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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023068267
(43)【公開日】2023-05-17
(54)【発明の名称】洗浄装置
(51)【国際特許分類】
   B05B 7/06 20060101AFI20230510BHJP
   B08B 3/02 20060101ALI20230510BHJP
   B60S 3/04 20060101ALI20230510BHJP
   B05B 7/08 20060101ALI20230510BHJP
【FI】
B05B7/06
B08B3/02 E
B08B3/02 G
B60S3/04
B05B7/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021179179
(22)【出願日】2021-11-02
(71)【出願人】
【識別番号】592145268
【氏名又は名称】JR東日本コンサルタンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137589
【弁理士】
【氏名又は名称】右田 俊介
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 勉
(72)【発明者】
【氏名】槇 浩幸
【テーマコード(参考)】
3B201
3D026
4F033
【Fターム(参考)】
3B201AA46
3B201AB53
3B201BB22
3B201BB32
3B201BB62
3B201BB90
3B201BB92
3B201BB93
3B201BB98
3D026AA05
3D026AA12
3D026AA18
4F033QA09
4F033QB02Y
4F033QB03X
4F033QB12Y
4F033QB15X
4F033QB17
4F033QC05
4F033QD02
4F033QD03
4F033QD20
4F033QD21
4F033QD24
4F033QJ03
4F033QJ09
4F033QJ12
(57)【要約】
【課題】洗浄液を好適に吐出可能な洗浄装置を提供する。
【解決手段】洗浄装置1は、列車の外面を洗浄するのに用いられる。洗浄装置1は、洗浄液を吐出する洗浄用配管2と、空気を吐出するエア配管4と、を備える。エア配管4の先端部4aは、内側筒部5、15と、内側筒部5、15の外側を周回して配設された外側筒部6、16と、を備える。内側筒部5、15及び外側筒部6、16のそれぞれに空気が通るように構成されている。内側筒部5、15及び外側筒部6、16は、エア配管4の中心軸方向にそれぞれ延在している。洗浄用配管2は、内側筒部5、15の径方向内側に配設されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
列車の外面を洗浄するのに用いられる洗浄装置であって、
洗浄液を吐出する洗浄用配管と、
空気を吐出するエア配管と、を備え、
該エア配管の先端部は、内側筒部と、該内側筒部の外側を周回して配設された外側筒部と、を備え、前記内側筒部及び前記外側筒部のそれぞれに前記空気が通るように構成されており、
前記内側筒部及び前記外側筒部は、前記エア配管の中心軸方向にそれぞれ延在しており、
前記洗浄用配管は、前記内側筒部の径方向内側に配設されている、
ことを特徴とする洗浄装置。
【請求項2】
前記内側筒部と前記外側筒部とは、放射状に延在する複数の隔壁によって接続されている請求項1に記載の洗浄装置。
【請求項3】
前記内側筒部は、先端側に向かうにつれて先窄まりとなるテーパ状に形成されている請求項1又は2に記載の洗浄装置。
【請求項4】
前記外側筒部は、前記エア配管の中心軸に対して前記内側筒部の傾斜よりも緩い傾斜で形成、直管状に形成又は先端側に向かうにつれて拡がるフレア状に形成されている請求項3に記載の洗浄装置。
【請求項5】
すすぎ用の液体を吐出する吐出部を有するすすぎ用配管を更に備え、
該すすぎ用配管の前記吐出部は、前記吐出部を正面に見て前記内側筒部と前記外側筒部との間に配設されている請求項1から4のいずれか一項に記載の洗浄装置。
【請求項6】
すすぎ用の液体を吐出する吐出部を有するすすぎ用配管を更に備え、
