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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023068284
(43)【公開日】2023-05-17
(54)【発明の名称】クランプ具
(51)【国際特許分類】
   F16B 19/00 20060101AFI20230510BHJP
   F16B 2/08 20060101ALI20230510BHJP
【FI】
F16B19/00 Q
F16B19/00 E
F16B2/08 U
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021179205
(22)【出願日】2021-11-02
(71)【出願人】
【識別番号】000108524
【氏名又は名称】ヘラマンタイトン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087653
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 正二
(74)【代理人】
【識別番号】100142376
【弁理士】
【氏名又は名称】吉村 哲郎
(72)【発明者】
【氏名】谷口 雄一
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 忠弘
【テーマコード(参考)】
3J022
3J036
【Fターム(参考)】
3J022EB02
3J022EB14
3J022EC02
3J022EC17
3J022FB07
3J022FB12
3J022GA03
3J022GB23
3J036AA04
3J036DA06
3J036DB04
(57)【要約】
【課題】 引抜力がかかった場合に抜ける可能性が低くなる。
【解決手段】 クランプ具10は、ベース部22と取付部24と引寄部26とを備える。取付部24は貫通孔が形成されている金具にベース部22を取付ける。取付部24が、支柱部40と抜止部42と異方向突出部44とを有する。異方向突出部44は、支柱部40の貫通区間80のうち突出箇所82から突出する。異方向突出部44は、抜止部42の在る方向とは異なる方向へ向かって突出する。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース部と、
前記ベース部に設けられ、前記ベース部から突出し、かつ、貫通孔が形成されている所定の部材に前記ベース部を取付ける取付部とを備え、
前記取付部が、
前記ベース部に接続される付け根、先端部、および、前記付け根と前記先端部との間に形成される側面部を有する支柱部と、
前記支柱部の前記側面部のうち前記支柱部の前記先端部が前記貫通孔を貫通するとき前記先端部と共に前記貫通孔を貫通する貫通区間から分岐する抜止部とを有しており、
前記貫通区間よりも前記ベース部側に配置され、前記貫通孔を前記先端部および前記貫通区間が貫通し前記抜止部が前記貫通孔の縁に引っ掛かると前記抜止部を前記ベース部側へ引き寄せる引寄部をさらに備えるクランプ具において、
前記取付部が、前記支柱部の前記貫通区間のうち前記抜止部が分岐する箇所とは異なる突出箇所から前記抜止部の在る方向とは異なる方向へ向かって突出する異方向突出部をさらに有していることを特徴とするクランプ具。
【請求項2】
前記異方向突出部が、
前記突出箇所から前記抜止部の在る方向とは異なる方向へ向かって突出する板状部と、
前記突出箇所から前記板状部と同じ方向へ向かって突出し、かつ、前記板状部に固定される固定桟部とを有していることを特徴とする請求項1に記載のクランプ具。
【請求項3】
前記抜止部が、前記貫通区間から見た前記ベース部および前記引寄部の在る方向へ延びており、
前記板状部が、前記支柱部の前記付け根から前記先端部へ向かう方向に対して直交する方向へ沿って拡がっており、
前記固定桟部が、前記支柱部の前記付け根から前記先端部へ向かう方向に沿って拡がっていることを特徴とする請求項2に記載のクランプ具。
前記固定桟部が、
【請求項4】
前記固定桟部が、
前記板状部のうち前記ベース部に対向する面において前記板状部に固定されるベース対向桟部と、
前記板状部のうち前記ベース部に対向する面から見た背面において前記板状部に固定される背面桟部とを有していることを特徴とする請求項3に記載のクランプ具。
【請求項5】
