(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023068371
(43)【公開日】2023-05-17
(54)【発明の名称】便座装置
(51)【国際特許分類】
A47K 13/30 20060101AFI20230510BHJP
【FI】
A47K13/30 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021179416
(22)【出願日】2021-11-02
(71)【出願人】
【識別番号】390010168
【氏名又は名称】東芝ホームテクノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003063
【氏名又は名称】弁理士法人牛木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】横田 幸也
(72)【発明者】
【氏名】高木 均
(72)【発明者】
【氏名】三宅 一也
【テーマコード(参考)】
2D037
【Fターム(参考)】
2D037AA02
2D037AB01
2D037AD12
(57)【要約】
【課題】便器内の臭気を含んだ空気を効率よく排気することができる便座装置を提供する。
【解決手段】本発明の便座装置10は、便器1に設けた便座12の中央開口部12Aを開閉自在な便座蓋13と、中央開口部12Aに対応して便座蓋13に設けられた蓋排気口52と、便器1内の臭気を含んだ空気を蓋排気口52から便器1の外部に排気する排気装置51を備え、排気装置51の吸込口61を蓋排気口52に接続し、着脱手段により排気装置51を便座蓋13の上面13Aに装着する。排気装置51は、消臭手段,脱臭手段及び芳香手段の少なくとも一つを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器に設けた便座の中央開口部を開閉自在な便座蓋と、
前記中央開口部に対応して前記便座蓋に設けられた蓋排気口と、
前記便座蓋に設けられ、前記便器内の空気を前記蓋排気口から前記便器の外部に排気する排気装置とを備えることを特徴とする便座装置。
【請求項2】
前記排気装置は、前記便座蓋の上面に設けられる排気ケーシングを備え、
前記排気ケーシングは、前記蓋排気口に接続する吸込口と、排気口と、前記吸込口から吸い込んだ空気を前記排気口から排気する排気手段とを備えることを特徴とする請求項1記載の便座装置。
【請求項3】
前記排気装置は、消臭手段,脱臭手段及び芳香手段の少なくとも一つを備えることを特徴とする請求項1または2記載の便座装置。
【請求項4】
前記便座の下面側に着脱可能に設けられる樹脂製の便座用カバーを備えることを特徴とする請求項1~3のいずれか一つに記載の便座装置。
【請求項5】
機能部品を備え、前記便器に取付可能な本体と、
前記本体の下面側に着脱可能に設けられる樹脂製の本体用カバーとを備えることを特徴とする請求項1~3のいずれか一つに記載の便座装置。
【請求項6】
前記本体用カバーが前記本体の下面側で前記便器の便鉢に対向する位置に設けられていることを特徴とする請求項5記載の便座装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、便座蓋を備えた便座装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、便器内の臭気を処理するため、便器の後部に外郭ケースを取り付け、この外郭ケース内に、便器内に発生した臭気を吸気口から排気口へ導く脱臭ダクトを設け、前記脱臭ダクト内に、前記臭気を吸着・分解する脱臭カートリッジを配置した便座装置(例えば特許文献1)があり、前記外郭ケースの前側下面に前記吸気口が設けられている。
【0003】
また、便器に設けた便座の汚れを防止するため、便器内を覆うようにして便座に敷く紙製の汚れ防止シート(例えば特許文献2)や、中央に孔を有するシートを便器に敷くトイレシート(例えば特許文献3)がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004-337480号公報
【特許文献2】特開2007-274号公報
【特許文献3】特開2014-210163号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献1では、吸気口が便器の中央から離れているため、吸気効率に劣る面があり、また、外郭ケース内には洗浄ノズル装置などを配置するため、大容量のファンを内蔵することが難しいという課題があった。
【0006】
また、上述した特許文献2及び3は、いずれも便座の上面に敷く使い捨てのシートであるから、便座の下面の汚れを防止することができない。そして、便器に開閉可能に枢着した便座では、便座を開いて便座の下面の汚れを落とすことができるが、頑固にこびり付いた汚れを除去するには手間が掛かる。また、特許文献1のように、便器の後部に取り付けた外郭ケースの下面は、便器内に対向するため汚れ易い上に、汚れが見えないので、放置された場合、異臭の原因になっていた。
【0007】
そこで本発明は、便器内の臭気を含んだ空気を効率よく排気することができる便座装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の便座装置は、便器に設けた便座の中央開口部を開閉自在な便座蓋と、前記中央開口部に対応して前記便座蓋に設けられた蓋排気口と、前記便座の上面に設けられ、前記便器内の空気を前記蓋排気口から前記便器の外部に排気する排気装置を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の便座装置によれば、便器内の臭気を含んだ空気を効率よく排気することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の第1の実施形態において、便座装置の構成例を概略的に示す斜視図である。
【
図2】同上、便座装置を底面側から見た斜視図である。
【
図3】同上、便座に本体を取り付ける作業を説明する斜視図である。
【
図4】同上、便座蓋に装着した排気装置の断面図である。
【
図5】同上、便座蓋に装着した排気装置の側面図である。
【
図7】同上、(A)便座を開いた状態の便座装置の斜視図、(B)便座用カバーの底面図である。
【
図9】同上、本体用カバーを配置した状態の便座装置を底面側から見た斜視図である。
【
図10】同上、便座を開いた状態の便座装置と本体用カバーの斜視図である。
【
図11】同上、リモコンの平面図及び正面図である。
【
図12】同上、本体の電気的な構成例を示すブロック図である。
【
図13】同上、リモコンの電気的な構成例を示すブロック図である。
【
図14】本発明の第2の実施形態において、排気装置の構成例を示すブロック図である。
【
図15】本発明の第3の実施形態において、便座装置の構成例を概略的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の好ましい便座装置の第1の実施形態について、添付の図面を参照しながら説明する。
【実施例0012】
図1~
図12は、本発明の第1の実施形態における便座装置を示している。
図1は、トイレ室S内の便器1周辺に設置される便座装置10の一構成例を示している。
図2は、便座装置10の本体11と便座12と便座蓋13を下側(底面側)から見た斜視図である。便器1は、排泄物を受ける上面を開口した凹状のボウル部2を有し、このボウル部2が便器1の内面を形成する。なお、ボウル部2が便器1の便鉢である。便座12は平面視で略O型をなし、便座蓋13は、便座12を覆い、便座12の中央開口部12Aを開閉可能な形状をなす。便座装置10の本体11は、便器1の後部に位置する便器後部3の上面に着脱可能に固定される。本体11とは別体で、トイレ室S内の例えば側壁には、便座装置10の遠隔操作体として略矩形状のリモコン14が着脱可能に配設される。
【0013】
本体11は、本体主部となる中空なケーシング15を備え、このケーシング15は、便器1の便器後部3の上面に取付固定される本体下面部16と、この本体下面部16の上面を覆い下面が開口したケーシング上部17と、により合成樹脂製の外郭部材が構成される。ケーシング15には、何れも合成樹脂製の便座12と便座蓋13が回動可能に取り付けられており、便座蓋13は便座12の中央開口部12Aが開閉自在なものであって、
