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特開2023-68230掃除機用の管部材及び管部材を備えた掃除機
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023068230
(43)【公開日】2023-05-17
(54)【発明の名称】掃除機用の管部材及び管部材を備えた掃除機
(51)【国際特許分類】
   A47L 9/24 20060101AFI20230510BHJP
【FI】
A47L9/24 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021179110
(22)【出願日】2021-11-02
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100157808
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 耕平
(72)【発明者】
【氏名】藤田 孝一
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 毅
【テーマコード(参考)】
3B057
【Fターム(参考)】
3B057BA09
3B057BA26
(57)【要約】
【課題】意図しない湾曲を防止する一方で、使用者の操作によって湾曲することが許容されるように構成された管部材と、管部材を備えた掃除機と、を提供することを目的とする。
【解決手段】本出願は、掃除機本体に内蔵された吸塵部の吸引力によって吸い込まれる塵埃の流路を構成する管部材を開示する。管部材は、掃除機本体に接続可能に形成された基端管と、基端管の先端側に位置するように基端管に接続されているとともに、伸縮可能に構成された可撓性の伸縮管と、伸縮管に接続された先端管と、を備えている。先端管及び基端管は、外力に対して所定の形状を維持する剛性を有しているとともに伸縮管が縮んだ状態で互いに嵌合し、伸縮管が伸長した状態で先端管と基端管との嵌合が解除されるように構成されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
掃除機本体に内蔵された吸塵部の吸引力によって吸い込まれる塵埃の流路を構成する管部材であって、
前記掃除機本体に接続可能に形成された基端管と、
前記基端管の先端側に位置するように前記基端管に接続されているとともに、伸縮可能に構成された可撓性の伸縮管と、
前記伸縮管に接続された先端管と、を備え、
前記先端管及び前記基端管は、外力に対して所定の形状を維持する剛性を有しているとともに前記伸縮管が縮んだ状態で互いに嵌合し、前記伸縮管が伸長した状態で前記先端管と前記基端管との嵌合が解除されるように構成されている、管部材。
【請求項2】
前記伸縮管は、互いに嵌合された前記先端管及び前記基端管内に縮んだ状態で収容されている、請求項1に記載の管部材。
【請求項3】
前記伸縮管は、伸長した状態から縮んだ状態になるときに、軸回りに捩じれるように変形し、縮んだ状態から伸長した状態に戻るときに、捩れを解消するように前記軸回りに変形するように構成され、
前記管部材は、前記伸縮管と前記先端管との間に配置された接続部材を更に備え、
前記接続部材は、前記先端管が前記伸縮管に対して前記軸回りに相対的に回転することを許容した状態で前記伸縮管と前記先端管とを連結するように構成されている、請求項2に記載の管部材。
【請求項4】
前記伸縮管は、螺旋状のコイル芯材と、前記コイル芯材を被覆することにより塵埃が流れる流路を構成しているとともに、前記コイル芯材とともに伸縮する被覆管部と、を含んでおり、
前記接続部材は、前記先端管が前記伸縮管に対して軸回りに相対的に回転することを許容した状態で前記被覆管部と前記先端管とを連結している、請求項3に記載の管部材。
【請求項5】
塵埃を吸引する吸引力を発生する吸塵部を内蔵した掃除機本体と、
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の管部材と、
塵埃が流入する吸引口を形成しているノズル部材と、を備え、
前記ノズル部材は、前記管部材の前記先端管に対して軸方向において相対的に移動可能に前記先端管に取り付けられる、掃除機。
【請求項6】
塵埃を吸引する吸引力を発生する吸塵部を内蔵した掃除機本体と、
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の管部材と、を備え、
前記管部材の前記基端管は、前記掃除機本体に接続されており、
前記掃除機本体には、前記基端管との嵌合が解除された状態で前記掃除機本体側に折り返された前記先端管を保持可能に構成された保持部が設けられている、掃除機。
【請求項7】
塵埃を吸引する吸引力を発生する吸塵部を内蔵した掃除機本体と、