前記支柱部の前記付け根から前記先端部へ向かう方向に対して直交する方向についての前記背面桟部の幅が前記板状部に近づくにつれ広くなることを特徴とする請求項4に記載のクランプ具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はクランプ具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1にはクランプ具が開示されている。このクランプ具は、ベース部と、保持部と、部材押付部とを備える。保持部は、ベース部に設けられる。部材押付部は、保持部から突出する。ベース部が、部材支持部と、基部固定部と、保持時接続部とを有する。基部固定部は、保持部の基部が固定される。保持時接続部は、保持部のうち基部以外の部分が接続される。部材支持部が、底領域と、底側支持領域の対と、端側支持領域の対とを有している。底側支持領域の対は、底領域の両脇に配置される。端側支持領域の対は、底領域から見て一方の底側支持領域の向こう側と他方の底側支持領域の向こう側とに配置される。端側支持領域の対は、底側支持領域の対よりも間隔を開けて対向する。
【0003】
特許文献1に示されたクランプ具によれば、これによって保持される部材の位置が保持部における所定の位置からずれる可能性を抑え得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-94618号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された発明には、これにかかるクランプ具に対して引抜力がかかった場合の抵抗力に改善の余地があるという問題がある。
【0006】
本発明の目的は、引抜力がかかった場合に抜ける可能性が低くなるクランプ具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
図面を参照し本発明を説明する。なおこの欄で図中の符号を使用したのは発明の内容の理解を助けるためである。この欄で図中の符号を使用することには発明の内容を図示した範囲に限定する意図がない。
【0008】
上述された目的を達成するために、本発明のある局面に従うと、クランプ具10は、ベース部22と、取付部24とを備える。取付部24はベース部22に設けられる。取付部24はベース部22から突出する。取付部24は所定の部材240にベース部22を取付ける。所定の部材240には貫通孔262が形成されている。取付部24が、支柱部40と、抜止部42とを有する。支柱部40は、ベース部22に接続される付け根60、先端部62、および、付け根60と先端部62との間に形成される側面部64を有する。抜止部42は、支柱部40の側面部64のうち貫通区間80からから分岐する。貫通区間80は、支柱部40の先端部が貫通孔262を貫通するとき先端部62と共に貫通孔262を貫通する。クランプ具10は、引寄部26をさらに備える。引寄部26は、貫通区間80よりもベース部22側に配置される。引寄部26は、貫通孔262を先端部62および貫通区間80が貫通し抜止部42が貫通孔262の縁に引っ掛かると抜止部42をベース部22側へ引き寄せる。取付部24が、異方向突出部44をさらに有している。異方向突出部44は、支柱部40の貫通区間80のうち突出箇所82から突出する。突出箇所82は、抜止部42が分岐する箇所とは異なる箇所である。異方向突出部44は、抜止部42の在る方向とは異なる方向へ向かって突出する。
【0009】
抜止部42が支柱部40の貫通区間80からから分岐することに加えて異方向突出部44が貫通区間80のうち突出箇所82から突出すると、クランプ具10に対しこれが所定の部材240から抜ける方向の引抜力がかかってもそのクランプ具10が抜け難くなる。異方向突出部44が妨げとなるためである。その結果、引抜力がかかった場合に抜ける可能性が低くなる。
【0010】
また、上述された異方向突出部44が、板状部100と、固定桟部102とを有していることが望ましい。板状部100は、突出箇所82から抜止部42の在る方向とは異なる方向へ向かって突出する。固定桟部102は、突出箇所82から板状部と同じ方向へ向かって突出する。固定桟部102は、板状部100に固定される。
【0011】
固定桟部102は、突出箇所82から板状部100と同じ方向へ向かって突出する。固定桟部102は、板状部100に固定される。これにより、板状部100は固定桟部102により補強されることとなる。突出箇所82から突出する板状部100が補強されるので、クランプ具10に対しこれが所定の部材240から抜ける方向の引抜力がかかったとき異方向突出部44はその引抜力に対して抵抗することが可能になる。その引抜力に対して抵抗することが可能になるので、クランプ具10に対しこれが所定の部材240から抜ける方向の引抜力がかかってもそのクランプ具10が抜け難くなる。その結果、引抜力がかかった場合に抜ける可能性が低くなる。
【0012】
もしくは、上述された抜止部42が、貫通区間80から見たベース部22および引寄部26の在る方向へ延びていることが望ましい。この場合、板状部100が、支柱部40の付け根60から先端部62へ向かう方向に対して直交する方向へ沿って拡がっていることが望ましい。この場合、固定桟部102が、支柱部40の付け根60から先端部62へ向かう方向に沿って拡がっていることが望ましい。
