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特開2023-68391無人航空機制御装置、無人航空機制御方法、無人航空機制御プログラム及び無人航空機
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023068391
(43)【公開日】2023-05-17
(54)【発明の名称】無人航空機制御装置、無人航空機制御方法、無人航空機制御プログラム及び無人航空機
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/10 20060101AFI20230510BHJP
   B64C 39/02 20060101ALI20230510BHJP
   B64C 27/08 20230101ALI20230510BHJP
   B64D 27/24 20060101ALI20230510BHJP
   B64C 13/18 20060101ALI20230510BHJP
   G08G 5/00 20060101ALI20230510BHJP
【FI】
G05D1/10
B64C39/02
B64C27/08
B64D27/24
B64C13/18 Z
G08G5/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021179459
(22)【出願日】2021-11-02
(71)【出願人】
【識別番号】521480813
【氏名又は名称】株式会社ロボデックス
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】弁理士法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】貝應 大介
【テーマコード(参考)】
5H181
5H301
【Fターム(参考)】
5H181AA26
5H181AA27
5H181EE13
5H181EE14
5H181FF04
5H181FF05
5H181FF13
5H301AA06
5H301BB14
5H301CC04
5H301CC07
5H301CC10
5H301DD01
5H301GG14
(57)【要約】
【課題】無人航空機の、目的地までの飛行を効率的に制御できる無人航空機制御装置を提供する。
【解決手段】 無人航空機の飛行ルートの情報を認識する飛行ルート認識部と、第1飛行可能空間と第2飛行可能空間とを認識する飛行可能空間認識部と、無人航空機の状態を認識する航空機状態認識部と、無人航空機の状態に応じて飛行ルートの変更内容を決定して出力する飛行ルート変更部とを備え、飛行ルート変更部は、無人航空機の上下左右方向の現在の位置が第1飛行可能空間から逸脱している又は逸脱するおそれがある場合に、無人航空機に向かって吹く風の向き及び強さの情報を取得し、風の向き及び強さが所定の状態にある場合には第2飛行可能空間を通るように飛行ルートの変更内容を決定し、風の向き及び強さが所定の状態にない場合には第1飛行可能空間での飛行を継続するように指示する情報を無人航空機に出力する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無人航空機の、目的地までの飛行を制御する装置であって、
前記無人航空機の、現在の位置から前記目的地まで飛行する間に通過する3次元方向の位置を示す情報からなる、飛行ルートの情報を認識する飛行ルート認識部と、
前記飛行ルートが空中に描く線分を起点として、該線分の周方向に向かって該線分から第1の所定距離を有して広がる空間である第1飛行可能空間と、該第1飛行可能空間の外側に該第1の所定距離よりも長い第2の所定距離を有して該線分の周方向に向かって広がる空間である第2飛行可能空間と、を認識する飛行可能空間認識部と、
前記目的地への飛行中の前記無人航空機の現在の3次元方向の位置情報と、該無人航空機に向かって吹く風の向き及び強さの情報と、からなる、該無人航空機の状態を認識する航空機状態認識部と、
前記航空機状態認識部が認識した前記無人航空機の状態に応じて、該無人航空機の前記飛行ルートの変更内容を決定して、該決定した変更後の飛行ルートの情報を該無人航空機に向けて出力する飛行ルート変更部と、
を備え、
前記飛行ルート変更部は、
前記航空機状態認識部が認識した前記無人航空機の上下左右方向の現在の位置が前記第1飛行可能空間から逸脱している又は逸脱するおそれがある場合に、前記航空機状態認識部が認識した該無人航空機に向かって吹く風の向き及び強さの情報を取得し、
該風の向き及び強さが所定の状態にある場合には前記第2飛行可能空間を通るように前記飛行ルートの変更内容を決定し、該風の向き及び強さが所定の状態にない場合には前記第1飛行可能空間での飛行を継続するように指示する情報を該無人航空機に出力するように構成されている
ことを特徴とする無人航空機制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の無人航空機制御装置において、
前記航空機状態認識部は、前記無人航空機が備える複数のローターそれぞれにかかる負荷を示す情報を取得して、該複数のローターにかかる負荷を示す情報に基づいて、該無人航空機に向かって吹く風の向き及び強さを認識するように構成されている
ことを特徴とする無人航空機制御装置。
【請求項3】
請求項2に記載の無人航空機制御装置において、
前記無人航空機は、電力を動力源として飛行する無人航空機であり、
前記航空機状態認識部は、前記無人航空機に電力を供給する電力源から前記複数のローターそれぞれに供給される電力の電圧の高さ及び電流の大きさの一方又は両方の情報を、前記負荷を示す情報として取得するように構成されている
ことを特徴とする無人航空機制御装置。
【請求項4】
請求項1~3の何れかに記載の無人航空機制御装置において、
前記飛行ルート変更部は、該無人航空機に向かって吹く風の向き及び強さに応じて、前記無人航空機の上下左右方向への移動方向及び移動距離の長さを決定し、該決定した方向に向けて該決定した長さの距離を移動した位置を飛行するように前記飛行ルートの変更内容を決定するように構成されている
ことを特徴とする無人航空機制御装置。
【請求項5】
請求項1~4の何れかに記載の無人航空機制御装置において、
前記無人航空機は、電力を動力源として飛行する無人航空機であり、
前記航空機状態認識部は、前記無人航空機に電力を供給する電力源から供給される電力の電圧の高さ及び電流の大きさの一方又は両方と、前記無人航空機の周辺の気温及び湿度の一方又は両方と、を認識するように構成されており、
前記飛行ルート変更部は、前記電圧の高さ及び電流の大きさの一方又は両方が所定の第1閾値以下である場合であって、前記気温及び湿度の一方又は両方が所定の第2閾値以下である場合には、該気温及び湿度の一方又は両方の高さと、該無人航空機の飛行位置を下方向に移動させる移動距離の長さと、の対応関係を示す情報を用いて、該気温及び湿度の一方又は両方の高さに対応する、該無人航空機の飛行位置を下方向に移動させる移動距離の長さを認識し、該認識した移動距離を下方向に向けて移動した位置を飛行するように前記飛行ルートの変更内容を決定するように構成されている、
ことを特徴とする無人航空機制御装置。
【請求項6】
請求項1~5の何れかに記載の無人航空機制御装置において、
前記飛行可能空間認識部は、
前記無人航空機が通過する地点が、あらかじめ定められた制限区域の上空であるか否かを認識し、
該無人航空機が通過する地点が前記制限区域の上空でない場合の前記第1の所定距離は、該無人航空機が通過する地点が前記制限区域の上空である場合の前記第1の所定距離よりも長い距離であり、又は
該無人航空機が通過する地点が前記制限区域の上空でない場合の前記第2の所定距離は、該無人航空機が通過する地点が前記制限区域の上空である場合の前記第2の所定距離よりも長い距離である
ことを特徴とする無人航空機制御装置。
【請求項7】
請求項1~6の何れかに記載の無人航空機制御装置において、
前記航空機状態認識部は、前記飛行ルートに含まれる地点の、風の向き及び強さと、降雨量と、の一方又は両方の予報の情報を認識するように構成されており、
前記飛行ルート変更部は、
前記予報の情報を参照して、前記飛行ルートに含まれる地点を前記無人航空機が通過する予定時刻における、前記風の向き及び強さと、前記降雨量と、の一方又は両方が該無人航空機の飛行に悪影響を及ぼす所定の飛行悪影響状態にある場合には、
該無人航空機の飛行速度を変更した場合の、該無人航空機が該地点を通過する想定時刻を認識するとともに、該想定時刻における風の向き及び強さと、降雨量と、の一方又は両方の予報の情報を認識して、該想定時刻において該地点は前記飛行悪影響状態にない場合には、該飛行速度に変更して飛行するように指示する情報を該無人航空機に出力するように構成されている
ことを特徴とする無人航空機制御装置。
【請求項8】
請求項1~7のいずれかに記載の無人航空機制御装置を備えていることを特徴とする無人航空機。
【請求項9】
コンピューターが実行する、無人航空機の、目的地までの飛行を制御する方法であって、
前記無人航空機の、現在の位置から前記目的地まで飛行する間に通過する3次元方向の位置を示す情報からなる、飛行ルートの情報を認識するステップと、
前記飛行ルートが空中に描く線分を起点として、該線分の周方向に向かって該線分から第1の所定距離を有して広がる空間である第1飛行可能空間と、該第1の所定距離よりも長い第2の所定距離を有して該線分の周方向に向かって広がる空間である第2飛行可能空間と、を認識するステップと
