい場合)、
図37の(c)に示すように、上述した手法で薬剤を吸着する。つまり、仕分制御部62は、吸引しながら吸着機構を降下させていき、吸引力が変化した時点(すなわち所定位置PS2)で吸着機構を停止する。つまり、吸着機構は、薬剤の手前で停止する。この状態において、吸着機構は薬剤を吸着する。薬剤が比較的大きい場合、この手法でも斜めに持ち上がる可能性は低いため、薬剤が吸着した状態の吸引力を安定させることができる。また、吸引力の変化に基づき所定位置PS2で吸着機構を停止するので、簡易な手法でかつ確実に、薬剤の手前で(薬剤を押し潰すことなく)吸着機構を停止できる。
【0430】
このように、薬剤の大小(つまり薬剤の重量)に応じて吸着手法を変更することで、薬剤の重量によらず安定して吸着パッド122aに薬剤を吸着できる。そのため、薬剤の吸着の失敗が低減できるため、薬剤仕分処理の高速化を図ることができる。
【0431】
なお、比較的大きな薬剤を吸着する場合も、
図37の(b)を用いて説明したように、吸引しない状態で所定位置PS2まで吸着機構を移動させた後、所定位置PS2で吸引を開始しても構わない。この場合、薬剤の大小の判定処理は不要となる。
【0432】
また、第1収容部11及び仕分カップ141における薬剤の吸着においても、
図37の(b)及び(c)で説明した手法が採用されても構わない。この場合、搬送制御部61は、撮像された画像の中から吸着対象となる薬剤を特定した上で、当該薬剤の大きさを算出する。また、所定位置PS1については、例えば、測距センサによる吸着対象となる薬剤までの距離の検出によって算出される。
【0433】
(空気吹出動作)
次に、吸着機構による空気吹出動作について説明する。
【0434】
吸着機構の吸着対象となる薬剤が載置された位置、又は当該薬剤の姿勢によっては、吸着機構が当該薬剤を吸着できない可能性がある。例えば、薬剤が第1収容部11、仕分カップ141又は薬剤載置台133a等の端部に載置されている場合又は斜めに立っている場合、吸着機構が当該薬剤を吸着できない可能性がある。吸着対象の薬剤を吸着できない場合、吸着機構は、例えば、所定回数吸着動作(ピッキング動作)を繰り返すことで、当該薬剤の吸着を試みる。つまりこの場合、薬剤吸着のリトライ回数が増加してしまう。
【0435】
そこで本例では、搬送制御部61又は仕分制御部62は、吸着対象の薬剤の吸着に失敗したと判定した場合、吸着機構から空気を吹き出させる。これにより、当該薬剤の位置又は姿勢が変更され得る。例えば、立っていた薬剤を寝かせたり、薬剤の位置を端部から離れた位置に変更したりする等、薬剤を、吸着に失敗したときとは異なる状態にすることが可能となる。そのため、薬剤を吸着できる可能性を高めることができるので、薬剤吸着のリトライ回数を減少させることが可能となる。
【0436】
また、吸着対象の薬剤の吸着に失敗したと判定された場合、吸着機構は、当該薬剤及びその近傍に向けて、所定回数空気を吹き出しても構わない。つまり、吸着機構は、同じ場所に向けて所定回数空気を吹き出しても構わない。
【0437】
例えばこの場合、吸着機構が空気を吹き出した後、第2カメラ121は第1収容部11等を撮像する。この吹き出し動作と撮像動作とを所定回数繰り返し、そのたびに第2カメラ121が撮像した画像を記憶部80に記憶しておく。搬送制御部61又は仕分制御部62は、複数回撮像した画像について、吸着機構が空気を吹き付けた領域における像の変化を特定する。そして、第1収容部11等の筐体の像を除く像について、複数回撮像した画像において変化が無い像の有無を判定する。空気を吹き付けた領域に存在する薬剤であれば、吹き付けられた空気によって薬剤の位置又は姿勢は、多少なりとも変更される。そのため、搬送制御部61又は仕分制御部62は、複数回撮像した画像において変化がない像が存在した場合には、当該像を第1収容部11等に付着した汚れであると判定する。なお、薬剤の吸着に失敗したときに第2カメラ121が取得した画像も含めて、像の変化の有無を判定しても構わない。
【0438】
