(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023068359
(43)【公開日】2023-05-17
(54)【発明の名称】作業台における脚体のロック装置
(51)【国際特許分類】
E04G 1/34 20060101AFI20230510BHJP
E06C 1/39 20060101ALI20230510BHJP
【FI】
E04G1/34 A
E06C1/39 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021179386
(22)【出願日】2021-11-02
(71)【出願人】
【識別番号】000101662
【氏名又は名称】アルインコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077791
【弁理士】
【氏名又は名称】中野 収二
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 孝法
【テーマコード(参考)】
2E044
【Fターム(参考)】
2E044AA06
2E044BA05
2E044CB03
2E044DA01
2E044EB02
(57)【要約】
【課題】天板に対して回動自在に枢結された脚体を開脚姿勢及び閉脚姿勢の状態で回動不能にロックするためのロック装置を提供する。
【解決手段】脚体が開脚姿勢(P1)及び閉脚姿勢(P2)とされたとき、天板の支持部に設けたロック作動手段(13)により脚体の枢支ブラケット(7)を回動不能にロックする構成において、前記ロック作動手段(13)は、天板の外側から挿入方向(Y1)と引出方向(Y2)に移動自在に支持された軸体(14)と、該軸体の前記支持部(6)の外部に位置する部分に設けられたロック体(18)を備え、天板の側壁部(1a)の外側から前記軸体を操作することにより、軸体を挿入方向(Y1)のロック位置(Q)に移動させたときロック体を前記係止部に係止し、引出方向(Y2)のアンロック位置(R)に移動させたときロック体を前記係止部から離脱させるように構成している。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天板(1)の側壁部を含む支持部(6)に脚体(2)の枢支ブラケット(7)を枢軸(8)により枢結し、天板に対して脚体を開脚姿勢(P1)と閉脚姿勢(P2)の間で回動自在に構成すると共に、前記支持部に設けたロック作動手段(13)により、開脚姿勢と閉脚姿勢に対応して枢支ブラケットを回動不能にロックする構成において、
前記枢支ブラケット(7)は、前記枢軸を中心とする回動軌跡の上で回動方向に離間した位置にそれぞれ切欠き状の開脚係止部(10)と閉脚係止部(11)を凹設し、開脚姿勢及び閉脚姿勢のそれぞれに対応して前記ロック作動手段を開脚係止部及び閉脚係止部に係止させるように構成されており、
前記ロック作動手段(13)は、前記支持部を貫通して先端部を天板の内部に挿入されると共に挿入方向(Y1)と引出方向(Y2)に移動自在に支持された軸体(14)と、該軸体の前記支持部(6)の外部に位置する部分に設けられたロック体(18)を備えており、
開脚姿勢及び閉脚姿勢のそれぞれに対応して、天板の側壁部(1a)の外側から前記軸体を操作することにより、挿入方向(Y1)のロック位置(Q)に移動させたとき前記ロック体が開脚係止部及び閉脚係止部に係止して枢支ブラケット(7)の回動を阻止し、引出方向(Y2)のアンロック位置(R)に移動させたとき前記ロック体が開脚係止部及び閉脚係止部から離脱して枢支ブラケットの回動を許すように構成されて成ることを特徴とする作業台における脚体のロック装置。
【請求項2】
前記枢支ブラケット(7)は、枢軸(8)を中心とする円弧ライン(L)に関して、前記開脚係止部(10)及び閉脚係止部(11)を該円弧ラインから内周側に向けて凹設すると共に、両係止部の間に前記円弧ラインに沿う外周縁部(12)を形成しており、
前記ロック作動手段(13)の軸体(14)は、該軸体を挿入方向に弾発付勢するスプリング(23)を設けると共に、前記支持部(6)に臨まされる樹脂製の当接部材(19)を前記ロック体(18)に隣接して設けており、
軸体(14)をアンロック位置(R)に移動させた状態で、脚体(2)共に枢支ブラケット(7)を回動したとき、前記当接部材(19)が前記外周縁部(12)の外側面に接して摺動するように構成して成ることを特徴とする請求項1に記載の作業台における脚体のロック装置。
