(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023068436
(43)【公開日】2023-05-17
(54)【発明の名称】集合玄関装置およびインターホンシステム
(51)【国際特許分類】
H04M 9/00 20060101AFI20230510BHJP
G06F 3/01 20060101ALI20230510BHJP
G02B 30/56 20200101ALI20230510BHJP
【FI】
H04M9/00 D
G06F3/01 510
G02B30/56
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021179560
(22)【出願日】2021-11-02
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山口 剛史
(72)【発明者】
【氏名】桑野 剛
(72)【発明者】
【氏名】冠野 欣也
【テーマコード(参考)】
2H199
5E555
5K038
【Fターム(参考)】
2H199BA32
2H199BA47
2H199BA49
2H199BB52
2H199BB59
5E555AA64
5E555AA74
5E555BA02
5E555BA83
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5E555BC08
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5K038AA06
5K038CC12
5K038DD12
5K038DD16
5K038DD18
(57)【要約】
【課題】空中ディスプレイを生成する集合玄関装置において、ユーザビリティを向上させる。
【解決手段】実施形態の一例である集合玄関装置10は、筐体30と、筐体30の内部に設けられたモニタ40と、モニタ40から出力される光の方向を変えて筐体30から浮き出る表示面100を生成するための反射板41と、表示面100に対する操作を検知するように構成されたセンサ42とを備える。モニタ40および反射板41の少なくとも一方は、表示面100の状態が変化するように筐体30に対して移動可能に構成されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
集合施設の共用部に設けられる集合玄関装置であって、
筐体と、
前記筐体の内部に設けられた表示部と、
前記表示部から出力される光の方向を変えて前記筐体から浮き出る表示を生成するための反射部と、
前記表示に対する操作を検知するように構成された操作検知部と、
を備え、
前記表示部および前記反射部の少なくとも一方は、前記表示の状態が変化するように前記筐体に対して移動可能に構成されている、集合玄関装置。
【請求項2】
前記表示は、平面状に形成される表示面であって、前記表示面の下端側が上端側よりも前記筐体の前面又は上面から浮き上がって表示される、請求項1に記載の集合玄関装置。
【請求項3】
前記表示部および前記反射部は、互いの相対的な位置関係を維持したまま前記筐体内を移動し、前記筐体の前面又は上面に対する前記表示の角度を変化させるように構成されている、請求項1又は2に記載の集合玄関装置。
【請求項4】
撮像部を備え、
前記撮像部により取得された映像からユーザーの目線の高さに関する情報を取得し、前記情報に基づいて前記筐体の前面又は上面に対する前記表示の角度を変化させる、請求項1~3のいずれか一項に記載の集合玄関装置。
【請求項5】
前記反射部は、前記表示部から出力される光が入射する第1の位置と、当該光が入射しない第2の位置との間を移動し、前記表示の有無を切り替え可能に構成されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の集合玄関装置。
【請求項6】
前記表示は、所定の操作画面を含み、
前記操作画面に対する所定の操作が受け付けられたときに、前記操作画面を非表示とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の集合玄関装置。
【請求項7】
前記筐体には、前記操作画面の少なくとも一部と同じ操作を受け付け可能な操作部が設けられている、請求項6に記載の集合玄関装置。
【請求項8】
前記操作部の操作信号に基づいて、前記表示の状態を変化させる、請求項7に記載の集合玄関装置。
【請求項9】
前記表示の状態を変化させるとき、および前記表示に対する操作を受け付けたときの少なくとも一方において、音を出力して所定の報知を行う音報知部を備える、請求項1~8のいずれか一項に記載の集合玄関装置。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の集合玄関装置と、
前記集合玄関装置と通信可能に接続された情報端末と、