このように複数回の空気の吹き出し動作によって、第1収容部11等に汚れが付着しているか否かを判定できる。そのため、第1収容部11等に汚れの付着がある旨(清掃が必要である旨)をユーザに通知できる。
【0439】
なお、複数回の空気の吹き出し動作は、薬剤の吸着に失敗したときに限られない。例えば第1収容部11等に薬剤が収容されていない状態において、複数回の空気の吹き出し動作を行っても構わない。この場合、上述した画像の比較により、薬剤載置台133a以外に像の変化が無い物体を、薬剤載置台133aに付着した汚れであると判定できる。
【0440】
また、薬剤載置台133a等に薬剤の破片又は粉塵等が収容されている場合、当該破片等により薬剤の識別精度が低下する可能性がある。例えば、破片等の位置又は大きさによっては、当該破片を薬剤(又はその一部)と誤認識する可能性がある。特に薬剤載置台133aでは、撮像した画像に基づき薬剤の種類を判別するが、破片等の位置又は大きさによっては当該判別に影響を及ぼす可能性がある。
【0441】
そこで本例では、吸着機構は、薬剤載置台133aに向けて空気を吹き出す。これにより、破片等を薬剤載置台133aの外部へと吹き飛ばすことが可能となる。また、破片等が薬剤載置台133aに付着してしまうことを防止できる。吸着機構は、例えば、薬剤載置台133aに薬剤が載置されていない状態(例:薬剤載置台133aに薬剤を載置する前に、又は薬剤載置台133aから薬剤を取出した後)において、空気の吹き出し動作を行う。
【0442】
また、第1収容部11及び仕分カップ141等についても吸着機構が空気を吹き出すことで、破片等を吹き飛ばしたり、破片等の付着を防止したりすることができる。吸着機構は、例えば上記のように薬剤の吸着に失敗したときに空気を吹き出すことで、薬剤の姿勢又は位置を変更できると共に、破片等を吹き飛ばすことができる。これに限らず、吸着機構は、例えば第1収容部11及び仕分カップ141に薬剤が収容されていない状態において、空気の吹き出し動作を行っても構わない。
【0443】
(吸着位置の特定処理)
次に、吸着位置の特定処理について説明する。
【0444】
搬送制御部61又は仕分制御部62は、第2カメラ121が撮像した画像を解析することで、第1収容部11又は仕分カップ141等における薬剤の位置を特定する。第1収容部11が色味(例:黒色、灰色)を有する場合、搬送制御部61は、例えば、第2カメラ121が撮像した画像において、第1収容部11の色味と薬剤の色味との相違から薬剤の位置を特定する。仕分カップ141が色味を有する場合についても、仕分制御部62が同様の処理を行うことで、薬剤の位置を特定する。しかしながら、暗い色を有する薬剤(第1収容部11等の色味に近い薬剤)、又は薬剤が透明薬剤である場合、この方法では薬剤の位置を特定できない可能性が有り得る。
【0445】
そこで本例では、搬送制御部61又は仕分制御部62は、薬剤の表面に照射され、かつ当該表面で反射した反射光の位置を、薬剤の位置として特定する。
図38の(a)~(c)は、吸着位置の特定処理を説明するための図である。
【0446】
図38の(a)に示すように、本例の搬送・仕分ユニット12は、第2カメラ121の撮像時に光を出射する光源124を備える。光源124は、第2カメラ121の近傍に設けられ、第1収容部11又は仕分カップ141に向けて光を出射する。これにより、第2カメラ121は、薬剤の表面で反射した反射光の像を含む画像を撮像できる。そのため、搬送制御部61又は仕分制御部62は、第2カメラ121が撮像した画像に含まれる反射光の位置を、薬剤の位置として特定できる。
【0447】
図38の(a)では、搬送・仕分ユニット12は光源124を2つ備えている。但し、第2カメラ121が撮像した画像において薬剤の位置を特定できるのであれば、光源124の数は1つであっても構わないし、3つ以上であっても構わない。
【0448】
ここで、2つの光源124を1つの光源として考えた場合、
図38の(b)に示すように、薬剤が載置されている位置によって、薬剤における反射光の位置が異なる。具体的には、薬剤の位置が光源124の直下であれば、反射光の位置は、薬剤の中心位置又はその近傍となる。一方、薬剤の位置が光源124の直下から離れるほど、反射光の位置は、薬剤の中心位置から離れた位置となる。
