(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023068423
(43)【公開日】2023-05-17
(54)【発明の名称】人形保持具
(51)【国際特許分類】
A63H 3/50 20060101AFI20230510BHJP
【FI】
A63H3/50 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021179543
(22)【出願日】2021-11-02
(71)【出願人】
【識別番号】000128234
【氏名又は名称】株式会社エポック社
(74)【代理人】
【識別番号】110002022
【氏名又は名称】弁理士法人コスモ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】神山 圭
【テーマコード(参考)】
2C150
【Fターム(参考)】
2C150AA12
2C150BB01
2C150CA26
(57)【要約】
【課題】形や大きさが異なる複数種類の人形に対応する人形保持具を提供する。
【解決手段】人形保持部10Aは、取付面20に係合する係合部12を有する支持部11と、支持部11に、対向して膨出するよう形成される2か所の膨出部13と、膨出部13から先端に向けて所定間隔を有して直線状に延びる2本の直線部14と、直線部14から先端に向けて外側に凸湾曲状に延びて対向して設けられ、人形を保持する対向部15aが凹湾曲状に形成される2本の湾曲保持部15と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付面に係合する係合部を有する支持部と、
前記支持部に、対向して膨出するよう形成される2か所の膨出部と、
各前記膨出部から先端に向けて所定間隔を有して直線状に延びる2本の直線部と、
各前記直線部から先端に向けて外側に凸湾曲状に延びて対向して設けられ、人形を保持する対向部が凹湾曲状に形成される2本の湾曲保持部と、
を備えることを特徴とする人形保持具。
【請求項2】
各前記湾曲保持部の先端側には、互いに向き合う方向に膨出するよう形成される2か所の先端膨出部が設けられることを特徴とする請求項1に記載の人形保持具。
【請求項3】
前記先端膨出部は、対向する部位に先端平坦部を有することを特徴とする請求項2に記載の人形保持具。
【請求項4】
各前記直線部の弾発力は、各前記湾曲保持部の弾発力よりも小さくなるように形成されることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか記載の人形保持具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人形を保持して遊んだり展示したりすることができる人形保持具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、人形を保持して遊んだり展示したりする人形保持具が提供されている。例えば、特許文献1に開示される人形保持具は、弾性変形可能な外側に凸湾曲状とされる2本のアームを備えている。アームは、屈曲可能な支柱にスライド可能に設けられるホルダーに設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
使用者である子供は、複数種類の人形を用いて遊ぶことがある。すると、従来の凸湾曲状に形成したアームでは、一定の弾発力で人形を保持することとなるので、複数種類の人形に対しては、該複数種類の人形それぞれに適応する人形保持具を用意することがあった。
【0005】
本発明は、形や大きさが異なる複数種類の人形に対応する人形保持具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの態様に係る人形遊び用玩具は、取付面に係合する係合部を有する支持部と、前記支持部に、対向して膨出するよう形成される2か所の膨出部と、各前記膨出部から先端に向けて所定間隔を有して直線状に延びる2本の直線部と、各前記直線部から先端に向けて外側に凸湾曲状に延びて対向して設けられ、人形を保持する対向部が凹湾曲状に形成される2本の湾曲保持部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
上記の態様によれば、形や大きさが異なる複数種類の人形に対応する人形保持具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る人形保持具の斜視図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係る人形保持具の平面図である。
【
図3】本発明の第2実施形態に係る人形保持具の斜視図である。
【
図4】本発明の第2実施形態に係る人形保持具の平面図である。
【