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の管部材と、を備えた掃除機であって、
前記掃除機本体は、前記管部材の前記基端管を着脱自在に形成された連結管部を有しており、
前記掃除機は、前記管部材と入れ替えて前記連結管部に取り付け可能なノズルユニットを更に備え、
前記ノズルユニットには、前記連結管部から取り外された前記管部材を保持する保持部が設けられている、掃除機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、掃除機用の管部材及び管部材を備えた掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、図9に示すハンディ型の掃除機900が開示されている。この掃除機900は、塵埃を吸引する吸塵部911を内蔵した掃除機本体910と、掃除機本体910に接続されて塵埃が流れる流路を構成している管部材920と、を備えている。
【0003】
管部材920は、軸方向に並んで配置された基端管921、蛇腹管923及び先端管922により構成されている。基端管921は、掃除機本体910に接続されており、先端管922は、基端管921から先端側に離間した位置に設けられている。蛇腹管923は、基端管921と先端管922とに接続されており、基端管921と先端管922との間で伸縮したり、湾曲したりする。先端管922には、図10に示すように、ノズル部材930が取り付け可能になっており、ノズル部材930には、塵埃が流入する吸引口が形成されている。
【0004】
図9に示すように、蛇腹管923を縮んだ状態に維持するためのロック部材940が、掃除機本体910に取り付けられている。ロック部材940は、蛇腹管923が縮んだ状態において先端管922の先端面に係合するように構成されている。この状態では、先端管922、蛇腹管923及び基端管921は、直線上に並んでおり、管部材920は、全体として直管の形状になる。この場合、使用者は、たとえば、ノズル部材930が上向きになるように掃除機本体910を保持し、高い位置にある塵埃を吸引することができる。
【0005】
ロック部材940は、掃除機本体910に回動可能に設けられており、ロック部材940が回動することにより、ロック部材940と先端管922の先端面との係合が解除される。この状態において、蛇腹管923は、伸長可能になり、ノズル部材930を前方に移動させ、掃除機本体910から離れた位置の塵埃を吸引することが許容される。このとき、使用者は、蛇腹管923を湾曲させて、掃除機本体910の向きを変えることなく、ノズル部材930を左右方向に移動させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2017-131332号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ロック部材940が先端管922の先端面に係合する構造では、先端管922の開口を塞がないようにロック部材940を構成する必要がある。このため、先端管922の先端面に対するロック部材940の接触面積を広くすることはできず、先端管922の先端面に対するロック部材940の係合が解除されやすくなっている。したがって、たとえば、使用者が高い位置を掃除しているときに、管部材920が家具に接触して、管部材920に外力が加われば、先端管922の先端面に対するロック部材940の係合が解除されることが想定される。この場合、先端管922は、重力により落下する。
【0008】
本発明は、意図しない湾曲を防止する一方で、使用者の操作によって湾曲することが許容されるように構成された管部材と、管部材を備えた掃除機と、を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示における管部材は、掃除機本体に内蔵された吸塵部の吸引力によって吸い込まれる塵埃の流路を構成する。管部材は、掃除機本体に接続可能に形成された基端管と、基端管の先端側に位置するように基端管に接続されているとともに、伸縮可能に構成された可撓性の伸縮管と、伸縮管に接続された先端管と、を備えている。先端管及び基端管は、外力に対して所定の形状を維持する剛性を有しているとともに伸縮管が縮んだ状態で互いに嵌合し、伸縮管が伸長した状態で先端管と基端管との嵌合が解除されるように構成されている。
【0010】
本開示における掃除機は、塵埃を吸引する吸引力を発生する吸塵部を内蔵した掃除機本体と、上述の管部材と、塵埃が流入する吸引口を形成しているノズル部材と、を備えている。ノズル部材は、管部材の先端管に対して軸方向において相対的に移動可能に先端管に取り付けられる。
【0011】
本開示における他の掃除機は、塵埃を吸引する吸引力を発生する吸塵部を内蔵した掃除機本体と、上述の管部材と、を備えている。管部材の基端管は、掃除機本体に接続されている。掃除機本体には、基端管との嵌合が解除された状態で掃除機本体側に折り返された先端管を保持可能に構成された保持部が設けられている。
