(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023068409
(43)【公開日】2023-05-17
(54)【発明の名称】積込物排出システム
(51)【国際特許分類】
E02F 3/43 20060101AFI20230510BHJP
【FI】
E02F3/43 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021179513
(22)【出願日】2021-11-02
(71)【出願人】
【識別番号】000246273
【氏名又は名称】コベルコ建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】野田 大輔
【テーマコード(参考)】
2D003
【Fターム(参考)】
2D003AA01
2D003AB03
2D003AB04
2D003BA02
2D003BA04
2D003BB07
2D003DA04
2D003DB04
2D003DB08
2D003FA02
(57)【要約】
【課題】容器への積込物の積込作業が完了した後の積込物の高さができるだけ均等になるように、積込物の目標排出位置を決定する。
【解決手段】バケット内積込物情報設定部51は、作業機械20のバケット25c内の積込物(Sb)の量を示す情報を設定する。容器位置設定部53は、積込物Sが積み込まれる容器13の位置の情報を設定する。排出位置演算部60は、容器位置設定部53に設定された容器13の位置と、バケット内積込物情報設定部51に設定されたバケット25c内の積込物(Sb)の量を示す情報と、に基づいて、目標排出位置Xtを演算する。目標排出位置Xtは、バケット25cから容器13に積込物Sを排出させる目標位置である。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業機械のバケット内の積込物の量を示す情報を設定するバケット内積込物情報設定部と、
前記積込物が積み込まれる容器の位置の情報を設定する容器位置設定部と、
前記容器位置設定部に設定された前記容器の位置と、前記バケット内積込物情報設定部に設定された前記バケット内の前記積込物の量を示す情報と、に基づいて、前記バケットから前記容器に前記積込物を排出させる目標位置である目標排出位置を演算する排出位置演算部と、
を備える、
積込物排出システム。
【請求項2】
請求項1に記載の積込物排出システムであって、
前記バケット内積込物情報設定部は、前記バケット内の前記積込物の質量を含む情報を設定する、
積込物排出システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の積込物排出システムであって、
前記排出位置演算部は、前記容器に既に積み込まれた前記積込物の量を示す情報の値が大きくなるにしたがって、前記容器の長手方向一方側の端部から前記目標排出位置までの距離が大きくなるように、前記目標排出位置を演算する、
積込物排出システム。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の積込物排出システムであって、
前記排出位置演算部は、前記バケット内の前記積込物の量を示す情報の値が大きくなるにしたがって、前記容器に既に積み込まれた前記積込物から前記目標排出位置までの距離が大きくなるように、前記目標排出位置を演算する、
積込物排出システム。
【請求項5】
請求項4に記載の積込物排出システムであって、
前記排出位置演算部には、前記容器全体の前記積込物の量を示す情報の目標値である目標積込積算量が設定され、
前記排出位置演算部は、前記容器に既に積み込まれた前記積込物の量の情報の値と、前記バケット内の前記積込物の量の情報の値と、の和を算出し、前記和と前記目標積込積算量との比率を算出し、前記比率に基づいて前記目標排出位置を演算する、
積込物排出システム。
【請求項6】
請求項4に記載の積込物排出システムであって、
前記排出位置演算部は、前記バケット内の前記積込物が、前記容器に既に積み込まれた前記積込物から所定のずらし量だけずれた位置に排出されたと仮定したときの、前記バケットから排出される前記積込物の高さを推定し、
前記排出位置演算部は、推定した前記積込物の高さ、および前記ずらし量に基づいて、前記目標排出位置を演算する、
積込物排出システム。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の積込物排出システムであって、
前記排出位置演算部は、前記容器への前記積込物の積込作業の開始時から、前記排出位置演算部に設定された初期積込終了条件が満たされるまで、前記バケットから前記積込物の排出が同じ位置で複数回行われるように、前記目標排出位置を演算する、
積込物排出システム。
【請求項8】
請求項7に記載の積込物排出システムであって、
前記初期積込終了条件は、前記バケットによる前記積込物の排出が所定回数行われたこと、前記容器に積み込まれた前記積込物の量を示す情報の値が所定値を超えたこと、および、前記容器に積み込まれた前記積込物が所定の高さを超えたこと、の少なくともいずれかを含む、
積込物排出システム。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載の積込物排出システムであって、
前記排出位置演算部に演算された前記目標排出位置に前記積込物を排出するように前記バケットを制御する駆動制御部を備える、
積込物排出システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バケットから積込物を排出するための積込物排出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1などに、作業機械の自動運転により、バケットから積込物を排出するための技術が記載されている。同文献に記載の技術では、容器(同文献ではダンプトラックの荷台)の長手方向にバケットを移動させながらバケットを開くことで、バケットから積込物が排出される(同文献の
図7A参照)。これにより、一定の高さで積込物を容器に積み込むことが図られている(同文献の
図7Aから
図9Eまでを参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、同文献に記載の技術において、一定の高さで積込物を容器に積み込むには、バケットの開き具合を微調整する必要があり、バケットの制御が難しい。そのため、バケットから容器への積み込み作業が完了した後の積込物が、凹凸の大きい形状になるおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は、容器への積込物の積込作業が完了した後の積込物の高さができるだけ均等になるように、積込物の目標排出位置を決定することができる、積込物排出システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
積込物排出システムは、バケット内積込物情報設定部と、容器位置設定部と、排出位置演算部と、を備える。前記バケット内積込物情報設定部は、作業機械のバケット内の積込物の量を示す情報を設定する。前記容器位置設定部は、前記積込物が積み込まれる容器の位置の情報を設定する。前記排出位置演算部は、前記容器位置設定部に設定された前記容器の位置と、前記バケット内積込物情報設定部に設定された前記バケット内の前記積込物の量を示す情報と、に基づいて、目標排出位置を演算する。前記目標排出位置は、前記バケットから前記容器に前記積込物を排出させる目標位置である。