図5】本発明の第3実施形態に係る人形保持具の斜視図である。
【
図6】本発明の第3実施形態に係る人形保持具の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1実施形態)
図1、
図2に基づいて、本発明の第1実施形態に係る人形保持具10Aを説明する。人形保持具10Aは、先端側に設けられる二股状の湾曲保持部15で人形(不図示)を挟み込み、係合部12で取付面20に固定することで人形を保持することができる人形の固定部材である。
【0010】
より詳細には、人形保持具10Aは、略円柱形の棒状に形成される支持部11を備える。支持部11の基端部11aは、漸次拡径し、縁部11a1では同一径に形成されている。基端部11aの端面11bには、略円柱状のボス状に突出する係合部12が設けられている。
図2に示すように、係合部12は、取付面20に設けられる孔状の被係合部21に着脱自在な程度に圧入して挿入されて凹凸嵌合する。端面11bは、支持部11の本体部分よりも面積が大きいので、端面11bにおける取付面20に対する面圧を低減することができる。よって、端面11bによる取付面20への凹み等の損傷を低減することができる。
【0011】
支持部11の先端側には、支持部11を挟み、対向して膨出する2か所の膨出部13が設けられている。各膨出部13の先端側には、各膨出部13と連続して、各膨出部13から先端に向けて略スリット状の所定間隔Sを有して直線状に延びる2本の直線部14が設けられている。各直線部14は、
図2のQ1-Q1断面の囲み図にも示すように、外側面が凸湾曲状に形成されて、向かい合う面が平坦面14aとして形成されている。
【0012】
各直線部14の先端側には、各直線部14から先端に向けて外側に凸湾曲状に延びて対向する2本の湾曲保持部15が設けられている。湾曲保持部15には、人形が挟み込まれて保持される対向部15aが略凹湾曲状に形成されている。そして、各湾曲保持部15の先端側には、互いに向き合う方向に膨出するよう形成される2か所の先端膨出部16が設けられている。先端膨出部16は、対向する部位に、対向する平坦面状の先端平坦部16aを有する。
【0013】
各直線部14の平坦面14aは対応する湾曲保持部15の対向部15aと連続して設けられ、対向部15aは対応する先端膨出部16の先端平坦部16aと連続して設けられている。先端平坦部16aは、対応する先端膨出部16の先端面及び外側面と湾曲保持部15の外側面とを含む外側面部17と、連続して設けられている。
【0014】
ここで、直線部14の軸方向長さD1は、湾曲保持部15と先端膨出部16の軸方向の長さD2よりも短い。なお、軸方向とは、人形保持具10Aの軸心CLに係る軸方向である。また、各直線部14の断面積(
図2の囲みのQ1-Q1断面図参照)は、湾曲保持部15が所定間隔S及び所定間隔Sの出口部分に対応する部分(寸法D3で示す範囲である湾曲保持部15の基端部)の断面を除いた湾曲保持部15の断面(例えばP部の断面)の断面積よりも小さい。そして、寸法D3で示す範囲である湾曲保持部15の基端部は、湾曲保持部15の基端部以外の部分や直線部14よりも、その断面積が大きく、その剛性が高い。
【0015】
従って、湾曲保持部15に、湾曲保持部15が開く方向の力が掛かった場合には、直線部14の長さD1よりも湾曲保持部15の長さD2が長く、直線部14の断面積が湾曲保持部15のP部よりも小さく、湾曲保持部15の基端部は剛性が高いので、湾曲保持部15の変形は微小のまま、直線部14の弾発力が作用して湾曲保持部15間が開く。そして、直線部14の開き量(すなわち直線部14の弾発力)が或る間隔(力)を越えると、湾曲保持部15の基端部以外の部分の弾発力が作用して、湾曲保持部15が開く。
【0016】
すなわち、直線部14の弾発力は、湾曲保持部15の弾発力よりも小さくなるように形成される。従って、人形保持具10Aは、先端膨出部16の間に人形の胴部等を挟むようにして挿入すると、湾曲保持部15及び直線部14が、弾発力に抗して、互いに離間するように開く。ここで、小さめの人形の場合には湾曲保持部15の形状は維持されたまま直線部14が開いて、対向部15aにより所定の弾発力で人形が保持される。一方、大きめの人形の場合には、直線部14が開くと共に湾曲保持部15の対向部15aが延びるように(対向する凹湾曲部分の半径が大きくなるように)変形し、対向部15aが大きめの人形にフィットして、人形が保持される。このようにして、人形保持具10Aによれば、小さめの人形であっても、大きめの人形であっても、確実に保持することができる。
【0017】
このとき、先端膨出部16により、対向部15aにより保持された人形が前方に押し出されないように、人形を抑えることができる。
【0018】