図1に示すように便座蓋13を開けた状態で、便座12を便器1側に倒すことで、使用者(図示せず)は便座12に臀部を載せて着座することができる。
【0014】
便座12の下面には、使用位置である便座12を便器1側に倒したときに、便器1の上面に直接当接する凸状の便座脚部18が、複数個間隔を開けて配設され、この例では前側左右と後側左右の4箇所に配置されている。便座脚部18の一つには、着座検知手段となる機械式の着座スイッチ19が内蔵されており、便座脚部18が便器1に当接して着座スイッチ19が押されるか否かによって、使用者が便座12に着座したのか否かを検知できる。なお、着座スイッチ19は、中央前側左右一方の便座脚部18に設けられている。
【0015】
21は、ケーシング15の側部に設けられた本体操作部である。本体操作部21は、例えばおしりボタンやビデボタンなどの洗浄ボタンと、止ボタンを含む各種の操作ボタンを含み、これらの操作ボタンを介して使用者の操作が入力される。また、22は、ケーシング15の上部に設けられた本体表示部である。本体表示部22は、例えば電源ランプや、脱臭ランプや、節電ランプや、便座ランプなどの表示ランプを含み、これらの表示ランプの表示形態により便座装置10の各部の動作状態を使用者に知らせるようになっている。ケーシング15の上部には、リモコン14からの赤外線信号を受信するリモコン受光部23が、本体表示部22と並んで配設される。
【0016】
ケーシング15の前方下部には、いわゆる可動式の洗浄ノズル25が設けられる。ノズル装置に相当する洗浄ノズル25は、本体11の前後方向に沿って直線的に延びる筒状をなしており、本体11の前後方向に沿って往復移動可能に配設される。洗浄ノズル25の先端部周面には、洗浄ノズル25を便座12の下方から突出した位置に前進させたときに、便座12に着座する使用者の局部に向けて洗浄液が無駄なく噴出するように、一個乃至複数個の噴出口(図示せず)が設けられる。また、ケーシング15の底部をなす本体下面部16には、洗浄ノズル25を便座12の下方位置に後退させたときに、ケーシング15内に収容した洗浄ノズル25を保護するために、本体11の下方に向けて凸状のノズルガード26が一体に形成される。洗浄ノズル25の材料は、清潔性を維持するためにステンレス製とするのが好ましいが、それ以外の材料であっても構わない。また、本実施形態では何れも図示しないが、使用者の第1局部に洗浄液を噴出するおしり洗浄ノズルと、使用者の第1局部とは異なる第2局部に洗浄液を噴出するビデ洗浄ノズルと、により洗浄ノズル25が構成される。おしり洗浄ノズルとビデ洗浄ノズルは、同一軸または別々な軸に沿ってそれぞれが可動する。このように便座装置10は洗浄ノズル25を備えた洗浄便座装置である。
【0017】
28は、洗浄ノズル25に近接してケーシング15の内部に設けられた噴出装置である。噴出装置28は、便器1のボウル部2に向けて洗浄液が噴出するように、ケーシング15の前方底部に一個乃至複数個の噴出口29が配設される。洗浄ノズル25や噴出装置28に水道水を供給するために、ケーシング15の後方側部には、トイレ室Sに予め設置された止水栓(図示せず)に連通する本体吸水口32が設けられる。洗浄ノズル25と噴出装置28は、本体吸水口32から供給される液体としての水道水をそのまま、若しくは水道水から生成された除菌水を洗浄液として噴出する。水道水から除菌水を生成するために、ケーシング15の内部に除菌装置(図示せず)をさらに組み込んでもよい。
【0018】
その他、ケーシング15には便器1内の臭気を低減除去するために、脱臭ユニット34が内蔵される。脱臭ユニット34は、便器1の上面に対向してケーシング15の前方下面に設けた本体側吸込口35と、ケーシング上部17の後部に設けた排気口36との間の脱臭用通路(図示せず)に、脱臭フィルタ37と脱臭ファン38(
図12を参照)をそれぞれ配設して構成される。脱臭フィルタ37は、排気口36に臨んでケーシング15の内部に着脱可能に設けられ、必要に応じて新しい脱臭フィルタ37に交換できる。脱臭ファン38は脱臭フィルタ37と前記本体側吸込口35との間に配設され、脱臭ファン38が動作している間は、便器1内の臭気を前記本体側吸込口35から吸い込んで脱臭フィルタ37へ強制的に送り出し、ここで臭気を取り除いて排気口36から臭気を低減した空気を排出させる。
【0019】
図2に示すように、本体下面部16には、取付凹部41が上方に凹んで設けられ、この取付凹部41は、左右に比べて中央部41Tが後側に位置するように後側に突出した前縁部41Aと、この前縁部41Aの左右端部から後側に向かって形成された左,右縁部41L,41Rを備え、これら左,右縁部41L,41Rの後端間に後開口部42を有する。
図3に示すように、便器後部3の上面に、本体11を固定するための固定プレート43を固定し、この固定プレート43に取付凹部41の後開口部42を合わせ、本体11を後方にスライドして取付凹部41に固定プレート43を嵌入することにより、便器後部3に本体11が固定され、逆に、本体11を前方にスライドして取付凹部41から固定プレート43を抜き取ることにより、便器後部3から本体11を取り外すことができる。このように便器後部3は、本体11を取り付ける便器1の取付部分である。なお、
図3では排気装置51を図示省略している。
【0020】
図8に示すように、便座12の後部には、便座12の下面から上方に立ち上がる左右方向の後面部45が設けられ、この後面部45の左右には、軸取付部46,46が後方に突設されており、
図7(A)に示すように、軸取付部46,46の左右方向内側に突出した軸部47,47が、本体11に回動可能に連結され、便座12が軸部47,47を中心に開閉する。なお、便座12の後面部45は、閉成状態で、ケーシング15の前面対向面たる上部前面部17Aに隙間を介して対向する。
【0021】
便器1における異臭は、便器1内のボウル部2に一時的に溜まった排泄物が要因であるが、従来の脱臭手段による脱臭吸引口は、便器1のボウル部2の排泄物が溜まる部分から離れており、十分に脱臭吸引ができない課題がある。また、排泄物が溜まる部分に対向させて脱臭吸引口を設けた場合、使用時に排泄物が付着するため、異臭の吸引効果が十分に引き出せないことがあり、吸引力を高めるために吸引ファンの回転数を高めれば、騒音が大きくなる問題もある。脱臭吸引口を洗浄ノズルのように伸縮可能にすることも可能ですが、脱臭吸引口の面積は限られ、十分な脱臭性能が確保できない課題がある。
【0022】
そこで、便座装置10は、
図4~
図6に示すように、便座蓋13の上面13A側に配置する排気装置51を備え、この排気装置51は、便座蓋13の中央に穿設した蓋排気口52から便器1のボウル部2内の空気を外部に排気する。蓋排気口52は、閉めた状態の便座12の中央開口部12Aに対応する位置で、ボウル部2に対向するボウル部2の中央に位置する。排気装置51は、前後方向に長い中空な合成樹脂製の排気ケーシング53を備え、この排気ケーシング53は断面略角形で、便座蓋13の上面13Aの前後方向の湾曲形状に対応した形状をなす。
【0023】
排気ケーシング53は上下に分割した排気ケーシング上部54と排気ケーシング下部55とからなり、排気ケーシング下部55に排気ケーシング上部54が着脱手段56により着脱可能に設けられる。着脱手段56は、排気ケーシング上部54の前後左右に係止部たる係止爪部57を下向きに設け、この係止爪部57が着脱可能に係止する係止受部たる係止溝部58を、排気ケーシング下部55の側面に設けてなる。従って、係止溝部58に係止爪部57を係止することにより排気ケーシング上部54と排気ケーシング下部55が両者の接合箇所53Aにて一体化され、左右の係止爪部57,57を開くように操作して係止溝部58から係止爪部57を外すことにより、排気ケーシング上部54と排気ケーシング下部55とに分解することができる。
【0024】
排気ケーシング53の後側下面には、前記蓋排気口52に嵌入する筒状の吸込口61が設けられ、また、排気ケーシング53の前面には排気口62が設けられ、排気ケーシング53内の内部通路63により前側の吸込口61と後側の排気口62が連通する。また、排気ケーシング53には排気手段64が設けられ、この排気手段64は、前記内部通路63に配置された送気手段たるファン65と、このファン65を駆動するモータなどを備えた駆動手段66を有する。ファン65として、遠心ファンを用いており、吸込口61からファン65の中央内に吸引した空気を、ファン65の外周から噴き出して前記排気口62に圧送する。
【0025】
