(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023068292
(43)【公開日】2023-05-17
(54)【発明の名称】食器洗い機、洗浄方法、及び制御プログラム
(51)【国際特許分類】
A47L 15/46 20060101AFI20230510BHJP
A47L 15/44 20060101ALI20230510BHJP
【FI】
A47L15/46 Z
A47L15/44
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021179228
(22)【出願日】2021-11-02
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123102
【弁理士】
【氏名又は名称】宗田 悟志
(72)【発明者】
【氏名】松本 光平
(72)【発明者】
【氏名】廣松 直樹
【テーマコード(参考)】
3B082
【Fターム(参考)】
3B082CC02
3B082CC04
3B082DB00
3B082DB01
3B082DC01
3B082DC02
3B082DC03
3B082DC04
3B082DC05
(57)【要約】
【課題】食器洗い機の洗浄効率を向上させる。
【解決手段】食器洗い機10は、食器13などの被洗浄物が収容される洗浄槽12と、洗浄槽12へ給水するための給水弁1と、洗浄槽12から排水するための洗浄排水ポンプ2と、洗浄槽12に洗剤を供給するための洗剤ポンプ7と、洗浄槽12に収容された被洗浄物の量を検知する食器量検知部52と、給水弁1、洗浄排水ポンプ2、及び洗剤ポンプ7を制御して被洗浄物を洗浄する工程を実行する制御部50と、を備え、制御部50は、被洗浄物の量を食器量検知部52から取得し、被洗浄物の量に応じた量の洗剤を洗剤ポンプ7から洗浄槽12に供給して被洗浄物を洗浄する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被洗浄物が収容される洗浄槽と、
前記洗浄槽へ給水するための給水部と、
前記洗浄槽から排水するための排水部と、
前記洗浄槽に洗剤を供給するための洗剤供給部と、
前記洗浄槽に収容された前記被洗浄物の量を検知する被洗浄物量検知部と、
前記給水部、前記排水部、及び前記洗剤供給部を制御して前記被洗浄物を洗浄する工程を実行する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記被洗浄物の量を前記被洗浄物量検知部から取得し、前記被洗浄物の量に応じた量の洗剤を前記洗剤供給部から前記洗浄槽に供給して前記被洗浄物を洗浄する
食器洗い機。
【請求項2】
前記制御部は、まず、所定量の洗剤を前記洗剤供給部から前記洗浄槽に供給して前記被洗浄物を洗浄した後、前記被洗浄物の量に応じてさらに洗剤を前記洗剤供給部から前記洗浄槽に供給するか否かを決定する
請求項1に記載の食器洗い機。
【請求項3】
前記洗浄槽内の洗浄水を加熱する加熱部を更に備え、
前記被洗浄物量検知部は、前記洗浄槽内の洗浄水の温度を検知し、前記洗浄槽内の洗浄水の温度の変化速度に基づいて前記被洗浄物の量を検知する
請求項1又は2に記載の食器洗い機。
【請求項4】
前記被洗浄物量検知部は、前記被洗浄物を洗浄する工程中において、所定時間の間における前記洗浄槽内の洗浄水の温度の変化速度を取得する
請求項1から3のいずれかに記載の食器洗い機。
【請求項5】
洗浄槽に収容された被洗浄物の量を検知するステップと、
前記被洗浄物の量に応じた量の洗剤を含む洗浄水で前記被洗浄物を洗浄するステップと、
を備える洗浄方法。
【請求項6】
前記被洗浄物の量を検知するステップの前に、所定量の洗剤を含む洗浄水で前記被洗浄物を洗浄するステップと、
前記被洗浄物の量を検知するステップの後に、前記被洗浄物の量に応じてさらに洗剤を前記洗浄槽に供給するか否かを決定するステップと、
を備える請求項5に記載の洗浄方法。
【請求項7】
前記所定量の洗剤を含む洗浄水で前記被洗浄物を洗浄するステップは、前記洗浄水を加熱するステップを含み、
前記被洗浄物の量を検知するステップにおいて、前記洗浄水の温度の変化速度に基づいて前記被洗浄物の量を検知する
請求項6に記載の洗浄方法。
【請求項8】
食器洗い機を制御するための制御プログラムであって、
コンピュータに、
洗浄槽に収容された被洗浄物の量を検知するステップと、
前記被洗浄物の量に応じた量の洗剤を含む洗浄水で前記被洗浄物を洗浄するステップと、
を実行させるための制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、食器洗い機、洗浄方法、及び食器洗い機を制御するための制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
食器洗い機において、光センサにより洗浄水の濁度を検知し、検知結果に基づいて運転を制御する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1には、洗浄工程における洗浄水の濁度、及び洗浄工程における洗浄水の濁度と第1のすすぎ工程における洗浄水の濁度との差に基づいて、すすぎ工程の回数を制御する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らは、このような技術を改良することにより、食器洗い機における洗浄効率をより高めることを課題として認識した。
【0006】
本開示は、食器洗い機の洗浄効率を向上させるための技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示における食器洗い機は、被洗浄物が収容される洗浄槽と、洗浄槽へ給水するための給水部と、洗浄槽から排水するための排水部と、洗浄槽に洗剤を供給するための洗剤供給部と、洗浄槽に収容された被洗浄物の量を検知する被洗浄物量検知部と、給水部、排水部、及び洗剤供給部を制御して被洗浄物を洗浄する工程を実行する制御部と、を備える。制御部は、被洗浄物の量を被洗浄物量検知部から取得し、被洗浄物の量に応じた量の洗剤を洗剤供給部から洗浄槽に供給して被洗浄物を洗浄する。
