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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023068383
(43)【公開日】2023-05-17
(54)【発明の名称】色測用確認装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/27 20060101AFI20230510BHJP
   G01N 21/01 20060101ALI20230510BHJP
   G01J 3/46 20060101ALI20230510BHJP
【FI】
G01N21/27 B
G01N21/01 Z
G01J3/46 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021179441
(22)【出願日】2021-11-02
(71)【出願人】
【識別番号】596002767
【氏名又は名称】トヨタ自動車九州株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080160
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 憲一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149205
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 泰央
(72)【発明者】
【氏名】中島 克晃
【テーマコード(参考)】
2G020
2G059
【Fターム(参考)】
2G020AA08
2G020DA24
2G020DA31
2G020DA36
2G020DA45
2G020DA51
2G020DA52
2G059AA02
2G059BB15
2G059EE02
2G059EE13
2G059KK01
2G059KK07
2G059LL01
2G059NN06
(57)【要約】
【課題】観察対象物の色の状態を確認・評価するための装置として、観察者の視認角度(及び視認位置)を簡易な構成のもので計測することができる色測用確認装置を提供する
【解決手段】 観察対象物の観察点またはその近傍に少なくとも2点で当接する突起状の接触子を設けた対物部2と、基端に対物部を取り付けるとともに先端を光源に向かう方向に指向させる、略棒状の方向確認部3と、方向確認部3の一部において設置され、この方向確認部3が指す方向と同一方向に観察面41を対面配置するとともに、観察面41に指針43を垂直に立設させた方向微調整部4と、方向確認部3の一部において傾動可能な状態に設け、重力作用方向が常時鉛直方向の真下を指すように設けられた角度測定具5と、対物部2に対して方向確認部3を角度自在に連結結合させる連結軸20と、を備えた。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
観察対象物の観察点またはその近傍に少なくとも2点で当接する突起状の接触子を設けた対物部と、
基端に前記対物部を取り付けるとともに先端を光源に向かう方向に指向させる、略棒状の方向確認部と、
前記方向確認部の一部において設置され、この方向確認部の先端が指す方向と同一方向に観察面を対面配置するとともに、前記観察面に指針を垂直に立設させた方向微調整部と、
前記方向確認部の一部において傾動可能な状態に設け、重力作用方向が常時鉛直方向の真下を指すように設けられた角度測定具と、
前記対物部に対して前記方向確認部を角度自在に連結結合させる回動手段と、
を備えたことを特徴とする色測用確認装置。
【請求項2】
前記回動手段は、断面略T字型を有する縦軸及び横軸で構成されているとともに、
前記縦軸は前記対物部に固設され、かつ、
前記横軸は、前記方向確認部の本体に回動に連結されて所定の平面に平行な方向に回動自在となっている、
ことを特徴とする請求項1に記載の色測用確認装置。
【請求項3】
前記対物部には、前記方向確認部の他に、基端に、前記回動手段を介して、色測計または色差計を設けた略棒状の色測部をさらに備えた、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の色測用確認装置。
【請求項4】
前記対物部又は前記方向確認部の少なくともいずれか一方には、床面に対して保持させるための脚部を備えた、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の色測用確認装置。
【請求項5】
前記回動手段の前記横軸の一端又は両端には、前記観察点での法線方向と前記光源方向との角度差を計測するための補助角度測定具を固設している、
ことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の色測用確認装置。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、自転車、自動二輪車、一般的な乗用車のような車両などに使用する樹脂材料や金属材料などの材質の外観色を個別に測定若しくは評価することができる色測用確認装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各種の製品を構成する部品や材料などには、固有の色に塗装や着色、あるいは金属粉などの顔料を混入させることによって発色させ、品質の向上を図るようなことが多く行われている。
【0003】
また、このような部品などでは、部品自体の色、塗装の色、あるいは顔料の混入割合によっては、例えば車の内装品や外装品として使用される樹脂製品などについて、指定された製品色がその部品製造のメーカーごとに微妙に相違する場合がある。即ち、これは、例えば部品として使用する樹脂材料などに混在させる顔料や金属粉の成分やその混入率などが多少でも異なると、その材料へ入射する光の波長に対して、顔料や金属自体が有する吸収率や反射率が微妙に異なってくる場合もあるからである。その結果、使用する部品などがたとえ同一材料で形成されていても、顔料や金属粉の混入率などの関係で観察する人の目には異色に見えたりすることもある。