前記排気ケーシング53の排気口62には、いずれも臭気処理手段である消臭手段,脱臭手段及び空気を良い香りにする芳香手段の少なくとも一つが設けられ、これら臭気処理手段のいずれか二つを設けたり、三つを設けたりすることができ、この例では脱臭手段として脱臭フィルタ67が設けられている。この脱臭フィルタ67は、排気口62に臨んでケーシング15の内部に着脱可能に設けられ、排気口62から脱臭フィルタ67を前側に取り外し、前側から排気口62内に脱臭フィルタ67を装着することができ、必要に応じて新しい脱臭フィルタ67や他の臭気処理手段に交換できる。なお、排気ケーシング下部55から排気ケーシング上部54を取り外し、排気ケーシング53内部の臭気処理手段を交換してもよい。また、臭いを処理する臭気処理手段は、電源を用いるものでもよく、例えば、プラズマやオゾンを用いる脱臭手段や光触媒式脱臭手段でもよい。
【0026】
排気装置51を前記便座蓋13の上面13Aに着脱自在に取り付ける取付手段68を備える。この取付手段68は、便座蓋13の上面13Aに係止部たる複数の嵌合爪部69を突設し、この嵌合爪部69が係止する係止受部たる上向き段部70を、前記排気ケーシング53の側面に形成し、また、便座蓋13の上面13Aに係止部たる複数の嵌合爪部69Aを突設し、この嵌合爪部69Aが係止する係止受部たる上向き段部70Aを、排気ケーシング下部55の後面55Aから後側に突出した取付部59の左右に形成している。そして、それら嵌合爪部69,69Aを上向き段部70,70に係止することにより、蓋排気口52に吸込口61が位置合わせされた状態で、排気ケーシング53が便座蓋13に取り付けられる。この場合、筒状の吸込口61を除いた排気ケーシング53のケーシング本体が、便座蓋13の上面側に位置する。また、左右の嵌合爪部69,69及び左右の嵌合爪部69A,69Aを開くように操作すれば、便座蓋13から排気ケーシング53を取り外すことができる。なお、排気ケーシング53の排気ケーシング下部55を取付手段68により便座蓋13に取り付けた状態で、排気ケーシング上部54のみを取り外すこともできる。
【0027】
次に、排気装置51による便器1内の臭気の処理について説明する。便座12と便座蓋13を閉じた状態でファン65を駆動すると、臭気を含む空気が、便器1のボウル部2の中央上方に位置する吸込口61から排気ケーシング53内に吸引され、脱臭フィルタ67を通って脱臭された状態で外部に排気される。このように便座蓋13の上面13Aに排気装置51を装着し、使用者は便座蓋13を開いて便器1を使用するから、使用時に排気装置51に排泄物が付着することがない。また、洗浄ノズルのように本体11に吸込口を伸縮可能にすることも可能であるが、この場合、吸込口の開口面積が制限され、十分な吸込性能が確保できないのに対して、便座蓋13に排気装置51を設けたから、本体11に設ける場合に比べて、スペースの制限がなく、吸込口61を大きくでき、大型のファンの使用も可能となる。
【0028】
便座12では、下面に頑固にこびり付いた汚れを除去するには手間がかかり、また便器1の奥側に対し固定的に設置された便座装置10の本体11の下面側は、直に便器1内と対向し汚れ易く、便器1に固定されているため、汚れの付着が見えず、また汚れを容易に除去することができない。汚れが見えないので、放置された場合に異臭の原因になる。また、便座12には布製便座カバーを装着し、汚れた布製便座カバーは便座12から外して廃棄するか、洗濯して使用可能であるが、便座12の下面側には、例えば、着座スイッチや便座クッションなど、直に便器1に当接することで機能する部品を設けている場合があり、この機能部品をも布製便座カバーで覆って使われることから生じる不具合が想定される。
【0029】
そこで、
図7及び
図8に示すように、便座12の下面には便座用カバー71が着脱可能に設けられる。この便座用カバー71は、合成樹脂製、例えばポリプロピレン(PP)製の厚さ0.2~0.5mm程度の抗菌性を有するシート材からなり、保形性を有し、便座12の下面形状に倣って形成され、便座12の下面に密着する。また、
図8に示すように、便座用カバー71の後部には、前記後面部45を覆う後面覆い部71Aが一体に設けられている。この場合、後面覆い部71Aを有する便座用カバー71は、真空成型により便座12の下面に着脱可能な形状に成形される。
【0030】
便座12には、便器1に接することで機能する部品として前記便座脚部18が設けられている。便座用カバー71には、この便座脚部18に対応して、開口部たる孔72が設けられており、孔72に便座脚部18を挿入し、便座12に便座用カバー71を取り付けた状態で、便座脚部18の下面が便座12に当接可能となり、着座スイッチ19が正しく作動する。また、便座脚部18の下面がゴム製などからなり、その下面が便座12の合成樹脂に比べて摩擦係数が高い場合は、便座脚部18が便器1に直接当接することにより滑り止め効果を確保することができる。
【0031】
便座12を開いた状態で前記便座12の下面に便座用カバー71を着脱可能に取り付ける取付手段74を備える。この取付手段74は、磁力によるシート状の吸着手段たるマグネットシート75と、このマグネットシート75が吸着するシート状の被吸着部材76とを備え、マグネットシート75と被吸着部材76の一方であるマグネットシート75を便座12の下面の左右と後部中央に設け、これら左右と後部中央のマグネットシート75,75,75に対応して、便座用カバー71の上面にシート状の被吸着部材76を設けている。また、マグネットシート75は、前後の便座脚部18,18の間の位置に設けられている。被吸着部材76はマグネットシート75が吸着する磁性を有する部材が用いられ、被吸着部材76もマグネットシートにしても良い。この場合、マグネットシート75が被吸着部材76に吸着し、さらに、複数の孔72に便座脚部18を挿入することにより、便座12の下面に便座用カバー71を位置決め状態で取り付けることができ、複数の孔72により便座12の下面への便座用カバー71の位置合わせが容易になる。
【0032】
図8及び
図9に示すように、本体11の本体下面部16の下面と便器後部3の上面との間の隙間80には、本体用カバー81が着脱可能に設けられる。この本体用カバー81は、合成樹脂、例えばポリプロピレン製の厚さ0.2~0.5mm程度の抗菌性を有するシート材からなり、略平板状で保形性を有し、本体11の前側から前記隙間80に差し入れて、本体11の本体下面部16に装着される。
【0033】
本体用カバー81は、本体11の下面側で少なくとも便器1のボウル部2に対向する位置に設けられている。即ち、本体用カバー81は、少なくともボウル部2の上面開口部2Aに対向する対向部分82を覆うように設けられ、その前側縁部81Fは前記湾曲前面部11Aの平面形状と略同一形状をなし、前側縁部81Fを湾曲前面部11Aに位置合わせした状態で、本体11と本体下面部16との間の隙間80に挿入する挿入部分83を有する。なお、前記対向部分82は、前側縁部81Fと
図9で上面開口部2Aを示す一点鎖線とに囲まれた部分であり、上面開口部2Aの外側が隙間80に差し入れる挿入部分83である。上述したように取付凹部41には固定プレート43が嵌入するから、取付凹部41には本体用カバー81は設けられておらず、本体用カバー81は、本体11の便器1に固定する箇所には設けられない形状を有する。
【0034】
前記噴出口29及び前記本体側吸込口35は便器1内に連通することにより機能する部品であり、前記噴出口29及び前記本体側吸込口35に対応して、本体用カバー81に、前側縁部81Fを切り欠いた切欠き状の開口部84,84Aを設け、これら開口部84,84Aにより噴出口29及び本体側吸込口35が露出してボウル部2内に対向する。前記ノズルガード26は、便器1内に臨んだ位置に設けられ、本体下面部16の下面から突出する部分であり、この突出する部分に対応して、前記開口部84を大きく形成し、この開口部84により噴出口29とノズルガード26が便器1内に連通する。即ち、開口部84内にノズルガード26と噴出口29が収納され、開口部84Aに前記本体側吸込口35が収納される。また、ノズルガード26がない場合は、洗浄ノズル25が便器1内に連通することにより機能する部品であり、伸縮する洗浄ノズル25が本体用カバー81に当たらないように、本体用カバー81に開口部を設ければよい。
【0035】