【0008】
本開示における洗浄方法は、洗浄槽に収容された被洗浄物の量を検知するステップと、被洗浄物の量に応じた量の洗剤を含む洗浄水で被洗浄物を洗浄するステップと、を備える。
【0009】
本開示における制御プログラムは、食器洗い機を制御するための制御プログラムであって、コンピュータに、洗浄槽に収容された被洗浄物の量を検知するステップと、被洗浄物の量に応じた量の洗剤を含む洗浄水で被洗浄物を洗浄するステップと、を実行させる。
【0010】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本開示の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、食器洗い機の洗浄効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施の形態1における食器洗い機の概略断面図
【
図2】実施の形態1における食器洗い機を制御するための制御部の機能構成図
【
図3】実施の形態1における洗浄方法の手順を示すフローチャート
【
図4】実施の形態1における洗浄方法の手順を示すフローチャート
【
図5】実施の形態1における洗浄方法の手順を示すフローチャート
【
図6】各工程における洗浄水温度と、給水弁、洗浄排水ポンプ(洗浄時)、ヒータ、洗剤ポンプ、洗浄排水ポンプ(排水時)、乾燥ファンのオンオフを示すタイミングチャート
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明、または、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。
【0014】
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していない。
【0015】
(実施の形態1)
以下、
図1~6を用いて、実施の形態1を説明する。
【0016】
実施の形態1の食器洗い機は、洗剤を洗浄槽に自動的に供給するための構成を備えており、被洗浄物に付着した汚れや油の量や、被洗浄物の量などに応じて適切な量の洗剤を洗浄槽に自動的に供給して被洗浄物を洗浄する。これにより、被洗浄物の洗浄やすすぎの効率を向上させることができる。また、洗剤の使用量を適切に調整し、過剰な洗剤の使用を抑えることができる。
【0017】
[1-1.構成]
図1は、実施の形態1における食器洗い機の概略断面図である。
【0018】
図1に示すように、本実施の形態における食器洗い機10は、本体11と、洗浄槽12と、給水弁1と、洗浄排水ポンプ2と、ヒータ3と、水温センサ4と、濁度センサ5と、洗剤タンク6と、洗剤ポンプ7と、乾燥ファン8と、洗浄ノズル9とを備える。
【0019】
洗浄槽12は、本体11の内部に設けられる。洗浄槽12の内部には、食器13等の被洗浄物を設置する食器かご14が収容されている。
【0020】
給水弁1は、洗浄槽12内に洗浄水を給水する経路に設けられる。ここで、洗浄水とは、食器洗い機10内で、食器13等の被洗浄物の洗浄やすすぎのために用いられる液体のことを言う。
【0021】
洗浄排水ポンプ2は、洗浄槽12内で洗浄水を循環させることにより被洗浄物を洗浄したり、洗浄槽12から洗浄水を排水したりするために駆動される。
【0022】
ヒータ3は、洗浄槽12内の洗浄水を加熱する。水温センサ4は、洗浄槽12内の洗浄水の温度を検知する。後述するように、水温センサ4は、被洗浄物の量を検知するためにも用いられる。
【0023】
濁度センサ5は、洗浄槽12内の洗浄水の濁度を検知する。後述するように、濁度センサ5は、被洗浄物に付着した汚れや油の量を検知するために用いられる。濁度センサ5は、赤外線、可視光、紫外線などの光を洗浄水に照射する発光部と、発光部に対向して設けられ、洗浄水を透過した光を受光して透過度を検知する受光部とを備える光センサやカメラ等であってもよい。濁度センサ5は、洗浄槽12内の洗浄水を排水する経路や洗浄水路、又は排水されない循環経路等に設けられ、洗浄槽12内の洗浄水が排水されるときに洗浄水の濁度を検知する。洗浄槽12内の洗浄水を排水する経路に設けられた場合、濁度検知を排水経路で実施することで、使用水量が少なくても、安定して検知可能である。また濁度センサ5が汚れに触れている時間が短いため、汚染によって感度が落ちてしまうことを抑制するのに効果的である。濁度センサ5は、洗浄槽12の内部の洗浄水の濁度を検知可能に設けられてもよい。このとき濁度センサ5は、例えば洗浄槽12内の壁面や底面など、庫内の洗浄水によって浸される又は洗浄水が触れるような場所に配置されていればよい。この場合は、濁度センサ5は、洗浄槽12内の洗浄水の濁度を任意のタイミングで検知することができる。
【0024】
洗剤タンク6は、内部に液体洗剤を貯留する。洗剤ポンプ7は、洗剤タンク6に貯留された液体洗剤を洗浄槽12内に供給するために駆動される。洗剤ポンプ7は、供給する液体洗剤の量に応じて駆動時間が変わる。また供給する洗剤の量が多いほど、洗剤ポンプ7の駆動時間は長くなる。
【0025】
乾燥ファン8は、食器13等の被洗浄物を乾燥する工程において、乾燥のための空気を送風する。乾燥ファン8は、ヒータ3の近傍に設けられている。乾燥ファン8を駆動するときにヒータ3も駆動することにより、加熱された空気を被洗浄物に送風して、乾燥を促進することができる。
【0026】
洗浄ノズル9は、洗浄槽12の底部に回転自在に設けられ、表面に設けられた複数の噴射口から被洗浄物に洗浄水を噴射する。
【0027】
図2は、実施の形態1における食器洗い機10を制御するための制御部50の機能構成を示す。制御部50は、マイクロコンピュータ、マイクロコントローラ、集積回路などのハードウェアにより実現される。
