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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023068344
(43)【公開日】2023-05-17
(54)【発明の名称】撹拌・脱泡処理装置及び生産方法
(51)【国際特許分類】
   B01F 29/90 20220101AFI20230510BHJP
   B01J 19/08 20060101ALI20230510BHJP
   B01D 19/00 20060101ALI20230510BHJP
【FI】
B01F9/22
B01J19/08 K
B01D19/00 102
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021179358
(22)【出願日】2021-11-02
(71)【出願人】
【識別番号】000145286
【氏名又は名称】株式会社写真化学
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】高岡 文彦
(72)【発明者】
【氏名】井上 洋貴
【テーマコード(参考)】
4D011
4G036
4G075
【Fターム(参考)】
4D011AA06
4D011AD03
4G036AA26
4G075AA27
4G075BB08
4G075BB10
4G075BD13
4G075CA47
4G075DA02
4G075EA01
4G075EB01
4G075EB42
4G075EB44
4G075EC01
4G075EC21
4G075ED06
4G075ED08
(57)【要約】
【課題】使い勝手が良好で、且つ、撹拌性能及び脱泡性能の高い撹拌・脱泡処理装置を提供する。
【解決手段】被処理物5を内部に収容する容器1と、容器1が搭載される容器ホルダー106と、容器ホルダー106を自転軸心周りに自転させ且つ自転軸心を公転させる駆動機構Dとを備える撹拌・脱泡処理装置100であって、プラズマを含むガスを容器1の内部に導くプラズマ誘導部10を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理物を内部に収容する容器と、前記容器が搭載される容器ホルダーと、前記容器ホルダーを自転軸心周りに自転させ且つ前記自転軸心を公転させる駆動機構とを備える撹拌・脱泡処理装置であって、
プラズマを含むガスを前記容器の内部に導くプラズマ誘導部を備える撹拌・脱泡処理装置。
【請求項2】
前記容器の外部に設けられ、プラズマを発生させるプラズマ発生部を備え、
前記プラズマ誘導部は、前記プラズマ発生部で発生されたプラズマを含むガスを前記容器の内部に導く請求項1に記載の撹拌・脱泡処理装置。
【請求項3】
前記プラズマ誘導部は、前記容器に装着されて当該容器ホルダーの自転と同期して回転可能な自転部と、前記容器ホルダーの公転と同期して回転可能な公転部と、前記自転部及び前記公転部を連結する回転コネクタと、を備え、
前記プラズマ発生部で発生されたプラズマを含むガスが前記公転部と前記回転コネクタと前記自転部とを経由して前記容器の内部に導かれる請求項2に記載の撹拌・脱泡処理装置。
【請求項4】
前記容器は、上端に開口部を有する有底筒状の本体部と、前記本体部の開口部に着脱可能に設けられる蓋体とを備え、
前記プラズマ誘導部の一部は、前記蓋体の中央部を貫通して前記容器の内部に挿入され、
前記蓋体には当該蓋体の端部よりも前記中央部に近い位置に排気用の通気孔が形成されている請求項1~3の何れか一項に記載の撹拌・脱泡処理装置。
【請求項5】
前記プラズマ誘導部は、前記容器の内部に挿入される、プラズマを含むガスを放出するノズルを有する請求項1~4の何れか一項に記載の撹拌・脱泡処理装置。
【請求項6】
前記ノズルは、前記被処理物と接触しない位置に設置される請求項5に記載の撹拌・脱泡処理装置。
【請求項7】
被処理物を内部に収容する容器と、前記容器が搭載される容器ホルダーと、前記容器ホルダーを自転軸心周りに自転させ且つ前記自転軸心を公転させる駆動機構と、プラズマを含むガスを前記容器の内部に導くプラズマ誘導部とを備える撹拌・脱泡処理装置を用いて撹拌及び/又は脱泡された被処理物を生産する生産方法であって、
前記被処理物を内部に収容する前記容器を自公転させ、
前記自公転中の少なくとも一部の時間に前記プラズマを含むガスを前記容器内に供給する生産方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、被処理物を内部に収容する容器と、容器が搭載される容器ホルダーと、容器ホルダーを自転軸心周りに自転させ且つ自転軸心を公転させる駆動機構とを備える撹拌・脱泡処理装置、並びに撹拌及び/又は脱泡された被処理物を生産する生産方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ナノ粒子を含む様々な微細な粒子等を用いて物品を製造することが行われている。このような微細な粒子は、粒子の表面エネルギーが大きいために、細かい一次粒子が凝集して大きな二次粒子となっていることが多く、物品を製造する際には、凝集した状態の二次粒子を解砕して、一次粒子の状態にすることが求められる。