【0013】
支柱部40の付け根60から先端部62へ向かう方向に対して直交する方向へ沿って板状部100が拡がるのに対し、支柱部40の付け根60から先端部62へ向かう方向に沿って固定桟部102が拡がる。これにより、固定桟部102の拡がる方向が板状部100の拡がる方向と同じ場合に比べて板状部100はより強固に補強されることとなる。突出箇所82から突出する板状部100が強固に補強されるので、クランプ具10に対しこれが所定の部材240から抜ける方向の引抜力がかかったとき異方向突出部44はその引抜力に対して強く抵抗することが可能になる。その引抜力に対して強く抵抗することが可能になるので、クランプ具10に対しこれが所定の部材240から抜ける方向の引抜力がかかってもそのクランプ具10が抜け難くなる。その結果、引抜力がかかった場合に抜ける可能性が低くなる。
【0014】
もしくは、上述された固定桟部102が、ベース対向桟部120と、背面桟部122とを有していることが望ましい。ベース対向桟部120は、板状部100のうちベース部22に対向する面において板状部100に固定される。背面桟部122は、板状部100のうちベース部22に対向する面から見た背面において板状部100に固定される。
【0015】
固定桟部102がベース対向桟部120と背面桟部122とを有しているので、これらのうち一方のみを固定桟部102が有している場合に比べて、板状部100はより強固に補強されることとなる。その結果、引抜力がかかった場合に抜ける可能性が低くなる。
【0016】
もしくは、上述された支柱部40の付け根60から先端部62へ向かう方向に対して直交する方向についての背面桟部122の幅が板状部100に近づくにつれ広くなることが望ましい。
【0017】
上述された背面桟部122の幅が板状部100に近づくにつれ広くなると、その幅が広くならない場合に比べ、背面桟部122の断面積が大きくなる。背面桟部122の断面積が大きくなると、板状部100からの背面桟部122の突出高さを抑えることに伴う背面桟部122の機械的強度の低下を緩和できる。その結果、板状部100からの背面桟部122の突出高さを抑えることができ、かつ、引抜力がかかった場合に抜ける可能性が低くなる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、引抜力がかかった場合に抜ける可能性が低くなる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態にかかるクランプ具の全体図である。
図2】本発明の一実施形態にかかる取付部の正面図である。
図3】本発明の一実施形態にかかるベース部と取付部と引寄部との異方向突出部側の斜視図である。
図4】本発明の一実施形態にかかるベース部と取付部と引寄部との異方向突出部とは反対側の斜視図である。
図5】本発明の一実施形態にかかる異方向突出部付近の斜視図である。
図6】本発明の一実施形態にかかるクランプ具が所定の部材に取付けられつつある状況を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面の参照を伴いつつ、本発明の実施形態が説明される。以下の説明では、同一の部品には同一の符号が付されている。それらの名称および機能は同一である。したがって、それらについての詳細な説明は繰返されない。
【0021】
[クランプ具の構成]
図1は、本実施形態にかかるクランプ具10の全体図である。図1に基づいて、本実施形態にかかるクランプ具10の構成が説明される。
【0022】
本実施形態にかかるクランプ具10は、後述される所定の金具240に取付けられるものである。この金具240は貫通孔262が形成されているものである。この金具240に取付けられたクランプ具10が図示されないワイヤハーネスなどのさまざまな物を束ねることにより、その物はその金具240に固定されることとなる。
【0023】
本実施形態にかかるクランプ具10は、結束部20と、ベース部22と、取付部24と、引寄部26,26の対とを備える。
【0024】
結束部20は、上述されたワイヤハーネスなどのさまざまな物を束ねる。ベース部22は本実施形態にかかるクランプ具10の土台となる。ベース部22に結束部20の端部が固定される。その固定のための機構は周知なのでここではその詳細な説明は繰返されない。本実施形態の場合、取付部24はベース部22に設けられる。取付部24はベース部22から突出する。取付部24は金具240にベース部22を取付ける。本実施形態の場合、引寄部26,26の対は、ベース部22の両脇から突出する。引寄部26の先端は、その付け根よりも取付部24の在る側へ寄っている。引寄部26は取付部24をベース部22側へ引き寄せる。
【0025】