を備える、インターホンシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、集合玄関装置、および当該集合玄関装置を備えたインターホンシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、マンション等の集合施設において、共用玄関等の共用部に設けられた集合玄関装置を備えるインターホンシステムが広く知られている(例えば、特許文献1参照)。インターホンシステムは、集合玄関装置と、集合施設を構成する複数の施設に設置されるインターホン親機等の情報端末とを備え、集合玄関装置と情報端末との間で通話可能に構成されている。
【0003】
集合玄関装置には、上記情報端末を呼び出すためのテンキー、呼出ボタン等の操作部が設けられている。ユーザーは、操作部を押圧操作することにより、集合施設内の目的とする施設の情報端末を呼び出すことができる。
【0004】
近年、操作画面等の表示を空中に生成する技術(空中結像技術)が知られており、集合玄関装置への適用も検討されている。空中に浮かび上がる表示は、空中ディスプレイとも呼ばれる。この場合、空中に表れた操作画面を使用して操作部に触れることなく装置の操作が可能になるため、当該技術を集合玄関装置に適用することは、衛生面で好ましく、感染症の感染防止対策の1つとして有効である。また、操作部は繰り返し押圧操作されると劣化するが、空中ディスプレイではそのような劣化は生じない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一方、ユーザーによっては操作画面がはっきりと見えず、操作が困難になる場合がある。また、空中ディスプレイに不慣れなユーザーにとっては、空中に表示された操作画面を上手く操作できないことも想定される。
【0007】
本開示の目的は、空中ディスプレイを生成する集合玄関装置において、ユーザビリティを向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係る集合玄関装置は、集合施設の共用部に設けられる集合玄関装置であって、筐体と、筐体の内部に設けられた表示部と、表示部から出力される光の方向を変えて筐体から浮き出る表示を生成するための反射部と、表示に対する操作を検知するように構成された操作検知部とを備え、表示部および反射部の少なくとも一方は、表示の状態が変化するように筐体に対して移動可能に構成されている。
【0009】
本開示に係るインターホンシステムは、上記集合玄関装置と、集合玄関装置と通信可能に接続された情報端末とを備える。
【発明の効果】
【0010】
本開示に係る集合玄関装置によれば、装置から浮き出る表示を生成でき、当該表示を使用して装置の操作が可能になるため、衛生面に優れる。加えて、ユーザーに合わせて表示の状態を変化させることが可能であるため、ユーザビリティに優れる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態の一例であるインターホンシステムの概略図である。
【
図2】実施形態の一例である集合玄関装置の斜視図である。
【
図3】実施形態の一例である集合玄関装置の構成を示すブロック図である。
【
図4】集合玄関装置のディスプレイ構造の一例を模式的に示す図である。
【
図5】集合玄関装置のディスプレイ構造の一例を模式的に示す図である。
【
図6】集合玄関装置のディスプレイ構造の一例を模式的に示す図である。
【
図7】集合玄関装置の変形例を模式的に示す図である。
【
図8】実施形態の一例である集合玄関装置において、空中ディスプレイに関する制御手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、本開示の実施形態について詳細に説明する。以下で説明する実施形態はあくまでも一例であって、本開示は以下の実施形態に限定されない。また、以下で説明する複数の実施形態および変形例を選択的に組み合わせることは本開示の範囲に含まれている。
【0013】
本開示の装置およびシステムの主体は、コンピュータを備えている。このコンピュータがプログラムを実行することによって、本開示の装置およびシステムの主体の機能が実現される。コンピュータは、プログラムに従って動作するプロセッサを主なハードウェア構成として備える。プロセッサは、プログラムを実行することによって上記機能を実現することができれば、その種類は問わない。プロセッサは、集積回路(IC)または大規模集積回路(LSI)を含む1つまたは複数の電子回路で構成される。複数の電子回路は、1つのチップに集積されていてもよく、複数のチップに設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよく、複数の装置に備えられていてもよい。また、プログラムは、コンピュータが読み取り可能なROM、光ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記憶媒体に記憶される。プログラムは、記憶媒体に予め格納されていてもよく、インターネット等を含む広域通信網を介して記憶媒体に供給されてもよい。