本体用カバー81の前側縁部81Fには、複数の位置決め部86,86が一体成形により設けられており、それら板片状の位置決め部86,86は上方に突出形成され、前記開口部84,84A以外の位置に配置されている。位置決め部86,86は、本体11の被当接部たる湾曲状の前面部11Aに当接して本体下面部16に対する本体用カバー81の前後の位置決めを行うものであり、本体用カバー81の後方への位置ずれを防止することができる。また、交換などの際に、位置決め部86,86に指をかけて本体用カバー81を引き抜くこともできる。
【0036】
次に、両カバー71,81の使用方法について説明する。
図7(A)に示すように、便座12を前側に倒して開き、便座脚部18に孔72を合わせ、便座蓋13の下面に便座用カバー71を重ね合わせると、被吸着部材76にマグネットシート75が吸着し、便座蓋13に便座用カバー71が固定される。使用により便座用カバー71が汚れた場合は、便座用カバー71を取り外すことにより、簡単に汚れを落とすことができ、汚れを落とし、繰り返し便座用カバー71を便座12に取り付けて使用することができる。また、便座12には、便器1に接することで機能する部品として便座脚部18が設けられているが、この便座脚部18に対応して便座用カバー71に孔72を設けたから、前記部品の機能を損なうことがない。
【0037】
図10に示すように、便座12及び便座蓋13を後側に倒して開けた状態で、本体用カバー81を便座12の上面に重ねるようにして沿わせ、後側に移動して挿入部分83を隙間80に挿入し、前側縁部81Fを湾曲前面部11Aに位置合わせして本体11の下面に本体用カバー81を装着する。これにより少なくとも、本体11の本体下面部16の対向部分82が本体用カバー81により覆われ、また、開口部84により噴出口29及び本体側吸込口35が露出してボウル部2内に対向する。逆に、本体用カバー81を手前に引き出すようにして取り外し、外した本体用カバー81の汚れを落とすことができ、汚れを落として、本体用カバー81を繰り返し使用することができる。本体下面部16のボウル部2に対向する対向部分82は通常の使用時には見えない部分であり、この部分を本体用カバー81により覆うことにより、長期間放置され、異臭の原因となっていた部分の汚れを防止することができる。
【0038】
本体11のケーシング15及び便座12は合成樹脂製で構成されており、こびり付いた排泄物の汚れは容易に除去できないが、カバー71,81は汚れが付着しても剥離性が高いポリプロピレン製のシート材からなり、しかも着脱可能であるから、カバー71,81を外して容易に清掃することができる。また、紙製シートなどに比べて、合成樹脂製の便座用カバー71及び本体用カバー81は、便座12の下面及び本体11の下面に密着する形状を有するから、輸送時などに便座用カバー71及び本体用カバー81を便座12及び本体11に取り付けて運搬することにより、耐衝撃性を向上することもできる。
【0039】
図11は、リモコン14の外観構成を示したものである。同図において、リモコン14は、その正面と上面に複数のボタン91-1~91-16を配置したリモコン操作部91と、リモコン14の正面に複数のランプ92-1~92-3を配置したリモコン表示部92と、をそれぞれ備えている。リモコン操作部91は、止ボタン91-1と、おしりボタン91-2と、ビデボタン91-3と、ムーブボタン91-4と、をリモコン14の正面上部に並べて配置し、ノズル位置調節用の前ボタン91-5及び後ボタン91-6と、水勢調節用の弱ボタン91-7及び強ボタン91-8と、温水温度調節ボタン91-9と、便座温度調節ボタン91-10と、をリモコン14の正面下部に並べて配置し、節電1ボタン91-11と、節電2ボタン91-12と、ミストボタン91-13と、本体11の脱臭ボタン91-14と、ノズル掃除ボタン91-15と、便座蓋13の排気ボタン91-16と、をリモコン14の上面に並べて配置して構成される。またリモコン表示部92は、複数個の水勢ランプ92-1を水勢調節ボタン91-7,91-8の上部に配置し、複数個の温水温度ランプ92-2を温水温度調節ボタン91-9の上部に配置し、複数個の便座温度ランプ92-3を便座温度調節ボタン91-10の上部に配置して構成される。なお、
図11に示すリモコン操作部91やリモコン表示部92の配置構成は一例に過ぎず、便座装置10の仕様に応じて適宜変更、追加、削除が可能である。
【0040】
次に、便座装置10の制御系を含む電気的な構成例について説明する。
図12は、本体11の電気的な構成例を示しており、図中の制御手段101は、例えば演算制御装置としてのマイクロコンピュータや、記録媒体となるメモリや、アナログ/デジタル変換用の入出力インターフェースなどを主体として構成され、ケーシング15の内部に実装して本体11及び排気装置51の動作全般を制御する。制御手段101の入力ポートには、本体操作部21と、着座スイッチ19と、リモコン受光部23がそれぞれ電気的に接続され、制御手段101の出力ポートには、本体表示部22や脱臭ファン38の他に、温水ヒータ102と、便座ヒータ103と、給水ポンプ104と、切替弁105と、第1モータ部106と、排気装置51の排気手段64がそれぞれ電気的に接続される。なお、制御手段101の出力ポート及ぶ入力ポートと排気装置51の排気手段64とは電気ケーブル60により電気的に接続され、その電気ケーブル60は便座蓋13の上面13Aに固定されて配線されている。なお、
図12において、着座スイッチ19及び排気手段64以外のものは本体11に設けられている。
【0041】
温水ヒータ102は、洗浄ノズル25に供給する水道水を温める液体加温手段に相当するもので、例えばケーシング15の内部で、洗浄ノズル25に通じる給水通路に線状ヒータを配置して構成される。便座ヒータ103は、便座12を温める便座加温手段に相当するもので、例えば便座12の内部で、金属製のシート部材に線状ヒータを蛇行状に配置して構成される。給水ポンプ104は、洗浄ノズル25や噴出装置28に供給する水道水を供給するための給液手段に相当するもので、例えばケーシング15の内部に組み込まれたモータを駆動源とする脈動ポンプにより構成される。切替弁105は、給水ポンプ104から送り出された水道水を、洗浄ノズル25(おしり洗浄ノズルまたはビデ洗浄ノズル)または噴出装置28の何れかに供給する切替手段に相当する。第1モータ部106は、本体11から洗浄ノズル25を所望の位置に移動させるための第1駆動機構に相当するもので、本実施形態では一乃至複数個のモータを駆動源として、おしり洗浄ノズルとビデ洗浄ノズルをそれぞれ所望の位置に移動させる構成となっている。
【0042】
制御手段101の入力ポートに蓋センサ108(
図12を参照)を電気的に接続し、制御手段101の出力ポートに第2モータ部110を電気的に接続している。蓋センサ108は、便座蓋13が開いたのを検知する蓋開検知手段として、便座蓋13の軸部109,109に配設され、便座蓋13は軸部109,109を中心として本体11に回動可能に設けられる。このように便器1に取り付けた本体11に便座蓋13を回動可能に軸支することにより、便器1に便座蓋13を開閉自在に設けている。また第2モータ部110は、噴出装置28を所望の位置に移動させるための第2駆動機構に相当するもので、一個のモータを駆動源として、噴出装置28の特に噴出口29を所望の位置に移動させる構成となっている。
【0043】
制御手段101は、本体操作部21やリモコン受光部23からの各操作信号と、着座スイッチ19や変形例では蓋センサ108からの各検知信号に基づいて、本体表示部22に表示用の制御信号を出力し、また脱臭ファン38,65と、温水ヒータ102と、便座ヒータ103と、給水ポンプ104と、切替弁105と、第1モータ部106と、第2モータ部110に駆動用の制御信号をそれぞれ出力する機能を有する。こうした機能は、制御手段101が前述の記録媒体となるメモリに記録したプログラムを、演算制御装置で読み取ることにより実現するが、特に本実施形態では、制御手段101を加温制御部111と洗浄制御部112と脱臭制御部113として主に機能させるプログラムを備えている。
【0044】