【請求項3】
前記天板の支持部(6)に設けられた補強材から前記ロック体(18)に臨む庇部(24)を設けており、
前記庇部(24)は、前記ロック体(18)の外周面を抱持する保持手段(24a)を構成して成ることを特徴とする請求項1又は2に記載の作業台における脚体のロック装置。
【請求項4】
前記天板の支持部(6)に設けられた補強材から前記ロック体(18)に臨む庇部(24)を設けており、
前記庇部(24)は、前記軸体をロック位置(Q)に移動させたとき前記当接部材(19)の外周面を覆い隠し、前記軸体をアンロック位置(R)に移動させたとき前記当接部材(19)の外周面を露出させるフード手段(24b)を構成して成ることを特徴とする請求項2又は3に記載の作業台における脚体のロック装置。
【請求項5】
前記当接部材(19)は、前記ロック体(18)と相違する色又は形状により構成された警告手段(25)を設けており、
前記警告手段(25)は、軸体をロック位置(Q)に移動したときは前記庇部(24)により視認不能とされているが、軸体をアンロック位置(R)に移動したときに前記庇部(24)から露出して視認可能とされるように構成されて成ることを特徴とする請求項4に記載の作業台における脚体のロック装置。
【請求項6】
前記軸体の天板の内部に挿入された軸部(14c)に確認表示手段(26)を設け、前記軸体と平行に延びる天板の正面壁(1b)に表示窓(27)を設けており、
前記確認表示手段と表示窓は、軸体をアンロック位置(R)に移動したときは相互に位置ずれした状態で確認表示手段を視認不能とするが、軸体をロック位置(Q)に移動したときに確認表示手段(26)を表示窓(27)に臨ませることにより該表示窓を介して確認表示手段を視認可能とするように構成されて成ることを特徴とする請求項1、2、3、4又は5に記載の作業台における脚体のロック装置。
【請求項7】
前記天板(1)は、前記軸体(14)の下側を開放する開口部(5a)を形成し、前記軸体(14)は、天板の内部に挿入された軸部(14c)にハンドル手段(28)を設けており、
前記開口部(5a)を介して前記ハンドル手段(28)を移動することにより軸体(14)をロック位置(Q)とアンロック位置(R)の間で移動させるように構成して成ることを特徴とする請求項1、2、3、4、5又は6に記載の作業台における脚体のロック装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天板に対して開脚姿勢と閉脚姿勢の間で回動自在とされた脚体を設けた作業台において、脚体を開脚姿勢及び閉脚姿勢とされた状態で回動不能にロックするためのロック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、作業台は、天板に回動自在に枢結された脚体を備えており、使用時には脚体を開脚姿勢として床面や地面に安定設置させ、不使用時には脚体を閉脚姿勢として折畳むことにより持ち運びや保管に便利となるように構成されている。そして、脚体を開脚姿勢及び閉脚姿勢とした状態で回動不能にロックするためのロック装置が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-193472号公報
【特許文献2】特許第5358101号公報
【特許文献3】特許第3574390号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
脚体のロック装置に関する従来技術は、脚体に一体回動する枢支ブラケットを設けると共に、天板の内部から外部に向けて出没自在な係止ロッドを設け、前記枢支ブラケットの回動軌跡の上で回動方向に離間した位置に開脚係止孔と閉脚係止孔を貫設している。そこで、天板の内部から係止ロッドを軸方向に移動させることにより外部に突出させ、脚体が開脚姿勢とされたとき係止ロッドを開脚係止孔に挿通して係止させ、閉脚姿勢とされたとき係止ロッドを閉脚係止孔に挿通して係止させるように構成されている。
【0005】
ところが、係止ロッドを係止孔から離脱させることにより係止を解除するためには、ユーザが天板の下側に手指を伸ばし、手探りで係止ロッドを移動させる必要があり、操作が煩雑である。そして、一方の手で係止ロッドを移動させ、他方の手で脚体を回動させなければならないため、係止ロッドに向けて伸ばした手指が天板と脚体の間に挟まれて負傷するおそれがある。