【0014】
図1は、実施形態の一例であるインターホンシステム1の概略構成を示す図である。
図1に示すように、インターホンシステム1は、マンション等の集合住宅の共用部に設けられる集合玄関装置10を備える。集合玄関装置10は、一般的に、共用玄関2に設置され、インターホンシステムに適用される集合玄関装置はロビーインターホン装置とも呼ばれる。詳しくは後述するが、集合玄関装置10は、装置の前方に浮き出る空中ディスプレイである表示面100(
図2等参照)を生成するように構成されたディスプレイ部32を備える。
【0015】
インターホンシステム1は、例えばマンション、寮、社宅、老人ホーム等の集合住宅に適用されるものとして説明するが、本開示に係るインターホンシステムの適用対象は集合住宅に限定されない。本開示に係るインターホンシステムは、オフィス、工場、研究施設、医療施設、介護施設、宿泊施設など、各種集合施設に適用可能である。
【0016】
インターホンシステム1は、集合玄関装置10と、集合玄関装置10と通信可能に接続された情報端末とを備える。本実施形態では、情報端末として、各住戸3に設置された複数のインターホン親機20を備える。なお、情報端末は、各住戸3の居住者が所持するスマートフォン等の端末装置であってもよい。
【0017】
インターホンシステム1は、システムを統括的に制御する制御装置25を備える。制御装置25は、集合玄関装置10およびインターホン親機20と通信可能に接続されている。制御装置25は、ゲートウェイ27を介してサーバ26に接続されていてもよい。ゲートウェイ27は、ルータとして機能する。制御装置25は、インターホンシステム1の制御に必要な情報をサーバ26から取得してもよい。
【0018】
インターホンシステム1は、各住戸3に設けられた複数の玄関子機21を備える。インターホン親機20および玄関子機21は、一般的に、各住戸3に1台ずつ設置されている。インターホン親機20は、各住戸3の室内に設置され、1台の玄関子機21と通信可能に接続されている。各住戸3の室内には、インターホン親機20に接続された副親機が設置されていてもよい。玄関子機21は、各住戸3の室外において玄関近傍に設置される。
【0019】
インターホンシステム1は、マンションの管理室4に設けられた管理室装置15を備えていてもよい。管理室装置15は、制御装置25を介して集合玄関装置10および各住戸3のインターホン親機20と通信可能に接続されている。管理室装置15は、例えば、集合玄関装置10および複数のインターホン親機20に種々の情報を送信できる。インターホンシステム1は、管理室装置15およびサーバ26の少なくとも一方から、集合玄関装置10の設定を変更可能に構成されていてもよい。
【0020】
共用玄関2には、上述の通り、集合玄関装置10が設置されている。集合玄関装置10は、各住戸3に設置されたインターホン親機20の呼び出しを行うための装置であり、管理室装置15を呼び出すこともできる。集合玄関装置10は、テンキー、呼び出しボタン等を含む操作部31と、ディスプレイ部32と、撮像部であるカメラ33とを備える。ディスプレイ部32により生成される表示面100には、後述の操作画面が含まれるが、集合玄関装置10によれば、操作部31を使用した呼び出し操作も可能である。
【0021】
共用玄関2には、玄関ドア12、および玄関ドア12を施錠するロック装置13が設置されている。また、共用玄関2には、居住者等が所有するカードキーを検知する非接触キー検知装置11が設置されていてもよい。集合玄関装置10および非接触キー検知装置11は、玄関ドア12の外側に設置されている。ロック装置13は、玄関ドア12が閉まると自動的に玄関ドア12を施錠するオートロック装置であって、玄関ドア12に取り付けられた電気錠を作動させる。玄関ドア12は、例えば、自動ドアにより構成され、平常時は施錠された状態が基本である。
【0022】
各住戸3には、上述の通り、インターホン親機20と、玄関子機21とが1台ずつ設けられている。インターホン親機20は、玄関子機21と通信可能に接続され、また分岐器16および制御装置25を介して集合玄関装置10と通信可能に接続されている。居住者は、住戸3の居住者等はインターホン親機20により、集合玄関装置10および玄関子機21を介して来訪者と通話可能であり、来訪者の映像を確認することができる。インターホン親機20は、広域通信網に接続され、スマートフォン等の情報端末に来訪者があったことを知らせる通知を送信するように構成されていてもよい。
【0023】
制御装置25は、集合玄関装置10、各住戸3のインターホン親機20、および管理室装置15と通信可能に接続され、主にこれらの装置間の通信を制御する。制御装置25は、プロセッサおよびメモリを含むコンピュータにより構成される。メモリは、例えばRAM、ROM、ハードディスク等により構成される。制御装置25は、1つのコンピュータで構成されていてもよく、複数のコンピュータで構成されていてもよい。また、制御装置25の機能の一部または全部が、サーバ26等のマンションの外部にある装置に存在していてもよい。