【0003】
被処理物を撹拌して分散性を高めるための装置として、例えば、マグネチックスターラー、超音波ホモジナイザー、高速ホモミキサー、ビーズミル、プラネタリーミキサーなどがある。
【0004】
但し、従来の装置では、凝集した状態の二次粒子を一次粒子へと十分に解砕できない場合がある。或いは、撹拌処理を行っている間は微粒子が液体中に分散していたとしても、処理後に微粒子が再凝集する場合もある。
【0005】
その他の技術として、特許文献1(特許第6510903号公報)には、分散媒中に粉体を分散させる方法が記載されている。この方法では、プラズマを発生させることで、表面にアルミナが存在する粉体周りのゼータ電位を上昇させ、それにより分散媒中にその粉体を良好に分散させようとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第6510903号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の方法では、分散媒中にプラズマを発生させるための電極を浸しているため、幾つかの問題がある。例えば、電極が放電により損傷して、分散媒へ混入する可能性がある。また、電極で発生する熱により、分散媒が加熱されるという問題がある。更に、電極が分散媒に直接触れるため、分散媒と化学反応を起こさない電極材質を選定する必要がある。また更に、分散媒が有機溶剤などの引火性の高い液体を含む場合、プラズマ発生時に引火する可能性がある。また更に、プラズマを発生させるために、分散媒に電解質を添加する必要がある。
【0008】
以上のように、従来の処理装置は、使い勝手が良好とは言えなかった。
【0009】
本開示は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、使い勝手が良好で、且つ、撹拌性能及び脱泡性能の高い撹拌・脱泡処理装置及び生産方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の一実施形態に係る撹拌・脱泡処理装置の構成は、被処理物を内部に収容する容器と、前記容器が搭載される容器ホルダーと、前記容器ホルダーを自転軸心周りに自転させ且つ前記自転軸心を公転させる駆動機構とを備える撹拌・脱泡処理装置であって、プラズマを含むガスを前記容器の内部に導くプラズマ誘導部を備えている。
ここで、前記容器の外部に設けられ、プラズマを発生させるプラズマ発生部を備え、前記プラズマ誘導部は、前記プラズマ発生部で発生されたプラズマを含むガスを前記容器の内部に導くように構成してもよい。
また、前記プラズマ誘導部は、前記容器に装着されて当該容器ホルダーの自転と同期して回転可能な自転部と、前記容器ホルダーの公転と同期して回転可能な公転部と、前記自転部及び前記公転部を連結する回転コネクタと、を備え、前記プラズマ発生部で発生されたプラズマを含むガスが前記公転部と前記回転コネクタと前記自転部とを経由して前記容器の内部に導かれるように構成してもよい。
【0011】
上記構成によれば、被処理物を収容した容器を容器ホルダーに搭載して、プラズマ誘導部によってプラズマを含むガスを前記容器の内部に導きながら、駆動機構を動作させることができる。つまり、被処理物の撹拌・脱泡処理を行いながら、被処理物に対してプラズマ処理を行うことで、プラズマ作用で発生するラジカル等の活性種により被処理物に含まれる例えば粒子及び繊維等の分散効果の増強が期待できる。そのため、粒子及び繊維等が凝集していたとしても、それらが解砕又は解繊されることや、それらの再凝集の抑制が期待できる。加えて、容器を自転及び公転させることで被処理物を流動させながらプラズマ照射を行うため、プラズマの作用が被処理物に対して均等に加わるという利点がある。更に、容器を自転及び公転させることで被処理物で生じる熱によりプラズマの作用が強まることで、被処理物に含まれる例えば粒子及び繊維等の分散効果が高まることが期待される。
【0012】
尚、被処理物に含まれる例えば粒子及び繊維等の凝集が進むと、それらのサイズが大きくなるため、被処理物は撹拌・脱泡処理中に空気を巻き込んで、泡を発生させ易くなる場合がある。ところが本構成では、被処理物に含まれる例えば粒子及び繊維等が解砕又は解繊されてそのサイズが小さくなることが期待できる。そのため、被処理物は撹拌・脱泡処理中に空気を巻き込み難くなり得、その結果、泡が発生し難くなり得る。
【0013】
また、被処理物にはプラズマを発生させるための電極を接触させる必要はないため、電極材料が被処理物に混入することもなく、電極で発生する熱により被処理物が加熱されることもなく、電極が被処理物と化学反応を起こすこともない等、使い勝手がよい撹拌・脱泡処理装置が実現される。