【0004】
また、同じ部品を同じ人が観察する場合であっても、観察する際の部品に対する視認時の観察者の目と観察部位とのなす角度(以下、これを「観察角度」と呼ぶことがある)によっては、異色に見えることもある。このように、観察者がもし異なる観察角度などで製品の色を評価しようとすると、製品の見え方や感じ方が異なる場合もあることから、特に異なる観察角度などの条件下でその製品の色が適切か否かの良否を判定するのは好ましくない。
【0005】
そこで、各製品の色が適切であるか否かを判定するための各種手段や対策を検討することも試みられている。
即ち、このような測色評価に関して、例えば測定機器による測色結果と、目視による測色結果との相関係数を算出することなども検討されている。例えば特許文献1~5には、試料に対する光の入射角、反射角、および目視による評価データを利用してこれらの相関性を定量的に算出し、目視による評価データに客観性を付与するための方法、或いは色差の定量化方法などが提案されている。
【0006】
即ち、特許文献1には、物体の意匠面における鏡面光沢度と、意匠面に反射した光の正反射方向を基準として、当該基準からの乖離角度とその角度における明度との比を算出することで相関係数を算出するメタリック意匠の評価方法が開示されている。これにより、物体のメタリック感を簡潔なパラメータで定量化でき、さらに、算出された結果が目視の評価結果に近い序列を得ることができるようになっている。また、この特許文献1では、色の評価ではなくメタリック感という質感について評価しているものであるが、正反射光からの乖離角度に応じて物質の特性を観測する構成が記載されている。
【0007】
また、特許文献2には、見た目と相関の高い想定対象物の色情報を測定することができる色測定方法について記載されている。即ち、これを実現するために、対象物を中心として照射角度を自由に調整自在とする照明部と、対象物を中心として撮像角度を自由に調整自在とする撮像部と、測定対象物の表面の色を算出する色演算部とを備え、色演算部は、測定した分光反射率画像のデータと基準となる分光反射率画像のデータとを比較して規格化することで、照明の輝度ムラによる測定値の変動が発生するおそれを抑制し、見た目と相関の高い測定対象物の色情報を測定することができるように構成した色測定装置が開示されている。別言すれば、「光の入射角度」及び「光の反射角度」が目視による評価結果と相関を示すといった技術的な知見が記載されている。
【0008】
また、特許文献3には、試料に所定の角度で光を照射し、試料から反射した光を所定の角度ごとに測定し、測定したデータからクロマティクネス指数(a*b*)を算出し、算出した(a*b*)の2点間の角度を計算し、その角度が最大となる角度を抽出し、抽出された最大角度から所定の式により色質の違いを示す色差評価数として算出できることが開示されている。また、この特許文献3でも、「光の入射角度」および「光の反射角度」が色の見え具合に影響を及ぼすことに関する技術情報が開示されている。
【0009】
さらに、特許文献4には、多角度測色機器により測定された、複数の幾何光学系(受光角)における反射光の受光量に基づいて、幾何光学系(受光角)ごとの測定対象部位間の色差ΔEを算出する方法が記載されている。換言すれば、この色差ΔEにフィルタリングを適用し、幾何光学系ごとの重みづけを行うことで目視による色差の感度と同様に色差を判定できる情報処理方法について記載されている。即ち、この特許文献4では、目視による色差の感度と同様に色差を判定するために、複数の受光角における三刺激値(X、Y、Z)を測定した構成が記載されている。
【0010】
また、特許文献5には、試料に特定の方向から光を照射し、試料からの反射光を、正反射光を基準として角度の異なる2か所(第1測定点、第2測定点)についてL(明度指数)、a(知覚色度)、b(知覚色度)それぞれの値を算出し、算出された各測定点の値からL、a、bそれぞれの差分および補正値を算出し、この算出されたデータから目視と相関のある色差の定量的な計測方法が開示されている。また、この特許文献5でも、「光の入射角度」、「光の反射角度」が色の見え具合に影響を及ぼすことが記載されており、その角度と目視による評価結果とは相関関係があることが開示されている。
【0011】
このように、上記の各特許文献1~5には、「光の入射角度」、「光の反射角度」が色の見え具合に影響を及ぼすことが開示されており、さらに、当該角度と目視による評価結果とは相関関係があることが開示されている。特に、特許文献4には、実際に反射光を受光した受光角だけでなく、任意の受光角における色差を算出することができるとともに、複数の測定対象部位間の色差を正確に測定することができることが記載されている。
【0012】
従って、測定機器による測色結果と、目視による測色結果との相関係数を算出するために、試料に対する光の入射角、反射角、および目視による評価データを利用して定量的に相関係数を算出し、機械的な測定結果を目視評価に近づける技術的な方法などが知られている。
【0013】
一方、このような評価データを算出して定量化させ、これを利用して目視評価につなげるといった手法を用いるための前提として必要となる装置、例えば客観的な色の評価を行うための色測装置も提案されている(例えば、特許文献6~8参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2018-54522号
【特許文献2】特開2018-151165号
【特許文献3】特開平9-273962号
【特許文献4】特開2019-207198号
【特許文献5】特開2015-114247号