【0028】
制御部50は、汚れ量検知部51、食器量検知部52、油量検知部53、洗剤量決定部54、送液制御部55、及び工程制御部56を備える。これらの構成は、ハードウエア的には、任意のコンピュータのCPU、メモリ、その他のLSIなどにより実現され、ソフトウエア的には、メモリにロードされたプログラムなどによって実現されるが、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックがハードウエアのみ、又はハードウエアとソフトウエアの組合せなど、いろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0029】
工程制御部56は、食器洗い機10において実行される工程を制御する。工程制御部56は、洗剤を含まない洗浄水で被洗浄物を予洗いする予洗い工程、洗剤を含む洗浄水で被洗浄物を洗浄する洗い工程、被洗浄物に付着した油の量が多い場合などに実行される追加の洗い工程、被洗浄物をすすぐすすぎ工程、洗浄水を加熱しながら被洗浄物をすすぐ加熱すすぎ工程、被洗浄物を乾燥する乾燥工程を制御する。工程制御部56は、これらの工程を連続的に実行してもよいし、いずれかの工程のみを実行してもよいし、いずれか2以上の工程の組合せを任意の順序で実行してもよい。また、食器洗い機10は、工程制御部56により制御される各工程のうち一部を自動で決定して実行するおまかせコースを有する。このおまかせコースによれば、食器洗い機10は、特に、洗い工程及びすすぎ工程の追加の有無の決定や、投入する洗剤量の決定を、汚れ量に応じて自動で行うことができる。
【0030】
汚れ量検知部51は、被洗浄物に付着した汚れの量を検知する。汚れ量検知部51は、被洗浄物が収容された洗浄槽12内の洗浄水の濁度を濁度センサ5から取得し、洗浄水の濁度に基づいて被洗浄物の汚れ度合いを検知する。汚れ量検知部51は、洗浄水の濁度が高いほど、汚れの量が多いと判定する。
【0031】
この洗浄水の濁度は、透過度を電圧に変換し数値で見ることにより判定する。被洗浄物の汚れが混ざった洗浄水は色のついた濁った水であり、濁度は低い数値で検知される。そのため汚れ量の大小を判定する際の基準値を低く設定している。汚れ量は本実施例では小中大の3段階に分けられる。また、汚れ量を振り分ける際には汚れ量の段階を小と中に分ける第1の閾値と、汚れ量の段階を中と大に分ける第2の閾値と、の2つの閾値を用いる。これらの閾値は、想定される濁度に対応する最大の電圧値に対しての、おおよその電圧値の割合により決定される。例えば、おおよそ想定される濁度に対応する最大の電圧値を100%としたとき、第1の閾値を約30%と設定する。また第2の閾値を約70%と設定する。30%の以下の電圧が検知されると、第1の閾値より小さい値であるため、汚れ量を小と判定し、30%以上70%以下の電圧が検知されると、第1の閾値より大きく、第2の閾値より小さい値であるため、汚れ量を中と判定する。さらに70%以上の電圧が検知されると、第2の閾値より大きい値であるため汚れ量を大と判定する。
【0032】
よって、例えば第1の閾値を25%、第2の閾値を70%と設定し、想定される濁度に対応する最大電圧値が2.0Vであるとき、検知した電圧が1.2Vであれば、0.5Vよりも高く、1.4Vよりも低いため、濁度センサ5は汚れ量が中であると判定する。また、例えば検知した電圧が1.4Vよりも高いと、濁度センサ5は汚れ量が多いと判断する。ただし、これら閾値は2つである必要はなく、また濁度センサの仕様などに合わせて閾値自体を適宜変更してもよい。さらに、想定される濁度に対応する最大の電圧値を100%と設定するのではなく、使用する濁度センサの検知可能な最大電圧値を100%とするなどとしてもよい。
【0033】
さらに、使用する洗浄水の水温によってそれぞれ閾値を変えることで、さらに正確な汚れの検知と投入する洗剤量の決定を行うことができる。本実施の形態では洗浄に用いる水温が低ければ低いほど、汚れは落ちにくいため洗剤量を多くするとよく、汚れ量が多いと検知されるように閾値とする電圧を低く設定する。また、水温が高ければ高いほど、汚れは落ちやすいため洗剤量を不用意に多くする必要はなく、汚れ量は少ないと検知されるように閾値とする電圧を高く設定する。
【0034】
例えば、第2の閾値を水温により3段階に設定する方法を説明する。水温が30℃以下の時には第2の閾値は70%であるが、水温が30℃以上40℃以下の時には第2の閾値を少し高くし、76%と設定する。さらに水温が40℃以上の時には第2の閾値を82%とする。
【0035】
このように変動可能な閾値を設けて、汚れ量を複数段階によって精度よく判定することで、使用する洗剤量を必要量に抑えることができる。そのため環境配慮やコスト削減の観点でも有効である。
【0036】
汚れ量検知部51は、予洗い工程における洗浄水の濁度を濁度センサ5から取得し、洗浄水の濁度に基づいて被洗浄物の汚れ度合いを検知してもよい。このとき洗浄行程より前の、洗剤を使用しない水洗いの洗浄を行う予洗い工程によって、タンパク質や炭水化物といった親水性の汚れを主に選択的に洗浄水内に分離し、このときの洗浄水の濁度を測定することで、汚れ量検知部51は特に親水性の汚れ量を測定することができる。
【0037】
食器量検知部52は、洗浄槽12に収容された被洗浄物の量を検知する。食器量検知部52は、被洗浄物が収容された洗浄槽12内の洗浄水をヒータ3により加熱するときに、洗浄水の温度を水温センサ4から取得し、洗浄水の温度変化の速度に基づいて被洗浄物の量を検知する。食器量検知部52は、閾値を予め保持し、洗浄水の温度が上昇する速度が閾値よりも速い場合は被洗浄物の量が少ないと判定し、閾値よりも遅い場合は被洗浄物の量が多いと判定する。
【0038】