加温制御部111は、便座装置10の加温手段となる温水ヒータ102や、便座ヒータ103の動作をそれぞれ制御するものである。具体的には加温制御部111は、通常モードで使用者が便座12に着座したか否かに関係なく、洗浄ノズル25から噴出する洗浄液が、制御手段101のメモリに記憶設定される温水温度に加温されるように、温水ヒータ102へ適切な制御信号を送出し、それとは別に便座12がメモリに記憶設定される便座温度に加温されるように、便座ヒータ103へ適切な制御信号を送出する。また加温制御部111は、リモコン操作部91の温水温度調節ボタン91-9が押動操作され、その操作信号がリモコン受光部23で受信されるたびに、メモリに記憶設定される温水温度を、「切」→「低」→「中」→「高」→「切」の順に段階的に調節変更し、リモコン操作部91の便座温度調節ボタン91-10が押動操作され、その操作信号がリモコン受光部23で受信されるたびに、メモリに記憶設定される便座温度を、「切」→「低」→「中」→「高」→「切」の順に段階的に調節変更する。ここで加温制御部111は、温水温度調節ボタン91-9への手動操作で「切」状態、すなわちメモリに温水温度が設定記憶されない状態となった場合には、温水ヒータ102への通電を停止するようにし、洗浄ノズル25からの洗浄液の加温を停止させる。同様に、便座温度調節ボタン91-10への手動操作で「切」状態、すなわちメモリに便座温度が設定記憶されない状態となった場合には、便座ヒータ103への通電を停止するようにし、便座12の加温を停止させる。
【0045】
その他に加温制御部111は、リモコン操作部91の節電1ボタン91-11が押動操作され、その操作信号がリモコン受光部23で受信されるたびに、便座ヒータ103の動作を上述した通常モードと節電第1モードの何れかに切替え、リモコン操作部91の節電2ボタン91-12が押動操作され、その操作信号がリモコン受光部23で受信されるたびに、便座ヒータ103の動作を上述した通常モードと節電第2モードの何れかに切替える機能を有する。加温制御部111は、節電1ボタン91-11により節電第1モードが設定されると、温水温度調節ボタン91-9でメモリに記憶設定される通常の便座温度に関係なく、温水温度調節ボタン91-9で設定可能な通常のどの便座温度よりも低い節電用の便座温度を自動的に設定し、使用者が便座12に着座したことを着座スイッチ19が検知すると、便座12が設定された通常の便座温度となるまで便座ヒータ103を通電させるように、便座ヒータ103へ適切な制御信号を送出する一方で、使用者が便座12から立ち上がるなどして、便座12に着座していないことを着座スイッチ19が検知すると、便座12が節電用の便座温度となるように、便座ヒータ103へ適切な制御信号を送出する。こうして節電第1モードでは、使用者が便座12に着座していない場合に、便座12が節電用の便座温度となるように便座ヒータ103の動作を制御することで、便座ヒータ103への通電時間を短くして節電効果を得ることができる。
【0046】
また加温制御部111は、節電2ボタン91-12により節電第2モードが設定されると、節電第2モードを設定してから第1時間(例えば8時間)が経過するまでは、温水ヒータ102及び便座ヒータ103への通電を停止するようにし、第1時間が経過してから次の第2時間(例えば16時間)が経過するまでは、洗浄ノズル25から噴出する洗浄液が設定された温水温度となるように温水ヒータ102を通電させると共に、便座12が設定された便座温度となるように便座ヒータ103を通電させ、それ以降は節電2ボタン91-12により節電第2モードから通常モードに設定が切替わるまで、第1時間の動作と第2時間の動作を繰り返す。但し、使用者が便座12に着座したことを着座スイッチ19が検知すると、第1時間中であっても洗浄ノズル25から噴出する洗浄液が設定された温水温度となるように温水ヒータ102を通電させると共に、便座12が設定された便座温度となるように便座ヒータ103を通電させる。これにより、例えば就寝前に節電第2モードを設定すると、夜間あまり使用しない時間帯に使用者が便座12に着座しない限り、温水ヒータ102と便座ヒータ103への通電を停止させて、節電効果を得ることができる。
【0047】
洗浄制御部112は、便座装置10の洗浄手段となる給水ポンプ104や、切替弁105や、第1モータ部106や、第2モータ部110の動作をそれぞれ制御するものである。具体的には洗浄制御部112は、使用者が便座12に着座しているのを着座スイッチ19が検知している期間中に、本体操作部21の止ボタンやおしりボタンやビデボタンと、リモコン操作部91の止ボタン91-1やおしりボタン91-2やビデボタン91-3からの操作入力を受け付け、この着座期間中に本体操作部21のおしりボタンや、リモコン操作部91のおしりボタン91-2が押動操作されると、洗浄ノズル25の中のおしり洗浄ノズルが、便座12の下方の後退した位置から突出した位置に前進するように、第1モータ部106を動作させ、給水ポンプ104から送り出される洗浄液としての水道水をおしり洗浄ノズルに供給して、おしり洗浄ノズルの噴出口から設定した水勢(圧力)で使用者の第1局部に向けて水道水が噴出するように、給水ポンプ104と切替弁105の動作をそれぞれ制御する。また洗浄制御部112は、上述した着座期間中に本体操作部21のビデボタンや、リモコン操作部91のビデボタン91-3が押動操作されると、洗浄ノズル25の中のビデ洗浄ノズルが、便座12の下方の後退した位置から突出した位置に前進するように、第1モータ部106を動作させ、給水ポンプ104から送り出される水道水をビデ洗浄ノズルに供給して、ビデ洗浄ノズルの噴出口から設定した水勢で使用者の第2局部に向けて水道水が噴出するように、給水ポンプ104と切替弁105の動作をそれぞれ制御する。さらに洗浄制御部112は、使用者が便座12に着座した状態で、おしり洗浄ノズルから噴出する水道水により使用者の第1局部を洗浄しているおしり洗浄中や、ビデ洗浄ノズルから噴出する水道水により使用者の第2局部を洗浄しているビデ洗浄中に、本体操作部21の止ボタンや、リモコン操作部91の止ボタン91-1が押動操作されると、おしり洗浄ノズルやビデ洗浄ノズルからの水道水の噴出が停止するように、給水ポンプ104の動作を停止させ、おしり洗浄ノズルやビデ洗浄ノズルが後退した位置に戻るように、第1モータ部106の動作を制御する。
【0048】
洗浄制御部112は上述したおしり洗浄中やビデ洗浄中に、リモコン操作部91のムーブボタン91-4や、前ボタン91-5や、後ボタン91-6からの操作入力を受け付ける。例えば、おしり洗浄中にムーブボタン91-4が押動操作されると、洗浄制御部112はおしり洗浄ノズルが所定の範囲で前後に連続して移動するムーブ洗浄を行なうように、第1モータ部106の動作を制御する。同様に、ビデ洗浄中にムーブボタン91-4が押動操作されると、洗浄制御部112はビデ洗浄ノズルが所定の範囲で前後に連続して移動するムーブ洗浄を行なうように、第1モータ部106の動作を制御する。これにより、使用者の第1局部や第2局部を広範囲に洗浄することができる。
【0049】
また、おしり洗浄中に前ボタン91-5が押動操作されると、洗浄制御部112はおしり洗浄ノズルの位置をそれまでよりも前方に移動させるように、第1モータ部106の動作を制御し、おしり洗浄中に後ボタン91-6が押動操作されると、洗浄制御部112はおしり洗浄ノズルの位置をそれまでよりも後方に移動させるように、第1モータ部106の動作を制御する。同様に、ビデ洗浄中に前ボタン91-5が押動操作されると、洗浄制御部112はビデ洗浄ノズルの位置をそれまでよりも前方に移動させるように、第1モータ部106の動作を制御し、ビデ洗浄中に後ボタン91-6が押動操作されると、洗浄制御部112はビデ洗浄ノズルの位置をそれまでよりも後方に移動させるように、第1モータ部106の動作を制御する。これにより、使用者の第1局部や第2局部をピンポイントで洗浄することができる。
【0050】
さらに洗浄制御部112は、使用者が便座12に着座したか否かに関係なく、リモコン操作部91の弱ボタン91-7や、強ボタン91-8や、ノズル掃除ボタン91-15からの操作入力を受け付ける。例えば、洗浄制御部112は水勢調節用の弱ボタン91-7が押動操作されると、おしり洗浄やビデ洗浄で洗浄ノズル25から噴出する水道水の水勢について、それまでよりも弱く水勢を設定し直す一方で、水勢調節用の強ボタン91-8が押動操作されると、それまでよりも強く水勢を設定し直す。この設定は、おしり洗浄中やビデ洗浄中でなくても可能であり、使用者に対し好みの水勢でおしり洗浄やビデ洗浄を行なうことができる。また、洗浄制御部112はノズル掃除ボタン91-15が押動操作されたのを受けて、洗浄ノズル25の噴出口から噴出する水道水により洗浄ノズル25を洗浄しながら、洗浄ノズル25を便座12の下方の後退位置から所定の位置まで前進させるように、給水ポンプ104と切替弁105と第1モータ部106の動作をそれぞれ制御する。これにより、便座装置10の清掃時に洗浄ノズル25を水道水で洗浄しつつ、所定の位置まで前進させた洗浄ノズル25を拭いたり、本体11から外した洗浄ノズル25をお手入れしたりすることが可能になる。
