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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023068385
(43)【公開日】2023-05-17
(54)【発明の名称】防風装置
(51)【国際特許分類】
   B63B 35/00 20200101AFI20230510BHJP
   E04H 9/14 20060101ALI20230510BHJP
   E04H 3/14 20060101ALI20230510BHJP
   E04H 17/16 20060101ALI20230510BHJP
   A63K 3/00 20060101ALI20230510BHJP
【FI】
B63B35/00 Z
E04H9/14 F
E04H3/14 Z
E04H17/16 104
A63K3/00
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021179445
(22)【出願日】2021-11-02
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-05-06
(71)【出願人】
【識別番号】521283878
【氏名又は名称】スーパーレジンクラフト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129056
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 信雄
(72)【発明者】
【氏名】濱村 昭太郎
【テーマコード(参考)】
2E139
2E142
【Fターム(参考)】
2E139AA05
2E139AC19
2E142AA03
2E142HH01
(57)【要約】
【課題】 場内への風の影響を軽減しつつ、強風に対して損傷等しない防風装置を提供する。
【解決手段】 防風板を有する浮遊型の防風装置であって、複数のフロートと、連結部と、柱と、防風板と、から成り、各フロートは一列に並び、各フロート同士は連結部で固定され、各フロートから略垂直に柱が設けられ、柱間に防風板が設けられ、防風板には複数の穴が設けられている構成を採用した。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
防風板を有する浮遊型防風装置であって、
複数のフロートと、連結部と、柱と、防風板と、から成り、
各フロートは一列に並び、各フロート同士は連結部で固定され、各フロートから略垂直に柱が設けられ、柱間に防風板が設けられ、防風板には、複数の穴が設けられていることを特徴とする防風装置。
【請求項2】
前記防風板は中央部が突出して形成され、水平方向に隣接する防風板同士の突出方向が異なることを特徴とする請求項1に記載の防風装置。
【請求項3】
前記フロートの形状が楕円又は小判状であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の防風装置。
【請求項4】
前記各フロートの間に抵抗板が設けられ、該抵抗板の中央には下方向に突出した突出部が形成され、該突出部の一部は水面下にあることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の防風装置。
【請求項5】
前記各フロートの上面をつなぐ床部が備えられて成ることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の防風装置。
【請求項6】
前記フロートは、上部に浮力体を備えると共に、下部にスカート部が形成され、該スカート部は水面下に位置することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の防風装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防風装置に関し、詳しくは、競艇場内の風の影響を軽減する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、競艇場における風への対策は、消波装置に取り付けられた偏風板で行うのが一般的であった。偏風板を用いることで、風の流れを上方に変え、水面が波立つことを防ぐことができる。しかし、偏風板は、強風時に、退避したり、畳んだりする等の対応が必要であった。
そこで、場内への風の影響を軽減しつつ、強風に対して、損傷等しない構造が求められていた。
【0003】
このような問題に対して、従来からも様々な技術が提案されている。例えば、競艇場水面に於ける風による波の発生を防止するために、偏風板を備えた消波装置が提案されている(特許文献1参照)。より詳しくは、複数本の偏風板取付用柱に複数枚の偏風板を固定し、強風時は、偏風板を収容する構造である。
