(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023068416
(43)【公開日】2023-05-17
(54)【発明の名称】料金収受システム
(51)【国際特許分類】
G07B 15/00 20110101AFI20230510BHJP
【FI】
G07B15/00 M
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021179528
(22)【出願日】2021-11-02
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】520119253
【氏名又は名称】吉原 和男
(74)【代理人】
【識別番号】100166589
【弁理士】
【氏名又は名称】植村 貴昭
(72)【発明者】
【氏名】吉原 和男
【テーマコード(参考)】
3E127
【Fターム(参考)】
3E127AA16
3E127CA12
3E127CA18
3E127CA38
3E127CA59
3E127DA21
3E127EA03
3E127EA12
3E127EA33
(57)【要約】 (修正有)
【課題】課金ポイントを通過した車両の識別情報に基づき、車両の車検証上の使用者に対して電子的に料金を課金する場合、レンタカー等においては車検証上の使用者に対してではなく、車両の運転者に対して電子的に料金を課金する料金収受システムを提供する。
【解決手段】料金収受システム(100)は、車両(1)に設置された識別装置(2)が運転者を識別する。識別装置(2)は、Webサイト(8)に運転者の情報を通知する。Webサイト(8)には電子的な支払い方法が登録され、車両が課金ポイント(13)を通過した場合、Webサイト(8)に登録された支払い方法に対して電子的に料金を課金する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に設置される識別装置、及び、Webサイトを備え、
前記識別装置は、
前記車両の運転者を識別する運転者識別部と、
前記運転者識別部が運転者を識別した場合、前記Webサイトに当該運転者の情報を通知する通知部とを備え、
前記Webサイトは、
運転者毎に料金の支払い方法が登録された支払い方法登録部と、
前記車両が課金ポイントを通過した場合、前記Webサイトに登録された前記支払い方法に対して電子的に料金を課金する料金課金部とを備える、
事を特徴とする料金収受システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、料金所等の課金ポイント(通過することで料金の支払いが発生する箇所)を通過した車両から車両の識別情報に基づき料金を課金する際、車両の運転者に対して電子的に料金を課金するための技術となる。
【背景技術】
【0002】
特許文献1では、課金ポイントを通過した車両から車両の識別情報に基づき電子的に料金を課金する技術が提供されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
有料道路で用いられている課金ポイントを通過した車両に対して電子的に料金を課金する技術は、料金ゲート、車載器、クレジットカードが必要であり、クレジットカードが必要なため利用率が100%に達していない。
【0005】
車載器へのクレジットカードの入れ忘れや、クレジットカードの接触不良、クレジットカードの有効期限切れ、料金ゲートへの誤侵入等で料金ゲートを通過出来ない車両が頻繁に発生するため、料金ゲート通過時は車両を十分に減速させる必要があるし、車両が通過出来なかった場合に備えて料金ゲート付近に人が常駐する必要がある。
【0006】
特許文献1の技術を用いれば、車両のナンバー取得時等に車検証上の使用者に料金の支払い方法の登録を義務づけ、課金ポイントを通過した車両の識別情報に基づき車検証上の使用者に料金を課金すれば、クレジットカードを契約せずとも電子的に料金を課金出来るため、料金ゲートを簡素化し人が常駐する必要が無くなり、運用コストを下げる事が出来る。
【0007】
しかしながら上述した技術では、車両の実際の使用者(以下、運転者)に対して料金を課金する事が出来ない。レンタカー事業やカーシェアリング事業においては、車両の運転者に対して電子的に料金を課金出来ないと請求処理が煩雑となるため、課金ポイントを通過した車両の運転者に対して電子的に料金を課金出来る必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に係る料金収受システムは、車両に設置される識別装置、及び、Webサイトを備え、前記識別装置は、前記車両の運転者を識別する運転者識別部と、前記運転者識別部が運転者を識別した場合、前記Webサイトに当該運転者の情報を通知する通知部とを備え、前記Webサイトは、運転者毎に料金の支払い方法が登録された支払い方法登録部と、前記車両が課金ポイントを通過した場合、前記Webサイトに登録された前記支払い方法に対して電子的に料金を課金する料金課金部とを備える。