【0012】
本開示における更に他の掃除機は、塵埃を吸引する吸引力を発生する吸塵部を内蔵した掃除機本体と、上述の管部材と、を備えている。掃除機本体は、管部材の基端管を着脱自在に形成された連結管部を有している。掃除機は、管部材と入れ替えて連結管部に取り付け可能なノズルユニットを更に備えている。ノズルユニットには、連結管部から取り外された管部材を保持する保持部が設けられている。
【発明の効果】
【0013】
上述の技術では、先端管と基端管とを嵌合状態にすることにより、管部材が意図せず湾曲ことが防止される。一方、先端管を基端管から離間させた状態にすることにより、使用者は、管部材を曲げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】ハンディ型の掃除機の側面図
図2】掃除機の管部材の断面図
図3】管部材が伸長したときにおける管部材の断面図
図4】管部材の蛇腹管の断面図
図5】管部材の正面図
図6】ハンディ型の掃除機の側面図
図7】保管時における掃除機の側面図
図8】スティック型の掃除機の側面図
図9】従来の掃除機の断面図
図10】従来の掃除機の展開斜視図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら、実施形態を詳細に説明するが、当業者の理解を容易にするために、例えば、既によく知られた事項の詳細説明、又は、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。なお、添付図面及び以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していない。
【0016】
(掃除機の構造)
図1は、ハンディ型の掃除機100の側面図である。掃除機100は、掃除機本体110と、掃除機本体110に接続された管部材120と、管部材120の先端に取り付けられたノズル部材130と、を備えている。
【0017】
掃除機本体110は、塵埃を吸引する吸引力を発生する吸塵部111を内蔵した略円筒状の収容部112と、収容部112の前側に設けられて収容部112の周壁の下部から下方に延出した中空の連結管部113と、を有している。収容部112の周壁の上部には、使用者によって握持可能な太さを有しているハンドル状の把持部115が接続されており、把持部115は、収容部112の周壁の上部から湾曲しながら下方に延設されて、連結管部113の上端に接続されている。把持部115には、使用者によって操作される操作部116が設けられており、操作部116の操作に応じて、吸塵部111が作動したり、停止したりする。なお、吸塵部111は、たとえば、吸引ファンにより構成され得る。
【0018】
吸塵部111が収容された収容部112の下端には、サイクロン式の集塵容器117が取り付けられている。集塵容器117は、有底円筒状の容器であり、集塵容器117の上端及び周壁には、空気が通過する開口が設けられている。集塵容器117の上端の開口により、集塵容器117の内部空間は、収容部112の内部空間に連通している。また、掃除機本体110の連結管部113は、連結管部113の内部空間が集塵容器117の周壁の開口を通じて集塵容器117の内部空間に連通するように構成されている。集塵容器117の内部空間が収容部112及び連結管部113の内部空間に連通した状態で、集塵容器117は、掃除機本体110の連結管部113及び収容部112のうち少なくとも一方に固定されるように構成されている。集塵容器117が掃除機本体110に固定された状態で吸塵部111が作動すると、吸塵部111の吸引力により、連結管部113内の空気が集塵容器117の周壁の開口を通じて集塵容器117内に流入する。集塵容器117は、集塵容器117内に流入した空気が旋回流になるように構成されており、集塵容器117に流入した空気に含まれる塵埃は、旋回流の遠心力によって集塵容器117内で遠心分離されて、集塵容器117内に貯留される。
【0019】
管部材120は、吸塵部111により吸い込まれる塵埃の流路を構成している。詳細には、管部材120は、掃除機本体110の連結管部113に着脱可能に形成された基端管121と、基端管121と着脱可能に嵌合された状態で基端管121と直管状の管体を構成する先端管122と、を有している。なお、基端管121と先端管122との嵌合長さは、管部材120が軸に交差する方向の外力を受けても、基端管121及び先端管122の嵌合状態が解除されないように設定されている。基端管121及び先端管122は、掃除機100の使用時において管部材120に加わり得る外力を受けても直管状の形状を維持するのに十分な硬さを有しており、例えば、樹脂成形により形成され得る。
【0020】