【0006】
しかも、係止ロッドが係止孔に確実に挿通されているかどうかの確認は、係止孔の内部に係止ロッドの軸端が存在しているかどうかの視認を必要とするが、外部からは視認が困難なため確認を誤るおそれがあり、その場合、使用中に脚体が不慮に回動する可能性があり、作業台の転倒事故を招く危険がある。
【0007】
更に、係止ロッドは、常時、スプリングにより天板の外部に突出するように付勢されており、このため、脚体を開脚姿勢と閉脚姿勢の間で回動するときは、係止ロッドの軸端が開脚係止孔と閉脚係止孔の間で枢支ブラケットの板面に圧接状態で摺動させられることになる。しかしながら、この場合、係止ロッドの軸端により枢支ブラケットの板面が容易に摩耗するので、耐用性の点において問題がある。
【0008】
本発明は、従来技術における上記の問題を解決した作業台におけるロック装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで、本発明が手段として構成したところは、天板の側壁部を含む支持部に脚体の枢支ブラケットを枢軸により枢結し、天板に対して脚体を開脚姿勢と閉脚姿勢の間で回動自在に構成すると共に、前記支持部に設けたロック作動手段により、開脚姿勢と閉脚姿勢に対応して枢支ブラケットを回動不能にロックする構成において、前記枢支ブラケットは、前記枢軸を中心とする回動軌跡の上で回動方向に離間した位置にそれぞれ切欠き状の開脚係止部と閉脚係止部を凹設し、開脚姿勢及び閉脚姿勢のそれぞれに対応して前記ロック作動手段を開脚係止部及び閉脚係止部に係止させるように構成されており、前記ロック作動手段は、前記支持部を貫通して先端部を天板の内部に挿入されると共に挿入方向と引出方向に移動自在に支持された軸体と、該軸体の前記支持部の外部に位置する部分に設けられたロック体を備えており、開脚姿勢及び閉脚姿勢のそれぞれに対応して、天板の側壁部の外側から前記軸体を操作することにより、挿入方向のロック位置に移動させたとき前記ロック体が開脚係止部及び閉脚係止部に係止して枢支ブラケットの回動を阻止し、引出方向のアンロック位置に移動させたとき前記ロック体が開脚係止部及び閉脚係止部から離脱して枢支ブラケットの回動を許すように構成されて成る点にある。
【0010】
本発明の好ましい実施形態において、前記枢支ブラケットは、枢軸を中心とする円弧ラインに関して、前記開脚係止部及び閉脚係止部を該円弧ラインから内周側に向けて凹設すると共に、両係止部の間に前記円弧ラインに沿う外周縁部を形成しており、前記ロック作動手段の軸体は、該軸体を挿入方向に弾発付勢するスプリングを設けると共に、前記支持部持部に臨まされる樹脂製の当接部材を前記ロック体(18)に隣接して設けており、前記軸体をアンロック位置に移動させた状態で、脚体と共に枢支ブラケットを回動したとき、前記当接部材が前記外周縁部の外側面に接して摺動するように構成されている。
【0011】
前記天板の支持部に設けられた補強材から前記ロック体に臨む庇部を設け、庇部により前記ロック体の外周面を抱持する保持手段を構成することが好ましく、更に、庇部は、前記軸体をロック位置に移動させたとき前記当接部材の外周面を覆い隠し、前記軸体をアンロック位置に移動させたとき前記当接部材の外周面を露出させるフード手段を構成することが好ましい。
【0012】
前記当接部材は、前記ロック体と相違する色又は形状により構成された警告手段を設けていることが好ましく、前記警告手段は、軸体をロック位置に移動したときは前記庇部により視認不能とされているが、軸体をアンロック位置に移動したときに前記庇部から露出して視認可能とされるように構成されている。
【0013】
前記軸体の天板の内部に挿入された軸部に確認表示手段を設け、前記軸体と平行に延びる天板の正面壁部に表示窓を設けていることが好ましく、前記確認表示手段と表示窓は、軸体をアンロック位置に移動したときは相互に位置ずれした状態で確認表示手段を視認不能とするが、軸体をロック位置に移動したときに確認表示手段を表示窓に臨ませることにより該表示窓を介して確認表示手段を視認可能とするように構成されている。
【0014】