【特許文献6】特開2015-178959号
【特許文献7】特開2014-81199号
【特許文献8】特開2006-227012号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、これら特許文献6~8に記載のものにあっては、例えばコリメータやグレーティング、積分レンズ、UVフィルタ、偏光フィルタなどのような精密な光学素子や光学部品などを用いており、そのため、機器の複雑化をもたらし、取り扱いには慎重さを要するとともにコストの増大ももたらしている。
【0016】
本発明は、上記のような問題点に鑑みてなされたものであり、観察対象物の色の状態を確認・評価するための装置として、観察者の視認角度(及び視認位置)を簡易な構成のもので計測することができる色測用確認装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明に係る色測用確認装置は、観察対象物の観察点またはその近傍に少なくとも2点で当接する突起状の当接部材を設けた対物部と、基端に前記対物部を取り付けるとともに先端を光源に向かう方向に指向させる、略棒状の方向確認部と、前記方向確認部の一部において設置され、この方向確認部の先端が指す方向と同一方向に観察面を対面配置するとともに、前記観察面に指針を垂直に立設させた方向微調整部と、前記方向確認部の一部において傾動可能な状態に設け、重力作用方向が常時鉛直方向の真下を指すように設けられた角度測定具と、前記対物部に対して前記方向確認部を角度自在に連結結合させる回動手段と、を備えたことを特徴とするものである。
【0018】
これにより、対物部の当接部材である接触子を測定した測定点(X,Y,Z)の近傍の測定物へ当接させる。この場合、方向確認部が対物部に対して、当初は直角の角度状態(法線状態)にセットしておけば、偏角(γ´)を角度測定具で読み取ることができる。即ち、法線指向方向から光源方向まで方向確認部を傾けていき、方向微調整部における指針の影がなくなるところまで方向確認部向きを正確に合わせる。法線指向状態からその光源指向状態までの角度差(以下、これを「入射角(θ)」とよぶ。)を読み取れば、先の偏角(γ´)から角度差、即ち入射角θを引いた角度(γ´-θ)が、観測地点(P)へ差し込む光源からの仰角α、後述する擬仰角(α)として得られる。
【0019】
次に、方向確認部を回動させて視認する観察者の目の位置まで移動させるときに、法線状態の向きからここまで方向確認部を回動させた角度δを読み取り、90°からこの角度を引いた角度(90-δ)が、接線を基準とした俯角β、つまり後述する擬俯角(β)となる。このような角度の読み取り作業によって、観察物の測定点での観察者の観察条件を客観的に数値化させることができる。
【0020】
従って、視認角度情報を含んだこのような観察条件を一意に数値化させることで、同じように製造された対象物に対して、いつでも、別の場所であっても、同条件下での色測定が可能となるので、精度の高い製品の良否判定などが可能になる。
【0021】
また、本発明に係る色測用確認装置は、前記回動手段は、横軸及び縦軸からなる連結軸で構成されているものである。従って、このような構成により、対物部に対して、方向確認部を所望の方向に回動させることができるので、操作性が向上する。
【0022】
また、本発明に係る色測用確認装置は、前記対物部には、前記方向確認部の他に、基端に、前記回動手段を介して、色測計または色差計を設けた略棒状の色測部をさらに備えたものである。従って、このような構成により、観察物の色測作業を作業者ではなく、色測計または色差計で計測することができる。
【0023】
また、本発明に係る色測用確認装置は、前記対物部又は前記方向確認部の少なくともいずれか一方には、床面に対して保持させるための脚部を備えたものである。従って、このような構成により、作業時の各部の固定保持状態を安定化させることができるので、作業操作性がさらに向上する。
【0024】
また、本発明に係る色測用確認装置は、前記回動手段の前記横軸の一端又は両端には、前記観察点での法線方向と前記光源方向との角度差を計測するための補助角度測定具を固設しているものである。これにより、法線方向から前記光源方向に方向確認部を回動させるだけで、角度差を演算しなくても、直ちに角度差が読み取れるようになり、便宜である。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、色評価である対象物の測定点またはその近傍に少なくとも2点で当接する突起状の当接部材を設けた対物部と、基端に前記対物部を取り付けるとともに先端を光源に向かう方向に指向させる、略棒状の方向確認部と、前記方向確認部の一部において設置され、この方向確認部の先端が指す方向と同一方向に観察面を対面配置するとともに、前記観察面に指針を垂直に立設させた方向微調整部と、前記光源指向部の一部において傾動可能な状態に設け、重力作用方向が常時鉛直方向の真下を指すように設けられた角度測定具と、前記対物部に対して前記方向確認部を角度自在に連結結合させる回動手段と、を備えている。従って、視認角度情報を含んだこのような観察条件を一意に数値化させることで、同じように製造された対象物に対して、同じ出射波長パターンの光源下であれば、いつでも、色測場所の確認にいつも決まった場所でなくても、同条件下での色測定が可能となるので、精度の高い製品の良否判定などがどこでも可能になる。
【0026】
従って、本発明の色測用確認装置によれば、例えば特定の部品を複数のメーカーから納入しているような場合であっても、特定の部品の色の確認を行う際に、各メーカーがその装置を予め用意しておけば、同一色にそろった統一性のある部品を選出して製品として使用することが容易に可能となり、延いてはばらつきのある部品が取り付けられた製品を生み出す虞がなく、高品質な製品の提供へとつながる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の第1の実施形態に係る色測用確認装置を示す斜視図である。