【0024】
以下、
図2および
図3を参照しながら、集合玄関装置10の構成について詳説する。
図2は、集合玄関装置10の斜視図であって、表示面100が生成された様子を示す。
図3は、集合玄関装置10の概略構成を示すブロック図である。
【0025】
図2および
図3に示すように、集合玄関装置10は、装置の各構成要素を収容および保持する筐体30を備える。筐体30の前面には、操作部31、ディスプレイ部32、およびカメラ33が設置されている。操作部31の一例は、住戸番号を入力するためのテンキー、および呼び出しを実行するための呼出ボタンである。来訪者、居住者等のユーザーは、テンキーで住戸番号を入力し、呼出ボタンを押すことで、目的とする住戸3を呼び出すことができる。詳しくは後述するが、集合玄関装置10によれば、ディスプレイ部32により生成される表示面100により同様の呼び出し操作が可能である。
【0026】
集合玄関装置10は、さらに、スピーカ34、マイク35、制御部36、および人感センサ37を備える。集合玄関装置10は、呼び出し操作がなされたときに、テンキーにより入力された住戸番号に対応する住戸3のインターホン親機20に呼び出し信号を送信する。このとき、スピーカ34から呼び出し音が出力され、呼び出し先の居住者が応答した場合にはその音声等が出力される。来訪者の声はマイク35により取得されて呼び出し先のインターホン親機20に送信されるので、居住者と通話することができる。
【0027】
集合玄関装置10には、筐体30の上部にカメラ33が設置され、カメラ33の下にディスプレイ部32および操作部31がこの順で設置されている。カメラ33は、来訪者を撮像できるものであればよく、共用玄関2を広角に撮像可能な広角レンズを備えたカメラ、ズームレンズを備えたカメラ、或いは二眼カメラ等であってもよい。なお、インターホンシステム1は、監視システム等の他のシステムのカメラから映像を取得するように構成されていてもよい。
【0028】
集合玄関装置10は、例えば、人感センサ37により来訪者が検知されたときに、ディスプレイ部32の機能により、筐体30の前方に浮き出る表示面100を出力する。人感センサ37は、集合玄関装置10に近づいた来訪者を検知できるセンサであればよく、一例としては赤外線センサ、超音波センサ等が挙げられる。
【0029】
表示面100は、空中結像技術により空中に生成される表示(空中ディスプレイ)であって、平面状に形成されている。表示面100は、その下端側が上端側よりも筐体30の前面から浮き上がって表示されることが好ましい。また、表示面100は、筐体30の上下方向において操作部31とカメラ33の間に表示される。即ち、集合玄関装置10の正面視において、操作部31は表示面100と重ならない位置に設けられている。
【0030】
表示面100には、所定の操作画面が含まれることが好ましい。表示面100に表れる操作画面は、操作部31を使用した操作の少なくとも一部と同じ操作が可能であるように構成されている。表示面100の操作画面には、操作部31と同様に、テンキーおよび呼び出しボタンが存在する。言い換えると、筐体30には、表示面100の操作画面の少なくとも一部と同じ操作を受け付け可能な操作部31が設けられている。操作部31と表示面100の操作画面は、少なくともユーザーが行う操作に関して、全く同じ操作が可能であるように構成されていてもよい。
【0031】
表示面100の操作画面のテンキーは、表示面100の起動の度に、その位置がランダムに表示されてもよい。この場合、ユーザーの呼び出し先が分かり難くなり、セキュリティー対策として有効である。また、カメラ33により取得される映像から顔認証を行い、ユーザーの利用データを蓄積、分析することで、当該ユーザーに対応する呼び出し先の候補を表示面100に出力してもよい。顔認証により推定年齢を算出し、推定年齢に基づいて、操作画面のテンキー等の大きさを変化させてもよい。この場合、推定年齢が大きくなるほど、操作画面を大きくすることが好ましい。また、顔認証により来訪者が外国人であることが推定される場合は、表示面100に英語表示を出力してもよい。
【0032】
集合玄関装置10は、人感センサ37により来訪者が検知されたときに、カメラ33により来訪者を撮像し、取得した映像を表示面100に表示させてもよい。来訪者自身の映像を表示させることで、映像が記録されていることを意識させることができ、防犯効果を高めることができる。集合玄関装置10は、一般的に、来訪者により呼び出し操作がなされたときに、取得した来訪者の映像を呼び出し先のインターホン親機20に送信する。
【0033】