前記内側筒部には、肉厚方向に貫通して、前記すすぎ用配管を通す挿通部が設けられており、
前記すすぎ用配管は、径方向内側から外側へ、前記内側筒部の内側から前記挿通部を通されており、前記すすぎ用配管における前記挿通部よりも先端側の部位が、前記内側筒部と前記外側筒部との間に配設されている請求項3又は4に記載の洗浄装置。
【請求項7】
前記すすぎ用配管の前記吐出部は、前記エア配管よりも先端側に突出して配設されている請求項5又は6に記載の洗浄装置。
【請求項8】
前記エア配管の前記先端部の外周に取り付けられるカバーを更に備え、
該カバーは、前記エア配管よりも先端側に突出して配置され、前記すすぎ用配管に対して面一で配置又は先端側に突出して配置されている請求項7に記載の洗浄装置。
【請求項9】
前記内側筒部よりも内側に、前記洗浄用配管が取り付けられる取付部が配設されている請求項1から8のいずれか一項に記載の洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、列車用の洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道車両の汚れには、金属由来の汚れ(鉄粉等)が含まれるため、一般的な洗車機を用いて鉄道車両の車体表面を洗浄しても、十分に汚れを除去することは困難である。このため、人手をかけて鉄道車両の洗浄が行われている。より詳細には、原水と薬液とを混合して得られる洗浄液を車体表面に吐出し、ブラシを用いた手作業で車体表面の洗浄が行われる。
【0003】
一方、特許文献1には、洗浄薬液タンクと、水タンクと、薬液ポンプと、高圧水ポンプと、アームと、を備え、薬液及び高圧水を噴射するノズルをアームの先端部に備える洗浄装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平5-67566号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の洗浄装置は、強風時や降雨時等の周辺環境の影響により、洗浄液の吐出ムラが生じることがあり、これらの影響を抑制するために吐出対象部位に近接した状態で洗浄液を吐出しなければならなく、改善の余地があった。
【0006】
本発明は上記の課題に鑑みなされたものであり、本発明の目的は、洗浄液を好適に吐出可能な洗浄装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る洗浄装置は、列車の外面を洗浄するのに用いられる洗浄装置であって、洗浄液を吐出する洗浄用配管と、空気を吐出するエア配管と、を備え、該エア配管の先端部は、内側筒部と、該内側筒部の外側を周回して配設された外側筒部と、を備え、前記内側筒部及び前記外側筒部のそれぞれに前記空気が通るように構成されており、前記内側筒部及び前記外側筒部は、前記エア配管の中心軸方向にそれぞれ延在しており、前記洗浄用配管は、前記内側筒部の径方向内側に配設されている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、洗浄液を吐出するときに、周回して形成された内側筒部及び外側筒部を通る空気によって、直進性を高めて吐出ムラを減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態に係る洗浄装置の斜視図である。
図2】洗浄装置の正面図である。
図3図2のIII-III断面を示す洗浄装置の断面図である。
図4】洗浄用配管の断面図である。
図5】すすぎ用配管の断面図である。
図6】基端側ノズルを示す斜視図である。
図7】基端側ノズルの背面図である。
図8図7のVIII-VIII断面を示す基端側ノズルの断面図である。
図9】先端側ノズルを示す斜視図である。
図10】先端側ノズルの正面図である。
図11図10のXI-XI断面を示す先端側ノズルの断面図である。
図12】ホルダの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態に係る洗浄装置1について説明する。
なお、本実施形態で用いる図面は、本発明の洗浄装置の構成、形状、洗浄装置を構成する各部材の配置を例示するものであり、本発明を限定するものではない。