先端管122は、基端管121が嵌入可能な内径を有している円筒状の基端管部123と、基端管部123の先端部に繋がっているとともに基端管部123よりも細くなっている円筒状の先端管部124と、を含んでいる。基端管部123における基端部分には、基端管部123の外周面の前側部分から突出した係合突起125が設けられている。この係合突起125と係合可能に構成されたロック部材126が基端管121の先端部分に固定されている。ロック部材126及び係合突起125は、先端管122が基端管121に対して先端側へ変位することを防止するために設けられている。
【0021】
ロック部材126は、図1及び図2に示す矢印の方向において回動可能に構成されている。先端管122と基端管121とが嵌合した状態でロック部材126が先端管122の係合突起125と係合することにより、先端管122及び基端管121の間の相対的な位置関係が固定される。
【0022】
図2に示すように、基端管121と先端管122とを連結するように伸縮管127が設けられている。伸縮管127は、先端管122及び基端管121とは異なり、伸縮性及び可撓性を有しており、外力を加えることによって、伸長したり、曲がったりする。伸縮管127の基端部分は、基端管121の先端に固定されており、伸縮管127は、基端管121の先端から延びるように設けられている。一方、伸縮管127の先端は、基端管121に嵌合した状態の先端管122の中間部(基端管部123の先端又は先端管部124の基端)に接続部材129を介して接続されている。このとき、伸縮管127は、縮んだ状態で基端管121及び先端管122内に収容されている。
【0023】
伸縮管127は、先端管122の係合突起125に対するロック部材126の係合及び先端管122と基端管121との間の嵌合が解除されると、図3に示すように伸長可能である。伸縮管127が伸長することにより、先端管122を基端管121に対して先端側に離間した位置に配置することが可能になる。この状態において、伸縮管127は、基端管121内の流路から管部材120の先端側に延びる流路を構成している。また、先端管122は、基端管121よりも先端側で伸縮管127に接続された状態になっており、伸縮管127から管部材120の先端側に更に延びている。図3に示す状態では、伸縮管127の大部分が、外部に露出した状態になっており、伸縮管127は、先端管122及び基端管121に妨げられることなく、湾曲することができる。
【0024】
伸縮管127は、図4に示すように、螺旋状の線状部材から構成されたコイル芯材141と、コイル芯材141を被覆して、空気及び塵埃が流れる流路を構成している被覆管部142と、を有している。コイル芯材141は、軸方向に変形可能であり、被覆管部142は、コイル芯材141の軸方向の変形に追随して伸縮するように形成されている。伸縮管127が、このように構成されている場合、コイル芯材141を芯材として用いるとともに、薄い樹脂被膜でコイル芯材141を被覆して被覆管部142を形成することができ、伸縮管127は、容易に形成され得る。
【0025】
コイル芯材141は、上述のように、螺旋状の線状部材から構成されている。一般的に、螺旋状の線状部材は、軸方向に変形するときにおいて軸回りの捩れ変形を伴う。このため、伸縮管127がコイル芯材141と被覆管部142とにより構成されている場合、伸縮管127は、伸長した状態から縮んだ状態になるときに管部材120の軸回りに捩れるように変形し得る。また、伸縮管127は、縮んだ状態から伸長した状態になるときには、この捩れが解消されるように管部材120の軸回りに変形し得る。管部材120の軸回りにおける伸縮管127の捩れ及び捩れの解消に追随して、先端管122が管部材120の軸回りに回転しないように、図2に示すように、接続部材129が先端管122と伸縮管127との間に配置されている。
【0026】
接続部材129は、伸縮管127(被覆管部142)の先端に固定されている。接続部材129は、先端管122が伸縮管127の先端に対して軸方向に相対的に変位することを許容しない一方で、管部材120の軸回りに先端管122が回転することを許容するように構成されている。たとえば、先端管122の基端管部123の内周面に環状の溝部が形成され、接続部材129は、この環状の溝部に入り込むことが許容されるとともに溝部に入り込んだ状態で溝部内において周方向に変位できるように構成された環状の突出部を有していてもよい。この場合、突出部が基端管部123の溝部に嵌め込まれると、管部材120の軸回りにおける伸縮管127に対する先端管122の相対的な回転が許容される。この結果、先端管122は、軸回りにおける伸縮管127の変形とは無関係に、軸回りにおける所定の向きに保持され得る。なお、接続部材129は、環状の突出部に代えて、環状の溝部を有していてもよい。この場合、接続部材129の環状の溝部に入り込みことが許容されるとともに溝部に入り込んだ状態で周方向に変位できるように構成された突出部が、先端管122の基端管部123の内周面に設けられていてもよい。
【0027】