【発明の効果】
【0007】
上記構成により、容器への積込物の積込作業が完了した後の積込物の高さができるだけ均等になるように、積込物の目標排出位置を決定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】積込物排出システム1の車両10および作業機械20を横から見た図である。
【
図2】
図1に示す例とは異なる配置の車両10および作業機械20を上から見た図である。
【
図3】
図1に示す積込物排出システム1のブロック図である。
【
図4】
図1に示す積込物排出システム1の作動を示すフローチャートである。
【
図5】
図1に示す容器13および積込物Sなどを横から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1~
図5を参照して、積込物排出システム1について説明する。
【0010】
積込物排出システム1は、
図1に示す作業機械20から容器13に積み込まれる積込物Sの目標排出位置Xt(
図5参照)を演算する。積込物排出システム1は、作業機械20から容器13に積込物Sを排出する機能を有してもよい。積込物排出システム1は、
図5に示すように、容器13に排出される積込物Sの高さが、できるだけ均等になるように目標排出位置Xtを演算する(詳細は後述)。積込物Sの「高さ」は、容器13の底面13aからの高さである(以下同様)。積込物Sは、バケット25c(後述)で捕捉可能、かつ、容器13に積込可能な物である。積込物Sは、例えば、土状、粒状、チップ状、粉状などである。具体的には例えば、積込物Sは、土砂でもよく、石でもよく、木材でもよく、金属でもよく、廃棄物でもよい。積込物排出システム1は、
図1に示す車両10と、作業機械20と、
図3に示す姿勢センサ31と、バケット内積込物情報センサ33と、撮像装置35と、入力装置37と、コントローラ50と、を備える。
【0011】
車両10は、
図1に示すように、容器13を有する。車両10は、容器13に収容した積込物Sを運ぶ機械(運搬車両、輸送車両)である。車両10は、例えばダンプトラックなどである。車両10は、車両本体部11と、容器13と、を備える。
【0012】
車両本体部11は、容器13を支持する。車両本体部11は、走行可能であり、車輪により走行してもよく、クローラにより走行してもよい。車両本体部11は、車両運転室11aを備える。
【0013】
容器13は、積込物Sが積み込まれ、積込物Sを収容する。容器13は、例えば蓋を有さない箱形などである。容器13は、例えば車両10の荷台でもよく、荷台でなくてもよい。以下では、主に、容器13が車両10の荷台である場合について説明する。容器13は、車両本体部11に対して可動でもよく、車両本体部11に固定されてもよい。以下では、容器13の底面13a(後述)が水平または略水平に配置された状態について説明する。容器13は、長手方向を有する形状を有する。容器13の長手方向を、容器長手方向Xとする。後述するように、バケット25cから容器13への積込物Sの積込作業は、容器長手方向Xの一方側から他方側(「一方側」とは反対側)に順に行われる。容器長手方向Xにおいて、積込作業が最初に行われる側を容器長手方向前側Xfとし、その逆側を容器長手方向後側Xrとする。例えば、容器長手方向前側Xfは、容器13から車両運転室11aに向かう側(後述する鳥居面13d側)でもよく、その逆側(後述する後部あおり板面13b側)でもよい。底面13a(後述)と平行な方向であって、容器長手方向Xに直交する方向を、容器幅方向Yとする。容器13は、底面13aと、後部あおり板面13bと、側部あおり板面13cと、鳥居面13dと、を備える。
【0014】
底面13aは、容器13の底の面である。底面13aは、平面状または略平面状である(後部あおり板面13b、側部あおり板面13c、および鳥居面13dも同様)。後部あおり板面13bは、容器13の容器長手方向Xの一方側(例えば容器長手方向後側Xr)の面である。後部あおり板面13bは、例えば、底面13aの容器長手方向Xの一方側の部分から上に突出する。側部あおり板面13cは、容器13の容器幅方向Y外側(左右)の面であり(
図2参照)、底面13aの左右の端部から上に突出する。鳥居面13dは、容器13の容器長手方向Xにおいて後部あおり板面13bが設けられる側とは反対側(例えば容器長手方向前側Xf)の面である。鳥居面13dは、例えば、底面13aの容器長手方向前側Xfの部分から上に突出する。例えば、鳥居面13dは、側部あおり板面13cよりも上に突出し、後部あおり板面13bよりも上に突出する。
【0015】
作業機械20は、バケット25cを有する機械であり、例えばショベルである。作業機械20は、自動運転により作動することが可能に構成される。作業機械20は、運転室23a(後述)内の作業者(オペレータ)により操作される場合があってもよく、作業機械20の外部から遠隔操作される場合があってもよい。作業機械20は、下部走行体21と、上部旋回体23と、アタッチメント25と、駆動制御部27(
図3参照)と、を備える。
【0016】
下部走行体21は、作業機械20を走行させる。下部走行体21は、クローラを備えてもよく、ホイールを備えてもよい。
【0017】
上部旋回体23は、下部走行体21に旋回可能に搭載される。下部走行体21に対する上部旋回体23の旋回の中心を、旋回中心23o(
図2参照)とする。上部旋回体23は、運転室23aを備える。運転室23aは、操作者が作業機械20を操作することが可能な部分である。
【0018】
アタッチメント25は、作業を行う部分であり、例えば、ブーム25aと、アーム25bと、バケット25cと、を備える。ブーム25aは、上部旋回体23に起伏可能(上下方向に回転可能)に取り付けられる。アーム25bは、ブーム25aに対して回転可能に取り付けられる。バケット25cは、アタッチメント25の先端部に設けられ、アーム25bに回転可能に取り付けられる。バケット25cは、積込物Sを収容することが可能である。バケット25cは、積込物Sをすくうことが可能である。
【0019】
駆動制御部27(
図3参照)は、作業機械20を駆動させるアクチュエータを制御する。作業機械20を駆動させるアクチュエータは、油圧式でもよく、電動でもよい。作業機械20を駆動させるアクチュエータに油圧式アクチュエータが含まれる場合、駆動制御部27は、油圧回路を備える。作業機械20を駆動させるアクチュエータに電動アクチュエータが含まれる場合、駆動制御部27は、電気回路を備える。具体的には例えば、駆動制御部27は、下部走行体21に対して上部旋回体23を旋回させるモータ(例えば油圧モータ)を制御する。駆動制御部27は、上部旋回体23に対してブーム25aを起伏させる油圧シリンダ(図示なし)を制御する。駆動制御部27は、ブーム25aに対してアーム25bを回転させる油圧シリンダ(図示なし)を制御する。駆動制御部27は、アーム25bに対してバケット25cを回転させる油圧シリンダ(図示なし)を制御する。
【0020】
姿勢センサ31(