また、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、重複する説明は適宜省略する。
【0011】
<概要>
まず、本実施形態に係る洗浄装置1の概要について、図1から図3を主に参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る洗浄装置1の斜視図、図2は、洗浄装置1の正面図、図3は、図2のIII-III断面を示す洗浄装置1の断面図である。
【0012】
本実施形態に係る洗浄装置1は、不図示の列車の外面を洗浄するのに用いられる洗浄装置1である。
洗浄装置1は、不図示の洗浄液を吐出する吐出部2gを有する洗浄用配管2と、空気を吐出する吐出部4gを有するエア配管4と、を備える。
図3に示すように、エア配管4の先端部4aは、内側筒部5、15と、内側筒部5、15の外側を周回して配設された外側筒部6、16と、を備える。内側筒部5、15及び外側筒部6、16のそれぞれに空気が通るように構成されている。
内側筒部5、15及び外側筒部6、16は、エア配管4の中心軸方向にそれぞれ延在している。洗浄用配管2は、内側筒部5、15の径方向内側に配設されている。
より具体的には、洗浄用配管2の洗浄液を吐出する吐出部2gが内側筒部15の径方向内側に配設されている。
【0013】
「列車の外面」には、列車の前面の他、側面若しくは後面、又はその組合せを含むものである。
特に、本実施形態に係る洗浄装置1は、「列車の外面」のうち、列車走行に伴う洗浄装置との相対移動によって既設の洗浄装置による洗浄が可能である「側面」だけでなく、「列車の前面又は後面」にも用いることができる。
【0014】
具体的には、従来、列車の前面又は後面の洗浄に関しては、列車の両サイドに配設された洗浄台又は乗降台(列車のメンテナンスや清掃時に使用するもの)に板を架け渡して、デッキブラシで擦り洗いをするといった人の手作業によって行われていた。これに対し、洗浄装置1によれば、人の手作業のみによらずに列車の前面又は後面にも好適に洗浄が可能となり、作業効率を高めることができる。
また、洗浄装置1によって、前面又は後面を洗浄する場合には、架線(車両上空にある電線)に干渉せず、感電の危険性がない。
【0015】
「洗浄液」とは、例えばシュウ酸又はリン酸と陽イオン除去水とが混合して得られるものである。また、「すすぎ用の液体」とは、例えば水である。
また、「周回」には、360度に亘って連続的に形成された全周回の他に、切り欠き(挿通部)が一部に形成されることにより断続的に360度に亘って形成されるものを含むものとする。
「中心軸方向に・・・延在している。」とは、中心軸に平行に延在するものに限定されず、中心軸方向成分を少なくとも含んで、中心軸に対して斜めに延在するものを含むものとする。
【0016】
上記構成によれば、洗浄用配管2から洗浄液を吐出するときに、周回して形成された内側筒部5、15を通る空気によって洗浄液を搬送でき、外側筒部6、16内を通る空気がエアカーテンのように作用して、直進性を高めて吐出ムラを減らすことができる。
【0017】
<全体構成>
次に、洗浄装置1の全体構成について説明する。
図3に示すように、洗浄装置1は、エア配管4と、エア配管4内に挿入された洗浄用配管2及びすすぎ用配管3と、エア配管4の先端部4aの外周に取り付けられるカバー10と、を備える。
【0018】
洗浄装置1は、ブラシを備えず、薬液(洗浄液)を塗布した状態で時間をおいて水ですすぐように、薬液の反応によって汚れを落とすものである。しかしながら、このような構成に限定されず、洗浄装置1は、ブラシを備えるものであってもよい。
また、洗浄装置1は、コーティング剤を吐出する構成を備えてもよいが、手作業でコーティング剤を塗布するようにしてもよい。
【0019】
カバー10は、エア配管4よりも先端側に突出して配置され、すすぎ用配管3に対して面一で配置又は先端側に突出して配置されている。
また、カバー10がエア配管4よりも先端側に突出して「庇」のようになっていることで、吐出される空気の広がりを適度に抑制する機能を有している。
なお、図3においては、すすぎ用配管3とカバー10が同じ位置(面一)で配置されている例を示している。
本実施形態に係るカバー10は、エア配管4保護用のウレタン等の多孔質のスポンジである。
【0020】
<洗浄用配管>