前記目的地への飛行中の前記無人航空機の現在の3次元方向の位置情報と、該無人航空機に向かって吹く風の向き及び強さの情報と、からなる、該無人航空機の状態を認識するステップと、
前記認識した前記無人航空機の状態に応じて、該無人航空機の前記飛行ルートの変更内容を決定するステップと、
前記決定した変更後の飛行ルートの情報を該無人航空機に向けて出力するステップと、
を含み、
前記飛行ルートの変更内容を決定するステップは、
前記認識した前記無人航空機の上下左右方向の現在の位置が前記第1飛行可能空間から逸脱している又は逸脱するおそれがある場合に、前記認識した該無人航空機に向かって吹く風の向き及び強さの情報を取得し、
該風の向き及び強さが所定の状態にある場合に、前記第2飛行可能空間を通るように前記飛行ルートの変更内容を決定するステップである
ことを特徴とする無人航空機制御方法。
【請求項10】
コンピューターに、無人航空機の、目的地までの飛行を制御させるプログラムであって、
前記無人航空機の、現在の位置から前記目的地まで飛行する間に通過する3次元方向の位置を示す情報からなる、飛行ルートの情報を認識するステップと、
前記飛行ルートが空中に描く線分を起点として、該線分の周方向に向かって該線分から第1の所定距離を有して広がる空間である第1飛行可能空間と、該第1の所定距離よりも長い第2の所定距離を有して該線分の周方向に向かって広がる空間である第2飛行可能空間と、を認識するステップと
前記目的地への飛行中の前記無人航空機の現在の3次元方向の位置情報と、該無人航空機に向かって吹く風の向き及び強さの情報と、からなる、該無人航空機の状態を認識するステップと、
前記認識した前記無人航空機の状態に応じて、該無人航空機の前記飛行ルートの変更内容を決定するステップと、
前記決定した変更後の飛行ルートの情報を該無人航空機に向けて出力するステップと、
を実行させ、
前記飛行ルートの変更内容を決定するステップは、
前記認識した前記無人航空機の上下左右方向の現在の位置が前記第1飛行可能空間から逸脱している又は逸脱するおそれがある場合に、前記認識した該無人航空機に向かって吹く風の向き及び強さの情報を取得し、
該風の向き及び強さが所定の状態にある場合に、前記第2飛行可能空間を通るように前記飛行ルートの変更内容を決定するステップである
ことを特徴とする無人航空機制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無人航空機の、目的地までの飛行を制御する装置、方法、プログラム及び当該装置を備える無人航空機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、飛行ロボット制御システムが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-052341号報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
自律的に飛行を続けるドローンなどの無人航空機は、あらかじめ定められた飛行ルートに沿って目的地への飛行を続けるように制御されるが、風況などの気象状態によっては、飛行ルートで飛び続けることが適切でない場合がある。
【0005】
例えば、無人航空機に対して、ある程度の強さの横風が継続して吹いている場合に、飛行ルートに厳格に沿って飛行を続けようとすると、横風にあらがって飛行を続けることとなる。
【0006】
そうすると、そのような風が吹いていない状態で飛行を継続する場合に比して、多くの電力や燃料が消費されることとなり、またモーターなどの駆動部により多くの負担がかかる。結果的に、目的地に到着するために必要な電力や燃料が不足する、あるいはモーターなどの駆動部への過度の負担による故障や不具合の原因になる、などの問題を生じさせる。
【0007】
特許文献1に記載の技術によれば、飛行中の飛行ロボットが風を受けた際に、風の強さ又は気流の安定度と、バッテリーの残量とに応じて、飛行ルートをよりバッテリー消費量が少ない飛行ルートに変更することができる。
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、バッテリー残量が閾値未満となった際に飛行ルートを変更するので、バッテリー残量が閾値未満となるまでは風にあらがって飛行を続けることとなり、その間は、多くの電力や燃料が消費され、またモーターなどの駆動部への負担がかかり続けてしまうので効率的ではない。
【0009】
そこで本発明は、無人航空機の、目的地までの飛行を効率的に制御する装置、方法、プログラム及び、当該装置を備える無人航空機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の無人航空機制御装置は、
無人航空機の、目的地までの飛行を制御する装置であって、
前記無人航空機の、現在の位置から前記目的地まで飛行する間に通過する3次元方向の位置を示す情報からなる、飛行ルートの情報を認識する飛行ルート認識部と、
前記飛行ルートが空中に描く線分を起点として、該線分の周方向に向かって該線分から第1の所定距離を有して広がる空間である第1飛行可能空間と、該第1飛行可能空間の外側に該第1の所定距離よりも長い第2の所定距離を有して該線分の周方向に向かって広がる空間である第2飛行可能空間と、を認識する飛行可能空間認識部と、
前記目的地への飛行中の前記無人航空機の現在の3次元方向の位置情報と、該無人航空機に向かって吹く風の向き及び強さの情報と、からなる、該無人航空機の状態を認識する航空機状態認識部と、
前記航空機状態認識部が認識した前記無人航空機の状態に応じて、該無人航空機の前記飛行ルートの変更内容を決定して、該決定した変更後の飛行ルートの情報を該無人航空機に向けて出力する飛行ルート変更部と、
を備え、
前記飛行ルート変更部は、
前記航空機状態認識部が認識した前記無人航空機の上下左右方向の現在の位置が前記第1飛行可能空間から逸脱している又は逸脱するおそれがある場合に、前記航空機状態認識部が認識した該無人航空機に向かって吹く風の向き及び強さの情報を取得し、
該風の向き及び強さが所定の状態にある場合には前記第2飛行可能空間を通るように前記飛行ルートの変更内容を決定し、該風の向き及び強さが所定の状態にない場合には前記第1飛行可能空間での飛行を継続するように指示する情報を該無人航空機に出力するように構成されている
ことを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、飛行可能空間認識部により、無人航空機の飛行ルートが空中に描く線分を起点として、該線分の周方向に向かって該線分から第1の所定距離を有して広がる空間である第1飛行可能空間と、該第1飛行可能空間の外側に該第1の所定距離よりも長い第2の所定距離を有して該線分の周方向に向かって広がる空間である第2飛行可能空間と、が認識される。
【0012】
そして、無人航空機の上下左右方向の現在の位置が第1飛行可能空間から逸脱している又は逸脱するおそれがある場合であって、風の向き及び強さが所定の状態にある場合に、第2飛行可能空間を通るように飛行ルートの変更内容が決定され、該風の向き及び強さが所定の状態にない場合には第1飛行可能空間での飛行を継続するように指示される。
【0013】
これにより、風に吹かれて飛行ルートが空中に描く線分から離れた場合においても、無人航空機は、第1飛行可能空間の範囲にいる間は風にあらがうことなく飛行を続けるので、風にあらがって飛行を続けることにより多くの電力や燃料が消費され、またモーターなどの駆動部により多くの負担がかかる可能性を軽減できる。
【0014】
そして、無人航空機が第1飛行可能空間から逸脱している又は逸脱するおそれがある場合において、風の向き及び強さが所定の状態にあれば、第1飛行可能空間の外側の第2飛行可能空間に移動するので、風の影響から抜け出すことができ、電力、燃料の消費増大や駆動部への負担を軽減できる可能性が高い。
【0015】
一方、無人航空機が第1飛行可能空間から逸脱している又は逸脱するおそれがある場合において、風の向き及び強さが所定の状態になければ、第1飛行可能空間で飛行を続けるように制御しても、電力、燃料の消費増大や駆動部への負担がないか、十分に低く抑えることができる。
【0016】
このように、本発明の無人航空機制御装置によれば、無人航空機の、目的地までの飛行を効率的に制御することができる。
【0017】
本発明において、
前記航空機状態認識部は、前記無人航空機が備える複数のローターそれぞれにかかる負荷を示す情報を取得して、該複数のローターにかかる負荷を示す情報に基づいて、該無人航空機に向かって吹く風の向き及び強さを認識するように構成されている
ことが好ましい。
【0018】
無人航空機が複数のローターを備えている場合、ローターは無人航空機の機体の異なる位置についているため、風を受けた場合にローターそれぞれが風の影響により受ける負荷の状態は異なる。
【0019】
すなわち例えば、4つのローターがそれぞれ左前方、右前方、左後方、右後方に設けられている場合において、右前方から無人航空機が風を受けると、右前方に設けられたローターに対する負荷が、他のローターに比して大きくなる。そして、風が強ければ、風を受けたローターに対する負荷は相対的に大きなものとなる。
【0020】