図2】同色測用確認装置の別方向から見たときの状態を示す斜視図である。
図3】同色測用確認装置の正面図である。
図4】同色測用確認装置で観察者が観察物を観察するときの光源からの光の入反射状態を示す光路図である。
図5】同色測用確認装置で光源からの光の入射角度などを測定する際に使用する角度測定器の構成を示す説明図である。
図6】同色測用確認装置で観察者が観察物を観察するときの光源からの光の入反射状態を示す光路図である。
図7】本発明の第2の実施形態に係る色測用確認装置を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明は、観察対象物の観察点またはその近傍に少なくとも2点で当接する突起状の当接部材である接触子を設けた対物部と、基端に前記対物部を取り付けるとともに先端を光源に向かう方向に指向させる、略棒状の方向確認部と、前記方向確認部の一部において設置され、この方向確認部の先端が指す方向と同一方向に観察面を対面配置するとともに、前記観察面に指針を垂直に立設させた方向微調整部と、前記方向確認部の一部において傾動可能な状態に設け、重力作用方向が常時鉛直方向の真下を指すように設けられた角度測定具と、前記対物部に対して前記方向確認部を角度自在に連結結合させる回動手段と、を備えたものである。
【0029】
本発明は、このような構成により、観察対象物の色の状態を、観察者の視認角度(及び視認位置)を含(んだ)む客観的なデータとして定量的に得ることができる。このように、視認角度情報を含んだこのような観察条件を一意に数値化させることで、同じように製造された対象物に対して、いつでも、別の場所であっても、同条件下での色測定が可能となるので、精度の高い製品の良否判定などが可能になる。
【0030】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。
<第1の実施形態>
図1及び図2は、本発明の好適な実施形態に係る色測用確認装置1を示す斜視図である。なお、本実施形態において、3次元空間を定義するため、互いに直交する3方向をXYZで呼称した右手系の3次元デカルト座標を設定しているが、図6に示す原点Oを除いて、特に指定させていない場合には原点が任意の場所に設定可能である。
【0031】
本実施形態の色測用確認装置1は、対物部2と、方向確認部3と、方向微調整部4と、角度測定具5(以下、単に「測定具5」と呼ぶことがある。)と、補助角度測定具6(以下、単に「補助測定具6」とよぶことがある。)と、脚部7とを備えている。
【0032】
(構成の説明)
対物部2は、一定長を有するアームバー21と、このアームバー21の方向確認部3との連結面側である上面と反対の下面に設けた突起状の当接部材を構成する棒状の接触子22A及び22Bと、補助角度測定具6と、を備えている。
【0033】
アームバー21は、図5に示すように、上面21Aの中央部分に回動手段を構成する連結軸20を介して方向確認部3の基端を回動可能に連結させている。この連結軸20は、アームバー21の上面21Aに固設した基体23の上面からこの上面に垂直な方向に突設する縦軸20Aと、この縦軸20Aに対してこれに直交する方向に固設した横軸20Bとを備えている。
【0034】
この横軸20Bの両端側は、方向確認部3の本体31の下端側に左右一対設けた軸受32を介して、本体31の下端側に回動自在な状態で連結されている。また、特にこの横軸20Bの両端のうち、特に角度測定具5を設けている本体31の一面31Bに臨む方の一端には、その一面31Bに沿ってこれに平行な状態で補助角度測定具6が固設されている。なお、この補助角度測定具6については、後述する。
【0035】
本実施形態の接触子22A,22Bは、アームバー21の下面においてこの中央から夫々同一距離離間した互いに対称位置に、それぞれ同一長だけ突設されている。このような構成の対物部2では、例えば観察対象である図6に示す観察対象物Bの観察点P、即ち原点Oとした3次元座標P(X,Y,X)で示す位置、またはその近傍に、2点で当接する突起状のものからなる接触子22A及び接触子22Bを設けている。これらの接触子22A,22Bは、それぞれ、アームバー21の下面中央部から互いに両側に同一距離離れた場所において、下面21Bから垂直状態で立設されている。
【0036】
本実施形態の接触子22A及び接触子22Bは、細径円柱状のもので構成されており、先端部が円錐形状(又は円錐台形状でもよい)に形成されている。なお、この接触子は、当接する観察対象物Bの表面Sに接触中にその表面を損傷するのを防止するため、比較的軟質な材料で形成してあってもよい。また接触子は、これ以外に、通常は最大長まで突出するが、一定以上の力が作用するとアームバー21内に入り込むような、没出可能な構造であってもよい。
【0037】
なお、本実施形態の対物部は、1本のアームバーに対して2本の接触子を設けているが、本発明の対物部としては特にこれに限らない。例えば、回動手段との取付部分を中心とし、円周角が互い等角的に120°離れた放射状に3本設け、これらのアームバーにそれぞれ1本ずつ等距離離間して接触子を取付けてあってもよい。また観察対象物Bの形状にもよるが、このほかにも、例えば回動手段6の取付部分を中心として十字型のアームバーを設け、このアームバーの交差する十字部分の中心から互いに4方向に向けて等距離離間した部分に接触子を設けてもよい。
【0038】
方向確認部3は、長尺略棒状のものからなる本体31を備えており、この本体31の基端が回動手段である連結軸20を介して対物部2に回動可能に連結されている。本体31は、先端側が図示外の光源などの配置方向に向かうように指向させることで、観察対象物Bの観察点Pから光源へ向かう角度の方向が角度測定具5を介して、読み取れるようになっている。また、この方向確認部3の、対物部2のアームバー21とのなす角度については、詳細は後述するが、補助測定具6で容易に測定することができる。