次に、図1から図3に加え、図4を主に参照して、洗浄用配管2について説明する。図4は、洗浄用配管2の断面図である。
洗浄用配管2は、洗浄用の泡を吐出するものであり、エルボ2bと、エルボ2bにソケット2eを介して接続されたニップル2cと、ニップル2cにソケット2fを介して接続された発泡ノズル2dと、によって主に構成されている。発泡ノズル2dは、洗浄液が到達したときに内部を負圧にして空気を取り込み、洗浄泡を生成する。なお、図4においては、発泡ノズル2dの内部構成を省略して示している。
【0021】
図3に示すように、洗浄用配管2の発泡ノズル2dの先端にある吐出部2gは、先端側ノズル30(エア配管4)の先端面よりも基端側に配設されている。
そして、洗浄用配管2は、内側筒部5、15よりも径方向内側に配設されていることにより、発泡ノズル2dによって生成された洗浄泡は、内側筒部5、15の径方向内側を通る空気にのって、吐出部2gから吐出されることになる。
【0022】
<すすぎ用配管>
次に、図1から図3に加え、図5を主に参照して、すすぎ用配管3について説明する。図5は、すすぎ用配管3の断面図である。
洗浄装置1は、洗浄用配管2、エア配管4の他に、すすぎ用の液体(水)を吐出する吐出部3gを有するすすぎ用配管3を備える。
すすぎ用配管3の吐出部3gは、吐出部3gを正面に見て内側筒部15と外側筒部16との間に配設されている。
このような構成によれば、すすぎ用の液体(水)を吐出するときに、洗浄装置1内で洗浄液と混合することなくスムーズに吐出できる。
【0023】
また、すすぎ用配管3は、パイプ3aと、パイプ3aの基端部に設けられ、不図示の可撓性チューブに接続される継手ユニット3bと、を主に備える。
すすぎ用配管3は、洗浄泡を吐出する洗浄用配管2と共用ではなく、洗浄用配管2とは別個に設けられている。このため、すすぎ用配管3は、すすぎ用の液体(水)を高圧で吐出することができ、洗浄液がすすぎ用配管3内に存在しないので、洗浄用配管2によって洗浄した後に、すすぎ用配管3から水のみをすぐに吐出してすすぐことができる。
【0024】
パイプ3aの先端側には、水平向きの部位から先端側斜め上方に傾斜して水平向きの部位に接続する屈曲部3cが形成されている。内側筒部15の内側から内側筒部15のスリット15aを通って、内側筒部15と外側筒部16とに位置されるパイプ3aのうち、屈曲部3cは、スリット15aを通る(スリット15aに交差する)部位である。
継手ユニット3bは、不図示のポンプに接続されたフレキシブルチューブにすすぎ用配管3を接続するためのものである。
【0025】
<エア配管>
次に、エア配管4について、図1から図3に加え、図6から図11を主に参照して説明する。
図6は、基端側ノズル20を示す斜視図、図7は、基端側ノズル20の背面図、図8は、図7のVIII-VIII断面を示す基端側ノズル20の断面図である。図9は、先端側ノズル30を示す斜視図、図10は、先端側ノズル30の正面図、図11は、図10のXI-XI断面を示す先端側ノズル30の断面図である。
【0026】
本実施形態に係るエア配管4は、洗浄泡及び水を搬送する圧縮空気を送り出すためのもので、不図示のコンプレッサーに接続されるものであり、ポリ塩化ビニル製の樹脂配管である。
【0027】
エア配管4は、下側エルボ4bと上側エルボ4cとを備えて、下側エルボ4bよりも高い位置で水平方向に洗浄液(洗浄泡)及び水を吐出できるように構成されている。上側エルボ4cから、上記の洗浄用配管2及びすすぎ用配管3が、エア配管4内にパテ埋め等により水密に導入されている。
本実施形態におけるエア配管4の先端部4aには、樹脂製の基端側ノズル20と先端側ノズル30が設けられている。
なお、基端側ノズル20と先端側ノズル30とは、一体成型により一体的に形成されていてもよい。
【0028】
基端側ノズル20は、図6に示すように、軸線方向に直交する断面において中央部分にある取付筒部9と、取付筒部9の径方向外側にある内側筒部5と、内側筒部5の径方向外側にある外側筒部6と、を主に備える。
取付筒部9は、洗浄用配管2が内側に通されるものであり、図7に示すように、内側筒部5に形成されたスリット5aに対向する位置に、径方向外側に突出する凹溝付き突条9bが形成されている。この凹溝付き突条9bに、すすぎ用配管3における屈曲部3cに対して基端側に隣接する直線部分が取り付けられる。