このように、無人航空機が備える複数のローターそれぞれにかかる負荷の状態と、無人航空機に向かって吹く風の向き及び強さとの間には、一定の関係性がある。
【0021】
本発明によれば、航空機状態認識部により、無人航空機に備えられた複数のローターそれぞれにかかる負荷の情報に基づいて、該無人航空機に向かって吹く風の向き及び強さが認識される。
【0022】
そのため、風の向き及び強さを測定する専用の装置を備えずとも無人航空機に向かって吹く風の向き及び強さを認識することができ、無人航空機に余計な荷重がかからずに済むので効率的である。
【0023】
また、本発明において、
前記無人航空機は、電力を動力源として飛行する無人航空機であり、
前記航空機状態認識部は、
前記無人航空機に電力を供給する電力源から前記複数のローターそれぞれに供給される電力の電圧の高さ及び電流の大きさの一方又は両方の情報を、前記負荷を示す情報として取得して、
該複数のローターそれぞれに供給される電力の電圧の高さ及び電流の大きさの一方又は両方の組み合わせと、該無人航空機に向かって吹く風の向き及び強さと、の対応関係を示す情報を用いて、該複数のローターそれぞれに供給される電力の電圧の高さ及び電流の大きさの一方又は両方の組み合わせに対応する、該無人航空機に向かって吹く風の向き及び強さを認識するように構成されていることが好ましい。
【0024】
本発明によれば、無人航空機に電力を供給する電力源から複数のローターそれぞれに供給される電力の電圧の高さ又は電流の大きさの組み合わせの情報という具体的な情報に基づいて、無人航空機に向かって吹く風の向き及び強さが認識されるので、精度よく無人航空機に向かって吹く風の向き及び強さを認識することができる。
【0025】
本発明において、
前記飛行ルート変更部は、該無人航空機に向かって吹く風の向き及び強さに応じて、前記無人航空機の上下左右方向への移動方向及び移動距離の長さを決定し、該決定した方向に向けて該決定した長さの距離を移動した位置を飛行するように前記飛行ルートの変更内容を決定するように構成されている
ことが好ましい。
【0026】
風の強さが強いほど、当該風が吹いている範囲は広く、風の影響から逃れるために必要な移動距離が長いことが想定される。そのため、無人航空機に吹く風の強さに応じて、当該風の影響から逃れるための移動距離を決定することが効果的である。また、風の影響から逃れるための移動方向は、風向きに応じて決定するべきである。
【0027】
本発明によれば、飛行ルート変更部により、無人航空機に向かって吹く風の向き及び強さに応じて、前記無人航空機の上下左右方向への移動方向及び移動距離の長さが決定されるので、効果的に風の影響を逃れることができる。
【0028】
なお、無人航空機が電動である場合に、当該無人航空機に電力を供給する、例えば燃料電池やバッテリーは、周辺の気温及び湿度の影響を受けて、電圧の高さや電流の大きさが変化することがある。すなわち例えば気温や気圧が低いと、燃料電池やバッテリーなどから供給される電力の、電圧の高さ、電流の大きさが低下することがある。
【0029】
そして、高度と、気温及び湿度とは、高度が高いほど気温及び湿度が下がる傾向があるので、無人航空機の飛行高度を下げることにより、気温及び湿度が上昇し、燃料電池やバッテリーなどから供給される電力の、電圧の高さ、電流の大きさを元の高さに戻すことができる可能性がある。
【0030】
そのため、本発明において、
前記無人航空機は、電力を動力源として飛行する無人航空機であり、
前記航空機状態認識部は、前記無人航空機に電力を供給する電力源から供給される電力の電圧の高さ及び電流の大きさの一方又は両方と、前記無人航空機の周辺の気温及び湿度の一方又は両方と、を認識するように構成されており、
前記飛行ルート変更部は、前記電圧の高さ及び電流の大きさの一方又は両方が所定の第1閾値以下である場合であって、前記気温及び湿度の一方又は両方が所定の第2閾値以下である場合には、該気温及び湿度の一方又は両方の高さと、該無人航空機の飛行位置を下方向に移動させる移動距離の長さと、の対応関係を示す情報を用いて、該気温及び湿度の一方又は両方の高さに対応する、該無人航空機の飛行位置を下方向に移動させる移動距離の長さを認識し、該認識した移動距離を下方向に向けて移動した位置を飛行するように前記飛行ルートの変更内容を決定するように構成されている、
ことが好ましい。
【0031】
本発明によれば、飛行ルート変更部により、電圧の高さ及び電流の大きさの一方又は両方が所定の第1閾値以下である場合であって、無人航空機の周辺の気温及び湿度の一方又は両方が所定の第2閾値以下である場合に、すなわち無人航空機の周辺の気温又は湿度が電圧、電流の低下の原因であると考えられる状況である場合に、無人航空機の飛行高度を下げる。
【0032】
これより、無人航空機の周辺の気温及び湿度が上昇し、燃料電池やバッテリーなどから供給される電力の、電圧の高さ、電流の大きさを元の高さに戻すことができる可能性がある。
【0033】
また、気温及び湿度の一方又は両方の高さに応じて、下方向に移動させる移動距離の長さを変えるので、必要以上に下方向に移動してしまうこともなく、効率的である。
【0034】
本発明において、
前記飛行可能空間認識部は、
前記無人航空機が通過する地点が、あらかじめ定められた制限区域の上空であるか否かを認識し、
該無人航空機が通過する地点が前記制限区域の上空でない場合の前記第1の所定距離は、該無人航空機が通過する地点が前記制限区域の上空である場合の前記第1の所定距離よりも長い距離であり、又は
該無人航空機が通過する地点が前記制限区域の上空でない場合の前記第2の所定距離は、該無人航空機が通過する地点が前記制限区域の上空である場合の前記第2の所定距離よりも長い距離である
ことが好ましい。
【0035】
都市部、住宅密集地、空港周辺などの区域の上空以外を飛行している場合には、これらの区域の上空を飛行している場合に比して、飛行中の無人航空機の、上下左右方向への移動の自由度が高いことが想定される。このような自由度の制限の有無に応じて、無人航空機の飛行を制御できることが望まれる。
【0036】
本発明によれば、飛行可能空間認識部により、無人航空機が通過する地点があらかじめ定められた制限区域の上空でない場合の第1の所定距離(又は第2の所定距離)は、無人航空機が通過する地点が制限区域の上空である場合の第1の所定距離(又は第2の所定距離)よりも長い。
【0037】
すなわち、制限区域以外の上空を飛行している場合の第1飛行可能空間(又は第2飛行可能空間)は、制限区域の上空を飛行している場合よりも広く、上下左右方向への移動の自由度が高い。
【0038】
このように本発明によれば、制限区域の上空を飛行しているかどうかに応じて想定される、無人航空機の上下左右方向への移動の自由度の高さを考慮して、無人航空機の飛行可能空間の広さを制御して飛行させることができる。
【0039】
本発明において、
前記航空機状態認識部は、前記飛行ルートに含まれる地点の、風の向き及び強さと、降雨量と、の一方又は両方の予報の情報を認識するように構成されており、
前記飛行ルート変更部は、
前記予報の情報を参照して、前記飛行ルートに含まれる地点を前記無人航空機が通過する予定時刻における、前記風の向き及び強さと、前記降雨量と、の一方又は両方が該無人航空機の飛行に悪影響を及ぼす所定の飛行悪影響状態にある場合には、
該無人航空機の飛行速度を変更した場合の、該無人航空機が該地点を通過する想定時刻を認識するとともに、該想定時刻における風の向き及び強さと、降雨量と、の一方又は両方の予報の情報を認識して、該想定時刻において該地点は前記飛行悪影響状態にない場合には、該飛行速度に変更して飛行するように指示する情報を該無人航空機に出力するように構成されている
ことが好ましい。
【0040】
無人航空機が通過予定の地点における風況や降雨量が、当該通過予定の時間において、無人航空機の飛行に悪影響を及ぼす状態になりつつある場合には、そのような状態をさけて飛行することが望まれる。しかしながら、大きく迂回するなど、大幅に飛行ルートを変更すると、目的地までの飛行距離が延びてしまい、その分電力消費がかさむので、かえって不都合となることが考えられる。
【0041】
本発明によれば、飛行ルートに含まれる地点を無人航空機が通過する予定時刻における風の向き及び強さ又は降雨量が無人航空機の飛行に悪影響を及ぼす所定の飛行悪影響状態にある場合には、飛行ルート変更部により、無人航空機の飛行速度を変更することにより当該飛行悪影響状態を回避できると判断された場合には、飛行悪影響状態を回避できる速度に変更されて飛行が継続される。
【0042】
そのため、飛行ルートを変更することなく目的地にむかって飛行を継続できるので、飛行ルートの変更に伴って目的地までの飛行距離が延びてしまい、その分電力消費がかさむという不都合を生じさせる可能性を軽減することができる。
【0043】
そして、本発明の無人航空機は、上記に記載のいずれかの無人航空機制御装置を備えていることを特徴とする。
【0044】
これにより、本発明の無人航空機は、目的地までの飛行を効率的に制御することができる。
【0045】
本発明の無人航空機制御方法は、
コンピューターが実行する、無人航空機の、目的地までの飛行を制御する方法であって、
前記無人航空機の、現在の位置から前記目的地まで飛行する間に通過する3次元方向の位置を示す情報からなる、飛行ルートの情報を認識するステップと、