水温センサ4が洗浄水の温度を検知する場合に、例えば水温を10℃上昇させるのに50秒以上の時間を要すると算出した時、食器量検知部52は食器量が多いと判断する。反対に、水温センサ4が水温を、例えば10℃上昇させるのに50秒もの時間は要さないと算出した時、食器量検知部52は食器量が少ないと判断する。ただしこの閾値は40~60秒の間であれば特に問題なく、適宜変更してもよい。
【0039】
また、食器量検知部52は、2以上の閾値を予め保持し、被洗浄物の量を3段階以上のレベルに分類してもよい。食器量検知部52は、重量センサにより検知された被洗浄物の重量から被洗浄物の量を検知してもよい。この場合、重量センサは、例えば、洗浄槽12が空のときと、被洗浄物が入れられたときの重量を測定し、比較してもよい。または、重量の基準値を設けて被洗浄物の量を判定してもよい。食器量検知部52は、撮像装置により撮像された洗浄槽12の内部の撮像画像から被洗浄物の量を検知してもよい。この場合、撮像装置は、例えば、食器洗い機1の庫外に設けられ、洗浄槽12が空のときと、被洗浄物が入れられたときの重量を撮影し、比較してもよい。
【0040】
油量検知部53は、被洗浄物に付着した油の量を検知する。油量検知部53は、被洗浄物が収容された洗浄槽12内の洗浄水の濁度を濁度センサ5から取得し、洗浄水の濁度に基づいて被洗浄物に付着した油の量を検知する。油量検知部53は、洗浄水の濁度が高いほど、油の量が多いと判定する。油量検知部53は、洗い工程における洗浄水の濁度を濁度センサ5から取得し、洗剤により乳化された油を含む洗浄水の濁度に基づいて被洗浄物に付着した油の量を検知してもよい。このとき水洗いの洗浄ののち、洗剤を加えた洗浄行程によって、油などの疎水性の汚れを洗浄水内に分離し、このときの洗浄水の濁度を測定することで、油量検知部53は特に疎水性の汚れ量を判定することができる。
【0041】
この洗浄水の濁度は透過度を電圧に変換し数値で見ることにより判定する。被洗浄物の油汚れが混ざった洗浄水は、乳白色の水であるため光が透過しにくく、濁度は高い数値で検知される。そのため汚れ量の大小を判定する際の基準値を、汚れ量検知部51による汚れ量検知時に比べて高く設定している。おおむねの汚れ量の判定方法は汚れ量検知部51と同じであるため、説明を省略する。
【0042】
具体的には、本実施例での油量検知部53における汚れ量判定は、小と大の2段階に分けられる。また、汚れ量を振り分ける際には汚れ量の段階を小と大に分ける第3の閾値を用いる。この閾値は、たとえば、おおよそ想定される濁度に対応する最大の電圧値を100%としたとき、第3の閾値を約50%と設定する。50%の以下の電圧が検知されると、第3の閾値より小さい値であるため汚れ量を小と判定し、50%以上の電圧が検知されると、第3の閾値より大きい値であるため、汚れ量を大と判定する。実際の第3の閾値は、例えば50%である1.0Vとして設定される。
【0043】
ただし閾値は複数あってもよく、また濁度センサの仕様などに合わせて閾値自体を適宜変更してもよい。さらに、想定される濁度に対応する最大の電圧値を100%と設定するのではなく、使用する濁度センサの検知可能な最大電圧値を100%とするなどとしてもよい。また汚れ量検知部51での検知のように、洗浄水の水温により閾値を変動させてもよい。
【0044】
洗剤量決定部54は、汚れ量検知部51により検知された汚れの量、食器量検知部52により検知された被洗浄物の量、油量検知部53により検知された油の量に基づいて、被洗浄物を洗浄する際に洗浄槽12に供給される洗剤の量を決定する。洗剤量決定部54は、汚れ量検知部51により検知された汚れの量が多いほど、洗剤の量を多くする。洗剤量決定部54は、食器量検知部52により検知された被洗浄物の量が多いほど、洗剤の量を多くする。洗剤量決定部54は、油量検知部53により検知された油の量が多いほど、洗剤の量を多くする。または、洗い工程の開始時から、所定量の洗剤と食器量検知部52により検知された被洗浄物の量に基づいて決定された洗剤の量とを合わせた洗剤の量を入れておいてもよい。ここで先述したおまかせコースを使用者が選択すると、上述のように洗剤量決定部54により食器洗い機10は自動で汚れの量を判別して洗剤量を決定し、汚れに対して最適な洗浄を行う。
【0045】
送液制御部55は、洗剤タンク6から洗浄槽12への洗剤の送液を制御する。送液制御部55は、所定のタイミングで、洗剤量決定部54により決定された量の洗剤が洗浄槽12内に供給されるように、洗剤ポンプ7を駆動する。
【0046】
[1-2.動作]
以上のように構成された食器洗い機10について、以下その動作、作用を説明する。
【0047】
図3、
図4、及び
図5は、実施の形態1における洗浄方法の手順を示すフローチャートである。
図6は、各工程における洗浄水温度と、給水弁1、洗浄排水ポンプ2(洗浄時)、ヒータ3、洗剤ポンプ7、洗浄排水ポンプ2(排水時)、乾燥ファン8のオンオフを示すタイミングチャートである。
【0048】
図3は、予洗い工程の手順を示す。工程制御部56は、予洗い工程において、給水弁1を開いて洗浄槽12に給水する(S10)。工程制御部56は、洗浄排水ポンプ2を所定時間駆動して被洗浄物を予洗いする(S12)。工程制御部56は、洗浄排水ポンプ2を駆動して洗浄槽12から洗浄水を排水する(S14)。
【0049】
汚れ量検知部51は、排水された洗浄水の濁度を濁度センサ5から取得し、被洗浄物の汚れ量を検知する(S16)。洗剤量決定部54は、汚れ量が基準値よりも少ない場合は(S18のY)、汚れレベル「小」に対応する洗剤の量を設定し、汚れ量が基準値よりも多い場合は(S18のN)、汚れレベル「大」に対応する洗剤の量を設定する(S22)。以上で予洗い工程を終了する。
【0050】