【0051】
本実施形態において洗浄制御部112は、使用者が便座蓋13を開けたか否かに関係なく、また使用者が便座12に着座したか否かに関係なく、リモコン操作部91のミストボタン91-13からの操作入力を受け付けて、そのミストボタン91-13が押動操作されると、給水ポンプ104から送り出される水道水を噴出装置28に供給し、その噴出口29から便器1のボウル部2に向けて洗浄液となる水道水を一定時間噴霧して、ボウル部2の内面を濡らすように、給水ポンプ104と切替弁105の動作をそれぞれ制御する。洗浄制御部112は、使用者がトイレ室Sに入室したり、便座蓋13を開けたり、便座12に着座したりするか否かに拘わらず、リモコン操作部91のミストボタン91-13が押動操作されたときに、噴出装置28から便器1のボウル部2内面に向けて、ミスト状の洗浄液を噴出させるプレ洗浄噴射を含めた便器1への洗浄噴射機能を備えている。ここでは、本体11とは別体のリモコン14を利用し、そのリモコン14に操作体として設けたミストボタン91-13からの操作入力だけを洗浄制御部112が受け付けて、噴出装置28から便器1への洗浄噴射を行なう構成となっており、従来の便座蓋13を開く動作をトリガーとするための蓋センサを不要にできる。
【0052】
また、蓋センサ108を備えた便座装置10では、洗浄制御部112が、上述したリモコン操作部91のミストボタン91-13からの操作入力に加えて、便座蓋13が閉状態から開いたときの蓋センサ108からの検知信号を受け付ける。この場合、使用者が便器1を使用するのに便座蓋13を開けると、蓋センサ108からの検知信号を受けて、洗浄制御部112が給水ポンプ104と切替弁105の動作をそれぞれ制御し、噴出装置28の噴出口29から便器1のボウル部2に向けて、洗浄液となる水道水を一定時間噴霧するプレ洗浄噴射を行なわせる。洗浄制御部112は、少なくともプレ洗浄噴射が開始してから終了するまでの間に、ミストボタン91-13が押動操作されても、そこからの操作入力を受け付けずに無効とし、便器1に向けての必要のない洗浄噴射を抑制する。その一方で洗浄制御部112は、プレ洗浄噴射が終了して、使用者がボウル部2の内面に付着した汚れを確認できる程度の一定の時間が経過した後に、ミストボタン91-13が押動操作されたら、今度は蓋センサ108からの検知出力に関係なく、ミストボタン91-13からの操作入力を受け付けて、便器1に向けての追加の洗浄噴射を行なえるようにする。
【0053】
本変形例では、蓋センサ108に代えて、使用者がトイレ室Sに入室したのを検知する赤外線センサなどの人体検知手段を用いてもよい。この場合も、人体検知手段が使用者の存在を検知すると、噴出装置28から便器1のボウル部2に向けて洗浄液を噴出するプレ洗浄噴射を行ない、少なくともプレ洗浄噴射が開始して終了するまでの間は、ミストボタン91-13が押動操作されても、そこからの操作入力を受け付けずに無効にする。そして、プレ洗浄噴射が終了して一定時間が経過した後には、洗浄制御部112が蓋センサ108からの検知出力に関係なく、ミストボタン91-13からの操作入力を受け付けて、便器1に向けての追加の洗浄噴射を行なえる構成にする。
【0054】
そして、上述した蓋センサ108や人体検知手段を備えているか否かに関係なく、使用者が便座12に着座しているのを着座スイッチ19が検知している間は、洗浄制御部112がミストボタン91-13からの操作を無効にして、噴出装置28からの霧状化された水道水が使用者に掛かるのを防止する構成となっている。
【0055】
別な変形例として、本体11に対して噴出装置28を移動可能にする第2モータ部110を備えた便座装置10では、使用者が便座12に着座している間に、洗浄制御部112がミストボタン91-13からの操作を無効にするのではなく、ミストボタン91-13が操作されたらこれを受け付けて、使用者が便座12に着座していない場合と比べて別な方向に洗浄液が噴射されるように、第2モータ部110の動作を制御する構成としてもよい。それに加えて、若しくはその代わりに、使用者が便座12に着座している間に、ミストボタン91-13が操作されたら、便座12に着座していない場合と比べて洗浄液の水勢が弱くなるように、給水ポンプ104の動作を制御する構成としてもよい。いずれの場合も、使用者が便座12に着座している間にミストボタン91-13が操作されると、使用者が便座12に着座していない場合と比べて洗浄液の噴出の仕方が異なるような噴出装置28を構成することで、噴出装置28から使用者に洗浄液が掛かるのを防止できる。
【0056】
脱臭制御部113は、脱臭ユニット34に組込まれた脱臭ファン38の動作と排気装置51に組み込まれたファン65を制御するものである。具体的には洗浄制御部112は、使用者が便座12に着座したことを着座スイッチ19が検知すると、便器1内からの臭気を取り除くために脱臭ファン38の動作を開始させ、その後に使用者が便座12に着座していないことを着座スイッチ19が検知すると、所定時間(例えば1分)が経過した後に脱臭ファン38の動作を停止させる。
【0057】
脱臭制御部113は、便座蓋13を開いたことを蓋センサ108で検知し、この後、使用者が便座12に着座したことを着座スイッチ19が検知し、その後に便座蓋13を閉めたことを蓋センサ108が検知すると、便器1内からの臭気を取り除くためにファン65の動作を開始させ、動作開始後、所定時間(例えば10分)が経過した後にファン65の動作を停止させ、また、前記所定時間が経過する前に使用者が便座蓋13を開き、便座蓋13を開いたことを蓋センサ108が検知すると、ファン65の動作を停止させる。なお、便座装置10は構造上、使用者が便座12に着座したことを着座スイッチ19が検知するには、その前に便座蓋13を開く必要があるから、使用者が便座12に着座したことを着座スイッチ19が検知する前に、便座蓋13を閉めたことを蓋センサ108が検知することを、省略することもできる。
【0058】
変形例として、脱臭制御部113は、便座蓋13を開いたことを蓋センサ108で検知し、この後、着座スイッチ19による検知が無くても、その後に便座蓋13を閉めたことを蓋センサ108が検知すると、便器1内からの臭気を取り除くためにファン65の動作を開始させるように制御してもよい。この場合は、便座12に着座せず、便座12と便座蓋13を開いて便器1を使用した場合などが例示される。また、便座蓋13を開いたことを蓋センサ108で検知した後、所定時間(例えば30秒)以上経過した後に、便座蓋13を閉めたことを蓋センサ108が検知した場合にファン65の動作を開始するように制御してもよく、こうすれば便器1を使用せずに短時間で便座蓋13を開閉した場合には、ファン65が動作しない。
【0059】
別な変形例として、脱臭制御部113は、便座蓋13を開いたことを蓋センサ108で検知すると、ファン65の動作を開始させ、その後に所定時間(例えば10分)が経過した後にファン65の動作を停止させるようにしてもよく、この間にトイレ室S内の脱臭・消臭・芳香を行うことができる。なお、排気装置51に芳香手段を装着して使用すれば、便座蓋13を開いた状態で排気口62は上向きであり、トイレ室S内の空気を良い香りにして排気口62から上方に排気し、トイレ室S内を良い香りで満たすことができる。
【0060】
制御手段101は、便座装置10の動作状態を使用者に目視で知らせるために、必要に応じて本体表示部22に表示用の制御信号を送出する。例えば、制御手段101を含む各部に所定の動作電圧が供給されると、制御手段101は本体表示部22の電源ランプを点灯表示させ、加温制御部111が便座ヒータ103の動作を制御して便座12を加温させると、制御手段101は本体表示部22の便座ランプを点灯表示させる。また、加温制御部111により節電第1モードや節電第2モードが設定されている場合には、制御手段101がその旨を本体表示部22の節電ランプに点灯表示させ、脱臭制御部113による脱臭ファン38への動作の制御が可能になると、本体表示部22の脱臭ランプを点灯表示させる。その他、制御手段101は本体11に何らかの異常が発生した場合に、本体表示部22のランプを点滅表示させる構成となっている。
【0061】