【0009】
好適には、前記識別装置は車両の識別情報を提供する車両識別情報提供部を備える。
【0010】
より好適には、IoT端末を備え、前記IoT端末は、前記識別装置の前記車両識別情報提供部から、車両の識別情報を取得する車両識別情報取得部を備え、前記車両情報取得部が前記識別装置の前記車両情報識別部から車両の識別情報を取得した際、前記Webサイトに取得した車両の識別情報を通知する通知部を備える。
【0011】
より好適には、前記Webサイトは、前記IoT端末の所有者毎に料金の支払い方法が登録された支払い方法登録部を備える。
【0012】
より好適には、前記識別装置は、前記運転者識別部が車両の運転者を識別した事、もしくは前記IoT端末の前記車両識別情報取得部により前記車両識別情報提供部の情報が読み取られた事が確認された後に、前記車両の機関始動を許可する機関始動許可部を備える。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る料金収受システムによれば、課金ポイントを通過した車両の識別情報に基づき料金を課金する際、車両の運転者に対して電子的に料金を課金する事が出来る。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施例に係る料金収受システムの概略構成を説明する図。
【
図2】本発明の実施例に係る料金収受システムによる処理の一例を説明するフローチャート。
【
図3】本発明の実施例に係る料金収受システムによる処理の他の例を説明するフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る料金収受システムの実施例について図面を用いて説明する。
【0016】
図1は、料金収受システムの概略構成を説明する図である。
【0017】
料金収受システム100では、車両1に備わる識別装置2、Webサイト8、課金ポイント13、IoT端末14が接続される。なお、課金ポイント13とは、主に料金所を指すが、料金所以外であっても、通過することで料金の支払いが発生する箇所であればこれに該当する。また、IoT端末14はSIMカードを有するものとする。
【0018】
識別装置2は、運転者識別部3、通知部4、車両1の識別情報をIoT端末14に提供する車両識別情報提供部5、機関始動許可部6、ステータス通知部7を含む。
【0019】
Webサイト8は、支払い方法登録部9、料金課金部10、通知方法登録部11、通知部12を含む。
【0020】
IoT端末14は、車両識別情報取得部15、通知部16を含む。
【0021】
料金収受システム100は、車両1のナンバー取得時等に車検証上の使用者に支払い方法の登録を義務づけ、車両1の識別情報に基づき車検証上の使用者に対して電子的に料金を課金する事で、有料道路で一般的に用いられている電子的な料金徴収方式の課題である料金ゲートを通過出来ない車両を無くす事を目的としている。
【0022】
また、レンタカー事業やカーシェアリング事業で提供される車両では、車検証上の使用者に対してではなく車両の運転者に対して料金を課金出来なければ請求処理が煩雑になってしまうため、車両の運転者に対して電子的に料金を課金する手段が必要となる。
【0023】
このため、車両1に設置される識別装置2、及び、Webサイト8を備え、識別装置2は、車両1の運転者を識別する運転者識別部3、及び、運転者識別部3が運転者を識別した場合、Webサイト8に運転者の情報を通知する通知部4を備え、Webサイト8は、運転者毎に料金の支払い方法が登録された支払い方法登録部9、及び、車両1が課金ポイント13を通過した場合、Webサイト8に登録された運転者毎の支払い方法に対して電子的に料金を課金する料金課金部10を備える。
【0024】
なお、車両1が課金ポイントを通過したことを検出する方法として、車両1内の運転者が所持するIoT端末14からwebサイト8に常に現在位置情報を送信するものとする。あるいは、図示しないが、識別装置2において、特許文献1に示すように、課金ポイントを通過した車両の車両識別情報である通過車両情報を取得する通過車両情報取得部と、通過車両情報を未払車両リストに登録するリスト登録部と、車両に搭乗する利用者が利用しようとするサービスを提供する施設を利用する際、当該利用者が搭乗する車両の車両識別情報である施設利用車両情報を取得する施設利用車両情報取得部と、施設利用車両情報と、未払車両リストに登録された通過車両情報とが一致する場合、施設の利用に係る施設料金の精算時に、通行料金の支払いを要求する支払要求処理部とを備えるようにしてもよい。
【0025】