先端管122の先端管部124には、ノズル部材130が嵌入されている。ノズル部材130は、図2に示すように、二重管構造になっており、外管部131と、外管部131に嵌入された内管部132と、を含んでいる。外管部131及び内管部132は、直管状の形状を有している。また、外管部131及び内管部132は、掃除機100の使用時において加わり得る外力に抗して直管状の形状を維持するのに十分な剛性を有しており、例えば、樹脂成形により形成され得る。
【0028】
外管部131は、図2及び図3に示すように、先端管部124に対して軸方向において所定の長さ区間に亘って変位可能であり、且つ、先端管部124から抜け出ないように構成されている。すなわち、外管部131が図2に示す位置にあるとき、外管部131の大部分は、先端管部124内に収容されている。この位置から外管部131を先端側に引き出せば、図3に示す状態が得られる。外管部131が図3に示す位置に到達したときに、外管部131が先端管部124に引っ掛かるように外管部131の外径及び先端管部124の内径が設定されていてもよい。
【0029】
外管部131の外周面には、図2及び図3に示すように、外管部131の外周面から半径方向に突出した環状のストッパ134が設けられている。外管部131が図3に示す位置から基端側に変位すると、ストッパ134は、図2に示すように、先端管部124の先端面に当接する。この結果、外管部131が図2に示す位置よりも基端側に先端管部124内に押し込まれることが阻止される。
【0030】
内管部132は、図2及び図3に示すように、外管部131に対して軸方向において所定の長さ区間に亘って変位可能であり、且つ、外管部131から抜け出ないように構成されている。すなわち、内管部132が図2に示す位置にあるとき、内管部132の大部分は、外管部131内に収容されている。この位置から内管部132を先端側に引き出せば、図3に示す状態が得られる。内管部132が図3に示す位置に到達したときに、内管部132が外管部131に引っ掛かるように内管部132の外径及び外管部131の内径が設定されていてもよい。
【0031】
内管部132の先端には、塵埃が空気とともに吸い込まれる吸引口を形成しているノズル端部133が設けられており、ノズル端部133の形状は、用途に応じて定められている。本実施形態では、ノズル端部133は、図5に示すように、内管部132よりも幅狭に形成されており、狭い隙間にある塵埃を除去するのに好適に利用可能になっている。また、ノズル端部133は、内管部132が外管部131に対して基端側に押し込まれたときに、外管部131の先端面に引っ掛かる形状を有している。
【0032】
(掃除機の動作)
使用者が操作部116を操作すると、掃除機本体110に内蔵された吸塵部111が作動する。吸塵部111が作動すると、吸塵部111の吸引力は、集塵容器117、掃除機本体110の連結管部113及び管部材120を通じて、ノズル端部133に作用する。この結果、塵埃を含んだ空気は、ノズル端部133、管部材120及び掃除機本体110の連結管部113を通じて、集塵容器117に流入する。塵埃は、集塵容器117内で遠心分離され、集塵容器117内に貯留される。
【0033】
使用者が図1に示す状態で掃除機100を使用しているとき、基端管121及び先端管122は、互いに嵌合した状態になっており、直管状の形状を有している。この状態では、使用者が高い場所(例えば、棚など)を清掃している間、管部材120は、重力に抗して直管状の形状を保ち湾曲しない。したがって、使用者は、高い場所の清掃を容易に行うことができる。このとき、伸縮管127は、比較的高い剛性を有している基端管121及び先端管122によって囲まれた空間内に収容されているので、基端管121及び先端管122によって保護されている。
【0034】
使用者が図1に示す状態で掃除機100を使用しているときにおいて、掃除機100の移動方向と反対向きの外力が管部材120に作用することが想定される。たとえば、ノズル端部133が左方に移動しているときに、ノズル端部133の左側にある棚に衝突すれば、管部材120に右向き外力が作用する。あるいは、使用者が掃除機100を前方に押し出し前方の壁にノズル端部133に突き当てれば、先端管122と基端管121との嵌合を深くする方向の外力が作用する。これらの外力は、先端管122を基端管121から引き離す方向には作用しないので、先端管122と基端管121との嵌合は維持されやすい。仮に、掃除機100の使用時において、先端管122を基端管121から引き離す方向の外力が管部材120に作用しても、ロック部材126は、係合突起125と係合していれば、先端管122及び基端管121は、互いに嵌合した状態を維持することができる。
【0035】
また、仮に、使用者が、ロック部材126を係合突起125に係合し忘れていたとしても、先端管122と基端管121との嵌合長さは、軸に対して交差する方向の外力(たとえば、上述の右向きの外力)によって嵌合状態が解除されないように設定されている。このため、ロック部材126が係合突起125に係合していない状態で使用者が掃除機100をしていても、先端管122と基端管121との嵌合が意図せず解除されることは生じにくくなっている。