制御部36は、プロセッサ36aおよびメモリ36bを有するマイクロコンピュータで構成され、集合玄関装置10に内蔵されている。メモリ36bは、例えばRAM、ROM、ハードディスク等により構成され、制御プログラムおよび種々の設定情報を記憶している。プロセッサ36aは、メモリ36bにインストールされた制御プログラムを読み出して実行することにより、制御部36の各処理部の機能を実現する。
【0034】
制御部36は、インターホン親機20の呼び出し処理を実行する呼出処理部36cを含む。呼出処理部36cは、呼び出し操作がなされたときに、呼び出し先のインターホン親機20に呼び出し信号を出力すると共に、スピーカ34から呼び出し音を出力させる処理を実行する。また、人感センサ37により集合玄関装置10に近づく来訪者が検知されたときに、カメラ33による撮像を開始し、来訪者の映像を呼び出し先のインターホン親機20に送信する。
【0035】
制御部36は、空中ディスプレイ(表示面100)に関する処理を実行する処理部として、第1処理部36d、第2処理部36e、および第3処理部36fを含む。第1処理部36dは、カメラ33により取得されたユーザーの映像に基づいて、表示面100の角度を変化させる。第2処理部36eは、表示面100の有無(表示/非表示)の切り替えを行う。第3処理部36fは、スピーカ34から音を出力して所定の報知を行う音報知部を構成する。第3処理部36fは、表示面100に関する情報を音声等により出力する。各処理部の機能の詳細については、ディスプレイ部32の構成の説明と共に後述する。
【0036】
以下、
図4~
図6を参照しながら、ディスプレイ部32の構成について詳説する。
図4~
図6は、ディスプレイ部32の構成を模式的に示す図である。
【0037】
図4~
図6の(a)では、表示面100の下端側が上端側よりも筐体30の前面から浮き上がって斜め上方を向くように表示面100が形成されている。表示面100は、上下方向に沿った筐体30の前面に対して角度θ1で傾斜している。
図4(b)は、筐体30の前面に対する表示面100の傾斜角度がθ1より小さいθ2の状態を示している。
図5および
図6の(b)は、表示面100が非表示の状態を示している。
【0038】
図4に示すように、ディスプレイ部32は、モニタ40、反射板41、およびセンサ42を有し、筐体30の前方に浮き出る表示面100を生成する。モニタ40は、筐体30の内部に設けられた表示部である。反射板41は、モニタ40から出力される光の方向を変えて筐体30の前方に浮き出る表示面100を生成するための反射部である。センサ42は、表示面100に対する操作を検知するように構成された操作検知部である。本実施形態では、表示面100に所定の操作画面が表れ、センサ42により操作画面の操作情報が取得される。
【0039】
ディスプレイ部32において、モニタ40および反射板41の少なくとも一方は、表示面100の状態が変化するように筐体30に対して移動可能に構成されている。
図4に示す例では、モニタ40および反射板41の両方が、筐体30の内部で移動可能に構成されている。センサ42についても、モニタ40および反射板41と共に移動するように構成されていてもよい。即ち、ディスプレイ部32の各構成要素が一体的に移動する。モニタ40、反射板41、およびセンサ42は、例えば、互いに相対的な位置関係を維持したまま筐体30内を移動する。
【0040】
ディスプレイ部32は、少なくともモニタ40および反射板41を移動させるための駆動機構43を有する。駆動機構43の動作は、制御部36により制御され、例えば、カメラ33により取得されたユーザーの映像に基づいて、表示面100の角度が変化するように制御される。また、駆動機構43の動作は、操作部31および表示面100の操作画面の操作情報に基づいて、表示面100の有無を切り替えるように制御されてもよい。
【0041】
モニタ40には、液晶モニタ、有機ELモニタなど、種々のモニタを用いることができる。モニタ40は、筐体30の内部に設置でき、適切なサイズの表示面100を出力可能なものであればよく、その種類、大きさ等は特に限定されない。ディスプレイ部32では、操作画面、呼び出し時の画面、カメラ33により取得された来訪者の映像などがモニタ40に出力され、反射板41を介して筐体30の前方に映し出される。
【0042】
反射板41は、モニタ40よりも筐体30の前方において、モニタ40から出力される光が入射する位置に設けられている。反射板41は、モニタ40から出力される映像を透過および反射して筐体30の前方に浮き出る表示面100を生成する。反射板41は、例えば、規則的な反射面構造を有する光学プレートであって、反射板41に入射する光を所定の方向に反射させ、空中で反射光を収束させる。これにより、反射光が筐体30の前方の所定の場所で空中結像し、空中に浮き上がった表示面100が形成される。
【0043】
センサ42は、表示面100上におけるユーザーの指の位置を検知し、表示面100に対してなされる操作情報を取得する。センサ42は、表示面100に対する操作を検知できるものであればよく、その種類は特に限定されないが、好適な一例としては赤外線センサが挙げられる。本実施形態では、テンキーおよび呼び出しボタンを含む操作画面が表示面100に出力され、当該操作画面に対する操作がセンサ42により検知されて、呼び出し処理が実行される。
