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特開2023-68396車載型地中状態計測装置、地中状態自動解析システム、及び地中状態計測方法
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  • 特開-車載型地中状態計測装置、地中状態自動解析システム、及び地中状態計測方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023068396
(43)【公開日】2023-05-17
(54)【発明の名称】車載型地中状態計測装置、地中状態自動解析システム、及び地中状態計測方法
(51)【国際特許分類】
   G01V 3/12 20060101AFI20230510BHJP
   G08C 17/00 20060101ALI20230510BHJP
   G01S 13/87 20060101ALI20230510BHJP
【FI】
G01V3/12 B
G08C17/00 A
G01S13/87
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021179484
(22)【出願日】2021-11-02
(71)【出願人】
【識別番号】000121844
【氏名又は名称】応用地質株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091904
【弁理士】
【氏名又は名称】成瀬 重雄
(72)【発明者】
【氏名】高橋 一徳
(72)【発明者】
【氏名】鴨下 智裕
(72)【発明者】
【氏名】羽田 智
【テーマコード(参考)】
2F073
2G105
5J070
【Fターム(参考)】
2F073AA02
2F073AA21
2F073AA32
2F073AA40
2F073AB01
2F073AB04
2F073AB05
2F073BB01
2F073BB04
2F073BC01
2F073BC02
2F073BC04
2F073CC03
2F073CC14
2F073CD05
2F073CD11
2F073DD02
2F073DE02
2F073DE07
2F073DE13
2F073EE01
2F073EF09
2F073EF10
2F073FF01
2F073FF12
2F073FG01
2F073FG02
2F073FG11
2F073GG01
2F073GG08
2F073GG09
2G105AA02
2G105BB11
2G105BB17
2G105CC01
2G105DD02
2G105EE02
2G105GG05
2G105LL02
5J070AC01
5J070AE11
5J070AF03
5J070BE01
5J070BG27
5J070BG30
(57)【要約】
【課題】地中状態を迅速に解析することができ、問題個所を抽出して迅速に対応することが可能になる技術を提供する。
【解決手段】地中状態計測手段11~1nは、探査車が走行した所定区間ごとの地中状態データを取得して保存する。センサ装置21~2n・3は、所定区間における関連情報データを取得して保存する。データ集約用PC5は、所定区間における地中状態データ又は関連情報データの少なくとも一方が保存されたかを監視する。地中状態データ又は関連情報データの少なくとも一方が保存されたときには、データ集約用PC5は、所定区間における地中状態データ及び関連情報データを、対応する地中状態計測手段及びセンサ装置からそれぞれ取得し、取得した所定区間における地中状態データと関連情報データとを集約して集約データを生成し、集約データを、遠隔地に設置されたデータ解析装置200に送る。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
いずれも探査車に搭載された地中状態計測手段と、センサ装置と、データ集約用PCとを備えており、
前記地中状態計測手段は、前記探査車が走行した所定区間ごとの地中状態データを取得して保存する構成となっており、
前記センサ装置は、前記所定区間における関連情報データを取得して保存する構成となっており、
前記データ集約用PCは、
前記所定区間における前記地中状態データ又は前記関連情報データの少なくとも一方について、当該一方が保存されたかを監視する処理と、
前記地中状態データ又は前記関連情報データの少なくとも一方が保存されたときには、前記所定区間における前記地中状態データ及び前記関連情報データを、対応する前記地中状態計測手段及び前記センサ装置からそれぞれ取得する処理と、