前記飛行ルートが空中に描く線分を起点として、該線分の周方向に向かって該線分から第1の所定距離を有して広がる空間である第1飛行可能空間と、該第1の所定距離よりも長い第2の所定距離を有して該線分の周方向に向かって広がる空間である第2飛行可能空間と、を認識するステップと
前記目的地への飛行中の前記無人航空機の現在の3次元方向の位置情報と、該無人航空機に向かって吹く風の向き及び強さの情報と、からなる、該無人航空機の状態を認識するステップと、
前記認識した前記無人航空機の状態に応じて、該無人航空機の前記飛行ルートの変更内容を決定するステップと、
前記決定した変更後の飛行ルートの情報を該無人航空機に向けて出力するステップと、
を含み、
前記飛行ルートの変更内容を決定するステップは、
前記認識した前記無人航空機の上下左右方向の現在の位置が前記第1飛行可能空間から逸脱している又は逸脱するおそれがある場合に、前記認識した該無人航空機に向かって吹く風の向き及び強さの情報を取得し、
該風の向き及び強さが所定の状態にある場合に、前記第2飛行可能空間を通るように前記飛行ルートの変更内容を決定するステップである
ことを特徴とする。
【0046】
本発明の無人航空機制御方法によれば、無人航空機の、目的地までの飛行を効率的に制御することができる。
【0047】
本発明の無人航空機制御プログラムは、
コンピューターに、無人航空機の、目的地までの飛行を制御させるプログラムであって、
前記無人航空機の、現在の位置から前記目的地まで飛行する間に通過する3次元方向の位置を示す情報からなる、飛行ルートの情報を認識するステップと、
前記飛行ルートが空中に描く線分を起点として、該線分の周方向に向かって該線分から第1の所定距離を有して広がる空間である第1飛行可能空間と、該第1の所定距離よりも長い第2の所定距離を有して該線分の周方向に向かって広がる空間である第2飛行可能空間と、を認識するステップと
前記目的地への飛行中の前記無人航空機の現在の3次元方向の位置情報と、該無人航空機に向かって吹く風の向き及び強さの情報と、からなる、該無人航空機の状態を認識するステップと、
前記認識した前記無人航空機の状態に応じて、該無人航空機の前記飛行ルートの変更内容を決定するステップと、
前記決定した変更後の飛行ルートの情報を該無人航空機に向けて出力するステップと、
を実行させ、
前記飛行ルートの変更内容を決定するステップは、
前記認識した前記無人航空機の上下左右方向の現在の位置が前記第1飛行可能空間から逸脱している又は逸脱するおそれがある場合に、前記認識した該無人航空機に向かって吹く風の向き及び強さの情報を取得し、
該風の向き及び強さが所定の状態にある場合に、前記第2飛行可能空間を通るように前記飛行ルートの変更内容を決定するステップである
ことを特徴とする。
【0048】
本発明の無人航空機制御プログラムによれば、無人航空機の、目的地までの飛行を効率的に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
図1】本発明の無人航空機制御装置が搭載された無人航空機の構成の一例を示すブロック図。
図2】本発明の無人航空機制御装置が処理に用いるデータの内容の一例を示す表。
図3】本発明の無人航空機制御装置の処理内容の一例を示すフローチャート。
図4】本発明の無人航空機制御装置の処理内容の一例を示すイメージ図。
図5】本発明の無人航空機制御装置の処理内容の一例を示すイメージ図。
図6】本発明の無人航空機制御装置の処理内容の一例を示すイメージ図。
図7】本発明の無人航空機制御装置の処理内容の一例を示すフローチャート。
図8A】本発明の無人航空機制御装置の処理内容の一例を示すフローチャート。
図8B】本発明の無人航空機制御装置の処理内容の一例を示すフローチャート。
図9】本発明の無人航空機制御装置の処理内容の一例を示すイメージ図。
図10】本発明の無人航空機制御装置の処理内容の一例を示すイメージ図。
図11】本発明の無人航空機制御装置の処理内容の一例を示すフローチャート。
図12】本発明の無人航空機制御装置の処理内容の一例を示すフローチャート。
図13】本発明の無人航空機制御装置の処理内容の一例を示すイメージ図。
【発明を実施するための形態】
【0050】
<無人航空機制御装置の構成>
まず図1図2を用いて、本実施形態の無人航空機制御装置の構成について説明する。なお同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略することがある。
【0051】
本実施形態の無人航空機制御装置は、無人航空機Dの、目的地までの飛行を制御する装置である。無人航空機Dは、例えば電力を動力源として飛行するマルチコプター、クワッドローターなどのいわゆるドローンであるが、その他の、自律的に飛行し又は適宜に遠隔操作で指向される航空機であってよい。
【0052】
本実施形態における無人航空機Dは、動力源PSからの電力の供給を受けて、複数のローターR(R1~R4)それぞれを回転させるためのモーター(図示せず。以下、ローターRを回転させるためのモーターとローターRとを一体的に「ローター」と記載する。)を回転させることにより飛行する。また、無人航空機Dに搭載されたフライトコントローラー30が、飛行ルートの情報に従った、無人航空機Dの飛行ルートの制御を行う。
【0053】
本実施形態の無人航空機制御装置10は、上記のような構成の無人航空機に備えられている。無人航空機制御装置10は、例えば無人航空機Dに一体的に構成されていてもよく、あるいは無人航空機Dに対して着脱自在に設けられていてもよい。
【0054】
無人航空機制御装置10は、制御部110と、記憶部130と、を含んで構成される、例えばコンピューターである。
【0055】
制御部110は、CPU(Central Processing Unit)等の演算処理装置(プロセッサー)、メモリ、及びI/O(Input/Output)デバイスなどにより構成されている。
【0056】
制御部110の演算処理装置(プロセッサー)が、所定のプログラムを読み込んで実行することにより例えば飛行ルート認識部111と、飛行可能空間認識部113と、航空機状態認識部115と、飛行ルート変更部117と、として機能する。
【0057】
飛行ルート認識部111は、無人航空機Dの、現在の位置(例えば出発地)から目的地まで飛行する間に通過する3次元方向の位置を示す情報からなる、飛行ルートの情報を例えば記憶部130から取得することにより認識する。
【0058】
飛行ルートの情報は、例えば図2に示すように、時刻の情報、当該各時刻において通過すべき位置の緯度及び経度の情報、当該位置において飛行すべき高度の情報、そして当該時刻における飛行速度の情報のほか、無人航空機Dの現在の位置(例えば出発地点)から目的地点までの飛行を制御するために必要な飛行ルートの情報が格納されている。
【0059】
飛行ルートの情報は、出発地点及び目的地点(あるいはさらに経由地点)の情報に基づいて、操作者等によって手動で作成されてもよいし、別に備えられたサーバー等のコンピューターが、出発地点及び目的地点の位置を示す情報と、両地点間の地図情報、地物、建造物その他の飛行ルートの決定に影響を及ぼす種々の情報とに基づいて、出発地点から目的地点までの最適なルート(例えば最短ルートなど)を決定するソフトウェア等を用いて自動的に作成してもよい。
【0060】
飛行可能空間認識部113は、飛行ルートが空中に描く線分を起点として、該線分の周方向に向かって該線分から第1の所定距離を有して広がる空間である第1飛行可能空間と、該第1飛行可能空間の外側に該第1の所定距離よりも長い第2の所定距離を有して該線分の周方向に向かって広がる空間である第2飛行可能空間と、を認識する。
【0061】
飛行可能空間認識部113が第1飛行可能空間と第2飛行可能空間とを認識するイメージについては後述する。
【0062】
航空機状態認識部115は、目的地への飛行中の無人航空機Dの現在の3次元方向の位置情報と、該無人航空機Dに向かって吹く風の向き及び強さの情報と、からなる、該無人航空機Dの状態を、例えば後述するセンサー50から得られる情報に基づいて算出等することにより認識する。
【0063】
航空機状態認識部115は、このほか例えば、無人航空機Dが備える複数のローターRそれぞれにかかる負荷を示す情報、無人航空機Dに電力を供給する電力源PSから複数のローターRそれぞれに供給される電力の電圧の高さ及び電流の大きさの一方又は両方の情報、無人航空機の周辺の気温及び湿度の一方又は両方の情報を、後述するセンサー50から得られる情報に基づいて算出等することにより認識するほか、飛行ルートに含まれる地点の、風の向き及び強さと、降雨量と、の一方又は両方の予報の情報を例えば地上などに設置されたコンピューターなどから、図示しない受信手段が無線通信網を介して取得することにより認識する。
【0064】
飛行ルート変更部117は、航空機状態認識部115が認識した無人航空機Dの状態に応じて、該無人航空機Dの飛行ルートを変更する必要がある場合には、その変更内容を決定して、該決定した変更後の飛行ルートの情報を該無人航空機Dに向けて出力する。
【0065】
無人航空機Dのフライトコントローラー30は、例えばこのようにして出力された変更後の飛行ルートを飛行ルート変更部117から直接取得して、あるいは例えば記憶部130を介して取得して、当該変更後の飛行ルートの情報に従って、無人航空機Dの飛行ルートの制御を行う。
【0066】
記憶部130は、例えばROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)等の記憶装置により構成されている。