【0014】
本開示に係る撹拌・脱泡処理装置の別の構成は、前記容器は、上端に開口部を有する有底筒状の本体部と、前記本体部の開口部に着脱可能に設けられる蓋体とを備え、
前記プラズマ誘導部の一部は、前記蓋体の中央部を貫通して前記容器の内部に挿入され、
前記蓋体には当該蓋体の端部よりも前記中央部に近い位置に排気用の通気孔が形成されている。
【0015】
上記構成によれば、容器の内部に流入したプラズマを含むガスは、蓋体の中央部から被処理物に向けて流れ、被処理物の表面で広がり、本体部の内壁に沿って上昇し、蓋体の端部付近で方向を変えながら容器の内部を循環する。そして、そのような経路で循環した後のガスの一部が通気孔を通って容器の外部に排出される。つまり、通気孔は、容器の内部に供給されて循環した後のガスが到達する部分に設けられている。その結果、容器の内部に供給されたプラズマを含むガスの容器外への排出を遅らせることが期待できる。つまり、容器の内部に流入したプラズマが容器の内部で被処理物に接触する時間が十分に確保され得る。
【0016】
本開示に係る撹拌・脱泡処理装置の更に別の構成は、前記プラズマ誘導部は、前記容器の内部に挿入される、プラズマを含むガスを放出するノズルを有する。
【0017】
上記構成によれば、ノズルの形状を変更することで、被処理物に対するプラズマを含むガスの照射方向等を自在に変更できる。
【0018】
本開示に係る撹拌・脱泡処理装置の更に別の構成は、前記ノズルは、前記被処理物と接触しない位置に設置される。
【0019】
上記構成によれば、ノズルは被処理物に接触しないため、被処理物がノズルの材料と化学反応すること、ノズルに付着している異物が被処理物に混入することなどを防止できる。
【0020】
本開示の一実施形態に係る生産方法は、被処理物を内部に収容する容器と、前記容器が搭載される容器ホルダーと、前記容器ホルダーを自転軸心周りに自転させ且つ前記自転軸心を公転させる駆動機構と、プラズマを含むガスを前記容器の内部に導くプラズマ誘導部とを備える撹拌・脱泡処理装置を用いて撹拌及び/又は脱泡された被処理物を生産する生産方法であって、前記被処理物を内部に収容する前記容器を自公転させ、前記自公転中の少なくとも一部の時間に前記プラズマを含むガスを前記容器内に供給する。
【0021】
上記構成によれば、被処理物を収容した容器を容器ホルダーに搭載して、プラズマ誘導部によってプラズマを含むガスを前記容器の内部に導きながら、駆動機構を動作させることができる。例えば、被処理物に粒子及び繊維等が含まれる場合、被処理物の撹拌・脱泡処理を行いながら、被処理物に対してプラズマ処理を行うことで、プラズマ作用で発生するラジカル等の活性種により被処理物に含まれる粒子及び繊維等の分散効果の増強が期待できる。そのため、粒子及び繊維等が凝集していたとしても、それらが解砕又は解繊されることや、それらの再凝集の抑制が期待できる。加えて、容器を自転及び公転させることで被処理物を流動させながらプラズマ照射を行うため、プラズマの作用が被処理物に対して均等に加わるという利点がある。更に、容器を自転及び公転させることで被処理物で生じる熱によりプラズマの作用が強まることで、被処理物に含まれる例えば粒子及び繊維等の分散効果が高まることが期待される。従って、良好に撹拌及び/又は脱泡された被処理物を生産する生産方法が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】撹拌・脱泡処理装置の例を示す構成図である。
図2】プラズマ発生部及びプラズマ誘導部の例を概略的に描いた図である。
図3】容器の内部での被処理物へのプラズマ照射の様子を示す図である。
図4】容器の蓋体の例を示す図である。
図5】ノズルの構成例を説明する図である。
図6】炭素繊維の解砕試験の結果を示す図である。
図7】炭素繊維の解砕試験の結果を示す図である。
図8】炭素繊維の解砕試験の結果を示す図である。
図9】酸化チタンの解砕試験の結果を示す図である。
図10】酸化チタンの解砕試験の結果を示す図である。
図11】シリカヒュームの解砕試験の結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に図面を参照して実施形態に係る撹拌・脱泡処理装置100について説明する。
図1は、撹拌・脱泡処理装置100の例を示す構成図である。図2は、プラズマ発生部(plasma generator)2及びプラズマ誘導部10の例を概略的に描いた図である。図示するように、撹拌・脱泡処理装置100は、被処理物5を内部に収容する容器1と、容器1が搭載される容器ホルダー106と、容器ホルダー106を自転軸心周りに自転させ且つ自転軸心を公転させる駆動機構Dとを備える。加えて、撹拌・脱泡処理装置100は、プラズマを含むガスを容器1の内部に導くガス通路であるプラズマ誘導部10を備える。図1には、撹拌・脱泡処理装置100に二つの容器ホルダー106が設けられる例を示しているが、容器ホルダー106の数は変更可能である。例えば、撹拌・脱泡処理装置100に一つの容器ホルダー106が設けられる場合、撹拌・脱泡処理装置100は、回転時のバランスを取るための錘を備えてもよい。