【0044】
センサ42が表示面100の操作画面に対する操作を検知した場合、スピーカ34から操作音を出力することが好ましい。操作音の出力は、第3処理部36fの機能により実行される。第3処理部36fは、表示面100の操作画面に対する操作を受け付けたときに、操作音を出力して操作を受け付けたことの報知を行う。この操作音により、ユーザーは操作が受け付けられたことを認識できる。操作部31に照明素子(例えば、LED)が設置されている場合、操作音の出力と共に、操作された操作画面に対応する操作部31のLEDを点灯させてもよい。
【0045】
本実施形態では、モニタ40と反射板41の上端部が駆動機構43の回転軸に接続され、モニタ40と反射板41が当該回転軸を中心として回転するように構成されている。モニタ40と反射板41は、駆動機構43の回転軸の周りに所定の角度θを隔てて配置され、角度θを維持したまま回転する。角度θは、反射板41の構成等に基づいて適宜設定される。角度θの一例は45°である。また、モニタ40と反射板41がなす角度θと、反射板41と表示面100がなす角度は、実質的に同じになる。
【0046】
モニタ40と反射板41は、例えば、反射板41が筐体30の前面に沿った状態(
図4(a)参照)から、反射板41の下端側が筐体30の前面から所定長さ離れた状態(
図4(b)参照)まで、角度θを維持したまま移動する。本実施形態では、反射板41が筐体30の前面に沿って平行に配置されている場合、筐体30の前面に対する表示面100の傾斜角度θ1は、例えば、約45°になる。反射板41が筐体30の後方に移動すると、筐体30の前面に対する表示面100の傾斜角度θ2は、45°より小さくなる。
【0047】
即ち、モニタ40と反射板41は、互いの相対的な位置関係を維持したまま筐体30内を移動し、筐体30の前面に対する表示面100の傾斜角度を変化させるように構成されている。反射板41の後方への移動距離が大きくなるほど、傾斜角度θ2は小さくなる。角度θ2は特に限定されないが、一例としては、10°以上45°未満である。角度θ2は、所定の角度範囲において、自在に変化してもよく、段階的に変化してもよい。
【0048】
反射板41と反射板41を回転させる駆動機構43の動作は、上述の通り、制御部36により制御される。制御部36は、例えば、カメラ33により取得された映像からユーザーの目線の高さに関する情報を取得し、当該情報に基づいて筐体30の前面に対する表示面100の傾斜角度を変化させる。表示面100の傾斜角度の変更は、第1処理部36dの機能により実行される。
【0049】
第1処理部36dは、カメラ33により取得された映像からユーザーの顔(頭)を検出し、目線の高さを算出する。顔から目を抽出して目線の高さを算出してもよく、又は顔における目線の高さには大差がないから、ユーザーの頭の高さから目線の高さを一律に算出してもよい。或いは、目線の高さに関する情報として、ユーザーの頭の高さの情報を使用してもよい。第3処理部36fは、ユーザーの目線の高さに関する情報に基づいて駆動機構43を制御し、表示面100の傾斜角度θ2を変化させる。
【0050】
第3処理部36fは、例えば、ユーザーの目線の高さが所定の高さより低い場合に、反射板41を筐体30の後方に移動させて表示面100の傾斜角度をθ1からθ2に変化させる。表示面100の傾斜角度が小さくなれば、目線の高さが一般成人と比べて低いユーザー(例えば、子供、車椅子の利用者)についても、表示面100の視認性、操作性が向上する。この場合、ユーザーの目線の高さが所定の高さ以上であれば、表示面100の傾斜角度はθ1になるが、例えば、標準状態を
図4(b)に示す状態とし、ユーザーの目線の高さを考慮して表示面100の傾斜角度を大きくしてもよい。
【0051】
図5および
図6に示すように、集合玄関装置10は、モニタ40と反射板41の少なくとも一方を移動させて、表示面100の有無を切り替え可能に構成されていてもよい。
図5に示す例では、モニタ40から出力される光が入射する第1の位置(
図5(a)参照)と、当該光が入射しない第2の位置(
図5(b)参照)との間を反射板41が移動するように構成されている。
【0052】
図5に示す例では、反射板41が、筐体30の前面に沿って上方にスライド移動しているが、第2の位置はモニタ40から出力される光が入射しない位置であればよく、第1の位置の下、又は左右であってもよい。また、モニタ40が筐体30の前面近傍に移動し、筐体30の前面に沿って平行に配置されている。即ち、モニタ40が反射板41の移動前の位置(第1の位置)に移動している。この場合、表示面100が非表示となり、ユーザーはモニタ40の映像をそのまま確認できる。なお、反射板41の第1の位置とは、モニタ40から出力される光の方向を変えて筐体30から浮き出る表示を生成可能な位置を意味する。他方、第2の位置とは、モニタ40から出力される光の方向を変えて筐体30から浮き出る表示を生成しない位置を意味する。換言すると、第2の位置の反射板41には、表示面100が生成されない程度の光であれば入射してもよい。