【0449】
そこで本例では、搬送制御部61又は仕分制御部62は、薬剤における反射光の位置を補正する。記憶部80には、反射光の位置を補正するための補正値(補正量及び向き)を示す補正値情報が記憶されている。なお、補正値情報は、実験等により設定される。
【0450】
補正値は、薬剤の位置を変更して予め撮像した当該薬剤の各位置(つまり反射光の各位置)に紐付けられている。また、
図38の(c)に示すように、補正値は、光源124の直下から離れるほど大きくなるように設定される。具体的には、光源124の直下からずれた位置P1、P3及びP4の薬剤では、反射光の位置Preは薬剤の中心位置からずれてしまう。そのため、反射光の位置Preが薬剤の中心位置(反射光を検出する検出位置Pde)となるように補正値が決定される。一方、光源124の直下である位置P2の薬剤では、反射光の位置Preは薬剤の中心位置と同一となるため、補正値は0となる。
【0451】
搬送制御部61又は仕分制御部62は、第2カメラ121が撮像した画像に含まれる反射光の位置Preを特定した後、補正値情報を参照することで、反射光の位置Preを反射光の検出位置Pdeに補正する。搬送制御部61又は仕分制御部62は、この反射光の検出位置Pdeを薬剤の吸着位置として特定する。
【0452】
これにより、第1収容部11又は仕分カップ141が色味を有する場合であり、かつ、薬剤の色味が第1収容部11又は仕分カップ141に近い色味である、又は透明である場合であっても、薬剤の吸着位置を精度良く特定できる。また、薬剤が特に小さい場合において吸着位置の精度が求められるため、この処理によればより精度よく吸着位置を決定することができる。
【0453】
(第1カメラの回動方向の決定方法)
次に、第1カメラ131の回動方向の決定方法について説明する。
【0454】
第1カメラ131が上から薬剤を撮像するときの第1カメラ131の位置を0°とした場合に、薬剤(例:カプセル)に付された識別情報等の情報が315°の方向を向いている状態で、当該薬剤が薬剤載置台133aに載置されている場合を考える。この場合、撮像制御部63は、第1カメラ131が315°の位置から撮像した薬剤を解析することで識別情報等の情報(以下、単に識別情報と称する)を取得できる。
【0455】
ここで、回転機構132が、配置領域Ar2の周囲を一方向(例:薬剤仕分装置1の前面から見て時計周り)にのみ旋回するように第1カメラ131を回動させる場合を考える。上記状態で載置された薬剤の識別情報を撮像する場合、回転機構132は、第1カメラ131を45°、135°及び225°の3箇所に移動させ、かつ第1カメラ131が当該薬剤を撮像した後に、315°の位置まで移動させる必要がある。45°、135°及び225°の位置から撮像した画像を解析しても、識別情報を取得することが困難であるためである。
【0456】
そこで本例では、回転機構132は、配置領域Ar2の周囲を時計周り及び反時計周りのいずれの方向にも旋回するように第1カメラ131を回動させる。撮像制御部63は、0°の位置から撮像した画像に基づき、回転機構132を制御して、第1カメラ131の回動方向を決定する。
【0457】
例えば、撮像制御部63は、薬剤を0°の位置から撮像したときの画像において、軸部133cが延伸する方向に平行な方向(第1カメラ131の回動方向に垂直な方向)に薬剤を2等分して、薬剤上に2つの領域を設定する。撮像制御部63は、2つの領域のうち、薬剤に付された識別情報の少なくとも一部が含まれている領域を特定し、特定した領域が存在する方向を、第1カメラ131の回動方向として決定する。2つの領域のいずれにも識別情報が含まれている場合には、撮像制御部63は、識別情報が占める面積が大きい方の領域が存在する方向を、第1カメラ131の回動方向として決定する。なお、薬剤を0°の位置から撮像したときの画像に識別情報が含まれていない場合には、撮像制御部63は、初期設定されている方向(例:時計周り)に第1カメラ131を回動させる。
【0458】
これにより、識別情報を取得するまでの時間、及び薬剤の種類を特定するまでの時間を短縮できる。