しかしながら、突風等の急な強風の場合、収容が間に合わず、偏風板に負荷がかかって、損傷や倒壊の可能性があるため、問題解決には至っていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭52-37141号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑み、場内への風の影響を軽減しつつ、強風に対して損傷等しない防風装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明は、防風板を有する浮遊型の防風装置であって、複数のフロートと、連結部と、柱と、防風板と、から成り、各フロートは一列に並び、各フロート同士は連結部で固定され、各フロートから略垂直に柱が設けられ、柱間に防風板が設けられ、防風板には複数の穴が設けられている手段を採用する。
【0007】
また、本発明は、前記防風板の中央部が突出して形成され、水平方向に隣接する防風板同士の突出方向が異なる手段を採用する。
【0008】
さらに、本発明は、前記フロートの形状が楕円又は小判状である手段を採用する。
【0009】
またさらに、本発明は、前記各フロートの間に抵抗板が設けられ、該抵抗板の中央には下方向に突出した突出部が形成され、該突出部の一部
【0010】
さらにまた、本発明は、前記各フロートの上面をつなぐ床部が備えら
【0011】
そしてまた、本発明は、前記フロートが、上部に浮力体を備えると共に、下部にスカート部が形成され、該スカート部は水面下に位置する手段を採用する。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る防風装置によれば、強風の影響を軽減できるので、特別な対応を行うことなく強風での損傷を回避でき、競艇場のレース環境の改善、環境整備作業の効率化を実現し得る、といった優れた作用効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係る防風装置の実施形態を示す全体斜視図である。
図2】本発明に係る防風装置の実施形態を示す三面図である。
図3】本発明に係る防風装置における防風板の穴の効果を説明する説明図である。
図4】本発明に係る防風装置におけるスカート部の効果を説明する説明図である。
図5】本発明に係る防風装置における防風板の構造を示す説明図ある。
図6】本発明に係る防風装置における抵抗板を示す説明図ある。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係る防風装置は、防風板を有する浮遊型の防風装置であって、複数のフロートと、連結部と、柱と、防風板と、から成り、各フロートは一列に並び、各フロート同士は連結部で固定され、各フロートから垂直に柱が設けられ、柱間に防風板が設けられ、防風板には複数の穴が設けられた構成を採用することで、場内への風の影響を軽減しつつ、強風に対して損傷等しないことを最大の特徴とする。
以下、本発明に係る防風装置の実施形態を、図面に基づいて説明する。
【0015】
尚、以下に示される防風装置の全体形状及び各部の形状は、下記実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内、即ち、同一の作用効果を発揮できる形状や寸法等の範囲内で適宜変更することができるものである。
【0016】
図1から図6に従って、本発明を説明する。図1は、本発明に係る防風装置の実施形態を示す全体斜視図である。図2は、本発明に係る防風装置の実施形態を示す三面図であり、(a)は正面図、(b)は上面図、(c)は側面図である。図3は、本発明に係る防風装置における防風板の穴の効果を説明する説明図であり、(a)は防風板の正面図、(b)は防風板と風の関係を示す説明図、(c)は防風板に突起部がある場合の防風板と風の関係を示す説明図である。図4は、本発明に係る防風装置におけるスカート部の効果を説明する説明図であり、(a)はフロートの構造図、(b)はスカートが無い場合の水流を示す説明図、(c)はスカートがある場合の水流を示す説明図である。図5は、本発明に係る防風装置における防風板の構造を示す説明図である。図6は、本発明に係る防風装置における抵抗板を示す説明図である。
【0017】
本発明に係る防風装置1は、競艇場の周囲の水面に浮かび、周囲からの風の競艇場内への影響を軽減するためのものであり、主にフロート10と、連結部20と、防風板30と、柱40と、抵抗板50と、から構成されている。
【0018】
フロート10は、防風装置1を水上に浮かべるためのものである。上方から見た形状は、楕円型又は小判状などの所謂舟形である(図1図2)。先端部分を丸くすることにより、強い波や水流からの抵抗を和らげ、消波効果も期待できる。このような形状であるので、水の流れを受け流すことができる。
フロート10の内部、上方には、浮力体11が内蔵されている。フロート10を水上に浮かべた際、水面は浮力体11の中間付近にあり、浮力体11の水面下の部分の浮力によって、フロート10は、浮かぶことができる。