【0067】
記憶部130は、無人航空機制御装置10専用のものが備えられていてもよく、例えば無人航空機Dに備えられている記憶装置(図示せず)をフライトコントローラー30等と共用するように構成されていてもよい。
【0068】
記憶部130には、例えば飛行ルートの情報(必要に応じて変更前及び変更後の情報)、センサー50が取得した位置、高度、周辺の気温及び湿度、電力源PSから複数のローターRそれぞれに供給される電力の電圧の高さ及び電流の大きさの情報、制限区域の位置、範囲(緯度、経度など)を示す情報のほか、無人航空機制御装置10の処理に必要な情報、無人航空機制御装置10の処理結果等が適宜に格納される。
【0069】
フライトコントローラー30は、飛行ルートの情報に従った、無人航空機Dの飛行ルートの制御を行う。
【0070】
センサー50は、例えば、GPS510と、高度センサー530と、温度センサー550と、湿度センサー570と、電流・電圧センサー590と、を含んで構成される。
【0071】
各センサー50としては、図1に示すように無人航空機Dに備えられているセンサーを、無人航空機制御装置10が共有するように構成されていてもよく、あるいは各センサーの一部又は全部が無人航空機制御装置10専用のセンサーとして無人航空機制御装置10と一体的に備えられていてもよい。
【0072】
GPS(Global Positioning System)510は、上空にある衛星などからの信号を受信して、無人航空機Dの現在の位置を示す例えば緯度、経度を取得することで、無人航空機Dの現在の2次元方向の位置情報を認識する。
【0073】
高度センサー530は、例えば地面に向けてミリ波又は超音波等を地面に向けて発生させて、ミリ波又は超音波等が地面により反射されて帰ってくるまでに要した時間の長さに応じて無人航空機Dの高度、すなわち高さ方向の位置情報を認識する。あるいは高度センサー530は、無人航空機D周辺の気圧から高度を取得してもよい。
【0074】
このようにして認識された無人航空機Dの現在の2次元方向の位置情報と、高さ方向の位置情報とが、無人航空機Dの現在の3次元方向の位置情報となる。
【0075】
なお、例えばGPS510が、現在の高度を取得する機能が有していれば、高度センサー530は省略されてよい。
【0076】
温度センサー550は、無人航空機D周辺の外気の温度を測定することにより無人航空機D周辺の気温を認識する。
【0077】
湿度センサー570は、無人航空機D周辺の外気の湿度を測定することにより無人航空機D周辺の湿度を認識する。
【0078】
電流・電圧センサー590は、無人航空機Dに電力を供給する電力源PSから複数のローターRそれぞれに供給される電力の電圧の高さを測定する電圧計590vと、電流の大きさを測定する電流計590aにより構成される。
【0079】
<制御方法の概要>
次に、本実施形態の無人航空機制御装置が実行する、無人航空機Dの制御方法に含まれる各処理(ステップ)について説明する。まず図3を参照して、無人航空機制御装置による一連の処理について説明する。
【0080】
処理を開始すると、飛行ルート認識部111は、飛行ルートの情報を認識する(図3/S11)。飛行ルート認識部111は例えば、記憶部130にあらかじめ記憶されている飛行ルートの情報(図2参照)を参照して、飛行ルートの情報に含まれる、現在時刻以降の、所定時間分の時刻、緯度、経度、高さの情報、すなわち3次元方向の位置情報を取得することにより、飛行ルートの情報を認識する。
【0081】
・第1飛行可能空間及び第2飛行可能空間の認識
そして、飛行可能空間認識部113はこのようにして認識された飛行ルートの情報に基づいて、第1飛行可能空間と、第2飛行可能空間と、を認識する(図3/S13)。
【0082】
第1飛行可能空間とは、飛行ルートが空中に描く線分を起点として、該線分の周方向に向かって該線分から第1の所定距離を有して広がる空間である。
【0083】
また第2飛行可能空間とは、第1飛行可能空間の外側に該第1の所定距離よりも長い第2の所定距離を有して該線分の周方向に向かって広がる空間である。
【0084】
図4図6は、第1飛行可能空間FS1と第2飛行可能空間FS2とを示すイメージ図である。図4は、第1飛行可能空間FS1の断面が円形であり、第2飛行可能空間FS2の断面が丸いドーナツ型である場合を示している。
【0085】
この場合、飛行可能空間認識部113はまず、飛行ルートの情報に含まれる、現在時刻以降の、所定時間分の時刻、緯度、経度、高さの情報を参照して、各時刻において無人航空機Dが通過する3次元方向の位置を認識する。これらの3次元方向の位置に対応する点を時系列順につないだ線分が、飛行ルートが空中に描く線分FRとなる。
【0086】
そして、飛行可能空間認識部113は各時刻において無人航空機Dが通過する3次元方向の位置に対応する点それぞれを中心とし、飛行ルートが空中に描く線分FRに垂直な円であって、第1の所定距離PL1を半径とする円が示す範囲を認識する。飛行可能空間認識部113は、このようにして認識した円を線分FRに沿ってつなげることによってできる連続的な空間を、第1飛行可能空間FS1として認識する。
【0087】
続いて、飛行可能空間認識部113は各時刻において無人航空機Dが通過する3次元方向の位置に対応する点それぞれを中心とし、飛行ルートが空中に描く線分FRに垂直な円であって、第2の所定距離PL2を半径とする円が示す範囲を認識する。飛行可能空間認識部113は、このようにして認識した円を線分FRに沿ってつなげることによってできる連続的な空間から、第1飛行可能空間FS1として認識した空間を除いた空間を、第2飛行可能空間FS2として認識する。
【0088】
なお図4においては、このように第1飛行可能空間FS1と第2飛行可能空間FS2とをビジュアル化して表現しているが、時刻ごとの第1飛行可能空間FS1の緯度、経度、高度の範囲を示すデータのセット及び第2飛行可能空間FS2の緯度、経度、高度の範囲を示すデータのセットが、第1飛行可能空間FS1と第2飛行可能空間FS2とを示す情報として飛行可能空間認識部113により認識され、必要に応じて記憶部130に記憶される(以下同様)。
【0089】
図5は、第1飛行可能空間FS1の断面が四角形であり、第2飛行可能空間FS2の断面が四角いドーナツ型である場合を示している。
【0090】
この場合、飛行可能空間認識部113は例えば上方側、左右側、下方側それぞれに定められた第1の所定距離PL1を記憶部130から取得する。そして、飛行可能空間認識部113は上記と同様にして線分FRを認識し、各時刻において無人航空機Dが通過する3次元方向の位置に対応する点それぞれを起点とし、上方の辺までの距離が上方側に定められた第1の所定距離PL1であり、左右の辺までの距離が左右側に定められた第1の所定距離PL1であり、下方の辺までの距離が下方側に定められた第1の所定距離PL1である長方形が示す範囲を認識する。飛行可能空間認識部113は、このようにして認識した長方形を線分FRに沿ってつなげることによってできる連続的な空間を、第1飛行可能空間FS1として認識する。
【0091】
続いて飛行可能空間認識部113は例えば上方側、左右側、下方側それぞれに定められた第2の所定距離PL2を記憶部130から取得する。そして、飛行可能空間認識部113は、各時刻において無人航空機Dが通過する3次元方向の位置に対応する点それぞれを起点とし、上方の辺までの距離が上方側に定められた第2の所定距離PL2であり、左右の辺までの距離が左右側に定められた第2の所定距離PL2であり、下方の辺までの距離が下方側に定められた第2の所定距離PL2である長方形が示す範囲を認識する。飛行可能空間認識部113は、このようにして認識した長方形を線分FRに沿ってつなげることによってできる連続的な空間から、第1飛行可能空間FS1として認識した空間を除いた空間を、第2飛行可能空間FS2として認識する。
【0092】
このように、第1の所定距離PL1、第2の所定距離PL2は、上方側、左右側、下方側それぞれについて、異なる長さの距離が定められていてもよい。
【0093】
図6は、このようにして認識された第1飛行可能空間FS1、第2飛行可能空間FS2を、出発地SPから目的地DPまでつなげたとした場合の状態を側面から見たイメージ図である。
【0094】
図6は、無人航空機Dが出発地SPを出発して、上昇を続けながら目的地DPに向けて前進し、所定の高度に達したのちに当該高度を保ちながら目的地DPに向けて飛行を続け、目的地DPにある程度近づいた時点で下降しながら目的地DPに向けて前進し、最終的に目的地DPに着陸する飛行ルートに従った場合に考えられる第1飛行可能空間FS1、第2飛行可能空間FS2のイメージを示している。
【0095】
第1飛行可能空間及び第2飛行可能空間の認識したのちに、無人航空機Dの状態を認識する状態認識処理を航空機状態認識部115が実行し(図3/S30)、飛行ルート変更部117が、無人航空機Dの状態に応じて飛行ルートの変更要否と変更内容を決定する飛行ルート変更処理を実行し(図3/S50)、当該決定した変更後の飛行ルートの情報を無人航空機Dに向けて出力して(図3/S110)、一連の処理を終了する。
【0096】
無人航空機制御装置10は、これら一連の処理を、無人航空機Dが目的地に到着するまで、所定の頻度にて繰り返し実行することで、無人航空機Dの、目的地までの飛行を制御する。
【0097】