図3参照)は、作業機械20の姿勢を検出する。姿勢センサ31は、作業現場に対する作業機械20の位置および向きを検出してもよい。姿勢センサ31は、下部走行体21に対する上部旋回体23の旋回の状態(例えば角度)を検出してもよい。姿勢センサ31は、上部旋回体23に対するブーム25aの起伏の状態(例えば起伏角度)を検出してもよい。姿勢センサ31は、ブーム25aに対するアーム25bの回転の状態(例えば回転角度)を検出してもよい。姿勢センサ31は、アーム25bに対するバケット25cの回転の状態(例えば回転角度)を検出してもよい。姿勢センサ31は、角度を検出するセンサ(例えばロータリエンコーダなど)を備えてもよく、水平面に対する傾斜を検出するセンサを備えてもよく、アタッチメント25を駆動する油圧シリンダ(図示なし)のストロークを検出するセンサを備えてもよい。姿勢センサ31は、二次元画像および距離画像(後述)の少なくともいずれかに基づいて作業機械20の姿勢を検出してもよい。この場合、二次元画像および距離画像の少なくともいずれかは、撮像装置35により撮像されてもよい(姿勢センサ31と撮像装置35とが兼用されてもよい)。姿勢センサ31は、作業機械20に搭載されてもよく、作業機械20の外部(例えば作業現場)に配置されてもよい。作業機械20に搭載されても、作業機械20の外部に配置されてもよいことは、
図3に示すバケット内積込物情報センサ33、撮像装置35、入力装置37、およびコントローラ50も同様である。
【0021】
バケット内積込物情報センサ33(
図3参照)は、
図1に示すバケット25c内の積込物Sの量を示す情報を検出する。「積込物Sの量を示す情報」は、例えば、積込物Sの質量でもよく、体積でもよく、質量および体積でもよい。「積込物Sの量を示す情報」が積込物Sの質量を含む場合、バケット内積込物情報センサ33は、例えば、バケット25cに作用する荷重を検出することで、バケット25c内の積込物Sの質量を検出してもよい。この場合、バケット内積込物情報センサ33は、アーム25bに対してバケット25cを回転させる油圧シリンダ(図示しないバケットシリンダ)に作用する負荷(具体的には油圧)を検出してもよい。また、バケット内積込物情報センサ33は、バケットシリンダとバケット25cとアーム25bとをつなぐリンク部材(図示なし)に作用する荷重を検出してもよい。「積込物Sの量を示す情報」が積込物Sの体積を含む場合、バケット内積込物情報センサ33は、積込物Sの二次元画像および距離画像に基づいて、バケット25c内の積込物S(バケット内積込物Sb)の体積を検出してもよい。この場合、二次元画像および距離画像の少なくともいずれかは、撮像装置35により撮像されてもよい。以下では主に「積込物Sの量を示す情報」が、積込物Sの質量である場合について説明する。以下の「質量」を「積込物Sの量を示す情報」に読み替えてもよい。
【0022】
撮像装置35は、撮像装置35の周囲の撮像対象物を撮像する。例えば、撮像装置35の撮像対象物は、車両10でもよく、容器13でもよく、容器13内の積込物Sでもよい。撮像装置35の撮像対象物は、作業機械20でもよく、アタッチメント25でもよく、バケット25cでもよく、バケット25c内の積込物S(バケット内積込物Sb)でもよい。撮像装置35は、撮像対象物の二次元情報(例えば画像における位置や形状)を検出してもよい。撮像装置35は、二次元の情報を検出するカメラ(単眼カメラ)を備えてもよい。撮像装置35は、撮像対象物の三次元情報(例えば三次元座標や三次元形状)を検出してもよく、距離の情報(奥行きの情報)を有する画像(距離画像)を取得してもよい。撮像装置35は、レーザー光を用いて三次元の情報を検出する装置を備えてもよく、例えばLIDAR(Light Detection and Ranging)を備えてもよく、例えばTOF(Time Of Flight)センサを備えてもよい。撮像装置35は、電波を用いて三次元の情報を検出する装置(例えばミリ波レーダなど)を備えてもよい。撮像装置35は、ステレオカメラを備えてもよい。撮像装置35は、距離画像と二次元画像とに基づいて、撮像対象物の三次元情報を検出してもよい。
【0023】
入力装置37(
図3参照)は、作業者が情報を入力するための装置である。入力装置37が作業機械20に設けられる場合は、入力装置37は、例えば、運転室23a内に設けられる表示器でもよい。入力装置37は、タブレットでもよく、スマートフォンでもよい。
【0024】
コントローラ50(
図3参照)は、信号の入出力、演算(処理)、情報の記憶などを行うコンピュータである。例えば、コントローラ50の機能は、コントローラ50の記憶部に記憶されたプログラムが演算部で実行されることにより実現される。
図3に示すように、コントローラ50には、例えば、姿勢センサ31、バケット内積込物情報センサ33、撮像装置35、および入力装置37から各種信号(検出値、入力装置37に入力された情報など)が入力される。例えば、コントローラ50は、作業機械20(
図1参照)を自動運転させるための制御を行う。コントローラ50は、バケット内積込物情報設定部51と、容器位置設定部53と、既積込物位置設定部55と、排出位置演算部60と、指令出力部65と、を備える。
【0025】
バケット内積込物情報設定部51は、
図1に示すバケット25c内の積込物Sの量を示す情報(この例では質量)を設定する。
図3に示すバケット内積込物情報設定部51は、例えば、バケット内積込物情報センサ33の検出値を取得する。
【0026】
容器位置設定部53(車両位置検出部、ダンプ位置検出部)は、
図1に示す容器13の位置の情報を設定する。容器位置設定部53(
図3参照)は、車両10の位置の情報を設定してもよい。容器位置設定部53は、作業機械20に対する容器13の位置の情報を設定する。例えば、容器位置設定部53は、撮像装置35が検出した情報に基づいて、容器13の位置を設定(算出)してもよい。例えば、容器位置設定部53は、入力装置37(
図3参照)に入力された情報に基づいて、容器13の位置を設定(算出または決定)してもよい。容器位置設定部53は、ティーチングにより容器13の位置を設定してもよい。このティーチングは、例えば次のように行われる。作業者(オペレータ)が作業機械20に搭乗して作業機械20を操作する、または、作業者が作業機械20を遠隔操作する。例えば、作業者は、作業機械20を操作することで、容器13の位置を設定するための特定の位置(例えば容器13の角の位置など)に、アタッチメント25の特定部位を配置する。アタッチメント25の特定部位は、例えばバケット25cの先端部などである。このとき、姿勢センサ31が、アタッチメント25の姿勢を検出する。コントローラ50が、姿勢センサ31の検出結果に基づいて、アタッチメント25の特定部位の位置(座標)を算出する。そして、容器位置設定部53は、アタッチメント25の特定部位が配置された位置に基づいて、容器13の位置の情報を設定する。
【0027】
既積込物位置設定部55(
図3参照)は、容器13に既に積み込まれた積込物S(「既積込物Sa」とする)の位置の情報を設定する。例えば、既積込物位置設定部55は、既積込物Saの三次元情報を設定する。例えば、既積込物位置設定部55は、撮像装置35が検出した情報に基づいて、既積込物Saの位置を設定(算出)してもよい。既積込物位置設定部55は、例えば、
図5に示す目標排出位置Xt(後述)およびバケット内積込物Sbの質量に基づいて、既積込物Saの位置の情報を設定(推定、算出)してもよい。
【0028】
排出位置演算部60(
図3参照)(例えば排土位置演算部)は、目標排出位置Xt(例えば目標排土位置)を演算する(詳細は後述)。
図3に示す排出位置演算部60は、容器位置設定部53に設定された容器13(
図1参照)の位置に基づいて、目標排出位置Xt(
図5参照)を演算する。例えば、排出位置演算部60は、高さ推定部61を備える。高さ推定部61は、バケット25c(
図1参照)から排出される積込物S(次回排出積込物Sc)の高さを推定する(詳細は後述)。
【0029】
指令出力部65は、作業機械20(
図1参照)の作動を制御する指令を、駆動制御部27に出力する。指令出力部65は、
図5に示すバケット25cが積込物Sを目標排出位置Xtに排出するように、指令を出力する。