更に本発明の好ましい実施形態において、前記天板は、前記軸体の下側を開放する開口部を形成し、前記軸体は、天板の内部に挿入された軸部にハンドル手段を設けており、前記開口部を介して前記ハンドル手段を移動することにより軸体をロック位置とアンロック位置の間で移動させるように構成している。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、脚体2を開脚姿勢P1及び閉脚姿勢P2としたときは、ロック作動手段13の軸体14を挿入方向Y1に向けてロック位置Qに移動させることにより、ロック体18を枢支ブラケット7の開脚係止部10及び閉脚係止部11に係止し、脚体2を回動不能にロックすることができ、脚体2を開脚姿勢P1と閉脚姿勢P2の間で回動するときは、軸体14を引出方向Y2に向けてアンロック位置Rに移動させることにより、ロックを解除することができ、このような軸体14を移動するための操作を天板1の側壁部1aの外側から行うことができるので、ユーザは、作業台の外部空間において、一方の手で軸体14を操作し、他方の手で脚体2を回動させることにより、作業を容易かつ安全に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の1実施形態に係る脚体のロック装置を設けた作業台に関して、開脚姿勢とした状態を示す斜視図である。
【
図3】天板の支持部と脚体の枢支ブラケットの関係について、(A)は開脚姿勢とされたときの状態を示す側面図、(B)は枢支ブラケットの開脚係止部及び閉脚係止部並びに外周縁部を示す側面図、(C)は閉脚姿勢とされたときの状態を示す側面図である。
【
図5】ロック装置の分解状態を拡大して示す斜視図である。
【
図6】ロック装置の分解状態とされた構成部品の断面を示す斜視図である。
【
図7】ロック装置の組付状態を示しており、(A)は断面図、(B)はロック体が開脚係止部に係止された状態を外側方から示す斜視図である。
【
図8】作用に関して、開脚姿勢とされた脚体をロック装置によりロックした状態を示す側面図である。
【
図9】(A)は
図8のA-A線断面図、(B)はロック体が開脚係止部に係止されている状態を示す拡大断面図である。
【
図10】作用に関して、脚体を開脚姿勢から閉脚姿勢に向けて回動しているときの状態を示す側面図である。
【
図11】(A)は
図10のB-B線断面図、(B)はロック体による係止が解除されている状態を示す拡大断面図である。
【
図12】作用に関して、閉脚姿勢にとされた脚体をロック装置によりロックした状態を示す側面図である。
【
図13】(A)は
図12のC-C線断面図、(B)はロック体が閉脚係止部に係止されている状態を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下図面に基づいて本発明の好ましい実施形態を詳述する。
【0018】
(作業台の構成)
図1及び
図2は、作業台の1例を示しており、平面上で相互に直交するX方向とY方向に関して、作業台は、Y方向を幅方向とするほぼ矩形の天板1に対して、X方向の端部に第1脚体2と第2脚体3を設けている。両脚体2(3)は、それぞれ、Y方向に離間して配置された一対の柱脚2a、2a(3a、3a)を桟部材2b(3b)により連結した梯子状に形成されている。図例の場合、第1脚体2は、桟部材2bにより踏桟が形成され、作業者が天板1に昇降するための昇降手段を構成している。
【0019】
第1脚体2の柱脚2a、2aの上端部と、第2脚体3の柱脚3a、3aの上端部は、それぞれ、天板1に対してY方向の軸線A1、A2の軸廻りに回動自在に枢結されており、第1脚体2の桟部材2bと第2脚体3の桟部材3bは、それぞれ、その間に配置されたリンクロッド4の両端部に対して軸線B1、B2の軸廻りに回動自在に枢結されている。
【0020】
これにより、第1脚体2及び第2脚体3と、天板1及びリンクロッド4は、概ね平行リンクを構成するので、
図1に示すように、天板1をほぼ水平姿勢として両脚体2、3を開いた開脚姿勢P1と、
図2に示すように、天板1の下側に第1脚体2及びリンクロッド4を重ね、更に第1脚体2に第2脚体3を重ねた閉脚姿勢P2とすることが可能となる。
【0021】
この際、脚体を開脚姿勢P1とした展開状態と、閉脚姿勢P2とした折畳状態において、姿勢を保持させるためのロック装置が設けられている。図例の場合、第1脚体2の柱脚2aと天板1の間にロック装置が設けられており、開脚姿勢P1及び閉脚姿勢P2とされたとき第1脚体2を回動不能にロックするように構成している。
【0022】
以上の構成は、本発明の1例であり、本発明は、図例の作業台の他、脚立や可搬式作業台等、種々の作業台に実施可能であり、ロック装置についても、図示のような第1脚体2に限らず、所望の脚体をロックする構成とすることが可能である。