以下に、状態認識処理及び飛行ルート変更処理の具体例について説明する。
【0098】
<状態認識処理>
図7を参照して、状態認識処理の一連の処理について説明する。
【0099】
処理を開始すると、航空機状態認識部115はまず、無人航空機Dの現在の3次元方向の位置情報を認識する(図7/S31)。航空機状態認識部115は、GPS510から無人航空機Dの現在の位置を示す緯度、経度の情報を取得することで、無人航空機Dの現在の2次元方向の位置情報を認識する。
【0100】
そして、航空機状態認識部115は高度センサー530から、無人航空機Dの現在の高度、すなわち高さ方向の位置情報を認識して、このようにして認識された無人航空機Dの現在の2次元方向の位置情報と、高さ方向の位置情報とのセットの情報を、無人航空機Dの現在の3次元方向の位置情報として認識する。
【0101】
次に、航空機状態認識部115は、無人航空機Dが備える複数のローターRそれぞれにかかる負荷を示す情報を取得する(図7/S33)。航空機状態認識部115は、例えば無人航空機Dに電力を供給する電力源から複数のローターRそれぞれに供給される電力の電圧の高さ及び電流の大きさの情報を、複数のローターRそれぞれにかかる負荷を示す情報として取得して、当該情報から、無人航空機Dに向かって吹く風の向き及び強さの情報を認識する(図7/S35)。
【0102】
航空機状態認識部115が複数のローターRそれぞれに供給される電力の電圧の高さ及び電流の大きさの情報を、複数のローターRそれぞれにかかる負荷を示す情報として取得し、当該情報に基づいて無人航空機Dに向かって吹く風の向き及び強さの情報を認識するのは、以下の理由によるものである。
【0103】
すなわち例えば、無人航空機Dに備えられたローターRは、風を受けると、風の抵抗により回転しづらくなるなどの負荷が生じる。そして、本実施形態のように、4つのローターRがそれぞれ左前方、右前方、左後方、右後方に設けられている場合において、右前方から無人航空機Dが風を受けると、右前方に設けられたローターR3に対する負荷がまず大きくなった後に、ローターR1、4、そしてローターR2の順に、各ローターRに対する負荷も大きくなる。このように、風の吹く向きに応じてローターRに対する負荷の発生に時間差が生じる。そして、風が強ければ、風を受けたローターRに対する負荷は相対的に大きなものとなる。
【0104】
このように、風に吹かれることによって無人航空機Dが備える複数のローターRそれぞれにかかる負荷の状態と、無人航空機Dに向かって吹く風の向き及び強さと、の間には、一定の関係性がある。
【0105】
そして、ローターRに負荷がかかった場合、フライトコントローラー30は、図示しないESC(Electric Speed Controller)などを介して、当該負荷に対応するために、ローターRの回転速度を上げ、あるいはローターのトルクを上げるために、ローターRに供給する電力の大きさ(電圧の高さ又は電流の量の一方又は両方)を変化させる。
【0106】
そのため、無人航空機Dに複数備えられた、ローターRに供給される電力の大きさ(電圧の高さ又は電流の量の一方又は両方)に、無風状態で飛行している場合には生じないはずの変化が生じたときの、その変化が発生した時間差に応じて、無人航空機Dに向かって吹く風の水平方向の向きを認識できる。また、当該変化の大きさにより、無人航空機Dに向かって吹く風の強さも認識できる。
【0107】
そのため、複数のローターRそれぞれにかかる負荷を示す情報として、ローターRそれぞれに供給される電力の大きさ(電圧の高さ又は電流の量の一方又は両方)の情報を取得した航空機状態認識部115は、当該情報に基づいて、無人航空機Dに向かって吹く風の向き及び強さの情報を認識する。
【0108】
具体的には航空機状態認識部115は、例えば記憶部130に記憶されている、無風状態で無人航空機Dが飛行している場合の各ローターに供給される電力の、電圧の高さ又は電流の量の一方又は両方の値を認識する。
【0109】
なお、無風状態で飛行している場合の、ローターRそれぞれに供給される電力の電圧の高さ又は電流の量は、無人航空機Dの飛行速度に応じて異なるため、飛行速度ごとの値が記憶部130に記憶される。あるいは例えば、当該値と、飛行速度との対応関係を表す関係式や対応表を記憶部130に記憶しておき、航空機状態認識部115は、当該値及び飛行速度から、当該関係式や対応表を用いて、現在の飛行速度に対応する値を取得して、当該算出した値を、現在の飛行速度に対応する、無風状態で飛行している場合のローターRそれぞれに供給される電力の電圧の高さ又は電流の量の値として用いるように構成されていてもよい。
【0110】
そして航空機状態認識部115は、例えば、上記にて取得した、所定期間過去の無人航空機Dの3次元方向の位置情報と、現在の無人航空機Dの3次元方向の位置情報と、を用いて、所定期間過去の時点から現在までの移動距離を算出し、当該移動距離を所定期間過去の時点から現在までの経過時間で割ることにより、無人航空機Dの速度の情報を取得する。
【0111】
あるいは例えば航空機状態認識部115は、無人航空機Dに備えられた図示しない速度計を介して、無人航空機Dの速度の情報を取得してもよい。
【0112】
なお例えば無人航空機Dが、フライトコントローラー30により、常に一定の速度で飛行するように(例えば図2に示すように20km/sで飛行を継続するように)制御される場合には、無人航空機Dの速度の情報を取得する処理は省略され、当該一定速度に対応する、無風状態で無人航空機Dが飛行している場合の各ローターRに供給される電力の、電圧の高さ又は電流の量の一方又は両方の値が、無人航空機Dに向かって吹く風の向き及び強さの情報を認識する処理(図7/S35)において一意に用いられる。
【0113】
そして、航空機状態認識部115は、S33で認識したローターRそれぞれに供給される電力の電圧の高さ又は電流の量の一方又は両方の値と、無風状態の場合の当該値との差を算出する。
【0114】
そして航空機状態認識部115は、各ローターRについて算出した当該差の値を比較し、右前方に備えられたローターR3にまず当該差が発生し、その後ローターR1、4、そしてローターR2の順に当該差が発生していれば、右前方から無人航空機Dが風を受けていると認識する。
【0115】
また、航空機状態認識部115は、例えば記憶部130に記憶されている各ローターRについて算出した当該差の値と風速との対応関係を表す関係式や対応表を認識して、各ローターRについて算出した当該差の値から、当該関係式や対応表を用いて風速(m/s)を認識する。
【0116】
あるいは例えば、航空機状態認識部115は、各ローターRについて算出した当該差の値があらかじめ定められた第1の基準値よりも大きければ「風レベル強」、第1の基準値以下で第2の基準値以上であれば「風レベル中」、第2の基準値未満であれば「風レベル弱」というように、風の強さをレベルとして認識してもよい。
【0117】
その後、航空機状態認識部115は、必要に応じて無人航空機Dに電力を供給する電力源から供給される電力の電圧の高さの情報を、電圧計590vを介して認識し、又は電流の大きさの情報を、電流計590aを介して認識する(図7/S37)。
【0118】
さらに、航空機状態認識部115は必要に応じて、無人航空機Dの周辺の気温の情報を、温度センサー550を介して認識し、又は周辺の湿度の情報を、湿度センサー570を介して認識して(図7/S39)、また、飛行ルートに含まれる地点の、風の向き及び強さと、降雨量と、の一方又は両方の予報の情報を認識(図7/S41)して、状態認識処理の一連の処理を終了する。
【0119】
飛行ルートに含まれる地点の、風の向き及び強さと、降雨量と、の一方又は両方の予報の情報とはすなわち天気予報の情報であり、航空機状態認識部115は例えば、地上などに設置されたコンピューターなどから、図示しない受信手段が無線通信網を介して所定時間ごと(例えば5分ごとなど)の天気予報の情報を取得するように構成される。
【0120】
<飛行ルート変更処理>
図9図11を参照して、飛行ルート変更処理の一連の処理について説明する。
【0121】
飛行ルート変更処理を開始すると、飛行ルート変更部117は、まず無人航空機Dが、第1飛行可能空間FS11(図10参照)から逸脱している又は逸脱するおそれがあるか否かを判定する(図9/S51)。
【0122】
飛行ルート変更部117は、例えば現在の飛行ルートが描く線分FR1の3次元方向の位置情報を飛行ルートの情報から認識し、状態認識処理で取得した無人航空機Dの現在の3次元方向の位置情報と比較して、無人航空機Dが、現在の飛行ルートが描く線分FR1の3次元方向の位置から、第1所定距離PL1以上離れている場合に、無人航空機Dが第1飛行可能空間FS11から逸脱していると判定する(図9/S51:YES)。
【0123】
また、飛行ルート変更部117は、例えば状態認識処理で取得した無人航空機Dの現在の3次元方向の位置情報が、現在の飛行ルートが描く線分FR1の3次元方向の位置から、第1所定距離PL1離れた位置まで、あらかじめ定められた所定程度近づいている場合に、無人航空機Dが第1飛行可能空間FS11から逸脱するおそれがあると判定する(図9/S51:YES)。
【0124】
一方、上記の判定が否定的(図9/S51:NO)であれば、飛行ルート変更部117は、第1飛行可能空間FS11での飛行を継続する指示を無人航空機Dに出力するように決定(図9/S59)して処理を終了する。すなわち、例えば風に吹かれて飛行ルートが空中に描く線分FRから離れた場合においても、無人航空機Dは、第1飛行可能空間FS1の範囲にいる間は風にあらがうことなく飛行を続ける。