【0459】
<薬剤仕分装置の構成例>
次に、薬剤仕分装置1aの構成例について、
図39を用いて説明する。
図39は、薬剤仕分装置1aの構成例を示す図であり、(a)は薬剤仕分装置1aの斜視図であり、(b)は、薬剤仕分装置1aが備える薬剤仕分領域2の基本構成を示す斜視図である。
【0460】
図2に示す薬剤仕分装置1では、第1RFIDリーダ・ライタユニット5が薬剤の取出し側(前面側)に設けられているが、薬剤仕分装置1aでは、
図39の(b)に示すように、薬剤仕分装置1aでは、台座19の、薬剤の取出し側に、第1RFIDリーダ・ライタユニット5が備えられている。第1RFIDリーダ・ライタユニット5が台座19に備えられることにより、仕分カップ141のRFIDタグの情報を読取る場合に、薬剤仕分装置1aの外部に仕分カップ141を取出す必要がない。そのため、薬剤仕分装置1aの外部において、仕分カップ141を落下させ、仕分カップ141内の薬剤を散在させてしまう可能性を低減できる。つまり、運用上の安全性を向上させることができる。
【0461】
また、第1RFIDリーダ・ライタユニット5の設置位置の変更に伴い、薬剤仕分装置1aでは、
図39の(a)に示すように、薬剤の取出し側に開閉扉52が備えられている。第2収容部14に収容された薬剤を分包機構6へと移動させるために、薬剤仕分装置1aは、例えば、当該薬剤を一時的に保持する包装ホッパー、及び包装ホッパーに保持された薬剤を分包機構6へと移動させる移動通路を備える。また、少なくとも移動通路は、取外し可能となっている。開閉扉52を開くことにより、移動通路を薬剤仕分装置1aへの外部へと取出すことができる。
【0462】
つまり、開閉扉52を設けたことにより、移動通路を取出して清掃することが可能となる。また、移動通路を取外した状態で、薬剤投入口17と分包機構6との間に備えられた部材(例:包装ホッパー)を清掃することが可能となる。
【0463】
なお、薬剤仕分装置1aは、薬剤の取出し側を開閉可能とする開閉シャッター51を備えている。
図2に示す薬剤仕分装置1にも、開閉シャッター51と同様の開閉シャッターが備えられている(
図2では、薬剤仕分領域2を視認可能なように、開閉シャッターを略透明なものとして図示)。
【0464】
〔本発明の別表現〕
本発明の一態様に係る薬剤仕分装置は、複数種類の薬剤を混在した状態で収容する第1収容部と、上記薬剤を種類毎に仕分けられた状態で収容する第2収容部と、上記薬剤を撮像する撮像部と、上記撮像部によって撮像された画像に基づき、上記薬剤の種類を判別する判別部と、上記判別部による判別結果に基づき、上記薬剤を種類毎に仕分けて上記第2収容部へ格納する仕分部と、を備え、上記第2収容部は、上記薬剤を格納する複数の仕分容器を有し、上記第1収容部および上記第2収容部は、同一の平面上に設けられており、上記仕分部は、上記第1収容部から取り出された薬剤を、上記平面と水平な水平平面上において順次搬送し、上記第2収容部の前記複数の仕分容器のそれぞれに格納してよい。
【0465】
また、本発明の一態様に係る薬剤仕分装置は、撮像対象となる上記薬剤が配置される配置領域の周囲を旋回するように上記撮像部を回動させる回動部を備え、上記撮像部は、上記回動部が回動させた複数の位置から、上記配置領域に配置された上記薬剤を撮像し、上記回動部は、上記配置領域に配置された1つの薬剤の周囲であって、上記平面と水平な水平平面上に規定された旋回軸回りに旋回するように上記撮像部を回動させてもよい。
【0466】
また、本発明の一態様に係る薬剤仕分装置は、上記仕分部が上記第1収容部から薬剤を取出していくに従い、上記第1収容部に収容された薬剤を検出するための検出領域を、上記第1収容部の底面よりも狭い領域から段階的に広げるように変更する検出領域変更部をさらに備えてもよい。
【0467】