図4は、洗い工程、すすぎ工程、加熱すすぎ工程、及び乾燥工程の手順を示す。工程制御部56は、洗い工程において、給水弁1を開いて洗浄槽12に給水する(S30)。送液制御部55は、洗剤量決定部54により汚れレベル「小」に対応する洗剤の量が設定された場合は(S32のY)、汚れレベル「小」に対応する少量の洗剤を洗剤タンク6から洗浄槽12へ投入し(S34)、汚れレベル「大」に対応する洗剤の量が設定された場合は(S32のN)、汚れレベル「大」に対応する標準量の洗剤を洗剤タンク6から洗浄槽12へ投入する(S36)。工程制御部56は、洗浄排水ポンプ2、ヒータ3、及び洗浄ノズル9を所定時間駆動し、洗浄水を加熱しながら被洗浄物に噴射して被洗浄物を洗浄する(S38)。洗剤を含む洗浄水で被洗浄物を洗浄する洗い工程を実行する前に、予洗い工程において汚れの量を検知し、適切な洗剤の量を予め決定しておくので、洗浄効率を向上させることができるとともに、過剰な洗剤の使用を抑えることができる。
【0051】
食器量検知部52は、
図6にあるような洗い工程における所定のタイミングt1及びt2において、水温センサ4から洗浄水の温度を取得し、t1からt2までの期間における洗浄水の温度の変化速度に基づいて、洗浄槽12に収容された被洗浄物の量を検知する。被洗浄物の量が基準値よりも多い場合は(S40のN)、洗剤量決定部54は、洗剤の追加投入量を決定し、送液制御部55は、決定された追加投入量の洗剤を洗剤タンク6から洗浄槽12へ投入する(S42)。被洗浄物の量が基準値よりも少ない場合は(S40のY)、洗剤を追加投入しない。工程制御部56は、引き続き、洗浄排水ポンプ2、ヒータ3、及び洗浄ノズル9を駆動して被洗浄物を洗浄する(S44)。洗剤を追加投入した後の洗浄時間を十分確保するために、食器量検知部52は、洗い工程の早い段階、例えば前半に被洗浄物の量を検知してもよい。また、洗浄水の温度の変化速度をより精確に検知するために、食器量検知部52は、洗浄水が室温以上に加熱されてから被洗浄物の量を検知してもよい。食器量検知部52は、予洗い工程においてヒータ3を駆動して洗浄水を加熱することにより被洗浄物の量を検知してもよい。この場合、洗い工程の開始時に、被洗浄物の量に応じた量の洗剤を洗浄槽12内に供給することができるので、洗浄効率を向上させることができる。食器量検知部52が、重量センサや撮像装置などを用いて被洗浄物の量を検知する場合も、洗い工程の開始時に、被洗浄物の量に応じた量の洗剤を洗浄槽12内に供給することができるので、洗浄効率を向上させることができる。工程制御部56は、所定の洗浄時間が経過すると、洗浄排水ポンプ2を駆動して洗浄槽12から洗浄水を排水する(S46)。
【0052】
油量検知部53は、排水された洗浄水の濁度を濁度センサ5から取得し、被洗浄物に付着した油の量を検知する(S47)。油の量が基準値よりも多い場合は(S48のN)、洗剤量決定部54は、洗剤の追加投入量を決定し、工程制御部56は、追加の洗い工程を実行する(S50)。またはヒータ3を駆動し、すすぎ工程時の洗浄水の温度を上げてもよい。または追加の洗い工程中にヒータ3を駆動し、追加の洗い工程時の洗浄水の温度を上げてもよい。油の量が基準値よりも少ない場合は(S48のY)、追加の洗い工程を実行しない。洗い工程の途中に、洗浄水の一部を排水して洗浄水の濁度を取得し、油の量を検知してもよい。この場合、洗い工程の途中で、油の量に応じた量の洗剤を追加することができる。また、濁度センサ5が洗浄槽12の内部の洗浄水の濁度を検知可能である場合も、洗い工程の途中で、油の量に応じた量の洗剤を追加することができる。以上で洗い工程を終了する。
【0053】
このように、洗剤投入工程は、汚れ量の検知結果によって、又は食器量の検知結果によって複数回繰り返されることとなる。また汚れ量検知工程は、汚れ量の検知結果によって複数回繰り返されることとなる。
【0054】
工程制御部56は、すすぎ工程において、給水弁1を開いて洗浄槽12に給水し、洗浄排水ポンプ2を駆動して被洗浄物をすすいだ後、洗浄排水ポンプ2を駆動して洗浄槽12から洗浄水を排水する(S52)。工程制御部56は、以上のすすぎ動作を2回繰り返す。
【0055】
工程制御部56は、加熱すすぎ工程において、給水弁1を開いて洗浄槽12に給水し、洗浄排水ポンプ2及びヒータ3を駆動して洗浄水を加熱しながら被洗浄物をすすいだ後、洗浄排水ポンプ2を駆動して洗浄槽12から洗浄水を排水する(S54)。
【0056】
工程制御部56は、乾燥工程において、ヒータ3を断続的に駆動しつつ乾燥ファン8を駆動して被洗浄物を乾燥する(S56)。
【0057】
図5は、追加の洗い工程(
図4のS50)の手順を示す。工程制御部56は、追加の洗い工程において、給水弁1を開いて洗浄槽12に給水する(S60)。送液制御部55は、洗剤量決定部54により設定された量の洗剤を洗剤タンク6から洗浄槽12へ投入する(S62)。工程制御部56は、洗浄排水ポンプ2、及び洗浄ノズル9を所定時間駆動し、洗浄水を被洗浄物に噴射して被洗浄物を洗浄する(S64)。直前の洗い工程において洗浄槽12の内部と被洗浄物が高温になっているので、工程制御部56は、追加の洗い工程においてヒータ3を駆動しなくてもよい。または、工程制御部56は、追加の洗い工程においてもヒータ3を駆動して洗浄水を加熱してもよい。工程制御部56は、所定の洗浄時間が経過すると、洗浄排水ポンプ2を駆動して洗浄槽12から洗浄水を排水する(S66)。
【0058】
図6は、各工程における洗浄水温度と、食器洗い機10に備えられた各構成のオンオフを示すタイミングチャートを示す。予洗い工程において、洗浄排水ポンプ2を駆動して排水する。このときの排水によって、汚れ量検知部51が検知した被洗浄物の汚れ量に対応する洗剤の量が設定される。
【0059】