図2は、本実施形態にかかるベース部22と取付部24と引寄部26,26との正面図である。図3は、本実施形態にかかるベース部22と取付部24と引寄部26,26との異方向突出部44側の斜視図である。図4は、本実施形態にかかるベース部22と取付部24と引寄部26,26との異方向突出部44とは反対側の斜視図である。図2乃至図4に基づいて、本実施形態にかかるこれらの構成が説明される。
【0026】
本実施形態にかかる取付部24は、支柱部40と、抜止部42,42の対と、異方向突出部44とを有する。
【0027】
支柱部40は、ベース部22に接続される付け根60、先端部62、および、付け根60と先端部62との間に形成される側面部64を有する。
【0028】
抜止部42は、支柱部40の側面部64のうち貫通区間80からから分岐する。貫通区間80は、支柱部40の先端部62が貫通孔262を貫通するとき先端部62と共に貫通孔262を貫通する区間である。このため、上述された引寄部26は、貫通区間80よりもベース部22側に配置されている。なお、図2において特に明らかなように、抜止部42は、貫通区間80から見たベース部22および引寄部26の在る方向へ延びている。
【0029】
異方向突出部44は、支柱部40の貫通区間80のうち突出箇所82から突出する。突出箇所82は、抜止部42が分岐する箇所とは異なる箇所である。異方向突出部44は、抜止部42の在る方向とは異なる方向へ向かって突出する。
【0030】
図5は、本実施形態にかかる異方向突出部44付近の斜視図である。図3乃至図5に基づいて、本実施形態にかかる異方向突出部44の構成が説明される。
【0031】
本実施形態にかかる異方向突出部44は、板状部100と、固定桟部102,102の対とを有している。板状部100は、突出箇所82から抜止部42の在る方向とは異なる方向へ向かって突出する。本実施形態の場合、板状部100は、支柱部40の付け根60から先端部62へ向かう方向に対して直交する方向へ沿って拡がる。固定桟部102は、突出箇所82から板状部100と同じ方向へ向かって突出する。固定桟部102は、支柱部40の付け根60から先端部62へ向かう方向に沿って拡がる。後述されるように本実施形態にかかるクランプ具10の結束部20とベース部22と取付部24と引寄部26,26の対とは一体となっている。このため、固定桟部102は板状部100に固定されることとなる。
【0032】
本実施形態にかかる固定桟部102は、ベース対向桟部120と、背面桟部122とを有している。ベース対向桟部120は、板状部100のうちベース部22に対向する面において板状部100に固定される。特に図2図3図5とにおいて明らかなように、本実施形態の場合、支柱部40の付け根60から先端部62へ向かう方向に対して直交する方向についてのベース対向桟部120の幅は板状部100に近づくにつれ広くなる。背面桟部122は、板状部100のうちベース部22に対向する面から見た背面において板状部100に固定される。特に図2図4図5とにおいて明らかなように、本実施形態の場合、支柱部40の付け根60から先端部62へ向かう方向に対して直交する方向についての背面桟部122の幅は板状部100に近づくにつれ広くなる。
【0033】
[クランプ具の製造方法]
本実施形態にかかるクランプ具10は、射出成型によって製造される。すなわち、本実施形態にかかるクランプ具10は、これを形成するための図示されない金型の中へ合成樹脂を注入することにより製造される。これにより、本実施形態にかかる結束部20、ベース部22、取付部24、および、引寄部26,26の対は一体となっている。
【0034】
[クランプ具の使用方法]
図6は、本実施形態にかかるクランプ具10が金具240に取付けられつつある状況を示す図である。本実施形態の場合、この金具240は、H型鋼その他の鋼材にワイヤハーネスその他の長尺材を取付けるためのものである。この金具240には貫通孔262が形成されている。図6において結束部20の大部分と抜止部42の大部分とは示されていない。図6に基づいて、本実施形態にかかるクランプ具10の使用方法が説明される。
【0035】
作業者は、本実施形態にかかるクランプ具10の取付部24を貫通孔262に挿入する。その際、作業者はまず異方向突出部44を貫通孔262に挿入する。これにより、異方向突出部44は貫通孔262を通過する。次いで作業者は支柱部40の貫通区間80と抜止部42,42の対とを貫通孔262に挿入する。これにより、支柱部40の貫通区間80と抜止部42,42の対とは貫通孔262内に進入する。図6にはこの状況が示されている。抜止部42,42の対の貫通孔262内への進入に伴い、貫通孔262の縁に押されて抜止部42,42の対はたわむ。
【0036】
作業者は、本実施形態にかかるクランプ具10を引き続き貫通孔262に押し込む。これに伴い、引寄部26,26の対が所定の金具240の外周面を滑る。引寄部26,26の対が所定の金具240の外周面を滑ることに伴い、引寄部26,26の対がたわむ。