上述した方式だと、車両1もしくは識別装置2がWebサイト8と通信出来る必要があるが、車両1もしくは識別装置2に通信機能を持たせるとコスト増となるため、車両1及び識別装置2に通信機能が無くとも、車両1の運転者を識別出来る方法が必要となる。
【0026】
このため、まず、Webサイト8に運転者のユーザ情報の登録を行う際にSMS認証を行う事で、Webサイト8に登録されたユーザ情報とSIMカードを有するIoT端末14を紐づける。そして、運転者は車両1に乗り込む際にIoT端末14を持ち込み、IoT端末14は、識別装置2の車両識別情報提供部5から、車両1の識別情報を取得する車両識別情報取得部15を備え、車両情報取得部15が識別装置2の車両識別情報提供部5から車両1の識別情報を取得した場合、取得した車両1の識別情報をWebサイト8に通知する通知部16を備える。
【0027】
ただし、運転者識別部3による運転者の識別はこれ以外にも、生体情報によって運転者を識別するようにしてもよい。その場合、Webサイト8に運転者のユーザ情報を登録する際に、生体情報も登録し、車両1で取得した生体情報とWebサイト8に登録された生体情報を突合する事により行う。
【0028】
課金ポイントを通過した車両1の運転者に対して電子的に料金を課金するには、IoT端末14の所有者(運転者と同一)と支払い方法とが紐づけられる必要があるため、Webサイト8は、IoT端末14の所有者(運転者)毎に料金の支払い方法が登録された支払い方法登録部9を備える。
【0029】
識別装置2の車両識別情報提供部5と、IoT端末14の車両識別情報取得部14の間での、車両1の識別情報のやり取りには、NFCやBluetoothが用いられる事が望ましい。
【0030】
この様にする事で、車両1に通信機能が備わっていなくとも、運転者を識別し運転者に対して電子的に料金を課金する事が出来る。
【0031】
レンタカー事業やカーシェアリング事業で提供される車両は、車両1の運転者が識別された後に車両1の機関が始動される事が望ましいため、識別装置2は、運転者識別部3が車両1の運転者を識別した事、もしくはIoT端末14の車両識別情報取得部15により車両識別情報提供部5からの識別情報が読み取られた事が確認された後に、車両1の機関始動を許可する機関始動許可部6を備える事が望ましい。
【0032】
個人所有の自家用車の場合には、車検証上の使用者に対して料金を課金すれば良いので識別装置2は必須では無いが、車検証上の使用者の家族が車両を運転する、個人間のカーシェアリングサービスで車両を貸し出す場合に、車両1の運転者に対して料金を課金する事を目的として、車両1に識別装置2を設置したいと言う需要が発生する。
【0033】
この場合に識別装置2に機関始動許可部6が必須となると、識別装置2がコスト高となるため、Webサイト8は、車両1が課金ポイント13を通過した際に通過した課金ポイントの名称、料金、日時等の通知先を登録する通知方法登録部11を備え、通知方法登録部11に登録された通知方法に対して、車両1が通過した課金ポイント13の名称、料金、日時等の情報を運転者に通知する通知部12を備える事が望ましい。
【0034】
また、識別装置2は、運転者識別部3が運転者を識別した事、もしくはIoT端末14の車両識別情報取得部15により、車両識別情報提供部5の識別情報が読み取られた(取得されたこと)事を、運転者が視覚/聴覚で確認出来るように通知するステータス通知部7を備える事が望ましい。
【0035】
この様にすれば、車両1が個人所有の自家用車の場合には、識別装置2に機関始動許可部6を備えなくとも、運転者に対して運転者の識別を行う事を意識付ける事が出来る。
【0036】
以上が、料金収受システム100の構成についての説明である。以下では、
図2のフローチャートに基づき、車両1がレンタカー事業やカーシェアリング事業で提供される車両である場合の、料金収受システム100の動作の一例について説明する。
【0037】
なお、下記ステップS1~S4は識別装置4による処理、下記ステップS11~13はIoT端末14による処理、下記ステップS21はWebサイト8における処理を表わしている。
【0038】
ステップS1では、運転者識別部3によって運転者を識別する。ステップS2では、このステップ1で運転者識別部3により識別された運転者の情報を、通知部4によってWebサイト8に通知する。
【0039】
ステップS3では、車両識別情報提供部5によって、車両1の識別情報をIoT端末14に提供する。ステップS4では、機関始動許可部6によって、車両1の機関始動を許可する(その後運転者が乗車した車両1が走行を開始する)。
【0040】
ステップS11では、上記ステップS3において車両識別情報提供部5により提供された車両1の識別情報を、車両識別情報取得部15によって取得する。
【0041】
ステップS12では、上記ステップS11において車両識別情報取得部15により取得した車両1の識別情報を、通知部16によってWebサイト8に通知する。
【0042】