洗い工程において、まずはヒータ3を駆動し、洗浄水の加熱を開始する。また、予洗い工程で設定された洗剤の量が洗剤タンク6から洗浄槽12へ投入される。続いて、加熱された洗浄水のt1からt2までの期間における温度の変化速度に基づいて、洗浄槽12に収容された被洗浄物の量を検知すると、被洗浄物の量に対応する洗剤の追加の有無及び投入量が決定される。そして、この決定された追加投入量の洗剤は、洗剤タンク6から洗浄槽12へ投入される。この後の洗い工程において、所定の洗浄時間が経過すると、洗浄排水ポンプ2を駆動して排水する。さらに、このときの排水によって、汚れ量検知部51が検知した油の量に対応したさらなる洗い工程の実行有無、及び追加洗剤の量が設定される。さらなる洗剤の追加投入が決定された場合、追加の洗い工程を実行し、追加投入量の洗剤は、洗剤タンク6から洗浄槽12へ投入される。
【0060】
このように上記の例によれば、汚れ量の検知結果によっては、予洗いを除いた最大2回の洗い工程が実施されることがある。さらに汚れが多い時には、追加の洗い工程の後に排水された汚れ量に基づき、複数回の洗い工程を追加してもよい。また上記の例によれば、汚れ量の検知結果によっては、最大3回におよび洗剤が段階的に投入されることがある。
【0061】
続いて、
図4の、洗い工程、すすぎ工程、加熱すすぎ工程、において、検知結果により決定される洗剤投入量の各パターンについて詳細に記載する。
【0062】
(パターンA)S32のN、S40のN、S48のNのフローを通過した時
予洗い工程において、汚れ検知部の検知した値が所定の閾値よりも高く汚れ量が多いと判断した時は、洗剤を例えば8g投入する。ただし、7g~9gの範囲であれば特に問題ない。(計8g)
【0063】
汚れ量が多いと判断した場合、洗い工程において食器量検知部の検知した値が所定の閾値よりも高く食器量が多いと判断した時は、さらに洗剤を5g追加投入する。ただし、4g~6gの範囲であれば特に問題ない。(計13g)
【0064】
汚れの量が多く、食器量が多いと判断した場合、洗い工程において油量検知部の検知した値が所定の閾値よりも高く油の量が多いと判断した時は、さらに8g追加投入する。ただし、7g~9gの範囲であれば特に問題ない。(計21g)
【0065】
(パターンB)S32のN、S40のN、S48のYのフローを通過した時
予洗い工程において、汚れ検知部の検知した値が所定の閾値よりも高く汚れ量が多いと判断した時は、洗剤を例えば8g投入する。ただし、7g~9gの範囲であれば特に問題ない。(計8g)
【0066】
汚れ量が多いと判断した場合、洗い工程において食器量検知部の検知した値が所定の閾値よりも高く食器量が多いと判断した時は、さらに洗剤を5g追加投入する。ただし、4g~6gの範囲であれば特に問題ない。(計13g)
【0067】
汚れの量が多く、食器量が多いと判断した場合、洗い工程において油量検知部の検知した値が所定の閾値よりも低く油の量が少ないと判断した時は、さらなる洗剤の追加投入は行わない。または少量にとどめて追加してもよい。(計13g)
【0068】
(パターンC1)S32のN、S40のY、S48のNのフローを通過した時
予洗い工程において、汚れ検知部の検知した値が所定の閾値よりも高く汚れ量が多いと判断した時は、洗剤を例えば8g投入する。ただし、7g~9gの範囲であれば特に問題ない。(計8g)
【0069】
汚れ量が多いと判断した場合、洗い工程において食器量検知部の検知した値が所定の閾値よりも低く食器量が少ないと判断した時は、さらなる洗剤の追加投入は行わない。または少量にとどめて追加してもよい。(計8g)
【0070】
汚れの量が多く、食器量が少ないと判断した場合、洗い工程において油量検知部の検知した値が所定の閾値よりも高く油の量が多いと判断した時は、さらに5g追加投入する。ただし、4g~6gの範囲であれば特に問題ない。(計13g)
【0071】
(パターンC2)S32のY、S40のN、S48のNのフローを通過した時
予洗い工程において、汚れ検知部の検知した値が所定の閾値よりも低く汚れ量が少ないと判断した時は、洗剤を例えば5g投入する。ただし、4g~6gの範囲であれば特に問題ない。(計5g)
【0072】
汚れ量が少ないと判断した場合、洗い工程において食器量検知部の検知した値が所定の閾値よりも高く食器量が多いと判断した時は、さらに洗剤を3g追加投入する。ただし、2g~4gの範囲であれば特に問題ない。(計8g)
【0073】
汚れの量が少なく、食器量が多いと判断した場合、洗い工程において油量検知部の検知した値が所定の閾値よりも高く油の量が多いと判断した時は、さらに5g追加投入する。ただし、4g~6gの範囲であれば特に問題ない。(計13g)
【0074】
(パターンD1)S32のN、S40のY、S48のYのフローを通過した時
予洗い工程において、汚れ検知部の検知した値が所定の閾値よりも高く汚れ量が多いと判断した時は、洗剤を例えば8g投入する。ただし、7g~9gの範囲であれば特に問題ない。(計8g)
【0075】
汚れ量が多いと判断した場合、洗い工程において食器量検知部の検知した値が所定の閾値よりも低く食器量が少ないと判断した時は、さらなる洗剤の追加投入は行わない。または少量にとどめて追加してもよい。(計8g)
【0076】
汚れの量が多く、食器量が少ないと判断した場合、洗い工程において油量検知部の検知した値が所定の閾値よりも低く油の量が少ないと判断した時は、さらなる洗剤の追加投入は行わない。または少量にとどめて追加してもよい。(計8g)
【0077】
(パターンD2)S32のY、S40のN、S48のYのフローを通過した時
予洗い工程において、汚れ検知部の検知した値が所定の閾値よりも低く汚れ量が少ないと判断した時は、洗剤を例えば5g投入する。ただし、4g~6gの範囲であれば特に問題ない。(計5g)
【0078】
汚れ量が少ないと判断した場合、洗い工程において食器量検知部の検知した値が所定の閾値よりも高く食器量が多いと判断した時は、さらに洗剤を3g追加投入する。ただし、2g~4gの範囲であれば特に問題ない。(計8g)
【0079】
汚れの量が少なく、食器量が多いと判断した場合、洗い工程において油量検知部の検知した値が所定の閾値よりも低く油の量が少ないと判断した時は、さらなる洗剤の追加投入は行わない。または少量にとどめて追加してもよい。(計8g)
【0080】