フロート10の底部にはスカート部12があり、浮力体11との間に、水の流入可能な空間を設け、この空間に流入した水によって安定性を保持する(図4)。スカート部12の効果については別途、記載する。
【0019】
フロート10の上面の中央付近には、柱40が略垂直に建てられている。また、柱40を補強するための支えとしての補強部41の端部を固定する部分が、フロート10の上面所定箇所に設けられている。
フロート10の上面の一部には、床部13が設けられている(図1図2)。床部13は、複数のフロート10を跨ぐように、連結部20の間に設置されている。床部13を設けることで、複数のフロート10の間をスムーズに行き来できるので、防風板30の交換等の作業を容易に行うことができる。
【0020】
複数のフロート10を並べ、連結部20で連結することで、防風装置1の土台部分が完成する。従来は、防風板30の面に沿った、一体のものを用いていたが、複数のフロート10を並べる構成とすることによって、水上配置場所の水流に逆らわないことになり、強度の改善と安定性の向上が得られる(図2)。また、この形状により、装置内に滞留する水流がないため、ゴミ等の堆積がなりなり、臭気の発生やゴミ回収処理などが改善される。
フロート10の周囲、底部分には、自己消耗型船底塗料を塗布し、水中生物の付着を5年程度防ぐことができる。
【0021】
連結部20は、複数のフロート10を固定するための棹状の固定具である。複数の連結部20によって、フロート10を固定する。複数のフロート10を安定して固定するために、強度が必要である。素材として、鋼材山形鋼が用いられる。また、連結部20の軽量化やメンテナンス容易化のため、素材として、FRP材を用いたり、SUS仕様、AL仕様を採用してもよい。
【0022】
防風板30は、風に対して、抵抗物となるものである。2m×1m程度の板状のものであり、柱40の間に設置させる。該防風板30は、縦方向に数段重ねることができ、希望防風域により高さ方向に防風板30を積み重ねて対応することができる。また、1つの防風板30は、比較的小さいので、交換が簡単にできる。(図1図2)。
【0023】
防風板30には、多数の貫通穴31が設けられ、強風に対して防風効果と強度のバランスを取ることができる。防風板30は、突出部32を軸に所定の角度で、折り曲がっている。風に対して板面に角度を持たせることによって、風向を渦巻状態にして風力を減衰させることができる。
また、防風板30の材質は、強化プラスチックである。この素材により、海水腐食を防止でき、軽量化も図ることができる。
【0024】
抵抗板50は、並べられたフロート10の間に配置されている(図2)。中央が下方向に突出した突出部51を持ち、連結部20にボルト60で固定されている。突出部51付近は、水面下にある。抵抗板50は、フロート10の間を風が抜けてしまうことを防止する。また、消波効果を発揮する。詳細は別途説明する。
【0025】
図3に沿って、防風板30の貫通穴31の効果について説明する。図3(a)に示すように、防風板30の表面に、ほぼ均等に貫通穴31が設けられている。貫通穴31の数、大きさは、設置する場所の強風の程度等によって調整することができる。
【0026】
図3(b)は、防風板30に風が当たった場合の模式図であり、防風板30を上方から見た図である。風は、左方向から防風板30に当たる。一部分は、防風板30で止められ、他の部分は防風板30を通過する。風の勢いは、防風板30により、大幅に低減される。また、風による防風板30への負荷は、風の一部が通過するため、貫通穴31の無い場合よりも軽減される。そのため、防風の効果を維持しながら、強風での破損、倒壊を回避することができる。
【0027】
図3(c)は、防風板30に、さらに突出部32がある場合の風の動きを示す模式図である。風の一部分は通過し、風の他の部分は防風板30に当たる。防風板30に当たった際、防風板30に角度があるため、風の方向が変化し、防風板30への負荷が軽減される。そのため、強風時の負荷をさらに軽減することができる。
【0028】
図5に沿って、防風板30の突出部32の効果を説明する。図5は、防風板30に風が当たった場合の模式図であり、防風板30を上方から見た図である。風は、左方向から防風板30に当たる。防風板30には突出部32があり、該突出部32は、固定された両端からみて中央付近で折れ曲がる構造である。突起の方向は、隣り合う防風板30で、互いに逆方向を向いている。このような構造とすることによって、風が防風板30のいずれの面から当たっても同様の効果を発生させることができる。風が防風板30に当たると、防風板30の面は、風に対して、角度を持っているため、風の方向が変化し、渦巻状態となり、風力を減衰することができる。このように、防風板30に突出部32を設けることによって、防風の効果を維持しながら、強風での破損、倒壊を回避することができる。
【0029】