【0023】
(ロック装置の実施形態)
図3ないし
図7に示すように、天板1は、アルミニウム等により成形された複数の型材を組合わせることにより形成されており、X方向に延びる側壁部1aと、第1脚体2に臨んでY方向に延びる正面壁部1bを備え、両壁部1a、1bの間には下側に開放する開口部5aを有する中空内部5が形成されている。尚、図例の場合、天板の側部フレームにより側壁部1aが形成されており、天板本体部の型材により正面壁部1bと上壁部1cが形成されている。
【0024】
そこで、天板1には側壁部1aを含む支持部6が形成され、該支持部6に対して、第1脚体2(以下、単に脚体2という。)の柱脚2aの上端部に固設された枢支ブラケット7が枢軸8により枢結されている。つまり、枢軸8により
図1の軸線A1が形成されている。図示実施形態の場合、前記支持部6は、天板1の側壁部1aに固設された固定支持ブラケット9により構成されている。
【0025】
従って、
図3に示すように、脚体2は、枢支ブラケット7と一体状態で、枢軸8の軸廻りに、
図3(A)に示す開脚姿勢P1と、
図3(C)に示す閉脚姿勢P2との間で回動自在とされている。そして、枢支ブラケット9の外周には、
図3(B)に示すように、枢軸8を中心とする回動軌跡を描く円弧ラインLの上で回動方向に角度θで離間した位置において、それぞれ切欠き状の開脚係止部10と閉脚係止部11が円弧ラインLから内周側に向けて凹設されており、両係止部10、11の間には、前記円弧ラインLに沿う外周縁部12が形成されている。
【0026】
この際、
図3(B)に矢印で示す固定支持ブラケット9の所定位置Mに関して、脚体2を開脚姿勢P1としたときに開脚係止部10が所定位置Mに臨まされ、脚体2を閉脚姿勢P2としたときに閉脚係止部11が所定位置Mに臨まされるように構成し、この所定位置Mにロック作動手段13を設けることにより、開脚係止部10及び閉脚係止部11を係止固定するように構成している。
【0027】
(ロック作動手段)
ロック作動手段13は、前記所定位置Mにおいて固定支持ブラケット9及び側壁部1aを貫通する軸支孔15aを挿通して天板1の中空内部5に挿入された頭付きのボルトから成る軸体14を備えている。軸体14は、天板1の中空内部5において上壁部1cに取付固定された軸支部材16の軸支孔15bに挿通され、孔15a、15bに保持された状態で挿入方向Y1と引出方向Y2に移動自在に支持されており、後述のようにロック位置Qとアンロック位置Rに移動させることにより、枢支ブラケット7のロックとアンロックを行うように構成している。
【0028】
軸体14は、前記頭部14aに臨むネジ付きの首部14bを備えており、軸支孔15aの外側方(固定支持ブラケット9の外部)に位置して、首部14bに対して、頭部14aに隣接する摘み体17と、分厚い円盤形状とされた金属製のロック体18と、厚手のワッシャ形状とされた樹脂製の当接部材19を順に外挿しており、首部14bから先端まで延びる軸部14cを後述のスペーサ21を介して前記軸支孔15bに挿通させ、天板1の中空内部5に挿入している。尚、ロック体18は、雌ネジ18aを設けることにより、首部14bに螺着することが好ましい。
【0029】
軸部14cの先端近傍部には可動体20が外挿されており、軸端部に螺着したナット20aにより固定されている。前記当接部材19と可動体20の間隔は、軸部14cに外挿された筒状のスペーサ21により保持され、該スペーサ21の両端にはそれぞれワッシャ22a、22bが配置されている。ワッシャ22a、22bは、それぞれ当接部材19の凹部19aと、可動体20の凹部20bに嵌合され、スペーサ21の両端に当接部材19及び可動体20を支持する。
【0030】
スペーサ21は、軸体14に外挿された状態で前記軸支孔15a、15bに摺動自在に挿通され、該スペーサ21に外挿したコイルスプリングから成るスプリング23を軸支部材16と可動体20の間に圧縮状態で介装している。
【0031】
このような構成により、
図7(A)に示すように、軸体14は、スプリング23により挿入方向Y1に弾発付勢され、当接部材19を固定支持ブラケット9の表面に当接した状態で停止させられており、この停止位置をロック位置Qとして、軸体14のロック体18を開脚係止部10又は閉脚係止部11に嵌合させることにより係止するように構成されている。