【0024】
図1に示す本実施形態の駆動機構Dは、公転歯車101、回転ドラム102、公転軸103、駆動モータ104、公転テーブル105、自転歯車108、中間歯車109、太陽歯車110、歯車111、歯車112、及び、歯車113を備える。
【0025】
駆動機構Dにおいて、公転歯車101を有する回転ドラム102は、軸受を介して固定軸である公転軸103に対して回転自在に支持されている。駆動モータ104による回転運動が、公転歯車101を介して回転ドラム102に伝達され、回転ドラム102は、公転軸103の公転軸心X2を中心に回転する。公転テーブル105は、回転ドラム102に連結されて固定されており、回転ドラム102と共に回転する。容器ホルダー106は、公転テーブル105に対してその自転軸心X1を中心に回転自在に支持されている。そのため、容器ホルダー106は、公転テーブル105の回転により、公転軸103の公転軸心X2を中心に回転、即ち、公転する。
【0026】
容器ホルダー106は、自転歯車108とともに回転するように自転歯車108に接続されている。自転歯車108は、軸受を介して公転テーブル105に回転自在に支持されている中間歯車109と噛合する。中間歯車109は、太陽歯車110と噛合する。太陽歯車110は、回転ドラム102の外側に配置されており、回転ドラム102に対して、軸受を介して回転自在に支持されている。
【0027】
太陽歯車110は、歯車111に噛合する。歯車111には、互いに噛合する歯車112及び歯車113を介して、パウダーブレーキ等の制動装置114の制動力が伝達される。
【0028】
太陽歯車110は、制動装置114により加えられる制動力が無い場合、即ち、制動力が0の場合、回転ドラム102に従動して回転する。
【0029】
制動装置114の制動力が歯車111を介して太陽歯車110に伝達された場合、太陽歯車110の回転速度が回転ドラム102の回転速度に比べて減少し、太陽歯車110の回転速度と回転ドラム102に連結されている公転テーブル105の回転速度との間に差が生じる。その結果、太陽歯車110に対して、中間歯車109が相対的に回転する。中間歯車109は、自転歯車108と噛合するため、自転歯車108が回転し、容器ホルダー106は、自転軸心X1を中心に回転、即ち、自転する。
【0030】
上記撹拌・脱泡処理装置100は、1つの駆動モータ104により容器ホルダー106を公転及び自転させる構成例であるが、撹拌・脱泡処理装置100の構成は図1の例に限定するものではない。例えば、撹拌・脱泡処理装置100は、公転用駆動モータと自転用駆動モータを別々に備え、容器ホルダー106を公転及び自転させてもよく、他の構成であってもよい。撹拌・脱泡処理装置100の容器1の自転の回転速度及び公転の回転速度は、適宜設定できる。
【0031】
撹拌・脱泡処理装置100は、容器1の外部に設けられ、プラズマを発生させるプラズマ発生部2を備える。プラズマ発生部2は、一対の電極を有し、プラズマを発生させる電圧印加部2aと、電圧印加部2aの一対の電極間に電圧を印加する電源部2bとを備える。プラズマ発生部2には、ガス供給源3から供給されるガスが供給される。例えば、窒素ガス、アルゴンガスなどがガス供給源3から供給される。そして、ガス供給源3から供給されるガスが電圧印加部2aに供給されて、そのガスがプラズマ状態になる。ガス供給源3から供給されるガスは、プラズマ発生部2の電圧印加部2aで発生したプラズマのキャリアガスとして、発生したプラズマをプラズマ誘導部10へと送る。
【0032】
プラズマ誘導部10は、プラズマ発生部2で発生されたプラズマを含むガスを容器1の内部に導く。図2に示す例では、プラズマ誘導部10は、容器1に装着されて容器ホルダー106の自転と同期して回転可能な自転部15と、容器ホルダー106の公転と同期して回転可能な公転部13と、自転部15及び公転部13を連結する回転コネクタ14とを備える。そして、プラズマ発生部2で発生されたプラズマを含むガスが公転部13と回転コネクタ14と自転部15とを経由して容器1の内部に導かれる。加えて、プラズマ誘導部10は、自転回転及び公転回転の何れも行わない固定部11と、固定部11及び公転部13を連結する回転コネクタ12とを備える。つまり、プラズマ発生部2で発生されたプラズマを含むガスは、固定部11と回転コネクタ12と公転部13と回転コネクタ14と自転部15とを経由して容器1の内部に導かれる。
【0033】