【0037】
作業者は、本実施形態にかかるクランプ具10をさらに貫通孔262に押し込む。これにより、抜止部42,42の対が貫通孔262を抜けると、たわんでいた抜止部42,42はもとの形に戻ろうとする。その間、引寄部26,26の対が溝所定の金具240の外周面を滑ることに伴い、引寄部26,26の対がさらにたわむ。
【0038】
抜止部42,42の対が貫通孔262を貫通すると、作業者は本実施形態にかかるクランプ具10から手を離す。これにより、たわんでいた引寄部26,26の対がもとの形に戻ろうとする。引寄部26,26の対がもとの形に戻ろうとすることに伴い、異方向突出部44と抜止部42,42とはベース部22側へ引き寄せられる。このようにして、引寄部26,26は、貫通孔262に取付部24が挿入され抜止部42,42が貫通孔262の縁に引っ掛かると抜止部42,42をベース部22側へ引き寄せることとなる。抜止部42,42がベース部22側へ引き寄せられると、本実施形態にかかるクランプ具10の所定の金具240への取付が完了する。その後、作業者は、図示されない長尺物を結束部20によって束ねる。
【0039】
[本実施形態にかかるクランプ具の効果]
本実施形態にかかるクランプ具10においては、抜止部42が支柱部40の貫通区間80からから分岐することに加えて異方向突出部44が貫通区間80のうち突出箇所82から突出する。異方向突出部44が突出することで、クランプ具10に対しこれが金具240から抜ける方向の引抜力がかかってもクランプ具10が抜け難くなる。その結果、引抜力がかかった場合に抜ける可能性が低くなる。
【0040】
また、本実施形態にかかるクランプ具10において、板状部100は固定桟部102により補強されることとなる。これにより、クランプ具10に対しこれが所定の金具240から抜ける方向の引抜力がかかってもこれが抜け難くなる。
【0041】
また、本実施形態において、支柱部40の付け根60から先端部62へ向かう方向に対して直交する方向へ沿って板状部100が拡がるのに対し、支柱部40の付け根60から先端部62へ向かう方向に沿って固定桟部102が拡がる。これにより、固定桟部102の拡がる方向が板状部100の拡がる方向と同じ場合に比べて板状部100はより強固に補強されることとなる。その結果、引抜力がかかった場合に抜ける可能性が低くなる。
【0042】
また、本実施形態においては、固定桟部102がベース対向桟部120と背面桟部122とを有しているので、これらのうち一方のみを固定桟部102が有している場合に比べて、板状部100はより強固に補強されることとなる。その結果、引抜力がかかった場合に抜ける可能性が低くなる。
【0043】
また、本実施形態においては、背面桟部122の幅が板状部100に近づくにつれ広くなる。これにより、その幅が広くならない場合に比べ、背面桟部122の断面積が大きくなる。背面桟部122の断面積が大きくなると、板状部100からの背面桟部122の突出高さを抑えることに伴う背面桟部122の機械的強度の低下を緩和できる。その結果、板状部100からの背面桟部122の突出高さを抑えることができ、かつ、引抜力がかかった場合に抜ける可能性が低くなる。
【0044】
[変形例の説明]
今回開示された実施形態はすべての点で例示である。本発明の範囲は上述した実施形態に基づいて制限されるものではない。もちろん、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更をしてもよい。
【0045】
例えば、異方向突出部44の形態は上述したものに限定されない。異方向突出部44の形状は単なる板状であってもよい。固定桟部102はベース対向桟部120と背面桟部122とのうち一方のみを有していてもよい。ベース対向桟部120と背面桟部122との形態は特に限定されない。板状部100が拡がる方向は支柱部40の付け根60から先端部62へ向かう方向に対して直交する方向へ沿っていなくてもよい。
【0046】
また、本発明にかかるクランプ具が取付けられる部材は上述された金具240に限定されない。そのような部材の例には、貫通孔262が形成された溝形鋼、貫通孔262が形成された型材(この場合、「型材」とは所定の断面形状である長尺材のこと)、および、貫通孔262が形成された板材がある。
【符号の説明】
【0047】
10…クランプ具
20…結束部
22…ベース部
24…取付部
26…引寄部
40…支柱部
42…抜止部
44…異方向突出部
60…付け根
62…先端部
64…側面部
80…貫通区間
82…突出箇所
100…板状部
102…固定桟部
102…ベース対向桟部
122…背面桟部
240…金具
262…取付孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6