ステップS13では、車両1内の運転者が所持するIoT端末14からwebサイト8に常に現在位置情報を送信する。
【0043】
ステップS21では、ステップS13においてIoT端末14から受信した現在位置情報に基づき、車両1が課金ポイント13を通過したと判断した場合、料金課金部10によって、運転者毎の支払い方法に対して電子的に料金を課金する。
【0044】
なお、料金課金部10は、IoT端末14の所有者(運転者)毎に料金の支払い方法が登録された支払い方法登録部9の情報、及び、運転者識別部3により識別された運転者の識別情報から、IoT端末14の所有者(運転者)の支払い方法を決定する。
【0045】
以上が、車両1がレンタカー事業やカーシェアリング事業で提供される車両である場合の、料金収受システム100の動作の一例について説明である。以下では、
図3のフローチャートに基づき、個人間のカーシェアリングサービスで車両を貸し出す場合の、料金収受システム100の動作の一例について説明する。
【0046】
なお、下記ステップS1~S3,S5は識別装置4による処理、下記ステップS11~13はIoT端末14による処理、下記ステップS21,S22はWebサイト8における処理を表わしている。
【0047】
ステップS1では、運転者識別部3によって運転者を識別する。ステップS2では、このステップ1で運転者識別部3により識別された運転者の情報を、通知部4によってWebサイト8に通知する。
【0048】
ステップS3では、車両識別情報提供部5によって、車両1の識別情報をIoT端末14に提供する。
【0049】
ステップS5では、ステータス通知部7によって、運転者識別部3が運転者を識別した事、もしくはIoT端末14の車両識別情報取得部15により、車両識別情報提供部5の識別情報が取得されたこと事を、視覚/聴覚で確認出来るように通知する(その後運転者が乗車した車両1が走行を開始する)。
【0050】
ステップS11では、上記ステップS3において車両識別情報提供部5により提供された車両1の識別情報を、車両識別情報取得部15によって取得する。
【0051】
ステップS12では、上記ステップS11において車両識別情報取得部15により取得した車両1の識別情報を、通知部16によってWebサイト8に通知する。
【0052】
ステップS13では、車両1内の運転者が所持するIoT端末14からwebサイト8に常に現在位置情報を送信する。
【0053】
ステップS21では、ステップS13においてIoT端末14から受信した現在位置情報に基づき、車両1が課金ポイント13を通過したと判断した場合、料金課金部10によって、運転者毎の支払い方法に対して電子的に料金を課金する。
【0054】
ステップS22では、通知部12によって、車両1が課金ポイント13を通過した場合に、通過した課金ポイント13の名称、料金、日時等の情報を運転者に通知する。
【0055】
なお、料金課金部10は、IoT端末14の所有者(運転者)毎に料金の支払い方法が登録された支払い方法登録部9の情報、及び、運転者識別部3により識別された運転者の識別情報から、IoT端末14の所有者(運転者)の支払い方法を決定する。
【0056】
以上が、料金収受システム100の構成についての説明である。
また、本実施例は、更に以下の変形例も考えられる。
【0057】
第1の観点の料金収受システムは、識別装置は車両の識別情報を提供する車両識別情報提供部を備える。
【0058】
第2の観点の料金収受システムは、IoT端末を備え、前記IoT端末は、前記識別装置の前記車両識別情報提供部から、車両の識別情報を取得する車両識別情報取得部を備え、前記車両情報取得部が前記識別装置の前記車両情報識別部から車両の識別情報を取得した際、Webサイトに取得した車両の識別情報を通知する通知部を備える。
【0059】
第3の観点の料金収受システムは、前記Webサイトは、前記IoT端末の所有者毎に料金の支払い方法が登録された支払い方法登録部を備える。
【0060】
第4の観点の料金収受システムは、前記識別装置は、前記運転者識別部が車両の運転者を識別した事、もしくは前記IoT端末の前記車両識別情報取得部により前記車両識別情報提供部の情報が読み取られた事が確認された後に、前記車両の機関始動を許可する機関始動許可部を備える。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は、課金ポイントを通過した車両の識別情報に基づき料金を課金する際、車両の運転者に対して電子的に料金を課金するのに好適である。
【符号の説明】
【0062】
1 車両
2 識別装置
3 運転者識別部
4 通知部
5 車両識別情報提供部
6 機関始動許可部
7 ステータス通知部
8 Webサイト
9 支払い方法登録部
10 料金課金部
11 通知方法登録部
12 通知部
13 課金ポイント
14 IoT端末
15 車両識別情報取得部
16 通知部