【0039】
なお、この方向確認部3は、本体31が内外に重合させた下体3A及び上体3Bから構成されており、上体3Bには図示外のスライドねじで取り付けた摘みT1が設けられている一方、下体3Aにはそのスライドねじが貫通するスライド溝3Cが形成されている。このような構成の本体31は、摘みT1を緩めることで下体3A及び上体3Bの係合・拘束状態が解除され下体3A側が伸縮移動可能となっている。
【0040】
また、この上体3Bには、角度測定具5の近傍両側に、互いに対峙する状態でピン状の読取子33A、33Bが立設されており、例えばこの左右一対の読取子33A、33Bに同時にルーラーなどを押し当てるようにすれば、方向確認部3の後述する仰角γを容易に読み取ることができる。
【0041】
なお、この方向確認部3の部品観察部位に対する傾斜角度を容易に計測できるようにするため、例えば図示外の復帰用ばね(例えばトーションばね或いはコイルばね等)を連結軸20に介装させるようにしてもよい。即ち、この方向確認部3の本体31については、外力が作用しない状態のときに、回動手段6に設けたこの復帰用ばねの作用により、対物部2のアームバー21の上面21Aに対して直角状態の姿勢に復帰するように構成してもよい。また、この対物部2の元の状態への復帰手段としては、特にこのようなばねに限定されるものではなく、各種のものが適用可能である。
【0042】
また、本実施形態の方向確認部3には、中間部分に、方向微調整部4と、角度測定具5とが取り付けられている。
【0043】
方向微調整部4は、方向確認部3の一部、本実施形態では上部寄りに設置されており、この方向確認部3の先端が指す方向と同一方向に対面配置した観察面41と、この観察面41に垂直に立設させた指針43とを備えている。
【0044】
この方向微調整部4は、これを取り付けている方向確認部3が光源に対して正確にその向きを指向させているか否かを判別するとともに、その指向方向が光源の方向に対して角度がずれている場合にはこの向きの調整を行うことで、その確認ができるようになっている。即ち、本実施形態の方向微調整部4は、図6に示す光源LSが指針43に形成する影を手掛かりとして、その向きが光源方向に正しく指向しているかを判断する。また、正しく指向していない場合には、その向きが正しく光源方向に一致するように補正することが容易に行えるものである。
【0045】
この方向微調整部4を構成する観察面41は、図1に示すように、方向確認部3の本体31を延在させていったときの延長線(法線)Nに対して、これに直交する平面に平行な面で構成されており、方向確認部3の本体31の一方側の側面31Aに固着した基台41Aの表面に設置されている。
【0046】
また、この観察面41には、図2に示すように、同心状に複数の円42が描かれていると共に、それらの円42の中心部には所定長さの指針43が観察面41に対して鉛直状態となるように立設されている。なお、この方向微調整部としては、特にこの構成のものに限定されるものではなく、同様の効果を奏するものであればそれでもよい。
【0047】
このような構成の方向微調整部4では、例えば図示外の光源に向けて方向確認部3の本体31を指向させたときに、その本体31の向きが光源に対して正確に合致していれば、指針43が観察面41に投射される影がぼぼゼロとなることで、この指向方向が正しいことを確認することができる。一方、その本体31の指す向きが光源に対して不一致であれば、観察面41に指針43が落とす影がゼロとはならず、どちらかの向きに影が形成される。そこで、その陰の形成される方向を打ち消すような反対方向へ本体31を回動させることで、光源との向きのずれを解消させることができるようになっている。
【0048】
角度測定具5は、方向確認部3の一部において傾動可能な状態に設けられており、重力作用方向が常時鉛直(Z)方向の真下を指すように設けられている。即ち、本実施形態の角度測定具5は、図4に示すように、中心軸51を中心として傾動可能な分度器の本体52と、この分度器の本体52の裏面に設けた錘体53とを備えている。なお、この錘体53は、分度器の本体53の姿勢を常時一定方向に維持させるため、換言すれば、この本体53の重心が下方になるような目的で設定されてある。
【0049】
分度器の本体52は、図4に示すように、表面に全周角である中心角360°を多数に細かく等分割させた角度目盛が刻設されており、その基準となるラインが次に説明する水平線52A及び天頂線52Bである。水平線52Aは、重力加速度(g)の作用する鉛直下方、即ち、補助的に記載してある3次元座標系XYZのZ方向である天頂線52B(この天頂線52Bの向きは、重力加速度の作用方向に対して180°逆向きの方向である)に対して中心角を90°だけ回転させた方向に設定されている。
【0050】
この分度器の本体52は、中心軸51を中心として傾動可能となっているが、方向確認部3の本体31がいかなる方向に傾動しても、常に水平線52Aが水平状態の向き(或いは天頂線52Bが天頂の向き)を保持するようになっている。このような水平状態を常時保持させるために、本実施形態では本体52の裏面に前述のバラストとなる錘体53を取り付けている。なお、本発明の角度測定具における本体の水平状態を常に維持する手段として、本実施形態のものに限定される必要はなく、同様の効果を奏するものであればそれでも良い。即ち、これ以外にも、例えば方位計のジャイロコンパスやヨットなどの船舶のギャレー内のジンバルなどのような構造でも良い。
【0051】
補助角度測定具6は、対物部2のアームバー21の上面に対して、方向確認部3の本体31がどのような角度状態にあるのかを確認するためのものであり、例えば図5に示すように、アームバー21の上面21Aの指向角度、つまり法線N方向に対する方向確認部3の本体31の相対角度差を確認可能になっている。従って、図4に示すように、方向確認部3の本体31を光源LSにぴったり一致させてあれば、光源LSの観察点Pへの入射角θが読み取れることになる。