【0029】
また、取付筒部9は、図8に示すように、基端側にある直進部9cと、直進部9cに対して外面が先端側に向けて径方向外側に大きくなる(換言すると厚肉となる)フレア部9dと、を備える。
【0030】
先端側ノズル30は、図9から図11に示すように、軸線方向に直交する断面において中央部分にある取付筒部19と、取付筒部19の径方向外側にある内側筒部15と、内側筒部15の径方向外側にある外側筒部16と、を主に備える。
取付筒部19は、洗浄用配管2が内側に通されるものであり、先端側ノズル30(内側筒部15、外側筒部16)の基端面から軸方向に延出しているが、先端側ノズル30(内側筒部15、外側筒部16)の先端まで延在していない。取付筒部19の先端面は、中央よりも先端側に形成されている。
【0031】
取付筒部9(及び取付筒部19)と内側筒部5(及び内側筒部15)とは、放射状に延在する複数の隔壁(内側隔壁7、17)によって接続されている。
具体的には、図6に示す基端側ノズル20に3つ内側隔壁7、図10に示す先端側ノズル30に3つの内側隔壁17が設けられており、それぞれが、中心角120度毎に設けられている。このように内側隔壁7、17が形成されていることにより、取付筒部9と内側筒部5の間にある空気の流路の断面は120度中心角の扇形に形成されていることになる。
なお、取付筒部9と内側筒部5の間にある空気の流路断面のうち、スリット5a、15aに面し、すすぎ用配管3が配置される流路断面についても、スリット5a、15aによる切り欠きを除外して、扇形に形成されているものとする。
【0032】
上記構成によれば、取付筒部9(及び取付筒部19)と内側筒部5(及び内側筒部15)との間に空間を設けつつ、両者の位置関係を保持できることで、空気の流速を安定させ、洗浄液の吐出を安定させることができる。
【0033】
内側筒部5(及び内側筒部15)と外側筒部6(及び外側筒部16)とは、放射状に延在する複数の隔壁(外側隔壁8、18)によって接続されている。
具体的には、図6に示す基端側ノズル20に3つ外側隔壁8、図10に示す先端側ノズル30に3つの外側隔壁18が設けられており、それぞれが、中心角120度毎に設けられている。このように外側隔壁8、18が形成されていることにより、内側筒部5と外側筒部6の間にある空気の流路の断面は120度中心角の扇形に形成されることになる。
なお、内側筒部5と外側筒部6の間にある空気の流路断面のうち、スリット5a、15aに面し、すすぎ用配管3が配置される流路断面についても、スリット5a、15aによる切り欠きを除外して、扇形に形成されているものとする。
【0034】
上記構成によれば、内側筒部5(及び内側筒部15)と外側筒部6(及び外側筒部16)との間に空間を設けつつ、両者の位置関係を保持できることで、空気の流速を安定させ、洗浄液の範囲を好適に絞ることができる。
さらに、すすぎ用配管3が配置される部位が中心角120度の扇形に形成されていることで、これよりも中心角の小さな扇形に形成されているものと比較して、水の流速を高めることができる。
【0035】
内側筒部5(及び内側筒部15)は、先端側に向かうにつれて先窄まりとなるテーパ状に形成されている。
具体的には、基端側ノズル20の内側筒部5の延長上に、先端側ノズル30の内側筒部15が位置しており、内側筒部5の先端面と内側筒部15の基端面が一致するように形成されている。
上記構成によれば、テーパ状に形成された内側筒部5(及び内側筒部15)により、内側筒部5(内側筒部15)の流入側よりも流出側の薬液の流速を高めることができ、あるいはその流速が低下することを抑制することができる。
【0036】
本実施形態に係る外側筒部6、16は、図3に示すように、直管状に形成されている。
しかしながらこのような構成に限定されず、外側筒部6(外側筒部16)は、エア配管4の中心軸に対して内側筒部5(内側筒部15)の傾斜よりも緩い傾斜で形成、又は先端側に向かうにつれて拡がるフレア状に形成されていてもよい。
【0037】
上記構成によれば、内側筒部5、15と外側筒部6、16との間を通る空気の流路断面積が、テーパ状に形成された内側筒部5、15の径方向内側を通る空気の流路断面積と比較して、先端側に向かうにつれて大きくなる。このため、周囲への飛散を防ぐためのエアカーテンとなる外側筒部6、16からの空気を減速させて、洗浄液を送り出す内側筒部5、15からの空気の速度に近づけることができ、洗浄用配管2から吐出される泡を適度に分散することができる。