撹拌・脱泡処理装置100は、撹拌・脱泡処理装置100の各部及びガス供給源3を制御する制御部4を更に備える。撹拌・脱泡処理装置100及びガス供給源3は、制御部4の制御により、容器ホルダー106に装着された容器1を自公転させ、容器1へのガス供給を行う。制御部4は、例えば、プロセッサ回路と、プログラムを記録したハードディスク、メモリ等の記録媒体とを備え、記録媒体に格納されたプログラムに従って制御処理を実行する。
【0034】
図3は容器1の内部での被処理物5へのプラズマ照射の様子を示す図である。図4は容器1の蓋体1bの構成を示す図である。容器1は、上端に開口部を有する有底筒状の本体部1aと、本体部1aの開口部に着脱可能に設けられる蓋体1bとを備える。図示する例では、本体部1aの横断面の形状は円形である。つまり、本体部1aは、円筒の中心軸に沿った方向の一端側が閉じられて底部になり、他端側が開放されて開口部になる。本体部1aの開口部及び蓋体1bも円形である。プラズマ誘導部10の一部は、蓋体1bの中央部を貫通して容器1の内部に挿入される。容器1の内部に挿入されるプラズマ誘導部10の一部は、容器1の内部に挿入される、プラズマを含むガスを放出するノズル15aを有する。ノズル15aは自転部15の一部であり、被処理物5と接触しない位置に設置される。そして、ノズル15aから放出されるプラズマを含むガスが、撹拌・脱泡処理中の被処理物5の表面に当たる。
【0035】
制御部4は、駆動機構D、およびプラズマ誘導部10に設けられた弁を制御して、被処理物5を内部に収容する容器1を自公転させ、その自公転中の少なくとも一部の時間にプラズマを含むガスを容器1内に供給する。それにより、撹拌・脱泡処理装置100を用いて撹拌及び/又は脱泡された被処理物5を生産する生産方法が実現される。詳細には、制御部4は、駆動機構Dに容器1を同時に自転・公転させて被処理物5の撹拌・脱泡処理を行っている間の全部又は一部の時間に、アクチュエータに弁を開放させ、プラズマ発生部2から容器1に継続的にプラズマを含むガスを供給させる。制御部4は、更に、容器1を同時に自転・公転させて被処理物5の撹拌・脱泡処理を行う前に及び/又はその撹拌・脱泡処理を行った後にも、プラズマ発生部2から容器1にプラズマを含むガスを供給させてもよい。
【0036】
蓋体1bにはその蓋体1bの端部よりも中央部に近い位置に排気用の通気孔1cが形成されている。この通気孔1cを経由して、容器1の内側と外側との間で気体が移動できる。本実施形態の場合、プラズマを含むガスが容器1の内部に継続的に供給されている間、通気孔1cを経由して、容器1の内部のガスが容器1の外部に継続的に排出される。
【0037】
図3に示すように、プラズマを含むガスは、蓋体1bの方から本体部1aの底に向けて放出されている。また、通気孔1cは、蓋体1bに形成されている。図示する例では、2つの通気孔1cは、ノズル15aを間に挟むように、蓋体1bの端部よりも中央部に近い位置に配置されている。つまり、円形の蓋体1bの中心部にノズル15aが配置され、円形の蓋体1bの径方向外側の端部よりも蓋体1bの中心部に近い位置に各通気孔1cが配置されている。その結果、図3に矢印で示すように、容器1の内部に供給されたプラズマを含むガスは被処理物5に当たり、本体部1aの内壁に沿って上昇し、蓋体1bの端部付近で方向を変えながら容器1の内部を循環し、その後、蓋体1bに形成された通気孔1cから容器1の外部に排出される。このように、通気孔1cは、容器1の内部に供給されて循環した後のガスが到達する部分に設けられている。その結果、容器1の内部に供給されたプラズマを含むガスの容器1の外部への排出を遅らせることが期待できる。つまり、プラズマと被処理物5との接触時間が長くなるという利点がある。
【0038】
図5はノズル15aの構成例を説明する図である。図5(a)は、ノズル15aの先端から、ノズル15aの中心軸に沿って平行にガスが直線的に放出され、且つ、ノズル15aの中心軸から離れる方向に向けてガスが直線的に放出されるタイプのノズルである。図5(b)は、ノズル15aの先端から、ノズル15aの中心軸に沿って平行に相対的に多くのガスが直線的に放出され、その周囲ではノズル15aの中心軸に沿って平行に相対的に少ない量のガスが直線的に放出されるタイプのノズルである。図5(c)は、ノズル15aの先端から、ノズル15aの中心軸に沿って平行に全てのガスが直線的に放出されるタイプのノズルである。図5(d)は、ノズル15aの先端から、ノズル15aの中心軸に沿って平行に、且つ、ノズル15aの中心軸から離れる方向に向けて、ほぼ同じ量のガスが放出されるタイプのノズルである。図5(d)のノズル15aは、図15(a)のノズル15aよりも広い範囲にガスが放出される。このように、ノズル15aから放出されるガスの方向及び量を適宜設定できる。
【0039】
次に、被処理物5にプラズマ照射を行いながら撹拌・脱泡処理を行った場合の効果について説明する。
【0040】
(1)試験1:炭素繊維(0.3g)の解砕試験
撹拌・脱泡処理の条件は以下の通りである。
被処理物5:炭素繊維 0.3g、水 50g
公転回転速度:1000rpm