取得した前記所定区間における前記地中状態データと前記関連情報データとを集約して集約データを生成し、前記集約データを、遠隔地に設置されたデータ解析装置に送る処理と
を行う構成となっている
車載型地中状態計測装置。
【請求項2】
前記地中状態計測手段と、前記センサ装置と、前記データ集約用PCとは、前記探査車内に構築されたイントラネットにより接続されている
請求項1に記載の車載型地中状態計測装置。
【請求項3】
前記データ集約用PCは、無線通信回線を介して、前記集約データを前記データ解析装置に送る構成となっている
請求項1又は2に記載の車載型地中状態計測装置。
【請求項4】
前記関連情報データは、前記所定区間における外部環境の映像データ、又は、前記所定区間に対応する位置データである
請求項1~3のいずれか1項に記載の車載型地中状態計測装置。
【請求項5】
前記遠隔地に設置されたデータ解析装置は、クラウド内に構築されたデータ解析用仮想マシン、又は、遠隔地にある物理的な計算機である
請求項1~4のいずれか1項に記載の車載型地中状態計測装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の車載型地中状態計測装置と、前記データ解析装置と、前記データ解析装置による解析結果を閲覧するためのデータ閲覧用PCとを備えており、
前記データ閲覧用PCは、前記データ解析装置による解析結果を受け取って表示する構成となっている
地中状態自動解析システム。
【請求項7】
探査車が走行した所定区間ごとに地中状態データを取得して保存する工程と、
前記所定区間中の関連情報データを取得して保存する工程と、
前記所定区間における前記地中状態データ又は前記関連情報データの少なくとも一方について、当該一方が保存されたかをデータ集約用PCが監視する工程と、
前記地中状態データ又は前記関連情報データの少なくとも一方が保存されたときには、前記データ集約用PCが、前記所定区間における前記地中状態データと前記関連情報データとを取得する工程と、
前記データ集約用PCが、取得した前記所定区間における前記地中状態データと前記関連情報データとを集約して集約データを生成し、前記集約データを、遠隔地に設置されたデータ解析装置に送る工程と
を備える地中状態計測方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載型地中状態計測装置、地中状態自動解析システム、及び地中状態計測方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、地中レーダ装置、ビデオカメラ、GPS装置などを有する車両を走行させながら、それぞれの装置によって地中レーダデータ、ビデオ映像、位置データ等を収録する技術が知られている。収録されたデータは、地中レーダ装置、ビデオカメラ、GPS装置などのそれぞれの装置に一旦格納される。
【0003】
従来は、それぞれの装置における1日分の収録データを手動でHDD等の媒体に格納した後に解析している。このため、解析結果を得るまでに数日を要することもあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-137461号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前記した状況に鑑みてなされたものである。本発明の主な目的は、計測終了後、迅速に地中状態を解析することができ、問題個所を抽出して迅速に対応することが可能になる技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下の項目に記載の発明として表現することができる。
【0007】
(項目1)
いずれも探査車に搭載された地中状態計測手段と、センサ装置と、データ集約用PCとを備えており、
前記地中状態計測手段は、前記探査車が走行した所定区間ごとの地中状態データを取得して保存する構成となっており、
前記センサ装置は、前記所定区間における関連情報データを取得して保存する構成となっており、
前記データ集約用PCは、
前記所定区間における前記地中状態データ又は前記関連情報データの少なくとも一方について、当該一方が保存されたかを監視する処理と、
前記地中状態データ又は前記関連情報データの少なくとも一方が保存されたときには、前記所定区間における前記地中状態データ及び前記関連情報データを、対応する前記地中状態計測手段及び前記センサ装置からそれぞれ取得する処理と、
取得した前記所定区間における前記地中状態データと前記関連情報データとを集約して集約データを生成し、前記集約データを、遠隔地に設置されたデータ解析装置に送る処理と
を行う構成となっている
車載型地中状態計測装置。