また、本発明の一態様に係る薬剤仕分装置は、上記第2収容部へと仕分けられた薬剤を分包する分包機構を備え、上記仕分部は、さらに、上記第2収容部へと仕分けられた薬剤を上記分包機構へと搬送するものであり、上記仕分部が上記第2収容部から薬剤を取出していくに従い、上記第2収容部に配置され、かつ上記仕分部によって仕分けられた薬剤を収容する仕分容器に収容された薬剤を検出するための検出領域を、上記仕分容器の底面よりも狭い領域から段階的に広げるように変更する検出領域変更部をさらに備えてもよい。
【0468】
また、本発明の一態様に係る薬剤仕分装置は、複数種類の薬剤を収容する第1収容部と、上記薬剤を種類毎に仕分けられた状態で収容する第2収容部と、上記第1収容部から取出した薬剤を撮像する撮像部と、上記撮像部によって撮像された画像に基づき、上記薬剤の種類を判別する判別部と、上記判別部による判別結果に基づき、上記薬剤を種類毎に上記第2収容部へ格納する仕分部と、上記第2収容部に着脱可能に配置され、かつ、上記仕分部によって仕分けられた薬剤を格納する仕分容器と、水平方向に移動することで、規定された状態で上記第2収容部に載置された上記仕分容器の上部空間に存在する物体を検知する物体検知部と、を備えてよい。
【0469】
また、本発明の一態様に係る薬剤仕分装置は、複数の仕分容器に、薬剤を種類ごとに仕分けて格納する薬剤仕分装置であって、上記複数の仕分容器が設置される仕分容器設置部と、仕分対象となる薬剤の種類を判別するための情報を取得する情報取得部と、上記情報取得部により上記情報を取得した薬剤を、上記仕分容器設置部に設置された上記複数の仕分容器の何れかに搬送する搬送部と、上記情報を取得した薬剤の特徴が、上記仕分容器に既に格納された薬剤の特徴と同一とみなされる場合、上記情報を取得した薬剤を、上記情報を取得した薬剤の特徴と同一とみなされる特徴を有する薬剤が既に格納された仕分容器へと、上記搬送部に搬送させる仕分制御部と、を備え、上記仕分容器に格納された薬剤は、上記薬剤仕分装置とは異なる他設備または他装置において扱われる薬剤であってよい。
【0470】
また、本発明の一態様に係る薬剤仕分装置では、上記仕分制御部は、上記情報を取得した薬剤の特徴が、上記仕分容器に既に格納された薬剤の特徴と非同一とみなされる場合、上記情報を取得した薬剤を、上記既に格納された薬剤が格納された仕分容器とは異なる仕分容器へと、上記搬送部に搬送させてよい。
【0471】
また、本発明の一態様に係る薬剤仕分装置では、上記仕分制御部は、上記情報を取得した薬剤の特徴が、上記仕分容器に既に格納された薬剤の特徴と同一とみなされる場合であっても、上記仕分容器に格納される薬剤の個数の上限値まで薬剤が格納された場合には、上記情報を取得した薬剤を、上記既に格納された薬剤が格納された仕分容器とは異なる仕分容器へと、上記搬送部に搬送させてよい。
【0472】
また、本発明の一態様に係る薬剤仕分装置は、複数種類の薬剤を種類毎に仕分ける薬剤仕分装置であって、前記複数種類の薬剤を収容する第1収容部と、前記第1収容部から前記薬剤を搬送する搬送部と、前記薬剤を撮像する撮像部と、前記撮像部によって撮像された画像に基づき、前記薬剤の種類を判別する判別部と、前記判別部による判別結果に基づき、前記薬剤を種類毎に仕分ける仕分部と、前記仕分部が仕分けた薬剤を、種類毎に仕分けられた状態で収容する第2収容部と、を備え、前記複数種類の薬剤は、容器に収容されていない薬剤、または包装が施されていない薬剤であり、かつ、患者に処方された後に返品された薬剤であり、前記複数種類の薬剤には、前記薬剤仕分装置とは異なる複数の分包機により分包されていた薬剤そのものが含まれており、前記判別部が判別した薬剤の種類を、前記複数の分包機のそれぞれが実装している、薬剤の種類を示す薬剤データと照合した結果、前記判別部が判別した薬剤の種類が前記薬剤データが示す薬剤の種類と一致した場合には、前記複数の分包機の何れかを、前記仕分部が仕分けた薬剤の返却先として決定してよい。
【0473】
また、本発明の一態様に係る薬剤仕分システムは、前記薬剤仕分装置と、前記仕分部が仕分けた薬剤を、返却先へと返却するための返却補助装置であって、前記仕分部が仕分けた薬剤の種類を示す情報及び返却先情報が印字されたジャーナルから、前記薬剤の種類を示す情報及び返却先情報を読取る読取部と、前記読取部が読取った薬剤の種類を示す情報及び返却先情報を表示する表示部と、を備えてよい。