【0030】
(作動)
図2に示す積込物排出システム1は、以下のように作動するように構成される。
【0031】
(容器13と作業機械20との相対位置)
作業機械20から容器13への積込物Sの積込作業(詳細は後述)が行われるときの、容器13と作業機械20との相対位置は、例えば次のような位置である。例えば、作業機械20の少なくとも一部は、容器13よりも、容器幅方向Y外側に配置される。上記「作業機械20の少なくとも一部」は、例えば上部旋回体23でもよく、下部走行体21でもよく、旋回中心23oでもよい(以下同様)。例えば、作業機械20の少なくとも一部は、容器13と容器幅方向Yに対向する位置に配置される。なお、作業機械20の少なくとも一部は、容器13よりも容器幅方向Y外側、かつ、容器13と容器幅方向Yに対向しない位置(いわば容器13の斜め前側、または斜め後側)に配置されてもよい。また、作業機械20の少なくとも一部は、容器13と容器長手方向Xに対向する位置に配置されてもよい(
図1参照)。
【0032】
(積込作業)
作業機械20から容器13への積込物Sの積込作業は、例えば次のように行われる。作業機械20は、バケット25cにより、捕捉位置Dの積込物Sを捕捉する(例えば、土砂を掘削する)。積込物Sが土砂の場合、捕捉位置Dは、例えば土砂山などである。バケット25cが積込物Sを捕捉した状態で、バケット25cが上げられ、下部走行体21に対して上部旋回体23が旋回し、容器13上(さらに詳しくは目標排出位置Xt(
図5参照)上)にバケット25cが移動する(持ち上げ旋回する)。容器13上でアーム25bに対してバケット25cが回転することで、バケット25cから積込物Sが排出される。この排出の後、下部走行体21に対して上部旋回体23が旋回し、バケット25cが下げられ、捕捉位置Dにバケット25cが移動する(復帰旋回する)。作業機械20は、自動運転により、これらの一連の作業を繰り返し行う。
【0033】
図5に示すように、作業機械20は、容器13の容器長手方向前側Xfから容器長手方向後側Xrに順に積込物Sを積み込む。作業機械20は、
図2に示す容器長手方向Xに延びる直線Xl上(または略直線Xl上)に積込物Sを積み込む。
図5に示す例では、作業機械20は、積込物S1、S2、S3、S4、S5、S6、S7の順に、積込物Sを排出する(積み込む)。排出位置演算部60(
図3参照)は、容器13の容器長手方向前側Xfから容器長手方向後側Xrに順に積込物Sを排出するように、目標排出位置Xtを演算する。
【0034】
なお、本実施形態における「積込作業」は、
図2に示す直線Xl(または略直線Xl)上に積込物Sを積み込む作業である。例えば、作業機械20は、直線Xl上への積込物Sの積込作業の合間(例えば積込物S4の排出と積込物S5の排出との間など)に、この直線Xl上への積込物Sの積込作業とは異なる作業を行ってもよい。例えば、作業機械20は、直線Xl上への積込物Sの積込作業の合間に、直線Xl上とは異なる位置(例えば容器13内の位置)への積込物Sの排出などを行ってもよい。
図5に示す例では、積込物S1、S2、S3、S4、S5、S6、S7の順で排出が行われればよく、これらの積込物Sの排出が連続して行われる必要はない。
【0035】
(目標排出位置Xt)
目標排出位置Xtは、バケット25cから容器13に積込物Sを排出させる目標位置(積込物Sを排出させようとする位置)である。目標排出位置Xtは、容器長手方向Xにおける目標位置である。例えば、目標排出位置Xtは、
図2に示す容器長手方向Xに延びる直線Xl上(または略直線Xl上)への積込物Sの排出の目標位置である。
図5に示す目標排出位置Xtは、容器13の容器長手方向Xにおける両端部の間の所定範囲内に設定される。具体的には、目標排出位置Xtは、積込範囲前端X0から積込範囲後端Xeまでの間の範囲内に設定される。
【0036】
積込範囲前端X0は、容器13の容器長手方向前側Xfの端の近傍に設定される。積込範囲前端X0は、バケット25cが積込範囲前端X0の位置で積込物Sを排出するときに、バケット25cが容器13に接触しないような位置に設定される。具体的には、積込範囲前端X0は、容器13の容器長手方向前側Xfの端よりも、所定距離L0だけ容器長手方向後側Xrに設定される。
【0037】
所定距離L0は、例えば、撮像装置35(
図3参照)に撮像された情報に基づいて設定されてもよく、入力装置37(
図3参照)に入力された値に基づいて設定されてもよく、排出位置演算部60(
図3参照)に予め設定された固定値でもよい。所定距離L0は、例えば、ティーチング(容器位置設定部53の説明を参照)により設定されてもよい。所定距離L0は、容器13の寸法に基づいて設定されてもよく、バケット25cの寸法に基づいて設定されてもよく、アーム25bに対してバケット25cが回転したときにバケット25cが通る領域(軌跡)に基づいて設定されてもよい。
【0038】
積込範囲後端Xeは、容器13の容器長手方向後側Xrの端の近傍に設定される。積込範囲後端Xeは、積込範囲前端X0と同様に、バケット25cが積込範囲後端Xeの位置で積込物Sを排出するときにバケット25cが容器13に接触しないような位置に設定される。容器13の容器長手方向後側Xrの端から積込範囲後端Xeまでの距離は、所定距離L0と同じでもよく、所定距離L0と異なる距離でもよい。
【0039】
(バケット25cと目標排出位置Xtとの関係)
例えば、
図5に示す目標排出位置Xtは、次回にバケット25cから排出される積込物S(次回排出積込物Sc)の山の頂上となると予測される位置の目標位置でもよい。例えば、
図2に示すように、作業機械20の少なくとも一部が、容器13と容器幅方向Yに対向する位置に配置される場合が想定される。この場合、
図5に示すように、目標排出位置Xtは、バケット25cの幅方向における中央部(または略中央部)の目標位置でもよい。上記「バケット25cの幅方向」は、
図2に示す旋回中心23oを中心とする上部旋回体23の旋回方向である。例えば、
図1に示すように、作業機械20の少なくとも一部が容器13と容器長手方向Xに対向する位置に配置される場合が想定される。この場合、目標排出位置Xt(
図5参照)は、バケット25cがバケット内積込物Sbを収容している状態のときの、バケット25cの容器長手方向Xにおける中央部(または略中央部)の目標位置でもよい。また、作業機械20の少なくとも一部が容器13と容器長手方向Xに対向する位置に配置される場合、目標排出位置Xt(
図5参照)は、アーム25bの先端部(バケット25cの基端部)の目標位置でもよい。
【0040】
(初期積込)
例えば、作業機械20は、
図5に示す容器13の容器長手方向前側Xf端部の同じ位置(箇所)に、積込物Sを複数回積み込む「初期積込」を行うことが好ましい(
図5における積込物S1、S2、およびS3を参照)。「端部」は、端の近傍を含む(以下同様)。その後、作業機械20は、容器13のうち、初期積込を行った位置よりも容器長手方向後側Xrの位置に積込物Sを積み込むことが好ましい。
【0041】
初期積込の詳細は次の通りである。排出位置演算部60(
図3参照、以下の排出位置演算部60についても同様)は、次のように目標排出位置Xtを演算する。排出位置演算部60は、容器13への積込物Sの積込作業の開始時から、初期積込終了条件が満たされるまで、バケット25cから積込物Sの排出が同じ位置で複数回行われるように、目標排出位置Xtを演算する(