【0125】
図10は、無人航空機Dが、第1飛行可能空間FS11から逸脱し、飛行ルートが変更された状態を示すイメージ図である。飛行ルート変更部117は、図10の下方に描かれている無人航空機Dは、第1飛行可能空間FS11から逸脱していると判定(図9/S51:YES)し、状態認識処理おいて認識された、無人航空機Dに向かって吹く風の向き及び強さの情報を取得(図9/S53)して、風の向き及び強さが所定の状態にあるか否かを判定する(図9/S55)。
【0126】
風の向き及び強さの所定の状態とは例えば、風の向きに関しては、現在の飛行ルートが描く線分FR1からさらに離れる方向に風が吹いているか、前方から風が吹いているか、風の向きが目まぐるしく変化しているかなどである。
【0127】
現在の飛行ルートが描く線分FR1からさらに離れる方向に風が吹いていれば第1飛行可能空間FS1から逸脱する可能性が高いため、風を回避するなどの対応が必要であるが、現在の飛行ルートが描く線分FR1に近づく方向に風が吹いているのであれば、風を回避すべき必要性はひとまず低い。
【0128】
同様に、前方から風が吹いている、すなわち向かい風ならば飛行継続の妨げになるが、後方から風が吹いている、すなわち追い風ならば風を回避すべき必要性はひとまず低い。
【0129】
あるいは風の向きが目まぐるしく変化しているならば、飛行が不安定になる蓋然性が高いため、直ちに風を回避すべき必要性がある。
【0130】
また、風の強さに関しては、あらかじめ定められた風速の基準値以上の風速であるか否かなどである。当該風速の基準値の値は、無人航空機Dの性能等に応じて適宜に設定されてよい。
【0131】
風の向きにかかわらず、風速が所定以上高ければ、いずれ第1飛行可能空間FS1から逸脱してしまう可能性が高いので、風を回避すべき必要性がある。
【0132】
すなわち飛行ルート変更部117は、風を回避すべき必要性の有無を、風の向き及び強さがあらかじめ定められた所定の状態に該当するかどうかにより判断する。
【0133】
当該判定が肯定的である(図9/S55:YES)場合、飛行ルート変更部117は、無人航空機に向かって吹く風の向き及び強さの情報に基づいて、無人航空機Dの上下左右方向への移動方向及び移動距離を決定する。
【0134】
例えば飛行ルート変更部117は、風の向きに垂直な方向に向かうように無人航空機Dの上下左右方向への移動方向を決定する。すなわち例えば風が左側から吹いているのであれば、飛行ルート変更部117は上又は下方向に移動することを決定する。あるいは例えば風が真正面から吹いているのであれば、飛行ルート変更部117は上下左右方向の何れかに移動することを決定する。なお、風の向きに垂直な方向は360°あるので、そのうち、いずれの方向に移動するかについては、任意のアルゴリズムにより適宜に決定されてよい。
【0135】
また飛行ルート変更部117は、風の強さが強ければ、より長い距離を移動するように移動距離を決定する。飛行ルート変更部117は例えば、記憶部130にあらかじめ記憶されている、風の強さと移動距離との対応関係を表す関係式、対応表等を取得して、上記にて取得した風の強さに対応する移動距離を決定する。
【0136】
飛行ルート変更部117は、このようにして決定した無人航空機Dの移動方向に向かって、決定した移動距離だけ移動したとした場合に、現在の第1飛行可能空間FS11から逸脱して飛行することとなる場合には、風の向き及び強さが第2飛行可能空間FS21を通るべき所定の状態に該当すると判断し、第2飛行可能空間FS21を通るように飛行内容の変更内容を決定する(図9/S61)。
【0137】
なお、飛行ルート変更部117は、このようにして決定した無人航空機Dの移動方向に向かって、決定した移動距離だけ移動したとした場合に、現在の第2飛行可能空間FS21からも逸脱することとなる場合(図8/63:Yes)には、上記の決定を「仮決定」として、飛行ルートの変更可否の情報の入力を促す情報を、無人航空機の操作者に向けて出力し(図8/65)、飛行ルートの変更が可能である旨の情報が入力された場合(図8/67:Yes)に、飛行ルートの変更内容を決定(すなわち「本決定」)し(図8/69)、一連の処理を終了する。
【0138】
一方、飛行ルートの変更が可能である旨の情報が入力されない場合(図8/67:No)には、飛行ルート変更部117は、例えば第1飛行可能空間FS1での飛行を継続するように決定して(図9/S59)、処理を終了する。
【0139】
また飛行ルート変更部117は、このようにして決定した無人航空機Dの移動方向に向かって、決定した移動距離だけ移動したとした場合に、現在の第2飛行可能空間FS21からも逸脱することとならない場合(図8/63:No)には、そのまま飛行ルートの変更内容を決定(すなわち「本決定」)し(図8/69)、一連の処理を終了する。
【0140】
図9は、そのようにして第2飛行可能空間FS21を通るように飛行ルートの変更内容を決定した結果の状態を示している。これに伴って、変更後の飛行ルートが空中に描く線分FR2は、変更前の第2飛行可能空間FS21を通るように変更されている。
【0141】
またこれに伴って、第1飛行可能空間及び第2飛行可能空間は、変更後の飛行ルートが空中に描く線分FR2を起点として第1の所定距離PL1及び第2の所定距離PL2に基づいて再認識した、変更後の第1飛行可能空間FS12及び第2飛行可能空間FS22となる。
【0142】
そして図10は、風の向き及び強さが所定の状態になく(図8/S55:No)、第1飛行可能空間FS11での飛行を継続するように決定(図9/S59)した場合を示している。
【0143】
この場合、飛行ルートが変更されないため、飛行ルートが空中に描く線分FRは変更されず、第1飛行可能空間FS1及び第2飛行可能空間FS2は、第1の所定距離PL1及び第2の所定距離PL2に基づいて認識された空間のまま変更されない。そして無人航空機Dは、例えば飛行ルートが空中に描く線分FRの方に近づくように制御される。
【0144】
以上、本実施形態の無人航空機制御装置、無人航空機制御プログラム、無人航空機制御方法、および無人航空機制御装置を備えた無人航空機について説明したが、本発明の実施形態はこれに限定されない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能である。
【0145】
以下に、本発明の変更実施形態について説明する。
【0146】
<変更実施形態1>
まず、飛行ルート変更処理の第1の変更実施形態について説明する。
【0147】
処理を開始すると飛行ルート変更部117は、状態認識処理において認識(図7/S37)された、電力源から供給される電力の電圧の高さ及び電流の大きさの一方又は両方が所定の第1閾値以下であるか否かを判定する(図11/S71)。
【0148】
飛行ルート変更部117は例えば、記憶部130に記憶された、電力源から供給される電力の電圧の高さ及び電流の大きさの一方又は両方の第1閾値を取得して、当該閾値と電力源から供給される電力の電圧の高さ及び電流の大きさとを比較することにより、当該判定を行う。第1閾値は、無人航空機Dの動力源PSであるバッテリー、燃料電池等が正常に電力を供給していることを示す電圧の高さ及び電流の大きさの一方又は両方の下限値であり、その値は無人航空機Dの動力源PSであるバッテリー、燃料電池等の性能に応じて適宜に設定されてよい。
【0149】
当該判定が否定的であれば(図11/S71:No)、飛行ルート変更部117は処理を終了する。
【0150】
一方当該判定が否定的であれば(図11/S71:Yes)、飛行ルート変更部117は、状態認識処理において認識(図7/S39)された、無人航空機Dの周辺の気温及び湿度の一方又は両方が所定の第2閾値以下であるか否かを判定する(図11/S73)。
【0151】
飛行ルート変更部117は例えば、記憶部130に記憶された、無人航空機Dの周辺の気温及び湿度の一方又は両方の第2閾値を取得して、当該閾値と無人航空機Dの周辺の気温及び湿度とを比較することにより、当該判定を行う。第2閾値は、無人航空機Dの動力源PSであるバッテリー、燃料電池等が安定的に電力を供給できる適正な気温及び湿度の下限値であり、その値は無人航空機Dの動力源PSであるバッテリー、燃料電池等の仕様に応じて適宜に設定されてよい。
【0152】
当該判定が否定的であれば(図11/S73:No)、飛行ルート変更部117は処理を終了する。
【0153】
一方当該判定が否定的であれば(図11/S73:Yes)、飛行ルート変更部117は、気温及び湿度の一方又は両方の高さに対応する、無人航空機Dの飛行位置を下方向に移動させる移動距離の長さを認識し(図11/S75)、認識した移動距離を下方向に向けて移動した位置を飛行するように飛行ルートの変更内容を決定して(図11/S77)一連の処理を終了する。
【0154】
飛行ルート変更部117は例えば、無人航空機Dの周辺の気温及び湿度の一方又は両方の第2閾値の値と、現在の気温及び湿度の一方又は両方との差を算出するとともに、記憶部130に記憶された、無人航空機Dをどれだけ下降させれば周辺の気温及び湿度がどれだけ上昇するかの対応関係を表す関係式、対応表などを取得する。
【0155】