【0032】
そして、この状態から、ユーザが摘み体17を指先で把持することにより、軸体14をスプリング23に抗して引出方向Y2に移動させると、
図11に示すように、当接部材19が枢支ブラケット7の板厚を越えて外側方向に移動させられ、この位置をアンロック位置Rとして、ロック体18を開脚係止部10又は閉脚係止部11から離脱させることにより係止を解除するように構成されている。
【0033】
このように軸体14をアンロック位置Rに移動させた状態で、脚体2を回動すると、軸体14に向けて移動する枢支ブラケット7の外周縁部12の外側面に当接部材19が当接し、これにより、軸体14がスプリング23によりロック位置Qに戻ることを阻止する。従って、脚体2を回動している間、当接部材19は、外周縁部12の外側面に圧接された状態で摺動させられる。
【0034】
この点に関して、
図7(B)に示すように、固定支持ブラケット9は、外側面に重ねて固着された金属板製の補強材から前記ロック体18に臨む庇部24を設けている。庇部24は、前記ロック体18の外周面を抱持する保持手段24aを構成している。図示実施形態の場合、保持手段24aは、庇部24の先端縁部をロック体18の外周面に沿う円弧状に形成することにより構成され、ロック体18を外周側から保持している。即ち、
図8及び
図12に示すように、ロック体18は、開脚係止部10又は閉脚係止部11を係止した状態で、脚体2の回動方向の力を受けると、軸体14又はその軸支孔を損傷するおそれがある。このため、保持手段24aを設け、ロック体18を保持することにより、前記回動方向の力を支持するように構成することが好ましい。
【0035】
更に、前記庇部24は、軸体14をロック位置Qに移動させたとき前記当接部材19の外周面を覆い隠し、軸体14をアンロック位置Rに移動させたとき前記当接部材19の外周面を露出させるフード手段24bを構成することが好ましい。
図9及び
図13に示すように、軸体14をロック位置Qに移動させ、ロック体18を開脚係止部10又は閉脚係止部11に係止させたとき、当接部材19は固定支持ブラケット9の外側面に当接されており、このとき、当接部材19の外周面は、フード手段24bにより覆い隠されている。この状態から、軸体14をアンロック位置Rに移動させ、ロック体18を開脚係止部10又は閉脚係止部11から離脱させたとき、当接部材19は固定支持ブラケット9の表面から離反し、枢支ブラケット7を越えて外側方向に移動し、このとき、当接部材19の外周面は、フード手段24bの外部に露出させられる。
【0036】
これにより、ユーザが軸体14の操作中に、外部からの目視により、当接部材19が庇部24に隠れて視認できないときは軸体14がロック位置Qにあることを確認することができ、当接部材19が庇部24から外部に露出した状態で視認されるときは軸体14がアンロック位置Rにあることを確認することが可能となる。このようにして、当接部材19は、庇部24と協働することにより、外部から視認されるときはロックが解除されていることを知らせる警告手段25を構成している。従って、警告手段25は、当接部材19を目視によりロック体18から識別可能とするもの、例えば、ロック体18と相違する色又は形状により構成することができ、ユーザの注意を喚起するためには、赤色ないし朱色に着色することが好ましい。
【0037】
更に、前記可動体20には確認表示手段26が設けられ、天板1の正面壁部1aには表示窓27が開設されており、表示窓27を介して確認表示手段26を視認することにより、軸体14がロック位置Qにあるかどうかを確認できるように構成している。図示実施形態の場合、軸体14をアンロック位置Rに移動したとき、確認表示手段26が表示窓27から位置ずれして外部から視認不能とされ、軸体14をロック位置Qに移動したとき、確認表示手段26が表示窓27に臨まされ、外部から視認することができるように構成されている。これにより、ユーザは、表示窓27を介して確認表示手段26を視認することにより、軸体14がロック位置Qにあることを確認することができる。
【0038】
図示実施形態において、前記可動体20は、ユーザが手指により把持することができるハンドル手段28を設けている。これにより、ユーザが軸体14をロック位置Qからスプリング23に抗してアンロック位置Rに移動させる際、上述のように軸体14の摘み体17を把持して操作する作業方法の他に、天板1の開口部5aからユーザの手指を中空内部5に挿入し、ハンドル手段28を把持して操作する作業方法が可能になる。