【0008】
(項目2)
前記地中状態計測手段と、前記センサ装置と、前記データ集約用PCとは、前記探査車内に構築されたイントラネットにより接続されている
項目1に記載の車載型地中状態計測装置。
【0009】
(項目3)
前記データ集約用PCは、無線通信回線を介して、前記集約データを前記データ解析装置に送る構成となっている
項目1又は2に記載の車載型地中状態計測装置。
【0010】
(項目4)
前記関連情報データは、前記所定区間における外部環境の映像データ、又は、前記所定区間に対応する位置データである
項目1~3のいずれか1項に記載の車載型地中状態計測装置。
【0011】
(項目5)
前記遠隔地に設置されたデータ解析装置は、クラウド内に構築されたデータ解析用仮想マシン、又は、遠隔地にある物理的な計算機である
項目1~4のいずれか1項に記載の車載型地中状態計測装置。
【0012】
(項目6)
項目1~5のいずれか1項に記載の車載型地中状態計測装置と、前記データ解析装置と、前記データ解析装置による解析結果を閲覧するためのデータ閲覧用PCとを備えており、
前記データ閲覧用PCは、前記データ解析装置による解析結果を受け取って表示する構成となっている
地中状態自動解析システム。
【0013】
(項目7)
探査車が走行した所定区間ごとに地中状態データを取得して保存する工程と、
前記所定区間中の関連情報データを取得して保存する工程と、
前記所定区間における前記地中状態データ又は前記関連情報データの少なくとも一方について、当該一方が保存されたかをデータ集約用PCが監視する工程と、
前記地中状態データ又は前記関連情報データの少なくとも一方が保存されたときには、前記データ集約用PCが、前記所定区間における前記地中状態データと前記関連情報データとを取得する工程と、
前記データ集約用PCが、取得した前記所定区間における前記地中状態データと前記関連情報データとを集約して集約データを生成し、前記集約データを、遠隔地に設置されたデータ解析装置に送る工程と
を備える地中状態計測方法。
【発明の効果】
【0014】
本発明の技術によれば、生成された集約データを用いて地中状態を迅速に解析することができ、それにより、問題個所を抽出して迅速に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態における地中状態自動解析システムの概略的構成を示すブロック図である。
図2図1のシステムを用いた解析方法を説明するための流れ図である。
図3図1のシステムにおけるデータ集約の手順を説明するための説明図である。
図4図1のシステムにおけるデータ解析結果の表示画面の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の一実施形態に係る地中状態自動解析システムを、添付の図面を参照しながら説明する。このシステムは、車載型地中状態計測装置100と、データ解析装置200と、データ解析装置200による解析結果を閲覧するためのデータ閲覧用PC300とから構成されている。
【0017】
(車載型地中状態計測装置)
車載型地中状態計測装置100は、複数の地中レーダ装置11~1nと、複数の録画装置21~2mと、GNSS装置3と、イーサネットスイッチ4と、データ集約用PC5とから構成されている。これらはいずれも探査車(図示せず)に搭載されている。ここで、複数の地中レーダ装置11~1nは、地中状態計測手段の一例であり、複数の録画装置21~2mとGNSS装置3とは、センサ装置の一例である。探査車としては、例えば、前記した特許文献1に記載のものを用いることができる。本実施形態において地中レーダ装置11~1n及び録画装置21~2mの台数はn台及びm台とされ、ここで1≦n、1≦mである。nとmとは同じであっても異なっていてもよい。参照符号における添え字のn及びmはそれぞれ台数を示している。図1では、2台の地中レーダ装置11・12と、2台の録画装置21・22を例示的に示している。
【0018】
(地中レーダ装置)
地中レーダ装置11~1nは、探査車が走行した所定区間ごとの地中レーダデータ(地中状態データの一例に相当)を取得して保存する構成となっている。地中レーダ装置11~1nとしては、例えば特許文献1に記載されたものを用いることができるので、これについての詳しい説明は省略する。
【0019】
(録画装置)
録画装置21~2mは、所定区間における外部環境の映像データ(関連情報データの一例に対応)を取得して保存するようになっている。録画装置21~2mとしては、例えば特許文献1に記載されたデジタルビデオカメラを用いることができるので、これについての詳しい説明は省略する。本実施形態では、車両の前方、後方、左側、及び右側の画像をそれぞれ録画できるように、少なくとも4台の録画装置が用いられているが、これには制約されず、必要な台数の録画装置を用いることができる。