【0036】
掃除機100の使用時において管部材120に作用することが想定される外力によっては、上述の如く、先端管122と基端管121との嵌合は解消されにくい。これに加えて、先端管122及び基端管121それぞれは、このような外力に対して直管状の形状を維持するのに十分な剛性を有しているので、先端管122自体が外力によって湾曲変形することはないし、基端管121自体が外力によって湾曲することもない。したがって、管部材120は、使用者が図1に示す状態で掃除機100を使用しているときにおいて、管部材120に外力が作用しても直管状の形状を維持し、意図しない管部材120の湾曲変形が抑制される。
【0037】
使用者が掃除機本体110から離れた場所での清掃を望む場合、使用者は、先端管122と基端管121との嵌合を解消すればよい。使用者がロック部材126を操作して係合突起125に対するロック部材126の係合を解消し、この状態で、使用者が先端管122を基端管121に対して相対的に先端側に変位させれば、先端管122と基端管121との嵌合状態が解消される。
【0038】
使用者が先端管122を保持して基端管121に対して先端側に引き離すと、伸縮管127は、伸長して図3に示す状態になる。伸縮管127は、縮んだ状態にあるとき(図2に示す状態)、管部材120の軸回りに捩じれた状態にあるが、伸長するとき、捩れを解消するように管部材120の軸回りに変形する。このとき、伸縮管127の先端に固定された接続部材129は、管部材120の軸回りに回転する。接続部材129は、先端管122と接続部材129とが互いに相対的に管部材120の軸回りに回転することを許容するので、伸縮管127が管部材120の軸回りに回転しても、先端管122は、伸縮管127と一緒に回転することはない。したがって、伸縮管127が伸長している間において伸縮管127が捩れを解消するように管部材120の軸回りに変形しても、先端管122は、使用者によって保持された姿勢を維持することができる。
【0039】
管部材120が図3に示す状態になると、伸縮管127の大部分は、先端管122及び基端管121から露出し、先端管122及び基端管121に妨げられることなく湾曲することができる。したがって、使用者は、掃除機本体110を所定の位置で保持した状態で、先端管122及びノズル端部133を所望の位置に移動させることができる。
【0040】
図1に示す掃除機100の状態では届かないほど高い場所の清掃を、使用者が望むことが想定される。この場合、図6に示すように、先端管122と基端管121との嵌合状態を保った状態で、使用者は、ノズル部材130を先端管122から先端側に引き出せばよい。ノズル部材130の外管部131を先端管122から管部材120の軸方向に引き出すとともに、内管部132を外管部131から管部材120の軸方向に引き出すことにより、図6に示す状態が得られる。
【0041】
外管部131、内管部132、先端管122及び基端管121は、清掃時において加わり得る外力に抗して直管状の形状を維持するのに十分な剛性を有している。したがって、ノズル端部133が斜め上向きになるように使用者が掃除機100を保持しても、外管部131、内管部132、先端管122及び基端管121は、重力に抗して湾曲しない。このため、使用者は、掃除機本体110を保持して、高い場所を清掃することができる。
【0042】
清掃作業後において、掃除機100は、所定の保管場所に保管されてもよい。保管場所に必要とされる面積を低減するために、掃除機本体110には、図7に示すように、保持部150が設けられていてもよい。保持部150は、例えば、先端管122の先端管部124がスナップフィット式に嵌め込まれるように構成されてもよい。
【0043】
使用者は、清掃を終えると、基端管121と先端管122との嵌合を解除して、伸縮管127を外部に露出させる。その後、使用者は、伸縮管127を掃除機本体110側に湾曲させて、先端管122を保持部150に嵌め込むことができる。この状態では、管部材120は、折り曲げられた状態になっているので、掃除機100は、狭い場所に保管され得る。
【0044】
使用者は、図8に示すように、管部材120を掃除機本体110の連結管部113から取り外して、ノズルユニット160を連結管部113に取り付けてもよい。ノズルユニット160は、縮んだ状態の管部材120よりも長くなっている。詳細には、ノズルユニット160は、ノズルユニット160が掃除機本体110に取り付けられたときに、掃除機100をスティック型の掃除機として利用可能にする長さを有している。
【0045】