【0039】
(作用)
図8及び
図9は、脚体2を開脚姿勢P1として、ロック体18を開脚係止部10に係止させることにより、脚体2を回動不能にロックした状態を示している。このとき、当接部材19は、固定支持ブラケット9の表面に当接することにより軸体14をロック位置Qに停止させており、しかも、当接部材19により構成された警告手段25は、庇部24の内部に隠れ、視認不能とされている。その一方において、
図9(A)に鎖線で示すように、可動体20の確認表示手段26が表示窓27に臨まされているので、ユーザは、確認表示手段26を視認することにより、軸体14がロック位置Qにあること、つまり、ロック体18が開脚係止部10に係止していることを確認することができる。
【0040】
図10及び
図11は、脚体2を開脚姿勢P1から閉脚姿勢P2に向けて回動しているときの状態を示している。ユーザは、上述のようにハンドル手段28を介して軸体14をロック位置Qからアンロック位置Rに移動させても良いが、天板1の側壁部1aないし固定支持ブラケット9(支持部6)の外側から、摘み体17を把持して軸体14を引出方向Y2に移動することにより、軸体14をアンロック位置Rに移動させ、ロック体18を開脚係止部10から離脱させることができる。このため、作業台の外部空間から、一方の手で摘み体17を把持して引出方向Y2に移動することによりロックを解除し、他方の手で脚体2を回動させることができる。脚体2の回動により、枢支ブラケット7の外周縁部12が当接部材19に重なる位置に移動するので、摘み体17を把持から解放すれば、スプリング23により挿入方向Y1に付勢された状態で、当接部材19が外周縁部12の外側面に圧接され、摺動させられる。
【0041】
この際、当接部材19は、合成樹脂により形成されているので、金属板により形成された枢支ブラケット7の外周縁部12を損傷することがなく、滑らかに摺動する。
【0042】
脚体2を閉脚姿勢P2となるまで回動すると、当接部材19が閉脚係止部11に臨まされるや否や、軸体14は、スプリング23により挿入方向Y1に向けてロック位置Qに移動されるので、ロック体18が閉脚係止部11に係止させられる。その際、ロック体18が正しく閉脚係止部11に嵌入されず、外周縁部12に引っ掛かっているときは、当接部材19により構成された警告手段25が視認可能な状態にあるので、ユーザに対してロックが不完全であることを知らせることができる。
【0043】
図12及び
図13は、脚体2を閉脚姿勢P2として、ロック体18を閉脚係止部11に係止させることにより、脚体2を回動不能にロックした状態を示している。上述の開脚姿勢P1の場合と同様に、当接部材19は、固定支持ブラケット9の表面に当接することにより軸体14をロック位置Qに停止させ保持しており、しかも、当接部材19により構成された警告手段25は、庇部24の内部に隠れ、視認不能とされている。その一方において、
図13(A)に鎖線で示すように、可動体20の確認表示手段26が表示窓27に臨まされているので、これを視認することにより、軸体14がロック位置Qにあること、つまり、ロック体18が閉脚係止部11にに係止していることを確認することができる。
【0044】
脚体2を閉脚姿勢P2から開脚姿勢P1となるように回動する場合は、上記と逆の方法で操作と作業を行えば良い。
【符号の説明】
【0045】
Y1 挿入方向
Y2 引出方向
A1、A2、B1、B2 軸線
P1 開脚姿勢
P2 閉脚姿勢
L 円弧ライン
M 所定位置
Q ロック位置
R アンロック位置
1 天板
1a 側壁部
1b 正面壁部
1c 上壁部
2 第1脚体
2a 柱脚
2b 桟部材
3 第2脚体
3a 柱脚
3b 桟部材
4 リンクロッド
5 中空内部
5a 開口部
6 支持部
7 枢支ブラケット
8 枢軸
9 固定支持ブラケット
10 開脚係止部
11 閉脚係止部
12 外周縁部
13 ロック作動手段
14 軸体
14a 頭部
14b 首部
14c 軸部
15a、15b 軸支孔
16 軸支部材
17 摘み体
18 ロック体
18a 雌ネジ
19 当接部材
19a 凹部
20 可動体
20a ナット
20b 凹部
21 スペーサ
22a、22b ワッシャ
23 スプリング
24 庇部
24a 保持手段
24b フード手段
25 警告手段
26 確認表示手段
27 表示窓
28 ハンドル手段