図4のステップS11、S12)。上記「容器13への積込物Sの積込作業の開始時」は、例えば、容器13に積込物Sが無い(または略無い)状態である。上記「初期積込終了条件」は、排出位置演算部60に予め(初期積込が行われる前に)設定される(初期積込終了条件の具体例は後述)。排出位置演算部60は、積込作業の開始時から初期積込条件が満たされるまで、毎回の排出の目標排出位置Xtを同じ位置(または略同じ位置)とする。その結果、積込物Sが、同じ位置(または略同じ位置)に重ねられるように、バケット25cから排出される。例えば、排出位置演算部60は、初期積込の目標排出位置Xtを、積込範囲前端X0に設定する。初期積込で積み込まれる積込物Sを、初期積込物Siとする。
図5に示す例では、初期積込は、3回行われる(積込物S1、S2、S3を参照)。
【0042】
初期積込が行われることが好ましい理由は、次の通りである。積込作業の開始時は、容器13には積込物Sが無い(または略無い)。そのため、積込作業の開始時に排出される積込物Sには、寄りかかることのできる積込物Sが無い。そのため、寄りかかる積込物Sが十分ある状態で排出される積込物S(具体的には、初期積込よりも後に排出される積込物S4、S5など)に比べ、排出された積込物Sが低くなることが想定される。そこで、積込作業の開始時には、初期積込終了条件が満たされるまで同じ位置(または略同じ位置)で積込物Sが複数回排出される。これにより、積込作業の開始時に排出される積込物S(初期積込物Si)と、初期積込終了条件が満たされた後に排出される積込物Sと、の高さが均等になりやすい。
【0043】
(初期積込終了条件)
初期積込終了条件は、初期積込物Siと、初期積込終了条件が満たされた後に排出される積込物S(積込物S4、S5など)と、の高さができるだけ均等になるように設定されることが好ましい。初期積込終了条件の具体例は、下記の[例1a]~[例1d]などである。
【0044】
[例1a]初期積込終了条件は、バケット25cによる積込物Sの排出が所定回数行われたことを含んでもよい。この所定回数は、排出位置演算部60に予め設定された固定値でもよく、入力装置37(
図3参照)により入力された値でもよい。
【0045】
[例1b]初期積込終了条件は、初期積込物Siの量を示す情報の値(この例では質量)が、所定値(所定量)を超えたことを含んでもよい。初期積込物Siの質量は、バケット内積込物情報センサ33(
図3参照)に検出された質量の積算値である。上記「所定値(所定量)」は、排出位置演算部60に予め設定された固定値でもよく、入力装置37(
図3参照)により入力された値でもよい。
【0046】
[例1c]初期積込終了条件は、初期積込物Siが所定の高さを超えたことを含んでもよい。この所定の高さは、排出位置演算部60に予め設定された固定値でもよく、入力装置37(
図3参照)により入力されてもよく、ティーチングにより設定されてもよい。例えば、排出位置演算部60は、撮像装置35(
図3参照)に撮像された初期積込物Siの二次元画像および距離画像の少なくともいずれかから、初期積込物Siの高さを算出(検出)してもよい。排出位置演算部60は、排出された初期積込物Siの質量の積算値に基づいて、初期積込物Siの高さを算出(推定)してもよい。
【0047】
[例1d]上記[例1a]~[例1c]の条件が様々に組み合わされてもよい。例えば、上記[例1a]~[例1c]のいずれか1つでも満たされたときに初期積込終了条件が満たされてもよい。また、例えば、初期条件終了条件は、上記[例1a]~[例1c]の2つ以上の条件が満たされることでもよい。
【0048】
(初期積込の後の積込)
初期積込が終了した後、排出位置演算部60は、次のように目標排出位置Xtを演算(決定)する(
図4のステップS21)。以下では、「目標排出位置Xt」は、初期積込よりも後の積込作業における目標排出位置Xtであるとする。なお、初期積込は行われなくてもよい。
【0049】
排出位置演算部60は、容器13への積込物Sの積込作業が進むにしたがって、目標排出位置Xtをより容器長手方向後側Xrにする(容器長手方向後側Xrにずらしていく)。さらに詳しくは、排出位置演算部60は、容器13に既に積み込まれた積込物S(既積込物Sa)の量を示す情報の値(この例では質量)が大きくなるにしたがって、距離Ltが大きくなるように、目標排出位置Xtを演算する。距離Ltは、容器13の容器長手方向前側Xf(一方側)の端部から目標排出位置Xtまでの距離(容器長手方向Xにおける距離)である。さらに詳しくは、距離Ltは、積込範囲前端X0から目標排出位置Xtまでの容器長手方向Xにおける距離である。
図5に示す例では、バケット25cが積込物S6を排出しようとするときの目標排出位置Xtを示す。
図5に示す「Xt-S4」は、積込物S4が排出されたときの目標排出位置Xtである。「Xt-S5」は、積込物S5が排出されたときの目標排出位置Xtである。「Xt-S7」は、積込物S6が排出された後に、積込物S7が排出されるときの目標排出位置Xtである。
【0050】
(バケット内積込物Sbの量に基づく目標排出位置Xtの演算)
排出位置演算部60は、バケット内積込物Sbの量を示す情報の値(この例では質量)に基づいて、目標排出位置Xtを演算する。
【0051】
例えば、排出位置演算部60は、バケット内積込物Sbの質量が大きくなるにしたがって、ずらし量Lsが大きくなるように、目標排出位置Xtを演算する。ずらし量Lsは、既積込物Saから目標排出位置Xtまでの距離である(詳細は後述)。排出位置演算部60が、ずらし量Lsを算出することなく目標排出位置Xtを演算した結果として、バケット内積込物Sbの質量が大きくなるにしたがって、ずらし量Lsが大きくなってもよい(後述する演算例1を参照)。バケット内積込物Sbが大きくなるにしたがって、ずらし量Lsが大きくなるように、排出位置演算部60が、ずらし量Lsを算出してもよい(後述する演算例2を参照)。
図5に示す「Ls-S4」は、積込物S4が排出されたときのずらし量Lsである。「Ls-S5」は、積込物S5が排出されたときのずらし量Lsである。
【0052】
排出位置演算部60は、次回にバケット25cから排出される積込物S(次回排出積込物Sc)の容器長手方向前側Xf部分が、既積込物Saの容器長手方向後側Xr部分に接するように(寄りかかるように)、目標排出位置Xtを算出する。排出位置演算部60は、上から見たときに、次回排出積込物Scが既積込物Saにオーバーラップするように(
図2参照)目標排出位置Xtを算出する。
【0053】
排出位置演算部60による目標排出位置Xtの演算は、様々に行うことができる。具体的には例えば、排出位置演算部60は、後述する目標積込積算量に基づいた目標排出位置Xtの演算を行ってもよい(例えば下記の演算例1)。排出位置演算部60は、目標積込積算量に基づくことなく目標排出位置Xtの演算を行ってもよい(例えば下記の演算例2)。
【0054】
(演算例1:目標積込積算量に基づいた目標排出位置Xtの演算)
排出位置演算部60は、目標積込積算量に基づいた目標排出位置Xtの演算を行ってもよい。目標積込積算量は、容器13全体の積込物Sの量を示す情報(この例では質量)の目標値である。排出位置演算部60は、入力装置37(
図3参照)に入力された内容に基づいて目標積込積算量を設定してもよい。排出位置演算部60は、
図1に示す撮像装置35に撮像された容器13の情報(例えば寸法、形状など)に基づいて、目標積込積算量を設定(算出)してもよい。目標積込積算量は、初期積込物Siの質量を含んでもよく、含まなくてもよい。
【0055】
(演算例1の具体例:比率Rmに基づいた目標排出位置Xtの演算)
排出位置演算部60は、目標積込積算量を用いた比率Rmに基づいて目標排出位置Xtを演算してもよい。比率Rmに基づく目標排出位置Xtの演算の例は、次の通りである。