ノズルユニット160は、管部161と、管部161の先端において上下に回動可能に取り付けられたノズル162と、を備えている。ノズル162は、左右方向において幅広になっており、吸塵部111の作動時において、床面上の広い領域から塵埃がノズル162へ流入し得る。管部161の基端部は、掃除機本体110の連結管部113に嵌め込み可能に構成されている。
【0046】
管部161には、管部材120及びノズル部材130を保持可能に構成された保持部163が設けられている。保持部163は、例えば、管部材120の基端管121とノズル部材130の外管部131とがスナップフィット式に嵌め込まれるように構成されていてもよい。
【0047】
図8に示すように、管部材120が取り付けられた状態のノズルユニット160が掃除機100に接続されて掃除機100が使用されれば、管部材120は、管部材120の不使用時においても掃除機100とともに移動する。このため、清掃場所において管部材120を使用した清掃が必要になったときには、ノズルユニット160を管部材120にすぐに入れ替えることができる。
【0048】
上述の実施形態では、先端管122及び基端管121は、互いに嵌合した状態で直管状の管体を形成している。代替的に、先端管122及び基端管121は、互いに嵌合した状態において曲管を形成するように構成されていてもよい。
【0049】
上述の実施形態では、先端管122と基端管121とが嵌合状態にあるとき、伸縮管127は、先端管122と基端管121とによって囲まれた空間内に収容されている。代替的に、伸縮管127は、先端管122及び基端管121よりも太く形成され、伸縮管127の中で先端管122と基端管121とが嵌合されてもよい。この場合、先端管122の基端管部123は、基端管121に嵌入されるように構成されていてもよい。
【0050】
上述の実施形態では、接続部材129は、伸縮管127側に固定されている。代替的に、接続部材129は、先端管122側に固定されていてもよい。
【0051】
上述の実施形態では、伸縮管127は、コイル芯材141と被覆管部142とによって構成されている。代替的に、伸縮管127は、伸縮可能な他の構造を有していてもよい。たとえば、伸縮管127は、軸回りの捩れを伴わないように縮むことができるような構造を有していてもよい。この場合、接続部材129は必要とされず、伸縮管127の先端部分が先端管122に固定されていてもよい。
【0052】
上述の実施形態では、管部材120は、ハンディ型の掃除機100の一部を構成している。代替的に、管部材120は、スティック型の掃除機又はキャニスター型の掃除機に組み込み可能に構成されていてもよい。
【0053】
(効果等)
上述の実施形態に係る管部材120及び掃除機100は、以下の特徴を有しているとともに、以下の効果を奏する。
【0054】
上述の実施形態に係る一の局面に係る管部材は、掃除機本体に内蔵された吸塵部の吸引力によって吸い込まれる塵埃の流路を構成する。管部材は、掃除機本体に接続可能に形成された基端管と、基端管の先端側に位置するように基端管に接続されているとともに、伸縮可能に構成された可撓性の伸縮管と、伸縮管に接続された先端管と、を備えている。先端管及び基端管は、外力に対して所定の形状を維持する剛性を有しているとともに伸縮管が縮んだ状態で互いに嵌合し、伸縮管が伸長した状態で先端管と基端管との嵌合が解除されるように構成されている。
【0055】
上述の構成では、基端管及び先端管は、外力に対して所定の形状を維持する剛性を有しているので、基端管と先端管とが嵌合した状態の管部材は、外力が加わっても湾曲変形しにくい。基端管と先端管とが嵌合した構造では、ロック部材を先端管の先端面に係合させる構造とは異なり、先端管の開口を塞がないようにロック部材を形成する必要があるという設計上の制約はない。このため、基端管と先端管との嵌合長さを増やすことにより、管部材に外力が加わっても基端管及び先端管の嵌合状態を維持しやすい構造を得ることができる。したがって、基端管及び先端管が互いに嵌合した状態で使用者が掃除機本体を動かしているときには、管部材は、基端管と先端管とが嵌合した状態を維持し、外力により意図せず湾曲することはない。
【0056】
基端管と先端管との嵌合は、伸長管が伸長した状態になると解除される。このとき、伸長管は、可撓性を有しているので、使用者は、掃除機本体を所定の位置に保持したまま、伸縮管を湾曲させて先端管の向きを変えることができる。
【0057】
上述の構成において、伸縮管は、互いに嵌合された先端管及び基端管内に縮んだ状態で収容されていてもよい。
【0058】
上述の構成では、伸縮管は、伸縮性及び可撓性を有しているので、外力に対して所定の形状を維持する剛性を有している先端管及び基端管と比べて脆弱になりやすい。しかし、伸縮管は、互いに嵌合した先端管及び基端管内に縮んだ状態で収容されるので、先端管及び基端管によって、伸縮管を保護することができる。
【0059】