自転回転速度:1000rpm
時間:600秒
【0041】
炭素繊維は、株式会社クレハから販売されているクレカチョップKGF-200を用いた。クレカチョップのグレードはM-2007Sであり、炭素繊維の直径は14.5μmである。
【0042】
プラズマの照射条件は以下の通りである。
プラズマ発生部2は、株式会社魁半導体のチューブ内壁大気圧プラズマ装置S5000-Tを用いた。電源は単相100V(60Hz)、10Aである。ガス供給源3からプラズマ発生部2へは、窒素ガスをガス圧力:0.3MPa、ガス流量:30L/minで供給した。チューブ内壁大気圧プラズマ装置S5000-Tにおいて、「HV TIMER」の操作部は9999秒に設定し、「電力調整」の操作部は100に設定した。加えて、解砕試験の開始時には、公転回転速度が1000rpmに達したタイミングで、チューブ内壁大気圧プラズマ装置S5000-Tのスイッチを手動操作して、ガス供給とプラズマ照射とを連動して開始させた。また、解砕試験の終了時には、減速開始タイミングで、チューブ内壁大気圧プラズマ装置S5000-Tのスイッチを手動操作して、ガス供給とプラズマ照射とを連動して停止させた。ノズル15aは、図5(a)に示すタイプを用いた。
【0043】
図6は、炭素繊維の解砕試験の結果を示す図である。具体的には、図6は、上記条件でプラズマ照射を行いながら撹拌・脱泡処理装置100で撹拌・脱泡処理を行った後と、プラズマ照射を行わずに撹拌・脱泡処理装置100で撹拌・脱泡処理を行った後と、プラズマ照射を行わずに容器1を手に持って10秒間だけ振ること、即ち「手混ぜ」で被処理物5を撹拌した後とのそれぞれの場合において、被処理物5に含まれる炭素繊維を光学顕微鏡で観察した結果を示す画像である。拡大倍率は200倍及び500倍である。図示するように、プラズマ照射を行わなかった場合、複数の炭素繊維が凝集したままになっている。それに対して、プラズマ照射を行った場合、複数の炭素繊維が良好に解砕されていることが分かる。
【0044】
図7は、炭素繊維の解砕試験の結果を示す図である。具体的には、図7は、上記条件でプラズマ照射を行いながら撹拌・脱泡処理装置100で撹拌・脱泡処理を行った後と、プラズマ照射を行わずに撹拌・脱泡処理装置100で撹拌・脱泡処理を行った後と、プラズマ照射を行わずに容器1を手に持って10秒間だけ振る「手混ぜ」で被処理物5を撹拌した後とのそれぞれの場合において、被処理物5をパルスNMRにより測定した結果を示す図である。縦軸に示すRsp値が大きいほど、水中に含まれる粒子の分散性が高いことを示している。このパルスNMRは、マジェリカ・ジャパン株式会社から販売されているMagnoMeter XRSを用いて測定した。図示するように、「手混ぜ」で被処理物5を撹拌した場合、Rsp値は最も小さくなった。プラズマ照射を行いながら撹拌・脱泡処理を行った場合、Rsp値は最も大きくなり、炭素繊維の分散性が最も高まったことが示された。それに対して、プラズマ照射を行わずに撹拌・脱泡処理を行った場合、「手混ぜ」よりはRsp値は大きい、即ち、分散性は高まったものの、プラズマ照射を行った場合と比べると、炭素繊維の分散性は低いままであった。
【0045】
(2)試験2:炭素繊維(2g)の解砕試験
撹拌・脱泡処理の条件は以下の通りである。
被処理物5:炭素繊維 2g、水 50g
公転回転速度:1000rpm
自転回転速度:1000rpm
時間:1800秒
【0046】
炭素繊維は、株式会社クレハから販売されているクレカチョップKGF-200を用いた。クレカチョップのグレードはM-2007Sであり、炭素繊維の直径は14.5μmである。
【0047】
図8は、炭素繊維の解砕試験の結果を示す図である。具体的には、図8は、上記実験1と同じ条件でプラズマ照射を行いながら撹拌・脱泡処理装置100で撹拌・脱泡処理を行った後と、プラズマ照射を行わずに撹拌・脱泡処理装置100で撹拌・脱泡処理を行った後とでの、被処理物5を観察した結果を示す画像である。尚、撹拌・脱泡処理を終了した後、撹拌・脱泡処理で用いた容器1とは別の蓋付きの透明の瓶に被処理物5を移し替えた。そして、処理直後から10分後までの被処理物5の経時的な状態変化の様子を撮影した。
【0048】
図8から明らかなように、プラズマ照射を行っていない場合、1分後の段階から既に炭素繊維の沈殿が顕著に現れている。更に、その後も炭素繊維の沈殿は速く進んでいる。これは、炭素繊維が十分に解砕されておらず、炭素繊維が大きな凝集体で残っていたためだと考えられる。それに対して、プラズマ照射を行った場合、1分後の段階では炭素繊維の沈殿は殆ど現れていない。そして、時間経過と共に、炭素繊維の沈殿が緩やかに進んでいる。加えて、プラズマ照射を行っていない場合、被処理物5の表面に、即ち水の液面に多くの炭素繊維が浮遊しており、水中に分散されなかった炭素繊維が液面に多く存在していたことが分かる。
【0049】
(3)試験3:酸化チタン(0.3g)の解砕試験