図6に沿って、抵抗板50の防風、消波効果について説明する。図6は、抵抗板50に風が当たった場合の模式図であり、抵抗板50を側面から見た図である。風は、左方向から抵抗板50に当たる。抵抗板50は中央部が下方向に突出した突出部51を持つ。抵抗板50は、フロート10の長手方向の端辺で固定され、長手方向の中央部で下方向に折れ曲がる構造である。抵抗板50の突出部51は、水面よりも下にある。
【0030】
フロート10よりも上方の風Aは、防風板30により防がれる。フロート10の側面の隙間の風Bは、抵抗板50に当たる。抵抗板50の突出部51部分は、水面下にあるので、風はすり抜けることなく防ぐことができる。また、波Cは、突出部51に当たることで、勢いを低減することができ、消波効果を得ることができる。
このように、抵抗板50によって、防風の効果と消波の効果を得ることができる。
【0031】
図4に沿って、スカート部12の消波効果について説明する。図4(a)に示す様に、フロート10の下部空間は、水で満たされている。
図4(b)は、フロート10の底が密閉さたと仮定した場合の図である。密閉されているので、水が入らない。この場合、水流は、左から右へ淀みなく流れてしまい、水の動きを軽減することができない。
それに対して、図4(c)では、スカート部12があることによって、水流はフロート10の底付近の空間でうねりを発生し、水の動きを軽減することができる。
このように、フロート10の外周のスカート部12は、水の抵抗部分として働き、水の揺れを防止、軽減する効果がある。
【0032】
以上の構成から成る本発明に係る防風装置1は、水上に浮かべて使用されるもので、その際に水流や風の力で水上を自由に移動してしまうことのないよう、岸壁や係留杭にワイヤーやチェーンを使って係留させたり、あるいはアンカーを用いたりして、水上における必要箇所に係留状態で設置されることとなる。
【0033】
以上の構成から成る本発明に係る防風装置1によれば、強風の影響を軽減できるので、特別な対応を行うことなく強風での装置の損傷を回避でき、競艇場のレース環境の改善、環境整備作業の軽減を行うことができるものである。
【0034】
また、構成する全ての部品をメンテナンス可能な部品として考えることができるので、維持管理を容易にすることができる。
さらに、従来品に比べて、可動部が少なく、構造がシンプルであることから、部品点数を大幅に減らすことができ、省力化することができる。
【0035】
またさらに、構造がシンプルで、部品点数が少ないことから、組み立て容易であるので、現場施工の工期の短縮等が可能であり、また、生産、施工の効率化を実現し、コスト削減・販売価格の競争力をつけることができる。
【0036】
そしてまた、材質をFRP等にすることによって、将来のリプレイスに対応した際、産業廃棄物処分の軽量化を行うことができ、耐久性が向上し、耐用年数を現行8年から15年程度にすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明に係る防風装置は、競艇場だけでなく一般の防風設備としての利用も可能であって、機能性及び防風設備の維持管理性を向上させる技術として、産業上の利用可能性は大きいものと思料する。
【符号の説明】
【0038】
1 防風装置
10 フロート
11 浮力体
12 スカート部
13 床部
20 連結部
30 防風板
31 貫通穴
32 突出部
40 柱
41 補強部
50 抵抗板
51 突出部
60 ボルト

図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2022-01-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
防風板を有する浮遊型防風装置であって、
複数のフロートと、連結部と、柱と、防風板と、から成り、
各フロートは一列に並び、各フロート同士は連結部で固定され、各フロートから略垂直に柱が設けられ、柱間に防風板が設けられ、防風板には複数の穴が設けられており、
防風板は中央部が突出して形成され、水平方向に隣接する防風板同士の突出方向が異なることを特徴とする防風装置。
【請求項2】
前記フロートの形状が楕円又は小判状であることを特徴とする請求項1に記載の防風装置。
【請求項3】
前記各フロートの間に抵抗板が設けられ、該抵抗板の中央には下方向に突出した突出部が形成され、該突出部の一部は水面下にあることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の防風装置。
【請求項4】
前記各フロートの上面をつなぐ床部が備えられて成ることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の防風装置。
【請求項5】
前記フロートは、上部に浮力体を備えると共に、下部にスカート部が形成され、該スカート部は水面下に位置することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の防風装置。