【0052】
本実施形態の補助角度測定具6は、図5に示すように、対物部2のアームバー21の上面側に一体に設けた連結軸20の中の横軸20Bに一体に固着されており、アームバー21の上面21Aに対する方向確認部3の本体31の相対的な傾斜角度を測定することができるようになっている。即ち、この補助角度測定具6は、縦軸20Aの立設方向にそった向き(ここでは、対物部2での天頂とよぶ)をゼロ度にした基準線N(図1又は図6参照)から等角的に角度を多数刻んだ目盛りが記載されており、この基準線SL(具体的には天頂線52B)からの角度を読み込むことで、対物部2の法線Nに対してどれだけの角度傾斜しているのかを容易に読み取ることができる。そのため、方向確認部3の本体31の下体3Aには、その補助測定具6の近傍に逆三角印(▼)の基準マークMが記載されている。即ち、方向確認部3の本体31を光源LSの向きに一致させ、そのときの基準マークMが指す角度が観察点Pの接線Tに対する仰角、即ち後述する擬仰角αが読み取れる。
【0053】
なお、この補助角度測定具6は、本実施形態では特に必須のものではなく、例えば角度測定具5を用いることで法線Nの角度を計測した直後に、方向確認部3の本体31を光源LSに一致する向きまで傾斜させたこところで、角度測定具5を用いる光源LSの角度を読み取り、これら双方の角度差を算出すれば、同様に、擬仰角αが導出できる。
【0054】
脚部7は、例えば所定の光源を備えるとともに観察物の色測確認や個々の製品における各製品色が基準の色の範囲にあるか否かを検出するために用意した検査ブースなどにおいて安定した状態で設置し、測定対象となる観察物の観察部位に対してこれに容易に当接させることができるようにするために設けたものである。
【0055】
本実施形態の脚部7は、主脚体71と、側枝体72と、横枝体73と、を備えており、床面に対して起立した状態で色測用確認装置1を静置状態に保持することができるようになっている。なお、本実施形態の脚部7は、左右のバランスを保持するために、特に側枝体72はその重量を、横枝体73の重量及び色測用確認装置1の主構成要素を合算した重量との合計重量とほぼ等しい重量となるよう、密度の高い材料で形成されており、バランサーとしても機能するようになっている。
【0056】
なお、この脚部7については、特にこのような構造のものに限定されるものではなく、同様の効果を奏する構造であればそれでもよい。また、この脚部は特に本発明で必須ものではなく、例えば小型でハンディな構造の色測用確認装置であれば、手で把持して使用する構成のものであってもよい。
【0057】
従って、本実施形態の色測用確認装置1によれば、精度の高い製品の良否判定などがどこでも可能になる。そのため、例えば特定の部品を複数のメーカーから納入しているような場合であって、特定の部品の色の確認を行うような際に、各メーカーが本実施形態の色測用確認装置を予め用意しておけば、同一色にそろった統一性のある部品を選出して製品として使用することが容易に可能となる。その結果、ばらつきのある部品が取り付けられた製品を生み出す虞がなく、延いては高品質な製品の提供へとつながる効果がある。
【0058】
(色測用確認装置の使用方法)
次に、本実施形態に係る色測用確認装置1の使用方法について、観察者がこれを使用して色測する際の角度の指定方法について説明する。なお、ここでは、以下に説明するように、観察点Pの入射角及び観察角(すなわち、反射角)を観察者が自分の目で直接計測することで、これらの角度及び以下の5種類の角度を用いて互いに相関付けることができるようになっているので、以下の[表1]において各角度の名称とその定義及び符号との対応関係をまとめて記載しておく。
【0059】
【表1】
【0060】
[光源光の入射角度の計測]
1)例えば特定波長の出射光源LS(図6参照)を有する図示外の専用の色合わせブースなどにおいて、初めに、使用者が色測すべき観察対象物Bである部品Bを持ち込み、その部品Bの検査すべき部位である観察点P(X,Y,X)の近傍に色測用確認装置1の対物部2を当接して係止させる。即ち、具体的には、対物部2の接触子22A及び接触子22Bがちょうど観察点Pを両側から挟むような状態で、即ち接触子22A及び接触子22Bの中間部に観察点Pが来るような状態で、接触子22A及び接触子22Bを観察部品の表面Sに当接させる。但し、観察点P(X,Y,X)は任意の場所であってもよい。
【0061】
ここで、方向確認部3の本体31が指す向き、即ち図6において法線N方向であるときの本体31の傾斜角度(以下、これを「偏角γ´」とよぶ。)を最初に確認しておき、その後に測定する入射角度α(以下、これを「擬仰角α」とよぶことがある。)や反射角δの余角である角度β(以下、これを「擬俯角β」とよぶことがある。)などの各種角度を算出するときの基準データとして用いる。なお、本実施形態では、図6において、X軸方向を基準とした光源LSに対する角度γを仰角、同じくX軸方向を基準とした観察者の目Eによる観察角度εを俯角とよぶことがある。また、これらの角度のうち、特に、入射角θ及び反射角δについては、前述した補助角度測定具6を用いることで、演算することが必要なく直接読み取ることもできる。
【0062】
2)次に、方向確認部3を把持してその本体31の先端の延長方向が光源LSに向かうように、横軸20Bを回動中心として本体31を、XZ平面に沿って回動させる。なお、このとき本体31を回動させる角度をθ(図6参照)とする。
【0063】
3)その後、方向微調整部4の観察面41に立設させた指針43の形成する影が、観察面41に形成されているか否かを確認する。
【0064】