【0053】
図6に示す例では、モニタ40が反射板41と近接する位置まで筐体30の前方に移動している。この場合、反射板41は移動せず、モニタ40と反射板41が互いに平行に配置される。反射板41は、例えば、角度θが所定の値である場合にのみ、空中ディスプレイを生成する。このため、モニタ40と反射板41が互いに平行に近接配置されると、モニタ40から出力される光が反射板41に入射して空中結像を生じることなく、集合玄関装置10の正面からは通常の映像として確認できる。
【0054】
制御部36は、例えば、表示面100の操作画面に対する所定の操作が受け付けられたときに、表示面100の操作画面を非表示とする。制御部36は、所定の操作を受け付けたときに、表示面100に出力する操作画面を呼び出し画面等の他の画面に切り替えてもよい。また、制御部36は、モニタ40と反射板41の少なくとも一方を移動させて、表示面100自体を非表示にしてもよい。操作情報に基づく表示面100の状態の変更は、第2処理部36eの機能により実行される。
【0055】
第2処理部36eは、センサ42の検知情報から操作画面に対する所定の操作情報を取得したときに、
図5に示すようにモニタ40と反射板41を移動させる、或いは
図6に示すようにモニタ40のみを移動させることにより、表示面100を非表示とする。表示面100の操作画面を使用した呼び出し操作が受け付けられると、モニタ40が筐体30の前方に移動し、呼び出し画面が通常の映像(非空中ディスプレイ)として出力される。
【0056】
第2処理部36eは、操作部31の操作信号に基づいて、表示面100の状態を変化させてもよい。第2処理部36eは、例えば、操作部31の操作信号を取得したときに、モニタ40と反射板41の少なくとも一方を移動させて、表示面100を非表示にする。表示面100が表示されている状態で操作部31が操作された場合、そのユーザーにとって表示面100の操作が困難であるか、又は表示面100の操作を好まないことが想定される。この場合、表示面100を非表示として操作部31を操作し易くする。
【0057】
第2処理部36eは、操作部31の操作信号を取得したときに、表示面100の表示形態を変化させて、ユーザーに表示面100の使用を促してもよい。表示形態の変更の具体例としては、表示面100を明るくする、表示面100の色を変更する、表示面100のデザインを変更すること等が挙げられる。第2処理部36eは、表示面100の表示形態を変更した後、さらに操作部31の操作信号を取得した場合に、表示面100を非表示にしてもよい。
【0058】
制御部36は、表示面100の状態を変化させる場合に、スピーカ34から音を出力して所定の報知を行ってもよい。報知音の出力は、第3処理部36fの機能により実行される。第3処理部36fは、例えば、表示面100の表示/非表示を切り替える場合に、スピーカ34から「お待ちください」の音声を出力する。駆動機構43が動作している間は画面を確認できない可能性があるため、音声を出力してユーザーに待機を促す。
【0059】
図7は、集合玄関装置10の変形例である集合玄関装置10xを示す図である。集合玄関装置10xは、筐体30xの上面に対して所定の角度で傾斜した表示面100xが生成されるように構成されている点で、集合玄関装置10と異なる。表示面100xを生成するディスプレイ部は、集合玄関装置10の場合と同様に、モニタ40、反射板41、センサ42、および駆動機構43により構成されている。
【0060】
集合玄関装置10xにおいて、筐体30xの上面は、装置の前方から後方に向かって次第に高くなるように傾斜した斜面になっている。そして、反射板41は、筐体30xの上面に沿って近接配置されている。モニタ40と反射板41は、駆動機構43の回転軸に連結され、当該回転軸を中心として角度θを維持したまま回転するように構成されている。この場合、表示面100と同様に、筐体30xの上面に対する表示面100xの傾斜角度を変化させることができる。
【0061】
以下、
図8のフローチャートを参照しながら、集合玄関装置10の制御手順の一例について説明する。
図8は、空中ディスプレイである表示面100に関する制御手順の一例を示すフローチャートである。
【0062】
図8に示す例では、人感センサ37により集合玄関装置10に近づく来訪者等のユーザーが検知されたことをトリガーとして、表示面100を生成する一連のプロセスを開始する(ステップS1のYes)。集合玄関装置10のメモリ36bには、この制御プロセスをコンピュータで実現するための制御プログラムが記憶されている。表示面100には所定の操作画面が出力され、操作部31を使用した操作と同じ操作が可能である。
【0063】