【0056】
例えば、排出位置演算部60は、既積込物Saの質量と、バケット内積込物Sbの質量と、の和(「Sa+Sb」とする)を算出する。上記「既積込物Saの質量」は、初期積込物Siの質量を含んでもよく、含まなくてもよい(「初期積込物Siを除く既積込物Saの質量」でもよい)。既積込物Saの質量、およびバケット内積込物Sbの質量のそれぞれは、バケット内積込物情報設定部51に設定された質量に基づいて決定(または算出)される。
【0057】
排出位置演算部60は、既積込物Saの質量およびバケット内積込物Sbの質量の和(Sa+Sb)と、目標積込積算量と、の比率Rmを算出する。具体的には例えば、比率Rmは、上記の和(Sa+Sb)を目標積込積算量で割った値(「和(Sa+Sb)」/「目標積込積算量」)などである。
【0058】
積込範囲前端X0から積込範囲後端Xeまでの容器長手方向Xにおける長さを、距離Leとする。積込範囲前端X0から目標排出位置Xtまでの容器長手方向Xにおける長さを、距離Ltとする。距離Leと距離Ltとの比(例えばLt/Le)を、距離比率Rlとする。このとき、排出位置演算部60は、距離比率Rlが比率Rmと等しくなるように、距離Ltを演算する。そして、排出位置演算部60は、距離Ltから、目標排出位置Xtを算出(決定)する。
【0059】
(比率Rmに基づいた目標排出位置Xtの演算の具体例)
排出位置演算部60は、比率Rmに基づく目標排出位置Xtの演算を、例えば次のように行う。この演算に用いられる変数は、例えば次ように、定義および演算される。
・Total_pre:初期積込物Siの質量(初期積込積算量)。
図5に示す例では、積込物S1、S2、およびS3の質量の積算値。
・Target:容器13全体の積込物Sの質量の目標値(上記の目標積込積算量)。
・Target2:初期積込積算量を除く目標積込積算量。さらに詳しくは、目標積込積算量(Target)から初期積込積算量(Total_pre)を除外した値(Target-Total_pre)。
・Total:初期積込積算量を除く積込積算量。さらに詳しくは、初期積込物Siの質量を含まない既積込物Saの質量と、バケット内積込物Sbの質量と、の和。
図5に示す例では、積込物S4、S5、およびバケット内積込物Sbの質量の和。
・距離Le:積込範囲前端X0から積込範囲後端Xeまでの容器長手方向Xにおける距離(上述)。
・距離Lt:積込範囲前端X0から目標排出位置Xtまでの容器長手方向Xにおける距離(上述)。
【0060】
排出位置演算部60は、距離Ltを次の式により算出する。
Lt=Le × Total / Target2
この式中の「Total / Target2」は、初期積込積算量を除く積込積算量(Total)を、初期積込積算量を除く目標積込積算量(Target2)で割った値であり、上記の比率Rmである。距離Ltが求まる結果、容器長手方向Xにおける目標排出位置Xtの位置が求まる。
【0061】
なお、目標積込積算量に基づく距離Ltの演算は、様々に行うことができる。上記の例では、初期積込物Siに関する量を除く値(TotalおよびTarget2)に基づいて、距離Ltが算出された。一方、初期積込物Siに関する量を含んだ値に基づいて、距離Ltが算出されてもよい。また、各値(例えば、Total、Target2、比率Rmなど)に対して、所定値の加算、減算、および乗算の少なくともいずれかが行われた値に基づいて、距離Ltが算出されてもよい。
【0062】
(演算例2:目標積込積算量に基づかない目標排出位置Xtの演算)
排出位置演算部60は、目標積込積算量に基づくことなく目標排出位置Xtの演算を行ってもよい。例えば、排出位置演算部60は、既積込物Saの位置と、バケット内積込物Sbの質量と、に基づいて目標排出位置Xtを演算してもよい。
【0063】
(演算例2の具体例:ずらし量Lsの算出による目標排出位置Xtの演算)
この演算の具体例は、次の通りである。排出位置演算部60は、バケット内積込物Sbの質量に応じて、ずらし量Lsを算出する。さらに詳しくは、排出位置演算部60は、バケット内積込物Sbの量を示す情報の値(この例では質量)が大きくなるにしたがって、ずらし量Lsを大きくする。この理由は、次の通りである。バケット内積込物Sbの質量と、ずらし量Lsとによって、次回排出積込物Sc(次回にバケット25cから排出される積込物S)が既積込物Saにどのようにもたれかかるか(オーバーラップするか)が変わる。その結果、バケット内積込物Sbの質量と、ずらし量Lsとによって、次回排出積込物Scの高さが変わる。そこで、既積込物Saの高さと、次回排出積込物Scの高さとが、できるだけ均等になるように(できるだけ同じ高さになるように)、ずらし量Lsが算出される。
【0064】
ずらし量Lsは、既積込物Saから目標排出位置Xtまでの距離である。さらに詳しくは、ずらし量Lsは、既積込物Saの容器長手方向後側Xrの端部Sa1から、目標排出位置Xtまでの、容器長手方向Xにおける距離である。既積込物Saの端部Sa1は、既積込物Saの容器長手方向後側Xrの厳密な端である必要はない。例えば、既積込物Saの端部Sa1は、容器13の底面13aから所定高さ(例えば数センチメートルや数十センチメートルなど)だけ高い位置における、既積込物Saの容器長手方向後側Xrの端の位置でもよい。
【0065】
(次回排出積込物Scの高さの推定)
例えば、高さ推定部61(
図3参照)は、バケット内積込物Sbが、既積込物Saから所定のずらし量Lsだけずれた位置に排出されたとしたときの、次回排出積込物Scの高さを推定する。そして、排出位置演算部60は、推定された次回排出積込物Scの高さ、およびずらし量Lsに基づいて、目標排出位置Xtを演算する。具体的には例えば、排出位置演算部60は、次回排出積込物Scの高さと、既積込物Saの高さ(例えば撮像装置35により検出される高さ)と、が等しくなるような、ずらし量Lsを算出する。そして、排出位置演算部60は、既積込物Saの容器長手方向後側Xrの端部の位置から、ずらし量Lsだけ容器長手方向後側Xrの位置を、目標排出位置Xtとする。
【0066】
高さ推定部61(
図3参照)は、バケット内積込物Sbの質量と、ずらし量Lsと、次回排出積込物Scの高さと、の関係(「マップA」とする)に基づいて、次回排出積込物Scの高さを推定してもよい。この「マップA」は、高さ推定部61に予め(高さの推定前に)設定される。この「マップA」の関係は、例えば機械学習により得られてもよい。
【0067】
(演算例2の変形例)
なお、排出位置演算部60は、高さ推定部61(
図3参照)による次回排出積込物Scの高さの推定を行うことなく、ずらし量Lsを算出してもよい。例えば、排出位置演算部60は、バケット内積込物Sbの質量と、ずらし量Lsと、の関係(マップ)に基づいて、ずらし量Lsを算出してもよい。
【0068】
バケット内積込物Sbの質量とずらし量Lsとが同じでも、既積込物Saの形状によって、次回排出積込物Scの高さが変わる場合がある。そこで、排出位置演算部60は、既積込物Saの形状に基づいて、目標排出位置Xtを演算してもよい。具体的には例えば、高さ推定部61(
図3参照)は、バケット内積込物Sbの質量と、既積込物Saの形状と、ずらし量Lsと、次回排出積込物Scの高さと、の関係に基づいて、次回排出積込物Scの高さを推定してもよい。また、例えば、既積込物Saの形状に基づいて、上記「マップA」によって推定された次回排出積込物Scの高さが補正されてもよい。また、既積込物Saの形状に基づいて、排出位置演算部60に算出されたずらし量Lsが補正されてもよい。
【0069】
(駆動など)