即ち、指針43の影が観察面41の指針43自身のところで留まった、いわば影のない状態であれば、方向確認部3の本体31は、高い精度で光源の方向に向いていることが確認できる。一方、観察面41の円42に指針43の影を落としているようであれば、その影が消失するような方向に本体31が指向するように微調整する。具体的には、これを日時計の針に譬えたとすると、その指針43の影が指す向きが、例えば単針時計での1時10分の位置であるとした場合には、7時10分の方向に向けて本体31を傾動させることにより、その傾動途中で指針43の影の先がちょうど指針43自身を通過するところで、本体31回動傾斜の向きの微調整操作を停止させればよい。
【0065】
4)そして、図6において、この時の光源光が検査部位である点Pに入射するときの角度はγ(以下、この角度γは、光源LSを仮に観察者の目であるとすれば仰角に相当するので、これを「仰角γ」とよぶことにする。)である。この仰角γを、角度測定具5を使用して読み取る。
【0066】
5)このようにして、仰角γが測定されたならば、方向確認部3の本体31を把持していた手で方向確認部3を元の状態、即ち対物部2のアームバー21に対して直下となる状態まで回動させる。これにより、光学上で定義された入射角θ(即ち、θ=∠Q´PN)については、方向確認部3の本体31を法線N方向に戻したときの角度測定具5での読み取り角度γ´、即ち偏角γ´との差、つまり、γ-γ´(=θ:入射角)を演算して得ることができる。なお、前述したように、補助角度測定具6を用いることで、光源LS方向に方向確認部3の本体31を位置合わせしたときの補助角度測定具6の目盛を見るだけで、直ちに、上記のような演算をする必要なく直接読み取ることもできる。但し、この補助角度測定具6を用いるよりも、方向微調整部4での微調整によって測定具5で計測した方が、勿論、精度の高い入射角度の計測が行える。
【0067】
[光源光の反射角度の計測]
1)その後、方向確認部3を手で把持しながら、先の仰角γとは異なる角度δ(これを反射角δとよぶことがある。)だけ反対方向に回動傾斜させる。なお、この時の回動方向としては、当初、観察者が方向確認部の本体31を手で把持する前の姿勢角度状態(本体31がN方向を指した状態)から光源LSのある方向に本体31を回動傾斜させたが、反射角を測定する際には、観察者が方向確認部3の本体31を手で押しながら正反射角以外の適宜の角度まで傾動させる。例えば法線Nの向きに指向した状態に一旦戻した後、本体31を手で把持しながら任意の角度δだけ反対向きに回動傾斜させる。
【0068】
なお、その場合、正反射状態となる反射角度を避けるため、その角度δは先の入射角θとは異なる角度(δ≠θ)を任意に選出して回動させる。但し、その回動方向はN方向を跨いだ反対方向に回動させることは必須ではない。即ち、本体31がN方向を跨がずに、先の入射角度の近傍のその前後に回動傾斜させることで、反射角δを設定して構わない。
【0069】
なお、仰角γ又は入射角θの計測の際には、光源LSの方向を正確に合致・指向させることが要請されているが、反射角δの方は観察者が観察し易い姿勢となるような角度であればよいので、角度設定は任意である。但し、色測作業者は、必ずしも、同一場所、かつ、同一人であることに限らないので、これらの事情を考慮して、反射角δは多義的に設定できるよう、複数種類の反射角度を設定しておいてもよい。
【0070】
2)このようにして、反射角δを読み取る。このようにして、反射角δを読み取ったならば、次の方法によって、擬仰角α及び擬俯角βを導出する。
【0071】
[擬仰角α及び擬俯角βの算出]
上述した各角度、即ち仰角γ、反射角δなどの計測が完了したならば、図4において、以下のようにして、観察部位である点Pでの仰角γに対応する擬仰角α、及び俯角εに対応する擬俯角βを導出する。但し、ここで、符号Tは、点Pにおける接線、Nは点Pにおける法線、また角度θは入射角、即ち法線Nの方向と光源LSの方向とのなす角度である。
【0072】
・擬仰角α:
擬仰角αは、観察部位である点P部分を、水平線(図6での法線Nに直交する接線Tに相当する)を基準にして仰ぎ見た時の角度で定義している。従って、この擬仰角αは、法線Nに対して入射角θだけ小さな角度となるので、
α=90-θ
(但し、偏角γ´=γ+θである。)
で、容易にかつ、一意に算出できる。
【0073】
・擬俯角β:
同様に、擬俯角βは、観察部位である点P部分を、水平線(図6での法線Nに直交する接線Tに相当する)を基準にして見下ろした時の角度で定義している。従って、この擬俯角βは、
β=90-δ
(但し、俯角ε=180-(γ´+δ)である。)
で、容易にかつ、一意に算出できる。
【0074】
以上説明してきたように、本実施形態の色測用確認装置1を用いれば、簡易な構成の装置を用いて、観察者が対象部品などの測色作業を行う際の観察設定条件である角度情報、例えば観察点P(X,Y,Z)での擬仰角α及び擬俯角βを容易に設定することができる。換言すれば、観察点の位置を三次元的に任意に指定し、かつ、光源LSに関する角度情報、つまり、その観察点での法線Nに直交する接線Tにおける仰角及び俯角である擬仰角α及び擬俯角βが一義的に特定されれば、その観察点Pでの測色作業や色差の検査評価作業などを、どこでも、だれでも、客観的に行うことが可能となる。また、これを観察者の目Eでの官能測定ではなく、専用の測色計などにより、数値化したデータを定量的に、かつ、客観的に計測することも可能である。
【0075】
なお、この場合の光源LSは、同一波長パターン(分布特性)を有するものを使用する必要がある。また、法線Nについての設定方法としては、例えば観察点Pを中央位置としてここから左右両側等距離のところで、観察物の表面に接触子22A及び22Bを当接させればよい。
【0076】
このように、本実施形態の色測用確認装置1を用いれば、同じ波長の光源を使用することを条件として、どこでも、だれでも、確実に、対象部品などの測色作業、延いては各部品の色差を確認することができるようにもなり、対象部品の客観的な色を判断が可能となるので、便宜である。
【0077】