そして飛行ルート変更部117は、当該関係式、対応表などを用いて、上記で算出した差の分だけ周辺の気温及び湿度の一方又は両方を上昇させるために無人航空機Dを下降させるべき距離の長さを算出することにより、気温及び湿度の一方又は両方の高さに対応する、無人航空機Dの飛行位置を下方向に移動させる移動距離の長さを認識する。
【0156】
なお、変更実施形態1の処理を飛行ルート変更部117が行わない場合には、状態認識処理において、電力源から供給される電力の電圧の高さ及び電流の大きさの一方又は両方を認識する処理(図7/S37)及び、周辺の気温及び湿度の一方又は両方を認識する処理(図7/S39)は、省略されてよい。
【0157】
<変更実施形態2>
次に、飛行ルート変更処理の第2の変更実施形態について説明する。
【0158】
処理を開始すると飛行ルート変更部117は、状態認識処理において認識(図7/S41)された、飛行ルートに含まれる地点の、風の向き及び強さと、降雨量と、の一方又は両方の予報の情報を参照して、飛行ルートに含まれる地点を無人航空機Dが通過する予定時刻における、風の向き及び強さと、降雨量と、の一方又は両方が無人航空機の飛行に悪影響を及ぼす所定の飛行悪影響状態にあるか否かを判定する(図12/S81)。
【0159】
飛行ルート変更部117は例えば、記憶部130に記憶された、飛行悪影響状態にあるか否かを判定するための判定条件の情報を取得して、当該判定条件に当てはまるか否かによって、上記の判定を行う。
【0160】
飛行ルートに含まれる地点を無人航空機Dが通過する予定時刻は、飛行ルートの情報(図2参照)に記憶されている、各地点(緯度、経度)に対応する時刻である。
【0161】
風の向きの判定条件とは例えば、前方から風が吹いているか、風の向きが目まぐるしく変化しているかなどである。
【0162】
風の強さ、降雨量の判定条件とは例えば、あらかじめ定められた風速、降雨量の閾値以上の風速、降雨量であるか否かなどである。当該閾値は、無人航空機Dの性能に応じて適宜に設定されてよい。
【0163】
飛行ルート変更部117は、当該判定が否定的(図12/S81:No)であれば、処理を終了する。
【0164】
一方当該判定が肯定的(図12/S81:Yes)であれば飛行ルート変更部117は、無人航空機Dの飛行速度を変更した場合の、無人航空機Dが当該地点を通過する想定時刻を認識する。
【0165】
すなわち例えば飛行ルート変更部117は、現在の飛行速度が20km/hであり、飛行悪影響状態にあると判定された地点までの距離が2kmであって、飛行ルートの情報から取得した時刻、すなわち現時点での通過想定時刻、が13:00であれば、飛行速度を10km/hに変更した場合には、無人航空機Dが当該地点を通過する想定時刻が13:06であると認識する。
【0166】
そして、飛行ルート変更部117は、想定時刻における風の向き及び強さと、降雨量と、の一方又は両方の予報の情報を認識する(図13/S85)。
【0167】
すなわち例えば飛行ルート変更部117は、状態認識処理において認識(図7/S41)された、飛行ルートに含まれる地点の、風の向き及び強さと、降雨量と、の一方又は両方の予報の情報から、13:06に対応する予報の情報を取得する。
【0168】
そして飛行ルート変更部117は、例えばS81と同様の手法で、想定時刻において当該地点は飛行悪影響状態にないかどうかを判定する(図13/S87)。
【0169】
そして飛行ルート変更部117は、想定時刻において当該地点は飛行悪影響状態にない場合(図13/S87:Yes)には、飛行速度を10km/hに変更して飛行することを決定して(図13/S89)処理を終了する。
【0170】
一方、想定時刻において当該地点は飛行悪影響状態にない場合(図13/S87:No)には、飛行ルート変更部117は、飛行速度の変更を決定しないで処理を終了する。
【0171】
なお飛行ルート変更部117は、上記の処理を、飛行悪影響状態を回避できる飛行速度を見つけるまで繰り返し行うように構成されていてもよく、飛行悪影響状態を回避できる飛行速度を見つけることができなかった場合には、現在地点においてホバリングし、あるいは必要に応じて着陸し、飛行悪影響状態を回避できる状況になるまで上記の処理を繰り返すように構成されていてもよい。
【0172】
また上記においては飛行速度を下げる実施形態について説明したが、飛行速度を上げることにより飛行悪影響状態を回避できるか否かを判定してもよい。
【0173】
なお、変更実施形態2の処理を飛行ルート変更部117が行わない場合には、状態認識処理において飛行ルートに含まれる地点の、風の向き及び強さと、降雨量と、の一方又は両方の予報の情報を認識する処理(図7/S41)は、省略されてよい。
【0174】
<変更実施形態3>
次に、第1飛行可能空間FS1と、第2飛行可能空間FS2と、を認識する処理(図4/S13)の変更例について説明する。
【0175】
飛行可能空間認識部113は例えば、記憶部130にあらかじめ記憶されている、制限区域の緯度、経度の範囲の情報を取得し、飛行ルートの情報に含まれる、現在時刻以降の、所定時間分の時刻における無人航空機Dの緯度、経度が、制限区域の緯度、経度の範囲に該当するか否かを判定する。
【0176】
なお、制限区域とは、都市部、住宅密集地、空港周辺など、その上空を飛行中の無人航空機Dの、上下左右方向への移動の自由度が低い区域である。
【0177】
飛行可能空間認識部113は、当該判定が否定的であれば、既述した通常通りの方法で第1飛行可能空間FS1と、第2飛行可能空間FS2と、を認識する。
【0178】
一方で当該判定が肯定的であれば、飛行可能空間認識部113は、無人航空機Dが通過する地点が、あらかじめ定められた制限区域の上空であると認識する。
【0179】
そして飛行可能空間認識部113は、無人航空機Dが通過する地点が制限区域の上空でない場合の第1の所定距離PL1よりも短い距離に、第1の所定距離PL1を設定して、第1飛行可能空間FS1を認識する。
【0180】
あるいはさらに飛行可能空間認識部113は、無人航空機Dが通過する地点が制限区域の上空でない場合の第2の所定距離PL2よりも短い距離に、第2の所定距離PL2を設定して、第2飛行可能空間FS2を認識する。
【0181】
図13は、そのようにして飛行可能空間認識部113が第1飛行可能空間FS1及び第2飛行可能空間FS2を認識した状態を示すイメージ図である。
【0182】
すなわち本実施形態において飛行可能空間認識部113は、出発地SPから制限区域LAの上空に至るまでの間は、通常通りの広さの空間をそれぞれ第1飛行可能空間FS1及び第2飛行可能空間FS2として認識しているが、制限区域LAの上空を飛行することとなる間は、第1飛行可能空間FS1及び第2飛行可能空間FS2が狭くなっている。
【0183】
その後、飛行可能空間認識部113は、制限区域LAの上空を脱してから目的地DPに至るまでの間は、再び通常通りの広さの空間をそれぞれ第1飛行可能空間FS1及び第2飛行可能空間FS2として認識している。
【0184】
以上、本発明の変更実施形態のいくつかの例を示したが、これに限定されず、種々のさらなる変更がなされてもよい。
【0185】
すなわち例えば、上記においては無人航空機Dに備えられたフライトコントローラー30が、無人航空機Dの飛行ルートの情報に従った飛行ルートの制御を行っているが、当該制御は、無人航空機制御装置10の制御部110が行うこととしてもよい。すなわち、無人航空機制御装置10の制御部110が、フライトコントローラー30の機能の一部又は全部を担ってもよい。
【0186】
あるいは無人航空機Dの動力源PSは、ガソリンエンジンなどの内燃機関であってもよい。この場合、当該内燃機関が生み出す回転力がローターRの回転力として伝達されてもよいし、当該内燃機関が、図示しない発電機を稼働させて生み出された電力の供給を受けて、複数のローターR(R1~R4)を回転させることとしてもよい。
【0187】
飛行ルート認識部111は、例えば地上などに設置されたコンピューターなどから、図示しない受信手段が無線通信網を介して飛行ルートの情報を取得するように構成されていてもよい。
【0188】
あるいは例えば航空機状態認識部115は、無人航空機Dの移動速度の変化の大きさ、無人航空機Dの3次元方向へ移動の大きさ、無人航空機Dの姿勢の傾き、から、無人航空機Dに向かって吹く風の向きを認識してもよい。
【0189】
すなわち例えば航空機状態認識部115は、無人航空機Dの移動速度が意図せず速まれば後方から風が吹いていると認識し、意図せず遅くなれば前方から風が吹いていると認識し、その速度の変化の大きさから、速度の変化の大きさと風速との対応関係を示す関係式を用いて風の強さを認識する。
【0190】
あるいは例えば無人航空機Dが、下方に向けて意図せず移動した場合に、航空機状態認識部115は、上方から風が吹いていると認識する。あるいは例えば無人航空機Dの右側が下がるように傾いた場合に、航空機状態認識部115は、右上方向から風が吹いていると認識する。
【符号の説明】
【0191】
10…無人航空機制御装置、30…フライトコントローラー、50…センサー、110…制御部、111…飛行ルート認識部、113…飛行可能空間認識部、115…航空機状態認識部、117…飛行ルート変更部、130…記憶部、510…GPS、530…高度センサー、550…温度センサー、570…湿度センサー、590…電流・電圧センサー。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11
図12
図13