撹拌・脱泡処理の条件は以下の通りである。
被処理物5:酸化チタン 0.3g、水 100g
公転回転速度:1000rpm
自転回転速度:1000rpm
時間:300秒
【0050】
酸化チタンは、堺化学工業株式会社から販売されているSTR-100Nを用いた。STR-100NのX線測定による一次粒子径は16nmであり、比表面積は100m/gである。
【0051】
図9は、酸化チタンの解砕試験の結果を示す図である。具体的には、図9は、上記実験1と同じ条件でプラズマ照射を行いながら撹拌・脱泡処理装置100で撹拌・脱泡処理を行った後と、プラズマ照射を行わずに撹拌・脱泡処理装置100で撹拌・脱泡処理を行った後での、被処理物5に含まれる酸化チタンを光学顕微鏡で観察した結果を示す画像である。拡大倍率は、200倍、500倍、1000倍である。図示するように、何れの倍率の画像を見ても、プラズマ照射を行わなかった場合、酸化チタンが凝集したままになっている。それに対して、プラズマ照射を行った場合、酸化チタンが解砕されている。
【0052】
(4)試験4:酸化チタン(10g)の解砕試験
撹拌・脱泡処理の条件は以下の通りである。
被処理物5:酸化チタン 10g、水 50g
公転回転速度:1200rpm
自転回転速度:1200rpm
時間:300秒
酸化チタンは、堺化学工業株式会社から販売されているSTR-100Nを用いた。STR-100NのX線測定による一次粒子径は16nmであり、比表面積は100m/gである。
【0053】
図10は、酸化チタンの解砕試験の結果を示す図である。具体的には、図10は、上記実験1と同じ条件でプラズマ照射を行いながら撹拌・脱泡処理装置100で撹拌・脱泡処理を行った後と、プラズマ照射を行わずに撹拌・脱泡処理装置100で撹拌・脱泡処理を行った後と、容器1を手に持って10秒間だけ振る「手混ぜ」で被処理物5を撹拌した後とのそれぞれの場合において、被処理物5をパルスNMRにより測定した結果を示す図である。縦軸に示すRsp値が大きいほど、水中に含まれる粒子の分散性が高いことを示している。このパルスNMRは、マジェリカ・ジャパン株式会社から販売されているMagnoMeter XRSを用いて測定した。図示するように、「手混ぜ」で被処理物5を撹拌した場合、Rsp値は最も小さくなった。プラズマ照射を行いながら撹拌・脱泡処理を行った場合、Rsp値は最も大きくなり、酸化チタンの分散性が最も高まったことが示された。それに対して、プラズマ照射を行わずに撹拌・脱泡処理を行った場合、「手混ぜ」よりはRsp値は大きい、即ち、分散性は高まったものの、プラズマ照射を行った場合と比べると、酸化チタンの分散性は低いままであった。
【0054】
(5)試験5:シリカヒュームの解砕試験
撹拌・脱泡処理の条件は以下の通りである。
被処理物5:シリカヒューム 20g、水 30g
公転回転速度:1200rpm
自転回転速度:1200rpm
時間:300秒
シリカヒュームは、啓和ファインマテリアル株式会社から販売されているSN-5を用いた。
【0055】
図11は、シリカヒュームの解砕試験の結果を示す図である。具体的には、図11は、上記実験1と同じ条件でプラズマ照射を行いながら撹拌・脱泡処理装置100で撹拌・脱泡処理を行った後と、プラズマ照射を行わずに撹拌・脱泡処理装置100で撹拌・脱泡処理を行った後と、容器1を手に持って10秒間だけ振る「手混ぜ」で被処理物5を撹拌した後とのそれぞれの場合において、被処理物5をパルスNMRにより測定した結果を示す図である。縦軸に示すRsp値が大きいほど、水中に含まれる粒子の分散性が高いことを示している。このパルスNMRは、マジェリカ・ジャパン株式会社から販売されているMagnoMeter XRSを用いて測定した。図示するように、「手混ぜ」で被処理物5を撹拌した場合、Rsp値は最も小さくなった。プラズマ照射を行いながら撹拌・脱泡処理を行った場合、Rsp値は最も大きくなり、シリカヒュームの分散性が最も高まったことが示された。それに対して、プラズマ照射を行わずに撹拌・脱泡処理を行った場合、「手混ぜ」よりはRsp値は大きい、即ち、分散性は高まったものの、プラズマ照射を行った場合と比べると、シリカヒュームの分散性は低いままであった。
【0056】
以上のように、本実施形態の撹拌・脱泡処理装置100は、被処理物5を収容した容器1を容器ホルダー106に搭載して、プラズマ誘導部10によってプラズマを含むガスを容器1の内部に導きながら、駆動機構Dを動作させることができる。つまり、被処理物5の撹拌・脱泡処理を行いながら、被処理物5に対してプラズマ処理を行うことで、プラズマ作用で発生するラジカル等の活性種により被処理物5に含まれる例えば粒子及び繊維等の分散効果の増強が期待できる。また、例えば粒子及び繊維等の親水性が高まって液体と粒子及び繊維等がなじむことで、粒子及び繊維等の凝集体に含まれている気泡と液体が置換され、粒子及び繊維等の分散性が更に高まる。そのため、粒子及び繊維等が凝集していたとしても、それらが解砕又は解繊されることや、それらの再凝集の抑制が期待できる。加えて、容器1を自転及び公転させることで被処理物5を流動させながらプラズマ照射を行うため、プラズマの作用が被処理物5に対して均等に加わるという利点がある。更に、容器1を自転及び公転させることで被処理物5で生じる熱によりプラズマの作用が強まることで、被処理物5に含まれる例えば粒子及び繊維等の分散効果が高まることが期待される。