【0038】
内側筒部5、15には、肉厚方向に貫通して、すすぎ用配管3を通す挿通部(スリット5a、15a)が設けられている。
すすぎ用配管3は、径方向内側から外側へ、内側筒部5、15の内側からスリット5a、15aを通されており、すすぎ用配管3におけるスリット5a、15aよりも先端側の部位が、内側筒部5、15と外側筒部6、16との間に配設されている。
【0039】
「すすぎ用配管3におけるスリット5a、15aよりも先端側の部位」について換言すると、すすぎ用配管3におけるスリット5a、15aと交差する部位よりも先端側の部位のことである。
【0040】
なお、内側筒部5、15に形成されている挿通部として、遠位端まで切り欠かれたスリット5a、15aを例に説明するが、この構成に限定されない。例えば挿通部は、丸孔やエア配管4の軸方向に長く形成された長孔等の閉領域を形成する貫通孔であってもよい。
挿通部が、閉領域を形成する貫通孔であれば、内側筒部5、15の先端部を全周回に亘って欠けのないものとすることができる。このため、洗浄用配管2の吐出部2gから吐出された洗浄泡の全周囲を取り囲むことができることで、洗浄用配管2の周りを流れる空気の流れを安定させやすくなり、洗浄泡の吐出の指向性をより高めることができる。
【0041】
上記構成によれば、すすぎ用配管3のスリット5a、15aよりも先端側の部位が、内側筒部5、15と外側筒部6、16との間に配設されていることで、テーパ状に形成された内側筒部5、15の最大径部よりも径方向外側に配設されている場合と比較して、外側筒部6、16と内側筒部5、15の間を流れる空気の損失が大きくなることを抑制できる。
【0042】
図3に示すように、すすぎ用配管3の吐出部3gは、エア配管4(上記のように、カバー10はエア配管4に含まれない。)よりも先端側に突出して配設されている。
上記構成によれば、すすぎ用配管3の吐出部3gが、エア配管4よりも先端側に突出していることで、エア配管4(先端側ノズル30)から吐出した空気が径方向に広がりながら、すすぎ用配管3の吐出部3gから吐出した水に当たることになる。このため、吐出部3gから吐出した水を広範囲に吐出することができる。
【0043】
内側筒部5、15よりも内側に、洗浄用配管2が取り付けられる取付部(取付筒部9、19)が配設されている。
本実施形態における、基端側ノズル20の取付筒部9の内径は、先端側ノズル30の取付筒部19の内径よりも約5mm程度小さく、取付筒部9、19の間には、図3に示すように、洗浄用配管2の先端部2aが当接する座面を含む段差9aが設けられている。
【0044】
なお、「取付部」として、本実施形態においては取付筒部9、10を説明したが、必ずしも筒状である必要はなく、例えば、内側筒部5から中心軸側に突出し、洗浄用配管2に嵌合する溝を有する不図示の突起であってもよい。
上記構成によれば、取付部によって内側筒部5、15の内側において洗浄用配管2を固定でき、内側筒部5、15の内側が流れる空気との位置関係を安定させることができる。
【0045】
<ホルダ>
次に、図1から図3に加え、主に図12を参照して、ホルダ40について説明する。図12は、ホルダ40の斜視図である。
ホルダ40は、エア配管4を一定の姿勢で不図示の台車等に固定するためのものである。ホルダ40は、L字状の断面を有するアングル41と、アングル41の内側に間隔を空けて取り付けられた2枚の側板42と、側板42にガイドされてアングル41に取り付けられる組材43と、から主に構成されている。
【0046】
アングル41は、1枚の板が折り曲げられて形成されたものである。アングル41の底板には、円状に配置された8つの取付孔41aが肉厚方向に貫通して形成されている。
アングル41の立板における側板42よりも幅方向外側に、後述する組材43が不図示のボルト・ナットによって取り付けられる4つの取付孔41eが肉厚方向に貫通して形成されている。
【0047】
側板42は、アングル41の底板の上面、立板の背面に当接して接合されており、前後方向に長い長方形と、長方形の上部に一体的に形成された台形と、が組み合わされた形状を有する。なお、長方形におけるアングル41の折り曲げ部分に対向する部分は切り欠かれている。