そして、先端膨出部16には先端平坦部16aが設けられるので、先端平坦部16a間に人形を差し込む際、人形に触れる先端膨出部16の部位(先端平坦部16a)の面圧を下げることができる。よって、人形の表面に傷等の損傷を与えてしまうことが低減される。特に、表面に植毛(さらに好適には、短繊維の静電植毛)が施された人形においては、植毛部分の欠損が低減される。
【0019】
また、支持部11から膨出部13、直線部14までは軸心CL沿って形成され、湾曲保持部15は、膨出部13が膨出する方向に凸湾曲状とされる。このため、人形を保持した人形保持具10Aを取付面20に取り付けて、人形保持具10Aの先端側から人形(人形保持具10A)を見れば、人形保持具10Aの先端部分が僅かに見えるだけで、膨出部13や支持部11は人形に隠れる。従って、あたかも人形が宙に浮いているかのように見えるようにすることができるので、子供にとって楽しい遊びを提供することができる。
【0020】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態を、
図3及び
図4に基づいて説明する。なお、第1実施形態の人形保持具10Aと同様箇所については、同じ符号を付して、その説明を省略又は簡略化する。
図3、
図4に示す人形保持具10Bは、湾曲保持部15の先端側に先端膨出部16Bを備える。先端膨出部16Bは、対向する部位が平面視凸湾曲状の凸湾曲部16Baが設けられる。また、直線部14の断面積(
図4の囲みのQ2-Q2断面図参照)は、寸法D3で示す範囲である湾曲保持部15の基端部を除いた湾曲保持部15の断面(例えばP部の断面)の断面積よりも十分に小さく形成される。
【0021】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態を、
図5及び
図6に基づいて説明する。なお、第1実施形態の人形保持具10Aと同様箇所については、同じ符号を付して、その説明を省略又は簡略化する。
図5、
図6に示す人形保持具10Cは、湾曲保持部15の先端部15Caが、先窄まり状に形成されている。換言すれば、湾曲保持部15は、湾曲保持部15の中央部(長さD2の略中央部分)付近から先端部に亘って、平面視における幅方向及び厚み方向共に、漸次縮小するように形成されている。
【0022】
以上のような本発明の実施形態によれば、下記の態様の人形遊び用玩具を提供することができる。
【0023】
第1の態様に係る人形保持具は、取付面に係合する係合部を有する支持部と、前記支持部に、対向して膨出するよう形成される2か所の膨出部と、各前記膨出部から先端に向けて所定間隔を有して直線状に延びる2本の直線部と、各前記直線部から先端に向けて外側に凸湾曲状に延びて対向して設けられ、人形を保持する対向部が凹湾曲状に形成される2本の湾曲保持部と、を備える。
【0024】
この構成によれば、直線部と湾曲保持部で開き具合を異ならせて、例えば大きめの人形や小さめの人形等、形や大きさが異なる複数種類の人形を用いて遊んだり展示をしたりする場合にも、確実に人形を保持することができる。
【0025】
第2の態様に係る人形保持具は、各前記湾曲保持部の先端側には、互いに向き合う方向に膨出するよう形成される2か所の先端膨出部が設けられる。
【0026】
この構成によれば、湾曲する対向部で人形の胴部等を保持しつつ、人形が先端側に飛び出してしまわないように人形を保持することができる。
【0027】
第3の態様に係る人形保持具は、前記先端膨出部は、対向する部位に先端平坦部を有する。
【0028】
この構成によれば、例えば静電植毛等が施された、傷付き易い表面を備える人形であっても、人形保持具による保持の際に人形の表面に傷を付けてしまうことが低減される。
【0029】
第4の態様に係る人形保持具は、各前記直線部の弾発力は、各前記湾曲保持部の弾発力よりも小さくなるように形成される。
【0030】
この構成によれば、例えば小さめの人形では湾曲保持部に変形を殆ど与えずに直線部の弾発力で人形を保持し、大きめの人形では湾曲保持部も変形させて人形を保持させることができるので、形や大きさの異なる複数種類の人形であっても更に確実に保持する人形保持具を提供することができる。
【0031】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。例えば、本実施形態においては、凸状の係合部12と取付面20の凹状(孔状)の被係合部21とで凹凸係合するように形成したが、凹凸関係は逆でもよく、また、ねじ等の他の係合方法とすることができる。
【符号の説明】
【0032】
10A,10B,10C 人形保持具
11 支持部 11a 基端部
11a1 縁部 11b 端面
12 係合部 13 膨出部
14 直線部 14a 平坦面
15 湾曲保持部 15Ca 先端部
15a 対向部 16 先端膨出部
16B 先端膨出部 16Ba 凸湾曲部
16a 先端平坦部 17 外側面部
20 取付面 21 被係合部