【0057】
尚、被処理物5に含まれる例えば粒子及び繊維等の凝集が進むと、それらのサイズが大きくなるため、被処理物5は撹拌・脱泡処理中に空気を巻き込んで、泡を発生させ易くなる。ところが本実施形態の撹拌・脱泡処理装置100では、被処理物5に含まれる例えば粒子及び繊維等が解砕又は解繊されてそのサイズが小さくなることが期待できる。そのため、被処理物5は撹拌・脱泡処理中に空気を巻き込み難くなり、その結果、泡が発生し難くなる。
【0058】
また、被処理物5には電圧印加部2aの電極を接触させる必要はないため、その電極の材料が被処理物5に混入することもなく、その電極で発生する熱により被処理物5が加熱されることもなく、電極の材料が被処理物5と化学反応を起こすこともない等、使い勝手がよい撹拌・脱泡処理装置100が実現される。
【0059】
<別実施形態>
<1>
上記実施形態では、撹拌・脱泡処理装置100の構成について具体例を挙げて説明したが、その構成は適宜変更可能である。
例えば、上記実施形態では、プラズマ発生部2が撹拌・脱泡処理装置100に搭載されている例を説明したが、プラズマ発生部2は、撹拌・脱泡処理装置100の外部に設けられてもよい。
【0060】
<2>
上記実施形態では、幾つかの材料を被処理物5として例示したが、被処理物5の種類は上述した材料に限定されず、様々な材料を用いることができる。
【0061】
<3>
上記実施形態では、ガス供給源3からプラズマ発生部2に窒素ガスを供給してプラズマを発生させる例を説明したが、ガス供給源3からプラズマ発生部2に供給するガスの種類は適宜変更可能である。例えば、ガス供給源3からプラズマ発生部2に、酸素ガス、アルゴンガスなどのガスを供給してプラズマを発生させることもできる。
また、被処理物5に含まれる粒子及び繊維等に親水性を付与したい場合には酸素ガスを用い、被処理物5に含まれる粒子及び繊維等に疎水性を付与したい場合にはフッ素ガスを用いるなどの変更も可能である。
【0062】
<4>
上記実施形態では、2つの通気孔15cが設けられている例を説明したが、通気孔15cの数は、一つであってもよいし、又は、3つ以上であってもよく、適宜変更可能である。また、一つ又は複数の通気孔15cをどのような位置関係で配置するのかも適宜変更可能である。例えば、一つ又は複数の通気孔15cを蓋体1bの中央部よりも端部に近い位置に設けてもよい。
【0063】
<5>
上記実施形態では、撹拌・脱泡処理装置100の公転回転速度及び自転回転速度、被処理物5に対するプラズマ照射タイミング及び照射期間、プラズマ強度、ノズル15aの形状などについて具体例を挙げて説明したが、それらは適宜変更可能である。
【0064】
<6>
上記実施形態では、制御部4は、容器1の自転・公転中の少なくとも一部の時間に、プラズマを含むガスを容器1内に継続的に供給させた。これに代えて、制御部4は、容器1の自転・公転中の少なくとも一部の時間に、プラズマ発生部2から容器1内にプラズマを含むガスを断続的に供給させてもよい。
【0065】
<7>
上述実施形態では、容器1の本体部1aは有底円筒状であったが、開口部と底部の径が異なる形状など、他の形状であってもよい。また、上述実施形態では、プラズマ誘導部10の一部が蓋体1bの中央部を貫通して容器1の内部に挿入されていた。これに代えて、プラズマ誘導部10の一部が蓋体1bの他の部分を貫通していてもよい。
【0066】
<8>
なお、上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本開示の実施形態はこれに限定されず、本開示の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本開示は、使い勝手が良好で、且つ、撹拌性能及び脱泡性能の高い撹拌・脱泡処理装置並びに撹拌及び/又は脱泡された被処理物を生産する生産方法に利用できる。
【符号の説明】
【0068】
1 :容器
1a :本体部
1b :蓋体
1c :通気孔
2 :プラズマ発生部
3 :ガス供給源
4 :制御部
5 :被処理物
10 :プラズマ誘導部
12 :回転コネクタ
13 :公転部
14 :回転コネクタ
15 :自転部
15a :ノズル
15c :通気孔
100 :撹拌・脱泡処理装置
106 :容器ホルダー
D :駆動機構
X1 :自転軸心
X2 :公転軸心
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11