【0020】
(GNSS装置)
GNSS装置3は、所定区間に対応する位置データ(関連情報データの一例に対応)を取得して保存するようになっている。GNSS装置3を複数台使用することもできる。GNSS装置3としては、例えば特許文献1に記載されたGPS装置を用いることができるので、これについての詳しい説明は省略する。
【0021】
録画装置及びGNSS装置はセンサ装置の具体例に相当する。センサ装置としては、同期信号やタイムスタンプ等を用いて、他のセンサ装置と同じ位置で取得したデータかどうかを特定できるものが望ましい。また、これらの装置は、基本的には独立して動作する装置群である。
【0022】
(イーサネットスイッチ)
イーサネットスイッチ4は、地中レーダ装置11~1nと、録画装置21~2mと、GNSS装置3と、データ集約用PC5とをLAN接続し、探査車内にイントラネットを構築している。これにより、本実施形態の地中レーダ装置11~1nと、録画装置21~2mと、GNSS装置3と、データ集約用PC5とは、探査車内に構築されたイントラネットにより接続されたものとなっている。データ集約用PC5は、地中レーダ装置11~1nと録画装置21~2mとGNSS装置3のデータフォルダを常時参照可能となっている。
【0023】
(データ集約用PC)
データ集約用PC5は、
(1)所定区間における地中状態データが地中レーダ装置11~11nに保存されたかを監視する処理、
(2)地中状態データが保存されたときには、地中状態データを地中レーダ装置11~1nから取得し、さらに、所定区間における関連情報データを録画装置21~2m及びGNSS装置3センサ装置から取得する処理、
(3)所定区間における地中状態データと関連情報データとを集約して集約データを生成し、集約データを、遠隔地に設置されたデータ解析装置200に送る処理
を行う構成となっている。データ集約用PC5は、無線通信回線を介して、集約データをデータ解析装置200に送るようになっている。ここで無線通信回線としては、4GLTEや5Gなどのモバイル通信網を用いることができるが、これに限らず、例えばWiFiなど、他の無線通信回線を用いることも可能である。データ集約用PCの詳しい動作は後述する。
【0024】
(データ解析装置)
本実施形態のデータ解析装置200は、クラウド内に構築されたデータ解析用仮想マシンである。ただし、クラウドを用いることは必須ではなく、専用サーバを用いてデータ解析装置を構築することも可能である。この場合、データ解析装置200は、遠隔地にある物理的な計算機により構成されていることになる。データ解析装置200は、データ集約用PC5から送られた集約データを用いて、必要な各種のデータ解析(例えば路面下の空洞検出など)を行うことができるようになっている。また、データ解析装置200は、データ閲覧用PC300で表示されるべき各種のデータを生成し、データ閲覧用PC300からの要求に応じてデータ閲覧用PC300に送信できるようになっている。さらに、データ解析装置200は、送られた集約データが届いたことを検知して自動的に解析を開始するようになっている。データ解析装置200で用いられる解析手段としては、従来から用いられているもの(例えばAI解析)を使用することができるので、これについての詳しい説明は省略する。
【0025】
(データ閲覧用PC)
データ閲覧用PC300は、インターネットを介してデータ解析装置200に接続されている。データ閲覧用PC300は、データ解析装置200から受信した各種データをブラウザ上で表示できるようになっている。例えばこの例では、データ閲覧用PC300のブラウザ上では、レーダデータ表示部7とビデオ画像表示部8と測定位置表示部9とを表示するようになっている。
【0026】
レーダデータ表示部7は、地中レーダ装置11~1nによる地中状態の解析結果を表示するようになっている。図4では、地中レーダのデータを表示し、かつ、その中に、解析により検出された地下空洞の場所を、四角い枠で強調表示できるようになっている。
【0027】
ビデオ画像表示部8は、レーダデータ表示部7で表示されている地中レーダのデータに対応する位置(区間)での、外部環境のビデオ画像を表示するようになっている。図4の例では、地中レーダのデータに対応する位置(区間)での、前方、後方、左側、及び右側のビデオ画像(対応する録画装置で取得されたビデオ画像)を表示するようになっている。
【0028】