コントローラ50(
図3参照)は、排出位置演算部60に演算された目標排出位置Xtに積込物Sを排出するように作業機械20を(バケット25cの位置を)制御する(
図4に示すステップS22)。具体的には、指令出力部65(
図3参照)は、目標排出位置Xtに積込物Sを排出するように作業機械20を作動させる指令を、駆動制御部27(
図3参照)に出力する。そして、駆動制御部27は、目標排出位置Xtに積込物Sを排出するように作業機械20を制御する。例えば、駆動制御部27は、目標排出位置Xtの上(真上または略真上)にバケット25cを配置させた状態で、地面に対して(アーム25bに対して)バケット25cを回転させる。その結果、バケット25cが、目標排出位置Xtに積込物Sを排出する。
【0070】
例えば、コントローラ50(
図3参照)に目標積込積算量が設定される場合、コントローラ50は、既積込物Sa(または既積込物Saとバケット内積込物Sbとの和(以下同様))が目標積込積算量に到達したか否かを判定する(
図4のステップS23)。既積込物Saが目標積込積算量に到達していない場合(
図4のステップS23でNOの場合)、排出位置演算部60は、次回の目標排出位置Xtを演算する(
図4のステップS21に戻る)。既積込物Saが目標積込積算量に到達した場合(
図4のステップS23でYESの場合)、コントローラ50は、容器13への積込物Sの積込作業を終了させる。
【0071】
例えば、排出位置演算部60がずらし量Lsに基づいて目標排出位置Xtを演算する場合がある(上記の演算例2を参照)。この場合、コントローラ50(
図3参照)は、目標排出位置Xtが積込範囲後端Xeに達したか(積込範囲後端Xeよりも容器長手方向後側Xrの位置か)否かを判定する。目標排出位置Xtが積込範囲後端Xeに達していない場合、排出位置演算部60は、次回の目標排出位置Xtを演算する。目標排出位置Xtが積込範囲後端Xeに達した場合、コントローラ50は、容器13への積込物Sの積込作業を終了させる。
【0072】
また、積込物排出システム1(
図3参照)は、目標排出位置Xtの演算を行う機能を有していればよく、積込物Sを目標排出位置Xtに排出する機能を有していなくてもよい。例えば、積込物排出システム1は、バケット25cから容器13への積込物Sの排出のシミュレーションに用いられてもよい。
図3に示すバケット内積込物情報設定部51、容器位置設定部53、および既積込物位置設定部55に設定される情報は、現実の積込物Sや容器13の情報でなくてもよく、シミュレーションにおける情報でもよい。
【0073】
(検討1)
本実施形態の積込物排出システム1では、
図5に示すバケット内積込物Sbの量に基づいて、目標排出位置Xtが演算される。この理由は、次の通りである。例えば、バケット内積込物Sbの量に基づくことなく、バケット25cから積込物Sを排出するごとに、目標排出位置Xtを容器長手方向後側Xrにずらす(例えば等間隔にずらす)場合について検討する。この場合、バケット内積込物Sbの量が多いか少ないかによって、容器13に積み込まれる積込物Sの高さが変わる。すると、容器13内の積込物Sの形状(荷姿)が、凹凸の大きい形状(いわばガタガタ)になるおそれがある。容器13への積込物Sの完了後に、積込物Sを均す均し作業が行われる場合は、均し作業が難しくなり、均し作業に時間がかかる。また、均し作業後の容器13の荷姿が、凹凸の多く残った形状になるおそれがある。
【0074】
一方、本実施形態の積込物排出システム1(
図3参照)では、バケット内積込物Sbの質量に基づいて目標排出位置Xtが演算される。よって、できるだけ均等な高さで積込物Sを積み込むことができる。例えば、容器13の容器長手方向Xの全体(容器長手方向前側Xfから容器長手方向後側Xr)にわたって、できるだけ均等な高さで積込物Sを積み込むことができる。その結果、例えば、積込作業の完了時の、容器13の荷姿が向上する。また、例えば、積込作業の完了後に均し作業が行われる場合は、均し作業を容易に行うことができる。よって、均し作業を効率的に行うことができ、均し作業の時間を短縮することができ、均し作業後の容器13の荷姿のきれいさ(積込物Sの平坦さ)を向上させることができる。
【0075】
(検討2)
例えば、積込範囲前端X0から積込範囲後端Xeにわたってバケット25cを移動させながら、地面に対するバケット25cの角度を変えながら(開きながら)、バケット25cから容器13に積込物Sを排出する場合(例えば特許文献1参照)について検討する。この場合、バケット25cから容器13に積込物Sが排出される際に、毎回、バケット25cを容器長手方向Xに移動させる必要がある(ストロークが発生する)。そのため、バケット25cから積込物Sを排出する動作に時間を要し、積込作業の効率が悪い。また、この場合、容器13内の積込物Sが平坦になるようにするには、バケット25cから落下する積込物Sの量に応じて、バケット25cの開き具合(地面やアーム25bに対するバケット25cの角度)を微調整する必要がある。そのため、バケット25cの制御が困難である。
【0076】
一方、本実施形態の積込物排出システム1(
図3参照)では、バケット25cから積込物Sが排出されるごとに、目標排出位置Xtが容器長手方向後側Xrにずらされていく(初期積込を除く)。そのため、バケット25cが目標排出位置Xtの上(真上または略真上)に配置された状態で、バケット25cが容器13に積込物Sを排出すればよい。よって、バケット25cの制御を容易に行うことができる。また、バケット25cから積込物Sを排出する際に、容器長手方向Xにバケット25cを大きく移動させる(ストロークさせる)必要はない。
【0077】
(第1の発明の効果)
図3に示す積込物排出システム1による効果は、次の通りである。積込物排出システム1は、バケット内積込物情報設定部51と、容器位置設定部53と、排出位置演算部60と、を備える。バケット内積込物情報設定部51は、
図5に示す作業機械20のバケット25c内の積込物S(バケット内積込物Sb)の量を示す情報を設定する。容器位置設定部53(
図3参照)は、積込物Sが積み込まれる容器13の位置の情報を設定する。
【0078】
[構成1]排出位置演算部60(
図3参照)は、容器位置設定部53(
図3参照)に設定された容器13の位置と、バケット内積込物情報設定部51(
図3参照)に設定されたバケット内積込物Sbの量を示す情報と、に基づいて、目標排出位置Xtを演算する。目標排出位置Xtは、バケット25cから容器13に積込物Sを排出させる目標位置である。
【0079】
上記[構成1]により、次の効果が得られる。バケット25c内の積込物Sの量によって、この積込物Sが容器13に排出されたときの積込物S(次回排出積込物Sc)の高さが変わる。そこで、上記[構成1]では、バケット25c内の積込物Sの量に関する情報に基づいて、目標排出位置Xtが演算される。よって、容器13への積込物Sの積込作業が完了した後の積込物Sの高さができるだけ均等になるように、積込物Sの目標排出位置Xtを決定することができる。その結果、目標排出位置Xtに基づいてバケット25cから容器13に積み込まれた場合は、容器13に積込物Sを均等な高さで積み込むことができる。
【0080】
(第2の発明の効果)
[構成2]バケット内積込物情報設定部51(
図3参照)は、バケット内積込物Sbの質量を含む情報を設定する。
【0081】
上記[構成2]では、バケット25c内の積込物Sの量を示す情報は、バケット25c内の積込物Sの質量を含む。よって、バケット25c内の積込物Sの量を示す情報が、例えばバケット25c内の積込物Sの体積の情報である場合などに比べ、バケット25c内の積込物Sの量を示す情報を精度良く検出することができる。その結果、容器13への積込物Sの積込作業が完了した後の積込物Sの高さがより均等になるように、目標排出位置Xtを決定することができる。