【0474】
また、本発明の一態様に係るシステムは、複数種類の薬剤を種類毎に仕分ける薬剤仕分装置と、前記薬剤仕分装置において仕分けられた薬剤を分包する分包機と、を備えるシステムであって、前記薬剤仕分装置は、前記複数種類の薬剤を撮像する撮像部と、前記撮像部によって撮像された画像に基づき、前記薬剤を種類毎に仕分ける仕分部と、前記仕分部が仕分けた薬剤を、種類毎に仕分けられた状態で収容する収容部と、を備え、前記収容部には、前記仕分部が仕分けた薬剤を、種類毎に仕分けられた状態で収容する複数の仕分容器を配置可能であり、前記薬剤仕分装置は、前記仕分容器に収容された薬剤に対する目視鑑査の結果を前記仕分容器に記憶するか、又は、前記目視鑑査の結果を印字し、前記分包機は、前記仕分容器に収容された薬剤を収容可能なカセットであり、かつロック可能な蓋を備えるカセットを備え、前記分包機に運ばれた仕分容器に収容された全ての薬剤が同一種類の薬剤であるとの結果が、前記仕分容器に記憶されているか、又は、前記結果が印字されていると判定した場合、前記蓋のロックを解除する。
【0475】
また、本発明の一態様に係るシステムは、複数種類の薬剤を種類毎に仕分ける薬剤仕分装置と、前記薬剤仕分装置において仕分けられた薬剤の返却先である薬剤棚と、前記薬剤仕分装置において仕分けられた薬剤を前記薬剤棚へと返却するための返却補助装置と、を備えるシステムであって、前記薬剤仕分装置は、前記複数種類の薬剤を撮像する撮像部と、前記撮像部によって撮像された画像に基づき、前記薬剤を種類毎に仕分ける仕分部と、前記仕分部が仕分けた薬剤を、種類毎に仕分けられた状態で収容する収容部と、を備え、前記収容部には、前記仕分部が仕分けた薬剤を、種類毎に仕分けられた状態で収容する複数の仕分容器を配置可能であり、前記薬剤仕分装置は、前記仕分容器に収容された薬剤に対する目視鑑査の結果を印字し、前記薬剤棚は、ロック可能な扉を備え、前記仕分容器に収容された、前記薬剤棚に返却対象の全ての薬剤が同一種類の薬剤であるとの結果が印字されていると、前記返却補助装置により判定された場合、前記薬剤棚は、前記扉のロックを解除する。
【0476】
また、本発明の一態様に係るシステムは、複数種類の薬剤を種類毎に仕分ける薬剤仕分装置と、前記薬剤仕分装置において仕分けられた薬剤を分包する分包機と、を備えるシステムであって、前記薬剤仕分装置は、前記複数種類の薬剤を撮像する撮像部と、前記撮像部によって撮像された画像に基づき、前記薬剤を種類毎に仕分ける仕分部と、前記仕分部が仕分けた薬剤を、種類毎に仕分けられた状態で収容する収容部と、を備え、前記収容部には、前記仕分部が仕分けた薬剤を、種類毎に仕分けられた状態で収容する複数の仕分容器を配置可能であり、前記薬剤仕分装置は、前記仕分容器に収容された全ての薬剤について、前記撮像部によって撮像された画像と、薬剤データベースに登録された画像とのマッチングの精度を特定し、特定した前記全ての薬剤についてのマッチングの精度を示す精度情報を前記仕分容器に記憶するか、又は、前記精度情報を印字し、前記分包機は、前記仕分容器に収容された薬剤を収容可能なカセットであり、かつロック可能な蓋を備えるカセットを備え、前記分包機に運ばれた仕分容器について、当該仕分容器に記憶された前記精度情報、又は、印字された前記精度情報に基づき、当該仕分容器に収容された全ての薬剤についてのマッチングの精度が所定値以上である判定した場合、前記蓋のロックを解除する。
【0477】
また、本発明の一態様に係るシステムは、複数種類の薬剤を種類毎に仕分ける薬剤仕分装置と、前記薬剤仕分装置において仕分けられた薬剤の返却先である薬剤棚と、前記薬剤仕分装置において仕分けられた薬剤を前記薬剤棚へと返却するための返却補助装置と、を備えるシステムであって、前記薬剤仕分装置は、前記複数種類の薬剤を撮像する撮像部と、前記撮像部によって撮像された画像に基づき、前記薬剤を種類毎に仕分ける仕分部と、前記仕分部が仕分けた薬剤を、種類毎に仕分けられた状態で収容する収容部と、を備え、前記収容部には、前記仕分部が仕分けた薬剤を、種類毎に仕分けられた状態で収容する複数の仕分容器を配置可能であり、前記薬剤仕分装置は、前記仕分容器に収容された全ての薬剤について、前記撮像部によって撮像された画像と、薬剤データベースに登録された画像とのマッチングの精度を特定し、特定した前記全ての薬剤についてのマッチングの精度を示す精度情報を印字し、前記薬剤棚は、ロック可能な扉を備え、印字された前記精度情報に基づき、前記仕分容器に収容された、前記薬剤棚に返却対象の全ての薬剤についてのマッチングの精度が所定値以上であると、前記返却補助装置により判定された場合、前記薬剤棚は、前記扉のロックを解除する。