測定位置表示部9は、地中レーダのデータに対応する位置(区間)を、地図上に表示するようになっている。地図上の位置は、GNSS装置3で取得されたGNSSデータにより特定可能である。図4の例では、表示されている地中レーダのデータに対応する区間を、破線により、地図上に表している。
【0029】
(地中状態解析方法)
以下、図2及び図3をさらに参照しながら、本実施形態に係る地中状態解析方法を説明する。
【0030】
図2のステップSA-1)
まず、調査対象個所(例えば指定された領域の道路)において、車両を走行させる。走行に伴い、地中レーダ装置11~1n、録画装置21~2m、GNSS装置は、それぞれ、地中レーダデータ、ビデオデータ、及び位置データを、それぞれの装置内にファイルとして記録していく。
【0031】
図2のステップSA-2~SA-4)
データ集約用PC300は、地中レーダ装置11~1nのそれぞれにおけるデータフォルダをほぼリアルタイムで監視する。そして、いずれかの地中レーダ装置11~1nにおいて新しいデータファイルが作成された場合、当該の地中レーダ装置からその新しいデータをコピーする。さらに、他の地中レーダ装置、並びに、録画装置21~2m及びGNSS装置3から、その時点でのビデオデータ及び位置情報をコピーする。これらの動作については追ってさらに詳しく説明する。
【0032】
図2のステップSA-5)
データ集約用PC5は、コピーしてきたデータに対して、必要に応じた処理を行う。例えば、各データには、その後の処理と関係のないデータが含まれていることがある。あるいは、例えばビデオデータが不必要に高解像度である場合がある。このような場合に、不要データを消去したり、あるいは、解像度を下げる処理を行う。また、データ圧縮を行う。これらの処理によりデータ容量を小さくすることができる。データ集約用PC5は、コピーしてきたそれぞれのデータ(データ処理後のもの)を集約して集約データを生成する。集約データは、複数の装置で取得した複数のデータが、測定個所ごとにまとめられた1セットのデータとなっている。
【0033】
ここで、本実施形態では、データ集約用PC3により、データ処理や以降の処理(アップロードなど)の間においても、ステップSA-2~4の処理を並行して行い、データ更新があれば、それ以降の処理も並行して行う。これにより、車両の運行と測定を継続して行うことができる。このため、測定作業の効率を向上させることができる。
【0034】
図2のステップSA-6~SA-8)
ついで、データ集約用PC5は、データ解析装置200に集約データを送る。データ解析装置200は、集約データを受領後、そのデータを自動的に解析して、解析結果を保存する。集約データは、複数の装置で取得した複数のデータが測定区間(あるいは測定個所)ごとにまとめられた1セットのデータなので、解析時においてタイムスタンプを逐一確認する必要がないという利点がある。
【0035】
解析結果は、データ閲覧用PC300の、たとえばブラウザ上で表示可能なデータとして生成され、データ解析装置200に格納される。併せて、データ解析装置200は、当該解析結果に付随してブラウザ上で表示されるべき(つまり当該測定区間に対応する)各種の関連データを生成し、データ解析装置200に格納する。なお、解析結果をデータ閲覧用PC300のブラウザ上で表示することは必須ではなく、例えば、データ閲覧用PC300の何らかのプログラム上に表示する手段も可能である。
【0036】
図2のステップSA-9)
データ閲覧用PC300からの指令により、データ解析装置200は、当該指令に応じて、保存していた解析結果をデータ閲覧用PC300に送る。
【0037】
本実施形態のシステムによれば、ほぼリアルタイムで解析結果を生成できる。また使用者は、必要なときに解析結果及び関連情報を閲覧できる。したがって、この技術によれば、地中状態を迅速に解析することができ、問題個所を抽出して迅速に対応することが可能になる。
【0038】
(データ監視の詳細手順)
以下、図3をさらに参照して、図2のステップSA-2~SA-4で説明したデータ監視手順をさらに詳しく説明する。
【0039】
図3のステップSB-1)
データ集約用PC5は、まず、地中レーダ装置11~1nにおけるデータフォルダのファイルリストを取得する(図示の例ではファイル番号001と002)。以降、説明の便宜のため、一つの地中レーダ装置11について説明するが、各地中レーダ装置において同様の動作となる。この例では、ファイル番号は生成順に連番で付されるものとする。
【0040】
図3のステップSB-2)