上述の構成において、伸縮管は、伸長した状態から縮んだ状態になるときに、軸回りに捩じれるように変形し、縮んだ状態から伸長した状態に戻るときに、捩れを解消するように軸回りに変形するように構成されていてもよい。管部材は、伸縮管と先端管との間に配置された接続部材を更に備えていてもよい。接続部材は、先端管が伸縮管に対して軸回りに相対的に回転することを許容した状態で伸縮管と先端管とを連結するように構成されていてもよい。
【0060】
上述の構成では、伸縮管は、縮んだ状態における捩れを解消するように軸回りに変形しながら伸長する。しかし、接続部材は、伸縮管に対して先端管が軸回りに相対的に回転することを許容するので、使用者が先端管を強く握っていても、軸回りにおける伸縮管の変形は許容される。したがって、伸縮管は、円滑に伸縮することができる。
【0061】
上述の構成において、伸縮管は、螺旋状のコイル芯材と、コイル芯材を被覆することにより塵埃が流れる流路を構成しているとともに、コイル芯材とともに伸縮する被覆管部と、を含んでいてもよい。接続部材は、先端管が伸縮管に対して軸回りに相対的に回転することを許容した状態で被覆管部と先端管とを連結していてもよい。
【0062】
上述の構成では、伸縮管は、螺旋状に延びるコイル芯材を被覆管部で被覆することにより構成されている。このような構造の伸縮管は、製造容易である。一方、螺旋状の部材は、一般的に、伸縮する際に捩れ方向の変形を伴うので、螺旋状に延びるコイル芯材を被覆管部で被覆することにより構成された伸縮管は、捩れ方向の変形を伴いながら伸縮し得る。伸縮管がこのような伸縮特性を有していても、接続部材は、先端管が伸縮管に対して軸回りに相対的に回転することを許容した状態で被覆管部と先端管とを連結しているので、使用者が先端管を強く握っていても、伸縮管の捩れ変形は許容される。
【0063】
上述の実施形態に係る一の局面に係る掃除機は、塵埃を吸引する吸引力を発生する吸塵部を内蔵した掃除機本体と、上述の管部材と、塵埃が流入する吸引口を形成しているノズル部材と、を備えている。ノズル部材は、管部材の先端管に対して軸方向において相対的に移動可能に先端管に取り付けられる。
【0064】
上述の構成では、ノズル部材は、先端管に対して軸方向において相対的に移動可能である。したがって、先端管が基端管に嵌合された状態であっても、管部材の軸方向におけるノズル部材の位置を変更することが許容される。
【0065】
上述の実施形態に係る他の局面に係る掃除機は、塵埃を吸引する吸引力を発生する吸塵部を内蔵した掃除機本体と、上述の管部材と、を備えている。管部材の基端管は、掃除機本体に接続されている。掃除機本体には、基端管との嵌合が解除された状態で掃除機本体側に折り返された先端管を保持可能に構成された保持部が設けられている。
【0066】
上述の構成では、先端管と基端管との係合を解除して、伸縮管を湾曲させることにより、先端管を掃除機本体側に折り返すことができる。この状態で、先端管を保持部に保持させれば、管部材は、基端管と先端管とにおいて掃除機本体に接続された状態になる。このため、管部材は、掃除機本体側に先端管が折り返された状態を維持することができ、掃除機の不使用時において、掃除機は、広いスペースを要することなく収納され得る。
【0067】
上述の実施形態に係る更に他の局面に係る他の掃除機は、塵埃を吸引する吸引力を発生する吸塵部を内蔵した掃除機本体と、上述の管部材と、を備えている。掃除機本体は、管部材の基端管を着脱自在に形成された連結管部を有している。掃除機は、管部材と入れ替えて連結管部に取り付け可能なノズルユニットを更に備えている。ノズルユニットには、連結管部から取り外された管部材を保持する保持部が設けられている。
【0068】
上述の構成では、ノズルユニットには、保持部が設けられているので、掃除機本体から管部材が取り外されているときには、管部材を保持部に保持させることができる。掃除機本体にノズルユニットが接続された状態で掃除機が使用されているときには、使用者は、管部材をノズルユニットの保持部に保持させた状態にすることができる。この状態では、管部材は、掃除機とともに移動するので、清掃場所において管部材を使用した清掃が必要になったときには、ノズルユニットを管部材にすぐに入れ替えることができる。
【産業上の利用可能性】
【0069】
上述の実施形態に係る技術は、清掃作業に用いられる装置に好適に利用される。
【符号の説明】
【0070】
100・・・・・掃除機
110・・・・・掃除機本体
111・・・・・吸塵部
113・・・・・連結管部
120・・・・・管部材
121・・・・・基端管
122・・・・・先端管
127・・・・・伸縮管
129・・・・・接続部材
130・・・・・ノズル部材
141・・・・・コイル芯材
142・・・・・被覆管部
150・・・・・保持部
160・・・・・ノズルユニット
163・・・・・保持部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
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図10