【0478】
また、本発明の一態様に係る薬剤仕分装置は、複数種類の薬剤を収容する第1収容部と、前記薬剤を種類毎に仕分けられた状態で収容する第2収容部と、前記第1収容部から取り出した薬剤の種類を判別する判別部と、前記判別部による判別結果に基づき、前記薬剤を種類毎に前記第2収容部に収容する仕分部と、を備え、前記複数種類の薬剤は、容器に収容されていない薬剤または包装が施されていない薬剤であり、かつ、患者に処方された後に返品された薬剤である。
【0479】
また、本発明の一態様に係る薬剤仕分装置は、前記判別部により種類が判別できなかった物を収容する回収トレイをさらに備える。
【0480】
また、本発明の一態様に係る薬剤仕分装置において、前記第2収容部には、前記仕分部が仕分けた薬剤を、種類毎に仕分けられた状態で格納する複数の仕分容器を配置可能であり、前記複数の仕分容器の全てに薬剤が格納されている場合に、当該複数の仕分容器に格納されているいずれの薬剤とも異なる種類の薬剤を仮置きする待機トレイをさらに備える。
【0481】
また、本発明の一態様に係る薬剤仕分装置において、前記判別部によって、前記薬剤の種類が判別できず、かつ前記薬剤が錠剤またはカプセルであると推定された場合に、前記仕分部は、当該薬剤を前記待機トレイに仮置きする。
【0482】
また、本発明の一態様に係る薬剤仕分装置において、前記仕分部は、前記複数の仕分容器から薬剤が取り除かれた後、前記待機トレイに仮置きされた薬剤を仕分ける。
【0483】
また、本発明の一態様に係る薬剤仕分装置は、前記第2収容部に収容された薬剤を分包する分包機構をさらに備える。
【0484】
また、本発明の一態様に係る薬剤仕分装置において、前記第2収容部には、前記仕分部が仕分けた薬剤を、種類毎に仕分けられた状態で格納する複数の仕分容器を配置可能であり、前記複数の仕分容器の全てに薬剤が格納されている場合に、当該複数の仕分容器に格納されているいずれの薬剤とも異なる種類の薬剤を仮置きする待機トレイをさらに備え前記分包機構は、前記複数の仕分容器のいずれかに収容された薬剤を分包し、前記仕分部は、収容していた薬剤が前記分包機構により分包された前記仕分容器に、前記待機トレイに仮置きされた薬剤を収容する。
【0485】
また、本発明の一態様に係る薬剤仕分装置は、前記第1収容部から取り出した薬剤を撮像する撮像部をさらに備え、前記判別部は、前記撮像部が撮像した画像に基づき、前記薬剤の種類を判別する。
【0486】
〔付記事項〕
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0487】
1 薬剤仕分装置
11 第1収容部
14 第2収容部
12 搬送・仕分ユニット(仕分部)
15 待機トレイ
16 回収トレイ
61 搬送制御部(検出領域変更部)
62 仕分制御部(検出領域変更部)
63 撮像制御部
64 判別部
65 画像分類部
122 吸着・シャッター機構(吸着機構)
131 第1カメラ(撮像部)
132 回転機構(回動部)
133a 薬剤載置台
133b 旋回機構(移動機構)
133c 軸部
134 照明器(紫外光照射部、可視光照射部)
134a 第1照射部(可視光照射部)
134b 第2照射部(可視光照射部)
134c 紫外光照射部
141、141a~141j 仕分カップ(仕分容器)
142 開口
143 側壁(外壁)
145 縁部
146 凸部
146a 隣接部分
Ar1 受入領域(載置領域、仕分待機領域)
Ar2 配置領域
Dr 検出領域
Jo、Jo1、Jo2 ジャーナル
Im1 仕分画像
Im2 鑑査画像