ステップS2において、カメラ33により来訪者の映像を撮像する。取得された来訪者の映像は、表示面100の生成に使用されると共に、呼び出し操作が実行された場合に、呼び出し先のインターホン親機20に送信される。ステップS3,S4において、取得された来訪者の映像を画像解析して目線の高さに関する情報を算出し、当該情報に基づき筐体30の前面に対する表示面100の傾斜角度を決定する。
【0064】
メモリ36bには、例えば、目線の高さと表示面100の傾斜角度の関係を規定するテーブル又は計算式が保存されており、ステップS4では、これらの情報と、ステップS3で算出した目線の高さとに基づいて表示面100の傾斜角度を決定する。筐体30の前面に対する表示面100の傾斜角度は、目線の高さが低くなるほど、小さくなるように設定される。
【0065】
ステップS5では、呼び出し操作を行うための操作画面を含む表示面100を生成する。表示面100は、筐体30の前面から浮き上がって空中に表示される。表示面100は、筐体30の前面に対して斜め上方を向くように傾斜し、その傾斜角度はステップS4で決定された角度となっている。来訪者は、表示面100の操作画面を使用して呼び出し操作が可能である。操作画面における指の位置は、センサ42により検知される。制御部36は、操作を受け付けると、スピーカ34から操作音を出力する。
【0066】
表示面100が表示されている状態で操作部31の操作信号が取得された場合(ステップS6のYes)、操作部31の操作の邪魔にならないように、表示面100を非表示とする(ステップS8)。集合玄関装置10は、表示面100の操作が困難、又は表示面100の操作を好まない来訪者に対し、操作部31による呼び出し操作を可能とする。制御部36は、例えば、駆動機構43を制御してモニタ40および反射板41を移動させ、表示面100を非表示にする。
【0067】
操作部31の操作信号が取得されない場合(ステップS6のNo)は、表示面100の表示を継続する。そして、表示面100の操作画面による呼び出し操作の情報が取得されたときに(ステップS7のYes)、表示面100を非表示とする(ステップS8)。なお、表示面100を非表示とせず、表示面100の操作画面を呼び出し画面に切り替えてもよい。操作画面による呼び出し操作の情報が取得されない場合(ステップS7のNo)、所定時間の経過を待って(ステップS9)、表示面100を非表示にする。
【0068】
以上のように、集合玄関装置10を備えたインターホンシステム1によれば、集合玄関装置10から浮き出る表示面100(空中ディスプレイの一例)を生成でき、例えば、表示面100の操作画面を使用して呼び出し操作が可能である。このため、操作部31に触れることなく呼び出し操作を実行でき、衛生面に優れる。また、モニタ40および反射板41の少なくとも一方は筐体30に対して移動可能に構成され、ユーザーに合わせて表示面100の状態を変化させることが可能であるため、ユーザビリティに優れる。
【0069】
集合玄関装置10によれば、ユーザーの目線の高さを考慮して表示面100の傾斜角度を変化させることができるので、表示面100の良好な視認性と操作性が得られる。また、操作部31を設けることにより、空中ディスプレイの操作に不慣れなユーザーに対しては、一般的なインターホンシステムと同様の呼び出し操作を可能とする。操作部31が操作される場合には、操作部31の操作の邪魔にならないように、表示面100を非表示にする。
【0070】
なお、上記実施形態は、本開示の目的を損なわない範囲で適宜設計変更できる。例えば、上記実施形態では、筐体から浮き出る空中ディスプレイとして平面的な表示面100を例示したが、空中ディスプレイは立体的なものであってもよい。
【0071】
上記実施形態では、反射部としてモニタ40の光を透過および反射する反射板41を用いたが、空中ディスプレイを生成するディスプレイ部の構成は上記構成に限定されない。ディスプレイ部には、例えば、再帰反射方式の空中結像技術を適用してもよい。
【0072】
また、反射板41がモニタ40から出力される光が入射する第1の位置と、当該光が入射しない第2の位置との間を移動する形態を例示したが、反射部は、筐体から着脱自在に構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0073】
1 インターホンシステム、2 共用玄関、3 住戸、4 管理室、10 集合玄関装置、11 非接触キー検知装置、12 玄関ドア、13 ロック装置、15 管理室装置、16 分岐器、20 インターホン親機、21 玄関子機、25 制御装置、26 サーバ、27 ゲートウェイ、30 筐体、31 操作部、32 ディスプレイ部、33 カメラ、34 スピーカ、35 マイク、36 制御部、36a プロセッサ、36b メモリ、36c 呼出処理部、36d 第1処理部、36e 第2処理部、36f 第3処理部、37 人感センサ、40 モニタ、41 反射板、42 センサ、43 駆動機構、100 表示面