図13は、リモコン14の電気的な構成例を示しており、図中の制御手段121は、例えば演算制御装置としてのマイクロコンピュータや、記録媒体となるメモリや、アナログ/デジタル変換用の入出力インターフェースなどを主体として構成され、リモコン14の内部に実装してリモコン14の動作全般を制御する。制御手段121の入力ポートには、リモコン操作部91が電気的に接続され、制御手段121の出力ポートには、リモコン表示部92の他に、リモコン送信部122が電気的に接続される。
【0062】
制御手段121は、リモコン操作部91からの各操作信号に基づいて、リモコン表示部92に表示用の制御信号を出力し、リモコン送信部122に各操作信号に対応した送信用の制御信号を出力する機能を有する。こうした機能は、制御手段121が前述の記録媒体となるメモリに記録したプログラムを、演算制御装置で読み取ることにより実現するが、特に本実施形態では、制御手段121をリモコン制御部123として主に機能させるプログラムを備えている。リモコン制御部123は、リモコン操作部91の中で何らかのボタン91-1~91-16が押動操作されると、そこからの操作信号を受けて送信用の制御信号をリモコン送信部122に送出する。リモコン送信部122は、リモコン制御部123からの制御信号に対応した送信信号を送信し、これをリモコン受光部23で受信した本体11側の制御手段101が、リモコン操作部91の中でどのボタン91-1~91-16が操作されたのかを特定する構成となっている。従って、ボタン91-16の操作により、排気装置51の駆動開始・駆動停止の操作をすることができる。
【0063】
次に、上記構成の便座装置10について、動作を説明する。なお、使用者が便器1を使用する前には、便器1側に倒された便座12の上面と、便器1のボウル部2の上面開口を覆うように、便座蓋13が閉じているものとする。
【0064】
便座装置10は、使用者がトイレ室Sに入り、便器1を使用するために便座蓋13を開け、続いて使用者が便座12に着座し、これを着座スイッチ19で検知すると、脱臭制御部113が脱臭ファン38の動作を自動的に開始させて、便器1内からの臭気を取り除く。使用者が便座12に着座したまま、リモコン操作部91のおしりボタン91-2やビデボタン91-3、若しくは本体操作部21のおしりボタンやビデボタンを押動操作すると、洗浄制御部112が給水ポンプ104や切替弁105や第1モータ部106の動作を制御して、洗浄ノズル25を便座12の下方の後退した位置から突出した位置に前進させ、また洗浄ノズル25の噴出口から予め設定された水勢で、使用者に向けて洗浄液となる水道水を噴出させて、使用者の局部を洗浄する。その後に、使用者がリモコン操作部91の止ボタン91-1、若しくは本体操作部21の止ボタンを押動操作すると、洗浄制御部112により給水ポンプ104の動作を停止させて、洗浄ノズル25からの水道水の噴出を停止させ、第1モータ部106の動作を制御して、洗浄ノズル25を元の後退した位置に戻す。使用者が便座12から立ち上がって離れたのを着座スイッチ19で検知すると、脱臭制御部113が所定時間後に脱臭ファン38の動作を停止させる。
【0065】
また、便座装置10は、便器1の使用後、使用者が便座蓋13を閉めたことを蓋センサ108が検知すると、ファン65の動作を開始させ、その後に所定時間(例えば10分)が経過した後にファン65の動作を停止させる。また、所定時間が経過する前に使用者が便座蓋13を開き、便座蓋13を開いたことを蓋センサ108が検知すると、ファン65の動作を停止させる。
【0066】
蓋センサ108を設けていない変形例の便座装置10では、使用者がトイレ室Sに入り、便器1を使用するために開ける。続いて使用者が便座12に着座し、これをケーシング15に備えた着座スイッチ19で検知すると、脱臭制御部113が脱臭ファン38の動作を自動的に開始させて、便器1内からの臭気を取り除く。使用者が便座12に着座したまま、リモコン操作部91のおしりボタン91-2やビデボタン91-3、若しくは本体操作部21のおしりボタンやビデボタンを押動操作すると、洗浄制御部112が給水ポンプ104や切替弁105や第1モータ部106の動作を制御して、洗浄ノズル25を便座12の下方の後退した位置から突出した位置に前進させ、また洗浄ノズル25の噴出口から予め設定された水勢で、使用者に向けて洗浄液となる水道水を噴出させて、使用者の局部を洗浄する。その後に、使用者がリモコン操作部91の止ボタン91-1、若しくは本体操作部21の止ボタンを押動操作すると、洗浄制御部112により給水ポンプ104の動作を停止させて、洗浄ノズル25からの水道水の噴出を停止させ、第1モータ部106の動作を制御して、洗浄ノズル25を元の後退した位置に戻す。使用者が便座12から立ち上がって離れたのを着座スイッチ19で検知すると、脱臭制御部113が所定時間後に脱臭ファン38の動作を停止させる。
【0067】
上述した使用者が便器1を使用する一連の動作では、使用者がリモコン操作部91のミストボタン91-13への操作を行なわない限り、つまり使用者の意志で便器1に向けての洗浄噴射を必要としない限り、噴出装置28が不必要に動作せず、噴出装置28からの洗浄液となる水道水が無駄に噴射されない。逆に言えば、使用者がトイレ室Sに入室したり、を開けたりするか否かに関係なく、使用者の意志でミストボタン91-13を操作したときにだけ、洗浄制御部112が給水ポンプ104と切替弁105の動作をそれぞれ制御して、噴出装置28から便器1に向けて水道水がミスト状に噴射され、便座装置10として洗浄液の節約効果が見込める。しかも、このミストボタン91-13は、本体11と別に備えたリモコン14に設けられているので、使用者が便座12に着座する前に、リモコン操作部91のミストボタン91-13を容易に操作して、噴出装置28からの洗浄液により便器1を予め濡らすことができ、蓋センサ108をわざわざ設けなくても、使用者がミストボタン91-13を操作することで、便器1内面の便剥がれが良好になる。
【0068】
蓋センサ108を設けた本実施形態の便座装置10では、使用者が便器1を使用する前に開けたときの動作をトリガーとして、洗浄制御部112が蓋センサ108からの検知信号により給水ポンプ104と切替弁105の動作をそれぞれ制御し、噴出装置28の噴出口29から便器1に向けて、洗浄液となる水道水がミスト状に一定時間噴射される。この便器1へのプレ洗浄噴射の最中に、使用者がリモコン操作部91のミストボタン91-13を操作しても、洗浄制御部112はミストボタン91-13からの操作入力を受け付けずに無効とし、便器1に向けての必要のない洗浄噴射を抑制する。その一方で洗浄制御部112は、プレ洗浄噴射が終了して一定の時間が経過したら、ミストボタン91-13からの操作入力を受け付けて、使用者がプレ洗浄噴射後に便器1内面の汚れを確認できた後であれば、便器1に向けて追加の洗浄噴射を行なえるようにする。
【0069】
また蓋センサ108の代わりに、人体検知センサを備えた便座装置10であっても、使用者がトイレ室Sに入った時の動作を人体検知センサが検知したのを受けて、洗浄制御部112が噴出装置28の噴出口29から便器1に向けて、ミスト状の水道水を一定時間噴射させるプレ洗浄噴射を行なっている最中は、ミストボタン91-13からの操作入力を受け付けずに無効とし、プレ洗浄噴射が終了して一定の時間が経過したら、ミストボタン91-13からの操作入力を受け付ける。こうして、蓋センサ108や人体検知センサを設けた場合には、ミストボタン91-13への操作を限定的に受け付けることにより、必要のない洗浄噴射が動作されることなく、便座装置10として洗浄液の節約効果が見込める。
【0070】
上述した蓋センサ108や人体検知センサの有無に関係なく、少なくとも使用者が便座12に着座している間は、洗浄制御部112が着座スイッチ19からの検知信号を受けて、リモコン操作部91のミストボタン91-13からの操作入力を受け付けずに無効にする。これにより、噴出装置28からの霧状化された水道水が使用者に掛かるのを防止できる。また変形例として、第2モータ部110により本体11に対して噴出装置28を移動できる構成の便座装置10では、使用者が便座12に着座している間にミストボタン91-13が操作されたら、洗浄制御部112が第2モータ部110の動作を制御して、使用者が便座12に着座していない場合とは別な方向にミスト状の水道水を噴射させてもよい。さらに、使用者が便座12に着座している間にミストボタン91-13が操作されたら、洗浄制御部112が給水ポンプ104の動作を制御して、便座12に着座していない場合よりも噴出装置28から噴射される水道水の水勢を弱くさせてもよい。これらの場合にも、噴出装置28からの霧状化された水道水が使用者に掛かるのを防止できる。