(パターンE)S32のY、S40のY、S48のNのフローを通過した時
予洗い工程において、汚れ検知部の検知した値が所定の閾値よりも低く汚れ量が少ないと判断した時は、洗剤を例えば5g投入する。ただし、4g~6gの範囲であれば特に問題ない。(計5g)
【0081】
汚れ量が少ないと判断した場合、洗い工程において食器量検知部の検知した値が所定の閾値よりも低く食器量が少ないと判断した時は、さらなる洗剤の追加投入は行わない。または少量にとどめて追加してもよい。(計5g)
【0082】
汚れの量が少なく、食器量が少ないと判断した場合、洗い工程において油量検知部の検知した値が所定の閾値よりも高く油の量が多いと判断した時は、さらに3g追加投入する。ただし、2g~4gの範囲であれば特に問題ない。(計8g)
【0083】
(パターンF)S32のY、S40のY、S48のYのフローを通過した時
予洗い工程において、汚れ検知部の検知した値が所定の閾値よりも低く汚れ量が少ないと判断した時は、洗剤を例えば5g投入する。ただし、4g~6gの範囲であれば特に問題ない。(計5g)
【0084】
汚れ量が少ないと判断した場合、洗い工程において食器量検知部の検知した値が所定の閾値よりも低く食器量が少ないと判断した時は、さらなる洗剤の追加投入は行わない。または少量にとどめて追加してもよい。(計5g)
【0085】
汚れの量が少なく、食器量が少ないと判断した場合、洗い工程において油量検知部の検知した値が所定の閾値よりも低く油の量が少ないと判断した時は、さらなる洗剤の追加投入は行わない。または少量にとどめて追加してもよい。(計5g)
【0086】
そしてこれらのパターンAからFによれば、本実施の形態の洗剤投入量について以下のことが言える。
【0087】
例えば、S32のN、及びS40のY、のフローを通過した時、つまり、予洗い工程において、汚れ検知部の検知した値が所定の閾値よりも高く汚れ量が多いと判断して洗剤を投入する量(例えば8g)、及び、洗い工程において、食器量検知部の検知した値が所定の閾値よりも低く食器量が少ないと判断して洗剤を投入する量(例えば0g)の合計は、S32のY、及びS40のN、のフローを通過した時、つまり、汚れ検知部の検知した値が所定の閾値よりも低く汚れ量が少ないと判断して洗剤を投入する量(例えば5g)、及び、洗い工程において、食器量検知部の検知した値が所定の閾値よりも高いと判断して洗剤を投入する量(例えば3g)の合計と、ほぼ等しい。
【0088】
また例えば、パターンBであるとき、つまり、予洗い工程において、汚れ検知部の検知した値が所定の閾値よりも高く汚れ量が多いと判断して洗剤を投入する量(例えば8g)、及び、洗い工程において、食器量検知部の検知した値が所定の閾値よりも高く食器量が多いと判断して洗剤を投入する量(例えば5g)、及び洗い工程において、油量検知部の検知した値が所定の閾値よりも低く油の量が少ないと判断して洗剤を投入する量(例えば0g)、の合計は、パターンC1であるとき、つまり、汚れ検知部の検知した値が所定の閾値よりも高く汚れ量が多いと判断して洗剤を投入する量(例えば8g)、及び、洗い工程において、食器量検知部の検知した所定値が所定の閾値よりも低く食器量が少ないと判断して洗剤を投入する量(例えば0g)、及び洗い工程において、油量検知部の検知した値が所定の閾値よりも高く油の量が多いと判断して洗剤を投入する量(例えば5g)、の合計と、ほぼ等しく、また、パターンC2であるとき、つまり、汚れ検知部の検知した値が所定の閾値よりも低く汚れ量が少ないと判断して洗剤を投入する量(例えば5g)、及び、洗い工程において、食器量検知部の検知した所定値が所定の閾値よりも高いと判断して洗剤を投入する量(例えば3g)、及び洗い工程において、油量検知部の検知した値が所定の閾値よりも高く油の量が多いと判断して洗剤を投入する量(例えば5g)、の合計と、ほぼ等しい。
【0089】
また例えば、パターンD1であるとき、つまり、予洗い工程において、汚れ検知部の検知した値が所定の閾値よりも高く汚れ量が多いと判断して洗剤を投入する量(例えば8g)、及び、洗い工程において、食器量検知部の検知した値が所定の閾値よりも低く食器量が少ないと判断して洗剤を投入する量(例えば0g)、及び洗い工程において、油量検知部の検知した値が所定の閾値よりも低く油の量が少ないと判断して洗剤を投入する量(例えば0g)、の合計は、パターンD2であるとき、つまり、汚れ検知部の検知した値が所定の閾値よりも低く汚れ量が少ないと判断して洗剤を投入する量(例えば5g)、及び、洗い工程において、食器量検知部の検知した所定値が所定の閾値よりも高く食器量が多いと判断して洗剤を投入する量(例えば3g)、及び洗い工程において、油量検知部の検知した値が所定の閾値よりも低く油の量が少ないと判断して洗剤を投入する量(例えば0g)、の合計と、ほぼ等しく、また、パターンEであるとき、つまり、汚れ検知部の検知した値が所定の閾値よりも低く汚れ量が少ないと判断して洗剤を投入する量(例えば5g)、及び、洗い工程において、食器量検知部の検知した所定値が所定の閾値よりも低く食器量が少ないと判断して洗剤を投入する量(例えば0g)、及び洗い工程において、油量検知部の検知した値が所定の閾値よりも高く油の量が多いと判断して洗剤を投入する量(例えば3g)、の合計と、ほぼ等しい。
【0090】
上記の例では、被洗浄物に付着した汚れの量、洗浄槽12に収容された被洗浄物の量、及び被洗浄物に付着した油の量に基づいて、洗浄槽12に供給する洗剤の量を調整したが、これらのいずれか1つのみに基づいて洗剤の量を調整してもよいし、任意の2つの組合せに基づいて洗剤の量を調整してもよい。よって、洗い工程の途中に、洗浄水の一部を排水して洗浄水の濁度を取得し、油の量を検知してもよい。この場合、洗い工程の途中でも、油の量に応じた量の洗剤を追加することができる。また、洗剤の量を調整する回数や順序や、洗剤の調整量なども任意であってよい。
【0091】