【0082】
(第3の発明の効果)
[構成3]排出位置演算部60(
図3参照)は、容器13に既に積み込まれた積込物S(既積込物Sa)の量を示す情報の値が大きくなるにしたがって、距離Ltが大きくなるように、目標排出位置Xtを演算する。距離Ltは、容器13の長手方向一方側(容器長手方向前側Xf)の端部から目標排出位置Xtまでの距離である。
【0083】
上記[構成3]では、容器13への積込物Sの積込作業が進むにしたがって(徐々に)、目標排出位置Xtが、容器13の長手方向一方側とは反対側(容器長手方向後側Xr)にずらされる。よって、次回にバケット25cから排出される積込物S(次回排出積込物Sc)が、既積込物Saに寄りかかるように(接するように)、目標排出位置Xtを決定することができる。よって、バケット25cからの積込物Sの排出時に、毎回、次回排出積込物Scが既積込物Saに寄りかかることができるように、目標排出位置Xtを決定することができる。その結果、次回排出積込物Scが既積込物Saに寄りかかったり寄りかからなかったりする場合に比べ、容器13への積込物Sの積込作業が完了した後の積込物Sの高さがより均等になるように、目標排出位置Xtを決定することができる。
【0084】
(第4の発明の効果)
[構成4]排出位置演算部60(
図3参照)は、バケット内積込物Sbの量を示す情報の値が大きくなるにしたがって、ずらし量Lsが大きくなるように、目標排出位置Xtを演算する。ずらし量Lsは、容器13に既に積み込まれた積込物S(既積込物Sa)から目標排出位置Xtまでの距離である。
【0085】
上記[構成4]により、次の効果が得られる。バケット内積込物Sbの量を示す情報(例えば質量)の値が大きくなるほど、このバケット25cから排出される積込物S(次回排出積込物Sc)が高くなりやすい。そこで、上記[構成4]では、バケット内積込物Sbの量を示す情報の値が大きくなるほど、ずらし量Lsが大きくなるように、目標排出位置Xtが演算される。よって、容器13への積込物Sの積込作業が完了した後の積込物Sの高さがより均等になるように、目標排出位置Xtを決定することができる。
【0086】
(第5の発明の効果)
[構成5]排出位置演算部60(
図3参照)には、容器13全体の積込物Sの量を示す情報の目標値である目標積込積算量が設定される。排出位置演算部60は、既積込物Saの量の情報の値と、バケット内積込物Sbの量の情報の値と、の和を算出する。排出位置演算部60は、上記の和と目標積込積算量との比率Rmを算出する。排出位置演算部60は、比率Rmに基づいて目標排出位置Xtを演算する。
【0087】
上記[構成5]では、比率Rmに基づいて目標排出位置Xtが演算される。よって、容器13への積込物Sの積込作業が完了した後の積込物Sの高さがより確実に均等になるように、目標排出位置Xtを決定することができる。
【0088】
(第6の発明の効果)
[構成6]排出位置演算部60(
図3参照)は、バケット内積込物Sbが、既積込物Saから所定のずらし量Lsだけずれた位置に排出されたと仮定したときの、バケット25cから排出される積込物S(次回排出積込物Sc)の高さを推定する。排出位置演算部60は、推定した積込物S(次回排出積込物Sc)の高さ、およびずらし量Lsに基づいて、目標排出位置Xtを演算する。
【0089】
上記[構成6]では、排出位置演算部60(
図3参照)は、目標積込積算量(上記[構成5]参照)の情報を用いなくても、目標排出位置Xtを演算することができる。よって、目標積込積算量を予め(目標排出位置Xtの演算の前に)設定する必要が無い。
【0090】
(第7の発明の効果)
[構成7]排出位置演算部60(
図3参照)は、容器13への積込物Sの積込作業の開始時から、初期積込終了条件が満たされるまで、バケット25cから積込物Sの排出が同じ位置で複数回行われるように(初期積込物Siを参照)、目標排出位置Xtを演算する。初期積込終了条件は、排出位置演算部60に設定された条件である。
【0091】
上記[構成7]により、次の効果が得られる。容器13への積込作業の開始時には、バケット25cから排出される積込物Sが寄りかかる事のできる既積込物Saが無い(または略無い)ので、積込物Sが積み上がりにくい。そこで、上記[構成7]では、容器13への積込作業の開始時から初期積込終了条件が満たされるまで、バケット25cから積込物Sの排出が同じ位置で複数回行われるような、目標排出位置Xtが設定される。よって、積込作業の開始時に排出された積込物S(初期積込物Si)の高さが、その後に積み込まれた積込物Sの高さに比べて、低くなることを抑制することができる。その結果、容器13への積込物Sの積込作業が完了した後の積込物Sの高さがより均等になるように、目標排出位置Xtを決定することができる。
【0092】
(第8の発明の効果)
[構成8]初期積込終了条件(上記[構成7])は、下記の[条件例1a]、[条件例1b]、および[条件例1c]の少なくともいずれかを含む。[条件例1a]バケット25cによる積込物Sの排出が所定回数行われたこと。[条件例1b]容器13に積み込まれた積込物Sの量を示す情報の値が所定値を超えたこと。[条件例1c]容器13に積み込まれた積込物Sが所定の高さを超えたこと。
【0093】
上記[構成8]では、上記[構成7]による効果が適切に得られるような、初期積込終了条件を設定することができる。
【0094】
(第9の発明の効果)
[構成9]積込物排出システム1(
図3参照)は、駆動制御部27(
図3参照)を備える。駆動制御部27は、排出位置演算部60(
図3参照)に演算された目標排出位置Xtに積込物Sを排出するように、バケット25cを制御する。
【0095】
上記[構成9]により、容器13への積込物Sの積込作業が完了した後の積込物Sの高さができるだけ均等になるように、容器13に積込物Sを積み込むことができる。
【0096】
(変形例)
上記実施形態は様々に変形されてもよい。例えば、
図3に示す上記実施形態の構成要素どうしの接続は変更されてもよい。具体的には例えば、ティーチングにより、容器13(
図1参照)の位置が設定される場合などには、姿勢センサ31の検出値が容器位置設定部53に入力されてもよい。例えば、各種の値や範囲などは、一定でもよく、手動操作により変えられてもよく、何らかの条件に応じて自動的に変えられてもよい。例えば、構成要素の数が変更されてもよく、構成要素の一部が設けられなくてもよい。例えば、構成要素どうしの固定や連結などは、直接的でも間接的でもよい。例えば、互いに異なる複数の部材や部分として説明したものが、一つの部材や部分とされてもよい。例えば、一つの部材や部分として説明したものが、互いに異なる複数の部材や部分に分けて設けられてもよい。具体的には例えば、コントローラ50(
図3参照)は、複数の部分に分けて設けられてもよい。さらに具体的には、バケット内積込物情報設定部51と排出位置演算部60とが別々に設けられてもよい。例えば、各構成要素は、各特徴(作用機能、配置、形状、作動など)の一部のみを有してもよい。
【符号の説明】
【0097】
1 積込物排出システム
13 容器
20 作業機械
25c バケット
27 駆動制御部
51 バケット内積込物情報設定部
53 容器位置設定部
60 排出位置演算部
Ls ずらし量
S 積込物
Sa 既積込物(容器に既に積み込まれた積込物)
Sb バケット内積込物(バケット内の積込物)
Xt 目標排出位置