【0048】
組材43は、縁板43aと、側板43bと、基端側板43cと、を有して、全体として平面視π字状に形成されている。縁板43aにおける、アングル41の取付孔41eと対向する位置に、不図示のボルト・ナットによって取り付けられる4つの取付孔43eが肉厚方向に貫通して形成されている。
基端側板43cの下側に通し孔43dが肉厚方向に貫通して形成されており、この通し孔43dにエア配管4の下側エルボ4bが通されて固定される。
【0049】
本実施形態に係る洗浄装置1は、上記のように例示であり、技術的思想として共通する範囲で各種変更が可能である。
また、洗浄装置1は、不図示の近接センサを備えるものであってもよい。このように洗浄装置1が近接センサを備えることで、洗浄泡又は水の吐出対象である列車の外面に対して、一定の距離を保ちながら、広範囲に洗浄泡又は水を噴射することができる。
【0050】
本実施形態は以下の技術思想を包含する。
(1)
列車の外面を洗浄するのに用いられる洗浄装置であって、
洗浄液を吐出する洗浄用配管と、
空気を吐出するエア配管と、を備え、
該エア配管の先端部は、内側筒部と、該内側筒部の外側を周回して配設された外側筒部と、を備え、前記内側筒部及び前記外側筒部のそれぞれに前記空気が通るように構成されており、
前記内側筒部及び前記外側筒部は、前記エア配管の中心軸方向にそれぞれ延在しており、
前記洗浄用配管は、前記内側筒部の径方向内側に配設されている、
ことを特徴とする洗浄装置。
(2)
前記内側筒部と前記外側筒部とは、放射状に延在する複数の隔壁によって接続されている(1)に記載の洗浄装置。
(3)
前記内側筒部は、先端側に向かうにつれて先窄まりとなるテーパ状に形成されている(1)又は(2)に記載の洗浄装置。
(4)
前記外側筒部は、前記エア配管の中心軸に対して前記内側筒部の傾斜よりも緩い傾斜で形成、直管状に形成又は先端側に向かうにつれて拡がるフレア状に形成されている(3)に記載の洗浄装置。
(5)
すすぎ用の液体を吐出する吐出部を有するすすぎ用配管を更に備え、
該すすぎ用配管の前記吐出部は、前記吐出部を正面に見て前記内側筒部と前記外側筒部との間に配設されている(1)から(4)のいずれか一項に記載の洗浄装置。
(6)
すすぎ用の液体を吐出する吐出部を有するすすぎ用配管を更に備え、
前記内側筒部には、肉厚方向に貫通して、前記すすぎ用配管を通す挿通部が設けられており、
前記すすぎ用配管は、径方向内側から外側へ、前記内側筒部の内側から前記挿通部を通されており、前記すすぎ用配管における前記挿通部よりも先端側の部位が、前記内側筒部と前記外側筒部との間に配設されている(3)又は(4)に記載の洗浄装置。
(7)
前記すすぎ用配管の前記吐出部は、前記エア配管よりも先端側に突出して配設されている(5)又は(6)に記載の洗浄装置。
(8)
前記エア配管の前記先端部の外周に取り付けられるカバーを更に備え、
該カバーは、前記エア配管よりも先端側に突出して配置され、前記すすぎ用配管に対して面一で配置又は先端側に突出して配置されている(7)に記載の洗浄装置。
(9)
前記内側筒部よりも内側に、前記洗浄用配管が取り付けられる取付部が配設されている(1)から(8)のいずれか一項に記載の洗浄装置。
【符号の説明】
【0051】
1 洗浄装置
2 洗浄用配管
2a 先端部
2b エルボ
2c ニップル
2d 発泡ノズル
2e ソケット
2f ソケット
2g 吐出部
3 すすぎ用配管
3a パイプ
3b 継手ユニット
3c 屈曲部
3g 吐出部
4 エア配管
4a 先端部
4b 下側エルボ
4c 上側エルボ
4g 吐出部
5 内側筒部
5a スリット(挿通部)
6 外側筒部
7 内側隔壁
8 外側隔壁(隔壁)
9 取付筒部
9a 段差
9b 凹溝付き突条
9c 直進部
9d フレア部
10 カバー
15 内側筒部
15a スリット(挿通部)
16 外側筒部
17 内側隔壁
18 外側隔壁(隔壁)
19 取付筒部
20 基端側ノズル
30 先端側ノズル
40 ホルダ
41 アングル
41a、41e 取付孔
42 側板
43 組材
43a 縁板
43b 側板
43c 基端側板
43d 通し孔
43e 取付孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12