上述のように、食器洗い機10は、その都度使用時の汚れ量に応じて汚れ量を判別し決定された洗剤量を投入することで、汚れに対して最適な洗浄を行う。そのため汚れ量が多い時にも少ない時にも使用者が容易に洗浄開始することができる。また使用者の想定していた汚れ量と、実際の汚れ量とに乖離が生じる場合であっても、実際の汚れ量に応じた最適な洗剤量を最適なタイミングで投入し、食器類を洗うことが可能である。そのため使用者が洗剤を過剰に入れることがなく、洗剤量を節約しながら十分な洗浄力を確保することが可能である。この動作は使用者がおまかせコースを選択することにより実行される。
【0092】
なお、上記の例では、被洗浄物に付着した汚れの量、洗浄槽12に収容された被洗浄物の量、及び被洗浄物に付着した油の量に基づいて、洗浄槽12に供給する洗剤の量を調整した。しかしながら、おまかせコースによる汚れ量の判定、洗剤量の決定及び洗剤投入は、これらのいずれか1つのみに基づいて実施してもよいし、任意の2つの組合せに基づいてもよい。
【0093】
[1-3.効果等]
以上のように、本実施の形態において、食器洗い機10は、食器13などの被洗浄物が収容される洗浄槽12と、洗浄槽12へ給水するための給水弁1と、洗浄槽12から排水するための洗浄排水ポンプ2と、洗浄槽12に洗剤を供給するための洗剤ポンプ7と、洗浄槽12に収容された被洗浄物の量を検知する食器量検知部52と、給水弁1、洗浄排水ポンプ2、及び洗剤ポンプ7を制御して被洗浄物を洗浄する工程を実行する制御部50と、を備え、制御部50は、被洗浄物の量を食器量検知部52から取得し、被洗浄物の量に応じた量の洗剤を洗剤ポンプ7から洗浄槽12に供給して被洗浄物を洗浄する。これにより、食器洗い機10の洗浄力及び洗浄効率を向上させることができる。また、過剰な洗剤の使用を抑えることができる。
【0094】
また、本実施の形態において、制御部50は、まず、所定量の洗剤を洗剤ポンプ7から洗浄槽12に供給して被洗浄物を洗浄した後、被洗浄物の量に応じてさらに洗剤を洗剤ポンプ7から洗浄槽12に供給するか否かを決定する。これにより、食器洗い機10の洗浄力及び洗浄効率を向上させることができる。また、過剰な洗剤の使用を抑えることができる。
【0095】
また、本実施の形態において、食器洗い機10は、洗浄槽12内の洗浄水を加熱するヒータ3を更に備え、食器量検知部52は、洗浄槽12内の洗浄水の温度を検知し、洗浄槽12内の洗浄水の温度の変化速度に基づいて被洗浄物の量を検知する。これにより、構成を追加することなく被洗浄物の量を検知することができるので、食器洗い機10の製造コストを抑えることができる。
【0096】
また、本実施の形態において、食器量検知部52は、被洗浄物を洗浄する工程中において、所定時間の間における洗浄槽12内の洗浄水の温度の変化速度を取得する。これにより、構成を追加することなく被洗浄物の量を検知することができるので、食器洗い機10の製造コストを抑えることができる。
【0097】
また、本実施の形態において、洗浄方法は、洗浄槽12に収容された被洗浄物の量を検知するステップと、被洗浄物の量に応じた量の洗剤を含む洗浄水で被洗浄物を洗浄するステップと、を備える。これにより、食器洗い機10の洗浄力及び洗浄効率を向上させることができる。また、過剰な洗剤の使用を抑えることができる。
【0098】
また、本実施の形態において、洗浄方法は、被洗浄物の量を検知するステップの前に、所定量の洗剤を含む洗浄水で被洗浄物を洗浄するステップと、被洗浄物の量を検知するステップの後に、被洗浄物の量に応じてさらに洗剤を洗浄槽12に供給するか否かを決定するステップと、を備える。これにより、食器洗い機10の洗浄力及び洗浄効率を向上させることができる。また、過剰な洗剤の使用を抑えることができる。
【0099】
また、本実施の形態において、所定量の洗剤を含む洗浄水で被洗浄物を洗浄するステップは、洗浄水を加熱するステップを含み、被洗浄物の量を検知するステップにおいて、洗浄水の温度の変化速度に基づいて被洗浄物の量を検知する。これにより、構成を追加することなく被洗浄物の量を検知することができるので、食器洗い機10の製造コストを抑えることができる。
【0100】
また、本実施の形態において、食器洗い機を制御するための制御プログラムは、コンピュータに、洗浄槽12に収容された被洗浄物の量を検知するステップと、被洗浄物の量に応じた量の洗剤を含む洗浄水で被洗浄物を洗浄するステップと、を実行させる。これにより、食器洗い機10の洗浄力及び洗浄効率を向上させることができる。また、過剰な洗剤の使用を抑えることができる。
【0101】
(他の実施の形態)
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施の形態1を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用できる。また、上記実施の形態1で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。
【0102】
そこで、以下、他の実施の形態を例示する。
【0103】
実施の形態1では、食器などの被洗浄物を洗浄するための食器洗い機について説明したが、本開示の技術は、衣類などを洗浄するための洗濯機や、その他の被洗浄物を洗浄するための洗浄装置などにも適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0104】
本発明は、被洗浄物を洗浄するための食器洗い機に利用可能である。
【符号の説明】
【0105】
1 給水弁
2 洗浄排水ポンプ
3 ヒータ
4 水温センサ
5 濁度センサ
6 洗剤タンク
7 洗剤ポンプ
8 乾燥ファン
9 洗浄ノズル
10 食器洗い機
11 本体
12 洗浄槽
13 食器
50 制御部
51 汚れ量検知部
52 食器量検知部
53 油量検知部
54 洗剤量決定部
55 送液制御部
56 工程制御部