データ集約用PC5は、その後、一定の時間間隔で、地中レーダ装置11におけるデータフォルダ内のファイルリストを取得し続ける。ここで、ファイルリストを取得する時間間隔としては、例えば1秒~数分程度であるが、これには制約されず、これより短い、あるいは長い間隔であってもよい。数分程度の間隔であれば、地中状態の検出という用途においては、十分にリアルタイム性があるといえる。データ集約用PC5は、新しいファイルリストを取得すると、その直前のファイルリストと比較し、ファイルリストの情報を更新する。また、この間、地中レーダ装置11による測定は継続している。
【0041】
図3のステップSB-3)
地中レーダ装置11での、所定区間における測定が終了すると、地中レーダ装置11中のデータフォルダに新しいデータファイル(図示の例ではファイル番号003)が追加される。
【0042】
図3のステップSB-4)
データ集約用PC5は、新しいファイルリストを取得して更新する際に、前状態のファイルリストと比較することにより、新しいデータファイル003が追加されたことを検知することができる。これによりデータ集約用PC5は、地中レーダ装置11における測定作業が終了したことを検知したことになる。なお、地中レーダ装置11が測定を開始した際にファイルを作成する場合は、データ集約用PC5は、ファイルへのデータ書き込みが終了したことをチェックして、測定終了を検出することができる。
【0043】
図3のステップSB-5)
すると、データ集約用PC5は、追加された新しいデータファイル003を地中レーダ装置11からコピーする。さらに、他のセンサ装置、すなわち録画装置21~2m及びGNSS装置3から、その時点での最新のデータファイルをコピーする。
【0044】
以上により、前記したデータ監視を継続的に行うことができる。
【0045】
本実施形態では、前記の動作により、
探査車が走行した所定区間ごとに地中状態データを取得して保存する工程と、
所定区間中の関連情報データを取得して保存する工程と、
所定区間における地中状態データが保存されたかをデータ集約用PC5が監視する工程と、
地中状態データが保存されたときには、データ集約用PC5が、地中状態データと、所定区間における関連情報データとを取得する工程と、
データ集約用PCが、所定区間における地中状態データと関連情報データとを集約して集約データを生成し、集約データを、遠隔地に設置されたデータ解析装置に送る工程とを実施することができる。
【0046】
なお、前記実施形態の記載は単なる一例に過ぎず、本発明に必須の構成を示したものではない。各部の構成は、本発明の趣旨を達成できるものであれば、上記に限らない。
【0047】
例えば、前記した実施形態においては、地中状態として、路面下の空洞を想定したが、これに限らず、例えば、埋設管の状況、舗装路面の状況、地中構造物の状況などであってもよい。
【0048】
また、前記した実施形態では、データ解析の手段としてAIを例示したが、AIを用いない手法であってもよい。
【0049】
さらに、前記した実施形態では、データ閲覧用PC300のブラウザによりデータ解析結果を閲覧するものとしたが、必要なデータをダウンロードして解析結果を表示する手段も可能である。
【0050】
前記した実施形態では、地中状態計測手段として地中レーダ装置を例示したが、これに限らず、落下重量偏向計、温度計、超音波測定装置などを用いることができる。
【0051】
また、前記した実施形態では、センサ装置として、録画装置及びGNSS装置を例示したが、これに限らず、慣性計測装置、ラインスキャンカメラ、レーザースキャナ、ライダーなどを用いることができる。
【0052】
さらに、前記した実施形態では、地中状態データが保存されたかを監視し、それをトリガとして関連情報データを取得していた。しかしながら、データ集約用PC5が、所定区間における関連情報データが保存されたかを監視し、それをトリガとして地中状態データを取得する構成であってもよい。この場合、関連情報データが保存されたときには、所定区間における地中状態データ及び関連情報データを、データ集約用PC5が、対応する地中状態計測手段及びセンサ装置からそれぞれ取得する。その後、データ集約用PC5が、取得した地中状態データと関連情報データとを集約して集約データを生成し、この集約データを、遠隔地に設置されたデータ解析装置に送ることができる。この場合の手順は前記した実施形態と実質的に同様でよい。
【符号の説明】
【0053】
11~1n 地中レーダ装置(地中状態計測手段)
21~2m 録画装置(センサ装置)
3 GNSS装置(センサ装置)
4 イーサネットスイッチ
5 データ集約用PC
7 レーダデータ表示部
8 ビデオ画像表示部
9 測定位置表示部
100 車載型地中状態計測装置
200 データ解析装置
300 データ閲覧用PC
図1
図2
図3
図4