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態について、図7を参照しながら詳細に説明する。
先の第1の実施形態では、色測作業を観察作業者が自分の目を使って、観察対象となる部品などの色測作業や色差作業を行うような構成となっているが、本実施形態の色測用確認装置1´では、その色測作業や色差作業を、観察作業者の替りに、色測具(或いは色差計)9を用いる点が異なっている。なお、本実施形態では、第1の実施形態と同一部分には同一符号を付して重複説明を避ける。
【0078】
色測用確認装置1´は、対物部2と、方向確認部3と、方向微調整部4と、角度測定具5と、補助角度測定具6(以下、単に「補助測定具6」と呼ぶことがある。)と、脚部7との他に、色測部8、色測具9及び補助角度測定具6´(以下、単に「補助測定具6´」と呼ぶことがある。)、を備えている。
【0079】
(構成の説明)
本実施形態の色測部8は、回動手段である連結軸20を介して色測部8の背面側に平行に、具体的には、XZ平面方向に沿ってのみ回動可能な状態に設けられている。
【0080】
さらに色測部8は、下半体81A及び上半体81Bに上下2分割された長尺状の本体81で構成されており、下半体81Aに対して、上半体81Bがこの長手方向に対してスライド可能に連結されており、本体81が全体として伸縮可能な構造となっている。
【0081】
下半体81Aは、この下半体81Aに対して上半体81Bを長手方向に移動可能とすることで本体81が伸縮自在となっており、本実施形態では下半体81Aに設けた上半81Bの移動を拘束する摘みT2が設けられている。また、この下半体81Aは、基端部分が回動手段である連結軸20の横軸20Bを介して対物部2側に回動可能に連結されている。また、さらにこの横軸20Bの補助測定具6´を固設している一端とは反対側の端部、即ち他端には補助測定具6´が固設されており、対物部2に対して所望の角度に色測部8を傾斜させたときに、対物部2に対する色測部8の相対的な角度差を読み取ることができる。
【0082】
なお、この補助測定具6´については、先の第1の実施形態で用いた補助測定具6と同一構成のものが用いられているので、その使用方法については説明を省略する。
【0083】
色測具9は、指定された所定波長の光を出射する光源LSからの光が観察点Pで反射した後、正反射角θ以外の角度で進行する際の反射光を取り込んでその波長を分析することで、観察点Pの表面及びその近傍の観察物内部に有する物質の物性特性、特に波長の吸収及び反射特性に関する情報を機械的及び光学的に得ることができるように構成されている。なお、本実施形態の色測具9では、上半体81Bを伸縮させることで、入射する反射光の光量や輝度その他の光学情報の取得性の向上を図ることが可能になっている。
【0084】
(色測用確認装置の使用方法)
次に、本実施形態に係る色測用確認装置1の使用方法について、観察者がこれを使用して色測する際の角度の指定方法について説明する。
【0085】
観察部品の観察点への光源光の入射角度の計測および観察部品の観察点への光源光の反射角度の計測については、第1の実施形態と同様であるので、説明を省略する。このような構成により、観察部品の観察点への光源光の入射角度および観察部品の観察点への光源光の反射角度に関するデータが取り込めるので、これらの視認角度情報を含んだこのような観察条件を一意に数値化させることできる。
【0086】
これにより、同じように製造された観察対象物Bに対して、同じ出射波長パターンの光源下であれば、いつでも、色測定、色差、或いは色測評価などの確認作業に当たり、例えば指定された(決まった)地点ではない任意の三次元座標(X,Y,Z)の地点であっても、同条件下での色測定が可能となる。
【0087】
従って、観察対象物Bにおける任意の部分に対して良否判定などが可能になるので、各部位ごとの微妙な色差を設けた観察対象物Bに対しても、全面に亘った精度の高い製品の確認が可能となり、延いては色バランスが各部位で異なる製品に対して全く同一色バランスを有する製品を提供可能になる。
【0088】
なお、本発明は上述した実施形態に限られず、上述した実施形態の中で開示した各構成を相互に置換したり組合せを変更したりした構成、公知発明並びに上述した実施形態の中で開示した各構成を相互に置換したり組合せを変更したりした構成、等も含まれる。即ち、本発明の技術的範囲は上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された事項とその均等物まで及ぶものである。
【0089】
さらにまた、本発明の適用対象としては、上述した実施形態のような車用の部品に限定されるものではなく、各種分野での部品の測色の評価や色差の確認の際に使用する装置への適用が可能である。
【符号の説明】
【0090】
1、1´ 色測用確認装置
2 対物部
20 連結軸(回動手段)
20A 縦軸
20B 横軸
21 アームバー
21A 上面
21B 下面
22A、22B 接触子
23 基体
3 方向確認部
3A 下体
3B 上体
3C スライド溝
31 本体
31A 側面
31B 一面
32 軸受
33A、33B 読取子
4 方向微調整部
41 観察面
41A 基台
42 同心円
43 指針
5 角度測定具(測定具)
51 中心軸
52 分度器の本体
52A 水平線
52B 天頂線
53 錘体
6、6´ 補助角度測定具(補助測定具)
7 脚部
71 主脚体
72 側枝体
73 横枝体
8 色測部
81 本体
81A 下半体
81B 上半体
9 色測具
B 観察対象物(部品)
E 観察者の目
LS 光源
M 基準マーク
N 法線
O 原点
P 観察点
T 接線
T1、T2 摘み
(X,Y,X) 観察点での3次元座標
α 入射角度(擬仰角)
β 反射角度(擬俯角)
γ 仰角
γ´ 偏角
δ 反射角
ε 観察角度(俯角)

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7