【0071】
洗浄制御部112がミストボタン91-13からの操作入力を受け付ける場合、何れも給水ポンプ104の動作を制御して、例えばミストボタン91-13を押し続ける時間が長くなる程、噴出装置28から噴射される水道水の水勢が強くなるようにしたり、ミストボタン91-13を一定時間未満の短い時間だけ押動操作した場合には、予め設定された時間だけ噴出装置28から水道水を噴射させ、ミストボタン91-13を一定時間以上の長い時間押動操作した場合には、ミストボタン91-13を押し続けた時間に比例して、予め設定された時間よりも長く、噴出装置28から水道水を噴射させ続けたりしてもよい。このように、使用者がミストボタン91-13への操作の仕方を変えることで、噴出装置28からの洗浄液の噴出の仕方が異なるように、噴出装置28が例えば給水ポンプ104などの動作を制御すれば、一つのミストボタン91-13で噴出装置28からの洗浄液の噴出の仕方を様々に切替えることが可能になる。
【0072】
以上のように、本実施形態の便座装置10は、便器1に設けた便座12の中央開口部12Aを開閉自在な便座蓋13と、中央開口部12Aに対応して便座蓋13に設けられた蓋排気口52と、便座蓋13に設けられ、便器1内の空気を蓋排気口52から便器1の外部に排気する排気装置51とを備える。
【0073】
そのため、便座蓋13に蓋排気口52を設け、便座蓋13に排気装置51を設けることで、蓋排気口52を便座12のボウル部2の中央上方に配置することができ、便座12の中央から臭気を伴う空気を排気することができ、排気効率が向上する。また、本体11内に設ける場合に比べて、スペースの制約がなく、大型のファン65の使用も可能になると共に、排気装置51の内部部品の配置の制約が少なく、組立作業性にも優れたものとなる。
【0074】
上述の便座装置10では、排気装置51は、便座蓋13の上面13Aに設けられる排気ケーシング53を備え、排気ケーシング53は、蓋排気口52に接続する吸込口61と、排気口62と、吸込口61から吸い込んだ空気を排気口62から排気する排気手段64とを備える。
【0075】
この場合、便座蓋13の上面13Aに排気ケーシング53を取り付け、排気手段64を駆動することにより、吸込口61から吸い込んだ便器1内の空気を、排気口62から便器の外部に排気することができる。また、排気ケーシング53が便座蓋13の上面13Aにあるから、排気ケーシング53に排泄物が付着することがなく、さらに、便器1を使用する際は便座蓋13を開いて使用するから、使用時に蓋排気口52に排泄物が付着することがない。
【0076】
上述の便座装置10では、排気装置51は、いずれも臭気処理手段である消臭手段,脱臭手段たる脱臭フィルタ67及び芳香手段の少なくとも一つを備える。
【0077】
この場合、便器1内の臭気を含む空気を消臭又は脱臭して排気したり、良い香りにして排気したりすることができる。
【0078】
上述の便座装置10は、便座12の下面側に着脱可能に設けられる樹脂製の便座用カバー71を備える。
【0079】
この場合、便座12の下面側に汚れが付着しても、便座用カバー71を外して汚れやシミを容易に清掃することができる。
【0080】
上述の便座装置10は、機能部品たる洗浄ノズル25,噴出装置28及び噴出口29を備え、便器1に取付可能な本体11と、本体11の下面側に着脱可能に設けられる樹脂製の本体用カバー81とを備える。
【0081】
この場合、本体11の下面側に汚れが付着しても、本体用カバー81を外して汚れやシミを容易に清掃することができる。このように通常使用では容易に見えないために放置され易い本体11の下面側の汚れを簡便に清掃することができる。
【0082】
また、上述の便座装置10では、本体用カバー81が本体11の下面側で便器1の便鉢たるボウル部2に対向する位置に設けられている。
【0083】
これにより、便器1内に対向するため汚れ易い部分を本体用カバー81により覆うことで、汚れ易い部分の汚れを防止することができる。
【0084】
便座装置10では、便座用カバー71には、該便座用カバー71に設けられ便器1に接することで機能する部品たる便座脚部18及び着座スイッチ19に対応して便座用の開口部たる孔72を設けている。これにより、便座12の下面側に便座用カバー71を設けても、便座12の機能部品である便座脚部18が便器1に接して通常どおりに機能する。また、便座装置10では、本体用カバー81には、便器1内に連通することで機能する部品たる洗浄ノズル25及び噴出口29に対応して本体用の開口部84,84Aを設けている。これにより、本体11の下面側に本体用カバー81を設けても、本体11の機能部品である噴出口29などが便器1内に連通するため、機能部品が支障なく通常どおりに機能する。
【0085】
排気装置51は、便座蓋13に設けた蓋排気口52と、筒状の排気ケーシング53と、この排気ケーシング53の長さ方向である前後方向一側の後側で下部に設けられ、蓋排気口52に接続する吸込口61と、排気ケーシング53の前後方向他側の前側に設けられた排気口62と、排気ケーシング53内で吸込口61と排気口62の間に設けられた内部通路63と、内部通路63に設けられ吸込口61から吸引した空気を排気口62から排出する圧送手段たるファン65と、内部通路63内に着脱可能に設けられた臭気処理手段とを備えるから、便座蓋13に排気装置51を組み込むことにより、便器1内の臭気を含んだ空気を効率よく排気することができる。
【0086】
排気ケーシング53は便座蓋13に着脱手段56より着脱可能に設けられているから、排気ケーシング53の交換を容易に行うことができ、また、取り外した状態で、排気ケーシング上部54と排気ケーシング下部55に容易に分解することができると共に、臭気処理手段の交換も容易に行うことができる。
【0087】
排気ケーシング53は筒状の吸込口61を有し、この吸込口61が蓋排気口52に嵌入することにより便座蓋13に排気ケーシング53が位置合わせされる。このため吸込口61及び蓋排気口52は、方形などの吸込口61と蓋排気口52とを嵌合した際、排気ケーシング53の便座蓋13への取付方向を限定する形状に形成されている。なお、図面では吸込口61の先端が便座蓋13の下面から突出しているが、吸込口61の先端が便座蓋13の下面と面一になるように構成してもよい。また、排気装置51は前後方向に長い形状をなし、便座12の左右の軸部47,47の中央に位置するから、便座12の重心が左右にずれず、便座12の開閉動作を損なうことがない。
【0088】
便座12の下面に便座用カバー71を着脱可能に取り付ける取付手段74を備えるから、便座12の開閉時などに便座用カバー71が外れることを防止できる。また、取付手段74は、便座12と便座用カバー71の一方に、磁力などによる吸着手段であるマグネットシート75を用い、便座12と便座用カバー71の他方にシート状の被吸着部材76を設け、便座用カバー71の前側左右と後側中央の3箇所にマグネットシート75を配置したから、着脱が容易で安定した取付状態が得られる。なお、着脱手段と被着脱手段をシート状の面ファスナなどにしてもよい。また、便座用カバー71の後部には便座12の後面部45を覆う後面覆い部71Aが一体に設けられているから、便座12を開いた状態で清掃がやり難い後面部45への汚れの付着を防止できる。
【0089】
本体用カバー81は後縁側を隙間80に挿入して着脱可能に本体11の下面に装着するものであるから、着脱が容易となる。この場合、本体用カバー81は、上面開口部2Aの左右及び後部に位置する挿入部分83が隙間80に挿入されるから、安定した取付状態が得られる。また、本体用カバー81の前側縁部81Fには、複数の位置決め部86,86が一体成形により設けられているから、位置決め部86,86を、本体11の湾曲前面部11Aに当接することにより、本体用カバー81の前後の位置決めを行うことができ、また、交換などの際に、位置決め部86,86に指をかけて本体用カバー81を引き抜くこともできる。また、両カバー71,81は抗菌性を有するから、菌の増殖を抑制することができる。
このようにファン65の電源に電池131を用いることより、電気ケーブル60が不要となり、スイッチなどの操作により排気装置51を駆動することができ、排気装置51の構造を簡略化することができる。